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1947/08/21 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第12号
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1947/08/21 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第12号

#1
第001回国会 厚生委員会 第12号
昭和二十二年八月二十一日(木曜日)
    午前十時二十四分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君
   理事 有田 二郎君
      太田 典禮君    福田 昌子君
      松谷天光光君    武藤運十郎君
      師岡 榮一君    中嶋 勝一君
      降旗 徳弥君   小笠原八十美君
      榊原  亨君    村上 清治君
      河野 金昇君    野本 品吉君
      齋藤  晃君
 出席政府委員
        總理廳事務官  三橋 則雄君
        厚生事務官   葛西 嘉資君
        厚生事務官   宮崎 太一君
 委員外の出席者
        厚生事務官   友納 武人君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 災害救助法案(内閣提出)(第二二號)
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續いて災害救助法案を議題といたしますが、災害救助法案については、大體の質疑を終つたように思われますので、次會に討論採決をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
#3
○小野委員長 それではさよう取計らいまして、災害救助法案の質疑は一應終つたことにいたしたいと思います。前囘の委員會で榊原君その他より質問のありました事項に關して政府より答辯がありますので、これを許します。宮崎保險局長。
#4
○宮崎政府委員 先般の委員會で榊原さんより御質問のございました點につきまして、私大臣に代りまして、お答え申し上げたいと思います。
 最初に健康保險の醫師に對する未拂額の問題でございますが、健康保險につきましては、政府管掌の健康保險及び組合關係の健康保險につきましては未拂の問題は起つておらないのでございます。國民健康保險につきまして、榊原さんから御指摘になりました未拂の問題が殘つております。國民健康保險の診療報酬の未拂につきましては、昨年來しばしば地方廳とも連絡をとり、速やかに支拂うように指導してまいつたのでございますが、最近におきまして、これはたしか四月だと思いますが、日本醫師會で三十一府縣について調査をいたしましたところによりますと、その未拂額が四千四十六萬餘圓殘つております。三十一府縣でございますので、未調査の府縣もございますが、それを合せて推計いたしますと、約六千萬圓くらい未拂があるものと考えられるのでございます。この全國の未拂總額は、國民健康保險組合が支拂いますおよそ一箇月分の診療報酬に相當する額でございまして、この六千萬圓のうちには、手續上どうしても支拂の遲れる部分もあるのであります。と申しますのは、診療がありましてから一月經つて拂つておりまする關係上、ずれがありまするので、ほんとうの未拂額はこれよりも下にまわるものと思います。しかしながら、政府といたしましては、國民健康保險の性質上、一錢たりとも未拂額のないようにするのは當然でありますので、地方廳とも連絡をとつているのでございまして、本年度の國庫補助金は、九月頃に交付したいと思つておりますが、そのときに未拂額を完濟するように努力をいたしたいと存じておりますので、御了承願いたいと思います。
 それから社會保險診療報酬の一點單價が先般算定協議會において一點四圓となりましたが、その根據について御質問があつたのでございます。私どもといたしまして、適正なる診療報酬を見出すということは、非常に困難な問題でございまして、公定の醫療費というものが國家としてきまつておりません關係上、社會保險においては、從來から社會保險と醫師會側と相談して、診療報酬の算定をいたしておつたのでありますが、今日においては、算定協議會を開きまして、これをきめているのでございます。社會保險の分野におきまして、今日よりも科學的なる基礎の上からこをきめなければならないということは當然でございます。そこで昨年十一月から本年一月に至る三箇月間にわたりまして、十都道府縣七十診療所につきまして、當該病院、診療所の醫業、經濟調査及び醫師の生計調査を行いまして、ここに各部面から見ました一定の根據を得たのでございます。これに基きまして、本年の一月調査當時からの物價上昇率を見込みまして、一點單價の標準線を二圓五十錢としたのでございますが、その後四月におきまして諸物價が二割方上昇いたしましたので、四月一日から二圓五十錢の單價を二割を見込んで三圓としたのであります。ところが目下政府が實施しつつあります新物價體系の確立と、他面先月藥價が改定されましたので、これを根據にして何とか醫療報酬の算定をいたしたいというので、去る八月八日社會保險診療報酬算定協議會を開いていただきまして、厚生大臣からこの二點、すなわち新物價體系による物價の値上りとそれから藥品の値上り等が、社會保險の診療報酬に及ばす影響、しかしてこれをいかに算定するかということを諮問いたしたのであります。この算定協議會におきましては、愼重審議をいたしまして、九月一日から一點單價を四圓とするのが適當であるという答申を得たのでございます。これが先般榊原さんの仰せになりました一點單價四圓の問題と存ずるのでございます。これによりますると、新物價體系が一應完了されました暁は、われわれの生計費に對しましては二割七分五厘のの上昇率となるのであります。さらに單價の値上げが藥劑以外の、つまり藥以外の手術、處置、注射、檢査等に對しまして、二分七厘の上昇になるのであります。と申しますのは、藥の大部分は、特殊計算法という計算によつて、値上りが解決されておりまするので、それ以外の分を見まして、二分七厘の上昇となりますので、この二點を考慮いたしまして、一點單價四圓にした方がよろしいということに相なつたわけであります。これをもう少し詳しく申しますると、手術、處置、注射、檢査料については、脱脂綿とか、あるいはアルコールとか、いろいろなものがございまして、そういうものについて五%の資料を要するといたしまして、この一點單價におきます藥の比重は、總収入の五割五分の割合をもつておるという計算としまして、それが二分七厘となるのであります。そこで二分七厘というのは計算もむずかしいので、三分と見まして、三圓に三分をかけますと藥の値上りの及ぼす影響は九錢、すなわち三圓九錢になるのであります。それから新物價體系は値上りが二割七分五厘になりますので、これを三圓九錢にかけますと三圓九十四錢となります。それでこれを四月として計算をした、こういうことになるのでございます。算定協議會と申しますのは、醫師會、齒科醫師會、藥劑師會の代表、組合及び保險者側の代表、及び公益代表等がはいりまして、非常に熱心に御協議を願い、また醫師會側の方も、これならば適正であろうということを御了承願つた金額でございます。私でもはこれによりまして、當分社會保險の醫療報酬をきめていきたい。こういうように存じておるわけでございます。
