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1947/11/13 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第30号
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1947/11/13 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第30号

#1
第001回国会 厚生委員会 第30号
昭和二十二年十一月十三日(木曜日)
    午前十一時開議
 出席委員
   委員長 小野  孝君
   理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君
   理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君
   理事 有田 二郎君
      中原 健次君    福田 昌子君
      松谷天光光君    武藤運十郎君
      園田  直君    最上 英子君
      降旗 徳弥君    近藤 鶴代君
      村上 清治君    野本 品吉君
      齋藤  晃君    寺崎  覺君
 出席國務大臣
        司 法 大 臣 鈴木 義男君
 出席政府委員
        総理廳事務官  三橋 則雄君
        厚生事務官   宮崎 太一君
十一月十日委員竹田儀一君辭任につき、その補闕
として最上英子君が議長の指名で委員に選任され
た。
    ―――――――――――――
十一月十日
 生活協同組合法制定反對の陳情書(京都市上京
 區下立賣通京都府菓子商工業協同組合理事長梅
 田徳三郎外三十六名)(第四九四號)
 國立療養所患者の生活擁護に關する陳情書(鹿
 兒島縣鹿屋市西俣星塚敬愛園患者代表金丸正
 男)(第五〇二號)
 國立療養所栗生樂生園獄死事件に關する陳情書
 (國立療養所星塚敬愛園患者代表金丸正男外九
 名)(第五〇三號)
 生活協同組合法制促進に關する陳情書(山形縣
 米澤市大町上通山形縣生活協同組合連合會理事
 長齋藤仁)(第五〇五號)
 生活協同組合法案の提案徹囘に關する陳情書(
 徳島縣商工會議所會頭原菊太郎)(第五〇九
 號)
 生活保護による保護費の全額國庫負擔に關する
 陳情書(東北北海道民生委員連盟代表財團法人
 宮城縣民生委員連盟會長國安泰嶺)(第五三〇
 號)
 治療師に對し試驗制實施その他に關する陳情書
 (北海道治療師會長田川精三郎外二十七名)(
 第五三九號)
 建築物利用に關する陳情書(千葉縣野田町高木
 虎尾)(第五四一號)
 井戸完備に關する陳情書(千葉縣野用町高木虎
 尾)(第五五七號)
 巡囘醫療に關する陳情書(千葉縣野田町高木虎
 尾)(第五五八號)
 公衆浴場に關する陳情書(千葉縣野田町高木虎
 尾)(第五六〇號)
 耐乏生活實踐に關する陳情書(千葉縣野田町高
 木虎尾)(第五六一號)
 生活協同組合法制定促進に關する陳情書(長野
 地區生活協同組合協議會大會議長久保田強)(
 第五八四號)
 住宅建設に關する陳情書(中國地方自治協議會
 長代表廣島縣知事楠瀬常猪)(第五九二號)
 盲人鍼灸業存續に關する陳情書(東京都豐島區
 目白町二丁目盲人會長今關秀雄外一名)(第五
 九七號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 醫療制度に關する件
 國際電氣通信株式会社等の社員で公務員となつ
 た者の在職年の計算に關する恩給法の特例等に
 關する法律案(内閣提出)(第四六號)
 恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出)(
 第六六號)
    ―――――――――――――
#2
○小野委員長 これより會議を開きます。
 日程に入ります前に、先日の委員會で質問が留保されておりました癩療養所の問題に關する質問をこの際許したいと思います。武藤運十郎君。
#3
