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1956/12/03 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 外務委員会 第5号
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1956/12/03 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 外務委員会 第5号

#1
第025回国会 外務委員会 第5号
昭和三十一年十二月三日(月曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 須磨彌吉郎君
   理事 石坂  繁君 理事 北澤 直吉君
   理事 高岡 大輔君 理事 穗積 七郎君
   理事 松本 七郎君
      愛知 揆一君    植原悦二郎君
      小川 半次君    大坪 保雄君
      大橋 忠一君    菊池 義郎君
      小西 寅松君    園田  直君
      中川 俊思君    野澤 清人君
      坊  秀男君    松田竹千代君
      山本 正一君    大西 正道君
      田中織之進君    細迫 兼光君
      森島 守人君    和田 博雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 正力松太郎君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       齋藤 憲三君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        外務政務次官  森下 國雄君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      河崎 一郎君
 委員外の出席者
        外務参事官   高橋 通敏君
        外務事務官
        (国際協力局第
        三課長)    松井佐七郎君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
十二月三日
 委員芦田均君、伊東隆治君、池田正之輔君、
 並木芳雄君、福田篤泰君、松本俊一君及び渡邊
 良夫君辞任につき、その補欠として山本正一君、
 野澤清人君、大坪保雄君、坊秀男君、小西寅松
 君、小川半次君及び中川俊思君が議長の指名で
 委員に選任された。
    ―――――――――――――
十一月三十日
 日ソ貿易協定早期締結に関する請願(川上貫一
 君紹介)(第三七六号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメ
 リカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子
 力委員会との間の協定の締結について承認を求
 めるの件(条約第七号)
    ―――――――――――――
#2
○須磨委員長代理 これより会議を開きます。
 特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑を許します。穗積七郎君。
#3
○穗積委員 政務次官にお尋ねいたしますが、この前も参考人を呼んで合同審査で最近の原子力の国際的な情勢について検討したわけです。昨年これを結ぶときには、アメリカの原子力法が独占意識が非常に強い考え、それを基礎にした法律ができて、それがもとの法律となってこの協定ができているわけですね。ところがその後、われわれがその当時にも指摘したのですが、予想以上に情勢が大きく変化して、もうすでに来年には国際的な原子力機関ができようとしている情勢に具体的になってきたわけです。そうしますと、独占かつ秘密を建前とするこの協定、しかもその有効期間は五カ年間であったと記憶いたしますが、そういうことであると少しく情勢の変化に対して本協定がズレを生じているのではないかというふうにわれわれは考える。そこで政府でも同様なお考えであろうと思うが、特に学界におきましても例の日本国内法としての原子力基本法の自主、自由、民主というこの原則から見て、この公開かつ自由になりつつある情勢にアダプトした取りきめ方をした方がいいんだ、その方が日本の原子力研究にも、また今後の原子力産業の発展のためにも望ましいという意見が圧倒的であるわけです。われわれも全くそういうふうに考えるのですが、協定そのもので今問題になっておりますのは、いわば細目協定に当るものが討議されているわけだが、実施に先だって、これはちょっと時代おくれというか、情勢から見てズレを生じているのではないかと思うが、外務省当局は一体どういうふうにその間の認識を持っておられるか、政務次官から一つお考えをお漏らしいただきたいと思います。
#4
○森下政府委員 お答えします。本協定は別に秘密はないのでありまして、しかしながら最初十年間の話であったものを五カ年にいたしたのでありまして、これは後になってあるいは話し合いで短かくすることができるかもしれませんが、今のところはとにかく五カ年間でいきたい、かように考えております。
#5
○穗積委員 五カ年間が長過ぎる情勢が出てきたら短かくすることもできる、こういうことですが、それは間違いありませんか。それは条約上の根拠をはっきり示して説明してもらわないと、政府側のひとりのみ込み――われわれを納得さすための出まかせの説明だということでは困ると思う。それが相手方に対しても納得せしめる客観的な根拠を持っているかどうか、その点をお示しいただきたいと思います。
#6
○森下政府委員 そういうだんだんと変ってくる情勢の中にあって、あるいはこの五カ年間が長いということであれば、別に新しい協定を結んで、そして短かくすることもできると思います。
#7
○穗積委員 そうすると、もうすでにそういうことも可能であるということが外務省の心中に去来することになれば、もうこの協定はすでに一年間も経て、客観的情勢にズレを生じているということをお考えになっておるわけですね。
#8
○森下政府委員 今のところこれから輸入していろいろやっていくつもりでありまして、実際上の問題としてズレという問題は別に今はないわけであります。これからやっていってズレができるかどうかそれはわかりませんが、今のところはズレはねいわけです。
#9
○穗積委員 あなたそんなことを言っちゃいかぬよ。あなたみたいな良心派が良心を麻痺してそういうことを言っては……。大体事実がずれておるのだよ。もうあなた、そんな一国との間では秘密はないと言うけれども、いろいろな残存物の処理すらできない。それからいろいろなやかましい規定があるのだ、一々読み上げては切りがないけれども、あるのですよ。いろいろな義務を負っておるわけでしょう。だからもう現状においてズレを生じておりませんか。
#10
○森下政府委員 河崎協力局長からお答えいたします。
#11
○河崎政府委員 政務次官のお答えを私敷衍して御説明いたします。
 この協定は、昨年十一月に締結されましたいわゆる日米協力協定に基く細目取りきめであることは御承知の通りであります。日米協定はすでに昨年から一年たっておりまして、それに基いて濃縮ウラン受け入れの今度の細目協定はあと四年間でございます。しかも今度は、協定によりまして今度初めてアメリカから輸入します原子炉の運転をやるために必要なウランだけを輸入するわけでありますから、それだけの目的のためには、今後四年間、長いとも短かいともそういう問題は大して起らないのではないかと思うのです。
#12
○穗積委員 今の河崎局長の御説明はどういう趣旨で御説明になったか、私はこういうふうに受け取ったのですよ。本協定ができている、今やっているのはそれを実施するための細目協定なんだ、だから本協定が承認されたら当然だ、こう言うわけだけれども、法律上はそうなんですよ。法律のメカニツクからいけば当然なことなのですね。ところがそうではなくて原子力に関する国際的な変化といいますか、先ほど申しましたように、今、端的な言葉を使えば、独占かつ秘密の情勢から公開かつ自由の情勢に変りつつある。それが気分的じゃなくて、もうすでに来年から原子力の国際機関ができようとしている。そういうわけで、実はわれわれも昨年しぶしぶながら賛成したわけなのだが、やはり今になってみると、その点は、この協定を廃棄しろとは極端に一ぺんに言うわけじゃないけれども、今後四年間これを実施している間に、過去一年間の情勢の変化を見て、さらにこれが倍加される、そういう情勢の中にだんだん時代おくれな協定になって、すなわち日本の自主性を確保するために不利益を伴うことはないかという認識についてお尋ねしておるわけです。それは今政務次官のお答えによると、そういうことがあるかもしれない、あった場合には別の協定を結んで、これの協定を自然消滅さして、五カ年間という有効期間を短縮することもできるのだ、こういう御意見であったわけです。それに対するあなたの補足説明なんですが、その根本の認識を聞いているのです。だからこれをやめるとかなんとかいうところまで一ぺんにいかないで本協定と細目協定にはとらわれないで、原子力の情勢そのものについて伺っておるわけなのです。そういう趣旨のお答えとしては、私のお尋ねに対して必ずしも答えておられないわけなので、この協定のメカニズムを聞いておるわけではないのですから、その点むしろあとであなたと原子力局長から一つ率直に最近の情勢の認識について御意見を開陳していただくことが適切だと思いますので、お二人から説明していただきたいと思います。
#13
○河崎政府委員 ただいま穗積先生の御意見でございますが、私がまず申し上げたのは、もう日米協力協定もあと四年、一年度すでにたっておるという点と、いま一つの点は、国際機関のお話が先ほどございましたが、二国間の協定は国連の国際原子力機関ができた場合は、その国際機関の方に合流してもいいというような了解もございます。従いまして、この二国間の協定が必要によって、あるいは国際情勢のいかんによっては、国際機関の方にインコーポレートされるという可能性もあるわけです。
#14
○佐々木政府委員 私どもの考え方といたしましては、細目協定そのものよりも、本文になっております、昨年作りました協定文にもございますが、その中には、たとえて申しますと、六キロが最高の濃縮ウランの貸与となっておるのでございます。これはもう少しふやしませんと、今後大学等に設置を予定されております濃縮ウランのリアクターに必要な量が満たされませんので、そういう量を追加いたしたい。あるいは貸与の形式を売却の形式に変えたいとか、あるいはこの前の委員会でもずいぶん議論になっておりましたプルトニウムその他の特殊資材をアメリカから分けてもらいたいといったようなことはこの協定ではできませんので、そういう協定の改訂をできるだけすみやかにしていきたいというふうに考えております。ただしもう少し詳しく申しますと、その協定の改訂を待っておりますと、どうしても向うではさらに米国の国会の手続を要しますので、なかなか時期がかかるようでございますから、今回のウオーター・ボイラーを予定の期日に動かすということでありますれば、この協定のままでとりあえず必要な濃縮ウランをちょうだいして、そうしてこれを運転していくというのが妥当というふうに考えまして、そういうふうにいたしておるのでございます。
#15
○穗積委員 河崎さんにもう一ぺんお尋ねいたします。国際機構ができましたときに、それに合流することができるというのは、禁止規定がないからできという御判断であって、すでに予備討議がなされておるのかどうか、そういう経過をたどって可能性があるということをお考えになっておるのか、あるいは、ただ条約上そういうことも可能であるということを一方的に御判断になっておられるのか、どちらでございましょうか。
#16
○河崎政府委員 これは国際原子力機関の規約を作りますときに、二国間の協定が今後必要によって国際機関の方に合流されるかどうかということは、関係国の間で非常に熱心に審議されたのでありますが、原則的には合流も可能であるということにそのときになったのであります。
#17
○穗積委員 そうしますと、アメリカ側も、日本側がそういうことを提案したときに、たとえば来年度からといたしましょうか、この協定の有効期間中であっても、そちらに乗りかえることができるのだという大体の事前了解はできておるとわれわれは理解してよろしゅうございますか。
#18
○河崎政府委員 もちろんこの協定自身につきましては有効期間がございます。しかしながらアメリカにおきましては、将来事態の変化によっては二国間の協定も国際機関の方に合流する可能性があるということは認めでおる次第でございます。
#19
