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1956/11/29 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
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1956/11/29 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号

#1
第025回国会 大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
昭和三十一年十一月二十九日(木曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
  大蔵委員会
   委員長 松原喜之次君
   理事 有馬 英治君 理事 小山 長規君
   理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君
   理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君
      淺香 忠雄君    奧村又十郎君
      内藤 友明君    前田房之助君
      山本 勝市君    井手 以誠君
      井上 良二君    石山 權作君
      木原津與志君    田万 廣文君
      横路 節雄君    横山 利秋君
      石野 久男君
  農林水産委員会
   委員長 村松 久義君
   理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君
   理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
   理事 芳賀  貢君
      足立 篤郎君    安藤  覺君
      楠美 省吾君    小枝 一雄君
      鈴木 善幸君    綱島 正興君
      原  捨思君    本名  武君
      足鹿  覺君    淡谷 悠藏君
      井谷 正吉君    小川 豊明君
      川俣 清音君    田中幾三郎君
      中村 英男君
    ―――――――――――――
 出席政府委員
        法制局次長   高辻 正巳君
        法制局参事官
        (第三部長)  西村健次郎君
        大蔵政務次官  山手 滿男君
        大蔵事務官
        (主計局長)  森永貞一郎君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 宮川新一郎君
        食糧庁長官   小倉 武一君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計局法規課
        長)      中尾 博之君
        農林事務官
        (食糧庁総務部
        企画課長)   中西 一郎君
        大蔵委員会専門
        員       椎木 文也君
        農林水産委員会
        専門員     岩隈  博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度
 等の特例に関する法律案(内閣提出第二号)
    ―――――――――――――
  〔松原大蔵委員長委員長席に着く〕
#2
○松原委員長 これより大蔵委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。
 私がこの連合審査会の委員長の職務を行いますから御了承を願います。
 昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度等の特例に関する法律案を議題として質疑を行います。
#3
○松原委員長 質疑は通告順によってこれを許します。芳賀貢君。
#4
○芳賀委員 まず最初に当局からこの法案提出に至った提案の趣旨を御説明願いたいと思います。
#5
○宮川政府委員 御質問の点でございますが、まず第一に、食糧管理特別会計におきまする食糧証券の発行限度を引き上げる必要を生じましたのと、先般の北海道冷害その他風水害によりまして、農家によると相当激甚な被害を受けまして、概算金の返納をいたさねばならない農家が相当ある。これに対処いたしまして、御承知のように特約でもって、概算金の返納ができない場合には二銭五厘の利息をつけて食糧管理特別会計の方に返済することになっておりますのを、被害の程度によって、あるいは全免あるいは軽減の措置をとろう、こういう趣旨で御提案申し上げた次第であります。
#6
○芳賀委員 そういう抽象的な趣旨ではなしに、結局借り入れ限度を引き上げるということは、食管特別会計の内容に対して変化があるということになると思うのです。ですから、歳入歳出面においてどういう見込みが生ずるから借り入れ限度の引き上げの必要が生じた、そういう数字に基く具体的な内容を御説明願いたいのです。
#7
○宮川政府委員 三十一年度予算成立の際の見込みによりますと、食管特別会計の借入金は、ピーク時を十二月末と予想しておりますが、現在食管特別会計法に規定されております借入金の限度の三千五百億円以内でおさまるものと見込まれていたのでございます。ところが御承知のように、その後三十一年産米の買い入れ数量が当初見込みをかなり上回りました。当初二千三百五十万石と見込んでおりましたのが、二千八百万石という数字になりました。それから輸入食糧の到着数量は、上半期において約四十六万トン増加いたしましたほか、食糧証券償還費において三百七十億円減少するというような増減の要素がございまして、十二月末までの歳出が三百九十六億円増加する見込みである。他方外米、農産物等の売却数量が減少することによりまして、十二月末までの歳入が三百五十四億円減少する見込みでございます。従いまして、借入金は歳入歳出合せて七百五十億円増加いたしまして、四千二百五十億円になるものと予想されるようになっております。従いまして、これに若干の見込みを見まして、四千五百億円に改正いたしたいという事情でございます。
#8
○芳賀委員 今の説明によると、結局国内の食糧の買入れが、当初の二千三百万石に対して二千八百万石、これは生産が増加して買い入れ数量がふえるということは必至な事態です。それでお尋ねしたい点は、外国食糧の買入費がふえたということの内容、それからもう一点は、農産物価格安定法に基く主要農産物の買い入れの関係に対しての説明が落ちているわけですが、その点はどうですか。
#9
○宮川政府委員 第一の点は、去年輸入する計画になっておりましたのが、ずれまして、今年の上半期に輸入されまして、それで輸入食糧がふえたという事情でございます。
 第二の点は、ちょっと私聞き漏らしましたので恐縮でございますが、もう一度お願いいたします。
#10
○芳賀委員 第二点は、農産物価格安定法という法律があるのは知っておるでしょう。それに基いて、重要農産物の買い入れ費というものが特別会計の中に計上されておる。その面に対しての変化はあるかないかということを聞いておるわけです。
#11
○宮川政府委員 特別の変化はございません。
#12
○芳賀委員 変化がないということはないでしょう。
 それでは関連して食糧庁長官にお尋ねしますが、たとえば澱粉の買い入れの問題等に対しても、もう買い入れ費は使い果してないということを先般の農林委員会で言われたわけですね。ところが現実の事態というものは、やはり早期に政府が澱粉等の買い入れを行わなければ、政府の定めた買い入れの基準価格に達しないというような状態になっている。その場合は、どうしても食管特別会計の予算内容を変更しなければ、農産物価格安定法の趣旨に沿うような行為ができない事態になっておるのですが、これをやる場合に、なぜそういうことをやらないのですか。
#13
○小倉政府委員 米麦以外の農産物価格安定法等にあります農産物でございますが、これに対する関係については、全体の金額と比べてその占める割合が少いので、大局には特別に重要な影響はございませんが、それだけに限って申しますと、農産物等の買い入れ費につきましては、約三十八億の減でございます。一方、売り払い費におきましては、予算と比べて九億の減ということになっております。買い入れ費の減につきましては、これは澱粉については今お話が出ましたように、予算一ぱい買っておりますが、菜種等については買い入れをやっておりませんので、その関係等のものが歳出の減ということになっております。大体はさような事情になっておるのであります。
#14
○芳賀委員 そうすると、農産物買い入れ費の中において、菜種等の買い入れの必要のないものは歳出の減という形で落してしまって、澱粉等緊急事態によって買い入れをしなければならぬものに対しては、予算がないから買わない、そういう消極的な考えで今後も対処するのですか。
#15
○小倉政府委員 ただいま申しましたのは、そういう意味で、たとえば菜種の買い入れがなかったから、それに見合っている予算をすべて落してしまうという意味で申し上げたのではございません。特別会計全体の収支から現在の借り入れ限度でどの程度不足するか、こういう推算のための基礎でございまして、従いまして、澱粉について申しますと、農産物買い入れ費全体といたしましては、なお相当の余裕がございますので、現在の予算の範囲内で相当程度のものが買い得る。もちろん移用、流用というようなことはございますけれども、そういうことでございまして、その余力をここでなくしてしまうというつもりではございません。
#16
