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1956/12/10 第25回国会 参議院 参議院会議録情報 第025回国会 法務委員会 第5号
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1956/12/10 第25回国会 参議院

参議院会議録情報 第025回国会 法務委員会 第5号

#1
第025回国会 法務委員会 第5号
昭和三十一年十二月十日(月曜日)
   午前十時三十九分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     山本 米治君
   理事
           雨森 常夫君
           一松 定吉君
           棚橋 小虎君
           宮城タマヨ君
   委員
           青山 正一君
           井上 知治君
           大谷 瑩潤君
           田中 啓一君
           田中 茂穂君
           辻  武壽君
  国務大臣
   法 務 大 臣 牧野 良三君
  政府委員
   法務政務次官  高橋進太郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務大臣官房経
   理部長     竹内 壽平君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件
 (大阪拘置所移築問題に関する件)
 (恩赦問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本米治君) ただいまから委員会を開会いたします。
 本日は、検察及び裁判の運営等に関する調査中、前回に引き続き大阪拘置所移築問題に関する件を議題といたします。御意見または御質疑のおありの方は、この際御発言をお願いします。
#3
○一松定吉君 法務大臣に少しく伺ってみたいと思います。
 御承知の大阪の拘置所を都島の延原の工場跡に移転するということに関しましては、都島区民九万人のほとんど全部がこれに反対をしておりまして、衆議院並びに参議院の法務委員会に請願をしておる。しかしてこの両法務委員会において調査の結果、都島区民の請願は理由ありということで請願を採択して、これに参衆両院の議長が意見書を付して、かくのごとく民衆は反対しておるのであるから、当局としてはなるたけ民衆の意思を尊重して、適当な処置をとることが必要であるという意見書をつけて内閣に送付したということを承知しております。しかるにその後、この延原の土地に移転すべくいろいろ準備を進めておるということが、私どもの方に現地からときどき報告がありますから、その後における法務省の態度はどういうようなことになっておりますか。それを一つ、法務大臣から腹蔵なき御意見を発表してもらいたいのであります。
 私はこの質問をすることによって、法務省をどこまでもつり上げて、いじめ抜いて、どうしても延原の跡には移転することに絶対反対であると、というような、いやらしい考えを持っておるのではありません。両方の法務委員会が、請願を採択して内閣に送付したという以上は、少くとも一応は内閣の方において、もしくは関係官庁の方において、その両法務委員会の取り上げた請願の採択については十分の考慮を払い、そうしてどうしてもこの移転は請願委員会で取り上げたようにはいけないのだということで、特別の事情があるならば、その特別の事情を十分に両法務委員会の関係者、もしくは現地の関係者等に了解できるような措置をとって、そうして了解を得た上で進めるということは理解せられますけれども、何らの処置もとらずして、そうしてこの国会の採択した意見を無視してやるというようなことでは、民主国家とし、また議会政治を尊重しなければならぬ建前からいって、はなはだ賛成すべき処置ではないと思われますから、そういう点についても一つ詳細に民主主義に徹底せられた法務大臣のことでありますから、十分に一つわれわれの納得いくような御説明をお願いいたしたいのであります。
#4
○国務大臣(牧野良三君) ただいま一松委員から、事を分けての御質疑、御意見の開陳を得まして、はなはだ恐縮いたしました。
 実はあすこに設置することは区民の大多数の反対があるから考え直すようにということであり、お説の通りに、請願もその趣旨のものが採択になっておるのでありますから、政府としてはその請願の趣旨並びに一松委員からの仰せで、それを尊重して他に適当な土地を求めることに苦心をいたしたのでございます。ところが幸いにも他に自分の方へ建築するようにという希望の所がありましてまことにけっこうと存じて、その方の調査もいたしたのでありますが、適当な土地でございません。そこでいろいろ苦慮を重ねた結果、この上は区民諸君の御了解を得るに努めるべきである。それで区民諸君の御希望をいれ、そして反対の点に対しては極力これを緩和して十分なる御了解を得るということに努めようということになりまして、その努力を続けてきたのであります。しかるところ、途中事務当局としてはあまりあせり過ぎまして、手を加え出したところがあります。土地の整地その他にとりあえず着手して、そうして区民諸君の御了解を得ようという心持を持ったらしいのですが、それは大へん不謹慎なことで、さようなところまでいってはならぬ、御了解を得るまでは手をつけちゃならぬということで戒めて、今了解を得るに努めておるところであります。
 この点、ただいま一松委員からは事を分けておさとしを受けた。全く事ここに至る以上は、あらゆる方面から区民諸君の反対意見というものを、できるだけ緩和して、そうして区民諸君の希望をいれていくということに最善の努力をするほかないと存じます。どうか一つ、一松委員の御意見は、区民を代表されての御意見でありましたが、この上は政府当局の苦衷もお察しいただきまして、区民諸君の慰撫にお力添えをいただいて、あの土地に、しかも弊害のないように、区民の反対の御意見をできるだけ尊重して、十分なる措置を講ずるという方面に当局の努力することをお助け下すって、どうか中へ入って、緩和してうまくあすこに建ちまするよう御尽力いただきたいと思うのでございます。そのことにつきましては、どんなことでも私どもとしては忍んでお指図に従うように努めたいと思いますから、この上とも御高配を切にお願いしたいと存じます。
