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1947/11/10 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第29号
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1947/11/10 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第29号

#1
第001回国会 厚生委員会 第29号
昭和二十二年十一月十日(月曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君
      中原 健次君    福田 昌子君
      松谷天光光君    園田  直君
      竹田 儀一君    降旗 徳弥君
     小笠原八十美君    近藤 鶴代君
      村上 清治君    野本 品吉君
      齋藤  晃君
 出席政府委員
        總理廳事務官  三橋 則雄君
        厚生事務官   葛西 嘉資君
 委員外の出席者
        厚生事務官   久下 勝次君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 醫療制度に關する件
 國際電氣通信株式會社等の社員で公務員となつ
 た者の在職年の計算に關する恩給法の特例等に
 關する法律案(内閣提出)(第四六號)
 恩給法に一部を改正する法律案(内閣提出)(
 第六六號)
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續きまして恩給法の一部を改正する法律案及び國際電氣通信株式會社等の社員で公務員となつた者の在職年の計算に關する恩給法の特例等に關する法律案の審査を行います。なお本日は時間の餘裕もあるかと思いますので、議題になりました二法律案に直接關係のない問題でも御發言の御希望があれば許したいと思います。野本品吉君。
#3
○野本委員 恩給を現在支給されております大勢の人たちの生活の問題につきましては、この前いろいろと質疑應答が交されたのでありますが、この點に關係します一、二の點について質問をしたいと思うのであります。
 恩給の問題は、公務員法の規定するところによりまして、人事委員會においてなるべく早く全面的なまた根本的な研究を遂げて、適當なる對策を立てるようにしなければならないということが規定されておるのでありますが、公務員が實施され、直ちにこれに著手せられたといたしましても、相當の期間を必要とするであろうと思うのであります。今直ぐ著手されましても問題でありますのに、今後公布されます公務員法の規定によりまして、これから先相當な期間がなければ恩給が改正されないということになると、現在でも困つております多數の恩給受給者の生活の將來を考えますと、私どもは默つて見ておることができないように思うのでございます。そこで受給者の生活がいかに苦しい状態におかれておるかということは、この前いろいろな方面から意見がでましたので省略いたしますが、ここで政府にお伺いいたしたいことは、政府としては先ほど申しました公務員法が實施され、公務員法による人事委員會の檢討を經て、對策が立てられるまで、この問題を放置しておくのであるかどうかということであります。
#4
○三橋政府委員 公務員法が實施されまして、人事委員會において恩給制度が檢討せられ、そして新たなる恩給制度が確立せられるまでには、かなりの時日がかかるだろうと存じます。この點につきましては、今野本委員の仰せられた通りだろうと思いますが、それならばそれまで現在の恩給受給者の生活の困つておることを認めながらも、そのままに放任しておくかということにつきましては、政府としては恩給受給者の生活の非常に困窮されておる實情はよく存じておるところでございますから、何とかそれまでの應急的な措置といたしまして、何らかの對策を講じたいと考えていろいろ案を練つておりますけれども、まだ具體的に處置し得る結論に至つていない實情でございます。この點は一般の恩給受給者に對しまして、私たちとしても心苦しく考えておる次第でございますが、今後この方面につきましても、でき得る限りの精進を續けまして、應急的な措置を講ずるようにいたしたいと考えております。
#5
○野本委員 應急的な措置を講ずることによりまして、これらの人たちの生活を保護していこうとする意圖のあることがはつきりいたしまして、私は非常に感謝するものであります。
