くにさくロゴ
1947/11/12 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第45号
姉妹サイト
 
1947/11/12 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第45号

#1
第001回国会 農林委員会 第45号
昭和二十二年十一月十二日(水曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 寺島 隆太郎君
      佐竹 新市君    永井勝次郎君
      成瀬喜五郎君    細野三千雄君
      松澤  一君   小野瀬忠兵衞君
      小林 運美君    佐々木秀世君
      志賀健次郎君    關根 久蔵君
      圖司 安正君    寺本  齋君
      中垣 國男君    中島 茂喜君
      八木 一郎君    佐瀬 昌三君
      重富  卓君    野原 正勝君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
      山村新治郎君   的場金右衞門君
      中村元治郎君    山口 武秀君
 出席政府委員
        農 林 次 官 笹山茂太郎君
        農林事務官   山添 利作君
        農林事務官   伊藤  佐君
        農林事務官   山根 東明君
 委員外の出席者
        議     員 守田 道輔君
        專門調査員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
十一月十日
 緊急食糧需給に關する特別措置法案(大瀧亀代
 司君外二名提出)(第九號)の審査を本委員會
 に付託された。
十一月十日
 薪炭生産増強に關する陳情書(北海道釧路市入
 舟町釧路地方薪炭生産者大會會長平川庄六)(
 第四九二號)
 旱害救濟對策に關する陳情書(鹿兒島縣揖宿郡
 指宿町長吉滿敬勝外四名)(第四九五號)
 農業協同組合法案一部修正に關する陳情書外十
 八件(和歌山縣森林組合連合會長浦木茂芳外三
 十二名)(第四九七號)
 薪炭需給調整方式改善に關する陳情書(山口縣
 議會議長清水為吉)(第四九九號)
 緊急開拓事業に関する陳情書(佐賀縣農業復興
 會議)(第五〇〇號)
 薪炭需給調節特別會計廢止に關する陳情書(三
 重縣議會議長小切間重三郎)(第五〇一號)
 水害林業對策に關する陳情書(群馬縣前橋市北
 曲輪町群馬縣林業會長外三名)(第五〇四號)
 農業保險制度の改正に關する陳情書(岩手県農
 業保險組合連合會長佐佐木正耕)(第五〇七
 號)
 米穀買上價格に關する陳情書(全國町村會長生
 田和平)(第五一三號)
 濱松市所在舊軍用地使用に關する陳情書(静岡
 縣濱松市荻立農業協同組合船越佐一外三百十五
 名)(第五一九號)
 九州火力發電従業員に對し勞務特配米申請の陳
 情書(福岡市大名町日本發送電株式會社九州支
 店長田邊文之助)(第五二四號)
 米竝びに甘藷價格改訂に關する陳情書(佐賀縣
 佐賀市赤松町佐賀縣農業會長中島友男)(第五
 三五號)
 林業振興對策に關する陳情書(愛知縣森林組合
 連合會長本多鋼治)(第五三六號)
 農業災害補償法案に關する陳情書(茨城縣水戸
 市黒羽町茨城縣農業保險組合連合會外十五名)
 (第五三七號)
 未利用地利用等に關する陳情書(千葉縣野田町
 高木虎尾)(第五四〇號)
 官公有林に關する陳情書(千葉縣野田町高木虎
 尾)(第五四四號)
 林野火災防止竝びに原野利用に關する陳情書(
 千葉縣野田町高木虎尾)(第五四六號)
 生活必需品配給に關する陳情書(千葉縣野田町
 高木虎尾)(第五六二號)
 適正米價設定の陳情書(千葉縣山武郡千葉縣新
 米價要求農民大會)(第五六八號)
 適正米價即時決定斷行に關する陳情書(石川縣
 議會議長岡島友作)(第五七一號)
 競馬法の改正に關する陳情書(札幌市議會長福
 鳥利雄)(第五七五號)
 食糧配給公團設立反對の陳情書外五件(廣島市
 大平町廣島地區配給業務改善委員會議長松本常
 一外五名)(第五七七號)
 農業生産の調整及び主要食糧の供出制度に關す
 る陳情書(山口縣大島郡平郡村南組農事實行組
 合長林米春外八名)(第五七八號)
 旱害對策費の全額國庫補助に關する陳情書(奈
 良縣農民大會議長加藤三郎)(第五八六號)
 農作物作付制限の實質的撤廢に關する陳情書(
 奈良縣農民大會議長加藤三郎)(第五八七號)
 新米價に關する陳情書(奈良縣農民大會議長加
 藤三郎)(第五八九號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農地開發營團の行う農地開發事業を政府におい
 て引き繼いだ場合の措置に關する法律案(内閣
 提出、參議院送付)(第八五號)
 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第五九號)
 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)(第八六號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 これより農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引き繼いだ場合の措置に關する法律案を議題といたします。
 本案は去る九月二十二日本院においては豫備審査になつておりました關係上、平野前農林大臣より提案理由の説明は聽取いたしておりますのでこれより質疑に入りたいと思います。なお、御参考に申上げておきますが、本案は去る十一月五日参議院送付となり、本委員會に附託されましたものであります。右議題について質疑の通告があります。これを許します。永井委員。
#3
○永井委員 お尋ねいたします。第一は北海道の開發は従來拓殖費においてこれを行つていたのでありますが本年度から農林省直轄の關係になりまして、機構の改革が當然起つてきておるのでありますが、この機構の改革についてはいろいろな考え方があり、またいろいろな經過をたどつておるのでありまして、これに對する當局の基本的な方針及び具體的な内容を、この場合明らかにしていただきたいと存じます。
#4
○伊藤(佐)政府委員 ただいまの永井さんの御質問にお答えいたします。北海道が去る七月一日から、開拓關係におきまして農林省の管下にに入りまして、他の附縣と總合的ににらみ合せまして開拓をやつてまいることになつたのでございます。それに伴いまして、従來の北海道の開發機構というものを、それぞれの各省が責任をもつてやつてまいるという機構にすることに相なつたのであります。すなわち開拓關係においては、農林省が責任をもつて北海道の開拓を實行してまいる。それから港灣等におきましては運輸省がやる。あるいはまた河川土木等につきましては内務省が直接責任をもつてやつてまいる。こういうようなことになりまして、その結果として現在北海道の開拓行政機構についてのいろいろ審議をしているのでございますが、大體決定をいたしますと思われます案は、北海道の開拓の重要性を特に強調いたしまして、それにこの重要な北海道の開拓を十分にやつていくだけの機構にいたさねばならぬという建前からいたしまして、北海道の現在の行政機構は、知事の下に副知事があり、その下に各部があるわけでございますが、開拓につきましては特に局を設けまして、局の下に部をさらに三部設けまして開拓を十分に強力に遂行してまいる。かような行政機構になつておるわけでございます。現在の地方自治法の關係から申しますると、これは北海道に局制を設けまするためには、自治法の改正を必要とするのであります。これはただいま議會の方に提案になつておるのでございます。
