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1956/11/29 第25回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第025回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
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1956/11/29 第25回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第025回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号

#1
第025回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
昭和三十一年十一月二十九日(木曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 有田 喜一君
   理事 椎名悦三郎君 理事 長谷川四郎君
   理事 南  好雄君 理事 岡  良一君
   理事 志村 茂治君
      赤澤 正道君    須磨彌吉郎君
      橋本 龍伍君    岡本 隆一君
      田中 武夫君    堂森 芳夫君
      石野 久男君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       齋藤 憲三君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   佐々木義武君
        外務政務次官  森下 國雄君
 委員外の出席者
        科学技術庁次長 篠原  登君
        外務事務官
        (国際協力局第
        三課長)    松井佐七郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申し入れに関する件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興対策に関する件(日米間の濃縮ウ
 ラン賃貸借協定に関する問題)
    ―――――――――――――
#2
○有田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について、調査を進めます。
 本日は、科学技術振興対策の立場より、いわゆる日米間の濃縮ウラン賃貸借協定について調査を行いたいと思いますが、質疑に先だちまして、この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。すなわち、ただいま外務委員会で審査中の特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定の締結について承認を求めるの件について、外務委員会と連合審査会を開会いたしたいと思います炉・その旨申し入れるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○有田委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会は、来たる十二月一日土曜日午前十時より開会いたしたいと思います。さよう御了承願います。
    ―――――――――――――
#4
○有田委員長 次に、参考人決定についてお諮りいたします。これは、今の外務委員会の連合審査とは別の問題でありますが、すなわち、生産性向上の問題について、労働界より参考人として意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。なお、参考人出頭の日時及びその人選については、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○田中(武)委員 ただいまの件について、委員長に一任することには異議はございませんが、この際、ちょっと希望を述べておきたいと思います。御承知のように、労働組合の組織には総評と全労連がありますが、そのほかになお、中立系組合と呼ばれている組合がたくさんあるということを見ていただきまして、この中立系の組合代表も、参考人として意見を聞くようにしていただきたい、このように思います。
#7
○有田委員長 それでは、ただいまの田中君の御意見もよく了知いたしました上で、委員長は適当に取り計らいたいと思います。
#8
○有田委員長 それでは、質疑者の通告順に従って、先ほどの濃縮ウラン協定について質疑を許したいと思います。岡良一君。
#9
○岡委員 ただいま議題となっております特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定、これについて、政府の最初の濃縮ウラン協定より今日の細目協定に至るまでの経過並びに細目協定の内容について、御説明をいただきたいと存ずるわけであります。
