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1947/07/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第2号
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1947/07/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第2号

#1
第001回国会 厚生委員会 第2号
昭和二十二年七月七日(月曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 飯村  泉君
   理事 武田 キヨ君 理事 有田 二郎君
   理事 大瀧亀代司君
      角田藤三郎君    中原 健次君
      福田 昌子君    松谷天光光君
      武藤運十郎君    中嶋 勝一君
     小笠原八十美君    小暮藤三郎君
      榊原  亨君    村上 清治君
      野本 品吉君    齋藤  晃君
 出席政府委員
        厚生事務官   宮崎 太一君
        厚 生 技 官 東 龍太郎君
        厚 生 技 官 濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        厚 生 次 官 伊藤 謹二君
        厚生事務官   友納 武人君
        厚生事務官   森本  潔君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 理事互選
 國民健康保險に關する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 ただいまより會議を開きます。お諮りいたします。本委員會の理事を一名増員したいと思いますが御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#3
○小野委員長 それでは理事の互選を行います。
#4
○田中(松)委員 委員長において理事の御指名あらんことをお願いいたします。
野委員長 ただいまの田中君の御發言に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
#5
○小野委員長 それでは御異議ないものと認めまして、理事に徳田球一君を御指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○小野委員長 先般理事の方とも御相談いたしました結果、付託されておる議案はございませんけれども、豫備審査のような意味合いも含めて、厚生省所管の關係の重要な問題を次々に取上げていつて政府方面より事情を聽取したり、またお互いの意見を出し合つてみようではないかということになりまして、差當り第一番目の問題として健康保險組合の問題を取上げてみようということに相なつた次第でございます。つきましてはまず政府委員の方から健康保險組合に關する現況の大要について御説明を願つて、その上で政府に質問いたすというふうにして運んでまいりたいと思います。
#7
○宮崎政府委員 國民健康保險組合の現況について申し上げたいと思います。國民健康保險組合は各人の自由意志を尊重いたしまして、組合の設立を任意としたのであります。昭和十七年の法律改正によりまして、例外として強制設立を認めましたが、この規定を發動したことはなかつたのでありまして、こういう任意設立の形態で、はたして政府が豫期するような普及を見ることができるかどうか、一部に疑問もあつたのでありますが、事實はきわめて順調に普及いたしまして、毎年豫定を超えるような状況であつたのであります。そこで普及の結果、現在どれだけ組合があるかと申しますと、組合の数は一万四百三十二ありまして、被保險者の数は四千百万を超えておるのであります。しかして組合の最も多く普及されました年は昭和十六年、十七年、十八年の三箇年であります。組合数の約七割がこの三箇年ででき上つたのでございます。組合の仕事といたしましては、もちろん療養の給付をやることがおもなる事業でございますが、この事業成績をあげますために、地理的關係や醫師との關係等で給付が圓滑に行われない向きもありましたので、組合自身が診療機關をもつ傾向が高まつてまいつたのであります。昭和二十一年度は五百八十九の新設がありまして、現在直營機關は八百七十八の診療機關を算えておるのであります。
 それから組合の保健施設といたしまして、組合加入者の保健増進に關する事業を積極的に行うことになつておりまして、市町村當事者が保健所などと密接な連絡をはかりまして、各種の保健事業を行つておるのであります。すなわち組合が共通的に行つておりまする保健事業といたしましては、結核、トラホームの豫防、乳幼児、妊産婦の保護、急性傳染病の豫防、食生活の改善などを行つておるのでありますが、さらにその仕事の補助機關といたしまして、保健婦を設置いたしまして、組織的なる活動をしておるところが相當あるのでございまして、昭和二十一年の末日現在におきまして、國民健康保險の國庫補助交付の對象となつております組合の保健婦は七千五百八十六人あるのであります。
 こういうようにいたしまして、國民健康保險は昭和十三年度以降今日まで活動を続けてまいつておるのでありますが、終戦後御承知のように經済界の変動、人心の動揺に伴いまして、國民健康保險も不振の様相を示しております。昭和二十年の二月十二日現在におきまして九千三百二十三組合の調査をいたしました結果、事業の活發なものが約一八%、事業の普通なものが五一%、まつたく事業の不振なものが二一%、仕事を全然やめておりますものが一〇%、こういう調査の結果を示しておりまして、事業活發なものと普通なものとを合計いたしまして約七〇%の組合が活動しており、あとの三〇%というものは不振であるか、あるいは仕事をやめておる、こういうのであります。なぜこういうように一万を超える組合が七千だけはどうやら事業を継続しておるが、三千は不振であるということになつたかと申しますと、一つには國民健康保險の趣旨が不徹底であつたのではないか、趣旨の普及が十分できておらなかつたのではないかということが考えられるのであります。設立は戦時中大いに役所の指導で奨励されましてやりましたけれども、國民健康保險というのもはかくのごときものであつて、かくのごとく運用すればいいものだという意味の趣旨がはつきりしておらなかつたのではないか。そこで組合の理事者の中にほんとうに國民健康保險の必要を感じまして、これでこの村内の醫療問題をなんとか片づけるのだという熱意において缺けるものがあつて、適切な打開策も講ぜずに来たのではないか。また組合にはいつておりまする者も、ほんとうに國民健康保險組合というものはわれわれの力で守り立てなければならないのだ、そうすることによつてこの醫療に失費をなんとか隣保相助の精神で防ぎ得るのだということの意味を十分理解しておらないあつたということが今日の不況を来しておるのではないか、こういうことを感じられるのであります。