#5
○永井委員 ただいまの機構に改變されるといたしまして、その機構を中央と地方との有機的な關連において、しかも現在の實情が、これらの機構等をして實際に即するように運營せられなければならないのでありますが、その點についてどのうような用意があるか、従來はただ内地の農業經營方式、あるいは開拓方式をそのままもつてくるというような、そうして全國一様の形において、そのわくの中で動かすというようなために、實態に即しない、効率のあがらないいろいろな問題が現地に起つておるわけでありますが、現地の實際に即して、この機構を通してどのように運營していくか、その運營の實際についての考慮を、どういう點に重點をあいて考えておるか承りたいと思います。
#6
○伊藤(佐)政府委員 行政の實際の運營でございますが、これは北海道知事の下に局を設けまして、さらにその下に三部を設ける、北海道の實情を十分加味いたしました方法をもつてやつてまいりたい。結局北海道知事を主にいたしまして、それに國がご援助してやつていく、かようなふうに考えております。
#7
○永井委員 先ほどの御説明にありました通りに、開拓と申しましても、道路も、河川も、港灣も、開墾も、いろいろ各省に分割される仕事が、現地では一つの地域に起つておるわけでありまして、そういうものの總合的な運營というものを、主としてどこでやるのか、また中央におけるそういうものの總合調整といいますか、そういうものはどういう機關を設けてやるのか、あるいは單に各省の間の話合でやつていく考えであるか、これを承りたい。
#8
○伊藤(佐)政府委員 各省はそれぞれ自分の管轄いたします事項つきまして、責任をもつてやつてまいるのでありますが、その間の連絡調整をはかりますために中央に關係各省の次官、北海道知事、それから北海道道會議長といつたような方をもつて組織いたしまする委員會を設けまして、そこで總合的にでこぼこのないようなふうにいたしまして、現地におきましては、これは北海道知事が實行部面の總合をやつてまいる、かように考えております。
#9
○永井委員 現地の實情を具體的に把握し、そうしてこれに對する科學的な施策を確立するためには、どのような方法によつてそういことを實際的にやつていく考えでおられるか。これを承りたいと思います。
#10
○伊藤(佐)政府委員 方法はいろいろあると存ずるのでありますが、まず第一には、中央といたしましは現地の事情をよく認識するということが必要であります。そのためには、中央から折あるごとに現地の實情を認識するような手段をとりますとともに、相當なこれは人事の交流を必要とするものと考えられるのであります。中央のあるいは府縣等から相當な人材を北海道に派遣いたしまして、北海道の開拓が十分にいくように應援をいたすとともに、北海道の現地事情を知つた方を中央に來ていただきまして、そうして現地の北海道の實情を中央の施策の上に反映させるということ、そういつたような方法あるいはまた北海道の開拓を強力に科學的に推進いたしますために、特に北海道の開拓に關しまして、研究所のようなものを設ける必要がある。かように考えております。
#11
○永井委員 その研究所を設けます場合における、その研究所の規模なり、構成なり、性格の問題でありますが、今農林省で考えております北海道の農事試験場の方向というものは、大體北海道は畜産、林産、あるいは農村工業というようなものが、農耕と竝んで總合的に、いろいろな形で各戸の經營の中にもはいつておりますし、また組合單位の形態の中にもはいつております。そういうような形で動いておるのでありまして、そういう實態に即して、従來は試験機關も總合的な試験の規模、構成であつたのでありますが、今度は畜産は畜産、農村工業は農村工業、農事は農事、こういうふうに試験機關をばらばらにするというような考え方のようでありますが、先ほども申した通りに、開墾の事柄は、もうでき上つた農村以上にいろいろなものが總合的に配分され、總合的に内容となつて動いてこなければならぬと思うのでありますが、その研究所の規模構成、性格というものをどういうふうに現在考えておるか。これを承りたい。
#12
○伊藤(佐)政府委員 北海道の開拓研究機關の性格なり、あるいは規模等につきましては、先般中央の開拓研究所長が、北海道を相當期間視察いたしまして、その他専門家がそれぞれ農林省からまいりまして、北海道の實情を親しく見學いたしてまいつたのでありますが、その結果に基きまして、ただいま永井さんからお話がありましたような、他の研究機關との連絡、調査、あるいは行き方がばらばらにならないようにといつたような點を、今考慮いたしまして、どういう形でいくか、あるいは規模をどうするかということにつきまして、來年度の豫算に間に合うように目下研究いたしております。
#13
○永井委員 本年度豫算の補正豫算が議會にかかつているのでありますが、この補正豫算において、本年度北海道の開拓事業が豫算を通してどのような影響を受けておるか、そうしてその當初事業計畫と、補正豫算の中に組まれている豫算によつて、今後どのような伸び縮みがあるか、どういう點に重點をおいてこの補正豫算を編成されたか、この點を明らかにしていただきたい。
#14
○伊藤(佐)政府委員 本年の補正豫算は、御承知のように、開拓の部面からいたしますと、いろいろ他方面の關係もございまして最小限度と申しますか、きわめて十分ならざる程度のものであるのでございますが、北海道につきましては、特に氣候の關係その他特殊事情を考慮いたしまして、その最小限度の中から最大限度の豫算をまわしまして、まずまず現在の入植者、竝びに今後本年度にはいります入植者につきましては、支障のないような程度の金をまわすことにいたしております。
#15
○野溝委員長 野原委員。
#16
○野原委員 たまたま開發營團の問題で出てまいりましたので、關連の事柄について二、三お伺いしたいと思います。この開拓計畫を進める上において、今日現地の實情を考えますときには、どうも強力に大きな國家の力をもつて開拓を進めてもらいたいと思うのでありますが、ただいまの實情は今までは農地開發營團があり、あるいは縣營もあり、あるいはまた各種の團體がやつているというようなわけで、非常にばらばらなやり方である。今日岩手縣の開拓の事情を考えましても、いわゆる經營の主體がいろいろ分れているために、非常に相互の連絡を缺き、總合的な開發の上においてどうも遺憾の點が多い。岩手山麓の一帶を考えましても、その點が非常に問題になつているのでありまして、あそこでは農地開發營團もやつておりますし、縣營もあり、それから各町村ごとにいろいろな組合がやつているのでありますが、どうも最近の開拓の進行速度は、表面におきましてはなるほど機械開拓その他でもつてある程度開拓は進んだかのように見えますけれども、開拓の實情というものは必ずしも満足していない。いないどころではない、むしろ將來が非常に危ぶまれる。