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1956/11/27 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 本会議 第7号
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1956/11/27 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 本会議 第7号

#1
第025回国会 本会議 第7号
昭和三十一年十一月二十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十一年十一月二十七日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共
 同宣言の批准について承認を求めるの件貿易の
 発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国
 とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定
 書の批准について承認を求めるの件
 北西太平洋の公海における漁業に関する日本国
 とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約
 の締結について承認を求めるの件
 海上において遭難した人の救助のための協力に
 関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦
 との間の協定の締結について承認を求めるの件
   午後三時三十六分開議
#2
○副議長(杉山元治郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件
 貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書の批准について承認を求めるの件
 北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件
 海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件
#3
○長谷川四郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件、貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書の批准について承認を求めるの件、北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件、海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、右四件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
 日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件、貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書の批准について承認を求めるの件、北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約の締結について承認を求めるの件、海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。日ソ共同宣言等特別委員長植原悦二郎君。
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔植原悦二郎君登壇〕
#6
○植原悦二郎君 ただいま議題となりました日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件について、本特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 日ソ共同宣言外三件の内容については、これらの案件自体についてごらんを願うことといたし、その説明は省略させていただきます。
 日ソ共同宣言は、領土問題の全面的処理について両国間の意見の一致を見ない現状においては、平和条約の締結はこれを後日に譲り、とりあえず暫定的に国交を正常化することを目的とした両国間の約束であり、他の三件はこれに付随するものであるとのことでありました。
 鳩山首相は、これに対して、その所信をかく披瀝されております。日本が極東の平和を確保し、世界の平和に寄与するには、すみやかに日ソ両国間の戦争状態を終了し、両国間の国交を正常化すべきであるとは、昭和二十七年以来の私の主張である。もちろん、わが国は世界の自由国家との友好関係をますます親密ならしめる、特に米国と緊密なる親善関係を持続することは、わが国外交の基調である。日本は米ソ両国の中間に横たわっておる。この場合、日本が東の窓のみをあけて西の窓を締めておいたのでは、極東の平和を確保することは困難だ。日ソの国交正常化は、いわば西の窓を開くことである。米ソ両国は、日本の東西に横たわる世界最大の国家である。日本はこの両国の間において平和の橋となることを念願する。これが私の所信である。こういうのが、鳩山首相の陳述の大要でありました。(拍手)
 日ソ共同宣言及びこれに付随する三件内において包含されております重要なる項目は、両国間の戦争の終結、大使交換、領事館開設、国際連合憲章諸原則順守、通商貿易、自衛権の確認、内政不干渉の規定、国連加盟支持、日本人抑留者送還、賠償請求権放棄、海難人命救助及び漁業協定の発効、平和条約締結に関する交渉の継続、歯舞群島及び色丹島引き渡し、通商条約または協定締結の交渉に関する件等であります。
 これらの項目、これに関連することにつき、あらゆる角度から、政府及び委員間に、熱心なる、しかも適切なる質疑応答が数日間連続的にかわされました。これらを詳細に報告いたすべきでありますが、時間の都合上、速記録によってごらんを願うごとといたしたいと思いますが、この場合、わずかの時間をいただきまして特に御報告申し上げておかなければならない二、三の案件があります。漁業のこと、国際連合加盟の件、抑留者送還のこと、領土の問題の案件などであります。
 漁業協定に対しては、漁獲高の取りきめについても、従来の漁獲高と比較して満足とはいわれない、また、普通国際上沿岸の領域は三海里となっているのに、ソ連の十二海里の主張に屈服したのではないか、北千島方面の漁業についてなお主張すべきものがあったのではないか等の質疑でありました。これに対して、政府は、本年は漁期が迫っているのを取り急ぎ契約したのだから完璧を期することはできなかったが、いずれ両国間で漁業委員ができるであろうから、それによってわが国の正当なる主張は調整されるであろうとのことでありました。
