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1947/10/02 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第19号
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1947/10/02 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第19号

#1
第001回国会 厚生委員会 第19号
昭和二十二年十月二日(木曜日)
    午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 武田 キヨ君 理事 大瀧亀代司君
      太田 典禮君    福田 昌子君
      師岡 榮一君    園田  直君
      中嶋 勝一君   小笠原八十美君
      小暮藤三郎君    村上 清治君
      野本 品吉君    齋藤  晃君
      寺崎  覺君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        厚生事務官   米澤 常道君
    ―――――――――――――
九月三十日
 恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出)(
 第六六號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 兒童福祉法案(内閣提出)(第三三號)
 水害地對策に關する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 會議を開きます。
 兒童福祉法案を議題といたして審査を續けます。山崎道子さん。
#3
○山崎(道)委員 從來弱きものとして十分保護されなければならないものが、何ら顧みられない形でありましたが、今囘兒童福祉法案というようなものが上程されまして、子供の福祉を増進するというこの法案には、私は滿腔の贊意を表すものでありますが、しかしこの法案を通覧いたしますると、非常に弱い面が考えられまして、兒童福祉法案といいながら、この法律はどうも施設法というような感じがするのでありますが、政府では今轉落しつつある子供、一般の子供を温かく包容して、その福祉を増進していかれるお考えであるのか、轉落した特殊な子供を保護するために立案された法律であるか、この點をお伺いしたいのであります。
#4
○米澤政府委員 山崎委員の御質問にお答えいたします。この法案は非常に弱い感じがして、施設法の感じがするというお話でありましたが、實は施設につきまして、別の章を設けて決定しているのはごらんの通りであります。しかし決して施設のみに重點をおいたのではないのでありまして、あるいは總則、福祉の措置に關する第二章の規定等におきまして、われわれもこれが施設法に陷らないようにということを相當考えて立案いたしたつもりであります。實際轉落いたしました子供に重點をおくか、この豫防ということに重點をおくとかいうお話でありますが、これはもちろん現在の情勢からいろいろ考えまして、兩方とも相關連する大きな問題であるのであります。もちろん終戰後に現われました問題として、子供それ自體の保護、教護ということも大きな問題であるのでありまして、これにつきましても力をいたすのでありますけれども、さらにそれらの豫防につきましては、今までこういつた機構の整備がなかつたのでありまして、兒童相談所あるいは兒童委員、さらに地方の福祉委員會、こういつたものの働きに非常な期待をもつておるのでありますが、これが實際の運動とそれぞれの使命に應じて活動することができますれば、ただいま御指摘のような豫防という方面に、相當大きな效果を期待することができると考えておるのであります。
#5
○山崎(道)委員 現在轉落したものと兩方へ重きをおいているというお話でありますが、昨年生活保護法を審議いたしましたときは、不良兒など戰災孤兒が五割五分くらいでございましたのが、今日では家出孤兒――兩親がありながら家出する孤兒が七割を占めているというような實情でございますので、一般の兒童をまず保護しなければならぬ。轉落した者に重點をおくがごとき感のあるこの法律では、この點際限がないことになるし、ほんとうの子供の幸福を保護していくという、この兒童福祉法の法律の名前に即さないと思うのでありまして、ぜひ一般の兒童の問題にも重點をおいていただかなければならぬと考えます。
 もう一つは、母を離れて子供の福祉はあり得ないと思うのであります。ほんとうに私が心から祈りたいような氣持で要求したいことは、母子保護法案ということにして、母と子を合わせ保護する、母子の福祉を護る法律にしたい、かように考えておりますが、母に對するお考えはどういうふうに考えておられますか。
#6
○米澤政府委員 一般の兒童を大きな對象として取扱つていくようにという御意見でありますが、これは全然御同感でありまして、すでに轉落した子供のみならず、一般の兒童を對象といたしまして、この法律の運營にあたつては、暗い面のみを取上げるというのではなくして、積極的な面、すなわち保健指導、健康診察とか、あるいは施設の點におきましても、保育所でありますとか、その他の厚生施設でありますとか、こういう方面と一連の關係をもちまして、一般の兒童に對しても積極的に働きかけていきたいと考えているのであります。さらに母の問題を御指摘になつたのでありますが、母を離れて子供の福祉がないというお言葉はまつたくお説の通りだと思うのでありまして、もちろん兒童の問題はすべて母性と特に關係をもつております。たとえば妊産婦の保健指導の問題にいたしましても、これは當然母の問題を考えての話であります、またいろいろな施設のことを考えましても、保育所あるいは助産施設、乳兒院、さらにその他の施設においても、これはすべて母と關連しての施設であるのでありまして、兒童の福祉増進、それが間接に母性の問題と非常な關係をもつておりまして、いろいろな兒童に對する施設が、間接的に母性の保護ということになるものと考えているのであります。ただこの法案といたしましては、その名前に母性の字を出してはおりませんけれども、單に婦人の保護という問題は別論として、母性の問題についてはできるだけ取上げてまいつているつもりであります。
#7
○山崎(道)委員 母性の問題を十分取上げているというお話は了承しがたいのでありますが、いずれ逐次條文的にお伺いしてまいることにいたしまして、しからばこの法案に對してどのくらいの豫算をもつて臨まれているか、それを最初にお尋ねいたします。
#8
○米澤政府委員 この法案は本年度においては一部の施行しかできないと考えております。たとえば施設等の問題にいたしましても、この法律によつて設定されます福祉委員會において最低基準を定めまして、それによつてあるいはいろいろな經費を算定してようという建前をとつております。なお年度の途中でありました關係上、大體におきまして法律全體の全面的に動きますのは二十三年度からであると考えているのであります。從いまして本年度においては、保護の機關、または機構と申しますか、あるいは兒童相談所を中心とした委員會あるいは兒童委員、こういう方面に關する豫算のみを計上いたしているのでありまして、その費用は約四千三百萬圓を近く追加豫算として提出する豫定にいたしているのであります。
