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1956/05/15 第26回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第026回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第16号
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1956/05/15 第26回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第026回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第16号

#1
第026回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第16号
昭和三十二年五月十五日(水曜日)
   午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 廣瀬 正雄君
   理事 木村 文男君 理事 中山 マサ君
   理事 山下 春江君 理事 櫻井 奎夫君
   理事 戸叶 里子君
      臼井 莊一君    木村 俊夫君
      辻  政信君    保科善四郎君
      眞崎 勝次君   茜ケ久保重光君
      受田 新吉君
 出席政府委員
        厚生事務官
        (引揚援護局
        長)      田邊 繁雄君
 委員外の出席者
        法務事務官
        (入国管理局入
        国審査課長)  田村 坂雄君
        厚生事務官
        (引揚援護局引
        揚課長)    石塚 冨雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中共地区残留同胞引揚に関する件
 請 願
  一 未帰還問題の完全解決に関する請願(藤
   本捨助君紹介)(第八四三号)
  二 同(中村三之丞君紹介)(第一〇八一
   号)
  三 同(井谷正吉君紹介)(第二五四号)
  四 同(田中正巳君外五名紹介)(第一二四
   二号)
  五 同(竹谷源太郎君外三名紹介)(第一二
   四三号)
  六 同(逢澤寛君紹介)(第一二四四号)
  七 同(安藤覺君紹介)(第一二四五号)
  八 同(伊瀬幸太郎君紹介)(第一二四六
   号)
  九 同(石坂繁君紹介)(第一二四七号)
  一〇 同(今松治郎君紹介)(第一二四八
   号)
  一一 同(内藤友明君紹介)(第一二四九
   号)
  一二 同(大坪保雄君紹介)(第一二五〇
   号)
  一三 同(田子一民君紹介)(第一二五一
   号)
  一四 同(中居英太郎君紹介)(第一二五二
   号)
  一五 同(中川俊思君紹介)(第一二五三
   号)
  一六 同(中村時雄君紹介)(第一二五四
   号)
  一七 同(濱野清吾君紹介)(第一二五五
   号)
  一八 同(福田赳夫君紹介)(第一二五六
   号)
  一九 同(三宅正一君紹介)(第一二五七
   号)
  二〇 同(山下春江君紹介)(第一二五八
   号)
  二一 同(受田新吉君紹介)(第一三五〇
   号)
  二二 同(臼井莊一君紹介)(第一三五一
   号)
  二三 同(大平正芳君紹介)(第一三五二
   号)
  二四 同(坂田道太君紹介)(第一三五三
   号)
  二五 同(橋本龍伍君紹介)(第一三五四
   号)
  二六 同(伊藤卯四郎君紹介)(第一六OO
   号)
  二七 同(足鹿覺君紹介)(第一六六六号)
  二八 同(堂森芳夫君紹介)(第一七二五
   号)
  二九 同(田中久雄君紹介)(第一七二六
   号)
  三〇 同(森島守人君紹介)(第一七二七
   号)
  三一 同(重政誠之君紹介)(第一七九三
   号)
  三二 同(藤本捨助君紹介)(第一七九四
   号)
  三三 同(木下哲君紹介)(第一八二一号)
  三四 同(中嶋太郎君紹介)(第一八六七
   号)
  三五 同(大森玉木君外四名紹介)(第一九
   五八号)
  三六 同(越智茂君紹介)(第一九五九号)
  三七 同(田中龍夫君紹介)(第二一三六
   号)
  三八 同(松岡松平君紹介)(第二一八五
   号)
  三九 同(松前重義君紹介)(第二三四一
   号)
  四〇 同(白浜仁吉君紹介)(第二四二四
   号)
  四一 同(原健三郎君紹介)(第二四五二
   号)
  四二 南方地域の未帰還者捜査及び留守家族
   援護に関する請願(原健三郎君紹介)(第
   一九八二号)
  四三 海外抑留同胞救出運動等の強化拡充に
   関する請願(植原悦二郎君紹介)(第二九
   〇九号)
  四四 同(松平忠久君紹介)(第二九三二
   号)
  四五 同(吉川久衛君紹介)(第二九五九
   号)
  四六 同(原茂君紹介)(第二九九〇号)
  四七 同(下平正一君紹介)(第二九九一
   号)
  四八 同(西村彰一君紹介)(第三〇二八
   号)
    ―――――――――――――
#2
○廣瀬委員長 これより会議を開きます。
 中共地区残留同胞引揚に関する件について調査を進めます。昨日に引き続き本件について質疑を行います。山下春江君。
#3
