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1947/11/27 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第53号
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1947/11/27 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第53号

#1
第001回国会 農林委員会 第53号
昭和二十二年十一月二十七日(木曜日)
    午前十一時二十二分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 大島 義晴君
   理事 寺島隆太郎君 理事 岩本 信行君
   理事 森 幸太郎君 理事 萩原 壽雄君
   理事 北  二郎君
      佐竹 新市君    成瀬喜五郎君
      野上 健次君    細野三千雄君
      水野 実郎君    志賀健次郎君
      関根 久藏君    寺本  齋君
      小川原政信君    田口助太郎君
      野原 正勝君    益谷 秀次君
      松野 頼三君    梁井 淳二君
     的場金右衞門君    中村元治郎君
      山口 武秀君
 出席政府委員
         農林事務官  山添 利作君
 委員外の出席者
         專門調査員  片山 徳次君
         專門調査員  岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農地調整法の一部を改正する法律(内閣提出)
 (第五九號)
 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律(
 内閣提出)(第八六號)
#2
○大島(義)委員長代理 會議を開きます。これより農地調整法の一部を改正する法律案及び自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案の兩案を議題とし、質疑を許します。
#3
○野上委員 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案について、第十二條の二に、電氣事業用地に關する規定がそこに挿入されておるのでありますが、電線路の施設の用に供されておる土地の賃貸借を認めるというだけでありまして、これでは電氣事業の公益性等から鑑みまして、はなはだ不十分なる規定ではないかと考えられるのであります。從來御承知のように地役權が認められておつたのでありますが、これは賃借權を取入れるということになりますと、いろいろな煩瑣な問題が生じてまいると考えられるのでありますが、まず第一には賃借權設定の場合に生ずる手續上の困難について、登記について生ずるところの煩瑣な問題であるとか、あるいは譲渡轉貸に關して生ずる問題であるとか、賃貸借權契約の更改について生ずる問題であるとか、あるいは賃料の問題等種々困難なる場合が想像されるわけでありまするが、これらに對して大體どういうような處置をされるか。どういう考えをおもちの上にこの問題を處理していかれるか。農政局長のお考えを承つておきたいと思うのであります。
#4
○山添政府委員 電氣事業者の關係の、電線が通つておるその下の土地についての問題でありますが、これは本來の性質から見ましても、賃借權というよりも、地役權の方がふさわしい内容をもつておることは申すまでもありません。ただこの法律によりまして處理をいたします場合に、私どもも當初はこれを地役權として處理をする方針でありました。ところが工場財團の抵當というような問題から、地役權につきましては、これは財團の抵當權の目的になるというようなことがはつきり明記していないというような點から、有力なる意見がありましたので、從つてわれわれは地役權として處理をする考えでありましたのを、こちらに提出いたしましたのは、これを賃借權として提示をいたしたのであります。しかしながらお話のように電氣事業の關係の方からは、やはり地役權にして處理をしてもらいたいという要望もございまして、その方が問題の性質にもふさわしく、また手續上も更宜であろうと思つておるのであります。それに關する有力なる意見という方面との了解もできたのでありますから、これは適當なる地役權のような形において處理するのが適當であると思うのであります。ただいろいろ會期切迫の折柄、政府において原案を修正いたすということについては、非常に手續上困難を感じておりますので、でき得べくんば國會の方で適當な措置をとられんことを實は希望いたしておるのであります。
#5