#5
○榊原(亨)委員 ただいまの御答辯におきまして、本年の九月における補助費によりまして、醫師の未收を皆濟することができるというお話でございますが、今お述べになりました六千萬圓というものの基準は、日本醫師會側におきまして調査いたしました四千何百萬圓という、その數を基準として、おそらく六千萬圓ぐらい未收があるだろうというふうなお話と承つたのでごいますが、厚生省におきまして、厚生省特殊の情報によつて御調査になつた數はございませんか。
#6
○宮崎政府委員 厚生省側におきましても、先般榊原さんから御質問がございましたので、目下調査を續けておりますが、何分にも全國一萬にわたります組合がある關係上、まだはつきりいたしません。
#7
○榊原(亨)委員 そのはつきりしない數を大體想像で六千萬圓とおきめになつて、これならば今年中に皆濟できるだろうというお話でございますが、もしも額がそれ以上になりましたら、いかがいたしますか。拂えますか。
#8
○宮崎政府委員 國民健康保險組合の現状からいたしまして、私どもできるだけそういうことのないようにいたしたいと、各方面に力を加えてやりたいと存じております。
#9
○榊原(亨)委員 ただいまのお話のできるだけという言葉は、前々から政府當局からお聴きすることでございまするが、これは實際上は實行せられておらないのであまりす。殊にこの未收の問題につきましては、御承知のごとくその責任は組合にあつて、政府にないというふうなお考えも多少あるかもしれませんが、これは政治道徳上の問題から申しましても、當然政府は相當の御責任があることと私は思うのでございます。たとえて申しますと、この國民健康保險が初めて實施せられましたときには、醫者が非常に未收に困つておる。いろいろ治療しても大根一本しか持つてこない。そういうことで非常に困つておる。診療費は安くても、國民健康保險を實施するならば、完全に未收がなくなる。その點において國民健康保險は、醫師にとつても有利であるというふうなお説でもつて、強制的にほとんど全部の町村に實施せられたのであります。しかもその醫療費たるや、必ず厚生大臣の監督のもとに行われた醫療費でございまして、いつでも醫者がその額において滿足しておつた醫療費ではないのでございます。その低廉な醫療費が積り積りまして、ただいまのお答えでございますれば六千萬圓、私どもの見當にいたしますると一億圓になんなんとすると思つておるのでございますが、その醫療費が何年たつても拂えない。こういうことでございますれば、醫者が不協力である。今後社會保險は強力にこれを實施すベきものであると私どもも存じておるのでございますが、この點において將來にも非常な惡影響が及ぶということを、私は特に御注意申し上げたいのであります。そのほか診療内容の審査にいたしましても、あるいは運營上のいろいろな問題にいたしましても、ほとんど厚生省が相當の關心をもつてこれに關與しておいでになるのであります。今この未收問題が片づかないといたしますならば、近くは一方の契約者たる日本醫師會が解散になります。そうすると契約したものがなくなつてしまつて、そうしてその未收というものが宙に迷つてしまうような形になることを、私は非常に恐れるものであります。どうかこういう點におきまして、ぜひ少くとも、今年度中におきまして、全部皆濟し得るような具體的方案をもつて、これを處分していただくように、くれぐれもお願いいたしたいと思うのでございます。
 第二番目の算定委員の醫者の醫療費の決定についての問題でございまするが、これはただいまのお説に基きますと、今行われております算定委員會というものが、非常に科學的に行われたものであり、その算定協議會によつてきめられたところの醫療費は、適正であるというようなお考えでございますが、そうでございますならば、今度算定委員會できめられました四圓というものを標準にして、全部の醫療費を算定いたしましたならば、昭和九年、十年、十一年度におきますところの、社會保險の醫療費の何倍に當るのでございますか。この點をお尋ねいたしたいと思うのであります。
#10
○友納説明員 昭和八年、九年、十年は單價が、全國平均にしまして八年度が十三錢、九年が十四錢、十年が十四錢六厘、かようになつております。從つて現在は四圓でございますので、單價の點だけから申しますと、今の割算になるわけでありますが、ちよつと時間を要します。それから點數表が變つております。いろいろな點で増點になつておりましたり、特殊計算がございますので、正確な數字は單に單價で單價を割つだだけではないと思いますが、多少時日を要するかと思いますが計算をいたしてみたいと思います。
#11
○榊原(亨)委員 先ほどから私の御質問申しました要點は、今の後者の場合でございまして、全體の醫療費といたしまして、昭和九年十年、十一年度の何倍に當るかということを、お尋ねいたしておるのであります。從つて單價が何倍になるというような單純な問題でございませんので、この場合御計算がもし不可能であり、またその方面の御研究がまだないといたしますれば、次會まで質問を保留いたしたいと思います。
#12
○小野委員長 それでは政府委員に申し上げますが、できるだけ早く計算して御提出願いたいと思います。榊原君はそれでよろしうございますか。
#13
○榊原(亨)委員 その今の未收の問題、六千萬圓以上になつておるときにはどうだという點、これをはつきりしていただきたい。
#14
○宮崎政府委員 國民健康保險につきましては、御承知のように、當委員會におかれましても、劈頭から御審議を願つた問題でございます。この國民健康保險が、今日一萬の組合の中で三〇%が不振または休止の状態にある。これをいかに建直すかということにつきましては、非常な苦心を拂つておるのでございます。今の未收の問題も、そういう不振あるいは休止の方面がございます關係上、そういうことになるのでございます。これにつきましては、今の計算が六千萬圓あるいは榊原委員のおつしやるように、それが一億になるか、あるいはそれより下になるかということはわかりませんが、いくらの金額になりましても、組合自體の問題として、政府はこれを奬勵し指導しております立場上、何とかいたしたい、こういうふうに存じておりますので、國民健康保險の建直しにつきましては、十分皆さんの御協力を期待いたしております。
#15
○榊原(亨)委員 ただいまの何とかいたしたいということは、本年中に御皆濟を願えるということでありますか。
#16