○山下(春)委員 昨日、時間がないために、今回の中国から引き揚げ問題についての質問を留保しておきましたが、けさほどの各紙を見ますと、政府の意思を三団体が紅十字会あてに電報を打たれたようでございますので、それについて、昨日より多少変った情勢があれば、局長から先に伺っておきたいと思います。
#4
○田邊政府委員 昨日の午後六時半に、三団体から紅十字会あてに次のような電報を差し上げたのであります。「第四項の日本婦人及び中国人たる夫の日本入国について」――第四項と申しますのは、紅十字会から先般来電のありましたその第四項で、ございます。「里帰り婦人のうち一部は、帰国した在日華僑の日本籍の妻子であります。彼女らの夫も同行しようとしています」というのであります。こういった方々の日本の入国について、「わが政府当局と協議した結果、政府の方針は次の通りであります。一、日本婦人については、日本への入国については問題はなく、再度中国への出国については、所要の手続を経ればそのことは可能であるが、彼女らは、帰国者でもなくまた他の里帰りとも違うため、帰国援護の対象とならないので、従って今度の興安丸に乗船の便宜は供与できない。二、中国人たる夫の日本への入国については、一般外国人としての入国手続をすれば可能であるが、かりに許可されても、帰国者でないので、帰国船興安丸を利用することはできない。われわれ三団体は以上の方針を前提として問題の処理について努力しているが、三団体間においてなお意見の一致は見ておりません。」これが昨日三団体から紅十字会あてに打った電報の内容でございます。
#5
○山下(春)委員 その三団体の打たれました電報の前段はきわめて明瞭でありますが、後段のように、そういう電報を打つについて三団体間の意見がいまだ一致を見ていないということになりますと、政府の考えておる意思を伝える三団体がそのことを了承しておるというわけではないということは、紅十字会の方へ反映していると思うのです。従って、政府の意思はそうであるけれども、しかし、引揚三団体は意見が一致していないということの意思表示が向うにされておる場合に、それじゃその後に意見の調整があるかもしれないからというような解釈をされるおそれがあるのではないかと思いますが、意見がいまだ統一してないという電報が向うに行っていることに対しては、局長はどういうふうにお感じになりますか。
#6
○田邊政府委員 この電報の末尾に書いてありますように、三団体は以上の政府の方針を前提として問題の処理に当っているということでありますので、政府の方針がこういうことであるということを一応認めて、それを前提として何とかうまい方法はないかということでいっておる、こういうことだろうと思います。政府の方針は認めざるを得ないわけでございますので、その点は向うに間違いなく伝わっていると思います。
 それから、興安丸は政府が用船しておる船でございまして、その運航を赤十字に委託しておるわけでございますので、だれがその帰国船を利用できるかということについては、日本政府または赤十字においてきめる事柄でございます。三団体ではございません。従って、それを無視して乗せるならともかく、その船をだれに利用させるかということを決定する権限を持っておる方々、つまり日本政府または赤十字でございますが、その意見は当然尊重さるべきである、こう私どもは考えております。もしこの方針が変るように三団体において努力するというならまた別でございますが、政府の方針がきまっていることは事実でございますので、その方針を前提とする限り、これは尊重せざるを得ないと思っております。
#7
○山下(春)委員 私は、昨日も、戸叶先生から非常に御熱心にこの問題についての御質疑があったことに対して、その考え方は少し違うということを申し上げておきましたが、それはきわめて冷淡にこの問題を扱おうとする意図じゃないのでございます。こういう問題ももはや一つのけじめをつけなければならない段階がきておると思いますので、ただだらだらと引きずられるようなことになることは、正常な引き揚げ問題の最終的な処理をするのに非常に支障になるのではないかと考えられます。政府の意図はよくわかるのでありまして、あるいは、政府の言われることは、それはあまり薄情な言い万ではないかというふうなところさえ考えられるほど、はっきりしておるのであります。
 そこで、中国側の方では、そういう電報を受け取れば、そういうことに対しては非常に誠実に守られる国であろうと思いますから、まさか乗ってこられるようなことはないと思いますけれども、また一面、塘沽でしたか、新聞の記事に向う側の様子が出ておりました。紅十字会におきましては、この集結しておる人間全部に――里帰りの婦人にも、華人の妻として出国をした夫人にも、あるいはその夫にも、出国許可を与えた、こういうふうに書かれておった記事を見たのでありますが、そういうことことになりますと、多少はどうしても乗ってくる方があるかもしれないと思います。そこで、中国人の夫が来ました場合には、これは引き揚げ問題のワクの外だと思いますから、入管関係であろうと思います。それからまた、一部に伝えられるところによれば、洪進山が再び乗ってくるというような報道も私はちょっと見かけたのでありますが、そういう入管の問題とみなされるようなケースで入ってくる人に対しては、どういう御処置をなさいますか。
#8
