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1947/07/31 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第8号
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1947/07/31 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第8号

#1
第001回国会 水産委員会 第8号
昭和二十二年七月三十一日(木曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 青木清左ヱ門君
   理事 庄司 彦男君 理事 吉川 兼光君
   理事 三好 竹勇君 理事 夏堀源三郎君
   理事 西村 久之君 理事 加藤吉太夫君
      鈴木 善幸君    藤原繁太郎君
      松本 眞一君    宇都宮則綱君
      神山 榮一君    小松 勇次君
      石原 圓吉君    川村善八郎君
      坂本  實君    森 幸太郎君
      多賀 安郎君    内藤 友明君
      外崎千代吉君
 出席政府委員
        農林政務次官  井上 良二君
        農林事務官   藤田  巖君
 委員外の出席者
        大藏事務官   三井 武夫君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 魚價算定基準に關する件
 水産廳設置に關する件
    ―――――――――――――
#2
○青木委員長 これより會議を開きます。
 一昨日の會議におきまして魚價に關する本委員會の態度を決定いたしました。これを文書にいたしまして確定しておきたいと存じます。當日の議事録等を参考といたしまして委員長において文案を起草いたしました。ただいまより朗讀いたします。
 いかがでございましよう。
#3
○青木委員長 御異議なければ之を決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○青木委員長 次に水産廳設置に關する件を議題といたします。小委員長により文書をもつて報告がございました。右に對する小委員長の説明を求めます。藤原君。
#5
○藤原委員 これから水産廳設置に關する小委員會の報告をいたします。水産廳設置に關しましては去る二十八日小委員會を開きまして、水産廳を内閣の直屬にするか、あるいはまた農林省の外局にするかということにつていろいろの意見を交換したのであります。將來水産省としての發展するための前提として考えた場合、今日の食糧危機にある日本國の現状というものに對處するための水産廳という、この兩面から檢討いたしました結果、この食糧危機を一環の政策内に取入れて行うことが、今日の時局に對しては一番妥當であろう、こういうことに意見の一致を見ました結果、農林省外局として水産廳を設置するということに意見の一致を見たのであります。從つてこれを實行に移すにあたりましては、これを議案として提出するか、あるいは法律案としてこれを提出するかということについて、種々懇談をいたしました結果、どうしても議案では力が弱い。こういうことから、法律案としてこれを提出することに意見の一致を見たのであります。そういたしまして、その趣旨に從いまして今日皆様方のお手もとに差上げました法立案の案文というものが作成されたのであります。念のためここに誤植の點もありますから、私が一應これを讀み上げることにいたします。
 こういう理由書になつております。以上御報告いたします。
#6
○青木委員長 ただいまの小委員長の報告に關し、御質疑竝びに御意見の發表を願います。
#7
○庄司(彦)委員 大體結構だと思いますが、この第三條の中に一項加えていただきたいことがあります。それは船員の問題でありまして、運輸省所管の船員にあらざるところの乗組船員の監督その他物資の點等について、やはり魚獲生産と併せて考慮しなければならない點が多々あるだろうと思いますから、ここに一項運輸省所管の船員にあらざる船員の監督その他物資に關する事項、こういう項目を入れていただきたいと思います。
