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1956/11/19 第25回国会 参議院 参議院会議録情報 第025回国会 本会議 第6号
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1956/11/19 第25回国会 参議院

参議院会議録情報 第025回国会 本会議 第6号

#1
第025回国会 本会議 第6号
昭和三十一年十一月十九日(月曜日)
   午前十時四十五分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和三十一年十一月十九日
   午前十時開議
 第一 裁判官訴追委員及び同予備
  員辞任の件
    ―――――――――――――
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。津島壽一君から、海外旅行のため十二日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、裁判官訴追委員及び同予備員辞任の件
 佐藤尚武君から裁判官訴追委員を、八木幸吉君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松野鶴平君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官訴追委員及び同予備員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
#9
○上林忠次君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#10
○小酒井義男君 ただいまの上林君の動議に賛成いたします。
#11
○議長(松野鶴平君) 上林君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって議長は、裁判官訴追委員に長谷部ひろ君、同予備員に江藤智君を指名いたしました。
     ―――――・―――――
#13
○千葉信君 私はこの際、内政問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#14
○上林忠次君 私は、ただいまの千葉信君の動議に賛成いたします。
#15
○議長(松野鶴平君) 千葉君の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。
  [千葉信君登壇、拍手〕
#17
○千葉信君 私はこの際、内政問題に関し、日本社会党を代表して、首相初め関係閣僚に若干の疑義をたださんとするものであります。
 まず最初にお尋ねしたいことは、去る十七日、鳩山首相はわが党の岡田議員の質問に対して、政権授受については、私は社会党に譲る意思はない、鳩山内閣の延長ならば譲らなくてもよいと答えられました。私は、この答弁くらい不まじめで、しかも思い上った答弁はないと思う。二大政党対立の現在、内閣が辞職をすれば、反対党に政権を渡すのが、民主主義政治のルールであることは当然であるし、何人に政権を担当させるかは、国民の意思が決定すべきものであることももちろんであります。しかし私は、この際はその民主主義政治の理念をもって対抗するには、あまりにもあの答弁は不遜であることを考え、そこで私は、別な角度から言いたいのは、少くともソ連から帰られて後の鳩山首相、ことに帰国して新聞記者会見で、近く引退すると声明した以後の鳩山さんは、急激に発言権を喪失し、日を追うて影が薄くなりつつあることを感じております。そのことは、この議場における空気もこれを雄弁に物語っておる。鳩山さんが演壇に立てば、昔は少くとも必ず拍手がとびました。今日では、注意しても与党から拍手一つ起らない冷たい態度で見過ごしております。後継総裁候補についても、できるだけ一人にしぼりたいという鳩山首相の執念さえも、ついに放棄せざるを得ないありさまでございます。自党の後継総裁について、すでにしかりでございます。いわんや次の政権担当者について、鳩山さんの発言など有力であると考えるのは、きわめておかしい話でございます。問題になるのは、その次の、鳩山内閣の延長ならば譲らなくてもよいという、その言葉であります。すなわち、鳩山内閣はまだ政権担当の能力や資格や、従ってまだ国民の支持があるのだと考えていること、それだから病気であるとか、党内事情によってやめても、かわりの政権は鳩山内閣の延長だというのならば、それこそ思い上りもはなはだしいと言わなければなりません。鳩山内閣が、与党を含めて政権担当の資格のないことは、国民がこれを最近著しく表明しつつあります。