 さらに伺いたいのでありますが、恩給受給者の數及び金額等について、先般提供していただきました資料によりまして私の調査したものがあります。なおただいま別の調査も手もとに屆いたのでありますが、これによりますというと、年齡別にいたしますと、六十歳以上の恩給受給者は人員において四萬五千四百八十二名、金額において三千四百六十七萬九千九百三十一圓、これと全受給者との比率を見ますというと、人員において五四・二%、金額において六〇・二三%、五十歳以上の者が二萬六千八百二十三人、四十歳以上の者が一萬一千百八十人、三十九歳以下の者が四百十七人ということになつておりまして、六十歳以上の者が全受給者の半數以上を占めておる。この事實を私どもはどうしても見逃すことができないのであります。六十歳を超えるということになりますというと、すでに現在のこのめまぐるしい、非常にあわただしい世相の中におきまして、みずから仕事をみつけて働くことのできない人たちであります。これらの人たちはこの恩給を一つの頼りにして生活していく以外に大體道のない人たちだ、かように考えて差支えないと思うのであります。そこで私たちは、もし財政その他の關係上、一度にこの恩給の増額をすることができないとするならば、せめて六十歳以上というような生活能力のきわめて弱くなつておる者、それから年齡の點は別といたしまして、病氣その他の生活條件においてきわめて惠まれない者、こういう特殊な者を對象として、暫定的に至急對策を講じなければならない。かように考えるのでありますが、このことについてどのようにお考えになつておりますか。お伺いしたいと思います。
#6
○三橋政府委員 恩給の應急的な處置をしまする場合におきまして、今お話のようなことは十分に參考といたしまして考究しなければならぬことと存じます。一般的に恩給を増額するといたしますれば、また國家の一般的な財政その他の點から支障を來す點もありましようし、また社會思想の面から考えましても、おもしろくない點もあると思いまするし、また恩給本來の趣旨から申しましても、相當の年齡に達して、經濟的な獲得能力を喪失した人を主たる對象として、支給しなければならないことはもちろんでございますから、そういうふうな點から考えましても、今お話のように、相當の年齡に達し、あるいはまた傷痍疾病にかかつて、働く能力のなくなつてしまつておるというような人を、特に考えなければならないということにつきましては、まつたく御同感でございます。
#7
○野本委員 ただいまの御答辯によりまして、當局が恩給受給者に對しまして、どういう氣持でおられるかということがはつきりいたしまして、私といたしましてはきわめて滿足するものであります。要するにこれらの問題は、あすの百圓よりも今日の十圓が問題なんである。來年の千圓よりも今の百圓が問題なんです。この點を十分お考えくださいまして、できるだけ早い機會に、これらの問題の解決に關しまして、萬全の努力を希望いたしまして私の質問を終ります。
#8
○小野委員長 松谷天光光さんに申し上げますけれども、醫務局長はちよつと所用のために御出席になれぬようであります。醫務局の次長が代つて出ておりますから御承知願います。松谷天光光さん。
#9
○松谷委員 私は醫療制度に關しまして、今囘發表されつつありますもと軍醫に關する追放の問題について二、三お伺いしたいと思います。なおただいま私の手もとにまいつております資料は、栃木縣の國立病院と東京國立第一病院、この二つの資料から推して御質問申し上げたいと思います。栃木病院におきましては、約五名の醫師が公職追放該當者として栃木病院を去ることになつておる。そのためにその醫師のもとに醫療を受けておられる約五百餘名の患者の方々の前途は、暗澹たるものになりつつあるという現状でございまして、これに對する醫師退職の猶豫に關しての嘆願が、その患者諸氏の連名によつて參つておるような状態であります。また東京第一病院の調査によりますと、大體醫師總數が六十一名、これは熱海、小室の分院を含めたと申しますが、この六十一名のうちで追放該當者の方は三十二名おられる。この約半數にわたるところの追放該當醫師の方々の現状、殊にそのもとに、第一病院は言うまでもなく特別な一つの整形手術を大體専門になさる。全國から整形手術を受けられる方々が東一に參集しておられる。他の病院では手術を受けることができないような重症患者がせつかくその信頼するところの醫師のもとに集まられる。そうして明日への希望を抱いておる矢先において、自分たちがつえとも柱とも頼む、生命のただ一つの光明として期待をかけておる、その先生方が今ここで追放を受けて職を退かれる。その前に自己の五體のその將來を考えたときに、まつたく希望を失わざるを得ない。すでに精神的な動揺が非常に大きく現われつつある、東一の例から見ますと、戰傷患者の治療が終るまでには、大體あと二三年はかかるであろう。長い方は中には四年、五年の方もあるやに考えられております矢先、この半數にわたるところの先生方を追放された、そのあとの處置は一體どうなさるつもりか、いかにしてその補充をなさる御計畫であるか、あるいはまたその補充がはたしてできるのかどうか、これを一つ伺いたいと思います。
 また次は、たとえそこに補充ができたということになりましても、少くとも今まで四千遍に近い手術をしてきておられるところの現在の醫師の方々から考えれば、これから初めてそうした大手術に經驗をもたれていかれる新しい醫師の補充に對しては、非常に患者が不安をもつことも事實でありますので、そうした話なども現在の厚生省としての御計畫を伺わせていただきたいと思います。
#10
○久下説明員 松谷さんのお尋ねに對しまして私からお答え申し上げます。實はお尋ねの點につきまして詳細な資料を手もとにもつてまいりませんでしたので、後刻また數字について申し上げたいと思いますが、ごく概略のことを申し上げておきたいと思います。
