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1947/10/21 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第23号
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1947/10/21 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第23号

#1
第001回国会 水産委員会 第23号
昭和二十二年十月二十一日(火曜日)
    午前十一時十六分開議
 出席委員
   委員長 青木清左ヱ門君
   理事 庄司 彦男君 理事 鈴木 善幸君
   理事 馬越  晃君 理事 三好 竹勇君
   理事 西村 久之君
      加藤 靜雄君    金野 定吉君
      鈴木 雄二君    藤原繁太郎君
      矢後 嘉藏君    宇都宮則綱君
      小澤專七郎君    多賀 安郎君
      内藤 友明君    外崎千代吉君
 出席政府委員
        農林事務官   藤田  巖君
 委員外の出席者
        議     員 椎熊 三郎君
        農 林 技 官 林  眞治君
        農 林 技 官 天埜 良吉君
        專門調査員   小安 正三君
    ―――――――――――――
十月十四日
 富來漁港修築の請願(大森玉木君紹介)(第八
 五二號)
 漁業制度の改正に關する請願(三好竹勇君外二
 名紹介)(第八六二號)
 舞阪漁港の防波堤修築に關する請願(小松勇次
 君外四名紹介)(第八七〇號)
 和田漁港修築の請願(青木清左ヱ門君紹介)(
 第八五九號)
 鷹巣漁港修築の請願(青木清左ヱ門君紹介)(
 第八九六號)
 稚鮎の保護に關する請願(青木清左ヱ門君紹
 介)(第八九七號)
 樺島村本竈に船入澗築設の請願(西村久之君
 紹介)(第九〇二號)
 鴛泊村に漁港築設の請願(佐々木秀世君外名五
 紹介)(第九〇五號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
  請願
 一 魚津漁港擴張工事施行の請願(佐伯宗義君
   外二名紹介)(第七八七號)
 二 蒲江漁港修築の請願(宇都宮則綱君外一名
   紹介)(第八二八號)
 三 富來漁港修築の請願(大森玉木君紹介)(
   第八五二號)
 四 漁業制度改正に關する請願(三好竹勇君外
   二名紹介)(第八六二號)
 五 舞阪漁港の防波堤修築に關する請願(小松
   勇次君外四名紹介)(第八七〇號)
 六 和田漁港修築の請願(青木清左ヱ門君紹
   介)(第八九五號)
 七 鷹巣漁港修築の請願(青木清左ヱ門君紹
   介)(第八九六號)
 八 稚鮎の保護に關する請願(青木清左ヱ門君
   紹介)(第八九七號)
 九 樺島村本竈に船入澗築設の請願(西村久
   之君紹介)(第九〇二號)
一〇 鴛泊村に漁港築設の請願(佐々木秀世君外
   名五紹介)(第九〇五號)
  陳情書
 一 大津漁港擴張工事施行促進に關する陳情書
   (第四〇四號)
 二 臨時資金調整法による漁船建造資金借入促
   進に關する陳情書(第四〇六號)
 三 川尻漁港修築工事施行促進に關する陳情書
   (第四一二號)
 四 生鮮食料品並びに水産加工品統制撤廢に關
   する陳情書(第四一六號)
    ―――――――――――――
#2
○青木委員長 これより會議を開きます。
 請願の審議をいたします。順序を變更して六一〇、鴛泊村に漁港築設の請願、佐々木秀世君外五名紹介、第九〇五號。紹介議員の御説明を願います。椎熊三郎君。
#3