#8
○青木委員長 ほかに御意見はありませんか。
#9
○森(幸)委員 小委員のいろいろの御研究に對しましては感謝する次第でありますが、ただいま小委員長よりの御報告によりましてこの水産廳設置が食糧が緊迫いたしており、主要食糧の中に加えて考えられるような重大性になつてきて、いよいよ水産業を充實しなければならない。從つて今日のような農林省の一局ではいけない。こういう御説があつたのでありますが、この法律案の大體の組立については異議はありません。異議はありませんが、この水産廳を設置するという根本的理念がいま少しく強調されなければならないと思うのであります。日本は東洋第一水産國であることは申し上げるまでもないのであります。それから日本の國民性が動物質の蛋白質を給源とするよりも、上代以來魚族というものを蛋白質の給源に求めてきたのであります。今日貝がらが發見されておりますごとく、水産物とわが國民性というものは切つても切れない關係があるのでありまして、わが民族の素質が、動物質の蛋白質よりも水産物の蛋白質によつて榮養をとるということが最も適當いたしておるのであります。これが明治の初代以來、海外の文物を吸収するのにいとまなく、盲目的にこれを吸収した結果は、動物質の蛋白質の給源に變化してきたのであります。これは今日の日本の現状から申しまして、いろいろな蛋白質給源に欠乏しておる結果、環海、海に恵まれておる日本といたしましては、さしあたり動物の蛋白質がない、水産物の蛋白質によるほかないというような、窮豫の策に出たような感じを、この水産物に對してもたせることははなはだ私は遺憾に思うのであります。また水産業があまりに輕視されておつた。その輕視されておつたということが、非常に日本として不幸な境遇におかれておるのでありまして、われわれ日本民族の本然の要求から、この水産業というものにもつともつと密接に結びつけなければならぬ。この氣持から、今日まで輕視されておつた水産業を、ここに水産省の獨立によつて大いに振興しなければならぬというようにわれわれは氣づいてきた。ここにおいて水産省までつくりたいというこの燃ゆる希望があるという氣持で、この法律案作成の理念といたしたいのであります。既に水産省の設置は、前内閣においてもその意思のあることを聲明されておるのであります。どうかひとつわれわれは、この新しい國會の力によりまして、水産省の獨立を要望するのでありますが、今委員長の報告されたように、今日の場合やむを得なければ農林省の外局として水産廳の設置は當然中の當然でありまして、これは今日やかましく言われておる食糧の緊急對策によつて水産廳が設置されたというのでなく、われわれ民族が、今日までおろそかにしておつたことがはなはだいけなかつた、一日も早く、水産業のもつともつとまじめなる發達を要求する意味において、この水産省の獨立を私は熱望する次第であります。この氣持においてこの案に私は全面的に贊成するものであります。
#10
○宇都宮委員 ただいま水産廳の設置に關する法律の案がここにできておりますが、私は全面的にこれに贊成の意を表するのであります。今日の食糧難を打開するのには、何としても水産の發達を期せなければならぬのではないかと思うのであります。今まで國民は、ややもすれば米麥が不足すると非常に躍起になつて騒ぎ立てるのでありますが、魚介の不足をさほどまで念頭においておらぬということは、どういうわけであつたかということを、私どもはなはだ疑うものであります。米麥は季節を待たなければ収穫ができないのであります。しかるにこの魚類は季節を待たずに漁獲し得るのでありますから、この魚類をとることに全力を傾注して、今日の行き詰まつた生活難を打開するのが最も近道ではないか。私どもはこう考えるのであります。でありますから水産委員は申すに及ばず、全議員にこの水産というものの必要性を強調いたしまして、水産廳の實現の速やかならんことを希望するものであります。
#11