 國立病院に勸務しております軍醫につきましては、公職追放の問題の起りましたときからの問題でございまして、正式軍人でありました軍醫は申すまでもなく追放令の出したときに退職することになつたのでありますが、病院の特殊性から、今日まで逐次にこれを交替させて、醫療問題に支障のないようにするということで留任を認めていただいておつたのであります。最近に至りましてさらにこの問題が根本的に再燃いたしまして關係筋とお話合いをいたしておるのでございます。現状は舊大佐級に屬しまするもの約七十名ほどの人々は、この機會にどうしても退職をしていただかなければならないということに相なりまして、ただいまのところ逐次辭表の提出を求めておるのであります。後任につきましては、多くの人が院長等をしております關係上、目下のところ、各方面に折衝いたしまして急速に補充をいたすように取計らつておるような次第であります。大佐以外、中佐以下の人々につきましては、お話のようにその人々が全部退くことになりますと、醫療上ゆゆしい問題が起きますので、病院の經營上特に必要な人々、あるいは特殊技能をもつておつて殘留を必要をする人々につきましては、目下留任申請をいたしておるのでございます。中佐以下の人々については、今のような關係でしばらくは留任が認められるのではないかと期待いたしておるのであります。從つて問題は、大佐級の軍醫の人々だけが現實の問題としてあるのでございます。ただこれはお話のごとく、その人々が去りますことは、病院の經營上、あるいは患者のために困る場合が絶無とは申されないのでありますが、今申したような事情で、どうしても退職のやむなき事情に至つておりますので、私どもといたしましては、急速に適任の後任者を得まして、お話のような支障のないように努めたいと考えておる次第であります。
#11
○松谷委員 ただいまのお話で、大體大佐級に屬する七十名に對しては、ほとんどこれは確定的であるというように伺つたのでありますが、その中においても、特に補充のきかないというような、また特別技能者に對しても、これは特別留任をなおその筋にも現在まで要請しておられるのでありましようか。あるいは全然そうした依頼をまだ當局としてはしておられないのでありましようか。
#12
○久下説明員 私どもといたしましては、最近にこの問題が起きましたときに、大佐級も含めまして病院經營上必要な人々の留任を申請いたしたのでございます。いろいろ折衝いたしました結果、先ほど申し上げたような状態になつたのであります。
#13
○松谷委員 なお中佐以下の特殊技能者の留任については、その留任の年月等についてはなおお打合せなどもあつたのでございましようか。
#14
○久下説明員 まだ最後の確定まで至つておりませんので、年限につきましては今日のところ申し上げられないのであります。私どもとしましては、先ほど松谷さんから仰せの通り、あとの醫療に支障のないというような見透しのつくまでは、留任をお認め願うようにお話合いをいたしておるのであります。その限度がどの程度になりますか、まだ最後の決定に至つておりませんが、私どもとしては今申し上げたような考え方で、御意見の通りの取扱いをするようにお願いをしておるのであります。
#15
○松谷委員 なおその患者の方々が一番念願されるところは、手術の途中で醫師が變るということを非常につらく考えられ、できるならば、どうしてもわれわれの希望が實現することができないで、公職を退かれるという最悪の場合がかりにきたといたしましても、その手術を半分まで受けたところの醫師に、今後院外においての醫療を受けることが可能であるかどうか、そういうことは許されるものかどうかということを氣づかつておるのでありますが、こういう點についてはいかがなものでありましようか。
#16
○久下説明員 お尋ねのような點につきましては、具體的な場合に考慮いたさなければならないと考えておるのであります。私どもといたしましては、なるべくその病院に後任に適任者を得まして、わざわざその先生の所へ行かなくても、病院において差支えのない治療を受けられるようにいたすことを原則として考えております。どうしてもその人でなければならないというようなことがございましたならば、具體的な場合によく考えたいと思いますが、ただいまのところさような考えでおるのであります。
#17
○松谷委員 大體御説明によつて了解ができたのでありますが、ただいまの御説明にもあつたように、その重要な地位にあり、また多數の患者の光となつておられる醫師の方々が退職なさる場合においては、ぜひ早急にあとの手配を十分にしていただきたいということをお願いいたしますと同時に、非常に精神的動揺をそういう點においてしておられるところの各國立病院の、殊に大きな手術を受けられつつある患者の方々に對して、そのあとの處置を完全にするということを、ひとつ何らかの方法において各患者の方々に御通達をいただき得るならば、非常に患者の方々も安心して明日よりの治療に當ることができると考えるのでございます。この點をお願いいたしておきます。