○芳賀委員 この借り入れ限度の引き上げは、結局七百五十億行われるわけですが、主たる理由としては、増産によるところの米の買い入れが二千八百万石程度になる、それから外国の輸入食糧に支払う代金がふえることになる、ですから、あわせて全国的に問題になるカンショ、バレイショ、澱粉等の市場価格が政府の支持価格より非常に下回っておるわけです。やはり政府の定めた基準価格に達するまでは、これは無制限に買い上げを行なって価格を支持するというのが農産物価格安定法の精神だと思うのです。それを予算がないということを理由にして今日行なっていないわけです。ですから、食管会計の中においてこのような借り入れ限度の引き上げを行なって運営を充実させるという場合においては、当面した事態に対しても一定の見込みを立てて、農産物買い入れ費に対しては、こういうふうにこれを是正するというような計画は当然持たるべきものであると考えられるわけです。ですから、そのことをもう少し具体的に述べてもらいたいのです。
#17
○小倉政府委員 今回借り入れ限度の増額をお願いいたしておりますのは、食糧特別会計の借り入れの限度がいつも最高に達しますのは十二月でございますので、その十二月の収支の状態がどうなるかを見まして、そこで必要な借り入れ限度の額を見ますと、現在の借り入れ限度の額から見まして約七百五十億限度の拡張が必要である。つまり、ただいまお話しのような七百五十億に当るわけでございますが、われわれの見込みが必ずしも正確ではございませんし、ピークが必ずしも十二月末ではございませんけれども、十二月の二十日といったようなところがむしろピークであるというのが、どうも通常のようでございます。そういうこともありますし、あるいは十二月末までに収入になると思ったのが一月になってずれるというようなこともございますので、そういう点についての若干の余裕を見まして、一千億の限度の拡張が必要である、こういうことでございます。
 そのことは、ただいまお話しの澱粉の買い上げの問題とは趣きを異にしておるのでございまして、ただいま澱粉を買う予算を使ってしまっているから、ことしの澱粉の買い上げができないということではございませんので、先ほど申しましたように、農産物の買い入れ費についての余裕がございまするし、なおもっと広く申しますれば、他の会計からの流用ということも不可能ではございませんし、御承知のように、澱粉の価格安定に必要な数量は、本年度内にも買い入れるという準備をいたしております。予算の都合で買い入れをいたさないということではございませんので、その点は御了察を願いたいと思います。
#18
○芳賀委員 私の聞いているのはこういうことです。具体的に歳入歳出面において当初計画に変化が生ずるでしょう。変化が生じたから借り入れ限度を引き上げなければならぬという事態になったのでしょう。その場合の説明として、国内の食糧の米の買い入れ数量がふえたことが一点と、それから外国食糧の輸入の買い入れ代金が上半期の分において当初計画よりも増加しているという点、この二点だけが歳出の増という理由になっている。ですから、そういうような買い入れ面における歳出の増が見越される場合においては、当然澱粉等の買い入れに対する当初計画の変更というものはする必要はないのですか、最初の計画通りでいいというお考えかどうか、その点を聞いているわけです。
#19
○小倉政府委員 これは、お話のように非常に精細に申しますれば、内地米でどうとか、麦でどうとか、また外国食糧の中でも、小麦でどうとか、大麦でどうとか、あるいはテンサイ糖でどうというようなことが、一々全部、当初の予算の見込みとそれから現段階における見込みと違いを見まして、それによって差引どの程度の借り入れ限度が必要であるか、こういうことになるわけです。私ども一応そういうことは当っておるわけでございます。そういうことをやった上で、この借り入れ限度の拡張をお願いしておるわけでございますが、そのことは借り入れ費と買い入れ費の当初の予算を実は変更するということは必ずしもないのでございまして、当初見込んでおりまする農産物借り入れ費がございますが、その歳出源は依然としてあるわけでございます。ただ借入金の限度を見まする場合に、当初買う予定にしておったものが買わぬで現在まで済んでおるというその事態は、これは当然借入金の必要の限度を算定する場合に考慮しなければならぬ点でございますので、そういう点で考慮しておりますので、減ったからそれは減りっぱなしにして歳出源をそれだけ減らすということではありません。
 今の澱粉のお話でございますれば、既定の歳出源の範囲内で相当量のものが買える、こういうことでございます。
#20
○芳賀委員 それじゃ具体的にいって、今後澱粉の買い入れをやる場合はどのくらい予算上の余力があるんですか。
#21
○小倉政府委員 これはもう御承知の通り、澱粉の買い入れにつきましては、ほかの農産物価格安定法についても同様でございますが、現在の需給の状況から見て、先般定めましたカンショ、直接には澱粉でございますが、その澱粉の価格安定に必要な数量がどの程度になるかということは、一応数式によってはじき出されるのでございますが、予算としては、そういうことで組むわけでございます。その予算といたしましては、例年の例によりますと、本年と来年にわたるわけでございますけれども、本年度は、先ほどお話しのように、澱粉自体につきましては、すでに前年度の澱粉の買い入れでもって予算を使ってしまっておるわけです。予算としてはそういうことになっております。しかし現実は必ずしもそういう数字で、たとえば予算で一千何百万貫買うということにしたからそれしか買わぬということではないのでございまして、価格安定に必要な数量は、これはやり繰りをしても買います。なお澱粉の買い上げにつきましては、来会計年度にも及ぶわけでございますので、もちろん来会計年度の予算についても、澱粉の買い入れの予算を計上しなければならぬと思いますが、本年度の予算の範囲内においても相当買えます。それでは幾ら買えるかということになりますが、これにつきましては、私どもただいまのところでは、いわば机上の計算しかできないわけでございます。その机上の計算に基いたものをこうだということを申し上げることは、またいろいろ価格安定に逆の支障を与えるということにもなりますので、最近の澱粉の出回り状況、また消費の状況といったような現実の需給の計画とにらみ合せまして、その上でどれだけ政府の買い上げが必要かという現実の問題と取り組んで、それをきめたい。それにはまだ若干の時日を要する。従いまして、ただいま申し上げました点は、方針といたしまして価格安定に必要な数量はぜひ買い上げる、こういうことでございます。
#22
○芳賀委員 そこで大蔵政務次官にお尋ねします。これは大蔵大臣の出席を願いたいのですが、出席がないので、やむを得ず政務次官に尋ねるのであります。この法案が成立した場合においては、この食管特別会計の中において、結局歳出の増が三百九十六億、歳入減が三百五十四億円ということになると思うのですが、そのことに間違いありませんか。
#23
○山手政府委員 その通りでございます。
#24
○芳賀委員 そうすると、これは当然特別会計の予算の補正という事態が生れてくると思うのですが、この予算補正はいつの時期にやられるお考えであるか。この点は政府の所見を明確にしておいてもらいたい。
#25
○山手政府委員 これは借り入れ限度の問題でございまして、補正をする必要はないと思います。
#26
○芳賀委員 借り入れ限度の問題だけで……。じゃ政府に歳出源があるから予算補正をする必要はないという建前でおられるのですか。あわせて今までの前例はどういうことになっておりますか。
#27
○山手政府委員 従来の例も、こういう場合にピークがありまして、非常に大きな借り入れをするようなことがありましても、必ずしも補正をしておるわけではないように思います。
#28
○芳賀委員 それでは具体的な問題で、三十年度の食管特別会計の補正は何によって起因したか、その点を明瞭に御説明願います。
#29
○山手政府委員 三十年度の補正の場合、私当時おりませんでよく知りませんから、事務当局の方から説明させます。
#30
○小倉政府委員 三十年度の場合は、御承知の通り補正を通常国会でいたしました。これは食糧の買い上げ等が歳出源をこえるということになりましたので、補正をいたしたわけであります。
#31
○芳賀委員 そうすると、本年度の場合もそういうことになるのじゃないですか。たとえば米の買い入れにしても、二千三百万石を当初計画したものが、二千八百万石になったということで、当然これは歳出の増というものが生れてくるわけです。そういうことが理由になって、借り入れ限度を七百五十億円引き上げなければならぬという事態になっておるので、何も前年度の予算補正の事態と相違がないと思うのですが、いかがですか。
#32
○山手政府委員 御承知のように、余裕も見まして一千億借り入れ限度を引き上げることにいたしておりますが、この特別会計におきましては、いろいろな要素がここに最終的に現われてくるわけでございますので、現在といたしましては、いろいろ減少の要素、あるいは歳出増加の要素等を考えまして、借り入れ限度の拡張という形式だけで十分であろうと考えております。
#33
○芳賀委員 じゃ三十一年度に限っては、最終まで食管特別会計の予算補正をやる必要がない、そういう解釈に立っておるわけですか。
#34
○山手政府委員 今後いろいろな要因が出て参りまして、補正をする必要があるいは起るかもしれませんけれども、現在のいろいろな見通しからいいますと、借り入れ限度の拡張で済む、こういうふうに考えております。
#35
○芳賀委員 今後じゃない、もうすでに要因が出ておるじゃないですか。要因が生じたから、こういう法案を提出しなければならぬ事態になったのじゃないですか、争うじゃないですか。政府として明確な答弁を願いたい。
#36
