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1956/11/20 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 社会労働委員会 第2号
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1956/11/20 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第025回国会 社会労働委員会 第2号
昭和三十一年十一月二十日(火曜日)
   午前十一時十九分開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀世君
   理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君
   理事 野澤 清人君 理事 藤本 捨助君
   理事 赤松  勇君 理事 滝井 義高君
      植村 武一君    小川 半次君
      越智  茂君    大橋 武夫君
      加藤 精三君    加藤鐐五郎君
      亀山 孝一君    小島 徹三君
      田中 正巳君    中村三之丞君
      中山 マサ君    八田 貞義君
      古川 丈吉君    松澤 雄藏君
      亘  四郎君    井堀 繁雄君
      栗原 俊夫君    佐々木良作君
      多賀谷真稔君    堂森 芳夫君
      八木 一男君    八木  昇君
      吉川 兼光君    渡邊 惣藏君
      中原 健次君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 倉石 忠雄君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (石炭局長)  讃岐 喜八君
        通商産業事務官
        (鉱山保安局
        長)      小岩井康朔君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      岩武 照彦君
        労働政務次官  武藤 常介君
        労働事務官
        (労政局長)  中西  實君
 委員外の出席者
        労働事務官
        (職業安定局失
        業対策部長)  澁谷 直藏君
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
十一月二十日
 理事岡良一君理事辞任につき、その補欠として
 赤松勇君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十一月十九日
 医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一
 部を改正する法律案(藤本捨助君外三十三名提
 出、衆法第二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の互選
 参考人出頭要求に関する件
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法
 の規制に関する法律
 附則第二項の規定により、同法を存続させるに
 ついて、国会の議決を求めるの件(内閣提出、
 議決第一号)
    ―――――――――――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 まず理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 理事岡良一君より理事の辞任を申し出られておりますが、これを許可し、その補欠選任に関しましては委員長より指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○佐々木委員長 御異議なしと認め、辞任を許可することにし、その補欠として赤松勇君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○佐々木委員長 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律附則第二項の規定により、同法を存続させるについて、国会の議決を求めるの件を議題とし、審査を進めます。
 この際参考人の招致に関しましてお諮りいたします。本件につきまして、来たる十一月二十四日、参考人より意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 なお参考人の選定及びその手続等に関しましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 次に本件の質疑に入ります。発言の通告がありますので、順次これを許可いたします。野澤清人君。
#7
○野澤委員 いわゆるスト規制法と称せられます今回のこの法律が成立しましたのは、去る昭和二十八年の八月のことでありますが、倉石労働大臣はその当時労働委員会の理事をいたしておったように記憶しているのであります。しかも非常にまじめに当時検討された、いわゆるベテランでありますことは、周知の事実であります。この法律の長所や欠陥とおぼしい点についても、十二分に御承知のことと思うのであります。そこで私は今回の、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律附則第二項の規定により、同法を存続させるについて、国会の議決を求めるの件、という実に長い戒名をつけられた提案をしなければならない経過についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 自民党切っての労政の権威だとまでたたえられている倉石大臣だから、よもやごまかしなどの答弁はされまいと思うので、簡明率直に質疑をいたしますので、あなたの方でもなるべく簡略にお答えを願いたいということをまず第一にお願いを申し上げます。
 第一の質問の要点は、本法成立当時におきまして、三カ年間の時限立法とされたということであります。どういう理由で三カ年間とされたのか。これは大臣としてでもけっこうでありますし、倉石さん個人の立場からでもけっこうでありますから、お教えを願いたい。つまり一応違法なる争議行為の範囲を明確にする目的でやられたものであるか、その目的のために三カ年という期限を付しておいたのか、あるいはまたその経過や結果から見て安心のいく、よりよい労働慣行が労使双方から円満に調整されて、戦後の平和産業の進歩に大いに役立つようになるだろうという想定のもとにやられたものか、こうした問題について、いかなる目的、いかなる理由によってこの三カ年という時限立法が生まれたのか。あるいは私が申し上げましたその二つの理由以外に原因があるのか。この法律の起点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
#8
○倉石国務大臣 お尋ねのこの法律ができました直接の動機は、御承知のように昭和二十八年に電産、労働、ことに電産のいわゆる電源スト、停電ストがございまして、この労働争議の結果、あの当時、経営及び争議に何の関係もない大衆に非常な迷惑をかけた。こういうようなことは、いわゆる公共の福祉という立場を守る見地からいって、正当なる争議手段とするわけにはいかない、こういう社会通念に基いて当時の政府が立案をいたしたわけでありますが、そのときには政府原案はいわゆる三カ年の期限というものをつけてなかったわけでありますが、これは十五国会だと記憶しておりますが、その十五国会のときに当時の政府の与党でない方の側から、この法律はもちろん争議行為の手段としてなすべからざる手段であることは当然であるが、しいてこういうものを特に制定しないでも労働組合が良識をもって健全なる労働運動をやりさえすればこういう法律を特に設ける必要はないではないか、従って三年間様子を見、またその間に一つ十分に政府としてもよき労働慣行のできるような教育をしようではないか、こういうことで修正案が出されました。それがたしか十五国会でございますが、衆議院が解散になりまして不成立でありました。そこで第十六国会で当時の政府が引き続いて本案を提案いたした。そこでこの三年間というのは、修正側のお考えは今申し上げましたように三年間のうちによき労働慣行が成熟することを希望する、こういうことで御提案になりました。そこで当時の政府もその御提案に賛意を表してこれが三年の期限が付された、こういうことでございます。
#9
○野澤委員 それでは重ねてお尋ねしますが、その当時倉石さん自身としては政府提案通り三カ年の間によい労働慣行が生まれるとお思いになって賛成されたのでありますか、それともまた心境としては実際に三年経過しなければわからぬというお考えでございましたか、この辺のところをお伺いいたします。
#10
○倉石国務大臣 本案が十六国会で成立を見ましたときには、記憶によれば当時の労働委員長はわれわれの同僚である赤松勇君でございました。私もこの委員長を助けて本案の成立に努力いたしたわけでありますが、そこで私は本会議の討論を当時の自由党を代表していたしました。当時の速記録を三年たった今日読んでみましても、やはり私が当時申したことが間違いでなかったということを考えております。その賛成をいたしましたわれわれといたしましては、かくのごとき当然なすべからざる行為であって今申しましたように組合が良識をもって労働運動をやっていただくようにさえなればあえてかようなものは必要としない、しかるにこういう法律を特に作らなければならない、また作ることを当時の国民大衆は希望いたしておったというような社会通念を生むようになった情勢になったことはまことに残念なことである、従ってこれはなくてもいいように早くよい労働慣行が成熟することを希望するのだ、従って三年という修正案にも賛成をする、どうか一つそういうよき労働慣行が成熟するように政府も努力をしてもらいたいし、また労働運動をされる人も、一つそういう方向で努力をしてもらいたい、こういう希望を述べたわけであります。
#11
○野澤委員 そこで昨日の朝日新聞を見ますと、「スト規制法は必要か」という標題で倉石労働大臣と社会党の淺沼書記長との記事が掲載されていましたが、その淺沼書記長の記事の中にこういうことが載っております。しかも討論の際、三カ年間の施行期間中に、本法を適用するような事態が起らなかった場合は、この法律を三年で廃棄すべきであり、延長すべきでないと強く主張した、とあったので、さっそく当時の速記録を調べてみましたところ、討論されたのは自由党の持永義夫君であります。その発言の内容は次のようになっております。「もし労使が自己本位の打算追求を捨てて、またこれに伴う態勢ができますならば、本法のごときは無用の長物となるでありましょう。かかる法令を必要としない労使関係こそ、われわれの最も望むところでありまして、本法案には、三年の期限がついておりますが、いわゆる法は法なきを期するのであります。どうか三年を待たずとも、一日も早く本法の必要のない日の来たらんことを徳望してやみません。」といって意見を付して討論されております。この状況から判断いたしますと、審議されました当時の労働委員会の空気というものは、大体臨時的な立法であって、いわゆる時限立法としてのその性格を如実に示したものと解釈されるように考えられますが、この点に関しては大臣としてどうお考えになられますか。
#12
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、ただいまお読みになりました持永君の気持と私どもの当時の気持と全く同じなのでありまして、こういう法律はなくて済むようにしたいのだということが念願でありますが、私どもも立法に携わりました当事者でありますから、その後三年間静かに労働界の情勢を観察いたしまして、だいぶあの当時とはそれぞれの組合がいろいろな変化を来たしておりますが、私どもとしては、今日の情勢においてはなおかつこの法律の存続を必要とする客観的情勢であるという認識のもとに立ちまして提案をいたした次第であります。
#13
○野澤委員 昨日本件が提案されました際に、倉石労働大臣からは提案理由の説明を詳細に拝聴に及んだのであります。この三カ年という期限付の法律の存続の理由が経過とともに述べられたのでありますが、その根拠や理由がかなりばく然としておって、与党議員の私でさえも率直にやや了解に苦しむというように感じられましたので、これは率直にお尋ねをいたすのであります。つまり「本法が附則第二項において三年という期限を付しましたのも、この期間内に、本法のごときものがなくても、右のごとき行為が行われないような健全な労働慣行が確立されることを期待したからにほかならない」、こういうことを大臣が一応説明されまして、そして最後に決定的な意見といたしまして次のように述べられております。「いまだかかる健全な労働慣行が十分確立されたとは認めがたい状態にあるといわざるを得ないのであります。」と堂々とその理由が述べられているのでありますが、この判定の基礎はどのようなものから結論づけたのか伺いたいと思うのであります。ばく然とという意味と、それから大臣の言われる健全な労働慣行が十分確立せられたとは認めがたい状態にあるといわざるを得ない、こういう結論を持ってきておられるのでありますが、その判定は、一体だれがどのような機関においてこうした結論を出されたのか、また政府みずからがよりよい労働慣行に自信が持てないと解釈して決心したのか、いずれの原因でもよろしゅうございますが、こうした決意をされた動機というものの根拠を明らかにしていただけたら大へんけっこうだと存じます。
#14
○倉石国務大臣 この電気産業及び石炭鉱業に従事をいたしておる労働組合のその後の経過に見ますと、御承知のように電気関係では電労連と電産が分れておりますが、これもやはり内部で組織争いを今なお継続いたしております。労政当局から見ますと、これが安定した状態であるとは認定いたしがたいのでありまして、この間電労連の代表の方々が私のところへ二度ほどお見えになりまして、私どもはこの電気産業及び石炭鉱業の規制に関する法律に規制されておるようなことは、当然なすべからざる行為であるということはよく承知をしておるのだ、従ってわれわれの運動は大臣も見られればわかる通り、そういうなすべからざる行動なんかはやりはせぬのだ、だからこういう法律はない方がいいではないか、こういう御説明でありました。電労連の最近における行動を見ておりますとまことにこれは堅実な歩みを続けておられるようでありまして、私としては非常に喜ばしい現象であると思います。野澤さんもよく御存じのように、労働組合の中には、早く日本の経済界に不安を醸成して、そうして不安を巧みにキャッチすることによって、社会不安を醸成して、一部の人の希望いたしておる革命的な方向に持っていこう、そのために労働大衆を利用しようとする者がございますが、私は、日本の労働大衆というものは決してそういうものではない、そういうものにだまされるほど幼稚ではないのでありますから、堅実なる労働運動をしていかれることを待望します。そこで電労連のおっしゃるようなことは非常にけっこうだと思うのでありますが、一方において電産はなお今申し上げましたような状況になっておりません。それから石炭鉱業の方でも、これはつい最近炭労の大会などがございましたが、そこではこの法律が存在するといなとにかかわらず、われわれは保安要員の引き揚げはやるんだということを宣言いたしておられる方々もございます。そういうような状況でありましては、私どもとしては、やはり公共の福祉を保持しなければならない政府の立場としては、この法律の存続を必要とする、こういう認識でございます。
#15
○野澤委員 内部で組織競争をしている実態とか、あるいは経済界に不安を与え、また社会不安を醸成して革命的な要素を誘導しようというような外部的な事情はよくわかりました。あるいはまた炭鉱労働者が保安要員の引き揚げも当然やらなければならぬということの外的事情もよくわかりましたが、それではこの法律を起点といたしまして昭和二十八年の八月以降一体この法律を適用した事実があるかどうか。またそういうことが起きなかったという実態が、すれすれのところまでいって起きなかったのか。この法律自体の効果が起さなかったのか。こうした点についての御見解を承わりたいと思います。
#16
○倉石国務大臣 私の説明のあとで、本案が成立いたしました後の関係労働組合のことについて、具体的な例を政府委員側の方から説明申し上げますが、この法律が存在することによって政府の期待いたしておる行動が抑制されておる、この規制によってそういう行動が起きないで済んでおる、また事案がすれすれのところまできて妥結をみておる、こういう状況でございまして、この法律がないということになりましたならば、私どもは予期せざることが起きる心配を持っておるわけでありますから、法案の存続を希望するわけでございます。本法が成立して後の関係の争議行為について申し上げたいと思います。
#17
○中西政府委員 本法施行後の事案といたしまして、まず電気、石炭両部門に、この法律に違反すると疑われる行為が数件ずつございました。