 次に社會局長が見えておられますのでお尋ねしたいと思います。それは生活保護法の扶助料に對する問題でございますが、具體的な事例をもつて伺いたいと思います。生活扶助料は今年の四月一日に大増額があり、なお本年の八月一日よりの増額があつたと考えておりますが、これに對して未だ依然としてその増額支給がなされておらないという事實がございますので、調査を進めてみましたところが、これは具體的にその事例を申し上げますと、東京都立川市高松町の問題でございます。高松町三の六三長塚國吉ほかこの地區に住居され方々に對する扶助料が完全に行われていないという事實でございます。市役所の方の厚生課に問い合わせてみましたところが、これは厚生省からその増額分が支給されておらないからだというような答辯があつたのでございます。これに對して厚生省ははたしてその増額分に支給が未だなされておらないのであるかどうかという點を伺いたいと思います。
#18
○葛西政府委員 扶助の基準額が引上げられましたことについては、ただいま松谷委員お述べになつた通りでございます。御承知のように扶助の基準額を上げたいといいますのはこれはそれぞれ物價が上つたことに伴つて上げたわけであります。八月のは御承知のように新物價體系に伴うものとして上げたわけであります。また今度米價の引上げが御承知のようにございましたので、これに伴つてまた基準額の引上げをなさなければならぬというふうに思つております。御承知のように基準額を引上げるというのは、標準基準額はあくまでも標準でございますので、標準の額というふうに御承知をいただきたいのであります。個々の家庭について最低生活を保障するという生活保護法の精神から申しますれば、いろいろ收入がありましたり、あるいはまた家族の構成に變動がありましたりなどいたしますると、必ずしも基準額の引上げがあつたから、すぐにその家庭に引上げの額だけ上げるということは申せないわけでございます。基準額が引上げられると同時に、その家庭でも別に收入等があるような場合におきましては、所定の收入を差引くというふうなことになつてまいりますから、當然増額があつたから全部の要援護者約二百九十萬の人に對して、それだけの引上げがあるということには實際なつておらぬのであります。これは今申し上げますように、構成員あるいは收入の差引というふうなことで引上げが行われておらないものもあります。しかし八月末の調べによりますると、七月と比べますとずつと上げられたはずであります。八月は一月分の支出が約三億ということになつております。七月は二億六千萬圓か七千萬圓で三千數萬圓の引上げがあつたわけであります。これはあまり正確ではありませんが申し上げておきます。これは數が増したのもありましようし、基準額に伴つて増額されておるものも含まれておるというふうに存じます。今お述べになりました立川等でどういうふうな實例になつておるかということは私具體的に調ベておりませんから、ここではつきり申し上げられませんのですが、政府の方から増額分の支給がないからということを、立川市役所で言つたと松谷委員は仰せになるのでありますが、これは基準額が引上げられるに伴いまして、相當要るだろうというふうなものは概算で交付をいたしてございます。金を交付いたしましたのは十、十一、十二月分を十月の四日に送つております。それから七、八、九月分を七月に送つておるのであります。從つて七、八、九月に送つた分から、八月から引上げたものは支拂わるべきはずであります。あるいは八月の値上りも大體こういうことになろうというわけで、七、八、九月分を送りますときに若干その含みをもつて配當いたしております。特に八月一日から基準が上ることになつたから増額の配當をするという措置はいたしておりません。しかしもし生活保護法の方で足りないということでありますれば、これは知事の申請によりまして、義務費でありますから追加して送ることにいたしております。十月、十一月、十二月分を送りますのは非常に額も多くて、おそらくこの三月分として十二億三千萬圓か全國に配付をいたしました。七、八、九月分より大分よけいになつております。數字が違つておつたらお許しを願いますが、それくらいの金を送つております。なお足りない部分については、殊に災害地等においては要援讓者が殖えるという状態もありましようから、そういう場合には追加する。たとえば先般の關東、東北の災害のような場合には、十月、十一月、十二月分を十一月なら十一月中に使つてしまつて、十二月分が足らなくなるというふうな場合には、追加で配當をするということを縣廳によく申してあります。東京都等の場合においてもそういうふうな心づもりでおりますから、足りないということでありますれば、追加するということに相なります。
#19
