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1947/10/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第24号
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1947/10/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第24号

#1
第001回国会 厚生委員会 第24号
昭和二十二年十月二十三日(木曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君
   理事 有田 二郎君 理事 大瀧亀代司君
      松谷天光光君    師岡 榮一君
      園田  直君    中嶋 勝一君
      降旗 徳弥君    大野 伴睦君
      近藤 鶴代君    榊原  亨君
      村上 清治君    河野 金昇君
      野本 品吉君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        厚 生 技 官 東 龍太郎君
 委員外の出席者
        厚生事務官   久下 勝次君
    ―――――――――――――
十月二十二日
 生活協同組合法制定の請願(野溝勝君紹介)(
 第九一八號)
 和歌山縣下朝熊部落の人權保障に關する請願(
 田中松月君外二名紹介)(第九二八號)
 恩給増額に關する請願(相馬助治君紹介)(第
 九三七號)
 大阪療養所を貝塚市に拂下の請願(平島良一君
 外二名紹介)(第九四〇號)
 國立療養所入院費患者負擔反對の請願外三件(
 庄司一郎君外一名紹介)(第九六〇號)
 引揚者の住宅問題に關する請願(坂口主税君外
 五名紹介)(第九七一號)
 恩給増額に關する請願(受田新吉君紹介)(第
 九七九號)
 國立療養所入院費患者負擔反對の請願(田中松
 月君外三名紹介)(第九九九號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 醫師會、齒科醫師會及び日本醫療團の解散等に
 關する法律案(内閣提出、參議院送付)(第七
 一號)
  請願
 一 日本醫療團三國病院を三國町に返還の請願
   (坪川信三君紹介)(第六九號)
 二 日本醫療團築館病院建設完成促進の請願(
   庄司一郎君紹介)(第六二七號)
 三 日本醫療團經營の各病院を舊所有者に返還
   その他に關する請願(中嶋勝一君紹介)(
   第八六七號)
 陳情書
 一 横濱療養院の市營還元に關する陳情書(横
   濱市會議長小澤二郎)(第一九〇號)
 二 日本醫療團解散に伴い結核療養施設市營還
   元に關する陳情書(京部市會議長富永吉次
   郎外四名)(第二二六號)
 三 結核療養所大阪市復元に關する陳情書(大
   阪市會議長田村敬太郎)(第三七一號)
    ―――――――――――――
#2
○田中委員長代理 これより會議を開きます。
 本日は委員長が餘儀ない事情で他出いたしておりますから、私が代つて進めます。
 醫師會、齒科醫師會及び日本醫療團の解散等に關する法律案を議題に供します。ついては關連した請願と陳情が参つておりますから、併せて審議をすることにいたします。政府の提案理由の説明を求めます。
#3
○一松國務大臣 ただいま議題となりました醫師會、齒科醫師會及び日本醫療團の解散に關する法律案について、提案の理自由を説明いたします。
 現在の醫師會及び齒科醫師會は、國民醫療法に基いて強制的に設立されたものでありまして、醫療及び保健指導の改良發達をはかり、國民體力の向上に關する國策に協力することを目的としており、すベての醫師及び齒科醫師は、強制的にその會員となることを要するものであります。かような強制設立、強制加入を建前とする醫師會、歯科醫師會も、戰時中においては一應その機能を果したと考えられるのでありますが、終戰後の國内諸請勢の激變、あるいは民主主義の原則等に照らして考えまするときには、この制度をそのまま存續させることは、適當でないと考えられるばかりでなく、他方醫師會、齒科醫師會の側におきましても、現在の強制設立、強制加入を旨とする團體を解散して、新たに民法に基き、任意設立、任意加入を原則とする新生醫師會、齒科醫師會を設立したいという強い要望がありますので、この際現在の醫師會、齒科醫師會を解散するとともに、國民醫療法中の關係規定を削除することとし、新たな醫師會、齒科醫師會は、その設立、加入ともに醫師、齒科醫師の自由意思に任せることにいたしたのであります。なお醫師會、齒科醫師會の清算に關しましては、監督廳の監督のもとに、原則としておのおのその總會の議決により行うようにいたしております。
 次に日本醫療團は、國民醫療法に基いて設立された法人でありまして、國民體力の向上に關する國策に即應し、醫療の普及をはかることをもつて目的としておるのでありますが、終戰後の經濟情勢及び社會情勢の激變等によりまして、これをそのまま存續させることは不適當と考えられますので、本年一月二十四日の閣議においてこれを解散することに決定されたのであります。しかして解散に伴う同團の事業措置につきましては、結核療養施設として適切なるものは、とりあえずすべて本年四月一日をもつて國營に移管され、その他の一般醫療施設については、醫療制度審議會において慎重討議の上、原則として團營または府縣營に移管されることに、處理方針が決定されたのであります。解散の期日につきましては、當初は本年四月一日と豫定されておりましたが、一般醫療施設の處理方針決定が遲延いたしましたため、若干延期せられておつたのでありますが、この法律が可決せられましたならば、ただちに解散することにいたしたいと考えておるのであります。なお日本醫療團の清算に關しましては、厚生大臣の定める清算計畫によつてこれを行わせることとし、かつ清算に關する重要事項を調査審議させるために、厚生大臣の諮問機關として日本醫療團清算監理委員會を設置することといたしております。また日本醫療解散の際現に同團の病院診療所等に收容されております患者。その他從來これらの診療施設を利用しておりました人々に醫療上の不便を與えないために、醫療團解散後においても清算の結了までは、醫療事業を斷續して行うことができるよう措置いたしております。なお醫療團の解散に伴いまして國民醫療法中の日本醫療團に關する規定を削除することといたしております。
 何とぞ御審議の上速やかに可決せられるよう希望いたします。
#4
○田中委員長代理 御質疑がございましたらどうぞ
#5
○榊原(亨)委員 日本醫療團は戰時中いろいろな仕事をしておいでになつたようでありますが、その經營上の收支はどんなふうになつておりますか。私どもの承るところによりますと、赤字であつたということでありますが、その點を承りたいと思います。
#6
○東政府委員 ただいまの御質問に對しまして、間違いのありませんように數字をもつてお答えいたしたいと思います。お許しを得ますれば久下説明員に代つて説明さしていただきたいと思います。
#7
○田中委員長代理 よろしうございます。
#8
○久下説明員 醫療團はこの二、三年毎年連續して多少の赤字を出しておるようであります。最も最近のものといたしましては昭和二十年度の決算がここにございます。それによりますと、二十年度全體の損失金が九百九十二萬九千八百七十四圓一錢ということになつて、約一千萬圓の赤字を出しております。昭和二十一年度につきましては決算がまだ私どもの方に提出されておりませんが、これもやはり同樣のことが豫想されております。
#9
○榊原(亨)委員 その赤字の原因はどこにございますか。
#10
○久下説明員 赤字の原因は一口にちよつと簡單に申し上げられないのでありますが、おもなものだけを申し上げますと、まず第一にこの損失金の出ました理由は、未收入金が相當多いということが一つの原因でございます。それから同時にまたこの二、三年御承知の通りの物價の上昇によりまして、また醫療團としては醫療費をあまり高くしないという建前で經營をいたしておりましたので、そういう點からもこの赤字が最近になつて殖えてきておるという状況でございます。