○野上委員 大體においては政府側の御意見も、また實際に關係するところの業者の意見も、われわれが第三者の立場から批判してみましても、意見は大體一致するふうでありますので、これは國會といたしまして、この第十二條の二のうち、「當該農地につき賃借權が設定されたものとみなす。」という點については、一應字句等については十分研究の上採用すべきではありますが、修正することにいたしたい。こう思うのでありますが、これは政府側へお諮りするのでなくして、委員會として委員長においてお諮り願いたいと思います。
#6
○大島(義)委員長代理 今野上君から修正をしたいという意見が出たようでありますが
、これは質疑が終了した後に、この問題を一括してとりまとめたいと思つております。 それでよろしゆうございますか。
#7
○野上委員 よろしゆうございます。
#8
○的場委員 土地の取上げに關する問題でありますが、土地をゆえなくして取上げて耕作者を脅かすということに對しては、これはなすべからざることであり、われわれしては大いに警戒をしなければならぬと考えます。しかし從來地主との合意によつて小作者としても地主に同情をして、これが返還をすべきなりとして返還をする。それをさえもなすことができないという今度の改正は、私ども腑に落ちないのでありますが、最近に至りましては、地方の實情を見ますと、外地より引揚げて、家もなく食もなく途方にくれておる引揚者等も多數にあります。しかし先祖傳來の田畑等もありますけれども、これは長年の小作者があつて土地を耕作しておる。その小作者と地主との間は、從來親子のような關係におかれてありまして、すべての支配を小作に委託して、非常にむつまじい間柄であります。地主が帰つてきて耕作をする場所もないと言えば、非常に同情をして、あなたもおつくりなさいと言つて、今つくつておる土地の一部を喜んで返還をするような態度である者も、多數あるのであります。ところがそういうことで仲よく返還をしても、一部にさようなことは今日はできないことになつておるかと言つて、いろいろ煽動する者がありまして、また異議を申し立て、あるいは團體的な行動をする。小作者そのものはそういう意思はないが、他の大勢の者たちが團體を組んでいつて、田圃を刈り取つてしまうというようなことさえもあえてする。そういうことをして平地に波瀾を起して煽動する。こういうことは平和な農村にあるべからざることであると私どもは思いますが、そういう者に同調するかのように、今度の改正では合意で返還をすることさえも許さないという政府の御意思が、私どもにはげしかねるのであります。これには合意で返還をしても弊害があるとおつしやるならその弊害があるのか。それらのことについて詳しく御説明願いたいのであります。
#9
○山添政府委員 的場さんの御質問は誤解に出發しておるのであります。合意の解約をして土地を返還をするということを禁止しておるわけではありません。表向きが合意で、實際上内容が強制である。かようなことが行われては第九條の立法の目的が達せられないので、そこで合意の場合も一應市町村農地委員會の承認を受ける。そこで審査をするということでありまして、眞正なる合意であればただちに承認をすることは當然であります。從つてこれは何らかの土地の使用方法というようなものを、公の立場から管理するという意味合いから農地委員會の統制ではないのでありまして、弱い立場にある小作者が、土地の引上げをされる場合に、もとより合意であればいいのでありますけれども、その合意が眞正であるということを確める。もとより眞正の合意であればそのまま承認をされる。ですから第九條第一項の目的を補充をしたという解釋と言いますか、規定でございまして、内容的に合意解約を制限したり、禁止したりするものではないのです。
#10
○的場委員 地方における農地委員會の承認を求めればよいのでありますが、そういう煩瑣な手續をしなくても、地主と小作の間に氣持よく合意の返還が行われるものを、わざわざそういうことをするために、非常に弊害が起るのであります。この農地委員會というものは、民主的な選擧によつて行われたとは言いながらも、地方によつてはおもしろからぬ人物が構成しておる地方もありまして、あながち公平にばかりはいつていないように思います。これはしかし選擧によつてできておる委員會であるから、それは認めなければなりませんが、二人の間に何のわだかまりもなくできた約束によつて、返せと言われれば返して暮せておるものを、さらに團體的にいろいろと行動をして、つくつておる作物をまた刈り取つてしまつたり、變な行動をする。さようなことこそ私どもは何とかくふうをして、そういう弊害のないような指導方法を考えなければならぬのではないか。かように考えておるのでありますが、政府の指導はさような方面にはちつとも手が伸びないでー弱い小作農を保護することには私ども共鳴できますが、むしろ現在としては地主に方が非常に弱いのである。私は大地主とかいうような意味の地主を言うのではないのであつて、特に私が今申しますのは引揚者、復員者、そういうものを對象にして申し上げておるのであります。外地より引揚げてきて職業もないといつたような同情すべき立場の者に何とか特別な處置を講ずる必要があると思うのでありまして、かようなことについて何か特別な處置とる御意思はないのでありますか。この點をもう一遍お伺いをいたします。