 国際連合加盟については、わが国がこの際世界列強国間のヒノキ舞台に上れるやいなやの重大問題であるから、ソ連のこれまでのやり方から判断すれば、わが国の単独加盟をたやすく承認するかどうかは、はなはだ疑問である、何らかひもをつけて、間接にその加盟を拒むようなことがありはしないかどうかと懸念されるというのでありました。これに対して政府は、ブルガーニン首相の言明によっても、さようなことはないと確信しておる、ブルガーニン首相は進んで日本の単独加盟を支持すると言うた、これは全面的に信じてよいと思う、それのみではない、この日ソ共同宣言がすみやかにこの国会において承認されれば、年内にも日本の国連加盟が実現できると思う、そうあることを政府は切に希望するとの政府の答弁でありました。
 次に、抑留者の送還についてであります。これは人道問題に関することで、きわめて重大であります。それゆえに、非常に真剣に、抑留者、その家族に対するあふるるような同情を持って、政府は、この案件が衆議院を通過し、参議院においてその承認が済む見通しがついたならば、ソ連政府に交渉し、年内に千有余の抑留者が日本に帰還し、久しぶりで故国で家族とともに暖かな年越しができるよう、すべての準備と手配をいたす遺漏なき用意があるかとの質疑でありました。(拍手)これに対して政府は、再三、すべての抑留者をあらかじめナホトカに集結しておいてもらうよう要請しておいた、なお、批准終了の確たる見通しがつけば、それぞれの機関を通じて御期待に沿うよう最善の手配をするとのことでありました。
 領土問題は、申すまでもなく、日ソ共同宣言の焦点とも考えられておりますので、各方面の角度から質疑が盛んにこれに集中されたのでありました。ある委員は、現今における日本の国情及び国力と世界の情勢から判断すれば、今日、領土に関する日本の主張、要求を実現することは不可能と思われる、これはむしろ将来の継続審議にしたのがよかった、日本の国力がさらに伸展し、世界の情勢が変化したときに、領土に対する日本の主張を強力に主張すれば、それは貫徹されるかもしれない、急いでこれを解決せんとせず、後日に譲ったことは賢明であったとの所説もありました。また、ある委員は、日ソ共同宣言の原案には領土の継続審議の文字が記されてあったが、それが削除されたのだ、これはソ連が領土の問題をもはや継続審議するの意思なきことを表現するものではないか、政府がこの削除に同意したのは何ゆえであるかとの、きびしい質疑でありました。政府は、これに対して、歯舞、色丹は平和条約締結と同時に日本に引き渡す、これは明記する必要がある、その他の領土、すなわち国後、択捉等は、平和条約締結の交渉によって継続審議することを意味するものである、平和条約を締結せぬことは領土の問題が解決せぬためである、平和条約の締結の交渉継続審議ということは、すなわち領土問題の継続審議を意味するもので、平和条約の締結の継続審議に領土問題以外に一体何があるのか、共同宣言に領土の問題は審議せずと明記してあれば領土問題は継続審議されないものと判断されるのも御自由だが、平和条約締結の交渉の継続審議ということは、とりもなおさず領土の継続審議を意味するもので、これほど明瞭なことを、特によけいな領土問題の継続審議という文字を記しておく必要はないではないかとの、政府のきわめて明瞭な答弁でありました。(拍手)
 また、河野農相に対して農相は、ブルガーニン首相と会見の際、領土問題につき何らか秘密の了解事項を与えられているのではないかとの疑惑を抱いておる者もあるようだが、この点果してどうであろうかとの質疑がありました。河野農相は、これに対して、自分は、領土につき、歯舞、色丹は平和条約締結と同時に日本に引き渡す、国後、択捉等の領土は平和条約締結の交渉の際に継続審議に付するということは承知しておる、それ以外の点について、領土の問題に関しブルガーニン首相と会見した際一切触れたことはない、のみならず、将来、日ソ間において、何人、また、いかなる政府がその交渉の任に当られるとしても、その場合支障となると思われるような発言は一切断じてしていない、その点はきわめて明瞭にしておく、御安心願いたいとのことでありました。(拍手)
 また、桑港条約によって、日本は、千島列島、すなわち国後、択捉を放棄している、それで、将来この島々の帰属を決定する場合、法理論上、連合国会議によってその帰属は決定さるべきものか、または、これに最も関係ある日ソ両国間で決定して、必要があれば連合国の了解を得るということでよいのか、そのいずれであるかとの質疑でありました。これに対して、政府は、これらの島々の帰属は、法理的に日ソ両国間で話し合い決定し、必要あれば連合国と政治的折衝すればよいと考えておるとの答弁でありました。
 以上、質疑応答の大要を申し上げた次第であります。
 かくて、昨二十六日質疑を終了いたしました。
 本二十七日討論に入りましたところ、自民党を代表して石坂繁君より、日本社会党を代表して細迫兼光君より、また小会派クラブの岡田春夫君より、それぞれ賛成の意見が述べられました。
 引き続き採決の結果、ここに、全会一致をもって日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件は、いずれもこれを承認すべきものと決定いたした次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#7
○副議長(杉山元治郎君) ただいま、貴賓席に、イラク国下院議員ジャド・アル。アスカリ氏、アフマド・エル・アメル氏がお見えになりました。御紹介申し上げます。
  〔拍手〕
    ―――――――――――――
#8
○副議長(杉山元治郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。中曽根康弘君。
  〔中曽根康弘君登壇〕
#9
○中曽根康弘君 ━━━━━━━━━
  〔「党を代表してないじゃないか」「議事進行」「議長、休憩々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
#10
○副議長(杉山元治郎君) この際二十分間休憩いたします。
   午後四時三十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後七時十八分開議
#11
○議長(益谷秀次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#12
○議長(益谷秀次君) 先ほどの中曽根康弘君の演説については、自由民主党から全部を取り消す旨の申し出がありました。議院運営委員会はこれを了承いたしましたので、議長は、同君の演説全部を取り消し、これを会議録から削除いたします。(拍手)