#9
○小野委員長 ちよつと政府委員にお尋ねしておきますが、この施行の期日の問題について、あるいはお聞き及びかもしれませんが、今後法律案の施行期日は政令に讓ることなしに、法律できめなければならぬような情勢に立至つておるのであります。從つてこの附則で見ますと、「この法律施行の期日は、各規定につき、政令でこれを定める。」ということになつておりますが、各規定について法律でこの規定は何月何日からというふうにきめなければならぬことになるだろうと思います。つきましては各規定の施行の豫定期日がおわかりであつたら、この際政府の考えをお示し願いたいと思います。
#10
○米澤政府委員 この附則を審議いたしました當時には、施行期日を政令で定めるというふうな話でありましたので、こういう規定をいたしておるのでありますが、これは各規定に基き定めるというのは、一部施行の意味をもちまして書いたのであります。先ほどお話申し上げましたように、大體兒童相談所、兒童福祉委員會、兒童委員の主として第一章第二章關係の規定の法律を本年度において施行いたしたいという考えをもつておるのでありまして、各施設に對しまする最低基準に基く一連の關係の規定は、これは新年度からというふうに考えておるのであります。各條文につきまして正確なるものは法制局とも今相談いたしておりますから、いずれお知せいたしたいと思います。
#11
○山崎(道)委員 四千三百萬圓という豫算を聽きましていささかがつかりいたしました。たとえ年度の途中であろうとも、これだけの豫算で現在の日本の實情において何かできるだろうということを考えますると、非常にさびしい感じがいたします。第七條に「この法律で、兒童福祉施設とは云々」ということがございます。先日野本委員からも御質問いたしたのでありますが、母子寮という文字を拔かれております。母子寮は生活保護法の施設に讓るというようなお話だつたかと記憶いたしますが、私はこれは不滿足でありまして、先ほど局長がおつしやいましたように、母と子供を離して兒童の福祉はあり得ないという言葉に同感だというお答えでありながら、なぜこの施設から母子寮を拔かなければならなかつたのか、その點をもつとつつこんで率直な局長の御意見が承りたいと思います。
#12
○米澤政府委員 豫算の四千三百萬圓のお話でありますが、この法律全體といたしましては、現在生活保護法からいろいろな兒童の給與施設に出ております三千萬圓程度のものを入れまして、七千萬圓ちよつとの豫算に實際はなるのであります。それから第七條に關連いたしまして、母子寮の施設をどうしてこの法律に取上げないかという御意見でありますが、母子寮の問題につきましても十分研究いたしたのであります。御承知のように、昨年生活保護法ができましたときに、母子保護法が廢止されまして、母子寮は生活保護法の保護施設というふうに相なつております。現在の實際の母子寮をいろいろ當つて研究してみたのでありますが、母子寮は母に對する住宅の供給というしきたりが少くとも現在においては非常に濃厚でありまして、ほとんど住宅の供給というふうな施設に近いのではないかというふうに考えておるのであります。もちろんこの母子寮のほんとうの有様というものは、そういうことではいけないということは當然考えられるのでありますけれども、現在の實情からいたしまして、生活の保護という點が非常に強く感せられますので、一應現行通りこの生活保護法の保護施設というふうに扱つていくことに考えた次第なのであります。
#13
○山崎(道)委員 現在戰災者にいたしましても、引揚者にいたしましても、非常に子を抱えた寡婦が多いのであります。それからそれに加えまして戰爭の未亡人、これらのことを考えまするとき、私は生活保護法の適用を受けるまでに轉落しなければ救うことができないというようなことは大きな間違いであると思います。家さえあればどうやらやつていける。家がないためにどれだけ多くの母が子を抱えて苦勞しておるか。そしてまた子供が家の環境からどれだけ不良化していつておるかということを考えまするとき、私はどうしても子を抱えた母たちに家の心配をしてやることは、最も急務中の急務であると思います。落ちてから救う費用を、落ちない前になぜ手を差し伸べることができないのでしようか。それと同時に、子を抱えた母の生活は一般の生活とはまた特殊なものがあるのでございます。でございますからそうした同じ環境にあたる者たちが一定の所でお互いに勵まし合いお互いに力になり合つて生きていくということは、非常に大切なことであると考えておりますので、生活保護法の施設だけに任せておくというようなことには絶對に反對でございます。それと同時に、現在あります母子寮の状態でございますが、それならば母子寮は生活保護法の施設だけで十分であるかというと、斷じて十分じやございません。今靜岡縣の辨天島の同胞寮には、定員は、四百八十名でございますけれども、申込みは二千人もある。しかたがないから一番困つた人たちから拾い上げて入れていこうというような方法をとつて、今どれから入れていいか惱んでいるというようなことを聞いております。それから戸山ヶ原に戸山寮という母子寮がございます。戰爭前からあつた母子寮でございますが、この母子寮から、戰爭中子を抱えた母たちが強制疎開をさせられた。そして歸つてきたときには附近の戰災者たちがはいつてしまつて、氣の毒な母たちははいれない。いろいろ折衝いたしまして、結局五世帶だけ入れてもらうことに二年かかつて話がついたのでございますけれども、まだ五世帶がはいつておりません。しかも私ははなはだ了解に苦しむ點は、これは同胞援護會で經營しているにもかかわらず、厚生省のお役人がこの戸山寮に住んでおいでになります。これもそれは戰災者でいられますので、まことにやむを得ないことであると言えばいたし方もないかもわかりませんが、保護される機會のほんとうにない未亡人たちのためにせつかくできている母子寮が、住宅がないということで便宜そういうふうに使用されるということは非常に困ると思います。すべて弱い者が少しも保護されない、力のある人の前には屈服しなければならないというようなやり方に對して、私は滿腔の怒りを抱いているものであります。
 それから立川に萬世寮というのがございますけれども、ここのごときは、戰爭中からございました貯水槽に、子供が危いからさくをしてほしいということを先般來要求しておりましたが、それすら豫算がないということで、少しもやつていただけないでいるうちに、先日かわいそうに幼い子供の命を二人失うております。こういうふうに、何でも今の保護施設に入れてさえやればいいんだというような考え方が非常に間違つていると思うことが一つ。それから自分たちが困れば、弱い者はいつも後囘しになるというような考え方、こうした考え方も私は十分この際當局者は反省していただきたい。ほんとうにこんな法律をこしらえて、いくら子供を保護しようといたしましても、今のようなやり方ではだめだろうと思います。それで私は子供を抱えた母のために、安心して子供を保育してゆくことのできる母と子の施設が欲しいということを強く要求するものでございますが、それに對しましてどういうふうにお考えになりますか。これは生活保護法で、葛西さんの分であなたにわからないかもしれませんが、今の母子寮のやり方で足りておるとお考えになりますか、もう一歩進んだ母子寮をこしらえてくださるというお考えは全然ないのでございますか、その點を伺わせていただきます。
#14