#11
○山添政府委員 この前も申し上げたのでありますが、海外から帰つてきた人で、他に絶對に生活をしていく途がないという場合に、小作地を返還してくれないかということが、起るわけであります。そういう場合には、もとより合意が行われれば、これは問題ございません。問題はそれが市町村農地委員會に持出された場合に、市町村農地委員會はどういう心持で處置したらよろしいか、こういう問題になるわけであります。元來耕作權の確立の目的、また今の一般の情勢として、土地はどうしても細分化する傾向にあるわけであります。これは生産力の點におきましても、また供出部面におきましてもおもしろくない。そういう理由から困つておる人という意味で、ただちにそれに同情をして土地返還をさせるということは、大きな立場からやれないと思うのであります。しかしながらどうしても他に途が絶對ないのだというような場合、多くの面積というわけにはとうていいきませんが、若干の面積を返還いたしましても、小作者の方において何ら困らない。こういう場合におきましては、そこは市町村農地委員會は、事情に即し條理のあるところの解決をするように取計らうということが必要であろうと考えておるのでありまして、この九條の運用につきましては、もとよりこれは今の中心的な最も困難な問題でありますが、これにつきましてあまり甘い考え方をすることはいけない。あくまでも第九條のもつております精神に考え、そうしてまた的場委員の御指摘になりましたようなことについては、それは具體その場合に處して、今申しますように絶對に他に方法がないのだ。しこうしてその程度の土地返還はまた小作者の方にも差支えがないのだという場合に限つて返還を認める。こういうような措置に出ずべきものでありまして、原則的にはやはり第九條を今まで運用しておりますところの精神をゆがめるということは適當でない、かように考えておるわけであります。
#12
○山口(武)委員 一番初めに質問したいと思いますのは、第二次土地改革がなされまして、これこれの開放面積が開放される、そういう豫定にありましたが、實際の開放面積というのはそれより大分減少した數字が現われてくることが豫想される。そういう數字の開きはどこに問題があるか。この點をひとまずお聴きしたいのであります。
#13
○山添政府委員 全體の開放面積がいくらになるのかということは、現在確實な數字はわかつておらないのでありますが、しかし當初豫定しました二百萬町歩に相當及ばないということになつております。この原因がどこにあるかということにつきましては、一つは、二百萬町歩でありましたのも實は正確なる資料と言いますか、いずれにしましてもそれをすぐはじき出せるような統計資料があるわけじやないので、いろいろな方法をもちまして推算を加えて出した數字であります。從つて二百萬町歩も、ある假定を入れた推算によつて出た數字であります。かように御承知を願いたい。そのほか實質的にそういう減少が起るであろうということにつきましては、何といたしましても、二百萬町歩を推算しました時分と、その後における一般の情勢、すなわち戰の末期から非常に農業が零細化すると言いますか、細分化を促進するような傾向が見えておりまして、そういうことのために小作地の返還が相當行われている。こういう事實も加わつていると思うのであります。そのほか統計面積から申しましても、大體今まで六百萬町歩ありました耕地が、これは農林統計の話でありますけれども、今では五百萬町歩を割るような結果になつている。そこで農地委員會におきましては土地の一筆調査をやつておりますけれども、これが完全に濟んだわけでもない。そういう點もまた開放豫定面積の中には影響を及ぼしているのであろうと思います。しかしながら多くの市町村におきまして、農地委員會の手で一筆調査もやつておりますし、またこの事柄は、やつておらないところにおきましても、さらにやる必要がある。そうして農地改革を完了いたしますのには、今年から來年、今年で大部分、百三十萬町歩くらいは買收を濟ませますが、一應終つたということで終らせないで、さらに綿密な仕上げをいたすのであります。そういうつもりでおるわけであります。
#14
