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1956/11/29 第25回国会 参議院 参議院会議録情報 第025回国会 農林水産委員会 第4号
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1956/11/29 第25回国会 参議院

参議院会議録情報 第025回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第025回国会 農林水産委員会 第4号
昭和三十一年十一月二十九日(木曜
日)
   午前十一時十三分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     堀  末治君
   理事
           重政 庸徳君
           藤野 繁雄君
           東   隆君
           清澤 俊英君
           島村 軍次君
   委員
           青山 正一君
           秋山俊一郎君
           雨森 常夫君
           下條 康麿君
           柴田  栄君
           田中 啓一君
           仲原 善一君
           堀本 宜實君
           安部キミ子君
          小笠原二三男君
           北村  暢君
           羽生 三七君
           上林 忠次君
           河野 謙三君
           千田  正君
           北條 雋八君
  政府委員
   農林省農林経済
   局長      渡部 伍良君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安樂城敏男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業委員会等に関する法律の一部を
 改正する法律案(内閣送付、予備審
 査)(第二十四回国会継続)
○農林漁業組合再建整備法の一部を改
 正する法律案(衆議院送付、予備審
 査)(第二十四回国会継続)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
 まず、連合審査の問題について御報告申し上げます。一昨二十七日の委員会におきまして御決議になりました、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件について、外務委員会との連合審査は、十一月三十日午後一時からときまりましたから、御了承の上御出席を願います。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(堀末治君) 農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、予備審査)を議題といたします。
 本法律案につきましては、去る十一月二十日の委員会において提案理由の説明を聞いたのでありますが、この際農林当局から、法律案の内容その他参考事項について、補足説明を聞くことにいたします。
#4
○政府委員(渡部伍良君) それでは、農業委員会法の一部改正に関する法律案の提案理由に対する補足説明を申し上げます。
 第一は、農業委員会の統合の促進に関する事項でございます。町村合併の進行の現状を考えますとき、農業委員会が本来市町村の行政機関である性格と、その職務の遂行から考えまして、農業委員会は原則として市町村ごとに一委員会とした組織にすることが望ましいのであります。この組織によりまして、農民の希望と考えが市町村行政あるいはさらにその上の段階の県なり国の行政に強く反映させたいと考えるのであります。このことはすでに提案理由で申し上げましたが、農業委員会は原則として市町村ごとに一個とするということにいたしておりますが、この際、従来の法律の第三条第三項は統合に差しつかえがあると考えますので、これを廃止しまして、新しい三項を置くことにいたしたのであります。新旧対照表の第二ページをごらんいただきたいと思います。それからさらに参考資料の方の第一ページをごらん願いたいと思います。十一月一日現在で市町村の数は三千九百七十幾つになっておりますが、ところが、この表で見ていただきますように、農業委員会の設置数は十月一日現在で七千三百八十五――これは表の一番上の一番右の端を見ていただきたいのですが――というふうになっております。従いまして、市町村の数にしますとまだ倍の数が残っております。市町村の統合目標は、来年の春までに今の三千九百から六百内外を減したいというのが目標になっているようでありますから、農業委員会の数もそれに応じて減らしていくことがいいと思います。この農業委員会の合併がおくれている一つの理由は、改正案が出ておりますので、改正案が国会を通過することを待っているというのが一つの理由になっております。そういうわけで、第三条の第三項以下の規定を置いておるのであります。