#11
○榊原(亨)委員 醫療費を高くしないというお話でございますが、この醫療費の標準はどういう標準でおやりになつておりますか。
#12
○久下説明員 醫療團は醫療費をすべて社會保險の單價でやる、こういう建前でやつてきておるのであります。社會保險の單價が上りますれば、それに應じて上げていくことはいたしております。特に最近醫療團としましては、社會保險の單價をさらに一割ぐらい引いてやつているというような施設も多くございます。それらの點、また物價騰貴その他に伴いまして、社會保險の單價を上げますことが、やや遲れてまいりましたので、それらの差額が損失として現われてきたものと思つております。
#13
○榊原(亨)委員 醫療團が國營の經營をやつておいでになりましても、なおかつかくのごとき赤字が出るという點につきましては、今の社會保險制度によるところの醫療報酬制度が、いかに實際に合わないものかという現實の證據になると私は思うのでございます。またそれがそうでないといたしまするならば、日本醫療團の國營といたしましての經營そのものに缺陷があつたと私は思うのでございます。この點は將來の醫療制度を切りまわす點においても最もよい參考となるのでございまして、ただいま承りますと、二十年度の清算だけであるというお話でありますが、たとえこの法案が通過いたしましても、今後日本醫療團の清算につきましては、私どもの厚生委員會に適切なる數字をもつてお示しを願いたいと思いますし、その點に關しまして私どもの意見竝びに質疑をこの際保留したいと存ずる次第であります。委員長よろしゆうございますか。
#14
○田中委員長代理 よろしゆうございます。
#15
○榊原(亨)委員 次に承りたいのは、日本醫療團が解散になりまして、その場合に職員に對してどういう程度の解職手當あるいは退職金をお出しになり、またお出しになろうとしておいでになりますか。
#16
○久下説明員 醫療團の解散に伴いまして、まず二つにわけてお答えを申し上げた方がいいと存じます。それは先ほども大臣の提案理由の説明にもございましたように、結核療養施設は一括して國營に移管をしております。結核療養施設に働いておりました人々は、全部これを國の職員として吸收をするようにいたしております。但し一部には結核療養施設として適當でないものもございましたので、これはこの機會に整理をいたしているものもございます。そういうもののうちから名實ともに退職しなければならぬ者も出てまいつております。その事實上職を離れる者につきましては、ただいま本俸の一箇年分の轉職給與金を出そうということでやつております。それからその他一般の職員全部につきまして、これは國に移管されるものにつきましも同樣でございますが、これはいずれの施設でも同樣であると思いますので、醫療團の解散という機會に、本俸の三箇月分を限度といたしまして、その限度内において職員全部に、勤續年限等も考慮して退職金として配分をいたすようにしておりきす。
#17
○榊原(亨)委員 解散手當その他のお手當はないのでございましようか。
#18
○久下説明員 それ以外にはございません。
#19
○榊原(亨)委員 第十五條について承りたいと思います。「政府は、國の行う醫療事業の用に供するため特に必要があると認めるときは」何々とございまして、その場合に優先的にこれを買取るということがございますが、初めに醫療團ができましたときに、個人または公共の團體からこれをお買取りになつた。またそのお買取りになつた支拂金が未濟であるとか、あるいはその證文の中に將來醫療團の解散するときには、これを賣主に渡すというふうなことが書いてある場合に、なおかつこれを優先的に國が取上げるというようなことに多少の摩擦が起つているやに承つておるのでございますが、そういう點はことごとく御解決になつたのでございますか、承りたいのであります。
#20
○一松國務大臣 ただいまお示しのごとく、これらの施設を醫療團が買取りますときには、それぞれ特約を規定いたしておりますことは今お示しの通りであります。その特約の中には解散した時分には、これをもとの所有者、すなわち買取られる人にお返しいたしますというような特約のあることも非常に數が多い。しかるにこの十五條に規定してあるところによると、そういうような施設も國家が必要があると認めたときには、優先的にこれを買取ることができる。こうすると醫療團と醫療團に賣つたところのもとの所有者との間に、契約を締結しているその契約の履行を國家が蹂躙をして、國家が所有權を得るということは穏當ではないではないかという御議論はごもつともであります。そこで問題はどうなるかといいますと、その契約はいわゆる醫療團と前所有者との契約であります。國家と前所期者との契約ではございません。故にもし國家が優先して、これらの醫療團のもつている土地建物を買取るという場合には、醫療團に對して國家としては相當の報償をしなければならぬことはもちろんであります。しかして前所有者は醫療團に對しまして契約の履行を迫る、また契約不履行によつて生ずる損害の賠償を請求してくることは當然だと思う。そういう關係にある前所有者と醫療團との間にとび込んで行つて、なおかつ國家がこれを取ろうという時分には、國家はもちろん前所有者に對して醫療團支拂不履行による損害賠償その他必要の費用を當然もつてやらなければならぬことは、これは議論はありません。そういうようなことをしてでも、國家が特にこれを國家の施設として買收することが必要であるというときには、それだけの手段もちろんとる決心でありますが、しかしながらそれは表面の規定でありまして、でき得べくんば、いわゆる醫療團と前所有者との間においてなるたけ話合いの上、妥協ができて、それならばよろしゆうございましようということで、前所有者も前契約を抛棄して、そうして醫療團から自分の思うだけの損害賠償――契約不履行によつて生ずるそれらの損害というものをとつて自分はそれで引きさがる。また國家は醫療團に向つて醫療團が前所有者に支拂うだけのものは當然支拂つてやらなければならぬ、こういう考えをもつておりますが、できるならば當事者相互の間に圓滿に解決してやりたい、こういう考えをもつております。どうしても圓滿に解決ができないというものであれば、しからばそのときに國家としてどういう態度をとればよいかというと、國家公益のために、どうしても前所有者が放さぬといつても、これをとらなければならぬだけの國家にそれだけの必要があるかどうかということを考えて、それはどうしても國家がとらなければならぬという必要が絶對的のものだというような場合は、これはもちろんとりますが、そうでない限りにおいては、國家はそういう無理なことをせぬで、前所有者に返してやる、こういう實は考えをもつておるのであります。こういう點につまして、しからばどういうものが特に必要があるのかということになりますと、具體的の問題になりますが、主として政府の考えておりますることは、結核療養所等である。御承知の通り結核病を撲滅しなければならぬということについては、これはもう政府としても全國民としても、この點については十分に力を用いなければなりません。そういうときに、そのいわゆる結核療養に關する施設というものは、國家においてこれを運營することの方がよいのであるが、個人に返して運營さしても、国家が運營するということと何にも軒輊するところがないのであるというような場合には、何も必ずしも國家がこれを優先して買取る必要はないと思うのである。しかしながら個人に返してやつては、どうしても國家で經營するだけの效果をあげることができないという場合には、これはやむを得ず前所有者に納得してもらつて、國家が優先し買取つて、國家の經營に移して國家目的を達成するようにいたしたい、かように考えておるのでありますが、これを要するに、前所有者の納得するようにして、この優先權の發動をいたしたい。無理なことはすまい、こういう考えをもつておるのであります。
#21
○田中委員長代理 よろしゆうございますか。
#22
○榊原(亨)委員 よろしいです。
    ―――――――――――――
#23