○米澤政府委員 母子寮につきまして、ただいまお話になりましたように、子を抱えた母性の單に生活に保護という問題ではなしに、あるいは精神的な面、その他におきます單なる住宅の提供というだけではない、相當の程度の高い母子寮というものに對しまして、われわれとしてもぜひそういつたものがたくさんできまして、か弱い寡婦その他が安住できるということにつきましては、山崎さんとまつたく同感でありまして、そういう施設のできますことを非常に期待しているのでありますけれども、ただそういうふうな施設ということになりますと、政府において現在のいろいろな財政状態、さらにまた現在政府がいろいろな助成を出しております大體の標準と申しますか、そういうものとにらみ合わせまして、そういうふうな施設について法律上の助成その他するということは、非常に現在では困難な状態だろうと考えます。もちろん法律的にそういう助成を規定しなくても、施設ができますことにつきまして、われわれとしましてはできるだけの努力をいたすベきでありますので、その實現を期待いたしているのであります。實際の母子寮はやはり現在のいろいろな救濟その他の關係から考えますと、その母の生活を補助するというふうな建前をとらざるを得ないかつこうにありますために、生活保護施設ということにいたしておるのであります。それ以上の、單なる母の生活、これを離れてのいわゆる母子のある程度の標準の高い施設というものは、まつたく山崎委員のおつしやる通り、われわれとしても非常な期待をいたしているのでありますが、これにつきましては、現在の助成の基準等から考えまして、少し無理な點がありますので、これは本法でできなかつたのであります。なお同胞援護會の戸山寮、立川の萬世寮の問題につきまいては、御指摘のようなことがありましては、まことに遺憾なことであると思いますが、同胞援護會とも十分連絡をいたしまして、あらためてまたお答えを申し上げたいと思います。
#15
○山崎(道)委員 それではお伺いいたしますが、落ちなければ救えない。そうしてそれに要する費用が相當過大になるのでございますが、その邊はよくお考えになつていただきたい。子を抱えた母の生活というものの實態調査というようなものができているのでございましようか。
#16
○米澤政府委員 生活困窮者全般につきまして、ただいま調査をいたしているのでありますが、しかし決して轉落した者だけでいいということは考えておりません。轉落までのいろいろな指導その他につきましては、法律によらないものでもいろいろな行政指導その他によりまして、できるだけ轉落一歩手前に止めさせるということが、最も肝要なことだと思つているのであります。
#17
○山崎(道)委員 私が申し上げますのは、要保護者の數でなくして、子を抱えて父親がない者、未亡人はただ未亡人として生きていくだけでなくて、子供の生活を擔當していくという大きな任務をもつているのでありますから、この母の數、子を抱えて生活と闘つている未亡人の數というようなものの實態調査ができておりますが、これをお伺いしたい。
#18
○米澤政府委員 最近特に調べたものはありません。ただ大體のわれわれの標準といたしましては、約百萬近い數字を考えているのであります。
#19
○山崎(道)委員 私聞くところによりますと、最近未亡人調査というものをされたそうでございますけれども、そのときの調べの様子をあちらこちらで聞いてみますと、未亡人の數の要保護者の數だけを調べて、その未亡人が抱えている子供の状態、子供の數というようなものには何ら觸れておらないのであります。こういうところに母と子を離して考えがちな點が現われていると考えるのであります。ですから未亡人の調査をされるときに、抱えている子供がどのくらいある、その生活状態はどうである、その子供ははたして完全に養育されているだろうか、どうかという點まで調査された方が理想的だと思います。また調査されなければならないものである。かように考えております。私はこの點をくどくど申し上げるようでございますけれども、實はこのごろパンパン・ガールと言われる中には、未亡人あるいは未復員家族というようなものがどんどん轉落している傾向があるのでございますから、私はこの點を特に憂えている。そうしてまたこれは確實な話で、非常に心を惱ましているのでございますけれども、生活保護法を昨年審議いたしますときには、私はずいぶんくどいくらい政府に質した。決してこれは恩惠的なものではない、國家に責任において保護するものである。ただ敗戰の現状として戰爭犠牲者を特別に保護するということはできないから、一律平等に國家で保護するのである。何ら差別的なものではないし、恩惠的なものでないということをしばしば言明されたのでございまするけれども、今の生活保護法の適用の状態を見ますと、全然政府の意圖と、末端に行けば相違しているのであります。川越市の人から昨日私は泣いて訴えられたのでございますが、夫はソ連に留置されてまだ歸られません。しかもこの人は親子四人で滿洲から引揚げてきて何ももつていない。それで生活保護法の適用を受けているのでありまして、先日生業資金を五千圓借りまして、いわゆる三文商いを初めたところが、非常に冷たく民政課で扱われますので、しばしば子供を抱えて死のうかと思つたけれども、死ぬわけにはいかないから、何んとして毎日、毎月のように賣食いをして食べている。これが一箇月親子四人で四百八十圓しかもらえない。私ども了解に苦しんでおりますが、これだけならばがまんもできますけれども、五千圓の生業資金を借りて、六箇月目に六百圓を納入しろといつて迫まられてきた。毎月四千圓、五千圓の金であめを仕入れてまいりましても、ほんとうに今の状態ではわずかのものをやつとひつくり返しやつておるのに、わずか六月箇月で六百圓の返金はできないと言つて泣いて頼んだけれども、ほかの人が返しておるに君が返せないはずはないだらう。どうしても返せということでやむを得ずこの人は配給になりました長くつ、それからシヤツなどを賣つて六百圓納めた。こういうふうな状態でございます。まだこの人は三十二でございます。いつそ特殊婦人に落るより途がない。特殊婦人にまで落ちても子供を育てなければならないであろうか、それともこの子供たちと一緒に死んだ方がいいだろうか。そういうようななまなましい訴えを私は昨日聽いております。これなどは私は川越の方に直ぐ調査をしてもらうように手配をしましたけれども、下部へ參いりますとこういうふうでございますから、私はこういう母とか子供の特殊な法律でなく、もつと大臣の言われるような精神が下部、末端まで浸透するような法律でなければならない。かようなことを特に私はこの際主張するものでございます。ちようど大臣がおいでになりましたのでお聽きしたいのでございますが、生業資金は私が生活保護法を審議するときには、どうしても拂えない者は拂える時期が來たときに拂つてよろしい。それでもなお拂えないときには、これに對しては方法があるというようなことに、私は理解して審議したのでございますけれども、事實はこういうことがなされておる。これに對して大臣はどういうふうにお考えでございましようか。
#20