 電気事業につきましては、まず昭和二十九年十二月でございますが、火力発電所関係で、中国電力の坂火力発電所におきまして、電源職場におきまして指名ストがございました。さらに水力発電所におきまして、昭和二十九年十一月、東京電力の山梨支店忍野発電所におきまして、塵埃処理業務の拒否がございました。これは秋口水路の取り入れ口におきまして落葉、枯れ枝等が水路に入らないようにさくをしてございます。それを引き揚げませんと水量が非常に減る。そのために水力発電が非常に機能が落ちるという結果を起こすのでございますが、この忍野発電所におきましても相当な影響を及ぼしましたが、中央から、これは本法に違反するという注意がございまして、早期にやめましたので、その後短時間でこれは中止されましたので実害は若干で済みました。なおやはり同じ時期に神奈川支店におきまして、また同じ時期に栃木の支店、さらにやはり二十九年の十二月、九州の鹿児島支店におきまして、同じような塵埃処理業務の拒否がございました。なお三十年の七月に、北陸電力福井支店及び富山支店において、さらに同年の十二月に、福井支店及び富山支店におきましてそれぞれ塵埃処理業務の拒否がございました。いずれも影響が軽微であったのでございまして、これに対しては起訴がございませんでした。
  〔「そんなことがどこに関係があるのか」と呼び、その他発言する者多し〕
#18
○佐々木委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。
#19
○中西政府委員 軽微な影響しか出ませんでしたので、これについてはそれぞれ起訴手続には至りませんでした。
 次に石炭鉱業でございますが、これにつきましては保安放棄ないし採炭拒否という事態がやはり数件起っております。まず昭和二十九年の八月に岩手窯業鉱山株式会社におきまして保安放棄及び生産管理的な行動がとられました。次に昭和二十九年十二月に、高島炭鉱の保安要員の差し出し拒否がございました。さらに昭和三十年の一月に小倉炭鉱労組の保安要員の引き揚げがございました。さらに三十年の五月中島鉱業労組の保安放棄の事態がございました。なお同年の七月小倉炭鉱におきまして保安放棄、これは一時間程度でございましたが、ございました。三十一年に入りまして、北炭の新幌内鉱労組におきまして保安要員の引き揚げ、さらに七月に古河大峯労組で、保安要員の引き揚げという事態が起りました。いずれもこれは当時鉱山保安監督の行政指導によりまして、それぞれその事態に応じましての勧告、指導が行われました。この取扱いについては、かねがね慎重にするということもございましたので、行政措置で事をおさめまして、いずれも起訴という事態には至りませんでしたが、以上のような本法違反のおそれのある事案というものが、電気事業、石炭鉱業それぞれにおきまして数件ずつあったわけでございます。
#20
○野澤委員 ただいま中西さんからの事案についての詳細な説明を得たのでありますが、大体こうした行為の起きました原因について御説明が何もなかったように思います。たとえば過重な労働をしいたとか、賃金闘争のためにこうした事態が起きたとか、あるいはまた団体交渉の途上において満足な妥結を見ないからこうした行為が起った、こういう事態が全然説明がなかったようでありますが、どういう原因でそうした部分に派生したのか、その原因をお聞かせ願いたいと思います。
#21
○中西政府委員 まず電力事業についてでございますが、火力発電所、中国電力におきまして指名ストが行われました。その原因は、昭和二十九年末の期末闘争に際してでございました。期末一時金の支給要求につきまして、それの要求貫徹ということから火力発電運転要員二十名が五十分間の職場放棄を行いました。さらにその後やはり火力発電運転要員一名ないし数名が四十分ないし二時間にわたって、五回にわたって職場放棄をいたしております。但しこの際は会社側か急いで代替要員を配置いたしましたので、支障は軽微で済んだのであります。それから昭和二十九年の東京電力等におきましての塵埃処理業務の拒否でございますが、これは十一月の業務繁忙手当支給をおもなる要求項目といたしまして、闘争を展開いたしました。その闘争中の第二波といたしまして十一月の十八日午前零時以降、水力発電所二十カ所に塵埃処理業務の拒否が行われたのであります。これは相当な影響が起きて、午後六時の需用ピーク時に一部停電のおそれさえあったのでありますが、幸い地本が中止命令を出しましたので、午後四時から作業を開始いたしまして、停電は免れました。これは業務繁忙手当要求が原因でございます。あと栃木支店と神奈川支店、これはいずれも同一の事案でございます。それから九州電力の鹿児島支店におきましての問題は、二十九年末の期末闘争の際でございます。それから北陸電力で、三十年でありましたか、これも一時金要求のときの争議でございます。以上はいずれも塵埃処理業務についてでございます。
 それから石炭でありますが、岩手窯業の昭和二十九年の場合は、これは事業不振のための人員整理の反対闘争でございました。そのために、会社側との話し合いがつかず、保安要員の引き揚げが行われました。その後会社側と協議いたしまして、保安要員を差し出すようになりましたけれども、さらに話が進展しないので、再び全員引き揚げをいたしました。そのために一時は保安業務の維持が行われず、坑内は巻立近くまで浸水いたしまして、通気状態が悪化の一途をたどりましたが、これはその後組合側が会社不信任というので、生産管理をやりまして、会社側もその生産管理を黙認をするという形になりまして、その後保安状態がよくなりまして大事には至らなかった。
 それから二十九年の期末手当の際に、炭労が一社重点ストで、三菱の高島炭鉱においてストが行われました。高島炭鉱は御承知のように非常にカロリーの高い炭鉱でございまして、保安出炭をしなければならない山でございます。組合側と会社側におきまして、保安出炭のいわゆる採炭要員につきまして話し合いがつきませんで、そのためにきわめて危険な状態になりました。あわやあぶないという前日にこれが解決を見ましたので、最悪の事態に入らずに済みました。
 それから中島炭鉱の昭和三十年の事案でありますが、これは企業合理化案をめぐりましての組合側の闘争でございました。そうして組合側は部分ストを行なっていましたが、ついに保安要員の総引き揚げを行いました。かつまた会社側の入鉱を阻止したということで、きわめてあぶない事態になりましたが、あっせんの結果、その総引き揚げの翌日に妥結いたしましたので、水没は免れたという経過をたどっております。
 それから小倉炭鉱の場合でありますが、これは賃上げ要求が派生いたしまして、行き過ぎた組合員の懲戒解雇が出ました。その懲戒解雇反対闘争のためにもつれがだんだんひどくなりまして、そのためについに組合側は保安要員たるポンプ係の引き揚げを指令いたしました。これは一時間でありましたが、一時間所定の時間より早く上ってしまった。そのためにポンプの使用が不可能になるというあぶない事態になったのでありますが、第二組合ができておりまして、その第二組合と職員が入りまして吸い上げポンプの運転が停止することを免れまして影響がなかった。
 それから北炭新幌内の三十一年の問題でありますが、これは本年度の春闘においてのロック・アウトの際に、組合側が保安要員の増員ということを中心に会社側と交渉したのでありますが、決裂したために、ガス・ブロア、消火栓ポンプ関係の保安要員を除きまして保安要員が引き揚げた。これも職員組合の保安要員が保安に当りまして、一応その日の団体交渉を徹夜でやりまして事態を収拾しました結果、事なきを得ております。
 それから古河大峯の事案でありますが、これは、保坑関係の作業条件に関する職場闘争、これがだんだん進展いたしまして、時限スト、部分ストを実施いたしました。一応保安放棄の回避の戦術転換を行いましたが、その要員の差し出しの範囲がきわめて限定されたということで、労使間にその点についての意見の不一致が非常にあった。従って保安業務が非常に渋滞してきた。さらに労使間の対立が激化いたしまして、あわや保安放棄をする――また大峯労組といたしましては保安放棄をすると正式に決定いたしました。ところが炭労の幹部その他の使用者側との交渉によりまして、その保安放棄をするという日の未明に交渉が妥結いたしまして、これは実際には保安放棄されませんでしたが、この際には組合といたしまして保安放棄の決定をはっきりいたしまして、もしこれが解決しておりませんでしたらば指令通りの実行があったのではなかろうかという、まことに危機一発の状態であった、こういうようなことであります。
#22
○野澤委員 そこで、電気事業と石炭鉱業との争議の原因を今拝聴してみますと、全くこれは原因が離れておりまして、つまり電気事業においては、ほとんど期末闘争が原因である、それから石炭鉱業の方では、むしろ人員整理等の問題がこうした闘争の原因になっておるようでありますが、すべて労働争議の経過というものは、何としても、原因がわれわれとしては一番重要なポイントであります。こうしたいろいろな事情を考えてみますと、たとえば、石炭鉱業というものは最近極度な不況に追い込まれた。こうした外的なあるいは内的な事情等もありましょうが、全体を通じまして、この法律ができて以来、こうしたたび重なる事件等が起きたようでありますが、外郭団体、外部事情の詳細についてはよくわかりましたのですが、電気事業なり、石炭鉱業なりに政府自体として、あるいは労働大臣として、どんな施策と努力を払われたのか、この点も重要な点であると思いますので、もしお聞かせ願えたらけっこうだと存じます。
#23
○倉石国務大臣 電気事業は、御承知のように公益事業でございますから、経営については法律による政府からの規制を受けていることは御承知の通りであります。石炭鉱業も国の大事な資源であり、またこれに従事しておる労働者が相当数おるわけでありますから、こういうものに対してもわれわれとしてはもちろん、経営面においては通産省でございますが、それぞれの監督をいたす。たとえば一般経営のことは別といたしまして、われわれに直接関係のあります方を申しましても、鉱山保安法がございまして、この鉱山保安法による従業員の特別なる保護施設はやらなくてはならない、こういうことは特別な命令をすることになっておるわけであります。そこで今お話のございました争議の直接の原因が、もちろんこれは両方とも経済的要求の不一致の点から発生しているのでございますが、御指摘のように石炭鉱業が最近、ときどき波は打っておりますけれども、一時的に非常に景気が悪かった。しかしこの石炭鉱業もそれから電気の方も、私ども統計を見ますと、電気事業の方は大体において一般産業よりも給与が、やはりこういう事業であります関係上いろいろな制約があるにもかかわらず上昇率をたどっております。それから石炭鉱業も今お話のように、若干非常にまずいときはありましたが、最近では御承知のように立ち直りまして、この労働者の待遇も一般産業に比して決して悪くはない、部分的には非常にまいところもあります。さようなわけでありまして、両方の産業も、ことに電気産業は公益事業の立場から政府がいろ心ろな指示をいたし、また制約を加えておりますが、これに従事しておる労働関係の方を見ますと、両工業とも一般産業に比較して決して悪くはない、ことに電気の方は非常によくなっておる、こういう情勢であります。
#24
○野澤委員 だんだん政府の監督指導あるいは努力の点もうかがわれるのですが、それでは反対に今度は労働大臣がごらんになって、この法律が施行されてから過去三年間、この労使の間において労働者自体がこの法律によってどれだけの利益があったか、あるいは不利益があったか、これをどうお認めになりますか、この点を明らかにしていただきたい。
#25
○倉石国務大臣 先ほどもちょっと触れましたように、全労連の方々などは私と会見いたしますときに、この法律の規制いたしているような行為は当然やるべからざる行為なんだ、従ってこんな法律がなくてもわれわれはそんなことをやろうとは決して思ってはいないということを常々主張されておりますし、また非常に堅実な行動をとっておいでになるわけでありますが、このことによって特別なる労働組合が損害を受けるということは私はないと思います。要するに労働権の問題にもなるかと思いますが、労働組合は、たとえば電気産業では、今ここに指摘しておりますような行為はやってはならないと申しておるのでございますが、労働組合側として要求を貫徹するために、その他の行為は自由でございますから、ほかの許されたる方法で幾らでも要求貫徹のために争議を行うことは自由である。炭鉱の方でもそうであります。炭鉱は今ここに指摘してありますような保安要員の引き揚げだけはやってはならないということでありまして、その他のことは一向制約を加えておらないわけでございますから、私はこの労働者のいわゆる基本的な権利というものには毛頭支障はないものだ、こういうふうに考えております。
#26
○野澤委員 ただいまの説明をお聞きしたり、あるいはたびたび新聞等の倉石労働大臣のお話を総合いたしますと、いわゆるスト規制法といわれる法律というものは、労働者の争議権のごく一部分だけの制約をしたのだ、こういうことが非常に強く主張されている。ところが淺沼書記長の主張からいたしますと、労働者の基本的人権と申しますか、争議権というものは完全に剥奪されている。こういうふうに強い主張が生まれている。こういう結果から見て二つの流れがあるのでありますが、一体この法律の効果と申しますか、あるいは法律の実施期間中の労働の推移といいますか労働大臣自体として、三年間に労働力の推移に対してはどんな経過が生まれているか、たとえば基本的人権の侵害だというので、労働条件が低下しているとか、あるいはまた今お話のありましたように、個々別々の組合なり労働者なりとすれば、保安要員の引き揚げ等は当然やるべからざるものだ、また電源のスイッチを切るというようなことはやるべからざることだということを完全に了解して、生産に強力に努力をされているのかどうか、こうした点について、最も国民の関心を持つ点であると思いますので、率直にお尋ねを申し上げます。
#27
○倉石国務大臣 世間には今お話のございましたような労働基本権を全面的に抑制するのであるというようなことをばく然とおっしゃる方がございますけれども、法律をよく読んでいただけば、そういう誤解は生じないはずでありまして、電気産業に従事いたしておる方々の中で発電所におってスイッチを切る、あるいはウォーク・アウトしてしまうということ、それからいわゆる正常な供給を特に妨げるというような行動はしてはならない。つまり野澤さんもすでによくおわかりのことでございますが、私どもの了解するところによれば、労働争議というのは、経営者と労働組合とが対等の立場に立って雇用条件についていろいろ話し合いをなさる。その場合に労働組合側が経営者の意見に賛成できないという場合に、それならば労務の提供を拒否することによってお前に経済的損失を与えるぞ、こういうことなんであります。従ってそのことは、第三者である国民にそれは多少の影響はあるかもしれませんが、それは経営者と労働者だけのことであります。ところが電気事業の労働争議を見ますと、スイッチ・オフして電気を消してしまうということによって受ける迷惑というものは、経営者もそれは迷惑を受けることは間違いありませんけれども、もっともっと、経営にも労働運動にも争議にも何の関係のない国民大衆に莫大なる損害を与える。こういう結果は、やはり憲法にいう公共の福祉を守らなければならない、国民を代表している政府としては、さような行為を野放図に放任しておくような無責任なことはできない。これが私どもの考えております立場でございますが、今のお話にございました労働争議の一つの手段でありますスイッチ・オフをするとか、ウォーク・アウトとか、あるいは炭労の方でもそうでございまして、あらゆる炭労の業務に従事している者のうち、つまり地下に働いている人々に対してガスが出てくる、これを入れかえるために新しい空気を入れるポンプを扱っている保安要員であります。これをやめてしまうということは、地下の作業をやっている人の人命にもかかわることであるし、あるいは人はみな外へ出たとしても、ガス爆発をするようなことがあれば、国家的資源の滅失を招くのみならず、争議が妥結したときの労働者が復帰すべき職場を失うようなことになるのであって、どうしてそういうことを放任しておくことができましょうか。私どもはこの社会通念に従って、この法律を出しておるのでありまして、つまり電気産業でも、たとえば集金人がストライキをやる、集金人がストライキをやれば、あるいは電気料の滞っておる人たちはあるいは喜ぶ人もあるかもしれませんが、そういう争議は自由であります。事務の争議も自由であります。つまり一部分のスイッチ・オフとか、ロック・アウトとかいうことを禁じておる、そういうことはやるべきでない、こういうことでございますから、今の成長してきました労働組合の指導者たちは、むしろこういう法律がある方が、よくわからない人、組合の下部の人たちがいろいろな激しいことをおっしゃっても、これはこういう法律があるから、そういう社会公共の福祉を与るために、こういうことをやっちゃいけないのだと言ってきかせるには一番いい理由なんであります。野澤さんもすでに御存じでございましょうが、まじめな労働組合の指導者たちは、かえってこういうものを置いてもらう方がいいということを考えている人が多いのです。そこで私どもは、今この法律は経営者と労働者という立場だけではなくて、一般国民の利益ということを土台にして考えておるというのが、この法律の最終的なねらいでございます。
#28
○野澤委員 だんだんと倉石労働大臣のお話が浸透してきましたので、私にも大体の様相がまあ了解つくわけでありますが、そこで今度の国会にこの法律が上程されますについての提案の手続についてお尋ねしたい。
 端的にお尋ねいたしますけれども、政府はこの法律を国会にかけようというときに、社会労働委員会の審議を省略するという方針で御上程になったように記憶しております。この問題は、ただいま大臣から御説明がありましたように、社会党の方々の公に主張することと、倉石労働大臣を中心とする政府の方々の主張と、国民世論を形成する上において相当の差があると思う。こういう誤解されやすい重要な法案を、なぜ委員会を省略して直接国会にお出しになろうとしたのか。その当時の労働大臣の御心境としては、もう国民の世論というものは、単なる公共の福祉を擁護するためだから説明の必要がないんだ、単に法律を延期すればよろしいんだ、端的にこういうお考えで出されたのか、あるいはまた他の政府の御事情によって出されたのか、あるいは政党の事情によってそれが省略と決定いたしたのか。幸いにこの委員会にかかったのでありますから、何も強く要求しようというのではありません。しかし国民大衆というものは、このいわゆるスト規制法を中心にして、自民党、社会党の単なる対立と見ないで、あたかも自民党が悪政を施すかのごとき解釈をされがちの問題でありますので、この点については十分国民の納得のいくような御説明が必要だと思うわけであります。どうかこういう点について倉石労働大臣としてその心境をはっきりとお示しを願いたいと思います。
