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1956/11/30 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 内閣委員会 第2号
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1956/11/30 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 内閣委員会 第2号

#1
第025回国会 内閣委員会 第2号
昭和三十一年十一月三十日(金曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 山本 粂吉君
   理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君
   理事 高橋  等君 理事 保科善四郎君
   理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君
   理事 受田 新吉君
      大坪 保雄君    大村 清一君
      北 れい吉君    薄田 美朝君
      田村  元君    辻  政信君
      福井 順一君    眞崎 勝次君
      粟山  博君   茜ケ久保重光君
      飛鳥田一雄君    片島  港君
      下川儀太郎君    西村 力弥君
      細田 綱吉君    森 三樹二君
 出席政府委員
        人事院総裁   淺井  清君
        人事院事務官
        (給与局長)  瀧本 忠男君
        総理府事務官
        (公務員制度調
        査室長)    大山  正君
 委員外の出席者
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
十一月二十九日
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(石橋政嗣君外九名提出、衆法第四
 号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 薪炭手当の支給に関する陳情書(秋田県議会議
 長谷藤征得)(第三四六号)
 元満州国等日本人官吏に恩給法適用に関する陳
 情書(岐阜県議会議長松野幸泰)(第四〇二
 号)
 一般職の職員の給与に関する法律の一部改正に
 関する陳情書(宮崎県議会議長藤井満義)(第
 四〇六号)
 寒冷地手当の支給地域廃止に関する陳情書(長
 浜市長金沢薫)(第四〇七号)
 伊良湖水道に防衛庁の水中機器設置反対に関す
 る陳情書(桑名市議会議長鵜飼新一郎)(第四
 三〇号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(石橋政嗣君外九名提出、衆法第四
 号)
 公務員の給与問題に関する件
    ―――――――――――――
#2
○山本委員長 これより会議を開きます。
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより審査に入ります。まず提出者より提案理由の説明を求めます。石橋君。
    ―――――――――――――
#3
○石橋(政)委員 ただいま議題となりました、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由並びに内容の概略を御説明いたします。
    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕
 国家公務員に対しましては、夏季及び年末にそれぞれ期末手当及び勤勉手当が支給されておりますが、最近における民間給与、生計費その他給与に関係ある諸条件を考慮いたしました結果、年末に支給される手当につき若干の増額が必要であると認められるに至りました。
 そこで、財政その他の事情をも考慮の上、十二月十五日に支給する手当につきまして、期末手当の額を〇・五カ月分増額して一・五カ月分とし、勤勉手当とあわせて合計二カ月分を支給することといたした次第であります。
 なお、これが実施に要する経費は、約四十億円であります。
 以上が本法律案を提案する理由並びに内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げる次第であります。
#4
