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1947/11/17 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第47号
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1947/11/17 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第47号

#1
第001回国会 農林委員会 第47号
昭和二十二年十一月十七日(月曜日)
    午後一時五十二分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 大島 義晴君 理事 萩原 壽雄君
   理事 北  二郎君
      佐竹 新市君    永井勝次郎君
      野上 健次君    平工 喜市君
      細野三千雄君    松澤  一君
      水野 實郎君   小野瀬忠兵衞君
      小林 運美君    佐々木秀世君
      関根 久藏君    圖司 安正君
      寺本  齊君    中島 茂喜君
      小川原政信君    佐瀬 昌三君
      田口助太郎君    益谷 秀次君
      松野 頼三君    山村新治郎君
     的場金右衞門君    中村元治郎君
      山口 武秀君
      
 出席政府委員
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
        食糧管理局長官 片柳 眞吉君
 委員外の出席者
        農 林 技 官 安田 誠三君
        專門調査員   岩隅  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農業災害補償法案(内閣提出)(第七五號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 農業災害補償法案は去る十五日質疑を終了致しましたのですが、この際緊急質疑があるとの委員からのお申し出がありました。これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○野溝委員長 御異議なきものと認めます、それでは北二郎君。
#4
○北委員 農林當局は農業生産調整法がまだ通過せぬにかかわらず、この法案に基く生産の調整をなされておるようでありますが、これはどういうわけでこうされておるのか、この點をお聽きしたいと思います。
#5
○山添政府委員 農業生産調整法案に關連いたしまして、これはどうしても來年作付竝びに供出から適用したいという強い希望を政府はもつておるわけであります。しかしながら法律が成立しません限りは、正規の割當等をいたすわけにはまいりません。そこで行政的な措置といたしまして、あれは法律に基くものではなく、行政的な措置、こういう意味合でやつておるのであります。
#6
○北委員 實はこの農業生産調整法でありますが、日本の百姓はほんとうに手でつくる百姓でありまして、今日のような農産物の價格で、非常に農村にむごいことをしておるのであります。もちろん農作物というものは作付をしまして、その作付したのちに農民は草取りをし、いろいろ作物の手當をして育てるのでありますが、今日のような農産物の價格では百姓はもう生産意欲は全然なく、働く気持がなくなつてきております。そこで一年に三囘ないし四囘草取りするものを、一囘しか草取りをしなかつたら、生産は半減するものである。こういうことを農林當局は御存じであるかどうか、また百姓が働かないときに、この生産調整法に基いて百姓一人々々に監視をつけるのかどうか、この點をお伺いしたいのであります。
#7
○山添政府委員 生産調整法の骨子となります思想の根底は、食糧問題の解決を増産の面から基本的に解決をしていきたい、こういう意圖をもつていることは言うまでもありません。増産をいたしますために、またこの生産調整法の目ざすところを圓滑に行いますためには、北委員の御指摘になりましたような價格の問題、竝びに肥料そのほかの必需物資の問題、これが確保できませんければ、結局そこに所期した目的を達せられないことは當然でございます。從つてわれわれの考え方といたしましては、こういうような方式による生産の増加竝びに圓滑なる供出を期待いたしますことには、必然的に政府における價格の問題、竝びに必需物資の供給についての對策を強化し、努力することは當然伴つている。こういう前提で考えておるのであります。