○武藤(運)委員 それでは鈴木司法大臣に御質問いたします。すでにお聞きのことと存じますけれども、國立癩療養所の草津樂泉園に人權蹂躙その他不正の配給というような問題が起りまして、それは癩患者を特別病室と稱する牢獄樣のものの中に長い期間監禁をしておつたという事實でありますし、もう一つは職員が幽霊人口によつてタバコその他の配給を受けて、それを内外に流したというような事實であります。これにつきましては厚生省でも直接調査員を派遣されまして調査をいたしました結果、大體において、人權蹂躙、不正配給の事實を認めておられるようです。それから國會におきましても調査圖が派遣せられまして調査いたしました結果は、大體におきまして現地から報告された事實を確認をしたようなわけであります。その厚生省では責任者である園長その他を休職または免官というような處置をとられたようでありますけれども、しかしそれはただ行政上の處分だけでありまして、かような責任者に對して、司法當局としてはいかなる處置をとられんとするか。現に被害者の方から所轄警察または檢事局に告訴が提出されておるようであります。私の聞くところによりますと、タバコの不正配給につきましては、一箇月以前に告訴が出ておりまして、相當取調べを進められておるそうであります。人權蹂躙の問題につきましては、告訴が出ているかどうかしりませんが、これも問題にするというようなことを言つておられるようです。この點につきまして、司法當局の御意見、對策、それから取調べをされているとすれば、どの程度まで取調べが進行しておりますか、お伺いしたいと存じます。
#4
○鈴木國務大臣 お答えをいたします。草津町の樂泉園の事件のことをお尋ねであると存じますが、これは最初勞働爭議に似た形をとつて進んでまいりましたので、檢事局に直接告發または告訴はなかつたのであります。長野原警察署に告發があつたことを傳え聞きまして、檢事局といたしましても放置すべきではないと考えまして、中之城支部の檢署廳兼務をいたしております鈴木檢事が現地について調査に從事いたしたのであります。もと原因は物價高による給與改善要求に起因して、癩患者一同が共産黨に入黨して、要求を提起したことに端を發しているように報告されておるのであります。そこで檢掌局といたしましても取調べをいたしておりまするが、急速に手を打ちますることは、一種の爭議に似たような形をとつておるところに介入して、どちらかの味方になるというような形をとることに鑑みまして、急速な決定をすることを差控えたわけであるのであります。
 業務上横領という告發も警署の方に出ておりまして、その點も調査しておるのでありまするが、ただいま申すような事情が考慮せられまして、起訴、不起訴についてまだ決定する段階に達しておらないのであります。行政上の處分がありましたので、それとにらみ合わせて考慮いたしておるものと考えるのであります。いずれ近いうちに適當な處斷をいたすことに相なるであろうと存じます。
 なお不法監禁の問題につきましては、そういう事實があつたことは認められるのでありますが、ただ癩患者の犯罪または違法行為がありました場合に、懲罰として一種の監禁に近いことをやらなければならぬ。わが國におきましては癩患者に對する特別の刑務所がまた設けられてありませんために、これは近く豫算を請求してそういう施設をつくりたいと存じておるのでありまするが、自然收容所の一部に特別の施設をもつてこういうことを行うというようなことが起り得るわけであります。しかし正式のそういう施設ではないのでありまするから、常に疑義が生じ、問題が起るということは否定できないのであります。法律上處罰に値するような不法監禁であつたかどうかということにつきましては、檢事局において調査中でありまして、これまた近いうちに結論が出ると存じまするが、そういう場合には法に照して處斷いたしますけれども、この樂泉園におけるある程度の違法行為をなした患者を特別の所に留置したということは、そういう事情で一概に非難するわけにいかない一面もあるということを御了承願つておきたいのであります。なおそういうことが將來起らないように、司法當局としましては特殊の監獄を設けることを考慮しておるということをお答えいたしておきたいのであります。
#5
○武藤(運)委員 關連しまして――不正配給その他についてお調べがありまして、まだ事件そのものとにらみ合わせて、起訴、不起訴を留保されておるということでありまして、問題の發端は共産黨が手をつけて、患者の一部が入黨をして騒擾的なものになつたというような御見解でありますけれども、私どもの調べたところによりますと、多少そういう傾向もございましたが、しかし不正は間違いなく不正があつたのでありまして、それは共産黨が手をつけたか、ほかの者が手をつけたかにかかわらず、不正な事實というものは厚生省も認めておるのであります。從いまして私は檢事局が司直の立場から、不正を不正として摘發し、處分されましても、決して問題に油をかけていくことにはならないと思うのでありますから、どうか速急に人權蹂躙の問題にいたしましても、不正配給の問題にいたしましても、取調べを進行せられまして、もし法律上犯罪が成立するということなりましたならば、斷固處分をしていただきたいと思います。そうすることがこの療養所、樂泉園の職員が大勢悪いことをしたという印象を拂拭いたします上から申しましても、ごく一部にすぎないのだということが明らかになりますので、至急御處置を願いたいと存じます。