#29
○倉石国務大臣 お答えいたします。それに関連いたしまして順次申し上げたいと思いますが、御承知のように、この法律の附則第二項には「この法律を存続させるかどうかについて、国会の議決を求めなければならない。」こういう法律によって命ぜられておる法律上の義務を政府は履行しなければなりません。そこで今回の国会にはぜひこれを出さなければならぬ。ところが、皆さんでございますから、ざっくばらんに申し上げますが、わが党の中にも、何しろ年末も迫っておる臨時国会であるし、こういうとかく――私どもとしては、あっさりこれを議決していただけばそれで済むわけでありますが、いつまでも論じなければという御希望の方もあるようですから、そういうものはなるべくこの次の国会に出してゆっくりやってもらったらどうだ、今回は大事な日ソ共同宣言だけにしたらどうだということを注意して下さった与党の議員さんもたくさんございますし、社会党側の有力な幹部の方々も、私が陳情に参りましたら、今回はまずいではないか、こういうお話、そこでそれは御親切でありがたいのでありますが、今ここにございますように、この法律は、期限が切れてから、その次の国会が開かれたならば、この法律を存続させるかどうかについて国会の議決を求めなければならないという義務づけられたものでありますから、政府としてはどうしても出さなければならない。その出す場合には、私は三つあると思います。第一、本案を議決してもらいたいという出し方と、それから存続せないように議決していただきたい、それから存続するかどうか、国会できめてもらいたい、この三つだろうと思うのでありますが、政府の意思がどこにあるのだということを聞かれたときに、政府としては、客観的情勢を先ほど申し上げましたように、存続を希望するのだというのでありますから、それなら国会できめてくれというやり方は無責任だ。そこで今申し上げました自民党及び社会党の有力なお方々の御注意によって、この次の国会に出したらどうだということになりますと、この次の国会まで待っていただくためには、一応ここで議決しなければならないのでありますから、存続せざるの議決をお願いいたして、そうして存続しないということにして、来国会にあらためて提案をし直すということは、これは論理一貫しませんので、そういうことはできないわけであります。そこでまず私ども政府の考え方を申し上げて議決をお願いする。そこで野澤さんも御承知のように議決案でございますから、この議決案というのは、いつも委員会の審査を省略して議決をしていただくこともある。第一には、法律はすでに存在しているのでありまして、この法律に対して新しい何ものかを加えるということであるならば、これはいけませんけれども、そうでないので、あるものの期限を先へ持っていく、こういう議決だけをお願いするのであって、法律は皆さん方すでに熟知しておられる法律であるから、これは委員会審査省略は支障がないことである。それからまた第二の理由といたしましては、今申し上げましたように日ソ交渉という大事なものもございますが、私ども労政当局として一番考えております立場は、今日のどこかの新聞にもありました、いわゆる秋季闘争というものが行われかけております。これも相当大規模にやられようとしている。そういうやさきに、労働界に一日も早く安定感を持たせるということが、これは労政当局の親切な親心でございます。これは一日も早く安定してもらいたい。それにはこういう問題についてとかく国会で紛議しているようなことだと、その影響を受けて外部も不安定でありますから、労政当局としては、一日も早く安定していただくために、これは委員会の審査を省略して本会議でやっていただく方がいい。そこで本会議――ときどき新聞が何か間違えて書いておりまして、委員会審査省略は暴挙であるとかなんとかいっておりますが、決して暴挙ではないのであって、本会議にお出しくださったときに、一日でも二日でも十分に――皆さん御存じのように、イギリスの本会議では、社会主義か資本主義かということで三日も四日も本会議をおやりになった例があるのでありますから、本会議において十分に御審議を願う、こういうことでございますから、私どもとしてはそういう建前で申し上げたことでありまして、別に他意はないわけで、一日も早く労働界が安定していただくことをわれわれは希望いたしているわけであります。
#30
○野澤委員 非常に卓越された(笑声)御説明で、完全に納得をした状況でありますが、実は私は、この質問をしたら倉石さんが、無理があったと思う、どうも手続上遺憾の点があったかもしれぬというくらい親切なお話があるかと思った。ところが理路整然として、議決を要求することには何ら文句がないという御説明で、私も納得します。納得はいたしましたが、その倉石さん自身の内心においては、実は今度の臨時国会にスト規制法を提案するのについては、多少不手ぎわだったんじゃないかというお気持も内心あるやに私は想像します。それはあなたに釈明せよとか、あるいは無理押しだったと言うてくれということは申し上げません。私の実際に感じたままを申し上げましたのですから、あなたには何も責任はありません。そこでそういう感じを持つところに私は倉石さんの人となりがあり、またりっぱな大臣としての今後の職責が尽されると思いますので、単に議決をするというような一本調子でなしに、今お答え願いましたように、二十六日までには社会党さんも完全に上げて下さるというのでありますから、どうか何時間かかっても、夜間作業になっても、この問題については十二分な討議を尽されるようにお願いを申し上げたい。同時に、先ほど申し上げましたように、すでに雑誌や新聞の論調等を見ますというと、相当国民はこの法案に対しては誤解をしております。特に昨日の新聞でも、あなたの主張されていた項目には、内容を正しく知らずに反対するということが指摘されております。結果的にはそのような感じを私ども抱くのでありますが、そういうことがあればあるほど、私はなるべく委員会において政府の立場というものを簡明に発表すべきだし、また社会党の方々を中心にした反対の御意見等も十分に聞いてやるべきじゃないか、こういうことからみますというと、結果論でありますが、委員会に付託されたということは、非常に国民にとってはよかったんじゃないかという感じがいたします。しかし、もしもこれを率直な質疑応答等において――ぼやけた内容でこれを押し切ろうとするようなことがありますというと、やっぱりスト規制法というのは、社会党さんの言うのが正しいんじゃないかという、国民感情を刺激しますので、どうか政府の今まで披瀝されておりました論を中心にして、大臣はどこまでもこの問題については、誠意をもって解決をしていただきたいと思います。このような経過からいたしまして、私は、何としてもこの法律を延期しなければならぬという理由については大体わかりましたけれども、施行後の電気事業と石炭鉱業との労使関係について、一体将来どういうふうにしていくのか、またこれを延ばすことによって他の産業にも同じような理念が浸透していくのかどうか、あるいはまたこれだけを中心にして良識ある労働者階級の争議行為というものが、ある程度、よりよい労働慣習を生む動機になるという考えで臨まれておるのか、この辺のところもちょっぴりお聞かせを願いたいと存じます。
#31
○倉石国務大臣 ごもっともでございます。私どもといたしましては前国会でございますが、若干の予算措置をいたしまして、八つの重要なる産業の内部に協議会を設けまして、そして自主的に一つ労使双方がうまくやっていってもらうということを提唱いたしまして、すでに御承知のように、繊維産業はそういう協議会が労使双方でできまして、非常に成績がいいようでございます。鉄であるとか電気であるとかいうものにも、徐々にそういうふうにやって参るつもりでございますし、今日では電気産業方面では、大体お互いにそういうようなことについて、個別に協議態勢を作ってやっておられるものもあるようでありまして、はなはだ私はこの傾向を喜んでおる次第であります。なお将来に向っても、そういう方向に進んで参りますように指導して参りたいと思います。なお同じような公共性を持っておる他産業について、将来どういう考えであるかというお尋ねのようでございますが、政府といたしましては、労働関係というものはなるべく法律、規則などで拘束するようなことを考えないで、できるだけ双方の良識ある、よい労働慣行が作られていくように、たとえば先ほど申しましたような繊維産業の労使協議会のようなものが設けられて、自主的に解決いたされていくことを待望いたすわけであります。この法律の関係である電気産業などについて強制仲裁いうようなことを考えておられる向きもあるやに承わっておりますが、実際のところを申し上げますと労使ともにそういう第三者が介入して労使の紛争を解決するようなことをどうも希望されないようであります。そうして自主的にやっていきたいというお考えが、労使ともに強いようでありますので、私どもはそういうよき芽生えを育成していくように側面から努力を続けて参りたい。こういうように考えております。
#32
○野澤委員 時間がありませんので、もう一点だけお尋ねしたいのですが、何といっても、この法律を延期してから後の対策というものが非常に重要だと思います。先ほども大臣から御説明がありましたが、賃金等の問題についても相当の効果をあげているというようなお話がありましたし、私も昭和二十八年から以降の電気事業等と他の産業との賃銀の比較等も手に入れまして見ますと、二十八年を二〇〇といたしますと、全産業の指数が一一三になっております。それから電気事業の方は一一〇・五というような指数が出ておりますので、あえて強力な労働争議の行為を起さなくともある程度のバランスはとれていける、かような感じがいたしましたので、どうかただいま御説明になりましたような立場から、十二分に労使関係の協調に御尽力願いたい。
 ただ最後に一点だけ、どうしてもこれは誤解されやすい問題でありますのでお尋ねいたしておきたいのですが、スト規制法と憲法違反の問題を淺沼さんあたりも大きく取り上げております。しかも昨日の主張の中でも、参衆両議院の三分の一以上の数がとれなかったから保守党の方では憲法改正ができない、そのために憲法違反という事犯を次々に法律によって犯していこうとしてるんだという、こういうことで、その手始めとして憲法改正と同様の効果をねらおうとしたのが今度のスト規制法である、こういう主張をしておる。さらにまた政府は労働階級を信頼していないということを前提として、三年間何ら事故がなく、本法の適用を見なかったことも、労働階級の生産事業に対する責任と自覚に基くものであるということを知らなければならないということを主張いたしております。こうした関係からいたしまして、四つか五つの反対理由を示しております。その反対理由の第一には、憲法違反の問題が強く取り上げられておるのでありますが、これは昭和二十八年当時において、あるいはまた十五国会、十六国会等の議決を経るまでに、おそらく数回重ねられて論議が尽されたわけであります。従ってこうした議論がいまだに日刊紙等に載らなければならぬ、こういう考え方というものは、一日も早く是正してほしい。適法であるなら適法である。また憲法違反であるということを主張する人たちに対してもよく納得のいくように主張していかなければならぬ。こういう点について、倉石労働大臣としてはその当時の委員でもありますし、今日大臣の要職にもつかれておりますので、このスト規制法は憲法違反には実際にならないんだ、これをはっきり言い切っていただくことが一番必要じゃないかと思うのであります。単に保守革新の対立というような問題から浮き上らせて、しかもこのスト規制法というものが日本の重要産業に利益するところが大であるという考え方からいたしますならば、そうした考え方をどうしても根絶やしにして、堂々と日本の産業の復興に貢献し得るような態勢にしてほしいと思うのであります。簡単にその点を明らかにしていただきまして、私の質疑を終りたいと思います。
#33
○倉石国務大臣 本案が第十五、第十六両国会にかかりましたときに、一番論議されましたのは、やはり憲法問題が多かったようでありますが、御承知のように憲法二十八条には、勤労者の団結権、団体交渉権及び団体行動権はこれを保障するというわけでありますが、その憲法が保障しておる基本的権利というものも、やはりそれはその前の憲法十二条及び十三条にいう公共の福祉というものが前提になっているのだ。特にそういうことを二十八条にうたわなくても、憲法の精神がそこにあることは当然なことでありまして、われわれ個人の自由権が野放図に放任されることによって、国民大衆の利益を侵害するようなことは、憲法が認めておるはずはないわけであります。そういう立場でありますから、私は国民の自由権勤労者の基本権、みなこれひとしく憲法十二条、十三条が優先して、そのもとにおいてわれわれ国民の自由権は保障されておるのだ、こういうわけでございますから、本法が憲法違反であるという議論は牽強付会の議論であると私どもは解釈しておるわけであります。
#34
○佐々木委員長 赤松勇君。
#35
○赤松委員 本法律案につきましてはいろいろ問題があると思います。今大臣の御指摘のように、憲法上の疑義の問題もたくさんあるわけでございます。これは十六国会等におきましても、いろいろな学者からも指摘された問題でございます。そう簡単には今大臣の解釈のようには参らぬのであって、本委員会におきましては、論議を尽して真の憲法の精神を追究しなければならぬという問題もあります。あるいはこの法律案が政府の意図に反して国会において修正されまして、時限立法になったという過程と、本法の持つ修正された意義等も考えなければなりません。それからさらに三年の間、当時小坂労働大臣の言っておりました正常なる労使の慣行というものが確立されておるかどうか。これはやはり客観的におのおの検討してみなければ、そう簡単には結論は出ないと思います。そういう問題や、あるいは当時小坂労働大臣は、一応一部の争議手段を規制するものであるけれども、しかし現在裁判所においてこの問題は裁判中の問題である、従って裁判所においてその判例が出たならば、政府としてはその判例に従っていきたい、こういう御答弁がありました。その後東京高裁等から二十五件の事案が出まして、ほとんどこれは無罪ということになっておるのであって、そう常識論でもってすぐに割り切るということは、これは憲法二十八条の労働者の団結権、団体行動権、重要な基本的人権の観点から考えましても、そう労働大臣のように簡単にはいかないと思うのです。それから当時改進党が主張いたしましたように、時限立法は了承する、そうして自分たちは三年間の時限立法として修正をするけれども、考え方としては、どうぞ政府は三年の間労働者の重要な争議権の一部を規制するだけで、労働者の状態をほっておくというのではなく、これに対して救済手段を講じてその十分な裏づけをしてもらいたい、法律によってその権利の一部が規制されるのだから、当然これに対して何らかの救済手段を講ずべきである、こういう希望も当時高橋君によって強く述べられておるのでございます。その後三年間に小坂、倉石両労働大臣が、果してこういうような当時の国会の要請にこたえているかどうか、こういう点につきましても私ども厳密に検討しなければなりません。
 それから今お話のように国会に提出をされるその義務が当然政府にあるのでございますから、そのこと自体は私は問題にしておりません。ただ出し方が三つあるとおっしゃいますけれども、三年間労使関係が正常な形であった、そうしてその慣行がりっぱに作られたのだ、何ら一つの事件も起きなかった、先ほど中西政府委員の方から資料などをたくさん出して説明があったのですけれども、これは後ほどわが党の各委員から具体的に――あなたは現場の事情をよく御承知ないから、現場の事情を知っておる者が、これを十分教えてあげますから、その際に問題を明らかにしたいと思いますが、三年間何一つ違法の事件が起きなかった、こういうような客観的事実から考えてみまして、この法律案を政府が国会に議決を求める場合に、存続の必要がないという出し方だってあると思う。これは何も政府の政治的責任にはなりません。倉石労働大臣がりっぱな慣行を作り上げた、いわば一つの業績にもなるのであって、そういう出し方が、政府に義務づけられているところのその義務に反するものであるというふうには私は決して考えておりません。ただ、あなたがどうしても存続させる必要があるのだというその根拠はきわめて稀薄である。今日、国民は納得しておりません。また良識ある言論界もこれを納得しておりません。われわれは存続の必要がないと思っておる、しかしあなたは存続の必要があるという見解に立ってお出しになるのなら、これは政府の自由である。問題は出し方に問題があるのではなくて、委員会の審査を省略してすみやかに議決をしてもらいたいという理由を付して、しかも内閣総理大臣は、議院運営委員会におきまして国会にこれを要求した。ところが政府の意に反して委員会の審議を省略すべきではない、本法案は委員会において十分審議を尽すべきである、こういうように院の意思が決定した。そこに私は問題があると思う。当然そこから生じます問題は、政府として政治的責任が伴ってくる。労働大臣として閣議で強調され、さらには自民党の議員総会において大いに士気を鼓舞された。当時何も知らない議員諸君は火の玉となってあなたを助けると言った。ところが事態はあなたの意思に反して、国会におきましては自由民主党も社会党も、両党一致して議院運営委員会におきましては議長採決のように日限を期して衆議院において委員会付託にして慎重審議をするということに決定したわけです。内閣総理大臣の責任もさることながら、その行政を担当されております倉石労働大臣の政治的責任はきわめて重大であると思うのです。もし憲政の常道に立ち、議会のルールを守り、民主主義を守るという立場に立つならば、あなたは院議によって否決されました政府の意思をどうお考えになるか。当然労働大臣の職を辞して、そうしてその不明と手続の遺憾な点を、国会に対しましても、国民に対しましてもその責任を明らかにしておやめになるのが当然であると思うのですが、どうでございましょうか。あなたはその責任をお感じになっておるかどうか。さっき野澤委員から同僚議員として切々たる御忠告がありました。あなたはそれに対してでんとして恥じざるの態度をとっておられる。私は常にあなたを尊敬していた。しかしあのような答弁が出るということはまことに遺憾千万だと思うのです。この際どうぞあなた自身の責任をも明らかにしていただきたい。今後の国会運営上にも重大な問題が残されるのでございますから、この際労働大臣倉石忠雄君として、一つ念のためその所信を明確にしておいていただきたい。私は重ねて鳩山総理大臣に対してもこの点についての御質問をしたい、こう思っております。この一点だけを御質問申し上げまして、同僚委員や、あるいは委員会における私の質問は後ほどにいたしたいと思います。
