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1947/11/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第54号
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1947/11/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第54号

#1
第001回国会 農林委員会 第54号
昭和二十二年十一月二十八日(金曜日)
    午前十一時十五分開議
 出席委員
   委員長  野溝  勝君
   理事 大島 義晴君 理事 寺島隆太郎君
   理事 岩本 信行君 理事 北  二郎君
      佐竹 新市君    永井勝次郎君
      成瀬喜五郎君    野上 健次君
      細野三千雄君    水野 實郎君
      野瀬忠兵衞君    小林 運美君
      志賀健次郎君    関根 久藏君
      圖司 安正君    寺本  齋君
      中島 茂喜君    堀川 恭平君
      田口助太郎君    野原 正勝君
      益谷 秀次君    松野 頼三君
     的場金右衞門君    山口 武秀君
 出席政府委員
        司法事務官   奧野 健一君
        司法事務官   國宗  榮君
        農林政務次官  井上 良次君
        農林事務官   山添 利作君
        農林事務官   伊藤  佐君
 委員外の出席者
        議     員 大瀧亀代司君
        議     員 明禮輝三郎君
        議     員 菊池 重作君
        專門調査員   片山 徳次君
        專門調査員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 農地調整法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第五九號)
 自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)(第八六號)
 緊急食糧需給に關する特別措置法案(大瀧亀代
 司君外二名提出)(第九號)
#2
○野溝委員長 會議を開きます。
 本日付託されております議題のうち、緊急食料需給に關する特別措置法案につき、一應提案者の説明を求めることにいたします。提出者大瀧亀代司君
    ―――――――――――――
#3
○大瀧亀代司君 われわれ國民が生存上絶體に必要であるところの食糧の配給が遅配缺配の場合は、これらの何らかの措置をとらなかつたならば、必ず餓死するか、あるいは自分の生命を維持するために、法規に違反して犯罪者となつてこの食糧を入手する以外に方法がない。こういうようなことが過去數年間におけるところの實情であるのであります。それでこれをこのままに放置しておくということでありますならば、それは治安の上においても、あるいは保健の上においても、道義の上においても、ひいては産業生産の上におきましても、憂うべき事態が惹起せられるのであるということを、われわれは非常に憂えておるのであります。私は辯護士でありますが、辯護士などの立場から見ましても、實に輕微な統制違反が、投獄され、罰金な處せられているという事實が多々あるのであります。また一面にはこれを非常に守つて、遵法していこうとするならば、せんだつても新聞にあつた通り、遂に判事が榮養失調にかかつて死ななければならぬ。こういうことになるということは、これは實に重大なことでありますので、缺配、遅配のあつた場合にその數量だけを何とか自由に買出しができるということになつて、こうした輸送その他の供出の不圓滑等によるところの缺陷を是正しなければいかぬのではないか。こういうことからこの法案を提出したのであります。それで、これは九箇條からなつているのでありますが、この國民食糧というのはどういうものをいうのか。今非常に統制がやかましいので、調味料が一回も配給にならぬというような場合には、やはりこれを買わせければならぬというような關係から、とにかく國民を犯罪者たらしめるということはいかぬという建前において、塩、みそ、醤油等もこの國民食糧、家庭用緊急食糧に加えたのであります。缺配遅配があつた場合には、配給所がその缺配、遅配を證明する。證明した場合は證明書と通帳を渡す。その通帳と證明書によつて、結局もつていた者よりこれは買うのだということを第七條に規定しておるのであります。實は供出完了者であつては―完了しない者でも都會において、隣の家からでも、あるいは近所から、どこからでも買つてもいいということでなければほんとうの緊急の用になさぬじやないか。こういうようなことも考えたのでありましたが、ただほんとうにそうやつたのでは、いたずらに統制方法を混亂ならしめるのではないかというような意見もあつたので、かような改めて出したのであります。もとは、こういうことであつてはなかなかほんとうの需給行為にならぬわけであつたのでありますけれども、完了者がこれに應ずることができるというふうに改めたのであります。こういうふうなことで、ぜひ現在の國民全般が死ぬか犯罪かというような、こうしたところの危急から救うということの意味において、どうしてもこれを速急に御審議くださらんことをお願いたして説明にかえようと思います。
#4
○野溝委員長 明禮君。
#5
○明禮輝三郎君 今大瀧君から説明されましたのに多少補充して申し上げたいと思います。こういう問題を考えました一つの理由と申しますか、動機をひとつお話して、皆さんの御参考に供したい。これはいろいろな事例がたくさんあるのでありますが、特に私どもが痛感したのは戰死者の未亡人が、自分の子供にお正月に多少でも白い御飯を食べさせてやりたいということから、ある日のこと未亡人が、自分で働きましたる多少の金をもちまして買出しに行きました。そうして買出しによつて子供にお正月に米の御飯を食べさそうというつもりであります。ところが折惡くし經濟警察にひつかかつて、その細君が警察に放りこまれたというのであります。そこで子供らは何のことかは知らないで、待つておりましたけれども、お母さんが帰つてこない。數日を經過いたしまして、いろいろ調べたところが警察にお母さんが留置されておるということがわかりました。まことにこれは氣の毒である。何とかお母さんにも、警察で御飯が食べられないだろうから、少しでもお握りでもこしらえてお母さんに上げようという子供心から、留守番をしておりました二人の子供が、百圓足らずのお金をもちまして買出しに行つたそうであります。これが村山貯水池の近所であつたそうであります。ところがその買出しに行きました子供が、百圓足らずの金をもつておるのでありますから、それだけの金を提出して米を賈つてくれと言つたならば、あるいは賈つてくれたかもませんが、子供であつたから、一升賈つてくれと言つても百圓足らずの金を出したので、どこも賈つてくれる人がなかつた。