○穗積委員 実は私ども言うのはこういうことなのです。この協定並びに、次に私がお尋ねしたいと思っておるが、動力協定の問題も、早ければ早いほどいいにきまっておるが、早いことを望むためには、他のいろいろな条件をこちらが負わなければならぬ。その負った条件が、長い目で見れば国際的な公開かつ自由の原則に立つ機構に入った方が、おくれても有利であったという結果にならないことを心配しておるわけです。その方を望んでおる。そういう意味でございますから、私が今申し上げましたように、この本協定の建前から見れば、国際機構ができた場合には、それに合流することを禁止していない、だからできるのだという単純なことではなくて、二国間の協定をいろいろな形で結んでおきますと、条約の文章上は厳格な制限規定はないにいたしましても、事実上というか、ある意味では政治的に日本が動きがとれなくなる危険性が相当ありはしないかということでございますから、今の日米間の協定が効力を発生しても、有効期間五カ年間の以前にそういうふうに合流することについて、法律上はもちろんのこと、政治的にもアメリカがこれをチェックしないという確たる見通しが、今までの交渉の経過の中から読み取ることができておるのかどうかということを私は伺っておるわけでありますから、その点私の質問の要旨をよく理解された上で、安心していいのか悪いのか、それについて答えていただきたいのでございますから、もう一ぺんその点について御説明をいただきたい。
#20
○河崎政府委員 今後の動力協定締結のことについてお話がございましたが、それを二国間でやるか、国際機関によってやるかということは、十分その条件その他を慎重に検討した上できめるべき問題であると思います。ただいまの細目取りきめ自体につきましては、これはただウランを受け入れて炉を動かすということなのでございますが、同時にこの協定によりまして、ウランはいつでも返還できる。これは借りるわけでございまして、必要がなくなる、あるいは値段が不当に高いということでございましたならば、いつでも返還し得るわけでございますので、その点におきましては、この意味において国際機関に合流せしめるとかどうかというような問題は、起ってこないのではないかと思います。
#21
○穗積委員 どうもやはりちょっと質問と答えのピントが合っていないと思うのです。いやならやめることができるのだと言いますけれども、やめてしまったら、今まで莫大な国家資本を投じて作ったものが全くむだになって、投下した資本はウエイストになるのですから、そういうことはわれわれ好ましいことではないと思うのです。やればできるのだということですが、それは法律上のことでございまして、私がさっきから言っておるのは、法律上の問題ではなくて、政治的にいろいろな制限なり抑圧なりを受けはしないかという点でございます。従って質問の焦点をしぼりましょう。条約上は今言いましたように、国際機関ができたときには本協定、二国間の協定をその国際協定の中へ合流せしめることができる可能性があるのだということ、その可能性については条約解釈上だけではなくて、アメリカとの今までのいろいろの討議の経過を通じて、政治的にも向うが圧力を加えたり、制限をつけたり、いやがらせをしたりするようなことはないという確たる見通しを外務省はお持ちになっておられるかどうか、という点を伺っておるのでございますから、その可能性の根拠についてのお答えをいただきたいと思います。
#22
○河崎政府委員 お答えいたします。今後四年間借りて炉を運転する濃縮ウラン受け入れの問題だけにしぼって考えますと、たとえば今後ウランの値段がだんだん下る。その際に、国際機関の方の公定値段の方がぐんと下ったような場合を仮想いたしますと、アメリカ政府としまして日米間のこの受け入れ協定によりまして、値段が日米の方が非常に高いという場合には、これは必然的に国際機関の方の条件に傾くわけでございまして、日本側といたしましても、むしろアメリカの方が現在の高い値段でそのまま支払いを要求する場合には、日本の方はそのアメリカから借りたやつを返しまして、国際機関の方からオファーされた安い方のウランに切りかえることも可能であると思うのであります。そういう意味におきまして、二国間の協定が国際機関の方にどうしても引きずられていくということも考えられるわけでございます。
#23
○穗積委員 くどいようですが、もう一点質問を変えてお尋ねいたします。つまり二国間協定をこの際結んで、これを実施に移しても、近い将来にわれわれが他の国と同様以上の有利な条件において国際機関に参加することに、何ら条約上も政治的にもこれが障害にならないという確たる自信をお持ちになっていらっしゃるわけでございましょうかどうか。
#24
○河崎政府委員 お答えいたします。障害にならないという確信を持っております。特にセーフガードの問題でございますが、借りた濃縮ウランを軍事目的その他に転用しないという規定がございますから、それなどは国際機関が発足しました場合に当事国の要請があれば、国際機関できめたその安全保障の規定を適用できるという規定もございます。従いまして日米間の協定は一向に支障にならないもの、政治的のコントロールを受ける支障はないものと考えます。
#25
○穗積委員 続いて外務省にお尋ねいたしますが、先ほど佐々木局長から率直な御意見がございまして、局長の御判断によれば、もうすでにこの協定を改訂する必要すら感じておるということでございました。たとえばさっきおっしゃったように、具体的なたとえば貸与を買い取りにかえるとか、それからその他の物質処理についての自由を確保する、そういうようなことについて、局長の認識なり御意見が今示されたわけです。局長は改定でいくという言葉をお使いになりましたが、改訂でなくても、新協定を結んで、本協定が自然消滅するような方法でも、そこらはテクニックですからどちらでもよかろうと思うが、そのいずれかの方法によって、今きめてある協定は最近の情勢から見て多少不自由を感ずるから、そういう情勢にアダプトしたものに変えていきたい、こういうことでまことに適切な御意見だと思う。そこで外務省としてはそういう可能性についてはどういうふうに認識をしておられますか。こちらが意思表示をした場合には簡単にすぐ可能性があるというふうにお考えになっておられるかどうか。その具体的な判断を伺っておきたいと思うのです。
#26
○河崎政府委員 お答えいたします。先ほど原子力局長から御説明になりました趣旨は、昨年締結されましたいわゆる日米協力協定は、実験用、研究用の炉を動かすためにわずか六キロのウランを受け入れるということだけの規定でございます。ところで今度東海村に設置いたします原子炉にすでに二キロのウランが必要でありますし、そのあとの四キロは今度引き続き輸入いたしますCP5型に必要なわけでございまして、どうしても現在日米間で協定されております六キロの貸与では、今後の研究その他を継続する上に非常に不十分でございまして、その点におきましてはわれわれもさらに新しく二国間協定なり、あるいは必要によっては国際原子力機関のこの間の話し合いを開始する必要があろうと思うわけであります。その点におきましては現在の協定は不十分であるということは、原子力局長と全く同意見でございます。
#27
○穗積委員 政務次官も今お聞きの通りですが、両局長からの御答弁は政府を代表する御意見としてわれわれは拝聴するわけですが、この点は重要ですし、特にそういう判断は政治的な判断を含んでおるわけですから、そういう意味で――現在の鳩山内閣も近くかわるわけですから、かわった内閣の方針を伺うべきですけれども、少くとも自民党のささえる内閣であれば方針は変らぬと思うのだが、あなたは政務次官とし、かつ党の有力なる幹部としての判断で、そういうふうにわれわれがすなおに受け取って、あのときはああいうふうに思っていたが、やってみたらアメリカがいろいろな制限やいやがらせや抑圧を加えて、非常に困難だというような事態が起きると、これはとんでもないことになりますから、従ってあなたの率直な判断を伺っておきたいと思うのです。
#28
○森下政府委員 私は今局長の申し上げた点をそのまますなおに承認していいと考えております。
#29
○穗積委員 そうすると、本協定はもうすでに時代おくれになりつつあるが、しかしこれを今から望ましき両国間の協定または国際協定のできるまで待つというと、時間がおそくなって、研究のために一年にしても一年半にしても立ちおくれになるから、次善の策として、この際はこれを早く実施したい、だから実施のための細目協定を早く承認してもらいたい、こういうような御趣旨のようですが、その点の気持は実はよくわかるのです。ところがそれを承認する場合には、今言ったように早きことを望むという理由も、一つの理由でございましょう。同時にまた先ほどから政務次官並びに両局長から御開陳のあったように、アメリカとの間においてこれを改訂し、または新し協定を結んで、この協定が自然消滅するような方法、さらに第三としては、国際情勢にアダプトした国際協定に入ることによって、これの受けている制限または不自由を排除することができるのだというふうな御認識のようですが、そうなると、そこに時間的にちょっと判断が違う。一方は早くできるというふうにお考えになり、一方はなかなか改訂することが困難だから早きを必要とするというようなことでございますが、その点については局長は、そういう交渉によって一ぺん入り込んでしまったら、そこから抜けるために非常に時間もかかれば、いろいろな制限も受けてやりにくくなるという心配はないという判断として、われわれは理解していいでしょうか。
#30
○河崎政府委員 お答えいたします。そう御理解下すってけっこうだと思います。この協定自身も、現在は濃縮ウランを貸与するのでございますが、売却もそのうちに可能でありまして、アメリカでも売ってもいいということは言っておるのであります。売却ということになりますれば、現行の去年御承認を得ました日米協力協定を改訂することも、もちろんアメリカは同意いたしております。
#31
○穗積委員 佐々木局長にもう一点お尋ねいたしますが、買い取りの場合には、その所有権一切、従ってその残存物に対する処理も、一昨日の合同審議のときにあなたから御開陳があったように、日本にしてその処理するアビリティが化学的に生ずるならば、また設備としてもできるならば、その場合には買い取りによって一切の所有権並びに残存物の処理の自由は確保できる、買い取りに協定を変える場合は、そういう方針を政府は持っておると理解してよろしゅうございますか。
#32
○佐々木政府委員 改訂あるいは新しい協定に結び変えるという場合には、ただいまお話のありましたような、こちら側で化学処理をし得るファシリティと申しますか、設備の完備したものができまして、向うはこれであれば安全に操作ができるという認定を下しました場合には、当然今お話のようなことになると思います。
#33
○穗積委員 一昨日の参考人として出て参りました学界の諸君は、それは日本の科学なり技術なりの水準から見て、もうすでに処理する能力があるのだという御開陳がありましたが、それもそういうふうに理解してよろしゅうございますか、どうか。政府はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
#34
○佐々木政府委員 この問題はまだ可能性の段階にあるというお話だろうと思います。と申しますのは、現実におきましてそういうものはないのでありまして、分析、化学処理の対象が入手されますれば、初めてわが国の科学水準から見て可能であるということを申し上げ得るのではなかろうかと思います。従いまして私どもとしては、そのウォーターボイラー型ではウェィストが相当先に出るのでございまして、入手してから少くとも四、五年先になるだろうと思います。それまで待っておれませんので、その中に日本で国産化いたしました天然ウランを入れましてウェイストを作り、そうして研究するなり、あるいはこの前申し上げましたように、協約改訂なり、全面改正によって、アメリカからプルトニウムその他をちょうだいいたしまして、それを処理して化学処理の研究をするのが望ましいというふうに考えております。
#35
○穗積委員 そうしますと政府の御方針としては、この濃縮ウラン借り入れを実施するに当って、その実施とともに、今申しましたような日本の処理能力の科学技術の促進、並びに施設を作ることに、積極的にスピーディに努力するという方針を持っておると理解してよろしゅうございますね。
#36
○佐々木政府委員 ただいまの件に関しましては、日本原子力研究所におきまして来任度の予算に要求いたしまして、予算をできるだけ通るように努力いたしますが、予算が通りますればそれは可能だと思います。
#37
○穗積委員 大体御趣旨はわかりました。