○松谷委員 社會局長の詳細な御説明で大體厚生省のおとりになつていることについては了解することができました。この生活扶助の基準増額は、私も今御説明になつた通りに理解をいたしておりましたが、ただ立川市役所の厚生課から参りました書類によりますと、たいへんこまかいことになつて恐縮でございますが、ただいま取上げております要保護者は、昨年の十一月から扶助料を受取つておる者でありますが、從來は百圓の收入があつた。從つて扶助料はその百圓を差引いた額であつた。それが本年の九月一日より民生委員の報告によつて、全然收入なき要保護者としての取扱いを受けるようになり、現扶助費は十五圓七錢に變更しておりましたが、「生活扶助費支給額限度引上げによる國庫及び都補助金未交付のため從前通りの額にて支給しあり」という書類がこうして届いておりますので、私としてはここに國庫及び都補助金が未交付だという言葉がありますので、厚生省から未だにその基準引上げについての全額が出ておらないのだろうかという疑念を抱いたわけであります。今局長さんから國庫からの支給は當然なされているということを承りましたので、なお詳細調査いたしまして、こまかい點についてはその係の方とも打合せをいたしたいと思います。ただこの際局にお願いしておきたいことは、こういう事例は私は決してこれ一つに止まらないと考えるのでございます。殊にせつかく地方におきましてその當局の御盡力にもかかわらず、末端に参りますると、こうして中央の意思がほとんど届いておらないというような點があまりにも數が多いのではないかと考えますので、ひとつこの際に扶助料がはたして徹底されておるものやら、どうやら、殊に要保護者の立場はみな弱いものでございまして、そういうことを民生委員に言い出すのさえも、疑問を抱きながらも、なかなかその調査を自分の手からすることができないという状態でございます。このもつてまいりました本人にいたしましても、二人家族で二百六十數圓の扶助料を受取つておる。これではどうしても生きていかれない。もう死ぬ直前になつて人からやつと誘われて相談に來た。そうして調査を進めてみると、どうも私も腑に落ちない點もあるので、強く生きていただくことを申し上げると同時に、そうした弱い方々が團結して、ひとつ扶助料の調査を進めてみたらどうかということを申し上げ、なお私も厚生課等と交渉を重ねました結果、こういう事實が判明いたしましたので、厚生省中央部から末端に對してのなお再度の御調査をしていただきたい。そうして默しておる弱い方方に對して、ほんとうに國家の温かい御努力そのままを末端にまで行き渡らせていただきたいとお願いをいたします。なおこの問題については、あとでこまかい御相談をさせていただきたいと思います。
#20
○葛西政府委員 松谷委員からたいへんこまかく事情をお聽かせいただきましてありがとうございました。今お伺いいたしますと、本年の九月一日からは全然無収入の家庭というような取扱いになつておるそうでありますが、もしはたして民生委員なり、あるいは市役所なりで調べたところが無収入の家庭であるというふうなことでありますれば、家族の構成員に差がなければ當然同額がいただけるものだと私は今そういうふうに思います。國庫及び補助金末交付につきというようなことは、市役所が申したとすればたいへんおかしなことであります。特に増額はいたしませんけれども、どんどんおつしやつていただきまして、足りないということであれば、追加交付をするということは何遍も都道府縣の當局には申してあることでありますので、これは何かの誤解ではないか、足りないということであれば、追加していくという措置は十分とるつもりでございます。實際二百數十萬、三百萬に近い要援護世帶につきましては、今申したように當然増額をすべきものに、増額が行届いておらぬというような措置もあろうかと思います。またあるいは逆に初めは女と子供だけで要援護世帶になつておつたが、主人が復員をしてきた、あるいは外地から引揚げてきたということになり、初めは収入がないから繼續してずつと扶助をもらつておつたというような者もいるのでありましようけれども、主人が、就職をして若干の収入があるにもかかわらず、依然として扶助を繼續しておるというような事例も私ども耳にするのであります。かような場合は當然扶助を打切るべき、あるいは減額をすべきものであります。そういうふうなことで扶助の個々の世帶について適正にいつておるかどうかというような點、非常に心配になりますので、これは財務當局と打合せをいたしまして、本年の十二月一日現在をもつて全國一齊に要援護世帶の實情調査をすることになつております。これはすでに地方廳にもその方針を示しまして、個々の世帶についてカードを配りまして、そうして民主委員なり、あるいは役場の吏員等が出まして、これに必要な若干の經費は財務當局からいただきまして、一齊調査をすることになつております。そういうときに今のような例は當然ひつかかつてくると思います。これは個々の世帶のほかに、あるいはよく國會で御議論がありました、金が送つてあるにもかかわらず、どこかで止まつておるというようなこともよく聞くのであります。從つてその金をこつちで送つた人、縣廳に著いた日、それから市町村に著いた日、それをどういうふうに經由しておつたかということまで、この機會に全部調査することになつております。こういう時に發見をいたしまして是正されるものも多いだろうというふうに思つております。このことを併せて御報告申し上げておきます。
#21
○松谷委員 ただいまの重ねての局長の御説明で諒といたしました。十二月一日に全國一齊調査がなされるということを伺い、非常に心強く思うものでございます。せつかく國家が出されて途中で行方知れずになつておるところの扶助金問題については、ぜひひとつ十分に御調査をいただき、こうした今日の一切の悪を除去してまいりたいと考えております。なお民生委員の問題はいずれ厚生委員會で別に扱う問題であると考えますので、きようは略さしていただきたいと考えます。
