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1947/08/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第14号
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1947/08/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第14号

#1
第001回国会 厚生委員会 第14号
昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
    午後二時一分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君
   理事 有田 二郎君 理事 大瀧亀代司君
   理事 徳田 球一君
      福田 昌子君    松谷天光光君
      武藤運十郎君    師岡 榮一君
      園田  直君    中嶋 勝一君
      降旗 徳弥君    村上 清治君
      河野 金昇君    野本 品吉君
      齋藤  晃君    寺崎  覺君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        厚生政務次官  金光 義邦君
        厚生事務官   葛西 喜資君
八月二十八日
 醫療制度小委員有田二郎君及び野本品吉君辭任
 につき、その補闕として小笠原八十美君及び河
 野金昇君を委員長において選定した。
同日
 醫療資材小委員河野金昇君辭任につき、その補
 闕として野本品吉君を委員長において選定した。
同日
 社會保險小委員中原健次君及び小笠原八十美君
 辭任につき、その補闕として太田典禮君及び榊
 原享君を委員長において選定した。
同日
 醫療制度小委員長に河野金昇君を、醫療資材小
 委員長に有田二郎君を、社會保險小委員長に山
 崎道子君を、婦人兒童問題小委員長に武田キヨ
 君をそれぞれ委員長において指名選定した。
    ―――――――――――――
八月二十六日
 醫師會、齒科醫師會及び日本醫療團の解散等に
 關する法律案(内閣送付)(豫第一四號)
の豫備審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 小委員長選定及び小委員の補闕選定の件
 醫療制度に關する件
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 これより會議を開きます。
 醫療制度に關する件に關連しまして、癩病その他に問題で武藤運十郎君から緊急質問をいたしたいとのことでございまするので、これを許したいと思いますが、いかがでございますか。
#3
○小野委員長 それでは武藤運十郎君。
#4
○武藤(運)委員 私は厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。昨八月二十七日の毎日新聞によりますと、群馬縣草津の癩療養所のことにつきまして、大きな見出しで記事が出ております。これは實は私の選擧區で特に關心あるものですから御質問するわけです。すでにごらんになつておるだろうと思いますけれども、大體讀んでみますと、大きな見出しで、「狂死、獄死が讀出、お菜はわずか梅干一つ、光なき樂泉園の内情明るみへ」と題しまして、「癩患者一千二百名を収容する群馬縣草津栗生樂泉園の患者たちは、先般來園内における患者の取扱い竝びに待遇改善を療養所當事者に要求中だつたが、患者側は療養所當局の封建制を指摘し、わずか一年半の間に園内の監禁所で虐待を受けたため、十八名の患者が死亡しているとその事實を暴露し問題になつている。患者側の主張するところでは、園内には警察權をもつ分監長がいて、園内の規則に反したとの理由で公判の後患者を投獄し、収容者には入浴、治療を停止し、食事のお菜も梅干一箇だけという虐待のため死亡するものが讀出、患者瀬村幸一は園内の民主化を叫んで上申したとの理由で六箇月間も投獄され、遂に獄死、同印南八郎は同房の患者が死亡した際、その食事欲しさに三日間届け出なかつたとの理由で長期監禁され死亡、同飯村英雄は冬期間零下十六度の嚴寒中にたつた二枚のふとんしか與えられず、そのため凍死、患者考試重英は逃走せんとしたとの理由だけで二箇月間も監禁された上狂死、酒井ケイは夫が經濟違反をやつたとの理由だけで投獄されたなどの事實をあげてをり、これらが事實とすればゆゆしい人道問題として注目されている。」こういう記事が出ております。はたしてこの記事が全部事實かどうかわかりませんが、ある程度これと、似たような事實があるのではないかということが想像されます。古見園長の談として「患者たちの待遇改善要求には無理からぬ點もあり、これが改善については考慮しているが、自分としてはあくまで公的にやつているつもりだ。