 なお癩患者の監禁場所、特別な刑務所というようなお説がありましたが、それは執行の方面でありまして、癩患者の犯罪を裁判と申しますが、この方をどういうふうにして、そしてまたその執行をどういうようにするかということにつきまして、司法當局はどういうような方策をもつておられるのでありましようか。從來の例から申しますと、癩患者であるというので、何囘か何囘か犯罪を重ねましても、もう癩というとそこで釋放してしまいまして構わぬというような實情にあつたものでありますから、癩患者は天下御免で、おれは悪いことをしても大丈夫だというような實情があつたように考えておりますが、こういう點については、癩患者の犯罪に對する裁判、それからその執行と關連して、どういうふうな對策をもつておられますか、お伺いいたします。
#6
○鈴木國務大臣 最初の御希望につきましては、ごもつともでありまするから、御期待に副うようにいたすつもりであります。
 それから第二の癩患者の裁判及び執行につきましては、從來もお話のような弊害があつたのでありまして、不必要に癩患者を恐れる、あるいは忌避するというような傾向も確かにあつたのでありますけれども、衞生上の見地から、無差別に普通の裁判所に出入を許し、普通の法廷で裁判をやるということは、その後の消毒、いろいろな關係上一概に無差別にやるというようなことも、ちよつとお約束いたしかねるような實情にありますから、何とかこれはしなけれでならぬ。特に消毒その他を簡易になし得るような、そして遠い所へ運んできて裁判をやるということも――そういう施設を全國に數箇所こしらえてやるということも考えられますけれども、國家の今の財政状態から、ごくまれに起る事件のために、平生使わない施設をつくるということも許されないのではないか。許されますればぜひやりたいと思つておりますが、そうすればやはりその附近で適當な所に臨時法廷を設けてやるというふうにいたしまして、決して癩患者であるがゆえに不問に付するということはないようにいたしたいと考えておるのであります。今後はぜひそういう方針で、違法行為がありましたならば、法に從つて裁く、こういう態度をとるつもりでおります。
#7
○武藤(運)委員 癩の問題につきましてはそれで打切りまして、もう一つ私は司法大臣にこの際質問をいたしておきたいと思うのです。この前厚生當局に私は、質問をいたしたのでありますけれども、最近市販されておる藥品のうちに非常に不正品、不良品が多いということであります。先般讀賣新聞に――今月の二日でありますか、取扱われておるのを見ましても、厚生省で試みにヴイタミンB劑、注射藥を數十種集めまして衞生試驗所で檢査をしてみますと、その含有量は表記されておるものが全然はいつてないものがある。そして一番多いものであつて、三共であるとか何とかの日本の一流の有名な會社でありましても、三六%しかはいつてないというような實情であるそうであります。こういうものは一部をとつて調べただけでありますけれども、いろいろ手を擴げて調べてみましたならば、驚くべき不正、不良品があると思われるのであります。中には副作用を起しまして、人命を奪うというようなものもないとは限らない、あるいは注射の結果驚くべき悪寒が來てたまらなかつたというような例も、私は實際において聞いておるわけであります。國民衞生保健ということが非常に重要な現在におきまして、かような状態でありましては、非常に寒心すべき状態だと私は思うのであります。殊に藥品が、御承知の通り最近非常に値上りをいたしまして、勤勞階級に對する衞生醫療費というものが非常に高く過重になつてきておる際に、一方におきましては非常に苦しい思いをして醫療をする、一方においては高い金で水を賣つておるというような實情でありましては、まことに遺憾だと考えるのであります。厚生省では今度は全國に調査の手を擴げまして、ここ一月以内ぐらいにいろいろな藥品を拔きとつて調査をされるというような計畫をもつておられるようでありますけれども、今まで藥の取締りとかあるいは飲食店の取締りというものがただかけ聲ばかりでありまして、龍頭蛇尾に終るというような例が非常に多にのであります。またそれを處分する場合にも、飲食店ならば一週間ぐらいの營業停止というような非常に名目的な行政取締りに終つておる。從つて飲食店ではそれを覺悟で、豫算に入れて不正な營業をする。藥品なんかにつきましても、わずかの行政上の處分にすぎないというのでありまして、利益を比較すると、そのぐらいのことは何でもないということで、非常に不正なことが行われておるという實情があるのであります。