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1956/11/22 第25回国会 参議院 参議院会議録情報 第025回国会 文教委員会 第3号
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1956/11/22 第25回国会 参議院

参議院会議録情報 第025回国会 文教委員会 第3号

#1
第025回国会 文教委員会 第3号
昭和三十一年十一月二十二日(木曜
日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
十一月二十一日委員吉田萬次君辞任に
つき、その補欠として木島虎藏君を議
長において指名した。
十一月二十二日委員木島虎藏君辞任に
つき、その補欠として吉田萬次君を議
長において指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     岡  三郎君
   理事
           有馬 英二君
           近藤 鶴代君
   委員
           笹森 順造君
           関根 久藏君
           林田 正治君
           林屋亀次郎君
           吉田 萬次君
           松澤 靖介君
           松永 忠二君
           湯山  勇君
           加賀山之雄君
  国務大臣
   文 部 大 臣 清瀬 一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工樂 英司君
  説明員
   文部大臣官房会
   計参事官    天城  勲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査の
 件
 (昭和三十二年度文教予算に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡三郎君) それではこれより文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。昨日吉田委員が辞任され、木島虎藏君が選任されました。また本日木島虎藏君が辞任され、吉田萬次君が選任されました。以上であります。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岡三郎君) 本日はまず昭和三十二年度文教予算に関する件を議題といたします。文部大臣からその概要について説明を求めます。
#4
○吉田萬次君 私は文部大臣の御説明になる前に、委員長にちょっとお伺いしたいことがあります。それは過日、昨日と思いまするが、日教組の職員が文部大臣に面接を求めまして、そうして面接ができなかったがために、すわり込みをしたという記事が出ておりました。私はこれに対してすこぶる遺憾に思うのであります。元来日教組というものは、われわれはただ単なる労働団体ということを感ずるということはできません。いわゆる地方におけるところの人格者とし、またわれわれ個人といたしましても学校の先生に対する気分というものは非常な崇高なものとして、いわゆる社会の指導者として将来子弟を教育するところの重大なる役目を持ち、国家の基盤をなすところのりっぱな方の集まりだと解釈しておるのであります。従って労働者というような名前については非常に私にぴんと来ないのを遺憾に思っておるような次第であります。従って社会もさように考えておる関係上、ああいうすわり込みなどをやられますると一般の職員の感情というものが、地方におけるところの教育に関係しておる者の感情というものも相当私はそれに対して刺激せられると思うのであります。従ってかような行動につきまして、少くとも私の郷里においては専従といいますか、専任職員といいますか、ああいうことに携わっておる人の復活というものに対して非常にこれを忌避しておる。そうして再び教壇に立たせるというようなことはしないようにする傾向があります。私はこれをすこぶる遺憾に思っておるのであります。私はいわゆる学校の先生というふうな集団というものは常識的に考えまして、労働者というものと同じように考えるということに対して多少違った点があるべき性質のものではないかということを考えております。しかるにそれが繰返し行われ、しかも委員長がそこへ出て激励しておられるという記事が出ております。また本日の新聞を見ますると、委員長が仲介の労をとって田中次官と会見の糸口をつけておるようになっておるというような記事を見ました。われわれは文教というものに対する観念において相当考えなければならぬと思っておるのであります。しかも委員長は委員を代表せられる方であって、われわれの代表としてわれわれはその傘下において将来国運を賭するところの重大なる役目を持つ文教の問題について円満に協議をし、そうして将来に対しての方策を練って、そして和気あいあいのうちに協議をして行きたいと思っておるのであります。今度の文教委員会におきましては前回と違いまして、私は非常になごやかに行くというつもりでおったのであります。しかるにわれわれを代表する委員長がいわゆる陳情に名をかりて文部大臣に面接を強要し、そうして非常な世間を騒がしておるという、その仲介の労をとられることはまだしも、委員長が委員長の職責にありながら激励の辞をせられるということは、私はすこぶる遺憾に思うのであります。これにつきましては委員長も相当考えておられると思いまするが、その委員長の心境を承わりたいと思います。
#5
