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1947/07/11 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第5号
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1947/07/11 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第5号

#1
第001回国会 水産委員会 第5号
昭和二十二年七月十一日(金曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 青木清左ヱ門君
   理事 庄司 彦男君 理事 吉川 兼光君
   理事 馬越  晃君 理事 三好 竹勇君
   理事 夏堀源三郎君 理事 西村 久之君
      鈴木 善幸君    鈴木 雄二君
      藤原繁太郎君    松本 眞一君
      宇都宮則綱君    神山 榮一君
      菊池  豐君    小松 勇次君
      内海 安吉君    川村善八郎君
      森 幸太郎君    内藤 友明君
      外崎千代吉君
七月十一日魚類の價格及びその集荷配給機構に關
する小委員川村善八郎君辭任につき、その補闕と
して、同日冨永格五郎君が小委員に選定された。
 出席政府委員
        農林事務官   藤田  巖君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 小委員補闕選定の件
 漁港及び漁船に關する説明聽取
 國政調査事項承認要求の件
    ―――――――――――――
#2
○青木委員長 これより開會いたします。さきに政府當局より資料の提供がございましたが、皆さんの方でなお不足のものがございますれば、あらためて御請求を願いたいと存じます。
 なおさきに小委員をつくりました水産廳設置に關する事項、及び魚價竝びに集荷配給機構の問題、及び本日これから審査しようという漁船、漁港、漁撈、漁具の問題について國政調査を行いたいことを、議長に書面をもつて要求いたしたいと存じます。いかがでございますか。
#3
○青木委員長 御異議がなければさよう取計らいます。
 なお七月九日選擧いたしました魚價及び集荷配給機構に關する小委員のうち、川村善八郎氏より都合によつて辭職したき旨の申出がありました。よつてこれを許可して差支えありませんか。
#4
○青木委員長 では許可するに決定いたしました。
 なお一名の補缺選擧をいたしたいと思いますが、委員長に指名を御一任願えませんか。
#5
○青木委員長 では委員長より御指名申し上げます。
      冨永格五郎君
を指名いたします。御異議ありませんか。
#6
○青木委員長 では午後一時より水産廳、一時十分より魚價の各小委員會を開き、委員長を互選の上、委任事項の審議を至急御開始願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
#7
○青木委員長 本日はこれより漁撈、漁具、漁船、漁港竝びに漁民の食糧に關し審査を開始いたしたいと思います。まず政府當局の説明を求めたいと思います。
#8
○川村委員 議事進行について……。
#9
○青木委員長 川村君。
#10
○川村委員 漁業問題については、いずれも今日他の方面より遲れておることは御承知の通りであります。從つて漁民はこの委員會の行動を非常に注目しておられるのであります。なかんずくいろいろ問題になつているところの漁業法の一部改正、竝びに漁業團體法の改正等に至りましては、いつどういうふうに出るのだと、非常に關心をもつておるのであります。われわれも選擧中この問題については、必ず解決をつける。決して漁民の不利になるようなことはさせない。すなわち民主主義に則つて、漁業法にいたしましても、漁業團體法にいたしましても、必ずやこの本議會に提案をさせるべく努力するのだという約束をしてまいつたのであります。おそらく水産地から出ましたところの議員方は、さだめし同様に約束してきたものと思います。先般農林大臣の説明によると、まだ準備が整つておらねので、今議會には提出がめんどうだと申しております。ただ八月いつぱいくらいの議會の會期が延長されるならば提案できるだろうということを、この委員會の席上でも申しておりますし、参議院の自由討議の場合にも申しておるようであります。われわれはどうしてもこの二つの問題が漁村の基礎となるべきところの一つの規定であると思うのでありますから、一日も早く本委員會で練つて、しこうして本議會中に提案すべく私は要望したいのであります。以上であります。
#11
○青木委員長 ただいま川村君から御發言になりました漁業權の問題はきわめて重要であり、漁民注視の的になつておると考えるのであります。きようの命題が終りますれば、この問題に觸れてまた十分當局の御意見も聽き、審査をいたしたいと存じます。さよう御了承を願います。さきに御説明になりました分については説明を省略されて差支えございません。――藤田政府委員。
#12
○藤田政府委員 それではまず漁船の問題につきまして御説明を申し上げたいと存じます。
 漁船につきましては、こちらの方に提出いたしました水産業の概況、この中に數字で記載しておりますので、お讀みいただけば大體御了解がいただけるものと考えておりますが、なおこれに補足いたしまして御説明を申し上げてまいりたいと考えております。日本の漁船の戰前戰後の比較でありますが、漁船は戰前におきまして大體三十五萬艘、百十萬トンの總トン數合計がございましたものが、戰後昭和二十年の調べによりますと、三十一萬艘、七十九萬トン、かように減少をいたしておるわけであります。
從いましてわれわれといたしましては、昭和二十年の十二月二十四日の閣議決定によりまして、漁船の三十三萬七千トンの補充計畫を決定して、現在これを實施いたしておりまする次第であります。その後三十三萬七千トンの建造計畫の竣工状況を御説明申し上げますと、三十三萬七千トンのうち、許可をいたしましたものが二十一萬トンでありまして、竣工をいたしておりまするものが十一萬トンであります。從いまして竣工率は大體現在鋼船の許可及び木船の許可を受けておりまするもののうち、大體五十三%とあいなつております。つまり半分ばかりが建造濟みである。こういう状態に相なつておるのであります。なおそのほかに轉用船として漁船に編入されたものが大體三万トンばかりございますので、當初の三十三萬七千トンの建造計畫と竣工の數とを比較いたしますと、大體四四%、かようにあいなつておりますわけでございます。從いまして漁船の建造計畫も二年内に三十三萬七千トンを建造するという計畫でございますので、竣工状況についても非常にいいということは言えないと思うのであります。しかしながらこれは資材あるいはまたは電力關係、その他食糧事情等もありまして、造船は豫定の通りに進んでおりませんが、今後とも私どもといたしましてはできるだけ速やかに當初の計畫が達成されますように努力をいたしてまいりたい、かように考えております次第であります。ただこの際に第四次建造計畫の中止の問題について御説明をしておきたいと考えます。ただいま申し上げましたように、全體の竣工については約半數程度でございます。