○椎熊三郎君 本日特に本委員會におきまして請願を御審議下さいますことを感謝いたします。私は同僚とともにこの請願の紹介議員になつておりますが、特に私の個人的事情もございまして、私からこの請願を御紹介申し上げたいと思います。私の選擧區は北海道の第一區でございますが、實は私の出生地はこの利尻島でございます。ただいま議題となつております請願の漁港をつくつてもらいたいという鴛泊村が私の生まれたところでございます。從いましてただいまから申し上げる請願の紹介は、まつたくこの私の生命を堵して、私のほんとうの血と肉からしぼり出した切實なる要求であるということを委員諸君において特に御了察を願いたいのであります。
 さて利尻島の位置から申します。位置はみなさん御承知のように、北海道の最北端でございます。これを詳しく申し上げると大體北緯四十五度、東經百四十一度の箇所にございます。この利尻島の北には禮文島という小さな島がございますが、この島の北端がすなわちマツカーサー・ラインと稱せられる今ロシヤによつて占據されておる線でございます。從つてこの利尻、禮文島、この附近一帶は北海道における最北端と申しても過言はないのであります。この島は明治以前より漁港として、漁村としてごく寒村ではございましたが、和人も住居しておつた村でございます。明治以後北海道の開拓が始まりまするや、御承知のように、北海道内部の開拓は日露戰爭の以後において、初めて拓殖計畫が板に乗つたような状況でありまして、それ以前は交通の關係から、主として沿岸地帶から開かれたのでありますが、この利尻島のごときは、徳川時代からすでに内地人の著眼するところとなつて、非常に漁獲物の多いところであります。殊に徳川時代におきましては、この島においてロシヤとも貿易をしたという痕跡等もあるという状況であります。以来この島は稚内水道と稱する稚内と利尻、禮文との間における北海道最大の魚田の中心にあるのでございます。なお最近に至りまして利尻、禮文等の西北方にあたります武藏堆という大魚田が發見されました。これはその當時の海軍の力によつて發見されたのでありまするが、港灣の設備その他によつて、未だこの大魚田を開發するまでに至つておりません。將來日本水産の計畫から申しましても、この宗谷水道地域の魚田と、武藏堆の魚田を無視しては、日本の沿岸漁業は成り立たないとさえ言われておる土地でございます。
 さてこの鴛泊港は、圖面や参考書類等差上げてございますが、自然の良港なのでございまして、この周圍二十五里ほどの島の中で、いつでも船舶が繋留できるような自然の良港は、鴛泊以外にはございません。しかるに自然の良港ではございますが、何と申しましても北邊の地で、風浪の高い地でございますから、自然のままでは今日の漁業の基地としては、とうてい間に合わないのでございます。しかるに今日までこれだけの絶好の地位にあり、これだけの自然の土地柄をもつていながら、漁港ができつかたというのには、幾多の理由がありますが、その最も障害をなしたものは、大正九年ごろから稚内に港灣の計畫ができまして、これは樺太と稚内の連絡上非常に完備したる防波堤、あるいは船の横づけになる場所等ができたのであります。それを構築するために岩石を採取する、ところが稚内の附近には適當な岩石がないので、わざわざこの利尻島まで來まして、鴛泊港の鼻先に出ておる岬から岩石を持ち運んだ。それを持ち運ぶために、稚内との交通の關係から、ここにささやかながら船入澗をつくつたのであります。この船入澗をつくつたことは、利尻島の漁港のためにつくつたのでなくして、前に申し上げた通り、稚内の港灣修築のための必要からできておるものでございまして、それが今日まで障害をなして、鴛泊には小さいとは言いながら、一つの船入澗があるじやないか、そういうことで拓殖計畫の上からは、非常に重要視されておりながらも、形ばかりのものができておつたことによつて、ついに本格的な港灣の修築が後囘しになつた状況でございます。從いまして今日に至りましては、とうていかくのごときものでは間に合わないばかりでなく、最近北千島、中部千島等の漁業が一切できなくなりまして、北海道の漁業は沿岸漁業に重點をおくに至りました。從いまして大きな漁船あるいは沿岸に冷藏庫等の設備をもたなければ、本格的の漁業ができないような状態に立ち至りました。鴛泊港は島でありながら、この島全體の中で不思議にも驚くべき立派な水をもつておるのであります。