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1947/10/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第25号
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1947/10/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第25号

#1
第001回国会 厚生委員会 第25号
昭和二十二年十月二十五日(土曜日)
    午前十一時二十分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 飯村  泉君
   理事 武田 キヨ君 理事 有田 二郎君
   理事 大瀧亀代司君 理事 徳田 球一君
      武藤運十郎君    師岡 榮一君
      園田  直君    中嶋 勝一君
      降旗 徳弥君    近藤 鶴代君
      榊原  亨君    村上 清治君
      河野 金昇君    野本 品吉君
 出席國務大臣
        厚 生 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        厚生政務次官  金光 義邦君
        厚生事務官   米澤 常道君
    ―――――――――――――
十月二十三日
 生活協同組合法制定反對の陳情書外四十六件(
 京都府乙訓郡日向町代表長谷川幸三郎外九百三
 十一名)(第四四〇號)
 海外引揚者援護諸對策に關する陳情書(新潟縣
 中頚城郡原通村更生同盟會代表石野庄作)(第
 四四五號)
 少年保護事業援助に閣する陳情書(東京都中央
 區木挽町全日本少年保護事業聯盟)(第四五七
 號)
 海外引揚者の住宅難緩和に關する陳情(高知縣
 廳内海外引揚者高知縣更生聯盟理事長馬場敬
 春)(第四八〇號)
 生活協同組合法案に關する陳情書(京都商工會
 議所會頭中野種一郎外三名)(第四八五號)を
 本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 兒童福祉法案(内閣提出)(第三三號)
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續いて、兒童福祉法案を議題にいたします。兒童福祉法案につきましては、委員の間にこの際修正したいという意見が出てまいりましたので、その修正案をまとめるために、數囘にわたつて協議會を開いたのでありますが、その結果本日各黨共同提案の形をもつて修正案が委員長の所に提出いたされました。いま提出されました修正案の要點のみを御説明申し上げます。
 第一は、兒童福祉施設の中に母子寮を加えることにいたしました。これは夫と父親を失つた母と子をともに保護して、兒童の福祉を増進される趣旨であります。このために新たに二箇條を起しました。
 第二番目は、兒童委員は原案では有給の專門吏員と、民生委員を兼ねる名譽職との二通りでありますが、混亂を生ずるおそれもありますから、有給の吏員の方は、これを兒童福祉司と改めました。そしてなお兒童福祉司の任用については一定の要件を附することといたしました。つまり兒童福祉司の仕事は相當重要なものでありますから、兒童福祉司に他の部門からの老朽者などが轉職してまいるようなことがあつては困る、それを防ぐ趣旨であります。なお民生委員が兒童委員を兼ねることの可否については、協議會でも相當議論されたところでありますが、この點に關する修正案についても、從つて若干の曲折があつたのでありますが、結局原則として民生委員と兒童委員とは一本にするという原則をきめまして、ただ今までの民生査員が必ずしも全部兒童委員として適當であるかどうかについては疑問の點もありますので、兒童福祉法案が實施されますのを機會に、現在おります民生委員を全部一應改選するということにしまして、本法施行後三簡月間、つまり來年の四月一日を期して民生委員の全部を改選する、そして改選します際に、新たに選ばれる民生委員は、兒童委員としても適格を具える者でなければならぬということにいたすことにしまして、この民生委員の總改選と、民生委員たるの資格についての事柄を附則で規定いたすことにいたしたのでございます。
 修正の第三點は、乳兒の保健指導には、醫師と同樣に助産婦もやれるということにいたしました。
 第四點は、親權者が兒童を虐待した場合に、原案によりますと、都道府縣知事は親權者の意思に反しても兒童を福祉施設に收容するというような措置をとり得るのでありますけれども、この措置をとるのには家事審判所の承認を得なければならないというふうにいたしました。つまり新憲法の保障しておりまず人權尊重の趣旨から、その手續に愼重を期すことといたした次第であります。