○委員長(岡三郎君) 実はきのう朝の朝日新聞ですか、記事が出ておったわけですが、吉田さんも御存じの通りに、おとといの日は文教委員会をやっておって、そうして私は院内で一昨日の本委員会における整理をしておって、文部省へは一ぺんも行っておらないのであります。それでどうしてああいうふうな新聞の誤報が出るか、実は私自体もけしからんと思っておるわけですが、おとといは文部省に行く時間もないし、一ぺんも行っておらん。そこで私はおととい懇談会をやったときに林屋さんの方からもあったので、やはりああいうことについては工合が悪いという見解を私自体も持っておった。それできのう文部大臣の方にお願いして、何とかああいう事態をやめるように私自体も考え、組合の方にもそういうふうに言わなくちゃならんということで、湯山委員とも話をして、大臣を二時間ほどお待ちしていろいろお話したが、大臣の方はいろいろ御多忙できのうはできん、私の方も気持よくその点は了承しまして、大臣はやはりいろいろと日程がおきまりになっておるので、これはやはり大臣がきょう会えないのもやむを得ない、そこでせめてああいう事態を収拾するためには次官の方に御足労願うことがどうかというので、田中次官も非常に御多忙でありましたが、双方でやはりそういう事態については収拾しようということで、非常にむずかしい点を思い切ってやってくれて、私の方も責任をもってああいうふうに穏当な処置で、きのうは秩序整然として話し合いを三十分という時間にきめて一応終了したわけです。それですから今吉田委員の方からの私に対する釈明を求めた件については以上の通りで、私自体も非常に新聞社に言わなきゃならんと実はきのう思っておった次第ですが、朝日新聞だけでありましたので、まあまあと、こういうふうに自分で思って今日にきたわけですが、以上のようなわけで激励その他一切、おとといは私は院内にとどまってそのまますぐ目黒に行って、そうして林屋さんとああいう話をして、そしてきのうは収拾に全力を傾けて、こういうことは工合が悪いというので一応まとめて、そして二十四日ですか、土曜日のお昼から大臣の方がお会いするということで、それも日程としてはよろしい、大体そういうふうにいった方がいいでしょう、私もそう思うということできょうも何とかそういう問題について順当にいくようにお話を申してきたわけであります。
 以上のようでありますから御了解願いたいと思います。まことに私の不徳のいたすところですが、私も責任をしょっている立場上軽挙盲動はさらにしないつもりでやっていきたいと思うので、その点は一つよろしくお願いしたいと思います。
#6
○松永忠二君 ちょっと、委員長。
#7
○委員長(岡三郎君) この問題ですか。
#8
○松永忠二君 ええ。
#9
○委員長(岡三郎君) 大臣がちょっと時間がありませんので、これも大臣の方の日程で、私の方でかたくななことを言えばこういう国会の開会中にそんなに委員会のここで適当な時間に去るということはけしからんというふうに理屈ばって言えばそうなんですが、やはり一応それぞれの事情があるので、十一時頃ということを私は運営上承知しているのであとに回していただけませんか。
#10
○松永忠二君 話が少し出たので……。
#11
○委員長(岡三郎君) それでは簡単に。
#12
○松永忠二君 今ちょうどお話が出たので、この問題は文教委員長があっせん仲介の労をとられて、そして円満に面接も行われるという状況であるので、非常にけっこうなことだと思っていたので、別に積極的に発言をしなかったわけですが、今のお話があるので二、三、これは文部省の方であるいは御回答を得てもけっこうですけれども、やはりお話に出たときにお話を申し上げたいと思うわけであります。
 一つは、私はやはり今吉田さんからお話があったように非常に遺憾だということについては同感でありますけれども、警官が出動するということについては、やはり私は事態を収拾する上に非常に問題が多いというふうに考えるわけで、特に警官を出動するまでに一体文部当局がどういうふうな話し合いの努力をされたのか、あるいは説得の努力をされたその結果、警官が出動になったのか、またあるいは日教組の人が文部省の庁内に入ってから警官の動員までに一体どのくらいの時間を要したのかというようなことについては、詳細やはりお話を承わりたい。そうして警官の動員というようなことは、やはり事態をますます非常に紛糾させるし、外部に与える、特に全国の教育関係者に与える影響も非常に多いので、慎重を要する問題だというふうに考えておるわけでありますけれども、こういう点についてはどういうお考えをお持ちになって、どういう方法で一体ここの警官出動までに至ったかを一つお話をお聞かせいただきたい。
 それからまた聞くところによると、きのうあたりはよろい戸の半分をおろして、守衛の全員が入口に立って、そうして一々出入する者を点呼するというか、用事を聞いて、そうして電話連絡であの庁内に出入していたという話を聞いていたわけでありますけれども、やはりこういうことについてもまことに私どもは大げさなことではないか、できるだけ話し合いをした上でこの問題を解決をしていくという点から考えるならば、むしろ非常に挑発的な行為だということすら考えるわけです。こういう点についても一体これは文部省として独自におやりになったのか、あるいは何かこうした機関に連絡をされておやりになったのかということについてやはりお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
#13
○委員長(岡三郎君) ちょっと松永先生、今の御質問に対してまあ答弁を求めておられるのですから、その点についてはそうしてもらいたいと思うのですが、しかしまあ緊急、今すぐ事態に対してこうするというふうなところにないわけで、これは十分意見を今後ともお互いに出し合って、審議してもらってもいい問題だとも思いますが、しかしきょう私の方から議題として、昭和三十二年度文教予算に関する御審議をお願いをしておるわけで、ひとまずこの点に一つ焦点を合わして軌道に乗っけていただいて、次回にでも譲ってもらったらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
#14