 それはまず第一に、相次ぐ最近の地方首長の選挙が雄弁にこれを物語っております。私はこの鳩山内閣や自民党に対する最近の相次ぐ不信の表明が、何に基くものであるかは、数えきれない数多くの理由から来ていると思うのでありますが、何と言いましても、その主たるものは公約の不履行、それから党内派閥争いに終始して、一切の重要国務がなおざりにされていること、そこにあると私は断ぜざるを得ません。鳩山内閣が、もしも公約を実行したというなら、それは下手な鉄砲撃ちが、百撃って一つ当った日ソ復交だけでございます。それさえも、党内がまっ二つに割れ、ようやく社会党によって、今この国会で実を結ぼうとしているのにすぎません。社会党がこれを支持するのは、それが社会党の主張だったからであることは、今日だれ一人として知らないものはないはずであります。
 その他の公約、鳩山内閣は第一次組閣以来、はなばなしく公約をばらまきましたが、その第一に憲法改正があります。ようやくにして前国会で成立を見た憲法調査会法も、わずかに事務局だけを作って看板を上げたにすぎません。国会において、衆参両院にあって反対勢力が三分の一以上を占め、社会党が正式に不参加の態度を表明した今日、一体何を目標に、だれを相手に、いつ第一回の総会を開こうというのでありましょうか。外遊中の山崎巌氏が帰ってから、委員である国会議員の人選に着手をしてみても、実際にはいかんとも動きようがないはずであります。今日与党内にさえ、すなわち憲法の改正試案を作るのは早すぎる、ことに社会党が不参加を表明した今日においては、ここ当分憲法調査会は、改正案作成等を取りやめにして、憲法改正の啓発運動に力を入れるべきであるという意見さえ台頭している状態でございます。首相は一体、総裁としてどうこれをさばくつもりか。減税の問題しかり、臨時税制調査会の答申についても、地方財政の立場からする微妙かつ複雑な影響を、首相は一体どう計算しているのか。鳩山首相の在任中には、日の目を見そうもないことはもはや明瞭でございます。社会保障制度の拡充はどうか。国会では首相は、何といっても国民医療の問題がその重点であると呼号しておきながら、健康保険の赤字に対する政府の態度は、今日、国民の憤激を買っております。住宅問題の解決はいかん。四十五万戸政府が建てる、国民の自前で別に二十万戸という程度ならば、公約としてもりっぱだし、また住宅問題の解決とも言い得ましょう。一体日本では、火災、風水害、自然腐朽等で、どうしても年間二十五万戸ずつ自然減耗を見込まなければならないのだから、かりに国民が自前で確実に二十五万戸建てるとしても、それだけでは住宅問題の解決は一歩も前進しません。三十年度は、国民が自前で二十二万七千戸建てました。政府が建てたのは十四万三千戸であります。この数字で参りますと、住宅問題の解決は、今後二十二年半かかるということになります。これが住宅問題の解決の公約のなれの果てでございます。
 さらに行政機構改革の問題があります。首相は、第二十四国会において、憲法改正、行政機構改革のこの二つの目標こそ、心から日本の独立を願う為政者として、何よりも先に解決しなくてはならない問題であると声を大にして呼号されました。私はそれを聞いたとき、行政機構の改革と独立との結びつきに、思わず首をかしげて聞いたものであります。第二十四国会には、政府から百七十二件の法律案が提出され、そのうも三十件が不成立に終りました。その不成立に終った主たるものは、行政機構改革に関する法律案でございました。国家行政組織法を初め、内政省設置法、人事院をつぶす国家公務員法一部改正法律案、総理府設置法、北海道開発庁設置法の改正案等々、十三件もの行政機構改革に関するものが全部まくらを並べて討ち死にしております。どだい今までの国会で、あれほど多くの法律案が握りつぶされたことは、空前のことであったし、しかもその案件が鳩山内閣の五大公約の一つであります。政治家が政権を担当し、権力の座につくことは、それによって抱負経倫を実行し、政策政綱を実施する第一の方途であるからであって、そのためには、政権担当に異常な熱意を示すことは当然のことであります。しかしながら、他面それが政策の実行、抱負経倫をとり行わんとするよりも、むしろその名誉欲、その権勢にあこがれたためのものである場合には、それは国民のひんしゅくを買うことは当然のことと言わねばなりません。今日ようやく、国民の鳩山内閣に対する不信の表明がなされつつあるのは、何といっても、この公約の不履行にその原因ありと言わねばなりません。近くおやめになるというのだから、ほんとうは聞くに忍びませんけれども、次の内閣は鳩山内閣の延長であるなどと言うに至っては、ぜひともこの際、以上申し上げた公約に関し、放棄したのではないという、不履行ではないというその状態について、将来の見通しについて、具体的に御答弁を承わりたい。