 それからもう一つは、この仕事は診療の給付、醫療の給付ということが主となつておるのでありまして、これは醫師の協力なくしてはその事業の運營の完全を期することができないのであります。ところが社會保險の診療報酬は厚生大臣の定めました額に規制されまして、醫師個人の自由意思をもつて左右することができないことになつておるのであります。しかして諸物価の騰貴、醫薬品の缺乏などの悪条件が重なりまして、保險醫の一部にはこの社會保險の診療を嫌う者が現れ、あるいは差別待遇するというようなことがなかなか改まらない部面もある。またそういうことが組合の加入者の間に宣傳されまして、この組合によつて醫療を受けたのではどうも十分な治療が受けられないのだというようなことを考える者が現れまして、これらが原因となり、結果となりまして、不振を来しておるのであります。そこでこの苦境を打開するために、政府は終戦後三囘にわたりまして、診療費の値上げをいたしたのでありますが、値上げをするしりから物価が上がつていくというようなことで、値上げがなかなか追つかないというので、保險診療の事態が悪化の一途をたどつておつたのであります。しかしながら保險醫の大部分がそうであるというのではなくして、保險醫の中にはこの國民健康保險の趣旨を理解いたしまして、今日でも私どもの期待するような保險診療を続けて順調な協力をしてくださつておるのがずいぶん多いのであります。
 それから次の問題といたしまして組合在世が窮乏しているということであります。組合財政のおもな財源は保險料でございますが、この保險料というものが思い切つて引き上げられないというのがまた組合の悩みになつておるのであります。前に申しましたように、終戦後三囘にわたりまして醫療費の値上げをやりまた物価騰貴による事務費の増加などがございまして、保險料は各組合とも相當引上げておりまして、組合によりましては終戦前の六倍あるいは九倍にも及んでおるのであります。しかしながら先ほど言いましたように、組合の運營状態がおもしろくない關係が手傳いまして、また組合員の負担能力の点もございまして、必ずしも診療費を上げたのに比例して、保險料が増加するというところまで至つておらないのであります。組合の成績が上りますと保險料の上ることもいとわないのでありますけれども、組合の成績が上らないと、保險料を上げることが組合側ではなかなかできないという状態になつておるわけでございます。
 それから一方國庫補助金の方は、終戦當時の昭和二十年度におきましては被保險者一人當りが一圓八十銭であつたのでありますが、昭和二十一年度は醫療費の値上げなどを考慮いたしまして、被保險者一人當り四圓十銭としたのであります。これとても窮乏しております組合の財政を緩和するには役に立たないのであります。現在國庫補助金は總額一億七千九百万圓でございます。今後組合を財政的に救いますためには、相當多額の補助金を交付しなければ、なかなか組合の育成が困難であると思われるのであります。
 それからこれは役所の内部の關係でございますが、實は國民健康保險は創立以来事務的には非常に薄い能力で仕事をやつておりまして、厚生省の保險局に國民健康保險課がありますが、その職員の数も非常に少い。また地方におきましても、今日は地方の保健課において國民健康保險を所管しておりますが、非常に少い人数でやつておりまして、むしろ一般の健康保險の費用をもつて、健康保險の人の力で組合の育成指導が行われておる。こういう状態になつておるわけであります。こういういろいろなことが今日の國民健康保險事業の不振を来しておるものだと存ずるのであります。これが打開につきまして、厚生省の方で各方面の御意見を承りまして苦心をいたしておるのであります。何とかこの状態を切り抜けたいということを考えておりまして、いずれこの具體化をはかりまして御協贊を願いたいと思います。
#8
○小野委員長 ただいま保險局長から御説明があつたわけでございますが、健康保險の問題について政府に御質疑のある方は次々にお願いしたいと思います。榊原君。
#9
○榊原(亨)委員 ただいま保險局長からのお話を承つたのでありますが、國民健康保險組合の設立を任意とした、強權發動をしたことはないというようなお話でありますが、實際の面におきまして、ほとんど強權にひとしいようなことをもつてむりに設立をされたようなことはございませんか、承りたいと存じます。
 それから先ほどお話になりました組合の不振のもの並びに休止のものについての昭和二十二年二月以後の統計はございませんが、その統計のない理由はどういうわけでございますか。承りたいと思います。
 またその次は國保の組合員の教育について當局はどんな具體的なことをなさいましたか。
 その次に承りたいことは、國保の不振の原因をいろいろお述べになりました。殊に醫者の不協力と醫薬品の缺乏とか、あるいは諸物価の騰貴というようなことをおあげになつておられますが、一體今までに國民健康保險組合が醫者に拂わなければならない診療費の未収を私どもの方で考えますと、一億三千万圓ほどあると思われるのでありますが、この未収の醫療費というものは、決して醫者がほんとうに望んだ診療費ではなしに、社會保險の性質上最低の堪え得るだけの診療費としてきめられたその診療費、殊に先ほどもお話になりましたように、これは醫者の方できめたのではなく、厚生大臣がきめたというふうなこともお述べになつておられまするが、その診療費の未収が一億数千万圓もあつて、これでもなお醫者の協力を要望されるのはどういうわけであるか、この理由を承りたいと思うのであります。大體社會保險の制度あるいは社會政策といたしまして、その社會保險の經營上の困難あるいはうまくいかないというふうな、その缺陷を醫者の犠牲によつてやるかという問題であります。アメリカにおきましては、社會政策上の社會保險の負担を決して醫者に及ぼしていけないということを規定されてあると私は承知いたしておりますが、厚生省においてはどういうお考えでおられるか。それからこれはまたあとから御説明になるのかもしれませんが、社會保險診療報酬單価實施状況という書類がまわつております。私は岡山県でございますが、岡山県におきましては、まだこういうふうな契約をしておらぬと私は思つておりますが、ここでは契約されたように實施状況などと書いてありますが、この表は正しいのでありますか、それを承りたい。