○一松國務大臣 今のお話の生活保護法の規定によつて、生業資金を一人五千圓だけ貸してやる。それまで六箇月經つて六百圓返せということは無理な請求だ。それはいわゆる民生委員が不心得なのです。できないものに返せなどということは、何とかに何を出せというようなことと同じことで、不能を人に責める。それは民生委員の心得がよくない。そういう民生委員があるから全國の民生部長を集めて、そういうような非常識な取扱いをしないようにということを、私は二日間にわたつて訓示して、末端にそのことを浸透するようにはからわせたのであります。今の川越民生委員がそういう態度をとつたということは、これは不都合千萬であります。あなたが今人を調査に派遣したということでありますから、調査の結果をひとつまた次に御報告をくださいますれば、適當に私の方で處置いたす。かように考えております。
 それから先刻あなたのおつしやつた全國におけいわゆる未亡人の數がどのくらいあるかということは、今児童局長が御説明いたしましたように、正確な數の調査はできておりませんが、とりあえず今百萬という見當をつけております。そうするとその調査ができないために、一面にはその子供の調査もしていないということになつてくると、生活保護法の目的が十分に達成しないじやないかという御非難のようでありましたが、それはあなたも御存じの通り、生活保護法は保護せられる者とそれからほかに何人家族だという、いつも頭數を標準にして、その金額を定めておるのでございますから、いわゆる未亡人の擁しておる兒童の數まで調査しなければ、生活保護法の運用は無理ではないかということは少しく違うようでありますが、しかしそうではなく、自分の連れておる子供、その他の人間の數に應じて生活保護資金を給與いたしておるのでありますから、その點は私の聽き違いであつたかもしらぬが、その點についての御心配は要るまいと思う。ただ今日の生活保護法の金額では、生活の保護はできないのではないかということは同感であります。でありますからその點につきましては、今追加豫算をもつて請求しておいて、それらのことも大いに増額をして、それらの人がゆたかに暮しをするということまでの保護はできぬにしても、最低生活だけはできるようにしてやりたい。こう考えておるのが私の氣持であり、豫算を請求しておる理由でありますから、その點は惡しからず御了承を願いたいのであります。
#21
○山崎(道)委員 今私の質問の途中から大臣はおいでになつたので、ちよつと御理解が違つておる點があるのでございますが、私はつまり生活保護法までに轉落しなければ救つてもらえないというのでなく、少くともこの兒童福祉法案は一般の兒童を保護する法案である。かように理解しておりますので、母を離れて子供の福祉はあり得ないので、ぜひこの法案の中へ母を保護する點を含めてもらいたいという質問の今過程でございます。そうして母子寮というのを施設の中から除かれておりますので、それを私はぜひ入れてほしいというようなことから連關してきた質問でございまして、それならば未亡人の調査をするときに、要保護者だけではなく、一般の未亡人の連れておる子供も調査をなされれば、兒童福祉が護れるのではないかというような點で、生活保護法とは違つておるのであります。
 それから今の大臣の御答辯の中にもございましたように生活保護法はただ生活に困るから與えるということでは、今の状態では、いくらやつても追つつかないのであります。だからぜひ生業資金を活用させて、働きながら生きていくというような方向へ指導をもつていつてほしい、こう思つておる。ところが今の生業資金のようなことがあると、これがためになつてまいりますので、非常にこの點を重視して今調査しておるわけであります。
 それからこの施設の中に兒童の厚生施設というようなのがございますが、これはどういうふうなことを豫定しておいでになりますか。
#22
○米澤政府委員 大體この厚生施設といたしましては、兒童の遊園でありますとか、あるいは兒童會館、クラブ、こういうものを考えておるのであります。現在遊び場所もない。そういう子供の遊び場所あるいはまた健全な娯樂を與えるということが、先ほどからお話になりましたような、子供の顛落しない前における大事な點であるのでありまして、こういうふうな福祉施設といたしまして兒童會館あるいは兒童遊園、こういうようなものを考えておるのであります。
#23
○山崎(道)委員 次に第二節の兒童福祉委員會でございますが、その構成はいかなる方法によられるのでありましようか。これを見ますと、「中央兒童福祉委員會は、厚生大臣の地方兒童福祉委員會は、都道府縣知事の管理に屬する。」ということになつておりますが、この選任の方法等はどういうふうになつておりますか。それをお伺いいたします。
#24
○米澤政府委員 この委員會の構成の方法につきましては、これは大體中央の方は四十名程度、地方は二十名程度の委員をもつて構成するというように考えておるのでありますが、それの推薦の方法につきましては、できるだけ民主的な方法をとつていく考えであります。しかしながらこれをいろいろな委員會にもありますように、選擧とかいうふうな方法でやることは、人數の關係もありますので避けまして、できるだけ各方面の意向を聽いて、兒童に關するいろいろ御經驗の深い方、あるいは實際施設に關係しておいでになる方でありますとか、そのほかまた一般のあるいは政府方面の方とか、あるいは言論關係、こういつた廣い方面からもぜひ出ていただきたい、こういうふうに考えておるのでありますが、大體の選任方法は、現在いろいろな委員會でとられておりますような方法によらざるを得ないだろうと考えております。
#25
○山崎(道)委員 とかくこういう法律は官僚的に流れやすいのでございますから、その點十分注意していただきたいと思います。時間が大分なくなりましたから少し急ぎまして、第三節の兒童委員の條項でございますが、兒童委員の權限とか、待遇、豫算、人員というようなものをお聽かせ願いたいと思います。
#26
○米澤政府委員 兒童委員の權限と申しますか、これは十一條の第二項に書いておりますように、「妊産婦の保護、保健その他福祉に關する事項について、相談に應じ、必要な注意を與える」これが兒童委員の全使命であるのでありまして、この兒童委員の待遇につきましては、その四項に「事務吏員又は技術吏員を以て、これに充てる。」というのがあるのでありまして、兒童委員の中でも、有給委員は吏員の資格をもつのであります。しかしながらさきほど申しましたように、こういう兒童委員に對しましては特別な使命がありまして、今までの普通の官公吏とは多少違つてまいります。これは主として役所の中において事務をとるというようなものでは全然ございませんで、できるだけ街頭に出てこういう仕事をしていただきたいと考えておるのであります。從つてその身分はもちろん吏員あるいは技術吏員、地方自治法にありますこの吏員の待遇を受けるのでありますが、そのほかにこういうふうな特別な使命がありますので、この使命を十分果し得るような方々を選任していただきたいと考えるのであります。本年度におきましては大體三百七十三人を豫算にお願いいたしておるのでありまして、二級官相當の吏員であります。一人の年額が約一萬六千圓あまりになると考えております。人口五萬について一人くらいというふうな計算をいたしておりますが、これは今後活動状況等も見まして、できるだけ手の届くようにもう少し殖やしていきたいと考えておるのであります。
山崎(道)委員 次に「前條第四項に規定する場合を除くの外、民生委員令による民生委員は、兒童委員に充てられたものとする。」という條件があるのでございますが、現在の民生委員ですら完全な仕事ができておりません。そうして非常に遺憾である。何とかこの民生委員をかえてほしいとさえ私たちは考えておりまするときに、今でさえまじめにやろうとすればとうていやり得ないくらいな民生委員が仕事をもつておりまするのに、これにまた兒童委員を充てられまして、はたして完全な使命が達せられるとお考えでございましようか。それからこちらの方の兒童委員は有給であり、民生委員は名譽職というようなことで、この間の摩擦その他というようなことはないものでございましようか。その點をどのようにお考えになつておりますか。