 第五點は、兒童福祉施設において兒童を酷使してはならないということを明文をもつて規定いたしました。そうしてこれに適當な罰則をつけました。これもまた人權尊重の趣旨によるものでございます。
 第六點は、原案では當該吏員が兒童の住所等に立入りまして必要な調査などをすることができるというのでありますが、當該吏員というところを、兒童委員または兒童の福祉に關する事務に從事する吏員というふうに限定することにいたしました。これも人權尊重の趣旨に出ずるものでありますが、警察吏その他のものが、これに藉口して不當に家庭に立入るというようなことのないようにする建前のものに修正いたした次第であります。
 第七點は、原案においては命令に委讓した部分が相當あつたのでありますが、命令委任の規則はできるだけこれを少くする趣旨から、法律で書き得るものはどこまでも法律で書くという建前をとりましたので、このために四箇條にわたつて修正を加えました。從つてこの法律施行の期日につきましても、原案は命令で定めることになつておりましたが、これをこの法律で定めまして、この法律の一部については明年の一月一日から、他の部分については明年の四月一日からこれを施行することに規定いたしました。
 修正案の概要は以上のようでございますが、右の修正に伴つて技術的な修正もありますし、なおこまかい修正點もありますが、それはお手もとに配付してあります案について御一覽願いたいと思います。
 以上で兒童福祉法案に關する審査を終りましたので、討論にはいります。
#3
○田中(松)委員 すべての國民が、兒童が心身ともに健やかに生れ、かつ育成されるように努めなければならないというこういう原則のもとに生れました本案でございますから、私どもといたしましては双手をあげて贊成するものでございます。しかしここで考えておきたいことは、今までこうしたねらいをもつて生れました法律というものが、實際の施行にあたつては、審議の機會に當局が涙を含め、温い血を含めた説明とは違つた方角にもつていかるる場合が少くなかつた、こういう點を十分考えまして、將來においては再びそういう轍を履まないように十分氣をつけていただきたい。それと、名前は兒童福祉法となつておりますけれども、修正案の中にいわゆる母子寮を加えるという一項ができましたことを見でもわかりまするように、名前は兒童福祉でありまするけれども、内容といたしましてはいわゆる母子の福祉でなければならないのでございますから、そういう點も十分生かすように願いたい。以上希望を附しまして本案に贊成するものでございます。
#4
○小野委員長 武田キヨさん。
#5
○武田委員 今まで權利を主張することができない子供が、新しい憲法によつて與えられましたために、殊に心身ともに健やかに生まれてそうしてその福祉は國家が、社會が保障するということを初めてここに法に表わして、子供の代りにその權利を護る法律として現われましたこの兒童福祉法案を、私は心から文化國家の日本のあり方として重要なる出發であると喜んでおります。今田中委員もおつしやいましたように、子供はいろいろな願いをもつておりますけれども自分ではそれを言うことはできないし、それをどういうふうに處理していいかわからないのでございますが、これをほんとうに、幸福な環境に育て、りつぱに育成を遂げしむるということは、おとなの責任であり、まさにこれは國の將來の運命にかかわると思いますと、りつぱに政治的に取扱わなければいけない問題でございます。その意味から申しますと、この兒童福祉法がおとなの頭で割出された兒童の福祉というところにもつていかれはしないかということを今おそれておるのでございまして、究極はその取扱い方になるのでございますが、どこまでも子供自身の福祉、子供自身の要求するものを與え、子供自身を伸ばすための福祉というところにもつていかなければいけないと存じております。そのためにはまずこの法案には現われておりませんけれども、子供が健やかに生れることから考えますと、まず結婚から考えなければいけないのです。そうして喜んで愛護されなければならないという立場を、境遇を子供がもつためには、その出生、誕生を喜んで祝えるような環境におかなければならないことを考えますと、まだまだこの兒童福祉というものの面に現われますより前に、その深い所に優生學的にも考え、そしてまた生れるべき子供の以前からのことも考えなければいけないと思つております。しかし何にいたせ、この子供のことにつきましては、生れました子供に對してはもうこれは絶對のものとして、この福祉を護るために、殊に母親としてその福祉を鬪いとるために命を捧げるものでございまして、一たびこういう法律が生れ、そしてこれがどのようにこれから先運營されるかということは、これはもちろん今までのすべての法律が、よく親心と申されましたけれども、如實にこの親心というものを織りこんだ法律であり、その運營でなくてはいけないと信じて、私どもは將來これを十分に生かし、行き屆いたものにする覺悟をいたしております。いろいろの小さいことにつきましてはもう審議し盡されておりますけれども、ただ一つここに申し添えたいことは、兒童の問題は、ある時期までの子供はほとんど母親というものと一心同體でございまして、母親が絶對の援護者、擁護者であると言われます。