○田邊政府委員 今のお言葉の中に、すでに向うでは集結しつつある、出国の許可も与えておるという情報であるので、乗ってくるかもしれぬ、こういうお言葉があったのでございますが、実は、先ほど申し落しましたが、三団体から紅十字会あての五月十一日の電報でこういうことをいっております。里帰り希望婦人については、向うから送ってくれた名簿に基いて、今次興安丸に乗船許可の手続を行い、その結果を御返事いたします。その許可の間に合った者だけを乗船させるようお願いいたします。これは三団体が従来の例によりましてこういう、電報を打っております。従って、私の方では、こういう許可を個別的に行なった者について乗船をお願いしたいということと、さらに一般的に先ほど申し上げたようなことと両方やっているわけであります。われわれは、従来からの例によりまして、紅十字会はこっちから打ちました電報を十分尊重してやって下すっておりますので、こちらでこういうことだと言ってやったのに基いて、またそれを尊重して措置をして下さるものと信じておりますし、許可のない者を無理に乗せるということはあるまいと考えております。
#9
○山下(春)委員 今三団体から行き届いた電報がいっておりますから、間違いはないであろうことを私も信じたいのであります。そこで、あるいは見方によりましては、日本に国籍がある婦人が、日本国内でかって結婚しておって、そのときはなま木を裂くことは耐えられないというので、われわれは非常に温情をもって華人として送り出した新たな記憶が私はまだあるのでありますが、その人が帰ってくるということであっても、ちょっと故国に帰って相談したいとか、あるいはいろいろな事情がありましょうから、その事情を無視して、われわれが入国してはいけないという言い方をすることは、非常に薄情に聞えるようでありますけれども、しかし、私どもはここで一応はっきりした線を引きませんと、ほかにこれに類する事件が起っても、それは国としても処置できない状況にあるときに、この問題だけが、普通の旅行者であるにもかかわらず、引き揚げのケースでいつまでもだらだらしておることはいけないと思いますので、かく政府にも要望し、お尋ねをしておるわけであります。
 そこで、政府といたしましては、一っの線を引きまして、明確にこういうことを行うということの裏には、里帰り――戦後どういう事情であろうかはつまびらかでありませんけれども、非常に苦しい中で生きるために華人の妻になって、その後十二年祖国の姿も知らない者に対しては、一応祖国の復興の姿を見せ、激励して、華人として生涯を送ることを祝ってやる。これは引き揚げのワクの外の仕事ではありましたけれども、われわれは、その心情を察して、あとう限りのことをと思って出発したが、われわれの気持がだんだんゆがめられておかしくなるおそれがありますので、政府は、里帰り問題についてここで一線を画しますと同時に、今後具体的な対策を御決定にならなければならない、政府の里帰り問題についての一つの考え方をおまとめにならなければならない時期にきておると思うのであります。それは今まとまったものはございますまいけれども、局長はこの問題の将来に対してどういうふうにお考えでございましょうか。
#10
○田邊政府委員 将来の問題につきましては、今ここでどうこうということは申し上げかねるわけでありますが、今回の里帰り婦人を受け入れるに当ってのわれわれの態度は、本質的には従来と変らないのであります。たびたび紅十字会あてに三団体から電報が打たれておる通りであります。われわれは、その範囲内におきまして、できるだけあたたかく迎え入れてやりたい、こういう考えであります。
 なお、先ほどの御希望でございますが、里帰り婦人以外の、旅行してくる特殊の婦人というものの入国を認めないということを言っておるわけではありませんので、もちろんその点は興安丸に乗船を御遠慮願いたいということを申し上げておるのであります。入国することを認めないということを引揚援護局が言っておるわけではありませんし、おそらく、入管も、従来の例によりますれば、若干つじつまの合わぬところはあると思いますけれども、寛大な措置をとっておるわけであります。この点は申し上げ方が悪かったせいもあるかと思いますけれども、ただいまのことを誤解のないように、一言つけ加えて申し上げておきます。
#11
○山下(春)委員 これはむしろ私の言い方が悪いので、入国を認めないという言い方ではいけないのであって、入国は日本人でありますから寛大な措置をとっていただきたいと思いながら、私も間違えて申したかもわかりません。そこで、将来、この委員会としても政府に要望して――何かこういう問題について、来るたび来るたび、問題が起るたびに、この問題で非常に心配をしたり、あるいはいろいろな現地等においてはいざこざが起ったりするようなことのないように、政府もこの問題に対する最終的な一つの対策を御決定を願いたいし、われわれ委員会としても、そういう方向に符っていって、この問題の結末をつけたいと思っておりますので、さようにお願いをいたしたいと思います。
 それから、仮定の問題ですから、つけ加える必要もございませんけれども、今回万一多少電報の徹底を欠くような人たちが乗ってきたというような場合が起りましたときにも、現地でいろいろもめ一ごとが起りませんように、これは私は御答弁を求めませんが、政府におかれましても一つ十分対策をお考えをおきを願って、現地でいろいろない、ざこざが起らないように御処置を願いたい。入管その他と緊密な御連絡を、おとり願って、遺漏なきよう御処置を願いたいと存じます。
#12