 さらに第二の点は、これも提案理由で申し上げておりますが、農業委員会の組織に関する改正であります。すなわち従来は、農業委員会は公職選挙法に準じまして、この法律、旧法の第七条以下で、この資料の六ページの下の欄を見ていただきますが、選挙になっておったのであります。それを一つは、改正の趣旨といたしましては、昭和二十九年の選挙、あるいは昭和二十六年の選挙の実態を見ますと、約農業委員会の三分の一以下の委員会が、この法律に基く通りの選挙をやっておりまして、残りの三分の二以上の委員会では無投票になっておる実績があったのであります。さらに公職選挙法をやるとしますと、選挙人名簿の作成とか準備の費用としまして、市町村の選挙管理委員会で準備をしなければならない。その金がかかりますから、選挙をやるとしますと、選挙会とかあるいはいろいろな費用が要りますので、そういう実績と、それから費用の点から考えまして、この際部落の推薦制にしたらいいのじゃないか、こういうのが改正案になっております。これは新旧対照表の三ページ以下の第四条以下です。
 第四条の二項「委員は、次に掲げる者をもって充てる。」第一は、農家集落の形成の状況その他地理的社会的及び経済的な条件を考え、当該市町村の条例で市町村の区域を分けて、その区域ごとに、その単位区域内に住所を有する農民が、これらの農民のうちから一人を推薦し、その者につき市町村長が選任したもの。部落と申し上げましたが、従来の部落とはちょっと意味が違っておりますが、市町村ごとでいろいろな条件を考えて区域をきめて、そこで推薦したものを市町村長が選任する。この条項は従来は、公職選挙法によって一町村十ないし十五名を選挙するということになっております。これを推薦に基いて市町村長がそれを選任する、こういうことにしたのであります。
 それから二号以下は、従来は選挙委員のほかに、市町村長が学識経験者その他から五人以内を選任することにいたしております。いわゆる選任委員、そういうものがあったのでありますが、今度は町村内の農業の振興計画、あるいは農業改良計画、そういうものがうまく行くようにという考えから、そのためには村内の農業団体が、従来は選挙で農業団体の役員が選挙されるか、あるいは市長村長の選任で、そういうものを入れることができることになっておりましたが、必ずしもその全部が入っているというわけではありませんし、それは実態に合わないのではないかというので、二号で、農業協同組合及び農業共済組合の中から、その組合ごとにその中の理事者から推薦したものを必ず一人ずつ入れる。それからさらに従来の選任委員でありますが、これは当該市町村の議会が推薦したものを市町村長が選任する、こういうふうにして組織を変えておるのであります。
 三号以下はそれに関する、何といいますか、特殊規定を入れておるのであります。
 推薦資格等は、従来は選挙あるいは被選挙権というのを、それに従って、第五条以下、推薦資格、推薦手続ということをきめています。
 しかし、今度のように部落ごと、簡単に申し上げますと、一定の地区をきめて地区で推薦するということになりますと、従来の選挙の委員に比較しますと、市町村のいわゆる選挙委員、今度の推薦委員の数が相当ふえる町村ができてきます。ことに市町村合併によりまして、市町村の区域が非常に大きくなりますから、そのまま毎回々々全員を招集することにいたしますと、たとえば法律の規定に掲げられております事業の中で、十ページを見ていただきます。新旧対照表の十ページ、農業委員会の事業であります。いわゆる行政的事務、すなわち農地法の施行、あるいは土地改良法によって農業委員会にまかせられた事項、すなわち農地法のやつでありますと、農地の売買移転等についての登録とか、あるいは一定面積以下の農地の移動の許可等、行政事務を取り扱います。そういうものについて一々委員会を招集することは煩でありますから、第九ページで、第十二条常任委員、常任委員というものを置くことにいたしました。それは、ただし第一号委員の定数の合計が十五人をこえない農業委員会では常任委員を置かなくてもよろしい。そうして二項以下に常任委員の数をきめております。すなわち常任委員は一号、二号、三号委員でそれぞれその中から互選した者でやりますが、三項によりまして一号委員の定数は市町村条例で十人から十五人の間で定めまして、それからそれの三分の一以内の二号委員及び三号委員をそれぞれの資格の委員から互選した者で組織します。すなわち常任委員会は十三人から二十人までの常任委員ということになるのであります。四項以下はそれに関係する事項であります。しこうしてこの常任委員会の会議の規定は十五ページの二十二条以下に出ております。すなわち第二十二条「第十二条第一項の規定により常任委員を置いた農業委員会にあっては、農業委員会が議決すべき事項は、次に掲げる事項を除き、常任委員の会議の議決によって決する。」つまり基本的な事項以外は常任委員会できめることができる、こういうことになっております。
