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1956/11/26 第25回国会 参議院 参議院会議録情報 第025回国会 社会労働委員会 第5号
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1956/11/26 第25回国会 参議院

参議院会議録情報 第025回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第025回国会 社会労働委員会 第5号
昭和三十一年十一月二十六日(月曜
日)
   午後二時二十八分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
十一月二十四日委員横山フク君、勝俣
稔君及び谷口弥三郎君辞任につき、そ
の補欠として木島虎藏君、小幡治和君
及び寺本広作君を議長において指名し
た。
本日委員藤原道子君辞任につき、その
補欠として坂本昭君を議長において指
名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     千葉  信君
   理事
           榊原  亨君
           安井  謙君
           山本 經勝君
           早川 愼一君
   委員
           小幡 治和君
           大谷藤之助君
           木島 虎藏君
           草葉 隆圓君
           佐野  廣君
           寺本 広作君
           野本 品吉君
           吉江 勝保君
           片岡 文重君
           木下 友敬君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
           山下 義信君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 小林 英三君
  政府委員
   調達庁次長   丸山  佶君
   調達庁労務部長 小里  玲君
   厚生省保険局長 高田 正巳君
   労働政務次官  武藤 常介君
   労働省労政局長 中西  實君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  説明員
   労働省労政局労
   働組合課長   山崎 五郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働情勢に関する調査の件
 (千葉新聞労働争議に関する件)
 (日華油脂株式会社の争議に関する
 件)
 (上添田炭鉱労働争議に関する件)
 (キャンプ所沢の駐留軍労務者解雇
 に関する件)
○健康保険法等の一部を改正する法律
 案(山下義信君外四名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(千葉信君) それでは、ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 初めに、委員の異動を報告いたします。
 十一月二十四日付をもって横山フク君、勝俣稔君、谷口弥三郎君がいずれも辞任せられ、その後任として、木島虎藏君、小幡治和君、寺本広作君が選任せられました。また、十一月二十六日付をもって藤原道子君が辞任され、その補欠として坂本昭君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(千葉信君) それでは労働情勢に関する調査をまず議題といたします。
 千葉新聞労働争議に関する件を問題に供します。本問題について御質疑をお願いいたします。
 なお今、大臣のかわりに政務次官武藤常介君が出席しておられ、中西労政局長は後刻参るはずになっておりますが、なお労働省の方から労働組合課長山崎五郎君が説明に当られるそうでございます。御質疑を願います。
#4
○藤田藤太郎君 私は千葉新聞の争議について当局に質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、今月の初めから三十七名の首切りの問題をめぐって争議が行われ、その中にはいろいろ協約違反の問題や、暴力行為の問題や、いろいろの問題が起きていると聞いておるわけです。そこで当局から千葉新聞の争議というのは、どうなっているかということの一応経過を御説明を願いたい。
#5
○政府委員(武藤常介君) ただいま藤田先生の御質問でございますが、千葉新聞の現在の情勢につきまして山崎労働組合課長から御説明申し上げたいと思います。よろしく。
#6
○説明員(山崎五郎君) 千葉新聞社の年末手当及び人員整理をめぐる労働争議につきまして概略を御説明いたします。
 千葉新聞社は大体発行部数約四万であります。従業員は当時百九十六名、うち組合員が百五十七名、業務団体としては新聞労連に加盟しております。
 十月十日に年末手当として一・五カ月プラス二千円、約一万九千三百十円程度になりますが、これを要求したのに対して、会社側は二十日に労使協議会の席上において、現在の経営状態では年末手当の支給は不可能である。会社再建後に支給することにしたいと、こういう回答をいたしました。引き続きまして、その後、人員整理を行う旨を発表いたしまして、ここから問題が起ったのであります。人員整理に関するその後の団体交渉は結局まとまらず、会社側は十月三十一日に三十七名、うち委員長、副委員長を含む、組合員約三十名の解雇通告を行いました。組合は労働協約違反の解雇であるとして、同日臨時大会を開催しまして直ちにスト権を確立し、十一月一日解雇撤回について千葉労働委員会にあっせんを申請いたしました。十一月二日、会社側では千葉新聞の販売店の従業員をもって組織されている団体の千葉会の会員が、この労働組合の組合専務所に対して糞尿等を投げ込むような事件が出ましたので、組合は憤激いたしまして、同日午後一時三十五分に無期限ストライキに入りました。会社はこれに対して二時四十分、ロック・アウトの通告をいたしました。
 この経過をいま少し詳しく申し上げますと、争議経過中において、十一月三日より新聞は休刊になったが、同日会社は一日付をもって組合員六名、非組合員四名計十名を嘱託として再採用することになりました。そうして六日には千葉農産化学の定款変更を行いまして、千葉新聞新社を設立し、千葉新聞より営業権の譲渡を受けまして、従業員に対して千葉新聞を継続して発行する新社への入社を希望する者は十日四時までに申し出るようにと通告いたしました。組合は暴行に加わった千葉会員なるものを泰行、器物損壊、名誉棄損及び脅迫のかどで告発するとともに、五日に被解雇者二十七名について千葉地裁に対し地位保全の仮処分の申請を行いました。
 なお、千葉地労委は六日午後九時よりあっぜんを行いましたが、新社成立という事態の発展によってあっせんは非常に困難になり、事態を静観するような態度になりました。そこで十一月八日午後八時より十時までに組合事務所の周辺を板べいでかこおうとした会社側と、組合側との間に小ぜり合いができまして、警察官の出動をついに見るようになりました。翌九日午後八時半ごろには紙型を作るローリング機械の周辺に組合側がスクラムを組み、この人数約八十名と先ほど申しました千葉会を主体とする一団約三十名との間にもみ合いが行われまして、警察官の出動によって一応おさまったのでありますが、午後十一時四十分ごろ千葉会員等が工務局の入口、窓ガラス等に自転車あるいは硫酸がめ、こういうようなものを投げ込みまして、工務局に乱入し、組合員になぐりかかったので、重傷五名、軽傷十六名を出すような不祥事件が起きました。このため武装した警察官が百名出まして、組合員らの退去を命じまして、千葉会員を一名検挙いたしました。で、労働委員会は九日からあっせんに入りました。特に団体交渉の実施を申し入れたのでありますが、組合が応じましたが、会社側は拒否いたしまして、十日もあっせんの解決促進を社長に申し出ましたが、進展を見ませんでした。十一日にはあっせん員立ち会いのもとに団体交渉が行われましたが、物別れとなりまして、十二日のあっせんも同様進展いたしませんでした。十三日に組合側は午後七時から約百五十名の組合員が工務局及び印刷工場にピケを張ったのでありますが、新社の従業員二十名との間に四回にわたりやはり小ぜり合いが行われまして、組合側は千葉警察署の退去命令に基きまして、午後十一時四十五分ピケを解除いたしました。翌十四日も午後十時以降三回にわたって組合と新社従業員、千葉会員との間に乱闘が行われまして、重傷一名、軽傷八名を出しました。組合員は前日と同様に警察官の警告に基きまして、十五日の午前零時退去をいたしました。十四日の日に労働委員会があっぜんに入りまして、労使の話し合いが進められ、本格的交渉を進めたのでありますが、結局物別れになりましたが、しかし十五日の日に労働委員会があっせん案を一応提示いたしまして、それで十六日正午までの回答期限を付して、会社は十一月末まで解雇の効力発生を留保すること、組合は十一月十五日現在における千葉新聞発行の状態を十一月末日までそのまま認める、労使双方は直ちにスト及びロック・アウトを解く、会社は十一月末日まで休業する、その間解散、廃業等は行わない、労使双方は十一月末日までに会社再建協議会を設けまして、解雇撤回問題を含み、会社再建案を協議する、その構成委員は労使双方各三名及び地労委のあっせん員も入れ、必要ある場合には第三者の参加をさせること、こういうようなあっせん案を出したのでありますが、これに対して組合側は、十六日に解雇を撤回して、十月二十九日前の状態に戻して話し合うことという組合側の回答に対して会社側は受諾を回答いたしました。このために地労委のあっせんは困難になりまして、十月二十日事実上あっせんが打ち切られたようなことになりました。しかしその後いろいろな紛糾がなお続きまして、十六日の夜に組合側が、応援する者も含めまして百五十名と、会社側の者との間に、四回にわたり小ぜり合いが行われましたが、警察官の出動はありませんでした。で、十七日は組合がピケを張ったが、会社側が新聞印刷を東京で行なったためにあまり紛争はありませんでした。会社側は、このような状態になったので、十八日に役員会を開催しまして、十二月二日に株主総会を開いて、会社解散をはかることをきめております。また、十九日から新社の方においても新聞を休刊することになりました。このために、組合側もピケ動員はありませんし、夜間約二十名程度を待機させることになりまして、十八日以降は紛争はあまり起きておりません。その後二十一日に、会社側は組合に対して、旧会社解散並びに休業中の社内立ち入りについて団体交渉を申し入れましたが、二十二日組合側がこれを拒否しまして、その後労使の交渉は、この件につきまして行われておりません。地労委は二十日に労使双方に対して、「現状では十五日のあっせん試案以上のあっせん案は出せない。労使双方により解決へ努力されたい」旨の勧告を行いました。これは、事実上労働委員会の打ち切りをすることになったのであります。事態を静観するために最後の勧告と、こういうことになりました。
 以上が労働争議の概略でありますが、この間千葉県の労働部長あるいは知事さんなどもいろいろ心配しまして、労使に対する何らかの解決の方向を見出すために努力したのでありますが、いずれも不調に終って今日に及んでおります。
 概略は以上の通りであります。
#7
○委員長(千葉信君) なおこの際申し上げておきますが、労働省から中西労政局長が出席されております。
#8
○藤田藤太郎君 今概略をお聞きしたんですが、会社側は十二月二日株主総会を開いて解散を云々ということがいわれております。ところが、元来この千葉新聞と組合との間には、労働協約が昨年の十二月締結されて、その中では、いろいろな条項がありますけれども、何といいましても、これは平和条項まで作っているような協約であります。しかし、たとえば要するに従業員の解雇の問題、人事問題については、会社の同意を得て行い、あわせてこの会社と組合との間には労使の協議会、こういうものをもって、あらゆる事項を団体交渉、要するに折衝を行なった。今度の争議のきっかけを見てみますと、十月の十日に年末資金プラス二千円の年末資金の要求、それにあわせて解雇の問題が出てきた。その協議会の内容を調べてみますと、七十五万円の赤字が出るから云々、で、そういうことについて組合員が赤字解消のためには熱意を示しまして、二十日以後、特に二十二日、二十三日という工合に、どうしたらその赤字が解消できるか、こういう立場から具体的なこの協議会が進められているのであります。
 で、当時の記録を見てみますと、七十五万円の赤字に対して、七十万円まではその赤字解消の見通しが、この協議会でついているのであります。ついて、大体あと五万円の問題をどうするかというところまで突き詰めて、労使の間で交渉が行われて――労働省はいつも労使の問題は当事者間において、突き詰めた交渉によって、この問題解決をするということを、あらゆる角度から言っておられます――そういう意味からいけば、この組合と会社との交渉、そうして解決するということについては、私は好ましい状態で進められている――特にここで一言つけ加えておきたいのですが、終戦後できた会社でございますけれども、東京の近郊にあって、一万一千円という低い賃金で、百九十何名の人が働いている、その中においても、今日の状態の中に立って、何とか名実ともに千葉県民の新聞として、この役割を果そうというところに、そういう熱意をもって、特に組合がそこまできているにもかかわらず、突然三十一日において解雇の通告――協約において同意約款がありながら、会社側がこの解雇通告を個人あてに三十七名行なった。で、何がためにここまで話を平和的にといいますか、両者の間で話をしているにかかわらず、こういう処置をとってきたか、そもそもこういうやり方というものがほんとうにいいのかどうか。われわれといたしましては不当労働行為として、この問題は重大な問題として考えているのでありますけれども、ところが聞くところによりますと、人員を整理して、現実には十一日六日、千葉新聞というものが発足するような格好、これに対する譲渡というような経緯があります。またうわさに聞けば、その他の形において、この事業を切りかえるというようなもくろみの構想に立って、真剣であるべき労使間の交渉というものが勝手に打ち切られて、解雇通告というような格好になっている。それのみか販売店の人を動員して水をかけるとか、または糞尿をぶっかけるとか、組合事務所、組合員に対してとってきたような行為というものは、私は今日の労使関係、そうして労働組合に対して認めていいかどうか、これは重大な問題だと考えているのであります。そういう点について、当局としてどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#9
○政府委員(中西實君) 経過は先ほど組合課長から申した通りでありますが、この問題は、会社の営業不振というところから出ておりまして、それだけにきわめて深刻な様相のようでございます。双方それぞれ委員も出ていたすものと思いますけれども、私も直接双方からの意見を聞いておりませんので、報告によって承知している限りにおきましては、やはり双方に相当遺憾な点があるように考えられます。もちろん詳細調査の上でないと、断定的なことは申せませんけれども、原則としましては、やはり労使がよく話し合いをして処理するということでありますのに、その点においてどうも欠けておるんじゃなかろうかという感じがするのであります。問題がだいぶこじれてきておるようでございまして、現地の県庁あるいは労働委員会それぞれ努力いたしておるようでございますが、やはりどっかでもつれがほぐれてきませんと、やはり解決はむずかしいんじゃなかろうか。でき得べくんば、すみやかにやはり話し合いを始められて、そして双方その上で円満に解決されるようにということを希望しておる次第でございます。
#10