○田邊政府委員 お言葉でございますが、われわれは、こういうことで興安丸に乗船させていただきたいということを向うに連絡しているわけでございますので、それを知りつつ、それを無視してそういう方を乗せるということは、これは事柄が重大だと思います。向う側もこちら側もお互いに信頼関係に立ってやっておるのでございますから、そういうことがあっても乗ってくるだろうということは、原則的には考えられないわけであります。従って、そういう事態の発生することを今から予期してどうこうということは、私どもは考えたくない気持でおりますので、その気持も一つ御了承願っておきたいと思います。
#13
○山下(春)委員 今援護局長の、そういうことが起ることを、ここで仮定の問題で議論することは差し控えたい。その通りであります。電報が徹底いたしましてスムーズに行われることを私も希望します。こちらの意思表示がはっきりしているにもかかわらず、それを無視した行動が行われるということは非常に残念なことでありますが、そういうことはないであろう。私も中共側の誠意を信ずるものでございますから、ないことを私も期待するものであります。ただ、万一起ったらということは、だから答弁は要らないほどのことでございましたが、一つ入管の力にちょっとお尋ねいたしておきたいと思いますことは、援護局の力でも、今通告された人々の全部の正しい姿が把握されるということが不可能なうちに船が出る。またこれも仮定になりますが、そういうようなことがあって、万一、ちらっと新聞で見ましたが、洪進山などが乗るというようなことが起ることがありますと、入管としてはどういうお取り扱いをなさる御決意でございましょうか。他にもそれに類似したようなものが乗ってこないという保障はなかなか――信じますけれども、しかし、きょうまでも信じておりながら、なかなかいろいろなケースが入っておる。むしろ現場へ行ったわれわれがうっかりしていて、そういうものを見のがしたという事件もあったのございますが、そういう場合、今度そういうことがもしありとすれば、入管の方ではどういうお心がまえでこの興安丸をお迎えになるか。興安丸に、そういうものは仮定ですからあるかないかわかりません。あるかないかわかりませんが、あったとすれば、どういう処置をおとりになりましょうか。
#14
○田村説明員 お答えいたします。従来の引き揚げには、ただいまの、約束した以外の者が乗船してきた例はございますですが、承わりますと、今回は、政府の方針として、興安丸には、純粋な引揚者、それから里帰り、それ以外の者は乗船を認めない、またこの方針を三団体から中国紅十字会の方へ十分連絡をとって、その線に沿って実施をする、こういうようなことでございますので、今回は約束以外の方が乗ってくるようなことは、中国紅十字会としてもそういうことはいたさないだろうと思いますし、また、私たちとしても、そういう了解のもとにおいて行われることについて疑念を差しはさむようなことは、そういうことは考えるべきでないと思います。これは仮定になって申しわけございませんが、万一にもお互いの紳士的な約束以外の者が乗ってくるという場合には、これは、入管といたしましては所定の規則に照らして手続をとらざるを得ないのではないかと思うのでありますが、しかし、さようなことは、今から、今回の方針が打ち出されて、それが誠実に実施されるという段階にある以上、そういう好ましくないことは、両国のためにも、私たちとして想像も――またこういうことがあった場合にこういう措置をとるということをお話しすることは、あまり好ましくない問題でございます。
#15
○山下(春)委員 長い間引き揚げ問題でずいふんいろいろな問題がありましたが、今回初めて日本国政府は非常に明確な考え方を持ってこの問題にお当りになった。もちろん、こういう問題はお互いの信頼感の上に立って行れることでありまして、疑って、こうであろう、ああであろうということは全く避けなければならないことであるし、そういう考えを持つことさえいけないのでありますが、日本国政府が、そういうふうにはっきりした、すっきりした御決意でこの問題にお臨みになりますので、私も、今度の興安丸はそういうことがなく、きれいに行われるもの、であろうことを確信いたしまして、もめごとがあるなら、は、せっかくお帰りになる方を舞鶴に迎えに行くのも何だか足が重いようでございましたが、日本国政府のきぜんたる御決意を信頼いたしまして、喜んでお迎えに行こうと思っております。
 私の質問を終ります。
#16
○廣瀬委員長 櫻井奎夫君。
#17
○櫻井委員 それでは、田邊さんは時間がないようでお急ぎのようですから……。
 今回の引き揚げにつきまして、政府の所信といいますか、考え方をはっきり向うに御伝達なさった。これはすこふるけっこうなことであると思います。はっきりしていなければいろいろ矛盾が生じてくるのですから……。その場合、私どもよりいたしますと、やはりこの引き揚げの問題は、大きくいえは国交親善への一歩なのです。従って、やはり日中国交回復への一つの歩みを歩いておるので、その逆では決してないと思う。そういう立場からいって、やはり国際情勢は固定しているのじゃないのですから、ずっと移動しておりますから、そういうものにやはりあわせた処置かほしかったと思うのです。これは事後になりますので、政府の今通控されたことをとりやめろとか訂正しろという意味ではありません。そういう意味からいいましても、やはり、日本の国籍のある、向うに華僑送還で帰られた人、これは日本の国籍のある婦人であるから、こういう人たちに対しても何らかのあたたかい処置がほしかった、こういうふうに私たちは考える。引き揚げの純粋な筋からいえば、これは間違いである。こういう拡大解釈であるという理論も厚生省の方にはあるかと思うのですが、しかし、その背後にある大きな国交回復への前進という、意味から、いつまでもこの基準一つのものに固定するということはやはりよくないのである、もう少し進歩があってよかったのではないか、こういうことを私どもは今強く考えており求す。しかし、これは、政府の考えが向うに伝達され、おそらく向うの政府も日本政府の意思を尊重してこの処理に当られると思うので、私どもは、その後にどういうトラブルが起きるか、そういうことをここで予想する段階でもないと思います。十分一つその趣旨を徹底せしめられて、今回の引き揚げが無事終了することを希望すると同時に、今後もこれはあることでありますから、そういう点は一つ深甚な考慮を払ってもらいたい。いつまでも同じ観点に立たないで、やはり向うの政府がそういう好意のある態度を示しておる場合は、それを受け入れるという態度があってもいいのではないか、こういうことを私は要望として申し上げておきたいと思います。