しかしながら底引網漁業、それからかつお、まぐろ漁業、この二つの業態のものについては、相當復興をみておるのでありまして、大體鋼船は全部、それから木造船は百トン以上のものは關係方面の建造許可を要することとなつておるのであります。從來一次、二次、三次と造船の建造許可をいただいております。四次の建造計畫をもつてまいりましたときに、かつをまぐろ漁業、底引網漁業については相當船もできており、囘復しているものと認められる。なお漁場の關係についても、現在の漁場から考え、なお資材燃油の供給状況からも考えて、隻數が著しく殖えても能率は殖えるわけでないのだから、從つて四次以降の分についてはこれを中止することが適當だということでありまして、その問題につきましては、現在なお特別の事情のあるものにつきまして、三次までの建造許可についてまたこれを代替し得る餘地もあると考えますので、三次までの建造許可濟みのもので、いわば中止し得るようなその隻數の限度におきましては、四次の分からこれを繰上げて建造をせしめていきたいというふうに考えまして、この問題は具體的に現在折衝をいたしておる次第でございます。そのことを簡單にお話申し上げておきたいと考えております。
 それから漁港の問題でございますが、昭和二十二年度の豫算として漁港及び船溜關係で認められておるところの助成金は、總計いたしまして大體約四千萬圓でございます。そういたしましてこの四千萬圓の範圍内におきまして、本年度におきましては大體漁港については六十三箇所、船溜につきましては五十六箇所、この箇所について從來の計畫なりあるいは新設について助成をしてまいりたい。かように考えて現在著々實施をいたしておる次第であります。漁港は漁業をいたします基礎的な設備でありまして、殊に最近大型の漁船が相當増加をいたしてまいつております。これが活動をいたしますためには、どうしても漁港の計畫を伴つていかなければ相ならぬと考えるので、われわれといたしましてはもつとさらに多額の豫算を計上いたしまして、要求をいたしたのでありまするけれども、財政その他の關係上この程度に削減をいたされた次第でございます。漁港、船溜の問題については、今後とも私どもといたしましては財政の許す限り、また資材の許す限りにおきまして、將來の水産の發展基地の問題として重要視いたしてまいりまして、これを急速に普及をいたしていくように方針を立ててまいりたい、かように考えている次第であります。大體漁船及び漁港ににつきましての説明は以上の通りであります。
#13
○青木委員長 委員の發言許可をいたします。宇都宮則綱君。
#14
○宇都宮委員 ちよつと漁船について一つお願いしたいと思いますが、先般局長はすでに漁船は多くなつているからこれ以上許可をしないというような趣旨であつたというお話であつたですが、この漁船の多くなつているということが偏在的に多くなつているのではないかと思うのは、今日われわれの方では非常に少いというのであせつておるのでありますが、資金その他の關係上どうすることもできなくして、優秀なる漁民が手をこまねいて遊んでおるような状態でして、偏在的に多くなつておるのではないかと思うのですが、その點はいかがでしようか。
#15
○藤田政府委員 終戰後非常に水産業の急速な發展を要望されまして、その當時はいやしくも力のあるもの、また著業の見込みの確實なものについてはどんどん認めてまいるというふうな方針を立てたわけであります。從いましてむしろお話のように、從來たとえばかつを、まぐろの漁業をやつておりましたもので徴用され、船が滅失をしたもの、われわれといたしましては當然優先的に考えなければならぬ人の方の著業がむしろ非常に遲れておる。そうして一方新しくやり出そうという人の方面が非常に急速であつたという關係からいたしまして、今お話のありましたように地域的な、あるいは從來の企業主體の關係からいたしても、相當從來の顔ぶれとは變つたような様子になつております。今四次の建造許可一體中止をせられましたものの中には、實はわれわれとして何とかしてやりたいと考えておりまするところの、滅失徴用漁船の新造が相當あるわけであります。しかしながら實際問題として、われわれはできるだけ早くそういう人の立直りを希望しておつたのでありますけれども、そういう方面の立直りが遲れましたために、こういうふうな状態に相なつております。しかし今後のやり方といたしましては、やはりそういう點を十分考慮して、許します主體については考えてまいりたいと思つておつた先に、實は全般的に船が多いという問題が起つてまいりました次第であります。
#16
○宇都宮委員 そこでお話の大要はわかりますが、資力のあるものはおおむね經驗のないものであつて、經驗のあるものが休んでおるということは、今日この國家の状態からみてたいへんな損失だと思うのですが、むしろ資力のあつても經驗のないものの方を何とかして削減をして、そして經驗のある優秀なものが、資力のないために今日休んでおるものを復活せしめて、以前の業態に精を出させることは、魚をたくさん収穫する上においても最も便宜な方法であると思うのですが、そういう手を打つ御意思ありや否や、またそういう資力のない經檢者に對しては、何とか政府が特別な援助をする御意思がありや否やということに對して御説明願いたいと思います。
#17
○藤田政府委員 私どもの現在の方針としては、新しいものの著業はできるだけ押えて、從來そういう方面に經驗のありましたものを優先的に考えるということに措置しております。なお今後とも、方針としてはお話しのように、從來經驗のあつたものを優先的に考え、資金等についても、特にめんどうをみていきたいと考えております。
#18
○青木委員長 庄司彦男君。
#19
○庄司(彦)委員 これはあとからでもよろしいが、戰前と戰後では漁船が非常に減つていますが、その種類別と所屬漁港別について、たとえば北海道ではどれだけどういう種類が減つたか、中國ではどうということをはつきりしていただきたい。これは將來の助成關係の用意になるものです。もう一つ徴用船の破損したものに對する補償が第二封鎖になつておるために、全然漁業資金として使われないために、徴用船關係漁民は、非常な困窮をきたし、宇部宮氏の述べられたように、出足の遲れているものが多いのですから、これについてなにか救濟の方法をお考えになつておりませんか。
#20
○藤田政府委員 漁船の漁業種類別についての戰前戰後の比較資料と思いますが、できるだけ調査いたしますが、詳細にわたつての調査は……。
#21
○庄司(彦)委員 簡單でよろしい。
#22
○藤田政府委員 特別なものについてはわかると思います。
#23
○庄司(彦)委員 何萬トンというだけでは、小漁船はほとんどなくならないでも、特に底引など大きいものがなくなつていますから、そういうものを……。
#24
○藤田政府委員 承知しました。滅失徴用漁船が第二封鎖になつており、當時も非常に困つておりましたが、こういう人達が、代船の建造資金を借りる場合には、復興金庫で優先的に借りる、つまり補償金はとうてい拂うわけにいかないため、金融上特別な措置をしようということで、復興金融金庫が優先的にこういうものについて資金のめんどうをみるということで、私どもも金融上のめんどうをみようということに考えている次第であります。
#25
○青木委員長 鈴木善幸君。
#26