#8
○野溝委員長 北委員に申し上げます。生産調整法の御質疑なら、いずれ議題に上つたときにお願いいたしたいと思います。
#9
○北委員 それでは、このくらいで私の質疑を終わります。
#10
○野溝委員長 小林委員。
#11
○小林委員 農業災害補償法案の第八十四條第一項第二號の共濟目的が蠶繭となつておりまして、その共濟事故の中に「蠶兒の病害及び風水害、干害凍害又はひよう害に因る桑棄の減収」というふうに書いてありますが、この共濟の目的が蠶繭となつておりまして、繭と蠶兒、こういうふうにわれわれは考えるのであります。この共濟事故の項をよく讀んでみますと、蠶兒の病害と、それから風水害その他による桑葉の減收と、この二つだけに限られているようでありますが、實際問題といたしまして、今囘の風水害におきまして蠶兒が流されてしつた。こういうようなものはこの共濟事故の中に、この文章でははいらないように考えられます。われわれこの法案の趣旨から考えまして、蠶兒が水害によつて流されたというようなものは、明らかにこの災害補償の中にはいるべきものでないかと考えられるのでありますが、これはどういうふうに御解釋になりますか、はつきりしていただきたいと思うのであります。
 それからもう一つは、第八十四條の第一項第一號の水稻の方の共濟事故の中に「氣象上の原因(地震及び噴火を含む。)」とありますが、蠶繭の場合もこういうことがあり得るのであります。たとえば現在活火山である淺間山のごときが噴火した場合に、桑園が被害をこうむります。これによります災害は、やはり繭の方にも適用されるかどうか、この邊もはつきりしていただきたいと思うのであります。以上二點を御質問申し上げます。
#12
○山添政府委員 八十四條第二號の解釋は、小林委員のお述べになりました通りでありまして、蠶兒の病害竝びに桑の減收による繭の減收、この二つが共濟事故であります。火災によつて飼育中の蠶が燒けてしまつたとか、あるいは水に流されてしまつたとかいうような事故に原因いたします場合には、共濟をいたさないのであります。
 それから桑の葉の減收の共濟原因はここに列擧してある通りでありまして、水稻の場合よりはやや狹くなつております。しかしながらこれは將來水稻の場合と同様に、事故の範圍を擴張したいと思つております。
 なおまたこれは一般を通じてでありますが、農産物の場合、あるいは蠶繭の場合でも、今の水に家そのものが流されてしまうというようなことによつて生ずる損失をいかに取扱うかということにつきましては、これはいわゆる第二類共濟としてやつていくか、あるいは資料がはつきりいたしますれば、さようなものを加えましても、實は大した掛金等には影響がないということになりますれば、共濟事故の中に加えますか、これは引續きひとつ研究をいたしたいと思います。
#13
○小林委員 ただいまの答えによりますと、第二號の方の蠶兒が飼育中に流されてしまつた。病害以外は對象にならないということになりますと、これはなかなか問題でありまして、この蠶兒の災害をただ病害のみに限るということは、この法案全部その他の共濟事故をいろいろ見ましても、養蠶のこうむりまする影響と比較いたしますと、こういうものは當然入れていいのではないかと考えられるのでありますが、ただいまの農政局長のお話によりますと、もう一つの地震の場合等も、水稻の方には地震、噴火がはいつておるけれども、蠶兒の方には及ぼさぬ。どういい理由がそこにあるかはつきり納得しかねるのでありますが、その理由をはつきりしていただきたいと思います。
 それから今の、二號の方の蠶兒が實際飼育中に水害によつて流されてしまう。實際問題として今年も関東地方におきましてはあつた問題でありますが、こういつたことはこの中に含めていいのではないかと考えられるのですが、それがいけないという理由をはつきり承りたいのです。
#14
○山添政府委員 桑の葉の減收ということの原因について、稻の場合と桑と違つておりますのは、桑の葉の今までの保險を遺作保險に切りかえたというところに理由があるのでありまして、從つて桑葉の減收ということは付随的に考える。こういう観念から、この法案におきましては、原因に多少範圍の差ができておるのであります。しかしそれは必ずしもそうでなければならぬという性質のものではございません。考えてみれば、噴火等によつて桑の葉に影響するということもあるわけではありまして、これは最も近い將來に改姓をいたしたいと考えておる次第であります。