 砂田重政君の発言を許可いたします。
  〔砂田重政君登壇〕
#13
○砂田重政君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件は、委員長報告の通り全面的に賛成の意思を表明するものであります。(拍手)
 本共同宣言は、日ソ両国のため、また、ひいては世界平和のため、きわめて適切なるものと確信するものであります。
 問題の焦点は、領土問題に局限されております。この点については、日ソ共同宣言等特別委員会委員長の報告の通り、鳩山全権初め各全権の言明を信頼して、無条件に賛成の意を表するものであります。(拍手)
 終りに臨みまして、各党各派を通じて御賛成を得ましたことを、心からここに敬意を表するものであります。(拍手)
#14
○議長(益谷秀次君) 松本七郎君。
  〔松本七郎君登壇〕
#15
○松本七郎君 私は、ただいま議題となっております日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件外三件につきまして、日本社会党を代表いたしまして、賛成の意見を述べんとするものでございます。(拍手)
 社会党は、つとに、世界の客観情勢を的確に把握いたしまして、大局的見地から、日ソ両国間の早期国交回復を強く主張して参ったのでございます。(拍手)従いまして、おくればせながらも、鳩山内閣が、どうにかこうにかここに国交回復にまでこぎつけて、これによって従来のかたわの講和から全面講和へと前進することができるようになったことに対しましては、衷心から喜びと敬意を表するものでございます、(拍手)しかしながら、今まさにならんとしておりますこの国交回復をして真に意義あらしめるためには、むしろ今後の政策が大事であろうと思うのでございます。(拍手)そこで、私は、特別委員会の審議を通じまして明らかにされました重要点の二、三に触れながら、今後わが国がとるべき政策についての意見を開陳しつつ、賛成の趣旨を明らかにしたいと思うので院ございます。(拍手)
 まず第一に指摘すべき点は領土の継続審議についてでございますが、この点はすでに植原委員長からも御報告がございましたので、私はごく簡単に要点に触れたいと思います。
 松本・グロムイコ交換公文におきましては、領土を含む平和条約締結に関する交渉を継続する、こうありましたのを、共同宣言では、その第九項におきまして、「平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。」こう変えまして交換公文に明記してありましたところの領土を含むという文句が共同宣言では除かれておるのでございます。そのために、当然これは起る疑問でございまするが、これでは、将来日ソ両国の間で平和条約を締結する際に、問題の国後、択捉の帰属は話し合いの対象にもならないのではないか、こういう疑いが生ずるわけでございます。しかし、この点につきましては、政府の再三にわたる答弁におきまして、必ず領土は審議の対象になる旨の政府の確信が表明されましたので、われわれもこの政府の確信を了承いたしたのでございます。(拍手)
 第二に、ぜひ言及しておかなければなりません点は、将来日ソ両国の間で平和条約を締結する際において、特に領土の確定とサンフランシスコ条約との関係についてでございます。すなわち、将来、日ソ両国の間で、かりに国後、択捉その他サンフランシスコ条約で放棄したといわれております領土をソ連領として確定いたしたといたしましても、そのことはサンフランシスコ条約には抵触するものではない旨が、重光外相によって明確にされたのでございます。このことはきわめて大きな意義があるのではないかと思うのでございまして外務大臣は、サンフランシスコ条約関係の諸国にこれらの点について了解を得る努力はしなければならないけれども、それは政治的配慮からするのであって、決して相談したり了解を得るということは条約上の法的義務ではないことを明らかにされたのでございます。従来の向米一辺倒の外交が日本の悲劇のもとであったことを考えまするときに、また、現に、日ソ交渉の経過におきまして、ダレス発言だとか、あるいは、その他米国の干渉などが種々取りざたされていた事実にかんがみまするならば、この重光外相の言明は、日ソの国交回復が、日本の自主外交のために、はたまた日本の真の独立のために、いかに意義深いものがあるかを、すでに物語っているものとして、私どもはこれを満足をもって迎えるものでございます。(拍手)
 次に、日ソ両国の間に国交が回復されることの意義についてでございまするが、まず当面の利益についてさしあたり考えられまするのは、漁業条約の発効、北洋漁業問題解決の糸口が見出されること、抑留同胞の帰還、国連加盟を契機にいたしまして国際社会に発言権を得ることなど、直接の利益だけでもはなはだ大きいものがあるのでございます。もちろん、これらにつきましても、理屈を申しますならば、いろいろと言い分はありましょう。しかし、現実には、国交が回復されなければこれらの懸案の解決を見ることができないのである以上は、特に戦後十年以上にもわたりまして異境に抑留されていた人々が祖国に帰還できるとともに、一万名以上に及ぶところの消息不明者についての共同調査もできることになりましたことは、何としても大きな喜びといわなければなりません。(拍手)また、日ソ両国の間の経済交流の問題に関しましては、政府ははなはだ消極的な見通ししか持っておられないようでございまするけれども、シベリア開発に重点を置いたソ連の経済五カ年計画の発展に伴い、ソ連経済の重点は東の方に移動しつつあるのでございます。従いまして、日ソ両国の経済交流は、今後、日ソ双方にとってもまことに大きな意味を持ってくるに相違ないと私どもは信ずるのでございます。(拍手)特に、ソ連に対する日本の労働者や技術者の派遣、あるいはまた北洋漁業資源の共同開発などは、現実の問題としても取り上げることができるものでございまして、これは、日本国民、特に従来からソ連に出かせぎに出ておりました北海道や東北の人々が熱望しているところでもございます。このように、国交回復をすることによりまして、日本国民の生活に深い利害関係を持った諸懸案に解決の糸口が開かれるのであります。