#5
○一松定吉君 さすがに老練なる法務大臣でありまして、実にわが意を得たり。牧野法務大臣がこんな乱暴なことをするはずはないのだ、どうしてこういうようなことをするのだと思って、実は今が今まで非常にあなたを見違えておったのです。私の知っておる牧野さんは、実に公正な、りっぱな人であって、いい考えを持って、常に民衆の意思を尊重する大政治家である、こう考えておった。あなたの省のやり方がいかにも参衆両院の法務委員の満場一致の採択を無視して、そうしてしかもそういうような論議のあるときに代金を払うようなことをしてみたり、登記をしてみたり、そうして急遽その拘置所の役人を移してみたり、あるいは延原の土地の上にある家屋を修繕してみたり、あるいは撤去してみたりするというようなことをする、実に牧野法務大臣は自分の今まで考えておった人とは違うのだろうか、実に不思議だなあと思っておりまして、実は直接あなたの所に行って私は談判をしてみたいと思ったのであるが、しかしこういうことを、平素尊敬するあなたの所に、ただ非公式に行って話をするということはおもしろくないから、やはり公けの法務委員会に御出席を願って、御意見を聞こうと思って、きょう特に御出席を願い、そうしてあなたのお話を聞いて、ほんとうに私は、さすがは牧野法務大臣であると、今あなたのお話を聞いて、あなたの御意見でないことがわかった。それと同時に、あなたの御意見でないにかかわらずあなたの下僚が大臣の意見をも十分にそんたくするところなく、かようなことを勝手におやりになるというようなことは、一つもう今後――といってもあまり長くはありませんけれども、さだめしあなたは留任するというような地位におられるような方であると思いますが、十分に一つこの点は下僚に、将来こういう不都合なことのないように御訓戒を賜わらんことを特にお願いをしておきまして、これから少しく質問を継続してみたいのであります。
 あなたは御存じか存じませんが、まず一番に私が非常に不思議に思うておることは、この一体延原の土地と、それと天満裏の北錦町の土地との交換でありますが、北錦町のいわゆる法務省の所有地でありまする土地の坪数は一万七百三十九坪七三、それから延原の土地は一万九千百七十六坪七二と、こういうことでございまするから、坪数から言いますれば、延原の土地の方が錦町の土地よりも八千四百三十六坪九九だけ多い、錦町の土地よりも多い。ところが価格は、この大阪のこれに関係しておる人々が大阪不動産株式会社の方に嘱託をし、そしてこの坪数並びに価格を鑑定いたしましたところによりますると、錦町の土地の総値段は五億三千六百九十八万六千五百円、ところが延原の土地はこの鑑定によりますと、一億一千五百六万三百二十円、差額、錦町の土地が延原の土地よりもすべての土地の値段が四億二千百九十二万六千百八十円だけ高価なんです。それを一体ただ坪数が多いというようなことだけで、すぐにそのままに一対一の割合でこれを交換したということを聞いておりますが、果してそうでありますか、どうですか。それはいわゆるこの関係者の鑑定でありますが、あなたの方でも鑑定をしたということを聞いておりますから、あなたの方の鑑定によって、延原の土地と錦町の土地との価格、値段について差額があるに相違ない。あったとするならば、その差額は延原の方からその金はお取りになったか、あるいは延原の方の価格が多ければそれだけの差額を差し上げになったか、その辺はどうなったのか、それをまず一つお尋ねしてみたいのであります。
 なぜ私がこういう質問をするかといいますと、私どもの関係者のわれわれに対して提供した資料によりますると、今私が数字を読み上げましたように、延原の土地は錦町の土地よりも四億二千百九十二万六千百八十円安い。その安いのにかかわらず、延原の土地と錦町の土地を一対一で交換したんだというようなことを開いておりますが、もしそうであるとするならば、いわゆる国家はこの土地を交換することによって四億二千百九十二万幾らという損をするということになる。そういうようなことをしてまでこれを交換しなければならなかったかどうか、そういうことをしてまで交換するということが必要であったかどうか、なぜこういうような価格に著しき差のあるにかかわらず、これをそのままに不問に付したのであるか、こういう点がわれわれの理解に苦しむところであります。この点につきましては、大臣はそういうことをいまだかつて考えたこともなく、聞いたこともないでありましょうが、こういうような交換問題には、いろいろその間に利権問題が介在しておるといううわさがあるのです。そうすると、今のような問題は明らかにしておくということが必要でありまするから、私は国家のために、また法務省のために、そういうようないわゆる疑惑の念を一掃する意味においても、それを明らかにする必要がある、こういうことを考えまするから、これをお尋ねするわけであります。
#6
○国務大臣(牧野良三君) その点に対しましては、すでに鑑定並びに数字を御指摘いただいたのでありますから、事重大なりとしまして、再三調査の比較研究をいたさせたのでございます。その内容は政府委員より詳細御答弁いたすことにいたしたいと存じます。
#7