○宮川政府委員 政務次官から御答弁申し上げましたように、昨年度の外米の輸入のズレ、それから本年度の産米増による買付増によりまして、ピーク時十二月末におきましては、買い入れ限度額に達しますので、限度の修正を必要とするのでございますが、年度間を通じて見ます場合に、これは少し計数にわたって恐縮でございますが、産米の買い入れ数量がふえましたのと、それから石当り予算単価が九千九百六十円で見込んでおりましたのが、御承知のように一万七十円になりました関係で、経費の方は約三百六十億ほど増加することに相なります。しかしながら、一方外米の輸入でございますが、先ほど御説明いたしましたように、昨年度買付契約を結びまして入れる予定になっておったものが、今年の上半期にぐっとふえましたために、限度ワクをオーバーするような状態になったのでありますが、三十一年度全体を通じてみますと、約六十万トンの外米の輸入が予算上見込みましたよりも減ることになります。その関係で約三百十五億円ばかり外国の輸入食糧の歳出面が減って参ります。さらに食糧証券の償還費が約三百七十億円ほど減少いたします。それからさらに予備費が三百億ほどございますので、大体私どもの今の計算では、年度間を通じまして約五百六十億ほどなお歳出予算に余裕があるのではないかと見ておりまして、補正の必要はないものと考えております。
#37
○芳賀委員 これは原則的な問題にもなりますが、たとい特別会計であっても、特別会計の歳入歳出の総額において、当初予算より変化が生ずるという場合においては、当然これは予算補正を行うのが本則だと思いますが、そういうお考えはないのですか。
#38
○山手政府委員 大体予備費等の問題で、いろいろ処理をしていける限度でという見通しを立てておるわけでありますが、この借り入り限度の拡張は、ピーク時の資金不足を補おうとするものでございますし、今すぐそういうふうな事態を生ずるとも予測をいたしておりませんので、補正をする必要はないと考えております。
#39
○芳賀委員 そういうことであれば、前年度もそういうことをする必要がなかったということになるのでありますか。結局食管特別会計の場合は、買い入れたものは売り払うということになっておるから、そういうバランスの上に立った場合はそれはやる必要がない、そういう一つの論も生ずるかもしれぬけれども、やはり予算編成上の問題から考えた場合においては、特別会計の予算の歳入歳出の総額に相当の変化が生じてくるわけでありますから、そういう場合には、これは当然予算補正を行うというのが正しいと私は考えております。そういう必要が絶対ないということであれば、これは政府の見解として、この点を明確にしておいてもらいたいと思います。
#40
○山手政府委員 三十年度の実情を私ちょっと今よく存じませんけれども、おそらく補正をしなければいかぬほど、見通しとしてこの会計の収支が限度をこえていったものと考えますが、今回の場合は、いろいろ先ほど申し上げましたような要因もございますので、借り入れ限度の拡張ということで、しばらくやっていって見通しを立てた方がよろしかろうと考えておる次第であります。
#41
○芳賀委員 この問題は一応問題として保留して、次の点について質問をいたします。
 第二点は、これは本年度の予約買い入れ制度のもとにおいて、概算金制度がとられておるわけでありますが、予約した場合に、予見できない不可抗力の事態によって契約数量の売り渡しができない、そういう場合には、概算金を返納しなければならぬということになっておるわけであります。これに基くところの利子の減免が行われるということでありますが、この点に対しまして、内容的にこれは現行の食管制度の中において、当然事前売り渡し制度のもとにおいてそういう事態は必ず起るわけでありますから、当初にこういうような処置を講じておくべきなのが、おくれて処置をするということになっておると思いますが、この点に対してもう少し具体的に内容を御説明願いたいと思います。
#42
○小倉政府委員 概算金の制度をとります場合に、当初から不測の事態が起ることを予想して適切な措置をしておくべきではなかったかという御趣旨と拝聴いたしました。確かにそういう御趣旨もごもっともな点があると思います。ただ私どもといたしましては、そういう天災、凶作等によりまして概算金を現金でもって返さなければならないという事態が生じた場合におきましても、非常に大きな違約金的なものを農家から徴収するということでありますれば、そういう不可抗力の場合はいかに心おかしいということに相なろうかと思いますけれども、米を引き渡すことができなくて金で返さなければならないという場合におきましても、利子といたしましては、一般の農村の金利から見まして、特別高利というわけでもありませんので、そういう場合におきましては、結果的には一種の金融的な措置とも考えられますので、最小限度の利子だけはいただきますということでございます。おおむねの場合はそれでやることになる、こういうようにいたした次第であります。
#43
○芳賀委員 前もってお尋ねしますが、このいわゆる前渡し概算金の性質ですね。これはあくまでも政府が一定数量を確保するための手段としての前渡金であるのか、あるいは融資というような性格を持った金融的な二千円であるのか、その点ほどう考えておりますか。
#44
○小倉政府委員 概算金の前渡しが米代金の一部であるということはその通りでございます。しかしながら、この概算金、すなわち米代の一部であるものに見合う米が出せなかった場合にどうするかということについては、これは特約がございますので、その特約に基いて概算金を利子をつけて返してもらうということになっております。
#45
○芳賀委員 そこで概算金を返納する場合に、二銭五厘の利子を取る根拠なんですか、これはどこからはじき出したのか、それとあわせて、現在の食管特別会計の資金コストは一体どのくらいのものであるか、その二点をお尋ねいたします。
#46
○小倉政府委員 二銭五厘と申しますのは、農村の一般の金利の中で妥当なところという意味で、農業手形の金利等を参酌してきめたものであります。それから特別会計の資金コストでありますが、糧券の金利が一銭四厘五毛でありますので、ほぼそういうところで御推察ができると思います。
#47
○芳賀委員 食管特別会計は別に金融機関ではないですね。特別会計の資金コストは一銭四厘五毛ですが、今度概算金を返せない場合に、供出の期限内に返す場合であっても二銭五厘ということですが、金融機関でないから別に金利の利ざやをかせぐという必要はないと思うのですが、そういうお考えはないのですか。
#48
○小倉政府委員 仰せの通り、食糧管理特別会計は金融機関ではございません。そこで、そういうこととは別問題といたしましても、特別会計が特に農家との関係において金利をかせぐという趣旨もございません。米を政府に売り渡していただけば金利はいただかないわけでございますので、概算金を米でもって返せない方、これは全体的にいえばわずかな部分でございまして、従いまして、むしろ金利の点から申しますれば、前渡しした概算金の大部分は無利子の金というふうになりますので、全体としての金利は相当の損と申しますれば損のようになるわけでございます。当然に金利部分をもうける、差額をもうけるというようなつもりはございません。
#49
○芳賀委員 今回政府が法案を出されたその根拠は、これは事前売り渡し制度のもとにおいて予見できなかった事態が生じた、しかもそれは、不可抗力の災害によって収穫が激減したりあるいは全く収穫を見ることができなかった。これは生産者の側から見ると、悪意じゃなく、善意の努力の中においても米を出荷できなくて、概算金を返さなければならぬという事態になった。ですから、二銭五厘ときめられた場合においては――そういう災害によって米の売り渡しが契約通りできないという場合に二銭五厘とるということではなくて、これはもう利子もとらぬ、幾らでも申し込みだけ概算金を前渡しするということであれば、中には概算金目当てに契約を履行できないような数量の申し込みをする場合もあるから、それで一応不当な事前契約を防止する意味においても、二銭五厘の金利をとるということがきめられたと思うのです。今回の法律を提出する根拠は、これは災害によって米の売り渡しをすることができない、結局概算金を返さなければならぬというものに対してはどうするかということで、利子の減免の法律案というものを出されたと思うのですが、そのことに間違いありませんか。
#50
○小倉政府委員 概算金を返納いたします場合に利子をつけるという趣旨につきましては、お話しのように、善意でもって、いわゆる予約通り政府に米を売り渡そうと努力したにかかわらず、本人の責めでない、不可抗力的なものによりまして米を出せないという場合、それからまた、悪い例を申しますと、政府に売り渡す余力があるにかかわらず、他に転売いたしまして政府に売り渡さない、こういった両方の場合がございますが、もちろんこれは趣旨としては後者の、どちらかと申しますれば、あまり好ましくない事態に備えておったという点は、間違いないと思います。さればと申しまして、その点だけに限ったかと申しますと、必ずしもそうではございませんで、本人といたしましてはいかにもやむを得ない、そういったような場合につきましても、金利のことでございますので、一律にいただく。米の売買条件の中の概算金の処理の要項としては、こうなっているということでございます。
#51
○芳賀委員 この法案の根拠は、結局、利子を減免した場合は国が不利益をこうむる、そういう場合にはやはり法律をもって対抗しなければならぬということになって、この法案が出されたと思うのですね。そういう場合には、減免の内容なるものはあらかじめ明確になっておらぬと、ただ法律だけはこういうものを出すということだけでは、なかなか了承ができないわけです。もう一つ問題になる点は、昭和三十一米穀年度に限ってというのは、これは臨時立法だと思うんですね。しかし今後食管制度が現在の形のままで持続されるとする場合には、何も昭和三十一年度と限る必要はないと思うのです。その点の見解はいかがですか。
#52
○小倉政府委員 北海道のような大凶作が例年起るというふうには予測されませんので、本年のような特別の大災害でございますので、それに対処する、こういう意味でございますので、臨時的な措置になっておる次第であります。
#53
○芳賀委員 それは小倉さん、変じゃないですか。さっきは、これは食管制度のもとにおける当然必要な事態に備えての措置であるということを、あなたは明確に言われたじゃないですか。そうすると、現在の食管制度が今後持続されるということを前提に考えた場合には、何も三十一年度に限ってという暫定的、臨時的なものでない方がむしろ好ましいと思うのですが、どうですか。
#54