 特に私はこの際申し上げたいのでありますが、本協定の第一条にも「日本国茨城県那珂郡東海村日本原子力研究所に設置される」云々と書いてありますが、わが科学技術振興のための特別委員会は、特に今後における日本の原子力の研究開発平和利用を中心として設けられたものであることは、申し上げるまでもありません。従って、第一号炉として、世界の第三の火と言われる実験原子炉が設けられるにつきましても、わが委員会といたしましては、その敷地の選定また設くべき炉の型等については、十二分な審議を尽されたことはもとよりでありますので、かくのごとき協定、条約等のごときものも、当然わが特別委員会が主体となって審議すべきものとも考えておるのであります。今後動力問題等が起ります場合、すべては外国との条約あるいは協定において、わが国の原子力発電等も進められなければなりませんので、私どもは、そういう意味からも、ぜひともわれわれの特別委員会こそがその中心的な任務に当るべきものと思考いたしております。それはともあれ、本日外務当局より国会に提案をされておりますところの本協定の内容並びに前協定からこの協定に至る経過等につきまして、十二分にわれわれの参考となり得る資料の御説明を願いたいと存じます。
#10
○森下政府委員 御説明申し上げます。
 特殊核物質の賃貸借に関する日本国政府とアメリカ合衆国を代表して行動する合衆国原子力委員会との間の協定につきまして、その内容を御説明いたします。
 昨年十一月十四日に署名されました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定は、国会の御承認を得て、同年十二月二十七日に効力を発生しましたが、一方国内におきましては、研究用原子炉の設置のため、諸措置も着々と整備されて参りましたことは、すでに御承知の通りであります。政府は、同協定の発効以来、茨城県東海村原子力研究所に設置される湯沸かし型研究用原子炉に使用するための濃縮ウランの賃借に関し、かねてワシントンにおいて米国政府との間に交渉を行なって参りましたところ、本月中旬七の協定案文について妥結に到達いたしましたので、十一月二十三日在米谷大使と米国政府を代表する合衆国原子力委員会代表ヴァンス委員長代理との間で署名を行うの運びに至った次第であります。
 この協定によれば、わが国は二キログラムの同位元素を含有し、一九・九%ないし二〇%の濃縮度を持つ約十キログラムのウランを米国原子力委員会より賃借することになりますが、米国原子力委員会から提供される濃縮ウランは、そのままでは直ちに原子炉の操作に使用できませんので、米国の加工業者に委託して加工し、原子炉用物質とした後、その引き渡しを受けることとなっております。なおこの協定は、昨年の協力のための協定が終了するときに終了することとなっており、賃借したウランは、昭和三十五年九月末または協力協定の終了時たる同年末までに返還することとなっております。
 賃借に関する経費としましては、濃縮ウランの使用料、消耗料、濃縮度低下補償料等を原子力委員会に支払うこととなっておりますが、その他にわが国が負担する経費としては、濃縮ウランの加工業者に支払う加工料、輸送料、梱包料または分析検査の費用等があり、これら所要経費の総額は、昭和三十五年まで賃借したと仮定して、約三万ドルに上る見込みであります。
 その他、この協定は、濃縮ウランの引き渡し及び返還の手続、引き渡し後においてわが国が引き受けるべき責任等について定めております。
 本協定は、その交渉の最終段階において、十一月十七日米国政府がウランの価格引き下げを発表いたしましたので、協定の一部規定に必要な調整を加えなければならなかったため、二十三日に至り、ようやく署名を見るに至った次第でありますが、前述の東海村の第一号炉の操作は、来年四月に始まる予定になっており、その成否は、将来の原子力開発計価の進展に大きな影響を持つものでありますので、その予定に間に合うよう本協定を発効せしめるため、特に今次臨時国会に提出して、本協定の締結について御承認を求めることとなった次第であります。
#11
○岡委員 ただいま御説明を承わりましたので、ごく簡単に、これは私も勉強が足らないので、この際お教えを願いたいと思いますが、この平和利用のための本協定あるいは細目協定等の根拠法規となる一九五四年の米国原子力法というものは、どういう条文でございましょうか。
#12
○森下政府委員 担当官をもって説明いたさせます。
#13
○松井説明員 御説明申し上げます。昨年締結されました日米原子力協定の、アメリカの原子力法における根拠規定は何かという御質問でございますが、アメリカの原子力法の百二十三条に、アメリカ政府が原子力の平和利用に対しまして、技術援助をし、もしくは濃縮ウランを貸与する場合の条件としまして、その根拠規定がございます。今度の細目協定は、その百二十三条の規定に基いて締結されました日米原子力協定の第三条のD項に薄くものでございます。第三条のD項には、濃縮ウランの賃貸に関する輸送その他細目の条件は別に定めるところによるという規定がございます。今、政務次官が御説明なさいましたところの、濃縮ウランの賃貸協定の根拠規定は、日米原子力協定の第三条のD項でございます。
#14
○岡委員 なお、アメリカ大統領の本年に入ってからの声明等によりますと、このような双務協定のもとに原子炉を建設する場合には、建設に要する費用の半額を補助することができることに相なっておるのでありますが、日本の場合は、この点の取扱いはいかがなような経過になっておるのでありましょうか。
#15
○松井説明員 御説明申し上げます。昨年アメリカのアイゼンハワー大統領が、研究用の原子炉の海外に対する輸出その他に対しまして、原子炉の値段の半額を援助する。これがために五百万ドルの予算を国会に要請し、この予算が通っております。日本の場合は、当然その大統領の声明援助が適用されるわけでございまして、現に汐川は第二号炉として予定されるCP5の原子炉の値段の半額、三十五万ドルの援助の要請に必要な手続をとっております。半額と申し上げますのは、原子炉の炉自体のみならず、附帯設備を含むものでございます。
#16
○岡委員 今度、来年の四月から運転される東海村の第一号原子炉についても、やはりそれは予算上見積られておるのですか。
#17