#36
○倉石国務大臣 私が無能な労働大臣でございまして、そのゆえをもってやめたらどうかという御忠告ならば、私は大いに反省をいたしまして、あるいは無能であるから身を何とか考えなければならないかとも反省いたしますが、手続の問題について、私はあなたの御主張には賛成することができません。つまり私ども政府が委員会の審査省略を願いました理由は、先ほど野澤委員にお答えいたしました通りでございます。年末に際会しておるときに、この労働情勢を一日も早く安定してあげるということはいいことだ、ことに政府は、客観的情勢から判断して、この法律の継続は必要なりという認定のもとに立っておるのでございますから、一日も早く議決をしていただきたい、そういうことのためにああいう手続をとりました。しかしあなたのお話によれば、院議をもって否決されたというお話でございますが、院議をもって否決されたことはありません。政府は希望を付してそういうことを申し入れたのでございますが、御承知のように議長のあっせんもあって、審議日程を相談しようということになり、それからまた、この前の暴力国会でございますか、そのあとで、社会党と自由民主党との首脳部は、両党は自今民主的ルールに従ってかくのごとき騒擾はないようにしようということを確認されて覚書が取りかわされているから、両党の幹部はこういうことで両党の意見を一致させて声明を出すから、政府は一つ委員会にかけて――本会議に議決を求めるのと委員会で審議するのとは同じであるから、委員会の議を経るということがわれわれの希望であるというわけであるから政府もそれに賛成してもらえないかというお話でございますから、両党の間において、国会運営上それがよろしいということであるならば、審議の手続上の問題でありますから政府は何らこれを固執するものではありません、こういう態度でありまして、私どものとりました行動というものは、政党政治家においては最も民主的ルールを尊重したやり方だというふうに考えております。
#37
○赤松委員 約束の時間がございますから私はくどく追及しません。また、他の委員諸君も当然この問題を取り上げで労働大臣の御所見をお伺いすることになると思うのでありますけれども、ただ一点だけ、あなたはしからば、今度の問題については寸毫も責任を感じていない、また感ずる必要はないとお考えになっているかどうか。他のことは要りませんから、イエスかノーか、その一点だけ聞かしていただければけっこうであります。
#38
○倉石国務大臣 今も申し上げましたように、両党の首脳部が政府に向ってこういうふうにしようではないかという御懇篤なるお申し出でありますから、両党の首脳部の御意向を尊重いたしまして、政府としては要するに議決をいただければけっこうなのでありますから、手続のことは国会に御一任をいたしますと、まことにすなおに引き下ったわけでございます。
#39
○赤松委員 そこで責任は何も感じておられませんかどうですかというのです。これは党から、私があなたにその意思をただしてくれということでございますから、一つさよう御了承を願って、責任を感ずるなら感ずる、感じないならば感じないと言っていただければけっこうであります。
#40
○倉石国務大臣 議案提出の事務手続でありますから、責任を云々ということは私には了解できないのであります。
#41
○佐々木委員長 午後二時まで休憩いたします。
   午後零時四十四分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時開議
#42
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。多賀谷真稔君。
#43
○多賀谷委員 私は労働大臣に対して本法案の提案の仕方について質問いたしたいと思います。
 まだあまり前例を見ないところの委員会省略の挙に出られた。そこでわれわれはこの問題をいろいろ論議して、御存じのように四日間というものが空白になったわけでありますが、本日も、また昨日の朝日新聞にも、大臣は、議案は法律案でなくて、現存する法律の存続を求める議決案である、議決案をいきなり本会議でやることは幾らも先例がある、こういうことをお述べになっているので、一体議決案で幾らも本会議で即決をしたという先例があると言われるが、いかなる先例があるのか、まずお伺いいたしたい。
#44
○倉石国務大臣 具体的なことを今ここに資料を持っておりませんから、後刻申し上げます。
#45
○多賀谷委員 私は院の、すなわち衆議院の意思を決定し、それを単に証明をするという議決案につきましては、しばしば本会議において即決を見た例を知っております。しかしながら私は、両院の議決の要る議決案につきましては、あまりその例を見ないと考えるのですが、いやしくも本日答弁をせられ、さらにまた新聞にもお述べになっているように、議決案というものはしばしば本会議でやられた、こうおっしゃるけれども、一体どういう点からそういうお感じを持っておられるか。具体的例は聞きませんけれども大体どういう考え方を持っておられるか、お尋ねいたしたい。
#46
○倉石国務大臣 法律案でもそういう例はございますが、私どもの考えたところでは、法律を新しくつけ加えたり、修正をしたり、新しい法律案を急いで出すということではないのでありまして、法律の現存しているものを、しかもこの法律については三年前に、十五、十六両国会で十分に審議されて、国民に周知されているものであって、これを延長するという議決を求めるだけのことであるから、委員会の審査を省略して本会議できめていただきたい。それにはさっき申しましたように、臨時国会というきわめて短期の関係もありますし、政府としてはこれが継続審査を許さない法律でございますから、継続審査を許されるということであるならば、またあるいは考え方もあるかもしれませんが、この国会で存続の議決を求めなければならない。しかも継続審査を許さない。そして会期はきわめて短かい。そこへ持ってきて、先ほど申し上げましたように、労働界をすみやかに安定するということが必要なことである。こういうことから諸般の情勢を総合して、やはり本会議で議決をしていただくことが望ましい、かように考えたわけであります。
#47
○多賀谷委員 かつて議運をおやりになり、議運のヴェテランであり、しかも労働法の権威者である倉石労働大臣が、法律案でなくて単に議決案であるから、こういう簡単な理由で議決案の場合はしばしば本会議において即決をされている、こういうことをお述べになっておられますが、いやしくも両院の議決を必要とし、それが国会の意思表示になる場合において、それが本会議において行われたというのは、参議院において地方自治法の百五十六条における名古屋通産局の富山支局の設置という以外には何ら本会議においてそういう議案が審査になってない、かように考えるわけであります。でありますから、私は一々具体的な例を言えとは申しませんけれども、議決案ならばしばしば即決をされている、こういうことをおっしゃっているが、一体どの程度あるのかお聞かせ願いたい。
#48
○倉石国務大臣 実例については、今間違わないように後刻御説明申し上げる資料を持ってくるように言っておりますが、私どもの考え方といたしましては、そういう希望で政府の意のあるところは御了解願ったと思いますが、こういう希望を、どうしてもやはり国会の運営については国会でおきめ願うことでございますからして、先ほど申し上げましたように両党においてこういうやり方をしないで委員会を経過した方がよかろうということでありますから、それに従って政府が撤回をいたした。しかし政府が撤回しないでどうしてもその希望通りにやってもらいたいというときには、国会において委員会審査省略をはかっていただいて、いつもやるように異議がなければそれでやっていただく、同時にまた異議があればこれは否決していただく。どちらでもこれは国会法に許された手続を、ただ政府の希望はこうでありますということを提案いたしたにすぎないのでありまして、そのねらっているところはさっきから申し上げておりますように、すみやかに労働界を安定してもらいたいということと、また臨時議会が非常に短期間であるから、これが継続審査を許すものであるならば、これはもう国会においてもっと長く審議しなければならないという御希望であるならばそれもまた継続審査をしてやむを得ない。しかし継続審査を許さないという法律でございますからして、これは政府の希望をいれていただきたいという希望を申し入れたにすぎないのでありまして、それに基く国会運営はやはり国会の方でおきめを願ってけっこうなことなんであります。
#49
○多賀谷委員 いやしくも大臣が本委員会においてもまた新聞紙上においても、議決案であるからこれはしばしば本会議で即決しているということについてはかなり根拠と十分な調査をなさってのお話であろうと存じます。いずれその具体的な例が出されると思いますので、そのとき十分討議をいたしたいと思いますが、しからば私は法律の理由、すなわち国会法五十六条二項がいう特に緊急を要するという条件にどこが当てはまっているのかお聞かせ願いたい。私は議院運営委員会における労働大臣の答弁を聞いてみますと、三点おあげになりましたが、その三点の一つは、この法律は第十五回国会並びに第十六回国会において、十分審議をされている、こういう点が第一点。第二点は、こういう法律をたな上げしておくというと、必ずしも的確にそのときの表現とは違うかもしれませんが、要するに秋季闘争が行われ、労使の間に不安定な状態をもたらすことはいけないから、早く安定させるためにこの法律を出すのだ、こういうことであります。さらに第三点といたしましては、これは現在給与担当の大臣であるので、なるべく早くこのスト規制法を通過して、給与担当の面にも尽力したい、こういうお話がありましたが、どの点をとってみましても、私はその特に緊急を要するものという条件に該当していないと思うのです。第一の点を取り上げてみましても、法律を議員が熟知しているというようなこと、かつてよく審議をされたということは、これは何ら緊急性とは関係がないのであります。第二点の現在秋季闘争が行われているから、こういう法案が十分早く審議をされないと労使関係に不安定をもたらすと言われるけれども、この法案は現存しているのである。現在法律がなくなっているのではありません。空白であるのではない。現存しているのですから、これまた何らその緊急的な状態、不安定をもたらすという状態でない。第三の点、これは大臣の能力にも関係する点ですが、これは緊急性というわけにはいかないと思います。ですからこれら三点をあげましても、どこにも法律がいう「特に緊急を要する」という事項に該当していないと思いますが、大臣はどういうようにお考えですか。
#50
○倉石国務大臣 この法律に関係のある産業の不安定をかもすというふうな意味を申しておるわけではないのでありまして、どうも私は説明が下手でありますから誤解を生じているかもしれませんが、そういうわけではないのであります。つまり今この法律が国会にかかるということで、私どもから見ればそう大した特に騒がれるべき必要のないことだと思うのでありますが、世の中にはとかくこれを大きく取り上げて、事あれかしに騒ぐ者もあるものですから、そういうことが世の中に伝わって、多賀谷さんも御承知のように、一部の労働組合では抗議ストというふうなものをやろうという計画もありました。そこで法律を審議するという途中で、このことを理由にしていろいろ動きがあるようにわれわれの方では承知いたしておりますから、そういうようなことは労政当局としては、この面では一日も早く安定して上げたい、そうして本来の姿の要求事項についてのいろいろな交渉が行われるということは、これは労使の間で常時あることでありますからけっこうですが、こういう問題についてとかくの紛議をかもすようなことはなるべく避けたい、こういうことと、さっき申しましたように、臨時国会は非常に期間が短かいということのために、一つなるべく早期に国会の意思を決定していただきたいという労政当局としてのおもんばかりからそういう希望を政府として国会に提案しただけでありまして、今繰り返して申すようでありますが、その希望について、そういう希望があるけれども、まだ十分に国会としては時間があると思うから委員会にかけるべきである、こういう御認定になればそういうふうに御決定を願うということであって、ただ希望としての要求を政府としては本案につけて出したという手続だけの問題でありますから、それは私としては、あとそれを受け取った国会においてどのように運営の方針をおきめになるかということは、これは国会の皆様方の御自由であります。そういうことで私どもは両党のお話し合いで、これは委員会に回した方がよかろうということになったそうでありますから、さようでございますが、こういうわけであります。
#51
○多賀谷委員 委員会の審議を省略したということは、これは大部分の国民の怒りを買い、労働者の憤激を買って、かえって労働関係を不安定にした事実がある。ですからこういう問題とからんで、いやしくも国民の基本的権利を侵害し、制限をするごとき法律案を、しかも法律の効力に関する問題を委員会の審議を省略するということはどうしても許されない、かように考えるのです。ことにこの問題は対立があり、紛議がある、こういっている。それじゃそれほど大きい問題で対立があり、紛議があるという問題を国会にかけない、こういう考え方もどうも承服しかねるのであるし、会期の短かいことをおっしゃっておるけれども、会期は自民党の方では二十一日を主張された、わが党がさらにより以上長いのを主張したのですけれども、結局二十五日になった。しかもスト規制法というのは、もう提案されることははっきりわかっておった。ですから自民党の方で会期を短かくされたのですから、どうも話がおかしい。いやしくも政党政治をつかさどる内閣として全然解することができないように感ずるわけです。自民党の方で、あるいは自民党の政府かもしれませんが、とにかく会期の短かいことを主張した。そしてその会期が短かいからといって、今度は委員会省略の挙に出られた。これはいかに倉石労働大臣が議運のヴェテランでも少し行き過ぎてはいないか、かように考えるわけでありますが、(「済んだことだからいいじゃないか」と呼ぶ者あり)私は済んだ話というわけにはいかない。いやしくも政府が国会において法案並びに議決の審議を願わんとする態度について聞いているのです。ですからこれは本質論ですよ。基本的権利の剥奪をする、あるいは制限しようとする場合の政府の考え方ですからお聞きしておる。単に手続の問題ではない。これは労働基本権に対する考え方を端的に現わした問題である。ですから労働大臣は会期が短かいと言われるけれども、会期の短かいことを主張したのはあなたの政党であり、また政府であります。それをみずからきめておきながら、今度は短かいからといって、しかも継続審議ができないからといって委員会省略をされる、さらにまた紛議があるからといってこれを委員会省略をする。さっきから承わっておりますけれども、全然私たちは、「特に緊急を要する」という項には該当しない、かように考えるわけですが、一体大臣はどういうようにお考えですか。これは過ぎたからという問題じゃないと思います。
#52
○倉石国務大臣 多賀谷さんも御承知のように、法律の修正をすることは、政府が申し入れていたすわけでありますが、国会の会期を御決定願うのは政府ではありませんで、国会であります。もっと詳しくいえば議院運営委員会でございますが、私どもの方で国会の会期が決定しないときに、すでに委員会審査省略でとにかくお願いをするということにきめたのでございますから、会期が何日であるかということについては、それから後におきめ願ったことでありまして、会期については政府としてはいかんともいたし方がないことでございます。そこでただいましばしば多賀谷さんのお言葉の中に、本会議に突然持ち出して、そして一挙にといったような意味のことをおっしゃっていらっしゃいますが、これはさっきもお答えいたしましたように、一挙にというのがどこから出たのか私は存じませんが、何とか感謝決議案といったようなものが、かつてしばしばわが国の国会に出ました。あれは文字通り一挙に解決いたしております。一人の異議もございませんでした。本案については一挙にじゃないのでございまして、昔の国会の第一読会のような工合に、十分に本会議で討議をしていただくのでございますから、むしろこういう小人数の委員会よりは、やはり本会議において十分に御審議を願うことでございますから、ああいうことであって、本会議において堂々の論陣を張るということは、何も国会の意思をじゅうりんすることではない、そういう考えで、政府の希望がそこにあったものでありますから、そういうことをお願いしただけでありまして、それはやめなさいということでありますから、さようでございますかといって引き下ったというまことにすなおな態度であります。