○小倉政府委員 お話のような筋は、これはあろうかと思いますけれども、非常な大災害でございますので、そう例年起るというふうに考えること自体がまたどうかという気もいたします。従いまして、臨時的な大災害に対処する臨時措置ということで、この提案をした次第であります。
#55
○芳賀委員 これは大災害とか小災害とかでないでしょう。政府と生産者の間において契約されたその行為に対して、それが不履行のような事態になった場合に概算金を返納さして、それに利子を加算する、そういうことなんでしょう。だから、その地域が大災害であっても小災害であっても、政府と契約した生産者の災害の度合いというものが私は中心になると思うのですよ。ですから、ことしに限ったということにならぬじゃないですか。事前売り渡し制度というものが今後存続されるとする場合においては、必ずこういう事態は毎年のように今後も起きるわけです。ですから、それに対処する食管制度の中の一環として、こういう処置がどうしても必要なことになるから、これは臨時立法という形でなくて、この制度の続く限りこういうような措置は必要になるのではないかということを繰り返し繰り返し尋ねておるわけです。
#56
○宮川政府委員 先ほど食管長官が答弁いたしましたように、事前売り渡しに伴いまして概算払いをいたす、その場合の金利といたしまして、中には返さないで済む場合もあるし、返す必要がある人もある。そういうことを達観いたしまして、食管の資金コストは一銭四厘六毛程度でありますけれども、二銭五厘と内定いたしておる次第でございます。二銭五厘の分につきましては、これは御承知のように、日本の国では大なり小なり災害があるのでありまして、食管におきまして概算払いをする際に、二銭五厘をつけるということにつきましては、ある程度の災害も含めて二銭五厘をつけて返していただくという考えに立っているものと考えます。今回のように非常に被害が激甚のところに対してまで、その農家に対して二銭五厘をつけて返せというのは酷ではないかという観点から、三十一年度限りの臨時特例として、財政法第八条の特例をなすものとしてこの法案を提出した次第でございます。もちろん来年度以降におきましても、相当大きな被害があります場合には、これはやはり今回法案を提出いたしましたと同じ趣旨をもちまして、また法案を提出する必要の生ずることもあろうかと思いますけれども、現在二銭五厘が定められております趣旨から申しまして、これを恒久立法として、災害があったところは全部二銭五厘を減免するのだという措置をすることは適当ではない、かように考えておる次第であります。
#57
○芳賀委員 あなたは食管制度というものがわからないのではないですか。都道府県とか町村と政府間において米の売り渡し契約が締結されるのではないですよ。政府と生産者個々の間において米の売り渡し契約は締結されておるのじゃないですか。ですから、災害は生産者個々によって受ける度合いが当然違うわけです。ですから、地域的には大災害でなくても、個人、いわゆる生産者が大きな被害を受けて、不可抗力の災害によって全く米の生産を期することができなかった。予約数量を一俵も出すことができなくなったというような事態が必ず生ずるわけですね。ですから、その場合には十分その実情を勘案して、概算金の返納の場合の利子の加算については減免することができるという措置じゃないですか。これは必ず減免するというのではないでしょう。減免することができるというふうにこの法律に出したのでしょう。そうじゃないですか。
#58
○山手政府委員 芳賀委員のお話はよく私どもにもわかります。ただ私ども考えますのは、今度のような減免措置は特例でございまして、絶えず災害が起きるとも考えておりませんし、通常の場合におきましては、みだりに利子を減免をするというふうな事態が起きますと、食管の予約制度そのものについても、いろいろ問題もまた派生的に起きようと思いまするので、芳賀委員の御意見のような点についても、いろいろよく今後考えまして検討し、あるいは恒久的にそういうものを入れておくかどうかよく研究する必要があると思いますけれども、今年の場合は、大災害に対しまして臨時的にやってまず様子を見よう、こういうことでやったわけでございます。
#59
○芳賀委員 私がただしている点は、これは食管制度のもとにおける、現行の事前売り渡し制度のもとにおいて必要な事態としてこういう法律が出されたものであるか、あるいは災害対策の一環としてこういう立法がなされたかということを、当初にただしておるわけです。ところがこれに対しましては、やはり今の制度下において、事前売り渡し制度のもとにおいてこれは必要な措置であるから、この提案がなされたということが政府から述べられておるわけです。そうすれば、何も昭和三十一年度に限ってという必要はないと思うのですよ。こういう法律が恒久的にあっても、これは減免あるいは軽減あるいは免除することができるという程度だから、これは政府の善意なる判断によってその都度処置ができると思うのです。ですから、これを何のために本年度に限っての臨時立法にしなければならなかったか、その点を明確にしてもらいたい。
#60
○山手政府委員 今度の措置は、あくまで今度起きましたところの北海道の大災害等に刺戟をされまして、こういう法案を起案いたしたわけでございます。しかし今後こういう制度を続けていきます上からは、こういう災害等によりましていろいろ困られる農家もできてくるわけでございますから、この問題はもともと災害対策として起きたのでございますけれども、予約買付制度そのものについての根本的な、付属的なこの問題でもございますから、よく考究を今後いたしたいと思います。
#61
○芳賀委員 これは大蔵省と農林省の見解が違うのではないですか。農林省としては、決して災害対策の便宜的な措置としてではなくて、今の事前売り渡し制度に伴う措置としてこの法案が必要であるということを言っておるのです。大蔵省の方は、本年度の災害対策としてこういう臨時立法を出したということになると、これは全く政府部内における態度の不統一ということになるのです。それは態度を統一してもらわなければならぬ。これはあくまでも食管制度のもとにおけるものではないですか、どうなんです。
#62
○山手政府委員 ただいま申し上げましたように、今度の特例を設けようといたしましたことは、やはりその事の起りは、北海道の非常な災害を契機といたしまして、これに対処するということからこの問題が起きたわけでございますが、今お話しのように、この食管制度そのものの本質にもつながっておる問題でございまして、これは今後恒久的にこういう措置を続けていくかどうか検討をしてきめるべきものだと考えております。
#63
○芳賀委員 そうすると、動機的には本年度の災害によって気がついて、そうして事前売り渡し制度の場合には、こういうものが必要な措置になるということで法律が出たというふうに解釈していいですね。
#64
○宮川政府委員 財政法第八条によりまして、国の債権を免除するためには特別の法律を要するわけです。今回すでに農家との契約によりまして、二銭五厘の利子をつけて返してもらう、農家にとっては債務、国の側から立ちますと債権がすでに発生する状況にあるわけであります。これを免除するためには法律が要る。そこで私先ほど御説明いたしましたように、軽微な災害のところでは、代位弁済の制度でカバーできる面もありましょうが、今回のように非常にひどい、全面的に災害を受けたところに対しては、代位弁済の機構も麻痺してしまう、こういうところに対して同じようにとるというのは酷であるから、財政法の特例法に基きまして免除をしようとするものでございます。しかしながら芳賀委員の言われまするように、食管制度として考える必要があるじゃないかという問題は、政務次官が答弁いたしましたように、確かにあろうと思います。この点は来年度以降の契約のあり方といたしまして、これは農林省当局ともよく相談いたしまして、そういうものを減免するかどうか検討いたしまして、もしそういうふうに定まりますれば、必ずしも今回のような法律を要しないで済むことになりますし、相変らず今年と同じように、従前と同じような態度でもって臨みますると、今回のように大きく災害が起りますと、また特例法を立法する必要がある、こういうことになるものと考えます。
#65
○川俣委員 関連して。国の債権であるという答弁があったのですが、国の債権と規定するからには、法律上の根拠がなければならぬ。食糧管理法の規定から見まして、これらが国の債権であるということがどうしても出てこないと思うのですが、どういう根拠に基いて国の債権であると答弁されるか、その点だけお聞きします。
#66
○宮川政府委員 農家との間の契約によりまして、政府の定めておりまする売買条件を承諾して売り払いをいたしますという契約書と申しますか、申請書を出しております。要するに個々の契約、特約と申しますか、これによりまして農家の方は、そういう事態が起った場合には債務を生じ、国に債権を生ずる、こういう事柄に相なっておるのであります。
#67
○川俣委員 食糧管理法の中には、契約に基いて供出するということにはなっていない。契約じゃない。できた米は全部政府は買わねばならない、供出しなければならないという規定になっておる。契約じゃないはずです。これは契約だということになりますると、供出しなくてもいいということになります。また政府は買わなくてもいいということになる。これは重大な問題だと思うのですが、なおあなたはそういうお考えですか。食糧管理法をさように御理解になっておるか。
#68
○宮川政府委員 私は、先ほど御答弁申し上げましたように、契約であると考えております。
#69
○川俣委員 米の供出は、契約に基いて供出されるというふうに理解されたのですか。食糧管理法をさように理解されるのですか。
#70
○宮川政府委員 食糧管理法をそういうふうに理解するかどうかは別といたしまして、実際問題といたしまして、個々の農実が特約をいたしまして、政府との間に契約をいたしておるわけであります。
#71