○森(幸)委員 この際一言農林省當局に私は希望を申し上げたいと思うのであります。この水産廳が獨立するについては、商工省、運輸省との事務管掌について、いろいろの問題が起つてくとる思うのであります。今日まで、行政機構が合併されたり、分離されたり、いろいろの沿革をもつております。言葉が惡いかもしれませんが、役人根性として自分の所管と他省に渡すことを非常にいやがるのであります。現にこれは畜産關係でありますが、屠殺獸の檢査を今なお厚生省が監督いたしておる。今日非常に畜産業が發達して畜産の技術者もあるのに、なぜこれを農林省に移管しないのか。農林省は乳牛の飼育上においていろいろ苦心惨擔して、その肉牛がどのような肉質をもつているか、あるいはどういうような乳をもつているかとうことを實際に試す上においても、細部まで農林省が所管いたしたいというのが畜産局の希望である。ところが太政官布告以來の惰性によつて、内務省から引繼いだ厚生省がどうしてもこれを放さない。肉牛の肉なり、乳の檢査が厚生省である。そうしてその飼育が農林省である。こういうふうに、實にばかげた複雜な行政機構があるのであります。この水産廳の獨立につきましては、たとえば漁網鋼の繊維については、商工省が今日がつちり握つております。また漁船の製造に對しては、運輸省が握つている。この運輸省は虚心坦懐、水産廳の獨立によつて、よろしい、この漁船というものと普通の船舶とはその性質が違う。目的が違う。構造が違うのであるから、これは水産業に適當なるところの技術によつて推進せしめるのがいいのだという、大所高所から、男らしく、水産廳ができれば水産廳に讓るべきものである。また繊維の面におきましても、漁網綱については、その原料たるより糸は、いずれも普通の衣料と變りませんけれども、その需要上より糸あるいは網鋼の加工ということについては、特別な事情が水産關係にあるのでありますから、こういうふうな原料の點につきましては、男らしく水産廳に譲る、農林省のわくの中に譲るというふうにしなければならぬと思う。どうか農林省としては、勇敢にここで水産廳を――省をやりたいができませんから廳でがまんするのだが、どうかひとつ、農林省としては、勇敢に、運輸省なりあるいは商工省と折衝せられまして、そうしてこの目的を政府の責任において、内閣の責任において達成するように、さいわいにこ法律案が確率いたした上においては、努力せられんことを希望する次第であります。
#12
○石原(圓)委員 ちよつと關連して……。水産廳設置に對しては、森君の御意見に全面的に贊成するものであります。殊に水産省を設置するということは、昨年の議會におきまして、滿上一致の國策樹立の決議案ができておるのでありまして、どうしても近い將來に水産省にしなければならないということは、日本の輿論がきまつておるのであります。たださしあたり、機構いじりをしておるために、當面の食糧事情を阻害するようなことがあつてはならぬから、その食糧事情を急速に補給する意味において、暫定的な水産廳という意味合いで、ここに委員一同は意見が一致したのであります。その意味合いにおいて、農林當局が、いわゆる自分の畑が減る、自分の勢力範圍が少くなる、さような役人根性を出さずに、大局より見て、そうして日本の水産業はこうせねばならぬという、本質的な方面に勇敢に努力をしていただきたいと思うのであります。
 なほ、この漁船であるとか、漁網であるとかいうものの所管の問題でありますが、さる二十六日に上野の精養軒におきまして、全國漁民大會があつたのであります。その時に、多數の衆議院、参議院の議員諸君が御列席になつて、それぞれ激勵の言葉をいただいたのでありますが、その中に漁船の問題については、運輸省の常任委員ではあるけれども、水産省もしくは水産廳が獨立して、そこで專管するということには自分は贊成である、その實現を期するべく大いに努力すをする言明があつたのであります。これは氏名もはつきりわかつております。その他この水産廳の問題については、各委員が、常任委員の間で超越して決議等を必要とする場合は、われわれはこぞつて贊成する。こういうお言葉もあつたのでありまして、これがいわゆる國會を代表した一つの反映と見ていいと思うのであります。どうかその點を御斟酌の上で、この所管の問題を省においては勇敢に、最も合理的に編成するように特に希望を申し上げる次第であります。
#13
○内藤委員 小委員會でおつくりになりました水産廳設置に關する法律案、附則の「この法律の施行に伴い、農林省官制に所要の改正を行う」というのがありますが、これは農林省官制だけではなくて、商工省の官制にも、運輸省の官制にも改正を加えなければならぬのじやないかと思うのでありますが、小委員長の御見解を伺いたいと思うのであります。