#18
○田邊政府委員 御意見は十分承わっておきます。情勢の変化に対応していろいろ頭を変えていかなければならぬのではないかというようなことも、御説の通りであります。しかし、その情勢の変化に対応する行き方としては、何も帰還輸送船ということにこだわる必要はない。またそれにふさわしい方法もあろうと思う。そういうことを十分考えまして、今後この問題が今お述べになりましたような方向へ進められるように希望いたします。帰還輸送船という建前は、その経費が全額国庫から支弁されている船でございますので、それにはおのずから限界があるという点から私は申し上げておるわけでございます。御要望に対しては十分承わっておきたいと思います。
#19
○戸叶委員 私は昨日この問題で、だいぶ田邊局長から伺いましたが、私の意見としては、中国の方がいらっしゃるのは、入管の問題としていろいろありましようけれども、日本の国籍を持つ婦人は、船に余裕があるのなら、乗せてきていただくのはいいのではないか、こういう意見をきのうるる申し上げましたので、きょうはそのことについては触れませんが、ただ、先ほどの問題で、きのう電報を打った中で、三団体の意見の一致々見られません、こういうことがあとについておるわけなんです。そうしますと、このことはそのまま打ちっぱなしなんでしょうか、それとも、今後三団体で話の調整をつけて何らかの連絡をしますというふうな意味なんでしょうか。どうでしょうか。
#20
○田邊政府委員 三団体においては、その後においてもいろいろ協議はしておるようでありますが、どういうふうに折衝になっておりますか、詳しく伺っておりません。
#21
○戸叶委員 そうしますと、三団体の人からの電報が行くまで、向うの方からの船は出てこないというようなおつもりですか、それとも、三団体の電報が行かなくても、船はどんどん準備を進めて出てくるというふうにとっていいわけでしょうか。
#22
○田邊政府委員 三団体は政府の方針を前提として業務を進めるべきものである。政府の方針に反して業務を進めることはいかがかと思います。従って、政府の方針がそうであって変らない以上、その前提のもとに仕事をするほかありませんので、当初定められた日程に従って興安丸は出港するであろうということを期待しております。また、日本側における入国の手続ないしは乗船許可の手続が済み次第、当方から逐次電報を打っております。おおむね十九日までに許可し得るものは全部許可するつもりでおります。
#23
○戸叶委員 そうしますと、結局、こういうふうな電報を打って、あと三団体からの何らかの一致した意見とかあるいは意思表示をしないまま、向うの力はどんどん準備を進めてくるということに、今の御答弁ではなると思います。そうなってみますと、日本と中国との関係はまだ国交が回復されておりませんので、結局、中国が行動をとる場合には、やはりこの三団体の言われた線に従って行動をしてくると思うのですが、そうなってきますと、この電報に信頼を置くわけでしょうけれども、三団体が一致しておらないというふうな言い方だけでは、先ほど山下議員が心配されましたような問題が舞鶴において起きやしないかということを、私は非常に心配するわけなんです。というのは、もしも国交回復をしてあるときならば、政府の意見を聞くなり何なりで問題は解決いたしますけれども、今日は紅十字と三団体との間で意見のやりとりをして、その線に沿うていくわけなんですね。そうなってきますと、この三団体の意見が一致しておりません、こういうふうな電報の打ちっぱなしですと、やはり意見が一致していないのだからという前提の上に立って、先ほどの心配のように、舞鶴へいろいろな方たちが来られるというような問題も起きないとも限らない、こういうふうに考えるのです。先ほど田邊局長は大へん楽観的な意見で、原則的に事態が起らないというふうなことを言っていらっしゃいましたけれども、私はそういう点について心配をするのですが、この点はいかがでございましょうか。
#24
○田邊政府委員 ちょっと私の考えが十分おわかりいただけなかったようでございますが、政府の方針と申しますのは、実は政府が用船しておる船でございますので、どういう人を乗せるかという問題は、やはり日本政府がきめるべきものであろうと思います。三団体といえどもその範囲は尊重していただかなければならぬと思います。従って、この電報を私はこういうふうに解釈したいのです。向うへ打った電報は、政府の方針を変えてもらうかどうかという点については意見が一致しない、こういうことでなければならぬと思う。その政府の方針がある以上は、その方針の通りやはり仕出を近められなければならぬ。それがルールであると思う。三団体は、政府の方針がどうであろうと、それを無視して仕事を進めるのだ、紅十字会も三団体の意向だけでやるので、政府の方針なり、その乗船し得る者の範囲が何であろうとかまわないのだ、こういうことでありますと、業務は運営できないことになるわけであります。業務を運営するという以上は、やはり意見はありましょうとも、きまった線によって仕事を進めるほかないのではないかと思います。もちろん紅十字会としては日本政府の方針に対して不満であろうということは、向うからの電報によって推察されるのであります。しかしながら、不満足であっても、今のところそういう方針がきまっておる以上は、その方針に従って仕事を進めるということがルールでなければならぬ、こう思います。