○松永忠二君 まあ文部大臣の出席もあるわけでありますので、その問題については、あるいは文部大臣に簡単にお話をいただければ、あるいはそれもよかろうし、あるいは説明の当初にお聞かせいただいてもよいし、あるいはその後問題をもう少しやはり文部当局の方からお話をいただきたい、そういう件は後刻に延ばしてもけっこうでありますけれども、とにかく本日話も出たことであるので、本日処理をされることを私としては希望するわけであります。
#15
○委員長(岡三郎君) わかりました。それでは文部大臣の方からお答えを願います。
#16
○国務大臣(清瀬一郎君) このところはこういう経過であります。前月の末以来日教組より私にお会いになりたいという御要求でありました。私は十月の十二日にお目にかかるが数は五名にして下さいということをお答えをしたのであります。その日は待っておりましたが、来ないともあるいは延ばすともいうことなしに過ぎてしまったのです。十九日の午後はエチオピア皇帝陛下が御来朝になるので私は着物を着かえていかなきゃなりませんから、早く庁を出て、昼からおりませんでした。そこへ三十名ないし五十名でありましょう、私おりませんですから……。おらんということをお答えするのに、それに大臣を出せとおっしゃるのです。ないものを出せですから、これははなはだ無理な御要求なんです。予告がありませんからお待ちするわけにはいきませんし、ほかならぬ外国皇帝のことでありますから、おりませんでした。それを出せとおっしゃって、携帯品はござを持っておられるのです。これは容易ならぬことだと、係の者は思いました。役所は五時が門限でありまするが、五時になっても御退去にならないのです。同じことを言っている。そこでまあぜひ本日はもうこれでお引き取りを願いたいということを申し上げた。ところがお引き取りにならぬのです。さらに何時でしたか、時間をきめて、八時ごろでしたか、その時間までにお引き取りを請うということを書いて壁に張って時間をきめて退庁願った。ところがそれでもお引き取りにならぬ。やむなく麹町警察署に事の状態を警報いたしたのであります。これから先は警察の仕事でありまするが、警察の方では、さらにマイクで何時までに退出を請うと、こう言ったのです。ところがそれでもお引き取りになりませんから、おけがなどがないように、そうっと頭と足を抱いて道路へお出しをしたと、こういうことが実情であります。その翌日は、私は名古屋に給食の全国大会がございましたので、この院へもそのことを御了解を求めたと思いますが、一日おりませんです。それにまたおいでになって、文部大臣出せと言う。ところが向うの方で、私が名古屋へ参っておることを知っておられるのです。八時の汽車で帰るということを知っておられて、なぜ文部大再出さんかと言って非常なけんまくで、今度はふとんを持っておいでになった。それでやむなく麹町署に通告いたしまして、署の判断でもって同じく時間をきめて退出を求めた。ところがこれもお出ましにならんからして、今回は数は非常にふえて百人前後であったと聞いておりますが、手で押してお出しした、こういうことなんです。けが人は一人もございません。双方とも秩序よくいっておりまするけれども、しかしながら人の住居し、または占拠する建物に入って退去をしないということは、刑法にもございます刑法犯でありまするから、麹町署においては、署に御同行願って調査をいたした、こう聞いております。そのときに庁におった者がおりますから、詳しく御必要ならば説明いたしまするが、こういう経過でございます。私はほかならぬ教育関係の方でありまするから、気品を、善悪の荒っぽい議論よりも、ようても悪うても品格を一つお整え願いたい。側からこれを非難などはしないで、自発的に、おれは教育者だと、これは悪かったというように思ってもらおうとこういうので、だれに対しても非難の声などはいたしておりません。きのうも衆議院の文教委員会で質問がありましたので、大体その経過を報告した次第であります。
#17
○委員長(岡三郎君) 今の点は、また問題がありましたならば次回に譲っていただきたいと思いますが。
#18
○松永忠二君 じゃ後刻また質問いたします。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(岡三郎君) それでは本日の議題の、昭和三十二年度文教予算について文部大臣から概要について説明を求めます。
#20
○国務大臣(清瀬一郎君) 過日の参議院議員改選に当り、ここにおられる十二名の方は、国民の輿望を負うて御当選いたされ、この委員会が構成されまして、まことにおめでたく存じます。
 来年度の予算は、今大蔵省へ交渉中でございまするけれども、大体こちらの交渉しておりますることを申し上げます。
 それからもう一つは、予算の重点でありまするが、これも、予算閣議は開いておりませんので閣議の了承は得ておりませんけれども、私の腹で考えておることを申し上げます。大体計算いたしますると、文部省予算は一千六百四十億円になります。昨年は、昨年というのは本年のことですが、前年は一千三百五億でございます。その差額だけがふえておる。大体近年は国家の総予算の一〇%、一割は文部省が使っておる、ほかの省に比べて金額は一番文部省が多いのじゃないかと思います。防衛庁よりも多いのであります。で、この内容は、実はその半分、八百億円というものは義務教育費国庫負担でございます。そのあとの半分でいろいろなことをしようと、この予算のうちで私が取り立てて申し上げることを三つに集約して申し上げた方がいいかと思います。