 しかしながら、この際政府に特に注意していただきたいことがあるのでございます。それは、政府がやたらに日本国民の反ソ感情をあおったり、あるいは不確実な資料によってソ連側を誹謗するがごとき悪宣伝をしないように留意すべきだということであります。(拍手)これにつきましては特別委員会でも問題になったのでございまして、今日、すでに、はなはだ憂慮すべき事実が見られるのであります。内閣官房調査室から出されております「国際情勢資料」というのがあるのでございまするが、これには怪しげな報道がまことしやかに述べられている個所が幾多見受けられるのでございます。また、公安調査庁から出しております「国際情勢展望」という刊行物にも、やはり同様の誹謗が随所に出ておるのでございます。たとえば、ソ連代表部より政治資金及び謀略資金が九千万円散布されたなどと、ばかげた流説を、わざわざ、事もあろうに、政府機関発行の情報に記載するなどとは、言語道断でございます。このことは特別委員会でも問題となりまして、政府はその非なることを一応認めまして、今後は改める旨の約束をいたしたのでございますけれども、政府の最高首脳が何も御存じないうちに、その足元でこのような国際常識を無視した行為が公然となされるということは、許すべからざる国際的恥辱であると思うのでございます。(拍手)今後はソ連に対して努めて友好親善の態度をもって臨むことを基本方針とすることが肝要であると考えるのでございます。しかしながら、このことは、もちろん、決して事実に基いた厳正な批判を排斥するものでないことは、言うまでもございません。(拍手)
 また、伝えられまするように、日ソの国交回復をもって治安強化の口実にするがごときは、これは国政を担当する能力を疑わしめるものでございます。(拍手)もしも、少数のソ連人の入国によって、たちまち国内不安が助長されるがごとき情勢であるといたしましたならば、それは政府の失政を立証するものでございまして、かくのごとき無能な政府はよろしく下野すべきものであると思うのでございます。(拍手、「賛成じゃない」と呼び、その他発言する者あり)
 先ほど、私は、国交回復のもたらす当面直接の利益のおもなものをあげたのでございまするが、ざらに基本的な面で、将来にわたって大きな利益と考えられますのは、国交回復が日本の完全独立の達成と自主外交のとびらを開く転機になるということでございます。(拍手)平和条約締結の時期並びに国後、択捉返還の見込みについての質問に対しまして、鳩山首相は、国際情勢が好転すれば条約を結ぶつもりであり、また、国際情勢が好転すれば領土の返還も希望が持てると、繰り返し答弁されておるのでございます。しかしながら、私どもが最も遺憾に考えまするのは、国際情勢を好転させるについての、日本としてなすべき積極的な役割なり、あるいは政策なりについては、鳩山首相は一言も述べておらないということでございます。(拍手)国際情勢の好転は、鳩山首相の言われるように、消極的に、待てば海路のひよりかなといったような、のんきな態度では、決して到来するものではございません。政府としては、この際、積極的に、完全独立の達成と自主外交推進のための具体策を立てて、すみやかに国民に進路を示す責任があると思うのでございます。(拍手)共同宣言によって国交回復ができたということは、決してそのまま独立の完成を意味するのではないのでございます。むしろ、国交回復こそがわが国の完全独立達成の出発点であるというところにこそ深い意義があるのでございます。今や、サンフランシスコ条約や日米安全保障条約及び行政協定の改廃、あるいは軍事基地撤廃に乗り出すべきときではないか、また、中華人民共和国との国交正常化に邁進すべきときではないか、(拍手)こうした質問が当然わが党の議員からは出されたのでございまするけれども、政府は、これに対しまして、今はその時期にあらず、こういった従来通りの答弁を一歩も出ることができなかったのでございます。実は、このような認識不足、かくのごとき民族独立意欲の欠除こそ、今日の日本の悲劇のもとであるといわなければならないのでございます。(拍手)われわれは、今や日中の国交正常化に乗り出す機はすでに熟しておって、日本の完全独立のためにはそれが絶対不可欠の条件であると確信するものでございます。(拍手)
 完全独立のための裏づけとなるべき日本経済力の充実をはかるためには、もはや中ソ両国の膨大な市場と結びつく以外に道はないのでございます。このことは、むしろ、西ドイツを初め、英国、フランスなどの国々の最近の動きがこれを教えてくれておるのでございます。また、政府は、しきりに東南アジアとの提携を唱えておるのでございますけれども、これとて、実は中ソ両国との提携を前提にするのでなければ困難な状態になりつつあるのでございます。(拍手)自民党の三木武夫議員らの主張されておるところの、東南アジアへ進出せよという説は、日本経済の今後の市場獲得目標としては一応もっともな構想のように思われます。けれども、今日の実情からいたしますると、中国と切り離され、中国市場のかわりになる東南アジア市場などというものは、これは、空虚な夢以外に、現実にはすでにあり得ないのでございます。なぜかと申しますると、肝心の相手国である東南アジアの諸国は、日本の帝国主義的な復興と帝国主義的な再進出を極度に警戒しておるというのが今日の実情でございます。(「そんなことはないよ」と呼び、その他発言する者あり、拍手)あなた方は、そんなことはないと言って、ばかにして笑われるかもしれないけれども、相手国の諸国がそう考えて警戒しておるところに実は問題があるのでございます。それは、日本が向米一辺倒であり、アメリカの新しい植民地主義の手先の役を果そうとしていることを、東南アジアの諸国は見抜いているからでございます。東南アジア諸国が米国を見る目は最近とみに変りつつあるのでございまして、米国を目して何と見ておるか。それは、古い植民地支配国にアメリカはみずからとってかわらんとしておる国であると、彼らはアメリカをみなしておるのでございます。たとえば、インドネシアのスカルノ氏は、昨年五月二十日に次のような演説をやっておるのでございます。アメリカが、アジア、アフリカ諸国民の精神を理解しない限り、いかに莫大なドルをアジア、アフリカに流そうとも、米国援助はむだに終るであろう、こう言って警告を発しているのでございます。東南アジア諸国が米国のいわゆる援助なるものに最近非常に失望をしておるという事実は枚挙にいとまがないほどたくさんあるのでございまするが、もう一つだけ例をあげてみますると、たとえば、ビルマの政府が、すでに三年前に発しました宣言におきましてもはやビルマは米国の技術援助を受けたくないとの強硬な意思を公然と表明しておるのでございます。(拍手)これに比較いたしますと、日本の姿はまことに嘆かわしいきわみでございます。いかに敗戦のうき目を見たとは申せ、今日のごとく、まるではれものにでもさわるように、びくびくして米国のごきげんをうかがっておるようでは、日本は永久に救われないのでございます。(拍手)