○宮崎政府委員 御承知のように、先ほども仰せになりましたが、國民健康保險組合というものは、これは政府の組合ではなくして、組合自體が獨立の人格をもつてやつております關係にあります。たとえて申しますと、市町村と政府というような關係になるのでございますので、私どもが指導し、せわをすると同時に、組合自身が起ち上る力をもたなければいかぬと思うのであります。そういう兩者の關係にもなつておりますので、私どもといたしましては、組合の更生をはかり、そうして私どもの方でなし得る指導をし、また國家の助力を與えていただいて、これが成り立つようにいたしたいということでございます。ちよつと今年のうちに一文も借金が殘らぬようにできるとまで、私ははつきり申し上げられないのでありますが、ひとつこの程度で御勘辧を願いたいと思います。
#17
○榊原(亨)委員 男と女が夫婦になるときに仲人役がございます。その仲人が縁結びの神をする、ところが今度は離縁の話をもち出しましたときに、結婚したのはお互い同志だから、この仲人は一つも知らないというふうなお話でございますれば、これは非常に將來の社會保險の運營上、極端な惡事態が起つてくると思うのであります。殊に地方におきますところの醫者は、本來ほかの業務に屬しておるものでございますれば、これを訴訟に訴え、そして取上げるというふうなこともできるのでございますが、醫者自身の業務の性質上、そういうことも遠慮してしない、こういう弱い立場にある醫者でございます。その醫者が、そういう弱い立場にあるからといつて、その未收をいつまでも放つておく、今のお話ですと、放つておくのではありませんが、やがて六千萬圓以上になるかもしれない。その場合には、必ずできるとは斷言できないというふうなことではなく、至急その未收を御調査くださいまして、それを補助金とか何とかいう名目でお出しを願いたい。その場合におきましては、私どもは極力大藏當局に對してもこれの善處方に努力いたしたいと思うのであります。そうでありませんと、ただ縁切り坊主で、努力する努力するというのでは、しかたがないのでありまして、私は厚生當局を何も攻撃するものではございませぬけれども、具體的にこれだけの未收があるんだ、組合ではこれ以上拂えないのだ、それだけなら組合ではどうもしかたがないから、これだけを補助金にするんだ、そういうふうに大藏當局の方にお話を願えれば、われわれ厚生委員といたしましても、極力その實現方に努力いたしたい。そういう具體的のお考えをひとつお聽かせいただきたい。これを重ねてお願いする次第でございます。
#18
○小野委員長 なお政府に申し上げますが、健康保險組合の問題は、この委員會では最初に取上げた問題で、そのときには最後に私から質問をいたしまして、健康保險組合に對する政府の具體的政策を尋ねているのでありますが、まだ呈示がないのでございます。いずれこの問題は本委員會で本格的に取上げて、その際政府の答辯も求め、併せてわれわれも具體的に檢討いたしたいと思いますので、今榊原委員から取上げられましたような問題も出ると思いますから、十分御檢討を願いたいと思います。
 次に山崎道子さんからお尋ねの件に關しまして發言を求められております。政府委員三橋恩給局長。
#19
○三橋政府委員 お尋ねの第一點は、傷病恩給の増額の問題でございますが、軍人の傷病恩給につきましては、御承知の通り、一昨年の十一月二十四日、連合軍最高司令部から日本政府に對しまして發せられました覺書によりまして、從來の恩給を改定いたしました結果、かくなつているのでありまして、連合軍最高司令部から發せられました覺書の趣旨を忠實に實行しまする結果、こういうふうな結果になつた次第でございまして、金額につきましては、まことに僅少な金額でありまして、傷病軍人の御家族に對しましては、御同情にたえないところでありますが、今からこれを増額するというようなことにつきましては、なかなか至難なことではないかと思つております。私どもといたしましては、連合軍最高司令部からの覺書が發せられました當時におきましても、いま少し増額はできないものかということにつきましていろいろ檢討も加えまた、こういう時局になつてまいりましたので、關係方面の意向につきましてもいろいろ氣を配つて檢討に檢討を重ねております次第でありますけれども、今ただちにこれを増額するというふうな手順までには立至つていないような實情でございます。
 次に公務起因たる決定を促進せられたいというお尋ねでございますが、これは未復員の軍人の問題だろうと思いますが、未復員者につきましては、歸還しまするまでは、從來通りの軍人たる身分でもつて、恩給法上の取扱いをするということにきめてまいつております。從いまして未復員の軍人が海外に殘留しております期間中において、いろいろの傷痍疾病にかかることもあると思いますが、與えられた勤務に起因しまして傷痍疾病にかかりました場合におきましては、從來の軍人の公務疾病規定の取扱いと同樣な取扱いをいたしたいと考えております。
 次に海外に殘留されておる未復員の軍人に對して、一般の文官と同樣の恩給を支給してもらいたいという御要望であると存ずるのでありますが、これは先ほども申し上げました軍人恩給廢止に關しまする連合國軍最高司令部からの覺書もあることでありまして、簡單に増額をすることはできないものではなかろうかと考えておりまするけれども、いろいろ私たちとしては檢討いたしまして關係方面の一應の意見は伺つておりまするが、その結論といたしましては、今のところは増額するようなことは困難ではなかろうかと思つております。
 次に恩給業務促進に關する陳情でございますが、傷病軍人に關する恩給事務を速やかに處理しなければならないことにつきましては、もちろんのことでございまして、私たちといたしましては、できる限り速やかに處理すべく努めてきておるのでございます。ところで傷病軍人に關しまする恩給の事務は、兩復員局におきまして、出先の機關を通じて出てきた恩給の請求書類を取りまとめて一應審査して、その上で恩給局の方に申達いたしてまいるのであります。恩給局においては、その申達された書類を審査して、必要によりましては、恩給局顧問醫の鑑定を仰ぎまして、その上において恩給裁定をいたしております。恩給裁定をいたしますと、恩給證書を發行いたしまするとともに、恩給金の支給の通知を遞信省の東京貯金支局恩給課に通達するのであります。東京の貯金支局恩給課におきましては、その通達によりまして最寄郵便局に對しまして恩給金の支拂いを通知するのであります。そういうふうな手順を經て傷病軍人に關しまする恩給事務は處理されておりまする關係上、御本人から恩給請求書を出されましてからも、かなり日數がかかるわけでございまして、それぞれの機關におきましては、できる限り速やかに書類をさばくように努めておるのでございますが、間々相當時日がかかることもございます。しかし恩給局に書類が提出されましてから、陳情書に書いてありまするように、二年もそのままになつておるというようなことは、私承知いたしておらないのでありますが、早速取調べまして、萬一そういうことがございましたならば、速やかに處理するように督勵いたしたいと思いますが、大體におきまして、恩給局に書類を受付けましてからは、二、三週間から一箇月くらいは、どうしてもかかるのでございます。昨年などの件數は二、三萬件ばかりございましたが、一箇月に多いときには三千件くらいも書類がまいります。その書類の繁閑によりまして、進捗のいく場合と、そうでない場合がございます。書類が少し輻湊しますと、自然長引くようなこともございます。