#10
○宮崎政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。任意に設立したが、強制にひとしい圧力を加えたのではないか、こういうお話がございました。國民健康保險の設立につきましては、昭和十六年、十七年、十八年ごろは厚生省といたしましても、醫療問題は保險の擴充によつてやつていこうという非常に強い考えをもつておりまして、各府県を督励いたしまして、國民皆保險というような考え方で全村國民健康保險をつくり、また加入するようにしたいというので強い指導をいたしましたので、法による強制ということはなかつたのですけれども、當時の勢としてあるいは強く響いた組合が相當あつたのではないか。それでその趣旨を理解せずして組合をつくつたというような点が現れているではないかとそういうようにも感ぜられますが、別にそう法律上の強制というのではなしに、實際問題として、役人の指導においてそういう点なきにしもあらずということは、私も感ぜられるのであります。それから不振組合及び休止組合の二十年二月以後の統計がないのはどういうわけかというお話でありますが、これはあとで課長の方からお答えいたします。それから組合員の教育についてどういうことをしているかという点でありますが、これも併せて申し上げたいと思います。醫師の不協力によつて國民健康保險がうまくいかないというか、一億三千万圓を数える未収の醫療費があるというお話でありますが、その点は組合が不振のために醫師の支拂も滞おらしているのが相當あるのでありまして、このことはまつたく組合側における責任でありまして、醫師が悪いのではなくして、組合の活動が十分でなかつたのであると思うのであります。私が先ほど申しましたのはそういう意味ではありません。醫師の側における協力と組合における活動とがうまくいかない点もあつて、それがいろいろな悪い宣傳となつて、原因結果がいろいろ重なつてきたのではないかということを申し上げたのでありまして、醫師がかくのごとき多額の負債を負うているということは、まつたく組合のやり方が十分でなかつたのであると思うのであります。こういう点につきましては、御説の通り早く國民健康保險組合を建直しまして、そうして醫師の全面的な協力にこたえるような金銭上の報酬をする。兩者が相まつて所期の目的が達せられるような活動ができる組合にしあげなければならないと信じておるのでありまして、この点はまつたく仰せの通りだと存ずるのであります。そうしてこういうことは醫師の犠牲において組合が損をかけてそのまま行くべきものでないと存じておりまして、早く建直して、醫師の犠牲ではなくして、醫師の協力によつて醫療の給付の万全を期したい。こういうように存じております。それから二十二年度の單価の實施状況につきましては課長から説明したいと存じております。
#11
○友納説明員 ただいまの御質問の中で一部私の方からお答えします。最近の組合の活動状況の統計の問題でございますが、實はこの統計はやや古うございまして、最近のものも逐次集めておりますが、完全なものをと思つておりますので、一部未完成のままではどうかと思いまして、ここに出すのを差控えたのであります。それから組合員の教養の問題でありますが、地方におきましては連合會の主事、保險課の國保の係の者、これがそれぞれ各組合に出張りまして、國保組合の趣旨宣傳普及に努めておりますが、先程局長からもお話がありましたように、この指導機構というものが非常に貧弱でございまして、全國府県下の全町村にまわるというほどの餘力がないのと、また一方におきましては不振組合の實情を見た組合員等がありますので、それやこれやで思うようにまいつておりません。それから次の單価の問題でございますが、これは健康保險の方から申し上げます。
#12
○森本説明員 單価についての御質問がございまして、實は備考が落ちまして失禮申上げましたが岡山県と宮崎県に關しましては、まだ県の方から厚生大臣に申請書が出ておりません。ただ宮崎、岡山につきましては、ここに掲げましたような單価でまとまるであろうといつた單価を掲げたのであります。備考を書落しまして失禮いたしました。
#13
○榊原(亨)委員 ただいま御説明を承つたのでありますが、國民健康保險の問題は進駐軍當局においても絶大な關心をもつておられることはすでにおわかりのことだと思うのであります。今後の社會保險がこの制度によらなければ完全を期し得られないということは私どもはひとしく信じておるところでありますが、それにもかかわらず、一體わが國において不振な組合がなんぼある、休んでおる組合がなんぼあるというふうな統計的観察を昭和二十年二月からやつていないというふうなことにおきまして、私どもは當局がほんとうにどのくらいの熱意をもつてこの組合の組織を改正されるかということに、私は多大の疑問と不満をもつものであります。それから組合員の教育については、やつているけれどもあまりうまくいかないというふうなお話でありますが、これは組合員と醫者とを同じように徹底的に教育することによつて、初めて國民健康保險組合の完全な運營ができるのであります。それを組合員の教育をないがしろにしておきまして、あるいは不完全なるままにおいて、そうしてこの國民健康保險の改良を望もうということは、あたかも木によつて魚を求むごときものであり、この点は徹底的に今後御注意を願いたいと私は存ずる次第であります。