#25
○戸叶委員 私の申し上げんとするところが、非常に言葉が足りなくて、局長は誤解されているようですけれども、国交が回復されておりませんから、政府の考えているところを三団体に伝えて、その三団体が政府の代役をしているわけなんですね。そういう点は私もよくわかるわけです。ですから、その線に沿うてこの電報も打ったわけですね。ところが、最後に何か意見の一致を見ずということになると、三団体の間で意見の一致を見ておらないのだから、何かそこにあるのではないかというようなことから、何かそこに一致しないというようなところを判断して、そして舞鶴において心配するような事態が起きるんじゃないかということを私はおそれるわけなんですけれども、こういう点はどうですか。もっとはっきり申し上げますと、三団体でこういうふうな線が一番いいだろというようなことを、もう一度はっきりと打ち出すべきではないか、こういうふうに考えるわけなのです。
#26
○田邊政府委員 私は、先ほど申し上げましたように、三団体において意見が一致しないということは、そういった政府の方針は不満足だから是正してもらいたいという考えを持っている人、政府の方針はもっともだから、この衣までいった方がいいという人、こういう意見の相違じゃないかと思います。きまっていることはきまっているのですから、その方針が変らない以上、その方針に即応して業務が進められるということは当然のことであります。従って、言葉がこの電報によって不十分でございますので、あるいは戸叶さんが仰せられるような誤解が出てくるかもしれませんが、しかし、一方個別的に入国の許可の手続をするという電報を打っておりますので、その手続の済んだ者から乗船するという個別的な手続が別途ありますので、そういった誤解は生じないだろうと思います。
#27
○戸叶委員 この前いわゆる華僑送還という形で行きました日本の奥さんたちは大体四百名くらいですか、その中で、この間の里帰りのときに来られた人は大体幾人くらいあったのですか、ちょっと参考までに伺いたいと思います。
#28
○田邊政府委員 私どもはそういった方々は実はないと思っておったのでございますが、今お話しの通り、よく調べてみますと、少数まじっておったようでございます。数は今正確に知りませんが、四百名のうち一割もないごく少数のものです。
#29
○戸叶委員 私の考えはきのう申し上げましたからもう申し上、げませんが、そこで、もう一点要望しておきたいことは、先ほども山下委員から触れられましたように、まだ中国に居留しております日本の婦人で、里帰り一時帰国を望む方がまだまだいられると思うのです。やはりそういう方も、この前の方と同じように考えて、そして特別の考慮を払ってあげることは、私は当然のことだと思うのですが、そういう意味から申しましても、そのつどの問題にならないように、やはり一応この里帰りということに対しての一つの方針というものをはっきりきめておいて、そして今後に臨んでいただきたい。そして、そういう方々が日本に帰っても、ほんとうに祖国へ迎えられたというようないい感じを得て帰られるように、その方針をおきめになっておいていただきたい。これを要望いたします。
#30
○廣瀬委員長 ほかに御質疑はございませんか。ほかに御質疑がなければ、本件についてはこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#31
○廣瀬委員長 次に、請願日程の審査に入ります。
 日程第一ないし第四一の未帰還問題の完全解決に関する請願は、同趣旨でありますので、一括して審査をいたします。紹介議員の説明を聴取いたします。山下春江君。
#32
○山下(春)委員 ただいま議題となりました日程第一ないし第四十一の請願について御説明申し上げます。
 本請願の要旨は、いまだにソ連地区、中共地区その他の諸地域には五万有余に達する消息不明者とその家族が取り残されているが、これら同胞に対し理解ある同情とあたたかい救護の手を差し伸べられたいというのである。すなわち、(一)昭和三十一年度中に、海外残留同胞にして帰国を希望するすべての者を祖国に迎え入れること、(二)昭和三十二年度中には、すべての未帰還同胞の生死を究明し、不幸にして死亡と判明したるものとその遺族に対し、国家補償の精神に基く弔慰並びに慰謝に関する根本的処遇を遅滞なく実施すること。以上であります。
 御審議の上御可決あらんことをお願いいたします。
#33
○廣瀬委員長 右請願につきまして政府の意見を伺います。
#34
○石塚説明員 ソ連地区及び中共地域その他の地域における消息不明の方々の消息をできるだけ早く究明いたしますことは、留守家族の皆さんの切望するところであることはもちろんであります。政府も、そういう留守家族の心、情を楽しまして、従来から最も力を入れてきたところであります。従いまして、今後におきましても、この点については十分力をいたして、できるだけ一日も早くこの消息の状態を究明して、留守家族の気の毒な心情に対してできるだけ期待に沿うように努力いたしたいと思います。