最近各方面で、何とかして國營でもつてこれを強力に指導推進してもらわなければならぬという聲が、開拓者の中にももちろん燃え上つておりますし、各方面の世論が一致して、この開拓の問題はやはり強力に國家の力をもつて國營でやつてもらいたいという聲が非常に強いのであります。特にこの開放地域がいろいろ分れておりまして、たとえば國有林あり、あるいは畜産局關係の種畜場になつているところの開放も考えなければならない、あるいはまた放牧地、採草地のような問題があり、町村有林あり、私有林あり、いろいろ事情が分れておりまして、それぞれの機關が熱心に開拓を進めているのでありますけれども、やはり總合的な力がなければうまくやつていけません。しかも岩手縣のごときは、大きな力をもつて開拓に當るならば、まだまだ十分開拓の成果をあげ得るような地域が相當ある。これを十分開拓の成果をあげるためには、たとえば治水の大きなダムをつくるとか、あるいは道路を新たに開拓するとか、いろいろと大きな仕事があるのでありまして、地域々々について考えますと全部まとまつているのでありせんから、かなり距離は離れておりますものの、これを總合的に大きく考えますと、一つの開拓の地域としてまとまつた箇所があるのであります。それを五十町歩未満は開拓の組合がやる、五十町歩以上は縣營がやる、あるいは一部は營團がこれをやつておるという、今のようなやり方では満足できない。何とかして國の大きな力でもつて、國營でやるというぐあいにお考え願いたいと思います。特に開拓と関連いたしまして、最近開拓者は非常に生活に困つております。特に東北のごときは非常に雪が多いのでありまして、約半年にわたる冬期間の労働力というものは、遺憾ながら開拓そのものには十分役に立たない。何とかほかにいろいろな産業を考えてやらなければならぬというような點で、開拓者の生活の保障、いろいろな授産施設、その他の事柄も併せて考えるためには、どうしてもやはりこれは國家が大きな力でもつて考えていくというような點から、ひとり従來の開拓營團のやつておつた事業を國が引繼いで國營でやるというようなそういう消極的な場合のみでなく、この際ひとつ政府としまして、思いきつて開拓事業というものの實績をはつきりあげていくために、大きな手を打つてもらいたい。これが岩手縣下におけるあらゆる面を通じての一つの要望であります。この機會ににひとつ開拓局長の御意見を伺いたいと思います。
#17
○伊藤(佐)政府委員 ただいま野原委員のお話になりました従來主體がいろいろにわかれておりましたために、いろいろ總合的な面において缺ける點があるというお話、これは確かにそういつたような面があつたと思います。従いましてそういつたような實情に鑑みまして、今後は開拓に必要な基本的な施設につきましては、これは國がやつてまいる。それからいわゆるその内部的な開墾等の作業は、開拓者みずからにやつてもらう。こういつたような方向で進んでまいるつもりで、目下これに對する準備をしております。それから特に岩手山麓のごとき、非常に廣大な地域を總合的に開發するためには、國力の強力な發動を主張するという點も、これはお説の通りでありまして、この點につきましては、總合開發のためには、ひとり開拓局だけの力ではむろんまいりません。農林省方面といたしましても、山林あるいは畜産といつたような面の關係もございます。さらに進みましてはほかの省、發電等の關係もありますので、こういつたような點をにらみ合わせまして、總合的な開發をやつてまいりたい。かよりに考えておるわけであります。
#18
○野原委員 岩手山麓總合開發の問題につきまして、ただいま開拓局長のお話でたいへん結構だと思います。つきましては、この總合開發の問題に關しまして、ただいま具體的に何らかの御計畫があるかどうか。實は縣としましては、あらゆる機關がぜひこの實情を調査され、そうして一日も速やかにこの岩手山麓の開發の具體的な計畫を立ててもらいたい。そのために、いろいろと現地もそのことを要望しておるわけであります。何か政府側で具體的な御計畫があるかどうか。また同時に、そういう御計畫については、それを必ず實施していただくような具體的な計畫などありますれば、この機會に承りたいと思います。
#19
○伊藤(佐)政府委員 開拓局といたしましては、仙臺の農地事務局におきまして、すでに岩手山麓の總合計畫につきまして調査を完了いたしております。ところで開拓局だけでは、先ほどのお話にもございましたように不十分でございますので、農林省といたしまして畜産局、林野局と合同いたしまして、實は本日これらの相當な首脳部が現地に参りまして、さらに調査をいたし、その上で計畫を進めてまいりたい、かように考えております。
#20
○野原委員 わかりました。
#21
○大島(義)委員 ただいま議題になつております農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引繼いだ場合の措置に關する法律案、たいへん長い題目でありますが、本案は大體質疑を終了いたしたようでありますから、討論を省略いたしまして採擇せられんことを望みます。
#22
○野溝委員長 ただいま大島委員の進行動議がありました。本案は大體質疑も盡されたことと思いますので、討論を省略して採決されんことを望むという意思表示があつたのでありますが、この動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○野溝委員長 それではさように取計らいます。
 討論を省略いたしまして、これより採決いたします。原案に賛成の諸君は起立を願います。
    〔總員起立〕
#24
○野溝委員長 起立總員。よつて本案は原案通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
#25
○野溝委員長 重富委員及び委員外守田議員より、緊急質問を許してくれという委員長への申込みがありました。これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○野溝委員長 それではさようにいたします。重富委員。
#27
○重富委員 二十二年の産米の供出に伴う件につきまして、當局に緊急御質問申し上げたい點が二點あるのであります。その一點は、農林委員會で政府に要請しておきました例の割當がきまりましたときに、保有量を食いこまないようにしてほしいということを要請しておいたのであります。それといま一つは、買上代金は最も急速に即時拂をしてほしいという、この二つのことがあの要請書の中にあるのでありますが、この二點についてお尋ねいたしたいのであります。私どもの方からは、今度の割當は苛酷ではないかというふうな考え方もありましたので、保有量に食いこむことのないようにということを特にお願いしておいたのでありますが、現在各地でのうわさを聞きますと、農家の保有量に相當食いこんで割當をしておるという話を聞くのであります。特に山口縣におきましては、山口縣全體として約十パーセント何がしの保有量の切下げをやつて割當をしたという話を聞いたのであります。また山口縣の内部におきまして、下關あるいは宇部等におきましては、二割以上のものを保有量に食いこんで割當をした、かような事實があるという話を聞いたのであります。はたしてかようなことがある場合に、政府としてはいかなる方針をもつてこれに臨まれるのか。農家の保有量を切下げても今度の割當は強行される意思があるのかどうか、また切下げるというのならば、まず正面きつて切下げられるのか、それともほほかむりで切り下げられるのか、これらの點をはつきりさせていただきたいと思うのであります。