 もう一つの蠶兒の損害について、病害に限らず水にしましても、火にしましても、いわゆる不可抗力によるものに擴張したらどうかという御意見につきましても、これは考え方によれば、火災については火災の共濟というような第二類の共濟の中に入れてもよろしいようにも思うのであります。しかし同時にまた、こういう中に織りこみましても實際問題として掛金等の點において大したこともないということであれば、そういう取扱いをしてもよいかと思うのであります。元來から申しますれば、保險という以上は、共濟事故というものを相當明確にしなければ、保險の理論及び計數の算出というような點から困難のでありますが、何しろこれは共濟保險でありまするので、その邊のところは實情に即するがごとく研究いたしたいと思います。
#15
○野溝委員長 佐竹委員。
#16
○佐竹(新)委員 私は食糧管理局長官にお尋ねしたいと思いますが、御承知のごとく、本年度の供出は割當てられまして、米價もすでに決定されましたけれども、農民か一番希望していますものは、米價の問題と裏付け物資の問題であります。いわゆる再生産のための物資がどの程度に農民の手にはいるかという點に對しては、農民は非常に心配し、またこれを要求しておるのでありますが、農林省の方におきまして、この農民に對する數字といつたようなものが、完全につかめておるのか、また物がつかめておるのか。たとえば商工關係あるいは經濟安定本部關係と、いろいろ各省にわたつておこることでありまして、農林省におきましてもこれの一元化ということを非常に希望しておられますが、實際に敏速に農民に――米價は決定しましたが、裏づけ物資がどの程度にはいるのかという数字が、大體においてつかめておるかどうかということを一應伺いたい。それのまた集める方法というようなものについても伺いたい。
#17
○片柳政府委員 米價決定の經緯からいたしましても、御指摘のように農家に参ります物資を的確敏速に渡しますことの必要でありますことは、申すまでもないことであります。特にこのパリティ計算で掲上されてありまする七十一品目の實施につきましては、これがマル公價格で的確に行くことがなければパリティ計算の數字も破綻を來すわけでありますから、これからわれわれがやるべき仕事は、この農家に行くべき物資を一日も早くお届けしたいということで、今いろいろ苦心をいたしておるのであります。今日までに決定いたしました物資は、すでに新聞でも發表いたしておりますが、ここで總括して申し上げてみますと、繊維製品は作業衣が二百萬著であります。それから紺織と主といたしました織物類が、第一類と第二類とを合計いたしますと七百八十七萬五千反、これは相當の數量であります。それから手袋が二百七十五萬足、以上が繊維製品で、商工省と約束をいたしました數字であります。その他の日用品でありますが、地下たびが今度追加されました四十萬足、ゴムぐつが――これは長ぐつ、半長もありますが、全體で十九萬五千足であります。それからゴム草履が同じく十九萬五千足、それから最近進駐軍から放出を受けました軍靴四萬七千足を今度追加してきたわけであります。それから自轉車、リヤカーのタイヤ、チユーヴ、これが全部で三十萬本であります。それから自轉車、リヤカーが合計で六千臺、バケツが三萬個、なべ、かまの類が三十八萬個、それから香油、クリームの類、これが三十五萬個、それからラジオ三萬八千臺、以上が日用品に類する品目の數量であります。
 それから鹽は今後の石炭の割當状況なり。特に鹽の輸入状況で若干の變更があるいは起るかとも考えますが、今日まで大藏省と折衝して決定した數量は二萬七千二百九十二トンであります。これは今申し上げたように、今後の石炭の割當状況なり、特に輸入鹽の輸入状況で若干の變動は免れないものと考えておりますが、できるだけ確保してまいりたい。
 それから今年新しく出しましたものが甘味料でありまして、ズルチンまたはサツカリンを四トン出すことに決定いたしております。
 それから毎年出す酒が十六萬石、タバコか三億五千萬本肥料は大體正確な數字をちよつと今記憶しておりませんが、大體リンク肥料が一萬七千トンと記憶しております。基本割當と合しますと相當の量でありますが、九割を超えたものについては一俵二貫の割合で出すものが約一萬七千トンくらいであります。