○宮澤委員長代理 本法案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#5
○宮澤委員長代理 次に公務員の給与問題について質疑の通告がありますので、これを許します。片島港君。
#6
○片島委員 給与担当の倉石国務大臣に先にお尋ねした方がいいのでありますが、なかなかお見えになりませんので、特に人事院から国会に対して報告及び勧告が参っておりますが、この人事院の勧告は、公勝負の給与問題としては最も権威のある人事院として、ここに提出をせられたので、今後公務員はもとより三公社五現業等についてもこれが一つの何かモデルみたいな形になるのではないかという感じも私はいたしますので、人事院のこの勧告につきまして、総裁に二、三お尋ねをしたいと思うのであります。
 このたびの人事院勧告は、一般職国家公務員の給与をよくしようというために作られたものであるか、あるいは現在の給与体系というものがよくないので、給与体系を変えるというふうな考えで出されたのか、どちらにこの重点があったのかということを、総裁に御説明をお願いいたします。
#7
○淺井政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、体系是正に重点を置いたか、改善に重点を置いたか、これは双方ともに重点を置いたのでありまして、全体としてごらん下さるようにお願いいたします。
#8
○片島委員 現在の十五級八十二号の通し番号を七等級に分類をせられておるのでありますが、この七等級にせられた理由は、たとえば十等級とかあるいは四等級とか、そういうわけにはいかぬので七等級というものが非常に都合がいい、こういうことなのでございましょうか。これはどういう理由でございますか。
#9
○淺井政府委員 七等級との仰せでございますが、これは俸給表によって違っていると思います。教員のごときはずっとそれより等級は少くなっております。ことに中小学校の教員は一つしかない状態でございます。これは俸給表によっておのおの違っておる、言葉をかえて申せば職種によってそれにふさわしいものになっておる。それから十五級と七等級を比較してどっちがよいか、これは報告の中にも詳細に書きましたが、現在の十五級制度においては頭打ち、ワク外等は非常にある部分に集積をして参る、それをやわらげる意味においては等級を少くする方がいいのじゃないか、そういう考え方で出ておるわけでございます。
#10
○片島委員 私は一般行政職の等級について言っておるのでありますが、ここに提出をせられておる資料の中から見ますと、七等級と現行職務の級との対照表というのがこれについております。私が、十五級が十等級とか五等級とかいうのでは工合が悪いのではないかということを特に申し上げましたのは、この表で見ますと、私は古い戦前の役所におりましたのでよく存じておるのでありますが、ちょうど昔も七等級あったのであります。勅任一等、勅任二等、それから奏任官で、書記官、事務官、それからたとえば現場にいきますと書記、書記補、雇用人、ちょうど昔の職務が七つあるのです。それを当てはめようとすれば、七つでないと工合が悪いようになるのです。この表を見ますと、一等が次官、長官、二等が局長、次長、部長、三等が課長、これは本省で、中央官庁です、四等が課長補佐、班長、五等が係長、六等が上級係員、七等が初級係員、こういうふうになりますと、昔あった勅任一等、二等、奏任官、書記官、事務官、書記、書記補、雇用人、これがちょうど七つになる。私はそういう意味で、どうもこれは七つでないと工合が悪いのじゃないか、今何もかにも復古調の時代でありますから、この公務員制度についても昔の制度をならえば非常にやりやすいので、これはそういうふうに分類せられたような感じがするのであります。でありますから、七等級がちょうど都合がいいのじゃないかと、こうお尋ねしたのであります。
#11
○淺井政府委員 そういう考え方は全然ないのであります。ただいまお示しになりました勅任何級、奏任何級というものは戦後の公務員制度における職務の級とは全然違ったもので、これは官でございまして、職ではございません。つまり人についておるところの階級であって、ただいまの公務員制度のように職についている階級とは全然違っておりますので、われわれといたしましては、一般行政職についてはただいまお示しのような七等級が適当であると思ったからいたしたばかりでありまして、別に復古調とかなんとか、そういうことは全然無関係でございます。
#12