○鈴木(善)委員 第四次の建造許可の一部中止については、漁村で非常に重大な關心と危惧をもつておるので、次の二點を伺うと同時に、私の所見を述べたい。第一點は代船の建造は今後差支えないかどうか。第二點は、百トン以下の木造船の建造はこれまた差支えないかどうか。
 さらに宇都宮さんからも御意見の發表がありましたが、終戰後における新造漁船の分布状態を考えてみますに、資本家的な企業形態のもの、ないしは軍需産業その他からの轉換資本の新しい漁業社會方面に、漁船が偏在しておることは事實だと思うのであります。このように漁業の生産手段の最も重要な部分を占めております漁船が、勤勞漁民の手から離れて、轉換資本、その他の新しい會社に偏在いたしておりますことは、今後日本の漁業の民主化を促進いたしてまいります上に大きな禍根になるのではないか。こう考えております。從いまして今後いかに漁業權制度をを改革して、漁業權上における漁民の解放を實施いたしましても、漁船を一部の者に獨占支配されておるということでありますれば、働く漁民はそれらの隷屬下になる以外に方法はない。つまり賃金勞働者に轉落していく危險が多分にあると思うのであります。その結果は今まで獨立生産者としてやつておりました最大多數の日本の漁民が、賃金勞働者に轉落いたします結果、經營者との間に分配問題をめぐつての階級的な對立、漁業上の階級鬪爭が必ず激化してくるものと憂慮いたされるのであります。これに對して政府としては、ただに今後のものについて、生産漁民の申請にかかるものを優先的に許可するというだけに止まらずに、すでに多くの漁船がそういうぐあいに一部のものに偏在しておるということ、これが日本の漁業の民主的な發展の上に、大きな禍根を遺すということを十分お考えになります場合に、この漁船及びその他の生産手段の社會化というものについて、いかなる御處置をとられる御方針であるかということを承りたいと思うのであります。
#27
○藤田政府委員 代船建造は今後さしつかえないかという問題でございますが、現在以上に許可の雙數が殖えるということについての問題があるわけであります。從つて從來の船が老朽になりまして、使用にたえない場合にこれを廢船いたしまして、新しく代船をつくるという問題については、これは認められるというふうに考えております。それから百トン以下の木造船の建造はさしつかえないかという問題でございますが、これは現在問題となつております底引網漁業及びかつを、まぐろ漁業に關係いたしましては、現在許されておるところの雙數が多いという問題でございます。從つて木造船の建造の方は無制限にやつてまいるということはちよつとできなかろうと考えております。從つて私どもといたしましては、なお何艘程度許し得るかということについてのはつきりとした打合せをいたし、その範圍内において木造船についても扱つていく。こういうふうなやり方をとらざるを得ないのじやないかと考えております次第であります。それから漁船及び漁撈の生産手段の社會化、こういうふうな問題でありますが、これは非常にむずかしい問題であろうと私は考えております。終戰後水産業が非常に發展をしたということを言われておりますが、私どもが具體的に考えてまいりますと、その發展というものは非常に跛行的であります。つまりある種の部門については、これが資源とのにらみ合せを考えまして、それ以上必要でないまでに漁船がずつと殖えております。それからある種の部門につきましては、なおこれを伸ばさなければならないけれども、資材その他の關係でこれは伸びない。こういうふうな状態になつております。具體的に申し上げますれば、かつを、まぐろ漁業及び底引については、もはや飽和點に達しておる。殊に以東の底引に至りましては私は多過ぎる。率直にかように考えております。從つてわれわれの問題としては、やはり水産業の發展ということを前提としなければならぬのであります。各種の資源をできるだけ繁殖保護の點も考えて、有效に取つていくという方式を編み出さなければならないのでありますから、從つてわれわれの今後の方針としては、現在資源の相當豊かな方面、そうして著業の遲れておる方面、そういう漁業部面を積極的に將勵する。こういうような方針を講じまして、現在の漁獲能率を高めていく。こういうふうに考えていかなければならぬのじやないかと思ふのであります。現在相當新しく起りました、會社その他のいわゆる資本家方面によつて經營をしておられる部面についての問題でありますけれども、これはなかなか理論どおりにもいかないので、沿岸漁業に對する考えとは、これはわけて觀念してよいのではないかと思うのであります。これはやはり私は勤勞漁民、つまり漁村というものを中心にして、繁殖保護を考えながら、この狹い沿岸漁場でできるだけ多數の人口を包容しながら、生産性を高めて行く、こういうむづかしい目的を達成するための方式を考えていかなければならぬ。こういうふうに思うのであります。一方遠洋漁業の方面については、私は必ずしも新しい資本の導入なり、新興の資本というものがこれに参加されることについては、これを極端に挑斥すべきものでもない。この部面においては相當いろいろの企業形態のものが出ていつて、そうしていかなる企業形態が適合するかを大いに研究をして、いはば切磋琢磨して、將來だんだんと日本の遠洋漁業の理想的な形態を拵え上げるという方面に進んでいつてよい。こういうふうに思うのであります。從つて遠洋漁業の部面については、これは必ずしも資本漁業の人が進出することはいかぬということは言えないと思います。もちろん私どもとしては、沿岸漁民の方がこのいき詰まつた沿岸漁場から離れて、遠く遠洋漁業の方に進出していくという問題については、常に考慮をめぐらして、できるだけその進出を阻まないようにする。そのためにたとえばお話の、すでに資本家によつて抑えられておる遠洋についても、できるだけ沿岸漁民に開放していく。こういう方策はもちろん私は考えていつてよいだらうと思いますが、しかしながらそれはやはり觀念論に終つてはならぬのであります。生産をあげていくということは考えていかなければならぬ。從つてここは沿岸漁業者の方も、あるいはまた新しい方も、いろいろの方面から出てきて競爭していく。そうしてどういう形態が最も日本の水産のために適しておるかということを、研究していくということが必要じやないか。そしてもう少し進んだ段階において、さらにこれを考え直していくというふうにした方がいいのではないか。これは非常に抽象的な意見でありますが、私どもはそういうふうに考えておるわけであります。
#28