 それから單作地帯の燃料事情に應じて、新しく薪炭を七十八萬五千俵、作業用麥わら帽子を二十九萬人分、以上が今日まで相當苦しい中から、安本、商工省、大藏省等々と連絡をして決定した數量であります。ただこれらの報奬物資の中には、すでに現在製品化されているものも相當ありますが、今後生産されるものの一部もはいつておりますので、この點については、できるだけ製品化を急いでまいりたいということでやつております。過去の實績から判定しますと、比較的順調にいつているのは肥料と大藏省の專賣物資であるタバコ、あるいは酒の類でありますがしかし繊維製品なり、あるいは日用品の類が、過去の實績から見てどうも渡り方が一番が遲いきらいがありますので、本年の報奬物資については繊維製品、日用品等の現物化については特に手を盡してまいりたいと思つております。これは中央においては安定本部と大藏省、商工省等と連絡をして、報奬物資の促進の委員會のようなものを設けて、そこでこの仕事を推進してまいりたいと思つておりますし、地方においては過般の米價決定の際に大體承認を得ました二千萬圓の金を府縣に交付して、縣の食糧委員會と町村の食糧委員會これらの報奬物資の監視、あるいは督勵に當る機能を不興してまいりたいということで、各縣に約二千萬圓の補助金を出して、中央、地方呼應してこの報奬物資の促進をいたしてまいりたいという考えで今取進めておるのであります。ともかく供米の状況が今日まではお蔭様で大體順調でありますが、これは概して早場米の奬勵金の成果が今日相當に殘つているのではないかと考えられるのでありますが、今後この調子をずつと持續して出していただきますためには、この報奬物資を一日も早く各農村に届けますことがわれわれのなすべき最大の仕事であると感じております。その點につきましては以上申し上げましたような線に沿いまして、できるだけの努力を拂つていきたいと考えております。
#18
○佐竹(新)委員 農林省が農民の再生産のための裏づけ物資に對して、一方ならぬ御苦勞を拂つておられることに對しては敬意を表するものであります。ただその方法でありますが、先ほども管理局長が説明されたように、委員會の機構をもつて各縣にある物資を握りたい。特にその中で繊維製品、日用品が非常に集りにくいというお話でありますが、その機會にお尋ねしたいと思いますのは、最近農林省の食糧管理局の方で、特定の買付人を定められて、その買付人が地方にまいつていわゆる隱退藏されている綿類、繊維類をあたつて歩いておるということを、私は隱退藏物資の方の委員をしておる關係上聞いておるのでありますが、食糧管理局の方で事實そういうことをやらせておられるかどうか。こういう點は農林省ばかりでなく、私の聞いておるところによると、たとえば石炭を掘り出すために炭鑛勞働者の繊維關係品が不足しておるというので、石炭廳あたりでもやつておると聞いておるのであります。そこで隱退藏しておる者が最も合法的に出す途であるということで、その買付人に對してその物資を連絡して出しつつあるのであります。政府の方では今せつかく流通秩序の制度を確立して、正規なルートで品物を出そうとしてるのですが、もちろん一部分は正規なルートに出るかもしれませんが、また反面こういうものを隱退しております者が、巧妙なる合法的なやり方に隱れまして、さらにこれを隱退してやみに流すということが起きておるのであります。農林省の食糧管理局關係の方は、私もまだ材料をつかんでおりませんが、地方にまいつてそういうことを言つて歩いているブローカーがおるということでありますが、はたして管理局の方でそういう特定の買付人を出されて、地方で買付けやらしておられるかどうか、一應お聽きしてみたいと思うのであります。またそれに似寄つたことで何かやつておいでになるか。いわゆる隱退藏物資を摘發して、あるいは退藏されているものを經濟安定本部のやる流通秩序の線によつて、正規のルートであくまでもとつておられるものであるか。各省がまたがつていて關連がとりにくいというようなことで、農林省の方として各省に連絡されたかどうかわかりませんが、そういう買付人でやれば品物が出るというようなことでやつておいでになるかどうか、お尋ねしてみたいと思うのであります。
#19
○片柳政府委員 ただいま御質問のように、安本等の正規のリストに載つておりませんものを、私の方で特定の人に委託をいたしまして、買付をさしておる例は全然ございません。もちろんかような情勢でありまするから、二、三の人からどこに農村向けの非常にいい物資があるという話のあつたことは聞いておりますが、私の方から安本なりあるいは所管省と連絡いたしませんで、特定の人に集荷等の委託をしたことは全然ございません。私の方で今やつておりまするのは、これは隱匿物資ではないと思いまするが、魚肥の關係だけは、北海道等で一部の米を出しまして、魚肥の買付はやつておりますが、それ以前には全然ございません。