○説明員(竹内壽平君) ただいま一松委員から御指摘の敷地の坪数の点におきまして、若干数字の食い違いがあるようでございますが、まずその点を御訂正申し上げておきますが、錦町の関係では一万一千九十二坪二合一勺でございます。それから延原の関係におきましては一万九千百七十六坪七合二勺、これが基本の坪数になっております。この評価に関しましては、前の国会において、この議場でるる御説明を申し上げたところでございまするが、大阪不動産鑑定協会の鑑定と私どもがとりました基礎との間に食い違いがありますことは、御指摘の通りでありまするが、私どもがとりました価格評定は、法務省が自分の都合のいいように自分だけの立場できめたものではございませんので、これは不動産交換の場合の手続といたしまして、大蔵省の所管になっております近畿財務局にお願いいたしまして、この評価をしていただいたのでございます。その評価を私どもの方で見まして、まことに厳正公平であるというふうに考えましたので、その依頼しました結果をそのまま採用いたしたのでございまして、もちろん近畿財務局の評価によりましても、さら地だけにつきましては開きがあるわけでございまして、その開きの部分に関しましては、幸いにこの延原の敷地の上にはれんが作り、あるいは木造の工場施設が残っております。そのうちで今後建築に使います仮設物に利用いたしますもの、あるいはれんが作りのものは今後倉庫その他に利用できますもの、そういうものがございますので、これもあわせて評価をしていただきまして、そうして大体において両者がひとしい価格になるということで、この交換を実施いたしたのでございまして、片一方を売りまして買うという形ではなくして、評価の結果、大体ひとしい価格というところで物々交換という形をとっておるのでございます。
#8
○一松定吉君 それではその近畿財務局の評価についてお尋ねいたしますが、延原の土地は、今あなたのお示しによりましても、一万九千百七十六坪と、こうなっております。あなたのお示しの通り、私の申し上げたのと少しも変りはありませんが、ただ錦町の坪数が私の方の調査によりますると、一万七百三十九坪七三ということであるが、今あなたのお示しによれば一万一千九十二坪二一、これはかえって私の申し上げたのより坪数が多いということになります。私の計算によりますと、差額が四億二千よりもっと多くなるということになりますが、それは後にいたしまして、一体近畿財務局の評価というのは、延原の土地を一坪幾らに評価し、錦町の土地を一坪幾らに評価し、それで合計が幾らになるということに鑑定をいたしましたか、それを一つお示しを願いたい。
#9
○説明員(竹内壽平君) 延原の力は一坪六千円という評定をいたしております。従いまして一万九千坪の六千倍で計算をいたしました金額になるわけでございます。それから錦町の方は一団地ではございますけれども、商店街に近い方面、駅に近い方面、あるいは北東の工場地区に近い方面等によりましてそれぞれ違います。そこで、ABCDの四つの地区に分けまして評価をしておられますが、A地区が坪単価一万二千五百円、B地区が九千五百円、C地区が七千円、D地区が八千円という評価をいたしておりまして、それぞれの地区の坪数を合計いたしますと、この評価が一億四千飛び飛びの六万四千四百円というのが総合計になっております。一億四千飛び飛びの六万四千四百円でございます。
#10
○一松定吉君 それは錦町でございますか。
#11
○説明員(竹内壽平君) 錦町でございます。
#12
○一松定吉君 延原の方は……。
#13
○説明員(竹内壽平君) 延原の方は、一億一千五百飛び六万飛び三百二十円でございます。
#14
○一松定吉君 そうしてみると、延原の土地の一億一千五百六万三百二十円は私の方の計算と一致しています。それから坪数も一致しております。すると問題は、錦町の坪数と錦町の価格ですな、これが違う。錦町の坪数は私の申し上げた一万七百三十九坪よりも、あなたのお示し下さった一万一千九十二坪というのですから、あなたのお示し下さったものの方がまず四百坪ほど多いわけです、錦町の坪数は。ただし値段については、あなたの方ではABCDにお分けになって、結局のところが一億四千六万四百四十円ということになる。これに現存しているものの価格を加えると、ちょうど一対一になるのだ、こういうお話でありますが、まあそれより前に、ABCDにお分けになることはいいのですが、あなたの方に私の方から土地の価格について鑑定をした鑑定書をお手元に差し上げたはずですが、それは受け取り下すったね。
#15
○説明員(竹内壽平君) いただいております。
#16
○一松定吉君 それによりますと、私の方の鑑定は、いわゆる大阪における鑑定人十二名が合同して鑑定をしている。それはつまり大阪における裁判所、行政官庁等から土地の価格の鑑定を命ぜられるところの有資格者の十二名の鑑定人の鑑定によりますと、今、私が申し上げたように、これはこまかに分けてはないようでありますが、結局のところ五億三千六百九十八万六百円ということになる。あなたの方は一億四千ということになってくると、結局錦町の価格の鑑定そのものにおいてすでに四億円ほどの違いがある。こういうように非常に多額の差違のあるようなときに、これをあなたの方の近畿財務局の評価だけを御採用になって、大阪の権威ある十二名の鑑定人の鑑定を無視して、すぐに財務局の方の鑑定だけをおとりになって、この十二名の権威ある鑑定人の鑑定を御採用にならなかったという何か根拠がありますか。これははなはだ額に相違があるから、もう一ぺんこの財務局の鑑定について一つ再鑑定さしてみよう、あるいは十二名の鑑定について再鑑定さしてみようというような御注意をお払いにならなかったか、そこを一つ伺ってみたい。
#17
○説明員(竹内壽平君) なぜ財務局の評価をとって、大阪の鑑定協会の異る鑑定を考慮しなかったかという点でございますが、これは考慮しなかったのではございませんので、そういう鑑定書を手にいたしましたので、さっそく鑑定協会の鑑定に携った方々の御意見も徴しまして、その内容を検討いたしたので、この経緯は前国会で詳しく申し上げた通りでございますが、要するに検討いたしました結果によりますると、この鑑定書にはどういう根拠で、どういうような判断によってこういう鑑定の結果を出したかという理由づけと申しまするか、そういう点につきまして結局は、あらゆる要素を考えて鑑定いたしたのだというだけでございまして、何と申しますか、実証的にうなずかせるものに欠けておったのでございます。他面銀行その他の鑑定につきましても、その後三、四ヵ所の不動産鑑定の専門家に依頼したのでございます。その結果も、ただいま資料を持っておりませんが、出ております。財務局の鑑定というのではございませんので、この財務局のは鑑定じゃなくて、それを鑑定をふんまえて、有権的に評価しておるという関係になっております。そういうような関係からいたしまして、財務局にお考え直しを願うというところまで、資料として私どもの気持を動かすに至らなかったというのが実情でございます。