 次に政務次官にお尋ねいたしますが、実はこの協定と関連をいたしまして、われわれは討議しなければならない、法律上直接の関係はございませんが、政治的または科学的には重要な関係のあります動力協定について、正力国務相は日米間に早く動力協定を結ぶこと、そうしてそれを受け入れることを進めたいと思う、こういうような御趣旨でございました。しかしながらわれわれはこれには非常な疑問を持っておるし、むしろ学者の間にも、参考人として一昨日開陳がありましたように、少くとも来年の国際機関ができるまで待つべきだ、アメリカの押し売りを急いで買い入れる必要はない、受け入れる必要はないという意見であった。われわれも全く同様です。従ってこの協定についての認識そのものは今おっしゃった通りですが、それが情勢にアダプトして、どんどんこの協定が不自由になってきたならば、変えていくのだというような意見が今まで述べられました。そうであるとするならば、私たちが心配しておるのは、一歩入り込んだことによって次に深入りをするきっかけを作ることになる。従って動力協定については、これは私はもっと慎重に検討すべきであるというふうに思うわけでございます。それについて外務省のお考え方を伺っておきたいと思います。
#38
○森下政府委員 それは各国の各個の条件をよく検討した上できめてよろしい、かように考えます。
#39
○穗積委員 そうすると、正力さんは非常に早くという希望を持っておられるようだが、外務省はそれとは違って、慎重に考慮する、少くとも来年の国際機構ができるまで待っても差しつかえないという意味にわれわれは理解いたしますが、さようでよろしゅうございますか。
#40
○森下政府委員 それは決して待つというわけではないのでありまして、それまで待った方がいいというわけではなくて、各国のいろいろな条件をその間に検討いたしまして、できれば早く遂めた方がよろしいと思います。
#41
○穗積委員 国際機構ができなければ、どっちがいいかそんなことはわからぬじゃないか。各国の動きや国際情勢を見て慎重に検討するという以上は、国際機構の方が有利であるか、アメリカが今押しつけようとする方が有利であるか、どっちが有利であるか、判断ができないじゃないか。
#42
○河崎政府委員 原子力国際機関はごく近く発足いたしますので、その機関の条件も検討した上できめたいという趣旨でございます。
#43
○穗積委員 それならば、国際機構がで遂て、その条件が判明して、すなわちアメリカと今二国間で結ぶ場合と、比較検討のできる時期までこれを研究する、それ以前に協定は結ばないというふうに理解してよろしゅうございますね。
#44
○河崎政府委員 お答えいたします。原子力機関は近く発足すると申しましたが、機関のいろいろな憲章、規定はもうすでに内定いたしておるのございます。その憲章は今から研究、検討しておいて差しつかえないと考えるのであります。
#45
○穗積委員 そうすれば国際機関から受け入れる場合とアメリカから受け入れる場合とについては、もうすでに今予備的な検討が行われていると思いますが、どちらが有利だとお考えでございますか。
#46
○佐々木政府委員 この点は、この前正力大臣からもお話がありましたように、国際原子力機関の問題に関しましては、御承知のように規約に関しては調印も済んでおりますし、来国会で外務省側から提出されると思います。それから、米国側から参りました新しい改訂文は、公式のものではありませんが、向うの原子力委員の方からこちらの石川委員の手を通じまして、通知してきましたものがございますので、両方の各条文をそれぞれ比較いたしまして目下検討中でございます。
#47
○穗積委員 それでは正力さんがちょうどいいところへお見えになりましたからお尋ねいたします。あなたは、比較検討された上でアメリカと二国間の動力協定を結んだ方がいいというお考えでしょうか。
#48
○正力国務大臣 私はもちろん、どちらの方が日本の立場上有利であるか調べて、よく比較検討いたします。先ほど何か非常に私が急いでいるようなお話でございましたが、日本の国情上、動力上も急いだ方がいいとは考えております。しかしいずれにしても外務省とはよく話し合ってやりたいと思います。
#49
○穗積委員 そうすると、政府としてはまだ検討中ということですか。
#50
○正力国務大臣 もちろん今検討しておるところであります。ただしなるたけ早くやりたいと思います。
#51
○穗積委員 どちらにやるかということについては、あなたはどうお考えになっていますか。研究のためまたは動力の不足を補うために早い方がいいということはわかっているが、問題は条件でございます。相手を選ばなければならない。そういう意味でどちらかと聞いておるのであって、研究や動力不足を補うために早い方がいいというような一般的希望のようなことを質問しているのじゃないのです。そういう認識に立っていることは同様でございます。だから問題は、長い目で見て、そのどちらが具体的に有利であるかということを聞いているのです。
#52
○正力国務大臣 もちろん両方検討しなければなりません。ただ日本の国情から考えて、できるだけ早くやりたいと思っております。
#53
○穗積委員 私は、早くやるという一般的な抽象的なことを聞いておるのじゃございません。そうではなくて、早くやりたいはけっこうだが、どちらでどういう条件でおやりになるつもりか。あなたは日米間の動力協定を早く結んだ方がいいというお考えのように一昨日は伺ったわけです。それに対しては政務次官初め外務省並びに原子力局長はそれは十分検討した上だ、こういうことであってちょっと話が食い違っておる、あなたは力を持った人だから一人で突っ走ることを特に心配するわけです。一人で先へ走り出しはしないかと思って、ちゃんと聞いておくのですから、あなた個人の立場や方針で変更をされては困るのです。われわれはそこに並ばれた四人の方々に対しては、政府を相手に話をしておるのです。だから、そういう点で話が合うようにしてもらわないと安心ができない。
#54
○正力国務大臣 もちろんよく話し合いまして、私だけ突っ走るようなことはいたしません。もちろん皆さんと協議しまして、そうしてどれが日本のために一番よいか、すべて研究してやります。
#55
○穗積委員 そうすると、アメリカとの間に二国間で早く動力協定を結んだ方がよいと思うという考え方は、この際は政府代表としてはお取り消しになるわけですね。
#56
○正力国務大臣 決して取り消しはいたしません。私は慎重検討の上よければやる、こういうことであります。
#57
○穗積委員 それは私はそんなことではごまかされませんから、一般的に早くやるというのはよいけれども、どっちが有利な条件であるというのか、それであなた以外の方はみな国際機構ができ、しかもその内容が条件がはっきりしてからアメリカのものと対比して、そうして慎重に検討した上で決定したい、こういうことを言っておられる。ところがそれはあなた一人の個人的な意見であるか、政府の意見であるか知らないけれども、今度の動力協定は早くやった方がよいと思うというふうに言っておられるわけですが、そこに食い違いがあるからわれわれは不安を感じておるのであるが、どちらですか。
#58
○正力国務大臣 先ほども申しました通り、私は一人で突っ走るようなことはいたしません。また私はアメリカだけではありません。イギリスとでも条件がよければ早くやりたいと思っております。その点についてはよく皆さんと協議してやりたいと思っております。
#59
○穗積委員 それではこういうことは確認していただけますね。時期のことは別にいたしまして、少くともアメリカなりソビエトの条件を検討する、その上にさらに加えて国際機構の条件を検討する、アメリカの条件とそれらのものとを検討した上でどれを選ぶかはその上できめたい、こういうのが政府の最終的な方針であると理解して間違いございませんね。
#60
○正力国務大臣 ソビエトの方はまだ国交も回復しておりませんから、そのことはまだ考えておりません。ただ今国交を回復しておる国、イギリスあるいはアメリカまた国際機構を考えてやる、こういう意味であります。
#61
○穗積委員 そういたしますと、少くとも現在では今言いましたアメリカとの話を馬車馬的に進めるのではなくて、限界を広くしてイギリスなり国際機構の条件も比較検討した上できめる、それ以前にはきめない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
#62
○正力国務大臣 もちろんそうです。アメリカだけに突っ走ることはいたしません。イギリスへ調査団をやろうと言うたのは私であります。だから、よくイギリスのことも考えます。
#63
○穗積委員 あなたがイギリスへ調査団をやったと言うてお手柄話のように言われるけれども、それは世間の目をごまかすために、牽制するためにやったことであって、腹の中はアメリカとやろう、こういう量見であることもあり得ることだ。ことに保守党の領袖というのはそういうことが得意ですから……。そういうこと聞いても私たちは何ら感心したり、それだけで理解するわけに参りません。あなたのこの前の土曜日の答弁も、アメリカとの間の動力協定は急いだ方がよいと思うというようなお話の御答弁だったように思うのです。言葉は必ずしも正確でなかったかもしれませんが、そういう印象をわれわれは持っておる。けさの毎日新聞でも、正力構想は少し早過ぎるというような批評を、非常に穏健なる毎日新聞ですら書いております。あなたのお読みになるのは読売だけじゃないでしょうね。だからそういうふうに理解してよいわけですね。今言ったように、少くとも現在はアメリカだけではなくて、イギリス並びに国際機構の条件をアメリカのものと比較した上でなければきめない、しかもそれを日本の側に有利にきめる、こういう方針には変りはありませんね。
#64
○正力国務大臣 私は断じてアメリカだけではない。何か非常に僕がアメリカ一辺倒のように言われますが、断じてそういうことはありません。私はイギリスのことも真剣に考えております。
#65
○穗積委員 それで、今あなたは、ソビエトとは国交が現実には回復いたしておりませんが、あと数日にして発効するわけです。そうなれば今度のソビエトとの間の国交回復は、あなたが参加する政府を代表して幾たびか声明されたように、北洋の魚と引揚者を取り返すための冷い国交回復ではない。今後文化並びに経済交流を、できるならば積極的にやっていきたい、こういうことを言っておられるわけです。そうなれば国交回復をしていなかったからソビエトとの研究は建前もできないし、事実上もなかなか調査が困難であった。だからしなかったということならばそれはそれで今では認めますが、国交回復したならばソビエト側の意向も積極的に聞き、かの国の事情も調査をして、そうしてこれも同様の平等の条件において他の三国または国際機関と同じ地位において比較検討すべきだと思うが、それについての御意見はいかがでございますか。
#66
○正力国務大臣 ソ連との問題は先ほども申し上げた、国交が回復したら――まだ何も言うてきておりません。それだから何も考慮しておりませんが、言うてきますればもちろん国交回復後検討はいたします。
#67
○穗積委員 イギリスにやったように、こちら側からも一つ調査団を派遣する御意思はございませんか。平等であるならやりましょうやというように、どんなものですか。
#68
○正力国務大臣 よく検討いたします。
#69
○穗積委員 すでに科学技術委員会でお聞きになったかどうかしりませんが、私どもの党に属しておる志村君が、せんだって向うの招待で行きまして視察をし、多少の意見の交換があった中で、無条件でよろしい、条件なしなんですね。そういう点は、今問題になっているアメリカとの協定よりは一歩前進なようです。というよりは、すなわち言いかえれば、わが国に有利なようです。すなわち日本の国内法である原子力基本法により沿ったものであるということが――これは政府のものじゃないからおれらは知らぬ、こういうことではない。それによって私は検討しろと言わぬが、それも有力なる資料、情報だと思うのです。その意味では、向うから言うてきたら考えてもよろしいということじゃなくて、むしろあなたがイギリスに示されたように積極的に一つ政府の調査団をおやりになるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
#70
○正力国務大臣 先ほど申し上げましたごとくに、国交も回復し、その上でよく検討いたします。
#71
○穗積委員 大体それで基本的なことについては話がわかって参りましたから、今度は細目協定そのものについて少しお尋ねをいたしたいと思います。この前の土曜日の合同審査でもちょっと出ましたが、向うから貸与されます品質、数量についての検査機構はこの前まだ不明確な点もありましたが、どういうふうにされるのか、この前信頼のできる第三者にこれを検査さして、検査表をつけたものを受け取るという御意見でございましたが、それをもう少し具体的に御説明がいただきたい。それからもう一つは、その信頼のできる第三者が品質検査をいたしまして、わが国に受け入れて使ってみたら、日本の技術者がその検査で違っておる点を発見した、そういう場合にはキャンセルするのか、あるいは損害賠償を要求するのか、そういうような問題についての処理はどうされますか。そればアメリカに対してですが、それから第三の、もう一つは、検査機関のある意味では善意または悪意による検査の過失があると思う。そういうような場合には、その検査機構に対しては、日本政府はどういう発言をし処理をされるつもりであるのか、その間のことを一括してお尋ねいたしましょう。
#72