○松井説明員 援助は、各国当り一基となっております。日本は、原子力委員会の方におきまして、援助を受ける対象を第二号炉にきめました。各国当り一台について援助する・そういう声明でございます。
#18
○岡委員 それから、使用済みの原子燃料はアメリカの方で回収する、こういうことになっておりますか。
#19
○松井説明員 百米原子力協定の第三条のC項に、被照射燃料の返還に関する規定がございます。その内容はこういうことでございます。照射された燃料要素は、その形と内容を変えることなく、日本政府の経費の負担において、米国政府の指定する、所に返還されることになっております。これは、政府といたしましても、将来日本の原子力の平和利用を推進するためには、燃料要素の再加工というものは、日本に自主性が許さるべきではないかという見解から、米国政府と交渉いたしまして、将来日本において燃料加工に関する十分なる施設ができれば、しかもその燃料加工、再加工工場の施設の条件が、米国原子力委員会がこれを妥当と認めれば、将来日本においても燃料要素の化学再処理というものは許される見通上でございます。
#20
○岡委員 しかし、それは本協定には入っておらないのでございますか。
#21
○松井説明員 将来いずれ本協定を改訂することが考えられております。それは濃縮ウランの購入に関すること、それからプルトニウムその他ウランの二三三、特殊核分裂物質を購入するということを考えております。その際に、燃料要素に関する協定があるいは取り上げられるのではないかと思っております。このポリシーは、原子力委員会が御決定になると思います。
#22
○岡委員 そこに問題がいろいろあるわけなんです。現に原子力委員会の基本計画を見ましても、将来の日本の発電は増殖炉でやるということになれば、やはりプルトニウムを中心としたサイクルを考えなければならぬ。プルトニウムが全部相手国において回収されるというようなことは――もちろん日本でも国産原子炉を持って、プルトニウムを生産することはできるでありましょうが、しかし最初が大切であります。あるいはまた英国との協定で、動力炉を輸入しても、やはりプルトニウム、ウラン二三三等は、英国内で回収するということになってくる。ただ問題は、ご説明によれば、今後さらに原料である濃縮ウランを日本が貸与を受け、あるいは買い入れる等のときに、貸与を受けるときにはさらにその被照射燃料の処置については、日本の原子力委員会が決定をする、また何らかの交渉の余地があるということではありますが、しかし、御存じのように、被照射燃料であるブルトニウム等は、相手国においてもとにかく絶対的な需要を私は現在持っておると思います。同時にまた、いかなる国の原子力法といえども、やはりもう非軍事的利用に限定しておりますが、プルトニウムというのは、最近における小型な原子力兵器の主要原料になっておる。でありますれば、これを双務協定のもとに結ばれても、そうした日本なりあるいはその他の国々の自主的な使用にまかせることは、ほとんど困難ではないか、私は現在の段階においては困難だと思う。従って、そういう見通しは持てないと思うのですが、いかがでしょう。
#23
○松井説明員 御説明申し上げます。被照射燃料から副産物として出ますプルトニウムの問題につきましては、まず第一に法律的にその所有権を日本側が主張できるかどうか。それから、もしも所有権が主張できない場合には、それに対して、日本の原子炉の運転においてできた副産物、あるから、日本側がこれに何ら権利を主張できないものであれば、経済上の対価は主張できないものであるかという問題の二点に要約できると思います。しかも、まず現在の原子力協定の基礎に立ってこの問題を考えてみますすと、その協定の第三条のC項では、被照射燃料は形と量に手をつけないで、そのまま返す。従って、研究用の原子炉の運転に関する濃縮ウランの化学再処理に関しましては、日本側は、その協定に関する限りは、一応全部アメリカに返す。従って、その中にでき得ると思わるべきプルトニウムの問題についても、一応日本は所有権なりそれに対する対価を主張していないということが、一応論理的に考えられると思います。もとより研究の原子炉で、できるプルトニウムの量は、きわめて少量でございます。専門家の計算によりましても、トン当りわずか一グラムくらいのものでございます。しかも、この再処理に要する経費は、先般アメリカの大統領が、濃縮ウラン、プルトニウムの買上価格を発表しておりますが、これは一グラムにつき十二ドルだったと思います。ところが、この回収に要する経費ば膨大なものでございまして、その数十倍を要するわけでございます。従って、損益計算から見ますと、経済的に価値がないものと一応言ってもよろしいと思います。なお、これはアメリカの原子力法の規定から見ましても、アメリカの原子力法の五十二条には、副産物たるところの特殊核物質の所有権ば、一切米国政府に帰属する。ところが五十三条におきまして、その特殊核物質の生産に関し、インタレストを有する場合については、フェア・コンペンセーションをやろうという規定があります。その規定を利用いたしまして、将来日本がプルトニウムの生産量が多くはるような動力協定のようなものを結んだときには、当然日本側としては、その副産物のプルトニウムの生産に寄与したのだから、それに対して相当の反対給付、すなわちフェア・プライスの要求を、権利上留保しておる次第でございます。
#24