また問題によりましては、先ほども申しましたように、恩給局の顧問醫の鑑定を仰がなければならぬ關係もありますし、顧問醫の御都合なんかによりまして、若干日にちがかかることはございますが、しかしここに書いてありまするように、二年以上もそのままになつておるというようなことが萬一ありますとするならば、何か特別な間違いじやなかろうかと思いますけれども、取調べまして、速やかに處理するようにいたしたいと思います。ただ、いま申し上げまするように、地方の出先機關、兩復員局に書類が出されまして、それが恩給局に參りまする關係上、その間に書類の不備その他がございまして、どうしても裁定できないというような場合がございますと、書類の往復の日數も相當かかるのでございます。そういうふうなことで、御本人に對しましては、これくらいのわずかな恩給金額にうるさいことを言つて困るじやないかというふうなお心持をおもちになる方もあるんじやないかと思いまして、そういう場合に對しては、まことに申譯ないのでございまするが、そういうこともありまして、恩給請求者の御期待に副わない點が、あるいはあるかと思いまするが、そういうことにつきましてもできるだけ形式を省いて、實質的に書類の進捗するように考えて今やつております。
#20
○山崎(道)委員 傷病恩給の點でございますけれども、私不勉強でございまして、覺書というのをよく存じておりませんから、あとでお聽かせ願いたいと思います。それからこれを裁定いたしますときに、厚生年金を基礎にしてやつたというふうに伺つておるのでございますが、それならばこの厚生年金が増額になつたのでございますから、それに從つて増額していただくのが私は無理じやないんぢやないか、よく關係方面へも御理解願えば御處置いただけるんじやないか、こういうふうに素人考えでは考えております。それで向うでおつしやるのも無差別平等に扱えというのが精神でございますから、軍人であろうと普通の勞働者であろうと、手を失い足を失つて、あるいは盲になつて一生涯不自由がついてまわるということにおいて私は間違いないと思います。その意味からまいりまして、その點をよく御理解願いましたならば、私はこういうことも實現できるんぢやないか。何と申しましても、今は入院料が有料になる。恩給は兩眼をなくしました者が一年に六百四十圓なんということは、常識から考えましても承服できない。從つて本人たちもだんだんと思想が惡化してくる。こういうことは、平和國家を建設していく上に、大きな癌になると思うのです。納得がいくような手段をとることが、私たちの役目ではないか、かように考えますので、特に御考慮を煩わしたいのでございます。それから覺書というものをお聽かせ願いたい。
#21
○小野委員長 ちよつと速記を止めて……。
#22
○山崎(道)委員 算定なさいました理由はよくわかりましたが、厚生年金の値上になりましてからこちらは、どうして値上することができないのでありますか。
#23
○三橋政府委員 その點につきましても、いろいろ檢討を加えておるのでございますが、厚生年金保險法が改正になりましたけれども、これは將來のものに對してのみ改正になつたのでありまして、過去の厚生年金保險法によつて、障害手當金をもらつておる者や、障害一時金をもらつたものにつきましては、そのまますえおきになつております。從來のままになつております。そこで厚生年金保險法を基準として支給しておりますにかかわらず、軍人恩給だけを増額することにつきまして、その點から私たちは躊躇いたしておるのでございます。今お話のように、厚生年金保險法が改正になりましたから、その點から考へて見て、もう少し傷病恩給の増額改正はできはしないかということを考えて、いろいろ氣を配つておりますけれども、今申し上げたような事情によりまして、まだ増額の結論にまで至つていないのであります。
#24
○山崎(道)委員 まつたく私たち小指一本傷つけても、非常に不自由でございますが、あの人たちは、足もなく、手もなくなり、ろくな松葉杖も與えられない。義手もまことに不自由である。しかも世間へ出れば、かたわ者扱いをされて、冷眼視される。恩給は月五十圓にも滿たないような状態であるということになりますと、ひがんでまいるのも無理ないと思います。惡の道へ轉落して行くことを考えるとき、こわい氣がしますので、皆様方もいろいろお立場もございましようけれども、土俵をたまには踏切をするくらいの覺悟で、ひとつ眞劍にお考えを願いたいのでございます。できるだけ御考慮を願つていただきたいと思います。私たちも有料問題もあるし、今後の職業指導、授産所施設ということを考えますとき、つくづく暗くなることばかりでございまして、特にうるさくお願いするわけでございますが、ぜひ御考慮していただきたいと思います。
 それから公務起因の問題でございますが、これもこの間大分突込まれまして、まことに答辯に困つたのであります。そういう方針が確立しておるということになればいたし方もないのですけれども、私たちの素人考えからいたしますと、ちよつと無理のようなふうにも考えられますので、一度御相談願いたいと思つております。
#25
○三橋政府委員 今の公務起因の問題につきましては、もう少し私から御説明を申し上げる方がいいと思いますが、未複員の軍人が海外にまだ殘留いたしております。この間におきまして、從來の軍人と違つたいろいろな仕事に携わると思いますが、その間におきます取扱いについて、先ほど申しましたようなふうに、恩給法の法制的な取扱いとしては、軍人としての取扱いをするというふうにできておるのであります。それでありますから、その間において與えられた任務によつて、傷痍疾病にかかりますれば、もろん公務起因の傷痍疾病として恩給を給するようにいたしたいと考えております。そういうふうに取扱うことにいたしておりましたが、ただ問題は先ほどからもお話がございますように、傷病軍人に對して恩給を増額してもらえないかというような要望もありまして、その未復員の軍人として海外に殘留しておる人たちは、軍人としての身分で殘つておるのじやない。これは一般の殘留者として取扱つて、恩給の増額はできないものか。すなわち戰鬪行動をやつて殘つておるのでないから、一般文官並の特別な取扱いはできないかというような切なる要望がありました。私たちも、できることなら、そういうことにやりたいと考えました。そういうふうな取扱いをするということになりますれば、先ほど申し上げましたように、私だけの一存でもできかねるものでありますから、關係方面の意向を聽かなければいけない實情でございます。もしそういうふうなことができますならば、先ほど前段に申し上げましたような未復員の軍人をただ單に從來の軍人通りの取扱いをして恩給をやるということは、無意味なことになる。だから大體の見透しがつくまでちよつとストツプして、裁定を遲らした、こういう實情でございます。ごく最近でございますが、關係の向きにもいろいろそれとなく尋ねてみましたのですが、相當問題にされまして、箇單にイエスというような返事はもらえない事情であります。そういうような事情でありますので、やむを得ない處置といたしまして、從來通り未復員の軍人は軍人としての取扱いをするというようにいたしたいと考えているところでございます。
#26