これは水産漁港としての重要なる要素だと思つております。この島の中でどこを探しても水道のあるところはございません。水道をつくるほどの河川もないところでございます。しかるに鴛泊港は利尻山の山麓の一箇所から、地下水が自然に湧出するのでございます。これをわずかの設備をもつて、鴛泊の村全體に完備したる水道をもつております。かくのごとき状態のところは、ほとんど島のどこにもございません。禮文島はもちろんそうですが、利尻島内にもそういうところはないのであります。また對岸の天鹽、稚内方面におきましても、このようなところは一箇所もございません。從いまして鴛泊港は稚内と小樽における唯一の避難港になつております。その間留萌港がございますが、留萌との間には、船舶の避難する港は一箇所もないのでございます。一般の交通上の問題から申しましても、ここに相當な港灣をつくることは當然なことだと思われるのでありますが、今私どものお願いしたい點は、まずとりあえず漁港のため、殊にこの島の漁獲高に至りましては、北海道全體におけるにしん漁業の中でも約五分の一くらいは毎年この島一手でとれるという場所でございます。今日全日本の水産業の三分の二は、北海道が占めておるという土地柄であり、しかもその北海道の中におきましても、最高位を占める漁獲高をもつておるのであります。しかもこの利尻島沿岸における漁獲高は、ひとりにしんに限つたことではございません。春はにしん、それが過ぎますとこぶ、天草、こぶのごときは北海道最高の利尻こんぶ、いわゆる全日本に有名をとどろかしておる利尻こんぶの生産地であります。それが過ぎるといか、たら、すけそう、その他北海道においてとれるありとあらゆるものがとれるのであります。まさに北海道全道における實島と稱して過言でないと思うのであります。從つて全島における人口も二萬そこそこでありますが、土地としてはごく樞要な土地であります。しかも交通不便の關係もあつたりして、文化的施設もすこぶる惠まれざるものがありますけれども、徳川時代からという傳統をもつて開けております利尻島の風俗習慣に至りまして、北海道としても稀に見る淳朴、剛健、質實な土地柄であると、われわれ郷里の者は誇りにしておるくらいであります。ともあれかくのごとくにして非常な魚田の中心地であるこの附近に一つの漁港もない。北海道の拓殖計畫から申しますと、この利尻、鴛泊の港灣計畫と、もう一つは日高の様似の港灣計畫、これが最トツプになつておりまして、これまでも重要性を認められつつ今日まで著手できなかつた。それにはいろいろ政治上の理由等もあつたようでありますが、この際それは遠慮して申しません。ともあれこの鴛泊に相當の漁港をつくることが必要であるのであります。春のにしん時には、普通の年で毎年この自然の港にはいつてくるわく船――あそこはみな親船に袋をつけて、それににしんを詰込んで、沖揚げするまで一定の安全地帶にもつてくるというやり方でとつておる。從つてどうしても風浪を防ぐ設備がなければ被害甚大であります。一昨年のごときは一擧に四十二枚のわくを流した。價格にして數億圓に上るものであります。毎年ここで漁獲しつつ風浪のために流されて、せつかくの大事な實を捨てておる。これだけの金額を五年分溜めたら、どんな立派な港灣設備でもできる。そういうことを日ごろから私どもは主張しておりましたが、いろいろの關係で今までできなかつたのであります。今囘北海道の拓殖計畫においては、まず永年の計畫であるこれをやろうということで、北海道の道會等においては、これを協贊しているような次第でありまして、道廳當局といたしても、幾多の調査などを進めておりますが、もはや調査や勘案の時代でなくして、著手の絶好の時期に到達しておると私どもは考えるのであります。お手もとに差上げてございます書類には、いろいろ村の現状であるとか、漁獲物であるとか、旅行者の往復であるとか、その他災害關係、漁船の關係、そういうものを全部こまかく網羅してございます。ぜひこれを詳しくごらんくださいまして、今囘こそは國の最高權威である國會において、このことを取上げて、われわれの請願の趣旨をお認めくださいまして、御採擇の上關係當局におかれましてはぜひともこの請願の趣旨によつて、北海道漁港のトツプとして來年度から計畫に著手していただきたい。