#35
○廣瀬委員長 本請願につきまして、委員並びに紹介議員の御発言はありま似せんか。御発言がなければ、本件についてはこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#36
○廣瀬委員長 次に、日程第四二、南方地域の未帰還者捜査及び留守家族援護に関する請願の審査をいたします。紹介議員の御出席がありませんので、私より説明いたします。
 本請願の要旨は、未帰還者の現地復員処理については、昭和三十四年八月十七日現在をもって、未帰還者を現地復員したものとみなし、職権をもって身分を一般邦人に切りかえたが、これは当時の実情を無視した不当な処置であるから、これらの者の身分を軍人に復元し、留守家族援護法の適用を受けられるよう措置するとともに、生死究明合同調査は、適正かつ公平に調査を行い、留守家族の意見も尊重し、行方不明者の捜査に当っては、留守家族をも参加した現地捜査班を派遣されたいというのであります。
 何とぞ御審査あらんことをお願い申し上げます。
 右請願につきまして政府の意見を伺います。石塚引揚課長。
#37
○石塚説明員 この南方地域の未帰還者の現地復員につきましては、これは、復員当時の状況等から勘案しまして、政府としては現地復員の措置をとった方が適当だという判断のもとに実施いたしたのでありますが、現在といえどもその考えは変っておりません。なお、こういった方々がいまだ未帰還の状態であって、これを一日も早くその消息を明らかにする、その生死の究明につきましては、現在も政府とては調査の対象といたしておるのでありまして、決してこれを軽視しておるわけじゃないのであります。従いまして、こういった方々の未帰還の問題につきましては、今後とも努力はいたしていくつもりであります。
#38
○廣瀬委員長 本請願につきまして、委員並びに紹介議員の御発言はありませんか。
#39
○山下(春)委員 今石塚課長の現地復員の手続をとった方が都合がいい――都合とおっしゃったかどうか、都合がいいというふうに聞えましたが、それはどういうことなんですか。
#40
○石塚説明員 都合と私申したかどうか存じませんけれども、都合という意味じゃないのでございまして、その当時の状況から見まして、現地復員の措置をとる方が適当じゃなかったか、適当であったという判断のもとに、そういう措置をとったのだということを説明いたしたのであります。
#41
○山下(春)委員 それは、たとえば太原組、あるいは山西組というのでしょうか。ああいった方法の考え方で現地員の措置をおとりになったのでしょうか。その方が適当だという理由はどういうことだったのでしょうか。
#42
○石塚説明員 太原の現地復員は、それぞれの所属部隊で現地復員の処置をとっております。南方地域につきましては、終戦当時の混乱の状態から、人によって若干事情は違いますが、もっとわかりやすく言いますれば、逃亡みたいな方もかなりあると思います。そういうような実情から見まして、部隊を放棄して行かれた方もかなりあるのですが、そういうふうな事情も考慮しまして、現地復員にすることが適当であると考えたのであります。
#43
○山下(春)委員 本委員会としては、これは適当でないと考えるのであります。終戦当時の状況というのは、混乱もし、あるいは逃亡とみなされたような格好をとったようなこともあるかもしれません。その状況というのは、われわれが先刻いろいろ議論いたしました、華人の妻になっている人の里帰りをあたたかく処遇したいという気持と同じ気持でありまして、やむを得ないというケースが非常に多いと思いますので、本委員会としては、何としてもこの問題はこのままでその処置がいいということを承認するわけにいきません。課長の答弁を私ども求めませんが、本委員会として政府に、せひお考えを願いたいと思うことは、そのために留守家族が留守家族手当の対象になっておらないというごと、あるいは恩給の対象からも漏れたということであります。戦争の傷あとを政府も国会も十年間非常に努力して埋めて参りましたけれども、これらの問題は、やっぱり取り残された日の当らない傷あとでありまして、これを放置しておいてはいけないと思います。政府のお言葉ではありますけれども、本委員会としては、今の課長の御発言を了承いたしかねますので、これは、後ほど本委員会としても取り上げて、一つ何か考えたいと思いますから、政府の方でもぜひ一つ――当時の軍のいろいろな規定から考えて、法律に違反した行動をとられたとは私は決して申しません。法律の示す通りに処遇されたと思いますが、傷あとを埋めていくという本委員会の本旨からいたしまして、何とか、それらの人々も、そう無制限な数でないということもわかりますので、ぜひ政府でもこの問題についてはあたたかい処遇をするような方法をお考え願い、また、われわれ委員会としても、この傷あとを埋めることに努力いたしたいと思っております。
#44
○櫻井委員 今の山下委員の御意見に私も全く賛成なのでありまして、特に太原の問題などは南方とは違いますが、やはり現地復員という形で取り扱われております。あの問題はこの委員会へ証人を呼んで相当真相がはっきりしたと思います。ところが、その後やはりこれに対して適切な措置がどうも講じられていないように見受けられるのですが、太原の問題はその後何らか前進がございましたか。現地復員という問題と関連してお尋ねいたした。
#45
○石塚説明員 現在までの段階では既定方針で進んでおります。
#46
○櫻井委員 既定方針というと、あくまでも現地復員である、援護法の対象にならないという形ですか。
