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1947/11/19 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第48号
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1947/11/19 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第48号

#1
第001回国会 農林委員会 第48号
昭和二十二年十一月十九日(水曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 野溝  勝君
   理事 大島 義晴君 理事 岩本 信行君
   理事 北  二郎君
      黒田 寿男君    佐竹 新市君
      田中 健吉君    成瀬喜五郎君
      野上 健次君    細野三千雄君
      松澤  一君    小林 運美君
      志賀健次郎君    関根 久藏君
      寺本  齊君    中垣 國男君
      小川原政信君    佐瀬 昌三君
      田口助太郎君    野原 正勝君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
     的場金右衞門君    中村元治郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
 委員外の出席者
        専門調査員   岩隅  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第五九號)
 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)(第八六號)
    ―――――――――――――
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
#3
○関根委員 議事進行について。生産調整法の問題ですが、いろいろ議論もあり、意見も多いようでありますが、會期も切迫しておりますし、かたがた何らかの打開點を見つける必要があろうと思うのであります。この際農林委員會から小委員を選びまして、その小委員が、参議院の農林委員會の小委員と協議するような方法をとつてはどうかと思うのでありますが、委員長におかれまして適當な小委員の御選定を願つて、協議機關をつくるように心配を願いたいと思います。
#4
○野溝委員長 ただいま関根委員から議事進行に關する動議が出ました。臨時進行に關する審議の方法について、本委員會から小委員をあげて参議院の方と連繋をとり、本法案の進行の便に供したらどうか、かような趣旨に承りました。小委員を設けることに御異議ありませんか。
#5
○岩本委員 臨時農業生産調整法は、参議院と話合つて小委員でいろいろ研究してみるということ、これも必要なことと存じますけれども、未だ衆議院としての研究が決定的になつておりませんのみならず、自由討議を本會議において進めることになつておりますが、それが都合上今日まで延びておる。こういう實情でありますから、そういう行程をおとりになるにしても、今しばらく衆議院自體として研究する必要がありはしないか、こういうふうに私は考えます。
#6
○成瀬委員 私も同じ意見をもつております。もう少しこの重要な問題につきましては、この際愼重審議、研究いたしまして、その上で、進行の立場から小委員にかけるということであればいいのですが、まだその審議がつくされておらない。かかる觀點からやつていただきたいと思います。
#7
○野溝委員長 暫時休憩いたします。
    午前十一時三分休憩

    午前十一時六分開議
#8
○野溝委員長 開會いたします。
 ただいまの問題は理事會において協議の上決定することにいたします。
 これより農地調整法の一部を改正する法律案及び自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、この両案を一括して議題に供します。審査にはいる前に一應政府に内容の説明をしてもるうことにいたしたいと思います。
#9
○山添政府委員 自作農創設特別措法竝びに農地調整法の改正案でございまするので、條文の讀みにくい點がございます。從つて逐條説明をごく簡單にいたしたいと思います。初めに自作農創設特別措置法の方から申し上げます。
 第一條に横線の引つぱつてあります「又土地の農業上の利用を増進し、」という文句を加えましたのは、未墾地買收の場合に、從來は自作農創設のためのみの農地以外の土地の買收でごごいましたのを、今囘は大規模の土地改良事業を行いますときに、その水路等の所要の土地を買收し得る、こういう規定を設けましたので、それに對應する土地改良事業のための所要の土地をこの法律によつて買收する。こういう意味において加えたのであります。