○岡委員 問題は、法律的な問題としての形式論議のワクを越えた問題だと思うのです。お説の通り、今度東海村にできる第一号炉では、プルトニウムがほとんど取るに足らぬ量しかできないということを私はよく知っております。しかし、ただ問題は、日本の原子力基本法ば、御存じのように平和利用ということに限定をし、これを題目に掲げておるわけであります。従って、将来、すでに原子力委員会の基本計画が内定はされておりますけれども、ここ三年、五年、七年の間には、どんどん何基かの実験動力炉も輸入する、あるいはまた民間にそれを授権をして、電力会社等における動力炉を認めるという計画もあります。そうなりますと、将来このプルトニウムの問題は、非常に重大な問題になってくると思うのです。そこでこの際、ものは最初がやはり大事なものでありますから、このプルトニウムについて、アメリカ原子力法にあるように、インタレストを持っておれば、そのときに何とかしてくれるのではないかというばく然たる期待を前提として取り扱えということでは、いささかやはり不用意ではないかということを、私は老婆心として考えるのであります。そういう点、原子力局長もお見えですから、専門的の立場から一つお答え願いたいと思います。
#25
○佐々木政府委員 ただいまのプルトニウムの将来の処置の問題でございますが、当面、濃縮ウランを六キロに限りまして結びました協定の範囲内におきましては、先ほど外務省側から御説明がありましたように、数量が非常ににわずかでございまして、これの保存その他をどうという問題は、あまり問題にならないと思います。岡先生の御指摘の点は、むしろ将来ブリーダーを考えた場合には、これが中心問題になるので、それに対してはどういう考えを持っているか、こういう御質問かと拝聴いたしたのであります。これに関しましては、このいわゆる研究協定と申しますか、この範囲の事態じゃなくて、この次の動力炉の問題になりますと、当然その問題が大きく出てくるわけでございまして、その際わが国としては、そのプルトニウムに対して、この研究協定同様の処置でいいのかどうかという点が、問題の焦点になると思います。その点に関しましては、まだ実は米国あるいは英国等の動力協定を研究しておりませんで、研究の途上でございますから、はっきりしたことは申し上げかねますが、しかし、私どもの解釈では、日本でも当然この化学処理というものを現在からも進め、また将来ともみずからの手で処理するようになるのが一番の念願でございますので、その際わが国で、自分の原料で全部生産できる際には、これはもちろん問題はありません。貸与した天然ウランあるいは濃縮ウラン等から生じますプルトニウムに関しての処置でございますけれども、この点はただいまのところでは、国連憲章によりましても、あるいは動力協定の内容等まだ公表の段階に達しておりませんので、ブランクの状態でございますが、これに関しましては、やはり一応返還するか、あるいは指定する工場で処理をするというふうな状態になっておるようでございます。ただし、英国等では、場合によっては、化学処理工場を作るそのものに援助を与えようというふうな申し出等もございまして、将来はおそらく、わが国でそういう処理工場ができますれば、自分でそれを処理いたしまして、その結果生れて参りますプルトニウム等の処置に関しましては、使用を平和用途に限ってということでありますれば、その使用の目的の認可と申しますか、国連等におきましては許可が必要なわけでございますけれども、そのもとで、みずからこれを使用するというふうな手順に相なるのではなかろうかというふうに考えます。要は、わが国で処理工場をみずから作るか作らぬかという点が非常に大きい問題になるのではないかというふうに考えております。
#26
○岡委員 原子力局長として、あるいは国の原子力計画として、万事国産でまかなうことが私どもの理想であり、その方向にぜひ行きたいと思うの、ですが、しかし、とりあえずエネルギー需給の関係から見ても、昭和四十年にば百万キロワット、昭和五十年には三百五十万キロワットのエネルギーが足りない。これはやはり原子力委員会としても、当然原子力発電によってまかないたいというお考えでしょうが、そうなりますと、今それをまかない得るに足る原子力発電というものが、直ちにわが方の手で原料から施設から技術者からすべてのものが充足するかといえば、今の段階では、まだその十分なる確信というものは持てない。特に基本計画によれば、もう昭和三十六、七年あたりには、動力炉の建設計画が述べられている。動力炉の建設計画が述べられておる以上は、動力炉は今言うてすぐできるものではない。発注は三年なり四年前にやらなければならぬ。来年度か再来年にはやらなければならぬ。そうすると、当然来年度なり再来年には動力協定を結ばなければならぬ。ところが、アメリカが結んでおる動力協定は、かってはカナダとベルギーと英国だったのが、最近八カ国ばかりにふえた。ところが、その中でば、全部その被照射燃料というものは、アメリカ国内において回収するということになっておる。この間、原子力産業委員会の調査団が英国に行かれたが、きのうか一昨日の産経新聞を見ると、やはりプルトニワムは回収する、一方アメリカにおいても、英国においても、プルトニウムはさっき申し上げたような原子兵器の重要資料だ、現に先般発電を開始したコールダーホールについてば、英国原子力公社は、コールダーホールを建設した目的は、一つは軍事的利用のためのプルトニウムを生産することであるとはっきり言っておる。そうすれば、このプルトニウムの処理というものは、非常に重要なる問題になるであろうとして、われわれは関心を持つのです。その点何もかも日本でやれればそれにこしたことははい。しかし、わが国が、あの基本計画のように、ここ三年、四年、五年の間に実験動力炉を有するということになれば、当然動力協定は来年に結ばなければならない。そういうことになってくると、やはりこの問題についての政府の確信がなければならない。アメリカの政府の方では、インタレストがあればこれはいいだろうというような単なる期待だけでこの問題を簡単に片づけておくわけにはいかないのじぁないかと私どもは思う。そこにはもちろんいろいろな条件もありますけれども、そういう点について、もっと国民が納得し有るような御決着なり御構想なりというものが、やはりあり得なければならないのじゃないかと私は思うのです。これを私は別に否定するのではありませんよ。こういうものをするなというのではない。これを容認するのですが、やはり腹がまえとして、もっと確信のある、納得のいく御決心が私は承わりたいと思うのです。