○片島委員 何等級にどういう職務を当てはめるかというのは、人事院規則できめるのでありますから、これは実を言うと、七等級に分けても、どこにどういう職務の者が当てはめられるかということは、あなたの方であとで勝手にやられるわけなんで、実はここにあなたの方から提出をせられておる表で見ますと、ちょうど私が昔役所におりましたときのそれに相当する職務の人たちが、これにちゃんとはまっておるのです。だから、これは偶然かもしれませんが、大体七等級くらいがよかろうというのは、そういうような感じから出たのじゃないか、こういうように私は考えるのでありますが、これは七等級が手ごろであろう、こういうことでありますならば、こういう表を見ましたときに、私たちの懸念が払拭せられるような何らかのこれはほかのまた資料をちょうだいしなければ、私たちとしてはどうも昔のような形で行くのじゃないか。と申しますのは、七等級なら七等級で入りますと、この上の、これに書いてある職務に当てはまらない者は、たとえば七等級の者が一番最初から入りまして、一番最後の頭打ちまでいくのに十一年六カ月かかります。六等級になった者は十四年九カ月かかります。ずっとこれは上に通し番号でなくて横ばいの昇給ですから、五等級になった者は、五等級の一番最初から一番最後までいくと十九年六カ月かかるのです。五等級だけでずっと横に伸びていきますから、七等級から横に入り始めて六等に入って、六等からまた横に這っていくと、これは大へんなことになるわけなんです。でありますから、私はこういうふうなものを作られますと、今でも、たとえば今度の行政機構改革において課を廃止するとか――この前廃止はいたしましたけれども、実際は大した効果はおさめておりません。これは課長を作らなければいかぬとか、これは係長の数をふやさなければなかなか格上げができぬというようなことで、なかなか役人というのは賢いですから、それでどこにおいても課を作り、係を作って、役づきを作れば、少し等級を上げる理屈がつきます。そうでなければ理屈がつかぬのです。横ばいをずっとやっていかなければなりませんから、そういうことになって、かえって行政機構が複雑になっていく、これは一つの足がかりを作ったようなことになるのじゃないかと私は心配するのでありますが、行政機構改革の問題はあなたの方の関係じゃありませんけれども、そういう結果になりませんでしょうか。
#13
○淺井政府委員 第一の点にまずお答えいたします。この俸給表におきましては、だれがどの等級に入るんだということを人事院が勝手にきめるんだということでございましたが、なるほどその点は人事院規則できめまするけれども、どういうものがどこに入るかということは、あらかじめ人事院規則の案を作りまして国会へ提出してございます。多分お手元にあるんじゃないかと思っております。また各等級の基準というものも人事院規則できめますが、これも資料としてお手元へ出してあるはずでありまして人事院といたしましては、できるだけ科学的に合理的にやりたいと考えております。
 それからただいまの、機構が複雑になる、つまり上へ伸びないから、そこで課長をこしらえたり、係長をこしらえたりするということは、多少そういう懸念もございますが、ともかく局であるとか課であるとかいうものは、これは法律で押えられておるのであります。これは国会の監督のもとに置かれておる。ただ問題は係長のところなんです。これは係長のみが多少その懸念もありますが、これは現行法においてももちろんございます。これは結局この給与法の改正とは違った問題になるだろうと思っております。
 なおこの伸び方、俸給表では横へ伸びて何年かかるという問題でありますが、これは給与局長からちょっと補足させます。
#14
○瀧本政府委員 ただいま俸給表のお話が出たのでございますが、先ほど総裁からもお答え申し上げましたように、現在は給与法におきまして十五の職務の級という段階がございます。そうして各職務の級にそれぞれ俸給の幅が作ってあるのでございますが、この幅は非常に短かい。従って現在いわゆる一つの職務の級でずっと昇給していきまして、頭までつかえてしまって、頭打ちになっておりますとか、あるいはそれがあまり長くなりまする場合には、ワク外昇給制度が現行俸給表にあるのでありますが、その適用を受けまして、ワク外に出ておる者が非常に多いのであります。現在の俸給表の適用におきましては、ワク外頭打ちが非常に多い。そういう人が非常に不利な待遇を受けておるという状況があるのであります。従いまして人事院といたしましては、そういうことは適正ではないという観点から、大体職務の段階に応じまして行政職は七等級にいたす、そのかわり従来のような頭打ちワク外ということがないように、俸給表の幅を従来よりも三倍あるいはそれ以上に伸ばしましてそういう現象の起らないような配慮をいたしておるのであります。