これが私どもの切實なるお願いでございます。關係當局に對しましては、議會のほかに、われわれは役所方面にも出向きまして、いろいろと陳情申し上げてございます。書類等も差上げてございますので、どの方面にまいりましても、これは早いとか、これは必要でないとかいうお言葉を頂戴したことはございません。皆さんからは非常に同情のお言葉をもつて見られている請願でございます。當委員會におきましては、委員諸君は專門の方々が多いのでございます。私のごとき者がここで漁港の必要を強調する必要もないと思われますが、他に幾多要望しておる漁港等もございましようが、それらと勘案いたしまして、ぜひともこの際利尻、鴛泊港の漁港修築の請願は、滿場一致をもつて御採擇あらんことをひとえに嘆願する次第でございます。
 右まことは簡單ではございましたが、詳しき事情は書類等におきまして、なお委員會外において、言葉をもつて御了解を願う機會も多々あると存じますので、本委員會におきましては、この程度をもつて請願紹介の趣旨に代えた次第であります。よろしくお願いいたします。
#4
○青木委員長 本件に關し政府當局の御意見を承りたいと存じます。
#5
○天埜説明員 利尻島は豐富な大漁場に近接しておりまして、沖合漁業の根據地、竝びに避難港としてきわめて重要な位置にございます。北海道漁場の開發及び漁獲物の増産というような見地から、修築の必要性を認められますので、二十三年、來年度におきまして、荷揚場、埋立護岸等、その他港灣諸施設を施行する事業化をはかるべく、目下極力開發當局と折衝中でございます。
#6
○馬越委員 かくのごとき漁港としてもまた一般港灣としても、非常にその必要性を認められると思うのであります。さてかくのごとき一面において、漁港ばかりでなく、一般港灣として利用度の高いこの港灣の修築が、農林省の水産局と、運輸省との關係がどういうふうになつていくものであるかという點が一つと、それからこの工事費は大體どのくらいのものが必要なのであろうか。この二點について當局から承りたいと思います。
#7
○天埜説明員 北海道の港灣につきましては、從來内務省の地方局關係で見ておりました。今度變りまして、運輸省關係で見る。それから農林省と運輸省との關係におきましては、北海道の漁港については、運輸省の方で見ていこうというふうに取極めをしております。工費につきましては、來年度はとりあえず三百五十萬圓ばかりを計上しております。しかし來年度だけで完結するとは思つておりませんから、工事力その他關係で、まずその程度の工事をしたいというように計畫しております。
#8
○馬越委員 そうすると北海道の漁港建設につきましては、水産局がとつております豫算の漁港建造の豫算とは全然關係ないのでございますか。
#9
○林説明員 ただいまの問題について、ちよつと御説明いたします。先ほど天埜説明員から御説明がありましたように、從來拓植費で内務省地方局所管でやつております。今年から港灣は運輸省所管となり、商港と漁港との修築の問題につきましては、北海道における從來の關係から申しますと、ほとんど全部漁港ないし船入澗という名前が冠してありました。内容においてはどちらかと言えば漁業的が主でありますが、地方的な物資の集散とか、あるいは島嶼における連絡港とかいうものが、相當その中にあるわけであります。從いまして今後どういうふうにするかということを北海道廳と、運輸省の方、それからわれわれの方と一應協議いたしまして、大體地方的に見まして、物資の中繼あるいは島との交通關係、そういうものに主眼をおいたものは、いわゆる商港的な意味合いにおきまして運輸省所管でやる。それからその他の大部分の、もつぱら漁業を中心とした港はわれわれの方で修築をやつていく。こういうふうなことで一應の取極めをしたわけであります。具體的な箇所につきましては、北海道廳で立てられました案をもとにして、一應の取極めをしたのであります。もし實際的において無理があるようならば、今後研究いたしまして萬全を期していきたいと考えております。豫算は運輸省所管でやられるものは運輸省で計上される。それからわれわれの方で漁港としてやりますものについては、われわれの方で豫算を計上してやる。こういうことになります。