○藤田藤太郎君 今の局長の話では、協約があったというようなお話でございましたけれども、しかし協約というものは労使の間で作るものである。そしてむろんその中には争議行為に入る、ロックアウトをするというような問題のときには、協約の建前からすれば一応できないことになる。人事解雇についても組合の同意がなくては行わないということが明確にありながら勝手に解雇をする。同意というものは、会社側の言い分をとってみると、同意というものは解雇してしまったものをお前らが同意すればいいんだというようなものの解釈をしてるんですが、こういうものでしょうか。その点を一つ……。
#11
○政府委員(中西實君) 方々の協約にそういった約定があるのでございますが、同意ということをどの程度まで解釈するか。同意の上でやるということなれば、やはりその双方の意見というものは十分に尊重されなければならないということは当然かと思いますが、ただまあ具体的人事の権利というものはわれわれの解釈では経営側にある。しかしながら、こういう約定がある限りは、単なる話し合いということじゃなくて、やはり十分に意思を尊重するということは必要であろうと考えます。
#12
○藤田藤太郎君 この争議の発端というのは、今の三十七名の解雇通告を、この協約を無視してやったというところから始まっていると思うのです。そういうことにおっかけて、今秋が会社側の言をかりて申し上げましたが、そういう形において波状的に暴力団を雇って組合事務所や組合員に対して暴力行為を行い、水をかけるとか糞尿をかけるとか、こういう形を行なっておる。むろん地労委のあっせんということによって争議解決のために努力をされたこともこの経過の中に出ておりますけれども、しかし、こういう形において労働組合の権利、労働者の、何といいますか、労働組合というものが一方的に経営者に握られている。これは非常に重大な問題だと私は思うのです。だから当局といたしましても何らかこの暴力行為や協約違反に対して、争議を解決するということが中心目標でありますから、これに対して何らかの援助をするとか、助けるとかいうお考えがあるのかないのか、この点を聞きたいと思います。
#13
○政府委員(中西實君) われわれの聞いております報告の限りにおきましては、なるほど今の解雇に当りましてどうも十分な協議がなくて行われたというふうに報告を聞いております。そこでその後だんだんもつれておりますので、目下の段階におきまして、過去のいろいろのことを申しても解決になりませんので、県当局なり、あるいは労働委員会、そこらあたりができるだけすみやかにこの話し合いを軌道に乗せるということに努力する、このことはわれわれの方からも要請しておるわけでございます。
#14
○片岡文重君 過去のことについてあまりとらわれておっても解決の糸口にならぬという御意見、ごもっともです。私もそう不必要なせんさくをしようと思ってませんが、しかし、あのわずか二百名足らずの経営体でありながら、近来見ないような暴力行為が経営者によって行われるような争議状態に追い込まれたのは、一にかかって経営者側の労働者の人格を無視した考えの上に行われたものと考えますから、これからの解決を見出すためには、この経営者側の反省なり、過去に行なった自己の行為に対する考慮というものが行われない限り、将来の解決を見出すことははなはだ私は困難だと思う。そういう意味で経営者側の態度についてお尋ねしたいのですけれども、経営が困難になったという事態から、三十七名の首切りを行うに当って経営協議会で労使双方が若干の話し合いを行なったように私は聞いております。その際に経営者側から示された収支の状態と、現に発行されておる経営状態について経営者側から出された資料に基いて組合が検討した結果、三十七名の首切りをしなければならない必要はごうもないばかりではなしに、組合員がこの経営に積極的に協力をするならば、そう不安な経営状態ではないはずだという結論が出て、その結論に、経営者側は反論の余地なくこれを認めたということです。しかるにこれをその後になって、その協議会の席上では認めざるを得なくて、その後になって、さらに会社側からこれを破棄してきた、こういうように聞いておりますが、これらの点について、労働省ではその間のいきさつを調査されておるのかどうか。なぜ経営協議会の席上で認めた数字を、その後になって破棄されなければならなかったか、そういう状態をお調べになったかどうか。
#15
○政府委員(中西實君) 今会社の経理内容、協議会の席上におけるやりとり、それは実は今のところまだ聞いておりません。
#16
○片岡文重君 この争議の発端というものが、先ほどの御報告では年末手当の要求、つまり一・五%プラス・アルファを要求した。それに加えて解雇撤回ということで争議がなっておるやに報告されましたけれども、実際は年末手当の要求は、ほとんど紛争の種からはたな上げされてしまっておって、三十七名の整理問題をめぐっての紛争になっております。そこでこの三十七名の首切りをするためには、この労使の間でもって円満にきめられた新聞社の労働協約の十一条ですか、会社が組合員を解雇するときは、組合の同意を要するとはっきり明文化しております。この明文があるにもかかわらず、一言の了解を求めることもなくしてなされた解雇通告、これは労働省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。その効力と、それから行なった経営者側の態度等について。
#17
○政府委員(中西實君) こういう約束がある限りは、十分にやはり労使話し合いをいたしまして、でき得べくんば意見の一致の上で行われるということであるべきだと思います。ただこういった人員整理等の問題は、最後までやはり同意ということが幾ら書いてございましても、話がつかない場合が多かろう。従って社会常識上十分に意を尽したというあとなれば、あるいは同意点に達しなくても、これは先ほど申しました人事権というものが究極経営者側にあるということから差しつかえなかろうかと思います。具体的なこの事案におきましては、どうもその話し合いがそこまでなされてないようなふうに報告を受けておりますので、そういたしますると、多分にこの約束に反する疑いがあるというふうに一応考えられます。
#18
○藤田藤太郎君 やはりこの争議の問題点というのは、今も片岡委員から出ましたように、三十口の間協議会で非常に熱心に、赤字が出るからやっていけない、それではそれに協力しようじゃないかという格好で、会社側のメンバーと組合側のメンバーによって一つ一つ款項別に当りまして、会社の言う赤字を解消するところまで話ができた。これはやはりこれができなければ、人員整理やむを得ないという格好で始まって、赤字の問題について検討が始まっている。そしてその上に立って大体赤字が解消した、こういう形で人事の問題、経理の問題というものを双方からみ合して、この問題をめぐって突き詰められている。今の局長の話を聞いていると、どうもそこが十分でなかったという話ですが、少し違うのじゃないですか、その点。今の、聞いていないのですか。要するに、人員整理の問題とそれから経理の問題とは突き詰めて協議会で話をして了解がいったと、ところが、突然会社側が勝手に三十七名の通告を裏の方でやってしまった。こうなってくると、労働協約に違反する手続というものが使用者の間で行われておったということを認定せざるを得ない。それにもかかわらず、こういう処置をとられたということなのでしょうか。そこのところあたりどうでしょう。
#19
○政府委員(中西實君) 先ほど言いましたように、会社経理の内容なり、経営協議会ですか、その席上のやりとりがわれわれの方で調査されておりませんので、従って報告上の点から見ますると、つまり同意――何といいますか、これに相当反する疑いが強いということを報告で受けております。それ以上のところはどうも私にはわからないのであります。
#20
○藤田藤太郎君 それは一つ労働省としてもそういうことは十分に調査をしていただきたい。われわれといたしましても、これは非常に重要な問題です。せっかく労使の間において労働条件を中心にする問題が話し合いが行われている。行われて究極に達したが、相手方が協約がありながら勝手にこういう処置を講ずる。こういうことが世間一般に行われるということになれば、労働者の今日の社会的地位、またはこれに関連して生活の問題、あわせて職場からほうり出されたときの失業、それに対する施策の問題は、今日の政治の中では十分でない。そうすると、結局飢餓に陥らざるを得ないという、こういう非常に特徴的な……議を尽して交渉を行い、そして行いながら相手方の身勝手のためにそういうやり方がなざれるということは、これこそほんとうに法治国家としてこれは許すべからざる問題だと私は思う。だからこういう点については、参議院の社会労働委員会としても重大な関心を持ってこの問題の調査に当るとか、こういう形が二度と起きないような処置を講ずべきではないかと私は思うのであります。そういう御処置を委員長においてとっていただきたいと思います。
#21
○片岡文重君 委員長、ちょっともう一つ。
 先ほど組合課長から報告されました中にも述べられてありましたが、十分な話し合いをしないでこういう争議行為に入ったという結果にはなっておりますけれども、実際は経営者側が話し合いをしたことをじゅうりんし、かつ労使間における憲法ともいうべき労働協約を無視して組合に当ってきた。しかもその組合の中心をなす五名の解雇を含んでおるということは、明らかにこれは組合の骨抜きをねらった不当労働行為であることも間違いなく、さらにあるいは組合事務所に糞尿をかける、あるいは硫酸びん等を投げつける、あるいはそばにある自転車を持って窓から投げ込む、あるいは仏壇を作っていやがらせをする等々、全く最近かつて私どもの見聞し得ないような非常識な暴力行為が経営者側によって行われております。こういう争議行為というものは全く珍しいと思うのですが、そこで政府は、大臣がおられないので政務次官に一つお尋ねするのだが、たとえば最近の新聞では、何か日教組の行動に勧告とか、警告とかを与えるという。あるいはそのほか総評の行為にも、年末闘争にもどうだとか、こういうことで労働者の団体行動については、とかく神経をとがらせて不必要な介入をなさっておられるように私どもには見受けられます。そういう労働運動に対する介入をあまりおきらいではないような最近の政府のやり方のようにわれわれは見受けられますけれども、こういう非常識な、野蛮な経営者の不当弾圧に対して、今の政府はどういうふうにお考えになりますか。
#22
○政府委員(武藤常介君) ただいまの御質問でございますが、御承知のように労働省といたしましては、常に労使が対等の立場において円満に話し合いをするようにというので、労働省といたしましては種々なる計画もいたしまして、何とか円満にすべてを解決できるように、こういうふうな方針で進んでおります。ただいまの千葉新聞の問題は詳しく内容がわかりませんですが、なお十分調査いたしまして、さような、いわゆる経営者において圧迫的のような行為があるとすれば、相当調査をいたしまして、それ相応の考えをもって進みたいと存ずる次第であります。
#23
○片岡文重君 先ほど述べられた組合活動の御調査では、相田やはり詳しく調査はされておるように思われまするし、現実に行なった暴力行為ということについては、現地の警官が、千葉会その他を経営者側が動員をして、いわゆる最近の言葉で言うグレン隊――暴力団をすでに九名から検挙しております。この一事は、労使の紛争の中で行われた暴力者を、しかも経営者側が雇った暴力団を地元の警察が検挙しておるというこの一事は、いかに隠蔽しようとしても隠蔽し得ない経営者側の不当労働行為だと思うのですよ。こういう事態があまりにも明らかである。こういう事態に対して、組合側の行為に対する政府の積極的な措置と同じように、経営者側に対しても政府はもっと積極的にこういう非常識な経営者に対しては何らかの措置を私はとるべきだと思う。これに対して政務次官はなお調査をしなければならないとお考えでありますか。この厳たる事実ですから、これに対してさっそく何らかの手を打っていただくことを私はお約束していただきたいと思うのですが、いかがですか。
#24
○政府委員(武藤常介君) ただいまの御質問でありますが、十分やはり調査しなければいけませんので、労働省といたしましては、常に労働者を圧迫するというようなことには全然賛成いたしておりません。大臣は、ことに最近労使の話し合いの場を作るということには相当の努力を払っておりますので、しかしながら、そういう問題がたまたま生まれたということになれば、十分調査いたしたいと存ずる次第であります。
#25
○山本經勝君 関連して……。先ほど課長さんのお話にもありました通り、経過はよくわかったのですが、問題は争議の紛争の筋なんです。いわゆる協約の定めによる話し合いというものが最終的には同意ができるかどうかということにかかってくる。これはよくわかる。ところが同意をしようとしない、初めから悪意があることは御承知の通り……。そうなりますと、話し合いというものは同意に達することは不可能であり、同意は得られないという形で、一方的に強行するというような慣例もある。それから他方当事者間の相互の話し合いというものが困難である場合に、不可能である場合に、どうしても第三者の意見を聞くということになる。そのときは、当然労働組合法の規定する労働委員会という公器があっせんなり調停に当る。ところが使用者側がこの場合に労働委員会のあっせんも調停も拒否する。しかも最終的にも話し合いを進めるようにという勧告も無視する。そういう形で行われてくるということは、これは非常に重大なのであります。先ほど来るるお話があった通り……。ところが、労働行政の面から見ますと、これを一体どういうふうにお考えになるのか、これは労使間の慣行なり、対等な立場の話し合いによる問題の解決ということ、それが不可能であるときには、当然労働委員会というものが規定上登場するでしょう。しかし、その労働委員会のあっせんなり調停も拒否する。そうして実は一方ではどんどん暴力行為等を公然とやっている。そうしてさらに経営者の立場から、私ども聞きますというと、企業の根本的な改革をやろうとしている。もともと問題はそこにねらいがあったのかもわからない。悪く言えばそう推察せざるを得ぬ。そうすると、労働行政の面からこういう場合にどういう御指導をなさるのか、労働者に対するいわゆる工場のもろもろの規制を調整するだけが労働省の任務ではなかろうと思う。使用者もこういうような横暴なやり方をやっておるのだから、それに対する実情調査ということも必要ですし、すでになさっている。また御報告もあった。ところが、それがどうも事務的な経過の筋書きだけを書き取ってくる。こういう調査であるように思われるが、要するに、指導面でも労働委員会に対し、あるいはそれぞれの機関に対してどういう手を打たれたかといえば、実は直接労働省の調査事項であるのかもわかりませんが、その点についてはどういうふうにお考えになっておるのか。私は時間もありませんからここであわせて要望を申し上げますが、委員長の方は、この問題はこの委員会から正式に委員を派遣していただいて、実態を正確に把握する必要がある、こういうふうに考えます。これは委員長に対する要望であります。
 以上、一つお答えを願って要望をおくみ願いたい。
#26
○政府委員(中西實君) 終戦後新憲法もできまして民主主義も大体徹底したようにも思われますけれども、しかしながら、まだなお各方面において遺憾な点が多い。労使関係におきましても、やはり経営者側にもまた労働組合側にもそれぞれまだ民主主義のルールからはずれるというふうなもののあることは、これはやむを得ないのじゃたかろうか。これに対しまして、もしも非常に乱暴で刑事にひっかかるようなことがあれば、これはむしろ刑事事件として処理されましょう。しかしながら、まあそういった法律違反ではなく、どうもいわゆる民主主義ルールに反しておってうまく紛争が処理できない。その際に何でもかでも首に綱つけて持ってきて話し合いをさそうとしても、これはまとまるものではないのでありまして、そこでこれは長い目で見ますれば、やはり民主主義の原則にのっとった労使のあり方の労働教育かと思います。しかしながら、個々の事案につきましては、やはりそのときどきに応じまして、できるだけ適切な手を打っていくという以外にはない。たとえば、頑迷な経営者に対しましては、この人がどうしても言うことをきかなければならない筋から話を持っていくとか、いろいろな方法もあり得るかと思います。この現に起っている千葉新聞についてそれがどういうふうな関係になりますか、これは私もつまびらかにいたしませんけれども、やはり具体的な問題にぶつかりましては、それぞれ最も有効な方法によって、できるだけ問題を軌道に乗せて円満に解決するように運ぶ、これ以外のことはないというふうに考えております。