監禁所は必要に應じ不良患者を収容しているが、患者たちの言うような虐待による死亡事實はないと信ずる。」こういう談が載つております。これは二十七日の新聞でありますが、その前の日の二十六日、やはり毎日の建設という投書欄に、同じ場所の問題を取扱つたかと思われるのですけれども、群馬縣の官吏太田顯之輔という名前で、「最も悲慘なるもの」という題で、「日本に明い光がさしそめたのに、今なお極度の窮乏生活をやむなくされているのは癩病患者である。不治の病に日に日に身體がくずれてゆくとき、彼らは生活不安と醫療の缺乏に絶望の状態にある。現在癩患者に對する生活扶助はある縣では月一人當り六十圓、ある縣では八十圓という有様である。全國一萬の癩患者とその家族は大多數が貧困者であり、患者の大くはほかに生活の手段をもたない。われらは今一千名の生活意力を失いつつある患者を預かつている。インフレ昂進の今日何とかしてもらえぬだろうか。療養所のある縣だけが費用を負擔するというのも予盾である。大洋に中に今にも沈まんとするいかだのS・O・Sを心ある人々は聽いてください。」これはおそらくこの療養所に勤めておる役人の一人だと思いますが、こういう記事が出ております。そこで私はこの國立、都道府縣立の癩療養所のことについて次に述べますような質問をいたしたいと思います。その前に癩豫防法というのを見てみますと、「第四條ノ二」というのに「國立癩療養所及前條ノ療養所ノ長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ入所患者ニ對シ必要ナル懲戒又ハ檢束ヲ加フルコトヲ得」、こういう條文がございます。それから同法施行規則「第五條ノ二」に療養所ノ長ハ入所患者に對シ左ノ懲戒又ハ檢束ヲ加フルコトヲ得、一、譴責、二、三十日以内ノ謹慎、三、七日以内常食量二分ノ一マデノ減食、四、三十日以内ノ監禁、前項第三號ノ處分ハ第二號又ハ第四號ノ處分ト併課スルコトヲ得」その次に第三項で「第一項第四號ノ監禁ニ付テハ情状ニ依リ國立療養所ニ在リテハ内務大臣、道府縣ノ療養所ニ在リテハ管理者タル地方長官ノ認可ヲ經テ其ノ期間ヲ二箇月マデ延長スルコトヲ得」その次「第五條ノ三」に、「前條ノ外懲戒又ハ檢束ニ關シ必要ナル細則ハ縣立療養所ニ在リテハ内務大臣、道府縣ノ療養所ニ在リテハ管理者タル地方長官ノ認可ヲ經テ療養所ノ長之ヲ定ム」こういうふうにございます。そこで私は療養所の内部の實状、はたしてかような虐待の事實、人道問題に關するようなものがあつたかどうかお調べ願いたいと思うのでありますが、この大體の要鋼といたしまして、こういうことをお調べ願いたいと思います。群馬縣草津の樂泉園につきましては、昭和二十年八月十五日から二十二年八月十五日のこの滿二年間における第一に在園患者數、第二に死亡した患者の氏名、性別、年齡及び死亡原因、第三に懲戒または監禁した患者の氏名、性別、年齡及び懲戒または監禁の種類とその理由、第四に懲戒または監禁中に死亡または發病した患者の氏名、性別、年齡及び病名、第五に患者の獻立表、この年間におきまするこれだけの事實を、これはできますならばこの一週間くらいの間に實地お調べの上で御囘答を願いたいと思います。
 それからその次にこういうことをお伺いしたいと思います。ただいま條文を讀み上げましたように、三十日の監禁を二箇月まで延長するにつきましては、内務大臣または地方長官の認可を得ることを要することになつておるようであります。二箇月まで延長したものについてそれぞれ内務大臣の認可を得ておるかどうかの事實を各延長した事案についてお調ベを願いたい。
 その次に懲戒または檢束に必要な細則、これは内務大臣の認可を經て療養所長が定めるようになつておりますが、この細則は認可を得てできておるであろうと思いますが、この細則のお取寄せを願いたい。ただいま申し上げた項目は虐待の事實があつたかどうかということを主としてお調ベを願いたい。どういう状態に癩療養所の患者が置かれておるかということを私どもが特に厚生委員として見たいという考えであります。特に私がここで當局に御注意申し上げておきたいことは、同じ療養所でありましても、結核療養所とか、あるいは傷痍軍人の療養所というものは外へ出られるから、議院とかあるいは厚生委員會に陳情に參ることもできるのですが、癩療養所においては、おそらくこれは監禁されておりまして、外へ出られませんから、他の療養所以上に悲慘な状態におかれておるのではないかと考えられる。殊に食事などは現在非常に食糧の足りない時期でありまして、あるいは患者にくる食事が他の方へ行つておるようなこともないとは限らないと想像されます。獻立表をお願いしましたのはそういう趣旨からであります。
 それからただいま申し上げましたのは群馬縣草津における樂泉園に關してでありますが、ついでと申しましては何ですが、わが國における國立及び都道府縣立療養所の所在と療養所の名前、收容患者數、これもお調べを願いたいと存じます。これはただいますぐお調べができれば結構ですが、おそらくこれはむずかしいと思うからして、それぞれお調べの上御答辯をいただけばよろしいと思います。またその實情がはつきりすることになりますれば、あるいは現地の視察というようなことも必要ではないかと思いますが、とりあえずただいま申し上げました項目について至急お調べを願いたいと存じます。