#20
○大島(義)委員 小林君の質問と關連しておる點で一應お尋ね申し上げたいと思います。實は十五日の私の質問に對して、すなわち農業災害補償法第八十四條の第二號の、養蠶に對して噴火の被害を認めないのはどういうわけかという質問に對して、當時農政局長は、これは御説ごもつとものことであつて、この次の議會にこの文字を二號に入れて、御希望に副うようにいたしたいという答辯をしたと私は承つておるのであります。ところが今小林君の質問に對しては、何かその點ははつきりしないような點があるのでありまして、御承知の通り淺間を中心とする各縣、あるいは阿蘇を中心とする各縣におきましては、この降灰の被害が相當大きいのでありまして、もう一度この點をはつきり農政局長から御答辯願いたいと思う。
#21
○山添政府委員 同じことを申しておるのでありまして、ただいま小林さんの質問に對しては、最も近い機會に御趣旨のように改正したい、こういうことを申したのであります。この前は次の議會にと言つたかもしれません。いずれにいたしましても、この法案につきましては、次の通常議會に改正をすべき點があるやにも考えておりまするので、その際には御趣旨のように擴張したいと思つております。
#22
○北委員 先ほど私が質問しましたように、農林省が勝手氣ままに生産の調整をやられておるようでありますが、これはまつたく官僚的で、民主主義大逆行だと考えますが、なぜこんなことをやらせるのか承りたいと思うのであります。
#23
○井上政府委員 北さんも御存じの通り、わが國の食糧事情から申し上げますと、どうしても年間所要量において千二、三百萬石不足をいたします。この千二、三百萬石の不足を輸入を仰ぐためには、國内の需給を十分計畫的に遂行して、なるほど日本においても供出及びその管理は實に合理的に行われているということが、連合國側に十分認識されて、初めてその日本の不足する食糧の輸入が確保されるのでありまして、この點から日本政府といたしましては、できるだけ主要食糧の生産におきまして、その作付において、あるいはまたその成育において、あるいはその供出において、十分に手を打つて、なるほどかくまでやつて努力をしているのだという、眞の姿を世界に示す必要があるのでありまして、これはまた國内の國民の食糧を確保する見地からも、ぜひ農民の協力を求めなければならぬと考えます。そういう見地においてやつておるのでありまして、そのやり方がちよつとみますと天降り的な一方的な割當のようにみえるのでありますが、しかしこれは一應麥の作付なら作付に對しては、どれくらい必要とするという基本的數字を出しまして、これを現實の作付面積におろした場合、はたしてそれが妥當であるかどうかということは、村の調整委員會において十分審議をされて、そこで農民がこれなら引受けても十分いけるという自信のもとに、初めて作付計畫が遂行されるのでありまして、これはあくまで農民と納得の上においてきめられなければならぬと考えております。農民が不當であるというもの、また第三者が見て、これははなはだひどい、こういうやり方はいかぬというときには、その計畫は遂行できないのでありまして、あくまで世間がこれを認め、かつ第三者もこれを認め、農民も納得するときに、初めてその計畫は計畫通り遂行されると私は考えております。從つてそのやり方は、あくまで農民を納得せしめて、農民とともに日本の食糧を背負つて立つという態勢を立てなければならぬと考えております。
#24
○北委員 だがしかし農林當局において勝手にやるということは、はなはだ民主的だと思いますが、この點どう感じますか。
#25
○井上政府委員 勝手にやると申しますけれども、大體米なら米、あるいは麥なら麥の例年の收穫高というものはきまつておりますし、なおまたこれだけ割當てても、およそ間違いはなかろうという、大體必要とする所要量というものを示しまして、これによつて一體農民が協力できるかできぬかという結論が出てくるのでありまして、あなたのおつしやいますように、民主的に下から盛り上げてきて總體の數字をつかむというやり方も一應は考えられるのでありますけれども、しかしながら今日のわが國の農村の現状なり、また各縣のいろいろな實情なりを總合いたしましたときに、これを農民の自發的な行為、あるいは縣當局の自發的な行為に任した場合、はたして政府の必要とする所要量が確保できるかできぬかという問題は非常に民主主義が發展し、かつ農村の經濟が相當豊かになつて、主要食糧をいわれなくてもどんどん生産できる環境にある場合においてのみ、それは言われるのではないかと思います。從いまして一應大體國が必要とする所要量の妥當性を出して、そうしてこれを農民と協議の上できめていく、こういうやり方をとらざるを得ない實情にあるということを、御了承願いたいのであります。