子供にとつて全能の神とも言うべきものが母親の立場ではないか。いかなる場合にも、とかにく母親があり、母親の胸が安全な護りであり、そして母親がこの指導者としては大きな力をもつのでございまして、この立場はほんとうに、ときには神佛と同じで、子供のお母さんというものは、成長した人がいろいろな場合に神を呼ぶと同じであろうと存じます。その唯一の子供のすがり場所である母親のために、殊に現在の状態において――今日十月一日の國勢調査の結果を見ますと、東京、埼玉を除きまして全國で大體女性の數が二百萬以上から多いのでございます。この婦人の多いということの裏には、數多い未復員者や戰死者の遺族、未亡人があつて、しかもそれが大概の場合ふところに子供を抱いておるということが想像できるのでございます。そういう人たちが必ずその子供を護るために健全なる状況に置かれておらず、少くとも兩親がそろつていない母親であるという場合には、子供の福祉というものは半減されるのでございます。それを何とかして完全なものにする。兩親の代りとして子供を護つていこうといたしますには、單に生活上の問題だけではなしに、精神的にも社會的にも非常に困難が伴うものでございますから、その意味から申しまして、兒童の福祉というものの根源に、この母親を大きく護り、母親の立場を確保する。母親の力を十分に兒童に伸ばすだけの立場を與えるということ、その點についてはまだまだ考慮されてよいように私は信じております。その意味から申しまして、この母子寮がはいりましたことは、非常に結構なことでございますが、この母子寮もむしろ兒童の福祉の諸施設が母子寮というものを中心にしてある部分は行われてもよいのじやないかと考えております。これはさらに實施にあたつていろいろと考慮すべきであると存じております。私は子供のためにこういうりつぱな法律が生れるということにつきましては心から贊成をいたしますと同時に、ほんとうにこの運營にあたりましては、まだこれが出發でございますので、今までのほかの諸法律の中で陷つておりますような、形式に流れたる、あるいは單に法をつくるときの氣持はただ法文のみであつて、末端に參りますときには取扱い方が非常にそれと離れておりましたりすることのないよう、末は結局法よりは愛をもつて大きく生きていきますように、この法案がこれから伸びてまいりますことを希望いたしております。この間兒童相談所に參りましたときにも、兒童相談所の形も、出發したというだけで、ほとんどその内容が盛られておりませんでした。またこれを出發點として研究すべきたくさんのものが殘されておると思いますので、私どもはほんとうに將來の文化國家のために、二十世紀はほんとうに子供の世紀だと言われましたが、その二十世紀を日本はこれから初めて子供の世紀としてもち得る。二十世紀が半ば過ぎました今日に至りまして、わが國にこの兒童福祉法が生れましたことを喜ぶと同時に、十分にこれを將來生かしてまいりますうに、政府の方にも要望いたしますと同時に、大きな力をもつて、民間の人々に、この正しい認識を徹底さすために努力せられるように希望いたしておきます。
#6
○小野委員長 榊原亨君。
#7
○榊原(亨)委員 日本自由黨といたしましても、この法案に對しましては双手をあげて御贊成申し上げる次第でございます。思いますのに、子供は心身ともに健やかに生まれ、かつ育てられるということは、日本の國民だけでなしに、すべての國民に共通して最も重大なる意義のあることは當然でございますが、特にわが國民にとつてさらに重大な意義があることを私どもは思うのでございます。この戰時中を通しまして、いかに子供は虐待されたかということを考えてみますときに、私どもは涙なしにはこれを見ることができないのであります。敗戰の今日となりまして、大くの日本國民を失いまして、その失いました國民に對してただ一つのりつぱな記念碑を建てるという意味から申しましても、戰時中虐待されましたその子供に對して、温情をもつて迎えることのいかに必要であるかということは、當然私どもの責任であると存ずるのでございます。さらに私どもはほとんどすべてのわが國家のもち物を失つてしまつたものでございますが、ただ一つ私どもに殘されましたこの子供を、將來に託して完全に育て上げることは、私どもの何ものにもまさる責であるということを自覺いしたいと存ずる次第であります。すべての法律、ほとんど大部分の法律が、おとなのためにつくられたる法律でございますのに、國民の大半を占むるところの子供のためにできている法律は數少いものでございまして、その少い法律の中にただ一つここに子供の世界だけの法律ができてきたということは、私どものほんとうに喜びをもつて迎えるところでございまするが、それと同時に當局におかれましても、單にこれが機構の問題だけに止まるようなことでなしに、いつでも具體的な施策が温情をもつて行われることを希望いたす次第でございます。またその運營に當りましても、常にこれが民主的であるということが必要でありまして、いつでもこの法律が子供の世界にだけできた法律だということをお忘れないように、子供の世界を中心としてお考えくださいまして、具體的なる法策を立ててくださいますように希望する次第でございます。