 それから次に御質問申し上げたいことは、買上代金は即時支拂をお願いしておいたのでありますが、なお米價につきましては一、二、三、各等級の價格が決定してないという話を聞いたのであります。従いまして米代金が一部の假拂であつて、なお代金の支拂が行われていないということであります。
 それから早場米の將勵金でありますが、この早場米の將勵金もその將勵金の出所が違いますために、なかなか手續が面倒で、將勵金はまだ拂えないというというような實情にあると聽いておりますが、これらに對する對策はいかようにしてあるか、すなわち米代金について申し上げますと、各等級別の價格もまだ發表がないということ、それから一重のものと二重のものの俵代の決定がしてないというふうなことから、代金の支拂ができないというふうな實情に地方はあるように聽いたのでありますが、これらの點に對していかようなる御處置をとつておられるか、これがお聽きいたしたいのであります。それからなお芋の代金にしても、地方の團體の立替金が非常に多く、たとえば山口縣の實情を申し上げますと、立替のときには二千萬圓の立替をいたしておまりす。最近約一千萬圓にまで縮まつたようでありますが、なかなか代金がこない、こういうふうな實情にあるようであります。農林委員會では即時拂を要求し、でき得れば、少くとも各町村のそうした團體には前拂金をもつてやつていただきたいということも要請してあつたのでありますが、實情はまつたくなおそういう状態になつていない。これらに對していかようなる御處置をとつておられるか。またとろうとされるか。これらのことをお尋ねいたしたいのです、以上二點をお伺いいたします。
#28
○山根政府委員 私からお答え申し上げます。最初の割當の問題でりあますが、御承知のように本年の米と甘藷の割當については經緯がありましたわけで、従いまして實は政府が割當てました數量を、府縣において地方へ下します場合に、計算の基礎として用います生産量なり、さらにそのもとになります面積、段収などについて、若干政府で最終的に決定いたした數字と違つておる縣があるわけであります。申すまでもなく、従來でありますならば、まず割當會議の席上において、生産見込を両者において協定いたしまして、所定の計算に基ずいて保有量を差引いたものを割當數量に確定いたすわけでありますが、本年の割當は、いわば最初に三千五十五萬石というものを決定いたしたような經緯がありました關係上、そこに政府として割當會議の席上で、最終的な生産見込量なり保有量なりを、府縣に示すことができなかつた實情があるのであります。こういう意味で若干食い違いがあるわけであります。のみならず、従來といえども一應中央で協定いたしました數字が、府縣における割當實情で、そのまま用い難い場合が往々にしてあるのであります。どうしても中央で協定いたしました面積なり、段収なりをそのまま用いることは、實際末端に割當を下す場合に、若干それを補正して下す方が下しやすいという事情もあつたわけであります。そういう意味で政府としての問題は割當數量でありまして、この間生産見込なり、面積なり、段収なりというものについては、若干考え方が違つておつたわけであります。まして本年は今言つたような事情で、その間に若干の食い違いがあることは、これはある程度やむを得ないのであります、かように考えたわけであります。實は生産量なり、保有量なりというものの最後的な數字は、そうは申しましても、政府としましてもその筋の了解を得ました最後的の數字がきまつておるわけであります。
 おそらくお話の山口縣の場合は、山口縣の割當が下りて後初めて山口縣に正式にお話したような、時間的にそういう關係になつておると思うのであります。政府が最終的にきめた數字に基きますと、山口縣の場合はもちろんそうでありますが、全國的に保有量を一應食いこまないという計算に相なつておるのであります。
 それから代金の即時拂のお話でありますが、これは私どもとしましても、かねがねそういう末端の要望に對しましては、實は意を配つておつたわけであります。最近特に司令部からもその點を指定されたような關係もありまして、特に司令部からは期限附で調査を求められておりましたので、末端の代金の支拂につきましては目下調査中であります。なお重富委員の價格の告示が遅れてために遅れておるという點は、臨時的にそういう事態が今日あるわけでありまして、その點は實ははなはだ申しわけないと思つておるわけでありますが、御承知のように米の消費者價格が十一月一日にようやくきまつたようなわけで、今等級間の格差、それから品質の良否による價格差等等について計算をいたし、ようやくでき上つておるようでありますので、近くこれは告示が出ることになると思うのであります。それが出れば假拂の問題は、それで解決すると思うのでありますが、最近非常に現なまが末端にないというような事情から、たとえそれが解決されましても、なお代金の即時支拂の問題がいろいろ障害にぶつかつておるような問題は、依然としてその面からはあり得るわけであります。この點は私どもは中央金庫とも先般來いろいろ相談をし合つておるわけであります。さらに最初申し上げましたように目下人を派して末端の實情を調査中でありますが、大體聽いて見ると農業會の人手が足りないということが、一つ大きな原因であるようであります。これは新らしく米の取扱いの手數量についても若干の増額を見たような關係もありますので、ある程度末端の農業會の人たちに充實させることによつて改善していきたい。かように考えております。
#29
○重富委員 ただいまのお話によりますと農家の保有料には食い込まない計算になつておる。國の方ではさようになつておるが、實際現地においては食い込んで、割當をしておるという實情が現れつつありますが、それに對しましてはその食い違いをいかように處理されるお考えであるか、この點をお伺いいたしたいのであります。
#30
○山根政府委員 最初申しましたように、實は割當のときから見込が両者の間に一致してなかつたので、府縣がそういう割當をしたことについて、私としましても強く追及できないような立場も若干ありますし、さらに割當の技術と申しますか、末端に割當を下しやすいようにする縣のある程度のやり方については、従來といえども認めてまいつておりましたような關係上、山口縣のそのお話は先般來承つてはおるのでありますけれども、今ただちに割當を變更させるような處置をとる考えはないのであります。生産見込はあくまで見込でありますので、しかも近く實収高が確定いたすわけでありますので、實収高の確定を見終つた場合に、確定いたしました實収高に基いて、保有ははたしてどうなるかということがはつきりいたすわけでありますから、そのときにこの問題は處理いたしたい。かのように考えております。
#31
○重富委員 そういたしますると、保有量ということにつきましては、去年と同様な量を保有させるということは、要するに政府としては決定していない。こういうことになるのでありますか。それとも保有は完全にやはりもたせるという考え方か、あるいは決定はしておるが、後に保有を切ることを要請することがあるという考え方か。それらの點につきましてお尋ねいたしたいと思うのであります。
#32
