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1956/11/16 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 大蔵委員会 第2号
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1956/11/16 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第025回国会 大蔵委員会 第2号
昭和三十一年十一月十六日(金曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 石村 英雄君
   理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
   理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君
      大平 正芳君    奧村又十郎君
      杉浦 武雄君    竹内 俊吉君
      内藤 友明君    中山 榮一君
      古川 丈吉君    坊  秀男君
      前田房之助君    山本 勝市君
      有馬 輝武君    石山 權作君
      木原津與志君    田万 廣文君
      竹谷源太郎君    横錢 重吉君
      横路 節雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山手 滿男君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (国税庁間税部
        長)      稲益  繁君
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 斎藤 正年君
        通商産業事務官
        (軽工業局アル
        コール事業長) 菊池 淳一君
        通商産業事務官
        (軽工業局アル
        コール管理官) 柳井 孟士君
        参  考  人
        (神奈川県警察
        本部防犯部長) 中田 茂春君
        参  考  人
        (神奈川県警察
        本部警部)   矢崎 武吉君
        専  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
十一月十三日
 在外仏貨公債の処理に関する法律案(内閣提出
 第一号)
 昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度
 等の特例に関する法律案(内閣提出第二号)
 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会
 の議決を求めるの件(内閣提出、議決第二号)
 (予)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 在外仏貨公債の処理に関する法律案(内閣提出
 第一号)
 昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度
 等の特例に関する法律案(内閣提出第二号)
 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会
 の議決を求めるの件(内閣提出、議決第二号)
 (予)
 税制に関する件
 参考人より意見聴取の件
    ―――――――――――――
#2
○石村委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長に差しつかえがありますので、指名により私が委員長の職務を行います。
 去る十三日当委員会に審査を付託されました内閣提出にかかる在外仏貨公債の処理に関する法律案及び昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度等の特例に関する法律案並びに同日参議院に提出され、予備審査のため本院に送付されて当委員会に予備付託となりました国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件の三案を一括議題として審査に入ります。
 まず政府側より順次提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。
#3
○石村委員長代理 これにて提案理由の説明は終りました。これら三案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#4
○石村委員長代理 次に、税制に関する件について調査を進めます。この際御報告いたしますが、さきに委員長に選定を一任されておりました参考人として、神奈川県警察本部より防犯部長中田茂春君、警部矢崎武吉君の両君が本日出席されておりますから御了承下さい。
 参考人の方には、御多忙中のところ遠路出席していただきまして御苦労さまでございます。
 それでは質疑を許します。奥村又十郎君。
#5
○奧村委員 私は、この際ただいまお越しになりました神奈川県警察本部防犯部長中田さん、警部矢崎さん並びに政府委員の方々に、工業用アルコール横流し事件についての御質問を申し上げたいと思います。
 この事件については、前国会において警視庁の防犯部の参考人がお越しになり、一部審査を行なったのでありますが、その後継続して、閉会中におきまして神奈川、大阪、広島の各府県の警察本部、大阪国税局、広島国税局、仙台通産局、広島通産局などから、私ども大蔵委員会の国政調査をもっていろいろな資料を集めて、大体事件の詳細をつかんだつもりであります。しかし、今回の事件の詳細をつかみ得たことの端緒となったものは、神奈川県の警察本部の捜査によるものであります。終戦後十一年、ちまたに密造しょうちゅうがはんらんいたしまして、それを飲んで目がつぶれたとか、メチルを飲んで死んだとか、ずいぶん残念な、遺憾なことを聞いたのでありますが、遺憾ながらきょうまでその原因を明確に突きとめることができなかった。しかし今回の事件の捜査によって、大体そういう目のつぶれるような、あるいは飲んで死ぬようなアルコール飲料というものが、その大部分は政府の管理しておる専売アルコールの横流れ品であるということがわかったので、われわれまことに意外に思った次第であります。
 事件の概要につきましては、私どもの調べた範囲においては、お手元にあります資料の「事件の概要イ」に、広島通産局管内の横流し事件を簡単に書いてあります。「ロ」の仙台通産局管内の横流し事件、これは前国会においてすでに警視庁防犯部の方からよく御説明をいただいた。ついては、これから神奈川県警察本部の防犯部長さんにお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 その前に一言申し上げますが、何しろこの工業用アルコールの横流し防止の取締りということは、非常に困難なことである。第一にアルコール専売法という法律そのものに取締り上非常な欠陥があるということ、あるいは関係者の中には、常習的な非常に悪質なブローカーがおり、またその中には、非常に多数の第三国人がおって、これらは必ず警察へ来ても黙秘いたしまして、なかなか捜査が困難である。しかも、また各府県の警察にまたがっており、所管もまた通産省と大蔵省とにまたがっておる。このような困難な状態を克服いたしまして、戦後初めて大規模に徹底的に捜査をして、今日これだけの事件を明るみに出していただいたことについては、今後のアルコール行政の改善に、また国民保健の改善に多大の好影響があったものと思うのでありまして、これらに非常に御貢献のありました神奈川県警察本部関係者の方々に、深甚な敬意と感謝の気持を持つものであります。