#47
○石塚説明員 現在の段階では、まだ既定の方針通りの現地復員の措置で進んでおります。
#48
○櫻井委員 そういうことになりますと、当委員会としては黙っておられないのです。当時の司令官、参謀、それから非常な苦難をなめた兵、そういう人をあれだけ参考人に呼んで、内地におってつかめなかった当時の状況がはっきりしてきたわけです。そしてこれに対して善処することを当委員会としては要望してある。ところが、その後これに対して何ら適切な手を打っていないということになりますと、やはり大きな問題だと思います。あの当時の記録をお読みになれば明瞭なごとく、司令官の命令は徹底してない。兵は司令官の命令に服しておりますが、司令官の出した命令そのものが全部に徹底してない。そして司令官としては何ら引き揚げの措置を講じていない。やむなくいわゆる上からの命令によって戦争をしたのであります。そして、そこで戦死をしたり、傷ついたり、そういう事態が起きている。これを、政府は、お前たちが勝手にやったのだ、援護法の対象にはならないのだということでは納得できない。こういう問題はまだたくさん残っております。今山下委員のおっしゃったように、大きな傷あとの一つです。こういうことを既定方針だといって簡単に片づけられたのでは、本委員会の使命を果したとは言われない。この点については今後当委員会でも究明しますし、また厚生省の方でも十分研究していただかなければならぬと思いますが、御所感を承わっておきます。
#49
○石塚説明員 実は私の言葉が足らなかったのですが、各人からはそれぞれ当時の事情を具申して手続をして参っております。しかし、それについて新たに現地復員の解除をしたというような措置をとっていないわけであります。現在の段階では既定の方針で進んでおりますので、形としてはまだあるわけです。ですから、今個々の人の事情について審査はしておりますが、現川在までの段階のことを申し上げたわけ上であります。
#50
○櫻井委員 それから南方のビルマとかフィリピンとかいうところにおいては、国交も回復したわけでありますので、それぞれそういう機関を通して調査が進められているのですか、
#51
○石塚説明員 南方の方は、私の知っているものでも、具体的にその後の事情によって取り消したりしている者があります。たとえば本人が個別引き揚げで帰ってきたので、その当時の事情を調べましたら、斥候に出て負傷して、部隊に帰れなかった、そのために現地に残ったような格好になった人がいるのです。そういう人は、事情の判明次第、現地復員の措置を取り消しております。そういうようなことで実情に即してやっているわけあでります。
#52
○廣瀬委員長 次に、日程第四三ないし第四八、海外抑留同胞救出運動等の強化拡充に関する請願は、同趣旨でありますので、一括して審査いたします。紹介議員の御出席がありませんので、私より説明をいたします。
 本請願の要旨は、戦争後十有余年を経た今日におきまして、なお外地には五万有余に達する同胞が生死不明のまま現在に及んでおるが、最近の世論はすでに引き揚げ完了した、ことき安易な風潮に流れ、また政府の措置並びに援護対策は逐年麻痺症状になっておることは、まことに遺憾にたえません。ついては、海外抑留同胞救出運動等の緊急かつ重要性にかんがみ、次の事項を実施されたいというのであります。(一)消息不明者の調査研究並びに帰還促進、(二)未帰還者留守家族並びに帰還者の援護強化、(三)遺族に対する弔慰金並びに慰謝に関する根本的処遇改善でございます。
 右請願につきまして政府の意見を伺います。
#53
○石塚説明員 消息不明者の究明につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。未帰還者留守家族並びに帰還者の援護につきましては、今後、未帰還者の留守家族につきましては、未帰還者の最終処理、そういった問題とも関連して検討して参りたいと思います。
 それから、帰還者並びに遺族の弔慰その他帰還者の慰謝に関する処遇の改善につきましては、いろいろと機会あるごとにできるだけその方向に沿うて、政府としても力をいたしておるのであります。ただいま国会で御審議を願っております引揚者給付金等支給法等において、できるだけこういった要素も加味して、処遇の改善に努力しておる次第でございます。今後も研究して参りたいと思います。
#54
○廣瀬委員長 本請願につきまして、委員並びに紹介議員の御発言はありませんか。
#55
○廣瀬委員長 ほかに御発言がなければ、本日の請願日程第一ないし第四一の各請願中、「昭和三十二年度中には、すべての未帰還同胞の生死を究明し、不幸にして死亡と判明したるものとその遺族に対し、国家補償の精神に基く弔慰並びに慰謝に関する根本的処遇を遅滞なく実施すること。」の項及び日程第四二ないし第四八の各請願は、いずれもその趣旨が妥当でありますので、これを採択の上内閣に送付すべきものと決することとし、報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○廣瀬委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたします。
 なお、ただいまお手元に配付してあります通りの陳情書が、本委員会に参考に送付されてきておりますので、この際御報告申し上げます。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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