そこでその子供たちはあちらにさまよい、こちらにさまよい、二、三軒、4、五軒歩いているうちに、大きな屋敷にはいつた。大きな屋敷の表門をたたいたのでありますが、一向返事がない。それから裏へまわつておばあさんに頼もうというので、裏門の臺所にからのぞきますと、臺所にも人影がない。ところが戸が開いておりますから、米びつらしいものがあつた。そこに米が三粒、五粒とちらばつているのを見まして、遂に惡心を起しまして―惡心というほどではありませんけれども、何とかして警察におるお母さんにお辯當をこしらえてあげたいという一念から、その米びつを開けて二、三升の米を持ち出したというのであります。遂にその子供が門前に出たところを、折惡しく帰りがけました家人に捕えられまして、またこれが警察に連れていかれた。實はかくかくのことでございますと言いましたが、なかなかそれを許してくれない。遂に一晩留められたのでありますが、實情を話したところ、お母さんがほんとうに捕えられているということがわかつて、それでは氣の毒だということで、さられた人もその子供に同情してその米を與えた。そうしてその米を子供はもらつて帰つて、お母さんにお辨當をこしらえてもつていつたという實話があるのであります。これは實話のお話でありますが、私どもお互いに提出いたしておりまする辨護士の仕事をしている者は、始終こういうことに出つくわしておりまして、殊にこういう社會の最も救わなければならぬような立場に置かれている戰災者の未亡人のごとき人が、かくのごとき状態に置かれ、また子供がそういうような状態になつたということを、實に氣の毒だと考えて、いろいろ考案いたしました結果、かくのごとき法案を案出いたした次第であります。この法案の中で多少の御意見はもちろんございましようと思いますが、さような實例によりましてこの買出しを許すということができますならば、非常に困つておる人々がどれぐらい助かるかわからない。またそれが今日の實情に合うのではないか。こう考える次第でありますから、この點を十分御了承願いまして、どうかでき得る限り通過いたしますよう、御盡力を賜わらんことを切望する次第であります。またこれによつて、農林委員會の方々は專門の方でありますから、證明書をどうとか供出完了をどうとかいうこと、證明書に全部記入されれば配給超過にならないということ、あるいはこれによつて買出しをしましても、賣る人が小包米あるいは救援米のように登録をしない制度にいたしますから、登録制度をやらない點において、賣る人も賣り得るということを考えておる次第であります。この二、三を補足いたしまして、附け加えて申し上げた次第であります。
#6
○野溝委員長 本案の質疑は後刻にいたすことにいたします。
#7
○野溝委員長 本日議題になつております農地調整法の一部を改正する法律案、自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案についての質疑を斷續いたします。それに對して委員外の菊池議員より右法案に對する質疑の申出がありましたので、これを許すことにいたしたいと思います。菊池議員。
#8
○菊池重作君 農地改革も大分どこでも進歩したようであります。茨城縣におきましても大體九〇%近く進んでおるようであります。しかしながら全縣的に平均に見とそうですが、中にはまだ三〇%あるいは二〇%というような、きわめて低調な所があるのであります。こういう状況にある村はいかなる事情であるかということを調べてみますと、それは地主の農地委員が委員長であつて、自作農の農地委員がこれに同調をいたしまして、不在地主の土地買上を行つた後には、ほとんど委員會も開いておらないというような所が多いのであります。その他すべて成積の惡い所を見ますと、いずれも地主の農地委員が委員長をしておる所が多いのがあります。どうしてこういう結果になるかと申しますれば、申すまでもなく、地主の作意的な運動によりまして、自作農の農地委員を抱きこみまして、この農地改革を妨害しておるというのが事實なのであります。どうして地主の農地委員が農地改革を妨害するかと申しますれば、これはその立場から言つて當然そうなると思われるのであります。元來土地を所有いたしまして、これを小作人に耕作せしめ、その小作料によりまして生活を維持しておるのであります。從つて土地を所有することによりまして、自分の生活は安泰なのであります。ところが農地改革によりましてその生活の基礎を脅かされるというところに、地主が農地改革を喜ばない必然的な理由があるわけであります。從つてこの農地改革を喜ばないところの、農地改革を欲しないところの者を、農地委員にしておくというところに、その缺陷があるのであります。最もむずかしいところの在村地主の殘つておる土地の買上にかかるのでありまして、どうしてもこの農地委員會内における、そうした農地改革を妨げるところの要素を取除かない限りにおきましては、急速にこの農地改革を斷行することは、きわめて困難な事情にあると思われるのであります。かような立場から考えまして、私どもは今後の農地改革を進める上におきましては、どうしても農地委員というものをなくしてしわなければならない。これが先決問題であると考えるのであります。それに自作農の農地委員でありますが、自作農の農地委員は農地改革にはほとんど關係がないので、非常に熱意がない。從つてこれも農地委員としての任務を遂行する上においては、その熱意が缺けておるという點から必要がないと考えられるのであります。強いてフエヤプレーの立場から自作農の農地委員が必要であるとするならば。純粹の自作農を一人あるいは二人だけにいたしまして、自作農の農地委員は一人減らす。それから地主の農地委員は全廃すべきである。かように私は考えるのであります。この點につきまして農政局長の御意見を承りたいと考えるのであります。現在の農地改革の進行状態から言いまして、ぜひとも現在の農地委員の構成を至急に改變しなければならない。かように考えておるわけであります。もう一つは、これはもう同僚議員から質問が出たかとも思いますが、一町歩の保有地主というものは、現實的に見ましても、將來の見透しから考え
ましても、全然意味をなさないものである。しかも農地改革の上において、この一町歩の保有地主というものを認める上におきまして、非常に農地改革を阻害しておる。これは保有地のあすこをおれが保有するとか、あつちがいいとかいうような選定條件におきましても、農地委員會との摩擦が非常に多い。こういう點から考えましても、農地改革を妨ゲるところの一つの要素である。かように考えております。なお一町歩地主が一町歩を保有しておつても、ほとんど經濟的に意味をなさないし、もつておるということに對して、今後増産にも何らの影響もない。かえつて増産を妨げるという結果になりますので、この一町歩の保有を全廃いたしまして、地主は全然なくしてしまうということが好ましいことである思いますが、この點も農政局長の御答辯を願いたいと思うのであります。以上であります。