#27
○佐々木政府委員 私からお答え申し上げます。プルトニウムは、御承知のように、照射された物質そのものをさらに化学処理いたしまして、その結果出てくるものでございます。そこで、被照射物質の中には、必ずしもプルトニウムのみならず、ウラニウム二三五等が含まれておりますので、これの回収あるいはプルトニウムの分離あるいはその他のラジオ・アイソトープ等の分離をするのが化学処理の任務でございますが、その際なぜこのプルトニウムを抽出しなければいかぬのかという問題でございますけれども、今御指摘になりましたように、英米等では、一つの目的が、軍事目的であることはまぎれもない事実でございます。ただし、もう半面は、プルトニウムを利用いたしまして、そうしてブリーダー型式の炉を作りたいというのが将来の大きな目的の一つでございます。ところがその分離いたしましたプルトニウムを平和的に利用する場合に、ただいますぐ各国におきまして利用できる段階かと申しますと、これはなかなか問題の多いことでございまして、プルトニウムというのは、岡先生も御承知のように、非常に特殊な金属でございまして、熱が高くなりますと亀裂を生ずるとか、あるいはラジオ・アイソトープからくる障害が非常に大きいとかいうような特殊な性格を持つわけでありまして、ただいまの段階では、抽出いたしましたプルトニウムをそのまま平和的な原子炉に利用できるかと申しますと、なかなか問題の多い点のように見受けられます。そこで、各国では、そのプルトニウムを、ただいまの段階では、もっぱら研究用として使っておるようでございます。平和的な面に限って申し上げますと、そういう状況のようでございます。
 そこで、わが国といたしましてどういう段階かと申しますと、そのできたプルトニウムは、少量なりともわが国でも、そういう金属的な性格あるいはそれを燃料に使う場合にはどういうふうな問題が発生して、それに対してどういう対策を講ずべきかという研究が最も重要な段階にありますので、これに関しましては、再三アメリカ側にも申し入れをいたしまして、そうしてもしウオーター・ボイラーにいたしましてもCP5型にいたしましても、そういうプルトニウムを少量とも発生した場合には、研究用として使わしてもらえないかということをしばしば申し入れたのであります。向うでも、そういう研究用にするのであれば、よろしかろうというので、この次の本文の改訂の際にはその条項も入れまして、そうして研究用のプルトニウムがわが国の方でも十分手に入るような措置を講じたいと思っております。
 第二段の、将来プルトニウムを増殖炉に使えるかどうかという問題につきましては、私どもの内定いたしました基本計画そのものにおきましても、七年先あるいは十年先という状況でありまして、各国とも大体そのものをブリーダーに使って、コマーシャルなべースにおける発電ということになりますと、まだまだ遠い将来のようにも考えられますので、その基盤を、先ほど申しましたように、わが方といたしましては、できるだけ研究も積み、あるいは化学処理工場も作りまして、そういうふうなそれ以前に出る放射体物質はわが国で処理できるようにいたしまして、その結果はこういうふうな利用をしたいんだ、増殖研究炉あるいは増殖型の発電炉に使いたいんだ、こういうふうな使途が明瞭になりますれば、その際にはわが国でもそれは使えるのじゃなかろうかというふうな考えを持っております。先ほど申しましたように、一つの点は、本文を改訂する際に、少量なりとも研究用のプルトニウムを手に入れるような方策を講ずる、将来の問題といたしましては、できるだけわが国で工場を作るか、あるいは国連等で指定する化学処理工場のメンバーに入りまして、その一部を借りるなり買うなりするというような方策を講ずべきではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。
#28
○岡委員 この問題は押し問答になりますから私はこの程度でやめたいのですが、もう一点重ねて強く要望いたしたいのです。日本の方では、平和利用の旗のもとに原子力発電をやる、その結果出てくる最終産物が原子兵器の利用原料ということで、これがそっくりそのままこの協定のような形で持っていかれたのでは、日本は平和利用をやっておるが、世界的には原子兵器の生産に協力しておるということになって、平和利用の旗というものは、もろくも裏切られたことになる。もう一つは、今、局長も言われましたが、基本計画を拝見いたしましても、やはり日本で核分裂燃料なるものを国内的に自給することは、きわめて困難ではないかと私どもは思うのです。そうなってくれば、やはり拡大的な利用の道をはかるという点において、基本計画の増殖炉対策は非常に重要な問題だと思う。そこで、増殖炉をやっていこうとするならば、今、増殖のサンプルといえば、私寡聞にして知りませんが、おそらく今、英国のドーソレーでやっておる実験が一番大きな資料ではないかと思う。あの炉からは、御承知の通り、プルトニウムあるいは濃縮ウランでしょう。それをトリウムその他のブランケットでまく。だからプルトニウムがわれわれの手に入らないと、増殖炉の研究はできない。しかも、プルトニウムの分離あるいはその核燃料棒の加工等は非常に重要な技術であり・今世界中がこのことは極秘の中の極秘にしておる問題なんです。