○河崎政府委員 ただいまの点につきましては、松井説明員から御説明いたさせていただきます。
#73
○松井説明員 まずその分析の方法と機構につきまして私から説明申し上げます。それから分析の結果について故意または過失があればその損害賠償について条約局長からお答えいたします。
 まず第一に分析には二つの種類がございまして、御承知の通りアメリカの原子力委員会が加工業者に対しまして六弗化ウランの形で原料を渡します。それをその加工業者と日本政府との間には加工契約に基きまして、加工業者がこれを硫酸ウラニウムという形の燃料要素に加工いたします。検査を行うのは、そのなるべく最終の段階の時点につきましては、両国政府が合意いたします時点におきましてサンプリングをしまして、第三者たる両国政府が合意してきめる検査機関について検査いたすものであります。検査の内容はその純度について行われます。すなわも硫酸ウラニウムの中にあるウラン二三五の純度が幾らあるか、すなわち不純物がどれくらいあるかないかということに主として分析の目標がございます。これにつきましては証明された分析表を分析業者がアメリカの原子力委員会と日本政府に手渡します。日本政府はこれに基いてその燃料要素の純度に関する一応妥当な証明として受け取ります。量につきましては一応第三者の分析ではございませんで、加工業者の証明をこれにかえております。それから分析はもう一度行われます。それは被照射燃料を日本政府がアメリカ側に返すときに、そのアメリカ側が化学的再処理を行う段階におきまして、いわゆるウラン二三五が幾ら消耗したか、あるいはウラン二三五の消耗に基く結果、濃縮ウランの濃度が幾らに下った、それをかえるためにどうするか、いわゆる減耗量の検査その他につきましては、一応これを分析しなければなりません。いずれの場合におきましても両国政府が合意してきめる権威の高い分析機関にこれをやらせることになっております。日本政府はこの分析業者との間に、おそらく分析に関する契約を結ぶことになると思いますが、契約の内容その他におきまして、たとえば故意または過失があったような場合には、この法律の解釈は条約局長の方からお答えいたしますが、私の方ではまず分析と機構をどうするかという点についてお答えをいたします。
#74
○高橋説明員 そのあとで、分析の結果品質が違ったとか、そういうふうなことで損害賠償の問題とか責任の問題が起るというような場合でございますが、それは日本側と分析業者との間の契約によって解決される問題ではないかと思います。
#75
○穗積委員 分析機構からちょっとお尋ねいたしますが、分析機構は、私が聞き漏らしたかしらぬが、具体的にはどういう構成になりますか。
#76
○松井説明員 協定ではまず第一のコマーシャルな分析業者がない場合には、アメリカの原子力委員会の施設を使っていると使っていないとによって、分析量がかなり違います。両国間に紛議が起るかもしれません。そのためにあらかじめこういう四つの分析機関に頼もうではないか、もちろんこれに追加するととは可能でございます。名前を申し上げますと、テネシー州におけるオークリッジの国立研究所及びケンタッキー州パドゥカの施設を操作するユニオン・カーバイド原子核会社、これが第一でございます。第二にはオハイオ州のポーツマスの施設を操作するグッドイヤー原子力会社、これが第二でございます。第三番目にはワシントン州のハンフォードの施設を操作するゼネラル・エレクトリック会社であります。第四番におきまして、イリノイ州レーモントのアルブンヌ国立研究所を操作するシカゴ大学でございます。これは必ずしも商社ばかりではございません。大学なんかも入っております。一応こういう機関からセレクトしてきめようじゃないか、もちろんこれをふやすことも可能であります。
#77
○穗積委員 そうするとそのうちの一つと検査契約をされるわけですか。
#78
○松井説明員 量は今度受け取るのは二キロ以内でございます。一つの契約分析業者でいいのじゃないかと思っておりますが、なお実施の段階におきましては原子力研究所の専門家とよく相談いたしまして、一つでよいかということはまたきめたいと思っております。
#79
○穗積委員 それから日本で使用後の消耗量の分析もその機関に一切ゆだねるわけですか。
#80
○松井説明員 二つの方法がございます。まず分析させて、その結果ウランの二三五が何グラム消耗したか、従って濃度は何%減ったかということを分析して調べることのほかに、もろ一つは便法が考えられております。それは日本の原子力研究所におきまして、炉の運営についてはいろいろなバーナーその他の記録がありますから、それで計算いたしますと、どれくらいのウランが消耗したかという計算が出ます。場合によっては、消耗量の算出の方法としましてはその便法によることも、この協定では認められております。
#81
○穗積委員 受け入れる品質、数量並びに消耗度の検査の場合には、日本側から参加することはお考えにならぬのでしょうか。私ども技術的にはしろうとですからよくわかりませんが、何か立ち会うというか、日本側が参加する機構にした方が公正が期せられるように思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
#82
○松井説明員 そういう細目はもちろん日本政府と分析業者の契約の内容をなすものと思います。ただ実質論としまして分析し得る実力のある日本の会社なり施設があるかどうかということにつきましては、私は否定的な見解を承知いたしております。しかしながらその検査をやるときに、日本側の代表をオブザーブさせるようにすることは可能ではないかと思っております。
#83
○穗積委員 そこで条約局にお尋ねするわけですが、今の分析契約の内容が問題になってくるわけですね。そのときに、第一は、今言ったように正式な検査機関――検査官というか検査者というか、民間なら検査者でしょうが、そういうものをワン・オブ・ゼムとして参加させるか、オブザーバーとして参加させるか。われわれとしては、何らかの形式において日本人も立ち会った方が有利であるように思うし、のみならず今松井さんのおっしゃったように、当初は日本の技術者、化学者の間に検査能力がまだ十分でないというようなことがありましても、そういうことにタッチすれば、やがて日本の科学技術の勉強にもなるわけですから、公正を期し、日本の科学技術の勉強のためにも参加せしめた方がいいと思います。政府はその方針で進むべきだと思うが、どうですかという点が一点。
 もう一つ、先ほど私のお尋ねいたしました責任の分担についての検査契約をなさいます場合の構想が、もうすでに実施段階に入っておるわけですからおありになると思うのですが、おありになるならばそれをお聞かせ願いたい。
#84
○高橋説明員 わが方から何らかの方法で検査に立ち会うことは非常にけっこうだと思います。そのあとの責任とかその他の問題が発生する上にもいいことだと私どもの方では考えております。いずれこれは技術的な問題をも勘案して決定されることだと思っております。それから契約にもそういう場合を予見して誤まりなきを期したい、そういう契約を十分注意して作りたいと思っておりますが、まだどういうふうな構想ということは実は考えておりません。
#85
○穗積委員 その契約についての参考になる外国のサンプルはございませんか。
#86
○佐々木政府委員 この協定は米国と二十数カ国とが結んだわけでございますが、日本のが一番早うございまして、まだ外国にはその例がございません。
#87
○穗積委員 順を追うてお尋ねしますが、日本側の責任になる、第二条に当るわけですが、引き渡しですね、引き渡しから日本側の責任になるわけでしょうが、今の民間の製造業者との間の契約はまだできていないとすれば、その中に盛られて初めてそれらの責任の分界点はわかるわけでしょうが、どういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
#88
○高橋説明員 まだ実はその辺詳しく検討していないのでございますが、普通責任の分界点といたしましては、御承知の通りこの条約は引き渡しを受けたときから実は責任の問題が発生するということになっております。その前の分析その他につきまして、分析業者との関係はやはり契約において種々盛られると思います。
#89
○穗積委員 それからそのほかの日本側の負うべき費用ですね。消耗料とか使用料とかいろいろありますが、そういうものについては、随時そのときの国際市況といいますか、そういうものを勘案して決定することになるわけでしょうか。
#90
○河崎政府委員 賃貸の料金、使用料その他は引き渡しのときにおいて実施されておるところの価格表によるわけでございます。現在の価格によりますと、最初の三年間に、年間円にしまして、大体四十五、六万円、最後の四年目には、これは返還のときの梱包とかいろいろな雑費がかかりますから、大体そのときは六百万円くらいの費用の予定でございます。
#91
○穗積委員 それから今度は国内問題についてちょっと一、二お尋ねしておきたいのですが、第一は残存物処理、その他について、日本側が立ち入り禁止の領域がございますね。それは地域じゃございませんよ、物資そのものについて。それを日本側が侵したときにはどういうふうにするのか。それから日本の研究所で研究所の所員がそれを見た場合もございましょうし、それから持ち出した場合もあるだろうし、それからあるいは研究所の所員以外の第三者がそれを盗み見たり、盗み出したりする場合もあるだろうし、それからまたこの物質処理について日本側関係者にいろいろ化学的な被害を及ぼす場合もあるかもしれないが、そういう場合における責任といいますか、これはどういうふうに規定されるつもりであるか。国内処理に入りましてからのことでございます。
#92
○佐々木政府委員 これは実際賃貸する場合に、アメリカから政府対政府で賃貸するわけでございますが、その賃貸しましたものを具体的には日本原子力研究所に使用許可する場合には、日本原子力研究所法の規定に基いて、政府としては厳重な監督規定を付加いたしまして使用許可をいたします。使用の結果ただいまお話のありましたような第三者に対する障害あるいは窃盗等の問題が起きた場合には、それに対する処分いかんという問題でございますけれども、この点に関しましては、窃盗のあった場合には窃盗者自体に対しては当然窃盗罪と申しますか、それが該当いたすでありましょうし、あるいは第三者に管理上の不注意で不測な障害を与えました場合には、第三者に対する損害賠償の問題が起きると思います。ただその際当事者の責任いかん、国際的な義務にその際違反するのじゃないかという問題に関しましては、研究所あるいは監督官庁であります科学技術庁が当然責任を負うべきだと思います。
#93
○穗積委員 管理規定というか、監督規定といいますか、そういうことで伺いたいのは、現在の日本の刑法の範囲内において規定さるべきであって、それ以上越えるものは日本国民の基本的人権にも関係することですから――監督規定なるものがすでにできておるのか、または草案くらいのものができておるのかどうか、それからまたそれができていないとすれば、さらに基本方針として、刑法の規定以上の義務を日本国民に負わせるような規定になることは避けるつもりであるかどうか。その監督規定の内容が問題になると思いますが、さらに関連いたしまして、その監督規定なるものがそういうようないろいろな刑法上の、法律以上の規定を日本国民に負わすことになりますと、これは明らかに国会を通らなければならぬと思うが、それの処理についてはどういう御方針であるのか、一括して伺っておきたいと思います。
#94
○佐々木政府委員 その点に関しましては、ただいま原子燃料等の管理法並びに放射線障害防止法の二つの法規を準備してございます。各国の例から見ましても、放射能の事故は単に照射された人のみの事故にとどまらず、場合によりましては、遺伝等を通じまして後世にも累を及ぼす問題でございますので、その罰則範囲等に関しましては、あるいは相当厳重なものになるのじゃなかろうかというように考えております。
#95
○穗積委員 そういたしますと、当然国会の承認を求める法律として取り扱う、こういうお考えと承わっていいわけですね。
#96
○佐々木政府委員 管理法に明記したいと思っております。
#97
○穗積委員 それからこの前渡辺参考人が、この協定の内容について、大きな項目三点にわたっていろいろ疑問点を投げかけられたと思うのだが、その点の第一の責務の負担が不明確であるという点、これは今の契約がまだ中に盛らるべきものが相当多いので、この政府間の協定そのものにおいては必ずしも明確でなくてもよろしいのだという意見、それからAECに対する免責規定が多過ぎはしないかという点、これもこの間の御説明で大体了解できましたが、最後に問題として投げられた紛争処理機構の問題ですね。これは外務省の御答弁では、一般の国際間の問題として外交交渉によって今後処理するということですが、こういろ特殊な物質であり、しかも特殊な協定の場合には、たとえば貿易の場合におきましても一般的な外交交渉というよりは特別の紛争処理機関が設けられ、または紛争処理に対する規定というものがあって差しつかえない、またあった方がいいわけでございますが、その点についてはこの間の御答弁ではまだわれわれ十分納得ができないのですが、その点外務省はどういうふうにお考えになっておられるか、同時にこのことについては原子力局長からもお答えをいただくことが適当だと思いますから、お二人から御答弁をいただきたいと思います。