 第一は、青少年対策でございます。わが国の青少年のあり方について、世間各界が非常に関心を持っておられることは事実でございまするが、これだけ大きな事実がある以上は、政府としてもこれに眼を注ぐということは当然のことでございます。そのために一つには道徳教育を考え直さなければならぬ、戦前の道徳教育のやり方には確かに間違いはありました。たとえばあまりにも国家主義を鼓吹するの余り個人の価値を認めない、方法としても初めから言葉で徳目をきめてその説明をして上から押えていく、それが失敗であったために、道徳それ自身を否定するような傾向が一時ありましたが、それは間違いなんで、青年教育としては道徳が一番大切なことと考えまして、具体的には一つ全国一県に三つ指定校を作って、どう一体青年を進めるか、こういった研究を始めることが一つです。全国で百三十何校でありますか、三つというのは小、中、高等学校です。そういう経費を要求しております。それから青年学級、これは振興法もあることでありますが、これを完全にやっていきたい。もう一つこれも世間で問題になっております映画というものについてこれを考えなければいけない。世間で間違って私が映画の検閲でもやるかのごときことを言いふらしておりますが、そんな考えはないのであります。検閲法を作る考えはありません。ただ、しかし悪い映画というのは、あるいは性を刺激したり、粗暴性を刺激したりそういうふうなものは青年から遠ざけ、見ることを制限しようという考えは持っております。それから演劇、これもいい劇団を作ることを支持しよう。音楽、スポーツ、すなわち音楽、スポーツのようなふうに青年の余ったエネルギーを導くことによって悪に染まらないようにしよう。この一連の青少年対策をこの予算では考えておりますることが一つでございます。
 第二の考えは、教育の機会均等という点であります。戦後の教育においては機会均等はむろん考えられておるのでありますけれども、一そうこの点に力を尽したい。で、かの定時制高等学校に力を置こうというのも、やはり定時制高等学校は昼間は労働に服しつつ夜勉強しようと、こういう勤労青年の希望を満たす意味でありまするから、一括して教育の機会均等という思想のうちへ回したいと思っております。定時制高等学校の教職員の給与は今までは国庫負担しておりませなんだが、今度は四割は国庫負担しようというので三十二億という予算請求をいたしております。これはこの予算で非常に眼につく点であります。定時制高等学校の生徒は職場から学校へ行くのご晩めしの機会がありません。それがために健康を害するというので、この前の国会で皆様より法律をお作り下さったのでそれを実行するための給食の経費を盛ることにいたしております。地方では赤字財政のために定時制にしわ寄せといったような声がありまするけれども、それはしないで、ひとりしないのみならずこの振興をはかろうというのが文部省の考えでございます。なお教育の機会均等をすれば僻地教育であります。いなかの遠いところで教育を受ける人、また教育をする人、これらに対する支持を一そうやっていきたい。また自分のからだが悪くて、すなわち眼が見えぬ、口がきけぬいわゆる盲ろうあ学校これなどもよくお助けしたい。それからして養護学校、精神薄弱者の学校も直ろうあと同一の待遇にいたしていきたい、こういうことなのであります。前年初めてやったことでありまするが、世間で非常に感謝をされておる準要保護児童――生活保護を受けるまでにはいっておりませんけれども、それに準じた準要深礎児童の給食援助、また教科書援助等は前年の倍以上にいたしたい。ここまでやりましたらこれでいいと思います。百人のうち四人くらいの見当にしますれば、もう給食費が払えぬで給食の時間だけは入らぬなどというあれはなくなる、こういうふうに思っております。すべてこれらのことは第二の教育の機会均等。
 三番目に、これも世間からの希望、時代の要求でありまするが、日本の科学を進めること――サイエンス。それから科学を応用した技術を振興すること並びにその教育であります。科学技術それ自身を振興することも文部省の職業なんです。しかし技術庁というものができておりますからそこと半分分けになりまするけれども、科学技術の振興、それから振興された科学技術を修得する教育、これは文部省専門のことであります。そういうことに力を入れたいというのが第三でございます。その例を言ってみますれば、今、科学技術のトップは原子力でございまするから、原子力に関する研究と講座をふやすのであります。北の方から言いますれば東北大学、東京大学、東京工業大学、京都大学、大阪大学等に原子力の講座をふやすということでございます。それからそれと関連しました物性物理です。これは核の研究などもそのうちに自然入るのでありますが、この研究所を東京大学に設けます。なお名古屋でやっておりまする発生的生物学といったようなものもこれに類似したことであります。さようなる科学を修得するために、これでできました技術教育をやはり大学にふやしていこうということであります。新たに学科として。十四、五の学科を各大学に割り振ってふやします。たとえば衛生工学――下水、上水、糞尿の処理といったような衛生工準、それから薬学というのは以前あったんですが、珍しいことにこの東北大学のような、もとの帝国大学であったあそこは薬学がないので、これはぜひ薬学を設けたい、それから農業工学――下水、上水その他農業に対する工学、それからして発酵生産学というのは、これは醸造のことです。それから工業化学、精密工学、色染というのは色です。色染化学、地学、電気工学、工業化学、合成化学、冶金、木材工業、工業化学といったようなものを各国立学校に割り振りまして、一つの科目――科といたします。さような傾向で、ひとり大学のみならず、高等学校においても理科教育、産業教育の振興をいたしたい。ひとり国立学校のみならず、私立学校においても科学の振興をやって下さる場合には、その基礎設備に当って助成をいたしたいと考えております。
 なお学校でやることじゃございませんが、御承知下さっておる通り、国際地球観測年、本年は七億五千万円もの予算をとりましたが、来年はやはり八億前後の要求をいたしております。かようなことで科学技術の振興ということが第三に取りまとめるところであり
 ます。
 要するに青年の教育、教育の機会均等、科学技術の尊重という三つのことが大体要点になっております。