#27
○米澤政府委員 現在の民生委員が非常に仕事が多い上に、さらに兒童委員の仕事までもされることにつきましては、十分手が届くかどうかということについて、非常に苦勞をされることと考えるのでありますが、この民生委員の使命が、兒童問題を取扱われる上にやはり最も適當であろうと考えておるのであります。兒童の問題といいましても、やはりその最も根源であります家庭あるいは生活の實態の請査、こういう問題が十分のみこめなくては十分なる處置もできませんので、民生委員の方々にお願いをする方が、最も適當だと考えておるのであります。しかし現在の民生委員の選任その他に關しては、むしろ兒童委員に非常に、摘當な方であるにもかかわらず、民生委員の方面のいろいろな定員その他の關係で、出てこられないという方が相當あるではないかと考えております。從いまして民生委員の中に兒童委員に適當な方々がどんどん出られますように、これは今後民生委員の選任の際において、十分そういうふうな措置をとるように研究していきたいと考えておるのであります。
 それから兒童委員は有給で民生委員が名譽職というお話がありましたが、これは兒童委員全部が有給ではありませんで、兒童委員はこの民生委員としては全部無給で、名譽職であるのであります。ただ先ほどもお話のように、民生委員の仕事が非常に多いのに、さらに兒童委員も兼ねるということになりますと、非常に無理がありますために、そのほかに有給の兒童委員というものを多少おきまして、これが名譽職である兒童委員、すなわち民生委員と十分連絡をとつて仕事をやつてもらう。こういうふうな構想になつておるのであります。
#28
○山崎(道)委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、現在の民生委員は優秀な人はずいぶんよくやつていただいております。その點感謝しておりますが、大多數におきまして非常に違憾な點が多いのであります。私はしばしば局長にも申してきたのでありますけれども、何とかこの際この兒童委員を併せ行うということになりますならば、よけい民生委員の選任、教育等に關して、よほどこの際思い切つた方法をとつていただかなければ、とうていこの重責は全うできないと思つております。それともう一つは婦人が非常に民生委員の中に少いのであります。全體を通じまして一割ぐらいではないかと思いますが。子供の問題を特に温かい母心をもつて指導し、いたわつてまいりまするには、どうしても婦人を相當數殖やしていただかなければならない。かように考えておりますが、これに對しまして大臣はどのようにお考えになつておりますか。
#29
○一松國務大臣 あなたの今お尋ねの民生委員というものの職責の重大であることは御指摘の通りでありますが、この民生委員のうちでまだ民生委員たるほんとうの職務を徹底的に自分が咀嚼していない者があり、それがためにこれが不摘任だと思うような民生委員があるというようなことをときどき私も耳にするのであります。そういうような者は當然特別の事由のある者としてその任期中でありましても、これを解任することができるからもちろん解任いたします。しかしながら民生委員の選任は、御承知のごとく、民生委員の推薦委員會というものが、その地方々々における、この人ならばほんとうに社會の福祉を増進するために、仁愛の精神をもつて保護誘掖の任務に從事することができるという者を、推薦するのが原則でありまするから、どつちかというと、原則としてはりつぱな人ばかりで、たまたま例外に今あなたのおつしやるような人がある。そういうものは厚生大臣としてこれを自然解任することかできるから解任をいたします。ですからこういう人間はこういうことがあつて、民生委員には不適任だというような具體的な事實をお示しくだされば、ただちに調査の上、これを解任するということをお約束いたします。民生委員の中に婦人がどうも少いのではないかということもありますが、それはなるほど少いと私も思う。ですからなるたけ婦人の方にもそういう適任者はあるのだから、そういう方面からも推薦をするようにということを、民生委員推薦委員會に示唆をいたしまして、そうしてあなたのおつしやるような目的を達成することのできるように考慮いたしましよう。
#30
○山崎(道)委員 大臣のお言葉でございますが、適當な人が多くて、不適當な人が少いならいいのでございますけれども、なかなかそうではない。民生委員會の實情というものもいろいろお調べ願いたい。かように考えております。不適當な人も私少し調査もできておりますから、これはよく御相談したいと思つております。ほんとうにこの法律を生かすのも殺すのも、結局兒童委員の腕一つだと言つてもいいくらいだと思います。ですからよほどこの兒童委員は注意してお選びを願い。なおこの教育ということにもよほど心していただかなければ、せつかくの法律が死んでしまう。これは私は今から憂慮しております。昨年の生活保護法の例からいきまして、非常に心配しておりますから、この點特にお含みを願います。それから兒童相談所の構想、豫算、鑑別施設等が可能でありますかどうかというような點につきまして、ひとつ安心のいくようなお話を伺いたい。
#31
○米澤政府委員 兒童相談所は、本年度におきましては各府縣に單獨のものを一箇所、更に附設するものを一箇所ずつ設置することに豫算措置を考えておるのであります。各府縣に單獨の相談所が一箇所、そのほかにもう少し規模の小さいもので、縣廳の所在地以外の所の大きな市あたりに、他の施設に附設するというようなものを一箇所、こういうふうに大體考えております。しかしこれは最初の計畫でありまして、今後相當の都市にはどんどんこの相談所が行きわ渡りますように考えていきたいと思つておるのであります。相談所の職員といたしましては、この鑑別員と申しますかか、これはあるいは精神病のお醫者さん、あるいは兒童問題の相當の經驗のある方、あるいはまた心理學方面の專門の方々、こういうふうな方々を鑑別員といたしまして各相談所に四名くらい配置する豫定であります。しかしこれは全國の平均の數字でありまして、實際の豫算の配置等になりますれば、多少大きい所と小さい所によつて違つてくると思いますが、平均といたしましては大體そういうふうな構想で、豫算の總額が約六百萬圓ちよつとになつておるのであるます。
#32
○山崎(道)委員 これはなかなかたいへんなお仕事だと思つております。先日大阪の北市民館を視察してまいりましたけれども、あそこに相當機械がそろつておりましても、わずか部分品が足りないために、これが生かされていないというような例もたくさんございますので、この點早速にこれが活用できるかどうかということを憂えておりますが、この點も兒童の福祉を推進していく上におきましては、最も大切な根本のお仕事でございますから、十分に完備されるように希望しておきます。