#98
○河崎政府委員 お答えいたします。このウランを借りて原子炉を運転するわけでございますが、先ほどから御説明申し上げました通り、引き渡し前に綿密な検査を行なった上でとるわけでございますから、その後の紛争はあまりあり得ないと考えておるわけでございまして、常時調停機関のようなものを作る必要は今のところ認めておりません。
#99
○佐々木政府委員 ただいまの答弁通りでございます。
#100
○穗積委員 時間がありませんからこれでやめておきます。
#101
○須磨委員長代理 松本七郎君。
#102
○松本(七)委員 概略質問で尽きたようですが、それに関連したことで少し確認しておきたいと思う点を御質問したいと思います。時間がありませんから逐条的に入っていきたいと思います。
 第一に、原子炉用の物質である濃縮ウランを賃貸するということにこれでなるわけでございますが、日本政府としてはウランの原鉱から原子炉用の物質を加工するという研究を今後助成する考えはないかどうか、その点を最初にお聞きしたいと思います。
#103
○佐々木政府委員 まず濃縮ウランにする前には、天然ウラニウムを作らねばなりませんので、天然ウランを作る過程から申し述べてみたいと思います。ただいまのところはウラン鉱の品位または鉱量等が大へん問題でありますので、概査は地質調査所、これは国立の試験所でありますが、そこでやりまして、そこで概査を経ましたものをこの夏にできました原子燃料公社で精査をいたしまして、いよいよ採掘が可能である、あるいはその前提条件として政府の買上値段等がきめられました際には、これを鉱業権者ができないと遂には燃料公社が自分で採掘するのでありますが、そうでない場合には民間の鉱業権者が採掘いたしまして、その鉱石をある程度山元で粗鉱いたしまして、それを公社で買い上げまして、その買い上げましたものをいわゆる天然ウランにする製練過程に入るわけであります。そういたしまして製練いたしました天然ウランは純粋のものであっても、その中でいわゆる分裂を起すのはウラニウム二三五という百四十分の一しか含まれていないものでありまして、このウラニウム二三五を濃縮いたしまして、二〇%まで高めたものが今度アメリカから貸与を受ける濃縮ウランであります。天然ウランから濃縮ウランに濃縮いたします製造工程は非常に電気も食いますし、あるいは費用もかさみまして、なかなかこの過程はただいまの段階では困難でございます。ただ日本といたしましては、すぐこの濃縮ウランの過程まで天然ウランから入るというのにはいささか時期が早うございまして、天然ウランそのものの実際の製練の段階にまだ入っておりませんので、その後の濃縮ウランの製造工程に関しましては委託金等を適用いたしまして、なるべく安く優秀な製造工程を発見いたしたいというので研究を進めておる段階であります。
#104
○松本(七)委員 その研究については相当な助成をするお考えですか。
#105
○佐々木政府委員 今年度から委託金の資金を出しまして、今後とも研究を進めていきたいというふうに考えております。
#106
○松本(七)委員 今の、濃縮ウランを直接外国から貸与を受けるということで今後いつまでもいっておったのでは、結局原子炉用の物質を自主的に製造するという段階にまでいつまでもいかないと思うのです。外国に依存しておる限りは、原子力の平和利用というものはいつまでも外国に依存しなければならないということになりますので、やはりそこからの研究助成をすみやかにしなければならないと思うのですが、さしあたり原子炉用の物質を加工するための施設として、アメリカはとの施設を外国に貸与するとかあるいは売却するというようなことはまだやっておらないのでしょうか、濃縮ウランなら貸与するけれども、それを加工する施設そのものは売却あるいは貸与するということをアメリカはまだしないのかどうか、お伺いいたします。
#107
○佐々木政府委員 この濃縮ウラン工場と申しますのは大へん規模の大きいものでございまして、ただいま米国にあります三工場の例をとりましても、それに使用する電力だけでもほとんど全日本で使っております電力に近いものがそれに所要されるくらいに非常に膨大なものでございまして、ただいまの段階ではソ連、米国――英国でも若干やっておりますが、それ以外の国ではまだまだそこまでいかぬような状況でございます。従いまして、日本へアメリカから工場を譲り受けましてすぐ濃縮ウランを作るという段階には参りませんので、ただいまの段階といたしましては、濃縮ウランではなくて天然ウランを作る工程を急いで作りたいという方針で進んでおります。
#108
○松本(七)委員 この前の新聞にカナダからのウラン鉱の輸入のことでしたか出ておりましたが、アメリカ、カナダそれからベルギー、その他ウランを持っておる外国の輸出規定というものはどういうふうになっておりましょうか。
#109
○佐々木政府委員 ウランに関しましては米・ベルギーあるいは米・カナダ等の協定がございまして、その協定に問題がございます。ただ、ごく少量の場合にはその三国がそれぞれ承認したときには研究用として輸出可能であるやに聞いております。これも国連機構との関連が今後生じてきましょうが、わが方といたしましてはただいま研究の段階でありますので、三国が許されれば濃縮ウランをたとえばカナダ等から入れたいという希望を持っておりまして、その希望を申し述べております。
#110
○松本(七)委員 将来原子力平和利用がずっと発展してきて、大量のウラン鉱を必要とするということになった場合、入手が確保できるかどうかということを聞いておるのですが、そうすると、今のところ何とも見込みは立たないわけですか。
#111
○佐々木政府委員 ただいまの段階では、御承知のように双務協定に基きまして、ウランをそれぞれの双務協定を結んだ国からもらうか、あるいは国際連合の国際機関を通じましてこれを入手するか、二つの方法しかございません。従いまして、できるだけ国内で必要なものは国内でまかない得るように――炉を置きました場合には、ただいまの協定ではそれに必要な燃料は、向うから提供して下さるような話し合いにはなっておりますけれども、国産の炉を使った際までの燃料をギャランティーしてくれるかどうかという点は、まだ未解決の問題でございまして、その際を考慮いたしまして、私どもといたしましてはできるだけ国産のウランの自給度を高めたいというふうに念願しておる次第でございます。
#112
○松本(七)委員 この前参考人の意見を聞いたときに、前田委員が質問されたのに対して、たしか松井課長だったと思うのですが、ウエィストの化学的処理は日本が希望するならばそれは自主的にできる、と同時に、日本にその施設ができたら、つまり米国と同じような施設ができたらという意味だろうと思うのですが、自主的な処理もまかされる、こういうことを言われたように思うのですが、この点間違いございませんでしょうか。
#113
○松井説明員 お答え申し上げます。大体そのように了解していただいて間違いないと思います。換言すれば、将来日本に化学的処理に関する施設の十分なものができれば日本に許してもよろしい、副産物も平和利用の限度において必要なものならば置いてもよろしいというラインが出てくるのじゃないかと想像しております。
#114
○松本(七)委員 そこで問題になるのは、日本で灰の処理ができるようになったら、それから米国と大体同じ程度に技術が進んでいなければならないということが予想されておるらしいのですが、そうなると、灰の処理のための施設を一体米国は貸与あるいは売却するのかどうかということと関連してくると思うのです。そこのところはどうなっておりますか。
#115
○佐々木政府委員 灰の処理の施設に関しましては、先ほども申し上げましたように、まず日本原子力研究所に来年度予算を盛りましてわが国自体研究を進めたいというふうに考えております。その結果、もし灰の処理等ができ、あるいは需要ができるという段階になりますれば、燃料公社に移しまして、燃料公社でその施設を作るというのがただいまの方針であります。その際燃料公社で作ります施設が、他の国から売却あるいは貸与を受けなければわが国でできないのか、あるいはわが国自体としてできるのかという点は今後の問題でございますが、そのセット全部を他国から買わなければわが国では不可能であるというふうには、ただいまの段階では考えておりません。
#116
○松本(七)委員 そうすると、日本でもある程度できるようになった。しからば日本の自立的処理にまかせるかどうかということになった場合に、果して米国と同じ程度に進んでおるかどうかという程度の認定は、米国がすることになるでしょうかどうでしょうか。
#117
○佐々木政府委員 向うからこういう協定を結びたいという希望でございますが、その内容を瞥見いたしますと、米国とわが国と協議いたしまして指定された場合にはというふうになっております。御承知のように、化学処理の問題は、貸与されましたウラン等のウエィストを把握するわけでございまして、その中にはウランの二三五の消耗したものあるいははプルトニウムその他のラジオ・アイソトープが分析されているわけでありますけれども、特にウラニウム、プルトニウム、ラジオ・アイソトープの中には非常に毒性の強いと申しますか、放射能の強いものが入っておりまして、その分析の設備がそういうものに耐え得るか、あるいは防護装置が十分できているものでないと非常に危険が伴いますので、それをそのまま許可するわけに参りません。そういうことで、もうこれならば十分その用に耐え得るという点を見ました上でこれを許可するというふうになるだろうと考えます。
#118
○松本(七)委員 認定するのはアメリカ側がやるのかというのです。
#119
○佐々木政府委員 アメリカから貸与されました濃縮ウランの灰に関しましてはアメリカが指定するということになっておりますので、国際基準に従いまして、これならばよろしいというところでアメリカとわが国との協議にかかるというふうに考えております。従いまして、その認定事項はわが国単独ではなく、貸与いたしました米国あるいは国連機構にも同じような規定があるのでございますが、実際的な認定を見ましてそういうふうな処分を行うというふうになろうかと思います。
#120
○松本(七)委員 そうすると、アメリカから貸与されたものに限るわけですね。
#121
○佐々木政府委員 かりに英国から貸与を受けたという場合にはどうなるかと申しますと、これもまだ厳密には研究しておりませんけれども、工場を作ること自体に対してはもちろん米国といえども異存がないわけでございますが、ただその工場が果して先ほど申しましたような障害防止等が十分であるか、あるいは分析の能力が十分であるか等それぞれ見た上でありませんと、向うでは安心できませんので、ただいまの協定では廃棄物は全部一括返すことになっております。ただし先ほど申しましたように、今後こちらの準備体制が整いまして、これであれば十分であるということになりますれば、米国とやるときには米国と、英国とやるときには英国と話し合い、国連機関から貸与される際には国連機関の指定を受けまして、そして処理することになろうかと思います。
#122
○松本(七)委員 使用後の灰からプルトニウムを抽出する技術というものは、日本の現在の技術で可能なところまできているのですか。
#123
○佐々木政府委員 これはまだほとんどフラスコで、名古屋の工業試験所等でわずか着手された程度でございまして、全然その技術の程度はわからないわけであります。
#124
○松本(七)委員 正力国務大臣にお伺いしたいのは、今政府当局から御答弁があったように、今のところは濃縮ウラン貸与によって進んでいくでしょうが、日本自身が濃縮ウランを製造する工場を設置する計画というものは、正力国務大臣としてはそういう御意図はまだお持ちでないでしょうか。
#125
○正力国務大臣 先ほど原子力局長から答弁いたしました通りに、濃縮ウランの工場は電力が非常に要るものであります。それであるからして、今のところはまだ考えておりません。かつまた今のところ増殖炉というものがあって増殖炉でやるという案もあります。また天然ウランを使えることもありますので、そう急いで今濃縮ウランを作ることは考えておりません。
#126
○松本(七)委員 理論物理学上ではすでにわが国の科学者でも解決済みのものと理解してよろしゅうございましょうか。
#127
○佐々木政府委員 理論上は十分わが国の技術陣としてもやれるものと考えております。
#128
○松本(七)委員 それから第三条ですが、この賃貸料をなぜ価額で表示していないのかということです。賃貸契約の中でどういう標準で使用されるのか、一グラム当りの単価が明記されなければ、ただばく然と年率四%ですか、これでは基準が不明確のように思いますが、予算の算定だとか、そういうことに困りはしないかと思いますが、どういうわけでしょうか。賃貸料の表現の仕方……。