 次に第三点は、農業委員会の所掌事務に関する事項であります。これは新しい法律では十ページの十三条、それから旧法のやつは第五ページの第六条になっております。第二項の第一号及び第二号につきましては、従来と変りはありませんが、第三号につきましては、改正案の第二項の三号以下に書いてある事項であります。すなわち「農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事項」「農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善を図るために必要な事業の推進に関する事項、農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査及び研究「農業及び農民に関する事項についてのけいもう及び宣伝」と、従来はそれらの事項が市町村長に建議しまたは市町村長の諮問に応じてやるということになっておったのを、建議、諮問だけではなしに、農業委員会として市町村行政なりあるいは農業団体の事業として、農村の、それぞれの各市町村の農業振興、農業計画というものを推進してゆくと、こういうふうに直したのであります。もちろんこれらにつきまして意見を出し、あるいは建議をし、あるいは諮問に応ずるということは、従来通り残しておるのであります。そういうことにいたしております。
 四項は推進事項であります。これは市町村の執行機関の法令その他に基く権限を妨げない範囲、そういう意味で、ここには推進ということを書いております。それからまた、あくまでも推進でありますから、みずから経済行為をやるとか、あるいは出過ぎたことをやるということではないのであります。
 その次は、そのほか市町村農業委員会に関しまして、ここには棒を引っ張っていろいろ書いてございますが、ただいま申し上げましたことに関係しまして、条文の整理をいたしておるのであります。すなわち根本的に申し上げますと、代表委員の選挙制を選任にしましたので、選挙に関する規定等は落しまして、そのかわり選任に関する手続等が出てきておるのであります。それから常任会を置きましたので、常任会に関する規定ができてきております。
 次は、都道府県農業会議の規定であります。
 これに関しましては、従来は都道府県の区域を十または十五に分けまして、その区域ごとに選挙しました、いわゆるその区域で代表者会議と申しておりますが、そこで選挙した者が都道府県農業会議の一応会議員になっておったのであります。今度、第二十一ページの四十一条を見ていただきます。会議員、第二項に、「左に掲げる者は、会議員とする。」第一号に「当該都道府県農業会議の地区内の市町村に置かれる農業委員会の会長」こういうふうにいたしました。これは従来は代表者会議で選任した者をもって一応の会議員にしておったのを、この際は市町村の委員会の会長は法律上当然に都道府県農業会議の会議員になる、こういう規定になったのであります。代表者会議の規定は旧法で二十八ページの五十五条にございます。従いまして、そういう規定は要らなくなりましたので、削除いたしております。
 それからそのほかの会議につきましては、従来と変りはないのであります。このことは従来、米の供出の相当盛んである間は代表者会議、すなわち大体郡単位で代表者会議ができておりましたが、その機能も相当働きまして、それによりまして市町村農業委員会と都道府県農業会議との連携が保たれておったのであります。供出制度の改変そのほか、一般的に申し上げまして社会事情の好転等もありまして、現在の代表者会議という働きが非常に不活発になった。それによりまして、市町村の農業委員会と都道府県農業会議との連携が不十分になりましたので、この際それを密にいたしますために、ただいまのような改正をいたしております。
 そうしますと、従来の都道府県農業会議の会議員の員数は大体二十人から三十人くらいでありましたが、大体先ほど市町村合併の進行状況を申し上げましたが、かりに市町村の数が少くなりまして、市町村一個の農業委員会を原則としましても、三千五百ないし四千の市町村農業委員会が置かれまして、これはまた市町村の合併状況は必ずしも県によって市町村の区域が一様でありません。ただいま十一月一日の市町村の合併状況を見ましても、少い県では四十件というのが――四十件台、五十件台が数県あります。多いのは北海道の、二百以上まだ残っております。百五十をこすものもまだ一、二あるようであります。百以上もあるのが十指をもって数えられておりますので、四千かりに農業委員会があるとしまして、四十六都道府県で割りますと、平均八十余りになりますから、都道府県農業会議の会議員がそのように多くあります。やはり都道府県農業会議の一つの重要な業務は農地関係の事業でありますから、そういう場合、あるいはその他の農業振興計画等の関係におきましても、必ずしも常に全員を招集する必要はありませんから、市町村農業委員会と同様に、農業会議に常任会議員を置くことにいたしました。すなわち二十五ページの四十七条の二を見ていただきますと、