 なお民生委員の方々に對する當局からの調査、常に温かい氣持をもつて一人一人の要保護者の實態調査、あるいはその實態を聽いていただくように、あるいは調査を怠りなく進めていただけるように、まだまだ實態は、いつも各委員から言われるように、私どものところに直接訴えに來る、その裏には民生委員にはどうしても訴えられないという實態の在しておるために、民生委員を飛び越して私どものところに來られなければならないということが存在しておるのでありますから、ひとつこの點もお含みいただいて、十二月一日のお調べの中には民生委員に對する調査を特別に御配慮を願い、あるいは通達というものも併せていただけるならば、非常に幸だと考えております。私の質問はこれで打切ります。
#22
○山崎(道)委員 ちよつとこれに附隨してお伺いしたいのでございます。當局は非常に生活保護法の實施には頭を使つておいでになるにもかかわらず、末端においては思うようにいつていない。これはしばしば耳にして私もやかましく言つておることでございますが、これについていまひとつお伺いしたいことは、地元負擔金一割のことで、葛西さんの氣持はよくわかつておるのでございますか、このごろでは地元に何かと出費が多い。地方自治體の財政が困難であるというような立場から、非常に扶助額が上つてまいりましたので、一割負擔が苦しいというようなことで一割を差引いて全額渡したことにして、その地元負擔金の一割は差引いて渡しておるというような例がたくさんあるのでございます。これに對してどういうようにお考えでございましようか。あくまでも地元負擔金をいわゆる社會愛というようなつもりで残しておいた方がよいという御意見なら、こういう現實に起つておりますることに對しては、どういうふうな處置をおとりになるお考えであるかということを伺いたい。
#23
○葛西政府委員 山崎さんのお尋ねでございますが、私どももそういうことをやつておるというふうな話を一、二耳にいたしたのであります。具體的にそういうふうな話があつた場合には、現在の法律におきましては一割を町村にもつてもろうということは、國の生活保護法でちやんときめてあるのであります。これをたとえば千圓やつて、一割の百圓を返してもらつて、九百圓だけやつておつたというふうなことをそのまま私は放置する意思はございません。九百圓しか現實に本人に渡つておらぬものならば、九百圓の一割負擔を地方廳の清算でさせるつもりであります。そういう例があつたということを聞いたときには、それは九百圓で清算をしろというふうに申しております。法律できめてあるものを地方が負擔しないということは、政府としてはできぬことであります。
 それから一割負擔の問題につきましては、これは山崎さん御承知のように、私ども法律の御審議をいただきます際にもそうでありますし、やはり國、公共團體というふうな組織でやることになつておりまする以上は、地方にある程度の負擔を願うということが、立法論の立場から見ても適當じやないかというふうに考えております。それから地方財政の苦しい點も、これは今お述べの通りであります。なかなか火の車であります。しかし先般も内務省なり、あるいは大藏省當局と、實際全體の地方費負擔というような觀點から、地方の聲がやかましいものでありますから調査をいたしました。府縣市町村の全體の經費をまとめてみますと、ちよつと大雜把な言い方であります、八パーセントくらいがこの生活保護法の金だということになつております。具體的に町村等に参りますると、六割くらいをもつていただいておるところもあるようであります。そうなふうなわけでありまして、實際全體が、地方財政の状況から考えますと、生活保護法の一割負擔がもてないという實情ではないという結論に到達をいたします。私山崎さんにはかねて申し上げたことでありますが、近縣の村へ突然に行きまして具體的に調べてみました。そうすると一戸あたりの生活保護法の負擔というようなものをもつていただく金はきわめて少いものであります。これくらいの金がもてないというようなことで、これを全額負擔にしなければならぬというふうな段階にはまだ達しておらぬ。それよりもやはり隣保相扶と申しますか、社會連帶と申しますか、そういうような意味である程度地方に負擔していただいて、そして國と地方と相呼應して、生活保護法を實施してまいるというような現在のやり方の方が、立法論としても適當ではないかと思つております。金額も負擔できないことはない。また一戸當りに具體的に調べてみましても、大した金額になつておらぬ。むしろ何かためにする一つのあれじやないかというふうに思わせられる節もあるのであります。いろいろな經費の國庫の補助もありましようけれども、八割を國庫で出しておるというふうなものはあまりそうたくさんはないと私は承知いたしております。それで横道にそれておそれいりますが、一割負擔というようなことも、もし差引いてやつたとするならば、差引いたものを實際の給與額として、そのものの一割を地方に負擔させて清算をさせるという方針は、これは現在の法律がそうでありますから、これをぜひそういうふうにしたいい思つております。
#24