そういう事情を考えますとき、わが国が原子力発電によるエネルギーの自給をはかろうという場合、やはり一グラムのプルトニウムも、これが日本のまじめな学者による日本の平和利用のための研究資材であるなら、非常に尊いと思う。いわんや動力炉が入ってくるためには、どうしても四年、五年かかるといっておるのですから、動力協定は早く結ばなければならない。そうすれば、この場合、当然動力協定が必要になってきやしないか。来年か再来年かもしれないが、やはりこういう動力協定を結ぶときには、プルトニウムを日本がいろいろな事情によって加工しなければならぬという決意のもとに、日本はいつでも加工するという態度で一方的に主張しても、相手方が認めないかもしれない。そういう問題は、国際原子力機構が大乗的な形で解決してくれることを期待しなければなりません。日本もまた機構の中で努力しなければならぬが、そういう努力の方向を、政府として、はっきり決意としてわれわれに表明をしていただきたいと思う。これはいずれ連合審査等がありましたら、正力さんや重光さんからとくと聞きたいと思うが、以上事務当局の皆さんにもこの辺のところを十分御努力願うことを私は希望いたしまして、質問を終りたいと思うのです。
#29
○有田委員長 他に御質疑はありませんか。
#30
○志村委員 ただいまプルトニウムのことについていろいろ話がありましたが、プルトニウム以前の問題として、フィッション・プロダクトしたものを何とか日本で化学処理する方法は考えられないものかということです。米英方面へ参った方のお話によりますと、日本に貸与した濃縮ウラン、それが消費される後の処理については、日本でもし技術を持ち、施設ができる場合には、これを許すというようなことを言っておるということを聞いておるのであります。これを素粒子論グループなどの物理学者に聞きますと、サンプルをくれなければ、自分たちで化学処理技術を修得することはできないんだ、こういうことを言っております。しかし、日本でプルトニウムを作るにいたしましても、灰の処理それ自体をするにいたしましても、それ以前において、すぐ今からでもその技術を習得し、研究しなければならない段階に来ていると思います。そのフィッション・プロダクトが全然手に入らぬということになれば、その部面はわれわれは手をあけて待っていなければならない、こういう状態になると思うのですが、アメリカの原子力法に書いてある以上は、無理な話かもしれません。しかし、それについて何らかの手を打っていただきたいと思います。その点についてのお考えを伺いたい。
#31
○佐々木政府委員 その点に関しましては、ただいま御指摘がございました通りでございまして、わが方といたしましても、漫然手をこまねいておったのでは、大へんな問題になりますので、研究所で、初期の段階におきましては、自分のところからいわゆるウェーストがずいぶん出てくるわけでございます。から、これを処理いたしまして、その中からわずか出てくるプルトニウム等を研究用にしたいという方針は、これは従来からむ曲げてございません。そこでそういう少量のプルトニウム等は、米国としてはわが国に処分権と申しますか、研究用としての処理権をまかしてもらえるかという点でございまして、この点は先ほども申し上げましたように、米国の方ではそういう研究用のものでありますればよろしかろうというふうになっておりますけれども、御承知のように、協定の本文が全部ノー・タッチで、返すというふうになっておりまして、別に例外規定はございません。そこでそれを全うするためには、できるだけすみやかに本文を改訂いたしまして、炉の動くのは来年の六月下旬でございますから、ウェーストが実際に生じてくるのはずっとそれ以後でございます。従いまして、それまでには十分間に合うように、通常国会でできますればこの本文を改定いたしまして、仰せのごとき処置ができるような手順でいきたいと考えております。
#32
○志村委員 できるだけそのような手続を進めていただきたいと思っておりますし、ただいまのお考えに私は一応賛成いたしておきます。
 それから次に、これは私はっきり調べたわけではありませんが、アメリカの濃縮ウランは、これは貸与でなくて、売り渡してもよろしいんだという話を一時聞いたのであります。その話が今度の協定ではやはり賃借ということになっておりますが、どういう経過になっておるか、この点をはっきりお聞きします。
#33
○松井説明員 御説明申し上げます。アメリカの原子力法の規定によりますと、五十四条だったと思いますが、ディストリビュートという文句を使ってております。これに基きましてアメリカは、今まで濃縮ウランの貸与、リースの方式を考えておりましたが、最近になりまして、売却、セールということも考えております。従って、売却が可能になりましたのみならず、価格も発表しております。しからば、日本側でなぜ濃縮ウランを買わないのかという御質問が当然おありだろうと思いまが、それは政府としても考えております。ただ、協定はすべてリースという方式になっておりますので、そのために協定自体を変えなければならぬ。協定自体を変えるということは、それぞれの国の立法上の手続に従って相当なひまがかかる。そういうふうに原子力の平知利用の濃縮ウランを受け取ることを国会の手続上おくらした方がいいか、あるいは現在の貸与方式を一応そのまま進めておいておいて、そうして将来のこととして、プルトニウムの購入とかあるいは濃縮ウラン等の購入ということを考えるときに、あわせて協定を変えたらいいじゃないかという議論も成り立ちます。政府、原子力委員会の方におかれましては、いま後者の方におられるわけであります。いずれ濃縮ウランの貸与ということは外交交渉になると思いますが、アメリカ政府に対しましても、将来濃縮ウランを買うことになった場合に、一号炉の燃料についても、売却の方式に切りかえたいということを申し込んでおります。