○鈴木(善)委員 ただいまの問題は、日本の漁村の再建の最も大事な現在の段階におきまして、日本の漁業を民主的な方向に發展せしめるかどうかということに重大な關連がございますので、もう一言申し上げたいと思うのでありますが、從來政府のおとりになつてまいりました漁業政策が、生産力一點張りの方針からして、轉換資本であろうと、何であろうと生産さえ上ればよいというような、きわめて安易な御方針のようであつたと見受けられるのであります。われわれは戰爭の體驗を通じまして、これらの資本的企業の上に立つところの漁業生産組織が、非常に脆弱なものであるということを體驗してまいつておるのであります。資材が不足になり、あるいは漁業勞働力が非常に逼迫し、出漁の海域が狹まつて、一方魚價がマル公でもつて釘づけにされる。從つて漁業生産者が採算割れを生じますと、これらの資本漁業會社は軍需産業その他に轉換をするという傾向は確かにあつたのであります。現在漁村に進出いたしておりますところの轉換資本漁業會社は、終戰後見るべき平和産業も起し得ないというような現況下において、漁業は非常にもうかるというようなことから、投下資本に對する利潤の追求を目途として、漁村に大いに進出してまいつたのでありますが、貿易再開等を目の前にして平和産業その他では今後相當企業的に採算がとれる有利な仕事が出てまいれば、この轉換資本は再び再轉換をして、漁業からその他の産業部門に資本の投費を見るようなことが必ず豫想されるのであります。こう考えますと、日本の漁業を再建してまいります場合に、この轉換資本その他の上に安易な再建の方途を求めますことはきわめて不安定のものであり、非常に砂上の樓閣とも稱すべき危惧さえもあるのであります。しかるに一方大衆漁業におきましては、確かに生産組織、あるいは生産能率、技術等におきましても遲れておつたのでありますけれども、戰爭中におきましてもとにかく四億五千萬貫乃至五億の生産をあげたといいますことは、漁民生活と漁業生産とが非常に深いつながりをもつておりまして、潜水艦が出ようが、飛行機の掃射を受けようが、魚群の來襲を目の前にすればこれを捕らなくちややまぬの衝動を覺えるという、漁民と漁業というものの深いつながりが、よくこれだけの生産をあげ得た、つまり強靭なる生産力を示し得たと考えるのであります。從いまして今後の漁業の民主的の、しかも堅實な發展というものは、この漁民組織を基盤としたところの生産組織を考えなくちやいかぬ。この面に對して政府は先日の御説明でも新しい勞働組合法案のうちには、漁業協同組合というような共同生産組織をお考えになつているようでありますが、われわれもこれに對しては全幅の贊意を表しているのであります。それはこのような協同組合の形態でなくても、會社組織のものであつても、要はそれを組織するところのメンバーが働く漁民大衆である。それに基盤をおいた生産組織であるということが、會社でやろうと組合でやろうと、實質的にそういう内容をもつたのものであればいいと思う。これに對して今後政府が積極的に漁船の建造において、あるいは資材の配給において、漁業資金の貸出において、最優先的に考慮を拂い、助成を加えて、漁業のみならず、生産手帳もできるだけ漁民のこの共同生産組織というものに、積極的に援助助成を加えて、民主的な漁業の發展を指導していただきたいということを、切に要望するものであります。
#29
○青木委員長 宇都宮則綱君。
#30
○宇都宮委員 ただいまのお話に私は關連して申し上げたいと思いますが、今日のいわゆるにわか成金が、資本逃避のためにいろいろと政策をやつて、漁業權ごときものも、單に漁業權を取得しているというようなことでもつて、漁業における漁民のほんとうの實力發揮を阻止しているような状態が到るところにあるのであります。そこでさつき局長から、すでに日本の漁業は非常に進展、發展をしているというようなお話がありましたが、今日の漁獲の實績を見ますと、ちつとも發展はしておりません。私はただ業者が多くなつたとか、船が殖えたから發展したとか、あるいは進展したとかいうことは、はなはだ當らない言葉ではないかと思うのでありまして、漁業は漁獲の多くなることによつて初めて發展し、進展したことになるのではないか、いたずらに資本家がこれに資本を投じて、船をたくさんこしらえたからといつて、魚の捕り道もわからないようなものが殖えたのでは、一向發展にはならないと考えるのであります。そこで政府はこういう御意思がないかどうかお聽きしたいのであります。いたずらに既得權をもつて仕事をしないものが相當あるらしいが、そういうものに對しては、漁獲に對する最低限度の責任を負わせるというくらいのことをしなければ、いたずらに既得權のみをもつていて、能率のあがらないというようなものは、あまり好ましくない漁師でありますし、そんなものが場ふさぎをやつておつては、われわれが待望しているところの、今日のいわゆる食糧難を切り抜ける漁獲の増収はできないのではないかということを考えますので、もしそういう資本家で權利獲得しておつて、そうして一向能率の上らないものに對しては、政府はどういう御處置をとるか、どういう御意思をもつておるかということを、御發表願いたいのであります。
#31
○藤田政府委員 先ほど來鈴木委員のお話になりますところ、これは私は理想として非常に傾聽に値する議論だと考えておりますし、私どももできるだけさような方向にもつてまいりたいとは考えております。しかしながら現實の問題といたしまして考えますと、なかなかそう理想通りにもまいらない點があるのであります。ざつくばらんに申し上げますと、私どもは個々の許可にあたりましては、たとえば以東の底引の許可につきましても、できるだけ沿岸漁業者の利害が深いという立場からいたしまして、その方面にこれを認めたい。またあるいは漁業界にもこれを認めたいということでやつておるものもあるのでありますけれども、實際問題といたしましてはたしてその許されております方面が、理論通りに動いておるかということになりますと、なかなかそうもまいらないのもあるように考えております。結局根本問題は生産漁民の自覺、あるいはまた生産漁民のほんとうの共同の組織、こういうようなものが確實にできてまいりませんと、こういうこともなかなか理想通りには運營されないのではないかというふうに考えております。私どもといたしましては、お話のような方向にできるだけもつてまいりたいと考えておりますが、一方また現實の問題として、理窟だけでは魚がとれない現實に經營する力があり、またそれの準備のあるものにとらせて、そうして當面窮迫したところの食糧事情を緩和していかなければならぬという一方の要請もあるわけであります。そういうふうな二つの要請は、必ずしも調和がとれない場合があると考えます。ここは非常にむづかしい問題ですが、氣持としては私は同感でございます。現實問題としては、なかなかわれわれの期待しておる側の力の結集が非常に遲れておりますので、その方面が起ち上るまで待てない事情があるという點を御了承いただきたいと思つております。もちろん新しい會社、その他の新興の資本が水産部面にもはいつてきております。この新しい會社の功罪ということについては、私は相當論議されるものがあるだとうと思います。ただ私は新しい會社にも二色ありまして、むしろマイナスになつておる部面もあると考えますが、また一方において水産の發展のためにプラスになつておる部面もあるようであります。これはその會社々々との具體的な内容によつて判斷しなければならぬのであつて、一概に新興の會社全部がだめだとは、私は言い切れないと思います。中には新興の會社が新しい見地から水産を見直して、從來の古い傳統的なやり方を改めて、科学學的な技術的な方法でやつていこうというふうな人もあるわけであります。そういう部面については、これは大いに觀迎すべきであるというふうに考えております。ただ從來のいわゆる搾取のような形で漁村方面にはいりこんでくる會社については、これは十分警戒をし、こういうものについては、これをなるたけはいつていかないように、われわれとしても防いでいかなければならぬと考えておるのであります。それから非常に能率のあがらないものはどうするかというお話であります。もちろんわれわれといたしましても、許可を得、權利だけをもつておりまして、ちつとも實體の伴つていないものについては、これは調査をいたしまして機會のある毎に整理をし、そうして新しい方向にもつてまいりたいと考えております。