○山根政府委員 保有につきましては、目下のところ昨年と同様――これは御承知と思いますが、一部保有農家の保有は二割方引下げた。完全保有農家の保有につきましては、昨年と同様の保有を今年は續けていきたい。かように考えております。
#33
○重富委員 昨年と同様な保有を認めるということになりますならば、農家としてその保有を切らないで後を全部出すという場合には何ら問題は起らないのでありますか。それともやはり去年と同じように、保有米も全部出さなければならないようになるのか。この點をお伺いいたします。
#34
○山根政府委員 山口縣で申しますと、六十五萬五千石は是が非でも出していただきたい、保有は先ほど申し上げましたように、四合保有を建前として、割るつもりはないのであります。従いまして實収高が最初申し上げましたように確定いたしました場合には、これがどういう結果になりますか。その間數字に食い違いが生じましたような場合には、當然従來とつてまいりましたと同じような方法でもつて、その間の調整をなさなければならないのではないか。かように考えております。
#35
○重富委員 今のお話からいきますと、やはり保有量に食いこむことを前提にしておられるようでありますが、このように保有量に食いこむのならば、昨年も申し上げたことでありますが、農家にこれこれのものは出して欲しいと、はつきり言明されるべきではないかと思うのであります。それをほおかむりでいるということは、農家としても、せつかく自分たちの飯米まで出したにもかかわらず、表面的にはその飯米を出したようになつていない。そうして強權發動とか、ずいぶん無理な汚名を着せられてまで、しかも自分らは飯米を出しておる。こういう不合理な取扱いを受けておるのであります。去年はその取扱いを自分も受けさせられた一人であります。そういう状態でこのままでいきましたならば、ゆゆしき問題が起つてくることはあまりにも明瞭だと思います。政府がどうしても保有量を食いこまなければならないということになりますならば、それ相當のことをした上で農業者に要請すべきではないかと考えられるのでありますが、それにつきましてのお考えをはつきりと伺つておきたいと思うのであります。なお代金の支拂につきましても、なぜ今まで各等級の差というものが決定されていなかつたか。これらのことはもつと早く決定されておるべきであるにもかかわらず、それらのことが決定されていない。俵裝についても何ら決定されていない。一面では即時拂いをする。一刻も早も拂うというようなことで發表しておるが、その間のごたごたが非常にあるのであります。何ゆえにそういうことが今までになされていなかつたかというようなことについても、その原因をお尋ねいたしたいのであります。
#36
○山根政府委員 私の説明があるいは足りなかつた點もあるかと思うのでありますが、私どもの方としましては、山口縣の場合、完全に保有を差引きました生産數量として六十五萬五千石割當てるという見込みが立つておるのでありまして、前提として保有を食いこむような考え方はしていないのであります。ただ縣下全體として一〇%ばかり保有を食いこむ前提で割當をいたしておるという事實を私ども承知しております。割當變更を命じないゆえんは最初から申しましたように、特に収穫高の確定が近く行われますので、一應この際割當を變更させることによつて混亂に陷るよりか、このままに續けてまいりまして、そうして生産高が確定いたした場合に、これを最初申しましたような考えで處理していく方が適當ではないかと、かように考えておるわけであります。それから代金の即時拂。殊に等級價格差等がまだきまらないと言うことは、最初私が申しましたように、まことにその點は私どもとしましても恐縮しておりますが、國内的には一應等級間の格差その他はきまつておるわけであります。いろいろの手續上まだ告示になつておらないような關係でありますが、これは最近のうちに告示せられるはずでありますから、御了承願いたいと思います。
#37
○重富委員 くどいようでありますが、農家の保有量に對しては食いこむ意思がないということでありますならば、こういう保有量に食いこんでくるおそれがあるところに對しては、一應は保有量に食いこまないように割當をすべしというような御通牒をされてしかるべきであろうと思うのでありますが、この通牒を出さないというのは、混亂を來すおそれがあるから、こうい考えのようでありますが、しかし農家といたしましては、保有量を割つてまで出せということを言われておるが、國の方針に反しておることが行われておるということがはつきりしておるならば、とりあえず保有量は完全保有量にしろという通牒を出されてしかるべきであると思うのでありますが、その點に對して見解を承りたい。
#38
○山根政府委員 あくまで私の説明が足りないものと思うのでありますが、實は山口縣の場合、保有を相當切るような前提で割當をいたしておるといたしておるというお話を、縣知事から實は正式に報告を最近受けたのであります。しかもそれが一〇%、考え方によりますと相當な數量であるという事實も實はあります。その關係がありまして、縣知事に對しましては、一應當方への打合せの上での措置を私どもとしてとつて欲しかつたと、遺憾の意を表したのでありますが、最初申しましたように、この際これを改めて割當をやり直すということは、結局私どもの最後のねらいであります割當數量の確保という點から見て、まあいかがかとかように考えて、一應縣の割當をそのまま聞き流して進んできておる、こういう事情にあるのであります。
#39
○重富委員 一應割當は別にあたらなくとも、農家の方としては保有量を確保させてよろしいという意味の通牒を出すわけにはいかないのですか。
#40
○山根政府委員 實は最初ちよつと觸れたのでありますが、このたびの割當におきましては、まず三千五十五萬石が最初にきまつたわけでありまして、それのもとになります生産見込高は、これはざつくばらんに申しますと、先月の二十四日、五日でありますが、その間にいろいろ動きがありまして、全國の生産見込みの見方につきまして、政府當局の完全な了解が得られなかつたために、私どももしばしばその間に變更を來したようないきさつがあるのでありまして、ようやく先月の下旬に全國の生産見込數字が確定したようなわけであります。もとより全國だけではありません。府縣別の生産數字が確定いたしたのでありまするので、これは實はその間府縣は各個にしばしば係官を上京させまして、私どもの方と連絡いたしておりますので、事實上はすべて各府縣に細部數字の通知が行つておるわけでありますが、これは正式な公文書として農林省から、この生産見込數量について今日までまだ通達いたしていないのであります。従來の割當の場合も、通牒といたしましては割當數量を通牒いたしただけでありまして、参考として生産見込なり保有量なりを通達するという形式をとつておつたのであります。このたびの場合はすでに各府縣に事實上この数字が通知濟みであるという意味を持つて、實は正式な通牒を出すことを考えていなかつたのでありますが、今お話のような事情もあると思いますので、私どもの方で最後的な生産見込數字を各府縣に正式な公文をもつて通達いたしたいと思います。そういたしますと、おのずから割當數量の差額が保有量、こういうことになるわけでありまして、重富委員の、保有量を切らないという意思表示をしたらどうかというお言葉ではありますけれども、そういうことによつて達せられるのではないかと考えております。
#41