○山崎(道)委員 現在の法律がそうですから、確かに法の建前からいけば、一割差引いたものを支給した場合には、その中の一割をまた地方な負擔させる、それは公式論でございます。けれどもこれはどこで調べられますか。民生委員と町村長というものはそういう腹でやつております。それで保護を受ける者は弱いのでございます。こういう場合にはなかなか調査は困難だと思います。それからいま一つは、とにかく渡したことに帳面づらはなつております。千圓出して一割は地元で負擔したということになつておつて、現實には本人に九割しか渡つていないということになる。そしてまた九割から一割引くということになれば、政府や町村はいいかもわかりませんが、もらう方はばかをみちやう。私はどうしてもこの點をよほど徹底さしていただかなければ、松谷さんも申されましたように、弱い者がいつも泣寢入になつております。殊に八割を政府が負擔をして、二割が縣と地元負擔であるにもかかわらず、この生活保護法の適用にあたつてこういう摩擦が各所に起きておりますのは、私非常に心細く思つておりますし、今度の兒童福祉法が通りましても、いろいろな施設費が地方にいくということになりますれば、なかなかこれが寛現することは困難だと思いますので、この精神を何とかひとつ徹底さしていただかなければ困るし思います。それから今言しましたように、地元負擔が一割ということになると、最高額はどうしても出せないのです。困つていても、なるたけ出さないように出さないようにとしてまいりますのが地方の人々のやり方でございますので、私は受ける人の立場になつてみるとき、葛西さんの話を聽いていると、なるほどなと思うのです。けれども現實にぶつかるとそうでないのです。だからそこの一割負擔のことは今後十分に研究してまいりたいと思つておりますが、現實にそういう面があるのを今度はもつてまいりまして、ひとつその方面の御教育を願いたいと思います。
#25
○葛西政府委員 實際に即しての山崎委員のお話、どうして發見するかということでございますが、これはやはり私どもが耳にしましたのも、そういうふうなことが要援護者の口から漏れるか何かいたしまして、ある村にこういうことがあるということを縣廳が聞きまして、そうして私どもに言うてまいつたのであります。こういう場合にはそうせいということを縣廳に命じております。そういうわけでありますから、十二月一日の一齊調査の場合にもその擔當の民生委員だけではなしに、地方事務所もしくは縣廳あたりからも行つてもらうつもりでございます。そうして今お述べになつたような點を見つけることも、たいへん大事な一齊調査のねらいでございます。松谷委員が申されました民生委員のいろいろな注意ということもねらつておりますが、また今山崎委員の仰せになりました點も、今度の一齊調査では縣廳、あるいは地方事務所からは各町村へ行つてもらうつもりであります。相當旅費等もいただきましたから行つていただくことにしてみるつもりであります。しかしグルになつてやつておつた場合に、これをどうして發見するかということは、山崎委員御指摘のようになかなかむつかしい問題でありますけれども、これはいろいろな聞きこみなり、投書あるいは國會の方々から具體的にお述べいただいた例、こういうようなものも實際につきまして地方廳等で調べまして、實は私の方では投書そのほかのものがある場合には決しておろそかにいたさないで、必ず地方廳を通じて調べさせて結論を得ております。そんなふうにしてそういう間違いがないようにぜひしてまいらなければならぬ。法の權威のためにもぜひやつてまいらなければならぬというふうに思つております。地方負擔の問題は山崎委員愼重審議を願うということでありますから私どもも研究をさしていただきます。
#26
○山崎(道)委員 局長の御執心な御調査によりましてぜひこういう面を是正していただきたいことを強く要望いたしておきます。それから生活保護法で増額になつたけれども、これはあくまでも基準額であつて、一律に増額すべきものでないということを強くおつしやいましたのでございますが、今要保護者は非常に困つております。配給がきても受けられないという人が多いのでございまして、全額最高額をいただいたも、考えてみましてやつていけるわけがないのでございますから、少く出そう出そうというような氣持を捨てて、ぜひ生きられるまで出していただくことをお願いいたしておきます。
 それからいま一つ、これはほんとうにお願いでございますが、醫務局の方で――私たちは非常に心配しております傷痍軍人の有料の問題でございますけれども、これについて生活保護法でやろうということになつておりますが、なかなかこれは適用に當りまして地方町村でこの醫療費を出してくれないのでございます。これはまたいつも問題になつております扶養義務者の問題がひつかかりまして、思うように出していただけなくて非常に困つております。そのために話がつかないうちに退院をいたしますと、追つかけ病院の方から退院した先まで取立てが來ておる實例がございますので、こういう點につきましても法に涙をもたして運營するように御指令が願いたいと存じます。
 いま一つお伺いいたしたいことは、今入院料は生活保護法ではいくらになつておりますか、この點ちよつとお聽かせ願います。
#27