○田中委員長代理 ではこの際請願の審査に移ります。本委員會に付託されました請願の審査に入るに先だちまして、審査方針についてお諮りいたしたいと思います。御承知の通り、新國會においての請願の審査は最も愼重を期することとし、いやしくも採擇した以上は、必ずこれが實現の方途を講ずることといたし、これがためには請願の内容に應じて、必要あるときは委員會において法律案を起草提案することもありまするし、また豫算的措置を必要とするものについては、必要により豫算委員會と連合審査會を開く場合も當然起り得ると思います。なおあらゆる角度からの愼重審議を要しまするので、本日御審査を願う諸件につきましての採擇、不採擇その他の決定はしばらく留保いたしておきたいと思います。御異議ありませんか。
#24
○田中委員長代理 それではさよう決定いたします。
 では請願の審査に入ります。日程第一及び第二の請願は都合により延期いたします。日程第三日本醫療團經營の各病院を舊所有者に返還その他に關する請願、文書表第八六七號、紹介議員中嶋勝一君の説明を願います。
#25
○中嶋(勝)委員 ただいま私の紹介によります請願書の件でございますが、これは請願書に明記してありまするように、山口縣の問題でございます。山口縣におきましてあの請願書の名儀人庄司、弘中兩氏が、先刻厚生大臣の御説明にありましたように、かつて自分で經營しておりましたところの病院を醫療團に讓渡いたしたのでございます。ところが今後解散せらるることになつたのでありますから、この讓渡いたしましたものを、前の契約によつてこの人々が拂下げてもらいたい、返してもらいたい、こういう希望をもちますから、まず縣の方へまいりましてその相談を今いたしておるのでございます。ところが問題になりましたのは、これを讓渡いたしまたときには非常に安い値段、そうしてせつかく讓渡してもらつたその金も、ある一部は公債によつてもらい、その他現金で貰つたところのものは第二封鎖になつて全然使うことができぬでおる。要するに病院そのものをほとんど無償に近いものでとられたような形になつておる。であるにもかかわらず、今度拂下げをしてもらおう、返してもらおうという陳情に行つてみると、べらぼうに高い値段でないとそれを返すことができないであろう、こういうように言われておる。こう言うのであります。そういうことになると、せつかくあの契約があるけれども、しかしながら價格の上において、經濟的の面において、どうしてもこれをわれわれが受けることができなくなつてくる。それであるので、こうした點は最初にこれを讓渡したときの條件を十分御賢察をいただいて、公平なところでこれを返還していただくように御配慮がお願い申し上げたいという意味の請願でございます。でありますので、この請願者の意思のありますところを御賢察賜わりまして、請願の趣旨に副いますよう御配慮をお願い申し上げたいと思います。
#26
○田中(松)委員長代理 政府の御意見がありますれば、この際御發言を願います。
#27
○東政府委員 ただいまの請願の御趣旨承りました。實は同様の請願は各地の施設多數のものからも、直接に厚生省あるいは日本醫療團に向つて出ておることを承知いたしております。このことは醫療團の清算と密接な關係のあることでございますので、醫療團の清算に關する清算管理委員會等において十分愼重に考慮せらるべき問題と存じております。これらの私どもの方への陳情、請願に對しましても、現在のところ明確な、具體的なお答えをいたし得ない状況でございます。それは先ほども大臣の提案理由の御説明の中にもありました通り、日本醫療團の一般醫療施設の處理方針につきましては、醫療制度審議會において、本年の六月二十六日に答申が出ておりまして、それによつて一應の方針だけが決定せられておるわけでございます。從つて私どもの方といたしましては、ただいまのところその方針に則つて處理をするという心組でおります。しかしながら具體的の問題につきましては、でき得べくんば個々の施設につきまして、その地方の實情、あるいは讓渡の契約、あるいは借受の契約、その他直設關係のある事項を十分に愼重に考慮いたしまして、各府縣あるいは地元と申しますか、地元と醫療團と厚生省と、この三者の間に具體問題について、一々の施設についての協議をいたしまして、先ほど大臣からも申し上げました通り、結果として無理のないように、納得のいくような處置をつけたい、さような所在でおります。
#28
○田中委員長代理 どなたか質疑がありましたら……。
#29
○有田委員 東醫務局長から今答申ということがありましたが、答申ということはどういう意味合のことでありますか、お尋ねしたいのであります。
#30
○東政府委員 日本醫療團一般施設處理要綱として、資料として配付いたしたつもりでおりますが、なおその要點だけをただいま申し上げた方がよいかと思います。方針は日本醫療團で經營いたしております一般醫療施設――一般醫療施設と申しますのは結核を除いたという意味でございます。一般醫療施設は特別の事情あるものを除くほか、醫療團が解散いたしました後におきましても、公的な醫療施設としてその經營を繼續し、ますます内容の充實向上を規する。これが方針の一つであります。方針の第二といたしましては、醫療團において經營中の一般醫療施設の經營を移管いたすにあたつては、なるべくこれを一括いたして處理することといたしたいのであります。特に診療所につきましては、その母體となり、中核となる總合病院と一體的に運營せられるように考慮して、醫療團の一般醫療施設の處置をすること。これが方針でございます。この方針に基きまして、もう少しやや具體的に内容を示したものを要領として答申せられておるものがありますが、それは一つは現物出資、寄附もしくは買收にかかる施設であつて、出資、寄附もしくは賣却に際して特別の條件があるもの、または借受施設につきましては、それぞれ相手方と協議いたしました上に、適當な處理方法を決定するのが原則であります。ただこの際に、その施設が特に公的醫療施設として存續をすることが必要であるというものがあるかと思われますが、さようなものにつきましては、これまた特に相手方と協議の上で、公的醫療施設としてこれが存續するような話合いをつけるということ。右のような條件以外の施設につきましては、すべてこれを公的醫療施設として存續することが必要であるかどうかという點を、箇々の施設につきまして決定いたします。かような處置をとりました結果、純粹の日本醫療團の公的施設として殘るものにつきましては、これは次のように處理をする。すなわち各都道府縣及び大都市で醫療團の一般醫療施設を繼承經營する意思があり、かつその能力、特に事業能力を有すると認られるものに對してこれを移管する。右のような處理のできない施設は、國家財政の許す限り國においてこれを繼承經營すること。かような方針並びに要領が答申の内容であります。
#31
○有田委員 ただいまの東醫務局長の御説明の中に結核を除いてというようなことがありましたが、これはどういう御趣旨なのかお聽きしたいと思います。
#32
○東政府委員 結核施設につきましては、これをさしあたり國營一本をもつて經營することを必要と存じまして、醫療團の解散いかんにかかわらず、本年の四月一日からその大部分のものを國立結核療養所として運營してまいつておるのであります。從つてこの醫療制度審議會に諮問せられました事項は、それらのすでに經營を國立に移したもの以外の處置ということになりましたので、この審議會におきましては結核施設以外のものの處理のみを答申せられておるのであります。
 ついでながら申し上げますが、もともと日本醫療團はその大きな目的の一つとして、結核撲滅の國策を遂行する強力な機關として計畫せられ、設立せられたものと存じております。從つて日本醫療團には、當時の民間にありました結核療養施設の大部分をその傘下に收めて、そうして結核對策に對して重要な機能を果してきたのであります。ところが終戰後いわゆる舊軍事保護院系統の結核療養施設なるものが、民間の既存の施設以外に厖大な一つの系統をなしてできたのでありまして、これが國立結核療養所として廢足いたしました。そこでわが國の結核療養施設が國立療養所と醫療團の結核施設との二元と申しますか、二本建になつた結果と相なりました。このことは結核對策上必ずしも策を得たものでないことは、その方面に關與される人々の輿論とも申すべきものでありまして、結核施策を強力に運營するためには一本でいくべきである。しからば全部を國立にするか、あるいは全部を醫療團に移すか、二つの途でありますが、申すまでもなく、醫療團はすでに解散をまで考えられる状態であるのであります。從つて本年四月一日をもつてこの醫療團の結核施設をほとんど全部國營といたしました。その結果わが國にあります結核療養施設の八十パーセント以上が現在は國營療養所としてその運營をいたしておるわけでございます。