 第三番目に醫療費の未収について。わが國におきますところの商業にいたしましても、そのほかの勞働者にいたしましても、一億圓以上の不拂いがあつて、それをそのままにしておいて、そうして、國民健康保險を改良しようとか何とかいうふうなばかげた話は、私どもはとうてい承服することができぬのであります。この醫者に對して一億圓以上の未収をやつておられるということをどういうふうにして解決されるのか、その具體的案をお示し願いたいと思うのであります。もしもこれが厚生省の關係したことでない、組合自身が悪いのだから、組合に任しておいて何とかするというようなお話であれば、もう國民健康保險組合について政府が干渉する必要はないのであります。政府がこの國民健康保險組合をほんとうにやろうと思うならば、この醫者に對する一億数千万圓の未収をそのままにしておいて、これから以後何とかやろうというような非具體的な話であつては、私どもはこれに承服することはできない。殊にこの國民健康保險の現況の中にこの醫者のことがどこにも書いてないのであります。どこにあるのですか。こいうことをやつておるから、わが國の國民健康保險がうまくいかないのです。この醫者に對する未収をどういうふうにおやりになるかという具體案をお示し願いたい。
 それから先ほどの社會保險の報酬の實施状況の表が違つたとか何とかいうお話でありますが、ここには實施期日が三月とはつきり書いてある。とかく今までの厚生省の健康保險あるいは社會保險に對する表のつくり方は、自分に都合のいいことばかりを書き立てて、その反面都合が悪いことを書いてないというふうな噂があるのであります。私はそれを信ずるものではありませんが、こういうところにお出しになる表は、的確なる資料に基づいた正しいものをお出しを願いたいと思うのであります。
#14
○友納説明員 最後の表でございますが、岡山の欄をごらんになりますと、施行期日は書いてないはずでありますが……。
#15
○榊原(亨)委員 三月と書いてあります。
#16
○森本説明員 先ほどの組合の活動状況の数字でございますが、二十年四月とありますのは、これは二十二年の四月でありまして、もう少し最近の意味かと私は思つて、先ほどのような答辯をいたしましたが……。
#17
○榊原(亨)委員 そういうふうな資料を出すからいけない。これはちやんと委員會に出すときに読み返しをして出さないのか。そういう頼りないことをして、委員會はどういうことになる。
#18
○小野委員長 榊原君御質疑を続けられますか。
#19
○榊原(亨)委員 ただいまの醫者の未収をどうするかという具體的案を承りたい。
#20
○宮崎政府委員 ただいまの醫者の未収でございますが、昨年度一億五千万圓の豫算を配付いたしたときに、この未収を解消するように、地方聽へ指示しておきまして、この問題は相當解決しておるではないかと存じます。なおこの点につきましては、十分注意いたしまして、御趣旨に副うようにいたしたいと存じます。
#21
○榊原(亨)委員 しからばこの昨年度の未収を解決すべくお出しになつた金は一般開業醫と官公署にありますところの診療所における未収と均一的に同じようにお出しになつておりますか。それを承りたい。
#22
○森本説明員 赤字補填のやり方でございますが、當時醫療團の解散の問題がございまして、それに對する赤字は解散等の特殊事情がありますのでなるべくそれを見なければならぬ。それは第一に優先的にやる必要がある。その他の官公立と開業醫の間でございますが、これは區別をせずに、ただ醫療團關係については解散するという特殊事情がありますので、それについては十分間違いがないようにする。こういうようにしたいと思います。その他については別に區別するということはございません。
#23
○榊原(亨)委員 大體その他赤字補填の方法を、醫療團のごときものは解散するからそれに完全に未収の分を拂つて、そうして戦災を受け、病院は焼かれ、その日の生活にも困るような醫者がございましても、その開業醫に向つて赤字補填の未収の支拂をしない。つまり醫療團と區別をつけておやりになるということは、これは言いかえれば、官僚独善と言われても仕方がないじやないか。おそらくこれはたとえいかに未収があつても、それは均一に、わずかのものでもいいから未収を解消すべきものである。殊に戦災を受け、零細な資本をもつてやつておる開業醫に對して、そういう醫療團が解散するからその方に餘計やるとかいうようなことをやつて、醫者の不協力によつて國民健康保險はつぶれる。これをどうするかというような変なお話は私は承ることはできないと思うのであります。今後はそういうことは絶對にないように、むしろこれは開業醫あるいは零細なる村の診療者、そういう者に對して厚く拂うべきものである。醫療團にその未収のの支拂を初めに出してしまう。あとの者は知らん振りをする。そうして開業醫の不協力とかなんとかいうことを言う。それをもつて社會保險を完全にやろうという考えは、今日以後絶對にお慎みを願いたいと思うのであります。
#24
○宮崎政府委員 榊原さんお御注意ごもつともでございます。實は私もこの四日付で保險局長になりまして、その前は醫務局の次長と勤めておりまして、醫者の問題、保險の問題等につきましていろいろ研究は続けておるのでありますが、御趣旨の点はよく承りまして、この仕事がうまくいくように努力したい、こう思つております。
#25
○小野委員長 中原健次君。
#26
○中原委員 私は別のことをお尋ねしたいと思うのでありますが、特に局長御新任の由を伺いますればなおさらのこと、國民健康保險の普及徹底を期するために、今日までの健康保險運動とでも申しましようか、そういうふうな行き方をもつてはたしてその目的が達成されるかどうか、これについてはなはだ疑問をもつものであります。特にただいま診療費の未済の問題が話題としてもちあげられたのを聽きまして、なおさらその感を深くするのでありますが、結局このことは大きくは醫療制度の問題になると私は思うのであります。現在の醫療制度がはたしてこのような國民健康保險の目的を達成することに役立つだけのものをもつておるかどうか。つまりそれに適応するだけのものであるかどうかということについてはなはだ不安をもつものであります。從いまして、當局におかれましては、今後國民の健康を保持するために、このような機關をますます重視されることはもちろんと思いますけれども、これに對する醫療機關の問題について新しい構想をおもちであるかどうか。それとも從来のままのことをそのままに繰返してお進めになるのであるかどうか。
 なお診療所の設置の問題が説明書に書かれておりますが、直營診療所の現在八百七十八組合をもつておるというその事柄について、直營診療所の實情が大體地方的にはどういうふうになつておるか。この直營診療所の現在の經營の實情がある程度までここで承知することができればさいわいだと思いますので、この直營診療所の現状というふうなことについて、できるだけ詳細な御説明が願いたいと思うのであります。
 まず一応その二点について當局の御説明をいただきまして、さらに引続きお尋ねをしたいと思います。
#27