 この三つくらい大きなことじゃございませんが、国際文化交流の一つとして、東南アジアの学生の招致を考えております。これは一ぺんにやろうとしてもなかなかむずかしいので、そうたくさんな金額じゃございませんのです。だが、今は二十人ほどやはり試験的に来ておるのです。国はアフガニスタンからずっとこっち、十三ほどであります。アフガニスタン、パキスタン、インド、ビルマ、マレー、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、インドネシア、フィリピン、台湾、これが初めやり始めてみますと、なかなかむずかしいので、一々言葉が違うのです。十三の言葉なんです。むずかしいけれども、日本としては戦争に負けてもやはりわれわれ東アの一流国と思っておりますから、このことは万難を排してやってみたい、かように考えておる次第であります。
 なお、詳細については担当の政府委員がおりますから補足いたします。
#21
○委員長(岡三郎君) 念のため、ここで御紹介申しておきますが、文部大臣のほかに説明員として、文部大臣官房会計参事官天城君、同総務参事官齋藤君、両名の方が出席しております。それでは今の文部大臣の概括説明につきましてはいろいろと御質問もあろうと思いますが、次回に譲っていただきまして、続いてただいま御紹介いたしました両君から補足説明を聴取したいと思いますが、よろしゅうございますか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○委員長(岡三郎君) それではそのように運びます。
#23
○説明員(天城勲君) お手元にお配りいたしました印刷物に即しまして、現在要求中の三十二年度概算要求事項のおもなものを御説明申し上げたいと思います。
 最初は義務教育国庫負担金でございます。これはこの制度の中身はすでに御承知の通りでございますが、明年度児童生徒の増減について若干今までと違った事情がございますが、と申しますのは、小学校児童において大体三十七万ほどの増員が見込まれておるのに対しまして、中学校では、今われわれの推定では、二十二万三千という数字がありますが、減ずる見込みでございます。プラス・マイナスいたしますと、やはり十四万七千ほどの増員になるわけでございますので、小、中学校の出入りはございますが、結論は、増員がございますので、これに伴います教員増及び昇給財源等を見込んで現在要求いたしておる状況でございます。
 二番目に、文教……。
#24
○湯山勇君 ちょっと、数も言って下さいね。どれだけ増を見込んでいるか。
#25
○説明員(天城勲君) ずっと最初から申し上げますか、中身について。
#26
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#27
○委員長(岡三郎君) それでは速記を始めて。
#28
○説明員(天城勲君) 義務教育の問題、補足いたしますが、小、中学校の子供を通じまして十四万七千ほどの増加がありますので、これに見合う教員増を、現在のところ、約千三百ほどの教員増を見込んで要求いたしております。千三百でございます。
 それから昇給財源は、大体従来の例にならいまして、四%という率を取って要求いたしております。なお、明年度は、今年の七月から実施いたしております恩給費の半額国庫負担が平年度化いたしますので、その金額が約四億五千万ほど計上されております。
 おもな内容は以上の点でございます。
 それから次に、文教施設の整備でございますが、最初に、国立文教関係、これは国立の学校、病院、研究所の施設費でございますが、従来から緊急整備計画を立てまして実行して参ったのでございますが、計画通り予算が思うようにつきませんので、実は明年度は第三年目に入っております。その後、新しい老朽の事情等も判明いたしましたので、計画を改訂しまして、二年間で残りを整備するという形で、明年度は、その半分で五十四億の国立文教施設整備費を要求いたしております。
 公立につきましては、従来から、各種の事項を立てて、その整備を急いで参りましたが、明年度、従来からやっておりました事項はもちろん続けるわけでございますが、特に、地方の現状にかんがみまして、四つの点に重点を注いでおります。一つは、中学校の校舎の建設でございます。いわゆる義務年限延長として続けておりますが、中学校の校舎の建設、それと小中学校の学校統合の問題と、それから老朽危険校舎の改築、それから小学校の不正常授業の解消、この四つの点に特に主力を注いで要求をいたしております。総体といたしまして、本年度五十五億でございますが、明年度百十八億の要求をいたしておるわけでございます。
 それからその次は、育英及び学徒援護事業でございますが、最初に育英事業の拡充、これは、育英会の育英資金の問題でございますが、明年は、主として高等学校の学生の奨学資金を拡充いたしたいと、こう考えております。現在、高等学校の学生につきましては、宙時制で二・五%、全日制で三%という状況でございますが、これを合せまして、両方とも三・五%まで対象を拡充したい。なお、単価が七百円という口が残っておりますので、これも一千円まで上げていきたい、こういうふうなことで、主として高等学校面での育英事業の拡充を考えております。大学につきましては、単価の是正、大学院の学年延長に伴う増額等を中身といたしております。
 第二番目の学徒援護会の補助金でございますが、これは御存じの通り、学生のアルバイトのあっせん、あるいは宿舎等の事業もいたしておりますが、明年度宿舎を新たに、これは鹿児島を予定しておりますが、鹿児島に作るとか、あるいは兵庫県に相談所を増設するとかというための経費でございます。
 それから学生寮の建設費補助、これは国庫補助と公団の融資、それから地方の公益法人の主体、こういう三者で学生の寮を建設いたす予算でございますが、本年度と前年度実施しておりますが、明年もこれを継続していきたいという考え方で要求いたしております。前年度と申しますか、三十一年度、三千万円、これは一千人分を予定しているわけでございますが、明年度は三千人分の六千万円を要求いたしております。