#18
○一松定吉君 それはもってのほかのことを私聞くですね。今私が申し上げるように、この十二名の権威ある鑑定人の鑑定と、今あなたのお示しになった財務局の鑑定との差額は四億幾らという非常な巨大な差額である。それならば、その両者に向って鑑定のし直しをさせるか、あるいは講和の鑑定に関する意見書を徴するかして、その上で、なるほどこれは財務局の方がよろしいからということで、財務局の鑑定を基礎にしておやりになることならば、これは国家の奉仕者である官吏としての義務を尽したものといえましょうよ。今あなたのお話によれば、空漠のようなことで、財務局の鑑定を採用して、権威ある十二名の鑑定をそのままに採用しなかったということで、それはあなたとしては、自分には手落ちはないと考えていらっしゃるのですか。それが一つ。
 それからいま一つ、十二名の鑑定人の信用すべからざる根拠というものを、何か書面か何かで御採用になって、お手元に保管していらっしゃいますかどうですか。それがあるならばそれを御提出を願いたい。その点を一つ明らかにしていただきたい。四億という金も違うのに、今のような空漠たることで、これをすぐに一対一で交換するなどということは、これは失当です。私はそう考えますから、その点を明らかにしておいていただきたい。
#19
○国務大臣(牧野良三君) 私から釈明をいたします。一松委員から数字を指摘して評価に誤まりはないか、ことに、いわんやこれらのものの取引に関してはブローカーその他よろしからざるところの介在があって、万一のことがあってもならないから、深くその点を警戒して確実を旨とせられよという親切な御注意があったので、時あたかも決算委員会においては中古エンジンの問題がやかましくございまして、政府当局としてはあらゆる方面から根拠を明らかにしましても、世論はこれを承認いたしません。そのことがあるときでありましたから、私は経理部の当局に対しましては、錦町の土地は十年、二十年の後には必ず何倍かの値段が出る。そのときに、すでに一松委員から指摘されている高価な評価というものがある際であるから、中古エンジンのことがあるから、深くその点を頭において調査を改めてほしいということを注意いたしました。その結果、今経理部長の御返事では十分でなかったように思いますが、実は、これは財務局が鑑定をしたのではないのであります。やはり業者の鑑定を請うたのであります。そしてその業者の鑑定の結果を、財務局にさらに再調せしめたのでございます。役所としては慎重を期したのであります。しこうして十二名の信用ある方の名前がそろって出ておりまする鑑定に対しては、十分に尊重いたしまして、さらにその内容の調査を委嘱したのでございます。本日はここにその資料の用意をいたしておりませんが、必ず御納得のいくべき資料を整えたいと存じます。また、現実整っておるものはお目にかけることにいたします。その点を御了承いただきたいと存じます。こんな数字がすでに明らかになって、客観的なものが提出されているのに、それを軽んじて、自分のところが委嘱して得た数字のみを主張するというようなことはよろしくないと思います。それには十分な注意をしております。その経過はあとからお示しいたすことにいたします。
#20
○一松定吉君 やはり牧野法務大臣のお考えは正しい。あなたのおっしゃる通りでなければならぬ。ところがあなたの部下の今の答弁は、あなたもお開きの通り実にあいまいもこたる答弁、そればかりではございませんよ、一体この四億円も違うような価額の鑑定の差がある以上は、慎重にこの十二名の価額の鑑定が間違いであるということを、ほんとうにこれを調査研究して、しかる後にこれを交換の立場にまで進めなければならぬ。それができておりません。ことに他のその後における鑑定、安田信託に鑑定させたこともあります、それによりますと、この錦町の土地は二億三千六百二十七万四千六百円ということになっております。安田信託の鑑定、これはこの十二名以外の鑑定、これにしてもこの法務省の一億五百四十七万一千九百六十円に比べれば、一億三千八十万二千円という価格が安田信託の鑑定の方が多いのです。こういうようなことである以上は、今法務大臣は、部下の鑑定したことに誤まりないと自分は信ずると仰せになるが、それはあなたの部下のやったことだから、あなたがそれを、部下を一々疑うことがよくないことは、私も承知しておりますよ。しかしながらこういう具体的な事実が現われた以上は、既往にさかのぼって、それは君方のやり方が疎漏であったね、それは間違いであったね、それだけ国家に損害を及ぼしたことになるねと言うて、これを反省させることが必要である。またこのことが明らかになれば、あなたの立場上、もちろん反省しなければならぬことである。のみならずあなたの立場からすれば、必ず反省なさることなんです。ですからして、その部下が調達した書類がお手元にあるから、後刻出すということはけっこうですが、それを出して、なおかっこの十二名の鑑定、安田信託等の鑑定に比べて、非常に価格が安いという以上は、この間においてどうもこれがわが部下の失態であるということを御認識にならなければならぬ。それが、そういう卑しいうわさが飛んでいなければ私はこれを糾明いたしませんよ。この錦町の土地を法務省がお手に入れるときも、ある政界の大物が中に介在してやったといううわさがあるのです。それで、しかも非常にこれを高く買わせられたということで、今度また交換においてこういうことがあるとすると、今、大臣の仰せになった中古エンジン問題というものと比べて、特にこの法の厳正を尊ばなければならぬ。法務省の仕事としては、この点に十分の注意を払わなければならぬ。だからしてこの点は、書類を御提出相なるということでありまするから、きょう今ここでそれを私は追及するようなやぼはいたしませんから、一つ大臣におかれましても、御帰省の上、十分御調査の上で、なるほどこれはどうもいけなかったなあということであれば、あなたの御気象では、いやこれも間違った、一松の言うことがよろしかったということを必ず仰せになるあなたの立場なんだ。そういうことでこれをさらに再考していただくというような時期もあろうと思いますから、きょうはこの程度にしておきます、価格の点は。