これは今までただ單に行政上の取締りだけで濟まされているからこういう實情になつておるのだと思いますが、私は、殊にこの藥品の不正のことにつきましては、その藥がきくとかきかぬとかいうような種類の賣藥は別といたしまして――それもいいものではありませんけれども、ヴイタミンB劑などはヴイタミンB一が三ミリグラム一〇・〇の中にはいつておるというようなことが明らかに明らかに表記されまして、それに基いて價格の許可を受けまして市販されているのだと考えますから、もしそういうものの中に全然はいつていないとか、あるいは三六%もはいつていないというようなものは、刑法上から申しましても、明らかに詐欺罪のようなものになるのではないかと思うのであります。また非常に副作用が起つて人が死ぬということになれば、殺人罪にもなるのではないかと考えられるのでありますが、この際こういうものに對しましては斷固たる肅正をする意味におきまして、司法權を發動される必要があるのではないかと思うのであるます。これに對してどういうお考えを司法當局としてはおもちになつておるか、またどういう處置をとられんとするか、お伺いいたしたいのであります。
#8
○鈴木國務大臣 ただいまの武藤委員の御質問は非常に適切な御質問でありまして、實はそういうことを司法當局も最近は耳にいたしまして、それは容易ならぬことである。もし事實であるとすれば捨ておくべきことでないということに相なりまして、先日の檢事會同の際にも話題に上つたのであります。ただこれは非常に技術的、科學的な操作を必要とする問題でありまして、檢事局にはそういう設備をもつておりませんために、自然厚生省その他に頼らなければならぬような形になつておるのであります。行く行くは檢事局におきましてもそういう施設をもちまして、確かにこれは故意にヴイタミンを入れないで欺瞞をして賣つたものであるということが認定できますようになりますれば、獨目の見解でやりたいと思つておるのでありますが、少くも當面厚生省その他の衞生施設、藥品檢査等の施設をもつており、その方面に特殊技能のある人たちの協力を得まして、仰せのごとく表記してある通りのものがはいつておらないならば、明らかに一種の詐欺罪でありますから、處斷いたすつもりであります。そのことははつきり申し上げておくつもりであります。
#9
○小野委員長 なおこの際少年の問題に關しまして、山崎さんから司法大臣に質問いたしたいということでございますので、これを許します。
#10
○山崎(道)委員 十一月十日の新聞に、「暗い少年を救え、指導者不足の大きな惱み、積極的な政府の援助が必要」というような見出しで扱われております記事が載つておりますが、その中に全日本少年保護事業協會では司法省、厚生省、大藏省などに民間少年保護施設に對する待遇改善を要求して起ち上つたという記事が載つておるのでございます。司法省關係の保護事業では、一人に對しまして一日三圓の補助金である。これを二十圓から三十圓に増額してもらう運動を起したということが書かれておるのでございます。一方厚生省の教護院では生活貧困な少年に對しましては、一日十七圓の扶助を受けておるのであります。罪の子なるがゆえに冷遇されるわけはないと起ち上つたということがこの記事に載つておるのでございますが、兒童福祉法の審議にあたりましても、私は大臣に御質問申し上げましたが、同じ少年でありながら、同じ子供でありながら、なぜ司法當局と厚生省關係と二本にわけて扱わなければならないのかという御質問を申し上げたいのでございますが、またここにこういう記事が載つております。
 不良少年の關係は司法省、生活困難な關係は厚生省というのでございますけれども、どこに區別がつくでございましようか。生活苦から不良少年が多く出ていることでございますから、どういたしましても私といたしましては、子供には罪人はない、子供には悪人はないのだという觀點から、ぜひとも温かい愛情をもつてその取締り、保護者は一本にしてまいりたいということを強く念願いたすものでございます。大臣はこの前もいろいろ考究中であるというお言葉でございましたが、その後司法省の方ではどういうふうにお考えをいただいておるのでありましようか。また何とか飛躍していただきまして、この際厚生省一本にしていただくわけにはいかぬものでしようか、兒童福祉法という法律もできたことでございますから、私は切にお願いいたしたいのでございます。冬を控えてこのごろ町には浮浪兒の數がまた目立つてまいりました。こうしたことを見ますとき、私たち女性の母心は痛むのでございます。このかわいそうな子供たちのためにお考えになつておる點をお聽かせ願いたいと思います。
 いま一つは、職員等の待遇が非常に悪いために人を得ることができなくて、その保護所におりまして保護期間を終つた人たちがそのまま居殘つて、指導者になつておるというようなことが載つております。これはいい面もあるけれども、多くの悪い反面が出ておる。そういうことで大切な少年の保護指導ができるのであろうか。それから六・三制の問題等もこれから少年保護院ではひつかかつてくる。また職業指導の面では勞働基準法ともひつかかつてくるということが記事に載つておりますが、それらに對してのお考え等もお聽かせ願いたいと存じます。