○川俣委員 何といいましても、米に対する基本的な法律が食糧管理法であることは、何人も否定できない。従って、そこから根拠なしに債権である、契約であるというようなことが出てくるわけがないじゃないかとお尋ねしておるのです。あなたは食糧管理法のもとにおいて、現行法のもとにおいて、米の供出というものは契約に基くものだという理解ですか、どうですかと聞いておるのです。
#72
○宮川政府委員 食糧管理法に基く契約だと考えます。
#73
○綱島委員 関連して……。ただいまお話を伺っておると、改めた、独立した契約のごとき御説明であります。昨日も法制局から来られて、何かそういう浮遊した契約が別にできるもののごとき説明をしておられたので、それにいろいろ反駁しておいたから、法制局でも勉強してくれるだろうし、あなたにこのことを聞くことは少し無理だと思うのですよ。だから、あなたから答弁できぬから法制局に頼むということが一番妥当だと思う。しかし、答弁されたからお尋ねをしますが、公けの機関が職権に基いて行政上の行為をなすのには、すべて権限が法定されておらなければならないのです。そうすると、どういうことで食糧庁にそういう金貸しの行為をなすことのできる権限がありますか。それを一つ伺っておきたい。
#74
○宮川政府委員 綱島委員の御質問に対しましては、法制局から明確な答弁を期待いたしますけれども、食糧管理法によりまして米を事前売り渡しせよ、こうなっております。それに対しまして、政府が付随的な特約をつけることは可能ではないか、かように考えております。
#75
○綱島委員 そうなりますと、伺わねばならぬのでありますが、先ほど食糧庁長官からは、概算金は米代金の一部であるというお答えがあったのです。代金の支払いに当って、別に金銭消費貸借をした、こういう意味ですか。つまり米売買契約の中の概算金支払い契約は、同時に金銭消費貸借である、こういう御見解になりますか。
#76
○高辻政府委員 かわりましてお答え申し上げます。この契約の内容及び効力について、前回以来私どもの部長が出席いたしまして、いろいろ御質問に対してお答えしたはずでございます。その内容につきまして、さらに詳しい御質問があるかと思って参りましたが、それはそれといたしまして、ただいまの御質問にさしあたりお答えしたいと思います。
 まず第一は、契約というものが食管法関係では一体あるのかないのか、契約ということが一体いかなる根拠から出るのかというお話が、先ほど一つございました。この点は先ほども御答弁があったと思いますが、食管法の第三条は、政府に売り渡すべしというわけで、いわゆる売り渡しの契約の締結の方式についてはいろいろございましょうが、そこにやはり契約というものがあるのだという考えに立つのが正しいと思います。それからそういうような契約を締結するとして、今度は一体政府部内のいかなる権原がそういう権限を持つか、農林大臣が果してそういう権限を持つと言えるかという御質問が、今の綱島先生の御質問かと思います。
#77
○綱島委員 そうじゃないです。消費貸借をする権限があるかということです。
#78
○高辻政府委員 その前に、今言ったようなことがあったと思いますが、それではそれを抜かしまして、消費貸借を含むものであるかどうかというような御質問でございます。これはあらためて申し上げるのもなんでございますが、大体民法上の契約というものは、御承知の通りに、あすこに十三ばかりの典型的な契約の内容が書いてあります。しかしそれは契約自由の原則によりましてある種類のものを混合し、そのいずれにも該当しないような契約を作るということも、いわゆる契約自由の原則に入るものというふうに一般に理解されております。あるいは混合契約といい、あるいは無名契約というわけでありまして、しいてこのたびの契約も消費貸借契約であるか、あるいは単なる売買契約であるかというふうに押しつけて考える必要はないと思いますけれども、少くも経済的に考えました場合には、そこに消費貸借的使命を帯びた契約の面もあるということは言えるかと思います。
#79
○綱島委員 それがどうも法律家の議論としてちょっと受け取れないのですがね。そういうような米の売買契約、これは間違いないですね。それが同時に消費貸借である。ただこれはごまかすために消費貸借のようにして、利息を取るために、便宜に規定したようなものであるように思える。法制局というものも、実はそういうことのないように、これは利息をつけては取れぬ性質のものですということで、大蔵省が何と言おうと、食糧庁が何と言おうと、あなた方が注意なさらなければ、法律に職を奉じておる意味がないのですよ。こんなものを書かせるようでは、あなた方要らぬものになる。問題は、あなた方は経済上の見地からと言うけれども、経済上の見地からならば、どういうことでもしてよいというわけにはいかない。日本の米というものは、先ほど川俣委員が言ったように、優先した保有米以外は、全量政府に供出しなくちゃならぬ、売り渡さなくちゃならぬ、政府は買わなくちゃならぬという規定がある。その規定があるのに、その売り買いに際して別に消費貸借まがいの文書を構成し、一つの法律行為を二つの法律行為とみなすことは不可能であります。この点が根本的の議論です。よくそれは考えなくちゃならぬ。消費貸借をすることができぬことはない、一定の契約された消費貸借以外のものはされないとか、法律にきめたものしかされないと言うておるのじゃない、当該行為は一つの行為であります。それがしかも限定された食糧管理法による厳たる一つの米の売り渡し行為、政府からいえば買い受け行為、それが同時に消費貸借であるという解釈をあなた方が文書で書きさえすれば、本人がめくら判を押しさえすれば、それで成り立つのだとあなたは言われるようだが、そういうことが法律家として言われるかというのです。いいですか。女房でもあれば、情婦でもある、そういうことを法律家が言えるか。(笑声)そういうことを言うてごまかしてはいけませんよ。法律家というものは厳正なる批判をしなければ――私は実はまだ申し上げずにおることがあるけれども、あなた方がそういうごまかしを言うならば、これはどうしても断案を下さなければならぬことになる。こういう間違った動機によって、間違った意欲によって作った文書というものは、その効力をなからしむるように、裁判所を待たずしてあなた方が考えなくちゃならない。ここに並んでいる人たちは行政官で、法律はよく知らぬから、もうおかしなところでもおかしくないんだ。あなたは法律家なんだから一つお尋ねします。一つの厳たる法律行為が、一面経済的に見れば別なことが成り立つ。そういう漫然たる法律解釈をしていいですか。
#80
○高辻政府委員 法制局のあるべき姿について仰せになりました点、これはありがたく拝聴いたします。ただ私ども、無理にこの無効であるべき契約を有効と言っているわけじゃございませんので、無理にではなくて――これはだんだんにお教えいただかなければならぬと思いますけれども、決して無効だということにはならぬと真実にそう思い込んでおるわけです。その真実に思い込んでおるところに即して実は申し上げておるわけなので、ごまかすつもりは毛頭ございません。今仰せになりました点について、従ってもう一度、御理解がいただけるかどうかわかりませんが、申し上げさしていただきたいと思います。
 一つの法律行為、契約の中で、これはあるいは売買契約、あるいは消費貸借契約というふうに、画然と区別されなければならぬかどうかということについては、実は先ほど申し上げた通りでございまして、繰り返すまでもないと思いますが、民法で掲げておる十三の契約というものは、これは典型的な契約を掲げたのであって、そのほかにいわゆる契約自由の原則によって、ある部分については相互の混合したような混合契約を作ることも、あるいはどれにもぴったり当らぬような混合、しているともいえないような無名契約を作ることも、民法は別に禁止しておらない。ただそれについては、いわゆる公序良俗に反するかどうかという問題はございますが、それを抜きにいたしますれば、そういう契約というものはあり得るというふうに考えていいかと思うのであります。そこがそもそも間違いだということになりますと、またそこからやりかえなければなりませんが、そういう意味で先ほどは申し上げたつもりで、これが法律的に売買契約と消費貸借契約の混合契約であると、あるいは申し上げればいいのかもしれませんが、そこまで断定しなくても、一つの契約としてそれが果して公序良俗に違反するかどうかという観点から、その有効性を見ていけばいいのじゃないかと思いますために、実はそこにあまり入らないようにしておるわけなのであります。
#81
○綱島委員 こっちの言うことを理解していないようですね。私はこれが公序良俗に反する契約とはそもそも思っていない。契約というものは、これは厳然たる米の売買契約です。ここでしばしば言っておるように、引き渡したものは米の代金である。これは純然たる売買契約です。いいですか。売買契約をしたのであって、別に混合契約をしたのじゃないのですよ。法律的に混合契約でも、特に法律が禁止しない契約は、契約自由の原則ですることのできるということは、これは高等文官の試験を受けた者でも、司法試験でなくともあらかたわかる。こんなことは法律家に向って言うことじゃないのだ。そんなことはわかりきっている。問題はこの同一契約の中で、一体そういう無名契約というかに属するような、明瞭なる米穀売り渡し契約をそんなものだと言わなければならぬような政策をやる、そういうことをやることが違法であるかどうか、また妥当であるかどうか、この二つの点を聞いているのです。
 もう一つ法制局に、あんたはくろうとだからお尋ねをするが、一体この契約は七月ごろに成立しておる、金は七月ごろに渡してある。すると民法の百七十六条の規定と危険負担の規定はどうなりますか。そんなことまで言うまいと思っておったが、あんた方がいいかげんなことばかり言うから言わなければならぬ。
#82
○高辻政府委員 民法百七十六条といわゆる危険負担の問題でございますが、これは文官試験に出るような問題で、この問題とどういうところで関係があるか、十分にさらに御質問を待たないとよくわかりませんが、百七十六条の規定は、いわゆる物権の移転の効力の発生についてのことでございますし、危険負担の問題はいわゆる特定物、不特定物についての規定でありまして、もう少し御質問をいただいた方が答弁するのに都合がいいので、はなはだ申しわけがございませんが、そうしていただきたいと思います。