 さらに引き続いて、国政がなおざりにされた事実を指摘して責任を問いたいのであります。私どもは、鳩山首相が病躯を押して政権を担当してこられたことについては、深く惻隠の情を抱いております。手押車でやっと院内を歩かれるお姿、その御病気特有の表情がお顔に現われたりしたときの委員会等では、心から痛々しさを感じ、闘志のにぶることさえございました。だから、お世辞にも日夜国務に御精励とは言えない、しょっちゅうお昼寝をなさることについても、非難がましい気持は持ちませんでした。しかしながら、それだけにわれわれは、目にあまる党内の派閥抗争、ときには党あって眼中国家なく、私利私欲あって党利党略なしとまで印象づけられる勢力争いが、そのまま国務の渋滞となって現われることに、限りなきふんまんを抱かざるを得ませんでした。たとえば野党の国会開会の要求を無視して、ついに今日まで参議院における院の構成を等閑に付した事実、日ソ交渉について、あるいは今春以来問題になっている給与の改訂の問題について、あるいは未曽有の冷害に見舞われた北海道その他の災害対策等、重要国務が山積しながら、一切の重要案件をしり目に、ソ連に出かけられたその首相の真意は、日ソ復交に関する公約の実現というよりか、それが党内の跡目相続に対する思惑からであったことは、今回の調印内容が、ロンドン会議当時と実質においてそれほど異なったものでないことによっても立証されます。さらにまた一つのはっきりした事例を言えば、国防会議の問題があります。この法律が成立する過程には、二十二国会において流産となったその責任をとって、当時の杉原長官がついに引責辞職をいたしております。このことからも、政府はこの法案の成立には、異常な熱意と努力を傾け、その体面にかけて強引に成立せしめたことは周知の事実であります。しかるに、この法律の施行後五カ月になんなんとする今日、いまだただの一回も開会されておりません。聞くところによりますと、服部卓四郎氏を参事官に任命することをめぐって、旧陸海軍の確執が深まり、手をこまねいた結果、国防会議は単に事務局長を任命して、事務局を置いただけでございます。一体首相は、あれだけの無理押しをして法律を通しておきながら、国防会議の議長として、ただの一回でも会議を開くつもりがあるのかどうか、それとも討議する案件がないとでも言われるのか承わりたい。かかる状態を、私は国務の曠廃という。この態度を私は、党あって国家国民なき態度だという。鳩山内閣に対する不信の声は、ここからもきております。次の内閣は、鳩山内閣の延長などとは思い上るもはなはだしい。私は首相最後の国民に対する御奉公は、民主主義政治のルールに政権の授受を乗せることであると考えております。首相はどうお考えですか。
 次に、私は防衛庁長官に、防衛計画と国防会議についてお尋ねをいたします。
 本年七月二日、アメリカの下院歳出委員会におけるロバートソン国務次官補並びにマックガイヤー国務次官補の証書によりますと、五七会計年度における対日軍事援助は、前年度の十三倍半、一九五〇年度から五六年度にわたる年々の援助費の総額の約半分に及ぶ莫大な額が証言され、その総額は四億ドルを上回るものと言われております。われわれはアメリカのその腹の底までそんたくすることは、この際は省くといたしましても、一体外国の国会で、日本に直接影響を持つかかる問題を、何の連絡もなしに発表されるということは考えられないのだが、その点は一体どうなっておるのか、防衛庁費を幾らにし、防衛支出金をどうするかは、同時にまた日米折衝の最大眼目であり、毎年の予算編成に際しての最も大きな問題であります。日本の防衛支出金と見合うことになる軍事援助額が、一挙にかくのごとく増額されるというこの証言は、少くとも日本にとっては、大きな政治課題でなければなりません。同時にまた聞きたいことは、今、明年度の防衛予算をめぐって、与党と防衛庁当局との間に意見の食い違いがあり、その調整が急がれているようでありますが、そもそも防衛予算そのものは、防衛計画と直接結びつくものでなければならないし、防衛計画そのものは、その年度内の場当りなものであることは、日本経済の実情、財政負担の限界等から許されないことであります。しかも防衛計画そのものは、総理大臣の諮問によって、国防会議がその計画に当ることは、防衛庁設置法、国防会議構成法に明らかであります。しかるに今日のこの状態、すなわち日本の防衛計画を決定的に左右する軍事援助に関し、アメリカが全く一方的に軍事援助費の増額を表明し、国内においては与党と行政庁との間に、重大な意見の食い違いを生じているときに、その中心の役割を果すべき目的のもとに生まれたはずの国防会議が、開店休業そのものということは、一体どういうことでありましょうか。国防会議は長期の国防計画を立てる、私の方は当面の計画を立てると防衛庁では言っているそうだが、そういう理屈が成り立つのかどうか。私はこの際、防衛庁長官から以上の点、アメリカからの連絡のあるなし、国防会議と防衛計画との関係、与党と防衛庁との調整がどうなったか、明確にお答えを願いたい。