 それから第二條であります。この第二條の關係は牧野というものの定義を掲げました。その牧野の中には家畜を放牧します固有の牧野と、草を刈る採草地等を含んでおるのであります。この二つを含めて牧野の定義を掲げたのであります。これは新たに牧野を農地改革の對象として、一定の面積以上の牧野については、これを政府が買收するということにいたしましたので、その關係上加えたのであります。そして三項に自作牧野と小作牧野、こういう農地と同じような定義をいたしたのであります。
 それから第二條の末の方の項でありますが、これは今までの規定でありますと「戸主若しくは家族」という文字が使つてあつたわけでありますが、家の制度の廢止に伴いまして「親族若しくはその配偶者」とかえたのでありまして、これは内容が變つたわけではございません。民法の改正に伴う言葉の改正であります。
 それから第三條については、これは字句を整理したものでありまして、初めの方には申すことはありません。第三條の末項でございますが、第三號の前の項に「自作農でその者の營む耕作の業務が適正でないものの所有する面積」うんぬんとありまして、御承知のように内地におきましては平均三町歩の所有限度をつけております。それ以上の大きな面積を耕作しております場合においては、その農業經營が適正であるかどうかということを判斷いたしまして、適正である場合においては三町歩の制限を超えてもそのままその經營を認めておる、しかしそれが適正でない場合には三町歩まで政府が買うという規定でございまして、ここに筋をひつぱつて第三條の末項に附加えましたのはその適正なりや否やということの判斷の基準を掲げたのであります。しかしこの規定は新しく設けたのではないのでありまして、今まで勅令に書いてありましたのを、重要なことでありますので法律に繰上げたのでありまして、實質上現在行つておりますこと何らかわりはございません。
 それから第五條第三號でありますが、政府が買收しない土地として、試験研究のほか「主として省令で定める耕作以外の目的に供してゐる農地、」すなわちこれは特殊の鑛物をとる土地というようなものがございまするので、そういうものを指定いたすのであります。
 それから第四號に、都市計畫法によるところの「土地區畫整理を施行する土地その他主務大臣の指定するこれに準ずる土地」を申しますのは、都市計畫法等が施行せられます前に、耕地整理法等によりまして區畫整理事業をやつておるのがあるわけでありまして、こういうのは實質上都市計畫法に基くところの區畫整理地區と同様でなければならぬというので、これを中に入れることにいたしたのであります。
それから第五號は、近く用途の變更を目的とする土地につきまして、都道府縣農地委員會自體においても指定することができる、こういう意味であります。
 それから第六號は、一時賃貸借の規定でございまするが、一時賃貸借をいたしておりました場合には、それを自作地と同様の取扱いをいたしておることは御承知の通りであります。しかし面積は内地平均三町歩という限度があることはこれまた當然のことでありますが、その事柄を明瞭にしたわけであります。
 それから第七號は、今回牧野を政府が買收いたしまするが、殘された牧野、すなわち所有者の手もとに殘つておる牧野を開發して農地にした場合はどうなるか、それはそのままでよろしいので、農地になつたからとたんに今度は買收するということではないのであつて、きわめてあたりまえのことを念のために書いたのであります。
 それから第五條の二に規定しておりますのは、御承知のように各地域に技術指導のための指導農場というものを設置してございます。その指導農場の敷地に提供するために、農業會なり府縣なりが土地を借りておるのでありまするが、この場合に不在地主の土地であるとかいうようなものが提供をされておる。それが試験研究の用地でございまするから、原則的に政府の買收にならぬということになるのでありまするが、それでは土地を買われる側からいつてみますと、均衡を缺くという點がございまするので、指導農場に提供された農地をいえどもこれは政府の買收の對象になるということを規定いたしたものであります。しかしながら中には非常に奇篤な方もございまして、指導農場の趣旨に共鳴をされて、自分が自作しておるのをそのまま農場に提供され、そうして自分はその農場に營農に從事しておられるという方もあるのでありまして、そういう場合にこれをそのまま小作地として扱うことはひどいわけでありますから、さような場合におきましては平均三町歩の限度までは、現在提供されて、形は小作地になつておりましても、政府は買收をしないということにいたしたのであります。
 それから第六條は地租法が土地臺帳法に變るという關係における條文の整理であります。