#10
○椎熊三郎君 ただいま政府當局の御説明を承りまして、私はまつたく涙が出るほどうれしく思います。私どもの生れたこの島が、あれほどの状況にあつて、数十年島民が熱願したことが、初めて正式な、しかも國家の最高の機關の權威ある會場において御言明を賜わり、早速ただいまのことを電報を打ちますが、島民はこのことを聽いたらどんなに驚喜することでございましよう。今私とともにこの説明にまいつたところの、この席上にも、わざわざあの遠い島から村會議員が一人見えておりまして、先ほど來感激してこのことを聽いているのでございます。ただここにお願いいたしたいことは、來年度三百五十萬圓で沿岸の整備をするということですが、これがこのままで終つてしもうならば、この沿岸の整備というものは何にもならぬのでございます。あの大風浪に耐えるだけのことをやるということは、これだけではできません。從つて私の考えるところによると、この三百五十萬圓で沿岸を整備するということは、必ず將來何百メートルかの突堤を出して下さるお心持からきているんだと、私どもはそれを推察しているのであります。ぜひそうしていただかなければ、來年度の三百五十萬圓も水泡に帰するということでございます。こういう小さい島ですから、何も分に過ぎたことをお願いするのではございません。少くとも三百メートルあるいは三百五十メートル程度のものを出していただくならば、ひとまずこれで體をなすのではなかろうかと考えております。しかしながら三百五十メートルも突堤を出すということになれば、その費用は、今日の物價からいうとさだめし厖大なものになるのでございましよう。しかしながらすでに來年度三百五十萬圓をかけて下さるというのですから、このままで捨ててもらつたのでは何もなりませんので、たとえ相當の費用がかかりましても、それ以上何百メートルかの突堤を、ひとつ急速に考えおきを願いたい。それは一箇年でなくてもよろしい。少くとも三年くらいででき上るような計畫でお進み願うならば、ひとり島民の喜びだけではございません。北海道全體の水産漁獲物に對する影響も非常に大きいと考えるのでありまして、ここに二萬の島民を代表する意味におきまして、政府當局に感謝の意を捧げつつ、なお將來のことについて嘆願する次第でございます。
    ―――――――――――――
#11
○青木委員長 次は第二、蒲江漁港修築の請願、宇都宮則綱君外一名紹介、第八二八號、紹介議員宇都宮則綱君。
#12
○宇都宮委員 蒲江漁港修築請願について御説明申し上げます、蒲江町は西日本の重要なる漁津の位置を占め、漁港は本町の生命線であります。元來本町の産業は漁業によりその大部分が占められ、從つてこれが盛衰は本町の死活問題であつて、直接町民の經濟力に及ぼす影響はまことに大なものがあります。終戰以來計畫資本的漁業法急激に発達し、なかんずく定置漁業いわし幅著網漁業はいちじるしく發展を見、縣下のいわし幅著網業者は本町を漁場の一大中心地とする關係上、漁獲高も實に四百萬貫以上の數字となつておりますが。自然の港ありといえども南に太平洋を控え、風波にたえ難く、一朝天候悪化のおそれのあるときは、近港に避難せねばならに現状であつて年々漁期には少かざる遭難船を出している状態であります。なお土地狭隘のため、水産加工製造場並びに網干場なきため、加工場の腐敗を來し、加えて網その他資材保存に及ぼす影響これまた甚大なるものがありますので、入り口東側に三百メートルの航路防波堤を築き、いかなる波風の場合も入港繋留船の安全を保證するとともに、防波堤北方に六町歩の埋立をなし、もつて加工場及び網干場の完成して漁港としての面目を發揮し、漁獲及び水産加工物の増産を計り、もつて食糧危機突破に邁進いたし、何とぞ速やかにこれが御採擇方をお願いいたします。
#13
○青木委員長 事件に關し政府當局の御意見を伺いたいと思います。
#14