 これからお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、まず警察本部で捜査されました広島通産局管内の酢酸エチル製造業の同和合成化学工業会社から横流れしたアルコール五百五十石の捜査について、事件の概貌を簡単にお話しを願いたいと思うのであります。私どもが、この事件がなぜ起ったか、その原因を突きとめて考えますならば、政府の専売アルコールであるから、政府の取締り検査がもし十分であるならば、これほどの事件は起るものではない。従って、政府の責任にある、政府の検査取締りに手落ちがあったということに大きな原因を認めるので、これを改めなければいかぬということが、今日の審議の大きな目的であります。その観点からこの事件の概要をお話し願いたい。何しろこれだけの事件でありますから、詳しくお話しになれば、これはずいぶん時間がかかりますので、ただいま申し上げたことに重点を置いて簡単に御説明をいただいて、なお私ども御説明の不足の部分は、重ねてこちらからお尋ねいたしますから、そのおつもりで、まず簡単に事件の概要をお話し願いたいと思います。
#6
○中田参考人 お答えを申し上げます。ただいまお話のございました事件の着手は、三十年の八月の初旬でございますが、横浜市の西区の町内に、付近の住民から、どうもしょうちゅうを密造する場合の悪臭のようなものが盛んに出て非常に困るというふうな話があり、それを税務署、警察の方で探知をしまして、それから内定捜査を始めた事件でございます。杉山己喜松というのが、その発端の被疑者でございますが、これが自分の家の縁の下に密造をやっておりまして、その悪臭を、縁の下から床下をずっと通じて、外のテレビのアンテナに細い鉄管を結びつけて、そこまで悪臭を流しておったのでございます。その密造のやり方は、やはり横流しの工業用アルコールから出ましたのを、初めにドラムカンからあけまして、それを反応がまに入れて、そして加熱蒸留をいたしましてしょうちゅうを密造しておったのであります。県下には相当数の密造酒がございまして、特にその密造酒の中には、一CC当り十ないし二十ミリくらいのメチルの混入しておるようなものが相当市販されておる。特に桜木町駅の桜木デパートには、約百軒の飲み屋がございまして、ほとんど労務者相手にその安い単価のしょうちゅうを売買しておったという事案からも、非常に不審に思っておったのでございますが、その捜査からだんだんと東京につながり、それから東京から横浜へ伸びていき、横浜からさらに広島へ伸びて、そしてアルコールの根源を突きとめることができたわけでございます。その間に捜査の難点といたしましては、ほとんど偽名を使う、あるいは事件は普通そうでございますが、黙秘のために、十分に上の方へ事件を進展さすのに非常に苦しんだ点、それから非常に広範な捜査でございまして、すべて工業用アルコールの九十度以上のアルコールの確認をしていかなければならない。しかも、そのためにはものをとらえなければならない、そのために、非常に広範な取引が行われておりますので、ずいぶん困難いたしたのと、それからすべて被疑者が、九十度以上のアルコールであるということを常に確認をしておるかどうかということも非常に困難でございました。それから九十度以下のアルコールにつきましては、酒税法その他の関係で、酒ということになっておりますが、横流しの九十度未満のアルコールにつきましては、横流しをしておる君たちは、酒という観念がない、アルコールを販売しておったのであるというふうなことから、酒税法による範囲の確認ということが非常にむずかしいために、この方面では非常に困難を来たしたわけでございます。それから特に法第二十、アルコールの売りさばき規則でございます。二十八条では、アルコールは政府の特定した売りさばき人でなければこれを販売することができないという規定でございます。多くは密造をされておりますので、工業用アルコールの変性戻しをして、その結果全部密造ということになるわけでございます。この横流しアルコールが、二十八条をもって問疑する以外にはなかなか問疑がむずかしいという点もございまして、順次第一次、第二次、第三次ブローカーを捕捉していくのが非常にむずかしいというようなことからして、横流しが、どうしても徹底的の取締りが困難である。その結果は、やはり国税体係を乱しますし、従ってメチルの混入の酒も市販されて、身体に危害を及ぼすような事案が今後も相当続くのではなかろうかということでございます。
 それからまた変性の基準が非常に簡単でございますので、もう少し変性戻しが困難なような基準にしてもらいますと、この方面の事案もだんだん少くなるのではなかろうかというふうなことも考えるわけでございます。現在の酢酸エチルからの変性は、同和工業の方法によりますと、変性アルコールをドラムカンに移しまして、そのドラムカンからゴムホースで、真空ポンプで反応がまに送るわけであります。その反応がまを加熱をいたしまして蒸留をいたしまして、水の冷却機を通ずればアルコールができる、そのアルコールに、中和剤としてソーダ灰を混入する、そしてこの変性戻しをしておったようでございますが、私どもが捜査の過程でさらに調べてみますと、変性アルコールに直ちに変性材料のソーダ灰を混入して、加熱蒸留をすれば、同和工業で変性戻しをしておったよりはさらに簡単な方法で変性戻しが可能なようでございます。
 このような状況でございますので、変性基準をさらに困難なものに改正をお願いできれば、仕合せだと思います。
#7
○奧村委員 それでは、国税庁長官にお尋ねしたいが、長官がまだ御出席でありませんので、間税部長にお尋ねいたします。
 大蔵省は、密造酒の取締りの責任を持っておられるわけですが、この工業用アルコールは、末端に横流れをする場合は、大体において二十五度程度のいわゆる密造しょうちゅうとして横流れしているわけであります。これの取締りの責任は国税庁にある、また大蔵省にある、かようなわけである。そこでこの取締りの責任者として、このような膨大な横流れが起った原因はどこにあるか、今回広島、仙台両通産局管轄の専売アルコールの横流れがたまたまわかったわけですが、これは氷山の一角であって、まだまだ相当の専売アルコールが横流れしておるはずである。そこで一体、専売アルコールが年間どのくらい横流れをして、どのくらいの密造しょうちゅうが市販されているか、その点と、またどういう事情でそういう横流れがなされておるものか、取締り責任者である大蔵省の御意見を承わっておきたいと思います。
#8
○稲益説明員 お答えいたします。ただいま奧村委員仰せの通りで、私ども酒類の密造防止のためには、工業用アルコールの横流れから起ります密造に限らず、そのほかの原因から起りますいろいろな密造の防止に十分努力を続けて参っておるわけでありますが、問題の工業用アルコールに限って申し上げますると、第一に、まず工業用アルコールを原料とする密造酒がどの程度出ておるか、一応私どもの方で推定いたしております数字でございますが、年間約四万石程度ではなかろうか、かように思っております。なおどういう原因でこういう工業用アルコールが横流れをし、これがしょうちゅうに化けるかという問題でありますが、御承知のように、工業用アルコールは、本来の目的通りに使用されますれば、こういう密造という問題は起らないわけであります。従いまして、工業用の目的とするところに正しくそれが使われておるかどうかの確認が、まず先決問題であろうかと思います。私どもとしまして、酒税法の運用において、密造酒を摘発するという場合には、酒税法の対象となる密造酒という酒の姿になった段階においてするのでありまして、でき得ることならば、原因にさかのぼって、アルコール自体の売り渡しについて、目的通りに使われるような確認が行われることが先決問題ではないか、かように考えるわけであります。