 それから第六條の二におきましては、いわゆる遡及に關する規定を書いております。御承知のように昭和二十年十一月二十三日現在をもちまして、そのときの状況によつて農地の買收をするというのが原則でありまして、現在の法律におきましても附則をもつてその事柄を明記いたしております。また勅令等におきましても小作者の方から申し立がございますれば、政府はそれを必ず買收しなければならぬ。またその申し立がない場合におきましても、農地委員會は十一月二十三日現在と今日と機利關係の變更を來しておるものにつきましてはよく事情を調べて、相當と認めるときは買収する、こういう原則になつておるのでありますが、これも非常に重要な事柄でありまするので、これを法律事項にいたしまするとともにその間における判斷の基準を一層明確にいたしたのでありまして、内容におきましては現在行つておることと差違はございませんが、これを法律に明確にいたしたということであります。
 第六條の二の第一項は、昭和二十年十一月二十三日現在において小作農であつた人が土地の取上げをされたというような場合、またその當時は不在地主についての小作農であつた、ところがその地主さんが國に歸つてこられて在村地主になつた、かような場合にいずれも遡及して買い得るのでありますが、そういう人たちが農地委員會に對して政府が土地の買收をなすべきことを請求した場合には、農地委員會は買わなければならぬという今まであります原則を掲げまして、しかしながら、次の各號の場合には農地委員會は買收することができない、こういう原則を明確にいたしたのであります。それは第一號に、昭和二十年十一月二十三日現在においてはその申し立をした小作人との間における小作地でありましても、その小作地の返還が適法かつ正當であつて、すなわち何ら非難すべきところのない土地返還、これは買收の對象にならないということです。
 それから第二號に掲げましたのは、前號のほか市町村農地委員會において小作者の請求が信義に反すると認めた場合、すなわち土地返還について手續上かりに多少の瑕疵があるといたしましても、それは今になつて土地の買收を要求することが民法の一般原則であるところの誠實信義の原則に反するという場合は買收してはいけないということであります。
 第三號におきましては、申し立をいたしました小作者が三町歩以上の大面積について經營をいたしておるという場合、これは三町歩に制限をするという趣旨から見まして當然そう過大な要求は認められない、こういうことであります。
 第四號は、社會的な觀點におきまして土地取上げがかりにありましても、これはこのまま認めるべきではないか。たとえて申しますると、海外から引揚げてきた人がある。そこで他に何ら食う手段がないので二反歩か何か返してもらつて今自作している、これが生活の基礎であるというような場合に、たまたまその返還の手續き等におきまして十分でなかつたといたしましても、たとえば地方長官の許可をまだ受けていないというようなことがあるといたしましても、これは小作人の状態から比べて、むしろ地主である自作者の方が氣の毒じやないか、こういうような場合に、手續きの問題を論じて政府が買収するということは苛酷になるわけでありますから、そういう場合には買収をしない、こういう諸點を明確にいたしたのであります。それ以外の場合は厳格に買収をする。なおお斷りと言いますか、附け加えておきたいことは、かようにある小作地につきまして買收をしない場合がございましても、面積計算は絶えず昭和二十年十一月二十三日現在によるわけでありまして、その昭和二十年に一町歩以上の小作地をもつておりますれば、現在土地返還も受けて小作地が減少しておるという場合におきましても、その當時の小作地の面積をもつて計算されるということに相なるわけであります。
 それから第六條の三は、この事柄に附随するところの村の農地委員會で決定をしない場合に、都道府縣の農地委員會に對して指示をすることの請求ができる、これは現にあります規定であります。
 それから第六條の四、これは擬装自作と申しますか、實質的内容は小作關係でありましても、それを請負その他の名目をもつて自作地としている。かようなものは當然小作地とみなして買收の對象になることは、この法律に規定してございますが、そういう場合に請負者をしておつたような人を小作者とみなし、そうして遡及規定が適用になる、こういうことであります。
 第六條の五は先ほど申しましたが、かような申立がない場合におきましても、市町村の農地委員會はみずから二十年十一月二十三日現在と權利關係の異つている農地、または不在地主か在村地主かという關係の異つている農地につきましては、状況を審査をして買收計畫を定めなければならないということが規定してあるのでありまして、これは現在の勅令に書いてあることを法律事項にいたしたのであります。
 第七條の二項に、在村地主についての小作者が土地の買收について異議の申立をすることができるということが書いてございます。これは今までなかつたのでございますが、農地を買うということは、原則としてそのままその農地を現に使つている人に賣渡すということになるのでありまするから、耕作者に利害關係が非常に大きいわけであります。從つて農地買收計畫についての異議の申立權を認めた、從つて甲の土地でなく、乙の土地を買收してもらいたい、こういう請求ができるわけでありまして、耕作者の間における公平を期するという意味であります。