 その次に、学生健康保険制度の実施でございますが、これは新しい問題でございまして、大学の学生の健康を考えまして、保険制度を立てたらということで、審議会等の審議を経て、一応案を考えて予算を要求しているわけでございますが、この問題につきましては、国立、公立、私立の各大学の学生を対象にして考えております関係上、関係者の意向等を最終的にまとめまして実施いたしたいということに、これは立法措置も伴うわけでございますが、現在それらの点がなお進行中でございまして、予算といたしまして一応要求いたしております。
 それから科学技術の振興でございますが、これは、さっき大臣も来年度の要求事項の重点として強調されておりましたのでございますが、私たちの考え方といたしまして、いわゆる科学技術の振興を大学あるいは研究機関だけの問題に限りませず、中等教育から、学校段階として基礎から科学教育を振興すると同時に、民間の研究機関やあるいは私立大学の研究にも助成を与える、同時に、現在進んでおります国際的ないろいろな事業を遂行する。こういうものを含めまして、科学技術の振興という項目にまとめたわけでございます。
 最初の理科教育設備費、それから二番目の産業教育設備費、これらは、それぞれ理科教育振興法、産業教育振興法がございまして、従来それぞれ公立、私立等の学校について補助をいたして参ったのでございますが、年次計画に従いまして明年度も要求を続けております。
 それから科学教育研究室、これは金額的にはちょっと少額なんでございますが、従来から実施して参って、かなり実績も上っている制度で 要するに大学の理科系統の学校で、小、中、高等学校の先生の現職教育をする――実験、実習の現職教育をするという制度でございますが、それを拡充していきたいというので要求をいたしております。
 それから四番目の在外研究員の派遣、これは国費による大学研究所等の研究者の海外留学の経費でございますが、戦時中のブランクがありますので、実際に派遣すべき教員の数に応じかねております。明年度は一応倍額以上を要求いたしております。
 科学研究費、これは研究者に対して総合的な研究、機関研究、あるいは学校研究まで、いろいろな種類の研究に対して研究費の助成を行なっておる金でございますが、明年原子力関係あるいはガンとかというような事項について特に重点を置きながら、全体の増額をはかっていきたいと考えております。
 それから私立大学の研究設備の助成でございますが、これは、いわば私立大学に対する科学研究費のような経費でございまして、従来から続けておる経費でございますが、明年度は特にこっちの面も飛躍的に増額したいというので、相当額を要求いたしております。
 それから七番目は民間学術研究機関の補助でございまして、民間の研究機関でそれぞれ有用な研究を進められておりますものに対して国が財政援助をする。これも従来からやってきておりますが、特に研究の増進をはかるべき機関がたくさんございますので、金額的にも倍額ほどを要求いたしております。
 八番目の公立大学の設備費の整備助成、これは新しい問題でございますが、現在県立あるいは市立大学が約三十ほどございますが、地方財政の関係等もありまして財政的にいろいろ不如意の状況が伝えられておりまして、ぜひ国の助成を、という要望があります。これも科学技術の教育という観点からいたします場合には、国立、私立を問わずという観点からこの事項の要求をいたしておるわけでございます。
 それから九番目は国際地球観測年の事業費でございます。本年予備観測をいたしておりますが、明年の七月からいよいよ本観測に入るわけでございます。南極地域の観測、それから国内一般観測、それからロケット打ち上げによります高層の観測等を含めまして要求いたしているわけでございます。
 それから定時制教育の振興でございますが、予算的には四つの事項に分けて要求いたしております。
 公立学校の定時制及び通信教育の関係職員の国庫補助金、これを三十二億という相当額を要求しておりますが、かつて四割国庫補助という制度が定時制についてはとられておりましたが、平衡交付金制度が実施されてから、それに吸収されて今日に至っているわけでございますが、今日定時制教育のための経費について地方財政上いろいろ問題がございまして、特に給与費が大きな負担になっているという形で、これも国庫補助を復活いたしたい、こう考えております。
 第二番目に定時制高等学校、それから通信教育の設備費でございますが、これはいわゆる定時制振興法という補助法がございます。従来から続けておる経費でございます。
 その次の高等学校の給食設備費の補助、これも前国会で成立いたしました法律に基きまして予算を要求いたしております。
 四番目の定時制高等学校の施設整備費でございますが、これは広い意味では公立文教教育の中身に入るわけでございますが、かつてこの補助金が出ていたことがあるのでございますが、最近ずっと実現をみないでおります。新しいようでございますが、過去にありました点では、復活という形になりますが、明年度要求いたしております。