#34
○志村委員 それでは、次に将来の希望として、われわれが濃縮ウランを買い受けるということになった場合に、そのウェーストの処理権が一応こっちに移った以上は、ウェーストも当然われわれの自由処理ができるはずだと考えておりますが、その場合はどういうふうになりますか、それをお伺いしたい。
#35
○松井説明員 その点につきましては、日本側はいまだ具体的にアメリカ政府と交渉しておりませんから、はっきりしたことはわかりません。ただ、ほかの国の協定の例を考えてみますと、その場合にでき上った問題は、やはりプルトニウムが一番問題になると考えます。ほかの国の側といたしましては、たとえばアメリカとオランダの協定だと思いますが、この点はあとで確認して申し上げますが、一定の平和量に関しましては、その国に置かせてもよろしい、超過量はアメリカがファースト・オプションで買い取るという規定になっております。それからプルトニウムの問題は、研究用のリアクターの問題につきましては、量が少いから、主としてアカデミックな問題であります。動力燃料は、これは研究に値する問題だと思います。国際原子力機構の方におきましては、大体プルトニウムはその国のリアクターの数によって計算され、平和所要量のリクァイアメントを満たす範囲内においては、その国に置いてもよろしい、超過面だけ国際原子力機構が買い取るという規定になっております。これは非常に参考になると思います。
#36
○田中(武)委員 私は協定書の内容について一、二伺いたいと思います。この協定書は、特殊な商品の賃貸借契約ともいうべきものだと思います。そうするならば、その協定の立場に立って双方が義務と権利を持つ、こういった平等の契約が結ばるべきじゃないか、こう思うのです。なるほどこれは貸すのと借りるのとだから契約がありますが、その内容を見ますと、いわゆる双務協定としての平等が行われていないのじゃないかと思われるような節が多いのです。たとえば、第一条を見ました場合に、これはそうであったか知りませんが、「日本国政府の要請に基き」云々ということで、お前の方から頼みに来るから貸してやるのだ、こういう宣言がまずつけられておる。それから、第二条のD項、E項を見ました場合に、受け取るのも向うで受け取る、それから今度向うへ返すのは全部こちらが責任を負うということになる。たとえば受け取るときは、こちらが向うで受け取ってから責任を持つのなら、返すときはこちらで受け取ってもらうとかいうようなことにしないと、これはほんとの平等でないかとも思うのです。それから、第四条において免責の規定等がありますが、そういう点について、これは双務協定という上に立って、平等の原則が貫かれていないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#37
○松井説明員 御説明申し上げます。ただいまの特殊核分裂物資の賃貸借に関する協定が双務協定に基く協定であるにかかわらず、双務的規定でなくて、平等の立場でないという御質問でありますが、結論から申し上げますと、平等の立場に立っていると確信いたします。もちろんこれは普通の商品ではございませんで、セキュリティの関係のある特殊の燃料でございます。しかも、その所有権が米国政府に属しておるものであります。まず形式的に平等であるかないかという問題でございますが、これは本協定でアメリカ政府が日本政府に一定量の燃料を貸してやろう、こちらは六キロの範囲内において借りる、「日本国政府の要請に基き」ということは、これは要請するという意味は、何も懇願する意味ではございません。要請というのは、六キロのうちのどれだけの量を日本が借りるかということに対して、日本政府が自主権を持っておるのでございます。それから返還の場合の規定でございますが、これはこの品物の特殊性に基きまして、単に日本で渡した方が経費が安いからということだけでは、判断できない問題でございます。非常に放射能の高いものあります。日本政府において処理もできないのでございます。一応アメリカ政府に持って帰るということは、両国政府が自由の意志に基いて、合意した条件でございます。このために日本政府の自主性がそこなわれておるという御解釈には、やや同意することは困難ではないかと思っております。それから、形式的には、これは両国政府の間に、この協定の法律的な性格につきまして、少し意見が食い違っておりましたことは事実でございます。アメリカ政府は、これは本協定に委譲されたところの細目協定ですから、国会の承認を要しない一種の行政協定のようなものにしようじゃないか、形式も非常に簡略なものにしようじゃないかということを主張いたしました。ところが、日本側といたしましては、この協定の内容にかんがみまして、まず今おっしゃったように、免責条項のような規定は、財政法の関係上、国会の承認を得なければいかぬ。従って、この協定のその部分のみをかけるか、あるいは協定全部をかけるかということを検討せざるを得なかったわけでございます。結論といたしまして、協定の内容について国会の承認を要する事項が含まれておるので、政府間の正式の協定にしようということにいたしまして、たとえば、条文もその体裁に従いまして、第一条、第二条といいます。それから、協定の当事者を向こうは原子力委員会だけといったのた、この協定では、米国政府を代表して行動する原子力委員会というふうにして、形式的にも平等の立場をとらせるように書かせた次第でございます。なお、免責条項の問題でございますが、これは、本来ならば本協定の中に入れるべき事項であったのが、アメリカ政府当局者の手違いと申しますか、本協定に入っていなかったわけです。本来ならば、それがなければ、国庫債務負担行為に関する国会の承認は別といたしまして、本協定を全部国会にかける必要も法律的には成立しなかったわけでございます。ところが、遺憾ながら免責条項が協定の中に入っていたために、国会の御承認を得ることが絶対に必要になったわけです。それから、予算上の措置につきましては大蔵省から御説明があるかと思いますが、これはまた特にその御質問があったと遂に御説明いたします。