 それからその次には、一体この前あなたの部下の御説明によると、大阪の弁護士会は、これに満場一致賛成なさったという御説明があったように覚えておりますが、それは間違いなかったですかね、もう一ぺん一つ。
#21
○国務大臣(牧野良三君) 実は私が大阪へ参りましたときに、府民諸君から大へんな反対があることを知りまして、その方々にも面会し、陳情を受けたのであります。時あたかも大阪にはバー・アソシエーションが設置されまして、その発会式に出て御あいさつを申し上げました。それで、私はその席上におきまして、当局と関係地方民との間に円満なる意見の一致を見ない問題がある場合においては、民間の意見を代表してバー・アソシエーションがぜひその間に御尽力願いたい、単純な弁護士諸君の集まりと違って、バー・アソシエーションは官界、一般民間、実業界において法律の関係を持たれる方、それに関心を持たれる方の団体であるから、特にお願いをいたしたい。とりあえずは現在の大阪の拘置所は、私は状況を見ると、もう全く人権を軽んじた措置がとられておる、やむを得ざる結果といえども、かようなものをこのままに放置してはならない。それで政府はその声に顧みて、新しい設備の整ったものを建てようとすれば、市民の有力者から反対を受ける。かような状況は当局の至らぬところであるから、至らぬところは民間の皆さんにおいて中に入って、適当なあっせんをしていただきたいということをお願いして帰ったのであります。それ以後さらに委員会における質疑となり、請願となって、ますますその方面の空気に憂慮すべきものがありましたから、さらに大阪における今度は在野法曹に実情を明らかにして、理解せられるところにおいて御あっせんを願いたいということを私からお願いいたしたのでございます。その結果として、大阪弁護士会はとりあえず委員会を組織して、そこでいろいろと御調査をしてくれられ、あるいはおそらく地元の有力者ともお会いいただいたのでないかと思いまするが、その辺の実情はわかりませんけれども、この際は政府のもくろみを支援することを適当と思うから、せっかくその方面に賛成して努力するという御返事を得たのでございます。その御返事も、弁護士会の決議の形式によって私どもに明らかにしてくれられると同時に、弁護士会の代表者が直接御上京の上、私自身に面会を求められてお話を承わりましたので、深く感謝の意を表するとともに、どうか地元の諸君の了解を得るということを第一に進めていただきたいということをお願いいたしたのであります。いまだ弁護士会並びにバー・アソシエーション当局者が、地元諸君の十分なる了解を得ることにまだまだお手が届いていないことかと存じまするが、この点につきましては、重ねて一松委員初め、当委員会の皆さんにもお願いいたしたいと思います。実際大阪の現在の拘置所というものは、もう一日も放置することができません。あんなにたくさんの容疑者をあんな小さい所に入れておくということは重大な当局の責任でございます。その問題を解決しなければならぬ焦眉の急に迫られているのであります。当局の至らぬところと幾多の誤っているところがあることを御指摘いただいた点に対しては、深く反省いたします。この場合におきましては、行政の円満なる運行の上に、どうか国会当局においても御同情を賜わって、この上の御支援を切にお願いいたしまして、円満にこの問題の解決することに御尽力を賜わりたいと存じます。
#22
○一松定吉君 法務大臣の御意見ごもっともです。私もあの拘置所をよく見まして、こういうような狭い所にこれだけのたくさんの人を入れておくということについては、これはまことに人権擁護の立場からは是正しなければならぬという考えは、全くあなたと同じでありますから、これを他に移転するか、しからざれば、この拘置所の拡張工事に着手するか、二者一を選ばなければならぬということはよく承知しております。それとこの都島移転問題とは関係はありますけれども、直ちに現拘置所がかくのごとき狭隘を感じておるゆえに、都島のこの土地でなければならぬという結論にはいかないというのが、この本問題の惹起されたゆえんでございます。でございますから、その点につきましての方法は、また別に考えなければなりません。そこで今あなたの、大阪弁護士会の委員会をこしらえて云々という御説明で、なるほどそういう形もあったようです。ところがこれは本年の三月九日に私どもが大阪に調査に参りまして、新大阪ホテルにおいて、われわれ委員と弁護士会の有志と、それから大阪高等裁判所、地方裁判所、検察庁等の方と合同して意見を交換したときに、出席した方が、大阪弁護士会長吉川大二郎君、副会長石黒淳平君、同じく大原篤君、同じく金子新一君、弁護士の小西喜雄君、阿部甚吉君、これだけの人が集まりまして、そして都島の方に移すことはわれわれは賛成しない、天満のいわゆる錦町に移すということは、これは賛成だと、こういう意見を述べて、現に反対意見を述べておるのです。ところがその後におけるいろいろなあなた方の方の御工作もあったかもしれませんが、大阪における七、八十人の弁護士が集まって、そしてこの問題を提案して、やはりこれはやむを得ないからということをやったということを聞きました。ところが、法務大臣も御承知でございましょうが、大阪弁護士会の頭数は、七百名に近いのでありますよ、七百名よりわずか二十名少いだけ、六百八十何名である。その六百八十何名のうち、わずか七十人ばかりの者が寄ってそれをきめたということは、大阪弁護士会の総意であるということには認められますまい。のみならず今この問題を法務省が現に強行するという態度に出ておるということに対して、大阪弁護士会のうちで非常に憤慨して、むしろ反対運動を今起しつつあるということも承知しておるのです。いずれそういうような弁護士の住所氏名等はお手元に出す機会はあろうと思いますが、そうしてみると、一体この問題について今大臣の仰せになったように、拘置所をどこかに移転しなければならぬ、急に迫られておるという事実は、その通り全く御同情いたします。