 十九条に「都道府縣知事は、妊産婦又は乳兒若くは幼兒の保護者に對して、保健所又は醫師、助産婦若しくは保健婦につき、妊娠、出産又は育兒に關し、保健指導を受けることを勸奬しなければならない。」ということがございますが、この勸奬と申しますことは非常に弱いのでありまして、こんなことではとても保健指導はできないと思います。この點を私は保健指導を受けさせなければならないというふうに改めてほしい。それから續いて「乳兒又は幼兒に對して、施行することができる。というのも非常に弱いのでありまして、ほんとうの妊産婦兒童の福祉をお考えいただきまするならば、もつと積極性をもたした法文に書いていただきたいと思います。この妊産婦に對しまして勸奬ではなくして、せめて血液檢査ぐらいはしていただかなければ意味ないと思います。御承知のように、ほんとうに兒童の福祉を考えまするならば、妊娠中から、むしろその前からの母體を保護しなければならないのでございますが、そんなことを今言つたつてとうていできないことであります。結局しかたがないから妊産婦の保護ということには、よほど重點を置いてやつていただかなけれで困ります。現在二、三箇月で流産する者が非常に多いのでございますが、大體におきまして二百三十三萬の出生に對しまして、二十二萬ぐらいの流産があるというようなことを考えますとき、よほどこの妊産婦の保健指導ということを、強力に推進していただきたいと思うのでございます。この點に對しましてどういうふうにお考えでありますか。
#33
○一松國務大臣 十九條の規定についての御質問でありますが、なるほど勸奬ということがありますると、いかにもなまぬるいように見受けられます。しかしながら妊産婦でありましようと、もしくは乳兒、幼兒の保護者でありまする者は、自分のからだのために安らかに出産をすればよろしいということを念願しない妊産婦はありません。また保護者が自分の子供もしくは自分のちのみ兒をなるたけ健康に育てなければならないということに反對をする者はありません。そういう者に對して、知事がその妊娠していることについて保健指導を受けなさいよ、あなた方は自分の乳兒もしくは幼兒のために保健指導を受けなさいよ、こういうように勸めよというのです。二項では、それらの者は必ず保健指導を受けなければならない。二項と一項とは互いに照應して、それでこの效果が十分に發揮するようにこれは規定してある。今山崎さんのお説のようにすれば、いわゆる強制力を用いるというようなことになりますが、なるたけ強制力を用いないで、目的を達することができれば、その方がよいという意味でありまして、知事の方からは奬勵しなさいよ、受ける方からは必ず受けなければならぬというように、兩方から規定してあることによつて、強制しなくても、あなたの御心配になる目的を達成するように思うのであります。
#34
○山崎(道)委員 大臣の言われまするように、そこまで國民の思想が發達しておれば心配はありません。それは理想といたしましてはそうでなければならないのでございますけれども、現實は生活難、その他によりまして、なかなかそこまで行つておりません。それと同時に、もし檢査を受けまして治療しなければならないというような場合に、それを受ける費用がなかつたら一體どうなるか。また二十二條にも同じようなことがございまして、助産の施設に収容しなければならない。但しその附近にそれらの施設のないものは、その限りにあらずというようなことがありますのを見ますと、非常にこれが弱いように考えるのでありまして、もつと強い法律が欲しいということを要求しておるのであります。
#35
○一松國務大臣 なるほど強い規定を設けることが一番いい。それならば間違いなく指導を受けなければならないことになる。指導をせよということを強制しなければならぬことになると、皆指導を受けることになるのですが、そうすると、そこにいわゆる憲法違反というような問題が起つてくる。だからしてこれならば目的を達するという見込の十分あるものには、皆様いつも御心配をなさつておる憲法違反の疑いのあるような規定はなるべく設けない方がいい。しかしどうしてもこれが必要であるというのであれば、そうしなければならないと思いますが、私の見解としては、ここまでやつておいたならば、これで十分目的を達するであろうと、こう實は私思つておるのであります。しかしあなた方がやはり強制力を用いることがよろしいということで修正なさるのならば贊成もします。しかしそれではかえつておもしろくないという建前であります。
 それから費用のない云々という問題ですが、それは十九條の四項をごらんくださるとわかる。「都道府縣知事は、經濟的理由により、保健指導を受ける費用を負擔することができない妊産婦又は乳兒若しくは幼兒の保護者に對しては、命令の定めるところにより、その費用を代わつて負擔する措置をとらなければならない。」とありますので、こういう費用は十分に拂えるわけでありますから、今のあなたの御心配は、この規定によつて解消しておるものだと私は存じております。
#36
○山崎(道)委員 それでは大臣は、委員會の意向によつては、これを變更するにやぶさかでないというように解釋してよろしゆうございますか。
#37
○一松國務大臣 國會は國家の最高機關でありますから、國會がそういうような御決定をされるのであれば、われわれ公僕たる者は、もちろんその意思に從つてやります。
#38
○山崎(道)委員 わかりました。それから第二十一條に妊産婦手帳のことがあります。これは從來から出ていたのでありますが、これには物の裏づけ、届出をすれば配給があるということで多く使われておりました。妊産婦手帳の届出をしたものの數は相當ございましても、保健指導というものはあまり受けておりません。でありますからこの妊産婦手帳は、そういうものを受けたときもまた同様であると思うのでございますが、これはどうしても二面以上の檢診を受けるようにしたいと思います。ただ物の裏づけだけでは、今度政府の考えておるところの妊産婦手帳というものの使命を達成することはできないと思いますが、その點は……。
#39
○米澤政府委員 ただいまお話の母子手帳でありますが、これは從前ありました妊産婦手帳――これは省令でいたしておりましたが、これを法律に持ちこみまして、母子手帳といたしたのであります。今までの妊産婦手帳は妊産婦だけ、出産後一年までしか使わなかつたのでありますけれども、これを母子手帳といたしまして、幼兒の學齡に相當するときまでこれをそのまま母から子供に受繼いでもつていこう、こういう構想であります。物資の配給との關係でありますが、これは御指摘のように、決して趣旨は物資の問題ではないのであります。現在の妊産婦手帳でも決してこれは物資のための手帳ではないのでありますが、都合上それがそうものに利用されておるような次第であります。この母子手帳におきましても、もちろん物資の配給に利用されることは結構でありますが、御指摘のように、保健指導の面におきまして、十分この母子手帳に詳細な規定をいたしまして、少くとも二囘以上保健指導が受けられますように、私は母子手帳の内容につきましては檢討して、できるだけりつぱなものにしていきたいと考えておるのであります。
#40
○山崎(道)委員 できるだけという言葉でございますが、ぜひこの點に重點をおいていただかなければ、流産、死産、先天性の弱質、こういう子供の不幸を救うことはできないと思いますので、強くこの點はお願いいたします。もう一つ二十二條、二十三條で「但し、附近に助産施設がない等やむを得ない事由があるときは、この限りでない。」「但し、附近に保育所がない等やむを得ない事由のあるときは、この限りでない。」というようになつているのでありますが、「保健上必要があるにもかかわらず、經濟的理由により、」云云ということになつておりますので、これに對しましては何かほかにお考えがあるのでございますか、ないからしかたがないといつてそのまま放擲させておいでになるというのでございますか。その點について伺いたい。