#8
○小野委員長 野本品吉君。
#9
○野本委員 國民協同黨を代表して簡單に所見を述べまして、この法案に全幅の贊意を表したいと思うのであります。國民の義務として、子供が健やかに生れ、かつ育つように努力しなければならない。また子供の權利といたしまして、その生活が保障され、愛護される。この二つの兒童福祉の原則を確立いたしまして、これを全兒童の上に適用しようとする點におきまして、私はこの兒童福祉法は實に日本におけるまれに見る進歩的なものであり、そして日本の厚生史上に一新生面を開いたということを痛感いたしまして、全國の母性及び子供とともにこの法案の成立を祝福せざるを得ないのであります。しかしながら案の内容、實體等をしさいに見ますというと、しばしば意見が出ましたように、やや消極的な感なきを得ないのであります。私どもは法案の實施に當りましては、でき得る限り、その規定運營の上におきまして、積極的な面に御考慮を拂われたいと思うのであります。一例を申しますならば、兒童厚生施設の問題等におきましても、道路で遊んではならないと言われた子供は一體どこへ行つて遊んだらよいのか、低調卑俗な文書、繪畫等に接している子供に對して、どういう子供のためのものが與えられておるか、映畫においてもまたしかりであります。要するに私はこの法がややもすれば消極的に理解されるのではないかということをおそれる者の一人であります。私はこの法案の成立によりまして、日本中の母性と子供の上に大きな福祉がもたらされる日の近いことを心から念願いたしますと同時に、これによつて今後數十年、百年の長きを要するのであろうと思う日本の再建の根基を力強く守り立てていくことのできることを期待いたしまして、この案に贊意を表する次第でございます。
#10
○小野委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。各派共同提案になる修正案に御贊成の方の御起立を願います。
#11
○小野委員長 起立總員。よつて各派共同提案の修正案は可決いたされました。
 次に、本修正の部分を除いた他の部分について採決いたします。原案の通り決するに御贊成の方は御起立を願います。
#12
○小野委員長 起立總員。よつて修正案を除く他の部分については、原案通り可決することに決しました。
 なおこの際お諮りいたしますが、この修正案文中の條項の整理については、議長に御一任いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
#13
○小野委員長 異議なしと認めまして、さように決します。
 なおお諮りいたします。衆議院規則第八十六條による本案に關する報告書の作成については、委員長に一任させていただきたいと思いますが、御異議ございませんか。
#14
○小野委員長 異議なしと認めまして、さように決します。一松厚生大臣。
#15
○一松國務大臣 ただいま兒童福祉法に關しまして執心に皆様方御討議の結果、原案に對する幾多の缺陥についてこれを補正すべく最も適しましたる修正案が可決せられまして、その以外の法案とともにここに委員會において成立を見ましたことは、私どもといたしましてまことに感激にたえません。この御修正の意味を十分に尊重いたしまして、皆様方の御意見のありましたことを基礎にして、この法案の運營に對しましては萬遺憾なきを期して、この法案の目的を達成したしたいと考えます。ここに政府の所見を述べまして、皆様方の執心なる御審議に對しまして、感謝の意を表します。
#16
○小野委員長 この際理事の申合せに基きまして一言いたしたいと思います。この兒童福祉法案は、先ほども申し述べられましたように、日本が文化國家を建設していくその途上におきまして、非常に意義の深い法案であろうと思います。従つてこの法案を立案されました政府におきましては、今日の政治情勢、經濟情勢等からなみなみならぬ苦心を拂われたと思うのでございますが、聞くところによりますと、本法案の立案の中心となつておりました米澤政府委員は近くこの法案の成立を機會に退職せらるるやに聞いております。まことに殘念でございますが、米澤君がかりに退職せられましても、同君の手になるこの兒童福祉法は將來長く子供の上に光ることだろうと考えます。私はここに本委員會を代表いたしまして、同君の本法案成立のために傾けられました御勞苦に對して深くこれをねぎらいますと同時に、深甚なる敬意を表し、併せて同君の將來の御多幸を祈りたいと思いま
 本日はこれをもつて散會いたします。
   午前十一時五十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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