#9
○山添政府委員 農地改革の進行状況は、現在までに約七十萬町歩の買收を終つております。この年度内すなわち三月末日までにおきましては、財産税で物納されました農地も合わせますと、百三十萬町歩にはなるだろうと思います。從つて全體としての成積といたしましては、決して惡いとは考えておらないでありますけれども、所によりましては、特に山間部等まだこういう改革に關する思想ないし意識の滲透していない所もありまして、お話のような場合もあろうと思つております。これに對しましては、何しろ全國すべての町村にわたることでありますので、この思想の徹底竝びに仕事の進歩については、指導と監督勵を加えておりますけれども、いきかねておる點が多々あることは認めておりますので、そういうお述べになりましたような村に對しましては、今後ともにそういう所に主力を注いで、農地改革遂行の仕上げをしたいという考えをもつております。しかしながら、そういう指導であるとか、あるいは啓蒙宣傳、こういうような方法だけではまいりません場合も豫想され得るわけであります。その場合にそうした地主の委員を全廃するとか、あるいは自作出身の委員の數を減らすとかいう事柄は、全然考えてもおりませんし、また適當でもない。やはりこれはパブリティーの原則によつておりますが、そういうそれぞれ立場を異にした人が委員會を構成し、そこでデスカツシヨンした上で、最も適當なる、公正なる結論を得るという仕組みについては、これはそれがいいと思うのであります。しかしそうは言いましても、どうしても動かぬというような場合には、これはおのずから一種の非常手段をとらざる得ぬわけであります。その場合の措置といたしましては、これは法律上のことでございますけれども、村の農地委員會でどうしても働かぬというときには、府縣の農地委員會が事務を代執行するという規定もございますし、また新しき改正法におきましては、第十五條の三に規定を設けて、農地委員會の解散を命じ、新しく選舉をやり直す。こういう途もありますし、その點につきましては、この農地改革は法律に定められた通りに必ず正確に、巖密に實行するという事柄は變りはないわけであります。その點につきましては御助力を願いますとともに、政府におきましても、これが非常に不正確な行われ方があるというような場合、決して放つておく事柄ではございませんと考えます。
 その次に一町歩保有を全廃したらどうかという御意見であります。この點につきましては昨年、現在の農地改革の法律制定の場合、さんざん議論をされたところでありまして、これを今繰返すことはいかがかと思いますが、説明といたしましては、結局農家の自家勞力にも消長があり、從つてその耕作面積もおのずから異動がある。また今後における農業經營の發展ということを考えてみれば、そこに土地に關する彈力性も認めておく必要がある。こういう意味から碁盤割りにしたような、きちつとした動きのつかぬものにすることは、かえつて農業の發達にとつてぐあいが惡いじやないか。また實際の農村の勞力事情と土地との關係が、ゆとりがあまりなさ過ぎるということは、かえつてぐあいが惡いじやないか。こういう意味において一町歩の保有ということが認められたのであります。もとよりその關係上、事務が煩雑になるかとか、いろいろな點はございます。けれども、いかなる土地を地主の保有として認めるかということは、これは地主の立場のみを考えて決定するということでなく、委員會が獨自の立場で判斷し、決定する。しかして委員會の基準といたしますところは、これは法律にも、農地所有、田と畑との關係の比率をよくするとか、いろいろ基準が書いてございますが、それに從つて政府が買收すべき農地が決定するということになつておるのであります。今この問題について從來の方針を變更するという考えは、實はもつておらないのであります。
#10
○大島(義)委員 ただいまの菊池委員からの質問にも關連がありますので、私はこの際伺つておきたいと思います。今菊池君の、耕作地主の所有する一町歩の土地を開放する考えがあるかどうかという點に關連して御質問申し上げたいのですが、昨年の農地開放、自作農創設措置の設定後における農地問題の取扱いに關しましては、私どもの考えでは、耕作地主と申しましても地主にもいろいろな段階があると思つております。たとえば町なり村なりで相當の商賣をしておる。しかも町村に在住するために、これらの人々は一町持つておる。こういう地主と、また村のまん中にあつて、まつたく農業よりほかに生活の途のないような地主と、この二つの区別があると思うのであります。從つて私どもは、他に生活の保障のある地主に對しては、これは全面的に開放すべきである。また村の中にあつて、農業をする以外に生活の途のないという地主に對しては、その當該町村の組織ある農民組の力によつて、その地主が農家としてできるように、土地の返還をわれわれは進んでいたしておるのであります。平均耕地に達する面積までこれを返還をしておる事實もあるのであります。さらにまたその地主の庭が非常に廣いために、村の申合せによつてその地主の庭を利用して共同作業を行う。あるいはその倉庫を利用するとか、農村工業のいろいろな面の仕事を、その廣い邸宅を利用してやるとかいうようなこと、私どものこの行き方がかえつて村で非常に効果をあげておる事實がこれを證明いたしておるのであります。從いまして、私どものいう耕作地主のあとの一町を開放しろということは、實際農民として以外に途のないという人の土地を取上げろいうのではなくして、他に生活の根據のある方、重役であるとか、あるいは商いをしておるとかいう、土地をもたなくてもいい人々の土地は、開放してもらいたいということをわれわれは言うておるのでありまして、これは誤解のないように御了解を願いたいと思うのであります。こういう指導方針で著々成功しておる實例が非常に多いのですから、單に耕作地主の一町を取上げ、開放させろということを申しましても、實情に即した、以上の見解によつて耕作地主の一町を取上げるということを御了解願つて、これに對する御見解を承りたいと思うのであります。なおまた農地の開放は、最近できた協同組合法の設定もその通りでありますけれども、先ほど申し上げたように、かえつて地主の廣大な邸宅を利用して、その部落における協同組合の精神というものを十分發揮できるので、これをわれわれはむりに遂行しようということは一つも考えておりません。しかも合理的にかように行われるような傾向が非常に多いのでありますから、これに對する御見解をこの際承つておきたいと思うのであります。
#11