#41
○米澤政府委員 これは前會野本委員から御指摘があつたのでありまして、實は但書はわれわれといたしましては決して但書の働くことを期待しておつたのではないのであります。實際問題といたしまして、助産施設等が現在の情勢では全國に普及しておりません關係上、どうしても市町村長において助産施設に入れたいと思つても、入れられぬということを考えますがために、法律的な考えから但書をつけたのでありますが、實際助産施設は入院して助産をするという施設でありますから、どうしてもそういう施設の場合においては、やはりこの保険所の保健婦その他の活動によつて、できるだけ助産について適正な助産が行われますように、施設の十分行き渡らないうちは、そういうような保健所その他の活動によつて、十分助産を適正にするという方途を講じなけれぬならぬと考えておるのであります。
#42
○山崎(道)委員 現在の住宅難その他の問題によりまして、皆様方の想像以上に大衆の生活は困窮しております。そうして住宅難で六疊一間に八人くらい住んでおることはざらであります。一軒の家に何世帶も住んでおります。とうていお産に耐えられない家がだんだん殖えてきておりますので、私は産院というようなものも、助産施設というものは非常にりつぱなものに越したことはありませんけれども、簡易な産院というようなものでございましたら市町村にできると思います。もしない所にもそこに産婆さんが住んでおりますならば、ちよつとした施設がありますれば、二人や三人をそこで預かつてお産をさせるという程度はできないことはないと思いますので、これは町村に勸奬いたしまして、そういうものを急がしてつくらせるというふうに進めてほしい。但しない場合にはしかたがないというのではなくて、ない場合にもそういうものをつくらせるというふうにしていただかなければ、この精神にそぐわないものになつてしまう。かように考えております。
 次は大臣にお伺いしたいのでございますが、今せつかく兒童福祉法というりつぱな法律が生れようとしているのに、子供の保護を司法省と二本建でやるというのでは、私は絶對に反對でございますので、子供の問題はぜひ厚生省一本でやつていただきたいと思います。先月司法大臣に御質疑いたしたのでございますが、どう考えても、少くとも十六歳までくらいの子供は、厚生省の保護施設で十分目的を達し得ると思いますので、子供を頭からこの子はだめなのだという考えでやつていくことよりも、どこまでも温かい氣持をもつて保護していこうという、この法律の精神でやつていかなければだめだと思います。そうでなければほんとうに子供を更生させることはむずかしいと考えますが、大臣はこの點に對しましてどういうふうにお考えでございましようか。いろいろ司法省との關係もございましようが、兒童の差別的な扱いを絶對にさせていただきたくない。せつかく兒童福祉法が出ているのですから、兒童全般のものでなければならないと考えますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#43
○一松國務大臣 私もあなたと同じ考えをもつております。このことは司法大臣に話しましたところ、司法大臣ももつともだ、兒童に對することは厚生省一本でやることの方が正しいように自分も思う。いずれ司法省の改組案があなた方の御審議を受けなければならないときもありましよう。そういうときはまた考えようというところまで話しております。私もそう思つております。犯罪を犯して少年審判所に行つて審判を受けている者に對しての保護というところまで、厚生省でやらなければならぬのではないかと思つておる。そういうことはなわ張り爭いみたにいなつてはいかぬから、司法大臣とよく話し合いましたら、司法大臣もよく了解してくれましたから、いずれそういうふうに實現するだろうと思います。
#44
○山崎(道)委員 たいへんにうれしいお言葉でございまして、私はぜひ執心にこの點を達成していただきたいと心からお願いいたします。
 もう一點お伺いします。今混血兒が非常に殖えてまいつております。これら親のない子供に對しまして、親に代つて將來まで見てやるといいつたようなことをお考えでございましようか。ただ捨子になつた子供を拾い上げて育ててやる。そしてまた親がない子供だから食べさせてやるだけであるというようなものでは絶對にならないと思いますので、親に代わりまして將來職業教育とか、あるいは知能に應じていろいろな方面に向けてやる。または貯金などに至るまでも、親心をもつてこれらの子供の將來をお考えになつておいでになりましようか。この點を一つ伺いたい。
#45
○一松國務大臣 お話のように最近特に混血兒が殖えたことは事實であります。こういうような現象に對しまして、政府といたしましては、これらのできた子供に對して、あなたのおつしやるように非常に同情をいたしておるのであります。これはどうでもよい、ほつたらかしておけばよいというような考えは少しももつておりません。やはり十分に保護育成して立派な人に仕上げなければならぬ。こういう考えをもつております。こういう點につきましては、あなた御承知の通り、昨日も社會事業全國大會が東京の市政會館に開催せられまして、天皇、皇后兩陛下親臨のもとに、これらの會議が行われたであります。そういうような篤志家で自分から進んで社會事業のために一身を犠牲に供してやろうというような者が、徳義が頽廢した今日といえども、非常に多數あることを、私は目の前に見、話を聽いては實は非常に喜んだのであります。いわゆる宗教團體その他の團體、篤志家の團體あるいは篤志家、これらの人が今言つたような事業に渾身の努力を拂つて從事しておりますので、政府もできます限り、そういうような篤志家に向つて國家の補助を與えまして、これらの人に仕事をしてもらいたい。こういうように私考えておるのであります。また篤志家、慈善家というような人々もそれらのことに思いをいたしておりまして、今あなたのおつしやるように、どうでもよろしい、ほつたらかして野放しにせよというような考えは斷じてもつておりません。從つて私は特にそういう點に關心をもつておりますから、地方に出張するたびごとにそういうような施設を見てできるだけわれわれの考えが實現するようにいたしたいという考えをもつておるのであります。その邊は特に御安心を願うと同時に、あなたのようなそういう特別御執心な方は、一層國家のために御執意をもつて政府に御協力をせられんことを特にお願いをしておきます。
#46
○山崎(道)委員 混血兒の問題に對しましても、將來までいろいろ考えておいでになり、また社會事業の人の執心な姿を私昨日大會に出て拜見し、また今日も午後は出席する豫定でございますが、そういうことで少しは安心させていただきましたが、ここで保護の方法を誤つて、混血兒が不良にそれますと、非常に危險な状態になるという例が全國的に多々ありますので、特に混血兒の問題に對しましては、十分なお考えをいただきたいということを、特にお願いいたしまして私の質問を終ります。
#47
○小野委員長 野本品吉君から水害地のその後の衛生状態について簡單に質疑をいたしたいということであります。これを許します。
#48