#5
○一松國務大臣 ただいまの武藤委員の御質問はごもつともな御質問であります。私も昨日毎日新聞の記事を見まして、實は驚きました。特に新憲法實施のわが國において、こういうような不都合なことがあるだろうか、これはこのままにしておくことはできないということで、早速係官を呼び寄せましてこれらの事實を聽いてみましたところが、係官も私と同じように新聞を見て實は驚いたところだ、それならば早速ひとつ實地の調査をして、そしてもし委員諸君からお尋ねがあれば格別、お尋ねがなくても厚生大臣として國會にその眞相を報告をする必要がある。すぐにそれでは調査員を派遣しようということで、人選をいたしまして、今朝關係局の課長二名を特に選んで、病院方面の關係課長と、法規の方の關係課長の二名を今朝現地に派遣をいたしました。しかもその派遣をいたしまするにあたりましては、今武藤委員の御質問になりましたような事柄を特に私はその兩課長に命じまして、これこれの點を調べてこい、ただしこれは病院について調べるだけではいけない、患者について調べろ、病院と患者とその以外に地方の人々についても詳細に調べろ、公平無私の立場において調べてきなさい。そうして調べてきたことは口頭での報告はもちろんであるが、一應書面にしたためてすぐに出せ、こういうことを命じまして、本日の正十二時何分かに上野を出發いたしました。土曜日までに調査を完了してこちらに歸るということでありますが、私はよほど愼重に調査しなければならぬから何も土曜に限らない。日曜、月曜日までおつて徹底的に調べて歸れということを命じております。これらの調査の結果はここ數日の後に判明いたしますから、そのときに詳細にその調査の結果をありのままに御報告申し上げたいのであります。それまでしばらく御猶豫を願います。それから今あなたの御要求になりましたこれらの特別調査のことはこれはもつともな調査であります。これを一つ明らかにしなければ、ただ目前に横つておる現實だけの調査では徹底的の調査とは言えませんから、これらの點ももちろん取調の上詳細に報告をいたすことにいたします。それと同時に前者の轍の覆えるのを見て後者の戒めとなすというようなことわざのごとく、ひとりこれが草津の療養所に限るとは言えない。全國にもしこういうことがあれば相すまぬことであるという意味において、あなたの御請求になりました他の癩療養所に關する點も同様に取調べさせまして、そうしてこれを報告いたすということにいたしますから、しばらくの間御猶豫をお願いいたします。調べました結果によりましては、さらにあなた方の御意見も承らなければならないし、また私の意のあるところを明らかにして、そうしてかくのごときことを將來絶滅せしむるとともに、今までのやつた責任についても明らかにしなければならぬ。かように考えております。さよう御了承を願いたいのであります。
#6
○野本委員 私は樂泉園の内情につきましては一應の事柄は承知しておりまして、ただいま武藤委員から詳細にわたりまして質問がありましたので、私の質問すべき事項はこれで盡きておりますが、今大臣がお答えになりましたように、この種の療養所は一般社會と遮斷されております。從つていろいろ内部の事情等がわかりかねる向きが多いと思うのであります。今お話になりましたように、單に樂泉園のみでなしに、全國の療養所の實情につきましては、ぜひ詳細にお調べ願いたいと思います。
 以上希望を申し上げて終ります。
#7
○一松國務大臣 ただいまの御希望よく了承いたしました。その通りに取計らいます。
#8
○小野委員長 この際お諮りいたしたいと思いますが、先般できました小委員會の委員で辭任を申出られた方があります。すなわち醫療制度に關する小委員會で有田二郎君、野本品吉君が辭任されました。それから社會保險に關する小委員會で中原健次君と小笠原八十美君が辭任されました。醫療資材小委員會で河野金昇君が辭任されました。つきましてはそのあとを補充いたしたいと思いますが、委員長において指名いたすのに御異議ありませんか。
#9
○小野委員長 御異議なしと認めまして指名いたします。醫療制度小委員には小笠原八十美君、河野金昇君。社會保險に關する小委員には太田典禮君、柳原亨君。醫療資材小委員に野本品吉君。以上御指名申し上げます。なお小委員會におかれましてはそれぞれ會合を開かれて小委員長互選あらんことを望みます。
#10
○飯村委員 小委員長は委員長において指名決定あらんことを望みます。
#11
○小野委員長 ただいま飯村君から小委員長は委員長において指名するようにという動議がございました。動議のごとく決するに御異議ありませんか。
#12