○山崎(道)委員 ポツダム宣言の中にも武装解除したあとには云々という言葉があるのでございますから、武裝を解除して、そうしてジヤングルのなんだとか、いろいろ向うの仕事をさせられているのでありまして、あの人たちは決して軍人として働いている人でないのだということは強調していただきたい。ほんとうにそこを踏み切つていただきたい。ぜひお願いいたします。殊に早く歸りたいのでございますから、この點は強く主張していただきたいということを、切にお願いいたします。
#27
○齋藤(晃)委員 ただいま山崎委員からいろいろ御質問がございましたが、なお私から補足質問いたしたいと思いますことは、傷痍軍人に對する恩給があまりに些細であるというようなことから、實に現在のああした痛々しい傷痍軍人が、ますます思想的にも惡化するということは、國家的にも重大な問題であろうと思うのであります。殊に私ども違憾に考えますことは、この傷痍軍人に對する恩給の、率の面におきまして、たとえば大將の指一本が兵率の足一本に相當するというような、かくのごとき莫大な差をもつて給せられているということは、たとえその當時の級位によるとはいいながら、いやしくも武裝を解除された後におきまして、殊に民主憲法のもとにおいて、かくのごとき軍人に對する差別をもつたこの恩給の支給方法が現在あるということは、あまりに矛盾であると考えますが、これについてお答えを願いたい。
#28
○三橋政府委員 今の御意見は一應ごもつともな御意見のように拜聽するのでございますが、恩給として支給します以上は、やはり恩給として恩給法のもとに行わなければならないということを、一應考えなければいけないと思います。それから傷病軍人に對します恩給をどういうふうな取扱いをしたかということは、先ほど申上げましたようなことでございまして、覺書により命ぜられましたその線に沿いまして、厚生年金保險法の障害年金なり障害手當金なりの支給の例によらざるを得なくなつたのでございます。厚生年金保險法の障害年金及び障害手當金は、先ほども申上げましたような例によるのでございますので、その例による以上は、今の傷病軍人の恩給の出し方のような方法によるほかなくなつた。そういうような事情でありまして、傷病軍人に對する恩給は、退職當時におきますところの給與を基準として出すことにいたした次第でございます。
#29
○齋藤(晃)委員 ただいま障害年金の規定によつてこれはやむを得ないというようなお話でございしまたが、しかし同じく國家のかくのごとき重大な公務に參加したという立場に考えますれば、殊に武裝解除された今日において、私は非常な矛盾であると思うのでありまして、實はかくのごとく兵卒と大將というものが、あまりに莫大な給與の差をもつて現在支給されておる、殊にその額がほとんど雀の涙のようなわずかの金である。こういうことは、現在においては非常に私は遺憾だと考えます。先日の委員會において厚生大臣みずからこれに對して、現在の民主下においては非常に矛盾であると指摘しております。そうした傷痍軍人に關する限りは、恩給の支給につきまして、これを是正する御意思がないのでございましようが、お聽きしたいと思います。
#30
○三橋政府委員 傷病軍人に對しまする恩給の減額改訂は、覺書の趣旨の線に副うてやるべきものだと考えまして、その線に副うてやつておる次第でございますから、今その覺書の趣旨の線よりはずれた處置といたしまして、現在の傷病恩給を改正するようなことは考えていないのであります。
#31
○齋藤(晃)委員 ただいまの私の質問は、傷病軍人に關する限り、このような非常な差のある支給方法を是正する意思が政府にあるかどうかお聽きしたのであります。
#32
○三橋政府委員 今のお話は、結局金額の少いものを上げるか、あるいは多いものを少くするかという問題だろうと思いますが、一般的に見まして、傷病軍人に對しまする恩給の金額は、きわめて輕少な金額のように思われますから、結局は下の方の恩給金額を上げる、こういう結論にならざるを得ないと思うのであります。この傷病軍人の恩給を、結局は増額するということになると思うのでありますが、その問題につきましては、私からここにおいてでき得るとか、またでき得る見込みがあると斷言することはちよつとできないところでございまして、私といたしましては、でき得るならば、これを増額することにいたしたいという檢討は常にやつております。それだけははつきり申し上げ得ると思います。
#33
○飯村委員 ただいまでき得るならばということは、できるようにさせるのがほんとうでないかと思う。關係方面のことも、私はもう少しその内容、親心を察すベきでないか、特別にこの傷痍軍人に對して、これだけの親心をもつて許可をしてくれたのであるから、さらにその特別な親心を生かして、できる限りにおいて傷痍軍人の恩給に對して、大幅の増額をするようにやるのがほんとうじやないか、そう私は思います。すなわち傷痍軍人はこういうように生かしてよいという親心を十分に生かさないで、逆に壓縮してしまつている感情を私はもつ。それと現在の恩給が階級等差になるように考えられることも、一面考えられますが、それはその個人の能率や生活程度から考えておると思いますから、一面うなずけます。しかし兵隊の給與と職業軍人の給與とは同様に考えるべきでない。少くとも兵隊に與えられておる毎日々々のわずかの金額は、同じ職業軍人に比して、同等の意味でもつて與えられておる給與であるという感じをもつて扱うベきでなく、これはもう少し親心的に見て、大幅に引上げる必要があるのでないか、引上げることができないということは、それを當局においてやつてみた驗しがあるのでしようか、お伺いします。
#34
○三橋政府委員 この點は速記を止めていただきます。
#35
○小野委員長 速記を止めて。
#36
○飯村委員 ただいまの御答辯非常に感謝いたします。今後もその點大いに御努力願いたい。それから今の俸給等差の問題について、兵といわゆる職業軍人との差でありますが、この區別を廢止する考えはありませんか。
#37
○三橋政府委員 覺書が先ほど申し上げましたように書いてあるのでございまして、一般的な補償制度がどうなつておるかということを考えなければならない。一般的な補償制度として例にとりましたところの厚生年金保險法の障害年金と障害手當金というのが、一定の俸給給與というものを標準にいたしまして、これを出している以上は、軍人恩給につきましても、やはりその標準にならつて考えるのが適當ではないか。もしそれが基準にならないとしますれば、何が基準につきましてのデイレクテイヴの解釋をかえなければならないと思います。デイレクテイヴが傷病恩給に對し制限いたしておりますところは、一般の補償の基準によれということであります。その一般的な基準というものが、今申し上げたようになつている以上は、それによるのが至當ではないかと思います。兵の問題については、今のお話しのように、わずかな金額でございます。そこで俸給をどういうような取扱いをするかということについては、その當時いろいろ研究いたしました。しかし兵の俸給を下士官よりもうんと上げるということも、これまたむつかしいのであります。職業軍人たる下士官、将校より上にしてもいいではないかということは考えられるのでありますが、實際問題としてむつかしいのではないか。下士官よりも下にもつてこなければならないのではないかと思います。私書類をもつてきておりませんから、少し違つておるかもしれませんが、營外に居住いたしました場合に拂われておるのは八十圓だつたと思います。毎月八十圓拂われておりましたのを例にとりまして、俸給を一應八十圓と定めて、あの假定俸給をきめたというふうに承知いたしております。