#14
○藤原委員 そのことについて、實は「農林省官制等」と「等」を入れることを失念しておりました。どうぞそれを一つ加えていただきたいと思います。と申しますのは、從つて運輸省、商工省に及ぶことを意味しております。
 なおついででありますが、理由書の終りの方、最後の行に「漁網鋼に關する云々」とあります。この「漁網鋼」の下に「等」を入れて「漁網鋼等に關する」としていただきたいと思います。
#15
○青木委員長 この際、農林省當局の見解竝びに決心を御發表願います。政府委員井上良次君。
#16
○井上政府委員 この際水産廳設置に關する政府の所見を申し上げておきたいと存じます。政府といたしましては、現在わが國の水産事情というものが、この國會で問題になつておりますようにこの機構を飛躍的に擴大をいたしまして、水産の飛躍的な増産をはかるということは、現下わが國の當面する食糧危機を突破するのみならず、將來わが國の食糧問題の解決の上に、また國民の榮養上非常な役割を果すと考えております。水産廳設置に關しましては、政府みずからも協力を惜しむものではございません。今森委員からも御指摘もございましたように、この廳を設置いたしますためには、運輸省所管に關しまする船の建造の問題、それから商工省所管におきまして水産業界の船用資材に關する生産配給等の問題がございます。これらの問題は、當面するこの要望をよく納得せしめますならば、必ず了解をされるという自信を私どもはもつておりますし、また從來と異りまして、まつたく國會が今後最高機關として今日ある以上、國會がこの法律案を實施するということになりますならば、當然行政機構でありますわれわれの方におきましては、國會の決定に從つて、この運營を圓滿にやつていくのは當然のことでありますから、皆さんの御趣旨のもとに進みたいと考えております。さよう御了承願いたいと思います。
#17
○青木委員長 本案についてはなお委員中次會に發言したき旨の申出等もありますし、本日はこの程度で審議を中止して、次會において採決いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
#18
○青木委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#19
○青木委員長 水産行政に關する御質疑竝びに御意見の發表を許します。石原圓吉君。
#20
○石原(圓)委員 大藏省の方に質問をいたします。漁船の建造等に復興金融金庫の金を、まず第一期に融資をする金額を、二十三億七千萬圓と決定されたことは御承知の通りであると思います。その金を現在までにどれだけ實際に漁船建造等に支出しておられるか、この點を伺いたいのであります。そのうち捕鯨のための融資とその他とを區別した數字が承りたいのであります。
#21
○三井説明員 ただいま復興金融金庫の水産業に對する融資状況につきまして御質問がありましたのでお答え申し上げたいと思います。復興金融金庫といたしましては、正式に資金計畫をつくりまして、それに基きまして融資をいたすことにいたしましたのは、本年の四月からの、昭和二十二年度第十四半期からそういう方針をとつてまいつたのでございまして、第十四半期におきましては、水産業の資金のわくは三億圓ということでやつてまいつたのでございます。ところが融資の實績におきますと、四月から六月までの三箇月間に四億五千百七十一萬九千圓だけ、計畫以上の融資を實はいたしたような状況になつておるのであります。計畫に對しまして實績の超過いたしましたのは、必ずしも水産業だけではないのでございますけれども、計畫に對しまして實績額の超過いたしました割合から申しますと、水産業のように約半額、五〇%以上超過したということは、ほかの業種目にはないのでございまして、復興金融金庫といたしましては、水産業に對して十分な熱意と努力をいたして、この融資をしてまいつたことになつております。その結果本年の六月末におきまする水産業に對する融資の残高は八億八千百九十八萬七千圓ということに相なつております。そのうち設備資金が八億五千四百五十六萬四千圓、運轉資金が二千七百四十二萬三千圓ということになつておるのでございます。