○宮崎政府委員 國民健康保險の運營にあたりまして、醫療機關の協力の問題が大きな問題でありまして、現在のままでよいかどうかというお話でございますが、この問題につきましては、これは醫療機關のあり方の点でありますが、今日の諸物価の問題、あるいは醫師や看護婦等の資質の向上等の問題から、今の醫療制度でよいかどうかという点につきましては、かなり研究を要する点があるのでありまして、これは醫療團の解散に伴いまして、厚生省に醫療制度の審議會が設けられ、現在までは衣糧の一般施設をいかに処分するかという点について討議を重ねておつたのでありますが、今後におきましては日本の醫療制度をいかにするかという点について御研究を願うわけであります。その御研究の中へ國民健康保險の醫療制度をどういうぐあいに考えるかということをお考えの上で醫療制度の實を研究してもらう。すなわち國民健康保險制度がうまくいくように醫療制度ができ上るという密接不可分の關係において、醫療制度を研究してもらいたいということを私どもの方では考えているのであります。また厚生省全體としてもそういう方向に研究をお願いしておるはずでございます。さしあたつての問題といたしましては、今日のこの制度において、これをどういうように運營していくか。これはだんだん國立病院あるいは國立の療養所その他の公的の醫療機關が擴充されてまいりますので、これと國民健康保險とうまく結びつけるという点が一つありまして、それから次に、今の診療契約のやり方がいいかどうかという点につきましては、先ほど申し上げたように、厚生大臣が畫一的にきめた診療報酬でいく形式でなくて、あるいは最初の姿に還つて、國民健康保險組合と醫師とが契約を続けていくような姿に還した方がいいのじやないかというような意見もありまして、この組合の方と醫師との結びつきにつきまして、何らかの方途を講じなければならぬじやないかということを考えられるのであります。私就任前からこの問題は大分論議されておるのでありますが、私も自分の考えもありますので、よくこの点は研究して、保險局の態度を決めて上司の決裁を仰ぎたい。こういうふうに存じております。それから直營診療所の實情でありますが、これにつきましては、一昨日も私よく聽いたのでありますが、實情がはつきりいたしておりませんので、非常に成績のいい直營機關もあるし、またあまり振わざるものもあるというように聞いておりますが、詳しいことは國民保險課長から申し上げたいと思います。
#28
○森本説明員 直營診療所の説明でございますが、大體現在直營診療所をつくつております所は二つの形がありまして、一つは一箇村すなわち一組合に一つ、主として無醫村とか、組合員の数に比べて醫者の数の少ない所とか、そういう所につくるのが一つの形態であります。もう一つは、ある郡とかある一つの五六箇村の間に總合的な病院がない、内科はあるが外科はない、少し大手術をしなければならぬ病氣があつても、近所では間に合わぬという場合におきまして、郡または数箇町村連合でやや大きなものを組合でつくる、こういう二つの形式がございます。大體現在ではその二つの要領であちこちに設けられているようであります。それからその運營の實績でございますが、ただいま数字を手許に持つておりませんので、抽象的な話になりますが、診療所の成績といたしましては収支いつぱいいつぱい、こういうような状況でございます。
#29
○中原委員 まず醫療制度の問題でございますが、由来醫療制度はあくまでその公共性のために、醫療制度そのものを大きく変革する必要があるという議論はもはやその歴史が長いと思う。從来また現在のように、ある程度まで公の機關もできているようでありますが、その公の診療機關にいたしましても、まだはなはだ不十分な点が多々あるのであります。殊に國立とかあるいは公立とかいうふうな病院のもつている性格が、言うところの官僚的な性格を多分にもつている患者が診療を求めましても、その患者に對するいろいろな応對その他取扱い等が非常に遺憾な点をもつているという實情にあるわけであります。もちろん當局に置かれましては、そういうふうなことについて十分御認識であろうとは思いますが、かようなことはその由来するところがどこにあるかということについても、これはひとり、醫療機關だけではなくて、わが日本のすべての機構の中にいわゆる官僚性がいまだなおかつ拂拭されず、むしろますますその根を深くしつつあるというような憾みさえあるのであります。最近いわゆる民主主義だとかなんとかいうようなことが強く呼ばれておりますけれども、實際はむしろ逆に民主化どころではなくて、一層そういう傾向が強まりつつあるような部分もあると思うのでありますが、その中の一つに、いわゆる診療機關が算えられるわけであります。なぜ私はさようなことを申すかと申しますれば、たとえば最近赤十字の病院ができております。赤十字の病院も相當普及されているようでありますけれども、これらが特にその性格に、いわゆる官僚的な色彩がたぶんに事務當局等にあるのでありまして、あるいはまた國立病院等にいたりましては、なおさらいろいろ非難も起つております。今ここで露骨にあまり耳障りのすることを申上げたくありませんから申上げませんけれども、とにかく國立病院等の中にはなお許し難いものさえ伏在いたしているのでありまして、そういうようなことを十分御調査が願われていることと思いますが、そういう實情に對する認識の上にたつて、今後の醫療機關に對する方策が立てられなければならぬのではないか、このように私は思うのであります。從いまして、たまたまここに國民健康保險に關する問題がもち上げられました以上、この國民一般の健康保險に對する答えとしては、特にそのような遺憾のないことを期するように努めなければならぬのである。そうであるならば現在のような醫療制度そのままもつていくべきものであるか、むしろここで大きく転換を要するのではないかという後者の方の考え方に、相當良心的にそして積極的に私は當局の御努力が願いたいのであります。もちろん厚生委員會等においては、當然このことが今後論議されることと私は期待いたしておりまするが、これを要するに、醫療制度の社會化ということがしきりに長い間言われてまいりましたが、醫療制度社會化につきましても、相當研究さるべき問題が多々残つておると考えておるのであります。もちろん私どもはただ漠然と醫療制度の社會化への構想を簡單に承認しようとは思いませんが、しかしながら結局醫療のことはこれを私的の關係で取上げていくのではなくて、あくまで公的な關係において取上げていかなければならぬのではないか、特に非常に良心的な開業醫でありまする場合は、良心的な開業醫であるだけ、その開業醫の拂う犠牲が大きく、またもしたまに良心的ならざる開業醫の犯す罪悪はまた大きいのであります。