#27
○委員長(千葉信君) それから委員長から山本君にお答えしておきますが、本問題の調査に関する方法等につきましては、あらためて適当な機会に理事会等でこの問題についてのお話し合いをして、その結果に基いて方法等については決定を行いたいと思います。御承知の通り、先ほど来の質疑応答におきましても、労働省側としてもまだこの問題については十分なる調査が行われておらないが、至急調査を行うという答弁もございましたが、その調査の結論がいつごろ出てくるかという点も関係をもって参りますから、そういう労働省側の調査の進行状況とも睨み合せてできるだけ真相を早く究明したいと存じます。以上申し上げましたように、調査派遣の問題については取り計らいたいと存じますが、御異議ございませんか。
#28
○山本經勝君 今のあげ足取りになって調子が悪いのですが、率直に申し上げて、労働者教育ということをおっしゃった。ここにおいでの各委員の皆さんもよく聞かれたと思う。労働者教育というと……。
#29
○政府委員(中西實君) 労働教育と言ったのです。
#30
○山本經勝君 労働者を対象として……。
#31
○政府委員(中西實君) 労働教育というのは労使を含むのです。
#32
○山本經勝君 労働者ということにとられると困るのです。この事件なんか見ましても、使用者その者に、労働者側にどう対処すべきか、どう取り扱うべきかということをもっと基本的に教えてもらわないと困る。労働者教育じゃない。
#33
○政府委員(中西實君) 者は言わない、労働教育と言ったのです。(笑声)
#34
○委員長(千葉信君) 発言の際は委員長の許可を得て下さい。
#35
○山本經勝君 使用者に向けて教育を行う必要がある。これは中西労政局長のような老練な労政担当者がおられてこれはきわめて大きな手落ちだと思いますが、この種の企業家、経営者がおるから特にお願いしておきたい。
#36
○委員長(千葉信君) それでは、本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしまして、次に移りたいと存じます。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
#38
○委員長(千葉信君) 次は、日華油脂株式会社の争議に関する件を問題に供します。御質疑をお願いします。
#39
○山本經勝君 労働省の方で日華油脂会社に対する調査を一応なさっているのですか。
#40
○説明員(山崎五郎君) 現地調査はしておりません。府県の調査報告等によって承知しております。
#41
○山本經勝君 一応概略を御説明願いたい。
#42
○説明員(山崎五郎君) 日華油脂株式会社の争議は、本社が神戸にありまして、工場が福岡県に一つあります。事業の内容としては、植物油、食用油、工業油、マーガリン、石けん等を製造しております。組合員が約四百八十六名程度であります。
 争議の概要は、組合は本年九月十三日、三千円賃上げを要求しました。現行一万四千三百円。会社側はこれを拒否いたしまして、十一月二日に組合側は二十四時間ストライキに入りました。三日、四日は休日出勤拒否をいたしまして、会社側は五日よりロックアウトをもってこれに対抗いたしました。十一月十二日に量りまして協定が成立しましたが、同時にロックアウトも解きました。賃上げ、二千円につきましては、兵庫地労委においてあっせんをすることになりまして、十一月十七日、千三百円の賃上げのあっせん案が提示されましたが、労使双方ともこれを拒否いたしまして、二十四日より無期限のストライキにまた再び入っておる。概況は以上のようであります。いま少しく詳細に申し上げる材料もありますが、概略は以上のようなことであります。
#43
○山本經勝君 課長さんにお伺いしますが、これは経過等については現地調査なさっておるのですか。そうではなくて、事務的に、争議が起っておって、こういうところでこういう経過であるという、簡単な文書報告があったということなんですか。(説明員山崎五郎君、「文書報告であります。」と述ぶ)
#44
○委員長(千葉信君) 私語は禁じます。
#45
○説明員(山崎五郎君) 争議につきましては、現地に派遣しまして状況を見てくる場合もありますが、本件筆につきましては、府県の文書報告によるものが主であります。なお、その点不明な点がありますと、当方から照会を発しまして、電話等によって報告を再び受けております。
#46
○山本經勝君 この日華油脂は、先ほどお話しのように、大体四百九十名程度の従業員がおって、二つの工場を経営している。ところで要求については、今度三千円のベースアップを要求しておりますが、この要求内容もこまかに申し上げる必要もないと思いますが、大体合成化学関係の賃金の平均ベースが二万二千円見当にある。ところがその中で最も低いのはこの日華油脂でありまして、現在一万三千円という水準になっておる。これに対して三千円のベースアップ要求をしたのですが、会社側の力は、この要求に対して交渉の過程で経営の実情等を解明し、そうして組合の要求の検討をし、そうして話し合いを進めるというのが賃金のベースアップ等に関する当事者間の話し合いの筋だと思う。ところが、この日華油脂の工場においては、そういうような話し合いが具体的になされずに、てんで初めから、組合の要求が不当である、その不当である理由をるる述べ立てて、組合が一部不健全な幹部によってリードされているというようなことを中心にして、もっぱら組合の内部的な問題をこの団交の爼上に上せてがたがたやっている、こういうのが実際の経過であって、八月以来ずっとこの状態で続いてきたのですが、先ほどのお話しのように、十一月の二日にやむを得ず二十四時間の時限ストに入った。ところがその入ったとたんに工場閉鎖をやって全員締め出しを食った、こういうような状態が続いて、今月の二十一日まで大体そういう状態か続いた。そこで一応休戦状態を作ろうではないか、話し合おうということになりまして、休戦状態を作ると同時に、今度は期限付き回答を求めた。そうして先ほどの報告のような結果になったのであります。ここで私は考えなければならぬのは、これが小さな弱小会社であるならまだしも、資本金五億円という有力会社、こういう会社で公然とこういうようなやり方をやっていくということ、そのものが私は大へん問題だと思うのですが、その中で団体交渉で俎上に上せるべき問題としては、先ほど申し上げたように、ベースアップを中心として、上げられるか上げられないか、幾ら上げたらどうなるかという話し合いがまじめになされることが全く踏みにじられた形で、組合の指導的な幹部の問題を問題にしてみたり、あるいは要求の算出基礎がどうであるかということに触れる前に、問題は、そういう要求を出す前に経営に協力せよというふうに打ち出して、ですからそもそも交渉にならない、ここでも労働委員会のあっせんが拒否されている、こういう実情なんですが、こういう点に対して当面の問題として、いわゆる先ほどの千葉新聞ではありませんが、やはり労働省の労働行政の問題として、地方におけるこうした争議に関するそれぞれの出先諸機関の行政指導を強力にやっていかないというと、これは大へんなことになると思うのですが、その点ではどういう手が打たれてきているか、その点伺ってみたいと思います。
#47
○政府委員(中西實君) 現にこの問題につきましては、兵陣地労委が中に入りましてあっせんをいたしておる。不幸にしてこれが両方から拒否されているというようなことでございまするが、この個々の事案につきまして一々ことに今問題が継続中のものにつきまして中央から特に指示をするということは、原則としていたさないのでございます。経営陣に都合のいいときには労働側から文句が出ますし、労働側に都合のいいときには経営陣から文句が出るというようなことで、これはやはり紛争処理の専門機関である地労委が中に入ってやる、しかしながら、労使行き過ぎがございますれば、これはやはりわれわれから直接あるいは県庁を通じまして、それぞれ注意をいたしたいというふうに考えております。
#48
○山本經勝君 この問題については、今お話しのように、十一月五日に地労委に提訴しております。提訴の問題点は、不当労働行為、つまり組合の支配介入に関する排除の問題とあっせんなんですが、申し上げたように、あっせんができないわけですね。使用者側はさっぱり受け付けない。ですからそういう形でロックアウトが続いて、落ちていくところはどういうところでしょうか。皆さんには十分御理解願えると思うのですが、たとえば、もはや当事者間の話し合いは行き詰まってどうにもならない、先ほど申し上げたように。そうなれば、仕方がないから労働委員会という公器が動くのが当然である。あるいはいろいろ行政出先機関が関係することもありましょう。しかし、本来からいえば、労働委員会、しかしながら、その労働委員会があっせんがつけられない、てんで話にならないという私は連絡を受けておりますが、そういう状態になってきますと、その次の問題は、ロックアウトが続く状態でどういう事態になるかということを一つ御判断願うと同時に、それに対処する方法をやはり労働行政の面からお考えにならなければならぬ重大な問題であろうと思いますが、今のお話しからはさっぱりその点については……。
#49
○政府委員(中西實君) 争議は双方の主張がございまして起り、そうして争議行為はその主張を完徹するという意味合いにおきまして、労使いずれからか行われるものであります。そこでわれわれとしましては、あくまで力による解決というものは、最も民主主義のルールとして遺憾なことでありまして、できれば双方の話し合いで片がつくのが一番いいのでありますが、それができないときには、公正な第王者の判断に待つ、この場合は兵庫地労委の判断に待つということでなければならぬと思います。ところが、兵庫地労委で一応判断したところが、両方ともけった、こうなりますれば、勢い双方が納得いくまで争いを続けるよりほかはしようがないのであります。きわめて遺憾でありますけれども、やはり双方が公正な第三者の意見をなお聞けないということなら、これは双方が納得するまでほうっておくということが一番将来のためにもかえって解決としてはいいのじゃなかろうか。ただし、その間におきまして非常な行き過ぎがあり、あるいはこの会社では問題ございませんけれども、一般第三者に非常な迷惑がかかってくるというような事態になりますれば、緊急調整その他の問題もございますけれども、この具体的な問題にはそんなこともございませんが、結局双方が突っぱり合うということになりますれば、これはどうにもやりようがないと言わざるを得ないと思います。
#50
○山本經勝君 交渉経過の議事録を見ますというと、第一点に、会社側が主張しているのは、要求が不健全である、幹部がミスリードをしているということが強く強調されている。そうして、しかも要求がふまじめのみでなくて、会社に対する敵対行為に類するものである、職場秩序を乱し、かつ業績回復への前途をはばんでいる、これは組合の責任だ、こういうことが強調されておるわけなんです。こういう論議がいつまでも繰返されておっては解決にならぬのですが、そういう状態については、労政局長の御意見を借りれば、つまり労働委員会のあっせんを双方で受け入れないのだからやむを得ない、いくところまでいかなければならぬだろう、力での解決は困るのだ。こういうと、一方は、現にロックアウトをやって全員を締め出しているのですよ。工場閉鎖をしておる。そういう状態か続きますと、これは私はやはり大きな社会問題だろうと思うのです。そういう意味におきましても、これは労働省が黙って見ておる、力尽きてどちらか片づくまで見ておこう、鶏の喧嘩じゃあるまいし、そういうような形で見送っているということは、私はどうも理解がいかぬのですが、そこら辺はどうですか。
#51
○政府委員(中西實君) この報告を見ますと、一応兵庫地労委のあっせんによりまして、会社側がロックアウトをやめて全員就労することとなりましたが、その後話し合いがつかない。そこにさらに兵庫地労委があっせん案を出したか、両方けりまして、二十四日からは組合側が全面無期限ストに入っておるというふうに聞いております。そこでほうっておくというふうに一言うと、なんだか非常に無責任のようでございますけれども、それはやむを得ないのでありまして、やはり、たとえば兵庫で、一昨年でございましたか、別府化学というのがあります。これか一時金の問題で、二万二千円と二万四千円というところまで歩み寄りまして、二千円のために三十何日ストをやりまして、その間の賃金差引が三万何千円に上ったという、あとから考えればばかみたいなことをやった例があります。そういう例を積み上げるうちに、だんだん労使とも健全な慣行というものができるのじゃなかろうか。民主主義というものは非常に時間のかかるものでございますが、これはやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。
#52
○山本經勝君 この組合支配介入というのは一応問題として、労働委員会の審査を、これは兵庫じゃなくて、福岡でやっている。管轄の指示を受けて福岡の地労委がやった。福岡の現場の方の地労委ではあっせんを当初やりかかったが、結局当初におきましては使用者側がてんで受けつけなかった。そういう事実はおわかりだと思います。地労委が取扱いが違うということは、結局最終的にはないと思います。本社の所在地の地労委と、現地、すなわち福岡に工場がありますから、福岡の地労委との取扱いの間に多少の食い違いがあったかもしれない。しかし、それはそれとして、今のあっせんを受けなかったというのは、福岡の地労委の解決へのあっせん、それを拒否しておる。これを拒否したのは労使双方じゃなくて、会社側がてんで受けつけなかった。私が十一月の五日の日に現地に参りましたが、そのときに、はっきりとそういう状態だ。それからその形が、現在ではなるほど一応ストライキに切りかえられておるかもしれない。しかし一方当時はロックアウトをやって、就労に対する拒否の態勢をとっておって、その後、今の状態です。休戦状態に次いで、さらに今度は期限つき回答を求めて、その後の情勢だ、そういう経過をたどっている。そういう経過をあわせて考えますというと、やはりこの問題が、力尽きて両方がのびるまで、あるいはどちらか一方がのびて、問題が片づくまでやっていてよい事態では私はなかろうと思う。ですから、直接組織関係との協力も必要でしょうし、同時に、これはやはり労働委員会の強力なあっせんなり、解決への努力を続けられなければ、やるところまでやってみる。そうしたらあっせんがいいか、こういうやり方がいいか、どっちかわかるだろう、そういうような無責任なほうり投げるような形でなくて、当然打つべき手が私はあるだろうと思う。そこら辺を私は局長に伺っておるのです。ほうっておけば落ち着くところへ落ち着くのだというのであれば、決してこんなことを申し上げる必要はない。それで、民主主義のルールが必ずしも打ち立てられるものではない。どうかすれば労働組合がデモをやる、あるいは外部団体の協力が加わる、すわり込みその他の戦術が加わる。そうすると、往々にして官憲を動員して、むしろ労働省はそれを援護するという形になってきがちである。そういう形で争議が推移すれば、労働者の主張なり、意見というものは、使用者の頑固な意思で押えつけられる。そうして労働行政を担当される皆さんの方では、これを見送ってゆく、こういう姿になっていきはせぬか。これはやはり労働者と使用者との対等な立場での当事者間の話し合いによる解決ということにはいかない。そこら辺を私は申し上げているのだが……。
#53