今石原委員からお話があつたのでございますけれども、復興金融金庫といたしましては、實際にはこの各四半期ごとに計畫を立てまして、その計畫に基きまして融資をいたしてまいるということになつておるのでございまして、ただいま御指摘の金額は、必ずしも今すぐに復興金融金庫から支出できるということにはならないかと思うのであります。現に第二四半期計畫は少し遲れておりますけれども、今安定本部その他と折衝いたしておりまして、近々のうちに第二四半期の計畫をさらに立てまして、その計畫に基いてまた第二四半期の融資をしてまいる。さらに第三四半期または第三四半期で計畫を立て、實行してまいる。その計畫におきましても、この水産業というのは非常に大きな項目をなしておるのであります。これにつきましてこの期のさしあたりの計畫をいくらにするかということは、私どもといたしましても各方面と相談いたしまして、非常に愼重に考えておる次第であります。
 それからお尋ねの捕鯨關係の金額でございますけれども、ただいま申し上げました八億八千百九十八萬七千圓のうちの、捕鯨資金の分が、いくらであつたかということは的確な數字をもつておりませんので、別にお調べいたしましてお答え申し上げることにいたしたいと考えます。
#22
○石原(圓)委員 ただいまの三億圓に對しまして四億いくらを實際支出になつておる。從つて水産にはかなり豫定より餘分に支出をしておるような御説明でありましたけれども、それはその通りに違いないと思いますが、その計畫を立てる時の三億圓が、私どもの方の見るところでは非常に過少であつた。あるいはこのときの金額が妥當な額が定められて、それに準じて、ただいま御説明のように二割も三割も五割も餘計出ておつたならば、現在の漁船は大方稼行するように、沖に出るようになつたのだと私は思うのでありまして、そのときに立てた金額が非常に過少であつたということを、十分檢討してもらいたいと思うのであります。二十三億七千萬圓というものは、これは數囘繰返された額でありまして、第一次、第二次、第三次という漁船の建造の許可も、それを目標としてそれぞれ受けて、第四次の許可はすでに受けられないようなことになつたが、これは資金の面にも大いに關係した。そこで最初に融通する金が少いために、船が中途半端になつてだんだんと造船が遲れて、遲れる間に勞働賃金や資材が高價になつて、今ではさらに倍額に近いような値上りの問題で、船主も造船所も皆苦しんでおる。こういうことは、私は復興金融金庫の融資の方法の妥當でなかつたということが大いなる影響であると思うのであります。現在でも相當半出來になつております船が、値上りで金がない拂えないために人手に渡る。造船所は手附金を没収して、その船は他に賣つてしまうという傾向も、まだ實現しませんけれども、もうしばらく金を拂わなかつたらそういうことになると思うのであります。漁船はすでに今危機に瀕しておると思うのであります。かような場合でありまするから、政府が宣明したところの、豫定の金額を融資しないということが根本の隘路になつておる。もつともその中に、水産にまわすべきものが緊急な石炭の方にまわつていつたというようなことも、われわれは直接大藏省や銀行の人からもしばしば聞くのでありまして、これほど遺憾なことはないと思うのであります。石炭が必要なことは論をまたないのでありますが、これを三千萬トン以上採掘するということについては、他の生産資金を削減してまわすということは、もつてのほかだと私は思うのであります。それぞれ豫定の生産資金に對しては豫定通りに、なおより以上融資をして、石炭の緊急資金はさらに別個に考えて、そうして融資の途をはかるべきである。そういうことでなくして、ある一定のわくの中の金を、これは緊急だからこつちをやめてこつちにまわす。こつちを削つてこつちに殖やすというようなことをしておつたならば、日本の産業の再建は絶對にできないと私は思うのであります。そういう點に十分金融の衝に當られる人々がしさいなる注意と考慮とが必要と思うのでありますが、まづこの非常時の生産を増強する。少い物資をなるべく多くして、生産の資材を充實する、こういうようなことが必要と思う。もう危機に迫つておるのでありまするから、この場合における金融課長の心構えをまず承つておきたいのであります。
#23