いろいろそういうことをやりまするのに、われわれは本年の三月におきまして、一般職職員の級号別人員区分というものをはっきり押えまして現在どういうふうになっておるかという基礎データによりまして、その俸給表の幅を定めております。今後はおおむねすべての人が頭打ちワク外にならずに俸給表を進んでいくことができるのではなかろうか、このように考えております。なおその懸念が多少ないとも限りませんので、先般の意見の申し出におきましては、勧告において言った以上に、さらにワク外昇給の制度を、制限つきではございますが認めておる、このようなことになっておりまして、今御指摘の上の等級の課長のポストをふやさなければどうにも給与が上らないから、こういう俸給表を作ることは上のポジションを多く作るような、すなわち機構の問題をより一そう困難な問題にする契機を与えるのではなかろうかという仰せがありましたが、給与問題は機構の問題に先行するものではございませんので、あとをついていって、その機構に適当なような給与を定めるということにあるのであります。われわれは、先ほども申しましたように、非常に幅の広い俸給表を作っておりますので、頭打ちワク外の現象も解消し得る、そうするならば、従来よりもそういうことに対する圧力と申しますか、それをよほど軽減し得るのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
#15
○片島委員 この俸給表に対して一般公務員が反対の態度を実はとっておるわけですが、私どもも、このたびの勧告は上に厚く下に薄い給与体系であると、いろいろな資料を調査をして、数字をはじいてみて、感じたのですが、総裁はどうですか。このたびの勧告は、従来の体系からいくと、また今度の、たとえば一号俸アップなどの措置は、上に厚く下に薄いということはお認めになりますか。
#16
○淺井政府委員 さようには考えておりません。ちょっと給与局長から技術的に補足させますから。
#17
○瀧本政府委員 俸給表の体系が上に厚く下に薄いのではないかというお話でございまするが、今回の俸給表作成に当りましては、いわゆるベース・アップという観念をとっておらないのであります。なるほど今回の勧告におきまして、民間とのバランス等も考慮して給与改善はいたしております。しかし俸給表そのものにつきましては、その水準を変えるということをいたしておりません。従いまして、現在の俸給表を整理いたして、新しい体系に移らせておるのでありますから、その限りにおきまして、上を厚く下を薄くということにはなっておらないのであります。ただもし懸念が生じますとすれば、それは今回の俸給表におきましては、二等級の昇給期間を一年半にいたしております。従いましてこれはその間差が一年半分になり、六等級、七等級におきましては昇給期間が六カ月でございますから、その意味からいっても上の方は三倍になっているのではないか、そうして今回人事院のいっておるところの一号調整ということをいたすならば、確かに上の方が三倍の処遇を受けることになり、下の方は三分の一くらいしかないから、これは上の方が非常に厚くなるのではなかろうかという御懸念でありますが、それも意見の申し出をいたしました際に、付属資料として、説明資料といたしまして差し出してあるのでありますが、切りかえに当りましては、現在の俸給表におきましておおむね一号俸が三・八%ということがありますので、三・八%を一号俸昇給することによってこえるような人人につきましては、昇給延伸の措置をとりましても、おおむね三・八%という線を一応の目途といたしておるのでありまして、これが切りかえに当って直近上位をやるときにも同様の問題も起きますので、これは二%ということでわれわれの切りかえに当りましては、おおむね五・八%ということを一応の目途におきまして、それよりも切りかえに当って非常に厚い待遇を受ける者につきましては次期昇給を延伸する。またそれに足りない者につきましては、次期昇給を短縮するというような処置によりまして、おおむね上下、バランスをはかっておる。このような状況であります。
    〔宮澤委員長代理退席、保科委員長代理着席〕
#18