#9
○奧村委員 ただいまの間税部長の御答弁では、密造しょうちゅうとして年間約四万石の工業用アルコールが流れておるということですが、度数として約二十五度に薄めたとするならば、元の工業用アルコールは大体九十度以上でありますから、四倍に薄まるわけです。四万石が流れておるとするならば、元の工業用アルコール約一万石が年間流れておるということになるわけであります。政府の専売の工業用アルコールが、一万石も年間に横流れして密造しょうちゅうになっておるということについて、これを取り締っておられる通産省としてはどう考えられるか。そういうことがあり得るのですかまたどうしてこういうことが起るのか、これをお尋ねするのが、きょうの委員会の私の質問の目的であります。これをちくちくお尋ねするわけでありますが、まず責任者である軽工業局長に、今の間税部長の御発言について、一万石流れておるのか流れておらぬのか、また流れておらぬとするならば、どういう確信を持っておられるのか、そこら辺をお尋ねしたい。
#10
○斎藤説明員 われわれの方、通産省といたしましては、取締りはやっておりますけれども、酒の方の取締りはやっておりませんので、この四万石のしょうちゅうが果して工業用アルコールからできたものかどうか、そういうことについては、何らお答えするような材料を持っておりません。今までの仙台の事件、あるいは今度の広島の事件等に関連いたしまして、われわれ取締りの系統を通じて調べました範囲では、そのように大量に流れているとは考えられないと思っておるわけであります。しかし、今申しましたように、われわれの方は酒の方の取締りと申しますか、状況把握につきましては、何ら情報を持っておりませんので、それについて今の間税部長の答弁が事実かどうかというようなことは、何とも申し上げかねる状況でございます。
#11
○奧村委員 それでは、ただいま神奈川の警察本部防犯部長の中田さんがお述べになりました、約五百五十石の工業用アルコールが、広島通産局管内において酢酸エチル製造の原料として払い下げられたが、これが横流れしたという事実を通産省の方はお認めになりますか、どうですか。
#12
○斎藤説明員 これは、警察の方のお調べによってこういう事実があるということが判明したわけでありますから、もちろんわれわれとしては、その事実を認める以外ないわけであります。
#13
○奧村委員 それでは、なお答弁に不足がありますけれども、お手元に差し上げました資料三の1に入って、工業用アルコールとしての本来の目的に使用されたかどうかの確認は、通産省の責任であります。これを果してやったかどうか、この点を承わりたいと思うのであります。先ほどの間税部長のお話のように、工業用アルコールの本来の目的に使用されているということが確認されておるならば、こういう事件は起るはずはない。その確認のやり方に間違いがあった、あるいは非常な手落ちがあったとわれわれは考えるのであります。法律の建前からいくならば、この確認の方法としては、いわゆる飲料に供さない、密造しょうちゅうには流れないために行う変性が十分できたかどうかを確認することが一つ。それから、たとえばニスに作るとか、あるいは酢酸エチルに作るとか、完全にそういう製品に仕上げたかということを確認することが一つ。この確認がされて初めて使用済み証明書を通産省が御発行になって、いわゆる免税の処置ができるわけであろうと思うのであります。この二つの処置がはっきりできておるならば、横流れはするわけがない、かように思うので、一体この確認をせられたのかどうかという点に重点を置いて、これからお尋ねいたしたいと思うのであります。
 まず変性の検査でありますが、私ども広島通産局で調べたのであります。この事件の同和合成化学工業株式会社に払い下げる工業用アルコールの変性の方法については、酢酸エチルを添加するということになっている。ところがその添加する酢酸エチルは業者が持って入っておる。その業者が持ち込んだ酢酸エチルというものを、これが果して酢酸エチルかどうかということを確認しておったかどうか、調べたところが、ただ鼻の先へ持っていって、かおりをかいだという話です。それで確認ができるのか、かなり水がまじっておったかもわからぬ、まず第一にそういう点があるが、この確認はどうなっておりますか。
#14
○菊池説明員 ただいまの点についてお答え申し上げます。変性剤につきましては、確認する建前になっておりまして、大部分の場合、大体政府が変性いたしますわけでありますから、普通の場合には、問題がないわけであります。この場合には、特別に酢酸エチルを変性剤にしておりまして、確認はしておったわけでございますが、こういう事件が起りまして、結果的に見ますと、その確認の方法が不十分であったということで、まことに申しわけないと存ずる次第でございます。
#15
○奧村委員 確認の方法は不十分であったと、すなおに認めておられますから、これ以上追及いたしません。そういう確認がまずかったから、変性戻しが非常に簡単に行われた。先ほどのお話のように、石灰をまぜて加熱すれば簡単に変性戻しができた。これがまず第一に横流れの原因である、かように存じます。それからこの変性に関連して、もう一つ仙台通産局で流れた場合の変性は、これは変性方法の変更を承認しておる。そこで仙台通産局で流れたアルコールは、メチルが入っておらなんだ。これはりっぱな完全なしょうちゅうになった。その原因を確かめてみると、変性の方法の変更を認めた。しかしよく考えてみると、ニスに作るのに変性を変更する必要はないのじゃないか、何もニスなんかを人間が飲むわけはない、どんな変性をやってもかまわぬ、それが何がために変性の方法の変更を認めたのか、その点をお尋ねします。
#16
○菊池説明員 仙台の事件の場合におきましては、政府が変性をやっておりまして、これはメチル・アルコールを混入しておりまして、そのメチル・アルコールを混入しないでもいいというふうに方法を変更したということは、私ども存じておりません。
#17
○奧村委員 警視庁の防犯課で押収した書類の中には、標準外の変性の申告書を出しておる。それは認めたのじゃないですか。
#18
○菊池説明員 標準外変性と申しましても、メチル・アルコールを混入しておりますので、全然変性剤を入れないような変性は、政府としてはいたしておりませんはずでございます。
#19
○奧村委員 それでは、流れたアルコールそのものには、メチルは入っておらなんだということは、警察の方が確認しておる。そうすると、標準外変性の方法を認めたのか認めないのか、あるいはメチルを入れることになっておったが、実際入れたのを確認しなかったのか、この点が疑問になるわけでありますが、これは、おそらくここでお尋ねしても結論は得られぬと思いますから、後日また適当な機会にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 そこで、私の一番お尋ねいたしたいのは、変性済み証明と使用済み証明と二回に分けて使用確認することに政令できまっておるが、実際は、変性済み証明と使用済み証明とは同時に発行しておる。あるいは変性済み証明で使用済み証明にかえておる。これは、先般広島通産局で調べた際、ここにおられる柳井管理官もお見えになっておられるはずで、この酢酸エチルについては、変性と同時に使用済みも確認しておられる。この点柳井管理官、その通りですか、お尋ねいたします。