#11
○鈴木國務大臣 山崎委員の御質問も非常に適切な御質問でありまして、待遇の點につきましては、三圓などということはお話にならぬのでありまして、司法省としては保護せられる少年のために近く請求する豫算には一日四十圓を計上しておるのであります。それから追加豫算にも同じことを要求しておりますが、御承知のように非常に削減せられました。六・三制の費用も大幅に削減せられ、刑務所の施設も、現に今強盜やらどろぼうやら皆逃げ出すという騷ぎでありますのに、何とか今のバラツクのままでがまんせいといいことで削滅せられました。水害の對策費も何分の一かに減つてしまうという國家財政の状況でありますために、今すぐに殖やすことはできず、追加豫算では二十圓だけ見ていただいたはずでありますが、來年からはぜひ四十圓に殖やしていただきたいということで、通常豫算の方にはそういう要求を出しておる次第であります。
 それから不良少年、犯罪少年等の取扱いを一本建てにしてはどうかという御要求は、ごもつともでありまして、理想としては私どもも同樣の考えをもつておるのであります。前會にも御質問がありましたので、その後愼重審議いたしまして、厚生省當局とも協議し、またこの方面について造詣の深い關係の方面の指導官とも御協議をいたしました結果、理想としては一本でやつていくことが望ましいけれども、實際はやはり犯罪を犯してどうにも手に負えない少年が少數はあるのであります。これを普通の不良少年と同じ所においたり、一緒に扱うことは、いろいろな意味の別な弊害がある。非常な愛情をもつて同じに扱つても別な弊害を生ずるから、これはある程度犯罪少年と一般的な意味の不良少年とは區別しなければならない。むろんその犯罪少年でも、お前は犯罪少年であるぞという燒印をおして、そうして監獄に入れて差別待遇をするというのではなくして、われわれはできるだけ監獄というような所は使わずに、その犯罪性を脱却させるように努力するつもりでありまするが、しかし區別はして扱わなければならない。またどうしても現在の實情でも、刑法上の罪を犯している少年で、ほんとうに起訴するのは百人のうち二十人くらいのものでありまして――もつと少いかもしれないのでありまして、大體は起訴せずに、ほんとうに不良少年として扱つておるのであります。その二〇%を扱いまするのに、結局は檢察起訴というようなところにまでいくということになりますと、一つの檢察權を行使しなければならない。厚生省の役人はそういう權限はもつておらないのであります。檢察權の一部を厚生省の役人に移讓することが適當であるかということになりますと、檢察權というものは檢事同一體の原則で、全國同一的に一つの方針のもとに運用されなければならないものでありまするから、結局檢察權はどうしても犯罪というものと相まつて檢察廳がもたなければならぬ。これはやはり司法省におくほかはなかろう。ゆえに最小限度のほんとうに危險なる犯罪少年は、やはりこれを取扱うのは司法省の管轄として檢事も關與する。しかし少年審判所あるいは少年保護院で適當にこれを保護していくのでありまするが、そういう建前ははずすわけにいかぬということに相なりまして、犯罪少年という概念できめまして、前は虞犯少年という言葉を使いましたが、これはもうやめまして、犯罪少年に限り司法省が扱い、その他の少年は全部不良でも虞犯でも厚生省にお讓りする。こういうことにきまつたのでありまして、近く國會に提案いたしまする司法省の改革案たる法務廳案というものには、そういう建前で御審議を願うことになつているのでありますから、何とぞ御了承願いたいのであります。區別はするけれども、取扱う精神的態度はまつたく同じ立場から、決して犯罪性を確認するというような態度でなくて、愛と同情といつくしみとをもつて、不良少年を通常の少年に直すということをやることが少年審判所の目的であります。さよう御承知を願いたいと思います。
#12
○山崎(道)委員 いろいろ御考慮をいただきまして、そこまで飛躍してくださいましたことは非常にうれしく思うものでございます。ただ私は、いつの場合にもそう感ずるのでありますが、大臣初め上層部の方たちのそうした温かい氣持、思いやり、そうしたことが末端へ参りますると、ほとんど浸透していないのでございます。でございまするから、どうしても冷たい態度で、お前たちは罪人だ、お前たちは不良なんだという一つの考え方をもつて取扱いまするために、少年がますますいじけてくるというような例が多々あるのでございまして、時間の關係もございまするから、そうした實例は省略いたしまするけれども、そういうこともお考え願いまして、せつかくの親心が各末端まで浸透いたしまして、不幸な子供が一日も早く温かい愛情によみがえることができるように、ひとつ徹底的な御指導を願いたいと思うのでございます。