#33
○有田委員 あとに「會議に付する陳情書」として京都の結核療養施設市營還元の件と、それから大阪市の結核療養所還元の件と、二つの陳情書が出ておりますが、このそれぞれの都市が長年苦勞をして、そうして結核療養所というものを建設したのに、戰時中戰爭目的に副うために、醫療團というものに強制的に買上げ、あるいは強制的に所有の移つたものが、今日結核療養所だけ國營にするということになつておりますが、どういう趣旨でありますか。それが全部國營になつておるわけですか。國營になつておるといたしますならば、私はこういつたものはそれぞれの都市が非常に苦勞をしてつくつてきたものであり、それぞれの都市にこういうものの經營をさせて、そうして國がこれを應援するということの方が實質的に効果が上るのではないか、かように考えるものであります。とにかく國營というものは名前だけはなかなかいいのでありますが、實質的に先般來國營病院についても、山崎委員からいろいろ御質問がありましたが、なかなか國營というものはこまかい點にまで眼が届かない憾みがありまして、實質的に私の經驗では効果が上つていないのであります。先般來この件につきまして、各都市から厚生省へ陳情が参つておつたやうに伺つているのでありますが、厚生大臣竝びに醫務局長との間において、どういう交渉状況になつておつたのか、またこれらに對してどういう御方針であるか、承りたいと思います。
#34
○一松國務大臣 地方團體において經營しておりましたところの結核療養所を、醫療團法によつて醫療團がこれを買取つたところが、醫療團は今度解散することになつた。そこでその買取る當時において、前所有者と醫療團との間にこれを解散するときには、あなたの方に賣りもどしてやる。こういうような特約のあるということは、先刻榊原委員の御説明になつた通り、また私もさように承知しておる。現に有田委員の御援用になりました大阪市における刀根山病院竝びに具塚における大阪市の病院、そういうようなものが醫療團に買取られた。ところが今後それを國營にする。そのときに大阪市がその二つの病院を初めの約束に基いて返してくれ、こういう申し出のあつたことは事實です。ここで私厚生省の考えの原則をまず申し上げておきたいのですが、そういうような結核療養所を國營として經營することが結核を撲滅することについて、國家的見地から最も必要であるのだ、こういう場合にはこの十五條の規定によつて優先して國家がその不動産を買取つてそうして國家が經營をする。これが原則であります。しかしながらこれを地方に委譲して、地方がせつかくここまでやつてきたのであるから國家の經營に優るとも劣らないだけの經營をしていくことができるというような場合には、國家は喜んで地方にこれを――法律上の言葉から言うと、契約履行をして醫療團から前所有者に賣りもどすというようなことが適當でありましよう。問題はどちらにしたらよろしいかということを具體的に總會の決議によつてこれを適宜にきめることはよろしいのであります。そこで總會の決議なるものは不適當である。不適當であるということは、國家から見た不適當の場合もありますれば、前所有者から見た不適當の場合もありましよう。そういうような場合には、厚生大臣としてはこの官吏をしてそれらのものの報告を命じ、もしくは實地についてこれを調査することもできます。調査してその結果、この國家のやつたことはこれは不當だ、あるいは醫療團と前所有者との間の賣りもどし契約の實行は不當だというようなときには、政府は適當の處置を講ずることができる。こういうようになるのであります。要するに今そういう契約のあつたその契約通りに實行するかせぬかということは、各具體的の事實についてこれを判定し、公平に處理していくということが政府の考えておる措置であります。しからば大阪市のごときはどうだということになりますると、これはまだそこまでいつておりませんから、いずれそれらの點につきましては、清算人がその清算方法、財産處分等についていろいろ總會の決議等によつてきめてまいるでありましよう。また政府はそういうものに對しての意見を具陳すべくこれを命ずることができるという規定がありますので、その通りやつていきます。それでこれは適當だと見ればもちろんそれに從いますが、原則としては何を物さしとするかというと、國家の經營することの方が、地方自治體の經營にすること、もしくは前所有者の經營することよりもはるかによろしい。前所有者にこれを賣りもどしてやることは、國家の建前としてよくないということの顕著なる事實のあるときは、これはいわゆる公益は利益に優先するという建前にしなければならないが、そうでない限りは、何も強いてこれを國家が取上げてしまうという考えはもつておりません。先刻榊原委員にお答えした通りであります。
 それからこの際中島委員の原價をもつて云々ということについて政府の所信を明らかにしておきたいと思います。たとえばここで百萬圓で買うたのが昭和十七年であつたものを、今日百萬圓で買つたから百萬圓で返すというわけにはいきますまい。昭和十七年に買取つたときの百萬圓は、今日ただいまはいくらの價値があるかということは、いわゆる各物價の比例によつてこれを算出して、昭和十七年に買取り當時百萬圓が今日の三百萬圓に當るとすれば、三百萬圓で賣渡すが適當であろうと思う。あなたの御注意のありましたように、なるたけこれは同情をもつて國家は買いもどしに應じてくれるようにということは最も賛成で、そういう方針でやりたいと思うのであります。いま一つそれを醫療團が買つた後において非常に朽廢をして、百萬圓で買つたけれども、今日から見ると、買取つた當時の設備より見れば非常に朽廢してしまつて、もう價値はそれだけないというようなときには、それは百萬圓以下で賣りもどすことがよろしいでありましよう。また百萬圓で買つたけれども、その後非常に手を加え、たくさんの費用をかけて今日これだけにりつぱに仕上げたというときに、もと百萬圓で賣つたから百萬圓で買えというわけにはいきますまいから、それらのことは具體的に一々檢討の上、なるたけ合理的に賣つた人にあまり損害をかけないように、政府が不當に利益をしないようにという建前において、賣りもどすことが正しいやり方であると考えておりますから、さよう御了承を願いたいのであります。要するに無理をしないというふうに考えております。
#35
○有田委員 大臣の御説明でよく了承したのでありまするが、大都市――もちろん大都市だけでなく小都市も同じことでありますが、大都市におきましては結核患者竝びにその他のいろいろな患者が非常に多い。特に最近におきましては食糧事情が非常に惡化しておりますのと、同時に住宅問題も意のままにいかないという状態にありますので、それぞれの大都市、特に戰災都市は、われわれが想像する以上の苦難をなめておるのであります。これらの病院竝びに療養所がそれらの都市に復元されて、そうしてそれらの都市はもちろん經濟的に今日非常に因つておるのでありますから、それらの都市に對して國家としてあらゆる資材なり財源なりの應援をして、それらの病院が單にそれらの都市の住民だけのものでなく、大都市以外の人たちにも利用し得る方法を御考究願つて、それらの都市に復元すると同時に、國家がよく監督して應援をして所期の目的を達するように、厚生省としてお取計らい願うことが、最も敗戰後の今日妥當な方法ではないかと思うのでありますが、この點につきまして大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#36