#129
○河崎政府委員 濃縮ウランの価額並びに賃貸料が表で明記されていない点でございますが、これはアメリカの原子力委員会で濃縮ウランを外国に貸与する、その一応の価額はきまっておりますが、それは引き渡しのときにおける現行価額表によってやるという規定になっております関係上、この協定には明記し得なかったわけでございます。引き渡しのときに現在よりさらに安くなるという可能性もあるわけであります。しかしながら、この協定によりましてウランを受け入れ、使用料並びに消耗料の支出につきましては、予算をもって国会の承認を仰ぐことになっております。
#130
○松本(七)委員 そうすると、これに要する予算は何を基準に算出しているのですか。
#131
○河崎政府委員 これは今後この協定に上りまして四年間費用負担、支払いをいたすわけでございますが、それは会計年度ごとに所要の予算を要求いたしたいわけであります。
#132
○松本(七)委員 そうすると、アメリカの業者の加工料だとか分析費というものは、やはりそのつど変ってくるものでしょうか。
#133
○河崎政府委員 それは現在大体判明いたしておりまして、今後この協定実施期間、四年間のうち最初の三年間は、年間大体四十五万円程度の支出が予想されております。それから最後の第四年目、これは濃縮ウランを返還する年でありますが、そのときには輸送、梱包料その他加工料を加えまして約六百万円が現益の価格で予想されておるわけであります。しかし今後これらの価額並びに費用はどちらかといえば逓減される傾向にあるわけです。
#134
○松本(七)委員 三十一年度の予算は総額大体どのくらいになっておりますか。
#135
○佐々木政府委員 三十一年度に所要いたします経費を概算いたしますと、ラウンドでありますが三百三十万円になりますけれども、本年度予算に計上いたしますのは百五十万でありまして、その間いささかギャップが出ます。その残はどうしてまかなうかといいますと、大蔵省と話し合いまして、今年度の海外留学生の授業料が、初めの予定通りと申しますか、向うの方ではそれほど授業料は要らないという解釈も出て参りまして、必ずしも初めの予想いたしましたアルゴヌンの研究所の授業料ほど要らないという解釈も出て参りましたので、余裕が出て参りました。その結果、それを回しまして、三百三十万円の支払い料金を調達いたしたいというふうに考えております。
#136
○松本(七)委員 それから第三条に、濃縮度に対する価額は濃縮度の間の百線内挿法となっておりますが、直線内挿法というのはどういうのでしょうか。
#137
○佐々木政府委員 この直線内挿法と申しますのは、比例配分するという意味でありまして、一五%のものは幾ら、二〇%のものは幾らというふうに価額表にありましてその間の、たとえば一九・五%、一七・五%というものはどういう計算になるかという計算の根拠はございませんので、その計算の方法といたしまして直線内挿法というものを用いたわけでありますが、それはただいま申し上げましたように、比例配合でその価額を出すというふうに考えております。
#138
○松本(七)委員 その次は第四条の免責、これはこの前の御答弁でも、アメリカ政府の責任というものがなくなるのであって、アメリカの業者に対する責任、業者の責任は依然として残るのだ、こういうお話だったのですが、第一条の原子炉用物質を製造するため日本国政府が雇用する契約者、この契約者に対するクレームをつける場合のその責任は、協定自体で明確化してあるのでしょうか。
#139
○高橋説明員 その場合の責任その他はこの業者との契約によって定めて、契約に従うところによってクレームをつける、またはつけないということが決定されるわけであります。
#140
○松本(七)委員 そうするとそれぞれの契約においてそのつどそれをきめていくというのですか。
#141
○高橋説明員 そういうことでございます。
#142
○松本(七)委員 そうするとこの協定によって、そういう場合、先方が責任を負うということをあらかじめ明確にしておかないと、そのつどこの契約においてそれを規定するというときにあいまいなことになるおそれはないでしょうか。
#143
○高橋説明員 契約は一種の私契約だと思いますので、ここで書くよりもむしろ契約にまかせておいた方がいいのではないかと思います。
#144
○松本(七)委員 ここに図解もありますが、アメリカの加工業者というものは、われわれが普通考える民間の業者とは違って、ある程度公的な性格を持っているものじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。
#145
○松井説明員 御説明申し上げます。アメリカの原子力法では、核物資を取り扱う業者は、製造、輸送、加工その他すべて原子力委員会のライセンスを受けたライセンシーと称する者に限定されております。普通の人は全然取り扱うことができないことになっております。
#146
○松本(七)委員 そうすると、今の責任の所在というものをあらかじめはっきりしておかれないで、個々の契約でそれをやろうとした場合に、もうすでにアメリカの政府の手を離れたということを理由に、免責条項がこの契約のときまで及んでくるというような危険はないでしょうか。純然たる民間の業者との間ならばいいけれども、相手は政府の公的な性格を持った特殊の業者ですから、そこのところに今言うように免責の規定を援用されるという危険はないのでしょうか。
#147
○高橋説明員 アメリカの政府からの特許を得たという事実はございますけれども、やはりわれわれといたしましては、普通のコマーシャル・ベースと申しますか、それに基いて契約で十分やっていけるというふうに考えておる次第でございます。
#148
○松本(七)委員 次は第五条ですが、この第五条の規定というのはどうもアメリカの国内法を持ってきたような形になっているわけですが、米国の国会議員その他の者の行為を規制する事項を、なぜこういうところに入れなければならないか、こういう事項は国内法で規制さるべきものではないか、こういう疑いが当然出てくるのですが、ここに入れた理由はどういうところにあるのでしょうか。
#149
○高橋説明員 まことに御説の通りでございまして、これはアメリカ自身の関係であると考えている次第でございますけれども、アメリカ側としてこのような規定を、注意規定と申しますか、念のためにぜひとも必要とするということであったのでございますので、特に入れた次第でございます。米国の国内法によって、このような協定には必ずこういうのを入れるということであったものですから、われわれ自身としては不必要であると考えましたけれども、特に念のために入れた次第でございます。
#150
○松本(七)委員 そうすると、日本としては全然不必要だ、しかしアメリカがこういう協定にはそういう国内法を挿入する慣例になっておるから、向うのあれに従った、こう理解していいのですか。
#151
○高橋説明員 そうでございます。
#152
○松本(七)委員 その次は、賃貸された濃縮ウランが、日本の国の責任に上らない不可抗力の原因によって破壊されるとか、あるいは紛失されるという場合があり得ると思う。そういう場合の責任の所在はどうなっておりますか。それから、その場合の損害賠償。
#153
○高橋説明員 不可抗力の場合でございますが、第四条には原因のいかんを問わずとございますので、そのような場合も理論上はやはり日本側が責任を負うという規定になっております。
#154
○松本(七)委員 特に理論上はと言われるけれども、理論上そうなるということは、結局実際上も日本が責任を一切負わなければならぬということですね。
#155
○高橋説明員 特に理論上と申しますのは、原因のいかんを問わずでございますので、その文字上を追及しますと、天災地変もあるいは入るということになるのでございますが、この協定では第三者にそれによって損害を与えたような場合に米国の原子力委員会、米国政府は責任を免れさせるということが主体となると思いますので、そのようなことはほとんどあり得ないというふうに考えておる次第でございます。
#156
○松本(七)委員 どういう場合があり得ないのですか。
#157
○高橋説明員 天災地変というようなことで第三者に損害を与えたという場合に、アメリカ政府自身の責任ということは別に考えられないと思いますので、この責任を免れさせるということも別に置いても問題にならないのじゃないかと考えます。
#158
○松本(七)委員 そうすると、ここの規定は、結局不可抗力であっても一切日本の責任だということですね。
#159
○高橋説明員 引き渡しを受けた以後はそのように考えております。
#160
○松本(七)委員 それから東海村にできる原子力研究所には、ウランを貸与しておるという事実から、当然アメリカから監督官のようなものが派遣されて――これはアメリカの政府からかあるいは原子力委員会からかどこからかわかりませんけれども、そういうものが派遣されることになりますか。
#161
○佐々木政府委員 原子炉を建設する際に、アメリカで炉を作りました会社の技術員が参りまして、協力して原子炉を作るということはございますけれども、アメリカの政府等の監督官が向うに常駐いたしまして監督するというようなことはございません。
#162
○松本(七)委員 二十三国会で通過した日米間の協定によると、日本側から情報を提供することになっておるわけですね。そうするとこの日本側から提供する情報が正しいかどうかということをさらに確認したり、あるいは検査する目的で何らからの米国の機関が日本に常置されるというようなことはないでしょうか。たとえば武器貸与、アメリカが日本に武器を貸与したということのために、アメリカから軍事顧問団が常時派遣され、常置される。ちょうどこれと同じように、情報の提供ということを規定しておりますから、その日本が提供する情報が正確かどうかということを確認あるいは検査する目的をもって、何らかの機関が日本に常置されるということはまた考えられることなのですが、どうでしょう。
#163
○松井説明員 御説明申し上げます。日米原子力協定の第七条におきまして、日本が濃縮ウランを使って原子炉を運転する場合に、オブザーブするために向うの原子力委員会が来た場合には、日本はこれを見せてやらなければならぬという義務がございます。しかしながらそのオブザベーションの目的は、単に平和利用にやっておるかどうかということを確認するのが主たる目的でございますのみならず、そのために人を常駐させるとかあるいは軍事顧問団というようなものをよこすということは、向うは全然考えてないということを、昨年私が原子力委員会の担当部長に会ったときにも明言しておりました。そういうことは考えておりません。なお本協定の第二条と思いますが、お互いに原子力の平和利用に関する普通の公開される情報は交換するということになっております。この情報の提供の方法は向うは非常に簡単に考えております。学術雑誌に出された情報であってもよろしいし、それからタイプライターで打った情報そのものでもよろしいし、どういう形式で出すかということは非常に軽く考えております。従って第二条で出すところの情報というものは、濃縮ウランに関する情報が主たるものでございますが、それ以外のものもございます。ところが一方第七条で向うの係官が来て見るのは、濃縮ウランを使っているリアクターの運転状況を見るのでございます。従って結果におきまして、日本側から出した記録が正しいかどうかということを見るという結果になるかもしれませんですけれども、向うから来る係官の目的は、炉の運転状況を見る、技術的な状況を見ることが目的でございます。繰り返して申し上げますが、日本に常駐するということは全然考えていないということを言っております。
#164
○須磨委員長代理 田中織之進君。
#165
○田中(織)委員 穗積、松本委員からだんだん質問されておりますので、私の御質問申し上げたいと思う点はだいぶ少くなったのでありますが、なお二、三の点について伺いたいと思います。
 第二条に規定する引き渡しを受けるときのいろいろな細目についての往復書簡が出ましたが、一昨日私が御質問申し上げた点は大体了解いたしました。日本側から出しました書簡の二の点で、日本側が「賃借する濃縮ウランを含む原子炉用物質の中に生ずるプルトニウム又は副産物が少量であるので、それらの物質についてクレディット又は支払を認められないことが了解され、かつ、合意される。」、この点については向う側が了解してきているのでありますか。一昨日の連合審査会における参考人の意見開陳あるいは質問の過程を通じて、プルトニウムまたは副産物等については日本側が処理するのではなくて、そのまま向うへ返還されるように述べられておるのであります。これらのプルトニウムまたは副産物というものはごく少量しか出てこないのでありますが、クレジットまたは支払いは認められないという点についてあらためて了解を求めたという点について、何か特別意味があるのでしょうか。
#166