○山添政府委員 私が制度としての從來の方針をかえないと申しましたのは、この法律の規定その他によるところの國家權力を背景としての制度においての意味でありまして、元來そういう強制力を伴わない立場においての耕作地の全面開放、さような運動が自主的に行われ、また地主の方も進んでそういう運動に同調するということで行われることにつきましては、もとよりこれは贊成をいたしておるわけであります。のみならず法律の上におきましても、地主の方で進んで土地の買收を申し出るならば、政府はこの農地改革の對象として買收するという規定も設けておるようなわけであります。從つてただいま大島委員がお述べになりましたように、一口の地主と申しましても、そこにそれぞれ事情の違う人もあるのでありましようから、實情に即しつつ合理的な方向において、今のような全面開放の運動が行われるという事柄は、私どもはもとよりそれは適當だと思つております。制度としての小作地を認めるかどうかという問題になりますと、これは現在の第二次土地改革完了の後において、またそのときの情勢に即し、また農業經營の將來のあり方等をもにらみ合わせて決定すべき問題でありまして、そのときにおきましては、これは想像でありますけれども、おそらく農業經營そのものの形と關連性がなければ自作農創設をもととしての全面的な小作地の解消ということではなくして、おそらくそういう所有權の問題以外に、農地の團體による管理であるとか、あるいはまた農地の公性、公共性の高揚であるとか、そういうような方向において、全體的な農業經營の形態に即しての土地の管理、ないしは土地使用の調整、こういうことが行われるのではないかというようなことを考えておりますけれども、これは將來に關する問題でありまして、當面のわれわれの仕事といたしましては、この第二次の農地改革を完全確實に行うこと、併せて今のような意味における自主的な動きにつきましては、これはもとより結構である、こういう建前をとつておるわけであります。
#12
○野溝委員長 成瀬君。
#13
○成瀬委員 自作農創設措置法の第五條の點につきまして、簡單にお尋ね申し上げたいと思うのであります。今日の農村民主化のために、また食糧増産確保のためにおきましても、農業技術革命の面からいたしましても、その面に活動するところの農事試檢場あるいは學校指導農園等に對しては、全幅の敬意と贊意を表しておる次第でありますけれども、戰時中において、また現在において、こういう學校の農園なり、また農事試檢場の運營状態においていかがわしい點が多々見受けられ、苛烈なる供出制度のもとに、常に全國の農民がこれらの農場における收穫物の處分について、著しき不滿を各所に見出しておることは事實でありますが、かかる見地において私どもはその一の、「國又は公共團體が公共用又は公用に供してゐる農地」次の「都道府縣、市町村その他命令で定める團體の所有する農地で自作農の創設又は共同耕作の目的に供するもの」この二つの點について特にお尋ね申し上げたいのは、これらの公共團體がはたしてこの縣におけるところの必要なる主要作物の用に供してやつているかどうかというような點、またその收穫されたものが明らかに處分されているものであるかどうかという點について、御参考までに申し上げ、政府としての御所見を承りたい。ある農事試檢場においては柑橘等の樹木作物の試験地でありながら、雑草を生やして何らその使命をしておらない。またその縣においては、消費縣であるにかかわらず、不つり合の農事試檢場を二つも三つももつており、それらの試檢場の田畑が有数に使用されておらないというような點も見受けるのであります。また學校菜園においても、收穫されたものがもつぱら職員の私的な使用のために費消されているというようなことが、しばしば非難されてきておるのであります。この食糧の困難な時期において、これらの農事試檢場あるいは學校農園に携わる人たちが、國家公共という立場をよいことにして、かようなことの行われるということは見逃すことができません。かような見地から、これらに對しては縣の農地委員會あるいは市町村農地委員會の監査のもとに、適當なる批判をもつ、あるいはそれらの内容について干渉するというような方法をおもちではなかろうか。現在政府がこれらの方面に對する監査の方法はどういうふうになされておるかもしりませんけれども、今まで行われているあらゆる弊害は、以上のような地方農民の怨嗟の的になつておる。從つてこれらに對する弊害除去のために、また適正なる農場地、いわゆる試檢場地を確保するという意味においての御所見を承りたいと思います。
#14
○山添政府委員 第五條第一號及び第三號の點について主としてお述べになつたものと思いまするが、後にお述べになつた學校の實習用地については、これは眞の學校の教育目的達成のために必要な場合で、かつその範圍に限らじ、これを相當綿密に考慮して決定するということに指導いたしております。それから府縣等がもつております農事試檢場の用地でごづいまするが、これはいずれの農事試檢場においても、そう廣大なる用地をもつておる例はほとんどどないと思いますが、しかし戰争中非常に勞力が足りなかつたというようなことのために、ある部分その試檢研究の目的に供する作業のやり方が周密でないというような場合も、ときにはあろうかと思います。しかしながらこれを試檢研究の公の目的以外に、いわゆる家庭菜園的に使つておるか。そういうこともあまりあるまいと思いますが、私どもには事情がよくわかつておりません。もしそういうことがありますれば、そういうことのないように、十分その本來の試檢研究の目的が達成されるように、農地の利用について指導いたしたいと思つておりますが、こういう試檢場の農地では、むしろ通常の食糧増産の方に轉換した方がいいという農地があるのではないかというような御観察につきましては、これは私どもは違つた観察をしておるのでありまして、今後農業において國家が最も重點をおいてやろうとしておる仕事は、結局科學技術を農業に取入れること、一般の農民の間における技術水準を高めること、すなわち技術浸透の施設に重點をおこうと考えておるのでありますが、そのために府縣の試檢場は、國が成果を得ました基本的な試檢研究の結果を、地方に應用する試檢を中心にしてやつていこうというのでありまして、なるべくならばいろいろな試檢場を統合して、農民指導、農家に直接普及すべき技術の確立をはかつていく。こういう大きな使命をもつており、ここに指導に當る人、また試檢に當る人につきましても、現在とは比較にならない程度の多くの人員を充實してやつていきたいという考えをもつておりますので、そういう構想から申しますと、現在の用地でも、おそらくいずれも狭きに失するというので不足に苦しむ。さればといつて今の農地の問題は非常にむずかしいので、自由にとることはできませんが、そういう程度に考えておるのであります。しかし現に使われておる試檢場については、十分に注意いたしたいと思います。
#15
○細野委員 私は司法省に對しまして、農地改革の仕事は、單に農林省だけの仕事とするには、あまりに大事業でありますので、他の各省の使用者なども、この農地改革については當然協力されなければならぬ。しかるに實際においては司法省というふうな關係のものは、農地改革について非常に無關心である。あるいは間違つた、行過ぎた場合もあるのでありますが、そういう關係で司法大臣の御出席を求めて、その御所見を伺いたかつたのでありますが、數日來御出席を求めても御出席がないところを見れば、司法省の農地改革に對する熱意を疑うものでありまして、はなはだ遺憾であります。