 それから青少年対策、これは主としてここに掲げておりますのは、社会教育関係の経費でございます。最初に青年学級運営費の補助でございますが、現在補助の対象になっておりますのが約一千五百学級ぐらいございますが、実際には青年学級は約一万七千運営されておりまして、補助の対象をぜひ拡大したいという考え方で要求いたしております。それから青少年指導者講習会、これは従来から続けております事業で、金額も同額要求いたしております。それから三番目の青少年教育キャンプ、これはすでに本年で二年目に入っている事業でございますが、青少年の健全なるリクリエーションのために、夏季にキャンプをあちらこちらで実施いたしております。そのための運営費、それから設備費等を内容といたしております。四番目の青少年教育施設でございますが、これは本年度二百九十万入っているようにここに書いてございますが、実はこれは広い意味で青少年教育キャンプ等の中から流用いたしまして、本年度初めて実施いたしたのでございますが、いわゆる青少年の家というような名前でリクリエーションセンターを現在全国に八カ所ほど整備されているわけでございますが、それをさらに拡充して行くと同時に、水泳のプールとか、あるいは屋内体育館等についてもモデル的なものを設置して、青少年の体育のセンターを助成して行きたいという考え方で要求いたしております。それから5、6、7はいわゆる青少年向きの映画の問題でございますが、ここで予算的に取り上げております経費は、主として青少年向きの映画を積極的に地方に回すようにしたいという考え方を主たる内容といたしております。五番目の青少年向き映画及び録音教材、これは今年度もやっておる事業でございますが、それをさらに拡充して行く。6、7でございますが、特に六番目が相当の金額を要求いたしておりますのは、すでに御承知の通り都道府県にナトコという十六ミリの映写機がございますが、現在これにかかる映画は主としてアメリカの映画でございますが、日本の教育映画、これにも相当優秀なものがたくさんあるのでございますけれども、教育映画の製作者が経済的に必ずしも基盤が大きくないものですから、十分こういう映画が地方に回りかねております。青少年向き教育映画でいいものが相当出ておりますので、これを国で買い上げて、せっかくあるナトコの映写機を中心にして普及するように回していきたい、こういうのを主たる内容といたしております。
 それから八番目は青少年の巡回文庫、これは巡回図書館を各府県で実施する場合に、図書費を国で補助しようという考え方で現在も続けております。
 それから九番目は新しい問題でございまして、音楽あるいは演劇等につきまして、中央のいわゆる優秀な楽団、劇団を積極的に地方に回ってもらおう。また地方に芽ばえておりますいい音楽、演劇の団体を助成していこうというような両方の点からの内容を持った経費でございます。
 それから教育機会均等という項目で、ここにまとめてございますいろいろな内容がございますが、最初の義務教育の教科書の無償給与費でございます。本年度一億三千万円でいわゆる準要保護児童に対しまして教科書の給付を始めましたが、いかんせん一億三千万円では非常に対象が少くて効果を十分発揮できませんで、当初考えておりました四%まではぜひ実施したいというので、小、中学校児童生徒の四%を対象といたしまして五億ほどの金額を要求いたしておるわけでございます。
 二番目の僻地教育の充実費でございますが、僻地教育につきましてはいろんな角度から助成をいたしておりますが、ここで特に新しくまとめた経費は、これも従来から要求はいたしておりますいわゆるスクール・バスの購入費とか、無電灯地帯における小規模の自家発電装置の設置の場合の補助金というようなものを内容といたしております。
 それから三番目の特殊教育の振興でございますが、これはいわゆる盲ろう養護学校への児童生徒の就学奨励費の中身でございまして、それぞれ奨励費の中身を充実していくという考え方をとっております。
 四番目の公立養護学校教職員給与費及び教材費の国庫負担制度、これも前国会で成立いたしました法律に基く予算でございますが、盲ろう学校と同じように、養護学校の教員給与の半額国庫負担及び児童生徒に対する教材費の国庫負担を今年度から始めますための予算でございます。
 それから僻地教員住宅建設費、これも従来からやっておりますが、建設希望数になかなか応じかねておりますので、大体百工、三十戸――百五十戸程度しか毎年建てられませんので、明年度は一応五百戸を予定いたしております。
 六番目の準要保護児童生徒の給食費の補助、これも教科書の場合と同じように、本年度から実施されたわけでございますが、これもまた少額で、本年度はほんの試験的というような状況でございますので、教科書と同じように四%の児童生徒を対象といたしまして、三億三千万の経費を要求いたしております。
 それから七番目の特殊教育の施設整備費補助でございます。これは建物の関係の経費でございますが、盲ろう養護学校等の建設、それから特殊学級の建設等を促進していきたいという経費でございます。
 それから八番目の僻地集会室整備費、これも建物の経費でございますが、僻地における屋内体操場という意味もありますし、地域の公民館という目的にも使われます集会室、これの建設を積極的に助成していきたいという経費で、従来から続けているものを伸ばして要求いたしております。
 それからその次に私学振興の関係の経費を一まとめにいたしましたが、第一はいわゆる振興会に対する出資金でございます。本年度八億の出資をいたしておりますが、明年度十三億五千万、これだけで大体の、この十三億五千万という金額は、従来の出資金を合せますと、大体五十億という一応の見当になるという考え方で要求いたしておるわけでございます。
 それから二番目の私学の共済組合でございますが、これは給付金の百分の十五が国の補助になっておりますし、これは実績に基きましてその補助金を計上いたし、かつ共済組合の事務費も、これも他の共済組合の例にならいまして国で補助するという形で計上した経費でございます。
 それから理科助成という、この項目でございますが、これも本年度初めて実施いたしております。私学における理工系の教育設備を助成しようという考え方で、明年度科学技術の振興の線にも関連いたしまして相当額を要求いたしておるわけでございます。なお先ほど、前の科学振興の項目の中に入れましたけれども、数学の基礎研究の助成という項目も私学振興の経費と考えられております。
 それから芸術、スポーツの振興といたしまして、一つは国立競技場建設でございます。これは明後年東京でアジア・オリンピック大会を開催するという前提のもとに国立競技場を建てる。具体的には明治神宮の競技場の改装を考えております。これは開催の時期が大体予定されていますので、ぜひ明年中に実施しなければならないことだと考えております。