○片島委員 それは意見書として、あとからいろいろ苦情が出たからそういうふうにやられたか知りませんが、やはり一号アップというものも一番最初から五%なら五%でけっこうですが、それによってたとえば一年間なら一年間ということによりまして、下の方が、六等級、七等級は二号上る。上は上らない、あと半年待たなければ上らない。こういうふうなことになって、当然新しい俸給表というものが正しいとするならば、直近上位のさらに一号アップというような形をとらないで、またあとから昇給期間を延伸するといったところで、一号アップというのは少くともこの瞬間はアップなんですから、一ぺんに給与が上るわけなんですから、あとでどうするこうするということでなくて、その場ではっきりしておかなければならない。あすやめる者もおりますからね。やめる人がおっても、この人が恩給を受ける人であれば、一号アップをもらえば、それが恩給を受ける基礎になる。でありますから、たとえば十五級未満とそれから新しい二等級の八号になりますか、それでみると、約一割上る。五万五千円が五千五百円も上っておる。だから一割上っておるのが、下の方になると三分くらいしか上らない。こういうのが出てくるのです。それを今、このままアップしてしまって、あとで調整するということではなくて、一番最初から、これだけは瞬間的にアップですから、そのときにすでに下の方は二号俸上げるが、上の方はまだ上げるのを半年だけ延ばすとか、こういうふうな形をとらないと、今度の新しい給与体系というものは正しいものにならぬ。それと、今私が上厚下薄であると申し上げましたのは、たとえば七等級の十五号の者は九カ月で二百七十円しか上らない。五の十五は九カ月で七百五十円上る。上の方はずっと上る。等級さえ上ればどんどん上っていくが、等級の上らない人たちは非常に困ると思う。上役ばかりたくさんおる官庁はいいでありましょうけれども、現場みたいな、要するに労務者といったような形のものを非常にたくさん使うところ――五現業は別でありますけれども、大体これは一つの基準になると思うのでありますが、あなたの方から考えるならば、たとえば今の五現業が公企労法の適用を受けなかったとすれば、やはりこれは適用されたでありましょうが、現業あたりをたくさん持っておるところは、七等、六等というようなところになかなか上れぬだろうと思う。六等から横ばいばかりしておって、いつまでたっても昇給がおそい。それからまたこれは改善になるということを言っておるけれども、現行より不利になるというのは、たとえば七等級の十五は二百七十円上る。ところが現行でいくなら六カ月で上る。六等の二十号でいけばこれは九カ月で、四百二十円上る。でありますが、現在では六カ月でそれだけなら上る。五等の十九というところをとってみると七百五十円、これが新しいのでは一年かかるのであるが、現行では九カ月、こういう点はこれは現在の既得権を侵害するような形になってくるのではないか、現在であるならば上れるのが、新しい体系のために延伸されるということになれば、これは既得権の侵害になるのであります。その点はいかがですか。
#19
○瀧本政府委員 ただいまのお話でありますが、給与改善をいたしますために、上厚下薄にならないために、たとえば全体について五%一律に上げるというような方法があるじゃないかということでありますが、そういう方法もあります。そういう場合には、たとえば現在の俸給表でありますれば、通し号俸でありますので、その表をそれぞれ各号俸について五%ずつ増額いたしてやるということも考えられるわけであります。ところが今回人事院がやりました方法というのは、そういう方法でなくて、あくまでベース・アップはやらない、しかしながら給与改善をする、こういうことであります。従いましてわれわれは今回の給与改善におきましては、まず等級が整理されますために、上の高級の仕事をやっておる、しかしながら給与が低いという人が整理の結果飛び上るような場合が起きてくるわけでありますから、そういう人と現在おります者との均衡をはかる必要がある、そういうことからだんだん均衡をはかるという意味で一号調整というような問題を起しておるのでありますから、人事院の考え方から申しますならば、今回勧告いたしましたような方法によらざるを得ない、給与改善の方法としてはいろいろあり、御指摘のような方法もあり得るわけでありますけれども、人事院としてはかような方法をやっておりますので、今回のような方法をとったということになるのであります。上に上れない、いつまでたっても下をはっておるという意味のお示しもございましたが、現在でも給与の級というものは必ずしも現在その人がやっておりまする職務の困難あるいは責任の程度と密着いたしておりません。しかしながら大体は平行しておるのであります。しかしぼやけておるところが非常に多いのであります。そういうところも、今回はわれわれは現在の同じような職務をしておる人に適用されております職務の級、それがかりに三つありますならば、その三つを平均するというやり方によりまして新しい制度に乗り移っていくということをいたしたのであります。