#32
○青木委員長 夏堀君
#33
○夏堀委員 私の質問せんとするところは、鈴木君から詳細に質問になつたのであります。ただいま當局の方からの御説明によつて、大體結論的なことはわかりましたけれども、ここまで來たことはいわゆる力のあるものに政府が積極的に援助した。そして力のないものにははなはだ消極的であつた結果であると私は解釋しております。現在これは手續等いろいろむずかしい問題があると思います。一方は力があり、政治力があるためにすべての手續ができた。一方はそれができなかつた。こういう缺點があつた。結果において現われたものは、自分がいくらかの金をもつて著手しておる。しかし農林省の方では資金は貸付けするのだと盛んに各地方をまわつて宣傳する。勸銀もそれと同行して説明を加えて安心させて、そして建造に着手したが、その後建造資金はいわゆる大會社にまわつて、小さい方にまわらなかつた。それでせつかく建造に著手したものも途中で放棄せざるを得ない船がたくさんある。こうしたいわゆる戰災に次ぐに破産をもつてするというような苦境に陥つておる。これは何らかの方法で救濟する義務がある。政府においても戰災者をということで呼びかけてここまで來た以上、お前は手續が遲れたということだけで簡單に片付けることは、これは地方企業者に對してあまりにもかわいそうだ。この點は特設の考慮を拂い、この船の完成に對し、資金その他の方法をもつて特別なる御援助にあらんことを希望する次第であります。その點だけであります。
#34
○藤田政府委員 ただいまのお話は至極ごもつとものように考えます、私どもといたしましても、資金の點についてもいろいろこれまでごめんどうはみているつもりでありますが、なお今後とも船が完成いたしますまで、それが中途になりませんように努力してまいりたいと考えております。ただ銀行側の意見で申しますと、やはり銀行、金融機關というものはペーイング・ペースで物を考える。從つて最近特に御承知の通り擔保を要求し、あるいは確實に償還し得ることを條件にしてまいつております。そういうふうな考え方からいたしまして、どうしても擔保力があり、確實に償還し得るものについて考えやすい。われわれの救濟して立ち直らしたいと考えておりますものは、お話のように戰災によつて無一文になつた連中であります。擔保力もなく、保證力もないような連中であります。そういうふうな點が、非常に從來資金の融通を各方面にお願いいたします折に、理由はわかるけれども現實問題として貸附となりますと、なかなか困難な點があるということであります。これは私どもといたしましては、極力そういうふうな戰災者のほんとうにわれわれとして立ち直つてもらいたいと考えておる方の必要な資金については十分ごめんどうを見たいと考えております。
#35
○青木委員長 外崎千代吉君。
#36
○外崎委員 私ども造船をやつておりますが、話を聽くと、造船所は今度整理されるといえばおかしいが、一つ場所に一つとか二つとかいうふうに整理されると聽きますが、それについてお伺いしたい。もう一つは造船所が全然許可を得なくて造船をやつていくというのは差支えなかつたのですか。それをお伺いいたします。
 それから一つは、今政府はどうするかと伺うと、適當に答辯しておりますけれども、法律案は議員によつて出るとすれば、お互い議員によつてこの點はいけない、あの點はいけないという點があつたならば、新しい法律をつくつて政府にこれをやれというのも一つの方法ではないか。これを伺います。
#37
○藤田政府委員 造船所の問題はむしろ運輸省の所管事項でございますので、私から御答辯するのもいかがかと考えますが、漁船の方面から大體想像してお答えいたします。もともと造船所というものは現在の状態においては、非常に厖大な人員を擁し、しかも現實問題としては資材が非常に少くなつております。つくつておる船といえども、漁船がむしろ大部分になつておる。こういう状態でありますので、現實問題として造船所の整理ということもある程度行われていくのではあるまいか、かように私どもは考えております。これはまた賠償關係とも關連することではないかと考えております。それから無許可の造船所をつくることの問題、これは戰後非常に小さな船については無許可の造船所が殖えてまいりました。そうしてそこで現實にやつておるということは私どもも聞いてはおります。しかしながら無許可のものは斷然いかぬのでありまして、こういうところで建造することについては認められないと私どもは考えております。
#38
○青木委員長 鈴木雄二君。
#39
○鈴木(雄)委員 先ほど鈴木委員が質問されたことについて、水産局長からお話になつたことを聽きますと、實際問題と理想問題と違うということであります。私はこの點についてもう少し水産局長の御意見を聞きたいのであります。私は實際に船に乗つておる者であります、實際違うとおつしやいますが、今轉換資本の連中がやつておりますかつお、まぐろの問題については、決してうまくいつてない、生産があがつていないということが言えると思います。それは一部においては言えるかもしれませんが、實際問題として非常に違うと思います。大體戰前においてのかつお、まぐろの状態といふのは個人の企業が多く、大資本家がなかつた。漁師が船に乘つて、陸が見えなくなるまで遠くへまいりましても、あのかつおやまぐろと取つ組んでおるということは、失禮でありまするが水産局長は御存知ないと思います。私たちはその樂しみといい、あのまぐろと取つ組み、かつおと取つ組み、あるいは底引で沖に行つておりまするその姿は、決して搾取せられたる姿でなく、われわれは樂しんでやつておるのでありまして、今の轉換資本家が漁業というものの觀念といい、漁業がどこにあるかということもわからずに、ただ資本家的な根性においてそれをやられるということについては、漁師の生産意欲というものはないのであります。また技術的に資本家がそれだけの技術を知つておるかと申し上げますならば、ただいたずらに机上の空論であつて、ほんとうに今までの技術的なことを考えますならば、個々の企業によつてやつておりましたところの勤勞漁民の方が、技術的にまさつておると私は考えるのであります。そこで轉換資本の方のみに、先ほど夏堀委員がおつしやつたように、力の大きいものばかりを助けるとういことなく、十分な技術をもつておるのであるから、それに力を貸してやれば、これが生産の絶對的なものであると私は考えております。それで結論といたしましては、水産局長のお考えになるところの理想と現實と違うということは、はなはだ間違つておる。現實の方が水産局長の考えておるところの理想ではないか。逆ではないかということを申し上げたい。もう少し漁業について深く、廣汎にお考え願いたいと私は希望するものであります。
#40