○三井説明員 ただいま石原委員から、日本の經濟復興のための必要な御意見の御開陳があつたのでありますが、私どももまさに御意見の通りだと考えております。ほんとうに日本の經濟を建直すためには莫大な資金を要するのであります。この資金をもつて、ほんとうに計畫的な經濟復興ということをやつてまいらなければならないことは當然なのでありまして、お話のように片一方のわくを削つて片一方にまわす、やりくり算段をしてやつと金融をしていくというようなことでは、理想から遠ざかることはなはだしいものがあることは、まさに御説の通りなのであります。ただ現實の問題といたしまして、私どもが一番惱まされていますもの、これはもう毎日のように惱んでおるのでございますけれども、私の關係いたしておりまする復興金融だけをとつてみましても、この復興金融をやつてまいりまするに必要な資金というものがどうしても集まつてこない。この點なのであります。現に四月から六月までの状況を申し上げますると、その間に發行いたしました復興金融債券が八十億あるのでありますが、この八十億の債券が市中で消化できましたものはわずかにその十パーセント、結局七十何億というものが日本銀行の背負いこみになつたのであります。四月から六月までの通貨の發行の増加が約三百億になつておりまするけれども、結局その三分の一というものが、復興金融債券の日銀背負いこみというところから出てきておるということもいえるのであります。一方では通貨を増發することを極度に抑えながら、しかも産業の復興についても、いかにして努めていくかということを、私ども毎日のように苦慮しておるのであります。このバランスを、一方では乏しい中から資金をつくりながら、それをこの必要な産業の復興にまわしていかなければならぬ。ここに苦慮する問題の根據があるのだと思います。資金の建て方が、あるいは少しでも餘計の金を考慮してまわす。それを效果的に使いまして、これによつてさらに生産の増強をはかる。この經濟の復興のもとをつくらなければならぬということは、まさにお話の通りなのであります。さしあたり第二四半期の計畫においても貯蓄をどの程度期待できるか、資金の貯蓄がどの程度可能であるかという見透しをつけながら、その限られた資金でもつて、最も有效な産業復興計畫の方をやつていかなければならぬということで心配しておるのであります。もちろん時期的にはずれということはございます。殊に今度のように大きな價格の改訂が行われました直後でありますから、特に貯蓄の増強は期待できない。そのずれを操作するために、一時日本銀行から資金を提供しなければならぬということももちろんでありますけれども、その限度をどの程度にするか、一方受渡資金でどの程度賄うか。そうして兩方の資金で、第二四半期中にどのような計畫で各産業に配分するかということを、今一生懸命やつております。もう七月が終ろうとしておるのでありまして、この點われわれも實に心配しておるのであります。いろいろな情勢から未だにできないので、産業復興の計畫が達成をみないという状況であります。これを早く進めまして、實行に移さなければならぬということを考えております。その場合に、お話のような、水産業のためにもできるだけの資金をまわさなければならぬということはもちろんなのでありますが、今申しましたように、全體の資金が何と申しましても窮屈でありますので、こういう事情を十分御了承頂きたいと考えます。特にこの期は水産業の資金の中では、御承知のように捕鯨關係に資金が相當大きなものが必要になつてまいりますので、これと他の一般の水産業の資金と、どのような割合で、いたしていくかということにつきましては、安本なり農林省なりともいろいろ相談をいたして、資金の目當のつく限り、できるだけの資金を水産方面にもまわしたいと考えておる次第であります。
#24