#83
○綱島委員 これは、そこまで言うてはどうかと思うから、僕はあまり言わずに尋ねているのだが、あけすけに申し上げますと、一体三十一年度産米の代金として引き渡した以上は、その米は青田の状態にあろうと政府の米でしょう、契約が済んでおるのだからね。そこで危険はだれが負担するのかというのです。その問題が発展して参りますと、二千円返すばかりじゃない、八千円を農家は払わなければならぬようになるのですよ。所有権移転と危険負担の法則から、三十一年度産米の危険負担はだれがするかということです。
#84
○高辻政府委員 そういう危険負担、民法百七十六条とそれから危険負担の規定との関係からいって、今回の法律で利息の減免ということはおかしいじゃないかということに帰着する御質問かと思います。しかし、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、民法の危険負担の規定それ自身が、またそれと異なった契約を締結することの自由がやはり法律上認められておるわけでありますから、そういうような範囲に、民法の危険負担の原則にかりに問題があるといたしましても――そうではないと思うのでありますけれども、かりにそうであるといたしましても、それと異なった特約を結ぶこと自身、それが特に公序良俗に反するということがない限りは、その特約自身の内容において考えていくのが至当じゃないかというふうに考えるわけであります。
#85
○綱島委員 そこで、これはどういう特約を結んでおりますか。危険負担を免れるという民法の大原則を犯す一体どういう特約をしておるか。その予見し得べきものは、損害の範囲において予見し得べきことの規定でありますよ。
#86
○高辻政府委員 特約はどういう特約かということでございますが、これはこの内容自身を申し上げるほかはないわけでございます。代金の一部として概算払いをする、そうして米があらかじめきめられた通りに出されないときには、前に渡した概算払いの一定の額について利息を付さなければならない、それを取るということを内容とした契約である、こう申し上げる以外にはないと思います。
#87
○綱島委員 これをすなおに解釈いたしますと、民法百七十六条で、契約のときに、その供出量を決定した額だけは政府の所有である。そこで、それをしいて、百姓の方に引き渡し義務があとに残っている。その引き渡し義務を履行せざるときの、あなたの通り言えば、予見契約としか見られない。従前通りに解釈すれば、そうとしかなりませんよ。その契約書の中のどこに一体、滅失しても何でも物を払うということを予見して契約したという証拠がありますか。
#88
○高辻政府委員 これはいわゆる昭和三十一年産米穀の売買条件第十四というところに、契約内容といたしまして掲げてあるところを見ますと、概算払いを受けた生産者は、一定の期日までに政府に引き渡した米穀の価格の総額が概算金の額に達しないときは、その達しない額に第二項に定める利息を加算した額を政府に返納しなければならぬということが詳しく規定してあるようでございます。それでございますから、返納のことがやはりそこにはっきりと掲げてあるということが言えると思います。
#89
○綱島委員 そこで、ぼくは危険負担のことを言っているのだ。それは危険負担を除外した規定ですよ。一体天災によって、不可抗力によって履行しあたわざるときは損害賠償の責任がないことは明らかである。この契約の内容から言うと、売り渡したものについては百姓に管理引き渡しの義務があるのですよ。それについて任意に履行を怠ったときは当然損害賠償が起る。この契約は、その形を変えて、こざかしく利息とかなんとかいうものを変形した形で表示してあるにすぎない。これは変形契約ですよ、本質は損害賠償契約です。そこで危険負担の義務がない、つまり管理義務に違反したものでないことが明らかである場合には、あなたの言うようなそういうものを受け取ることを請求する権利がどこにありますか。これはこざかしい理屈はいけない。これは政府が撤回をして、そうして受け受った金は自分らで払うがいい、利息なんか払わぬ方がいい、そこらで折り合うべきだ。そんなつまらぬ議論はよそうや。法律家というものは、冷静なまじめなものでなければならぬ。もし法律家が法律を曲解するようなことになると、もっと大きな被害を国が受けるようになるのです。一千万円とか二千万万円とかいうことではないのだ、もっとぬぐうべからざる負担を国民が受けるので、あなた方がしいて目の前に何だかいいようなことを考えたって、国の損失というものは、ことに法治国ですから、もっと大きな損失を国が受けることになるのです。これはあなたはもうわかっているはずだから、つまらぬことをせぬように大蔵省、食糧庁によく言ってきかせてほしい。どういうことになるか、そんなことはもうわかっているはずだ。これは、損害負担の協定にすぎないのだ、予見しておったところがそれなんです。ところが責めに任ぜざることによって滅失した場合は、売り渡し者の管理義務はなくなるのですよ、わかりますね。
#90
○高辻政府委員 今綱島先生の最初に仰せになりました、法制局としての法律問題に対する態度につきましては、これは全く先生の仰せになりました通りで、われわれとしてはそういうふうな点に努めていかなければならぬと思います。それはその通りでございますが、しかしそう言いながら、この法律問題につきまして、実はごまかしを言っているつもりはないのでございまして、繰り返しになりますけれども、この先ほど申し上げたような内容の契約は、それにぴたりと当る契約の型としては民法の中にはございませんけれども、しかしそれは法律上禁ぜられておるものではないのであって、ただむろんそれが公序良俗に違反するかどうかという問題はございますけれども、その問題があるだけであって、その点からだけ考えればいい問題ではないかというふうに考えますのが、立論の前提でございます。さらに妥当かどうかという問題もございましょう。これはわれわれ法制当局としては、そこまで入るのはいかがかと思いますので、法律論として申し上げる限りは、今まで申し上げたところで御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
#91
○綱島委員 もっと詳しく言えば、この契約の適用範囲というものは、先ほど申し上げたような危険負担の問題がございますから、そこでこの契約を悪意によって履行せざるときにのみ起り得るのだ。この内容は損害賠償の予見契約です。本質はそうなんだ。名前はあなた方が消費貸借に似たようなものを書こうと何と書こうと、この内容は損害賠償の予見契約です。そこでその適用範囲は、任意に履行せざるときにのみ起る予見契約にすぎない。この契約はそれ以外のところには適用はできません。もっと詳しく言えばたくさんあるけれども、本筋のことを言えば法律家はわかるはずなんだ。これはどこにもここにも書いておいて、どんな場合でもその法律を適用してしまおうなんという考えをされては困るのですよ。それは他の規定と抵触せざる、民法の大原則と抵触せざる範囲においてのみ履行され得るのです。危険負担がすでに移っておるものを、危険負担いたしますというようなことを契約したって、そんなことは何の法律で有効ですか。それは公序良俗に反しようが反しまいが、それこそ全く民法が規定しておる、意思表示のみによって物権の設定、移転は決定されるという大原則を犯して、契約はしておるけれども物権の移転はせぬのだというようなそういう契約が有効だったら、契約はないことになる。その売買契約はなかったことになるのですよ。わかりますか。売買契約をした以上は、その意思表示によって物権の設定、移転は決定するという大法則が決定的に支配してくるのですよ。それがために法律はあるのだから。そこでこの契約が公序良俗に反しないとすれば、残ったところは、任意に供出をせざる場合にのみ適用することだけなんだ。不可抗力でも何でも、売り渡し者の責任は、完全にこれを引き渡す管理義務がある。それは、不可抗力の場合は、その義務は免除されるという規定がちゃんとあるのだ。そういうものをみんな、いやこの場合はそういうことも要らぬ、売り渡しても所有権の移転はせぬのだとあなたのようなことを言えば、登記し終った売り渡し書を持っておっても、この家は売らなかったのだというような契約を別にしておけば、それが有効だというのと同一行為ですよ。あなた方の言うようになれば、法律なんというものは要らぬじゃないか、いわゆる公序良俗に反するというようなことだけを言っておるなら、何も法律というものは要らないのだ。そうじゃない。こういう決定的な大法則というものを犯せば、法治国の根本が疑われるのだから、そういうところまで法律というものは自由ではないのです。先ほど言うたように、女房でもあればめかけでもあるというような契約を夫婦間に結んだって、そんなものは効力がないのだ。
#92