#20
○柳井説明員 お答えいたします。これはちょっと複雑になっておりますから何でございますが、変性済みと、それから使用済みとは別のものでございます。広島の酢エチルの場合について申しますと、この場合法文で変性と呼びますのは、政府の保管庫を出ますときに、業者の持ち込んで参りました酢エチ・七キログラムをドラムカン一本に対して入れるという行為が変性でございます。そうしてそれが工場へ着きまして、着いたときに、検査官がさらに、変性だけでは不安だから立ち会いまして、製造の第一段階、酢エチの製造にかかるところを見届けるというところまでやっておったわけでございます。そこで工場に着いたときはどうするかと申しますと、副原料の酢酸を買って参りまして、その酢酸を徐々にぶち込んでいくわけでございます。ある一定の間をおきまして、徐々にぶち込んでいきますと反応を起して、アルコールと酢酸との混合物が酢酸エチルに変っていく、こういう過程になっていきまして、この場合完全に立ち会いをやるといたしますと、何回にも分けて酢酸を投入いたしますのに引き続いて立ち会っておりまして、これが何十時間かかりますか記憶しておりませんが、反応を完全に終って、酢エチの製品が完全にでき上るのを見届けるということになると、これは完全なる使用済み証明ができるわけでございます。実際におきましては、広島の事件を調べてみますと、検査官が立ち会いに行きまして、夜っぴてずっといなければ最後は確認できないというところから、第一回に、六百三十リットルについて酢酸四十キロを投入する、これが製造着手の第一段階でありますが、第一段階を認めまして、これで他の用途に向けられるおそれがない、かように検査官が考えて、そこで使用済み証明を出しておるという実情になっております。従いまして、変性済み証明は、官の保管庫を出ますときに変性を済ませまして、渡すわけでございますが、その後に工場で、それにさらに酢酸四十キロをぶち込んだときに出しておりますのは、変性済み証明ではございませんで、使用済み証明でございます。その使用済み証明を、製品が完全にでき上らない以前に、もうこれなら大丈夫と認めて出したというところに、振り返ってみますと、手落ちがあるわけでございます。
#21
○奧村委員 それでは、完全に製品ができ上ったのを確認して、使用済証明書を出したものでない、製造に着手して、最初に若干の酢酸エチルを添加したときに、すでに使用済証明書を出したものだ、こういうことで、その間に、最後まで製品のでき上るのを確認しなかったところに手落ちがある、こういうことをすなおに認めておられるのでありますから、これ以上追及いたしません。しかし、先ほどのように、変性において非常に不完全である、しかもまた製造の途中において、すでに使用済証明書を発行した、これがために横流れができた。だから、これは重大な政府の手落ちである。これについて政府は責任をとるか。この横流れの脱税額といいますか、税金相当額というのは大へんなものでありますが、もし国税庁の言うごとく、年間四万石も横流れしておる。これの原因がそういう手落ちから起るということになれば、これはゆゆしい問題であります。そこで、なぜそういう不完全な確認をなさったか。使用済みを確認せずに使用済証明書を出させたのは、どういうわけですか。
#22
○柳井説明員 これは売捌規則の十二条というところに規定がございます。原則といたしましては、最後まで見届けまして、完全な製品ができ上りましてから、それを確認した上で使用済証明書を出す、そうして免税措置を講ずるというのが原則に相なっておるわけでありますが、例を申しますと、たとえば食酢のようなものの製造につきましては、アルコールを購入いたしまして、それから種酢を仕入れて参りまして、そのアルコールに種酢を一定の分量ぶち込みます。そういたしますと、二週間ぐらいたちまして発酵を始めます。それからさらに一月半ないし長いのは二月ぐらいたちまして完全に発酵を終りまして、酢という製品ができるというようなものがあるわけでございます。これらのものにつきましては、製造を始めましてから、二カ月ないし三カ月たつのを待たないでも、種酢を仕入れて二週間ぐらいたって発酵を始めますと、もうもとのアルコールには戻らないというふうに見て差しつかえないというものが、例として申し上げますとあるわけでございます。さようなものについて、ずっと二月ぐらい立ち会って最後まで見届けてということは、実際問題としては非常な手間でございますし、その手間に比べまして、必要性ありやなしやということになりますと、それまでの必要もあるまいというふうに考えられるわけでございまして、そういう理由から、この十二条に例外的な規定がございます。その例外的な規定と申しますのは、これでもう大丈夫だ、アルコールが目的の用途以外に供せられるおそれはないという状態に立ち至った場合には、使用済証明書を出してもよろしいという規定があるわけでございます。広島の場合には、この規定に基きまして使用済み証明書を出しておったのであります。それでその後広島通産局について、担当官の言うところその他を聞いて調べてみますと、当時におきましては、製造の第一段階まで見届ければ大丈夫であろうとその担当官が考えたところに、無理からぬ点もある、こう思われるのでございますが、しかし結果として見ますと、その段階で使用済証明書を出したということは、軽率であったと認めざるを得ないのであります。
#23
○奧村委員 それでは進んでお尋ねしますが、同和合成の岡なる者が五百五十石のアルコールを横流しした。これは税額で約三千万円ほどの脱税をしたと私どもは考えるのでありますが、通産局は、この脱税相当額を追徴するつもりですか。
#24
○柳井説明員 脱税相当額は、御指摘のように約三千万円でございます。これは厳重に追徴するつもりでございまして、目下手続中でございます。
#25
○奧村委員 しかし、通産局の方ですでに使用済証明書を発行しておられるのでしょう。使用済証明書を政府へ提出すれば、もう脱税の差額は納める必要はないということになる。そうすると、どういう理由で脱税額を追徴することになりますか。
#26
○柳井説明員 これは、法文によりまして追徴可能でございます。
#27
○奧村委員 どの法文です。
#28
○柳井説明員 アルコール専売法二十二条を根拠といたしまして、厳重追徴いたす方針でございます。
#29
○奧村委員 アルコール専売法二十二条は「其ノ用途ニ供シタルコトヲ証スル書類ヲ政府ニ提出スベシ」だから政府に使用済証明書という証明の書類を提出したら、これは二十二条を適用できぬ。それから第二項には「正当ノ事由ナクシテ前項ノ書類ヲ提出セザルトキハ」それは追徴できる。しかしそれでは政府の官吏の出した、何も最後まで見届けずに、最初の着手でもってすでに使用済証明書を出した、その使用済証明書は無効ということになるのですか。
#30
○柳井説明員 無効な法律行為ではございませんが、取り消し得る法律行為、こう考えております。で、取り消しをいたしまして……。
#31
○奧村委員 取り消した。そうすると、無効な書類を発行した政府の責任を追及しなければならぬ。それなら取り消さなければならぬような書類を政府ではなぜ発行したか。そこで、ただいまあなたの御指摘のように、アルコール売捌規則第十二条、これによると、使用済証明書を発行する場合には、製品、残渣、機械、器具、容器及び帳簿書類を検査し、発行済証明書を発行する、その検査をやったのですか。この検査をやらずに使用済証明書を出したら、これは違法でしょう。この検査をやったか。