○藤田政府委員 多少補足してお話ししてまいりたいと思いますが、かつお、まぐろ漁業のお話がありましたので、かつお、まぐろ漁業についてお話いたしますと、日本のかつお、まぐろ漁業の形態というものは、非常に原始的な形態をとつておるものもあれば、非常に進んだ形態をとつておるものもありまして、ぴんからきりまである形態である。從つて日本のかつお、まぐろ漁業なるものはもちろんやはり從來の漁夫の特殊な勘、いわゆる漁撈技術とか、そういうものを尊重すべきでありますけれども、これに對してなお科學的な、技術的な方法というものを大いに導入していくことが、結局日本のかつお、まぐろ漁業の水準を高めていくゆえんであろうと思います。そういう意味合において、私はそういう方面に著目するような人については、その人の進出についてはむしろ奬勵してしかるべし。從來の漁業者のやり方について、新しい角度から科學的な目で見て建て直そうという企業家については、私はこれは奬勵して可なるべしと思います。新しい研究ができ、從つてそれはまた從來の人たちにも及ぼしていく。從來の漁撈上の特殊な經驗と、そういう科學的な、技術的な面とを併せもつて、そこで全體のかつを、まぐろ漁業の水準は高まつていくものと考えるのであります。そういう意味において、新興漁業に期待するものありとすればこれである。もし新興會社の功罪、しかしてまた新興會社の存在理由というものが論ぜられるならば、その方面ではあるまいか。そういう意味合から、私は必ずしも全體を排斥するものではない。やはり個々の問題について檢討していく。もちろん具體的な問題については、いたづらに厖大な許可をもち、そうして能率もあがらない、從來通りのやり方をやつておるだけであるというふうなものについては、これはだんだんと是正をしてまいりたいと考えております。
#41
○鈴木(雄)委員 ただいまのお説もごもつともだと思います。それで私が特に強調したいのは、轉換資本の功罪ということについてでありますが、その點非常によく研究なされ、厖大なる許可權をもつて、仕事をしないで生産をあげないというようなことは、勤勞漁民に對しては非常に壓迫的な感じを與えるし、また勤勞漁民の活躍の餘地がない。しかし科學的に、技術的に、兩面相伴つたことについては――かつお、まぐろ漁業について非常に專門のようなことになりましたが、今まで日本のかつお、まぐろ漁業者の技術というものは、科學的に相當進歩しておるとは信じておりますが、そういうところもよくお考え願いたいと思います。ただ要は轉換資本が勤勞漁民を壓迫しないということについて、これは深くお考え願いたいと思います。
#42
○青木委員長 川村善八郎君。
#43
○川村委員 漁船の建造について二、三お伺いしたいと思います。まず第一點は、今日の造船技術というものは動力船、無動力船の建造が一本の規則になつているように聞いております。從つていづれの漁船を建造するにもまず造船所に依頼をしなければならないとうことになつているようであります。先ほど藤田政府委員から、小さい漁船の建造その他修繕については、方方でやつているということを聞いていると言われておりますが、まさにそうであります。御承知の通り、資材が不足のために漁船の建造ははかどつておらないことは事實であります。しかしながらわずかの資材があると速やかにできることも考えられるのであります。まずその例といたしましては、無動力船の中最も零細漁民の多く使用しているところの小さな磯船、すなわちこんぶ漁業とか、われわれが俗に小漁師と言つている零細漁民の使つている小さい船であります。もちろん造船所で建造したように立派にはできないが、漁師の中には非常に器用な人間がありまして、そういう船ならば自分で建造し得るところの人もあるのであります。修繕はもちろんであります。しかしながら今日では建造のそうしたわずかの素材にいたしましても、全部造船組合に配給になつて、漁民組合あるいは漁業經營團體直接にはなつておらないのであります。でありますから無動力船の中の小さい船の建造にしろ、修繕にしろ、全部が全部造船所に委ねねばならぬ非常な不便があり、かつそれがために遲れて漁業を阻んでいるという實例があるのでありまして、從つてもしこれが今日無動力船と動力船の建造の規則というものを二本建にし、しかも最も資材を要しないところの零細漁民の使うところの無動力船に對しては、特別の扱いをもつて今日の漁業團體もしくは實行組合とかいうようような、ごく細部の漁業者の直接の團體にその資材を配給して、建造もしくは修繕をさしたらどうか、その組合なり實行組合なりで造船所に委ぬる場合もありましよう。また直接漁師が建造する場合もありましよう。修繕する場合もありましよう。こういうことによつて速やかに漁船が建造もしくは修繕ができる。もつともこれは大きな船はできますまいが、小さな船に至つてはそういうことが可能であります。かようなことができますならば、まずそういう方法――すなわち今日の造船規則の一本を二本建にし、しかも無動力船と動力船を區別する。無動力船のうち最も小さな船でありまするところの磯船のごときもの、あるいはチツプのごときものは直接にそういう團體に資材を配給して、建造もしくは修繕させるよう規則が改められればまことに仕合せだと思います。
 さらに漁船に對する公定價格があるかどうか、戰時中はあつたように記憶している。しかしながら今日はおそらく公定價格では、資材その他いろいろな状況によつてそれが履行されておらないと思うのであります。從つてその公定價格があるために、造船の能率を阻んでいるようなことがありましたならば、これはゆゆしき問題であると思います。もちろん遲れていることは先ほど申し上げました通り資材その他いろいろな關係もありましようが、今日ではもう戰爭に使うところの船などはなくなりましたし、相當の技術は餘つておるはずであります。要は資材の問題と公定價格の是正の問題で、相當進展するのではないかと、かように考えますので、この公定價格があるかどうか、あつたとしたら一體いつ頃制定したものであるか、もしそれが不合理であつたとするならば、この際大いに研究して、一日も早く公定價格の是正をしてもらうということにしてもらえないか、こういうようなことであります。
 次に漁港の問題であります。先ほどの御説明によると、二十二年度には四千萬圓の豫算をもつて約百九箇所の漁港もしくは船入澗、船溜を新築もしくは増築するということを伺つたのであります。これを一箇所平均にしてみると約三十七萬圓ほどであります。もちろんこれらも資材その他食糧、勞力等の關係を見まして、かような豫算をとつたのだと思いますけれども、一箇所三十七萬圓の平均でありますると、戰前の金額にしますと、おそらく三千圓か五千圓のものでなかろうか、こうした場合、實際公定價格はあるといえども、セメントにしろ、鐵鋼にしろ、その他すべての機会器具にいたしましても、今日では何百倍というような多額になつておる。かように考えるのであります。でありますが、漁村には漁港というものがなくてはならない。いわゆる増産の原動力をなすところの漁船の家であります。これをつくることによつてまず増産ができるということになりますならば、極力豫算の擴大強化をはかつて、そうして各方面に呼かけ、さらにその漁港を修築あるいは築設するところは、資材やその他を心配して、併せて官の力民の力を總合的に活用して、漁港を多くすることが必要ではないか、かように考えるのであります。從つてわれわれはこの日本全國の漁港の數、すなわち各府縣別の數と規模、その他漁獲、漁業状態、漁港を原動力とするところの、漁業のいろいろな状態に關してわれわれは知りたいのであります。これを調査するために、もちろんこの委員會でも取上げるではありましようけれども、この委員會から相當の人數を、各方面に分擔せしめて、派遣して調査する必要があると思うのでありますが、この點をいかにお考えになつておるか、またそれに對しましてわれわれに十分な資料をいただきたいのでありますが、これらができるかどうかということを伺いたいのであります。