 次に、私は砂川問題についてお尋ねいたします。立川基地の問題は、その住民の生活が、土地の取り上げによって脅かされるということ以外に、その土地の取り上げによって実現される滑走路の拡張が、アメリカ議会においても明らかにされましたように、立川基地の性格を実質的に変えてくるという事実にも問題があります。すなわち、この基地拡張の結果として、新型のジェット機が発着できるようにするためであって、その新型機は、原水爆の積載が可能であるというところにも根強い反対の理由があるのであります。重光外相によりましても、原水爆を日本に持ち込むに際しては、あらかじめ日本に申し出があるはずだと言明はしておりますけれども、日本に持ち込ませないという保証は何一つありません。原水爆積載機の発着が可能である基地が、一たん事ある場合、直ちに攻撃の的になるであろうことは、何人も認めざるを得ません。しかもそれは、単に砂川の町民だけの問題ではない。その国民の不安に対して、政府は一体、今までいかなる処置をとられたか。同時にまた、砂川の反対派と称せられる人々に対して、一片の説得工作の行われたことをも聞きません。われわれが十月十一日、党を代表して船田長官と会見した際の言明によりますと、政府は再三にわたって砂川基地拡張の方針変更方について、アメリカ側と折衝を行なったというのでありますが、その努力を重ねたという事実さえも、今もって政府は公表しておらない。そうして政府のとった態度というのは、あくまでも強制測量の強行であり、砂川基地そのものから、アメリカ兵の銃剣にささえられて測量隊を出入りさせたり、最後には、無秩序な警官隊三千名のこん棒をふるっての流血の惨事でございました。聞くところによると、事件直後、警官の行動について、率直にその行き過ぎを認めた警視総監が、最近に至って、部下の圧力に屈して、その態度を変更し、暴行者検挙の方針を表明している事実があります。これこそまさに警察政治、恐怖政治の最たるものと言わなければなりません。一体政府は、砂川基地の問題について、あくまでもかかる態度をもって終始するつもりなのか、それとも円満なる方針をもって臨もうとしているのか、その方針を承わりたい。
 次に、私は給与改訂の問題について御質問申し上げます。昭和二十九年以来、公務員諸君は、政府の低賃金政策によって著しく不利益に取り扱われ、ついに今日まで賛金据え置きのうき目を見てきたのでありますが、そもそもこの賃金据え置き方針なるものは、いうところの自立経済達成、貿易の赤字克服を理由として強引に強行されたものであります。当時の情勢は、外貨の保有高においても七億ドル台に転落した時期であり、そのために、かりにやむを得ない措置であったとしても、今日においては、少くとも賃金据え置きの理由は消滅したと言わなければなりません。すなわち徹底した消費規正と、低賃金政策に基く貿易の改善は最近特に著しく、たとえば昨年度においては、特需を除く国際収支の均衡が可能となり、本年四月における外貨の保有高においても、今や十四億五千五百万ドルに達している現状であります。日本経済の曲り角に来たと言われ、終戦後の様相を脱却して、拡大発展の時期に到達したと言われる今日、なお低賃金政策を強行することは、いたずらに海外を刺激し、出血、ダンピング強行のそしりを免れないでありましょう。しかも政府は、現在まで不問に付されてきた休暇戦術等の闘争手段に対して、ほとんど一方的に今春来違法なりとの見解をとり、弾圧を事としております。一体、政府において、かかる態度について反省の余地がないであろうか。各国の立法例や実情によりますと、英米仏においても、それぞれ公務員に対しては、ある程度の制限規定を持ってはおりますけれども、しかしそれの反対給付として、民間に比して二割程度の高い給与が保証されております。しかもこれらの国々では、その仲裁機関から行われました調停、勧告、仲裁等に対しては、いまだ財政上の理由をもりて対抗した事実はない。日本における国家公務員法、公労法も、実はその精神が貫かれ、法文もまたその通り解すべき条文になっているのであります。しかるに政府の責務たるべき公務員法第二十八条、公労法第十六条等においては、財政上の理由をもって対抗し得るがごとき強権的な解釈を押しつけ、一方、闘争の手段に対しては、大正年間の勅令等を持ち出して違法呼ばわりをしております。よろしく政府はその非を改め、物価、生計費の現状、民間における賃金の実態等を把握して、適正なる改訂を行うべきであります。この点について倉石担当大臣の率直な意見を承わりたい。