從いましてそのいずれを考えましても、醫療機關はやがてその行くべき方向は、あくまで個人的な經營に委ねられるものであつてはならない、醫療社會化への方向をめざしながら、醫療制度に對するいろいろの問題が今後は取上げられていかなければならぬのではないか。すなわち目標をそこに求めて、今後の醫療機關等に對するすべての施策も、あるいはまたそれらに對するいろいろな當局の構想も、またわれわれのとるべき態度も、醫療社會化への方向を明確に認識しながら、すべてが取扱われていくべきものとなるのではないかと私は思うのであります。このようなことを考えまするときは、しばしま公認の診療所等が問題になつてくるわけでありますけれども、これとても先ほど申し上げますように、やはりその經營と申しますか、その運營の上で、非常に遺憾なことが多々あるわけでありまして、そういう遺憾が多々ある点についての認識、從つてそれを拂拭するための方策というものが十分もたれなければならぬと思います。そのことは結局、指導教育というふうな問題に及んでもまいると思いますが、その機關に從事いたしておりまする人々の醫療機關の使命、あるいは任務等についての自覚が、もちろん十分なされなければならんと思いまするし、同時にまたそういう機關に從業いたしております諸君の待遇等の問題も、十分注意深く考慮すべきものであると考えるのでありますが、そういうことは今ここに議論する時間でもないと思いますので、とりあえずそういうような事柄にまで心を及ぼしながら、國民健康に對する基本的な醫療機關の問題を今後討議していきたい、かように私は思うのであります。從いまして政府當局とせられましても、從来のようにただあらゆる方面のいろいろな摩擦のために、正しき方向に突き進むの勇氣を缺きしばしばみずからの良心に背いて、おざなりと言えば少し言葉が強過ぎるかもしれませんけれども、ともかく事なきを求めながら、無難にその仕事をやり遂げていくというようなきらいが事實あつたのであります。少くとも今後はそのようなことのないようにお願いいたしたいのでありまして、問題は國家、國民、民族に對する大きな問題でありまして、ある特定の勢力に對して躊躇するようなもはや時ではないのであります。殊にまた現在わが日本の國民の生活の諸事情からいたしますと、戦争によつてやつつけられました現在の國民の健康状態を考えますと、一層この診療制度に對しましてその感をわれわれは深うせねばならぬのでありますが、とりわけ現在の食生活あるいは居住等のいろいろな不衛生な状態から考えまして、ゆるやかにわれわれはその方向に行こうとするのではなくて、そういう國民の實情に即応するために、政府は對策を活發に實行に移すという行き方が、もはや緊切に迫られておるのではないかと私は思うのであります。殊に最近いわゆるカロリー摂取量等にいたしましても、實際は一千を前後するということさえも言はれておる今日でありますので、もちろん基本的な問題の對策が必要であることは言うまでもありませんけれども、まず厚生當局としては消極的ながらそういう實情に即応するための對策が立てられなければならぬ。そうであるならば、なおさら國民健康保險組合の問題はより勇敢に、大胆に、率直に今後これが大きい変革を私は要請されておるということに氣がつかなければならぬのではないか、かように思うのであります。從いましてこの國民健康保險組合制度の問題についても、もとより現在は日本の風格から考えまして、その組合加盟を強制するなどということは、絶對に許されませんけれども、國民すべてが健康保險組合員であるということが實際は必要であると私は思うのであります。なぜかと言えば國民健康保險組合員でない人々と保險組合員である場合との取扱いが、はななだ遺憾でありますけれども、實際はこれを公平になしがたいという實情があるわけであります。率直には私は一つの例をもつて申し上げますと、あるいわゆる新圓成金の人の病床を一度訪れたことがありますが、その人の病室へ参りますと、しかもそれがいわゆる國營的な性格をもつた病院でありますが、なるべくぼんやり申しますけれども、その人の室はまことに格別な室であつてまた醫師のその室を訪れる囘数も非常に頻繁であり、おそらく普通の病室には許されないであろうような、いろいろな設備が許されて、その病床を訪れました私は、病人を心配する氣持よりは、待遇の非常に超特別的な、何と申しますか水準をうんと飛び越えた實情に目を見張つたのでありますが、そういう事柄と今後は反對に、まさに死に瀕しつつあるような重病患者が、實に暗い、じめじめした見るからに非衛生的な病室の隅つこの方に、いわば投げ放りつぱなしにされておるというような感じのする對象を見たのであります。こういうことはほんとうに良心ある醫療科學者のおそらくたえられないところであろうと私は思うのでありますけれども、それを別に氣にも止めないで、さつさと出ていくその醫師の姿を見て、私は實際何とも言いようのない憤怒を感じたのであります。こういうことは特別な例であつて、さようなことがしばしばあるものではないとあるいは言えるかもしれませんが、實際にはそれはまたしばしば豫想されるのであります。またそういうふうになることもやむを得ないのが現状でございまして、現在の經済組織のもとでは、もとより公の病院であつたにいたしても、その個人個人の利害といろいろ結びつく点もあるわけでありますし、また人情としてやむを得ないかもしれないという了解もつかないわけではありませんけれども、それを今見逃していいのかどうか、實際少なくとも指導監督の機關におります者はそのような現象を見逃しては主體といたしましては、これがすべての人々にあまねく平等に利用せしめ得られるような經營主體であることが最も望ましい。一部の人々あるいは特殊の階層を代表するというふうな經營主體は好ましくない。またその經營主體に適正な醫療の經營が實行されるようなものであり、また必要に応じてはその公的醫療機關を整備する能力、殊に財政的な能力をもつておるようなもの、それから社會保險制度を緊密に連繋協力すること。かような公的醫療機關の一方には、開業醫制度はその長所を助長し、その缺点を是正して、公的醫療機關の及ばないような場合、あるいは公的醫療機關を必要としないような對象に對する醫療機關として存置しておく。またすべての國民に對して必要最小限度の醫療を与えるために、殊に戦災地または無醫地等に對しては、なるべく速やかに公的醫療機關を整備する。