○藤田政府委員 蒲江漁港修築の必要性は十分認められますので、私どもといたしましてもなるべく速やかに實行するように考慮してまいりたい。できれば昭和二十三年度から實施するようにいたしてまいりたい。かように考えております。
    ―――――――――――――
#15
○青木委員長 次は第三富來漁港修築の請願、大森玉木君紹介。文書表番號第八五二號。
 本件は私が隣縣の關係上よく知つておりますので、各位の御了解を得て本席より御紹介申し上げたいと存じます。
本港は石川縣羽咋郡西海村字風戸にありまして、福井縣の三國港から能登の緑剛岬に至る中間に良港がありませんため、常に商船漁船の避難港として利用されているのでありまして、この點に本港の重要性があるのであります。本港所在の西海村の漁家の戸數は百二十戸、漁船の數は四十八隻、漁獲高は年額二千萬圓であります。本村の地先にはぶり大謀網が三箇統ありまして、夏ぶりの優良漁場として本縣一の漁場をなしております。なおさめ、たい等の延なわ漁業が盛んでありまして、動力漁船の大半がこれに從事し、なお底引漁船、いわし、さばの流し網漁船を三十隻餘もつておるのであります。從つて本港の改修の方法といたしましては、埋立を約四萬坪、築堤を百四十キロと四十キロの二本を希望しておるのであります。以上のような次第でありまするので、ぜひとも本委員會においても御採擇の上政府當局の御協力を得て本港の改修の實現を希望するというのが本請願の趣旨でございます。本件に關し政府當局の御意見を承りたいと存じます。
#16
○藤田政府委員 富來漁港修築の必要は認められますので、具體的計畫について十分檢討いたしました上、財政の許す限りなるべく速やかに實現するように考慮したいと考えます。
#17
○青木委員長 以上鴛泊村に漁港築設の請願、蒲江漁港修築の請願、富來漁港修築の請願、この三件は漁港に關する小委員會に付託し審議を繼續したいと存じます。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○青木委員長 御異議なければさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#19
○青木委員長 次に日程第四、漁業制度の改正に關する請願、三好竹勇君ほか二名紹介、文書表第八六二號を議題に供します。紹介議員三好竹勇君。
#20
○三好委員 水産物生産の増強は生産の基本をなす制度の改善に俟つものが多いことは言うまでもないが、さらに終戰以後來澎湃として起つて來た漁村の民主化は、漁業制度殊に漁業權制度の改善に負うところが多いのに鑑みて、本制度の改革については目下官民擧げて研究討議の模様であります。その歸趨は水産關係者のみでなく、全國民の注目するところであつて、本委員會においても事の重要性に顧みて、先ころより北海道議會水産常任委員で鋭意研究討議を重ねた結果、ここにこれから御説明を申上げます結論を得るに至つたのでありまして、漁業法改正にあたつては説明案の内容を御採擇のほどお願する次第であります。
 第一に漁民公會の設立について希望申上げたいと存じます。漁業制度の改正に對する農林省案として傳えられるところによると、漁業協同組合以外に、單に漁業權の歸屬團體として漁村に漁民公會を設置する意向の模様であるが、今囘制定を豫想される漁業協同組合法に基く漁業協同組合は、戰時中にその設立を見た漁業會とは異つて、民主的に組織かへられた眞の漁民の團體であり、しかも漁村經濟ないし漁村文化の向上は漁業協同組合の發展にまつべきものが多いと考へられる折柄、漁業協同組合から漁業權殊に專用漁業權の亨有主體である能力を奪う場合は、同組合の弱體化を來たし、その發展を阻害するおそれがあるとともに、漁村に漁民公會を設立させることは、屋上屋を架するきらいがある反面、漁民の負擔を加重ならしめるおそれもあるのででき得べくんば漁民公會はこれを設立しない方針を以て進まれたいと思うのであります。