○山口(武)委員 ただいまの政府委員の答辨にもありましたが、その食違いが土地の取上げにも一つの原因をなしている、そのようなことも言われているのであります。私はその原因というものが一番大きな原因ではないかと思うのであります。そうしますと、この耕作權をはつきり確立するということが重大なことになつてくると思いますし、先ほど的場委員の言われましたように、地主と小作人が親子のような關係におかれておつた、そういうことはこれまでの封建的なものを基礎としての考え方でありまして、そのような考え方になつてはならないと思うのであります。そのためにはこの農地調整法の一部改正法律案の中の附則の點につきまして、私は質問したいと思うのでありますが、附則の第三條の第一號の、昭和二十年十一月二十日に遡及いたしまして土地を小作人の側に再返還する場合でありますが、所有者とその承斷人以外の者の耕作の業務の目的に供せわれる場合には、これは適用されないということになりますが、こういうことになりますと、地主の人が東京から人を呼んでつくらせる、これまで農作に關係なかつた人たちが、その土地をつくる名目のもとに地主の土地所有を維持するような方法に出てくるのではないか。それから第三號の「申請が信義に反すると認めた場合」というのは具體的にどういうことになるか、この點をお聴きしたいと思います。さらに第五號の「生活状態が前項の承認を申請した者の生活状態に較ベと著しくわるくなる場合」これはどういうことをもつて基準として裁定するのか、こういうことは下手をするとえらく惡用されるおそれがある、そういうふうに考えますので、お聴きしたいと思うのであります。
#15
○山添政府委員 不當なる土地取上げに對する耕作權の回復の場合でありますが、ここに掲げてあります第一號の問題、すなわち他の人の耕作に移つているという點でありますが、これは内容におきましては結局耕作者同士の争いということになるわけであります。耕作權の保護という見地からいたしますと、第一にもとの耕作者の耕作權も保護しなければならぬが同時にまた現在その土地の上で耕作している人の耕作權も保護をいたさなればならぬわけでありまして、その關係から、これは新しく現に成立している實情を重く見ていくというのでありまして、同じく耕作權を尊重するという観念にほかならないのであります。それから第三號の「信義に反すると認めた場合」これはたとえば作離れをとつては土地を返還している。しかしながらそれは何か手續というような點において瑕疵があつたというような場合におきまして、また改めて回復要求をするということは信義に反する。具體的な場合におきましてはそれぞれの事情があると思いますので、そういう具體的な場合を審査して、そうして法律の原則であります正義信實の原則に反するものは認めないでもらいたい。こういう規定でありまして、第二號に掲げてあります事柄について、これだけでは包括できない場合があるであろう。そのために第三號を用意いたしたのであります。それから第四號は、これは先ほど出ました海外からの引揚者というような者が例でありまして、この間私が直接知りました例は、廣島縣であつたと思いまするが、ともかく合意の上で二段なり何なりの耕地の返還が行われた。そして海外から引揚げてきた人々は女手ばかりで他に食う途が全然ない、一方もとの小作をしておつた人は、その地方でも中流以上の相當りつぱな百姓である。それが一應返したのでありますが、さらにこれを農地買收にかけて土地の買上げを要求しておる。こういうことを訴えに出した人がありますが、さような場合に社會的な観點から農地委員會で判斷をするのがこの第五號であります。
#16
○山口(武)委員 薪炭林、採算地、放牧地の使用が規定されることになりますが、この場合に薪炭林や採草地の使用權が確立されるというのか、農民の中どのくらいの割合で豫定されておるか、どのくらいの農民がこういうものの恩惠を受けるのか、このことをお聴きしたのであります。使用權が確立された場合におきましては、開拓申請關係においてはどうなるのか。このことは私は重大な問題だろうと思うのであります。山林開放、耕地としての適地であるところの山林あるいは原野を開放する場合におきましては、その所有者は開放させたくない。そのような氣持に立ちまして、もしもこの關係が明確になつておりませんければ、使用權の確立をかりにつくりまして、これに使用權が確立されておれば山林は開放できなくなつておるから、そういうな武器に使つてくる場合が大分今後に豫想されるまではないかと思うのであります。この關係が明暸になればその心配はないわけでありますが、この點についての關係はどうなつておるか、これをはつきりお答え願いたいと思います。
#17