 次に、北海道の冷害対策について承わりたい。今回の冷害は、四十年ぶりのはなはだしいものであり、被害面積も、作付七十四万町歩のうち、六十八万町歩であって、ほとんど全道くまなく打撃を受け、政府の調査によっても、その損害額は三百四十六億と発表されているところであります。わが党は、逸早くこれの対策特別委員会を組織し、動員して、その善後策とともに、恒久的対策に乗り出しましたが、その後この要請にこたえて、高碕農相代理も、道内各地に実情を把握され、若干の対策が講ぜられたことは、大いにこれを了といたします。しかしながら、つぶさにその対策を検討するに、実情に沿わざるうらみ多々あるのは、まことに遺憾にたえません。たとえば救農土木事業につきましては、二億五千万以上の減査定を受け、しかも民間事業、市町村等の単独事業等の不確定要素を含むこと、国鉄、林野等の振りかえの事業が多く、救農土木事業としての労賃確保に、かなりの不安を生じております。また予約米概算金につきましては、今日、供米の時期に入りながら、いまだ決定を見ていないことがあげられます。さらに種もみについての補助金等にいたしましても、あまりに少額で、その確保が困難という実情でございます。特に今回高碕農相代理の視察報告によっても明らかにされましたように、北海道における寒地農業のあり方について、この際、大幅にその方針の変更を必要とし、米作中心から寒冷地適応の有畜農業に切りかえる方針をとるのでなければ、大なり小なり、例年冷害をこうむらざる地域のない北海道においては、真の対策とはなり得ません。この方途は、一日もゆるがせにすべからざる課題であって、従ってこの見地からすれば、恒久対策の着手は、論議のときではなく、その方途への予算を、直ちに明年度分より編成に着手してしかるべきものであります。この点につき、応急対策の不十分さについて、なお積極的にどのような方策が講ぜられようとしているか。その他本年の豊作に取り残され、それぞれ打撃を受けた九州の風水害、東北各県の冷害、さらに山口県の塩害等による被害額は優に百億を突破しようとしております。これらに対して、政府として講じつつある方策をこの際明らかにせられたい。
 特に七千万石台の豊作を謳歌されておる今日、取り残されたこの被害農民の立場を思えば、よろしく深い理解と積極性をもって事に当られんことを希望しつつ、私の質問を終る次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(鳩山一郎君) 千葉君の御質問にお答えをいたします。
 わが内閣が、五大公約はほとんど不履行となっておる、引退に際しましては、公約不履行の引責辞職たることを明らかにし、解散を行なって民意を問うべきであるというような御質問でございました。引退の形式によって、解散をするか、した方がいいか、どういうような内閣を作るかということがきまると思いますので、その前に引責の辞職というようなことは考えていないのでして、民主主義のルールを、よきルールを作るということは、千葉君もおっしゃる通りに非常に必要なことと考えております。社会党に政権を譲らないということに対して、非常に御不満のようでありますけれども、社会党は、残念ながら国会の三分の一きり議席を持っていない党派なんです。これに譲るということは、国政を乱すものと思います。従って、解散をするのがいいかどうかという問題になるのでありますが、これは引退の形式できまるものでありまして、今、自分でもどういう形式で引退することになるか不明のときに、解散がいいかどうかということは、ちょっと御返事ができかねるのであります。
 国防会議の設置について、一体いかなることがなされたかということでありますが、国防会議は、その発足以来現在まで準備の段階にありまして、近くその第一回の会議が開かれることになっております。
 その他の御質問は、船田長官に対するものが多かったのでありますから、船田長官から答弁をいたします。(拍手)
  〔国務大臣船田中君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(船田中君) 防衛関係等と砂川問題につきまして、御答弁申し上げます。
 わが国土の防衛につきましては、日米安保条約に明記されておりますように、日米共同の力によってこれを防衛するという建前になっております。従いまして、わが方といたしましては、常にアメリカ側と緊密な連絡をとりまして、防衛計画を立て、これを実行しつつあるわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、アメリカの国会におきまして、いろいろ論議のありましたことは聞いておりますけれども、しかし、ただいま御指摘のありましたように、五七年度の予算において四億ドルの対日援助費をきめたというような事実はございません。大体、日本金にいたしまして、おそらく今年度、来年度とも、五百数十億円になろうかと存じます。