 第二、漁政廳の設立について希望を申し上げたいと思います。最近中央諸官廳は各地方にその事務所または出張所を設置して、從來地方廳の所管に屬していた事務を、これらの事務所または出張所の所管に移行させる傾向が強く、これは計畫經濟ないし總合國策遂行上、萬やむを得ない措置と認められるものもあるが、およそ地方自治の權限強化を遂行するとの理由のもとに、ようやく摩擦の微が見られる折柄、農林省においては近く改正を豫想さる漁業法施行とともに、各地方に漁政廳を設置し、免許漁業および許可漁業についての一切の權限をこれに所屬させる意向のごとくであるが、これらの漁業處分は從來においても各地方廳がその實務を相當してきた關係もあり、しかも地方における水産行政の主幹は漁業免許及び漁業の許可にあつたことは言うまでもなく、諸政廳が設置になつてこれらの事務が同廳に移管されるときは、地方水産行政の弱體化は餘儀ないところであり、北海道にありては水産業の重要性に鑑み、道廳水産課の機構を擴充し、水産部の設置につきようやく世論も昂まり、近く成案を得べく官民協力中であるので、漁政廳の設置によつて地方行政の弱體化を來たすことなきよう留意願いたい。
 第三、市町村漁業委員についてお願いします。漁業法改正に關する農林省案として傳へられるところによると、漁業調整機構として市町村に市町村漁業委員會を設置する意向のようであつて、この點前記の改正意見と趣を異にしているが、しいて市町村委員會を設置する場合には、その委員は漁民公會の役員及び市町村會議員から選任する規定を漁民から選出することに改め、さらに會長は市町村長を以てこれに當てているが、この規定は削除してもらいたい。
 また漁業制度の改正について第一、漁業調整委員會の設置、行政廳の漁業處分に民意を反映させその公正妥當を期するとともに、漁業全般の調整をはかるため左記によつて漁業調整委員會を設置すること。
 一、漁業調整委員會は市町村、都道府縣、及び全國の區域ごとにこれを設け三審制を採用すること。但し特別の事情ある場合は市町村の區域の一部を區域とし又は市町村の區域を區域としてこれを設けることができるものとすること。
 二、漁業調整委員會は漁民(漁業經營者及び漁業勞働者と學織經檢者)をもつてこれを組織すること。なお漁業經營者から選出する漁業調整委員については漁業種類別に選出するように考慮すること。
 三、市町村の區域を區域とする漁業調整委員會(市町村の區域の一部を區域とするものと市町村の區域を超える區域を區域とするものとを含み、以下市町村漁業調整委員會という)の機能はおおむね左の通りとすること。(一)行政廳の漁業處分に際しその意見を具申すること。(二)休業漁業權の生理に必要な休著の判定をなすこと。(三)賃貸漁業權の整理に必要な賃貸借の判定をなすこと。(四)その他管内漁業全般の調整を圖ること。
 四、都道府縣及び全國の區域を區域とする漁業調整委員會(以下都道府縣及び中央漁業調整委員會という)の機能はおおむね左の通りとすること。(一)特に重要と認められる行政廳の漁業處分に際しその意見を具申すること。(二)市町村漁業調整委員會の措置(中央漁業調整委員會の措置とすること)を不服とする者の申出により事實の再審査をなすこと。(三)その他管内漁業全般の調整を圖ること。
 さらに第二漁業權制度の改正、漁業權の種類とともに各漁業權に屬する漁業の内容を簡易化し、權利の上に眠る權利と不勞所得と目される權利の存在をなくし、漁業經營を合理化し生産の増強をはかるとともに、漁村における漁民團體に漁業權が移行する機會を多からしめ、漁村民主化の促進に資するため左記の改正をなすこと。
 一、漁業の免許及び拒否、許可及び不許可竝びに免許の取消は漁業調整委員會の意見を徴して決定するものとすること。
 二、專用漁業權は漁業協同組合以外の者には免許しないこととすること。
 三、專用漁業權の新規免許(存續期間更新申請竝びに既存の漁業權を放棄し、その代償に別個の漁業權を取得しようとする場合を含まない)は漁業協同組合以外の者には與へないこと。但し漁業協同組合が設立されない區域については特例を認めること。
 四、定置及び區畫漁業權は二年間休業したときは當然消滅するものとすること。但し漁業法第二十四條第一項の規定により、または同法第三十四條の規定に基く命令により漁業を停止された期間は前段の休業期間に算入しないこと。