○政府委員(中西實君) 私が申し上げているのは、無責任にほおっておくというのじゃございませんで、しかしながら、相方の主張が対立しておりまして、どうしても相手力の言い分が聞き入れられないという場合に、第三者からどう申しましてもこれはどうにもならないのでございます。私、中労委にもおりましたし、争議の調整にも何度か自分で当ったこともございますけれども、主張の不一致の場合、しかも幾ら説得しても聞かれないという場合にはいかんとも仕方がございません。会社も、もちろん営業をやっているのでございますから、ちゃんと利害を考えてやっていることでございましょう。それからまた組合も、もちろん組織その他のことを考えて、理屈があると思って主張しているのでございましょう。そこを途中でどうしようといたしましても、やはりこれは両方のそれぞれ意思の一致する、あるいはときに事情の変更によりまして、前には第三者の言うことは聞けなかったけれども、ときがたてばまた第三者の言うことを聞くような事態になるということもございますが、そういうきっかけがございませんと、どうも処理できるものじゃない。もちろんその間に行き過ぎがありますれば、先ほども申しておりますように、われわれの方から直接、あるいは出先においても十分に注意するということで、もちろん見守ってはいるわけでございます。
#54
○山本經勝君 時期を見てと言われるのは、これは私も労働委員会で長い間あっせん、調停をやって参りましたが、そういうことはあり得るのです。それがないというのじゃなくて、問題は、ほぐしてやらなければ、ついていて世話してやらなければ乗り上げてゆく。そのことが労働委員会の仕事だと思うのです。あっせんをして、使用者が拒否したからできなかった。これは福岡の実例の場合には、やはりこれが出先である県の労働部なりあるいはその他適当なところが肩入れをして世話してやらなければ――ほおっておけばおのずから解決がつくというようなものじゃないと思う。そうすると、結果的には、先ほど言われたように、労働者が合法的にやっていると、生活問題にぶつかってきますから、そうすると、いろいろな派生問題が出ます。そうすると、待っていましたというところで、警官を導入して、官憲介入をやらせる。そこで押えつけて事態を収拾するということが今までの争議のルートですから、日本では、労働者がいわゆる労使対等な話し合いによって労働組合法その他の関係法の保護を受けてやっていくという姿ではありません。そこを何らかの措置を具体的にすみやかに講ずる――今までできないとするならば、今後でも講ずるお考えであるのかどうか、そこら辺をはっきりしておいていただきたい。
#55
○説明員(山崎五郎君) 御指摘の、この争議に対して労働省がほおっておくという御意見でありますが、決してほおっておいているわけじゃありませんで、状況を聞くごとに、府県の労政課長を通じまして、どういう状況で県は現在乗り出すことができ得ないか、こういうことを私どもの方で尋ねます。しかし、現に労働委員会にすでに移っておるときには、これは山本さん御承知のように、行政機関としてはいかんともしがたいので、見送る場合が多いのでありますが、先ほど労政局長が御説明したのは一般論でありまして、本件につきましては兵庫県労働部長、あるいは福岡県労働部長に対して、そのつど部長として、課長として、この問題の解決促進できる方法をとるように指示しております。なお今後、二十四日以後の無制限のストに入った報告を受けましたので、これも再びあっせんをはかる機会を作ってやるべく努力することを私の方から現地の方に対してはその要望をしております。
#56
○委員長(千葉信君) 本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしまして、次に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#58
○委員長(千葉信君) 次に、上添田炭鉱労働争議に関する件を問題に供します。御質疑をお願いいたします。
#59
○山本經勝君 上添田炭鉱の紛争というのは、実は石炭合理化法に基く買い上げ問題をめぐって起った紛争なんですが、これは労働省の方でこの関係の情報かあるいは調査をなさっているかどうか。
#60
○説明員(山崎五郎君) 経過は承知しております。
#61
○山本經勝君 やはり同じように御説明をお願いしたいと思います。
#62
○説明員(山崎五郎君) 上添田炭鉱の閉山争議を説明いたします。
 九州炭鉱株式会社上添田鉱業所、使用者側の名称であります。所在地福岡県田川、従業員数は昭和三十一年十一月十二日現在在籍九百二十名であります。労働組合側は上添田炭鉱労働組合、所在地は会社側と同じであります。組合員数は十一月五日現在では七百四十五名であります。争議の概要は、会社は、昭和三十一年八月二十日に石炭鉱業合理化法に基きまして、整備事業団に対して上添田炭鉱の買い上げを申請いたしました。会社側の申請理由としては、本年に入って上添田炭鉱の月産量が八千トンになって、昨年までの月産一万二千トンないし一万三千トンに比し、四千トンの減少を出しておる、採炭現状が非常に不確かでありまして、坑道は非常に複雑化しており、炭車の回転が悪く、赤字経営となっておる、従来この炭鉱につきましては、鉱区を古河大峯鉱業所に移譲することを交渉したが、右のような可採炭量の減少に伴って鉱区移譲の望みが断たれた。次に、鉄道用炭として従来契約しておったのでありますが、今後の契約方針は以上のような事情によって見込みがなくなった、こういうようなことをあげて買い上げを申請しました。組合は八月二十一日代議員会を開催しまして、会社の買上申請に対して条件闘争ではなく、売山反対闘争を行うこと々決定しております。八月二十二日以降の団体交渉におきまして、組合はいろいろ月産九千トンの企業再建案を提案いたしましたが、会社側は赤字を理由にして、事業継続はできないと、こういう反駁を重ねておりました。九月末より十月にかけまして、いろいろ中央においても交渉をしておったことは、山本委員御承知の通りだと思います。衆議院の多賀谷議員なども中に入り、いろいろ交渉促進に尽力したがうまくいかなかった、こういうことを私聞いております。炭労は十月中旬に大会を開きまして、上添田炭鉱の閉山反対闘争を含めて中小炭鉱の闘争支援のためにスト権を確立いたしました。十月三十一日以降、炭労は傘下組合に対して、上添田炭鉱売山阻止のために応援するようにという指令も出しております。十一月に入りまして、九州の方面に炭労幹部等が現地に行きまして交渉調査に努めましたが、結果的には、この売山阻止が非常に困難なようになりました。その後、組合の方は、やむを得ず条件闘争の方向に変っていきました。十一月十二日に上添田炭鉱労働組合は閉山に同意いたしまして、会社との間に協定帯を結びました。その結果、上添田炭鉱も十三日以降閉山することになりまして、在籍従業員九百二十名中、八百三十名は同日付をもって解雇されまして、残余九十名は保安要員及び事務職員として在籍しております。しかし、いまだ十一月二十四日現在におきましては、事業整備団との間に売山契約の締結をみていない、こういうような状況になっております。なおこの売山反対争議におきましては、組合側の方では争議行為を行なっておりません。概略は以上の通りであります。
#63
○山本經勝君 大体筋は今御報告になった状況なんですが、私が御質問申し上げたいのは、実はその経過の中に、非常に重要な要素があるというものですから、その点を一つ労働省の方のお答えを願たい。
 第一番は、ただいまお話のように、私もこれは当初から関与して参りましたし、この上添田炭鉱なるものが、事業が存続されない実情のもとに置かれておるかということがまず第一点、問題なんです。それでこの炭鉱はむろん今後永久にというよりも半永久的な、二十年なり三十年なり存続できるという炭鉱では、鉱区から見てありません。ところが、その問題は、古河の鉱区を企業努力によって譲渡を受けるということの可能性はあったわけです。しかしながら、業者のやり方が、今まで非常に何といいますか、悪意に富んだやり方をやっておるもので、非常に古河との話し合いの困難性というものは、これは私どももよく認めたのですが、しかし、最終的にはその問題ができないことはない。ところが、買い上げを申請したのは八月の八日で、それから事業団がこれを受理したのが二十三日、それから現地調査に事業団が乗り出したのが九月の二日から六日、この間二回やっております。ところが、そのような状態が進行しているにもかかわらず、会社と組合との間にも労働協約があり、企業を変更したりする場合には、組合と協議するという条項があるにもかかわらず、それを無視して買上申請を伏せておる、そうして九月の二日から六日にわたって、現地調査をした際に、会社側は何の調査かということについて、組合の質問に答えて、実は切羽にカッペを入れる計画を持っている、従ってそのカッペを入れるには資金が要る、その資金を開銀に融資申し込みをしておった、それで銀行の調査団が来たといって嘘を言っておる。それからそういう経路を経て、どうもこれはおかしいということになって、九州炭労並びに現地組合の代表が事業団に参りまして、詳細に調査をして参りました。ところが、実は今申し上げましたが、八月の八日に買上申請が行われて、伏せてある。そうして表面は開銀の融資申し込みに対する銀行団の調査であるとまず第一点に言っておる。そこで憤激をいたしましたので非常に現地の問題は大きく盛り上って参りました。ところが、その後いろいろ紆余曲折を経て、中央で、社長が東京におりますので、これと交渉をするということで交渉団が上りました。私どもも一緒に参りまして、直接社長に会見を申し込んだけれども、会えない。それは十月四日から十月の十四日まで努力をいたしております。ところが、この間にまた問題が起ってきた。というのは、この買上申請がまず大前提として労働者側の同意がなければ買い上げないという法文の規定はありませんけれども、石炭合理化法が通過成立をいたしました前後の事情も御承知の通り、買いつぶしを申請した場合に、労働者側が同意をしなければ買上決定はしないといういわゆる約束といいますか、こういうものがはっきりあります。そういう関係がありますので、今の事業団に対しまして、私どもから、組合は反対しておるのだから買上決定しては困ると言うと、そういうことはいたしませんという了解があった。しかも一方申し上げるように、鉱区の譲渡ができ、鉱山法による鉱区の整理、分合ということは行政的な面からも指導をしておる実情であるから、古河の鉱区が、古河の現在の鉱区から採掘するよりも、むしろ上添田炭鉱の坑口から採掘した方が有利であるし、しかるべき条件を備えておるんじゃないかということで、石炭局長とも会見をし、相談をいたしました。そこで、会社側がやる意思があれば、それは話は進め得るだろう、こういう見込みはあった。それからいろいろ現地の福岡県の副知事の山本さんやあるいは上添田町の町長、町議会の長、直接関係のあります自治体の代表とも会談をいたしまして、それから最終的に現在の石炭鉱業協会の佐久さんとも会見をしまして、そこで古河の鉱区の譲渡についてこれができるならば、何とか事業を存続をすることによって、約九百名から千名おりますが、事務職員を入れますと。その千名の失業を救済し、しかも一方上添田町の自治体の財政から申しましても大きな問題になっておる。つまり税金の収入が年間五百万円、事業が閉鎖することによって減る。しかも失業対策をやらんならぬというわけですから、約一千万円の年間負担が増大するのだから、何とかさらに存続してほしいという強い熱望があった。県も県で同じような立場でありますから、勢い何らかの存続措置が、事業継続の方法が講じられるならば、努力を継続したならば、最終的には何とかなろうという見込みが立つ段階になったのでありますが、ところが、今度十月の八日に実は社長の三崎友一さんなる人がアメリカへ行った。あとは会社の機構を変えて自分は取締役会長になり、息子の青年を名目上の社長にして、そうして一切を重役陣にまかせてあるからというので飛んで行った。しかもその前後にも人をくっただまし方をしている。当初は事業団に買上申請をしたことすらも秘密にして協約を無視してやったのです。さらに自分みずからはアメリカへ私用でもって飛んで行って、自分の息子をまだ十分の能力もないと言わなければならない二十二、三の青年に社長の位置というものを譲って、そうしてわれわれが誠意をもってあるいは組合の代表が誠意をもって話し合って処理をしたい。鉱区の問題まで話をして事業団体も努力をしたい、市町村もそうだし県もそうである。こういう情勢の中で実はこの買いつぶし問題が進行した。そこで私は労働省の方にお伺いしたいのは、このとき炭労並びに現地の組合は対策の一つとして保安要員の総撤収をやる。あるいはもう一つは生産管理をやる。これは皆さんにもうなずいていただける点もあるかと考えますけれども、問題はそれ以外の方法がなくなった。しかしそのいずれを選ぶかということが問題になって、最終的には組合の大会で一応条件闘争に切りかえようということに落ちついたのですが、こういう実情に対して、労働省の方の御調査なりあるいは連絡はどういうふうになっているか、その点を明らかにしておきたいと思うのです。
#64
○説明員(山崎五郎君) ただいま山本委員から御指摘になった点で、私たちが今まで詳細承知しておらなかった点をいろいろお教え願いましたが、今御指摘のように、会社側のことを言われましていろいろごまかし、こういうようなことを指摘しておられましたが、そういうような点は承知しておりませんでしたのです。また、府県の方からも私の説明した程度の報告だけでありまして、交渉の内容、あるいは特に鉱区の問題等々にからんだ問題、こういうようなものにつきましては専門的な知識がないためか、あまり詳しい報告等もありませんでした。そういうような関係から、今御指摘されたような点は初めて聞くようなものが多いのでありまして、特に申し上げますと、先ほど説明した以上の報告は受けていません。
#65
○山本經勝君 これはぜひただいま申し上げた点につきましては、たとえば皆さんの方からお調べになるには格好な場所が東京都内にあるわけですから、特に石炭整備事業団、それから石炭局長の斎藤さんにもよく話してあるのでその経過はよく御存じです。あるいは、石炭鉱業協会、石炭連合会、これらはいずれも参加をして一生懸命頭をひねったのです。この実情を一応調べておかないと、この種の問題が次から次に起る可能性がある。しかもここで問題になってきたのは、最終的には労働組合の同意を求めることができないから、結局全員解雇という手を打ってきたのですが、そうして買い上げを促進する、こういうことになってきて一応解雇を申し渡すという段階までいったわけですが、最終的に条件闘争に切りかえたから、先ほどのような諸条件で解決点に一応達しておる。争議としては達しておる。紛争としては達しておりますが、申し上げるような内容がありますから、これは重ねてくどいようですが、今申し上げました数字についてはお調べになろうとすれば、いつでも東京都内で調べられる。しかも古河鉱業等の鉱区の問題等もここで御検討願ってもけっこうだし、そこまで行って諸般の準備を整えておぜん立てをして、社長さんどうですかということまで持ってきて、そのときにはアメリカへ飛んで行ったというような形が出ているので、この実情は、今後の石炭合理化に伴う問題、あるいは中小企業の中における労使間の問題として非常に重要な問題をはらんでおりますから、一つすみやかにはっきりとした御調査方をお願いしておきたいと思います。
#66
○委員長(千葉信君) それでは、委員長からも政務次官にただいまの点については至急調査に取りかかられるように要請申し上げておきます。
#67
○政府委員(武藤常介君) 承知いたしました。
#68
○委員長(千葉信君) 本問題に対する本日の質疑は、この程度にいたしまして、次に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(千葉信君) この際、問題を追加して、キャンプ所沢の駐留軍労務者解雇に関する件につきまして御質疑をお願いいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
#71
○安井謙君 お話の都合ですから一緒にやることはけっこうですが、時間もだいぶたっていますから、一つなるべく簡略にお願いしたいと思います。厚生省の関係もまた残っておると思うので……。