○山添政府委員 どの程度に使用權の設定をするかということですが、私の考えておりますところでは、大體全國にわたつて廣く耕地の内容としておるところの、落葉をとつたり、あるいは下草をとつたり、こういうような使用權ははつきりした法律的の形體であるとか權利であるとかいう形にはなつていないでありましようと思いますが、あるいは慣行の權利として、あるいは慣行というところでいかなくても、事實上容認される状態として全國に廣くわたつておるのでないか。かような制度を設けますのは、一つには山林原野と農業經營との關係をなるべく集合的と申しますのは農家の側から見まして、たとえば協同組合であるか、あるいは部落の團體であるともいうところで、一定の計畫性をもつた使方をした方がいいのではないか、こういう勧め方をさせておるのでありますが、法律をもつて特にこういうことを規定いたしましたゆえんは、廣く行われておることについて、いろいろ争ひが現に少數の場合にあり、まま場合によつては今後もあり得るかもしれない。それはどういうとき起るかと申しますと、一つは山林の多い地帯におきまして、農地改革の進むに從つて、地主的な利益といいますか、制度といいますか、そういうものが山の方に立てこもる―というと言葉は強いのでありますが、山をエンクロジユアして、一切入れない、こういうことが起り得る、そのためにまた農地改革の精神とすることが行われるのに阻害を受ける、こういう點が一つ、そういう山の方から農地改革の目的とするところの事柄が阻害されないようにというのが一つであります。さらに一つは開拓をいたしますのにつきまして、地元の人が何といいましても、こういう資源を失うわけであります。それに對して何らか他にかわるところの資源を提供しなければならぬ、こういう關係を解決をしたい。現在まで調べておりますところでは、この山林原野の使用權の問題については、しかく問題が起つておるわけではありませんが、開拓等の行われましたところにおきましては、現にこういう問題が起つておるわけであります。しかし成り行きによりましては、いろいろまたこういう地方でだんだん問題が窮屈になりますと、こういうことについての争いが起らぬとも限らぬ。こういうことを考えまして、この立法をいたしたのであります。そういう點でありまして、權利の内容等につきましては全然新しいものを考えておるというよりも、山と農業經營とのつながりとしてできておる。またあるべきものということを内容といたしておるのであります。そこでどの程度にこの使用權の設定が行われるかということについてのお答えといたしましては、私の考えでは、廣くそういうものが實質的に全國にあるのではないか。それが何らかの争いの對象になるかということであれば、この上立法によつて措置をいたしていく、こういうように考えておるのであります。それから開拓豫定地との關係でございまするが、なるほど開拓未墾地を買收いたしますについての一番困難なる問題は、地元の農民の反對であります。その地元の農民が反對する理由は、燃料資材がとれない、もしくは肥料資源がとれない。こういう點にあるわけであります。そこで開拓なし得るようなものに、こういう權利を明確なる形において設定するということは、問題を困難ならしめる、そこで開拓豫定地にはこういうことをやらない、こういうことであります。
#18
○山口(武)委員 開拓豫定地には使用權の設定をしないということを言われましたが、しかしそういうことにはいかないと思うのであります、これが開拓されるというような可能性がある場合には、どんどん所有者の方でその關係の農民と連絡しまして、使用權を設定しまして、開拓を妨害するということも考えられるのではないかと思うのです、その點をはつきりしたい。もう一つはこれまでの關係におきまして使用權をもつておりました者に對しては、この使用權の設定がなされるわけであります。これから新しく開拓する開拓者につきましては、どういう方法でこの點がなされるのでありますか、この點をひとつ伺います。
#19
○山添政府委員 開拓適地にこういう權利を設定すればめんどうになるのでありますから、それは權利の設定をしないという方針を明確に申しておきたいと思いますと同時に、こういうことを處理いたしますのには絶えずここに「森林組、牧野組合、其ノ他省令ヲ以テ定ムル團體」とありますが、都道府縣における開拓委員會等の意見はもとよりこれをよく聴くのでありまして、關係方面が集つてその意見を聴いた上で處理をする。從つて開拓委員會の方でもそこに發言の機會があるわけでありまして、開拓方面のことを考慮してこれを進めるということはございません。それから新たに農業を營む人についての問題でありますが、あるいは問題でありますが、あるいは開拓者についても同様であります。これは使用權の設定という中には、現にあります。そういう人たちについての使用權の設定ももとより考慮されておるわけであります。これは全然新しい土地について使用權を設定するという場合もあります。それからまたその山野について既の農家が現にもつております使用權の中に割込ませるという場合もあるわけであります。割込ませると申しますのは、十分以上にもつておるその中に入れこんで、集合的に、計畫的に使う中間の一人に入れる。こういうふうな設定の仕方もあるので、當然そういうことも考えております。