#16
○野溝委員長 細野君に申し上げます。大臣は見えておりませんが、民事局長が見えておりますから…。
#17
○細野委員 民事局長は見えておりますが、私は刑事關係についても實はお尋ねしたいのです。まず奥野局長に農地委員會と裁判所の判決との關係についてお尋ねしたいのであります。たとえば自作農創設特別措置法の第五條によつて、自作を相當ならず、すなわち土地を取上げてはならないという決定を農地委員會がなした場合、その地主がその決定に不服である、自分はその農地委員會の決定に從わない、自分は自分として權利があるのだというわけで裁判所に訴えると、裁判所が農地委員會と全然矛盾した判決をする場合が、往々ないのであります。農地委員會の方は、主としてその取上げた地主が、自作するだけの能力、設備があるかどうか、肥料があるか、種子があるか、牛や馬をもつておるかどうか、自家勞力があるかどうかというような、營農の立場に關連して、そういう決定をする。裁判所の方はただそういうことにお構いなしに、權利義務があるかどうかという見地からのみ判決するのでありましようが、少くともそういう矛盾した結果になる場合が往々にしてあるのであります。こういう場合に、結局農地委員會が一生懸命になつて、村の事情に副うた決定をいたしましても、裁判所の判決でそれと違つた判決ができますれば、農地委員が苦心した決定は無効になつてしまうのであります。これは非常に困つた問題で、何とか農地委員會の決定の方を判決よりも優先させることの方が、村の事情によく副うと思うのでありますが、そういう點について司法省はどういうふうな御見解をもつておるか。この點まず第一にお尋ねいたしたいのであります。
#18
○奧野政府委員 ただいまの御質問は、農地委員會等で買收の手續きを決定いたした場合に、それに對して訴訟を起したとき、裁判所の方でどういうふうにやるかという問題と心得えます。今年は行政裁判所になりまして、從來司法裁判所と言われておつた裁判所で、すべて行政事件をも取扱うことになつてまいりましたので、たとえば行政官應あるいは農地委員會等のいろいろな行政的な處分に對しても、それがもし法律に違背しておる違法の處分であつた場合には、やはり裁判所にこれが取消し變更等を求めることができるという解釋ができるのであります。しかしながら裁判所におきましては、そういう處分が法律に違背しておるかどうか、違法なりや杏やという點にもつぱら調査を進めて裁判をすることになりますので、もちろん農地委員會等で調べた事情についても、證人その他の方法でよく調査いたしますが、裁判所としては、もつぱらいろいろな行為が適法なりや杏やという面に主力を注いでやるのであります。そういう意味で、ある場合においてはその地方地方の事情と違つておるという御非難を受ける場合もあるかと思いますが、純粹に法律的に違法であるかどうかという點をもつぱら審査いたすことになつておるのであります。
#19
○細野委員 私は主として刑事局長にお尋ねしかつたのですが、刑事局長がおいでならぬので、民事局長で御回答願い、御回答できぬものはお取次を願つて、あしたでもお答え願いたいと思います。第一は、昨年自作農創特別措置法の委員會において問題になつたことでありますが、農地調整法の第十七條の四竝びに五についてであります。終戰後の土地取上げは、昨年のあの當時の政府の發表では、表面に現われただけでも二萬數千件に上るだろうという御答辯があつたのであります。それだけの數多くの土地取上げがあります中に、農地調整法に違反した、すなわち農地委員會の承認を得ざるところの、罰則にひつかかる件數がどれだけあるか、どれだけあつたかという質問に對しまして、今の佐藤事務官は、その當時刑事局として一件もない、二十五萬件もあります土地上げの中で、違法なものは一つもないという御答辯であつたが、そんなはずはないのであります。われわれの見聞しておりますのでも、市町村農地委員會の承認を得ざる不當な土地取上げがずいぶんあるのであります。これは結局司法省がこの規定の勵行に冷淡であつたということを意味するので、當時刑事局長もこの點については勵行するこいう御答辯があつたのであります。それで私は、第一にこの違法なる土地取上げで處罰された事例がどれだけあるかということをお尋ねしたいのであります。それから第二點として、昨年の四月一日から小作料の金納制が實行せられるようになりました。この金納制の違反してもやはり罰則があるのでありますが、實情はどうかというと、これはこの委員會でもしばしば問題になりましたように、この農地改革によりまして、地主さんの方は一石あたり七十五圓のほとんどまつたく僅少の金額しかはいらぬ。しかも所有地は一町歩の制限があるのでありますから、かりに一段歩一石として七十五圓の十石、七百五十圓の收入しかはいらない、結局米がはいらないから、正月になつてももちも食ベられない。實際に金納制を實行すればそういうことになる。小作人の方でみるにみかねて米をもつていく金納制であるにかかわらず、それが實行されておらないという事實が非常に多い。小作人が地主が氣の毒だというので進んで米をもつていくという事情もあるのであります。そういうのは非常に宥恕すべき實情であると思いますが、そうでなくして、まつたく金納制を地主の方から破つて、物納を條件として強要しておるという實例があるし、何とか米そのものを手に入れたいために、刈りわけ耕作という慣習がなかつたのを、そういつた契約があつたことく假装する。そういつたような脱法行為によつて、この金納制を免れよう。こういう事例をしばしば私どもは聞くのであります。この金納制違反によつて處罰せられた實例がどれだけあるか。こういう點について、司法省はどういうふうな取締りをしておられるか。こういう點を第二點としてお尋ねしたいのであります。それからさらに私が實見した例でありますが、農地委員會が農地委員會自身の權限においてある決定をくだす。たとえば地主を不在地主なりという認定をしてその手續をする。そうして土地の買收計畫を立てる。しかるに地主がその決定に對して不服であるというわけで、その農地委員會の決定を公文書偽造なりとて告訴した實例があるのであります。これは農地委員會が自分自身の獨自の見解で、正當なる職務としてこういう認定をくだしただけなんであります。これを公文書偽造とするなんということはもつてのほかで、問題にならぬと思いますが、これを公文書偽造の犯罪の嫌疑ありとして、一應取上げた警察署がある。かようなことは、一方において司法省關係はこの取扱いに對して非常に無關心であると言われておりますが、片方に間違つたいき過ぎがある。こういつた點について一應司法省の御見解を伺いたいのであります。
#20
○奧野政府委員 それではその點は、後刻刑事局長からお答えいたすようにいたします。
#21