  都道府県農業会議に、常任会議員を置く。
 2 常任会議員は、左に掲げる者をもって充てる。
  一 都道府県知事が十人から十五人までの間において定める定数(地理的状況その他特別の事情により、その定数を十五人をこえる数とすることにつき農林大臣の認可を受けたときは、その認可を受けた数)まで、第四十一条第二項第一号の会議員が省令で定めるところにより互選した者」
 それから第二は、二号から六号までの会議員、そういうことにしておるのでございます。
 さらに二十七ページの第五十一条の二、常任会議員の会議でありますが、
 「第五十一条の二 左に掲げる事項は、常任会議員の会議の議決によって決する。
 一 第四十条第一項に規定する事項及び同条第二項第一号に掲げる事項」
 すなわち基本的事項であります。
 以上の内容は、まず第一は、四十条の一号は農地法の施行であります。それから第二項第一号であります。意見の公表、行政庁に建議、その他諮問に応じて答申、そのほか会則で定める事項、そういうもののほかは常任会議できめまして、そのきめた事項につきましてはやはり総会の決定といたすことになっております。
 以上は大体今度の改正案のおもな条項でありまして、読み上げなかった条文で改正になっている分は、ただいま申し上げましたことに関連しての主として事務的の規定であります。
 さらに、この施行規則の点が一つ残っておるのでありますが、付則の第一項におきまして、施行期日を三十二年の一月一日からということにいたしておりますが、これはこの前の国会に提出いたしまするときに、来年の一月一日から実施したいと、こういう趣旨で規定をしておるのであります。継続審議になりまして、法案の成立時期がおくれましたから、それに相応して、新しい制度による第一号議員の選任等のいろいろな準備も要りますから、相当な猶予期間が必要になってくるのであります。
 以上で補足説明を終ります。
#5
○千田正君 ただいま経済部長の御説明がありましたが、御承知の通り、今国会は前の国会との間が非常に長かった。院の構成もできなかったし、臨時国会も非常におくれて開かれた関係上、継続審議はもちろん、委員会がありませんから、できなかった。で、あなたが今後段に申されたように、この法案の施行が三十二年の一月一日から実施するということは、実際においてとうていこれは不可能なんです。で、政府の考え方としては、大体この法案の実施をいつごろにしたいという御希望があるのですか。その点はどうなんです。
#6
○政府委員(渡部伍良君) この国会で法律が成立いたしますといたしますれば、私の方では五、六月ごろまでには準備ができるだろう、こういうふうに考えておるのであります。
 それからもう一つ関連して申し上げますが、ちょうど農繁期になりますから、農繁期を避けましてどうしてもやりたい、またやらなければならないと、こういうふうに考えまして、その点から見ましても、農繁期に入る前に少々事務的に急いでもやりたいと、こういうふうに考えております。
#7
○千田正君 今の局長さんの御説明でもおわかりになるように、なかなかこれはそう簡単じゃないのじゃないですか。二、三日で審議できそうもないようですね。ということは、いろいろな法案が来て継続審議中のものがあります。これを本格的に新たに論争するなんというたら、一月くらいで結論がつきそうもございませんよ。そこで大体の目安をいただきたい。今臨時国会中にこれはとうてい私自身は通過する見込みはないような気がするのですが、委員長は何かこの点については、この委員会においてこの法案を臨時国会中にあげるという御意向でおられますかどうか、その点はどうなんです。
#8
○委員長(堀末治君) まだその点について委員の御意向を承わっておりませんが、きょう初めてこの内容の説明を受ける、こういうことですから、果してあなたの御想像通り、この短かい会期でなかなか問題をたくさんはらんでおるこの法案は十分の審議ができるかどうか、私も実は疑問に思っていますよ。衆議院が現にまだあがっていません。
#9
○千田正君 どうも経済局長さんも、ほんとうにわかっておるのかね。実際、だいぶ御説明に御苦心のように見えられますが、われわれも討議、研究したいと思いますから、この点を十分御了承願いたいと思います。
#10