 第十二條の二は簡單な事柄でありまして、電氣事業者等はいろいろ設備をもつているわけでありますが、これが借地の上にいろいろな設備をもつているということでございますれば、十二條によりましてその措置を使うところの權利等は保護されますけれども、自己の所有地でありますと政府が買收し、かつそれを賣渡すという場合に、その使用に關する權利は消えてしますわけであります。それでは困りますので、電氣事業者の所有する土地を政府が買つて、これを耕作者に賣渡した場合におきましても、電氣事業者は依然としてその事業設備をするところの土地の賃借權を存續してもつておる、こういう關係にいたしたのでありまして、別に變つたことはございません。
 それから第十三條の改正點は、供託をするということを原則にいたしたのでありますが、農地が擔保にはいつている場合に、代金であるところの農地證券を供託するか否か。從來の規定によりますると、所有者から供託をしてくれというような場合に初めて供託をするのでありましたが、今囘は原則としてともかく供託をする。しかし擔保權者の方から、いやそれは供託しなくてもよいという場合に限つて供託をしない、こういうことにいたしたのであります。
 それから第十四條は別に申すことはございません。
 第十五條の改正點は、政府が農地を買收いた下につきまして、その農地について自作農となるべき人が附随的に農業用施設等を買收の申立ができるという規定でございまするが、これに水の使用に關する權利と立木を加えたのであります。水の使用に關する權利、溜池等の水を使つているような場合、あるいはそのほかの水を使つておる場合に、水に關する施設そのものは農業用施設でありまするから、これは當然買收の申立ができるわけであります。普通の場合におきますると、農業施設にはその水の使用に關する權利も一體になつておるのが普通でありまするが、所によつて慣行上、水に關する權利が獨立したものとして扱われておるところもあり、さような場合に處するために、水の使用に關する權利というものを掲げたのであります。それから立木と申しまするのは、たとえば果樹園等を買収するという場合に、現在ではこれは土地の從物として扱つておるわけであります。しかしこれはその上にある立木――字はおかしいかしれませんが、木は木として扱つていく、こういう意味であります。十五條の規定も實質的には別段新しいことがあるわけではございません。
 それから第十六條でございますが、御承知の通りに政府の買いました農地は、そのまま耕作者に賣渡しますが、都合によつてはこれを市町村であるとか團體等に――今まででありますると農業會に賣渡すこともできるということになつておるのであります。その團體に賣渡した場合における農地の管理または賣渡しに關して根據規定をおいたのであります。ひつきよう政府がやると同じような趣旨で、同じようなことをやつてもらわなければならぬ。たとえば團體から耕作者が土地を買受けた場合に、耕作者が自作をやめた場合には團體が買戻すというように、政府のやることと同じことをやつてもらう、こういうことにいたす規定を設けるのであります。
 それから第二十二條でございまするが、買收した農地を耕作者に政府が賣渡します場合におきましては、その耕作に支障を來すような權利は當然消滅をいたすのでありまするが、但書で電氣事業者のためには、これは消滅しないで存續するということを規定いたしたのであります。そのほか特に御説明をいたすことはございません。
 それから第二十六條の二でございますが、これは政府が賣り渡しました農地の對價を徴收する、拂つてもらう、これを今まではある團體に、現在で申せば農業會、將來は協同組合、そういうところに委託して取立ててもらうのが便利ではないか、こういう考え方をいたしておりましたが、それではいけないということで市町村にお願いをすることになりました。その市町村が對價を取立ててくれる。こういう規定をしたのであります。これに對してはもとより市町村に一定の手數料を支拂うわけであります。
 それから第二十八條、この規定は政府から土地の買受けをした人が自作をやめたという場合に、政府がそれを買戻しをしなければならぬというふうな規定が現にあるわけでありますが、その規定について補充をいたしたのでありまして、團體を通じて賣渡したという場合、あるいはある團體に政府が土地を賣つたという場合、團體がその管理とか賣渡し等の規定に違反した場合に政府が買戻しをする、かような場合を規定し、そのほかいはば字句の補充をいたしたのでありまして、別に變つた點がございません。
 それから二十九條も字句の整理であります。
 それから第三十條、この三十條は第一條の規定のところで申しました土地の農業上の利用を増進するという字句を入れました。これは先ほど申しますように、土地改良等を行います場合における水路等の敷地を買收する、こういう必要に基いての規定であります。第一號に農地及び牧野と「及び牧野」を加えましたのは牧野は後の規定によつて當然買收になります。さような關係で字句の整理をいたしたのでありまして、第八號に「農地の開發上必要な土地」と申しますのが、先ほど申しましたように水路敷であるとかいうような、土地改良の施行に伴つて必要な土地を買收できるということにいたしたのであります。