#32
○柳井説明員 広島の場合につきましては、この検査は十分に行われておりません。
#33
○奧村委員 そうすると、その責任はどこにありますか。
#34
○柳井説明員 この広島の事件は、御承知のように、相当大きい違反であった事件でございまして、あとになって調べてみますと、ここのところをもうこれだけやっておったならばというふうな点があるわけでございます。これもその一つでございますが、最後まで、製品になるまで見届けておったならば、あるいは防げたであろうか、こう思われるわけでございますが、本件の場合につきましては、先ほど申し上げましたように、売捌規則十二条の第二項によって、大丈夫である、こういうふうに広島通産局の担当の検査官が考えまして、この二項で処理しておったというところに間違いのもとがあったわけでございます。
#35
○奧村委員 それでは軽工業局長にお尋ねいたしますが、この事件を起した業者には、三千万円の脱税額を追徴する、これはわかるが、しかし製造済みを確認せずに、軽率なと申しますか、むしろ法律違反の使用済証明書を出した政府の官吏の責任はとらしましたか。
#36
○斎藤説明員 本件につきましては、私の方の担当官からも御説明いたしましたように、酢酸エチルというものによって変性すれば、変性を戻して、少くとも飲用に供するということが不可能だというふうに担当官が考えたばかりでなしに、実は当局の取締りの係官の大部分が、常識的にそのように考えておったようでございまして、第一段階の変性だけで、変性済みの、使用済みの証明書を渡したというところが事実のようでございます。その点は確かに非常に落度ではございますが、当時常識的に、酢酸エチルを混入いたしますれば容易にアルコールだけを取り出すということは困難だというふうに考えられておりました事情がございますので、少くとも当人の行為は悪意ではなく、また重大な過失だという認定も困難ではないかとわれわれは考えたわけであります。それで担当の局長及び担当官につきましては、本省から厳重な戒告をいたしました。それから担当官も交迭をいたしました。現在それだけの処置をとっております。
#37
○奧村委員 それでは不十分と思います。ただいまの柳井管理官のお話のように、政府は法律に違反して使用済証既書を発行した。その政府の責任をお尋ねする。その発行した者の責任を、ただどこかへ役所を移し変えた、それでいいのですか。
#38
○柳井説明員 法律の違反をして使用済証明書を発行したというふうには考えておりません。
#39
○奧村委員 それではアルコール売捌規則第十二条の三項、製品、残渣、機械、器具、容器及び帳簿書類を検査し使用済証明書を発行する、この検査しという事柄を行わずに使用済証明書を発行したということは、規則違反、法律違反じゃないのですか。
#40
○柳井説明員 この第十二条第三項にあります「前二項ノ申告アリタルトキハ当該官吏ハ製品、残渣、機械、器具、容器及帳簿書類ヲ検査シ第四号書式ノ使用済証明書を使用者ニ交付スベシ」というものにつきましては、昭和二十六年にその解釈通牒が地方に参っております。その解釈通牒によりますと、この三項に「当該官吏ハ製品、残渣、機械、器具、容器及帳簿書類ヲ検査シ」とあるのは、検査の方法を例示したものであるというふうに解釈して適用すべしというふうな通達が出ております。従いまして、担当官といたしましては、その通達による解釈によっておったというふうに調査の結果判明いたしておりますので、法律に違反したというふうには言えないと考えております。
#41
○奧村委員 その通達は、私も広島通産局で見せてもらいましたが、通達でもって法律に違反してもいいのですか。法律というものは基本であって、それを政府の通達で違反してもいいというような通達を出せるのですか。その通達を出した責任者の責任を追及しなければならぬ。どうあなたは考えますか。
#42
○柳井説明員 これは法律ではございませんで、売捌規則、省令でございますが、この省令の解釈の通牒であります。
#43
○奧村委員 そうすると、この売捌規則十二条を単に変更したというのは、どういう書面で変更したのですか。それ以上の重要な権原でもって変更したのですか。
#44
○柳井説明員 通商化学局長通牒で、解釈の通牒を出しているわけであります。変更ではなく解釈でございます。
#45
○奧村委員 それでは昭和十二年に出したこの売捌規則を、昭和二十六年になって、大臣の下の化学局長がこの規則十二条をうやむやにするというか、骨抜きにするような通達を出してそれでよろしいのですか。それじゃこの法律、省令というものは、そんなに薄弱なものですか。しかも、これの検査をして初めて使用済証明書が出せるということになっているにもかかわらず、そういう検査をしなくても、使用済みの確認ができたら出せばいいのですか。そんならこういう製品、残渣、機械、器具、容器、帳簿書類を検査せずに、一体どういうふうに確認するのですか。これ以外の方法でどんなふうに確認するのですか。机の上で話だけを聞いて、それで確認をするのですか。
#46
○柳井説明員 先ほど申し上げましたように、本件につきましては、第十二条第二項によりまして処理をいたしておったというのが事実でございます。第二項と申しますのは、「其ノ使用過程ニ於テ他ノ用途ニ使用シ得ザル状態ニ至リタルトキハ前項ノ申告ヲ為シ使用済証明ヲ受クルコトヲ得」ということでございまして、これによってやっておった。もっと言いかえますと、ここまで見れば、第一段階に酢酸四十キロを投入するのを見届ければ大丈夫と考えておったところに、根源があるわけであります。従いまして、大丈夫というふうに考えておりましたものですから、この製品、残渣、機械、器具、容器及び帳簿書類というものを、一々ここに掲げてあるもののすべてを見届けなくても、使用済証明書を発行して危なげなし、こう判断しておったところに原因があるわけであります。
#47
○奧村委員 そうすると、ただいまお話の通商化学局長の通達によって、製品、残渣、機械、器具その他帳簿の検査をしなくても使用済証明書を出したというので、それが今度の事件の一部の原因であったとすなおに認めておられるが、こういう通牒を出して、せっかく規則に書いてあることを実行せずともいいという通牒を出した責任者は、責任を免れますか。
#48
○斎藤説明員 第十二条第三項は、ここに列挙せられております全部のものを全部残りなく検査をしなければならないというふうには、われわれは解釈いたしませんで、たとえば製品の検査をやりまして、これで使用したアルコール等が完全に使われたという確信が得られれば、それだけで使用済証明書を渡すことはもちろん可能である。それから帳簿、書類あるいは残渣というふうな幾つかの項目を調べまして、それで十分だという場合に、あとのものを全部調べなければならぬというふうに規定したものではないというのが、われわれの解釈でございます。その解釈を局長通牒を出したわけでございます。この点は、現在でもわれわれはそう思っておるのでありますが、問題は、結局この具体的なケースで申しますれば、変性方法、あるいは現在のケースで申しますれば、製品の検査の方法というふうな、具体的な適用のやり方が不適当であったということになるのじゃないかと思います。
#49