#53
○多賀谷委員 現在の国会の運営は委員会中心主義であるという、この原則を御存じでしょう。何でも本会議でできる。それはできます。しかし現在の国会法の建前というのは、これは委員会中心主義であります。ですからその例外としては「特に緊急を要する」という――「緊急を要する」だけじゃなくて、「特に緊急を要する」という文句が入っておるのです。それを、この委員会でもいい、本会議でもいい、こういう原則はないのだ、こういうようなものの考え方をやられるということは、当然国会法無視の考え方である、私はかように考えるわけであります。本会議でもいいじゃないか、しかも一挙じゃない、こうおっしゃる。そうすると一体本会議へかけて委員会省略とするというあなたの考え方は、ほんとうの意味はどこに根拠があるのですか。ゆっくりでいい、しかも本会議でゆっくりやりましょう、こういうことならばあなたの意図はほんとうはどこにあるのですか。
#54
○倉石国務大臣 私は皆さんのようなヴェテランの前でへ理屈を言い合ってもしようがないのでありまして、理屈はもうだれもみなわかっていることでございます。そこで繰り返して申し上げますように、労政を担当いたしております私どもから見ますると、年末の闘争というものは大きく掲げられておるが、なるべくこれはすみやかに安定したい。それにはこういうような問題で、秋季闘争の中にさらにごたごたをよけい起すようなことは避けたい、こういうわけで、でき得べくんば本会議において御議論をしていただいて、早くきめていただくことが望ましい、こういうのでありましたけれども、時間があるから委員会にかけろという、国会の方の両党の御意向でありますから、それに従った、それだけのことであります。
#55
○多賀谷委員 法律に基いて国会の承認を得る、こういう決議を求める問題は幾多あるわけです。ことに倉石さん御存じのようなあの公共労関係においては裁定のあった場合は、これは予算上、資金上不可能な場合は議決を要する、こういうことになっておる。こういう問題も今まで歴代の内閣は民主的といえば民主的ですが、それは当然でありますが、全部国会にかけられ、委員会省略という手続をお踏みにならなかったのです。その他幾多ございますけれども、単に決議をしたという場合は、今申しましたように本会議で即決したという場合は、参議院における通産当局の一支局を設置するという自治法に基く規定しかおやりにならなかった。その他の法律案がありますけれども、これらはみな期限が間に合わない。そうして異議がない、こういう形で、何ら両党の間で対立を見ずして、これが即決を見ておる。ですから、これだけ重大なる問題を委員会にかけないという態度はどうも解せない。最初から、あなたの方で日にちがないと考えられるならば会期を十分に要求されたらいいでしょう。二十一日というのは閣議でも内定をしておったと聞いておる。一応それは正式な決定ではないでしょうけれども、閣議としては一応何日にしてもらいたい、こういう意思表示を与党にされるはずである。ですから私は、内閣とあるいは政党の分離論をここでお述べになっても通用しない、どうもやられることが――倉石労働大臣ともあろう人が、どうも昔の議運の悪いくせのみがここに出ておるように感ぜられる。これに対してもう一度御答弁願いたいと思います。
#56
○倉石国務大臣 重ね重ね申し上げるわけでありますが、政府としては今まで申し上げておったように、委員会の審査を省略して、本会議できめていただきたいということを要望いたした。それについてはそういうことをしないで委員会にかけたらどうかというお話でございますから、さようでございますかということで、国会の御意向に従ったというだけのことであります、そこで今多賀谷さんはおそらくおなかの中では私の申し上げていることに百パーセント御同感だと確信しておるのですが、年末の労働攻勢というものを一つすみやかに安定させていきたい、これだと思うのです。そのことが私は非常に早くやってもらいたいということを考えました大きな理由なんでありまして、それにもかかわらず一つ委員会でやれ、こういうことでございますから、会期のことは重ね重ね申し上げますが、これは政府の意思ではございませんで、国会の御意思でございますから、政府はそれに従わざるを得ない、こういうことでございまして、何でも私ども政府としては皆様方のおっしゃるように、委員会へかけて御審議を願っておる、それだけのことであります。ほかに何も他意ありません。
#57
○多賀谷委員 具体的に例をまだお示しにならないのですが、ちょっと議論が進まないのですが、いつごろできますか。
#58
○中西政府委員 ……。
#59
○多賀谷委員 それは政府委員が答弁する性質のもんじゃないでしょう。
#60
○佐々木委員長 今来たばかりでわからないから、よく調べてから答弁するそうですから、そのように御了承願います。
#61
○多賀谷委員 きょう中ですか。
#62
○佐々木委員長 きょうはやはり答弁はできないから、明日でも調べてから……。
#63
○多賀谷委員 調べてからということでありますからあと回しにいたしますが、しかしかなり確信をもっておっしゃっておるのですからね。私は今から調べるというのはどうも解せないのです。しかも今まで議会でしろうとならともかくとして、長いこと議運をおやりになり、議院運営委員会の席上でも、私はこの委員会に長くおつき合いをしたという、いかにも私は先輩だという顔をなさってお話になっておるのですから、私はさぞかし議決案というものがしばしば本会議において即決を見たろうと、かように思っておったわけであります。ところが国会の意思表示を決定する両院の議決を要するものというのはあまり見当らない。そこで私は聞いておったわけでありますが、まだ研究が足らぬそうですから、私は次の質問に移りたい、かように考えます。
 次に政府は、この法案を三年間の時限立法として制定をしたわけですが、私は三年間政府が石炭並びに電気の労働者に対して、その労使関係において安定を見るごとき政策をしたかどうかについてお尋ねをいたしたいと思います。その前に私は、二十七年の炭労のストライキについて今からそれを振り返ってみて、一応問題の端緒でございますから、検討してみたいと思います。まずあの炭労の争議は、賃金値上げの争議でございましたけれども、その賃金値上げの争議が最初十月の十三日と十四日に四十八時間スト、さらに十月の十七日から無期限ストに入ったわけですが、その無期限ストに入ってから四十日間というものが、交渉を全然持たれていない、こういう状態であります。一体なぜ交渉が全然持たれなかったか、ここに私はこの炭労争議を検討する場合に、大きな問題があると思います。それは第一には、七百万トンという貯炭があった。だから相当争議をしても、むしろ操短になるという考え方が経営者にあった。そこで経営者としてはこの争議の解決に積極的に努力しなかったのみならず、中労委、これは当時中西労政局長は中労委の事務局長であったからよく御存じでしょうけれども、中労委があっせんに出ようとするのを拒否したのは経営者であった。私はその事実をよく知っております。そうして政府は、この需給関係については全然心配がないということを当時の通産省石炭局長はしばしば言っておる。とにかく争議が一カ月になんなんとしても世論が喚起されなかったのは事実なんです。大きな問題でなかった、需給関係は十分である、足らない場合は輸入炭に待つということを議事録ではっきり言うておる。そうして四十日目に回答がなされましたけれども、その四十日目の回答は、依然として賃下げ案であった。しかもそのときの経理の状態はどうかといいますと、経理の状態はきわめていい状態にあったわけです。すなわちストライキに入る前の十月十二日の株価の状態を見ますと、まず三井鉱山が百九十六円、これは三割配当をしておる。北炭が二百二十五円でこれも三割配当、三菱が百三十四円で三割配当、住友が百七十九円で三割配当、古河が百七十円で四割配当、以下同じでありますが、大体こういう状態である。そうして当時の利益はどういう状態かといいますと、利益の状態は、二十七年において、三井鉱山においては十五億一千三百三十八万円、さらに二十七年の三月、三菱は十四億一千万円、北炭が八億四千万円、こういう状態であります。二十七年の九月はどうかといいますと、この九月も大体同様な状態でありまして、三井鉱山が十四億二千万円、さらに三菱が十二億一千万円、北炭が八億円、こういう状態であります。そのほかに三井もその当時十何億社内保留金をしております。ですから私は、賃金を上げることはできないという経理状態には全然なかった、かように考えるわけであります。それが四十日を過ぎたその日に四%の値下げ案を依然として出してきておる、こういうところに問題があったと思うわけであります。しかも公務員ですから、当時人事院は三千円を勧告し、政府は二千円をのむという態度に出ておる。一般の産業も当時はかなりの賃上げをのんでおる。ですから中労委にかければ必ず賃上げ案が出る、こういうように経営者は予想して、中労委が追っかけるけれども、経営者の方が逃げておるというような状態で、これは山崎組合課長も首をかしげておるけれども、当時よく御存じの通りである。しかも組織の分断に狂奔して、そうしてかなり交渉を延ばしておる。これは御存じのように常磐炭鉱の脱落さらに嘉穂鉱業の脱落こういう事実がありましたので、これに呼応して組織の分断のみにうき身をやつして、何ら積極的解決をしていない、そういうような状態でこの争議が起き、そうして行われたのでありまして、私はこの争議を見るときに、ただ保安要員の総引き上げを宣言したじゃないか、こういうだけでは片づかない問題がここにあったと思うのです。日経連におきましてもそのしりをたたき、政府もそれを激励し、放任することによって、資本家の力が強いから安心だというわけで、政府は全然無関心の態度をとってきたわけであります。ところがその争議が終りまして、ふたをあけてみたところが、貯炭はなるほど減っておるけれども、重油がどんどん入ってきた。競争物に重油があったということを経営者は知らなかったのです。知っておったかしらないが、気がつかなかった。みずからの貯炭さえ少くすれば炭鉱はさらに好景気を継続できると考えておったところに大きな間違いがあった。でありますから、私はこの争議を見るときに、一体なぜ四十日も放置され、そうして保安要員の総引き揚げという宣言をせざるを得なかったかという点について、この原因を探発したければならないと思います。これに対して労働大臣はどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
#64
○倉石国務大臣 二十七年当時の業界のお話をいろいろ承わりました。究極において、私どもはこの法律があるないにかかわらず、やはり石炭鉱業においても電気産業においても、労使ともにそれぞれの立場を十分に尊重し合って、そうして平和な運営をやっていっていただくように希望いたしておるわけであります。労働大臣としては、今申し上げましたことの一語に尽きるわけであります。
#65
○多賀谷委員 通産大臣は見えぬですか。
#66
○佐々木委員長 通産大臣はちょっと急用がございまして、今連絡しておりますから、ちょっとお待ち下さい。
#67
○多賀谷委員 通産大臣が見えないので、通産大臣からも御意見を承わりたかったわけですが、いずれ後の機会にいたしまして、関連がありますから、石炭局長が見えておりますから、一言局長にお聞きしたいと思います。私は、その後の石炭政策において何ら労使が安定するような対策をとられていない、こういう点にきわめて問題があると思うのです。これは労働省だって同じです。労働省は、石炭行政はお門違いだというような考え方を持っておられるかもしれませんが、労働省だって同じ。ですから私は労使の安定というのは、やはり前提として産業界の安定というのがなくちゃならないと思いますが、一体産業界の安定の方策をとられたかどうか、私は非常に疑問を持たざるを得ないのです。たとえばそのストライキか終りました後の石炭の需給関係を見ますと、われわれとしては解すことのできないような状態になっておる。しかもそれを扇動しておるものは、むしろ政府だと言いたい。政府の指針が誤っておる。すなわち昭和二十八年の石炭の生産が四千三百五十四万トンである。昭和二十九年はどうかというと、当時の通産大臣愛知さんは、三月の予算委員会において、本年は四千八百万トンは間違いない、こう言っておる。ところが四千八百万どころか、そのうちに四千六百万トンになり、四千五百万トンになり、四千四百万トンになり、四千三百万トンになり、そうして結局は四千二百九十万トンという状態になった。政府は三月に四千八百万トン間違いない、こう言っておる。それががたがたがたと落ちて四千二百九十万トンになった。この事実をどういうふうにお考えになるか。さらに私は質問いたしますが、三十年度は四千三百万トン、ところが三十年度は石炭合理化法を作られた。そこで五カ年の後の石炭の需給関係まで測定をされた。そうして当時六万名の首切りをうわさされた。このことが労使関係にきわめて不安をもたらしておる。ところが、六万名の首切りが行われたかといいますと、なるほど前にはかなりの首切りが行われましたけれども、その法律が出てからというものは、人がふえておる。石炭が要るような状態になっておる。すなわち、三十一年度は四千五百万トンといわれましたけれども、本年度は四千八百万トンが必要だ。もうここで三百万トン違っておる。三十二年度が四千六百万トンといわれておりますけれども、これは五千万トンをこすだろうといわれておる。三十三年、三十四年、三十五年で、いわゆる五千万トンという計画が、もう三十二年度には五千万トンを突破するという状態になっておる。そこで、一体合理化法に基くところの政策はどうかというと、合理化法があるからかえって労使間に紛争を生じておるという状態になっておる。これはどういうことかというと、石炭は増産をしなければならないという態勢になっておるけれども、政府はずいぶん金があると見えて、それを買い上げてやる、採算がとれないものは買い上げてやるという。ところがなかなか業者も良心的な者ばかりはおりませんで、自分みずからこの危機を乗り越すために、労使双方で努力すればやっていける炭鉱を買い上げることの申請をしている。こういう事実は幾らでもある。直方のあの木曽本洞三山の問題でも、私はまだ操業はし得たと思うのです。そうして千五百名からの首切りを出し、四千五百名からの家族ともあるいは失業のるつぼに追いやられておる。その失対ができたかというと、その失対はできていない。全然できていない。これはあとから労働省にお尋ねいたしますが、労働大臣が言ったことは全然うそである。数字をあげてあとから質問いたしますが、かように何ら労使間に安定のあるような政策が行われていない。最近における田川地区における上添田の問題だってそうです。これは資源が少いということを言われておるけれども、二年間くらいは、一生懸命努力すればまだ掘れる。それを放りっぱなしにしておいて、資本家は外国に逃げていっておる。炭鉱の争議も小さな山までが国際的な様相を帯びてきている。こういうような状態になってきている。ですから、私は政府は一体労使間の安定の前提である産業界の安定ということを考えておるかどうか、ことに石炭行政に対してはやられることが全部あとあとになり、あるいはそごを来たしておるが、一体どういうふうにお考えであるか、大臣がおられませんから局長から御答弁願いたい。
#68
○讃岐政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。
 石炭の需給の問題につきまして、政府で予測をいたしまして計画を立てたものが実際面と非常に違ってきたということは御指摘の通りでございまして、われわれ計画を立てる場合におきましては、そのときにおきます最善のデータによりまして、最善と思う予測を立てまして計画を立てるのでございますが、昭和二十九年におきましては非常な見積り違いで生産が減った。本年度はまたわれわれの見積りに比べまして大へんな増産をやらなければならぬという状況にあることは御指摘の通りであります。これは一にかかりまして当時の経済情勢、好況あるいは不況によって起って参るのでございまして、そのように見積りが間違いましたことは非常に遺憾でございます。三十一年度の需給見積りにつきましては、これは非常によい方に狂っておるのでございまして、これは産業全体の活況を示している次第でございまして、国民経済上同慶にたえぬ次第であります。
 なお労使の安定の問題でございます。石炭鉱業におきましては、特に労使関係の安定が大事でございまして、おそらく労使の安定なしには石炭鉱業の恒久的な安定はないと申し上げても過言ではないと存ずる次第であります。労使の問題につきましては、私ども直接の施策と申しますか、行政的には特別の措置はいたしておりませんが、石炭鉱業が産業全体の中で円滑に発展していけることを考える。それが労使の関係にも役立つというような意味で努力をしている次第でございます。その点につきましては、なお今後一そう努力したいと考える次第でございます。
 買い上げの問題でございますが、これは石炭鉱業の合理化をはかりますために非能率の山を買いつぶしまして、残存の優秀炭鉱に生産を集中化しようということでございます。これが結局あらゆる産業で使います燃料となりましてコストを引き下げることによりまして、日本全体の産業の円滑なる発展に寄与するという、こういう方針でおるわけでございます。ただいま御指摘のように、石炭鉱業の合理化のために失業者が出るということでございます。その通り、昨年合理化法実施以来石炭鉱業整備事業団で買い上げました炭鉱からの失業者も相当数に上っております。これは法律制定当時から失業者の出ることは予定されておりましたわけでございまして、これは関係各省の失業対策によりまして円満に片づけていくということで努力している次第でございますから御了承願います。
#69