 それからもう一つは、豫算がないということは、私たちほんとうに痛いほどわかるのでございますけれども、だからといつて、こういう所で働く人たちを今の待遇のままでおきまして、そうして扱いだけを懇切丁寧にしろというようなことは不可能なことでございますので、お苦しい點もございましようけれども、ほんとうに子供は大事な實でございますから、この子供たちが幸福になりまするためには、やはりその指導が必要なことでございまするから、この指導者の育成指導というような機關を、もつと積極的にお考え願いたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終りたいと存じます。
#13
○小野委員長 次に前から留保になつておりました保險に關する問題についての齋藤君の御質問を許したいと思います。齋藤晃君。
#14
○齋藤(晃)委員 私は健康保險組合の未拂金の問題につきまして、お尋ねいたしたいと思うのであります。この問題は醫師會においては非常に重大な問題といたしまして、再々質問された問題でございまして、先日榊原委員から厚生大臣に對して質問せられましたときにも、厚生大臣は、それは知らなかつた、非常に重大な問題であるから、ぜひこうした厖大な未拂金が支拂えるように善處したい、こういうふうな言明をされておるのであります。しかも調査によりますれば、これが一億圓というふうな多額になつておる、ということでございます。このような莫大な支拂金が半年あるいは一年後においてまだ支拂いされない。こういうようなことでございましては、いかに今後社會保險がますます増加いたしまして、あるいは醫師の協力を求めなければならないというようなことがございましても、決してこういう重大な社會保險の施行は完全にいかないと考えるのでありまして、その後この問題はどのような状態になつておりますか、お聽きしたいと思うのであります。
#15
○宮崎政府委員 ただいま齋藤議員の仰せの健康保險の未拂金と問題は、多分國民健康保險の問題であろうと思うのであります。健康保險の方につきましては、未拂の問題はほとんどないものと存じておりますが、國民健康保險につきましては、先般榊原委員からもお尋ねがございましたが、私の方で調査をいたしましたところ、まだ完全に囘答が参つておらぬところもございますが、大體において六月現在で一億圓の未拂があるように推算されます。ただ一億圓と果しましても、實は御承知の通り、健康保險の診療料の支拂の問題は、一月ずつ遅れることになるわけであります。先月分の調査ができまして、そして今月拂うというように、一月ずつずれて拂つておるものがございますので、その調査の中にありまする金額というものが、實は來月へいけば拂われる金額になるはずであるのであります。そういう點から見ますると、大體五千萬圓か六千萬圓くらいのものが殘つているのじやないか、こういうように存じます。
 それでは大體一月分の國民健康保險の療養費の支拂はどれくらいになるかということでありますが、五月ごろの調査によりますと、約九千萬圓拂うことになつております。そういう關係になつておりますので、未拂の金額は、そういう一月のずれ等を考慮いたしますと、もちろん焦げついておるところもございますけれども、大體大どころにおいては何とかなるのじやないか。こういう見當をつけておるわけであります。今囘國民健康保險の國庫補助金を一億二千萬圓ばかり出すことにいたしましたので、その一億二千萬圓の國庫補助金を出します際におきまして、未拂等はこの金をもつて片づけるようにということを地方へ通牒いたしました。それで私どもといたしましては、大體國民健康保險の滯つておる金の大部分はそれで片づくものである、こういうように存じておるわけでございます。
#16
○齋藤(晃)委員 國民健康保險の未拂金につきましては、大分政府も督勵し、あるいは圓滑に支拂がいつているではないか、こういうようなお話でございましたが、實際はそうまいつておりません。昨年の十二月に手術しました者が、つい九月になつてから支拂われておるという状態があつたのであります。このような状態でありましては、とうていこの保險を完全に施行することができないのでございます。これにつきまして政府からなお一層の支拂日の督勵をお願いしたいと思うのでございます。なおこの支拂につきまして、現在あるいは税金といい、あるいは資材の購入というものが、ほとんど現金で支拂わなければならないというにかかわらず、これらの未拂金というものは、封鎖で支拂つておるという状態であります。封鎖ではどうすることもできない。こういう實情にありまして、非常に困つておるのであります。半年あるいは一年後に支拂をされますれば、自然貨幣の價値も變つてくるのであります。自然に貨幣價値も變つたような實情にあり、殊に一點單價は非常に安いような状態において支拂されておるところのこれらの未拂金が、受取つたときには封鎖である、こういうことではどうにもできないという實情にありまして、これが非常に醫師會の問題となつて、今後ともこうした社會保險に對していかにするかというところまで行つておると聞いておるのであります。この封鎖支拂につきましては、どういうような御意見でありますか、お聽きしたいと思います。