 それから第三十條の二でございますが、第三十條の二は開拓するための未墾地の買收竝びに大規模な土地改良事業を行いますための所要の用地、これらを買收いたします場合に、主務大臣が豫め買收または使用の豫定地域を指定することができる、一應綱をかけると言うと、少し大きいのでありますが、一應指定地區を指定する、そして買收そのものはこれは一筆ごとに當つて詳細にやらなければなりませんので、買收そのものには具體的な計畫を立てて買收をする。豫め主務大臣がある豫定地域を指定しておく、こういうことにいたしたのであります。これは開拓用地等につきましても、御承地のように現在では下の委員會、小さいものでありますと村の委員會、大きいものでございますと都道府縣の農地委員會でもつぱら決定をいたすのでありますが、こういう三十條の二の一項のような規定によりまして、政府において計畫的に開拓農地等を指定する、こういうやり方をいたすわけであります。すなわち總合的な觀點から計畫的に進める、その事柄が。また買收を圓滑にするというわけであります。しかし買收そのものは從來の手續によることには變りはございません。かようにして、一年を超えない期間、この指定をいたしますと、その地區内におきましては木を伐つてしもうというような事柄は制限をされるのであります。この土地は開墾地になりそうだということになると、御承知のように現在では木がなくなつて丸はだかになつてしまう。こういうことがよく行われるのでありますが、それでは支障がございますので、土地の性質の變更であるとか、あるいは木を伐つてしまうには知事の許可を受けなければならぬということで、制限をいたしたのであります。
 それから第三十條の二は、農地關係の委員が無償で土地臺帳とかその他のものを見せてもらえるという簡單な事柄でございます。
 それから第四十條の二に移ります。それ以下は牧野の買收に關する規定でございまして、牧野と申しますのは、第二條の定義にございますごとく家畜を放牧する所、竝びに採草地を含めてのそれでございます。これは北海道に相當の面積の牧野がございます。これが粗笨の經營をされている。そこで現在の國の要請からいたしますと、これをもつと集約的な利用をいたしまして、耕作のできる所におきましては作物をつくつて、土地當りの收穫のできるカロリー量を多くする。あるいはそこまでゆきませんでも大體は畜産を主とする經營になると思いますが、そういうところに自作者を移植いたしまして、牧畜を主とするところの農業經營を營ませる、そういうことによつて同時に土地の集約利用をしてゆく。またかりにそういうような普通な作物をつくるところの農地にはならない、また牧草栽培という形における畜産上の集約利用もできないというような土地につきましては、これを共同牧野といたします。しかしながら現在よりはよほど改良された牧野にしてゆきたい。こういう觀點から今囘牧野につきましても一定の面積を超えるものにつきましては、これを政府が買收し、そして土地の状況によりまして自作農創設の可能な所はこれを共同牧野といたしまして、全體的にともに集約利用をはかつてゆく、こういう趣意であります。
 第四十條の二の「左に掲げる牧野は政府が、これを買收する。」それから一號はいわゆる不在地主の他に貸している牧野を買收する。二番目は普通の農地と同じような取扱いで、いわば牧野についての在村地主は北海道については一町歩、都府縣別に定める面積は平均三反歩、それを留保することができるという留保の規定であります。第三號がほんとうの規定でありまして、「牧野の所有者が所有する自作牧野の面積(その者が農地を所有する場合にあつては、その者が第三條の規定による買收を受けることのない農地の面積を加算して得た面積以下同じ。)すなわち牧野と農地と合わせてその農地なるものが、農地改革の終つた後にその者が保有することのできる農地という意味です。これを合わせて北海道にあつては二十町歩、都府縣にあつては平均五町歩を基準としてきめるところの地域別の面積を超える場合に、その超える部分の牧野を買收するというのであります。この北海道二十町歩と申します場合に、東部の根室あるいは釧路という地帶におきましては、おおむね四十町歩に近い數字になると思います。と同時に、全體を通じまして農地と牧野と合わせまして四十町歩を超えることはできないということに相なつておるわけであります。内地におきましては、これは地方々々の事情に應じて、平均五町歩を基準にして、現在農地できめておりますがごとく面積をきめるのでございますが、津輕半島、下北半島というような北海道と事情が同様だという所においては、相當大きな面積になると思います。第四號は、第三號で申したことと趣意は同様でありまして、自作牧野のほかに小作牧野をもつておつたらどうするか。その小作牧野も面積の勘定の中にはいるということを書いたのでございます。