○多賀谷委員 通産省にはおいおい聞くことにいたしまして、先ほど失業対策の問題に石炭局長が触れられましたが、合理化法案ができました当時の労働大臣西田隆男さんが次のような答弁をされている。すなわち、三十年度においてこの法案によって生じます「離職者は四千七百名、三十一年度が一万四千二百人、三十二年度が八千三百人と想定いたしております。従って、この離職者中で失業対策を講じなければならない人間は、三十年度で四千二百四十九人、三十一年度一万五千三百三十人、三十二年度一万七千二百九十九人を推定いたしております。従って、今までのように、ただ漠然とした失業対策を講じることは考えておりません。」――今までのようにただばく然たる失業対策を講じることを考えておりませんとはっきりおっしゃっているけれども、依然としてただばく然たる失業対策をお講じになっている。さらに語を継いで、北海道から東部、九州に言及されまして、「特に失業者の数の多い九州におきましては、三十年度で河川が遠賀川で五百、その他で七百、計千二百、道路で七百五十、鉄道建設で九百、三十一年度が河川が二千八百五十名、すなわち遠賀川の工事で二千名、その他八百五十、それから道路で四千五十、北九州の水道で五百名、鉄道建設で、二千五百名、住宅が百五十名、計一万五十名、三十二年度で総計一万一千二百五十名を予定いたしております。」これはまだ正式に合理化法案ができる、十分なる予測のつかないときに、何百何名ということまではっきりおっしゃっております。ところがこれが全然行われてないのです。三十年度においては鉄道建設で九百名、これは川崎――油須原線という鉄道を予定されておりますけれども、三十年度といいますと、三十一年の三月三十一日まであると私は考えている。ところが鉄道建設が何らなされていない。これは大坪議員を初めとして自民党の皆さんも、政調会を中心として御視察になったわけですけれども、実に悲惨な状態である。政府は大丈夫やります、委員会においては、西田労働大臣のごときは、今度は市町村には迷惑をかけない、この失業者については全部国でやると、こういうことをおっしゃっているけれども、市町村は失業者を抱えて非常に困っている。しかも三十年度にはこれだけやるのだということを数字をあげてまでおっしゃっているけれども、三十一年三月三十一日が過ぎたけれども、全然おやりになっていない。そうして三十一年の二月ごろ失業した労働者が失業保険が切れるのは七、八月ごろでございましたけれども、七、八月になっても、自民党の政調会が行くまでは何ら政策がなされていないのです。一体これで失業対策ができるから、心配なく炭鉱労働者の諸君はこの法案に賛成してもらいたい、あるいは強く反対しないでもらいたい、こうおっしゃっておるけれども、事実は全くでたらめだ。これに対して労働大臣はどういうようにお考えであるか。私どもはこういう状態では本会議におけるあなた方の答弁を信用できませんよ。
#70
○倉石国務大臣 石炭合理化法の審議のときには、私どもやはり労働委員の一人といたしまして、今多賀谷さんが御指摘になりましたような問題について憂いを同じゅうして、政府に強くいろいろ質疑もし、要望もいたした一人でございますが、今度ははからずも自分が西田労働大臣のあとを襲うて、この位置につきました。そこで御承知のように、石炭鉱業は合理化法を始めました後に、間もなく若干好景気になって上向いて参りました。そこでむしろ現場の方では、そんなにやってもらわなくてもいいんだといったような空気さえ出るほどになって参りましたが、御指摘の九州の方は、実際これは大坪さんその他実情を調査された方々及び私どもの出先の調査によりますと、相当深刻である。そこで当時、夏でございましたが、企画庁及び通産省と私どもが相談をいたしまして、いろいろやりました結果、十月一ぱいは失対事業でどうにかやれる、その後は単なる失対だけではとうてい間に合わないということで、それに対する処置を決定をいたしまして、今着々着手をいたしておりますが、その内容については、私どもの方の失対部長を今呼んでおりますから御報告いたさせますが、お話の中に出ました川崎線のごときは、これは昭和三十一年度予算要求のときに私も強く要望いたしましたが、多賀谷さんのお説のように、年度内に予定の人員を吸収するだけになっておりません。このことについては私どもきわめて遺憾でございますが、元来いわゆる産業五カ年計画というふうなものを立てまして、そして完全失業者というものを何パーセントにとどめるというふうな計画は、政府においていたしました。実際においては国内の経済も安定し、外国の好景気の影響を受けて事実的に日本の経済は非常に好調になって参りましたことは、御存じの通りであります。それにもかかわらず、私は失業の問題だけはとうてい楽観を許さない重大なウイーク・ポイントであるということを常に念頭にいたしておるわけであります。まことに微力でございまして、皆さんの御期待に沿わないことをはなはだ残念に思っておりますが、今、いわゆる石炭鉱業合理化法による失業者の吸収については大体目鼻がついて、今政府としてはその施策をやっております。渡邊先生もおいでになりますが、北海道の状況はすでによく御存じの通りでありまして、私どもといたしましては、いわゆる失業対策事業について相当量吸収いたしておることは、北海道の方々も御存じの通りであります。決してこれは十分であるなどと大きなことを申すわけではありません。今申しておるように、前提としてはまことに重大な問題であり、あらゆる経済状況がうまく好調に乗りましても、この問題だけはなかなか楽観を許さないということで、われわれも魯鈍にむち打ってやっておるわけでありますから、どうぞ御協力のほどをお願いいたします。
#71
○多賀谷委員 合理化法による買い上げが、店開き早々という状態、あるいは炭界事情が変ってきた、こういう状態で、むしろスタートがおくれたわけです。スタートが早くなってさらに深刻になり、これによる失業者が多くなってきたのなら、それでお手上げだというなら話はわかるのですけれども、むしろ逆に予定しておったほどの失業者は出なかったけれども、部分的にはきわめて深刻であります。ところがその予定しておっただけの失業者が出なかったにもかかわらず、全然手が打ってなかったというところに、私はむしろ問題があると思う。川崎線の問題だって、年度内というお話をされた。三十一年度の予算を取り得なかったというお話をされておりますが、問題は、三十年度にもう九百名やるというお話がされておる。三十一年度には二千五百名を鉄道で吸収するというんですから、話はだいぶ違う。ことに三十一年の二月ころ失業した労働者、合理化法による買い上げによって失業した労働者が、七月になっても八月になっても、全然放置されておったという事実です。私はこういうことは許し得ない問題であると考える。政府はあれだけ高々と失業対策は万全にやると言いながら、しかも人間はそれよりも下回っておる、その下回っておる人間すら吸収できない、こういうことなら労働省は要りませんよ。私はむしろこの問題についてもう少し大臣は真剣になって考えていただきたいと思う。一体今から、十一月からあとの計画はどうなっておるのですか。十月までの状態を見ますと、結局失業した人が就労できない状態になっておる。なぜかというと、第一には一世帯から一人しか失対事業には行けない。ところが炭鉱は御承知のように、給与が低い関係で、親も子供も働いておる。世帯を親子でやっておる。ところがおやじも失業し、むすこも失業した、嫁も失業した、こういう状態の中で、失対事業には一人しか行けない。そういうことになっておる。あなたの方の失対事業の内容はそういうことになっておる。内規がそういうことになっておるのです。ですから、あとの二人は遊ばざるを得ない。全然行くことができない。しかも給与が二百五十二円しかもらえない。一体二百五十二円でどうして生活するんですか。労働大臣はもう少し真剣に考えてもらいたいと思う。ただばく然たる失対事業を講じる考えはありませんというのは、これはしばしば当時の西田労働大臣が委員会でも説明されましたが、一般の失対事業でなくて、特別の失対事業でやるんだ、なるべく公共事業へ持っていくんだ、公共事業でやれば三百五十円程度の給与になる、こういうお話をなさっておった。ところが依然として一般の失対事業である。しかも一世帯のうちでは一人しか行けないというシステムになっておる。大臣はこういうことを御存じですか。もう少し真剣にお話願いたいと思う。十一月からの予定は、具体的にはどうなっておるかお聞かせ願いたい。
#72
○倉石国務大臣 多賀谷さんも御存じのように、大手筋の方は若い、比較的元気のいい炭鉱労務者が多いわけであります。整理しなければならないような中小、ことに小炭鉱の方には、割合に老齢な労働者が多い。こういうことで配置転換をわれわれの方で一生懸命でやりましても、なかなか大手筋の方で小炭鉱の、整理されたような者を吸収することを喜ばないという傾向のあることは、御存じの通りであります。そういうところで、非常に出先の安定所が努力いたしても効果が上らないという点は、私どもまことに遺憾に存じておるわけでありますが、今申し上げましたように、十月までは失対で、私どもの方は地元の県庁とも打ち合せまして十分にまかなえるということでありましたが、十一月からはそれだけではいけないということで、具体策について今手を打っておるところでありますが、ただいまその方の係官を呼んでおりますから、具体的なことはそのときに御説明申し上げます。
#73
○多賀谷委員 当時労働大臣は、移動住宅というお話までなさった。移動住宅まで作って失業者を吸収する、こういうお話までなさっておった。ところが移動住宅どころか、一般の失対ぐらいしかやれない。しかも失対がワクがあって十分やれないということについては、私たちはどうも納得ができない。これは政府の怠慢を追及せざるを得ないと思う。具体的にはあとから係の方が見えますので、その際質問をいたしたいと思いますが、さらに石炭行政について質問をいたしたいと思います。
 この石炭の問題は、生産がきわめて弾力性のないというところに問題があると思うのです。これは鉄鋼その他でありますと、少し景気が悪くなったという場合には若干生産量を減らす、こういうことが割合容易にできます。あるいは鉄鋼のうちでも、銑鉄あたりは必ずしもできないかと思いますけれども、一般の産業でありますと、好景気になりますと生産をふやすということが比較的容易にできる。ところが炭鉱の場合は生産の弾力性がないというところにこの石炭産業の基本的な欠陥があると思うのです。それをどうするかという問題が一つある。もう一つは電力用炭の問題でありますが、これはこの前の国会でもしばしば出ましたけれども、電力用炭が少くとも今八百数十万トン、九百万トン程度使われておる。明年になりますと千百万トンぐらいあるいは使われるかもしれない。ところがこれがお天気次第でありまして、雨が少し降るともう石炭は要らない、昭和二十九年度の四千八百万トンが四千二百万トン程度になったのも、一つは電力用炭に基因すると思います。そのほかに、私は、熱効率が各産業においてよくなったといういろいろな点があると思いますが、電力用炭は一つの大きなウエートを占めている、かように考えるわけであります。電気会社の方は渇水準備金というのがあって調節が行われておる。ところが今かりに九百万トンなら九百万トンといたしまして、一〇%ぐらい豊水になりますと二百数十万トンからの石炭が要らなくなるのであります。一体この調節をどこでやるか、こういう問題に対して、私は早くこれを制度的に解決しなければならない状態になっておるのではないかと考えるわけです。これはどうもお手上げで、お天気次第ですから、こういうことで私はこれだけ炭鉱の労働者を多く抱える産業においては、電力用炭はどうもいたし方がありませんというだけでは逃げられないと思うのです。これは、政府としてほんとうに炭界を安定さすためには、電力用炭の調節をどうしてやるか、ここに大きな問題があると思いますけれども、局長はどういうようにお考えですか。
#74
○讃岐政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。電力用炭につきましては、用水の都合によりまして大へん需給面で違ってくるということは御指摘の通りでありまして、残念ながら、今日までのところ需要家の需要のおもむくがままに放置されておったというのが実情でございまして、そのために弾力性のない石炭鉱業が大へん困っておったということは御指摘の通りであります。幸いと申しますか、最近におきましては需要が非常に伸びて参りまして、電力用炭のみならず、あるいは来年度においては石炭も足らぬのじゃないか、こういうふうな心配もされておるのであります。これにつきましては、私ども目下来年度の計画を検討中でございまして、必ずしも足りないという数字にはならないのじゃないかというふうにも考えておりますが、ともかく需要と供給面が相当フル生産に近い形でマッチしてきたということは事実でございます。そこで電力用炭を今後どう持っていくかということが問題でございますが、もし足りない、電力用炭を十分供給ができないというような場合においては、これはこの前の商工委員会でも大へん問題になったところでございますが、技術的に重油をどういうふうにたくかという問題もございまして、この点は一つそういう面で調整さしていただきたい。
 なお石炭局といたしましては、今後、重油の問題は別といたしまして、こういう電力なりガス事業等におきまして――これは希望的意見でございますが、こういう公益事業において、石炭の需要と供給の比価を調整してもらうような作用を何らかの形においてとってもらったら非常にありがたい、こういうふうな考え方でおります。これは今後の方針でございますが、電力業界、ガス業界ともそういう線で今後相談を進めたいというふうに考えておる次第でございます。
#75
○多賀谷委員 公益事業局でおやりになるのですか。それともガス、電気の業界で、需要者側でやってもらいたいということですか。
#76
○讃岐政府委員 業界並びに公益事業局の両方をさしているつもりでございまして、公益事業局にも相談し、業界にも相談いたしたい、こういうふうに存じております。
#77
○多賀谷委員 これはやはり石炭局が中心になって制度的に解決をしなければならぬ。雨が一割ふえれば石炭が二百数十万トンから余ってくる、雨が一割減れば二百数十万トン足りなくなる、これは重大問題ですよ。しかもこれは日本の産業において基幹産業である。今石炭が足りないという状態になりますと、毎日お天気を見て雨よ降れ降れということを祈らざるを得ない状態になってくる、今度は逆に石炭が余ってくる場合には、お天気でないと憂うつになる、こういうふうな状態になる。だからこういう問題は、制度的に、制度として解決をしなければ、ただ業界に要望するということだけではできないと思うのです。私はこの問題について一昨年からいろいろな形において質問をしているのですが、一向進行しない、これは非常に残念に考える。しかも御存じのように、石炭は、品物が足りないということになると投機的な様相を示してくる。品物が余ってくるときも、中間に人が入って、しかもたたき売って投機的な状態になるし、足りないというときも中間的な人間が入って投機的な様相を示してくる。好調にも不調にも投機的な様相を示してくる。だから私は、この点を十分考えなければならない、流通部門に対してやはり大きなメスを入れなければならないのではなかろうかと考える。こういうことをしないで、炭界を不安定にして労使を安定さすなんてことはおこがましいです。今申しましたように、失業対策の問題でも、あれだけ約束しておきながら労働省は何ら手を打っていない。全くこれはうそですよ、国会を欺瞞したものであります。数字をきれいにあげて、何百何十何名まで言って、そうしてそれができていない。こういうことではわれわれは今後政府を信用するわけにはいかない。そこで問題に返りますけれども、単に要望とか、われわれとしてそういう希望を持っているというようなことだけではだめです。いやしくもスト規制法でも作ろうというような状態においては、業界の安定をさすためには、やはり二百万トンから上下をしたら四百万トンから五百万トンになるでしょう。雨が降る降らないによって五百万トンから上下するというように需給関係を不安定にして、労使を安定さすということはおこがましいと思う。一体政府はどういうふうに考えておるか、制度的に考え直さなければ、単に希望するとか要望するというだけではだめですよ。
#78
○讃岐政府委員 御指摘の点まことにごもっともであります。私どもも目下苦慮いたしておるのでございます。いろいろ考えておりますが、今直ちに多賀谷先生の御質問に応じますというお答えはできないわけでございまして、今後御意見を尊重いたしまして十分検討さしていただきたいと思います。
#79
○多賀谷委員 これは私が初めてここで言う問題じゃないでしょう。これはあらゆる学会、有識者が口をそろえてこの問題を追究している。それがために電気の方は渇水準備金というのができておるでしょう。そうして調節をしている。石炭の方は五百万トンから上下する問題を全然不問に付している。こういうことでは業界の安定というものは考えられない、労使の安定ということは考えられない。合理化法案が出ただけでも首切りが起ったでしょう。そうして非常な不安に陥ったでしょう。そうして解雇ができたでしょう。労働者はストライキをしたでしょう。こういう問題です。たとえば上椎葉の問題だって、これは普通の状態ならばあれは大体資源がなくなれば自然に退山をしていく、何らそこに大きな争議は起らないと私はこう見ておる。それを買上げ公団があり、それを政府が買い上げてやるということに経営者が乗っておるがために、現在一千名からおる従業員を一挙に首を切ろうとしておる。ですからむしろ政府は日本の炭坑の労使間を不安定にする政策ばかりやっておられる、こう極言しても私は何も言い過ぎでないと考える。こういう状態になっておる。二十七年からの状態は、もう政府が言うことは全部反対であると考えておる。石炭の需要が十分あると言ったときはないと考える。そして石炭の需要がこの程度しかないと言ったらあると考えればいいのです。まるっきり逆を言っている。今石炭が足らないという時代に、結局石炭を水びたしにして、巨大な費用をもってしなければ採掘不可能な状態にして、日本の貴重な資源を死蔵する政策をあえてとられておる。しかも一方においては石炭が足らない、こういう状態です。じゃ石炭は非常にコストの低い炭鉱しかやらせないかというと、必ずしもそうじゃない。そうしてまた、拾い炭、選炭、荷後炭というようなものが出てきておる。一体何をやっておるのか、われわれから言うならばわからにない政策が行われておるのです。ですから私は電力用炭の調整の問題はここではっきり言明してもらいたい。ここではっきり言明ができなければ、スト規制法をかなり日数をかけてやりますから、この間に通産大臣から権威ある答弁を求めたい、かように考える次第です。