 来年度の防衛費がどれだけになるか、またこれについて、与党側と食い違いがあるじゃないかというようなお話がございましたが、来年度の防衛費につきましては、長期防衛計画ともにらみ合せまして、せっかく現在検討中でございまして、まだ最終決定には至っておりません。その間におきまして、与党側においても種々御議論のあることは事実でございますが、政府側との間において食い違いを来たしておるという事実はございません。
 国防会議につきましては、ただいま総理から御答弁があった通りでございます。
 なお、次に砂川の問題でございますが、これは先般、十七日の本会議場におきまして、十分御説明申し上げておりまするように、あの立川の基地は、元来補給と修理のための必要な基地でございまして、原水爆の基地では全くございません。現在滑走路が五千五百フィートでありまして、この五千五百フィートでは、今日の発達した新式の飛行機を飛ばすことはできません。そこで最小限度千五百フィート延ばしまして、少くとも七千フィートにいたそうということで、その方針と計画は、すでに昨年決定をいたしておりまして、すでに昨年におきましては、その滑走路に当る部分の測量は終っております。今年に残された分は、残りの誘導路に当る部分でございまして、そして十月一日から十六日に至る間をその期間といたしまして、先方に、地元の関係者にも通告をいたし、そして円満に話し合いをして、これを実行いたそうと思いまして、再三努力をいたしましたが、ついにこれができません。従いまして、やむを得ず測量を強行するということになりました。その結果、十月十二日、十三日、あのような不祥事件を起しましたことは、まことに遺憾千万ではございますけれども、しかし法と秩序を守るためには、警察権の発動ということもやむを得ないことと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 国家公務員の給与につきまして、いろいろ御配慮いただきまして、まことにありがとうございます。私ども、この賃金に対する基本的なものの考え方は、労働大衆のふところに購買力が充実するということは、その国の経済力の発展の原動力になるのでありますから、それは喜ばしいことであります。できるだけそうしたいのでありますが、従ってその賃金というものが、一般国民経済にどういう影響を持ってくるかということを考え合せながら、それをやらなければならない。そこで今お話のございましたように、民間産業におきましては、経済の国際競争力を見ながら、やはりきめて行くという建前をとるべきであると思いますが、人事院の勧告にもございますように、公務員につきましては、民間産業のベースと、やはりにらみ合せながらやって行くという建前でございますが、今年の七月、人事院から政府に向って、賃金の問題についての勧告がございました。政府は、この勧告をよく読んでみますというと、御承知のように一般公務員は、三公社五現業及び地方公務員よりは、ややベースが低位にあるという文句が書いてございます。そういうような問題について、政府部内において、目下鋭意検討中でございます。財政上の状況ともにらみ合せて、もちろん政局は、基本的には人事院勧告を尊重するという建前でございますから、そういうことを加味しながら、目下鋭意検討中でございます。
 それから、いわゆる国家公務員のおやりになるいろいろな運動については、国家公務員法の規定を政府は守る立場でございますから、国民の代表として、政府は、今までとりました国家公務員の運動についての態度は変っておりません。従ってこの春、国家公務員の諸君にも申しましたように、政府は、法律上違法であるというような行動をおやりにならないように、こちらからも勧告いたしておりますし、遺憾ながらそういう行動がありましたならば、断固取り締るという方針については一向変っておりません。(拍手)
  〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(河野一郎君) 北海道の冷害を中心にした災害対策についてお尋ねでございましたが、これはまことに遺憾なことでございまして、政府といたしましては、必要な処置をできるだけやっておるのでございますが、恒久的な対策といたしましては、御指摘のありました通りに、畜産、酪農等を中心にしてこの冷害に備える、ないしは特に政府で考えておりますように、テンサイ糖の植付を増加して参りますとかいうような恒久策につきましても、特に慎重に考えてやって参りたい。しかも着々実行しつつ対処して行きたいということについては、万全を期するつもりでございます。(拍手)
#22
○議長(松野鶴平君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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