○一松國務大臣 あなたのお考えと厚生省の考えはまつたく同じであります。一例をあげますと、たとえば大阪市が刀根山に結核療養所をもつておる。大阪市の經營であるから、大阪市民だけを入れる、豊能郡、三島郡の者は入れぬのだというようなことでは困る。大阪市の經營であつても、やはりその病院の所在地である豊能郡もしくは三島郡あるいは兵庫縣の川邊郡の人も入れて、そうしてお互いにそれらの病氣を治し、なるたけこれを撲滅するというような、國家施設に協力してもらうようにもちろんしなければなりません。私の方でかりにこれを國家から地方自治體に委讓するような場合でも、そういうことは固くこれを條件につけてやらせるつもりです。またもし大阪市のものであるがゆえに大阪市民だけを優先して、大阪市民が治療室を占領して、もうこれから大阪市民ははいる必要はない、餘りがあるからというようなことで他の者を入れるというようなことは國家目的からいたしまするとそれに反するのですから、そういうことのないようにいたしたいと考えておるのであります。
 いま一つ附加えてここで皆様に御了解を得ておきたいことは、かりにこれを市に移管しないと假定しても、その療養所の經營に關しては市長もしくは市會議員等をこれに參畫せしめ、そうしてそれらの前所有者の時分にもつておつた運營をするときと同じような氣持で國家に協力してもらつて運營をしてもらう、こういう考えをもつておるのでありまするから、これは市營だからわれわれは親しみがある、國營だから親しみがないというような非難はないようにしようと考えておるのであります。これはかりに大阪市に返さぬと假定して――もちろん返せばそういうことはありませんが、そういう場合にはあなたのおつしやつたように國家がこれを監督して、その市民の入院だけ許して他の者は許さぬというようなことはしないようにしようと、あなたのお考えと同じに考えておるのであります。さよう御了承願いたいのであります。
#37
○有田委員 大臣の御説明でよくわかつたのでありますが、大臣は假定の問題としてお話があつたと思うのでありますが、私の考えとしては、これから全國各都市が、地方委讓になりまして自治的にこれから發達をしていく、そのときにこういういろいろな施設を都市があらゆる犠牲を拂つてこしらえる。それが必ず公益優先という美名のもとに國家にとられていくということになりますならば、地方自治の將來に大きな暗影をもたらすことと私は考えるのであります。大臣が最初申されました通り、無理をしない、かようなお言葉でありまするから、そういう假定は一つないことにしていただきまして、最初大臣の申された通りに復元をして、ただその運營のいかんによつては厚生省竝びに私のただいま申しました方針通りにやれるわけであります。これはその運營いかんにあるのでありますから、やはり横濱、京都あるいは大阪、それぞれ全國各都市の人たちがあらゆる犠牲を拂つてつくつた病院なり施設は、それぞれの都市に返還をする、ただしその運營については、ただいま厚生大臣の申された通り、運營そのよろしきを得れば所期の目的は十分達し得られるものと確信するのであります。假定でなくぜひひとつそれぞれの都市にお返し願うようにお取計らい願いたいと思うのであります。
#38
○東政府委員 それでは私から御説明を申し上げます。ただいまの御質問の主體であります五大都市の結核施設についてでありますが、横濱、名古屋、京都、大阪、神戸、この五大都市は全部同一の歩調をとられまして、元市の經營であつた結核施設を、醫療團の解散とともにこれをもとの市に返すという強い要望をもつておられました。すでに數箇月間にわたりまして五大都市の當局の責任者と私どもとの間でいろいろと協議懇談をいたしました。ざつくばらんに申しますと、その折衝の間には多少誤解もあり感情上の齟齬もありまして、いろいろと紆餘曲折を經たのでありますが、さいわいにして兩者の間にきわめて圓滿なる解決點を見出しまして、十月十四日に五大都市の衞生關係責任者と醫務局長との間にいわゆる手打ちをいたしたのでございます。また同日五大都市の市會議長會議がありまして、その市會議長會議においてこの話合いの結果を了承いたされました。さきほど議題にもなつておりました請願、陳情等に關するもの等も、五大都市に關する限り、これを取下げる意思であるということまで伺つておりますが、その方針は有田委員の申されましたこととまつたく私は同一だと思つております。四月一日から國營に移管いたしたと申しましたのも、その療養所の運營を國營にいたしたのでありまして、施設そのものの所有權と申しますか、財産權と申しますか、これはいずれも國には移管いたしておりません。從つてかような施設の終局的の處理は、五大都市については五大都市の了解のあるまでは、これを一方的に第十五條をもつていわゆる傳家の寶刀を拔き放つてむりやりにこれを國にとるということは絶對にいたさないつもりであります。五大都市との間に終局の處理については了解をする、了解のあるまではいたさないということも申合せにいたしております。また運營に當りましても、國營とは申しますが、さの實資においてはこれを市で運營せられますのと近いと申しますか、それに匹敵いたすように、當該市の市長が病院の運營につきまして、すべて指圖をいたされるような形にいたしております。すなわち厚生省の嘱託として、厚生省嘱託たる市長の同意がなければ、あるいはまたその意見を聽いてからでなければ、運營上の重要な問題は厚生省が一方的に云々することといたさないことにいたしております。また人事につきましても、おもなる人事は厚生省嘱託である市長の内申に基いて行うということの申合せをいたしております。從つてさしあたり四月一日より國營となつておりますが、その運營は今まで醫療團でありましたとき、もしくはそれ以前市のものでありましたときに劣らぬように圓滑に、民主的に運營せられるようにというつもりでおります。ただ明年度昭和二十三年度においては、これらの五大都市の結核療養施設も國の療養施設として運營いたすことに話合いがまとまつておりまして、すなわち明年度の豫算を編成いたします上に、これが重要なる事項でありますので、明年度の豫算は厚生省の國立療養所の豫算として目下提出しておる次第であります。
#39
○有田委員 東醫務局長のお話で大體わかりましたが、しからば病院の所有權や療養所の所有は、それぞれの都市に復元し得るものと解釋していいのでありますか。
#40
○東政府委員 先ほど大臣からのお答えにもございましたが、私の口から申しますれば、時期至らば復元いたすもよろしいと、かように考えております。
#41
○有田委員 よく了承いたしました。さらに國營の問題でありますが、國營の運營について、とかく國立病院の過去のやり方から見てまいりましても、はなはだ效果的でない面が非常に多いのであります。ただ國家から豫算をとるとか、あるいはそれぞれの醫療資材をとる面においては、非常に效果的な面もあるかと思いますが、しかし經營の面におきまして、とかく國立病院は不親切であるとか、官僚的であるとかいうようなそしりが相當あるのでありますが、この點につきましての醫療局長の御抱負を承りたいと思います。
#42
○東政府委員 國立療養施設の運營がいわゆる官僚的であるというふうなお言葉は、私もすでに各方面から承つております。また事實上これは私としても是認しなければならぬ非難であると思います。と同時に、公共醫療機關がさような形であつてはならないことは、これは申すまでもないことでありますので、これにつきましては要するにこれは人の問題であり、また醫療に從事する者の醫療の本質に對する認識の問題であると存じます。醫療、醫業というものがいわゆるパブリツク・サービスであるということを考えますれば、その運營におきましてもいわゆる官僚的とか、あるいはまたいわゆる封建的とかいうような非難をこうむるべきはずのものではないのであります。遺憾ながら現在においてはかような非難に値するような行動、言動が各方面から指摘されているのは事實であります。從つて私といたしましては、この病院の運營ということについて一段の考慮を拂いたいと思うのであります。と申しますのは、わが國におきましては、病院の運營ということについてほんとうに深い考慮も拂われておらず、あるいはまたそれに對する的確なる指導を受けていないというのが、實情であろうと存じます。いかに立派な臨床醫家でありましても、それが院長とした場合に、はたして病院の運營者としてこれが適格者であるかどうかということは、問題があろうと思います。このことは實は連合軍總司令部の關係の方々からもしばしば指摘されるところでありまして、特に國立病院、療養所等においていろいろと起りまする事件の裏には、病院の運營ということに對する無關心と、またその知識の不足があろうと思います。いやしくも院長となり、あるいは庶務課長というふうな運營の當事者となつた場合には、その人たちは全力をあげて病院の運營ということに注意を注ぐべきである。すなわちいかにりつぱな内科醫者であつても、院長となれば、もはや醫者であることを考える前に、よき院長ということを考えなければならぬ。遺憾ながらかようなふうな教育指導はわが國においてはすこぶる缺けております。その點につきまして私どもも十分それを認識いたしておりますので、この病院運營に關する教育を確立する計畫をいたてしおります。全國の國立醫療施設はもちろんのこと、ひいてはすべての病院經營に當るところの人々を順次講習なり教育をいたしまして、病院というものはいかに運營せらるべきか、いかにして醫療を氣持よく十分に患者に與えるべきかというふうなことを十分に徹底させたい、さように考えておりまして、病院運營に關する講習教育機關を目下計畫中であるのであリます。かようなものが十分徹底いたしますれば、今御指摘になりましたような病院運營上の缺點は、國立と言わず、すべての醫療機關において十分是正せられることと思うのであります。