#20
○山口(武)委員 そうしますと開拓豫定地には使用權を設定しないということをどういう方法でやるか。はつきりさしてもらいたい。
#21
○山添政府委員 それは法律の運用にありまして、行政上の方針としてこれは確立し、これを通達することはもちろんであります。同時にこの使用權の設定等につきましては、農地委員會がまず一應その申入に對して承認をする。と言いますのは、所有者と申入をする人との間に協議が行われる前に、市町村農地委員會が承認をするわけでありますが、その場合に開拓者等の農地委員會の意見も聴くわけであります。それに對してさらに裁定が行われる。これに對して都道府縣事の方で裁定をするというような場合におきましては、薪炭林等委員會の意見も聴わけでありますが、その中の構成員としては當然開拓關係の代表者も含んでおる。こういう意味であります。
#22
○大島(義)委員長代理 よろしゆうございますが。――それでは野原君。
#23
○野原委員 薪炭林の問題でありますが、これは今日の日本の薪炭の需給の状態から考えまするに、一つの考えなければならん問題がある。それはこの使用權の設定によつて、耕作者が薪炭の自家用のものを得られるということはまことに結構なことでありますが、同時にまた薪炭が今日非常に逼迫しておるのでありまして、ひとり耕作者だけが薪炭には不安がないということで、この點はよろしいかもしれませんが、もしこれが扱いを誤りますと、一般國民との間の均衡を失する場合が多いと思います。その點を政府はどんなふうに考えておられるか、非常に心配しておるのであります。現に最近開拓が盛んに行われてまいりまして、從來からあつた山村が、いわゆる既往農家が、自己の所有の山林でない場合でありましても、その部落の周邊にある薪炭林というものによつて、その薪炭を賄つております。ところが最近開拓によりまして、今まで得ておつた薪炭の給源地であつたその地帯が開拓地として開墾されると、すでに今日においてももう薪炭は非常に不足してきたというようなときにおきまして、部落の方たちの氣持から言いますと、さなきだに足りないところへもつてきて、また新たにはいつてきた開拓者の人たちも同時にまた同様の權利をもつということになつて非常に足りなくなる。みんなが足りないのだから公平にいけばよいわけでありますけれども、中には全然薪炭が手にはいらないというような非常に、農村として不健全な部落が生れつつある。こういう問題に關しましても農政局長の御方針を伺いたい。それかせこれは國有林に對しましてもどんなふうにこれをお考えになつているか、これは國有林に對しては適用しないのかどうか、これを伺いたいのであります。
    〔大島委員長代理退席、岩本委員長代理著席〕
今まではいわゆる委託林制度というものがございまして、從來から一つの使用收益の權利を權利を認めてまいつた。その中にはもつぱら薪材に對して伐採量の二分の一を地元受託者に譲渡するという契約であるのであります。なお用材林の場合におきましては、その枝條の收益、あるいはまた開拓林のごときは落葉あるいはまた採草というものに對する權利を認めてまいつてきております。ところで今回の修正の要旨から考えますと、自家用に供する薪及び木炭というふうなものに對しては、一つの權利を認めていくというような方針のように置えるのでありまして、そうしますと從來から國有林を委託林として扱わずに、地元特配として扱つてまいつた、いわゆる地元の自家用の薪材を處分に對しては新たに委託林制度を擴充強化するということでないと均衡を失するのではないか。民有林に對してはそうした使用收益の權利を認めておきながら、國有林の場合に對しては何も認めないということはあり得ないと思え。從つて何らかの形において、この委託林制度の擴充強化が考えられるということでなければ、これまた均衡を失する問題と思います。またその問題に關しましても國有林というものの性格から、單にそれは地元の人たちとは非常な密接な關係があり、地元の人たちに對して使用收益を認め、薪炭に不足せしめないだけの資材の供給は當然しなければならないのでありますけれども、同時にまた山林から非常に離れているところの都市の人たち、あるいはまた農村にしましてもその通り、山林のまつたくないような地帯に對しても、同時にまた資材というものを目當に生活している大勢の人たちがあることを忘れてはならぬであります。そういう人たちとの均衡をどうするかという點を考えてみませなんと、この薪炭問題に關しましては、山村地帯と山村にあらざる地帯との間にはなはだしく均衡を失するというような問題が起つてくるように思うのであります。その點ひとつお考えを伺いたい。
#24