○河野謙三君 私は根本問題で簡単に伺いたいのですが、現在の農業委員会法の運営なり、法そのものに欠陥があるから、改正をしよう、こういうことなんだが、ところが、現在の農業委員会の運営にどこに欠陥があるのだということについて、認識が少い。私は農林省が甘いのじゃないかと思うのですがね。現在の農業委員会は、私の承知しておる範囲では、農地の事務の執行でしょう、これが第一でしょう。これが大体現状は、町村役場に実質は移して事務をやっておるというのが大部分じゃないかと私は思うのです。それから交換分合にしても、米の予約とか供出とか、こういう問題の事務にしても、これは農業協同組合の生産班といいますか、実行組合といいますか、こういうものが実体をやっておるのであって、形式的に現在の農業委員会を通しているだけであって、形式は残っていますが、実体は、農業委員会というものはもぬけのからみたいなものじゃないかと私は思っておるのですが、その認識は私は農林省と違っておると思うのですが、私のような認識を農林省は持っておるのですか。
#11
○政府委員(渡部伍良君) 認識の程度は違うかもしれませんが、たとえば公職選挙法による選挙をやめまして、簡単に部落で推薦するようにして、農村の地域的ないろんな計画と行政とをマッチさせるというようなところは、現在の農業委員会が、食糧供出事務なりあるいは農地関係の事務がまだ相当残っておった時期に、これは昭和二十六年に農業調整委員会と農地委員会とを合併し、二十九年にさらに現行法にだんだん変えてきておるわけであります。実体が変ったに応じて組織を法律上変えていきたい、こういう考えを持っておるわけであります。
 ただ、お説のように、もう農地の事務は市町村に市町村の行政事務としてまかしてしまって十分じゃないか、こういう議論も相当強くあります。それからまた一方では、やはりそういう事務も市町村の議会なり、市町村とは違った、農家だけの寄り合いできめることにしたら、ことに地主、小作の関係が非常に減ってきましたけれども、各階層の、大きい規模の耕作者、小さい規模の耕作者の意見も入るような仕組みにしたら、こういうような議論もあるし、さらにまた、農村の農業計画というものは、特に市町村合併等によりまして広域経済になり、また農業者と農業以外の職業の者との、何といいますか、数が一市町村区域内に非常に多くなってきた。従って、そういう場合には、農業関係の委員会があって、やはり農業振興計画なり農事問題を処理した方がいいじゃないか、こういう意見もまだ相当強くあるわけです。現在そのいずれに重点を置くかということは、皆様から御指摘いただきましたように、農林省必ずしもはっきりした結論が出て、皆さんに得心のいけるような説明ができる状態でないのが、まあ率直なところだと思います。
 しかし、現在の農業委員会制度は、現在法律でやっておりますのは、お説のように、法律を根本的に変えてしまうか、あるいはもっと徹底して、この法律は廃止して、農地事務だけを市町村の事務にくっつける、そういうような、いずれにしろこの法律を現在のままで置くよりは建て直しをした方がいいのじゃないか、こういうことからこの法案が提案されておるので、実は衆議院の方におきましても、現在その二つの議論が非常に食い違っておるわけです。大体もう少し市町村の実態に合ったような運営ができる組織になるように、私の方は今度の改正案を考えております。それでは民主主義に反するのであって、部落推薦制というようなものをやめて、やはり公職選挙法で農業委員を出すべきである、こういう意見も相当強く出ておるのであります。現在の段階では、私どもとしましては、一応のワン・ステップとしてこの程度で仕方ないと、こういうふうに考えております。
#12
○河野謙三君 私は、このスタートが違っておりますから、意見は当然違ってくると思いますが、私は今の農業委員会というものは実体のないものだというスタートに立っておる。従って、今の農業委員会というものにとらわれて、これを多少手直しをして出直すというようなことは、実態に沿わないという結論を持っておる。それを、これに予算が伴わないで、市町村も府県も国もこれに対しての支出がないというならば、いたずらに村の顔役の――こういうものを置いておってもじゃまじゃありませんよ。
 そこで伺いたいのですが、現在の国なり府県なりが幾らの負担をしているか、数字が出ていますか。これは莫大なものですよ。それを私は伺いたいと思う。
#13
○政府委員(渡部伍良君) 国の関係では、三十一年度の予算で約十一億になっております。それ以上に都道府県なり市町村の負担が相当かかっておることは事実でありますが、正確な数字はあまりつかんでおりません。これは何といいますか、府県で負担してしまっておるからこんなものあまり要らんじゃないかとか、町村で負担しておればそれでいいじゃないかとか、そういうことを言われますが、正確な数字は出ませんが、相当な金額が使われておるということは事実であります。
#14
○河野謙三君 国のはわかっておりますが、府県、市町村が負担しておる額というものは、ある期間を置けば、資料としていただけますか。と同時に、今度この改正法案がかりに承認されたとした場合に、国、府県、市町村の予算関係は軽減になるのですか、それとも負担は同じですか、大体考え方は……。
#15