#43
○有田委員 醫務局長の御抱負を伺いまして非常に意を強うしたのであります。この新憲法によりまして、主權は國民の手に移つたわけであります。これらの状態を併せ考えられまして、國民の公僕であるという點を醫務局長を通じてよく全國のこれらの病院に徹底していただく。そうして同時に人事につきましても、大義親を滅して、不良の職員につきましてはこれを馘首する、あるいは轉勤を命ずるというようなことを速やかにやつていただくことによつて、人心を新たにして、いわゆる東局長のただいま申された效果が徹底されることは私は確信するのであります。この點を十分力をお入れ願つて、國民全體が幸福になるように御努力願いたいと思います。質問を終ります。
#44
○小野委員長 大瀧亀代司君。
#45
○大瀧委員 請願者の先ほどの話でありますが、大臣は買つた値段でお賣りするわけにはいかぬ、かように申されたのでありますが、私は諸般の事情から考えて、買つた値段で返せないということであつたならば、もとの持主が非常な損をするということを申し上げて、買つた値段で賣つていただくようにしなければならぬものだということを政府としては考えていただきたい。物價が違つたから、それは物價指數によつて、昔の値段は昔の値段、今日の値段は今日の値段ということは、一應の世の中の一般の賣買であればこれで通るのであります。しかしながら國家が權力のもとに強行してその當時買つた。しかも買つた物に對して拂つたものが、普通に使い得る金錢で支拂つたというならわれわれは何も申す餘地がないのであります。しかしながらこれは封鎖預金で支拂われた。封鎖預金でなくて現金であつたら、別な物を買つておつて、今日それに代るべき値段が上つてバランスがとれるのでありますが、封鎖預金で買つたのだ。こういうことを考えましたならば、その金で何も買えない。しかもこれは第二封鎖である。こういうようなことを考えますれば、賣つた値段で返すべきが妥當だとわれわれ考えなければならぬことだと思います。しかもそれが、政府なり多くの統制會社が買つたような場合には、それは政府から金を借りて買つたのが多い。醫療團のごときはどうであるかしりませんが、普通の場合においてそうである。そうして借りた金は利息そえ支拂つておるならば、決してこれは物價指數が三倍になつたから、五倍になつたからといつて、借金が三倍になつたり、五倍になつたりせぬのであります。これらのことを考え併せまするならば、これは賣つた値段でこれをもとの所有者に返すということが、これこそほんとうに妥當である。こういうことをわれわれは考えるのであります。そうでありますから、一般の賣買かのごとく考えて、大臣がさつき言われたようなことでなく、こういうようなものに對してはもと通りの値段で返すということがきわめて妥當だと思う。こういうことにおいて、現在の物價指數によつてやるのだという大臣の御意見を改めていただかなければこれは妥當でない、かように考えるので、ひとつ大臣にその所信を承りたい。なおその決意をこういうふうにかえていただきたい。こういう希望を私は申し上げたいと思うのであります。
 もう一つは、この病院のごとき經營方法が、國營であればいいのだ、こういう考えをひとつ拂拭してほしいものだ。公共團體であらゆる面においてすベての病院その他の經營をやる、あるいはその他の權根を地方に委讓する、そうして自治的に地方にすベての行政を運營させたい、こういうのが現在みんなに言われておることであるのであります。しかしながら實際の面で見ますとこれがほとんど實行せられていない。口だけ、地方に權限を委讓する、自治の強化をはかる、擴張するというのでありますが、これが口だけで、少しも實行せられぬで、むしろますます中央の強化をはかる、ますます中央集權的になるのだ、地方分權を唱えつつ、今日のすベての政治の面はますます中央集權的になる。かような傾向を私たちは非常に憂えておるのであります。こういうような見地から見ますれば、地方の公共團體でこれを何とか維持していきたい、こういうようなものは率先してこれは地方に任せて、そうして國家として足らざるところを補足する、こういうふうな建前に常に根本の方針をそこに立つベきじやないか、かように私は思うのであります。また今後の政治の行き方はそうでなかつたならば、いわゆる地方分權だ、自治の確立だと口に言つても、ますます今言つたような中央集權を強化する、こういうようなことになればはなはだ遺憾と在ずるのでありますが、その點に對してさらに大臣の御所見を承りたい。かように存ずるのであります。
#46
○一松國務大臣 私の意見は常に大瀧君の意見と反對するようでありますが、問題は結局普通の常識で判斷してもらえばいいのでありまして、私の言うのがいいのか、あなたの言うのがいいのかということは、これはあまり議論をしても益ないことでありますが、ただ一つ、最初買つた値段で賣りもどさなければならぬということが今日の常識であるかどうか。あなたの言うことが常識か、私の言うことか常識か。それは先刻例を引いた、昭和十七年に百萬圓で買うたものが、その昭和十七年の百萬圓は今日の値段にすればいくらになるかということで、それが五百萬圓になるというのならば、昭和十七年の百萬圓は今日の五百萬圓にイコールである、こういうことが常識だという。ところがあなたは、昭和十七年に百萬圓で買うたものは今日でもやはり百萬圓だということになると、今度は例をかえて、物價が下つてきたときのことを考えるとすぐわかる。昭和十七年に百萬圓で買うた、その百萬圓の値段は、非常に物價が下つて今日は二十萬圓より値打がないのだとしたときに、政府は百萬圓でそれを賣返すということになるとどうなるでしよう。買つた人間は、俺は百萬圓で賣つたけれども、二十萬圓しか今日値打がない、政府は百萬圓でおれに賣返すとすれば俺は八十萬圓の損をする、と言うて異議が出ますか。あなたの議論を一貫すればそうなる。賣つた人の利益のことだけ考えて議論をするとあなたの言うことでよろしいが、賣つた者のことも考え、買うた者のことも考えてみるということになつてくると、兩方から見て政府としては考えてみなくてはならぬ。上つたときはいいが、下つたときは下つた通りにしなければならぬということがはたして常識であるかどうか。これはお互いの議論になりますからこれ以上申しません。