#26
○野溝委員長 北委員に申し上げます。割當の問題についての御質疑は、緊急質問等であとで許しますから、いずれこの法案を審議したあとで、その質疑を許すことにいたしたいと思います。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○野溝委員長 質疑は終了いたしました。
 これより農業災害補償法案を議題として討論に移ります。
#28
○大島(義)委員 本案はきわめて急速に實施する必要がありますし、なおまたその質疑において各委員も納得しておりますので、討論を省略いたしまして、手もとに用意してありまする附帶決議を付して本件は可決いたしたいと思うのであります。お諮り願います。
#29
○野溝委員長 ただいま大島委員の動議によりまして、討論を省略されて、附帶決議を付して本案を承認したいという御意見でありますが、――いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○野溝委員長 討論は省略されました。
#31
○大島(義)委員 それではこの附帶決議を、これから手もとに用意してありますので朗讀いたします。
   附帶決議
 我國は世界有數の天災國である。年々繰返される天災によつて農業の被る損害も亦莫大である。近くは東北、北海道、關東地方の水害竝關西地方を襲つた旱害等により被災地の住民は塗炭の苦しみを嘗めつつある。此の秋に當り、政府は、農民年來の要望に應え、農業保險に關する舊制度を根本的に改革し、以つて新時代に即應し、農家經營の安定を圖り、ひいては農業生産力の増強に貢献しようとして、農業災害補償法案を國會に上提せることは、ここに機宜に適せるものとして實意を吝まざる所である。
 然しながら本法の内容を檢討するに、農業災害の救濟に關し、尚幾多の不備缺陷を發見するものである。仍つてここに委員會の決議を促しその善處方を要望せんとするものである。
   左 記
 一、政府は、養蠶に關した本法を遡及適用せざるは甚だ不公平なる處置なるにより、繭價値上り差益金を以て之を共濟する措置を講ずべし。
 二、政府は、農作物、蠶繭、及び家畜等の共濟掛金に對する農家負擔の輕減を圖るため、政府の負擔割合を増額すること。
 三、政府は、陸稻の如く危險率大なるものを共濟目的より除外せるは保險の趣旨に副はさるにより、之を速かに共濟目的に加えるの措置を講ずること。
 四、政府は、本法適用の對象とならざる農業家屋、大農具、地方的作物の被害に關しても、之を共濟し得るよう措置を講ずること。
 五、政府は、共濟事故として雪害を明示するの措置を講ずること。
 六、政府は、農業共濟團體の所要經費の全額を負擔すること。
 七、政府は、共濟金の迅速適切なる支拂を期するため、金融上特別の措置を講ずること。
  右條項中、第一項は即時之を實施し、他は次期國會において本決議の趣旨を實現しもつて農業災害の救濟に關して遺憾無きを期するものとす。
 右決議する。
 こういう決議案でありますが、なおこの際一言發言いたしておきたいと思いまするのは、先ほど來小林委員からの御指摘もありましたように、本決議案の中には載つておりませんが、噴火等による桑葉の被害に對しましても、速やかに次の機會においてこれを改正する。さらにまた荒廢桑園に對しまする復舊というものは實に重大な關係にありますので、さいわい繭價の値上り、差益金というものは莫大な數字に達しておりますので、これらの運用を誤らざるように、荒廢桑園の復舊に特に意を注いでいただきたいと思うのであります。
 なおまた畜産の保險のごときに至りましては、畜産に公定がありややしやということははなはだ多くの疑問をなしておる點でありますが、大體農家における役牛、役馬の價格というものも非常に騰貴しておりまする今日、この保險に對して重大な關心をもつていただきたいと思います。
 なおまた去る十五日同僚佐竹議員の附帶決議尊重に關する質問に對し、農林政府次官より御答辯があつたのでありますが、これらの附帶決議はいずれも農民の要望してやまざるところでありますので、その意を體し、この決議の趣旨を尊重し、速やかにこれが實行に移されんことを希望いたしまして附帶決議の説明を終ることにいたします。(拍手)