 五、漁業協同組合以外の者に對する漁業權の譲渡及び差押さえはこれを禁止すること。但しこの法律施行前から貸付している漁業權で借受人が譲り受ける場合については特例を認めること。
 六、漁業協同組合以外の者の所有する漁業權を目的とする賃貸借契約はこれを無效とすること。
 七、漁業協同組合以外の者が所有し得る漁業權の數に適當の制限を加えること。なお、この法律施行のときの右の制限を越えて所有する漁業權は漁業調整委員會の評價した價額で漁業協同組合に譲渡するものとすること。
 八、漁業協同組合か漁業權を貸付するにあたつては、賃貸料その他貸付條件につき漁業調整委員會の承認を受けるものとすること。
 九、免許漁業の種類を左記三種にすること。イ、定置漁業ロ、區畫漁業、ハ專用漁業。
 十、慣行專用漁業權はこれを廢止すること。
 十一、漁業會以外の者の所有していた慣行專用漁業權及び特別漁業權の整理にあたつては、漁業調整委員會の評價した適當價額を漁業協同組合をして補償させること。
 十二、定置漁業の内容を左の通り改正すること。イ、漁業種類竝びに漁業名稱はこれを撤廢すること。ロ、漁獲物の種類はこれを表示しないこと。ハ、存續期間は十箇年以内とすること。
 十三、區畫漁業の内容を左の通り改正すること。イ、漁業種類を魚類養殖業、えび類養殖業、龜類養殖業、貝類養殖業及び藻類養殖業に限定し、その範圍を明確にすること。ロ、存續期間は十箇年以内とすること。
 十四、專用漁業の内容を左の通り改正すること。イ、漁場内においては定置及び區畫漁業に該當する方法を除いてはその漁具、漁法、漁獲物の種類及び漁業時期に制限を設けることなく一切の水産動植物を採捕できるものとすること。ロ、存續期間は二十箇年とすること。
 十五、專用漁場内においては漁業資源の維持に必要な繁殖保護施設を強制できる規定を設けること。

第三にその他として
 一、漁業の許可、不許可竝びに許可の取消は漁業調整委員會の意見を徴して決定するものとすること。
 二、許可の日から一年内にその漁業に著手しない場合は該當許可はその效力を失うものとすること。なおこの法律施行の日からさかのぼつて二年間休業している漁業の許可の效力についても前項同様にすること。
 三、國もしくは共同團體または漁業協同組合以外の者の所有する海産乾場は業調整委員の評價した適當價額をもつて漁業協同組合に譲渡するものとすること。但し所有者みずから漁業の目的のために私用しているものについては特例を認めること。
 以上のように、どうぞ漁業法改正にあたつては御採擇のほどをお願いする次第であります。どうも長くなりまして相濟みません。
#21
○藤田政府委員 現在の水産業の重要性に鑑みまして、漁業權制度を根本的に改正をいたしまして、漁村民主化の基礎の確立及び漁業生産の増強をはかることはきわめて必要であると考えまして、現在これに關して關係方面とこの法案の内容につきましていろいろと交渉中であるのであります。ただいま請願の趣旨として述べられました點のみならず、この問題についてはいろいろと各方面の意見も伺つておりますのでこれらの點について十分に尊重をし、檢討を加えてまいりまして、將來できます漁業權制度というものが、將來にわたつて禍根を殘さないような正しい制度にしてまいりたいと考えて、現在愼重に研究をいたしております次第であります。
#22
○青木委員長 本件は漁業權に關する小委員會に付託し、審議を繼續することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○青木委員長 御異議なければさよう決定いたします。殘餘の請願及び陳情書はこれを延期いたします。
 明日午前十時より開會いたすことにいたしまして、本日はこれにて散會いたします。
   午後零時十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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