かような公的醫療機關を整備に對しては、國庫において相當額の負担をなすこと。かような方針要領等を一応御承認を得ております。この内容だけをごらんいただきましても、現在の日本の醫療の法典とも申すべき國民醫療法の中に盛られております考え方、並びに國民醫療法の制定せられました當時の議會における速記録等について、少くとも私が一通り目を通しまして与えられた印象等からいたしますと、これは相當程度の方向転換であるというぐあいに私は存じております。殊にこれはすでに過去にわたることでありまして、本年二月、三月の交において議せられた問題でありますが、なおこれが将来、殊に近い将来の日本の醫療制度のあり方ということを考えましても、あるいは今後の醫療制度審議會におきまして、いろいろと御意見を伺い、そうしてこの時代に合つたような方向への醫療制度の転換が期待し得られると私は存じております。少くともこの要領で今申し上げましたように、公的醫療機關と開業醫制度を並存いたしておりますが、その考え方の中には、存来のような日本醫療團と開業醫制度との二本の對等の並存ということよりは、よほど違つたものと私は了解いたしております。すなわち公的醫療機關を主流にするという考え方でありまして、開業醫制度はこれをその主流にまつわるところの線として存置していく、さような考えと御諒承願いたいのであります。從つて國民健康保險と将来の公的醫療機關との關係は、これは密接不可分の問題でありまして、と申しますよりも、ただいまお話のありましたように、國民皆保健というふうなことを一つの目途といたしますと、國民健康保險即日本の醫療制度ということにも相なると思うのでありまして、從つてこの醫療制度の審議にあたりましても、おそらく今後の審議は國民健康保險と離れてこれを論議することはできないと存じております。一體となりますような方向に審議が進められるように、私ども期待いたしておるわけでございます。
 次に公的な醫療機関、特に國立病院等におけるいわゆる官僚臭、官僚色ということに對する主體といたしましては、これがすべての人々にあまねく平等に利用せしめ得られるような經營主體であることが最も望ましい。一部の人々あるいは特殊の階層を代表するというふうな經營主體は好ましくない。またその經營主體に適正な醫療の經營が實行されるようなものであり、また必要に應じてはその公的醫療機關を整備する能力、殊に財政的な能力をもつておるようなもの、それから社會保險制度を緊密に連繋協力すること。かような公的醫療機關の一方には、開業醫制度はその長所を助長し、その缺點を是正して、公的醫療機關の及ばないような場合、あるいは公的醫療機關を必要としないような對象に對する醫療機關として存置しておく。またすべての國民に對して必要最小限度の醫療を與えるために、殊に戦災地または無醫地等に對しては、なるべく速やかに公的醫療機關を整備する。かような公的醫療機關を整備に對しては、國庫において相當額の負担をなすこと。かような方針要領等を一應御承認を得ております。この内容だけをごらんいただきましても、現在の日本の醫療の法典とも申すべき國民醫療法の中に盛られております考え方、竝びに國民醫療法の制定せられました當時の議會における速記録等について、少くとも私が一通り目を通しまして與えられた印象等からいたしますと、これは相當程度の方向転換であるというぐあいに私は存じております。殊にこれはすでに過去にわたることでありまして、本年二月、三月の交において議せられた問題でありますが、なおこれが將來、殊に近い將來の日本の醫療制度のあり方ということを考えましても、あるいは今後の醫療制度審議會におきまして、いろいろと御意見を伺い、そうしてこの時代に合つたような方向への醫療制度の転換が期待し得られると私は存じております。少くともこの要領で今申し上げましたように、公的醫療機關と開業醫制度を竝存いたしておりますが、その考え方の中には、存來のような日本醫療團と開業醫制度との二本の對等の竝存ということよりは、よほど違つたものと私は了解いたしております。すなわち公的醫療機關を主流にするという考え方でありまして、開業醫制度はこれをその主流にまつわるところの線として存置していく、さような考えと御諒承願いたいのであります。從つて國民健康保險と將來の公的醫療機關との關係は、これは密接不可分の問題でありまして、と申しますよりも、ただいまお話のありましたように、國民皆保險というふうなことを一つの目途といたしますと、國民健康保險即日本の醫療制度ということにも相なると思うのでありまして、從つてこの醫療制度の審議にあたりましても、おそらく今後の審議は國民健康保險と離れてこれを論議することはできないと存じております。一體となりますような方向に審議が進められるように、私ども期待いたしておるわけでございます。
 次に公的な醫療機關、特に國立病院等におけるいわゆる官僚臭、官僚色ということに對する御批判でありますが、ごもつともなことと思います。われわれといたしましても、いろいろと具體的な事例についてさような事柄を聞き及んでおりまして、十分それを認識いたしております。それを是正いたしますためには、われわれといたしましても微力ではありますが、でき得る限りの努力は拂つてまいりますし、將來といえどもますますその方向に進みたいと存じております。特にそれらの醫療機關における醫療從事者、殊に醫師というものが、さような公的醫療機關の運營の中枢をなるものでありまして、要するに醫師の心構えとその活動いかんが、結局それらの機関の運營の全般に大なる影響を及ぼしてくるのでありまして、このことにつきましては、私自身醫育に携つておる者といたしましては、まことに遺憾に堪えないのであります。そのことの大部分の責任は、在來の日本の醫育機關が負うべきでありまして、醫育機關に働いております私どものような立場にある者が負わなければならないものと痛感いたしております。と申しますのは、醫育の中に醫業、醫というものの社會性、公共性ということが強調せられることすこぶる少ないのであります。醫育機關にはいつて學ぶ者は言わず語らず認識いたしておりますことは、いわゆる在來の開業醫のようなものが自分らの將來であるというふうに考えがちであります。少くとも私自身はさような訓育の中に育つてまいりました。そうして醫育機關の中において教わりますことは、専門的な技能、學問でありますが、醫師というものが社會においていかなる役目を果たすべきかということについての徹底的な訓育は、ほとんどまつたく受けておりません。おそらく現在においてもほとんどまつたく受けていないのではないかと存じます。この點につきましては、教育の面における醫師の公共性というものに目覺めさすようなものが完成いたしますことが、わが國の醫療の技術的標準のみならず、その精神的の標準を一段上げることになると思うのでありまして、この點はただいまご指摘のことと私もまつたく同感でありますが、そのおもなる根底を日本における醫育の缺陷というところに認識をいたしたいと存ずる次第であります。御質問の趣旨は十分に私は正しく了解いたしたつもりでございますが、以上をもつてお答えといたします。