#72
○委員長(千葉信君) 今の質疑に入ることについては御異議ないようですから、従ってその質疑に入りたいと思いますが、質疑の時間等につきましては、そこで一つ両理事の間で若干の話し合いを願いたいと存じます。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#73
○委員長(千葉信君) 速記を始めて。
 それでは再開いたします。御質疑を願います。なお申し上げておきますが、調達庁次長丸山佶君、調達庁労務部長小里玲君が出席されております。
#74
○山本經勝君 調達庁の方もすでに御承知のことで、きょうの十二時から、四十八時間ストが所沢の駐留軍労務者千二百名ですか、程度によって行われておるということは御承知の通りなのであります。それから、いま一つあわせて、立川の労務者三百二十四名の首切り問題が出て、これが十二月の十六日に効力を発するということになって、これまた近日中に闘争が起るという実情ですが、それについて一つお手元でわかっている範囲で御報告を願いたいと思います。
#75
○政府委員(小里玲君) 所沢の人員整理の問題でございまするが、これは去る十一月の五日に所沢の基地の副司令官のハリソンという少佐が、所沢の基地内におきまして自動車の修理関係に従事しております労働者全員を集めまして、十二月の二十日をもって人員整理をする、解雇をするという申し渡しをいたしたのでございます。この解雇1の事由でございまするが、これは御承知のように、アメリカの会計年度が毎年七月一日から翌年の六月三十日まで一会計年度になっておりまする関係上、新しい年度が始まりまして、ワシントンの政府から極東軍に予算の配付がございまして、その全貌が明らかになりまするころ、すなわち九月ころから各基地施設におきまして人員整理が発生をいたすのでございます。その人員整理の最も大きな理由は予算の削減ということでありまするが、この所沢の関係は必ずしも予算の削減ということではなしに、今までやっておりました仕事が変った。と申しまするのは、従来この自動車の修理をやっておりました職場で、四百人たらずでございますが、そこで古い車の大修繕といいますか、改造をやりまして、それが軍自体によって使われておったのでありますが、最近になりまして、そういう古い車の大修繕をやるというようなことでなしに、軍で使いまする車は新車が入ってくる、新車を受け入れている。こういうように情勢が変って参りましたので、従って今までやっておったような古い車の大修繕という仕事が軍自体としてはなくなった。そういう事情に立ち至りまして、その修理工場でやっておりました仕事は、軍自体の需要でなしに、例の相互防衛援助計画といいますか、MDAPといっておりますが、MDAPの計画によって日本あるいは韓国等にそこで修理をした車を提供する、そういう使命をもって、ここに新しく軍自体の仕事でなしに、MDAPに基いて仕事をやる、こういうふうに仕事の内容が変ってきた、軍の使命が変更になってきた、こういう理由のもとに三百七十六名の解雇ということが軍側によって日本政府に通達をされたのでございます。これに対しまして、組合側あるいは労働者としましては、従来いわゆるLSO、駐留軍労務者としてやられておった仕事が特需に切りかえられる。そのことによって従来の労働条件が低下するというようなことになることをおそれ、また自分たちの職場の将来の就職というようなことが不安になるということをもって、この人員整理の撤回要求をなしてきたのでございます。調達庁側に対しましても組合から強い要望がございまして、調達庁としましては、一応事情をよく調査した上で、労務管理上適切な措置をとるという回答をいたしまして、その後現地の労務管理事務所あるいは県庁等から情報をとり、また、今回の整理に関しまする問題の真相をただし、これに対して適切なる処置をとりたいということで努力をして参っておるのでございます。また、調達庁としまして広い立場から、年末にかけましてこういった大整理が起りますることは、社会不安をかもしますことはもちろんのこと、整理になりまする労働者の身の上を思いまして、できればこれを緩和し、あるいは年度を越してから、整理がどうしてもやむを得ないものであるとするならば、あるいは年を越して整理をしてもらいたいというようなことで、軍の上層部にも対軍折衝をいたして参ってきておるのであります。ただ、今回の所沢の事件は、ただいま申しましたように、単なる予算の削減ということ、あるいは単に今まで駐留軍労務者を使って軍が直接やっておったことを特需にそのまま切りかえるというような、従来のケースと事情が異なっており、しかも、MDAPの予算関係がアメリカの国防省から出ておるのではなしに、国務省から来ておるというような関係で、非常に複雑な事情がございまするので、こういった関係からこれをいかに調達庁の立場として善処をするかということについて研究もし、処置をとりたいと思っておるわけでございまするが、私どもとしましては、この十二月から来年にかけての年末年始の人員整理ということが、あまり日本の慣習上から言いましてもおもしろくない、労働者の身の上から考えましても、非常に同情に値するというようなことで、これが延期あるいはどうしても整理がやむを得ないということであれば、それの配置転換あるいは、就職あっせんというようなことについて軍側でも考えてもらい、また、日本政府側としても万全の措置をとりたい、こういうことで現在まで努力してきて参っておる状態でございます。それから立川の件でございまするが、これは主として人員整理が年末に起りまするのは陸軍部隊が多いのでございます。しかるに、立川は空軍部隊でございまして、陸軍部隊と事情を多少異にし、予算上の理由によって人員整理をするというようなことは、従来もあまりたかったのでございまして、そういう面から、本来この立川の整理につきましても、もっと早く整理が行われる予定を、組合の要求あるいは労務管理事務所等の要求によりまして、十二月十五日までに在籍しておりますると年末手当がもらえる、こういう関係にございまするので、それまで延期をいたしまして、予算の豊かな空軍でございまするから、こちら側の要求もすぐに聞いてもらいまして、整理が延期になったような事情にございます。またなお、この整理の理由としましては、軍のあそこの一万人近くの労務者の職場の調査の結果、過剰人員があるというようなことで整理をすることになったわけでございまするが、私どもとしまして、できればこれだけの多くの人員の中から、三百何がしのわずかな人間であるから、全従業員の中から自己退職の希望者を募って、それを軍の企図しておりまする人員整理の人数にまで持っていけば、嫌がる労働者を整理する必要はないではないかというような交渉を軍に対し、また、そのために、軍と、組合、日本政府側と三者会談をもって十分に話し合ってもらうというようなことで折衝を続けておるわけでございます。以上のような情勢でございまして、調達庁としましては、できるだけ犠牲者の少くなることを望んでおるということでございます。
#76
○山本經勝君 この今のお話の立川の方は、これはもう希望退職の募集をやられておるのですか。
#77
○政府委員(小里玲君) 全従業員の中から希望退職者を募れば、その中から軍が整理の目的としております全員の人数に足りないまでも、相当な数が出るであろう、そうすれば、無理に整理をする必要がないということで、そういう措置をとってもらいたいということを軍に折衝しているということでございます。
#78
○山本經勝君 それからお伺いしたいのですが、私の聞くところでは、立川の方の三百二十四名の人員の整理というのは、軍が好ましからぬ人物だというようなこと、特にその中でいわれているのは、組合運動等との関係があるようにいわれておりますが、その点はどうなんですか。
#79
○政府委員(小里玲君) そういう点は私ども聞いておりません。
#80
○山本經勝君 全然たいですか。それから前の所沢の方の三百七十六名の人員整理については、今だいぶ申し上げたように、きようの昼の十二時からストライキに入っておりますが、それで、これについて今の特需への切り換えで、ビクター・オートの藤田常務というのが軍と話し合っているということを聞いているのです。その配置転換の条件等で食い違いがあるのですが、その点はどうなんですか。
#81
○政府委員(小里玲君) 軍とビクターオートの藤田常務が話し合っておるということを私ども聞いております。それでそういうMDAPに仕事を移管するということがやむを得ないといたしました場合に、できるだけ労働者の出血を少くするためにその請け負いまするビクター・オートの方でできるだけたくさんの労働者を雇ってもらう、あるいは所沢の基地の自動車修理工場以外の場所に配置転換をしてもらうということで、埼玉県知事等も強硬に軍に折衝しておるわけでございまするが、それによって相当数の労務者が職を得ることになると思いまするが、組合側が心配をしておりまする、そういう仕事の切り換えによりまして、労働条件が悪化するというような点でございまするが、この点につきましては、もちろん請け負いまするビクター・オートとして従来から雇っておる本来の労務者との関係、釣り合い等もございまして、今まで駐留軍に働いておったその通りというわけにも参らないという点もあると思いますが、調達庁側といたしましてはできる、だけ従来の条件でという希望は持っておるわけでございます。
#82
○山本經勝君 今の所沢のビクター・オートの従業員は二千人程度あると聞いております。この二千人のほかに新しく四百人を新規採用するのは来年の一月の予定、しかも一方、今度解雇になる所沢のオードナンスでは同じところの工場が隣り合わせてあると聞いておるのですが、そういう実情なんですか。
#83
○政府委員(小里玲君) 隣り合わせているように聞いております。
#84
○山本經勝君 そうしますと、ここで年末に解雇をして、そうして新しく新規採用でいわゆる雇用継続期間が切断されて労働条件が加わって、そうして新しく新規雇用でそこへもっていかなくても、来年の一月にビクター・オートが藤田さんの方でかかえようというのであれば、むしろ解雇をしなくても、そのまま横すべりすれば最も妥当なんで、組合はそれを主張していると思う、もしそうであるとするなれば、断然来年の一月まで今のままでおいでおいで、そうして来年の一月に新規採用する四百名というものがあるのだから、そこに調達庁の方は当然労務者の配置を軍と話し合って解決をつけらるべきものじゃないかと思う。ところが、それをしいて解雇しなければならぬという理由が組合に理解されておらない。またそういう必要はわれわれもないと思う。そこら辺が問題になっておるのですが、その辺はどうなんですか。
#85
○政府委員(小里玲君) その辺の事情はっきりまだつかんでおりませんが、調達庁としましても、そういうただいま御指摘のように、この二十日に解雇をして一月にビクター・オートで雇い上げると、そういう間隙をおく必要はないのじゃないかという御指摘でございまするが、そういう措置ができれば、やはり軍の方でそういう措置をとってもらいたいということは私ども考えて、そういう折衝をいたしておるわけでございます。
#86
○山本經勝君 それでは時間もないようですから、なるべく簡単に結論を申してお願いを申し上げておきたいと思います。
 この問題は常に再三申し上げるように、ストライキというすでに争議状態に入っている。そういうことでありますから、今お話を聞くというと、はっきり実態をつかんでいないというお話ですが、これは千葉新聞の問題もありますし、委員長のお話のように、あとで理事会で相談をされると思うのですが、調達庁の方もお調べになるでしょうが、その実情がはっきりしないとこの争議はちょっと簡単に片づかない、しかも立川の方もこれにかてて加えて三百二十四名の首切りがあるのですから、この両方は調達庁の方でも、申し上げたような諸点について、立川の方については特に組合運動云々が問題になっているようですから、不当労働行為の問題にするということができます。率直な話。ですから、そういう態勢であるから、その実情をもっと詳細にお調べ願わなければならぬ。それから今の所沢の方は、問題になってくるのは、今申し上げたのを集約しますというと、年末という重要なときに、時期的に、正月をはさんで解雇といううき目にさらさなくても済むものであるならば、私はそのまま延ばして、一月に話し合いで採用ができるならば横すべりをさすという安全な方法があるのですから、この点は実情をはっきりつかんでおられないのですから、調達庁の力もお調べ願って、その点も一つお願いをして、この点の質疑については一応保留をいたしまして、調査の結果、またお伺いをするということにしたいと思います。
 それから委員長にお願いしたいのは、近いところですから、この委員会から一つ委員派遣を願って、この実情をはっきり掌握する必要があると思います。その点を一つお願いを申し上げまして、私の質疑なりを打ち切りたいと思います。
 それからあわせて、先ほど各理事の方にもお話をして御了解を得ているわけですが、非常にたくさんおそくまで傍聴にお見えになっているのですが、その中で一つ御配慮を願っておきたいと思います。
#87
○委員長(千葉信君) それでは委員長からお答えいたします。ただいまの委員派遣等に関する問題につきましては、さい、せんの問題等と同じようなケースで、理事会等で後刻御相談申し上げたいと思いますから……。
#88
○安井謙君 理事会で一ぺん相談しましよう。
#89
○委員長(千葉信君) それでは本問題に関する本日の質疑は、大体以上で打ち切って、次の議題に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
 この際お諮りをしたいと存じますが、次の案件としては、健康保険法等の一部を改正する法律案に入るわけですが、実は厚生大臣がただいま衆議院の方におられて若干の時間があるようですから、この際、年末の手当に関する問題等をめぐってぜひ一つ委員会のみなさんにお話を申し上げて御了解を得たいというので、私どもの方へ話が参っておりますから、休憩しまして、十分くらいの時間ですから、そこでお話を聞くことにしたいと思いますが、この際、休憩に入りたいと思いますがいかがですか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(千葉信君) それでは休憩いたします。
   午後四時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時三十九分開会
#92
○委員長(千葉信君) それでは、休憩前に引き続きまして、健康保険法等の一部を改正する法律案(参第一号)を議題といたしまして、質疑を行います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
 なお出席されております方は、発議新山下義信君、政府側よりは、小林厚生大臣、同じく厚生省岡田保険局長であります。
#93
○坂本昭君 きょうはだいぶおそくなりまして、お見受けいたしますと各委員の方もお疲れのように見られるのでございます。私医者でございますので、大体そういう診断もつくのでございますが、しかしながら、実はこの健康保険の一部改正の問題は非常に重大な問題であると思います。私のところには、スト規制法に関することで五寸くらい積むほどの葉書の陳情が来ておりますが、同時にまた、三寸の厚さくらいに患者さんから、この健康保険法の一部改正についての陳情も来ているのであります。特にこの患者さんの病床に横たわってあるいは病の床で呻吟しながら一枚々々書いたところのこの陳情というものは、きわめて尊いものであって、私はとくと皆様方に、お疲れであろうと思いますけれども、十分に御審議を願いたいと思うのであります。ことにこの問題は、きょうたまたま山下委員から出されたということだけではなくて、すでにもう長年、ここには医師会の方も二、三お見えになっておられますが、医師会も非常に大事な問題として取り上げて参りました。特に二十四国会におきましては、ちょうど四月十日になりますか、衆議院の本会議において百八十七対百二十六というなかなかの接戦で一応辛うじて衆議院本会議は通ったのであります。その後、参議院において審議未了となってきたものであり、その後、厚生当局におきましては、いろいろとこの問題について悲願を立ててきたと考えるのであります。先ほど日雇い労務者の人たちの陳情もありましたが、この社会保障、ことに健康保険については全国民が重大なる関心を持っております。どうか、非常におそくなって参りましたけれども、私は参議院のこの社会労働委員会の良識にかけて、全国民のこの期待にこたえるためにおいても、十分審議し、そしてこの際、厚生省の方もおいでになっておられますので、健康保険を中心として、私は特に保険局長さんだけしかおいでになっていないので、はなはだ遺憾とするものでありまして、この健康保険の問題はすでに結核とも関係があるし、また、日本の医療制度にも関係がありますし、公衆衛生局長さん、医務局長さんにも出ていただいて、十分審議を尽していきたいということを特にお願い申し上げる次第であります。