○細野委員 なおいろいろ實例についてお尋したいのですが、司法省に對する質問は一應この程度にして、次に農林省にお尋いたします。自作農創設法の第四十條、政府が買收した「土地の開發については、他の法令中命令で定める制限又は禁止の規定は、これを適用しない」とありまして、「他の法令中命令で定める制限又は禁止の規定」というのは自作農創貫特別措置法施行令の第二十八條に、河川法の一部、森林法の一部、牧野法の一部、砂防法の一部等が掲げられております。たとえば河川法第十九條の「流水の方向、清潔、分量、幅員若ハ深淺又は敷地ノ現状等ニ影響ヲ及ホス處アル工事、營業其ノ行為ハ命令ヲ以テ之ヲ禁止若ハ制限し又ハ地方行政權ノ許可ヲ受ケシムルコトヲ得」。こういう制限規定は農地開發の場合に適用しない。あるいは森林法の二十六條、保安林における木を伐つたり開墾したりできぬということになつておりまする、その禁止規定は適用しない。これは今夏の水害について非常に開墾が問題になり、宮城縣の代表者が局長の部屋に行きましたときに、私も一緒に國土計畫委員會から行つておりまして、偶然一緒に陳情を聴いたのですが、水害の原因は開墾にあるということを宮城縣の代表は言つておりました。私はかような保安林であろうが何であろうが、この制限禁止を除外するという第四十條の規定はどうも少し行過ぎであるように思いますが、この點について政府はどのようにお考えになつておりますか。全然これを適用しないということでなしに、何らこれを緩和し、ある程度制限をするとか、何らかする必要があると思いますが、まず政府のお考えを伺いたいと思います。
#22
○伊藤(佐)政府委員 今まで参議院の方に呼ばれておりまして、きようこちらの方の材料をもつてまいりませんので、詳細はおいて御説明いたしますが、現在措置法施行令の二十八條に、たしか廃除する、適用しない場合をあげてあるのでありますが、これらの事項はいずれも知事の權限に属することでありまして、同時に開拓計畫の農地委員會で決定されたものを認可いたすのは、知事がいたすことになるのであります。從つて手續を二重にするということを省く意味において、これらの規定を一應廃除いたしまして、知事が開拓計畫を認可いたします際に、これは不適當であると思えば、これは認可しない、變更を命ずる、こういうことになるわけです。
#23
○細野委員 同じく牧野といいますか、この關係についてお尋ねしたいのでありますが、今水害問題などが起りましてから、山の緑化、造林というようなことが非常にやかましく言われております。その一番重要な點は、まず第一に苗を完全に手に入れるために、苗圃を確保することが非常に重要點であると思うのでありますが、この苗圃というものは非常に肥料を要する。かつ毎年のようにその苗圃を使うわけにはいかぬので、數年間土地を遊ばしておかなければならぬ。從つて現在苗圃であるものはもちろん、苗圃たるべき土地、苗圃とすべく豫定して遊ばしてある土地、こういつたものは完全に私は確保しなければならぬと思いますが、そういつたものはややもすれば土地の狭い日本でありますから、目をつけられやすいのでありますが、そういうものはこの農地の中から除外されてあるのでありますか。この點をお伺いいたしたいのであります。
#24
○山添政府委員 苗圃は農地でありまして、農地として取扱つております。しかしながらお話にありますように、今の造林をいたしますのに、どうしても苗圃がやはりもとといいますか、苗木の問題を考えなければなりませんので、苗木生産には差支えのないような方法をとりたいという考えであります。そこで一つは、現に使つているところの苗圃、これはその中には本來苗圃たるベくして、現在は休閑地になつているものも含めての意味でありますが、山林經營のためにどうしても必要な範圍におきましては、これは法律上うわゆる適正なる經營として必要な限度は殘すというような方法をとりたいという考えをもつております。またそうでない場合、國の買上げの對象となりまして、國が、これを他の小作者に賣渡す場合においても、その條件として、今後一定年間必ず苗木の育成に使用してもらうというような條件を附するとか、ともかくいずれにいたしましても苗圃の問題は重大でありますので、いろいろ關係方面との連絡をして研究をいたしておるのであります。農地改革法はこれに適用する。しかしながらその範圍内において種苗の供給にはなはだして手違いが起らないようにいたしたいというので、打合せしておるわけであります。
#25
○細野委員 農地改革はなお實施の途上にありますので、見ておりますといろいろ問違つた行為が行われておる事例が非常に多いので、なお政府の方においても今後とも一層努力をされるようにお願いしておきたいと思うのであります。最後に、農地改革問題につきまして、いろいろ農民の人が役所なりなんなりに手續をしたいと思います場合に、代書料が非常に高い。ちよつと物を一枚書いてもらつても三百圓、二百圓といつてとられる例がある。こういう點で私はもう少し何らか手續を簡素化することについて、政府が考慮を拂つていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終ります。
#26
○山添政府委員 そういう事實があるとすれば、これはやはり農民に非常な負擔をかけ、從つてまた農地改革の精神にももとると思いますので、これは何らかそういうことを改善すべき方法については十分考究をいたしたいと思います。なおこの機會にちよつと申し上げておきますが、先ほど刑事事件の件數について成瀬委員より私に答辯を求められておるのであります。戰争が終りましてから農地調整法關係で違反としてあげられましたものは三千四百件ございます。しかしその原因の内譯は實は今までの統計には分析をいたしておりません。この九月から原因に統計をとつております。その資料はあつたのでありますが、ちよつと記憶しておりませんが、土地取上げの分がたしか六十四件、こういうようなことになつております。
#27
○岩本委員 薪炭林、採草地の新しく使用權利設定の協議を求めることができるという問題でありますが、落葉下草については、既往にそうした關係がなくても、新しく全面的に向つてこれは設定の協議を求める趣旨のように今まで答辯せられたようでありますが、そういうことであるかどうか。しこうして薪炭林の原木につきましては、山林保護の見地からきわめて制限される。こう要綱に出ておりますが、今までその地のお方の質問に對してお答えもあつたようでありますが、きわめて制限されるという點についての、はつきりしたところをお答えお願いたいと思うのであります。もちろん原木についても、昭和二十年十一月二十三日現在に契約ができておつたものは、これは使用權の設定をするのだということであり、その後においてもすでに設定が話合がついてできておるものは、この際確認をするのだということのようであります。要はそれ以外、今まで設定のなかつたものを協議を求めることができるというこのことは、これは原木についてきわめて制限されるという、この意味についてはつきりしたお答えを願いたいと存じます。
#28