○野溝委員長 重富委員、まだですか。
#42
○重富委員 よろしゆうございます。
#43
○野溝委員長 守田議員。
#44
○守田道輔君 ただいま重富さんから御質問があつたのでありますが、私はそれをつつこんでお尋ねしたいと思います。と申しますのは、山口縣の食糧委員會は農家の保有量を十七%切り下げまして、全縣下の農民に割當てました。さらに宇部市、下關市におきましては、二五%を切り下げて割當をするというような計畫をもつておりました。問題となりますのは、政府の生産見込量が百二十八萬四千石であつて、山口縣の食糧委員會が決定しました生産見込量というものは約百二十二萬六千石見當となつております。その間約五萬八千石という食違いがあるのでありますが、政府は百二十八萬四千石の見込量があると言い、山口縣の食糧委員會がでは百二十二萬六千石しかない。こういうことを決定したのでありますが、その場合はたして政府の見込量が正しいか、山口縣の食糧委員會の見込量が正しいか正しくないかはわからないのでありますが、この内容をもう一つ觸れてみますると、耕作面積におきまして二千百二十二町歩という食違いがあるのであります。見込量の方では段當り政府の方では一石九斗九升、山口縣の方では一石九斗五升、こういう開きがある。これがはたしていずれか立證されておるか、内容は疑問でありますが、問題となりますことは、山口縣の食糧委員會がきめました百二十二萬六千石、約百二十二萬石餘でありますが、その見込量が完全なものかどうかということが私は疑問なのです。いずれが正しいかこれは私わからないのです。おそらく山口縣の食糧委員會、これも實際においてはわからない。歩刈りをやつたわけでもなければ、ただ手の先、見て歩いた檢見です。ところが問題は、かようにいたしまして農家の保有量を一一%切り下げた。さらに下部の市町村では二五%にも切り下げるというようなことになるのですが、問題の起る點はこの點であると思います。ある所に行きますと、一つの農家にやみ米が十俵も十五俵も残る。一方においては飯米をなくして保有量を切り下げて供出したという場合に、この食違いをどうするか。もしも一一%の保有量を切り下げた農家に、それ以上のものを保有しておいた場合に、山口縣では一體それを再供出させるかどうかということが問題となる。その再供出されたものを、それならばかく保有量を一一%切り下げたものに對していかなる方法をもつて還元するか、こういうことなんでありまして、これは私山口縣出身の農村議員としてはなはだ悲しいわけでありますが、いわゆる政治的なかけ引があまり多過ぎるのではないかと考えておるのであります。問題といたしますのは、大體私この内情を少しばかり知つておるのでありますが、結局これはこういう意味でやつたものだというふうに解釋しております。それは一部保有農家が供出をしないのであるから、それに對してその保有量を切り下げて出さすということが、いわゆる通年保有の農家、あるいは二町、三町、四町耕件しておるいわゆる富農と稱しておる者にとつて都合がいいというような、いわゆる農家の對立というものがここに原因しておる。ところが最近井上農林政務次官の新聞紙上に發表せられるところによりますと、政府は一部農家の保有米からさらに二割を切り下げる、こういうことになりますと、宇部市とか下關市においては、二五%切り下げた上にまた二〇%切り下げるということになれば、差引五五%の保有量しかない。こういうことを政府は認められるのかどうかということを特に聽きたいのであります。
 それからもう一つ私特に申し上げたいのは、山口縣は御承知のごとく今年は非常に旱害でございました。あるいは一町つくつておる者が通年保有をもたないというような現象も起つてくるのであります。その場合にやはり今申しましたような農家の保有をただ五五%だけをもたせる、われわれの考えから見ますならば、再生産に必要であるならば、國がきめました四合の保有量はどうしても置かさなければならぬと考えるのでありますが、そうした現象が起つてくるのであります。その場合特にお聽きしたいのは、農家といたしましては、國がきめました保有量は絶對に確保する。その残りだけを出すとした場合に、その農家に對して強權發動が行われるのか行われないのか。これをはつきりさせたい。それから縣の食糧委員會が一一%を切下げた場合に、それ以上を残しておつた農家があればそれはいわゆるやみ農家として、一々摘發されるのかどうか、こういう點お聽きしたいのであります。
#45
○山根政府委員 順序を前後いたすかもしれませんが、私から守田議員にお答えいたします。いろいろ今度の山口縣がとりました措置に、富農と貧農と申しますが、その間の利害関係を含ませた政治的な意圖があるというお氣持のように承つたのでありますが、本年の割當は、特に山口縣の場合には旱害等がありまして、相當きつかつたであろうとは察するのでありますが、きついなりにこれが公平に行われておりますならば、一應かりに縣が保有量を切下げる措置をとつたにいたしましても、その間に貧農と富農との利害にアンバランスが生ずる問題は起きないではないかというような感じをいたしておるわけであります。その他の問題については重富委員に私がお答えいたしましたように、生産見込が山口縣が百二十二萬六千石、私どもの方では百二十八萬四千石、その間に六萬石の食い違いがあるのでありますが、最初申しましたように、百二十八萬四千石を確定いたしましたのは、おそらく山口縣が割當を下しました後に、時間的には確定いたしましたような數字でありまして、おそらくその間縣としましては本省と連絡をとりまして、本省の生産見込の數字は常にキヤツチしておると思うのでありますが、時間的にそういうような食い違いがありましたので、百二十二萬六千石という本省の最後數字と相當の開きがある數字を用いたような事情であろうと思うのであります。しかし繰返して申しますように、私ども縣に對しては、山口縣分として六十四萬五千石の割當數字は、これは是が非でも變更を認めるわけにいかぬのでありますが、生産數量、そのもとになる面積なり段収なりについては著しい變更のない限り、その間の計算上の便宜と申しますか、割當を末端に下す技術上、府縣知事がその數字を若干變更することは、従來の割當についても認めてまいりましたし、特に本年分の割當については、最初申したような事情もさらにそれに加わつているような關係上、これはある程度やむを得なかつたのではないかと考えて、この問題に對する考え方をもつておるわけであります。
#46
○守田道輔君 私が特にお聽きしたいのは、山口縣の食糧委員會の決定が間違つているかいないかということもありますが、便宜上こう言うて、そうして勝手に保有量を切り下げていく。必要によつたならば三〇%でも保有量を切下げていくというようなことが起る。山口縣の食糧委員會がとつたこのことは、農林省としては生産の見込量の通知が遲れたからやむを得なかつたというようにお聞きしておるのであります。たとえば下關と宇部とがさらに二五%保有量を切下げた場合に、縣の食糧委員會はそれがいけないということを言つておるようでありますが、勝手にこういう保有量の切下げをやつてもいいということになるわけでございますか、この點一應お聽きしたい。
 もう一つ井上政務次官がおつしやつた一部農家の保有量をさらに二〇%切下げるというのは、山口縣に割當する六十五萬五千石の中で食糧委員會が勝手に追加供出させるとか、食い延ばしをさせるとか、その場合五十五%の保有量しか残らぬという現象が起きた場合は、おそらく農民は承知すまいと思う。片方にはやみ米をもつておる農民もできてくる。そういうものを自由に認めるという考え方を政府はもつておられるか。