#30
○中原委員 ただいま醫育の問題について非常に懇切に説明になりまして、感謝をいたしております。しかしながら私どもはただひとりの醫育のいわゆる人格教養ということだけにものを求めるだけではなくて、やはりその醫師を、いわゆる醫療科學者ともうしましようか、その醫療科學者を遇すること、はなはだ薄いきらいがあるのであります。これは由來わが日本の弊風でありまして、殊に政治の面でことさらに氣づく點でありますが、日本のあらゆる文化の基礎をなすものが、まず最初に科學に指を折るべきである。ということを實は欠いておるように思つております。從いましてわが日本のもつと大きい構想から、科學者に對する待遇と申しますか、あるいは科學者に對する禮と申しますか、その論はあまり大きな論でありまして、今ここでとやかく申す場合ではないと思いますが、一應そのことを併せ考慮に入れながらこの醫療機關に關する、從つて同時に醫療制度に對する問題も考慮していかなければいならぬのではないか、かように私は思うのであります。實際この科學方面から出ました者の何と申しますか、進路のというものが非常に難澁なのであります。むしろそうじやなくて、昔ならば軍あるいは行政という方面から出た者の方が非常に進路が安易であつて、しかもその地位が常に優位であるというようなことが、今後は十分批判されなければならぬと思います。一應この點につきましても、また適當な機會に議論してみたいと思うのであります。何はともあれ、この國民健康保険制度に對する今後のいろいろな方向を決定いたしまするためには、まず技術者に對する禮儀をもつてするという心構えが必ず加味されますようにお願いいたしておきたいと思うのであります。
 それからもう一つは醫療審議會の構成でありますが、現在の醫療審議會の構成は、從つて審議會の委員の構成は、どういうふうになつておるのでありましようか。もしこれをお示し願えれば便宜かと思います。
#31
○東政府委員 醫療制度審議會の委員についてお尋ねになりましたので、お答え申し上げます、當初二月末日に成立いたしました審議會の委員は全部で五十二名でございまして、一々は申し上げませんが、その職域を代表せる方と申しますか。日本醫師會、歯科醫師會、薬剤師會、それから醫育機關を代表して東京帝國大學竝びに慶應義塾大學、それから國立病院を代表して東京の第一及び第二の病院長、それから日本醫療團の総裁、兩院議員として數名おいでになつております。それから赤十字社、全日本醫療從業員組合協議會の代表者、全國農業會の代表者、全國立病院職員組合の代表、濟生會の會長、厚生省の顧問、それから健康保険組合連合會の常務理事、國民健康保険組合連合會の代表、それから産婆看護婦保健婦業會の理事長、それからまた療養所關係として國立療養所竝びに日本醫療團の療養所の代表者、あとは大體政府部内の各關係官聽の内務省、大蔵省、経濟安定本部、厚生省の官吏がはいつておるのでありますが、一應相當廣く委員をお願いしたつもりであります。但し最近は國會法等の關係上、参議院、衆議院の方からは委員となつていただくわけにもまいりませんので、今申し上げました委員會の構成につきましてはあらためて厚生大臣の御意見も伺いまして、その委員の顔觸に多少の變化があるものと期待いたしております。
#32
○中原委員 審議會の委員の構成につきまして、かなり重要なものが落ちておるように思うのであります。というのは、あらゆる機關の民主化の言われておるときでありまするが、そういたしますると、この審議會の委員にも民主的な勢力と言いますか、民主的な勢力からの聲を反映せしめるということに關心をもつべきではないかと思うのでありまして、そうであるならば、民主的な勢力という言葉で申しました對象は、まず勞働組合、あるいは勞働組合法による職員組合、從業組合、あるいは農民組合というふうなものが、いまわが國の民主化の礎石として肯定されておるはずであります。從いましてそういう方面からもこの委員を必ず求めらるべきではないか。ただいまお讀上げの範圍は非常に廣汎ではございましたこれども、これは一連の從來わが日本の一部指導勢力の線に沿うた人人の委員が多いかのように私は思うのであります。もちろんこれは對立的にものを考えて申し上げるのでないのでありまするが、この機關の中にぜひともそれらの民主團體からの代表者を参加せしめて、いわゆる國民大衆の聲を十分聽取るという構えに一つしていただきたいと、かように念願をするのであります。一應このことを申し上げまして質問を終わります。
#33
○榊原(亨)委員 ちよつと簡単に一言……。時間がございませんから、この次までに御答辯を願いたいと思いますが、ただいま東醫務局長のおつしやつた醫療制度調査會の決議された事項の中で第一項にすべての國民に對し必要にして十分な醫療ということがございます。それからあとの方ですべての國民に對し必要最小限度というお話がありましたが、この違いはどうであるか。それからもう一つは、先ほどの五ページの所にあります現在組織數の統計は昭和二十二年度と訂正になりましたが、それが九千三百二十三とあるのに、二ページの統計において一萬四百三十二とありますのは、どれが本當であつて、どうなんでございますか。それから第五ページのこの表の詳細なる各府縣別の數字竝びに岡山縣だけでよろしうございますから、岡山縣における實際不振のものはなんぼ、休止はなんぼその名前、それから國營診療所の八百七十何箇處の、不振あるいはうまくいつておると當局のお認めになつた箇處の名前とその村の名前、それだけをはつきりお示し願いたい。
#34
○小野委員長 本日はこれを以て散會いたします。
   午後零時十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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