 このような東南アジア諸国の動向については、西欧側の観測もまた一致しておるのでございます。これははなはだ興味深いものがあるのでございますが、本年の一月三日付のニューヨーク・タイムスによりますと、米国の国務省が招集いたしました東南アジア及び中東諸国駐在の米国大使会議なるものの模様を伝えておるのでございます。この大使の会議においても、やはり、アジア、アフリカ諸国が米国に対して抱く不信の念が最近とみに強くなっているとの同じ結論を出しておるのでございます。そうして、結局どういう結論に達したかと申しますると、中東及び南アジアに対する米国の政策は失敗であるという事実を指摘したといわれておるのでございます。こうして、ついに、最近では、米国内の政治家その他の指導層の中からさえ、従来のように露骨に軍事目的と結びつけた米国の政策をこの際大幅に変更する必要を痛感し、表面はもっと穏やかなものに転換すべきであるとの意見が台頭してきておるのでございます。(拍手)たとえば、キーフォーヴァー、レーマン、スティヴンソン、ネルソン・ロックフェラー、ニクソン副大統領などが、その代表的人物であるといわれておるのでございます。しかしながら、長年の間にわたって植民地主義に悩まされて参り、骨の髄まで植民地主義にはこりごりしておりまする東南アジア諸国は、決してこのような表面だけ糊塗された新しい型の植民地主義にごまかされるはずはないと思います。(拍手)こうして、これらの国々は急速に中国並びにソ連に接近しつつあるのが実情でございますから、こういった情勢を的確に把握いたしますならば、国際連合の威信を今後強化する場合に、日本として今後何をなすべきか、こういった、これからの重要問題についても、きわめて明確な方針が打ち出されるであろうと思います。すなわち、日本といたしまして、これからとるべき具体策は、わが国がアジアから見放され、アジアの孤児に陥ることのないように、アジア、アフリカ諸国と提携して進む以外にないと思うのでございます。(拍手)これこそ日本の完全独立に通ずる唯一の道であると確信いたすのでございます。
 先ほど来、るる申し述べましたように、これをやり遂げるためには、どうしても中国との国交正常化をはかって、さらに朝鮮及びヴェトナム、東欧諸国との正常化にも乗り出す必要があるのでございます。このような大きな意義を持つ中国との国交正常化に乗り出すための跳躍台ともいうべき役を果すのがこの日ソ両国の国交回復であると私は思います。(拍手)われわれは、この点にこそ日ソ共同宣言の特に大きな歴史的意義を認めるものでございます。
 ちょうど、昨年の選挙に際しまして、鳩山首相が日ソ国交回復をうたったために勝利を占められたと同様に、自民党といたしましても、これを契機に、引き続いて日中国交回復をうたい、これに乗り出すならば、なお命脈を保つこともあるいは可能かもわかりません。(拍手)しかしながら、この大切な日中国交の問題を無視したのでは、おそらく次回の選挙すらろくに戦えないのではないかと心配するのでございます。(拍手)政府はこれらについてどういう答弁をしておるかと申しますると、中国の承認は困難であるという一点張りで、少しも前進の気がまえは見えないのでございます。けれども、かりに鳩山内閣の手によっては中国の正式承認までは無理であるといたしましても、せめて、この内閣の手によっても、その現実的なきっかけになるくらいの仕事はできるはずであると思います。さしあたりは政府間の貿易協定を締結すべく努力すべきではないか、あるいは、もっと手近な問題として考えてみまするならば、中国代表の指紋をとるがごとき愚かなことは直ちに廃止するくらいのことは、今の政府でもできるはずであります。(拍手)こういったような現実的な努力さえもしないで、ただ漫然と国際情勢の好転を待つというのでは、むしろ国際情勢を悪化させるのに寄与する結果となるであろうと思います。日中国交正常化を伴わない日ソの国交回復などはその意義を半減すると言っても決して過言ではないのでございます。(拍手)
 しかしながら、私どもの知るところによりますと、自民党の中にも多くの烱眼の士がおられまして、日中関係打開に進むべく、その運動を着々準備されておるということでございます。これこそ、私は、進歩性を備えたところの近代的保守政党として生きる正しい道であるに違いないと思うのでございます。(拍手)われわれ社会党といたしましては、ちょうど日ソの国交回復実現のためには鳩山内閣を支持してきたと同じように、日中の国交回復実現のためならば、このような進歩性を備えた保守党に進んで協力を惜しまないであろうことを断言してはばからないのでございます。(拍手)
 われわれといたしましては、共同宣言及び他の三件の内容につきましても、もちろん、いろいろ不満な点もあります。特に、先刻来述べましたように、今後の政策については、はなはだ不満足でございます。けれども、前にも申し上げましたように、当面得られるいろいろな利益、並びに、日ソ国交回復が日本の完全独立の出発点になるという重要意義にかんがみまして、私どもはこれを支持する次第でございます。(拍手)
 顧みますると、ずいぶん長い間、鳩山内閣はこの問題で閣内の不統一を暴露いたしまして、動揺を続けて参りましたが、これが首相と外相との意見の相違となって現われ、二元外交、三元外交とも非難を呼んだのでございます。しかしながら、日ソの国交回復に対する鳩山首相の決意はきわめてかたいものがあったようでございます。かねて、私は、首相が生命を賭してでもソ連訪問と国交回復を必ずなし遂げる覚悟を固められたということを聞かされておりました。しかし、当初は、なお半信半疑でおったのでございますけれども、首相がソヴィエトを訪問される前にお目にかかりまして、直接その決意を披瀝されたのを聞きましたときに、私は今度こそ国交回復なれりとの確信を抱くことができたのでございます。(拍手)
 鳩山首相をしてこのようにかたい決意を抱かせましたにつきましては、わが党の鈴木委員長が再三鳩山首相との会談を重ねられるとともに、委員長初め、わが党あげて日ソ国交回復を支援し、首相を激励したたまものであることを銘記すべきであると思います。(拍手)ある医者の話によりますと、首相のからだには飛行機と寒さが最も危険であるということを聞かされたのでございます。もしそうだといたしますならば、首相は最も悪い条件の重なった中でソヴィエトを訪問されたわけでございます。従いまして、私は、非常に深い憂慮を抱きながら、首相の無事モスクワに到着されることを祈っておったのでございます。十月十三日の早朝のニュースでもって、首相が無事にモスクワに着かれ、ブルガーニン首相以下ソ連首脳から大歓迎を受けたとの平野特派員の報道を耳にしたときに、私は、これで日本国にとっての歴史的意義ある一歩が踏み出されたことを安心するとともに、病首相の労苦をお察しいた、まして感慨無量の思いがいたしたのでございます。(拍手)かくて、ついに待望の衆議院承認の日を迎えることになりました。
 私は、最後に、ここに重ねて鳩山首相以下全権御一同の御苦労を深謝するとともに、長期間にわたりまして激しい論議を戦わせた自民党が、党議をもって今や批准の無条件承認を決定されたことにつきましても、あわせて御同慶の意と敬意を表しまして、私の賛成討論を終る次第でございます。(拍手)
#16
○議長(益谷秀次君) 岡田春夫君。
  〔岡田春夫君登壇〕
#17
○岡田春夫君 私は、小会派を代表いたしまして、日ソ共同宣言外三件に対して賛成の討論を行いたいと思います。(拍手)
 日ソ共同宣言外三件が本日ここで議題になりますことは、われわれにとってまことに感慨深いものがあります。五年前に、この同じ議場においてサンフランシスコの条約がかけられたときには、賛否両論の激しい対立がありました。そのことは、サンフランシスコの両条約に対する国民の世論が明らかに二つに分裂しておったことを反映しておるものであります。しかるに、本月の審議はともかくも与野党一致の力によりまして可決されようとしておることは、とりもなおさず、日ソ交渉の国交の回復がいかに国民の強い希望であり、国論が統一されているかということを物語っておるのであります。(拍手)
 それでは、なぜサンフランシスコ条約に対して国論の分裂が行われたか。それは、この条約が、朝鮮戦争のさなかにおいて、中ソに対立して、アメリカの言うなりになる従属の講和、戦争準備の講和であるからであったのであります。だから、戦争に反対する日本国民は、このサンフランシスコ条約に反対いたしたのであります。ところが、この日ソ共同宣言は、平和と友好の条約であり、鳩山総理が言う通りに、日本が独立の道に進むべき条約であります。それゆえにこそ、平和と独立を求めておる大多数の国民が今回の共同宣言に賛成をいたしておるのであります。(拍手)
 鳩山総理は、過日の特別委員会におきまして、ソヴィエトが今日日本を侵略する危険があるとは考えられないと言っております。河野全権は、また、冷たい暗い国ソヴィエトという古い認識を改めなければならないと言っております。そうして、また、慎重派の親分といわれた重光外務大臣でさえ、国交回復の重大決意をいたしたのであります。もちろん、日本とソヴィエトとは国柄や思想が違うのでありますから、国民の中にこれに対するいろいろな意見のあるのは間違いない事実である。だが、しかし、共同宣言が今回与野党一致して承認されるという事実は、総理が答弁された通りに、ソヴィエトが現在日本を侵略しようとはしていないと考えるという前提に立つからである。なぜならば、侵略の危険があるのに平和と友好の関係を結ぶということは事実上不可能だからであります。引き揚げ、国連加盟、漁業問題などの解決はもちろん喜ばしいことでありますが、共同宣言の前文にある、日ソ交渉によって極東における平和と安全に役立たしめ得るというこの精神こそ、今度の共同宣言の最も大きな意義であるといわなければなりません。(拍手)
 今や、わが国は、日ソ交渉の妥結によって、サンフランシスコ条約後、日本を宿命づけて参りました日ソの関係、すなわち、中ソを仮想敵国とする敵対関係から、極東における平和のための友好関係への一大転機に立っているのであります。日ソ関係は、この共同宣言の承認によってすべてが終るのではありません。いな、これからが出発点であります。両国政府と国民は、共同宣言の前文の精神に基き、それぞれ自国の体制を確立していくことが大切であります。特に、わが国にとっては、この努力こそ、真に日本を独立させ、真に日本を繁栄させる道であります。日本の繁栄をはかる道が経済の興隆、貿易の発展にあることは論を待ちません。重光外務大臣のモスクワ交渉の際において、ソヴィエト側から十億ルーブルの貿易計画が提案されたのでありますが、これは昨年の実績の約十五倍に当る大きな数字であります。ところが、この貿易の計画に対して、石橋通産大臣は実現が困難だと答えておりますけれども、これは石橋さんが間違っているのであります。なぜか。日本は、今日、中ソとの自由な貿易が許されておりません。この制限を取り払うならば、十億ルーブルの貿易は実現が可能であります。
 この制限とは何であるか。ココムである。それでは、ココムとは何か。国民はココムの内容を知らされておりません。この間の特別委員会において、ココムの内容については秘密で、発表ができないと答えております。皆さん、ココムとは、ハリにある北大西洋条約機構の中の名前もない一委員会で秘密協定を結んでいるのがココムであります。しかも、加盟国は西欧十四カ国であるが、極東からは、アメリカの名ざしによって、わずかに日本だけが強制的に入れられているのである。二年前に、日本はアメリカとMSA協定を結びました。この協定の附属書D項によって、日本は中ソとの貿易を行う場合においてココムの制限に従わなければならないことを誓約させられました。それのみではない。日本は、今年は、北海道を除いて大豊作であります。それなのに、アメリカの余った小麦を日本は買わなければならないのがMSA協定であります。(拍手)また、使えない中古の兵器を買わなければならないのがMSA協定であります。例をあげれば数限りはありません。このように、貿易のみならず、日本の政治経済全般にわたって、日本は、アメリカから自主性を奪われ、アメリカに支配されているのであります。これが現在のMSA体制であります。
 だが、政治経済だけではない。日本は軍事的にも完全に支配されている。米日韓国三国空軍の合同演習はアメリカの指揮命令によって行われました。日本にある七百の軍事基地はアメリカの軍事基地であります。これらの軍事基地は、安保条約によって日本が義務づけられているのである。われわれは、このように、軍事的に、政治的に、経済的にアメリカから支配されている状態、主権の制限、この独立を奪われた状態から主権を回復することこそ、今後日本の将来を平和的に発展させる道であると私は考えているのであります。(拍手)鳩山総理は、日ソの国交回復は独立への道であると言っております。この独立の道とは、ただいま申し上げた従属関係を断ち切って、日本が一本立ちになる、このことが独立であります。われわれは、このために、日ソの共同宣言を契機として、平和と友好との関係に立つのみならず、日本の独立のために、われわれは戦いを続けなければならないと思います。
 時間がありませんので、できるだけ省略いたしますけれども、ともかく、共同宣言によって、国内においても近ごろ治安態勢の確立なるものが言われつつあります。これは明らかに平和の態勢に逆行する反動の態勢である。(拍手)戦争への態勢である。このような戦争への態勢はやめなければならない。また、外交の面においても、平和五原則に基いた平和共存の確立が行われなければならない。中国との国交回復は、われわれ日本の国民の大きな義務であります。十年の長きにわたって行われた第二次世界大戦の中において、日本の国民が最も犠牲を与えたのは中国であります。この中国に対する国交回復を、このあとは、国民の力によって行なっていかなければなりません。
 時間がないので、まだ申し上げたいのでありますが、以上簡単に申し述べまして、賛成の討論といたしたいと思います。(拍手)
#18