#94
○委員長(千葉信君) 他の関係局長御出席になられる予定ありますか。――できるだけ出席することをお願いいたしまして、質疑を始めますから、御質疑のある方は順次御質疑をお願いいたします。
#95
○木下友敬君 今御提案になっています提案者にまず質問をいたしますが、国民健康保険では二〇%、日雇労働者の保険では一〇%、これは国庫から負担するということになっておる。今回御提出になりましたのには一〇%の国庫負担という、そういう法律案を出しておられます。ことに三十一年度にはこれを三十億と読みかえるというようなことになっておりますが、厚生省はかつて推定したところによりますと、三十一年度には六十七億の赤字が出るんだということで大へんあわてていたのでございますが、そうしますと、この三十億を計上しましてもあとまだ足らない分が相当あるわけであります。これについてはどういうような措置をすることをお考えになって、こういう提案をされたかということをまあお聞きしたいのでございます。
 その次に、私はこの六十七億については、多少の考察がいると思うのですが、政府があの予算を編成しました当時の基礎資料になりましたのは、医療給付の状況を昭和二十九年の三月から十月までの八カ月、昭和三十年の三月から十月までの八カ月、この二つを比較して算定したのでございますが、すでにそのときとはだいぶときが経過して参りまして、現在では昭和三十年度の実績が全部明るみに出て参りました。三十年度一カ年のこの両者の間の比較が出て参りましたから、いつも政府がやるような方法で、予算の編成をやるあのルールに従って計算してみると、この六十七億というのがずいぶん動いてくるように思われるのでございます。政府は予算を組みましたときに、三十年度の受診率を、たとえば、入院にとりますと、〇・二一一四五、増加割合を一・一二六、三十一年度の見込みによって〇・二三八〇九というように計算しておるのでございます。これは一例でございますが、それを三十年度の実績によりますと、それぞれ〇・二〇七二四、一・一一五二、また〇・二三一一一という工合になりまして、ずいぶん動いてくるわけでございます。こういう計算からしていきますと、被保険者一人当りの医療給付費は八千二言四十五円と出ておるのを、これを年間実績に計算しますと、七千九百八十九円になりまして、一人当り医療費は二百五十一五円余り少くなって済むということになるわけでございます。従って被保険者を、政府の予算通りのあの数字、五百三十二万人としますと、政府の予算、あの基礎になりました四百三十七億八千一百万円というのがずいぶん動いて参ります。四百二十四億二千二百万円となるわけでございまして、その差は大体十三億万千八百万円となります。こうやって逆算して参りますと、初め六十七億と言っていたのが赤字がおそらく五十四億ぐらいにとどまるのではないかというような計算ができるわけであります。厚年省はこの、今私が申しました数字に対しまして、どういうふうな御意見でございますか。また、その赤手が私が申しました数字とは違いましても、六十七億がどういうふうに動いていくということを三十年度の実績によって踏んでおられるかということをお尋ねしたいのでございます。
 また政府は、三十五年度までには国民皆保険にするということを言っておられます。そうしますと、国民医療はほとんど全部が保険医療ということになってきますが、そういう場合でも骨格はどうしても今実際にやっておる政府管掌の健康保険、これが骨格になってくる、こういうように私どもは考えるのでございますが、こういうような骨格となる健康保険自体が、赤字だ、赤字だということで、毎年騒いでおるこの状態で、こういう赤字続きのものをその骨格としていいかどうかということは、これはおのずとわかってくると思うのであるわけであります。今こそ健康保険というものを抜本的に供水的な批判、検討をいたしまして、健全化していかないと、口には三十五年度には国民皆保険だと言っていても、出てきたものはなおさら悪いのだというようなことになりはしないかというようなことを私はおそれるのです。健康保険の生い立ちを今さら申すわけでもございませんが、昭和二年であったと思いますが、その当初は全く労働者に対する慈善的な、恩恵的な処置として止まれたもののように私は考えております。また、事実そのようであったように思うのでございますが、そのために、総合的な計画がなかった。経済的の条件などもあまり検討されないままに恐い立たれたものでないかと思うのでございまして、財源などの見通しも常に毎年毎年狂ってきたというのか実情であったわけであります。ただ、国がわずかに事務費として補助をする、しかも医療担当者はそのために非常に苦しんだというのが実情であったわけでございます。ところが、その後、社会の情勢はだんだん変って参りまして、次第に適用範囲が拡大してきた。その上、医学、医術というものは日進月歩進んで参ったのでございますから、その長所と短所とがひっくり返って、あるいは非常に複雑した形になってきた状態になりまして、それが今日まで健康保険というようなものが毎年大きな問題を繰り返しておるという大きな原因であろうと思う。小さい労働者に恩恵的な存在であった時分はまだまだこまかしがききましたけれども、今日すでにこの多数の、国民の八〇%の者が保険に関係するというような状態になってきました以上は、もうごまかしはきかない。どうしてもほんとうのきちんとしたものを作らなければならぬということは、当局においてもお考えになっておることと思うのでございますが、それにもかかわらず、そのあやふやな状態の中で、昭和十七年には被扶養者に半額給付が実施され、また、その後給付期間が延長されたり、その範囲を広げるということがしばしばございまして、その不均衡はついには医療が国民医療の八〇%を占むるというような、こういう大きな健康保険になりました暁に、どうにもしようがないという実情を呈しているように私は思うのでございます。昭和二十九年からのずっと実情を見ますと、急に二十九年、三十年とだんだん政府管掌の分が経営が困難になってきておるのでございますが、これは私をして言わしめるならば、これは全く当然のことである。保険でありますから一応保険の掛金でまかなっていくということが理論的には成立いたすのでございますが、社会情勢と日進月歩の医学、これを保険に導入せねばならないというこの社会の要請は、またこれは当然のことでございまして、いやしくも、人命に関するこの問題である限り、経済的に弱いのだ、保険は掛金が少いから金が足らないから、最高の医療なんかとっても及びもつかぬことだというようなことは、これは慎しむべきことでございまして、従って、だからといって、この進んだ医学をどんどん導入していけば赤字になるのがむしろ当然のことであると思うのでございます。ことに被扶養者というのは、保険料の負担の責任がないのでありますから、どうしても金が足らなくなっていくというのは初めからわかっているわけであります。そこで、保険料の引き上げということが問題にされるわけでございますが、現在ではもう千分の六十五という一番高いところまでいっておって、しかもそれで、どうしても金が足らない、こういう状態にくれば、どこからか援助してやらなければならないということは、これは当然のことだろうと思うのです。申すまでもなく、保険は、もう保険でありながら保険の領域を一歩進んで、社会保障にまで近づいていかなければならない現在の状態でございますので、国が相当の額の国費をこれに投じて、そうして進んできた医学を取り入れるということについては、当局においてもやぶさかではないと思うわけでございますが、そのためにこそ、事実国民保険については二割、日雇いの労働者の健康保険では一割を支出しておられるのでございますが、今日まで健康保険に関する限り、この治療費に対する国庫負担というものがなかったわけでございます。政府は将来の健康保険に対する国庫負担についてはどのような考えを持っておられるかということを一応お尋ねしておきたいと思います。まだ、お伺いしたいことがたくさんございますが、また、逐次進めていきたいと思いますから、以上御答弁をお願いいたします。
#96
○榊原亨君 議事進行。
#97
○委員長(千葉信君) 答弁済んでからでいかがですか。
#98
○榊原亨君 その今の御質問等についての議事進行を一言。ですから、御答弁がお済みになってからでけっこうです。
#99
○山下義信君 提案者へのお尋ねは、今回の提案はどういう理由であるか、かつまた、現在の健康保険の赤字についてはどう考えるかというお尋ねであったと思います。本法案を提出をいたしました理由につきましては、先般提案理由で申し上げました通りでございますが、当面いたしまする赤字対策にのみ、そのために法改正を提案をいたしたものではないのでございます。もとより保険経済の不均衡に対しまして、国庫の負担を必要といたしますることは、もとより理由の一つでございますが、赤字対策のためのみではもとよりないのでございます。先ほど御質問の中にお述べになりましたように、社会保障制度の強化、ことに健康保険に対しましてその性格を強める意味におきましても、ただいまお話しのように、全く提案者といたしましても同感でございますので、ここで国庫負担の原則を確立いたしておきますことが必要であろうと存じまして、ことに一定率の国庫負担々確立いたしますることが、保険経済の安定の上に大いに必要であろうと存じまして、提案をいたしました次第でございます。なお、現在の赤字対策に全く関係がないのではないのでございまして、これまた当然でございまして、付則で十分の一・五を読みかえさせていただくということになっておりますことは、現在の予算で一般会計からの繰り入れが三十億、また、船員保険に対しましてもせっかく予算で確定いたしているにかかわらず、これが特別会計に受け入れができない、使用ができないという状態に対しまして、当面その予算の使用ができますように措置をしていただきたいということが提案の主たる理由でございます。
#100
○榊原亨君 議事進行。会議の運び方でありますが、大体今までの委員会の例によりますと、まず発議者の方に質問をして、そうして次いで、そのことにつきまして厚生当局、関係当局の意見を聞くというのが今までのあり方でありました。そこで、厚生大臣もお見えになっておることでございますから、その方に御質問下さることもけっこうだと思いますが、一応運び方といたしましては、まず発議者に御質問をいただくというようなことを主としてお願いしたらどうかということが一つ、もう一つは、この案につきましては、社会党の先生方は、発議者あるいは賛成者として御署名を願って御提出になっておるのでございますから、従ってこの案につきましては、十分社会党のお方は御了解がいっておることと思うのであります。従いましてそういう点も十分考慮されまして御質問をお願いする、あるいは厚生当局にお願いしたらどうかと、必ずしもその質問全部を取り消すという意味ではないのでありますが、その意味も十分御了解おき願いたいと思います。つきましては、最初にこの案を審議いたしますに先だちまして、衆議院の社会党からお出しになりましたものと、参議院から提案しておるものにつきまして、内容的にどの点が違っておるのか、発議者に一応その点を承わらせていただきまして、そして順次審議をお進めおきを願いたい、かように考えるわけであります。
#101
○委員長(千葉信君) 私からちょっと御答弁申し上げますが、榊原委員の言われるように、その法案の審議に当っては、提出者である政府とか、提案者である議員に質問をし、そしてそれに伴ってその他の方々に御質問申し上げることは、これは私は順序として当然そうあろうかと存じます。今木下委員もおっしゃるような方法で質疑が展開されたようであります。それから第二の提案者、もしくは賛成者の中に同じ社会党の議員、おそらく榊原委員は、労働委員の中で特に質疑をされたりする方の中に、発議者もしくは賛成者がいることはおかしいというお話だろうと存じますが、その点につきましては、たしか正誤表をもって今質問をされた木下委員の場合でも、その他の委員の場合でも、賛成者の中から除かれておるようでございます。ですから、この点は御了解いただけると存じます。
 それから第三番目の点については、これは最初は議事進行ということでございましたが、議事進行の中に山下委員に対する、提案者に対する御質疑が入っているようでございますから、これは委員長において穏当に取り計らうことにして、この際、山下委員に御答弁だけ願うことにいたします。
#102
○山下義信君 参議院でただいま御審議をいただいておりまする本案と、衆議院の方に提案されておりまする健康保険法の一部改正法律案との内容の点は、どう違うかというお尋ねでございましたが、内容におきましては、全く同一の内容であります。
#103
○竹中恒夫君 発議者にお尋ねいたすわけでありますが、大体ただいまの木下委員に対する御答弁で、およそは了承できたのですが、本案に対しまして、私は賛成を前提として一、二お聞きしておきたいと思います。先ほどの御答弁にございましたように、由来この健康保険法等の一部改正案は、もうすでに前々国会から問題になっているわけでありますが、その出されましたものがおおむね現実の目の前の赤字対策としての一部改正案のようにわれわれは由来考えております。従いまして、この法案の中の国庫負担の健康保険一割、船員保険一割五分という点でございますが、やはり根本対策としての改正案でございまするというと、社会保障制度審議会、あるいは社会保険審議会等それぞれの勧告が厚生当局に行っておるのでありますが、こういうものを取り入れたものが根本対策であるようにも考えられるわけであります。ところが、この一割という国庫負担の金額から申しまするというと、たまたま当面する赤字対策のようにも考えられるわけです。この提案の理由の結論の方におきますると、必ずしもただいま御答弁のように、当面の赤字対策だけではない、保険財政の健全化をはかり、社会保険の将来にわたる発展と医療保障制度の確立を期するために云々ということが書いてございます。従いまして、当面の赤字対策でないとすれば、根本対策になるといたしまするならば、私ども医療担当者と保険者側と被保険者側とが、従来から諸団体におきまして国庫負担二割以上という運動を展開いたしておるのでございまするが、恒久対策としての国庫負担が一割でいいのかという点をお聞きしたい。現実に、現在の財政規模からいうてまずやむを得ない、一割程度でやむを得ないという御意見なのか、あるいは近き将来にやはりそういう世論を背景としたところの国庫負担の額等につきましては、近い将来に考えるんだ、とりあえず、先ほど御説明のように、国庫負担ということの一つの実績を作るんだというような意味であられまするか、その点を一応お聞きしたい、かように存じます。
#104