従いましてこの新制度に移ったから、上にいけないという意味ではないのでありまして、むしろ新制度に乗り移るならば、現在のように個々の人をとらえてみれば有利な人もあるし、不利な人もあるかもしれないということが、平均化されるということになるので、公平の観点から考えてみてもよいのではないか、このように考えております。たととえば昇給が現行制度であればこういうふうであるが、新制度であればこういうふうにおくれるというようなことを例示なさいまして、御質問があったわけでありますが、この点につきましても、われわれは全体を平均化するのでありますから、全体として見ますならば、これは昇給の速度というものを落すものではない、むしろ薄給者を遇する点におきまして若干昇給速度は全体からみれば上っておる、こういうことになるのであります。現在ならば非常に有利なところを通っていく人もおるかわりに、非常な不遇な処遇を受けておる人がある。同じ職務に従事しておる人もあるのでありますから、この新しい制度によってそれを平均化しようということでありますから、これは既得権の侵害にならないのではないか、このように考えております。
#20
○片島委員 それではなんですか、あなたの今のようなお話でいけば、これは数字をはじいてみたのでありますが、新しい体系に乗りかえた場合はしばらくはいいのです。三、四年は今よりみないいのですが、ところが五年、六年、七年たっていっても損にはならぬということですか。私が調査したのでは、年数がたっていくと、今の給与体系の方がいいという結果が出てきておる。上れない職場を持っておるところにおいては、特にそういう点が著しいのです。そういう点はいかがですか。
#21
○瀧本政府委員 先般の参議院の内閣委員会におきまして同様の御質問を受けました。それで新制度における平均的な昇給曲線と申しますか、それと現在の俸給表の適用を受けております場合の平均的な昇給曲線というものを一つ図示してくれろ、そうしないとどうも、今片島委員からお話がございましたように、先が悪くなるのではなかろうかというお話があったのであります。われわれの方といたしましては、それでグラフを作りまして、提出いたしております。これは衆議院の内閣委員会へも提出いたしたいと思っておりますので、それを提出いたします際に、次会にでもいつでも御都合のよろしいときに説明させていただきたい、このように考えております。それで今のお話の中にはいろいろ仮定が入っておるのではなかろうかと思うのであります。現行制度がいいとおっしゃるのでありますが、たとえば昇給原資は不自由せぬだけ十分にある、あるいは級別定数の改訂で毎年々々職務の給与を上の方を増して下の方を削っていくことができるのであるというような、いろいろな仮定がそこに入って参りますならば、これはまた話が複雑になるのでありますが、新制度と現行制度とを同一の仮定のもとに立ってわれわれは比較表を作っておりますので、これは次会にでも十分説明させていただきたいと思います。今お話のような懸念はわれわれとしては持っておりません。
#22
○片島委員 あなたの方でこの体系を作られる場合には、たとえば昇給原資がどのくらいに押えられておるから、それに合せるような給与体系、こういうことを考えてもらっては困ると思うのです。昇給原資というものは、そのときそのときの政府の方針によってきまりますが、昨年は五・何%、今年は四%、来年はまた下げよう、昇給原資を押えようかという話さえある。私はこれは倉石さんかあるいは大蔵大臣の方に聞こうと思うのですが、鳩山総理は本会議でこの前の所信表明のときに、国民所得が一〇%昨年よりも上昇した、こういうことを言っておる。ところが経済五カ年計画では、国民所得は今年は四%くらいの上昇と見ておったわけなんです。大体四%の上昇を見込んだからというので、公務員の昇給原資も四%に押えた。ところが鳩山さんが得意がられるように国民所得の上昇が一〇%増になった、そうすると、国民所得の構成には国家公務員の所得も入れてもらわなければ、私は公務員は気の毒だと思う。そうすればこれは本年の国民所得が一〇%増になっておるならば、四%しか昇給原資を見込まなかった政府としては手落ちがあったから、国民と同じ並みに差引の六%を今年の昇給原資として補正予算に組んでもらう。これはこれだけは取り残されたんですから、国民所得の増の恩恵を受けなかったわけで、本年度当然六%の補正予算を組まなければならぬ。来年度は落すところではなくて、一〇%の昇給原資を新しい年度の予算には編成してもらわなければならぬ。今日は大蔵大臣に来てもらおうと思ったのですが見えないので、私はこの次に質問しようと思いますが、現在昇給原資が潤沢にできるとかできないとかという政治的な配慮は別として、人事院としてこうあるべきであるというようなところでこの体系は作るべきであると思うのですが、どうでしょうか。