○山添政府委員 落葉、下草につきましては別段の制限はございません。廣い意味であります。原木についてはきわめて制限をいたしておりますことは、第十四條の五という規定に書いてあります。その内容はどういう場合に認めるか。すなわち次の場合に限るのであります。第一は、昭和二十年十一月二十三日當時に原木を採取するところの權利をせつておつたその人が、山の所有者から權利を解消された。これを復活する。この場合が一點。第二點は慣行によつて原木を採取する權利をもつておる。これをこの際明確にする、何らかの紛争がありまして權利内容を明確にする。從つて協議をし、ここに法律に書いてあるような權利の設定ということになる。こういうのが第二點第三點は第十四條の五の本文の但書に、命令をもつて定むる場合としてあるのであります。この命令の中に書きますのは、現にそういう原木を採取する權利をもつておるところがある。ところがこれが開拓用地として買收をせられて、開拓されて、すなわち權利を失うその地元の人たちに對して、他の土地について前もつておつた原木採取の權利を設定する。こういうことであります。さらにもう一つの場合は、これは新しい權利の設定。具體的には山についての設定ではありませんが、現に原木を採取する權利をある山について數人の人がもつておる。それにさらに數人の人が割込ませる。こういう場合、これだけに限るのでありまして、いずれを通じてみましても、從來慣行なり、縁故の關係によつてそういう權利がある、もしくはあつたという場合に限定するのであります。
#29
○岩本委員 はつきりわかりましたが、そういう場合のほかは認めない。こういうことでありますと、原木につきましては、そうすると既往に權利のあつたものに限る。こういうふうに解譯して差支えないように聴取れますが、そういうことに了承してよろしゆうございますか。
#30
○山添政府委員 山についてか、人についてか、ともかくそういう既往にあつた場合に限るわけであります。
#31
○野原委員 第十四條の八に、都道府縣薪炭林等委員會の意見を徹することを要するということがうりますが、この薪炭林等の委員會というのは、規定は別に政令をもつてこれを定むとありますが、大體どんな構成になりますか。
#32
○山添政府委員 薪炭林等委員會のメンバーは、森林組合の代表者、それから畜産關係の代表者、開拓關係の代表者、それに農地委員の中から人が加わつて構成をいたします。
#33
○野原委員 この第十四條の三項から引續いていた問題でありますが、この土地及び立木の所有者が、この使用權の設定に關する協議を受けた場合に、いろいろと段階を經て、結局この權利が認められるという規定の條項が列記してございますが、私ども今までの農地改革のいき方が、ややもすると山林の所有者に對して一方的になされるというようなことをしばしば耳にするのであります。特に第十四條の四の中に、第二項でありますが、「前條第三項ノ規定に依ル裁定ノ申請ニ係ル土地又ハ立木ノ所有者其ノ他之ニ關シ權利ヲ有スル者ハ前項ノ公示ノ日ヨリ二週間内ニ市町村農地委員會ニ意見書ヲ差出スコトヲ得」とありますが、公示の日から二週間以内に市町村農地委員會に意見書を出すということは事實上不可能の場合が多い。なぜかと申しますと、公示をされた當日ただちに郵便を出されると申しましても、在村の方ならよろしうございますが、他町村のごとき場合におきましては、郵便がはなはだしく延著いたします。ほとんど通知をもらつたときが一週間以上になつている。それをしかも當事者が旅行中である、不在であるというようなことがありまして、二週間以内に出せと言われましても、結局はあとの祭で何にもならなかつたという場合が從來しばしばあります。そのために非常に山林の所有者としましては、この問題に對して自分の意思を發表するということができなくて、いわゆる事後承諾的に押つけられるということの事例が多かつたということをしばしば聞いている。こういうような扱い方が、何段階かの段階を經ましてきめられていくわけでありますけれども、どうも全體を見ますときに、結局農地委員會の一方的な考え方に馴れがちであるという點をおそれのであります。その點に對しまして、政府はもつとこういう場合が起らないように、告示の日から二週間内という問題を一箇月にするとか、あるいはまた大事な權利が設定されるまでの扱いになるのでありまして、もつと山林所有者の意見というものを十分に尊重するようなことに改めるお考えがないかどうか、それをひとつ伺いたい。
#34
○山添政府委員 山林所有者の意見は十分尊重し、いろいろな段階においてその意見が反映するように、この法律には考慮いたしてあるのであります。元來こういう問題につきましては、この法律の上にあがつてくる前に、話合いが當然あるわけであります。その話合いがうまくいかぬときに、まず第一段として農地委員會に協議を求める。そのときにすでに山林所有者は十分意見を述べる機會を法律上與えられている。それから當時者間で協議する場合にさらに述べることができる。それがまとまらない場合に、今度は裁定とくるわけであります。こういうふうに、絶えず意見を述べる機會があり、從つてまたその意見を裁定するところの農地委員會にも十分反映いたしておると思うのであります。從つてこういう異議の申立期間等につきまして、二週間としている例は、從來の立法例等でも非常に多いのでありまして、この法律の中に、たとえば小作調停のときにも公示期間二週間という規定もございます。二週間だけをつかまえてみますと、お説のようなことも、最近の事情として考え得るかもしれませんが、全般を通じてみまして、あらゆる段階において森林所有者の立場からするところの意見は、十分これを反映せしめることができるようになつていると考えております。
#35
○野原委員 今の農政局長のお話で私どももよく了解いたしますが、今までよくこういう實例がございました。たとえば貴殿所有の山林何十町歩のうち何町歩をかねがね御承諾を得ておつたものに對して、今回開放することにいたしたいから、何日までに異議があるならば、申出てもらいたい。ところが、山林所有者は、自分の山林に對して何町歩の開放をしてもらいたいというような、事前にそういつた希望というものを何ら聴かされる機會がなかつたという實例が多いのであります。そしてまた何町歩を開放してもらいたいということであつても、どこの場所を開放していただくのか圖面さえもない。しかも當事者や、農地委員會に行つて聴いてみましても、どこの部分にあたつているか、農地委員會そのものも知ならい。ただそういうようなことで開放せられておるという、場合が事實ありました。私どもはどうしてそういうことになつておるのか。開拓町村が縣に開拓地調べを出しますときに、大體もそこの所は平地でもあり、大體五十町歩はあるから、そのうち一割くらいはよいだろうというようなわけで、五町歩なら五町歩という適地があるというようなことを縣に報告している。それに基いて縣の方から、早くあそこを開拓地として開放しろというような問題が起つて、農地委員會は、だれだれほか何名にここを開拓させるのだということで、法令の上では非常にうまくいつているかもしれませんが、實際問題として、今までの山林が開放されるいろいろの段階においては、今申し上げたようなことが事實ありました。それが山林所有者にとりましては、山林經營の心配の種であつたこういうことのないように、開拓に關しましても、この農地調整法の運營、あるいはまたその規定そのものも、十分に所有者が不安なしに行われるということにお取計らいを願いたいと思いま