○野本委員 このたびの水害にあたり、厚生省といたしましては、早速でき得る限度において萬全の對策を整えられてお活躍になられましたことに對しまして、私は災害地の一人として、謹んで感謝しているわけであります。私は群馬縣でありますが、厚生大臣ははるばる群馬縣まで出張されて、水害の實情等を御視察になつておられますが、厚生省としての現在の水害の保健衛生對策及び今後特に努力しようと考えられている點等についてお伺いいたしたいと考えます。
#49
○一松國務大臣 今囘の水害に對しましては、國民全部が重大な關心をもつておりまして、これらの災害に遭つた人々の保健、衛生、復興、慰安、救助という各方面から國民が執心にこの事業に從事せられておることは、私が申し上げるまでもありません。厚生省といたしましては、今野本委員お示しのように、これらの情報に接しますと同時に、ただちに厚生省内に災害救助對策の本部を設けまして、各地からの諸般の報告を受けまして、これに適應するような措置をとつたのであります。まず第一に舟が要る、舟は運輸省にお世話願わなければならぬ。衣料が要る、衣料は商工省にお願いしなければならぬ。食糧、それは農林省にというて、各方面と連絡をとり、各省に向つてそれらの急に手を打たなければならぬことについて相談をいたしまして、各省大臣と協力して、これらの救助に乗り出したのであります。私の方の所管であります保健、衛生のことに關しましては、ただちに厚生省から醫官、技官その他の事務官を現地に派遣いたしまして、實情を調査し、これに適應すべく保健、衛生に關する指導をいたしますし、また病氣を豫防いたしますための豫防薬を送り、あるいは赤痢その他の病氣の發生し、もしくは發生せんとするおそれのあるものには、それぞれの薬を送り、醫者を派遣し、そうしてそれらのこともでき得る限り災害を未然に防ごう、こういうような態度をとつたことは野本委員も御承知の通りと思うのであります。これ以外にも、たとえば家を流されて住む家がないとか、あるいは衣料を全部流されて、この寒空に向うのに着る着物がない。あるいは食糧が十分でないというような點に對しましては、それぞれ地方長官と打合せまして、應急對策を今とりつつあります。ある方面には衣料を送るとか、あるいは毛布を調達して送るとか、あるいは、たとえばあなたは群馬縣でいらつしやるから申し上げますが、桐生のごときは貿易の不合格品八百何十ヤールというようなたくさんなものがあります。もしくは色をつけた織物が水に浸されたために、色がさめてしまつたというようなものがあります。そういうようなものはなるたけこれを國家が買上げて、そうしてこれらのものを衣料もしくはふとん夜具というようなものにして配給することのできるようにという手段を、できるかぎり今とりつつあります。そのほか救助に必要な應急處置は萬遺漏なきを期しておりますが、恆久對策につきましては、内務當局、大藏當局その他について今恆久對策の委員會をこしらえて、そういうことを檢討して、將來再びかくのごとき恐るべき災害のないということに向つて、萬全の策を講ぜんといたしております。御了承を願います。
#50
○野本委員 いろいろと御心配をいただいておりますことをありがたいと思います。具體的な問題につきまして、この際希望を申し上げまして、なるべくその線に沿つて御盡力をお願いしたいと思います。その一つの問題は、天井に達するほど浸水をした地方の人の生活の中で、一番困つておりますものの一つは食鹽の不足ということであります。都市といはず、農村といはず、非常に困つておるこの鹽の補給につきまして、保健衛生の見地から十分御心配願いたい。
 次に私の縣の東部に二千町歩ほど冠水地がありますが、排水につきましては、國の協力のもとに縣で極力努力することにはなつておりますけれども、この排水はここ十日、二十日ではできないと思うのであります。從つてこの濕地帶の保健衛生の問題は、私どもの最も心配しているところでありまして、この點についての指導竝に消毒藥その他の配給につきまして、特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。
 それからただいまお話になりました伊勢崎市及び桐生市におきまして、貿易に備えた指定生産資材が多量に浸水いたしましたことは、實に殘念でございます。でき上りました品物の用途につきましては、今お話があつたのでありますが、水にぬれました絲は緊急に處分いたしませんと、腐つてしまうのであります。私どもはこの浸水の絲類を、できるだけ早く活用のできる途を緊急御考慮願いたい、かように考えております。
 それから、これは先般災害救助法の審議の際に問題になつたことでありますが、巷間傳えるところによりますと、せつかく國の意圖に基いて出張しました醫療救護に從事します人たちが、けがをした人あるいは病氣になつた者が深夜かけつけると、これを快く迎えてくれなかつたというような事例があるということを私に訴えた者があります。全部がそうではないのでありますけれども、今後指導の参考として一言申し上げておきます。以上であります。
#51
○一松國務大臣 お示しの問題はことごとく重要な問題でありますが、食鹽がこれらの災害地における最も重要な物資であることは、まつたく御同感でございます。これらの點につきましては大藏當局にもよく話をいたしまして萬遺憾なきを期したいと思います。
 それから二千町歩ばかりの浸水云々ということは、よく存じませんが、私の視察いたしました例の館林附近の三箇町村が、ちようどこの間の日曜日に視察いたしましたときに、五千町歩の浸水がだんだん減水して、今では二千町歩ほどになつているという現場をよく見ました。これにつきましては私は閣議にもこれを報告いたしまして、内務大臣も非常に關心をもちまして、不日内務大臣は現地に出張してこの現場を見るはずであります。これはお示しのように何らかの方法をもつて排水工事いたしまして、そして少くとも二、三三箇月經たないうちにこれを排水してしまう、そして農耕作のできるような措置をとらなければ、まつたく不毛の地に化してしまうということでは、國家の建前からまことに憂慮すべきことである。かように内閣の方でも非常にこれを重視いたしておりますから、いずれそういう措置をとることに御期待をもたれんことをお願いいたしたいのであります。
 それから、そういうような排水のできますまでの間における保健衛生でありますが、そういうようなことのために、飲料水が非常に粗惡になりまして、保健衛生によくないというような建前からいたして、水を清めるところの浄水藥あるいはその他消毒藥というようなものも、現地に手落なくこれを送りまして、そして長官をしてそれらの仕事を十分にやつてもらいたい、かように考えておりますし、またこれが干上りまして、これならば消毒の效果があろうというようなときに、あのDDTなどを使いまして、それらの流行病等を未然に防ぎたい、かように考えております。
 それから指定せられました機業地における資材というような面に關しましては、大藏大臣が何でも今明日中に群馬縣に出張いたしまして、それらのことをよく視察もし、金融業者ともひざを交えて談合して、これまた適當な處置をとることにいたしておりますから、さよう御了承を願いたいのであります。
 また醫療救護班等に對するいろいろな問題等については、非常災害でありまするがために、十分に行届かなかつたこともありましようが、將來一層注意いたしまして、國民に不安を與えないようにする、かように考えております。
#52
○小野委員長 本日はこれをもつて散會いたします。
   午後零時十分散會
ソース: 国立国会図書館
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