○奧村委員 そこで、お話によると、それじゃこの規則十二条の三項を骨抜きにしたということで今度の事件も起ったんですがね。その責任はどうなさるんですか。これは、もうここではっきりしなければ大臣にでもお尋ねせねばならぬが、どうも私ども今の御答弁では納得できぬ。要するに、使用済証明書を発行した者の責任は、どう追及したんですか。
#50
○菊池説明員 この事件につきましては、私の方は直接人事の担当でございませんので、そちらの方に実情をよく具申して処置を仰いだわけでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、確かに手落ちは手落ちでございまして、申しわけないと思いますが、悪意はなかった。と申しますのは、この酢酸エチルを変性剤として入れまして、その後また氷酢酸を三百六十幾つかに対して四〇グラム入れておるわけでございます。この品物は、分留いたすように加熱いたしますと反応を起しまして、酢酸は酢酸エチルに変るわけでございますが、この酢酸エチルとアルコールは、ともに沸点が非常に近うございまして、七十七度と七十八度というふうに、ほとんど同じくらいの沸点でございまして、分留しようといたしましても、同じように出てきて分留できないという性質でございましたので、それだけ入れればもうこれを分離してアルコールをとることはできないというふうに認定したわけでございます。実際の結果として、共沸混合物というものができました。これはアルコールとも酢酸エチルとも違う点を持っております。それからエチル・アルコールを飛ばしてしまって、あと純粋のアルコールを残すというふうな技術的な方法がとれたわけでございますが、当時はそういうことに考えが及ばずに、大体分離できないというふうに、技術的に確信いたしましたところに欠陥があったわけで、悪意はなかったというところでございます。
#51
○奧村委員 悪意がなかった、それは私ども認めますが、悪意がなかったから責任はとらずともいいということはどうもおかしいと思うが、これ以上突っ込んでお尋ねしても、満足な答弁は得られませんので、この問題については、いずれ通商産業大臣の御答弁を願いたいと思うので、保留いたしておきます。それじゃ、私の、まず一項の使用の確認という問題は、これでやめておきたいと思います。
 その次の問題としては、使用の確認をした上に、今度はでき上った製品の受け払いを調べていきますならば、横流れは防げるはずです。ところで、でき上った製品の受け払いを調べたかどうか、この問題であります。そこで仙台の事件におきましても、当委員会においてお尋ねをし、またその後において仙台通産局までわざわざ行きましてお尋ねをして、書面でもって私どもへ御返答がありましたが、その書面を見ると、いずれも販売先は調べた、帳簿に記載された売渡し先について調べた、あるいは販売の帳簿も調べた、こういうふうに出ております。ところが警察の方のお調べによりますと、販売の方は全然調べてない。第一その販売先という販売先を尋ねてみると、その製品を受け取った事実は全然ない。なお突っ込んでみると、実はあとから金を持ってきて、どうか受け取ったことにしておいてくれといって金で話をつけたということを――これは通産局が私ども委員会に出してきた資料にもちゃんとそう書いてある。そうすると、最初私どもへ出してきた書類は、販売帳簿を調べたということになっておるのだが、一体販売の帳簿を調べられたのですか、また販売の帳簿というものはあったのですか。もしないとすれば、この報告は全然うそを報告なさったのですか、一体どちらですか。
#52
○柳井説明員 仙台の事件の場合につきましては、受け払いを調べております。私どもが仙台から受けました報告では、調べておることになっておりますが、しかし、これは常時網羅的に調べてはいなかったようでございます。一般的に申し上げますと、あの場合は塗料でございまして、塗料の場合には、最後に製品に仕上がるところまで確認いたす建前になっております。そういう関係でできました製品が、荷姿になって出ていった先までは、常時一々は調べていなかったというのが事実でございます。しかし仙台の場合につきましては、その後通産局としても不審を感じまして、先方の持っております営業用の帳簿から販売先を調べまして、東京方面に売っておるという記録になっておるのを確認をいたしました上で、その帳簿上東京方面の買受人となっておるところのものが、果して買い受けておるかどうかということを調べております。ところが遺憾ながら買い受けておるという回答が仙台の通産局の方へ行っております。それで仙台通産局としては、それを信用したわけでございます。ところが、事実は被疑者が、先ほど御指摘のように、事前に東京方面に手を回して、買っておることにしてくれという工作をやっておったようでございます。そのために、結果から見ると、だまされたということになるわけでございます。
#53
○奧村委員 仙台の場合では、ニスに製造すると称して申告をして、ドラムカン約八百本のアルコールを二年間に払い下げを受けた。見せかけのニスは作ったでしょうが、事実はそのほとんど全部を横流しをしておった。私もその工場を見ましたが、そんなニスを作るような工場ではない。しかも昭和二十九年に突然できて、そうして製品が全部東京に売られて、一週間にドラムカン八本なり十本なり取って行き、そんなものが製品となって、どんどん東京へ売られるかどうか、それはだれが判断してもおかしいということがすぐわかる。ところが、二年間検査に行った取締り官吏が、その販売の帳簿なり販売先なりを一ペんでも確かめたことがあるのですか。いよいよ事件が起って調べてみたら、警察の調べでは全然買うておらぬで、向うが金を持って頼みに来たから表向きそうしたというのです。この責任はどう考えられますか。
#54
○菊池説明員 ただいま御指摘の点は、常時売り先を調べておりましたならば、こういうことは防げたわけでございまして、その点は申しわけないと存ずる次第でございます。今後におきましては、この製品の売り渡し先までちゃんと帳簿につけさせまして、それを抜き打ち的に調べて、そういうごまかされることが長く続くということがないようにやって参ることにいたしました。
#55
○奧村委員 それじゃ広島の場合では、最初に何がしかの酢酸エチルを入れて、すぐ使用済証明書を発行して、検査は終ったことになっておる。そうすると、立会官吏が引き揚げてしまうと、すぐそこで石灰を入れて、それですぐそれを変性戻しをやって、純粋のアルコールにして横流しをした。そこで、その酢酸エチルが一体どこへ売れて、製品となってどこへ販売されておったか、その販売のことをもう少し調べておられれば、そういうことは全然起らぬと思うのだが、広島の場合は、その販売の方を調べたかどうか。
#56
○菊池説明員 まことに遺憾ながら、十分な調べをいたしておりませんでございました。
#57
○奧村委員 おそらくこのようなことは、この二つの事例だけでなしに、全国的に遺憾ながらあったように思う。名古屋でも相当アルコールが横流れをしておるということを私ども聞いております。そこで、それではこういう横流れの不安もあった場合、先ほどお話しのように、いわゆる税金相当額は、差額徴収をしなければならぬ。簡単に言えば、脱税額は差額徴収をせにゃならぬ。そこで差額徴収の手続をとっておられるでしょうか。そのもとになる担保を取っておられるか。法律二十一条による担保を取っておられるかどうか。仙台の場合、広島の場合、両方お尋ねいたします。
#58