○小野委員長 それでは御指名いたします。醫療制度に關する小委員會の小委員長河野金昇君、醫療資材に關する小委員會の小委員長有田二郎君、社會保險に關する小委員會の小委員長山崎道子君、婦人及び兒童に關する小委員會の小委員長武田キヨ君、以上の通り御指名申し上げます。
 なおもう一遍お諮りいたしたいのでございますが、厚生委員會の專門調査員につきましては、私の不敏のために今日まで人を得ることを得ませんで、はなはだ御迷惑をかけておつたのでありますが、實は私としましては専門調査員は相當に重大な役割を演じなければならぬので、この際立派ないい人を得たいというところから、特に愼重を期したのであります。ここに一人候補者が出ましたので、さいわいに委員各位の御承認を得るならば任用いたすことにいたしたいと思います。名前を申し上げますと、川井章知君という方であります。原籍は東京都板橋區でございます。生年月日は明治三十五年八月十六日ですから四十六歳に相なるわけでございます。大體の經歴を申し上げますと、東京府立第四中學、第一高等學校を經まして大正十四年に東京帝國大學法學部法律學科を卒業しております。官途につきまして茨城縣局を振出しに主として地方官を勤められておりますが、この間には歐米各國に出張もいたしております。いろいろ地方官吏として歴任しました後に、最後は靜岡縣知事でありまして、本年の三月八日に靜岡縣知事に就任しました。知事公選と同時に退任いたして今日に及んでいる人でございます。私は専門調査員につきましては、委員長が推薦いたすのでございますけれども、委員長と特別なる私的關係があることは好ましくないと思いまして、各方面より廣く人材を求めておりました。この方は私と特に個人的の關係があることはございません。この方を私より推薦いたしまして任用することに御異議ありませんか。
#13
○小野委員長 では御異議なしと認めまして川井君を専門昭査員に任用することの手續をとることにいたします。
#14
○飯村委員 厚生大臣にお伺いしたいのですが、先般の委員會におきまして恩給局長は、傷痍軍人に對する恩給竝に賜金の算定基準を改訂増加することはできないと言明せられたのでありますが、その根據はどういうふうなところにあるのか、私らには了解できないのであります。傷痍軍人の待遇は一般勞働者の最低限度において容認せられている。しかるに一般勞働者の最低限度は相當大幅に値上げをされているにかかわらず、傷痍軍人だけは今度なお八十圓、大將において五百圓ということの限界にあるというのは、いかがかと思われるのであります。殊にその階級等差でなくて、給與等差であるという八十圓、五百圓の間における兵の八十圓には、なお相當に考えなければならない點があるのではないか。兵隊が八十圓であるという基準は、少くとも兵隊の與えられている毎月の給與というものは、一般の職業軍人と違つた意味の給與があるのでありまして、これに對しては相當に考慮してやらなければならないと思うのであります。その點につきまして厚生大臣の御囘答をお願いいたします。
#15
○一松國務大臣 恩給の問題は、これは厚生大臣の所管に屬しませんので、特に恩給を他のものより云々というようなことについて私は容喙權をもたないのであります。しかし國務大臣という立場からいたしますれば、それらの點に對しましてももちろん關心をもたなければならぬと思いますから、恩給の方の關係者とよく打合せました上で、誤りのない意見を申し上げることが便利であると思います。ただここに一言附加しておきますことは、特に白衣に勇士とかあるいは傷痍軍人ということのために特別の待遇をすることはできない。國民は平等でなければならぬというような憲法の法規に則りまして、關係方面の御指示もありまして、特に傷痍軍人なるがゆえに特別の保護をすることはできないことになつているということだけは、これは間違いない。その以外のことにつきましては、よく調査の上でお答えをする方が、正しい行き方だと思いますから、さよう御了承を願いたいのであります。
#16
○小野委員長 なお飯林君に申し上げますけれども、實はその問題は直接關連の問題ではなかつたようでございますけれども、先般恩給局長が特に私に會いたいということで會つたのでございます。そのときの要件は、この委員會にこの會期内に恩給關係の法律が二つ提案される豫定になつておりますので、その際この前の委員會で意見が出た等の問題についても話合つたのでございますが、恩給當局でも目下關係方面と折衝中である事項もあるようでございます。いずれ恩給關係の法律案が上程されました場合、また恩給關係に關す請願、陳情書を議題に供します際に、飯村君のお述べになりました問題は非常に大切な問題でございますので、本委員會としても十分これを檢討いたしたいと思いますから、そのときに十分御發言願いたいと思います。本日は、これをもつて散會いたします。
    午後二時三十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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