しかしそれがためにこの都島区民が一人残らず反対をしておる、弁護士会の七百人に近い者のうち、わずか八十人がやったからと、あとの六百人ばかりの人が反対とも賛成とも態度を明らかにしない者があるときに、弁護士会がこれを満場一致賛成したんだからといって、これを強行するということはあまりよくない、そればかりではございませんよ、これは大臣は請願書の写しを御検討賜わったことと思いますが、この都島の予定地には、大阪市立の都島工業高等学校がある、それから第二高等学校がある、それから今度は、大阪市立の高倉中学校がある、高倉小学校がある、淀川小学校がある、桜島の高等学校がある、都島小学校がある、その他五ヵ所の幼稚園がある、こういうようなことで、この移転の場所は文教施設の中心地です。そういう場所にこの拘置所を移転するということは、これは移転の場所としては不適格であると私は思う。ここで法務大臣は拘置所というものは一体そういうような教育上の問題云々ではない。われわれも行かなきゃならぬようなことがあるかもしれない。だからして、拘置所を設けたからといってそれが教育上必ずしも不都合でないという御意見を、前回のこの委員会において御発表になったことを私は覚えておりますが、しかしながらこういうような教育のいわゆる中心地である以上は、でき得べくばそういうような所には移転しない方がいい。もし移転するとするならば、今法務大臣のお話になるように、その家屋の構造だとかというものも、周囲の人が見て不快の念を起させないように、あるいは教育上弊害のないような構造に作って、ああ、あそこには悪いことをした人間が多数留置されておるんだなあというような考えを、児童生徒に持たせないような構造に作るとか何とかいうようなことについて、法務省としてはその地域の人の納得のいくような構造にするのだ、あるいは少年鑑別所というようなものがあって都島の市民のためには非常に風致上、教育上よくないということは、今日やかましく言われておるのであるがゆえに、それをあなた方が了解されて、必ず他の適当な場所に移転して、都島の区民の御迷惑にならないようにしますということを、確定的に法務省として意思表示をするとか何とかする手続をとらなきゃならぬ。そういうことも何にもしないで、これを今おやりになる。しかもこれを強行しようとする、しかも大臣の意思とは必ずしも一致していないようなことを部下の方がやるということは、これはよくないことだ。こういう点については大臣は今どういうようなお考えを持っていらっしゃいますか、あなたの公正なる御意見をこの点に関しても一つ伺っておきたいのでありますが、それによって私どもが都島区民を説得するとか、あなたの方のこの計画に御協力申し上げるとかいうようなことも従ってきまるわけでありますから、あなたの一つ腹蔵なき公正なる御意見を発表していただきたいことを希望いたします。
#23
○国務大臣(牧野良三君) その点に関しましては、当局のこれまでやってきたことには、非常な欠陥のあることを認めまして、私は申しわけなく存じ、衷心ここでおわびを申し上げます。強行するというような態度をとることは最も悪いことである。いいことといえども強行というような態度を示すことは、いたずらに関係地方の方々の感情を激発させるから、そういうことはしちゃならぬということを言うと同時に、私は私なりに意見を述べまして、その点に意見の一致を見ない点のあることは遺憾に思うと同時に、私自身も反省いたしておりますが、その後やりましたことは、どうかして区民諸君の御了解を得たい、その了解を得ることにはいやしくも遺漏なきを期するようにということで、その方面に努力いたしました。弁護士会も形をもって区民諸君、反対者を圧するというようなことがあってはならない、どこまでも御尽力を願いたいということでありまして、形式において、決議においてそれで強行の態度をするというような不謹慎なことは決していたしません。今でもどうかして区民の皆さんの一人々々の御了解を得たいことに努めておりますが、その点にはそういう心を持っていながら、役人の至らぬところから、はなはだ要領を得ぬ点があるのじゃないかと思いまするから、それはお言葉に従って戒めます。
 しこうしてまず第一には建物をすっかり改めることに注意いたし、建てるといたしましても、外に向っては拘置所の普通の形式は出さない。公舎、官舎を表の方に出す。そして中には緑地帯をこしらえて、一つには中へ収容されておる人たちの保健衛生のことを注意するために、散歩、空気をよくすることに資すると同時に、これが見えても不快の感じを与えないように努めるということで、構築の上に一段の戒心を加えております。
 さらに学校に関する件については深い戒めをいたさなきゃなりません。今御指摘のように、たくさんの学校があるということはよく承知しなきゃなりません。それらには何といっても若い人々に対して、理屈はとにかく、そういう議論ではない、事実において悪影響があってはならぬ、悪い影響がいやしくもあってはならぬということに、十分な配慮をいたしております。従って関係地方民の諸君に対しては、まず建築はこうする、土地はこういうようにする、学校関係への影響のないためにこういう注意を払う、ついては当局がやるということだけではない、関係の皆さんもそれに御協力下さって、どうか国家の施設として予期以上の結果があったと、こういうように誠意を認める、こういう点において君らが反省するということがあるならば、協力してやると言われるところまで進めていきたいと思っております。そういう衷情を御了察下さって、足らざることの御指摘は、十分その点は反省いたしますから、むしろ積極的に、こうせい、ああせいという御注意を受けて、その点を積極的に、こちらもまたお従いいたして、遺憾のないことに努めたいと存じまするから、この点につきましては、どうぞひたすら関係区民諸君の御了解を得るように御尽力を賜わりたいことを重ねてお願いを申し上げます。
#24