#38
○松谷委員 ただいまの御説明では、覺書は無差別平等という點から出ておるから、それに制限されて現在の状態より考えることはできないというお話には納得できないのでございますが、先ほどから各委員も言われておりますように、とにかく今日は軍は解體しておるのであります。一切が無差別平等と言われるその點から考えましても、軍人の立場を除去して、すベてが文民になつておるはずでありますが、その上に加えられる場合において、恩給の基準の立て方が、軍の存在した當時の位階の差によつて、その基準を決定しておるというところに、私は決して無差別という内容を實現しておるものではないと考えるのであります。こういう點は、考え方の相違であり、また關係方面にもこちらから了解を求めなければならない點だと思うのでございます。無差別平等という場合には、一人の人間として生きる場合に、大将であろうとも兵であろうとも、人間として生きるに必要な保障がなされるのが、ほんとうの無差別平等な取扱い方ではないかと思うのでございます。他の恩給とは異なりまして、殊に傷痍に對する恩給のみが、そうしたもとの地位をそのままに存續させて、その上に立つたところの恩給では、軍を解體させた意義がないのではないかと思うのでございます。そこに今日恩給を受けておるところの當時兵であつた者の考え方からいたしますならば、いかに軍が解體されても、やはりもとの大将と自分との間には、人間として生きていくのに差があるという観念から、形だけは解體しても、その魂の上に築かれたところの軍の與えた大きな影響は、今なお消えずに残つておるのを私どもが見ましたときに、一日も早くこれを文民並みの取扱いをしていただきたい。當局のそれに對する考え方は、今までのお話を承つておりますと、制限があるからできないということでありますが、この點については數囘なされておるかと思いますけれども、いま一應強く御説明していただくことができるかどうか、伺いたいと思います。
#39
○三橋政府委員 一番最初に齋藤さんの御質問に對しましてお答えしたときに、恩給は恩給としての建前もあるということを一言附け加えまして、あとはその點につきまして御説明申し上げませんで、覺書の内容につきまして、主として申し上げましたために、あるいは意を盡さなかつたかと思いまするから、その點につきまして、御説明を申し上げたいと思います。
 この恩給で軍人に對しまして金を出しますのは補償的な給與として出す趣旨であります。今お話のように、軍人を一般の國民として救濟するという見地に立ちますならば、これはお話のように給與に差をつけるベきではないと思います。この點はまつたく同感であります。しかしながら傷病恩給支給につきまして、覺書に制限的にいろいろ書いてありますが、傷病恩給は、勞働能力を制限するがごとき肉體的な障害に對する補償的な給與として出されるものでありまして、この場合におきまして、その補償的な給與を一律平等にやるか、あるいはまた、差をつけてやるかどうするかということは、議論のあるところだろうと思います。しかし從來からの恩給法の建前からいたしまして、それは退職當時におきます状態を押えまして、補償的な給與をするということが、從來からの慣例になつておつたのでございます。それから今度の軍人恩給廃止に關する學書によりましても、やはり一般の厚生年金保險法の補償制度と同じようなやり方で補償せよということになつておりまするので、私たちといたしましては、この補償的給與という點から考えまして、若干の差をつけたような次第であります。決して國民として平等に取扱う趣旨を沒却しておるわけではございません。國民として社會的な救濟をするということでございますならば、これは全く平等に取扱わなければいけないものだと考えております。
#40
○松谷委員 今日國家も社會も個人も、一切が一大飛躍をしつつあり、またしなければならない現在において、從來の慣習というものを、この恩給の問題においても、われわれで打破していかなければならないので、當局も一大勇斷をもつて、從來の慣習がこうであるという域を飛び越えていただきたいと、先ほど山崎委員からもおつしやつておられましたが、なお重ねてお願いをいたしたいと考えております。
 それから委員長にお願いをしたいのでございますが、先ほどから承つておりますと、やはりその筋からの制限のもとにおいて、どうしてもこれを改訂することのできないような情勢もあるというふうに承つたのでございますが、この點は當局とされて、たゆまざる御努力をしていてくださると考えます。それとともに私はこの厚生常任委員會によりまして、私どもの方からも直接關係筋に嘆願するなりあるいは決議文をこしらえたら、恩給増額の件を實現に向つて促進させる一つの力となるのではないかと思うのでございますが、ひとつ委員長に特別に恩給増額についてのお計らい、何か積極的な具體的な方法をお考えいただきたいと思います。
#41
○小野委員長 私への質問でございますから忌憚なく申し上げますが、先般國民健康保險組合の時にも申しましたように、私もこの傷痍軍人を中心とするいろいろな問題で、不十分ながら解決のいとぐちについた例の國立病院の有料の問題等も、まだ本格的には片づいておらないと思います。これらの問題と、ただいま問題になりました恩給の問題、その他傷痍軍人の――もう少し廣い範圍でよろしゆうございますが、こういう人に對する問題は、一應とりまとめて、正式にこの委員會で取上げまして、ちようどこれに關する陳情も請願書も相當たまつておりますし、また今後も殺到してくるだろうと思いますので、それらも一々ここに議題に上せて考えをまとめて、その上でもちろん必要とあれば、關係方面にも陳情に參りましようし、交渉にも參りましようし、また政府にもしかるベき對策の樹立を要望するなり、必要とあれば法律案を提出するということも結構と思いますので、それらはいずれこの問題を中心に取上げて、委員會の態度をきめた後にいたしたい、かように考えておりますので、御了解を得たいと思います。
#42
○榊原(亨)委員 ただいまの委員長のお考えのようにしていただきたいと私は思います。
    ―――――――――――――
#43
○小野委員長 それでは前會の御質問に對する政府の答辯をこのくらいにいたしまして、お諮りいたしたいと思います。あるいは新聞などで御承知かとも思いますが、今囘政府及び民間が協力いたしまして、社會事業のために支出する金を集めるために、共同募金の方法をとろうということになつて、著著準備も進んでいるようでございます。これはまた關係方面からの執烈な支持もあるようでございます。つきましては、この際政府より共同募金に關して、一應の説明を聽取いたしたいと思います。御異議はございませんか。
#44
○小野委員長 それでは説明を求めることにいたします。
#45
○葛西政府委員 委員長のお話でございまして、今官民一致してやつている社會事業のための共同募金のことについて、大體のいきさつなり現状をお話申し上げるようにということでございましたので、申し上げさせていただきたいと思います。