○高辻政府委員 綱島先生のお話の点でございますが、いわゆる民法の大原則といいますか、そういうものに違反するものまでも許されるかどうかという問題は、私どもの理解するところによれば、先ほども触れたと思いますが、その限りではその通りでありますけれども、その大原則なるものは、御承知の通りに民法第四章第九十一条にあります「法律行為ノ当事者方法令中ノ公ノ秩序二関セサル規定二異ナリタル意思ヲ表示シタルトキハ其意思二従フ」、いわゆる強行規定違反は許されないけれども、たとえば先ほどお話がございました中にもそういう強行規定違反になるようなことは許されないけれども、任意規定にはむしろ法律行為自由の原則といいますか、契約自由の原則もそういうところに含まれていると思いますが、そういう自由の原則に立脚しておるわけで、ただ自由とは言いながら、それもまた「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗二反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」という、これまた民法上貫いておる九十条の規定にぶつかれば、それは効力を失うということは当然である。従って御指摘の点についての第一の問題は、この契約が民法上のあそこに列挙されている十三の典型的な契約に入るかどうかということも一つの問題ではございますが、その民法というものはいわゆる契約自由の原則で、混合契約なり無名契約も存在することを許しておる。しかも第二の問題は、それがあそこの典型的な契約のどれに当るかということをはっきり言うのはあるいはむずかしいかもしれませんが、それ以外の、これ自身の特約としての効力を考えていけば足るであろう。その特約としての効力を考えるに当っては、先生のおっしゃる民法の大原則、われわれの理解する民法九十条の尺度においてこれを判断していけばいいんではないかというふうに考えるわけでございます。またこれは多少敷衍になりますけれども、御承知の通りに債務不履行がありました場合に、それを契約で解除しました場合には、原状に回復するということが一般の通念になっております。その場合の原状に回復する場合には、金銭については、受領のときから利息を付するというのが一般の規定でございます。なぜそうなっておるかといいますと、それは金銭を受け取った場合には、その金銭を利用に供するということが当然あるだろうという前提に立っての規定であろうと思いますが、そういうこともありまして、このような契約を結んだその内容が公序良俗に違反するということにはなるまい、こう考えておるわけでございます。
#93
○綱島委員 危険負担の責任を持たない、いわゆる所有権を持たない百姓に、不可抗力の場合でも賠償の責めに任じさせよう――金利をつけて返すというのは実質は賠償ですから、そういうことをきめて契約をする契約の内容が公序良俗に反しないとあなたは思いますか。一体そういうことを思うか。人のものが風でぶっ倒された、その危険はお前負えという契約をさせて、それが一体公序良俗に反しないと思いなさるか。
#94
○高辻政府委員 先生がおそらく頭に置いておられますのは、民法四百十五条あたりの規定だと思いますが、すなわち、債務者の責めに帰すべき事由によって履行をなすことあたわざるに至るときは損害の賠償は請求することができる。債務者の責めに帰すべからざる事由によって履行をなすことあたわざるに至るときは損害賠償を請求することができないというのが大体民法の建前ではないかというような観点からの仰せではないかと想像いたします。しかしその点自身は、民法自身にありますように、四百二十条の賠償額の予定という規定がございますが、この賠償額の予定という規定は、責めに帰すべき場合であろうとなかろうと、そういう賠償をさせることを規定しても公序良俗に違反しないと認めていることは、四百二十条の規定自身から明らかであろうと思います。むろんその賠償額の多寡、これは問題になろうと思いますが、そういうこと自身、賠償額の範囲の問題を一応抜きにいたしました場合に、そういう規定――何というか、そういう場合を民法はあえて公序良俗に違反するとは考えておらないと思うのであります。それからまた他方、この契約の内容が賠償の予定であるというふうにきめつけて考えるかどうかも一つの法律問題でございますが、さらにこういう見方もあろうと思います。それは、たまたま五百四十五条のことを申し上げましたから言うわけでございますが、一体に債務不履行になりました場合には、これは契約で解除することができること、解除する道を開くことが公序良俗に違反しないことは明らかでございますが、その場合に生ずる関係というものは、一種の不当利得の関係になると思います。その場合に、解除権を行使した場合に、金銭を渡してあるならば、その金銭について利息を付するというのが民法上のこれまた建前でございますので、それらを考え合せましたときに、この内容が公序良俗に反するとはとうてい思えないわけでございますが、さらに何かございましたらお教え願いたいと思います。
#95
○綱島委員 あなたは別なことを答えているんだ。私が言うているのは、その論点もいたしたが、物権の得喪、変更は意思表示のみによって行われるというこの百七十六条の法則、設定、移転は意思表示のみによって行われる。三十一年度の産米を売ります、買います、そうしてその手付金をもらってその売買契約――供出制度だけのときは、予約制度のないときは持ち込んだときに売るわけですけれども、予約した以上は、そうして手付金を渡した以上、物権は、その米に対する所有権は契約をしたときに政府に移っておるのですよ。移っておるのだから、その危険負担は政府がする。農民がするんじゃないのです。農民はただ管理義務違反のときに責めに任ずるだけなんです。そこで問題は、管理義務違反もない、そういうものまで全部金は返してもらう、あと金は払わぬ、利息はつけて取る、こういう契約が民法上の大原則を犯す契約でないとあなたは思われるかと聞いておる。あなたが答えているのは、この前西村君に僕が聞いたことを答えているだけだ。僕はここまで言いたかなかったのだが、あなたたちがあまり目ざめないから言うたのです。
#96
○高辻政府委員 ただいま議論になっておりますのは、法律行為としてのこの契約が有効か無効かということであるわけであります。重ねて申し上げますが、それの当否の問題、これはまあ見方によっていろいろあるかもしれませんが、それは抜きにいたしまして、一切がっさい法律上の効力の有無の問題につきましてお答えをしておるわけでございます。従ってこの契約が民法九十条の観点からいって、公序良俗に違反するかという問題になると思います。そこで、これは繰り返しになってまことに恐縮でございますが、どうもその内容が、利息といってもそれほど極端に高いものとも思いませんし、またその内容がやみを奨励しているものでもありませんし、(「私の聞いたことについてお答えなさい」と呼ぶ者あり)お尋ねの点については、もう一度繰り返して申し上げますが、第一は、この米はすでに政府のものになっておると仰せられる点が一点ございますが、これは、米としてはまだ成熟しておらない時期のものでございまして、それ自身が政府の責めに属している、もうその時期においてそうであるということは言えないのじゃないかと思いますが、これは実は末の問題であろうと思います。(「末じゃない。それが根本問題だ」と呼ぶ者あり)それではその点は……(「青田売りの判例があるじゃないか」「青田刈りは窃盗だという判例があるじゃないか」と呼ぶ者ありしそれでは申し上げますが、その売買契約が売買契約全体の問題として――売買契約と申しますか、今回の契約の内容全体として公序良俗に違反するかどうかを見るわけでございますが、一定の時期に一定の数量の米を売り渡す、引き渡すというのが契約内容であり、その引き渡しが十分にいかなかった場合には、その引き渡しの足りない部分について、概算金との関係について、利息を払ってそれを返納するというのが契約内容でございます。その利息を付して戻すという点の公序良俗性の問題でございますが、その点は、どこから見ても公序良俗には反しないだろうというようにわれわれは考えておるわけでございます。
#97
○綱島委員 起きた者は起されないという話があるでしょう。愚論に負けなしということがある。だけれども、別なことをいえばいつになっても議論は果てないのです。青田売りは御承知の通り判例があります。あなたも法律家だから有効だということは知っているだろう。この契約は、実質は青田売りです。そうでなければ米代金ということがうそなんです。単なる消費貸借なんです。消費貸借ならば、食糧庁はそういうことをする権限はないのです。米代金の一部として、それに似た部分の契約をしたというあなたの説明の通りならば恕せられる。米の売り買いをしたというのなら、これは相違もなく有効であります。有効でありますから、売り買いをした日から危険負担は買い主に移るのです。売り渡し人は正当なる管理義務を負担するにすぎないのです。その売り渡し人に何の理由で一体金利をとったり、金を返させたり、あるいは賠償を追及したりするのか。それが一体公序良俗に反するか反しないかという、単なる金をこれだけで、利子も高うないから、これは公序良俗に反するとは見れないという話は、それは博労か何かのところなら通るのです。日本の民法の基本の構成から見て、そういう議論は通りませんよ。これはしいてあなた方が言うなら、私は仕方がないから、百姓の代理になってあなた方を訴えてみるかもしれない。
#98
○高辻政府委員 ただいま仰せになりました点、私も実は前来申し上げておりましたのは、そういう利息とか、それからやみ売りの関係とかということを抜きにしまして申し上げておったわけでございますが、その辺なかなか御理解がいただけませんので、そこまで及んだわけでございますが、これは私どもの説明が悪いからだろうとは思いますが、先生がおっしゃいます危険負担の問題につきましても、実はそういう条項が、かりに危険負担の条項についての適用が問題になるといたしましても、この契約の内容は、そういうことにしておらないわけでございまして、そのしておらないのが公序良俗に反しないかというお尋ねと承わって初めからやっておるつもりでございますが、その契約自体は、やはりこれは一般の債務不履行の場合に解除権を行使した、その場合に代金は不当利得として返還される。その返還をする不当利得には利息が付せられるというようなことから見ましても、あるいは公序良俗違反としてこの契約を無効とする積極的な理由はないのじゃなかろうかと思うわけでございます。
#99
○綱島委員 それは債権契約の論で、あなたが言うのは債権を負担したときの議論です。これは物の売り渡しに対する契約ですよ。単なる債権の履行をするのじゃなくて、これは売り渡しだから、引き渡すといっても、これは目的物の引き渡しの義務しかないのです。あなたの言う通り解釈して、かりに二千円は返すということで、利子をつけて二千円は返すとするなら、所有者から残りの八千円は、農民は請求権があるということになるが、そういうところはどうですか。そこには何も契約はない。そういうつまらぬことを言わずに、もう一ぺん政府も考えたがいい。そうして実情に沿うように、二千円ぐらいは百姓は何年かかかって返す、利息などということは言わぬというようなことで、これは折り合うよりほかにないのです。
#100
○松原委員長 では暫時休憩をいたします。