○葛西政府委員 第一にお述べになりました最低生活を保障するというのは、これは生活保護法に書いてあります通りでありまして、最底の生活をあくまでもこの法律によつて保障する基準額でございますから、どうしてもそれ以上要るという場合には、所定の手續を經てやるということを申しておりますが、その通りでございます。私國會へ參りますときに、縣から二つばかり基準外の認可を大臣に申請してきた例がございます。それを今見て來たのでよく記憶をいたしております。最近だんだんとほんとうに必要であるというようなことで、大臣まで申請してくる例が大分多くなりました。これはたいへん結構なことだと思つております。まあ出せないからなかなか所定のところまで出せないという實情のあることもよくわかります。またただいまそういうふうなことを申してきている例のあることも御承知願いたい。これらは機會あるごとに言つておりますから、最低生活をあくまでも保障するという建前は今後も守つていきたいと考えます。
 第二に傷痍者で病院に入院している者の有料の問題でありますが、今山崎委員は有料のものを生活保護法でやるというふうに言われましたが、生活保護法にかかるものは生活保護法でやりますが、生活保護法にもかからないし、また自分でも出せない者がありますれば、御承知のように病院當局で減免する處置をとることになつております。元傷痍軍人だからという理由をもつて特に生活保護法を甘く取扱うことは現在の状態ではできないことは御承知の通りであります。ただでき得る限り生活保護法の温かい精神でやれるように、無差別平等という限度において、できるだけのことはやつていきたいと思つております。最近國立病院の入院患者に對する生活保護法の適用のパーセンテージを見ますと、必ずしも一般と比較して少いというふうにはなつていない。従つて國全體から申しますと、これらに對する生活保護法の適用は峻巖であつて、もつとやらなければならぬという状態にはなつていないのじやないかと思います。しかしでき得る限り生活保護法の温かい精神で指導してまいりたいと考えております。入院料の方は御承知のように健康保險できめました一點單價四圓で、たしか二十點に四圓をかけたものということになつております。最近生活保護法で變更したのは、今まで施設へ入院している場合には、入院者に對して入院料から一割を引いたものをやつて、そのほかに施設事務費を出すというやり方でありましたが、八月一日から取扱いをかえて、一割をやめて入院料は全部いく。その代り施設事務費は出さないということにいたしたいのであります。この方が若干有利のようであります。
#28
○山崎(道)委員 生活保護法を特に傷痍軍人だから甘く扱えという意味ではないのですが、御承知のように遠くに入院しております者を、その地元に申請してやりました場合に、なかなか地元が思うように手續をやつてくれないのであります。それから先ほどからひつかかつております地元負擔金というものが禍をいたしまして、なるたけ出すまいという精神がここにも流れておるのでありまして、そういうことのないように、遠くに入院しておる者に對しましては、温かい氣持をもつて民生委員がすぐに扱つていただけるように御指示をぜひ願いたいと思います。
#29
○松谷委員 今の山崎委員の質問に關連して――なお山崎委員からも言われておりましたが、今局長の言われたその地元負擔によつて一割が差引かれた場合には、その差引かれた中の一割を差引いたらよいではないかという局長の考え方は、あまりに官僚的であると思います。少くとも官僚的な考え方はどうか厚生省においては除去していただきたい。とにかく机の上の數字ではそれが成り立つかもしれませんが、山崎委員からも言われたように、受取る方の身になつてみますれば、それがただ一つの命の綱であるということをよくお考えになつていただきたい。計算の上ではそれで濟む、あるいは厚生省の責任はそれで濟むのだというような從來の厚生省の行き方というものを、どうかここできつぱり切り捨てていただきたい。少くとも社會局長初め厚生省の方々においては、いわゆる官僚的と言われるやり方を絶對におとりいただかないように、ひとつたいへん僭越でありますが、お願いをいたしたい次第であります。
#30
○葛西政府委員 私の申し上げ方がたいへん惡かつたものですから、松谷委員から官僚的というおしかりを受けましたが、私どもは實はそういうつもりで申し上げたのではないので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。生活保護法は要保護者の最低生活を保障するという建前でありますから、私どももそれが足りなければ、最低生活は保障できないことはわかつておりますが、その意味で申し上げ方が不十分で惡かつたら訂正いたします。山崎委員から一割引いて渡したのをどうするかと言はれましたから、それはやはり一割引いて渡したものが扶助額であるから、精算のときは渡した額を基礎にして精算する。御質問がそういうふうでありましたから、申し上げたのでありまして、私の氣持はそれで官僚的で事足れりとして申しておるのではないということをよく御了解願いたいと思います。
#31
○小野委員長 本日はこれをもつて散會いたします。
    午後零時七分散會
ソース: 国立国会図書館
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