○山添政府委員 現在どこでも非常に燃料に困つておりますときに、農家だけによけい燃料を供給するという考えはひとつもありません。農家がこの使用權の内容として燃料をとります場合には、十四條の三にあげてありますように、原木という字もあげてありますが、これはきわめて制限された場合に限るわけであります。通常の場合には枝條、落枝、そのほかの小さい柴草に類するような、柴だろうと思うのでありますが、原木についてち使用權の内容を設定いたします場合は、第十四條の五においてかような場合に限るということに限定いたしておるのであります。その一つは昭和二十年十一月二十三日以前にそういうことを内容とする權利をもつておつた、すなわち原木採取の權利をもつておつた、それが山の所有者から契約を解除された。その契約の回復をはかる場合が第一點、第二號といたしまして、從來慣行によつて原木の採取をする權利をもつておつた、その慣行をここに法律によるところの權利として明確化する。こういう二つの場合、もう一つの場合は本文の但書に「改令ヲ以テ定ムル場合」と書いてあります、この政令をもつて定める場合といいますのは、地元民が未墾地開拓のために、本來原木採取の權利をもつておつたのを、事實上失つてしまつた換地について、原木採取等も含むところの内容の使用權を設定するこの三つの場合だけを考えておるのであります。しからば原木採取についてのそういう使用權というものが廣くあるかといいますと、これはほとんど限られた地域だろうと思うのでありまして、たびたび申します岩手縣の名子制度でありますとか、あるいは中國の島根縣、あるいは岡山縣、ああいうところの山地にぼつぼつあります特殊の形態の小作關係、こういうところにあるわけであります。その他の地域におきましては、原木についてはこれは明らかに賣買でありまして、この賣買なるものをここの使用權にするわけではないのであつて、今まで通りここに使用權といいますのは、一種の斷續的な使用關係をいうのでありまして、お尋ねになりましたような事柄は起すつもりもないし、また起りもいたさないと思います。從つてかように申し上げれば、委託林の關係にも別段變更を來すことはないわけであります。もとより委託林という制度はなるべく地元民の便宜のようにやることが必要であり、これは戰争中相當やつてまいりました。現在でも廣くやつておりますので、この制度を特別に今内容を變えていこうという考え方は、實はもつておらないのであります。
#25
○野原委員 委託林制度に對しましては、さしあたり考えがないというお話でありますが、私はこの國有林の委託林制度というものは、もう非常に古い時代にきめられたものでありますので、この際林野の民主化という點からいいますと、ある場合においては委託林制度の擴充強化をはかる必要があるのではないかと考えております。なるほど戰争前から簡易委託林という名前でもつて、落葉の採取であるとか、あるいは薪炭その他の採草、いわゆる林業の主目的である材木に關する以外の他の一切のものに對する使用權ともいうべき委託林制度が、全面的に國有林に採用されまして、今日行われているわけであります。その點におきましては、まことに何ら不安もなく、まつたく地元の農村といたしましては、非常にその制度を喜んでいるわけでありますけれども、今日國有林というものの現状をみますときに、これは極端な場合かもしれませんが、東北におきましては、軒下から國有林であるというような所がまだ相當あるのであります。そういうような所に關しましては、あえてこうした農地調整法云々ということに限らず、新しい時代の流れと申しますか、時代の要請に從つて、何らかの形で國有林を開放されるということもまた一面において必要になつてまいるわけであります。從つて土地は國のものであるが、その山村の人たちが常にその山林に對して保護しておるというような箇所に對しましては、これに對して委託林として、地元の人たちにも相當程度の、せめて自家用の薪炭くらいはくれてやるというような、まことにうまみのある委託林制度でありますので、この制度を擴充強化する必要があるじやないか。從來からこの委託林制度は、原敬内閣當時に行われまして、非常に大きな構想で始められておりつたようでありますが、それが一部手をつけられただけで、大きな理想としての委託林の、その當時の政府が考えておられた國有林の開放という問題は、遂に實現をみずして終つておるのであります。その當時の日本と今日とはたいへん違つております。從つて新たな角度から委託林制度というものに根本的に檢討を加え、そして開放すべきであるならば、開放する。その開放の方法は、かつての國有林と地元の密接な關係に照らしましても、委託林制度などのもついろいろな點で、まことに好ましい關係をもつておりますので、この委託林制度に對して、使用權と申しますか、そういうものを認める。そして山村の人たちの生活を守つていくというふうにしていつたならば、まことに結構じやないかと思います。この際そういう意味合からも、この農地調整法というような法律が出ます時代でありますから、國有林の委託林制度に對しましては、あらためて御檢討を加えていただきたいと思う。念のために申し上げます。