す。
#36
○伊藤(佐)政府委員 開拓と森林との關係についてお尋ねがありました。開拓と森林との關係は、從來も縣の開拓委員會、あるいはまた縣におきまして原案をつくります際には、森林方面の方々、あるいは縣廳の内部の山林關係の方面と十分連絡をとりまして、開拓計畫を立てておりますが、ところによりますと、お説のように、その邊と連絡が十分でなかつたという例もないではありません。本省の方といたしましては、そういう點を總合的に見て、何でもかんでも、森林がどうあろうとも開拓を進めるのだというようなことは、毛頭考えておらないのでありまして、十分各方面の意見を總合いたしまして、計畫を立てるように從來も指導いたしておりますが、今後もそういう點は一層徹底させるようにしていきたいと考えております。
#37
○野上委員 開拓局長に、この機會にちよつとお伺いしておきたいのであります。それは長野縣の諏訪市の霧ヶ峰における、二十一年度の未開墾地開拓の買收計畫の豫定になつております開墾地に關しまして、地方地元民から非常に猛烈な反對の陳情がここへまいつておるのであります。反對のおもな理由としては、先ほど細野委員が述べておられましたように、水源地と非常に關係のある土地であつて、これを開墾した場合には、將來水害の危険があるとか、あるいはまた灌漑用水及び約三百戸の住民の飲用水に困るわけで、住民の生活上一大支障を來すということが一つ、次には現在豫定されておる土地は採草地であつて、牛馬の飼料その他に非常に困る。また堆肥、草灰等の採集に困つてくるので、農業の經營上にまことに支障を來す。第三が薪木、かや等の採取地になつております關係上、これを開墾いる場合は、從來の農業經營にこれまた一大支障を來す。大體以上のような三つからなるおもな理由をあげて、霧ヶ峰の開墾に對して反對の陳情があるのでありますが、これに對してどういうようなお考えをおもちになつておりますが。霧ヶ峰の開墾によつて、從來のこうした農家に對する重大なる影響、大きな犠牲をさらに超えて、日本の農業の増産上に非常に益するところがあるかどうか。そういう點について開拓局長の御意見を承つておきたいと思います。
#38
○伊藤(佐)政府委員 ただいまお尋ねの霧ヶ峰の開拓反對の聲のあることは、私も聞いております。また現地の人も親しく出てこられまして、いろいろお話も承つております。第一點の地元の水源がなくなるかどうかという問題は、十分科學的に檢討を要する問題であります。單なる常識判斷だけではなく、どちらの面からも、贊成も、反對も、科學的な檢討を要する問題だと思つております。それから、採草地がなくなるという點でありますが、これはそこを開墾をいたしますれば、その部分の採草量は確かに少くなります。ただあそこは一體に非常にたくさん採草地がある所でありまして、そこの村にいろいろな關係があるということでありますが、總合的に見て、はたして採草地のその所だけがなくなつたために、ほかの採草の量が非常に減るかどうか、附近の農業經營にこれが影響を及ぼすかどうかは、總合的に考えなければならぬと思つております。あとの薪木、かやの件でございますが、私の聞いておりますところでは、あの邊は草地でありまして、薪木や何かの關係はないということでありますが、以上總合いたしまして、現在縣當局に對して、これらの事情についてさらに十分檢討を加えるように相談をしておりますが、必要があれば、その結果により本省からも人を派遣いたしまして、十分調査研究を遂げたいかように今協議をいたしております。
#39
○北委員 私はおもに牧野の方についてお伺いしたいのであります。食糧増産の上からぜひ必要とは思いますが、北海道の約半分の牧野の開放によりまして、かんじんなる農耕馬が一大減産になると考えますが、政府はこの農耕馬の今後増産につきいかなる對策があるか、所見を詳しく聴きたいと思います。
#40
○山添政府委員 詳しくというお話でございますから、あとで畜産局長からお答えいたします。
#41
○北委員 それでは簡單でもよいのですが、今後の北海道の馬の増産についていかなる對策があるか、お聴きしたいと思います。
#42
○山添政府委員 北海道の牧野約三千四萬町歩のうち今回買收の對象になるであらうと推定をいたしておりますものが約十萬町歩であります。その十萬町歩のどれだけが耕地のどれだけが耕地になり、どれだけが牧野として殘るかということは、實地に當つて見ませんので、今日全然見當がついておりません。相當部分はやはり地形の關係、地味の關係、それから東部北海道のような地帯は霧が非常に多いとか、いろいろの關係上、やはり牧野として殘る可能性が多いのではないか。これを開拓用地として分譲いたします場合においても、その開拓者の經營はこれを畜産を主とする經營と考えておるわけでありまして、牧野か牧草栽培式の牧場になるということを主にして考えておるわけであります。從つて恆久的にはむしろ今までよりも畜産の増加をするキヤバシテイは殖えてくる。家畜を一定の土地の上に收容し飼養していく數は殖えるのでありまするが、問題はこの當座の問題として、その地帯におる大牧場におる馬が散つてしまうかどうかという點にかかつておるわけであります。これは観察といたしましては、今のインフレーシヨンの時代に馬が一頭六萬圓以上もする。しかもおそらく先に下るのではなくしてまた上るだろうという時代には、牧場經營者も一舉に馬を散らしてしまうというわけではなくして、やはり腰をかまえてもつておるのであります。もとより牧場は買收になりましても、その使用を一舉にとめるわけでもございません。その間ゆとりがありまするので、これを附近の農家なり、また入植する人等に對して馬を分譲していくという形で切替えができていくのではないか。そこの土地の要素を考えますると、何とか急激なる影響なくしてすませるのではないかと考えております。しかしそうは言いましても、先はこうだということになれば、あるいは馬を處分してしまうということが起らぬとも限らぬ。それについての對策といたしましては、いろいろの方面の意見をも聴きまして、必要なる對策を立てたいと思つておるのでありまして、まだそれについての確たる方策をもつておりません。でき得べくんば北海道の事情等に詳しい方から、御意見を聴かせていただきたいと考えておる次第であります。
#43
○野溝委員長 ではこれで休憩いたします。
    午後零時四十五分休憩
    〔休憩後は開會に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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