○松井説明員 これは交渉の過程におきまして、副産物としてでき得べきプルトニウムは、アメリカ国内において業者が同様の場合に原子力委員会から、ある公平な値段で買い上げられているという事実を指摘いたしまして、日本側においても同様の待遇を主張したいということを申し上げました。ところが向うにおきましては、この意見に賛成な人もあり反対の人もございました。結局結論といたしまして、今度の場合はきわめて少量であるし、この問題について日本にだけ特殊の例外を認めることになると、非常に交渉がおくれるのではないかということで、両国政府は、今度限りは、量も少いことであるし、一応日本側に対してはクレジットをやることにしよう。日本側も今度のことは急ぐ関係上やむを得ない。ただし将来に対する権利は留保しておきます。将来動力協定その他の協定によりまして副産物のプルトニウムが多くなった場合には、当然日本はアメリカにおいて内国民待遇として認められた程度の反対給付は要求する権利を留保しております。その意味がこの交換公文の二の後段において確認されておる次第であります。
#167
○田中(織)委員 その点はそれで了解いたしました。それでは松本委員から逐条的に申し上げた点で、まだ残されております第二条のD項における濃縮ウランの保全並びに濃縮ウランのあらゆる喪失及び破壊について並びに健康及び安全の危険に対する保護措置について、これは引き渡しを受けた後においては、日本政府が全責任を負うということになっておるのであります。
    〔須磨委員長代理退席、石坂委員長代理着席〕
この健康及び安全の危険に対する保護措置の問題は、との研究に従事する原子力研究所の諸君を初め関係者に非常に重要な意義を持ってくる問題だと思いますが、現在これらの健康及び安全の危険に対する保護措置については、どういうふうに処置される準備を進めておられるか、伺っておきたい。
#168
○佐々木政府委員 先ほども申し上げたのでありますが、原子力燃料等の管理法並びに放射線障害防止法をただいまのところ立案中でありまして、この法案は通常国会に出したいと思っております。それができれば明確な法的根拠をわが国として持つわけでありまして、従ってそれに基いた保護措置は十分講じられ得るわけですが、それ以前のただいまの段階ではどうかという御質問であります。その点に関しましては、ただいまのところではそういう根拠法規がございませんので、やむを得ず各省でそれぞれ持っている権限を利用いたしまして、政令、規則あるいは通達等を通じまして、ただいまの段階でもその障害をできるだけ少くするように行政措置でもって万全を期しております。従いましてもしこの障害防止法等が通りますれば、引き渡しを受けるわけでありますけれども、その以前に被害を受けた際においても、ただいまの作成している法の精神をくみまして、国際的には大体の基準がございますので、そういう国際基準にもとらぬようにその健康あるいは安全の保護措置を講じたいというように考えております。
#169
○田中(織)委員 この点は、研究の進む過程において研究に従事する人たちばかりではなく、影響するところが多いようにわれわれしろうとながら感じておりますので、そうした管理法あるいは障害に対する保護法の制定を急いでもらいたいという点を希望しておきたいと思います。
 それからその次のE項で、四年後にこれをアメリカ側に返却する場合の規定がございますが、そのまん中ごろに、合衆国委員会が原子炉用物質を再処理するために受領することを同意しない場合の規定がございます。この場合には「同委員会の仕様に合致する六弗化ウラン又は合意される他の形状にアメリカ合衆国において再処理するためめ日本国政府が雇用する契約者への指定港における同物質の輸入及び引渡に必要な措置を執るものとする。」という規定がございますが、あらかじめこういう再処理することを向うが拒否する、受領することに応じない場合が予定されているのは一体どういう事情でありますか。またこの場合の費用の負担というか、日本から原子炉用物質を契約者に積み出す費用については、アメリカ側が責任を負わないわけですから、日本側が責任を負うことになっていると思いますが、費用の点とも関連いたしますので、このEの規定が入れられた理由について御説明願いたいと思います。
#170
○松井説明員 御説明申し上げます。まず第一に、その再処理を原子力委員会がやるかやらないかということになっているけれどもどういうことかという御趣旨かと思います。アメリカの再処理の施設は、従来は歴史的にオークリッジとかアルゴンスとかいう特殊な工場でしかできなかったが、最近は民間の産業にそういう能力ができて、原子力委員会がこれを認定した場合はその能力がございます。アメリカの原子力委員会が再処理をするとかしないとかいうことは、そのときどきの工場の能力その他を見まして、余力があればやってもよろしいし委員会に余力がなければ民間にやらしてもよろしいということだと思います。
 それから化学再処理料の問題でございます。協定上問題になるのは、アメリカの原子力委員会が化学再処理をした場合は、それは日本政府が向うの原子力委員会に支払いいたします。これに反しまして民間の加工業者が再処理をした場合は、政府はその民間業者との再加工契約によりまして、業者に金を払います。
 御質問の点は、私のがしたかとも思いますが、大体その点かと思います。
#171
○田中(織)委員 それでは第四条の免責規定の点につきましてお伺いいたします。四条に、濃縮ウランの生産もしくは製造から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任について免責規定を設けておるわけでありますが、この協定の第四条までのどの条文にも、濃縮ウランの生産という文字が出てこないのです。生産もしくは製造ということになっておる、製造という文字が随所に出て参りますけれども、濃縮ウランの生産という点は、少くとも私が調べたところでは、それまでの条文には全然出てこないのでありますが、この濃縮ウランの生産から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任を、向うの免責規定を認めるということにこの生産という文字が入って参りました事情は、どういうことでしょうか。濃縮ウランの生産ということになりますと、その限りにおいて相当私は責任が広くなると思うのでありますけれども、いかがでございましょう。
#172
○松井説明員 部分的に御説明申し上げます。生産という文句は、田中先生のお考えとしてはどの協定をお考えになっておるか私よく知りませんが、昨年の十一月に、向うの原子力委員会がわが方に非公式に提示した案には、プロダクションという文句がございました。これは六弗化ウランに同位元素を分離するといういわゆる濃縮ウランを作る過程におきまして、その濃縮ウランの同位元素の分離が不十分であったために、あるいは不純物があったために、日本に引き渡した後においてその原因によって損害が発生した場合も含むというふうに考えられております。なお詳しい法律的な解釈は条約局からお答えいたします。
#173
○高橋説明員 御指摘の通り、ここに生産という字が初めて出てきておりますし、生産、製造、所有、賃借、占有、使用とあらゆる点があげられてあるのでございますが、実はこの意味しますところは、御承知の通り引き渡しを受けた以後は、日本側で一切の責任を負う、こういう意味合いだと思っております。従いまして生産と申しましても、どういう場合がございますか、非常な理論的な問題になるのではないかと思うのでございます。たとえばある事故が生じまして、それの原因を追及していきますと、生産過程にその原因があったという場合でありましても、われわれがこれを引き受けて、それを使用していました以上、その責任も日本側が負担するというふうな、何と申しますか、ほとんどそのようなことはないと思われるような場合も含めて、ここに書いて、規定している次第だと思っております。このようになりましたのも、いろいろ折衝の結果大体とのような条文にしぼることに成功いたした次第でございまして、米国側としましては、米国の原子力法の第五十三条e項にも、米国政府が締結するこの種協定には、こういうことを規定しなければならない、米国はほかの国とも必ずこういう協定を入れておりまして米国側としましてはいわば例文的な規定になっておる次第であります。わが方といたしましても、ウランを引き受けます場合に、分析その他非常に厳密な検査をいたしまして、その後使用いたしますわけでありますので、生産とか製造とかいうふうな過程に、その原因がさかのぼって発生するというようなことは、ほとんど考えられないのではないかというふうな次第もございまして、この程度で折り合った次第であります。
#174
○田中(織)委員 実はそれではまだ了解がつかないのでありますが、原文によりますと、プロダクションはプレパレーションということで二つに分けて考えておるのです。原子炉用物質を製造するという言葉が出てきておるのでありますが、この意味における日本語でいう生産という文字が出てきてない。そうすると、それは日本側に引き渡される以前の濃縮ウランの生産過程に起ったものについても日本側が責任を負う、こういうふうな解釈に通俗的にいえばなると私思うのですが、その点からもう一度御説明を願いたいと思います。
#175
○高橋説明員 ただいま御指摘の点でございますが、御承知のように、製造の方は濃縮ウランを原子炉用物質にするためのものでありまして、生産はそれ以前の過程かと思います。ただしその生産の過程において起った事故その他について一切の責任を負うというのではございませんので、日本がさようにして生産されたウランを引き渡しを受けた後に何らかの事故が発生した場合に、その事故の原因はおそらく日本側が所有し、賃借し、占有しかつ使用することから生ずるのが大部分でありますが、その場合でも生産という過程にさかのぼって何かそういう原因がもしあるとするならば、それについても米国側は責任を負わないのだということで、引き渡しを受ける前の生産に関する損害その他は、もちろん米国側の問題でございまして、日本側の関するところではございませんけれども、これを引き受けて日本側で使用している間に発生した問題は、すべて生産から使用に至るまで一切の責任を負う、こういう規定でございます。
#176
○田中(織)委員 その点がどうも……。これは使用から生ずる原因、少くとも「所有、賃借又は占有及び使用から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任」を何しているので、この条文だけの解釈から申しますと、引き渡しを受ける以前に行われた濃縮ウランの生産から生ずる原因のいかんを問わないすべての責任を免除するというような形にとれるのでありますが、答弁も速記録に残っておる点でございますから、重ねて追及はしないつもりですが、局長何か御答弁ありますか。
#177
○佐々木政府委員 私から技術的な御答弁を申し上げたいと思います。この生産というのは、私どもの解釈では、原鉱石から採鉱、製練をしまして、六弗化ウランという気体のものまでの製造工程を生産というふうに解釈いたしております。その六弗化ウランをAECから加工業者に譲渡するわけでございますが、その以後六弗化ウランから硫酸ウラニルという日本でもらう粉末のものでございますけれども、そのものまでの製造、工程を製造というふうに解釈いたしてございます。そこで生産の場合にはそれではどんな瑕疵が生ずるかという問題かと思いますけれども、この場合には六弗化ウランに不純物等が入っておりますと非常に工合が悪いのでございますので、そのために不測の災いを起してはいけないという問題がございます。これは生産の過程で検査をいたさなくても、その六弗化ウランをさらに製造の過程で硫酸ウラニウムにする際にこの問題が起きて参りまして、そうして実際の最後の検査の場合には、単に濃度がどうだという問題を検査するばかりでなしに、不純物がどういうふうに含まれるか、それが許容される限度であるかどうかというのが、検査の重要な目的になっておりますので、生産の瑕疵に関しましては、製造後に最終段階で検査をいたしますが、十分その不安は除けるというふうな解釈をとってございます。
#178
○田中(織)委員 それではその点はその程度にいたしまして、すべての責任の場合ですけれども、すべての責任ということになると、物質的な責任だけが一昨日来の松井課長等の答弁の過程で出てきておるのでありますけれども、すべての責任ということになれば、物質的以外の責任も包含されてくると思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。物質的、経済的な意味における責任だけを意味するのでしょうか。向うの国内法では、そういうもの以外に厳重ないわゆる刑事的な責任だとか、そういうものも含まれておるようでありますが、この場合のすべての責任の中には、そういう経済的責任以外のものを含むかどうか。
#179
○河崎政府委員 一応すべての責任と書いてございますが、実際問題におきましては金銭債務の問題だけしかちょっと考えられないのであります。