○石原(圓)委員 すでに七、八、九の三箇月の、七月はもう終ろうとするときでありますが、この期間の資金の計畫がつかぬということは、これは産業界全體にわたつての非常なる打撃であると思うのであります。これは一箇月くらい前に次の期間の計畫が立たなければならぬ。その期の一箇月は經過しておるのに、立たないということは、いかにも産業界全體の困難を助長しておるような事態に達しておるのであります。他の問題は別の機會に申し上げますが、先刻來申し上げておる漁業資金の方であります、船ができても漁具漁網鋼、油、それに氷、そういうものを仕入れて、建造を許された百三十五トンの鐵船をかつお、まぐろの漁獲に出そうとすれば、最初の仕込み資金が初航海には八十萬圓ないし百萬圓を要する。それから二航海には六、七十萬圓程度を要する。船はできた。進水はして準備はできたが漁具ができない。そのために沖に出られないという船が多數あります。これは仕込み資金さえできればすぐに出漁できるのであります。復興金融金庫の制度ができてから御承知のように興銀も勸銀も融通はちつともしない。民間銀行はもちろんのこと、もう漁村としての金融は復興金融金庫以外には門が閉まつたと言うて差支えないのでありまして、こういうときにどんどん政府は資金調整法を運用して、金融の許可を與え、船をつくらしてゆく。今日は、その大部分はみな動きのとれないような金融の状態になつている。これで水産を急速に増産させようと言つても、實際にできない實情にあることはほぼ御諒察と思いますが、ここに水産局長もお見えになつておりますから、その點を十分に御考慮になつて速やかに應急的な資金の途をあけるお考えはないか。殊に一艘について仕込み資金の八十萬圓ないし六十萬圓は、沖に出れば魚をとつてくる、そうすればすぐ二十日か十五日に囘収する。そうして順次沖に出ることが滑らかにできるのでありますから、この一時的な仕込み資金というものが私の胸算用では十億圓もあつたならば、全國の漁船は非常に活發に動いて、今の生産高は急激に十倍以上になるだとうと考えられるのでありますが、そういう點につきまして十億圓程度の一時的な仕込み資金を出してやるということ、竝びに値上りによつて船價が支拂われないから、手付金を流してしまつて船を捨てなければならぬ、そういうのを救濟する資金、この問題についてどういう御方針をおとりになるかお伺いしておきたいのであります。
#25
○藤田政府委員 現在水産業を經營いたします上に、最近の情勢といたしましては、金融が一番の隘路になつております。ずつと前は資材でありましたが、現在では資材はもちろんのこと、金融が最後の隘路になつていることは私どもも十分承知をしているのでありまして、この水産の資金額の設定については、非常に國家の金融のやりくりがむつかしい際でありますけれども、できるだけたくさんの資金額を設定していただくように、私どもといたしましても常に交渉を續けているわけであります。ただ問題は建造資金と仕込み資金とに分れるわけであります。大體一般の銀行ではとうてい見てもらえないところの建造資金は、どうしても復金に見てもらわなければならぬということで、現在お願いしておるのでありますが、その資金すらなかなか豫定の通りにまいつておらない。お話のように船が中途半端になつておりまして、その後の資金が出ないために困つておる状態であります。また船價の値上りによりまして非常に當惑をしているような状態であります。私どもといたしましては、やはり順序として船舶の建造資金をまず復金にできるだけめんどうを見ていただく。そうして現在中途半端になつております船が、早く稼行し得るようにやつていくということが必要ではなかろうかと考えております。もちろん現在すでに完成しております船が、仕込みの金がないために出て行かれないという問題も、當面非常に困る問題であります。われわれといたしてましても、こういう問題についても、できるだけ復金その他でも御めんどうを見ていただきたいと考えておりますけれども、われわれとしてお願いいたしたいのは、こういう種類の仕込み資金につきましては、從來の取引關係その他もあるわけでありまして、一般の地方銀行でも相當理解をもつてくれているところもあろうかと思いますので、業者の方面でも、一般の地方銀行にできるだけ融資していただくように御努力を願いたい。そうしてどうしてもならぬというふうな問題につきまして、われわれとして復金その他特殊の銀行から、何らかの方法でこれを出すように折衝してまいりたい、こう考えている次第であります。
#26