#17
○宮崎政府委員 ただいまのお尋ねの封鎖支拂の問題でございますが、健康保險につきましては、御承知のように昭和二十二年の三月に封鎖支拂になることになつたのでありますが、昭和二十二年の四月に大藏省と相談をいたしまして、醫療費のうち三割以内ま自由預金によつて拂うということにしたわけであります。しかしなからただいま齋藤委員の仰せになりましたように、健康保險のごときものにつきまして、封鎖支拂で療養の給付をもらうということでは、はなはだお醫者さんの方でお困りである。一般の診療等とも比較いたしまして、社會保險がこれによつて非常な不評を買つておることははななはだ困つたことであるというので、私どもの方で再三再四大藏省の方へお願いに上りました。その結果本年の十月の一日に大藏省の通牒によりまして、健康保險及び船員保險に關する療養給付の費用は全額自由支拂ということで話をつけまして、今は自由支拂になつたわけでございます。ただそのほかに健康保險、船員保險以外のものでまだ封鎖支拂のものがございます。それから健康保險でも組合管掌の方が封鎖支拂になつております。この點は大藏省の方でいろいろ規則を直したりいたしました關係もありますし、それから關係方面の了解を得なければならぬ點もございますので、やや遅れておりますが、これにつきましても私どもの方と大藏省の方とで何とかこれができるようにといふことで、關係方面の了解を得て今努力いたしております。御了解願います。
#18
○齋藤(晃)委員 十月一日からはこの封鎖の支拂についても全面的に解決がつけられているというようなお話でございまして、私ども非常に喜ばして次第であると考えます。つきましては現在までこの健康保險あるいは國民健康保險というものが非常に重大な役割をしております。殊にこのようなインフレのときにおきましては、一般の大衆といたしましても、やはり醫療についてはとうてい完全にかかることはできないというので、この機能を利用したいというふうな情勢が最近非常に動いておるのであります。しかしながら事實はどうもこの利用がはかばかしくいつていないというようなことで政府がいかにこれを適切な施設として指示されましても全國におきましてはこの國民健康保險組合の活動の機能が完全でないという點が非常にあるのでございます。現在どのような全國の状態でありますか、お聽きしたいと思うのであります。
#19
○宮崎政府委員 國民健康保險の現状につきましては、大體先般の調査によりますると、約三割がほとんど機能を果しておらない。七割が動いておる。動いておる中でも、成績がよく動いておるのが五割くらいであつて、あとの二割が動いておるだけではないか、その後私どもの方で全國の課所長の會議を開くなり、あるいは國民健康保險事務擔當者の會議を開くなりいたしまして、今後この貧困の原因である醫療費の解決方法といたしまして、どうしても社會方險の運用によらざるを得ないこの時節におきまして、この状態では非常に困るから、大いに地方の人たちに協力していただきまして、この制度の運用を十分にするようにやつてもらいたいという話をいたしまして、近ごろは國民健康保險の方がややおちついてきたようでございます。しかしながらこれはおちついてきたというだけでございまして、これでよくなつたとは申し上げられないのでありますが、先般また藥價、人件費の値上り等によりまして、健康保險職及び國民健康方險の單價の値上げをいたしました。單價の値上げは一點單價三圓というのを四圓にいたしたわけでありますが、その結果、醫療費の支拂に困る組合が大分出てくるであろうというお話でございましたが、詳しい調査はできておりませんけれども、大體醫師會の方々及び齒科醫師會の方々の御協力を得まして、各地方とも單價は健康方險については大體五圓くらいの状態でありますが、國民健康保險につきましては、國民健康保險の經濟状態をよく御了承を得まして、三圓くらい――四圓のところもございますが、大體三圓くらい、いくらか健康保險よりも國民健康保險の單價を下げていただきまして、そうして各地方の醫師會、齒科醫師會の人たちの御協力によりまして、今のところ何とか切り抜けておるようでございます。それで今度の國會に國民健康保險の國庫補助の増額をお願いいたしまして、それでいくらか困つておるところを救おうという點と、それから本年におきまして國民健康保險の直營病院の計畫が非常に増してまいりまして、これによりまして地方民のこの醫療問題の難點を片づけたいという非常な希望がございまして、直營病院の新設が殖えてまいりまして、それに應じまして直營病院の箇所等も増加し、また補助の金額も増すということで、今度の國會に追加豫算をお願いしておるわけであります。これらの方法によりまして、國民健康保險の問題は、もちろん全部の組合をフルに動かすようには参りませんけれども、健全なる組合が不健全化するという點の防止ができるのではないかと存じております。