 三八ページにまいりまして、第一項の牧野のほか、左に掲げるものについては、政府が相當と認めれば買收ができるというのでありまして、一號は在村の牧場をもつておる人について、北海道では一町歩、内地では三段歩をもてると申しましたが、しかしながら全然農地をもつていないような人が、かような農業に縁のない人がそういうものをもつておることも無意味でございますので、そういう場合には、全部政府が買收できるという規定でございます。
 それから第二號は平均二十町歩、内地では平均五町歩までの面積は認められるわけでありますが、しかしこれを集約事業をするならば、それと同等な生産をあげることができるじやないか。かような場合におきましては、一定の制限の範圍内で、すなわち二割五分の範圍内でさらに食いこんで買收することができる。こういう規定でございます。これは、運用には愼重を期する必要があると考えております。
 第三號は「耕作又は養畜を主たる業務としない法人その他の團體の所有する牧野」これは農地と同じ趣意でありまして、法人につきましては、農業を營むことがその法人の主要業務ということでなければ保有を認めない。こういう意味であります。四號は放棄されておる牧野、五號は所有者の方から政府に買收を申しこまれた牧野であります。
 それから末項は、この政府が買收するところの牧野に附随して、その牧野の上にある立木または建物その他の工作物を買收できる。こういう規定でございます。第二號はその牧野を農地にする場合に、農地の利用上必要な農業施設または水に關する權利、これを買收する規定であります。
 それから第四十條の三は買收をしない場合であります。一號は都道府縣、または市町村がもつておりまして、これを多くの人に使わせておる、すなわち共同利用に供しておる、または試験研究のために使用しておる、すなわちあるいは種畜場等の用地として使つておる、こういう場合に買收をしない。第二番目には市町村、財産區、すなわち、部落であります、または農業協同組合でもつておるもので、共同利用に供されておるものは買收をしない。ここに農業協同組合とございますが、現状におきましては、牧野組合等が所有しておると思います。これを農業協同組合に改組をするということによつて、買收の對象にはならないということに相なるわけであります。しかしながらかように共同所有に屬し――これは部落等あるいは市町村の場合でも一種の共同所有の觀念でありますが、一種の共同所有の場合におきましても、わずかな者が大面積を所有しておる。こういう場合には、一定の基準で計算いたしました面積以上は、やはり買收の對象になる。さような場合は實際上少ないと思いますが、理論上こういうことにいたしておるわけであります。
 第三番目は、教育機關の所有に屬して試験研究の目的に供しておる牧野、それから第四號は「省令の定めるところにより、主務大臣の指定した牧野」これは畜産の改良發達上どうしても優良なる種畜を供給するところの牧野につきましては、相當面積を要するわけでありまして、そういう優良な國の畜産の改良發達上必要なる種畜生産を主とする牧場等につきましては、主務大臣がこれを指定する。そうして二百町歩とか、あるいはそういう必要なる限度の面積はこれを保存する。そうして畜産の改良のために盡瘁してもらう。こういう規定であります。なおそういう牧場のほかに都市その他に對する牛乳等の供給上缺くべからざるものを、この第四號をもつて指定いたしたい希望をもつております。第五號は農地の場合における一時賃貸借と同様の趣旨の規定を設けたのであります。
 それから第四十條の四は、これは買收の手續でございまして、市町村農地委員會できめるわけでありますが、數箇村にまたがる場合、あるいは自作農創設のために遺留をするというような場合、かような場合におきましては、都道府縣農地委員會で計畫を立てるということであります。これから對價は未墾地と同じで、類似の畑の四割五分以内で適當に定める。こういうことであります。
 第四十一條でございますが、これも字句の整理等でございまして、從來やつておりますことと何ら變つたことはございません。
 第四十一條の二という規定でございますが、これは政府が買いました農地または未墾地等を、一定期間都道府縣知事の定める條件により使用させることができるという規定を設けたのでありまして、これは財政法等の關係により、こういう規定を設けることが必要になつたというので設けたのでありまして、内容的に從來と別に變つた所はございません。以下それぞれ字句の整理はございますけれども、内容的に違つた點は別にございません。
 附則の一番おしまいの第六條でございますが、これは四十七條の二の規定によりまして、行政上の處分で違法なものの取消または變更を求める訴えは、當事者がその處分のあつたことを知つた日から一箇月以内にこれを提起しなければならない。但し處分の日から二箇月を經過したときは訴えを提起することはできない。かように行政廳の違法處分に對する訴えの期間を一般の例よりも短縮しております。かように短縮しておりますけれども、第六條によりまして、この法律が施行になつてから一箇月間は、その期間が經過しておつてもよろしい。こういう救濟規定を設けたのであります。この改正法律施行後一箇月間以内は、二箇月を經過しておつても訴えできる。こういうのであります。