 それらから今度は地方委讓問題ですが、地方に委讓することは結構です。委讓することに何も反對はないが、委讓することによつて國家公益のために損害があるときには委讓は考えなければならぬ、こう言うのです。原則はあなたの言う通り、中央集權はいけないから地方に委讓する。けれども國家の存立から言つて、委讓することが悪い場合と原則に從う場合と二つあるのですから、そのことを考えなければならぬ。あなたの言うのはやはり私の議論と同じであると思う。國家がもたなければならぬものまでも地方に委讓しなければならぬという議論はないと思う。もしそうであるとすれば非常に間違いだ。地方に委讓することは原則であるが、國家がやはりこれだけのものをもつていなければ、國家公共のためにいけないというものだけは、國家がこれを經理する。こう言うのです。ですから今あなたのおつしやるように、地方に委讓するのがいいというものは國家がその通り委讓する方針をとつております。たとえば警察制度もそうでしよう。地方に警察權を委讓すればいいというけれども、地方に委讓してしまつたときに、國家の大きい建前からいけば、國家警察は維持していかなければならぬということだから、總理大臣は普段は地方に警察權は委讓するけれども、國家非常の場合に國家が警察權を活用することができるように國家に殘しておく、こういう例外を認めなければならぬ。私の言うのはこういう意味です。ですから理論は私と同じことになるだろうと思うが、説明のしかたが違う。厚生大臣は地方に委讓するということに反對しておるのではありません。地方に委讓することは原則です。但し地方に委讓してはかえつて國家のためにならないような場合のみに限つて、これを國家に保存をするがよろしい、こういうのでありますから、そこは誤解がないように願いたい。先刻の結核の病床もそうです。
#47
○大瀧委員 その話はわかりましたが、第一の話の買つたときは高く買つて、今安くなつたらそれを返す、それはあなたと同じことです。しかしながら私がさつき申し上げたのは、金で渡したと稱して實際使えない金、いわゆる封鎖で渡された。こういうことであつて、そして今日はそれより高くなくては買えないのだ、これは妥當ではないのではないか、それをもなお妥當であるとあなたがおつしやるならば、これは見解の相違であるけれども、ちよつとそれは無理な御議論だと思う。その點に對しては當然十二分に考慮を拂つて、買つた値段は、かりに統制組合で買つた場合は銀行から金を借りて買つた。そうして利息を拂つておつただけで、これが今五倍になつた、十倍になつたというその金をとつたのではこれこそ不當な利得なんだ。そういう事實世の中の實際を申し上げて大臣の御勘考を願いたい、こう言うのであります。大臣はそのところの私の意見を十分に御了解ないようであります。御了解あればやはり大臣と私と同じかもしれぬ。御了解なくして答辯されたのではちよつとまごついてしまいます。
#48
○一松國務大臣 今の賣つた値段で買いもどすことの不當であるということは大瀧君もお認めになつておるようですから、これはその通りで結構です。問題は封鎖預金、これが金は受取つてしまつた、結局封鎖で使えない金で政府は支拂つた。そういう實例はたくさんある。それがちようど受取つたときは第二封鎖とか第一封鎖とかいうような問題は起つていなかつた。御承知の通り封鎖になつて、しかも第一封鎖ならば生活費だけはとるけれども、第二封鎖になつたらその銀行が企業整備をしてしまつた後でなければとれるかとれぬわからぬ。せつかくとらの子を賣つて金は受取つたが、その金は封鎖されてしまつてとれぬということになると、まるでただとられたも同じだということはあなたと同じ意見であつて、そういう者に對しては國家は救いの手を伸ばさなければならぬ。しかしながらそういうときにはどうするかということは、それはそういう場合には代金に第二封鎖をもつて支拂うことができるということをすればすぐその非難は逃れる。それからいま一つは第二封鎖というものはあまり遠からぬうちに解除するというような考えも政府としてはもつておる。しかしそれは解除されたときの話だ。今の代金の授受の話も第二封鎖をもつて支拂うことができればあなたの御心配はなくなる。そういう考えをもつておることと、なお一つそういう哀れな状況に清算人があるということを考慮に容れて値段を算出するということを御了解願えればわかると思います。
#49
○有田委員 両者のそれぞれの質疑應答で大體盡きておるわけですが、とにかくこの病院なりこういつたものを醫療團が買上げたについては、戰爭目的に副うためにむりやりに買い上げたのであります。大臣がおつしやるような商行為では決してないわけです。商賣人と商賣人が物を賣り買いした場合には、大臣の御答辯はごもつともでありますが、しかしこの病院を醫療團に買い上げたという事件は、それらの都市が喜こんで買求めに應じたのではなく、當時戰爭中でありましたし、やむなく出したものでありますから、從つて今の大瀧さんの御趣旨に副い、また大臣からもその點についてるるお話がありましたので、十分それらの都市の事情を御勘考願い、商取引でないということをお考え願つて、先刻も中島さんがお話になりましたが、ああいつた事情をよく御勘考願つて、大臣のお氣持のままにひとつ御協力願いたいと思います。これは商行為でない、しかもいやいや取上げられたものであるというその點をどうか併せお考え願いたいと思います。
#50
○一松國務大臣 よくわかりました。商行為でないこともわかりましたが、それらの點は買もどしとか買取りとかいう時分には大いに事情を考慮してやるこういうことで要するに御迷惑をかけないようにする、この一言でひとつ御了承を願います。
#51
○小野委員長 それでは午後續行することにして、一時半まで休憩いたします。
    午後零時十五分休憩
   ━━━━◇━━━━━
    午後二時五分開議
#52
○小野委員長 休憩前に引續いて會議を開きます。
 本委員會に付託されました内閣提出、参議院送付、醫師會、歯科醫師會及び日本醫療團の解散等に關する法律案の審査を午前中やりましたので、討論にはいる順序でございますが、案件は比較的簡單のようでありますから、討論を省略することに御異議ございませんか。
#53
○小野委員長 御異議なしと認めまして討論は終結いたします。
 採決をいたします。内閣提出の醫師會、歯科醫師會及び日本醫療團の解散等に關する法律案を原案通り可決するに御贊成の方の御起立を願います。
#54
○小野委員長 起立總員、よつて本案は原案通りに可決するに決しました。
 なおこの際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長に一任していただきたいと思いますが、御異議ありませんか。
#55
○小野委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#56
○小野委員長 お諮りいたしますが、午前中の會議で請願の第二の六二七號、日本醫療團築館病院建設完成促進の請願、庄司議員の紹介になるのでありまして、この案件を延期するように決したのでありますが、ちようど紹介議員が見えましたので、その審査を付するに御異議ありませんか。
#57
○小野委員長 異議なしと認めまして本案を議題に供します。紹介議員の説明を求めます。庄司一郎君。
#58
○庄司一郎君 本請願は宮城縣栗原郡築館町議會議長より提案されました請願でございまして、この請願の趣旨は先年當町が日本醫療團竝びに宮城縣の衞生部長等より御歡誘を受けまして、築館町はむろんのこと、栗原郡というのは二十九箇町村の大郡でございます。ここに病院というものの施設が全然ないのでありまして、そういう關係上、醫療團竝びに宮城縣の衞生部長の慫慂により、日本醫療團法に準じて病院を開設していただきたいということでしたが、しかし醫療團が御破算になるというような情勢のもとに、この病院の建築が中途半端に陷つたような次第であります。その後宮城縣當局と築館町長の間にいろいろ折衝が行われました。結局最近においては縣が引受けてこの病院の一切を賄う、病院をものにしてやろうというような意味の話合いにはなつたそうでありますが、その内容は地元の築館町が診療所竝びに入院室その他附屬建物一切を責任をもつてやれ、内容の醫療器具機械あるいはレントゲン、そういう關係のものは縣において引受けてやろうというような意味において、名前は宮城縣の縣立病院になるような情勢には相なつておりますけれども、その内容においては戸數竝びに人口の點において一萬にも滿たないこの一町の負擔としては、時あたかも六・三制關係の教育の設備もあり、また今囘の大水害の非常な災害地でもありまして、到底縣からお示しをいただいた天降り的な御命令のように、一切合財の造營物の建設の負擔にはたえ得ない。かような實情の下に、この病院がもし完成の曉には、あるいは結核の治療、あるいはトラホームの撲滅その他海外引揚者あるいは戰災者、あるいは生活保護法にあてはまるような氣の毒な貧困者の患者を收容して、多分に社會事業的な民生病院のような建前においてこの病院を運營していきたいというのが、請願者の眞意でございます。よつて今日本醫療團の廢止とともに、宮城縣が引受けられて縣營の病院になるような形には相談は進んでおりますけれども、到底その全額の經費をこの町一町において負擔することが困難である。ただいま申し上げたように多分に民生的、社會事業的な面をもつている病院でありますから、生活保護法等に準據されてこの町に對して幾分の補助助成等が願わしいものである。ただいま申し上げたように、本年は水害を二度こうむりまして、この地方一帶民間經濟も地方財政も非常に困難な状態に陷つておるのであります。過般天皇陛下竝びに三笠宮様の行幸啓があられまして、多分にこの病院に關しても御關心をもつていただいたような關係でございます。またみくに奉仕團の發祥地はこの町でございます。ただ遺憾なことには、これに伴うような財力がこの地方、この町にございません。この民生的、社會事業的な病院を建設したいという請願者の趣旨をおくみとり願いまして、厚生省におかれてはでき得るだけの御助成を願いたいというのがこの請願の趣旨でございます。以上ごく簡單に紹介議員として各委員各位に陳情申し上げた次第であります。