○政府委員(渡部伍良君) 私の方では軽減になると思っておるのでありますが、しかし衆議院の御議論の経過なんか見ると、委員の数がふえれば必ずそれに伴ってまたむやみに金がふえてくるのじゃないか、こういう説があります。ただ、国の補助の分としましては、これは適正に直したいと思いますが、すなわち現存農業委員会の職員の手当が三分の二人分しか見ておりません。それではあれでありますから、そういう職員の手当等はもっと増したい、こういうふうに考えております。全体の何と申しますか、比例的な問題としましては、負担が市町村においては軽減できるのじゃないか、こういうふうに考えます。
#16
○河野謙三君 もう一つだけ。この改正農業委員会法に対して、府県知事なり市町村長なり、こういう面から何か意見の出たものはありますか。決議なりその他、公式でも非公式でもいいのですが、そういうものは農林省に何か……。
#17
○政府委員(渡部伍良君) これは府県、市町村では、府県会、市町村会等でいろいろ意見が出ております。さらに昨日ですか、一昨日ですか、衆議院へそういう関係の人を参考人に呼びまして、意見を聴取しております。大体それが府県知事の寄り合いとか、あるいは市町村長の寄り合い等での意見になっておるようであります。
 それから先ほどお話がありました資料の点ですね、これは正確でありません、推定でありますが、提出いたします。
#18
○河野謙三君 それは日時はかけてもいいから、どうせこの国会では通るあれもないようですから、通常国会にいろいろ論議が集まるでしょうから、その間に各県を通じて、市町村で従来の農業委員会でどのくらいの負担をしておるとか、私は狭い範囲なら知っておりますが、全国的にどうなっておるか、資料としてぜひ出していただきたい。これをお願いしたいと思います。
#19
○小笠原二三男君 さっきから、なかなかどうも懇切丁寧な御説明を受けたのですが、ところが、さっきの質問によると、臨時国会では通りそうもない、通常国会でかりに通ったにしても来年の五、六月ごろ発足する、こういう状態の法案として、理由としてはなかなかりっぱなことが書いてあるけれども、説明によると、町村合併に伴う調整のために、選挙の煩を省いて部落推薦制で委員を出す。それでその説明には、部落推薦というのは地域の意思を反映させる。しかしそれでは人数が多いから、常任制だ。個々の部落からは他の人間を選挙する選挙人の資格では出るけれども、自分の意思を発表する機会を与えられないような状態も起る。県のそれも、中間選挙みたいに、各会長を引っ張り出してたれかを互選さして、それであとは常任制で仕事をする。どこにも積極的な、この農業委員会の機能を十分に働かせてやる、こういうところに欠陥があるからこれを直すのだというところは全然ない、これには。そうして河野議長の質問に答えて、衆議院ではこういう考えもあるとか、こういう意見もあるとか言っている。そんな顧みて他を言う前に、当局であるあなたの方では、現在の農業委員会が機能を全く果しているのか、眠っているのか、それを見た上で、来年の五、六月ごろやろうというなら、十分な構想を練って積極的な改正案なり、あるいは他の機構を求めるなりすべき段階ではないかというふうに、しろうと考えで聞くんですが、よそにこういう意見があるとかないとかいう前に、この農業委員会で満足なのか、農民のためにほんとうに利益になっているのか、機能が十分果されているのか、そういうふうなことを当局の立場でどう考えているか、これをお伺いしたい。よその人の意見はどうでも、あなたの方ではこれならばこの改正でいいんだ、十分なんだというのか。まあ持て余している、やめさせるわけにもいかん、バッジをつける村の人が減ってくる、こういうのもこれも困る、それでまあこの程度にするということなのか。どうもあなたの説明している真意がわからん。御説明願いたい。
#20
○政府委員(渡部伍良君) これは説明がわからないのはもっともだと思うのですが……。
#21
○小笠原二三男君 何がもっともだ。(笑声)
#22
○政府委員(渡部伍良君) 農業団体の問題は、ここ数年間議論を各方面で重ねておりまして、私ども行政官の立場からいえはこうあるべきだ、こういう一つの考え方はないでもありません。しかし現在の立法なりあるいは行政の立て方は、戦争前とまるっきり違うんでして、国会の意思を法律に制定して実行するのであります。この案では各方面の意見が、何といいますか、まるめられて出ておるのであります。ですから、割り切った意見になってない。しかし私どもの立場から申し上げますと、現在農業委員会があるのでありまして、これがうまく働くことをやるのが行政官の立場であります。しかし、今のこのままの法律でうまくいくのかいかないのか、行政的な見地から、こうやれば、一応先ほどから申し上げました各方面の意見の妥協の範囲内でいけるのではないかという線を出しておるのであります。それは先ほど申し上げましたように、農地問題について、これは先ほど河野委員のお話がありましたように、部落会なり農業者の寄り合いを作ってやるのも一つの方法であります。しかし、そういうものを一つの機構というか組織として法律的な準拠を与えるとすれば、やはりこういう法律が必要になってくる。