#32
○野溝委員長 これより採決をいたします。各派協同提案の附帶決議を附するに贊成の諸君は起立を願います。
    〔總員起立〕
#33
○野溝委員長 起立總員。よつて本案に附帶決議を附するに決しました。
 これにより原案について採擇いたします。原案に贊成の諸君は起立を願います。
    〔總員起立〕
#34
○野溝委員長 起立總員。よつて本案は附帶決議を附して原案通り可決いたしました。
#35
○北委員 今の農林省が勝手にやつておるということは、現在農村にとつて非常に重大なことでありますが、委員長はこれを無視するつもりであるかどうか、これは委員長にお尋ねいたします。
#36
○野溝委員長 委員長からお答えいたします。決して無視はいたしません。北委員に對して本案以外の緊急質疑としてこれを許しておるのでありますから、政府に對して質疑の點がありましたならばこれを許すことにいたします。
#37
○北委員 さつきも農林次官がお述べになつたように、これははなはだ民主的でないと思うが、決論としては官僚的にやるのだということになるのですか、官僚的にやるのかどうかその點をひとつ伺いたいと思います。
#38
○井上政府委員 官僚的にやろうとは考えておりません。
#39
○北委員 官僚的にやろうと考えていなくても、勝手氣ままにやることは官僚的ではないですか。
#40
○井上政府委員 政府は國民の主要食糧を確保し、かつ國内の治安を維持して、日本再建をはかるという重大な責務をもつているのであります。その責務の必要上、當然國内の主要食糧を確保する行政措置として一定の基準を出して、これによつて國民の協力を求めるという措置は、決して非民主的な行為であるとは考えておりません。
#41
○北委員 しかし國會には農林委員會もあり、いろいろその方面の關係のこともありますのに、これらに何の相談もなく、ただ當局が勝手にやるということは、非常に官僚的だと思います。この點政府委員はどう考えているのか伺いたい。
#42
○井上政府委員 よつて政府は本國會に對して臨時農業生産調整法を上程いたして、皆さんの御審議を願つているわけでありますし、この調整法はわが國の當面する食糧危機を突破する必要上、絶對に政府は必要なものとして提案をしておりまして、これは當然國會の協贊を得るものという自信をもつておるのであります。從つてこの法律が通過をいたしましたときに、ただちに麥の作付割當をいたす場合に、時期その他のズレを來してはたいへんでありますので、そういう一つの見透しの上に立つて、一應行政的措置として、今麥の作付割當をいたしているような次第であります。
#43
○北委員 しかし地方におきましてはこれを強制しているような感があるやに聞いておりますが、どうしてこういうことをなされるのでありますか。
#44
○井上政府委員 強制という言葉は非常に弊害がございますが、實際において麥なら麥の作付に適する土地であるにかかわらずこれを拒否する。あるいは當然麥をつくつていただかねばならぬ土地に對して、他の代替作物をまきつけようとするというようなことから、そういう問題が起ると思います。この場合はあくまで村の調整委員會において、あるいは縣の調整委員會において、この土地は當然麥をまきつくべき土地である。この土地には代替作物はこの程度で止むべきであるというようなことが、公平妥當にきめられまして、それによつて作付割當はいたすのでありまして、決して強制的に、むりやりに麥の作付のできない所に、あるいはまた當然代替作物としてある一定の條件を備えているものについては、これを認あて、最も合理的に、最も妥當的な作付をやるべきであろうと私は考えまして、これらはもちろん下部の官廳のいろいろ行届かぬ點もございましようが、そういう具體的な實際の實情にあてはまるような方法をとることはもちろんでありまして、そういうことに政府は今後努力するつもりであります。
#45
○北委員 農林當局だけでなしに、どうぞほかの機關も利用して、みなと相談の上でやつていただきたいことを希望いたして、質問を終ります。
#46
○野溝委員長 本日はこれで散會いたします。
   午後二時三十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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