#59
○小野委員長 本件についての政府の意見の開陳を求めます。
#60
○東政府委員 ただいまの請願の趣旨であります病院は、まだ未完成のもので建築中のものであるというお話でありますが、けさほど來のお答えの中にも申し上げましたように、すでにでき上つております醫療施設の處理の方針は、未完成の建築中のものにつきましても、やはり同じような方針でこれを處理いたすことになつております。從つて縣においてこれを繼承して醫療施設いたしますことがこの方針に副うところでございます。ただいまのお話では、一應名儀は縣のものになるが、實質上その施設を町村においてしなければならぬというようなお話を伺つたのであります。私どもの最近手に入れました情報では、最近の縣會において未完成のままこれを買收して、縣の負擔で設備を整備するということに議決すられたというぐあいに承わつておりますが、もしこれが事實誤聞でありませんでしたならば、ただいまの御請願の趣旨は十分に達せられるものと存ずる次第であります。
    ―――――――――――――
#61
○小野委員長 この際お諮りいたします。請願の第一の坪川議員の紹介になる六九號、日本醫療團三國病院を三國町に返還の請願、陳情書第一、一九〇號、横濱市會議長よりの陳情、横濱療養院の市營還元に關する陳情書、第二、二二六號、京都市會議長ほか六名提出せる日本醫療團解散に伴い結核療養施設市營還元に關する陳情書、第三、大阪市會議長提出、第三七一號、結核療養所大阪市復元に關する陳情書、これらはいずれもさきに審査しました中嶋議員紹介の八六七號、日本醫療經營の各病院を舊所有者に返還その他に關する請願と同一趣旨の請願及び陳情のようでございますから、一々審査する煩を省きまして、これをもつて審査が終了したとみなすことに御異議ございませんか。
#62
○小野委員長 では異議なしと認めましてさよう決します。
    ―――――――――――――
#63
○小野委員長 この際野本品吉君から生活保護法の適用について簡單な緊急質問をいたしたいということでございますので、これを許したいと思います。
#64
○野本委員 國民の最低生活を保障しようとする精神から生活保護法ができまして、これの適用によつて現在多數の生活困窮者が救われておることは、私どもといたしまして實に喜んでおるところなのであります。ところがこの實施の實情をつぶさに見すと、次のような遺憾の點がそこここにあるように考えられます。すなわちそれは、生活保護法によつて保護費の十分の一を町村で負擔するという點においてであります。町村の財政が苦しい状態にあることは、われわれも十分これを承知しておるのであります。この財政の困窮という結果から來ているのではないかと想像するのでありますが、保護を要する者に支給する金額の中から、町村が負擔すべき十分の一を何らかの名目をもつて町村に囘收しておる事實がそこここに見えるのであります。もしかようなことが廣く行われるということになりますると、生活保護法の立法の精神が蹂躙されることになり、同時にそれは憲法の精神がゆがめられてくることになるのでありまして、私どもといたしましては實に遺憾にたえないと思うのであります。かような事實の存在を厚生省當局としまして御存じであるかどうか、その點をお伺いしたいと思います。
#65
○一松國務大臣 今のお話は、實は私初めて承わるのであります。そういうことがあるとすると、それはけしからぬ話で、生活保護法において國家が百のうち八十やつて、あと十ずつ縣と市町村がもつ、こういうことにしてありまするのは、つまり國庫で全部負擔することになると、今あなたのおつしやつたことと反對に、今度は生活保護法の適用を受けぬでいいようなものをむやみに生活保護法で國庫から補助をたくさん受取るということになる。またこれが町村が一割を負擔するということになると、今言われたように、一割生ずことがいやだというので、生活保護法によつて扶養しなければならないものも政府に申し出ないという不都合なことがあることを、實は私心配しておつたのでありますが、その上になお政府から出したものを天引きしておいてやるというようなことが眞の事實でありますれば、それは容易ならぬことでありますから、もし具體的の事實がありますれば、そういう事實をお示し願えれば、それらのことを嚴重に取締つて、さような不都合のないように取計らいますし、またそういうことはありもしますまいけれども、適當の時期にさような不心得のないように相當の指令を發するということには少しもやぶさかではありません。
#66
○野本委員 ただいま申しましたのは、結局町村の負擔を囘避しようとする一つの方法として考えられておるのでありまして、國から行つたものから取上げるという意味ではないのです。いずれにしてもそういうことになりますと、たいへん殘念なことでありますから、この實施の實情につきまして十分御調査を願い、末端の指導監督の上に遺憾のないように善處していただきたいというのが私の希望であります。
#67
○一松國務大臣 今のお話はよくわかりました。實はそういうことのために、保護を受くべき人をその町村が有しておるにかかわらず、十分の一の補助を與えなければならぬということのために、財政不如意を理由として申し出ないということがありまして、それがために保護を受ける本人から見ると、非常に悲惨な生活をしているという實情のあることを承知しておりますが、そういうことのないように今の御意思に副うように取計らうことにいたします。
#68
○山崎(道)委員 ただいま野本さんの御質問に大臣の御答辯がありましたが、そうした事實は各所にございますので、非常に遺憾に思つております。私もいろいろ調査いたしておりまして、それからあれが何百圓以内ということになつておりますので、それを口實にいたしまして、國庫によつてこれを當てる程度にいたしまして、いろいろな手加減をして地元負擔を逃れておる、それから今度値上りになりましたのでまたよけい負擔になるというようなことで、いろいろ遺憾な點がたくさんございます。この生活保護法の適用につきましては、來議會においては、委員長とも昨日も御相談したのでございますけれども、生活保護法の改正もしてもらわなければならぬ、それからもつと民生委員の教育もしてもらわなければならぬ、いろいろな點がございますが、暫定的にひとつよく御調査願いまして、至急にその遺憾な點を少しでも取去るように、私は御努力が願いたいと思います。一昨日の新聞にも、今度の水害について葛飾區あたりでは相當民生委員が遺憾なことをやつております。給與品をいろいろしたというようなことも出ておりますので、これは葛西局長から御調査願いますように新聞記事を渡しておいたのでございますが、ぜひ救われない人たちが多くあることをお考えいただきまして、至急に御努力を願いたいと思うのでございます。
#69
○一松國務大臣 御趣旨はよく了承いたしました。
#70
○小野委員長 本日はこれをもつて散會いたします。
   午後二時三十二分散會
ソース: 国立国会図書館
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