○石原(圓)委員 大體了解をいたしましたが、仕込み資金を地方の銀行等で融通を受けることは絶對にできない事實であります。それを期待しておつたら全然出漁はできない。もし私どもの申すことに信頼がおけないならば、おもな漁村を調査していただいたらすぐわかると思います。すでに東京の魚河岸にも數隻の遠洋漁船がつないであります。これは今すぐ自動車でおいでになれば、十五分か二十分でわかることであります。そういう状態でありますから、仕込み資金を民間の金融機關から融通を受けるということは絶對できないということを前提にして、同時に先刻來中ます建造資金、値上り資金、それらのものに特設の御考慮をあおぐのでなければ、私はいわゆる水産が石炭のような危機の状態になりつつあると思うのであります。さいわいにわれわれの信頼する井上政務次官がお見えになつておりますから、とかく水産の金融その他は水産局に任せきり、ある意味から言うと、繼子扱いのように見えることがありますが、井上次官におかれましては、水産局もわが子であるという建前から、このさしあたりの金融、すでに汽車は發車せんとしているのでありまして、それに石炭がないというような状態にたくさんの船があるのでありますから、ぜひとも應急の對策をお願いいたしたいと思うのであります。
 それから新聞によりますと、捕鯨に對する融資は金融自體の貸出しでなく、債券を募集してやろうという御計畫のように見えるのであります。われわれは第一囘の南極への出漁を大いに感謝して、第二囘がどうなるかという必配をしていたのでありますが、大いなる進駐軍の同情で再び許可された、そうして議會では再びそれに對する感謝決議をいたしたようなわけでありまして、これが豫定通りにいかぬということは、私は對外的にも非常な影響があると思うのであります。よつて的確に所要の資金はその途をつけてやらなければならぬものであると思います。ところでその四億圓ないし五、六億圓の金を、復興金融金庫が他の方面にまわしてやるということになれば全國的な水産の問題が停頓する。ここにどうもジレンマの問題が起るのでないか。でありますから必要なる一般水産金融も、また捕鯨に對する資金も、圓滑に、そうして的確に、早くその途を與えてもらうということが、今當面しておる大事の問題であると思うのでありまして、これをぜひ緊急問題として御善處くださるように、切に希望を申し上げる次第であります。また聞くところによる一般金融が捕鯨に割當てられる額よりも非常に少いかのようなことも聞くのでありますが、これも日本全國の漁業に貸し出す金の額と捕鯨の額とを對比したならば、その産額の數量とか、また早く間に合う食糧の問題とかいうことに對して重大な關係をもつと思うのでありまして、いずれもさし迫つた問題でありまするから、緊急にこの融資の途を敢然としておはかりを願いたいと思うわけであります。これを希望いたしまして、一應これで私の質問は打切ることにいたします。
#27
○鈴木(善)委員 石原委員より總括的な御質問、御意見がございましたが、この水産金融の逼迫は、まさに再建途上にあるわが水産業の一大隘路に相なつておるのであります。漁船の建造の面から申しましても、あるいは製氷、冷凍工場の復興の面からいたしましても、非常に金融の面で行き詰まつておるとような實情でございます。つきましては、本委員會といたしまして小委員會を設置いたしまして、これが對策を十分に確立するように特に要望いたしたいと思うのであります。
#28
○青木委員長 ただいま鈴木君から小委員會設置の動議が出ております。いかが取計らいますか。
#29
○石原(圓)委員 鈴木君の動議には全面的贊成であります。速やかに設置せられんことを希望いたします。
#30
○青木委員長 ただいま鈴木君から提出されました小委員會設置の動議は成立いたしました。採決いたします。金融に關する小委員會設置に關し、御異議ございませんか。
#31
○青木委員長 御異議なければ設置することにいたします。なお委員の數及び氏名は各黨二名ずつ、及び小會派一名といたしまして、後刻委員長の手もとまで御報告を願いたいと存じます。
 明日は午前十時三十分より開會いたしまして、大體農林省關係の討議は終つたものと存じますから、次は運輸省及び商工省の政府委員の出席を求めて、これが所管事項に關する討議をいたしたいと存じます。
 本日はこれにて散會いたします。
   午前十一時五十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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