#20
○齋藤(晃)委員 もちろん今後の活動にもあることでありますがこのような重大な國民健康保險が、ほとんど三割が機能を發揮されず、あるいは七割の中においても半數が完全ではないであろうというような状態ではなはだ遺憾であります。今後においていかに社會方險が必要であると言つても、あるいはそれが決定されましても、すでに施設が行われて久しい間になるにもかかわらず、かくのごとき状態であることを考えると、要するに政府がこれに對して指導し、あるいは豫算面においても十分に考慮されまして、ただこれらの施設あるいは形のみにとらわれず、實際の面において考慮願いたいと思うのであります。醫師會、齒科醫師會の間に言われます一點單價の問題でありますが、この問題もあまりにも少額であるということにおいて、協力したいと思つても自然協力できないという實情を訴えております。今後はこの國民健康保險、社會保險の重大性についても、政府がもつとこれに對して豫算をとられまして、かくのごとき現状を打開されるようにお願いいたしたいと思います。殊に未拂金の問題という事柄に關しても、社會方險ができましても、醫師の協力がなければ效力を發生することはできないと思います。やはり未拂金の問題といい、これらの組合の活動状況については積極的に指導されたいと思うのでありまして、これを十分に御考慮を願つて、喜んでこれに協力ができるようにし、またわれわれ國民がこの健康保險組合にかかりに参りましても、何となくお醫者さんが額にしわを寄せるというようないやな氣分が起るので、自然この保險にかかることはできないということが各町村において訴えられております。わずかに組合の費用だけに組合が機能を發揮しておるというだけで、何ら實際には醫療方面に機能を發揮してないという實情が多いのであります。今後十分に機能の發揮ができますように、各方面について御配慮を願いたい。切にお願いする次第であります。
#21
○宮崎政府委員 ただいまの御注意まことにありがたく存ずるのであります。健康保險の單價等について各方面の調査をいたしまして、醫師會、齒科醫師會等の代表の方々とも御相談いたしまして、私どもといたしましては、健康保險の單價は今日においてほとんど適正なる料金で出しておるのではないか、こういうふうに存じております。また出席の代表の方々もこの程度でいいのではないかということで、あの一點單價四圓にきめたわけであります。なお御注意の點はよく考えまして、不備な點は十分改めて、仰せのように社會保險がきわめて大切であり、またその活動が今日こそ最も要望されておるときでございますので、私ども大いに努力をいたしまして、この制度の擴充強化ということに努めたいと存じます。
    ―――――――――――――
#22
○小野委員長 次の日程にはいりまして、恩給法の一部を改正する法律案、及び國際電氣通信株式會社の社員で公務員となつた者の存職年の計算に關する恩給の特例等に關する法律案を議題といたします。兩法律案につきましては、前會までで質疑の大半を終了いたしましたので、質疑を打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○小野委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。
 ただいま兩法案につきまして討論にはいるわけでございますが、兩案は比較的輕微な法案のように思われますので、討論を省略いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○小野委員長 御異議なしと認めます。
 それでは採決いたします。恩給法の一部を改正する法律案及び國際電氣通信株式會社等の社員で公務員となつた者の存職年の計算に關する恩給法の特例等に關する法律案、兩案を一括して原案を可決することに御贊成の方の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#25
○小野委員長 起立總員、よつて兩案は原案のごとく可決いたしました。
 なおお諮りいたしたいことがあります。衆議院規則によりまする報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○小野委員長 さよう決しました。
 本日はこれをもつて散會いたします。
   午前十一時五十三分散會
ソース: 国立国会図書館
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