#47
○山根政府委員 宇部、下關は二五%も切下げることをそのままにしておくかというお話ですが、自家實收高が確定して、保有高に食いこむことになるかどうかが確定いたすことになれば、はつきりするわけで、縣が勝手に保有高を極端に切下げて末端に割當てていくことは、私どもの方でも放任しておくわけにいかない。言いかえれば程度問題であろうと思います。實收高が確定した場合は、半分しか自分は保有高をもたせてもらえないというようなことになり、手持の食糧の食いこみとがあつて、この調整が不可能になるおそれも強くなると思うのであります。そういう意味で、私どもの方としても極端なやり方は承認いたしがたいのであります。
 それから一部保有農家の保有を切下げたのは、すでに決定した割當量が殖える結果にはならないので、保有農家の食い延ばし、保有期間を何日か延ばすことによつて、全體の需給のゆとりを若干みることになると御承知願いたいと思います。
#48
○守田道輔君 これは重富議員もおつしやつたことと私の申すことと同一になると思うのですが、山口縣の實収量の完全把握を農林省としてはやつていただかぬと、ある農家は五〇%の保有量しかない、ある農家はやみ米が相當あるという結論に到達すると思うので、今日の場合實収高の把握は困難と思うが、そういう處置をとつてもらえますか。もしも實収高において差異が生じた場合はこれを調整するということを、はつきりと農林省の方でそういう通達をしていていただかないと、今後においてどういうことをやられるかわからないと思います。
#49
○山根政府委員 實收高の把握は、今日あるいはすでにたんぼには稲がないというようなことから、不可能じやないかというような御意見と思いますが、これはそつなく私どもの方で、統計調査局の方の事務所を通じて着々調査集計中でありますので、この數字は相當確實なものが近く確定いたすことになつております。それによつて最初申しましたように、確定いたしました實收高による割當數量との差額、すなわち保有がどう響いてくるかという問題は、これは當然政府といたしましては、従來といえどもそうではありますが、その措置は實收高確定後におきましては當然とらなければならぬと考えております。
#50
○守田道輔君 即時この措置に對して通達してもらいたいのです。
#51
○山根政府委員 私の方で今用いております生産高を正式に府縣にも通知いたします。
#52
○八木委員 井上次官の談をめぐつて私も供出問題について關連の質問をいたしたいのでありますが、議事の進行上、本問題は先に本委員會において供出小委員會が設置されておりますし、その委員會においては一應案を決定し、すでに本會議においても本委員會の決議として政府に要求してある事項であるのでありまして、すなわち具體的にわれわれの決定した供出對策基本要綱を作文に終らしたくない。具體的に實施することのできる問題と、できない問題とがおのずから政府當局の實施官廳として見解があるのであろうから、それを基礎といたしましてさらに檢討を重ねていきたい、こういうことになつておる關係もございますから、ただいまの質疑應答のような具體的の内容にわたりまして、さらに問題をこの小委員會に付託して審議を進められることを希望いたしまして、本日午前中はこの程度で休憩の動議を提出いたします。
#53
○野溝委員長 ただいま八木委員から重富、守田議員の質疑の問題は供出小委員會としてこれを取上げて審議をしてもらいたい、かような意見であります。本委員會には供出對策に關しまする小委員會ができておりますので、以上の質疑に對しましても、十分それを檢討して政府當局と折衝するの必要ありと認めます。よつて八木委員の動議に對してさように委員長は取上げていきたいと思いますが、いかがでございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○野溝委員長 さようにいたします。
 午前はこの程度で止めまして、午後一時から開會いたします。
    午後零時十四分休憩
#55
○笹山政府委員 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案及び農地調整法の一部を改正する法律案の兩案について、提案の理由を説明申し上げます。
 農地改革の進行状況は、各位の御承知のごとくほぼ順調であります。政府はすでに三月三十一日、七月二日及び十月二日の三囘にわたり、六十九萬七千町歩以上の農地の買収を完了いたしました。このほか財産税として物納された農地で、八月末日現在市町村農地委員會で判明いたしております分だけでも二十二萬九千町歩にのぼります。兩者を合計いたしますと少くとも九十二萬六千町歩の農地が小作農に開放される状態にあるわけでありまして、これは開放豫定面積のほぼ半ばに達するものであります。他方農地の賣渡しにつきましては、まだ八萬六千町歩程度にすぎないのでありますが、これは市町村農地委員會におきまして、まずもつて買收に全力を盡しているからでありまして、今後は賣渡しの方も併行して、處理していけるものと期待しているわけであります。かくのごとき大事業がかくも短期間に、しかも平穏裡に行われているということは、世界における農地改革史上空前のことでありまして、本事業が完成いたしました暁には、耕作農民はただに經濟的に獨立し得るばかりでなく、精神的にも従來の地主的秩序から解放されて、日本農業發展の礎がここに定まるものと信じて疑いません。
 農地改革の進行状況はおおむね以上の通りでありますが、さて農地改革の目的とするところをさらに押し進めて考えますると、農業經營上重要な意味をもつております放牧採草地に對しても、農地と同様の改革を行うことが必要でありまするとともに、また山林中農業經營と密接不可分の關係にある農用林についても、農業經營を安定せしめるため必要な範圍において適切な措置を講ずることが必要であります。これと同時に關係法令、すなわち自作農創設特別措置法及び農地調整法の規定中、ただいままでの實施の經驗に鑑みて、若干改善を要する點も發見いたしましたので、ここに兩法律の改正法案を提出いたしますわけであります。
 次に兩法律の改正案について大體の御説明を申し上げます。まず自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案から申し上げます。
 第一に農地改革の一環として、自作農の創設及び土地の集約利用を促進する目的をもつて、新たに牧野の開放を行うことといたしました。戦後のわが國として、國土の高度有効利用をはかることの急務であるのは、言をまたないところでありますが、飜つて現在のわが國牧野の利用状態を見まするとき、きわめて粗放的であつて、もつと集約利用の餘地が多いのであります。從いましてこの牧野に可能な限りにおいて自作農を創設して、人口收容力の餘地をつくるとともに、かくして分割された土地の利用度を高めんとするわけであります。かような趣旨にり、通常の牧野經營には一定の制限は設け、その制限を越えるものは、これを開放することにいたしたわけであります。すなわち牧野と農地と合わせて北海道では平均二十町歩、都府縣では平均五町歩を越える場合には、その超える部分の牧野を買收いたします。この農地と合わせて北海道平均平均二十町歩、都府縣平均五町歩という面積を各地域について具體的に割當ますについては、各地域の具體的な實情を考慮して、安定した有畜農業が成り立つていくように定めるわけではありますが、その最高限は四十町歩であります。しかしながら村落または協同組合等の所有にかかる共同牧野及び公共用、公用に供していう牧野で農林大臣の指定するもの、それから畜産の改良増殖上特に必要な種畜の供給牧場として主務大臣の指定したもの等は、これは買收いたしません。買收した牧野は先ほど申し述べましたように、これと分割して畜産を主とする自作農の創設に供するのでありますが、土地の形状なり、あるいは地味等によつては、分割による集約經營を必ずしも期することができないものがあります。そのような場合には、適當な形態において農家の共同利用に供する方針であります。