○一松定吉君 何回も法務大臣に対してほめる言葉を申し上げるようですが、ほんとうに私はあなたのきょうお話を聞いて、さすがに牧野法務大臣だと思うのです。あなたのようなお考えを持ってやればこれはそんなにむずかしくなくて打開の道があるように思う。そういうことがない、今まで。あなたの部下の中には都島区民では全部が反対ではございません、賛成者もたくさんありますよというようなことを言うてみたり、そこで私が調べてみたところが、この都島の人数が相当あります。ありますが、その中でほとんど大部分の人は、すなわち一戸をかまえておる人が一万何千という人が全部これは署名したのが請願書に出ています。だからわずか、たとえば日中勤務して不在であるがためにというような人の署名がとれなかった、あるいは、出かせぎであった人の署名がとれなかったというのがほんの十分の一に足りないくらいの人があるだけで、あとは全部が賛成しておる。それだのにそれはある者がためにするためにそういうことを言うのであって、都島の住民では賛成する者がだいぶ多いのですというようなことをこの委員会で言うてみたりするようなことは、これは将来は慎しまなければならぬ。それからあなたの部下の岸本次官、この連中が陳情に行きますと、初めからどなりつけるというような態度で、なぜお前たちは国家に協力しないのかというような態度で、あなたのようなお考えでそれを一つ、自分らの方にも手落ちがあったのだから、将来よく調査して御協力願うようにいたしましょうというような態度に出れば、都島の人たちも国家の施設に向って協力をどこどこまでも反対するというような、そんなつまらぬ人たちばかりじゃないのだから、そういう点も明らかにできるように思うのです。そういう態度に出られるということについて、同じくこれは国家のために、法務省ばかりじゃない、国家のために、あなたのような理解の深い大臣のおられる間に、その部下に一つ訓戒を与えておいていただきたい。こういう意味合いで、私はきょうはもうこれ以上はあなたのお話を聞いて追及するなんというような大それたことはいたしませんから、一つ先刻の私の一番本件について疑いを持つところの価格の鑑定とそれを一対一で交換するというようなことで、私の計算でいくと四億幾らというものを国家が損をしておる。そういうようなことの疑いを解いていただいて、その上で一つ協力するとか、都島の諸君の納得のいくような方法をとるかというようなことにいたしたいと思いますから、一つ急速にそういうような価格の鑑定もしくはこれに対しては手落ちがあったなら手落ちがあった、ないならないというようなことを明らかにして、この国会中にこれを片づけて、そうして今大臣の御心配になっておるような刑務所が非常に困っておるということの事実を、一日もすみやかに解消のできるような方法をとろうじゃありませんか。私どもそういう方面ならばもちろん喜んで御協力を申し上げますから、間違いは間違いだと率直に今度は一つ報告書を出して説明してもらいたいということをお願いして、私の質問は本日はこの程度でやめます。
#25
○委員長(山本米治君) 本件に関する調査は、本日はこの程度にとどめまして、次の問題に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(山本米治君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#27
○委員長(山本米治君) 宮城委員から恩赦及び抑留者交換問題に関し、質疑を行いたい由の申し出がございましたが、いずれも本日の議題として引き続き調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(山本米治君) 御異議ないと認めます。
 それでは宮城委員の御質疑を願います。
#29
○宮城タマヨ君 法務大臣がおでましのときでございますので、私は国連加盟に関しまして恩赦のことが大へん問題になっておりまして、新聞の報じますところによりますというと、法務大臣のお話しとして私どもが受け取りますところは、恩赦――政令による恩赦でいこうというようなお考えのように伺っておりますが、その点はいかがでございましょうかということ、それから大赦につきましての罪を指定しますその罪の罪名は何でございましょうかという点でございます。お答え願いとう存じます。
#30
○国務大臣(牧野良三君) 恩赦の点でありますが、すでに数十日以前からその方面の声が出ておりますので、私としては自分で今日まで勉強を続けて参った、と同時に、一月ほど前より事務当局へ、恩赦に関するこの場合適否の意思を私に教えてほしい、もし積極論が出てくるとするならばどういう方法がいいか、その内容等についても調べておいてくれ、調べることは、私は恩赦をある程度行いますることになりますれば、非常に事務的に繁雑な手続を要することをあらかじめ予見できるのでありまするから、やるとしても、あまり事務当局を数十日にわたって徹夜作業をやらせるというようなことがあってもならない。ただ、今日までは用意を続けております。そうして、率直に申しますが、連日調査を続けて、昨日の日曜も、新聞も報ずるように、調査を継続いたして参っております。けれどもまだ結論は出ておりません。ただし、私には相当はっきりした学問上の見解と事実上の見通しとがつきましたのでございますから、本日及び明日のうちには私の意見はまとめたい、かように考えております。
#31
○宮城タマヨ君 新聞なんかの報じておりますところから見ますというと、法務大臣と申しましょうか、これは内閣が決定することなんでございますが、その内閣決定におきましての一番直接の関係者は、私法務大臣だろうと思っております。その法務大臣は、今研究中とおっしゃっておりますけれども、大赦にかけますものは、公職選挙法違反とそれから政治資金規正法の違反とだけに今度しぼろうというようなお考えもございますように伺いましたが、その点いかがでございましょうか。
#32
○国務大臣(牧野良三君) 調査し研究をいたしておりますと、そればかりにも限らないのではないか、要するにこの問題は国民感情を尊重するということ、不均衡にならないようにすること、不公正な事実があってはならないこと、この三つを調和していかなければなりません。そこで、私は自分の専門柄、いろいろな方面の、いやしくも政治というものに関係しておる事項を広範に調査いたしておりますると、まだあろうと思うのです。そういうものが抜けてもいかぬ、また余計に公正を害するというようなふうに非難を受けることがあってはならぬと存じまして、私としてはそう軽々に行動できないと思いますから、近来になく緊張して調査を続けております。