 現在社會事業施設は五千數百、これを大雜把に六千と申させていただきたいと思いますが、六千ありますうちに、約三分の一が公のもの、すなわち縣なり市町村なり國のものということになつておりまして、あとの三分の二が私人であります。私人の中には法人もございますが、そういうものの經營にかかつているということになつております。從つて三分の二と申せば四千でございますが、そのくらいのものが個人、あるいは財團法人、あるいは社團法人などでやつているものでございます。これらの事業の經營につきましては、御承知のように、經營費の一部を政府が社會事業法に基いて補助するということになつております。また地方公共團體においてもこれに對して補助するということになつておつたのでありますが、ちようど本年三月末から私設のそういうものに對して、從來のようなかつこうにおける公金を支出してはならないということになつたのでございますが、當時日本の社會事業の現状から見て、そういうことは困るという私設側の意見もありますし、また私どもできるならば從來通りやることを希望していろいろ折衝いたしたのでございますが、何としてもこの點に聽き入れられませんで、遂にそういうことになりました。從つて國が社會事業法に基いて出している補助金、あるいは縣なり市町村なりが出している補助金というものも出せない結果になつたのでございます。もちろん憲法の八十九條の規定には、社會事業法は正面からは牴觸することはないのでございます。ちようど憲法を御審議の際に、當時の河合厚生大臣からもお答え申しておつたのでありますが、あの憲法の條文にもありますように、公の支配に屬しないものに對しては公の金を出してはならないと書いてあるのでありまして、社會事業法、あるいは生活保護法というような政府の支配のもとにあるものについては、出して差支えないという點は、變りはないのでありますが、別にこの社會事業、社會援護というようなものは、國家なり公共團體の責任においてやるベきものであるという立場からいたしまして、とにかく從來のような財的援助ができなくなつた。そうなりますと、今申し上げました約四千という社會事業施設の經營は、非常に赤字に惱むことになるのであります。從來でございますれば若干の寄附金等もございまするし、あるいはまた事業收入を相當あげ得る状態であつたのでありますが、物價の上りがあると同時に、そういう寄附金とか、あるいはああいうふうなか弱い人たちを使つての事業收入はなかなか思うようにいかないというようなことから、非常に赤字に惱んで困るというような状態であつたのであります。當時關係方面においては、日本の實情をよく了解してくださつて、これらの點をどうするかということについて、いろいろ相談してくれたのでありますが、その際アメリカでちようどやつているコンミユニテイー・チエストという方法がある。その方法をやつたらどうかという示唆を三月末でしたか、四月の初めでしたか與えられましたので、私どもいろいろ研究をいたしまして、やはり私設の社會事業に公の金を出すことはできない。あるいはまた事業收入、寄附金等を上げる適當な方法がないことになりますれば、これを財的に援助していく一つの方法としては、やはりこの共同募金と申しますか、コンミユニテイー・チエストの方法しかない。これが唯一の對策であるという結論に到達したのであります。この間あるいは民間のいろいろな方々の御意見を聽き、あるいは當該事業者にお集まりを願つて、いろいろ研究をいたしましたが、結局そういうような結論に到達いたしまして、今年六月にいよいよやろうではないかということになりまして、官民一體の第一囘協議會をもつたわけであります。そうして數囘準備委員會を開きまして、お手もとに配布した共同募金の運動要綱、これの原案のまた原案を、その委員會でつくつたわけであります。この經過のうちにちよつと申し忘れましたが、ちようどこの時、御承知のように、アメリカからフラナガン神父が訪れてまいりまして、このことが政府からフラナガン神父の耳に達し、私どもに對してフラナガン神父から、こういう運動をやることが適當ではないかというような勸告を受けた次第であります。もともとこういうふうな共同募金というようなものの考え方といたしましては、一般の困つた人を助けてやろう、困つた人のめんどうはみんなで見てやろうではないかというような心持の現われであります。そういうことになりますと、やはり廣くこういうふうな共同募金とでも申しますか、そんなものを催すことによりまして、一般にこういうものに對する深い御理解を得られることになり、それがまた金が集まつてくることになる。お互いが隣人としてめんどうを見なくちやならぬようなものを、私設の社會事業なり、あるいは公の社會事業でやつていただいている。これに對して應分の關心をもち、自分にできるだけの金を出してやろうという催しでございます。そういう趣旨からもやろうぢやないかということになりまして、ちようど六月末でありましたか、全國の厚生課長、社會課長の會合を催しました際に、大體地方等においても、民間の社會事業施設に對する援助の方法は、これよりほか方法がないと思つているが、地方でもひとつ研究してくれということで、コンミユニテイー・チエストに關する方法を地方に示し、地方でも研究してもらうことにいたしたのであります。そうなりますうちにお手もとにありますような社會事業資金共同募金運動實施要領というものをきめました。そのきめる方法といたしましては、今月の六日に第一囘の中央共同募金委員會を開いたわけでございます。そこでこういふふうなことでやろうぢやないかということの御決定を願つたわけでございます。
 話が大分前後いたしましたが、これをやる方法といたしましては、アメリカのいろいろな例等も調べ、あるいは文獻等も檢討いたしましたが、すぐアメリカの例を日本にもつてきてやることもできませんので、これらに若干の日本的なやり方と申しますか、日本の現状に合うように、内容もいろいろかえてある點もございます。やり方といたしましては、大體中央に中央共同募金委員會、地方にそれぞれの委員會をおき、中央の委員會は、直接金を募集することはいたしませんで、一般の啓蒙でありますとか、あるいはこういうふうなやり方に對する根本的な企畫でありますとか、あるいは地方委員會でやりいいようにするというような仕事、たとえて申しますと、地方で金を集めます場合には、慈善興行をやりますとか、あるいは競馬の金をこういう方面にまわしてもらうこともありましよう。あるいは富くじができますれば、そういう方面からも收入があげられる。あるいは慈善切手をやつて金を集めることもできるのではないかというように、各地方共通の募金に都合のいいようなことを中央でやつてやる。直接の募金は中央としてはいたさないのが要綱でございます。中央の委員會は、實際金を募集して、その金を地方の施設へわけてやる仕事までやるのでありますが、この委員會は施行いたします單位としては、これはアメリカの例などに見ますと、大きい市とか町村ぐらいが、一番ぴつたりとくるような話を聞いておるのでございますけれども、現在の日本では、やはり縣あるいは特定の市が基礎になつてやらなければ、なかなか至難ではないかということから、大體縣特定の市を中心にして、地方の共同募金委員會ができる。