#180
○田中(織)委員 ちょっとその点も明確でありませんが、時間もありませんから、これ以上追及いたしません。
 この際正力国務大臣も見えられておりますので、先ほど来の穗積委員あるいは松本委員と特に佐々木原子力局長との質疑応答の過程で感じました点について、一言希望を述べておきたいと思います。それは正力さんは日本の電力事情等の関係から考えましても、やはり動力協定というものもできるだけ早く結んで、いわゆる電力事情の緩和のために、原子力発電というようなものに積極的に進んでいかなければならぬという点を申されておる。原則的にはわれわれそれに同感でございます。しかし先ほど佐々木局長が申されましたように、もしその場合に、原子炉をアメリカなり、イギリスから入れるということになりますれば、その原子炉に必要なウランは向う側で責任を持つといたしましても、国産の原子炉に使う分についてまで、向うがいわゆる原料の責任という点については今のところ明確でない、こういう答弁があるのでございます。そういうことから、勢い正力さんを初めとする日本の原子力委員会、また原子力に関係する燃料公社等もできまして、いわゆる天然ウランの日本の国内における生産確保、こういう方面へ非常な努力を進められておる段階でございますから、私はやはり当初の段階においては、外国から原料も責任を持った意味における原子炉の炉そのものの輸入ということについても考えなければならぬと思いますけれども、日本の自主的な原子力の平和利用という点から見れば、原子炉についても、国産をすみやかに完成するということでなければなりません。またその点から見て、濃縮ウランによるいわゆる原子力発電という方向へ進む以外に、天然ウランからそういう国産原子炉を使っての発電という方向へ向って進むことが、やはり日本の自主的な原子力の平和利用の発展の基本的な方向でなければならないと思うのです。その意味で正力さんも昨日来繰り返し、アメリカとの動力協定に当っても、秘密条項というものがなくなってきた、心配していた点がなくなってきているから、今までとは違った考え方で推進したいというような御希望のようでありますけれども、やはり学界におきましては、原子力の平和的利用についても、日本の自主性ある研究とそれの事業化というものを目ざしておるのであります。そういう点を十分かね合いの上で、日本の自主的な研究の完成、それによるところの平和利用の推進というような線とを十分勘案をして、今後動力協定を締結するというような場合においても、十分学界等の意向を尊重されるように、これは希望意見として申し述べて、私の質問を終ります。
#181
○石坂委員長代理 他に御質疑はありませんか。――御質疑がなければ、本件に関する質疑はこれにて終了いたしました。
 これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。須磨彌吉郎君。
#182
○須磨委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております細目協定について、賛成の意を表するものでございます。
 わが国将来の文化の発展と民生の向上をはかりまするためには、原子力平和利用を国家の総力をあげまして研究開発して行わなければなりませんことは、今さら申すまでもないことでございますが、そのためにはまず第一に研究の手段といたしまして、研究用原子炉の建設がすみやかに行わなければなりません。さきにわれわれが第二十三回臨時国会において、原子力の非軍事的利用に関しまする協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、すなわち、いわゆる日米原子力協定をば慎重審議の結果可決いたしました趣旨も、実にここにあったのでございます。これによりまして、わが国の技術の立ちおくれました点をば、少くとも数年ぐらいは取り戻すことが可能となりましたことは、まことに御同慶にたえないところでございます。
 今回上程されました特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定、すなわちいわゆる細目協定は、さきに述べました日米原子力協定を実施するための細目を取りきめたものでありまして、本年三月に日本原子力研究所が米国に発注いたしましたいわゆるウォーター・ボイラー型研究用原子炉に用いまする燃料の入手が、この細目協定によって確保されるわけであります。政府当局からだんだんの御説明がありましたのでありますが、それによりますると、このウォーター・ボイラー型の原子炉は来年三月末までに建設を完了いたしまして、四月から試運転に入り、六月末には本運転開始を予想されておるとのことでありますが、この炉の完成によりまして、現在設計中の国産原子炉の建設が大いに促進せられ、ひいてはわが国全体の原子力技術の向上に大いなる貢献をもたらすことは、まことに明瞭でございますから、一日もすみやかにこれを実現することが肝要と思われるのであります。なお今後、日米原子力協定の改訂でありますとか、あるいは国際原子力機構の確立などによりまして、二〇%濃縮ウランのみならず、材料試験用として、九〇%濃縮ウラン、研究用といたしましてプルトニウムあるいはウラン二三三、ウラン二三五などを入手いたしまして、これらを使用して基礎研究を大いに促進し、わが国十数年の立ちおくれをすみやかに取り戻しまして、来たるべき原子力平和利用についての国際協力に大いにわが国の発言権を増すことが強く望まれるのであります。われわれはここに世界の情勢に呼応いたしまして、原子力平和利用の研究開発をわが国の原子力基本法に従ってすみやかに促進するため、昨年結びました日米原子力協定を実施に移すためのこの細目協定につきまして、十分の検討を加えました結果今日の状態におきまして、これを承認し、わが国の研究用第一号原子炉のすみやかなる運転が行われることを強く希望するものであります。
 以上をもちまして私の賛成意見を開陳するものであります。
#183
○石坂委員長代理 穗積七郎君。
#184
○穗積委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この協定に賛成をいたします。しかしながら、今まで本委員会において、審議を通じてわれわれが心配をし、政府が方針を明らかにされまして了解に達しました点を、いわば条件として賛成をいたしたい。この際その趣旨を明らかにいたしたいと思います。
 まず第一は、われわれはかねてこのもとの協定が上程されましたときから申し上げました通りに、原子力に関する国際情勢は、ある一国の独占かつ秘密の状態から、国際的に公開され、かつ自由に取り扱われる段階に進みつつあるということを強く主張いたしておりました。ところが本協定を結びましてからたった一年間でございますが、その指摘いたしました情勢はまさに予想以上に――政府が予想されましたより早く情勢が参りまして、各国とも原子核物質の取扱い並びに研究につきましては、自由かつ公開の態度をとりつつあります。やがて来年度におきましては、国際連合を中心にして、原子力に関する国際機構ができようといたしております。そこでそういう情勢をながめつつ、このもとの協定を顧みますならば、いささか時代おくれになっておるというか、情勢にズレを生じておる協定になってきておると認めざるを得ない。政府の方でもそういうことを率直にいささかお気づきになっておられるようでございます。ところでわれわれが心配いたしましたことは、この協定の有効期間は五カ年間となっておりますので、今後さらに四カ年間の情勢の発展を予測いたしますならば、このもとの協定そのものが、ある物質についての処理の自由が認められていない。また研究についても完全なる自由が認められていない。さらにいろいろなアメリカに対する――貸与国に対します情報提供の義務等々も負っているのでございますが、そういうことはもうすでにいささか時代おくれになっているので、われわれはそういう点で縛りつけられておりますと、今後日本の基本法に示されましたような自主、自由、民主の原則がいささか侵害される、拘束される結果になりはしないかという点でございました。ところがただいままでの審議過程の質疑応答の中で、政府もその点を十分考慮して、もしそういう情勢が今後ますます進むならば、この協定に約束されているところの研究の不自由、またある物質の、取扱に対しての制限等を排除して、場合によるならばこれを貸与の協定から買い受けの協定にして、物質の永久的なる所有権を確保するとともに、物質の処理についての完全なる自由、研究の自由並びに自主の体制を取り戻すために、この協定の改訂を交渉して実現してもよろしい。しからずんば日米間において新たなる協定を結んで、この不当な制限があった場合には、本協定の制限を排除するように、本協定を自然消滅にせしめる新法も考えている。さらにもう一つの方法としては、国際機構の中の協定の中へ入ることによって、この協定を国際協定の中へ合流せしめるということも考慮し得るという点が明確になりました。そういたしますならば、われわれはそのことを信じかつ約束として期待をいたしまして、不十分ではありますけれども、この協定をいれることによって一日でも早く日本の研究に着手することがよろしいというふうに考えまして、政府の態度並びに方針を私どもは信じ、かつこれが公約だということを条件として、私どもはこの協定に賛成をいたしたいと思います。
 第二の条件といいますか、了解について明らかにしておきたいのは、今申しました通りに、国際的に原子力の問題が自由かつ平等になります場合においては――公開になります場合においては、今度の貸与協定を実施するに当りまして、アメリカとの関係が、条約上は別でございましょうけれども、政治的にはいろいろなひもがついたり、あるいはまた因縁ができたりいたしまして、やがて動力協定もアメリカとの間においてのみ結ばれなければならない、そういうことになりますならば、これまた――アメリカのわれわれ仄聞するところによる動力協定の草案なるものにおきましては、研究の自由、物質処理の自由が完全に解放されていない。それからまたやがて日本が国際原子力機構の中へ参加いたしましても、そういう二国間の協定ができておりますと、日本が国際舞台に立ちまして、アメリカとは違った意見を自主的に発表することが事実上拘束されること等も予測されます。従ってわれわれの考えとしては、この協定を結ぶととによって、それが糸口となって、やがて国際的に見て不利なる日米間の動力協定を結ぶようなことになることをおそれたのでございますが、そういうわれわれの懸念に対して、政府はそういう点は心配はない。というのは、日本としては動力源が少いので、原子力動力を取り入れることが必要であると思っているけれども、アメリカとのみこれを進めようとは考えていない。やがて一方においてはイギリス、あるいは国交が回復するならばソビエトとの間においても、これを調査検討をし、それから他の国の条件等もアメリカの条件と比較検討をし、さらに進んでは国際原子力機構の示されるところの条件等もあわせ検討した上で、日本にとってより有利な協定を日本としては結ぶつもりである。従ってそういうようなアメリカ以外のイギリス、ソビエトまたは国際機構の条件を検討した上でなければ、日米間において原子力協定は結ばないつもりである。その点は御要望に沿うて慎重に有利に検討するつもりであるという態度が明確になりました。その点もわれわれはいわば政府の公約として信じ、かつこれを本協定を承認いたしますための条件とすら考えて参りたいと思っております。
 第三点は、こういう特殊な物質であり、それに秘密の個所があり、処分の自由がまかされていないものを入れるわけでございますから、従ってこれを取り締るための特別な監督規則といいますか管理規則というふうなものが予想されておるわけですが、その場合におきましては、刑法その他の既存の法律以上に出て、日本国民の基本的人権、自由の権利を拘束しないような規則にするという点が、政府によって明確にされました。またそれ以上に特別な制限規定を設ける場合においては、言うまでもなくこれは法律として、国会の承認を経て、法律の形式においてのみ、そういう監督規定を実施するという態度も明確にされたのでございますから、その点もまた政府の公約として信じ、そういうことを今後の日本政府の方針とすることを条件といたしまして、われわれは本協定を承認することに賛成をいたしたいと思います。
#185
○石坂委員長代理 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○石坂委員長代理 御異議なしと認めます。よって本件は承認することに決しました。
 なお本件に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#187
○石坂委員長代理 御異議がなければ、さよう決定いたします。
 次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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