#23
○瀧本政府委員 おっしゃる通りでございまして、われわれは特に昇給原資にこだわってこの比較をいたしておりません。従いまして、これは資料をお目にかければそのときにはっきりすると思いますが、おおむね良好なる成績をもちまして勤務いたしておる場合には、通常の期間で昇給する、そういう前提におきまして、新制度とそれから現行制度とを比較するというようなやり方をとっております。
#24
○片島委員 今私が申し上げたことに関連して総裁にお尋ねをしたいのでありますが、総裁の方では、物価が横ばいであるとか、生活費の支出がどうであるとかいうことをこの中にうたっておられるのでありますが、今年の七月の勧告書で、民間との開きが一一%あるということを述べておられるし、同時にまた物価指数とか、生活費の問題のみではなくて、一般の国民所得というものも参考にして給与改善を考えていかなければならないと思います。たとい物価の上昇が横ばいであっても、一つも上らなかったとしても、一般の国民所得が一〇%増加した場合においては、国家公務員についても一〇%の増加を認めてやるべきだと思うのでありますが、総裁はどうですか。
#25
○淺井政府委員 人事院の給与に関する勧告、言葉をかえて申しますれば、人事院が給与についてどのような決定をすべきであるかということは、公務員法に書いてあるのであります。それは第一には民間賃金との比較、第二には生計費その他の要素ということになっております。御説ごもっともでありますが、まず第一に考えるべき点は、人事院といたしましてはやはり民間賃金と生計費であろうと思っておりますから、そこに重点を置いて勧告ができておるように考えております。
#26
○片島委員 民間賃金との開きが一一%、この一一%という場合でも、またいろいろな要素を考えた場合には六%だというようなことがちゃんと書いてありますが、しかし平均して一一%であります。それから物価、生活費こういうものがうたってある。その他の要素ということを言う場合には、一般に国民所得が非常に増加するような場合には、やはりそれと歩調を合せるようなことをやらなければならないので、その他の要素といっても、場合によってはまことに虫めがねで見なければならぬような要素がある場合があり、非常に大きく取り上げなければならない要素も出てくると思います。でありますから重点をどこに置くかという場合には、生活費とか物価を重点に置けばよいというのではなくて、虫めがねで見るような要素はもう顧みないが、しかしその他の要素であっても非常に大きなパーセントを占める場合には、当然これを大きく見て、あなたの方では給与の問題を考えていかなければならぬと思うのでありますが、どうですか。
#27
○淺井政府委員 これは意見の違うところでございますが、人事院といたしましては、その報告書に書きましたような要素によるべきであろうと思ってやったわけでございます。これ以上申しましても、これは御意見の違いもあると思いますが、しかしそこに民間賃金との比較が一一%になっておるということは、これは決して虫めがねで見るべき問題ではなくて、これは非常に大きな問題だとわれわれは考えております。
#28
○片島委員 その一一%を重く見れば、ベース・アップを私はやるべきであると思います。しかしあなたの方で、学歴とか年令とか勤続年数とかいろいろな要素を見て一一%というのか、実は六%くらいにしかならないのだというようなことも言われて、それでわずか六%というところで、ベース・アップによらないで――給与体系の改善とは私は考えていませんが、とにかく給与体系を変更した、こういうことになっておる。しかし一一%ないし六%という民間との開きと同様に国民所得が昨年よりも一〇%増加をしておるという事実は、これはまた同時に虫めがねで見てはいかんので、ここの報告に書いたから――私は報告が正しいのだということではなくして、悪かったなら直してもいいのですから、私はやはり国民所得の上昇というものも大きく取り上げるべきであると思うのでありますが、これに取り上げてないから意見の相違だとは言い得ないので、取り上げるべきものじゃありませんでしょうか。
#29
○淺井政府委員 御説でございまするけれども、国民所得をどういうふうに配分するかということは、給与問題を担当いたしております人事院としてはこれはできかねると思います。
#30