#33
○宮城タマヨ君 今御研究中でございましたら、はなはだ失礼でございますけれども、私に意見を述べさせていただきます。
 今法務大臣がおっしゃったように、これは国民の納得する方法でやっていただかなかったら、せっかくの恩赦も私はあだになると思っております。そこで今うわさされておりますような大赦が、それは今度のこの国連加盟について一体恩赦を行い、ことに大赦を行うということが適当か適当でないかということは、これはよっぽど研究していただかなくちゃならぬと思っておりますが、その御研究の結果、大赦をも行うということになりますというと、国民のほんとうに納得する、国民全体が大赦を納得して喜べるという、その喜ぶということはつまり国連加盟を喜ぶという結果になると思っておりますので、これを政治資金規正法違反あるいは公職選挙法違反だけに限るなどというようなことになりますというと、まことに司法権というものが行政権によって公平を欠くというような結果になりまして、これは問題は私は将来に大きな禍根を残すと思っております。でございますから、どうかこの点につきまして十分に御研究下さいますように、新聞にも出ておりましたけれども、とにかく衆参両院で今選挙違反に引っかかっておられます方が二十人近くある。そうして政党に関係しております方々を数えますれば五十人もあるというような、そういうもののためにのみ法務大臣が大赦の罪を指定なされるというような、罪名を指定なされるというようなことがございませんように、ぜひ御考慮願いたいというふうに考えております。
#34
○国務大臣(牧野良三君) 御注意を受けます点、深く私は心に置いてこの案件の処理に従いたいと存じます。が、今宮城さんのおっしゃった程度でないのであります。非常な大きな数字でございます。こういうものに恩赦というものを与えることが刑事政策上、社会政策上いい結果をもたらすか、逆に悪い結果を招来することがないか。それから、今重要な点に御注意をいただきましたが、裁判は司法権のなすところである。三権分立を堅持する現憲法のもとにおいて、恩赦ということは行政権の発動である。独立した司法権のなすところへ持ってきて、行政権が働きかけるということに対しては、いかに恩赦法の制定ありといえども、重大なる考慮のもとに、弊害なきを期さなければならぬということを考えております。その点は、何だか質問者が宮城委員であるから申し上げにくいのでありますが、私は数日来文献を集めておりますが、その中で、言いにくいというのはこれであります。前司法大臣宮城長五郎翁の著書も、恩赦に関する限り読んでおるのでございます。何となれば、宮城元司法大臣は、恩赦の方面の先輩中の権威者の一人であられます。しこうして恩赦をみずから取り扱っておられますから、恩赦に対しては一体どういう御意見を持っておられるか。むろん大日本帝国憲法時代における恩赦と、日本国憲法のもとにおける恩赦とは、その根拠においても、その内容、範囲においても、本質的に相違したるところありといえども、恩赦というものは、これは日本だけの法律じゃなく、各国共通の基礎の上に立案されている点に深く考慮して、自分だけの独断でもってやっちゃいけない、やはり学問的基礎にも立たなければいかぬということを考えまして、私はこれらの文献を古本屋まで行って探し求めて、調査をしておる。いかに、かわいそうに苦労しておるかということも御推察を賜わりまして、この大きな仕事――と私は思いますが――これを政府において、内閣において決定するに、いやしくも遺憾なきを期しておりますから、その点についてもどうか十分御注意を下さいまして、御支援を賜わるようにお願い申したいと思います。
#35
○宮城タマヨ君 よろしゅうございます。
#36
○一松定吉君 恩赦の問題、今宮城委員から御質問がありましたが、私も実はいろいろ考えているのでありますが、今大臣が、ただ現今の理屈ばかり、人の感情ばかり考えてやることではいけないからして、文献等にも十分の研究を遂げた上で、世間共通のような意思において、この重大なる恩赦を施行したいというこのお考えに対しては、非常に敬意を表します。今新聞等が、いかにも選挙違反、それと議員が国会内において暴行をした、あるいは職務執行の妨害をしたとかいうようなことだけに恩赦をするかのごときことを前提として、恩赦の問題について論評を加えているような新聞もあるようですが、今大臣の仰せになるように、裁判のうちでも、ほんとうに刑を受けた後に、いわゆる謹慎の情が顕著であるというような者、もしくは判決はこの通りであったけれども、多少この人の犯行には疑いがなきにしもあらずというような者、あるいはごく軽度の者、悪質でない者、こういうような者に対しては、やはりこういうような国家の慶事に際しては、その恩恵を施して、政治がいわゆる山川草木にまでその恩典が及ぶというくらいな考えを国民に持たせることは、いいことなんです。ですからして、ただいたずらに国民のうちで反感を持つ者があるからというような、局部的の考えでなくて、こういうことをやることが、ほんとうに国民が将来法律を尊重し、むやみに罪を犯さないようにするだけの効果があるのだというような程度において、今あなたの、各国の業績等を検討し、古来からの慣習をよく認めて、その上で一つその態度をきめようというお考えは、私は非常にけっこうだと思いますが、どうか一つそういうようなことにして、でき得べくんば、広く恩恵を国民に与えるというような御方針で一つやっていただきたいことを特にお願い申し上げておきます。
#37
○委員長(山本米治君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#38
○委員長(山本米治君) 速記を起して。
 本日はこれにて散会いたします。
  午前十一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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