   午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後零時四十七分開議
#101
○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。この際政府より発言を求めておりますので、これを許します。山手大蔵政務次官。
#102
○山手政府委員 ただいま綱島委員と法制局との間におきましてるる論争が行われました。いろいろ議論は尽きないのでございますけれども、この問題は非常に重要でもございますし、政府といたしましても早急に種々検討をいたしまして、そうした法律論につきまして結論を得たいと考えております。
 この法案の成否につきましては、現実にいろいろ災害を受けました北海道の農家そのほかにも非常な影響もございますし、会期も切迫をいたしておることでございますので、その法律論はいましばらく研究をさせていただくことにしていただきまして、本筋のこの法案の御審議を進めていただきたいと思う次第であります。
#103
○芳賀委員 ただいまの政務次官の希望的な御意見、これは、当合同審査の委員会における同僚の委員諸君からの質疑に対して、その発言が、政府側においてはあくまでも十分傾聴するに値し、反省するに値するという、そういう認識に立っての今の発言であるように考えるのですが、どうですか。
#104
○山手政府委員 今御質問の点でございますけれども、いかにも政府側の方で、すぐこの議論の段階で提出をしました法案の本旨を取りかえ、あるいはこの法案の要点を取りかえて、利子等の問題について全然免除するというふうなことになりますことは、いろいろな影響もございますので、そういうことではなしに、白紙でよく今後検討をし、早急に法律論としては、この問題についてケリをつけたいということであります。
#105
○芳賀委員 ケリをつけたいというけれども、法律上に疑点があり、了承できない点があれば、ここでケリをつけることはできないことです。ですから問題は、法案の審議に一応方向を向けてやってもらいたい。しかし法令上の疑点については、政府としても十分さらに検討して善処したい、そういう意味の御発言でないのですか。
#106
○山手政府委員 さようでございます。解釈論としてはいろいろまだ研究の余地もありますから、これは今後に待ちたいと思いますし、政府の方でも早急に結論を出すようにいたしますが、この委員会の審議としては、この法案に従って御審議を願いたいと思います。
#107
○芳賀委員 それでは、連合審査会ですから、時間の制約もありますので、さらに質問を続けますが、政府が提案された法律は、ただ単に契約期限、地域によっては十二月三十一日、あるいは一月三十一日までに米の売り渡しの契約に基いて米の引き渡しができない事態になった場合においては、概算金を返さなければならぬ、そういう契約に対する利子の加算だけの問題なんです。ですから、これに関連してさらに概算金を返納できない事態が生ずるわけです。災害が甚大であって、皆無作とかあるいは三分作以下であるという場合においては、米の供出が一俵もできないわけであります。その場合には若干の利子を負けてやるという問題よりも、概算金が払えないという事態が生産者の方には生ずるわけであります。しかし政府の側から見れば、これは集荷団体に対して代位弁済の義務を負わせておるからして、一定の期間を経過した場合においては、集荷団体が生産者にかわって代位弁済しなければならぬという事態になってくる。ですから、政府においてはいかなる事態においても損はしないといううまい仕組みになっておるわけでありますけれども、しかしこれは生産者の側、あるいは集荷団体の側から見れば、容易ならぬ事態であると思うのであります。それでこの利子加算に対する軽減、全免とあわせて、その因をなすところの概算金が返納できない事態に対しては、政府としてはいかに対処するか、この点を御説明願います。
#108
○小倉政府委員 お話のように、異常な災害で減産をした農家に対しては、一月以降概算金自体の返納が問題になるわけでありますが、これにつきましては、お話のように集荷団体が代位弁済をするという建前になっておりますけれども、その代位弁済という制度だけにまかせておいたのでは、無理々々金を取り立てることも、相当の高い金利でもって措置するということになりますので、そういうことの起らないように金利を安くいたしまして、そうして融資が適当に行われるように一つ措置したい。その金利につきましては、被害農家といたしましては三分五厘、それから被害の程度の比較的少い農家では六分五厘という程度になるように、必要な補助の措置をしたいと考えております。
#109
○芳賀委員 今の長官の御答弁は、具体的にはどういう意味ですか。融資をするというのは、代位弁済を行なった集荷団体に対して融資を行うということでありますが、その場合、これは政府機関の融資を行うということであるか、この点はいかがですか。
#110
○小倉政府委員 これは指定集荷業者、協同組合関係でありますれば、系統金融でありましょうが、系統金融ということでありますれば、銀行等からの融資ということになると思います。
#111
○芳賀委員 その融資のあっせんを政府が行うということですが、金融機関からの、代位弁済を行なった集荷団体に対して政府が融資のあっせんを行うということですか。
#112
○小倉政府委員 さようであります。代位弁済を行う集荷団体に対しまして、政府が融資のあっせんをするということで、その場合に金利を下げるために、必要な軽減のための助成をする、こういうことでございます。
#113
○芳賀委員 集荷団体に対して金融のあっせんを行なって、その金利に対しては国の負担において利子の補給を行う、そういうことですか。
#114
○小倉政府委員 さようであります。
#115
○芳賀委員 十一月十六日の農林水産委員会において、たまたまそれと同一問題の質疑が行われたのでありますが、そのときの政府側の答弁によりますと、代位弁済を行なった集荷団体に対して融資が行われる、それに対する一部の利子補給に対しては、国並びに地方公共団体にも利子負担の一半を負わせる、こういうような発言がなされておったのでありますが、そのときわれわれとしては、これはあくまでも食管制度のもとにおいて生じた事態であるから、地方公共団体にその義務を負わせるということは不当であるということを表明しておったのであります。今の食糧庁長官の発言によると、利子補給の面に対しては、国のみの責任において負担したい、そういうように聞えたのでありますが、この点は非常に大事な点でありますから、もう一度明確なる御答弁を願いたいのであります。
#116
○小倉政府委員 お話のように、これまでは利子の軽減措置につきましては、結局は農家の経済の問題であるということで、一般の営農資金等に準じて、一部は地方公共団体の負担にお願いしたい、そういうように考えておったのでありますが、いろいろ御意見もございますし、そこは考え直しまして、全額国が支出ということにいたしたいと考えております。
#117
○芳賀委員 これは大蔵省の側においても相違はありませんか。
#118
○山手政府委員 ただいま食糧庁長官から御答弁申し上げましたことにつきまして、いろいろ研究もいたしましたけれども、同様なことであります。
#119
○芳賀委員 最後に一点ただしたいと思いますが、ただいま審議しておるこの法案が成立した場合に、もちろん金利の加算等に対しては軽減あるいは免除をすることができるというふうにしてあるので、これは当然手続上の問題としてこういう法案が出されたと思うわけでありますが、この場合に、政令の定めるところに従ってまた全免とか軽減ということが度合いに応じて行われると思います。現段階における政府の用意されておるこの政令の案なるものは、どのような内容であるか、参考までにお尋ねいたします。
#120
○小倉政府委員 先ほど来いろいろと議論が出たのでありますが、簡潔に申し上げます。利子軽減の適用のできる農家につきましては、平年作の三割以上の米の減収を来たしたということと、それからもう一つは、全体の収入、主として農林漁業収入でありますが、この収入の減収の割合が一割以上である。すなわち米につきましては三割以上の減収、収入といたしましては一割以上の収入減、こういう農家につきまして代位弁済、こういう事態が生ずる、あるいは政府に対する予約数量に対しまして二割に達しない農家、こういう農家が適用の対象でございます。こういう農家につきましては、利子を六分五厘にするわけでございますが、なおその中ではなはだ収入減になる農家、収入が半分以下になる、こういう農家につきましては、利子を三分五厘にいたしたい、かように考えております。それからなお収入が半分になる農家につきまして、なおかつ米の減収が非常に著しい。収穫皆無あるいは収穫皆無に近いような減収の多い農家につきましては、全免をする、こういう考え方であります。
#121
○芳賀委員 その点は単なる参考として承わっておきます。
 最後に先ほど私は繰り返し申したのでありますが、この立法の趣旨が昭和三十一年度に限るという臨時立法であるというところに、食管制度のもとにおける大きな問題点があるわけですね。先ほど山手次官の答弁によりますと、これは今後十分検討を加えて、やはり恒久化する必要を認めるような発言の内容であったと思いますが、この点について、さらに政府の統一した意見としてもう一度言明を願いたい。
#122
○山手政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げました通りでございまして、いろいろ当委員会において傾聴に値する御議論も出たわけでございまするし、こういうふうな相当な大災害の場合が今後引き続いて起きないとも予測はできませんので、よく恒久立法にするかどうか研究を重ねて結論を出したいと思います。
#123
○松原委員長 これにて連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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