そこへ集まりまして、ある一定の時期をねらつて募金をしていく。これには相當な準備を要するので、早く準備をしなければならぬというわけで、だんだん中央の委員會等で案がきまつてくるに即應して、今月の初めに、全國の民政部長會議を催しまして、ここらでも共同募金についてのいろいろな注意を喚起いたした次第でございます。地方で實際にやります場合には、個々に集めます方法と、大口の金を集める方法とございます。大口の金、あるいはそういうものにつきましては、事前相當の準備が必要になつてまいります。それから今度個々に募集することになりますと、世間がそういう氣分にならなければならないのでありますから、できるならば、全國的にやろうとすれば、やるだけの準備を整えた一定の機關をこさえたいということで、本年の年末を大體基準にしてやろうじやないかということに、この委員會で申合せをいたしてあるような次第であります。たとえて申しますれば、街頭の募金というようなことをいたすにつきましては、この東京ではいつやつておつたが、隣りの川崎に行くと日が違つておつたというようなことではいけませんので、やはりそういうときには同じ期間をとらえた方がいいのではないかというようなことでやつております。それからこれの特徴といたしましては、これは委員會をつくつてやるのでありまするが、何も強制してどうこうというような分子は毛頭ないのでございます。これに参加いたしまする社會事業團體等につきましても、制限がないのでございます。自分で獨力で寄付を募集してやろうというふうなものがあります場合には、共同募金委員會に加盟する必要はございません。ただしかし共同募金委員會に加盟をして、これの利益を受けようというものにつきましては、共同募金委員會に金を集めていただくことを委託いたしましたならば、自分が一人ではその委員會できまりました特定の期間内は寄付をもらいに行かないといふふうに申合せをするわけでございます。そうして自分では行かないで、委員會へ集まつた金の中からいただく、こういうことになります。そういうふうにいたしまして地方等でもやりますときは、あるいは地方でできないような縣も若干あるようでございます。いろいろな事情でできないという縣は、やむを得ないと思いますが、そういう縣につきましては、非常に困るわけでございますが、大體は各府縣、こういう方法でやらなければ、私設社會事業に對してやる方法がないではないかというようなことで、今年の秋から今年末にかけては、こういう運動が展開されていくのではないかというふうに考えております。ただこの運動について、私ども特に政府の側として、あるいはまた國會の側としても御關心があることだと思うのでありますが、集めました金が、いい加減に使われるというようなことがあつては、非常に申譯のないことでございますので、ここらの點は十分注意をいたして、信用ある集め方をし、信用ある分配をしていくという點については、嚴に注意してまいりたいというふうに考えております。アメリカ等の例によりますと、この運動が最近非常によくいつておるそうでございます。この金を募集いたします場合には、あらかじめ各加入をいたしまする社會施設全體の嚴密な檢査を經た上の豫算によりまして、大體その縣なりその市なりにおいては、どれくらいの金を募集しなければ目的が達せられないというような一應の目標額が出てくる。その目標額をきめまして募金をいたしまして、募金ができましたらば、その豫算によりまして、委員會がそれを各施設に配分することになります。こういう配分の仕方等も、非常にこれはむずかしいことでございまするが、豫算等を參照いたしまして、公平な配分の委員會が共同募金委員會の中にできまして、そうして金を分けるというふうなことになるわけでございます。これはアメリカ等に例によりますると、社會事業施設というふうなものは全然はいりませんで、集める方のものは商工會議所、あるいは銀行、あるいはその他の一般市民の代表というようなものが、社會事業施設のために、集めてやるというふうな體制をとつて、社會事業施設は、全然はいつておらぬそうでございます。しかし日本の實情では、そこらがどうもぐあいが惡かろうというふうなわけで、この間もいろいろ中央募金委員會等で御審議願つたのでは、社會事業施設のものもある程度參加する、こういうことに相なるわけでありまする。この運動は今年の暮ということになりまするが、實はこの運動に關連いたしまして、要網の中の一番最後にも書いてございまするが、今年の秋に國民助け合い運動というような國民運動と言いますか、こういうものをやりたいというような計畫があります。その一環としてやろうというふうに考えております。と申しますのは、生活保護法等ができて、いろいろ國家としてやらなければならぬ點については、十分私どもも努力をして趣旨を徹底をさしておるわけでありますが、その半面、おたがい國民同志は助け合わなくてもよいのだというふうな問違つた考え方が、多少兆しておるのではないかというふうな心配がありますから、そうじやないのだ、生活保護というもので國家の責任という點で、生活に困つておる者に對して援護の手を伸べるという國家の制度があるということは當然のことであるが、また一方において、近隣同志で助け合つていくというふうなうるわしい氣持もまた、ぜひ必要なことであり、これは國家責任とも予盾することではないかというふうな考え方から、國民お互いに助け合わうではないかというような氣持で、今年の秋から暮にかけて始めたい。共同募金というものも、これからの運動の趣旨とちつとも變つておらぬということから、この運動の一環としてやつてまいりたいというふうに考えております。今役所といたしまして心配しております點は、中央でやります場合も、地方でやります場合も、いろいろな税法の關係、たとえば第一對鎖というものから寄附金が切れるというようなことの心配、あるいは個人でございますれば、先般公布になりました相續税法の關係で、多額の寄附をいたした場合は困る。それが累積をしていつて課税の對象になるというふうなことがあります。あるいはまた法人でありますれば、法人の損金の中にこういうものを入れてもらうということにすれば、非常に寄附がしよくなるというような問題もございます。あるいはまた競馬などでお願いをしなければならぬということになりますれば、その方面でお願いをしなければならぬというふうな問題もありましたり、あるいはまた遞信省方面で慈善切手を出すというようなことになりますれば、その方面でやらなければならぬというようなこともあつたりなんかしまして、そんなふうな地方でこの運動をやる場合に、全國共通のやりよい問題でこの運動を解決したい。これは民間の側にこの運動が移りまして、それぞれこの委員會の方の御活動をいただいておるような次第でございます。たいへんとりとめのないことを雑然と申し上げて恐れ入りましたが、一應委員長のお話によりまして申し上げた次第であります。
#46
○小野委員長 次會に日程は公報をもつてお知らせいたします。本日はこれをもつて散會いたします。
   午前十一時五十八分散會
ソース: 国立国会図書館
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