 買収の對價は現在行つております未墾地買收の對價と同様、近傍類似の農地對價の四割五分以内であります。この牧野の買收は昭和二十三年中に完了いたすことになつております。なお牧野の買收にあたつて、原則として昭和二十年十一月二十三日現在の事實に基いて買收計畫をたてることは、これは農地とまつたく同様であります。
 これにより買収を豫定されている面積は、ある種の假定に立つての推算でありますが、おおむね北海道十萬町歩、都府縣十萬町歩、計二十萬町歩とわれわれの方では推定いたしております。
 第二に重要でありますのは、未墾地買收關係の規定の改正であります。現在は開拓用地のみを對象とする規定でありますが、これを大規模土地改良事業の施行上必要な用排水路の敷地等について、買收または使用をなし得るよう擴張いたしまして、大規模な國營土地改良事業の實地の圓滑を期することにいたしたのであります。
 次に買收または使用豫定地域を指定して、當該指定區域内においては一定の障害となるべき行為を制限する制度を新たに設けたのであります。すなわち未墾地の買收におきましては、その買収を愼重に行うことが必要でありまして、買收に先行いたします適地調査には、實は相當の日時を要するのでありますが、従來その調査期間中に、土地轉賣、立木の伐採というようなことがとかく行われ、いろいろと支障を來している實情でありますので、これを豫防したい趣旨にほかならぬのであります。
 第三に本改正の機會に、農地のさかのぼつての買收についての原則を明確にいたしました。すなわち昭和二十年十一月二十三日以後において土地の賣買、小作地の取上などがありました場合に、原則として昭和二十年十一月二十三日現在の事實にさかのぼつて、農地の買収計畫を立てることは従來とも法律に規定いたしておりますが、何ぶん規定が簡單に過ぎまして、市町村農地委員會におきまして事實處理上困難を來しておる實情でありますので、これに關する規定を詳細かつ明確にいたしたのであります。
 以上が自作農創設特別措置法の改正のおもなる點でありますが、次に農地調整法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は農業上當然必要な自家用の燃料及び肥料等を採取するところの薪炭林、採草地あるいは放牧地等の問題について、解決をはかつたことであります。その一は、これらに關しまして耕作者の有している使用權の保護をはかつたことでありまして、貸主が使用權に關する契約を解除、解約するとか、または更新を拒絶する場合には、農地と同様に市町村農地委員會の承認を必要とすることにいたしたのであります。その二は、農家が薪炭林、採草地等の利用を必要とする場合におきまして、森林經營にも差支えない範圍内において、當然その使用を認めることが妥當な場合、あるいは現在ある特定人の有する過大な使用權を活用するためには、これらを他の者にも適當に配分調整する必要がある場合等におきまして、もし當事者間に圓滿な協議が整わないときは、市町村農地委員會の手によつて新たに使用權を設定したり、既存の使用權の配分調整を行うことにいたしたのであります。特にこのうちで新しく使用權を設定いたします場合については、いろいろ關係方面もたくさんあることであり、特に愼重を期することにいたしておりまして、市町村農地委員會は森林組合とかその他畜産、開拓などの専門家の意見を聽くことにいたしております。なお自作農創設特別措置法で牧野の開放をいたすことに相なりましたので、採草地及び放牧地について移動統制を行うことにいたしました。
 第二の問題は小作地取上に關する制限の徹底であります。農地改革の重要な眼目が耕作權の確立でありますことは御承知の通りであります。農地調整法においては、土地の返還は市町村農地委員會の承認を要することになつておるのであります。ところがこの農地調整法第九條第三項の解釋をめぐりまして、合意の解約に承認なり許可が必要であるか否かについて、從來解釋上疑義があつたのでございます。また實際問題としては、一方的な取上が、あたかも外見上双方の同意があつたものとして、委員會の審査を得ることなく、しばしば行われている實情であります。そこで改正案においては、明文をもつて合意解約を含める趣旨を明らかにいたしまして、一切の土地の返還は市町村農地委員會なり、知事なりにおいて審査することにいたしたのであります。
 第三の問題は、小作料代物辨濟の廢止であります。現行法におきましては、ある特定の場合、すなわち小作料の支拂期が過ぎまして小作人の希望による場合は、金納によらないで代物辨濟ができる規定がございますが、今囘これを削除いたしまして、脱法の餘地をなからしめたいと思うのであります。
 第四は不當な土地取上の耕作權の囘復の問題であります。昭和二十年十一月二十三日以後不法不當な小作地の取上がありました場合は、一般に市町村農地委員會は當時にさかのぼつて買收計畫を立て、その小作人に舊小作地を取得させることができますが、その取上げを行つた者が平均一町歩以上の小地主でありますならば、その取上げがいかに不法不當でありましても、舊小作地、舊小作人に取得させることはできず、法律上小作人の保護に缺くるところがあるところがあると申さなければなりません。それで昭和二十年十一月二十三日からこの改正法律を施行いたす日までに、不法不當な土地の取上が行われました場合は、市町村農地委員會が審査の上、賃借權の囘復を決定できることにいたしたのであります。すなわち舊小作人が市町村農地委員會に承認を受けて舊地主に對して賃借權設定の協議を求めまして、成功いたしません場合は、市町村農地委員會が裁定をいたすわけであります。もちろん地主の生活がきわめて困難である場合など、何人もその取上げを事情やむを得ないものと認めるような場合には、賃借權の囘復はいたさない旨法律に明らかに規定いたしております。また賃借權の囘復に不服な地主は、都道府縣農地委員會に訴願する途も開かれておるのであります。
 以上が二つの改正法律案の主なる内容でございます。何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんととをお願いいたします。
    〔委員長退席、大島委員長代理著席〕
#56
○大島委員長代理 それでは政府の大體の説明を終つたわけでありますから、本件に關しましては、次囘の委員會において質疑を續行することにいたします。
 きようはこれで散會いたします。
  午後三時十六分散會
  ――――――――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト