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1956/11/30 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 本会議 第9号
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1956/11/30 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 本会議 第9号

#1
第025回国会 本会議 第9号
昭和三十一年十一月三十日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十一年十一月三十日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した案件
 中小企業金融年末対策に関する決議案(神田博君外三十九名提出)
 千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件(参議院送付)
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律案(藤本捨助君外三十三名提出)
    午後六時二十二分開議
#2
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 中小企業金融年末対策に関する決議案(神田博君外三十九名提出)
     (委員会審査省略要求案件)
#3
○長谷川四郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、神田博君外三十九名提出、中小企業金融年末対策に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
 中小企業金融年末対策に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。小笠公韶君。
    ―――――――――――――
 中小企業金融年末対策に関する決議案
  中小企業金融年末対策に関する決議
 近来、わが国経済は全般的には好調を示しつつあるにかかわらず、中小企業は依然として困難な実情にある。
 年末を目前に控え、中小企業特に零細企業の金融を緩和することは喫緊の要務である。
 よって、政府はすみやかに左記により、中小企業に関する当面の金融対策を実施するとともに、あわせて恒久対策を確立すべきである。
    記
 一 政府は、市中金融機関に対し、年末に際して特に中小企業への融資を積極化するよう強力に指導すること。
 二 国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、相互銀行、信用金庫、信用組合及び地方銀行に対し、その資金源を増強するため、資金運用部資金の貸付の増強若しくは政府資金の大幅預託を図ること。
  生命保険、損害保険会社の中小 企業への資金供給のみちを講ずること。
 三 特に年末に際し、零細企業金融の緊急性にかんがみ、国民金融公庫の貸付に際しては、小口金融に格段の考慮を払うこと。
 四 前各項のほか、中小企業年末金融円滑化のため政府機関支払の敏速化、下請代金支払の促進その他適当な施策を早急に講ずること。
 右決議する。
    ―――――――――――――
    〔小笠公韶君登壇〕
#6
○小笠公韶君 ただいま議題となりました、自由民主党及び日本社会党共同提案による中小企業金融年末対策に関する決議案につき、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
    〔議長退席、副議長着席〕
 まず、案文を朗読いたします。
  中小企業金融年末対策に関する決議案
  近来、わが国経済は全般的には好調を示しつつあるにかかわらず、中小企業は依然として困難な実情にある。
  年末を目前に控え、中小企業特に零細企業の金融を緩和することは喫緊の要務である。
  よって、政府はすみやかに左記により、中小企業に関する当面の金融対策を実施するとともに、あわせて恒久対策を確立すべきである。
    記
 一 政府は、市中金融機関に対し、年末に際して特に中小企業への融資を積極化するよう強力に指導すること。
 二 国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、相互銀行、信用金庫、信用組合及び地方銀行に対し、その資金源を増強するため、資金運用部資金の貸付の増強若しくは政府資金の大幅預託を図ること。
   生命保険、損害保険会社の中小企業への資金供給のみちを講ずること。
 三 特に年末に際し、零細企業金融の緊急性にかんがみ、国民金融公庫の貸付に際しては、小口金融に格段の考慮を払うこと。
  四 前各項のほか、中小企業年末金融円滑化のため政府機関支払の敏 速化、下請代金支払の促進その他適当な施策を早急に講ずること。
 右決議する。
以上が案文でございます。
 ここにあらためて私が申し上げるまでもなく、わが国産業経済の全機構の中に占める、中小企業、特に零細規模経営による企業の比重はまことに圧倒的でありまして、生産企業におきましては、企業数の九九%、生産額の五六%の高率を占め、販売流通部門におきましては、総売上高の九五%強を占める実情でございます。
 思うに、最近におきまする鉄鋼、石炭、石油その他の基礎産業の景況は、全般的には健全な繁栄が続けられており、連続二年にわたる豊作と輸出貿易の異常な伸張等と相まって、わが国産業経済は順調な推移をたどっております。しかしながら、われわれは、この景気の殷賑の陰に取り残された中小商工業者、特に零細企業が全国におびただしく存在することを、夢寐にも忘れてはならないのであります。前言いたしました通り、わが国産業に占める中小企業者数と、その生産量、販売高の圧倒的な高率に思いをいたしますならば、この難渋はいかなる困難があろうとも解決しなければならないのが私どもの任務であると確信いたします。(拍手)
 従来、中小企業の組織化の問題、税制及び金融等の対策のほか、さらに具体的には、百貨店法の制定、政府機関、地方自治体及び公社等のいわゆる官公需の中小企業向け発注の勧奨、下請代金支払いの促進、中小企業設備の近代化とその助成、大企業との関係の調整、中小企業の担保力補強施策の拡充強化等、もろもろの施策を強力に推進して参ったのでありまするが、金融面については今、なお所要の資金量の達成にはほど遠い感じがいたす次第であります。ことに、年末を控え、中小企業向け融資の逼迫の度は、一般金融の緩和にもかかわりなく、依然として好転の徴が見えておらないのが実情でございます。政府機関として運営せられている国民金融公庫、中小企業金融公庫の両者及び商工組合中央金庫の活動も、当事者の異常なる努力にもかかわらず、中小企業者の満足を得るには、その投下資金量は著しく劣弱であり、ひいては相対的に貸出金利の割高も是正されるべくもないのであります。民間の中小企業専門金融機関もまた同巧異曲の体であります。
 以上の観点に立ちまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫の両政府機関を枢軸とする中小企業専門の金融諸機関の資金源の増強及び商工組合中央金庫の代理業務の拡大による機能の強化等をはかり、広く中小企業全般を潤し、あわせて金利引き下げの一助ともいたす必要があると存じます。さらに、零細企業に対する小口金融の梗塞を打開し、借り入れ手続の徹底的な簡素化をはかり、従来の対物信用偏重の弊をため、極力対人信用に重点を置くよう指導誘掖するの要があるのであります。そのほか、生命保険、損害保険会社の資金の中小企業への導入をはかるとともに、下請代金支払いの促進を強力に推し進め、諸般の施策と相まって、中小企業、特に零細企業の年末金融の障害を芟除いたしたいと存じます。(拍手)
 本案の趣旨を了とせられ、何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
#7
○副議長(杉山元治郎君) 討論の通告があります。これを許します。松平忠久君。
    〔松平忠久君登壇〕
#8
○松平忠久君 ただいま議題となりました中小企業金融年末対策に関する決議案に関して私は、日本社会党を代表して、賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 わが国の経済の発展は中小企業者と農民の犠牲の上に行われてきたのでありまして、わが党は、この資本主義経済発展の歴史的事実にかんがみまして、中小商工業者の味方として、その保護、発展に留意し、あるいは協同組織の強化、資金面の打開、租税の減免、あるいは有効需要の拡大、輸出の振興もしくは下請代金の支払いの促進等の実施に関しまして、各般の施策を促進し、不断の努力を払って参ったのであります。ことに、一、二年来、大企業の復興拡大、貿易の伸展を見るに至りましたが、その反面、中小企業が全く置き去りにされてきましたので、その現況にかんがみましてわが党は、中小企業対策特別委員会を設けて、過般来、慎重審議、幾多の検討を加えて、新たに画期的な中小企業対策を党議をもって決定、これを公表いたしました。本決議案に示された趣旨はわが党の政策の一部を取り入れておりますので、その意味において、本提案に対して賛成の意を表するとともに、その実施に関しましては、政府に対し、特に次の三点について、まずその注意を喚起したいと存じます。
 第一点は、本年当初の五カ年計画に示されたわが国主要経済の成長率が全く当初の予想に反して、各種鉱工業の生産指数のごとき、軒並みに二倍ないし四倍に伸びており、投資も予想外の活況で、政府の作ったところの五カ年計画なるものさしは全く無用の長物となったことであります。従って、資金計画のごときも、当初の計画は全く通用しないものとなっておることをまず認識して、大幅にこれを改めなければならないということであります。
 第二点としては、この一カ年の経済の発展に著しい凹凸があり、鉄鋼、電力、海陸輸送力に著しい不足を生じて、これが中小企業を著しく圧迫しておるほかに、エジプトにおける軍事行動の結果といたしまして、貿易、海運にそごを来たし、これまたその影響が中小企業に波及してきておるという事実であります。
 第三は、最近中小企業にも系列化が行われて、中小企業自体の中での優劣が現われ、不渡り手形の発生状況にもこれを見るのでありまして本年十月のごとき、一カ月に実に十五万八千枚に及んで、戦後最高のレコードを示しており、その額面がますます少額となっておるという事実であって、金融についても、いわゆる社会政策的考慮を加える必要が漸次増大しつつあるということを指摘しなければなりません。
 政府は、以上の現況を十分認識して、この際特に次の諸点について格段の努力を払うべきであります。
 第一は、政府関係の中小企業金融機関の資金量の画期的な増強であります。政府は、第三・四半期において、中小企業金融公庫に百十七億円、国民金融公庫に百八十五億円、商工中金に五百三十五億円、計約八百三十七億円を予定しておるようであります。しかし、この数字は、商工中金を除きますと、昨年度より約二十億の増加となっておりますけれども、前述のごとき主要経済指標の予想外の成長、また、一方に起っておるところのオーバー・ローンの傾向からいたしまして、昨年度より二十億円程度の増強ではとうてい間に合わないことは、わかり切っておる事実であります。現に、国民金融公庫に殺到するおびただしい借り入れ申込者の総額はほとんど一千億円に近い数字を示しておりまして、その資金量は、その反面、約五百億程度であり、また、中小企業金融公庫におきましても、約四百億円程度の資金の不足を来たしておる実情であります。従って、政府は、この際両公庫に対して資金運用部資金の貸付を行い、所要に応じて第四・四半期の繰り上げ貸付を認め、さらに、根本対策といたしましては、大幅に出資の増額を行い、必要があれば金融債の発行によって民間資金導入の道を開く等、所要の法律改正を考慮すべきであり、また、収益金の国庫納付制度を廃止して事業資金に使用できるように改正することも、あわせて考慮すべきであると存じます。なお、金融公庫が本年度に返済すべき借入金は三十億二千四百六十万円、利息十七億一千四百万円、中小企業金融公庫の借入金として返済すべき分は十四億五千四百万円、利子十二億七千八百万円でありまして、本年度増資を中止したために資金が不足しておりますので、これを埋めるためにも、その返済を延期して、その資金を年末貸し出しと年度末貸し出しに振り向けるように措置することが当然であることをつけ加えたいと存じます。
 なお、この際両公庫について一言したいことは、貸付条件の緩和と事務処理の敏速であります。普通銀行以上に厳重な査定を行い、莫大な担保を要求する等の非難は、世上ごうごうといたしております。また、職員の能力及び命令系統の不徹底についても非難のあとが絶えません。真に国民のサービス金融機関として徹するように深甚の注意を喚起し、あわせて、政府の積極的かつ十分なる指導を要望するものであります。
 第二は、政府資金の預託の復活についてであります。政府は、従来、中小企業専門の金融機関に毎年度相当額の政府資金の預託を行なっておりましたけれども、昭和二十九年度以降これを中止したことは、きわめて遺憾であります。大企業に対しては金融面、税制面で幾多の恩典を与え、そのリベートをねらっておるものもあることは御承知の通りでありますが、中小企業については、わずかばかりの預託の制度もこれを中止しておることは、あまりに不公平であるといわなければなりません。政府は、これが復活については、相互銀行の不正貸し出しの例を理由といたしまして難色を示しておるようでありますが、過般起ったところの不正融資のごときは、その理由を探求しますのに、政府預託の中止による資金の不足を補うためのひもつき預金の受け入れに走ったとも見られます。従って、この際政府預託を復活して、商工中金その他の銀行に対して少くとも三百億程度の預託を行うよう、特に要望するものであります。
 第三は、零細企業者に対する小口融資でありまして、現在金融ベースに乗らない零細企業者が激増しておりますが、これこそ、まさに政治の貧困と申さねばなりません。今日、小口資金の貸付制度は、国民金融公庫のほか、ほとんど見るべきものがない。わずか三万、五万の資金があれば一家をささえていけるような人々の更生の道が閉ざされており、不幸な立場に追い込まれたために社会不安を増大しております。まさに政府の責任であります。そこで、年末対策といたしましては、国民金融公庫の更生資金のワクを増大して、これら零細業者の貸付を強化し、恒久対策としては、たとえば、日掛制度を採用して一日ごく少額の日掛返済の能力があれば手軽に貸し出しのできるような、いわゆる社会政策面を織り込んだところの制度を設置する必要があります。応急の措置として、現制度を活用して、当初少くとも二十億円程度のワクを設定して、この貸付は、政府保証のもとに国民金融公庫の支所とか代理所等を通じて行わしめる等の方法を採用して年末金融に間に合わせるよう、ぜひとも政府のあたたかい配慮が必要であります。すでに引退を決意されておる鳩山総理も、せめてこの程度の措置を実現せしめて今まで唱えていた友愛精神が単なるお題目でなかったことを示していただきたいと思うのであります。
 以上のほか、生命保険、損害保険の余裕金の一部をとりあえず中小企業に貸付方の要望はすでに今春以来行われたのでありまして、政府は年末融資に間に合わせるよう積極的な努力を傾けなければならないにもかかわらず、今なお実現していないことは、一体いかなる理由でありますか。その誠意と能力を疑われても仕方がないと思うのであります。政府の深甚なる考慮を要求するものであります。
 最後に、過般、商工委員会におきましては、与野党一致をもちまして、商工組合中央金庫の資金の充実と金利の引き下げについて要望をいたしました。商工中金の第三・四半期分五百三十五億円は、昨年同期よりも約五十八億増になっております。しかし、前述の理由によって年末資金としては著しく不足をいたしております。同金庫をして中小企業等の協同組合育成の使命を十分達成せしめるためには、前述のごとく、これに余裕金を預託しまして金利の引き下げの根本的対策としては、相当大幅の政府出資の増額、商工債券の資金運用部資金の引き受け分の利率の引き下げもしくは一般会計からの利子補給等を真剣に考慮する必要があります。なお、組合金融強化のために、信用協同組合をして広く商工中金の代理業務を行わしめて、中小全業者への浸透をはかり、もって商工中金本来の使命を十分達成せしめるよう、積極的配慮が必要であります。(拍手)歴代政府の大企業偏重政策が災いしまして、常に中小企業は重い税金と金詰まりに苦しめられ、ことに、最近、貧富の懸隔が著しく、休業、倒産、みじめな生活にあえいでいる者が枚挙にいとまなく、階級分化を助長し、重大な社会問題となっております。すべての原因は政治の貧困にあります。
 私は、政府が十分の責任を痛感してこの際、わが国経済の中核体であるところの中小企業振興のために本決議案を誠実かつ急速に実施に移して、あわせて、すみやかに根本対策を樹立する要あることを警告して、本決議案に対する討論を終るものであります。(拍手)
#9
○副議長(杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際通商産業大臣及び大蔵大臣から発言を求められております。順次これを許します。通商産業大臣石橋湛山君。
    〔国務大臣石橋湛山君登壇〕
#11
○国務大臣(石橋湛山君) ただいま議決されました問題については、政府においても、かねて苦慮いたし、施策いたしておるところであります。たとえば、本年の年末金融につきましても、それぞれの金融機関に相当量の資金の増額をいたしました。たとえば、中小企業金融公庫においては、当初百億円の見積りでありましたのを百二十五億に増し、また、国民金融公庫におきましても、第三・四半期の貸し出しは百七十九億円を百九十五億円に増し、そのほか、それぞれ処置をいたしておりますので、もしもなおそれで不足ならば、第四・四半期の分を繰り上げて融資することもできると考えております。
 なお、恒久対策については、むろん、一そう十分に考えまして、資金量の増加その他をはかりたいと考えております。御指示に沿うて十分施策するつもりでおります。(拍手)
    〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#12
○国務大臣(一萬田尚登君) 中小企業金融の年末対策につきましては、ただいまの御決議の趣旨を体しまして善処いたしたいと存じます。(拍手)
     ――――◇―――――
 千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件
  (参議院送付)
#13
○長谷川四郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#14
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
 千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長前尾繁三郎君。
    ―――――――――――――
    〔前尾繁三郎君登壇〕
#16
○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 一九五六年の国際小麦協定は、わが国も当事国でありました一九五三年の国際小麦協定が本年七月効力を失いますので、これを修正、更新するために四十カ国によって署名されたもので、わが国も五月十五日署名を了しておりますが、来たる十二月一日までに正式の受諾を行えばよろしいことになっております。かような事情から、政府は早急に臨時国会において承認を求めておるものであります。
 この協定は旧協定の内容を大体踏襲しておりますが、輸出入保証数量の総計を旧協定の一千七十四万九千トンから八百二十四万四千トンに減少した点、及び、価格において最高及び最低基準をそれぞれ一ブッシェルにつき五セントずつ低下し、二ドル及び一ドル五十セントといたしました。この二点が相違しております。また、輸出国中にアルゼンチン及びスエーデンの二国が新たに参加いたしました。その他の点では新旧協定に大きな相違点はありません。また、わが国の買い入れ保証数量は通常輸入量の約半分に当る百万トンで、新旧協定で相違はありません。わが国がこの協定に参加いたしますれば、この量を、世界の需給事情の変化にかかわらず、一定の幅の中で安定した価格をもって買い入れることができることとなるわけであります。
 本件は、十一月十二日国会に提出され、同日予備審査のため本委員会に付託されましたが、二十八日参議院において承認の後本院に送付され、同日本委員会に付託されたのであります。
 本委員会においては、政府側の提案理由の説明を聞き、質疑を行い、また外務農林水産連合審査会を開き、審議を重ねましたが、その詳細は会議録により御了承を願います。
 次いで討論に入り、日本社会党戸叶里子君から反対の意を表明せられ、自由民主党石坂繁君から賛成の意を表明せられ、直ちに採決を行い、本件は、多数をもってこれを承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#17
○副議長(杉山元治郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
#18
○田中織之進君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件に対しまして、反対の意思を表明せんとするものでございます。(拍手)
 国際小麦協定は、一九四九年、小麦の重圧的な過剰及び破局的な不足が生産者及び消費者に対して与える深刻な困難を克服するために締結されたものでありまして、わが国は、ただいま委員長報告のありました通り、一九五三年の更新に当りまして当時の内外の食糧事情等を勘案いたしまして当事国としてこれに参加いたしました。わが国の年間輸入量二百万トンの半分の百万トンについて買付保証を行なってきたのでありますが、本協定が本年七月末をもって効力を失いますので、これに先だって、本年四月の二十五日ロンドンで招集された国際小麦会議において、従来の協定を修正、更新することになり、わが国は本年五月十五日にこれに現政府が署名したものであります。
 政府が本協定に参加いたします理由としてあげている点は、提案理由にも述べてあります通りに、わが国の小麦の通常輸入数量の約半分に当る百万トンの小麦を、世界の需給事情の変化にかかわらず、安定した価格で買い入れることができることによる経済的利益と、小麦事情に関する情報交換の二つでございまするが、まず経済的利益について検討して参りますると、外務省並びに農林事務当局の言うところによりますると、価格は一定水準、すなわち最低一ドル五十セントから最高二ドルの間で自由に取りきめられるのでありまして、価格は一ブッシェル二ドル以上にはならないという見通しの上に立っているのでございまするが、現実には、現在の小麦の需給関係のもとにおいては、この協定価格よりも下回る見通しが十分つくのでございます。
 一例を申し上げれば、本協定に参加していない英国が、一九五四年に五万九千トンを四百十万ドルで輸入いたしましたのが、一九五五年には、数量を約二万トン増加いたしまして、七万九千五百トンを前年度の約半額に近い二百六十万ドルで輸入しておるのであります。この中には非常に安いソ連産の小麦が含まれているのでございまするが、この間の事情につきまして、英国のザ・タイムス紙が、本年の二月の二十二日に次のような一文を掲げているのでございます。協定――これは国際小麦協定の意味でありますが――に入らなかった期間中安い小麦を買ったことは、すなわち小麦粉の価格が安くなったことを意味し、パンの補助金の形において支払われる税負担を何十万ポンドも軽減する結果になったことを意味する、こういうことをザ・タイムス紙は掲げておるのでございます。換言すれば、この一例によりましても、最近の需給関係では、国際小麦協定以下の価格で輸入できるということを私は実証していると思うのでございます。(拍手)ことに、近く効力を発生いたしまする日ソ貿易協定によりまして、安いソ連産の小麦を買い付けることも可能に相なるのでございまして、遠く海洋を渡って高い運賃を払って参りまするよりも、この関係の運賃の差だけでも安いものが今後日本に入り得る見通しが十分立つのでございます。つまり、政府が言うておるがごとき経済的な利益は、この協定に参加することによっては生まれてこないというのが、われわれが本協定に参加することに反対をいたす第一の理由でございます。(拍手)
 第二の反対の理由は、これらの外麦の輸入に伴いまして、内地の小麦生産、従って、日本の農業に対する重圧をわれわれは避けなければならないという点でございます。重光外務大臣は、本日の農林水産委員と外務委員の連合審査会におきまして、近く改訂を予想されますところの日豪通商条約におきまして豪州側は、日本を最恵国待遇といたす交換条件という意味におきましてわが方によるところの豪州小麦の輸入数量の増額を現在申し入れてきておるということを明らかにされたのであります。その数量は従来の十三万五千トンの約二倍に当りまする二十三万トンということでございます。さらに、先日アメリカの農務省の次官補が参りまして、第三次のいわゆる余剰農産物の日本への受け入れの交渉が行われたわけでありますが、これにおきまして、アメリカ側といたしましては、本年度の二十三万トンの倍以上の六十万トンの小麦の日本への余剰農産物としての輸入の希望を申し出てきております。わが国は、幸いに、昨年、本年と引き続いて米作が非常な豊作でございまして、わが国の食糧事情が著しく緩和されて参っておるのでございます。それにもかかわらず、政府が、毎年のように、小麦を中心といたしまして、輸入食糧を年々増額しておるということについては、実は根本的に検討しなければならぬ時期に遭遇いたしておると思うのでございます。(拍手)なるほど、食管特別会計におきましては、これらの安い小麦を輸入することによりまして、食管特別会計において百億円以上の差益金をあげております。さらに、余剰農産物の受け入れによりまする代金につきましては、八郎潟の開拓その他日本の開発のためにこの資金が使われるという利便はありましょうけれども、豪州やアメリカの小麦は御承知のように軟質の小麦でございまして、この点はわが国の農村において生産するものと同一品種であります。その意味において、著しく内地の小麦に対する圧迫という形を加えて参るのでございます。最近裏作としての小麦の作付反別が著しく減少しておるという傾向は農林当局も認めざるを得ないのでありまして、その意味における、いわゆる裏作の作付転換が大きな農林政策の重要課題になっておることも事実でございます。それにもかかわらず、この協定の審議過程を通じまして、農林当局におきましては、外麦によるところの内地の産麦に対する大きな圧迫を認めながらも、これをどう切りかえていくかということについては何らの具体的な対策を持っていないのでございます。従いまして、われわれは、協定による買付責任を持つことを考え直さなければならないというのが、われわれの反対の第二の理由でございます。(拍手)
 第三の反対理由は、政府がこの協定に参加する利益の第二にあげておりまするところの、小麦を中心といたします食糧事情に関する情報交換の便宜があるという点でございますが、わが国は別途FAOへも加盟いたしており、近く国際連合に加入することも実現の見通しを持っておるのでございます。さらに、世界の産麦地には日本の輸入業者のそれぞれのブランチがございまして、こうした小麦事情についての情報を収集する点については、別段この国際小麦協定に入らなければならないという必要をわれわれは認めがたいのでございます。
 以上、要するに、一九五三年の協定に参加した当時と内外の食糧事情が大きな変化を来たしており、今回の協定に当りましては、従来の四十五カ国の加盟国が四十カ国に減少いたしておるという事実も現われておる現在におきまして、この小麦協定に参加することによって高い外麦を輸入する責任をとらされ、それによって日本の農業を圧迫することは絶対に避けなければならないというのが、わが党の本案に対して反対する理由でございます。
 以上をもって私の討論を終ります。(拍手)
#19
○副議長(杉山元治郎君) 石坂繁君。
    〔石坂繁君登壇〕
#20
○石坂繁君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件について賛成をいたすものでございます。
 以下、簡単にその理由を申し述べますが、本協定は、国際的に小麦の需給を調整し、かつ価格を一定の水準で安定させるのが目的でございます。しかし、わが国においては、最近食糧事情も一般に好転いたしておりますし、また国際価格も安くなりつつあるので、必ずしもこのような協定に加入して買い入れの義務を負う必要はないではないかという議論もあるのでありますが、しかしながら、あらゆる事情を勘案いたしますときに、本協定に加入しておりますることが、わが国の小麦輸入必要量約二百二十万トンのうち、ここ数年間、その半額に当る百万トンの小麦の買い入れ量が保証され、一定の価格を安定させておくことになりまするので、食糧輸入国であるわが国といたしましては得策であると信ずるものでございます。(拍手)なお、また、あわせまして、この協定に加入することによりまして、小麦等の情報に対するその便利を受けることが決して少くないのでございます。(拍手)また、価格の点につきましては、今回の協定によりますると、前回の協定より最高最低ともに一ブッシェル五セントずつ安くなっておりまして、この価格は国際市場価格より高いものでないことは明らかでありまするし、また、国際価格も、近き将来においては、さほど変動を予見されないことが明らかでございます。
 田中君は、この協定に加入することによって、わが国が高い小麦を買うことが義務づけられることを指摘されて反対せられたのでありますけれども、この将来においての小麦価格の変動というものは、これは全く将来の見通しであります。結局におきましては、見解の相違と申さなければなりません。また、田中君は、英国がこの協定に加わらないことを理由といたしまして反対の説を支持されるのでありまするけれども、英国がこの協定に入りませんのは、この協定には余剰小麦等の処理に関する規定が欠けておる等の理由によるのでありまして必ずしも田中君が指摘されるような理由ではないと承知いたしております。(拍手)ことに、イギリスは、小麦産地であるカナダ及び豪州等をユナイテッド・キングダムの一翼として持っておる。かような事情でありますから、おのずからわが国の事情と違うのみならず、英国のうちにも、農民組合等はこの協定に加入することを希望しておるということを、私は承わっておるのであります。従いまして、イギリスの例を引いてこの協定に反対せられますることは必ずしも当らざる根拠であると申さなければなりません。(拍手)
 もっとも、委員会におきます審議の過程に徴しますに、大量の外国小麦の輸入がわが国の農業生産と競合し、ひいてはわが国農家経済の安定にも影響する結果とならないかという問題が取り上げられたのでございますが、このことは、実際に、政府の考えるような、しかく簡単な問題ではないのであります。わが国の農業政策上の重大な問題でございます。従いまして、政府といたしましては、このことについて常に真剣な注意をもって、わが国の農業生産と農家経済の安定に留意しつつ、農政全般の見地から、いやしくもわが国の生産を圧迫したり、あるいは消費面に悪影響を来たすことがないように、万全の措置をとられることを特に強く要望いたす次第であります。
 最後に、私は、本協定に賛成するに当りまして、特に、政府に対して、あくまでもわが国の生産及び消費の関係を基礎とし、わが国の食糧事情によりましては、本協定第九条、不参加または脱退の場合の調整、第十条、不作の場合または国際収支もしくは通貨準備の擁護が必要である場合の調整、第十一条、同意による保証数量の調整、第十二条、緊急の必要の場合の追加買い入れ等の規定を十分に活用いたしまして、わが国の実情に沿うよう特段の努力を払われるよう要望いたす次第でございます。
 本案は参議院送付でございますが、参議院においては別に反対もなかったようであります。社会党の諸君も参議院においては賛成されておると私は承わっているのであります。(拍手)こいねがわくば、社会党の諸君も本院におきましても賛成されまするように切望いたす次第であります。
 以上をもちまして私の賛成討論を終ります。(拍手)
#21
○副議長(杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律
  案(藤本捨助君外三十三名提出)
#23
○長谷川四郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、藤本捨助君外三十三名提出、医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#24
○副議長(杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員長佐々木秀世君。
    ―――――――――――――
    〔佐々木秀世君登壇〕
#26
○佐々木秀世君 ただいま議題となりました医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律案について社会労働委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。
 本法は、昭和二十八年第十六回国会において制定せられ、満州国、朝鮮、台湾、樺太等の地において医師、歯科医師の免許を受け、または診療エキス線技師及び看護婦の業務を行なってきた者で、昭和二十八年三月二十三日以降引き揚げた者に対し、引き続き内地においてもその業務を行い得るよう免許及び受験資格の特例措置を設けたのでありますが、この特例のうち、医師、歯科医師についての選考または特例試験による免許授与の措置は昨年末をもって期限が切れ、国家試験予備試験の受験資格を与える措置も本年末をもって期限が切れることになっているのであります。しかるに、日ソ交渉の妥結に伴い、なお当分の間はソ連または中共地区よりの引き揚げが予想される状況にありますので、今回、医師、歯科医師の選考及び特例試験の受験期限については昭和三十四年末まで、予備試験の受験期限については昭和三十五年末まで延長しようとするものであり、また、診療エキス線技師の特例試験及び准看護婦試験の受験期限についてもそれぞれ昭和三十五年末まで延長し、これらの引揚者をしてその道の職業に復帰でき得るようにしようとするのが、本法案提出の理由及び概要であります。
 本案は、自由民主及び社会両党の共同提案でありまして、十一月十九日本委員会に付託せられ、同二十八日提案者八田貞義君より提案理由の説明を聴取し、本日の委員会において審査を行い、質疑を終了した後、討論を省略し、採決に入りましたところ、本案は全会一致原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#27
○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#29
○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。
    午後七時十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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