 そこで失業対策部長が見えましたから、問題をもとに返してお尋ねいたしますが、先ほど私は西田労働大臣の合理化法案審議の際の本会議場の答弁を引用いたしまして、質問をしておったわけです。西田さんは単にばく然たる失対事業はやらない、徹底的な失対事業をやるとおっしゃいましたけれども、何ら見るべきものがないどころか、具体的に数字まで上げられましたけれども、何ら実効を見ていない。一体どういう事情であるのか、これをお聞かせ願いたい。
#80
○澁谷説明員 お答えいたします。御承知のように石炭鉱業合理化臨時措置法を審議するに際しまして、この法律の実施によりまして相当数の失業者が出るであろうということが予測されたわけであります。従いまして政府といたしましては、合理化によって生ずるところの失業者に対しましては、その生活の安定をはかるために万全の努力をしなければならない、こういうことで西田労働大臣からも答弁をいたしたのでありますが、当時はあくまでもこれは予想でございまして、実際にこの法律が施行になりました結果どの程度の炭鉱が、またどの地域で、またいかなる時期に買い上げの計画が進捗していくか、従いましてその買い上げによりまして具体的にどの地域にどの程度の失業者が出るかということは、当時の状態としては当然予想することが困難であったわけでございます。
 それで実際にこの法律が施行になりました結果、本年の買い上げが進捗して参りまして、本年の八月ごろから現実に失業者が発生をして参ったのでございます。これに対しまして、私どもといたしましては、関係各省からなりますところの労働対策連絡協議会、これが企画庁に設置されておるのでございますが、その協議会を通じまして、関係各省が十数回にわたる会合を重ねまして、先般、十月十九日に閣議了解をとったのでございます。
 それの要旨を簡単に御説明申し上げますと、対策の基本的な考え方といたしましては、まず第一に、関係機関及び雇用主の積極的な協力によりまして、炭鉱間、特に同系の炭鉱間に配置転換を極力推進する、これが一つの基、本的な考え方でございます。次に、前項の配置転換が困難であった離職者に対しては、既存の職業安定機関を充実して職業相談を積極的に行い、当該道県のみならず、広域の労働市場にわたって就職の促進をはかる、あわせて他産業への就労、転換を容易ならしめるために、職業補導の強化について特別な考慮をする、これがその次の点でございます。それから次に、問題になっておりました離職金または賃金の未払いがございますために離職者の再就職の障害となっておる、こういう事例がしばしば見られましたので、こういった事態に対しましては、石炭鉱業整備事業団による離職金の早期支払いまたは未払い賃金の代位弁済を促進するよう特に考慮する。これは、石炭局長も出席されておりますが、石炭鉱業整備事業団の努力によりまして、現実に実行されているように承知いたしております。それから次に、以上のような措置によりましてもなお就業することが困難な離職者に対しては、当該地域において公共事業及び鉱害復旧事業をできる限り集中して実施し、その雇用吸収に努める、その際、近年関係地方公共団体の財政が窮迫しておる実情にかんがみまして、当該団体の財政の具体的な検討に基きまして特別な考慮を払うとともに、関係地方公共団体の積極的な協力を求める、これが対策としましては一つの大きな柱となっておるわけでございます。
 そのただいまの項目の実施細目でございますが、具体的にどのような公共事業、鉱害復旧事業を集中的に実施するようになったかということを御報告申し上げますと、八月以降十月までは、とりあえず応急措置といたしまして、一般失業対策事業によって一日平均千四百八十人、約千五百名でございますが、これだけの離職者を吸収していこう、十一月以降三月まで、これが大体一日平均にいたしまして三千三百五十人程度に予想されるのでございますが、この人たちを吸収するところの仕事を起す必要があるわけでございます。これに対しましては、以下述べるようないろいろな事業を施行いたしまして、これによってその労務吸収を確保しよう、こういう計画になっておるのでございます。第一番は、一般失業対策事業でございますが、これは八月以降十月まで実施しておりましたところの千四百八十名をそのまま、これは十月まででございまして、そのうち何割かの人たちは、一般の公共事業なり民間の事業に就労できない。これは多賀谷先生も御承知のように、相当の高年令者が入っております。それから女子の方も入っておりますので、そのうち約七百七十人程度は一般失業対策事業に残らざるを得ないであろう、こういう見通しに立ったのでございます。それ以外の人々に対しましては、次のような事業を起すことによって労務吸収を確保しよう。第一は鉱害復旧事業でございます。これも実行の見込み総事業費が、全体におきまして七億二千一百万、この仕事をやることによりましてさらに七百人の労務吸収を確保しよう、これが第一点でございます。その次に特別失業対策事業、事業費にいたしまして五千五百万。これによりまして吸収人員が二百七十三名。
 次に油須原線の建設事業でございます。これは先生も御承知のように、この合理化によるところの離職者の対策として大きく打ち出されたのでございますが、その後現地の測量その他で非常に時間がかかっておりまして、本年度内はこれによるところの労務吸収はあまり期待できない実情でございます。しかしながらいずれにしましても、予算額にいたしまして二億八百万円の予算が本年度分として計上されておりますので、二月ないし三月になりますと若干この仕事が動き出す、こういうような見通しでございますので、これによって約平均五十人程度は吸収できるであろう。
 次に一番大きな柱が公共事業でございますが、これが事業費の追加額にいたしまして約三億でございます。これによる吸収人員が平均千五百十名、それから最後に北九州の有料道路建設事業、これは道路公団のやる仕事でございますが、これの事業費の見込みが二億八千四百万、ただしこの額は相当多額でございますが、その内実の大部分は買収費等に充当される予定でございますので、これによります吸収人員はごく内輪に見積りまして約四十名というふうに見ておる次第でございます。
 以上の各種の事業を全部合計いたしますると、最初に申し上げました十一月から三月に至る間の平均にいたしまする三千三百五十名、これらの人々に対しまして、ほぼ確実にその就労を確保することができる。こういう了解をとりまして、現在着々とそれが実行に移されておる段階でございます。
#81
○多賀谷委員 十一月からの計画をきめましたけれども、本年二月に失業しているのです。今八月とおっしゃいましたが、それは失業保険の切れる時期です。二月に失業しておる者に対してなぜおやりにならなかったか、こういう疑問を持たざるを得ないのです。三十年度において、先ほど述べたわけですけれどもあれだけ確約をされておる。三十一年度においてもされておる。それを三十一年の二月に失業した失業者に対してなぜおやりにならなかったか。そうして十カ月間ほど放置しておいて今ごろお題目を並べられても、私たちはほんとうにこれが実施されるかどうか非常に不安にならざるを得ない。私はあの地区に参りましたが、小学校の先生が次のように申しております。その先生は女の先生ですけれども、昨年学芸大学を出て来たばかりの女教師である。私は教育に一身をなげうってやろうと思って学校に来たけれども、今私は全く世の中というものがわからなくなった。私のクラスは六十名程度であるけれども、そのうち貧困者というのが大体六名で、全然弁当も持ってこないのがおる。そうしてそのうち言語が不明である、片言しか言えない、これは三年生ですが、片言しか言えないのが五名おる。さらに五名は成績不良で、大体百点満点で二十点くらいしか学力がない。そこで第一、休憩時間になっても廊下から外に飛び出さない。なぜ飛び出さないのかと言うと、先生、まばゆいばい、太陽がまばゆいくらい視力が衰えておる。栄養失調で視力が衰えておる。ですから、先生が宿題を出してもプリントをやればいいのですが、何ページまでやってきなさい、こういうとやってこない。先生が教科書のないことをうっかりしておりました、こう言って先生がわびざるを得ない、こういう状態にある、こういうのです。その中で一人だけ同じような境遇であるけれどもきちんとした風をして来るのがおる。学校の成績も非常にいい。それをいろいろ不審に思っておったところが、ある日つづり方を書いて、そのつづり方の中で次のように言っておる。近くうちのお母ちゃんは赤ちゃんが生まれる。その人は未亡人ですから先生ははっとしていろいろ調査したところが、ある炭鉱主のおめかけさんであったという。そこで先生は、私は実際わからなくなった。とにかく一生懸命女手一つで努力しても、結局今申しますように栄養も十分とることができなくって、学力も二十点程度で、視力もないという子供。不道徳ではありますけれどもそういうことをしておれば子供だけはすくすく伸びていく。だから私は世の中がわからなくなった。こういうことを言っておりました。これはこの地区の失業の話である。ですから二月から失業しておるのを十一月まで放置するというような不人情なことはないと思うのです。これは失業保険をもらっておるじゃないか、こう言うけれども、炭鉱をやめるというような状態の場合は、前月、前々月の操業の稼働率が悪い、賃金が悪いからやめるのですから、失業保険料も非常に少い、こういう状態にある。ジリ貧になってやめていくのですから、そういうことを考えると、失業したらすぐに対策を講ずべきである。しかも合理化法と銘打ってやっておるのでありますから、そういう親切がなくちゃならないと思う。かように考えるわけであります。この点に十分労働大臣も今後留意していただきたい、かようにお願いいたしたいと思うのです。そこで一番最初の問題の例の決議案というのはわかりましたでしょうか。
#82
○佐々木委員長 それはまだ研究不十分ですから、研究を十分してから……。
#83
○多賀谷委員 では私は法案の問題に対する三年間の経過の問題、その違反件数の問題、それからその後の労働界の問題あるいはこれは創設的規定ではなくて確認的な立法だとおっしゃったが、そういう問題、さらに通産大臣に対する石炭行政の問題、こういう問題を私はあらためて質問をいたしたい。私が質問する劈頭に今の決議案というものの説明を願いたい、かように考えます。
#84
○佐々木委員長 佐々木良作君。
#85
○佐々木(良)委員 倉石さんは、私はスト規制法に関する問題は全部十分承知の上でいろいろな発言をされたり、いろいろな立場からの問題の扱い方をされたりしておるのじゃなかろうかと思って、ひそかに同情しておった次第でありまして、従いまして私は質問の割り振りにつきましても、むしろ電力行政を中心として、産業安定の問題を中心にほんとうは伺いたいくらいでおったのです。ところが本日初日があきまして、先ほど来野澤代議士から始まる質問がずっと展開されまして、特に野澤さんの質問は、大体このスト規制法に関する問題の重要な問題をずっと網羅されて、なかなか私はいい質問だったと思います。ところがこれに対する倉石さんの御答弁は、まことに遺憾のきわみであったような気がするわけでありまして、従いまして正直なところ私は認識を新たにしたのでありまして、もし倉石さんが十分承知の助でああいう答弁をされておるのだとするならば、これは相当悪質だからほっておくわけにはいかぬということになりまするし、また本気でああいう答弁をされておるということでありますならば、これは十分蒙を開いておかないと、あと危ないものだと思うわけであります。従いまして、私はきょう委員会でずっと前の質問者の質問を聞いておりまする間に、私の質問の方針を根本から変えざるを得なくなったのでありまして、一つ御了承をお願いいたしたいと思います。きょうは時間がおそくなっておりまするし、それからまだ次々にあした、あさって同僚の質問もありますので、どの程度まで時間的に許されてあるか知りませんけれども、やはり私はこの際このスト規制法に関するいろはから、根本的な問題から聞いておかなければならぬという気になりましたから、倉石さん、一つ御説明をお願いいたしたい。
 まず今議題となっておりまする案件は、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律附則第二項の規定により、同法を存続させるについて、国会の議決を求めるの件、言うまでもないことでありまして、この案件が今審議の対象になっておるわけであります。そして提案の御説明によりますと、このいわゆるスト規制法の施行せられてから三年を経過したのだが、現下の実情にかんがみて、同法をなお存続させる必要があると認められたので、この案件を提出したのだというふうに申し述べられておるわけであります。そこで、私はまず最初から簡単にお伺いをしてみたいと思います。
 まず第一に、なお存続させる必要があると認められたので、この案件を提出されたそうでありますが、端的に今度は大体いつごろまで存続させるつもりで、このスト規制法の存続を提案されたのでありまするか、率直に伺いたいと思います。
#86
○倉石国務大臣 御承知のようにこれが存続すべきであるという議決が行われましたならば、恒久的に存続することになるものと解釈いたします。
#87
○佐々木(良)委員 そうすると、今度の提案はいわゆるスト規制法を、従来臨時立法であるとか時限立法であるという性格の法律であったものを、一般的な恒久立法に、そういう性格の変更をしようとする提案と理解してよろしいのでございますか。
#88
○倉石国務大臣 御承知のように現在行われております法律は、次の国会の始まったときに十日以内に提出して、その議決を求めなければならない、こういうことで私どもは議決を求めておる次第でありますから、その議決が決定すれば、この存続は永久法になる、こういうわけであります。
#89
○佐々木(良)委員 手続をお伺いいたしておるのではないのでありまして、労働行政の責任者として、従来の時限立法、臨時立法の性格のスト規制法を、今度永久的な恒久立法に性格変えをするつもりで、この議案を御提出になったかどうかという質問であります。
#90
○倉石国務大臣 今私はその手続云々でなくて、法律の性格の解釈を申し上げたのでありまして、存続するかどうかについて議決を求めなければならないというわけでございますから、その存続は必要性がありという認定のもとに、存続の議決をお願いいたしておる。従って存続の議決が行われれば、これは恒久法になる、私どもはそういうふうに理解しておるわけであります。
#91
○佐々木(良)委員 単なる存続の議決を求める案件として出されておりまするが、そうすると、あれだけ問題を投げかけて議論されたあのスト規制法を、当時は三年間の時限立法であるとか、あの二十七年の電産、炭労のストライキという社会情勢に対処するためのさしあたっての措置であるということで、ともかくも立法理由を一応説明されておったのでありまするけれども、今度はこの附則のなくなるスト規制法ということになるわけでありますから、従いまして、これは当然に私は恒久立法として変更する提案であると解せざるを得ないのであります。重ねて私は所見を伺いたいと思います。
#92
○倉石国務大臣 実質的にはそういう結果になるわけであります。
#93
○佐々木(良)委員 先ほど野澤さんその他の同僚の御質問にもありましたように、倉石さんは当時三年前の審議に当りまして、非常に真摯な態度で議論をされておる議事録を私は拝見いたしております。そうしてあの当時ともかくもいろいろな問題が出されたけれども、ほとんど解決を見ないままに、これが臨時立法だ、あるいは時限立法だという最後のこの一点に隠れたような形で、それならば三年後あらためて勝負をしようじゃないかというふうな格好で、議論が出しっぱなしになったことを覚えておられると思います。そうして今その機会に際会いたしておるのでありまして、しかも議案は今倉石さん自身が言われましたように、手続的な法律に基いての単なる決議を求める案件だとは言われまするけれども、法律の性格を見れば、明らかに新しい恒久立法の提案だという内容を持つものだと私どもは考えざるを得ないのでありますし、倉石さんもそういうふうに考えられることを今承認されたわけであります。私はここで議論を蒸し返すわけじゃないのでありますが、三年前に時限立法として出された当時でさえも、あれだけの大きな議論がなされて、そして二国会にわたっての審議期間が必要であったことは御承知の通りであります。しかも最後におきましては委員長の中間報告を求めるみたいな格好で終らなければならないほど、議論が百出した法案であったわけであります。従いましてあの議論は終ってはおりません。にもかかわらず、この法律を恒久化しようということであるならば、それ相応の相当しっかりとした理由がなければならぬのでありまして、同時にまた十分な審議をしなければならぬということになるわけであります。私は、先ほど来同僚から重ねて話がありましたので、繰り返そうとは思いませんが、恒久立法として法律の性格を変えるというような提案でありながら、先ほど来問題になっておるように、国会の審議の方法について委員会の審議の省略を求められることは、まことに理解に苦しむのでありまして、先ほども同僚から話がありましたように、これはほんとうの議論であるというよりも、何らかのためにする手段であったのであるか、あるいはまたこれは大臣の錯覚か、つまり法律の本質的な性格の変更というようなものでなくて、何か単なる手続的なものだというような、そういう錯覚があったのではなかろうか、まあこの二つぐらいしか、私は委員会の審査省略というようなものをつけられた理由を了解に苦しむわけでありまして、ともかくもこの提案はスト規制法を恒久立法化しようというのでありますから、あの当時よりも――あの当時は臨時立法としての法律だったのでしょう。であるのにあれだけの審議がかかったのである。今度はこれを恒久立法化しようというのでありますから、正常なる常識、正常なる認識をもってすれば、あの当時よりももっと十分なる検討が必要であることは、これは理屈の当然というものではなかろうかと思う。それを今言いましたような委員会の審議省略というような提案の仕方をされたことは、何らかのためにする手段でないならば、大臣自身に何か根本的な錯覚があったのではなかろうかと私は思うのでありますけれども、これは繰り返して恐縮でありますが、もう一度念のために、錯覚があったのかなかったのか、一つお聞かせを願いたいと思います。