○菊池説明員 担保につきましては、広島の場合には取ってございません。仙台の場合には取ってございましたが、これは金額にいたしますとごくわずかな金額でございます。と申しますのは、このアルコール専売に関します担保は、結局その売り渡したアルコールが予定された目的に使われたかどうか。使われたならば問題ないわけでございますので、その期間のその数量に関する担保でございまして、たとえば、酒の場合に酒税の延納担保とかいうふうに、ずっと継続的に長く続き、しかもそう莫大な金額になるものではなくて、その売り渡したものに関して目的に使われるまでの期間の担保でございますので、どうしても数量も少くなるし、期間も、早いものは売り渡しましてから二、三日で使ってしまうということになりますので、しょっちゅう厳密にやりましても……。
#59
○奧村委員 担保を取ったか取らぬかという事実だけを述べてもらえばよろしい。
#60
○菊池説明員 事実につきましては、今のように、仙台には取ってございますし、広島では取ってございません。
#61
○奧村委員 広島は取っていない。仙台の場合は取った。それじゃ仙台の場合は、どの法律のどの条項に基いて幾ら取ったか。
#62
○菊池説明員 アルコール売捌規則第九条に基きまして取ってございます。金額は六万五千五百円でございます。
#63
○奧村委員 それは価格の五分の一相当額ですか。
#64
○菊池説明員 その通りでございます。
#65
○奧村委員 それは法律の間違いじゃないですか。価格の五分の一の六万五千五百円は、売捌規則の八条に基くものです。これはアルコールの代金延納担保です。第九条は差額徴収のための担保です。あなたは、その代金の担保と差額徴収の担保と取り違えておられるんじゃないですか。
#66
○菊池説明員 第八条が延納担保でございまして、今申しましたのは、差額担保を取っておるわけでございます。もちろん差額担保と申しますのは、先ほど申しましたように、工業用の値段と一般の高い値段との間の差額を確保するという意味で取っておる担保でございまして、延納担保ではないのでございます。
#67
○奧村委員 延納担保の場合は、代金の五分の一という明文があるのであるから、それでよろしい。六万五千五百円でよろしい。私の言うのは、差額担保でありますから、これは少くとも差額だけは担保せにゃいかぬ。そうでしょう。六万五千五百円取ったというのは、第八条の担保じゃないのですか。
#68
○柳井説明員 お答えいたします。もとが法律になっておりまして、法律の第二十一条でございますが、「前条ノ価格ヲ以テ売渡スアルコールニ付テハ政府ハ買受人ヲシテ其ノ売渡価額ト第十九条ノ規定ニ依リ算出シタル金額トノ差額ノ全部又ハ一部ニ相当スル担保ヲ提供セシムルコトヲ得 前項ノ担保ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」こうございまして、これが売捌規則の九条へ参るわけでございます。売捌規則の九条に「アルコール専売法第二十一条ノ規定ニ依リ提供スベキ担保ハ金銭又ハ国債ニ限ル」こうなっております。補足いたしますと、差額担保につきましては「差額ノ全部又ハ一部二相当スル担保ヲ提供セシムルコトヲ得」これによりまして一部を提供さしておった。その一部が五分の一であったという関係に相なります。
#69
○奧村委員 一部を何がために五分の一としたのですか。これは特別価格で非常に安く売り渡す。業者に対しては政府が非常に恩恵を与えるわけです。その恩恵を与えて、もし万一の場合は差額徴収をしなければならぬ場合の担保であるから、当然その差額の全額を取るべきである。もし一部というならば、何か法律規則でその基準がなければならぬ。その基準がない。ないとすれば、大体ほぼ全部にせにゃならぬ。しかしそれを五分の一としてきめたのは、どういう根拠があるのですか。
#70
○柳井説明員 法文には「全部又ハ一部ニ相当スル担保ヲ提供セシムルコトヲ得」とありまして、形式だけで申しますと、全部を提供せしむべきか、あるいは一部の提供をもって足りるかということは、運用上の問題になるわけでございます。それで現地仙台通産局におきまして、全額を提供せしめないで五分の一を提供せしめておったというのは、五分の一を妥当と考えて提供せしめておったものと思われますが、しかし事件が起りましてから振り返ってみますと、その担保の徴収を五分の一相当額にとどめておったということが果して十分であったかどうかということは、問題として残ります。
#71
○奧村委員 それじゃ本省の方から各通産局の方へ、この差額担保については、差額に対して、どの程度を担保として提供させよという指図はしてないのですか。
#72
○柳井説明員 昭和二十八年通牒をもって、本省から地方へ出しておりますものがございます。それは、差額は五分の一以上の担保を徴収することとするとなっております。最低五分の一という意味の通牒を出しております。
#73
○奧村委員 それじゃ差額に対してわずか最低五分の一、それはどういうわけですか。今度のこういう事件が起れば、こんな担保は意味をなさぬじゃないですか。
#74
○柳井説明員 こういう事件が起った場合には、五分の一という徴収額は少な過ぎたということになります。実際の問題といたしましては、担保の効果といたしましては、全額まるまる取っておくのが一番効果的でございます。しかし一方におきまして全般的に申しますと、アルコールの使用業者には中小企業者も相当多うございまして、この差額全額の担保を入れるということは、金融上ないし経営上相当の負担になるという場合が少くないわけでございます。それで、悪いことをしでかすやつについては、これはまるまる取っておく必要があるわけでございますが、大多数の中小業者は、まじめに買い受けましたアルコールを使用しておるというわけでございますので、何と申しますか、その担保の効果という点と、それから使用者の便宜と申しますか、使用者の経営上の問題というものとのかね合いになって参ると思います。しかし、かように申しわけのない事件が二つも起って参りますと、これは私どもといたしましても、この根絶に努力しなければならないわけでございますから、従いまして、先ほどの検査の方法などについても、着々改善の措置を講じて参っておりますし、担保につきましても、簡単には参りませんが、中小企業者の金融上の負担という問題もあわせて考えなければなりませんけれども、なるべく事件の起った場合に効果のあるようにいたしたいと思いまして、目下研究中でございます。
#75
○奧村委員 母上お尋ねしたことのほかに、広島において、これは政府の専売アルコールではないけれども、正規のしょうちゅう製造業者から不純性アルコールが流れておる。これは国税局の方も税務署を通じて検査、監督をし、これの出荷については大阪通産局が使用の承認をしている。中国醸造株式会社、宝酒造株式会社から、ドラムカン九十二本の不純性アルコールが大阪有機化学工業株式会社に出荷された。これはラッカー・シンナーに使用すると称して出荷された。ところが、大阪に着く前に、途中で現物がある工場へ運ばれて、それが再蒸留されてアルコールに化けた。大阪へ入ったときには、すでに悪質アルコール・ブローカーに全部横流しされた。それで、今度の事件においては、特に先ほどの広島通産局の払い下げアルコールも、ともにこういうものが和歌山県のしょうちゅう製造業の土橋なる者に百三十石渡されて、土橋はそれをもってしょうちゅう甲類五百石を作った、その甲類五百石のしょうちゅうをどこへ販売したかというと、約百三十軒の正式の免許を持った小売業者へ販売された。そこで密造しょうちゅうは、七福とか、あるいは八世界という堂々たる商標を張って、政府に完全な税金を納めたしょうちゅうのようにして売られておった。これは国税庁の長官、間税部長も大責任がありますよ。ここにも非常な欠陥があり、これをこのままにしておけば、まだまだひどくなると思うのですが、しかし、これもお尋ねすれば、取り締りがまずかったというだけで、どうもこれ以上私も追及する気持になれませんが、最後にお尋ねいたします。