そういう法律が要るか要らないかということは、やはり一つの根本問題になります。先ほど申し上げましたように、食糧供出なりあるいは農地法の関係で仕事があるなら、これをやるんだということははっきり言えますけれども、市町村の農業改良、農業振興の計画あるいは推進、こういうことをやる。そういう仕事がないじゃないかといえば、やはりそれは絶対にあるのでありますが、それをとにかく各農家が寄ってやったらいいじゃないか、やるべきじゃないか。もしやりたい、だからこういう法制が必要である、こういうなら、これを私どもとしては法制化せざるを得ないのでございます。しかし先ほど申し上げましたように、その基本において、従来の経過、それから今後の見通し、現状の経過と見通しに合せて変える場合の意見が、行政庁としての農林省の考えそのままを通すわけにいかない。従って、全部の方に得心のいくような説明はむずかしいと思います。
 しかし、私どもの方としては農地の事務も残っております。これは市町村によって非常に仕事の分量は違うことは事実であります。しかし、どの町村においても農地の移動あるいは交換分合、これは相当の件数があります。これは参考資料に差し上げてありますが、十九ページ、農業委員会の活動状況、これはブロック別に市町村を選定して、それの集計を二十九年度の決算でやっておるわけであります。相当の数があるわけであります。従いまして、先ほど申し上げましたように、農地の行政事務は市町村でやらして、ほかのものはもう自由に、法律なんか用いずに、それぞれの百姓の自由集合で農村振興計画なり農業改良計画、そういうものをやったらいいじゃないか、そういう説もありますけれども、私の方としてはやはりそういうものは今後も必要である。必要とすれば、それに対して一つの組織を与えたらいいじゃないか、こういうふうに考えて、この法律を出したのであります。
#23
○委員長(堀末治君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#24
○委員長(堀末治君) 速記を起して。
#25
○河野謙三君 さっき私がお尋ねしたことでちょっと誤解があるようですが、私は現在の農業委員会に、農地の事務の執行なり交換分合なり、そういう仕事がなくなったというのじゃないんです。その仕事は今もあるし、今後も続きますけれども、現在すでにそれらの仕事の実体は農業委員会がやっているのじゃなくて、町村役場なり農協でやっておるんだ、こういうことを申し上げたんですから、その点を誤解のないように。
#26
○政府委員(渡部伍良君) それは理解しておりますから……。
#27
○小笠原二三男君 今お話を承わったんですが、あなたが最初にわからないのはもっともだと言う通り、やはりわからない。あなたは今ここに大臣の補佐として、政府委員として出て来ておる。法律提案の責任者として出て来ておる。それが各方面の意見を総合調整して出したものなので、私の方は私の方でまた行政の上に立てば別の考え方もあるわけなんだ、まあ国会の方でいかようにでも、というふうに聞き取れる。それでは政府提案の法律案として無責任ですよ。やはり提案する方が責任を持って、これが今日の段階において最良のものだということでなければ、審議の対象にするのに価しないと思う。けれども、このくらいのことだからこの程度でやるのだ、この辺で御了承願いたいというのなら、わかる。
#28
○政府委員(渡部伍良君) 私の言葉が足りなかったと思いますが、結論はそういうふうに申し上げたと思うのであります。いろいろの立場の考え方からいいますると、いろいろの御議論がありますけれども、それはそれらを調整いたしまして、現在の行政的な立場から見ればこの程度以上の案はできない。従って、それぞれの御意見から御検討いただけば、わかりにくい、わからないとおっしゃられるところは、いろいろあると思う。要するに、調整していろいろな問題を捨象しております。しかし私の方としては、最後に申し上げましたように、現在の段階で、もうすでに農業委員会がありまして、これをつぶしてしまう、あるいはそのうちの一部の事務だけをやらすとか、あるいはその一部の事務をほかの機関にやらせる、こういう案になるか、現在ある組織をそういうふうな徹底したことにおいてやらないとすれば、この程度でもって仕方がないじゃないか、こういう御説明を申し上げたのであります。その限度におきましては政府として確信を持っているのでありますが、もっと大きい問題についてのお話かと私は承わりましたので、そういう点からみればいろんな御議論がある。いろんなわからないところがある。しかし私はあくまでも行政庁の立場から、今の法律を執行する上において少くともこの程度は直した方がいい、その限度で説明を申し上げております。御了承願いたいと思います。
#29
○委員長(堀末治君) それでは、この法律案に対しての質疑は今後さらに続行することといたしまして、本日はこの程度で打ち切りたいと思います。
#30