○議長(益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件につき採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#19
○議長(益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#20
○議長(益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百六十五
  可とする者(白票) 三百六十五
  〔拍手〕
  否とする者(青票)    なし
  〔拍手〕
#21
○議長(益谷秀次君) 右の結果、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言の批准について承認を求めるの件は、全会一致、委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 本件を委員長報告の通り承認するを可とする議員の氏名
      阿左美廣治君    青木  正君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      荒舩清十郎君    有田 喜一君
      有馬 英治君    安藤  覺君
      五十嵐吉藏君    井出一太郎君
      伊東 岩男君    池田 清志君
      池田正之輔君    石井光次郎君
      石坂  繁君    石田 博英君
      石橋 湛山君    一萬田尚登君
      稻葉  修君    犬養  健君
      今井  耕君    今松 治郎君
      宇都宮徳馬君    植木庚子郎君
      植原悦二郎君    植村 武一君
      臼井 莊一君    内海 安吉君
      江崎 真澄君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    小笠原三九郎君
      小川 半次君    小澤佐重喜君
      大麻 唯男君    大石 武一君
      大久保留次郎君    大倉 三郎君
      大島 秀一君    大高  康君
      大坪 保雄君    大野 伴睦君
      大村 清一君    大森 玉木君
      太田 正孝君    荻野 豊平君
      奧村又十郎君    加藤 精三君
      加藤 高藏君    加藤常太郎君
      加藤鐐五郎君    鹿野 彦吉君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀山 孝一君    唐澤 俊樹君
      川崎末五郎君    川崎 秀二君
      川島正次郎君    川野 芳滿君
      川村善八郎君    菅  太郎君
      菅野和太郎君    簡牛 凡夫君
      菊池 義郎君    岸  信介君
      北  ヤ吉君    北村徳太郎君
      吉川 久衛君    清瀬 一郎君
      久野 忠治君    草野一郎平君
      楠美 省吾君    倉石 忠雄君
      小泉 純也君    小枝 一雄君
      小島 徹三君    小林  郁君
      小林   リ君    河野 一郎君
      河野 金昇君    高村 坂彦君
      纐纈 彌三君    佐々木秀世君
      齋藤 憲三君    坂田 道太君
      櫻内 義雄君    笹本 一雄君
      笹山茂太郎君    薩摩 雄次君
      椎熊 三郎君    椎名悦三郎君
      椎名  隆君    重政 誠之君
      重光  葵君    篠田 弘作君
      島村 一郎君    正力松太郎君
      白浜 仁吉君    須磨彌吉郎君
      杉浦 武雄君    助川 良平君
      鈴木周次郎君    鈴木 直人君
      薄田 美朝君    砂田 重政君
      世耕 弘一君    關谷 勝利君
      園田  直君    田子 一民君
      田中伊三次君    田中 彰治君
      田中 龍夫君    田中 久雄君
      田中 正巳君    田村  元君
      高岡 大輔君    高木 松吉君
      高橋 禎一君    竹内 俊吉君
      竹尾  弌君    竹山祐太郎君
      辻  政信君    綱島 正興君
      渡海元三郎君    徳田與吉郎君
      徳安 實藏君    内藤 友明君
      中垣 國男君    中島 茂喜君
      中嶋 太郎君    中曽根康弘君
      中村 梅吉君    中村三之丞君
      中村庸一郎君    中山 榮一君
      中山 マサ君    永田 亮一君
      永山 忠則君    長井  源君
      灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君
      並木 芳雄君    楢橋  渡君
      南條 徳男君    丹羽 兵助君
      根本龍太郎君    野田 武夫君
      馬場 元治君    長谷川四郎君
      畠山 鶴吉君    鳩山 一郎君
      花村 四郎君    早川  崇君
      林  唯義君    林   博君
      平塚常次郎君    平野 三郎君
      廣瀬 正雄君    福井 順一君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福永 一臣君    藤枝 泉介君
      藤本 捨助君    淵上房太郎君
      船田  中君    古井 喜實君
      古島 義英君    坊  秀男君
      星島 二郎君    堀内 一雄君
      本名  武君    眞崎 勝次君
      眞鍋 儀十君    前田房之助君
      牧野 良三君    松浦周太郎君
      松浦 東介君    松岡 松平君
      松澤 雄藏君    松田竹千代君
      松田 鐵藏君    松永  東君
      松野 頼三君    松村 謙三君
      松本 俊一君    松本 瀧藏君
      三浦 一雄君    三木 武夫君
      水田三喜男君    宮澤 胤勇君
      村上  勇君    村松 久義君
      粟山  博君    森   清君
      森下 國雄君    森山 欽司君
      八木 一郎君    山口喜久一郎君
      山口 好一君    山崎  巖君
      山下 春江君    山手 滿男君
      山中 貞則君    山村新治郎君