#44
○藤田政府委員 漁船の建造及び資材の問題、これは御承知の通り運輸省の一應の御所管にもなつておる關係もあります。なほこういうふうな漁船に關係する問題がなほ實情に即しない點が多々あらうかと考えております。私どもが水産廳を考えておりますことも、實はこういうふうな問題をも、實情に即するように解決をしてまいりたい。かように考えておる一つの理由であるわけであります。なほ建造その他資材の問題につきましては、十分今後とも御趣旨のような點については考究いたしまして、なほ運輸省方面とも相談いたしまして、できるだけ漁業の實情に即するように、漁船が速やかにできますように、適當な方法を考えてまいりたい。かように考えておる次第であります。
 それから漁船の公定價格の問題でありますが、これは現在きまつておりません。むしろ私どもは、これで最近非常に漁船の單價が上りまして困つておるのであります。從つてこの點についてはできるだけ漁船を適正な價格へすえおくようにしたいと實は考えておるのでありますが、これについてはまた一方公定價格というものをかりにきめましても、非常に船舶の航行其の他操業上危險なものをつくられましては困るわけでありまして、公定價格を決めるといたしましても、非常にむづかしい問題がある。かりにきめましても、これが實際の問題についても、はたしてそれが確實に實行されるかどうかということも、研究しなければならぬので、これについては運輸省方面にも、私どもとして適性な漁船の船價というものをきめて、それによつてやつてもらいたいということを現在話しております。なお漁船の船價が不當に上ることのないように、それによつて生産費をはなはだしく増嵩することのないように、私どもとしても十分努めてまいりたい。かように考えておる次第であります。
 なほ、漁港についてのいろいろの調査をいたしますために、各地に人を派遣し、また十分な資料をとりたいということでありますが、私どもといたしましてもこの必要を十分痛感しております。これについては私どももやりたいと考えております。十分御協力をいたしたい。こういうふうなお企てに對してはできる限りの御援助もいたしたい。かように考えております。
#45
○川村委員 ただいま藤田政府委員の御説明によりますと、漁船の公定價格はないということでありますので、だいたいその點は了承しましたけれども、實は昨年私らの方の函館税務署で、漁業方面で新圓を獲得しておるということから、おそらく一箇町村の所得税に、今までこれくらい賦課されたことはないだろうと思う。その原因は今日ひとり漁船のみならず、あらゆる漁業資材というものは、みなやみであるということは、ひとり私の方ばかりでなく、これは全部を通じての言葉であると言つていいと思います。その中で漁船は四千八百圓くらいにしか單價を見ておらないということは、戰爭中は公定價格もあつたのであります。われわれが一艘の船を建造しますのに、一トン當り恐らく今日では一萬圓以下のものはないと私は考えております。われわれが公定價格がないのだ、ほとんどやみで、高いのだ、漁具もその通り、すべてがそうだ、といつて主張しましても、いや、一旦公價がこうしてきまつている以上は、われわれは幾分の同情はするけれども、それは諸君の要望に應ずることができない、というようなことで、結局議論づくめで、こちらの理由がないので負けるというような状態になつております。今日われわれが漁價を高めてくれと言うのも、漁船のみならず、すべてのそうしたような資材等の公定價格をいうものが、あつてないがごとき状態に陥つておるので要望しておるのであります。私は決して税を納めたくないというような、非國民の考えではありません。結局われわれに公定價格があるならば、公定價格で渡してくれればそれでよろしうございます。從つてまた魚もそれに相應したところの公價で結構であります。そうしたような漁船のみならず、いろいろなものに矛盾があるのでありますから、そうしたような點を是正しなかつたならば、いつまでたつてもわれわれの暮すところの魚の價格というもの、政府とわれわれとの間に折合がつくものでもないし、また政府關係に至りましても、税務署との間に折合がつくものでもない。それがために困難をして、かえつて生産を阻むということになりはしないかということを顧慮しますので、農林省關係にあるところの價格の是正ができておらぬことは、ぜひ是正方を要望しておきたいのであります。そえからさらに資料のことは一日も早く私どもの手もとに出していただきたいと思います。
#46
○青木委員長 川村君、運輸省の方の政府委員の出席を求められますか。
#47
○川村委員 私は結局運輸省關係と關連する問題がこればかりでなく、ずいぶんあるだらうと思います。いわゆる魚價については交通の關係、輸送の關係、ずいぶん出てくると思いますから、一通りこちらの方をすべてのことを進行させて、しかして運輸省關係の問題などもまた別に協議したらどうかと、かように考えております。
#48
○青木委員長 それでは運輸省、また商工省關係も出てくると思いますが、これらは追つて政府委員の出席を求めたいと存じます。なお調査に關しましては、議長の許可あり次第、資料の提出を求め、なお現地について調査をいたしたいと考えております。
#49
○菊池(豐)委員 當局の説明によりますと、造船計畫の約三分の一、許可の半ばに達しない状態である。しかもそこへもつてきて第四次の造船計畫がストツプを食つた。これは相當水産業にとつてゆゆしい問題だと思うのですが、この仕事の進捗せざる原因の一つとして、當局は資材、電力、食糧等の難澁に原因を認めておりますが、先ほど各位の御質問を總合いたしましても、私ども單に縣廳内で造船計畫を立てましても、今委員長の言われるように、水産、商工、林業さらに最近は建設この三つの課を通し、さらに木造の造船組合とか、あるいは水産業組合とか、中央に行つても中央のそれぞれのそういう統制組合等、實に十二箇所の難關を突破して、そうして起工ができるのに六箇月はかかります。そこに懊みをもつて水産廳をつくろうとなさることもよくわかつておりますが、しかし私どもは思うのに、これはやはり各省との血のつながりをもつている水産廳といつたようなものだけでは依前として隔靴掻痒の感を免れない機構になりはしないかということをおそれるのです。局長は農林省に所屬しておられるのでありますが、その關連する主要問題の決定權はおよそ水産の特殊性に縁の遠い、常識の乏しい農林省以外の各官廳にあるもののように承知しておりますので、從つて水産局の弱體ということが造船問題にたいへんに暗い影響を與えていることはもちろんでありまして、前年來私どもは水産省の獨立ということを叫んでまいつたのでありますが、この機會において局長にお尋ねすると同時に、青木委員長にもお尋ねしたいと思うのであります。百尺竿頭一歩を進めて、やはり水産省を獨立させるような氣運を小委員會においてお取り計いになる意思があるかどうか、まずこれを先にお尋ねいたしましてから、次に私の意見を開陳したいと思います。
#50
○青木委員長 委員會の方針といたしましては、まずさしあたり水産廳の設置に向つて全力を傾注し、しかる後水産省の問題に移る豫定であります。