 次に農地調整法の方にはいります。農地調整法の第二條においては、今囘農地調整法の第二條で、薪炭林及び採草地、放牧地の定義を掲げました。それは農業と密接不可分の關係にありますこれらの土地につきまして、農業者の賃借權その他の權利の保護、これを農地と同様に扱いますその事柄と、それからこれらのものを利用するところの權利の設定という規定を設けましたので、それに伴う定義といたしたのであります。
 第四條の改正でありますが、第四條は申すまでもなく、農地所有權等の移動を統制いたしておる規定でございまするが、今囘自作農創設特別措置法によりまして、採草地、放牧地等も買收の對象になります。またその保有限度も農地と一體的に考えられる。こういう趣旨でありまするので、農地と同様の移動についての統制をするということであります。
 第九條の一項、二項、第三項に「合意解約ヲ含ム」の字句を入れました。この第九條は土地の返還に關する規定でありまして、この場合農地の返還につきましては、市町村農地委員會の承認を受けなければならぬ。現在は暫定的に都道府縣知事の認可をようするというわけでございますが、この場合當事者の合意による解約の場合を含むか否かということについて、解釋上疑義がございます。これは先般のまだ帝國議會の時分でありまするが、牧野博士あるいは我妻博士等の解釋においては、當然立法の趣旨から、合意解約といえどもこれは一應市町村農地委員會の承認を受けるべきではないかという御意見、農林當局は前々そういう解釋をとつております。しかしこれは司法省との間に意見の一致を見ておりませんような事情にありましたので、今回これを疑義なからしめるために、明文をもつていたしました。從つて合意の解約でありましても、一應は市町村農地委員會の承認を受けなければならない。しかして市町村農地委員會はそれが眞に合意解約であれば、もとよりこれを簡單に承認をする。しかし合意解約を裝つておつても、實質上そうでないという場合には、市町村農地委員會はよく審査をする。こういうことに相なるわけであります。農地改革に伴うところの最大の缺點は、土地の返還であることは申すまでもありません。それについてこれを防止しますために、明文をもつてかような規定を設けたのであります。
 それから第九條の二は、これは小作料金納化の規定でございます。小作料を金納化するにつきまして、但書が現在の法律にはついております。すなわち「小作料債務ガ辨濟期ニ在ルトキ債務者ガ債權者ノ承諾ヲ以テ其ノ支拂ニ代ヘテ他ノ給付ヲ為ス場合ハ此ノ限ニ在ラズ」小作者の方から金にしないで雜穀なら雜穀にしてもらいたい、こういう申出をして、債權者の方で同意したらよろしいということになつておるのでありますが、現在の情勢におきまして小作者の方からそういう希望を言うということは、およそ想像し得ないのであります。しかるにある地方、たとえば岩手縣等におきましては、こういう但書がありますために、惡用をせられて、物納が相變らず行われておるというような事例もございますので、さような違法、脱法の行為をなからしめるために、但書をこの際落してしまう。こういう改正でございます。
 それから新舊對照表の十ページでございますが、第十四條の二であります。これは先ほど申しました、薪炭林、採草地または放牧地の賃貸借その他の權利について、農地同様の保護をする。同様というのは、第九條を適用して、すなわちむやみに貸してあるところの山であるとか、採草地等を取上げてはいかぬ、すなわち農地と同様に第九條によるところの保護を受けるわけでありまして、農地委員會の承認がなければならない、しかして農地委員會は第九條に掲げておりますところの基準をもつて判斷をするという耕作者保護の規定でございます。
 それから第十四條の三は、耕作者または耕作者の團體すなわち協同組合であるとか、農民組合であるとかいう團體に對して、自家用の薪または木炭の原料に用いる原木、枝條、落枝等の採取云々、かような森林ないしは牧野、採草地について、利用權を設定するところの規定でございます。これはもとより當事者間の話合いで話はつくと思いますが、話がつかないときに、市町村農地委員會においては當事者はもちろん、そのほか山林、牧野というような關係者の意見を廣く聽いて裁定する。その裁定により使用權が設定になるというのであります。こういうことの必要な場合として、一つには今までに落葉をとつたり、草をとつたりする權利をもつていた者が、農地改革に關連してその權利を取上げられたとき、その權利を囘復するという場合もありましよう。また未墾地の開拓買收ということによりその土地の農家が今まで山林、原野から農業用あるいは自家用燃料の資源を得ていたのが得られなくなつた。それに對して替地を提供しなければならぬという場合がございます。これはもとより山の奥にはいることはやむを得ませんが、それに代るべきところの山林、原野の利用權を取得せしめる必要もございます。また場合によつてはわずかの人が廣い面積にわたつて草ととつたり、落葉をとつたりする權利をもつているときに、これを他の人にも中間入りをさせる必要のある場合もございます。すなわち權利の配分調整というような場合が豫想せられるのでありまして、農業經營に密接不可分の關係をもつております自家用燃料資源の採取または推肥原料あるいは家畜のえさにする草等を廣くとる慣行ないし權利をもつておりますから、これらのことについて農業經營を安定せしめるために必要な措置をするということでございます。