#94
○倉石国務大臣 この法律を存続させるためには、この法律の附則第二項による議決を求めなければならない、こういうことからして議決を求める提案をいたすよりしょうがないわけであります。つまり廃止する以外は、存続する議決を求める意思が政府にあって、存続してもらいたいというならば、この第二項の当然の結果として存続するの議決を求める、こういうことになるわけであります。そういたしますと、存続の議決があれば恒久立法になるということで、制定当時の法律の趣旨においては何も変ったことはないわけであります。
#95
○佐々木(良)委員 この法律の経過から見ての手続を今言っているのじゃないのでありまして、労働行政の責任者としてこれを実態的にごらんになっていただきたいと思います。何もスト規制法ができてから三年間ほっておかなければならぬという労働行政の義務を、このスト規制法に最初から負わせておるものではありません。御承知のようにあの当時の審議の際にも、なるべく早く根本的な労働行政の方針を立てて云々ということは、審議のたびごとに繰り返されたのであります。従いまして附則に三年後にどうにかせいと書いてあるから、三年後までほっておいて、その三年が来たからどうにかするための手続をとったのたというような、形式的な問題ではないというふうに私は考えるわけでありますし労働行政の責任者としてあらためてこの手続をとられるについては、スト規制法を恒常立法化しよう、恒常立法化しなければならないという方針があるのでなければ、この手続は私は単なる形式手続として、先ほど来大臣が言われておりますような軽い意味で見ていいかもしれません。しかし現実にこの議案が通過いたしました際には、スト規制法の附則がなくなるのでありますから、そうすると明らかにこれは普通の恒常的な立法としての性格を備えることになり、手続的な方法ではなく、手続の論議ではなくて、結果的には明らかに法律の性格変更という結果を来たすわけであります。従いましてその結果に対しまして、労働行政の責任者としての責任をもって対処されたのでなければならないというふうに私は考えるわけであります。もう一ぺん所信をお伺いいたしたいと思います。
#96
○倉石国務大臣 私の説明が言葉が足りないようでありますが、私も手続のことだけ申しておるわけではございませんが、この法律を存続させる必要があるという認識に立って提案いたしておるのであることは、先ほど来しばしば申し上げておる通りであります。そこでこの法律を存続させなければならないと認定した経過はどういうことであるかということは、提案の理由にも私が申し上げておりますし、先ほど来ここでしばしば繰り返されておる通りであります。今臨時立法というお言葉でございましたが、この法律はつまり三年経過したならば、もう一ぺん存続するかどうかということについて議決を求めなさい、存続すべしという議決があれば今御指摘のように恒久立法になる。その場合に、いろいろ学者にも議論があるようでありますが、何らの手続も行わない場合には今会期で効力を失うのである、こういうような解釈をとっておるわけでありますが、そこで存続するために議決を求める、こういうわけであります。その結果、私どもとしては恒久立法になるということは、提案のときにすでにそういうふうになるものであるということは考えの上で提案をいたしておるわけであります。
#97
○佐々木(良)委員 そうすると、ともかくその附則のいかんにかかわらず、附則から離れて考えて、従来スト規制法は臨時的な法律であったけれども、それを恒久的な法律にしなければならぬのだという前提に立たなければ、今のような議論は出ないと思いますが、そう解してよろしゅうございますか。
#98
○倉石国務大臣 先ほどお話し申し上げたように、電気産業の中にも、電労連の方々などは私のところにしばしばお見えになりまして、ここに規制してあるような争議手段というのはもちろん労働者としてやるべき行為ではない、われわれはもうやりません、だからこういう法律がなくてもいいのではないか、こういうごもっともな御意見もしばしばお述べになりました。私は、もうあと何年たてば皆さんがそういうような工合になっていただけるかどうかということについて、予測するすべがございません。とにかく現在の労働情勢を見ましたときに、なすべからざる争議行為であるといわれておるかようなものは、やはり争議行為の一つの手段としてはおやりになるべきではない、こういう考えでございますから、三年間いろいろ経過その他を検討いたしましたけれども、現在は政府の考え方としては本法の存在を恒久的に必要とする、こういう考えであります。
#99
○佐々木(良)委員 そうすると、ともかく二十七年のあの電産、炭労のストライキが契機になって、いろいろ考えたあげくあの時分の世情から見て、少くとも三年くらいは必要であろうという、三年の時限立法としてスト規制法ができたわけです。そうして今日は二十七年の事態と比べてみて、決して悪化しておるのではなくて、改善しておるというふうに見るのが正常なる認識であろうと考えるのでありますが、当時にも増してこの法律を恒常的に必要であるという認識に立たれたというふうに考えざるを得ないのでありますが、そう解してよろしゅうございますか。
#100
○倉石国務大臣 今佐々木さんのお話の中で、三年間だけ有効なる法律として制定したのだという御意見は、私どもの見解と少し違うのでありましてあなたもすでに当時御存じのように、立案者はそういうことは初め言っておりませんでした。それで修正案が出て、その修正案が結局国会の意思として決定されたわけでありますから、提案者の意思は別として、法律は三年たったならば、その存続を必要とするときには、もう一ぺん議決をしてもらいたい、こういう法律でございますから、私どもとしてはこの法律は臨時法ではないのでありして、従ってこの法というものは将来にわたって効力を有するようにすることが必要である、こういうことであります。
#101
○佐々木(良)委員 倉石さん、やはりまだどこか勘違いがあるのと違いますか。第十五国会に吉田内閣で提案されたときは、今言われたようなことなんです。ところが第十六国会に出された場合には明らかに臨時立法として出されて、その説明にもはっきりと昨年の電産、炭労の両ストライキによる苦い経験にかんがみ、またわが国経済、国民生活及び労使関係の現状に顧みて、当面の緊急の問題に対処せんとするのが立案趣旨であり、臨時立法とするゆえんであって、この間において労使の良識と健全なる慣行の確立を期待するものでありますというふうに明らかに説明されておるのであります。それは勘違いでしょう。
#102
○倉石国務大臣 勘違いではないのでありまして、当時立案いたしました政府の趣旨はこうでありましたという経過を御説明申し上げておる。そこでその次に今度修正案が出まして、その修正案の前に衆議院は解散になりました。従って解散されたその次の議会には、その前の議会にそういう趣旨の修正が来ましたから、それをその次にできた解散後の政府においては、そういう国会の意思を政府の意思として尊重するということで、そういう言い方をして参ったという経過を私が申し上げたのでありまして、当初の政府の立法の意思は、そういう意思ではなかったという経過を申し上げました。そこで現在の政府はどうであるかということ、やはりこれは恒久立法として存続することを希望する、その必要を認める、こういうことでございます。
#103
○佐々木(良)委員 倉石さんはなかなか頭がいいし、説明の仕方が上手ですけれども、あまり論弁を使われない方が私はいいと思うのです。倉石さん御承知のように、国会というものは一国会々々々と切れるものであることはよく御承知でしょう。そして一たん流れた提案理由やその経過というものと、新しい次の国会で新しく提案されて、そしてその国会でこういう性格のものだという審議のもとになされた法律の性格と、これはどちらをその法律の解釈にとるべきかということはおのずかも明らかなことでありまして、この現行のスト規制法が臨時立法であり、そして事実上の――おかしな、歯切れの悪い期限の切り方ではありますけれども、時限立法であるという常識は、これは何ぼ倉石さんでもひっくり返すことは無理であろうと思うのですが、いかがですか。先ほどの中西さんのお話によりますと、水路番がごみをとるのも直接停電をする行為に該当するということで、スト規制法の犯罪容疑になるという拡大解釈があったようでありまして、まことに私はあきれておるのでありますけれども、今のお話と、倉石さんのこれは臨時立法でなく、初めから恒久法として出したのだというような理屈とは、どうも似たような筋があるほど、あまり飛躍し過ぎると思うのでありますけれども、どうですか。これはそう固執されなくてもいいでしょう。
#104
○倉石国務大臣 どうも私は皆さんになるべく理解していただいて、満場一致決定していただきたいと思うものですから、丁寧に申し上げてかえって誤解を生じました。あなたも御存じのように、当初の政府立法の意思はそうでなかった。ところがそれに修正案が加わってきて、それを政府及び与党がのんだのですから、解散後の赤松委員長になられましてから提案いたされたものはあなたのおっしゃるようなことになったのでありますと、そういう長ったらしいことを御説明申し上げたから誤解を生じまして、これからはなるべく簡単にやります。その当初の立法の当時に考えたと同じように、今日は私はこの法律というものは存在を必要と認める、こういうのが政府の認識でございますということを言っておるのであります。
#105
○佐々木(良)委員 そうすると明らかにこういうことですね。現行法は臨時立法だし、時限立法である、それから今新たに長ったらしい何とか何とかの議決を求めるの件という形で出された議案は、新たに恒久立法を提案する意図のもとに、恒久立法が必要だという意図のもとにこの議案を提出された、こういうことになりますね。
#106
○倉石国務大臣 佐々木さんもよく御存じのように、政府としては、この第二項に基いて延長するかどうかということの議決を求めなければならない。これによって政府は議決を求めておるわけであります。従って、この議決をしていただくことになれば、これは恒久立法になる、そこでお前は恒久立法になるがそれでよいか、やはり一年か三年か、期限をつけて、もうしばらく見るということを考えないのか、こういうことかもしれませんが、そういうようなことについては、私どもは現在の客観情勢を見て、いつ先ほどの電労連の方のお話のようなことに皆さんがなっていただくかということについては保証ができませんからして、まずしばらくの間、これは恒久立法として存続してもらいたいという結果になるのでありますということを申し上げておるのであります。
#107
○佐々木(良)委員 これはくどいようですけれども、結果になるということはおかしいですよ。ともかく手続的には現行スト規制法の附則に基いて議決を求める件として出された、そして議決をして下さいというのが政府の意図でしょう。倉石さんの意図でしょう。倉石さんの意図ということは、そのことが労働行政上必要だという認識に基いて出されたということなんでしょう。そのことはつまり、そのまま議決すれば当然に恒久立法化するのであるから、従って恒久立法化する結果になったという理論ではなくて、恒久立法化することが政府としては正しいと思って恒久立法化してほしいという見解のもとにこの議案を出したのです、こういうことになるわけでしょう。
#108
○倉石国務大臣 この法律で今度短かい期間に御決議を願うためには、やはり今のようにお願いをして手続をする以外には方法がありません。それが一つ。それから今の労働情勢は、この法律はこの議決をすることによって恒久立法になるのだが、恒久立法になることを希望するか、こういうことでございますが、それは政府といたしましては今申し上げましたように、この法律がずっと続いて存続することを希望する、こういう結果であります。
#109
○佐々木(良)委員 この三カ年の満期になってから、附則によって仕方なしに手続をとる前に、労働行政上必要だと思うならば、この法律を廃止することも、あるいはこの法律を廃止して新しい、あるいは一年あるいは一年半の時限立法を政府として提案することも可能なんですよ。そのような方法を選ばれずに、三年たった後に、ただ附則を完全になしにしようというこの提案をされた。そうすれば結果として恒久的立法になるということではなくて、あくまでも恒久立法化することが必要だという認識に立ち、その労働行政上の必要からこの議案を出されたという以外にはないのじゃないですか。私はこれは何ぼでも食いつきますよ、形式論じゃないから。
#110
○倉石国務大臣 どうも私の申し上げようとする趣旨がわからないのですな。この法律によって議決を求めるには、今やっておるような方法以外にはないわけであります。そこで私としてはただいま提案いたしたような趣旨で御決議を願いたい、こういうことを申しておるのであります。さてそうなれば、期限というものはなくなって今度は永久に存続するのだが、政府としてはこの法律が永久法として存続することが必要であるという認識のもとに立って提案をいたしておる、こういうことであります。
#111
○佐々木(良)委員 同僚諸君から、はっきりしたということであるから、はっきりしたならばいいのでありますが、記録の上でもはっきりしておきませんと……。今倉石さんは、この法律によればこういう議案の提出の仕方しかなかったというような言い方をされますけれども、先ほどから繰り返して言っておるように、私はその手続の議論をしておるのではない。スト規制法に盛られておるこういう争議行為は違法であるから、これは禁止したいという、スト規制法の対象になっておるような争議行為をなお禁止し続けようと思えば、このスト規制法の附則の部分から形式的な考え方を離れてもいいですよ。実質的にこのスト規制法によって、そのスト規制法の対象となっておる争議行為を、現在のスト規制法と同じようにずっと禁止しておこう、これが正しいのだとお考えになりさえすれば、この手続いかんにかかわらず、そう思われたときに、たとえば昨年の正月でもことしの春でも、そう思われたときに、この法律を廃止して、そうして恒久立法として提案されることは政府の自由でしょう。そしてそのことは当然可能でしょう。このスト規制法があっても可能でしょう。これを廃棄されればいいのですが、そのことをされなかったのです。そして今度こういう格好で出された、そして結果はそうだなんて言われますけれども、そうすると当然に現在の倉石さんのお考えになり方は、従来のは臨時的な法律であったけれども、これを恒久化することが現在の労働行政上必要だという認定以外にはないじゃありませんか。繰り返して何かしつこいようで恐縮でありますが、結果はそういうことになりましょう。
#112
○倉石国務大臣 私どもはこの法律が存続することを必要であると認めておるわけでありますから、これが恒久立法化することを希望するわけであります。そこで今あなたのおっしゃった、去年の何月でもできたではないかというお説でございますが、私どもとしては大体この法律の三年間という期間、しばしば私が申しておりますように、労働関係というものはいろいろな法律や規則を作って拘束するよりは、よい良識のもとに行われる労働慣行を育成していく方がいいのじゃないかという建前で、静かに観察をいたしておりました。しかし現在の段階ではこれが必要であるという認識のもとにこれを御議決を願っておる、こういうわけであります。
#113
○佐々木(良)委員 そうすると、ともかくようやくにいたしまして、今度のこの議案の提出は、従来の臨時法的な、時限法的な性格であったところのスト規制法を、恒久立法化する必要を認めて提案した議案であるというふうに大臣も了承されたと思います。果してそうでありまするならば、繰り返すようでありますけれども、臨時立法としての提案でさえもあれほど審議に時日をかけ、議論が百出したのでありますから、これを恒常立法化するにつきましては、当時よりより一そうの慎重なる審議と、そうして三年間における経験と現象の分析が、私は当然に必要になってくるというふうに考えるのでありまして、従いましてこの委員会におきまして、それらについて十分審議されることを繰り返し委員長にお願いしておきたいと思います。約束の五時になりましたので、きょうの質問はこの辺にとどめておきたいと思うのでありますが、やっとこの議案の意味が明瞭化し、審議の対象が明瞭になったのでありますから、あしたから本格的な内容の質問をさせていただきたいことをお願いいたしまして、きょうの質疑を終りたいと思います。
#114
○佐々木委員長 次会は、明二十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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