○山下義信君 御質問の点はごもっともでございまして、本案が根本的対策でないことは先ほど申し上げました通りであります。さりとてしからば当面の対策のみであるかと申しますと、国庫負担につきましては、まあわれわれといたしましては、その何割であるかということは別といたしましても、二足のきまった、いわゆる定率の国庫負担か、もしくは定額の国庫負担か、保険財政の上に確たる国の負担分が明確になりますことは、それだけ保険経済が安定いたしますわけでございますから、その定率負担ということを打ち出しました点につきましては、これは基本的にはぜひそうありたい、こういう考え方でございます。なぜそれならば、一割ということを言い出したか、かねて関係諸団体、ただいま御指摘の審議会その他が従来とも二割負担ということをやかましく言うてきたじゃないか、しかるにこのたびの提案は一割ということになっているのはどういうわけかというお尋ねでございますが、全く何と申しますか、私どもも実はそう考えるのでございます。率直に申し上げますと、社会党といたしましても、従来党議といたしまして、健保に対する二割負担ということを申して参りました。それがこのたび一割ということを言ったのは、社会党は考えを変えたのかという御指摘でございますが、実は考えを変えたということも言い切れませんので、一応今回は一割ということにいたしてみまして、まず、本年度の保険経済の実情をよく見きわめて参りたいと思いますると同時に、根本的の考え方といたしましては、結核対策その他いろいろ諸般の施策とにらみ合せまして、従来二割負担ということを言うて参りましたが、しかしながら、関連いたしまする諸施策を強化して参るというようなことになりまするというと、従来主張して参りました二割負担ということにも再検討する必要があるいは生ずるのではないかということは、これは率直に申しまして実は考えておりますので、一方におきましては、結核対策等にわれわれ社会党といたしましては、御承知のごとく、全額負担ということを打ち出しておりますので、一方におきまして健康保険に対して二割負担ということをいたして参りますということになりますと、保険経済の確立をいたしまする方向に向って参るのではございますが、しかし、必要以上に保険経済が黒字になり過ぎる必要はないのでございまして、関係の諸施策と彼此勘案いたしまするならば、明年度におきまして根本的に対策を立てまするときには、この負担の定率につきましては、十分検討してみなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
#105
○委員長(千葉信君) 委員長が不なれの結果、質疑応答が少し順序が狂いましたから、この際、木下君の質問に対する厚生大臣の御答弁をいただいて、それから次に進みたいと思います。
#106
○国務大臣(小林英三君) 木下委員の御質問は、いろいろ御意見があったようでありますが、主要な点といたしましては、国保はいわゆる国保医療費の二割負担、健保においてはそういうものがないというようなことで、健保におきましては、御承知のように、私どもといたしましては、国庫負担という問題をはっきりと成文化をいたしまして、三十一年度におきましては、三十億円の国庫補助を出すということに、すでに予算に計上してあったわけでありますが、残念ながら、これは審議未了になったわけであります。従いまして、私どもといたしましては、こういう方向に向いまして、できるだけ早くこれらの改正案を御審議願いたいと、こういうように考えております。
 それから健保というものは、社会保障制度の中核であるというお話でございますが、まさにその通りでありまして、社会諸制度の水準の上にも、この中核でありまする健康保険制度というものが立て直しをいたしまして、将来に向って健全な発達をさすということは目下の急務でございまして、われわれはこの国民皆保険という、昭和三十五年度を目途といたしまして、国民皆保険をやりたいという考えをもっておるのでありますが、これはこの中核でありまする健保というものを健全な発達をさせ、また一方におきましては、国保というものを、全国未開のところ全部に対しまして国保に加入さすというような方向に、今普及計画を立てております。立てつつあるのであります。
 それから五人未満の事業場におきまする被保険者の問題は、これはいろいろ、直ちに保健に入れるべきであるかあるいは国保の拡大によってこれをやるべきであるか、全然別途の保険制度でやるべきであるかということは、これはいろいろ御議論があるのでありますが、これらにつきましては、医療小委員等の意見も十分聴取いたし、今後社会保障制度審議会の医療諸制度に対しまする答申等も勘案いたしまして、いずれにいたしましても近くこれが決定をいたしたい。ただ、五人未満の事業場におきましては、この資料を十分に収集いたしまして、これが将来にわたって決定をいたす必要がございますので、今日これらの調査をいたしておる最中でございます。
#107
○片岡文重君 だいぶまだ質問も多いようですし、時間も時間ですから、この際、一応この程度で本日は質疑を打ち切って、明日にしていただきたいことを私は提案します。
#108
○安井謙君 片岡さんのせっかくのお話しではありますけれども、まあだいぶ前から計画もあるし、厚生大臣も忙しいところ来ておられるのですから、もう少し続けまして……。大体私は、これはまあ提案者から伺えばいい筋のもので、政府から伺うことはごく参考程度以上に出るのは、少々質問の逸脱になるだろうというような気がしておるのですが、まあそれはしかし関係のあることを言っちゃいかぬということは言いませんが、そういうようなことで、一つ能率を上げてきょうはせっかくですから少しやっていただく方がいいと思うのです。
#109
○山本經勝君 ただいまのお話しわかるのですが、実は質問に対して、先ほど榊原さんからのお話しがありましたが、これはけさの新聞を見ますというと、正式に厚生省または厚生大臣が発表なさったかどうかそれは別問題として、一応この健康保険の問題について政府提案が本国会になされるやに承わる。しかもその中にはいろいろ政治的な含みがあって、えらいややこしい記事が載っておるのですが、スト規制法もからんでということも言われておる。そこら辺私どもちょっと推しはかりかねるのですが、そういう問題もありまして、これは当然問題が健康保険法の改正という問題ですから、勢い質問が提案者である山下議員に向けられる、と同時に同じ事柄がやはり厚生大臣に注がれていくということもこれはおのずから当然のことだと思う。ですが、それで私はやはりこの健康保険の問題は前国会でも、その前の医薬分業の問題以来、この委員会では長くつつき回して、しかも未解決で残っておるし、国民の重大な関心事であるという意味において重要性を私ども認めぬわけにいかぬ。しかも厚生省としても同様な立場だと思う。ですから、この審査はやはり慎重に、しかも努力を傾けて万全の結論を導き出さなければならぬと思う。ですから、きょうこのまま質疑を続けて、きょうのうちに終るというような単純なものじゃないと思う。ましてや厚生省においてもすでにいろいろな計画もあるようだし、今の片岡さんのお話しのように、一応今晩夜通しやって片づくということになれば、夜通しやってもけっこうですけれども、そういうわけにいかぬのじゃないかと思う。そうなりますと、これは飲まず食わずで夜通しやるということになりましてもどうにもならぬから、そこら辺一つ委員会としてやはりけじめをつけて進めていくということが必要になってくると思いますがね、どうでしょう。
#110
○委員長(千葉信君) 今議事進行についていろいろ御意見が出たようですが、まあ御趣旨につきましては、あとで理事会等で十分お話し願うことにして、法案を審議していくその形式といいますか、形においてはこれはそれぞれ議論もあるところでしょうが、まあその点については、これまた理事会等でも十分、一体議員提案の法律案について関係行政当局から意見を聞くことがおかしいのかおかしくないのか、これはそれぞれ見解もあるでしょうから、まあそういう点も一応理事会で話をしてもらうことにして、当面今ここで問題になりますことは、このままの格好でずっと委員会を何時間も継続するかということについては、これは各派の理事の間でちょっとお話しを願えば簡単にけりのつくことですから、その問題に限ってここで御相談願うことにして、ちょっとその間だけ速記をとめてお話し願いたいと思います。いかがでしょう。
  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(千葉信君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#112
○委員長(千葉信君) では速記を始めて下さい。
#113
○木下友敬君 先ほどお尋ねいたしました中でお答えをいただかないのがございますが、厚生省が六十七億の赤字になるという予定をしていたものが、私が今申しました計算の方法によると、五十四億ぐらいで済むように思う。この点について厚生省は、そんなことはない。やはり六十七億ぐらいな赤字がほんとうだ。お前の五十四億というのはそれは違うんだ、というようなお考えか、あるいはもっと五十四億以上に赤字が少くなるお見込みでもあるがどうか。その点について大臣のお考えをお願いいたしたい。
 なおもし、赤字に異同があった場合には、その赤字はどういう原因で異同が起ってきたかということについて、ちょっと詳しい数字によった説明をしていた、たきたい。こういうふうに思います。
#114
○国務大臣(小林英三君) 数字にわたっておりますから、保険局長から答弁いたさせます。
#115
○政府委員(高田正巳君) 三十一年度の財政収支の見通しにつきましては、目下いろいろと手に入れる材料をもって検討いたしております。一口に申しますれば、年度当初見込みました措置すべき金額六十六億数千万円というのよりは財政が好転をいたしつつあります。しかし、その一番大きな原因といたしましては被保険者の数が非常にふえて参りました。これは私ども非常な見込み違いをいたしたわけでございますが、年度の当初から七月ごろまでにたしか四十五、六万人ほどの被保険者の増加がございます。いろいろの原因が考えられると思いまするけれども、三十年度におきましては、年間でたしか六万程度の増加となりました。かようにふえましたことは最近といたしましては珍しいことでございますが、その関係から歳入の方が予定よりは増収を見込まれております。それから支出の方でございますが、これはただいま木下先生が十三億ばかり減ずるはずであるというふうなお話でございましたけれども、この点につきましては、今日までの私の材料をもって推定いたしまするならば、そこまでは参りません。そこまでは参りませんけれども、しかし、支出の力で若干の節約が、当初の予定よりは支出の金額が出るものと、かように見込んでおります。そういたしますと、歳入と歳出と、歳入の増、歳出の若干の減等でどの程度の差し引きの好転があるかということでございますが、これは正確な数字はいずれ年度の終りになってみませんと、これは見通しがつかないわけでございます。目下のところでは、十数億の好転に相なるのではないか。大体そういうふうな大見当をつけておるのでございます。
#116
○木下友敬君 私の計算は、当初厚生省が立てた被保険者の数そのままで一人当り二百五十五円の増を基礎として勘定したものであると思いますが、四十五万乃至四十六万の被保険者が増してきたといたしますと、それだけまたマイナスの分もふえてくるわけでございますから、今言われたのより、逆にかえって十三億以上、十五億、十六億というものが節約されるということになる結果のように考えますが、御見解はいかがでしょうか。
#117
○政府委員(高田正巳君) 一人当りの医療費の見通しにつきましては、今先生がおあげになりました金額より以上にこの医療費の伸び方が一人当りにしてみますと減って参る見通しを私ども立っております。しかしながら、人間の数がふえておりますので、総体の支出といたしましては、先ほど申し上げたように、当初の見込みよりは、若干の減り方ではあるまいか、こういうような見当でございます。
#118
○木下友敬君 そこで重ねてお尋ねをいたしますが、とにかく六十七億よりか赤字が少くなってくるという見当には間違いないようでございますが、その原因としては、収入が増してきた、支出の方が減ってきたということでございますが、まだそのほかに何か厚生省としては、その原因をつかんでおられることがあるのではないかと思うのでございます。それは私の方から申しますと、この赤字の問題がだんだんやかましくなって以来、厚生省の診療担当者に対する監査というようなものが非常に厳格になって参りますし、また、現実的に診療面における制限というようなものをいろいろの手を打って、ひどくやってきておられるということは、これはおおいがたい事実だと思うのです。ただでさえ従来の健康保険というのは、いろいろな面で、その治療面が押えられておりまして、医学がどんなに進んでも被保険者たちは、その進んだ保険、進んだ医学技術を受けられないといううらみが現実にこれはおおえない事実であるのに、さらに三十一年度においてはあらゆる手を使って制限治療あるいは乱診乱療というような名前のもとにいろいろの手で治療の圧迫をやってきておられるということを私は考える。もしそれが、そういうことがないというようなお考えであれば、これは実例をあげて、これはどうか、これはどうかという実際の事例がたくさんございますからそれをあげてもよろしゅうございますが、厚生省がもしそれをそういう趣旨でなくても、末端の役人の方々はそう思われるような方法で治療面を非常に圧縮してきておられるというのが事実のようであります。そういうようなことについての御見解はどういうふうにお考えになりますか、お尋ねをいたします。
#119
○政府委員(高田正巳君) 御存じのように、健康保険を立て直すことを目途といたしました法案が前国会で審議未了ということに相なっております。私ども保険を運営いたしまする当局者といたしましては、相当な赤字を見込んだままで本年に突入をするということに相なって参りました。従いまして、その当然の経営者としての責任上、収入を上げることにはできるだけの努力をいたしております。また支出を適正にいたすことにつきましては、これもできるだけの努力をいたしております。従いまして、収入面、支出面を、片一方におきましてはより以上の収入を上げる、片一方におきましては支出のむだなり何なりというものは十分排除するということで努力をいたして参っておるわけでございます。しかしながら、従来とっておりませんところの新たなる、何と申しますか、非常にきわだった新しいやり方をいたしておるというわけではございませんので、従来とも努力をしておりました同様な行政上の措置について、それらをそれぞれ何と申しますか、念入りにといいますか、努力をいたしましてやって参っておるわけでございます。
 ただいま御指摘の医療担当者に対する監査の問題でございますが、この監査につきましても、私ども従来やっておりまする線に沿いまして今日までやって参りました。従来の慣習に従い、従来の方針に従ってやって参っておるつもりでございます。特に本年度に限って治療の制限をいたしまするとかいうふうなことは何らいたしておらないつもりでございます。御存じのように、治療ということになりますると、その基準といいますか、それは治療指針というようなもので定めております。これらはいずれもそれらの学界の御答申をいただいて定まっておるもので、さような線にのっとりまして、私どもといたしましては仕事を運んでおるつもりでございます。
#120
○木下友敬君 今お尋ねいたしましたのは、健康保険の保険者としての厚生省のお考えをお尋ねしたのではなくて、監督者としまして、特に医療方面の圧縮をされたことはないかというようなことをお尋ねしたわけでございますが、今のお答えでは、保険経営者、保険者側の立場から、経営面であるから収入はたくさん、支出は少くするのが当りまえであるからその通りに努めてきたというようなお答えでございますが、それは私の質問の本旨ではなかったわけでございます。監督者として特別の措置をとっておられるのではないかというような疑いが多々あるが、どうかというようなことをお尋ねしたのでございますが、そこで問題になってきますのは、現在の保険のあり方では、厚生省は一方においては保険者である、一方ではこの保険という治療の監督者であるという二つの立場、裏表の仕事をしておられるし、どっちかといえば非常に便利でもあるし、また、国民にとっては迷惑なこれは制度である。この際、私はこの保険というものの運営は、一つの独立した保険者というもの、あるいはこれが公団といいますか、公社といいますか、何か一つのまとまった運営だけの面を受け持たせる、厚生省としては、それを保険行政全体を監督していく立場に立つというような、はっきりしたその持場々々を明確にしていく方が誤まりも少いし、誤解も少いのではないかと思うのでございますが、当局としては、こういう抜本的な保険のあり方に対する考えはいかがであろうかということをお尋ねする次第でございます。