○委員長(堀末治君) 続いて、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案を議題にいたします。
 この法律案につきましてはすでに提案理由の説明は聞いたのでありますが、この際農林当局から、法律案の内容その他参考事項並びに見解等について、説明を聞くことにいたします。
#31
○政府委員(渡部伍良君) この法律の内容につきましては、第十四条に「奨励金の交付を受けた農林漁業組合は、第四条第一項各号に掲げる再建整備の条件を満すに至ってから一年を経過した後、政令の定めるところにより、交付された奨励金に相当する金額に利子に相当する金額を加算した金額を政府に納付しなければならない。」この条項を削除するというのが、ただいま社会党から出ております提案の第一点であります。
 それからもう一つは、第四条に再建整備の目標という規定がありますが、その中で、「前条第一項の農林漁業組合は、指定日以後に開始する事業年度の開始の日から五年以内に左に掲げる条件を満すように再建整備を行わなければならない。」とありますが、その「五年」を「七年」に直す、こういうのであります。
 それからあとは、法律の十八条第二項「前項の規定による再建整備は、指定日から五年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに第四条に規定する目標を達成するように行わなければならない。」とあります。これをやはり第四条第一項を直しました関係から、「五年」を「七年」に直す。
 それからもう一つは、第二十条及び第二十二条ですが、右に関連してやはり「五年」を「七年」に直すというのであります。
 この法律は昭和二十六年に施行されまして、その後この法律に準拠しまして措置が講ぜられておったのであります。
 別の一枚紙でごらん願いますように、この法律によって指定を受けた組合は合計三千八百十八組合でありまして、その内訳は、単位組合、農協が二千四百八十、漁業協同組合五百十九、森林協同組合六百四、連合会で農業協同組合が百四十二、漁業協同組合三十四、森林協同組合三十九、こういうふうになっております。この策四条の規定に基きまして、二十六年度から二十九年度までの実績は、自己資本増加状況で、この合計二百十億七千四百万円となっております。そのうち、農協の単位組合で五十三億四千百万円、漁業協同組合で三十四億九千万円、森林組合で二億八千九百万円、連合会で農協で百七億九千六百万円、漁協で九億五千五百万円、森組で二億三百万円となっております。
 この第四条で再建整備を五条以下の内容によって実施しますと、第九条以下によって奨励金を交付しておるのであります。その実際のやり方は、第十一条の基準に従ってそれぞれの奨励金が交付されてきておるのであります。実際に奨励金を二十六年度から三十年度までに交付した額は三十八億、そのうち農協の単位組合で八億、漁協の単位組合で一億四千万、森林組合で二千万、連合会では農協関係で二十五億、漁協で二億六千万、森林組合で五千万円、こういうふうになっております。
 次に、第四としまして、再建整備の増資目標達成状況の表がございます。一番下の表であります。目標達成の組合は、指定組合三千八百十八のうち、二千八百六になっております。目標達成困難な組合が九百七十ということになっております。
 この法律案は、目的達成困難の組合に対してこの法律の適用期間を、もう二年間延ばしたいというのが一点であります。それから十四条で、目的を達すると、もらった奨励金を返さなければならない、それを返さないようにしたい、こういうのであります。ただし、これは社会党の提案でありまして、むしろ私の方から説明するよりも、提案者から説明を伺う方がいいのじゃないかと思いますけれども。
#32
○委員長(堀末治君) この法律案も後日質疑を願うことにいたしまして、きょうはこの程度で散会したらどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(堀末治君) それでは、もう一つ御相談申し上げますが、先ほど一日の土曜日の午前中、農林大臣の出席を求めて委員会を開こう、こういうことで農林大臣の出席を求めたのでありますが、先ほどわざわざ官房長官から信書が参りまして、当日は登院をするし、委員会にも出る予定である。しかし、多分外務委員会の方で大臣四人並べて質疑が行われる予定になっておりますから、こちらの方に単独に出るお約束はできかねるから、委員長同士で話し合ってもらいたい、こういうことであります。いずれ私も散会しましたら外務委員長と相談をいたしますが、大体そのことだけを一つ御了承願いたいと存じます。その結果、また明日午後の連合会の状況によって、御報告申し上げますが、とにかくなるべく出てもらうように、一つ私の方でいたします。それでは本日は、これにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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