#51
○藤田政府委員 これはむしろ私が答えますよりも、農林大臣にお答えいただくことが適當かと考えております。事務當局といたしましては、水産行政機構の強化は多年の懸案でありますので、一日も早くさしあたり水産廳が實現いたしますように、私どもといたしましても努力をいたしております。
#52
○菊池(豐)委員 私病のために前後二囘委員會を缺席いたしておりましたので、つとめて簡單に申し上げますが、委員長に最初お尋ねしたいと思います。漸を逐つて水産省の機構をキヤツチするように進みたいというのも結構です。後刻の小委員會においてオブザーバーとして出席をお許し願つて、その機會に卑見を申し上げたいと思いますが、この機會に當局はいろいろ漁區の問題、漁業權の問題等をめぐつて紛議を續けております漁業家のために、水産廳の獨立と同時に司法機構の再檢討をなし、いわゆる行政廳というものをおつくりになり、八大海區の場所に司法機關の獨立をはかるため、中央に漁船裁判所、各區に漁船の審判所を置くといつた手續きをとることは、この機會に最も焦眉の急だと漁民一同要望しておるのでありますが、何かそれについてお考えがございますか。
#53
○藤田政府委員 行政廳をつくりまして、新しい漁業權制度の實施をしていくということを考えておりますが、お話の問題は漁業權の紛爭あるいは爭議の解決の問題であろうかと考えております。これについては私どもといたしましては、小さいものは地元の漁業の委員會に、それの大きいものについては、民主的にできてまいりますところの漁業調整委員會というものによつて、まずこれを取り上げて、この紛爭を自主的に解決する、こういうやり方がよくはないかということを考えております。
#54
○青木委員長 菊池君に申し上げますが、漁業權の問題は追つてあらためて取り上げる豫定になつております。
#55
○菊池(豐)委員 承知しました。ではその問題は打切つておきまして、簡單に漁港のことを先ほど先覺者である夏堀君からも申し上げておつたようでありますが、滅失徴用漁船の問題について、あなたは隻數では既に飽和點に達していると仰せられたのであります。形はそうでしようけれども、弱體とかあるいは老朽とかいつたものもその中に相當包含されておりますので、その配置轉換についても一段の便宜をはかられるように希望いたすと同時に、さらに特別の事情があつて、まつたく泣くにも泣けない思いをしております人たちに對する特別の措置については、議會あるいは委員會等とも連絡をとつて、適當な折衝を試みてくださるように御協力をお願いしたいと思います。
 さらにもう一つ漁港について簡單に申し上げておきます。川村君からも質疑がありましたが、漁港、船溜とともに、六十三に五十六と昨年度の豫算のことは承知しておりますが、物價が上つてなかなか仕事が遲々として進まない現状にありますので、それと、それからその地方の情勢と漁獲物の増によつて漁港、船溜等についてもさらに一層の檢討を加える必要があると思います。私は茨城縣でありますが、千葉、福島などに比べまして、はなはだ舊態依然たるものがあります。 那珂港の漁港については、御承知の通り、非常に力を重點的に盡されたが、しかしどうもうだつが上らない。これは科學的な魚價檢討の失策にも起因するところがあるのではないかと私どもは思うのであります。少くとも地元民の熱情と、そのコンデイシヨンに對して、さらに一段と檢討と加えられて、江名、小名、四倉等について――茨城縣では久慈濱、それから何といつても大津だと思いますが、大津漁港の完成については、一段の努力を惜しまざるよう特にお願いしておきたいと思うのであります。まことに惠まれない状態に置かれております。三縣のあの沿岸の漁業の模様を見ますと、非常に氣の毒だと思います。從つて先ほどの建設的な意見の出ました調査といつたようなことは、この際急速にお協力申し上げたいと存じます。
 それから最後にいわし揚繰りが去年から今年にかけてはなはだ振いません。かつお、まぐろ漁業の方はこの程度で、底引もここいらでたくさんだと言われておりますが、いわし揚繰りの漁船の建造指導等についても、當局はどんなお考えをもつておりますが。簡單でございますから合わせてお聽かせ願いたいと思います。
#56
○藤田政府委員 漁船建造につきましては先ほどお答えいたしましたように、相當老朽船がございます。その老朽船の代船として新しいものをつくる、この問題についてはこれは差支えはないと考えます。それはやらしてまいりたいと思つております。それから隻數の問題は制限を受けておりますが、現在四次建造の中には相當お話の通り特別の事情のものもございますので、この問題についてはわれわれとしても極力事情のあるものはこれを訴えまして、これが實現できますように努力してまいりたい、こういうふうに思つております。
 それから漁港の問題についてのお話がございましたが、率直に申しまして、私は從來の漁港の選び方というものが、はたしていいかどうかということは問題があろうと思つております。現在の漁港の選び方というものは、地元の負擔能力をまず考えるわけでありますから、地元で負擔の能力があり、また資材その他のゆとりもできる、そういうふうなものを主として考えます關係上、理想的な漁港網の關係から申しますれば、必ずしも適當でないものもあると考えます。場合によれば非常に固まつた區域にむらにできることもあり、場合によれば地元の能力がなければ必要なところもできない、こういうふうな點もあるわけであります。こういうふうな問題については、將來はいろいろ考え直さなければならぬかと思つております。私としては、むしろやはり重點的に考えていくことが必要じやないだろうか。わずかな補助金をばらばらとまくというやり方では、とうていすべてがものにならぬじやないだろうかと考えております。從つてそういうふうな考え方からいたしまして、新しい漁港の補助については考えてまいりたい。大津の問題については、私どもも十分事情は承知をいたしておりますので、できるだけ考慮をしてまいりたい、かように考えます。
 それからいわし揚繰りの問題でございますが、今後われわれとして力を入れていきますような方向の漁業としては、やはりこのいわし揚繰りがまず取上げらるべき問題であろう。これについては私どもとしても具體的に計畫を立てまして、資材についても特別に考慮して、今進めておるわけであります。今後ともこういうふうな方面については、特別に積極的に指導してまいりたいと考えております、
#57
○菊池(豐)委員 理解のある御説明で納得いたしました。最後に漁港政策を重點的に打ちたいということについては、私どもも雜談のみぎり委員長にもさような希望を申しましたもので、私の附近でも約七箇所かの助成にあずかつておりますが、遲々として工程は進みません。燒け石にじよろで水をまくようなことでなく、やつぱり一莖の草にもたつぷりと水を加えて育て上げるという氣持ちで、調査なり、檢討なり、研究なりの機關と協力していかれることを、重ねて要望いたしまして打切ります。
#58
○青木委員長 本日はこれにて散會いたします。次會は公報をもつて通知いたします。
   午前零時十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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