#121
○政府委員(高田正巳君) 先ほど私がお答えをいたしましたのは、この監査の問題につきまして、保険者の立場からというふうに響きましたかもしれませんけれども、これは私の言葉の足りないところでございまして、監査の問題につきましては、これは当然監督者の立場といたしまして、さような特別な方針を本年度に特にやっておるということはございませんということをお答え申し上げたつもりでございます。なお、この監督者と経営者の立場を区別して、分けて行なったらどういうものであるかというふうな御意見でございまするが、これは十分検討に値する御意見のように私どもは考えております。すでに他の審議会等でさような意味の勧告をなさっているところもございまして、それらはしかしなかなか一長一短のある問題でございまするので、十分今後の検討問題といたしまして、私ども研究をして参りたいというふうに考えている次第でございます。
#122
○坂本昭君 だいぶ時間がおそくなって山下委員に相済みませんけれども、この提案せられました趣旨の中で、一つ一番大きい点は、保険財政の健全化をはかるということと、医療保障制度の確立ということ、この三つに帰すると思うのであります。そうして、今、木下委員からは特にその後者の面の運用について、特に保険局長さんにいろいろと御質問されておったように思いますが、最初にちょっと返りまして、提案者に伺いたいことは、この保険財政の健全化をはかるということについて、今日一体保険財政がどういうふうに悪いかということについての提案者のまあ一つ見解をお聞きしたい。
 それからこの国庫負担を今度一〇%やる、そこで果して保険財政の健全化というものが十分に到達せられ得るかどうか、そういうことについての提案者のお考え、それから同時に、この保険財政の健全化という問題については、これは厚生大臣にお伺いしたいのですけれども、国庫負担ということのみでなくて、ほかの面でも私は片がつくと思います。ただこれだけをとって言うならば。そうして現実にそういうことの面でいろいろとおやりになっておられると思うんです。そのことについての木下委員からもお尋ねがあったはずですが、この厚生当局の保険財政の健全化について実際に実施しておられること、また、そのお考えをお伺いしたい。まあ二つの問題のうちの前者のことについても、時間がだいぶ迫ってきましたけれども、前者のことだけについて提案者並びに厚生大臣にお聞きしたいと思います。
#123
○山下義信君 保険財政が悪化いたしました原因につきまして、提案者はどう考えておるかというお尋ねでございましたが、これはしばしば国会でも御論議になり、自他周知の点でございまして、いろいろ医療給付の内容の改善でありますとか、あるいは種々なる原因によります受診率の増大等々が数えられておるのでございますが、また、その内容につきましては、たくさんな要因が従来あげられておるのでございます。それらの原因につきましては、私どもも肯定いたしておるのでございますが、しかし、提案者はこの保険財政の悪化についてどう見ておるかというお尋ねに対しましては、それらの政府当局が指摘いたしておりまする原因のみならず、われわれといたしましては、やはり保険運営の上におきまして、何らかの欠陥がやはりあるのではないかということを考えておるのでございます。政府自体といたしまして、自分の方の運営がまずいところがあるので、こういう原因を来たしたというようなことは、まあ今日までおっしゃったこともございませんし、また、みずから仰せになるはずもないと思う。極力やっておる、極力努力しておるということをしばしば仰せになっておいでになるのであります。それはごもっともでありまして、そうであろうと思いますが、しかしながら、われわれの方から見まするというと、若干保険運営上に何らかの欠陥もありまして、それらがやはりこの赤字の原因の一つになっているのではないかというふうにも考えておるのでございます。それはただにわれわれ提案者がそう考えて、独善的に見ておるのではないのでございまして、御承知のごとく、行政管理庁等がこの保険運営の行政査察をいたしました結果を私どもの党で見ておるのでございますが、非常に保険運営上のルーズさを指摘いたしておりまして、もしこれこれの点を改善するならば、これこれの面から少くとも二十数億でありますか、保険財政の上に改善せらるべき点があるようにも思うというような点が指摘がありましたことなどは、すなわちその証左の一つであろうかと考えておるのでございます。私どもはそういう点につきましても、十分今後改善すべき点があるのではないかと考えておる次第でございます。
#124
○国務大臣(小林英三君) 今お述べになりました健康保険財政の運営の問題につきましては、御承知のように、二十九年末期あたりからしてだんだん赤字になって参りました。二十九年度におきましては四十億、三十年度におきましては約六十億円の赤字になっております。三十一年度におきましても、御承知のように、六十六億数千万円の赤字を見込んだのであります。これは多少変化がありますが、しかしながら、これらの赤字になりました原因というものは、何と申しましても、私は健康保険そのものが医薬の進歩であるとか、医療の進歩であるとか、あるいは被保険者の増大であるとか、いろいろな問題からしてだんだんと保険財政が赤字になってきた、新しい医術の進歩によりまして、抗生物質を採用するとかいろいろな方法によりまして、最高の医療をしていこうと、こういう方向に健康保険そのものが進歩向上しておるのであります。従いまして私はこれらのものをほんとうに保険財政を健全なる発達をさすということのためには、去る二十四国会におきまして、われわれが提案いたしました健康保険法の改正案によりまして、ああいうような一連のいろいろな施策のほかに国庫の補助によりまして国庫負担金をもらうことを考えたのであります。これによって健全な健康保険財政を立て直そう、同時に健康保険の発達をさせよう、これが私どものねらいであったのであります。この間の山下委員から指摘せられました問題でありますが、これはいろいろの考え方がございまして、多少われわれといたしましては、ああいうふうな問題の起らないようにすべての点におきまして十分監督もし、また、調査もすべきでありますけれども、しかし、これはやはり国の税金等におきましても多少の納税の漏れがありまして、これを全部ことごとくそれについてやるということになりますと、人件費その他においても相当費用がかかるということになります。われわれといたしましては、こういう問題の起らないように十分現在おりまする人員におきまして、そういうことのないようにいたしたいと思っております。いずれにいたしましても、私は今日の健康保険というものが立ち直って、将来におきまして健全なる発達をさせたい、こういうために先般改正案を出したのであります。これが残念ながら審議未了になっているようなわけでございまして、いずれにいたしましても、こういう方向に向って、できるだけ近き将来に改正案を出したいものであると私どもは考えている次第でございます。
#125
○坂本昭君 大臣から御答弁いただきましたが、先ほど保険局長さんから御説明のあった中で、六十六億の赤字が十数億ぐらいは好転もしているだろう、しかしその間において、厚生省としては十分に保険料も徴収をしているというような御説明がありましたが、たまたま提案者の山下委員からお話のあった行管の報告を見まするというと、十億程度まだ十分取っていない、そういうような点の指摘がありました。それからまた、あのときには医師の不正が十一億もある、だから二十八億もとにかく不正の赤字が出てきている。これなどは即刻に解決ができるというような指摘がございまして、私保険局長さんの御説明をちょっとそのままに受け取りがたいのであります。結局この点が一番この健康保険法の改正の問題の技術的な具体的な重点になるのじゃないか。で提案者は、保険財政の健全化をはかるということと、それから実はさらにこの提案理由を見ますとわかりますように、医療保険制度を確立していくということに重点があるのです。ところが、厚生大臣の先般二十四国会に出されましたところのあの法律案の内容では、患者の自己負担ということが非常に強く出ているわけなんです。今度の山下委員の提案は患者の自己負担というものが全然ありません。こういうところにものの考え方、同時に、赤字の性質というもののつかみ方に非常に差が出てきているのではないか。ですから、私はもう一ぺん保険局長さんにこの六十六億、あるいは好転しました十数億といいますが、これをもうちょっとはっきりつかんでいただきたい。それから行管のああいう批難あるいは論難、そういう点がああいうものはうそであるということを一つはっきり御説明願いたい。
#126
○政府委員(高田正巳君) 財政収支の見通しにつきましては、私ども年度の途中でございますので、今後年間の見通しを立てまするには、正確なところはなかなか困難でございますけれども、できるだけ正確なものと認められる見通しを立てたいと、かようなつもりでいろいろ検討をいたしておるところでございます。従いまして、今のところのわれわれの見当では、先ほど申し上げたようなことになるだろうと、あるいは近い機会にもう少し詳しいものをごらんに入れるような時期が参るかもしれないと思います。
 それから行管の監査報告の問題でございますが、これは先ほどもさようなお話が出たわけでございますが、私ども今日政府管掌の健康保険の運営に当っておる責任者といたしまして、私どもの運営が決して万全であるというふうには考えておりません。改良すべき点が、努力すべき点がまだまだ残されておるというふうに考えておるのでございます。さような意味合いにおきまして、この別の役所が一応いろいろ見ましたところをおか目八目と申しますか、さような意味合いにおきまして、私ども十分に聞くべきところは聞いて、それを考えていかなければならぬと、こういうふうに存じております。ただあの中にいろいろ指摘してありますることは、法律の改正をいたしませんとできないというようなこともだいぶあるわけでございます。それらの多くの部分につきましては、先般の一部改正案の中に盛り込んであるのでありますけれども、そういう問題もございます。ただいま御指摘の、収入の面で十億くらいまだ取れるじゃないかというふうな点でございますが、これらにつきましては、その金額は別といたしまして、今日私どもが全部が全部収入を確実につかんでおるというふうに言い切ることは、これは非常に僭越であろうと思います。つかみ漏れておるものがあるということにつきましては、私どもも認めざるを得ないと思います。それでそれを十分につかみ切るために、実はいろいろな努力をいたしておるわけであります。たとえば標準報酬のあれにつきましては、事業主の方から届が出てくるわけでありまして、それで、それによって決定をいたすわけでございますが、この届がほんとうに真実であるかどうかということを確認するあれが必要なわけでございます。従いまして、私どもは全部の事業場、全部の被保険者の賃金台帳等について一々これを確認して決定をいたすということを理想といたしておりますが、今日までのところ、実はこの全部を実調いたすというところまで至っておりません。非常に努力をいたしまして、大体五、六割方は実調をいたしておりまするけれども、まだ全部に手が伸びておりません。従いまして、さようなことも勘案いたしまして、これは本年の何月からでございましたか、新たにさような事業場等を常時巡回をいたしまして、いろいろな調査に当り、実態をつかむという専門の職員を実は増員をしていただきまして、約三百名でございますが、増員をしていただきまして、さようなことに実は努力いたしておるわけでございます。できるだけ全部の収入というものをつかみたい。また、この収納率の問題でございますが、取り立てる率の問題でございますが、これにつきましても非常な努力をいたしております。従いまして前年度分といたしましては九六・五%くらいの収納率を上げておる。ただ過年度の焦げつきの分がなかなか取りにくうございまして、これの取り立てが非常にめんどうでございまするので、あるいは事業場がなくなってしまっておるとか何とかということで非常に困難を来たしております。中小企業でございまするので、さような事業場が非常に多うございまするので、その方がなかなか成績が上って参りません。従いまして、まあ平均いたしますと九一・九%くらいの収納率が上っておる。で、十分なわれわれで、できる努力はいたしておるつもりでございます。なお、支出の方につきましても、いろいろその適正化に努力をいたしておりますることは先ほど申し上げた通りでございます。
#127
○片岡文重君 議事進行について。今の御答弁も私は特に数字をもっての御説明ですから非常に重大だと思いますので、資料として私どもは提出してほしいと思います。
 なお質問も相当多いと思うししますので、大体時間でもありますから、一応この辺で打ち切ってあすに一つ留保してほしい、質問することを……。(「簡単、々々」と呼ぶ者あり。)
#128
○委員長(千葉信君) 簡単という声がありますので一人だけ……。
#129
○竹中恒夫君 局長にちょっとお伺いするのですが、保険財政の赤字が、十数億赤字見込みが幸いに浮いてきたという、その原因の御説明が、被保険者が予測以上に四十数万人ふえた。従って保険料の収入増によるのだという御説明のようでございます。そこでお聞きしたいのですが、新しく被保険者になった方の標準報酬料金というものは平均標準報酬からはるかに低いのじゃなかろうかと私は考えるわけです。そういうまあ賃金の低い方々が多数入ったということと、それからこの新しく入られた方は、そのかわりに入社に当って健康診断をやって入られるのだから、受診率が低いのだということで相殺の結果、増収になったのかどうかというような点について、もう一つ、私はっきり了解できませんから、後日でもけっこうですから……、あるいは今御答弁できれば伺いたい。
#130
○政府委員(高田正巳君) 新たに被保険者として入って参りました方々は、統計的なあれでは出て参ると思いまするけれども、今仰せのように、標準報酬は比較的低い方が多いと思います。従いまして、平均標準報酬は、全体をつっくるみました平均標準報酬は、私どもの見通しでも年度当初の一万二千二十二円でございましたか、それよりは下回るものと私どもは見ております。
 それから、しかるに医療費の方は人がふえたのにふえないのはどういうわけかというような御趣旨であったかと思いますが、その点も私はいろいろな原因があると思いまするけれども、今先生御指摘の点が非常に大きく影響しておるのではあるまいか、新たに入って参りました方々は、これは大部分、まあ多くの場合若い元気な人が多い。しかも入りまする場合にいろいろ健康診断等も行われて入ってきている人が多いと存じまするので、従いまして、この方々の受診率というものが従来のずっと引き続き被保険者になっておられる人々の受診率より若干落ちるのじゃないか、医者のかかり方が少いというような点が相当その大きな原因になっておりはしないだろうかというふうに私も考えております。ただその点の数字的な問題になりまするとまだつかんでおりませんけれども、大体今仰せのようなことが原因の大きなものになっておるであろうという予想をいたしておりますることは、先生と同様でございます。
#131
○委員長(千葉信君) まだいろいろと御質問もおありと存じますが、先ほどのお話し合いの点もございますし、本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
 なお、次回の関係につきましては、理事会等で打ち合せを願うことにいたしまして、以上をもって本日は散会いたします。
   午後六時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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