○片島委員 私はだから実は担当国務大臣にお尋ねしようと思ったのですけれども、あなたの方もやはり民間との関係とか物価だけでなく、ここに資料はあるのですから、この資料が、各関係主管庁から取り寄せて、自分のところで調べた資料ばかりでなく、公然と総理大臣が本会議で発表せられるような確たる数字が出ておるわけなんです。そういう数字は、人事院としては、これはわれわれが知る必要のないものだというわけではなくして、その他の要素として、これは取り上げるべきではなかろうか。人事院としては、そういうことを知らぬでは私は済まぬのじゃないか。これは何も隠してある数字じゃないのですから、はっきりと公表せられておる国民所得の上昇というものも、給与の場合には取り上げるべきではなかろうか。
#31
○淺井政府委員 お言葉ではございまするけれども、人事院としては、やはり給与担当の立場しかとれませんので、その取り上げる要素は勧告にある通りのものをもって適当と考えております。
#32
○片島委員 これはどうもあなたの方も権限がないし、そうしてまたこれ自体が政府の方で取り上げるかどうかも実は非常に不明確でありますが、これ以上あなたに追及してもいたし方がありませんから、私はこの問題は次の機会に譲りたいと思います。
 実情は御承知でございましょうが、三公社五現業におきまして、今いろいろな給与問題について進行いたしておるのでありますが、それと関連をして一般公務員は何らかの措置をやはり人事院としてお考えになっておりますか。
#33
○淺井政府委員 これはつまり人事院勧告を実現するということにわれわれは考えております。
#34
○片島委員 人事院勧告の骨となっておりますのは、この七等級にした給与体系というものに変更したいということが一番の大きな問題でありまして、今三公社五現業におきましては、たとえば年末手当の問題もありますし、それから給与のアップの問題も出ておるのです。あなたはベース・アップはやらなかったのだと言っておるが、しかしアップという問題が、その調停案を論議をする過程におきまして、現実に出ておるわけです。だからそういうこととは関係なく、あなたの方はこの案を出されたのでしょう、でありますからそういう今の三公社五現業の動きと国家公務員の給与との問題をどういうふうに考えられるか。
#35
○淺井政府委員 人事院は決して給与体系を是正するだけにとどまっていないのであります。なるほどベース・アップという形式はとっておりません。ただしここで私がベース・アップというのは、俸給表の号俸の金額を増額するという意味のベース・アップであります。これは人事院の今度の勧告では取り入れておりません。しかしながら給与改善ということはこの勧告の骨子になっておるとわれわれは思っております。この給与改善の結果、給与水準は約六%上昇いたします。この点においてこの給与水準の上昇ということも、人事院といたしましては勧告の骨子であろうと考えます。
#36
○片島委員 この勧告がいつどういう形で処理せられるか未定でありますが、これがかりにこのままあるいはこれと非常に近い形で実施せられるとすれば、非常な重要な問題になりますので、現在の十五級八十二号の号表を新らしい勧告で切りかえた場合に、どういうふうな形になってくるか、その対照表を一つ資料として出していただきたいと思いますが、これは全部できておりましょうか。
#37
○淺井政府委員 それはすでにできておりまして多分お手元へ出してあるはずでございます。切りかえの措置の細目でございます。
#38
○片島委員 細目でなくして、たとえば現在の十五の一は今度新らしい勧告では二の八にする、これは何にするかわかりません。下の方ではランクが違ったところに数字がありますから、どれを持ってこられるかわかりませんが、しかしあなたの方ではおわかりでしょう、大体それをどこへ持っていこうというのか、たとえば直近といいましても下のランクにある直近もあれば、上の直近もありますから、それを全部当てはめた場合に、局長、次長が十五の一が二の八になって直近に切り上げれば約一割の値上げになる、こういう差額の対比、それを一つ作っていただきたいと思います。
#39
○淺井政府委員 それは一覧表のようにしてこしらえてありますので、これもお手元に出してあるはずでございます。
#40
○片島委員 それではよく調べてみましょう。この点はそのくらいにいたします。
 なお私は、人事院の勧告だけをいってみてもしようがないから、残部につきましては関係大臣に来てもらい、人事院にも陪席をしていただいて質問を続けたいと思いますから、人事院の関係は一応これて打ち切っておきます。
#41
○保科委員長代理 ではこの際午後二時まで休憩をいたします。
    午前十一時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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