以上申し上げましたように、法律上一番大事な工業用アルコールが、本来の目的に使用されたかどうかということの通産局の確認が十分されていない。ある場合においては、これは売りさばき規則違反と思われるような確認の仕方をやっておる。しかも販売においでも確認がされていない。そこでただいまの御答弁では、大部分の善意の中小企業者にはお気の毒であるから、なるべく手やわらかに監督すると言うが、しかしその言葉に甘えて、一部悪質な業者が悪いことをしようがどうしようが、何も手放しでどんなことでもできるような取り締りになっておる。そこで四万石からの酒が流れる。これの脱税額はどうなりますか、非常なものです。そこで、これからは改めるということでまことにけっこうですが、それをどういうふうに改めるかということについては、これから私はお尋ねしますが、きょうはそこまでお尋ねする気持はいたしませんので、いずれあらためてお伺いします。これは法律の不備もあると私は思うのです。そこで、これから改めるからというので、今までの責任は水に流してでは済まぬと思う。以上申し上げた責任については、それじゃ通商産業省としては、今までの責任はもうとらぬのですか。新たに考えておるのですか。その点を最後に確かめておきます。
#76
○斎藤説明員 先ほどお答えいたしましたように、われわれは関係者につきまして、これは私の方の所管でございませんが、こういう事実があるので、しかるべき処分をしてもらいたいということを上申しまして、その結果関係者に対しては厳重な戒告をいたしました。それからこれの処置に関係いたしました官吏は、全部更迭をいたしました。現在はそういう処分になっております。
#77
○奧村委員 私はそれに不満足でありますが、この点はいずれ大臣にお尋ねをいたします。
 それに関連して最後にお尋ねしますが、そうしますと、仙台及び広島における横流しをやった業者、特に使用承認を受けておる業者、岡なにがし及び飯田彦吉、これに対するいわゆる脱税額の追徴は今どうなっておりますか。また本人の財産は差し押えておるのか。またどのくらいの財産があるのか。国庫にどれほどの欠損を与えたか。その点をお尋ねいたします。
#78
○柳井説明員 お答えいたします。仙台につきましては、差し押えをいたしております。広島の事件につきましては、約三千万でございますが、納入告知をいたしましたところ、本人から再調査の請求が出て参りました。目下再調査中でございます。それから両件とも、再調査の請求が出て参りますと、国税徴収法の例によるわけでございます。一応再調査をして結論を出しまして、理由を付して却下するなり、それから処分を変更するなりの手続になってくるわけでございます。私どもは、広島の事件につきましては、今のところ納入告知の処分を変更すべき理由はない、こう考えて強行する方針でおります。
#79
○奧村委員 私が仙台で調べたところによりますと、当の飯田彦吉という者は、所在不明でどこかへ逐電したそうです。それに対して納入告知書を出すわけにもいくまいし、差し押えをすることもできまいし、そこで担保という問題があるのですが、その担保を戻してしまった。この結末はどうなるか、私も一つあとからお尋ねいたしますが、広島の方の岡なる者が異議の申し立てをしたというのは、どういう点を異議申し立てをしておりますか。
#80
○柳井説明員 違反事実なしという主張でございます。
#81
○奧村委員 そうすると、いわゆる使用済証明書は合法なり、それを提出した以上は、業者にとって違反事実なし、こういう所論になると思うのですが、そういう所論ですか。
#82
○柳井説明員 およそアルコールの横流しなるものをわしはやっていないという主張でございます。従来の取調べの結論をくつがえそうという態度に出ておるわけであります。
#83
○奧村委員 そうなると、結局検察局の方へ今告訴しておるその告訴の結果を待たなければ問題は解決しない、こういうことになりますか。
#84
○柳井説明員 これは、裁判が終審まで参りますと、何年か要するのではないかと思いますが、これを待っておりましては、私どもの方では、隠匿などやられますとかないませんから、待たないで、徴収すべきものは差額の徴収をいたすという方針でございます。これは、裁判の結果は待たなくても、明らかに違反の事実があるという確信さえあればできるようになっております。ただし先方が承服しない場合は、最後には民事裁判に移って参ります。民事裁判に移って参りました場合には、実際問題としては、刑事の判決が相当参考として重要性を持つのじゃないかと思いますが、私どもとしては、予定通りの徴収の手続を進めていく方針でおります。
#85
○奧村委員 それでは最後に、いずれ時をあらためて法律得度の不備を改めなけりゃならぬ、これは御当局も考えておられるでしょうが、どうもお話を聞くと、通産省の方は、アルコール専売法の本法の改正は要らないということの方針のようであるが、私はこのアルコール専売法そのものは、取締り法規にはなっていない、これはむしろ通商産業省のいわゆる産業育成の立場の精神が非常に盛り込まれて、脱税防止の規定が非常に少い、こういうように思うのであるが、通産省の方では、この本法の改正は必要でない、改正しなくとも十分の取締りができる、こういうおつもりですか。
#86
○斎藤説明員 現在のところ、まだ本法の改正が全然必要がないという結論に達したわけではございません。その点はなお研究中でございます。ただわれわれといたしまして両件を通じて一番考えておりますのは、変性方法が非常に不完全である。われわれ従来常識的に簡単に戻せないと考え、特に広島の事件におきましては、われわれの調べたところによりましても、常識的に、これは当の取締り官以外の他の取締り官も、こういうものは、今御答弁いたしましたように、容易に戻せないという考え方でおりましたのが簡単に戻せるということで、変性方法をまず強化する、それから従来使用上不便だからということで、変性についていろいろ需要家から注文がございましたが、今後はできるだけ変性を強化いたしまして、若干使用上不便でも、変性をやってあと戻せない、少くとも飲用には使えないという強い変性をできるだけやっていくという方向で取締りをやって参りたい。帳簿その他は、検査をさらに強化いたさなければいけませんけれども、そういう面は、どうもやはりいろいろとごまかしをやられやすいものでありますから、物理的にごまかしができないように変性を強化したいというふうに考えております。
#87
○奧村委員 以上、私は本日はまことに執拗な御質問をいたしましたが、これは今後再びかようなことの起らないようにということのために、原因を徹底的に追及したいという趣旨から出たのでありますから、どうぞ答弁者におかれては、その点は御了承願いたい。私はこれをもって質疑を終ります。
#88
○石村委員長代理 それでは、参考人の方に委員長より一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、お忙しいところを長時間にわたり御出席願い、貴重なる御意見を陳述していただき、当委員会の審査に多大の参考となりましたことを厚くお礼申し上げます。御苦労でございました。
 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十日、火曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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