 なお第十四條の四は裁定に關する手續を書いたものであつて、別に變つたことはございません。
 それから第十四條の五は、自家用燃料をとる場合の原木に關する規定であります。農家に薪炭林の利用權を認めると申しましても、原木については事がはなはだ重要性をもつておるわけであります。農家にだけは不足の際は特にたくさんの燃料を供給するという意味でないことはもちろんであります。また原木となると山林の經營そのものとも關係をもつてくるわけであります。そこで原木の採取を内容とするところの利用權については特に制限を設けて、ここに一號、二號の場合に原則的に限定する。すなわち昭和二十年十一月二十三日現在の原木を採取するところの權利をもつておつた。ところがそれが山持ちの方から取消された。これを囘復する場合が第一點、第二點は慣行上原木の採取をなすところの權利をもつている場合に、その使用權を明確にするという意味をもつて權利を設定する場合、この二つに原則として限りまして、第一項の但書でしかしそれ以外の場合においては、先ほど申した未墾地買收によつて今まで原木採取の權利を失つた場合、それに替地を提供する。その場合前もつておりました權利の範圍内において原木の採取を認めるようにいたしたのであります。
 それから第十五條の二は都道府縣農地委員會に關する規定でありますが、これは現在行つておることをそのまま法文にしたのでありまして、實質的に何ら變更したところはございません。そのほかは都道府縣農地委員會の委員の選擧が、今後は直接選擧になります。これは市町村、都道府縣の農地委員會の委員の兼職が禁止をされました關係上、そういうことに相なります。これもしかし新しい法律ではないわけであります。
 附則にまいります。附則の第三條ですが、附則の第三條以下をもちまして不當なる土地の取上げが行われた場合における耕作權の囘復の途を開いたわけであります。從來は合意解約の場合には市町村農地委員會の承認を受けなくてもよいというような解釋もございました關係上、相當不當な土地取上げが行われておるわけでありまして、この場合に、その地主が大きい人でありますれば、政府が農地を買収する、そして元の耕作者に賣渡すことによつて耕作權の囘復ができるわけでありますが、しかしその地主が非常に小さい人でありますと、農地改革の對象としてこの買收は行われないわけであります。すなわち土地取上げがそのまま繼續しておる。これでは耕作者の地位の安定、權利の保護について公正でないわけでありますので、昭和二十年十一月二十三日からこの改正法律が施行されるまでの期間において不當な土地取上げがありました場合においては、その市町村農地委員會の手によつて耕作權が囘復できる、こういう規定を設けたのであります。その手續といたしましては、市町村農地委員會の承認を受けまして、その協議をする。協議が調わなければ市町村農地委員會が裁定をするというのでありまして、その裁定に不服であれば、それを都道府縣農地委員會に訴願をする。こういう構えになつております。しかしながら何でもかでもそれではその耕作權の囘復をなさしめるかと申せば、次の場合は例外である。すなわち「左の各號の一に該當する場合には、市町村農地委員會は、前項の承認をすることができない。」前項の承認とはすなわち耕作權囘復の協議であります。それはその一の「賃貸借の解除、解約又は更新の拒絶に係る農地が昭和二十年十一月二十三日現在における當該農地の所有者又はその承繼人以外の者の耕作の業務の目的に供されている場合、」すなわち土地取上げをした地主そのものがつくつている場合には耕作權囘復ができる。しからざる場合におきましては問題が非常にむずかしいのでありまして、いわば小作人同士の争いということに相なりまするので、これは新しい時期における秩序を尊重するという意味におきまして、耕作權の囘復に及ばない。
 第二號はその土地の取上げ返還が適法かつ正當であつた場合、第三號は耕作權を囘復したいということが信義誠實の原則に反する、こういう場合、すなわち作離れ料をもらつて返したが、たまたま手續が缺けておるような場合には囘復の請求はできない。それから四號は大面積を經營しておる。すなわち平均三町歩以上の經營をしておるというものはそういう申立てができない。第五號は地主の状況がはなはだ貧困でありまして、かえつてその方に耕作維持のために同情しなければならぬ、こういうような場合であります。以上概略を申し上げます。
#10
○野溝委員長 本日はこれにて散會いたします。質疑の日時は後刻公報をもつてお知らせしたいと思います。
   午後零時十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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