#26
○山添政府委員 私先ほど申しましたのは、實は一般の地方における委託林制度という制度について、非常に廣く開放をやつておるという意味で申したのであります。東北地方におきましては、これは昔からたびたびお話のような所が指摘され、しかもそういうことが未だに繰返して言われることは、相當遺憾だと思う。これはいわゆる軒下山林等につきましては、やはり仰せの趣旨のようなことで、農林省としても考えていくべきことじやないかというふうに、私は思つております。私責任當局でもありませんけれども、御趣旨はよく傳えて、協議いたしたいと思います。
#27
○重富委員 先ほどからの御説明によりまして、また私の頭が多少混亂いたしてまいつたのでありますが、農地調整法に關連して、今の薪炭林問題が起つた。農地改革を促進するとか、あるいはこれに關連しての薪炭林の問題であるというふうに實は考えておつたのであります。言いかえますと、農地と一體となる薪炭林に關する問題であるというふうに考えておりましたが、お話をだんだん伺いますと、そうしたいのと關連のない、ただ薪炭を採るといつたような意味での使用というふうなことが、なんとなくこの中にはあるようにも思われるのであります。この點は農地と一體となる薪炭林、たとえば私どもの方でも慣例があります。山つきの田畑というものがありますが、それがこの農地調整法が起つて來ためにその田についておるところの山というものが切り離されてしまつて、それではその田もしくは畑の耕作ができない、こういうふうなことが起つて來るのであります。そういうものを救濟するために、この改正がここで行われたのであろうというふうに考えておつたのでありますが、先ほどからのお話を伺いますと、そういうもののみならず、生活上に必要な薪炭や炭を採るためにも、これはやるのであるというふうにも考えられるのであります。もしも後者で考えたようなことがあるといたしますと、先ほど野原委員から質問がありましたような、他の生活者との均衡を非常に失するものではないと思われます。またそうであつたならば、農地調整法の改正として出すべきものではなく、他の面で、論ぜらるべきものではないかというふうにも考えられますが、この點を一應明瞭にさしていただきたいと思います。
#28
○山添政府委員 この農用林の範圍をどの程度にみるかということは、非常にむずかしいと言うよりも、地方の慣習にもよりましようし、具體的にはしかと区別することはできないと思います。もとより權利の保護というような規定を、すなわち農地と同じように簡單に從來の使用權を解消することはできないというような規定も、かようなことが典型的に適用されますのは、おあげになつたような農用林であろうと思います。この法律全體としての建前は、たびたび申しますような岩手縣だとか、今おあげになりましたようなのも一つの例だと思いますが、そういうことだけに限定しておらないのでありまして、やはり農業竝びに農村との關係において密接不可分な關係をもつている下草であるとか、落葉であるとか、枯枝であるとか、そういう燃料、それから自給肥料の資源、それから家畜のために草を狩る、こういう廣い意味にとつているのでありまして、ある典型的な農地とそれから山を一括して契約の對象になつているというような場合だけを考えているのではございません。目的といたしまするところは、農業經營と密接不可分な關係にある範圍にわたつて農業經營の安定竝びに農家の生活の安定をはかつていくという趣旨であります。この事柄をそれでは法律體系として農地調整法の中に入れるのはどうであろうかという御意見に對しましては、もともとこれは今までは山林原野は包含しておりませんけれども、しかし農業上からみたところの放牧地あるいは採草地また農家の自家用の燃料採取のためにするところの薪炭林というようなものは、これは農地調整法の趣旨とするところからみまして、かつ同時にその手續等が同じような農地委員會とか何とかいうような點からみまして、この農地調整法の中に包含せしめるのが適當である、こういう考えでいるわけであります。
#29
○岩本委員長代理 本日はこの程度をもつて散會いたしまして、明日は午後一時から開會いたします。明日は本日の質疑の斷續及び大瀧亀代司君ほか二名提出の緊急食糧需給に關する特別措置法案、これを提案して議題といたします。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時二十四分散會
ソース: 国立国会図書館
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