 それから第二番目は国立西洋美術館の建設でございますが、これは松方コレクションの受け入れに伴いまして、独立の美術館を建設するということで従来進んでおった計画でございますが、予定に従いましてコルビュジェーの設計ができ上りましたので、明年度上野にこの美術館を建設する、そのための経費でございます。
 それからその次に国際文化の交流という項目でまとめた経費でございますが、教育映画の国際交流、これは日本の映画が海外に非常に進出して国際文化の振興上非常に貢献いたしておるわけでございますが、教育映画が相当いいのがあるのでございますが、なかなか経済的な理由で出にくい事情にあるようでございます。教育映画の中の優秀なものを国際的に紹介する。同時に在外公館等にもそういう映画を常置して日本の事情紹介や文化交流の手段にしたい、こういう考え方で新しく考えた経費でございます。
 それから二、三、四は若干関連のある経費でございますが、先ほど文部大臣のお話のありました通り、国費による外国の留学生、これも主として東南アジアの留学生を相当数招致したい。これは現在の計画では、一ぺんにできませんので、一種の学年進行的にこれを伸ばしていきまして、四年後の完成年度で大体五百人の外国留学生が日本に常時いるという前提で、外国人の留学生の経費等を計上いたしました。同時に、二番目に戻りますが、その国費外国人留学生のための宿舎を建設しなければなりませんので、その建設費もあわせて要求いたしておるわけでございます。なおこの事業をいたす主体といたしまして別途に多少でございますが、国際教育協会というような団体ができる予定で、その団体がこういう世話をしていったらという全体の構想でございます。
 四番目の諸外国との留学生及び人物交換、現在幾多の国と留学生の交換をやっておりますが、旅費の支給その他で十分に動きが活発にいかない点がございましたりするので、主としてこれは留学生の往復の旅費でございますが、新しく国で助成していくと考えておる次第であります。
 文化アタッシェの経費、御存じのように現在フランスに文化関係のアタッシェを設置いたしておりますが、明年度さらにこれを二カ所くらいふやしたいという考えでありますが、どこにするかということにつきましてはいろいろ議論がありまして、まだ最終的に決定いたしておりません。
 六番目の琉球教育に対する協力援助、これは琉球から留学生がきておりますが、そのほかに琉球大学の教授がいわゆる内地留学をする、と同時にこちらの大挙の教授も協力のために沖縄にいく、教授交換というような構想を含めた経費でございます。その次は国立学校関係の経費でございますが、国立学校でここで新しい問題だけを特に最初に申し上げますが、大臣も話されましたように、原子力の研究を始めますために、五大単に講座を増設いたしますし、また大学院の学生を募集いたしまして、技術者の養成もはかっていこう。それから物性物理学の研究所の増設、これは大学の付置研究所といたしまして、しかも全大学の共通施設というような構想のもとに物性物理学研究所を作る案があります。それは現在のところ三カ年計画くらいで作る考え方でおりますが、大きな新しい問題としてはこれらの問題がございます。そのほか先ほど大臣が触れました学科の問題でございますが、主として技術者養成というような点から、理工系の学科を幾つかの大学に、その地方の実情に即しながら増設いたしまして、学生の募集を開始し、技術者の養成をはかるという考え方を持っております。
 それからここに特に書いてございませんでしたが、明年度の経費でそれぞれ基準経費の増額を、各方面にわたって一そう充実していきたい、こう考えておりますが、これは新規事項とは別に、基準経費の増額という形で進めております。以上国立学校の点では、総額三百三十三億というのが今年度の予算でございますが、明年度はこれを含めまして四百十二億の要求をいたしております。
 それから文化財保存関係事業でございます。これの最初は国立劇場の設立の問題でございます。本年度千七百万で準備を進めて参りまして、明年度順調にいけば、基本設計から実施設計の一部まで入るという前提で要求いたしておりますが、これは実は土地がきまるという前提でございまして、土地の問題がなお未定なために、経費的にもこの通り進行いたすかどうか疑問でございますが、土地の設定ということを前提として、今進めております。
 それから二番目の文化財保存事業費でございますが、これはいわゆる建造物の改築でありますとか、あるいは防災施設ですとかいうような文化財保存事業の主体をなす経費でございますが、本年度の約倍額ほどを要求いたしております。
 それから三番目に文化財の観光施設整備費でございますが、これは新しい事項でございます。国全体といたしまして観光施設を整備したいという案がございまして、道路から、ホテルから、あるいは関連のいろいろな施設を整備するという案がございまして、文化財関係では観光対象の文化財が多くなっておりますので、その面から施設を整備するようにという案がございまして、従来とは別に、別途これの金額を要求いたしております。合計千六百四十億の現在要求になっておりますが、なお先ほど大臣も話しましたように閣議の最終決定もございませんし、構想等について、あるいは数字等についても、なお若干動く見込みでございまするので、お含みおき願いたいと思います。大へん簡単でございましたけれども、一応……。
#29
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#30
○委員長(岡三郎君) 速記を起して。
 本日予定されております案件としては、教育職員の給与問題が残っているわけでありますが、これは予算に関する質疑とともに、次回に延期いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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