      山本 勝市君    山本 粂吉君
      山本 正一君    山本 猛夫君
      山本 利壽君    横井 太郎君
      横川 重次君    米田 吉盛君
      早稻田柳右エ門君    亘  四郎君
      青野 武一君    赤松  勇君
      茜ケ久保重光君    淺沼稻次郎君
      足鹿  覺君    飛鳥田一雄君
      淡谷 悠藏君    井岡 大治君
      井谷 正吉君    井手 以誠君
      井上 良二君    井堀 繁雄君
      伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君
      猪俣 浩三君    池田 禎治君
      石田 宥全君    石橋 政嗣君
      石村 英雄君    石山 權作君
      稲富 稜人君    今澄  勇君
      今村  等君    受田 新吉君
      小川 豊明君    大西 正道君
      大矢 省三君    岡  良一君
      岡本 隆一君    加賀田 進君
      加藤 清二君    風見  章君
      春日 一幸君    片島  港君
      片山  哲君    勝間田清一君
      上林與市郎君    神近 市子君
      神田 大作君    川俣 清音君
      河上丈太郎君    河野  正君
      木下  哲君    木原津與志君
      菊地養之輔君    北山 愛郎君
      久保田鶴松君    栗原 俊夫君
      小平  忠君    小松  幹君
      五島 虎雄君    河野  密君
      佐々木更三君    佐々木良作君
      佐竹 新市君    佐竹 晴記君
      佐藤觀次郎君    坂本 泰良君
      櫻井 奎夫君    志村 茂治君
      島上善五郎君    下川儀太郎君
      下平 正一君    杉山元治郎君
      鈴木茂三郎君    鈴木 義男君
      田中幾三郎君    田中織之進君
      田中 武夫君    田中 利勝君
      田万 廣文君    多賀谷真稔君
      高津 正道君    滝井 義高君
      竹谷源太郎君    楯 兼次郎君
      辻原 弘市君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    中井徳次郎君
      中居英太郎君    中崎  敏君
      中島  巖君    中村 高一君
      中村 時雄君    中村 英男君
      永井勝次郎君    成田 知巳君
      西尾 末廣君    西村 榮一君
      西村 彰一君    西村 力弥君
      野原  覺君    芳賀  貢君
      長谷川 保君    原   彪君
      日野 吉夫君    平岡忠次郎君
      平田 ヒデ君    福田 昌子君
      古屋 貞雄君    帆足  計君
      穗積 七郎君    細迫 兼光君
      細田 綱吉君    前田榮之助君
      正木  清君    松井 政吉君
      松尾トシ子君    松岡 駒吉君
      松平 忠久君    松原喜之次君
      松前 重義君    松本 七郎君
      三鍋 義三君    三宅 正一君
      水谷長三郎君    門司  亮君
      森 三樹二君    森島 守人君
      森本  靖君    八百板 正君
      八木 一男君    八木  昇君
      矢尾喜三郎君    安平 鹿一君
      柳田 秀一君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山崎 始男君
      山下 榮二君    山田 長司君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      横錢 重吉君    横路 節雄君
      横山 利秋君    吉川 兼光君
      吉田 賢一君    和田 博雄君
      渡辺 惣蔵君    石野 久男君
      岡田 春夫君    川上 貫一君
      久保田 豊君    小林 信一君
      小山  亮君    志賀 義雄君
      中原 健次君
    ―――――――――――――

#22
○議長(益谷秀次君) 次に、貿易の発展及び最恵国待遇の相互許与に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の議定書の批准について承認を求めるの件外二件を一括して採決いたします。三件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#23
○議長(益谷秀次君) 起立総員。よって、三件は全会一致委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#24
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時二十二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  鳩山 一郎君
        法務大臣    牧野 良三君
        外務大臣    重光  葵君
        大蔵大臣    一萬田尚登君
        文部大臣    清瀬 一郎君
        厚生大臣    小林 英三君
        農 林 大 臣 河野 一郎君
        通商産業大臣  石橋 湛山君
        運 輸 大 臣 吉野 信次君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 倉石 忠雄君
        建 設 大 臣 馬場 元治君
        国 務 大 臣 大麻 唯男君
        国 務 大 臣 太田 正孝君
        国 務 大 臣 正力松太郎君
        国 務 大 臣 船田  中君
 出席政府委員
        内閣官房長官  根本龍太郎君
        外務審議官   森  治樹君
        外務参事官   法眼 晋作君
        外務省条約局長 下田 武三君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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