#38
○田中(武)委員 あくまでも平等の立場に立って結ばれた協約である、こうおっしゃっておるのです。私は何も言葉とか字句にこだわるのじゃないのですが、そういうことであるなら、普通の双務協約といいますか、協定のように、要請なんという言葉を使わずに、日本国政府と何々とはかくかくのことをきめるのだ、こういう書き方でもいいのじゃないでしょうか。
#39
○松井説明員 この要請という字句は、英語ではリクエストという言葉でございます。リクエストというのは、日本語では要請だから頼むのじゃないか、頭を下げるのではねいかとお考えになるかもしれませんが、ディマンドと違い、リクェストの要請というのは、とにかくこれをくれろという軽い意味でありまして、頭を下げて、くれという意味ではございません。従って、その意味において自主性がないというのは、納得できないと思います。
#40
○田中(武)委員 それなら申し出ということに解してよいのですか。
#41
○松井説明員 私はよろしいと思います。
#42
○田中(武)委員 それでは次に、第二条のB項ですかによって加工業者に加工を委託する、こういうことになっております。これはアメリカの加工業者だろうと思うのですが、どういう会社を大体想像できるのか、あるいはそういう加工ができて、もうすでに使えるようなものを受け取るというような契約はできなかったものか、それをお伺いしたい。
#43
○松井説明員 この燃料要素の引き取り前における検査というのは、従来アメリカがどこの国との協定にも考えていなかったことです。これは日本政府が自主的な立場に立ちまして、内容の、不明なものを受け取って、その責任をとらされるのは、国家の立場としてもはなはだ不見識である、従って、来る前におきまして、当然その内容、質並びに量について検査したいということを強く申し出たわけです。向うは初めは非常に強く難色を示しましたが、ついに日本政府の要請に応じまして、それでは引き取り前に検査しようということになった。これはあとから原子力局から御説明があるかと思いますが、原子力委員会が、六弗化ウランという形において、日本政府の指定した加工業者に一応貸与するわけです。加工の最終段階におきまして、そのサンプルをとって、両国政府が合意してきめる加工業者、すなわちアメリカの加工業者に検査させる。それでその内容については分析証明を出させる。その証明を日本政府が受けとるという形になります。ただし、その検査料は両国政府で折半することになっております。一応そういうふうにしまして、品物の受け取りにつきましても、日本政府の自主性を主張するようにする。しかも、アメリカ政府の送り状みたいなものでなくて、両国政府が合意してきめる第三者たる加工業者をして検査させる。サンプリングによって内容の分析をやらそうということになっているわけでございます。第二条のB項は、引き取り前の検査でございます。引き取り後の検査につきましても、二条のあとの方に規定がございます。引き取り後の検査についても、米国原子力委員会もしくは第三者、その名前は一応範囲がきまっております。アメリカ政府のえこひいきによってきめるような加工業者ではありませんで、両国政府が厳正な立場できめる加工業者ということに合意できまっておりまして、その点からも自主性というものは十分確保されているものと信じております。
#44
○田中(武)委員 僕はあまりよく実情がわからぬから、愚問になるかもわからぬと思うのですが、そういうものを加工している加工業者があるのですか。それは幾らほどあるのか。それから加工業者の指定は両国で話し合ってきめる、こういうことになっておると思うのですが、その数がわずかだったら、もう、話し合うとか協議するとかと言わなくても、自然にきまっているではありませんか。それと、先ほどもお伺いしましたが、加工ができてすぐ使えるものを借りるということの方がいいんじゃないですか。
#45
○松井説明員 まず加工業者といたしましては、これは放射能の化学的な分析の施設、能力が非常にすぐれていなければならぬという要請がございます。大体民間の商業上の分析業者というものは、現在の段階においてはあまり数が多くないようでございます。今、原子力局の方におきましては、この原子炉資材の加工に関してマリン・クロットという商社を御指定になっているようでございます。アメリカ政府と日本政府との間におきまして、普通の商業上の分析業者が得られなかった場合には、次に申し上げる四つの分析業者から選ぼうではないかという合意になっております。それは、アメリカのテネシー州のオークリッジの研究所、それからオハイオ州にあるクッドイヤー、原子力会社、ワシントン州におけるゼネラル・エレクトリック会社、イリノイ州のアルゴンヌ研究所のあるシカゴ大学、この四つの研究所はいずれもきわめて分析能力がすぐれております。将来ほかのものについてまた合意が成り立つかもしれませんが、一応基準というものを考えております。
 それから、分折を、でき上った最後の瞬間にやった方がよいのではないかというお説、まことにさようでございます。日本政府といたしましても、なるべく最後の加工の段階を選んで、このときに今申し上げたような加工業者に厳正な分析をさせたいという方針であります。
#46
○田中(武)委員 ただいまのお話ですと、何か四つばかり優秀な加工業者というか加工設備を持っているところがある、こういうことで、その四つのうちから一つを選定する。これはアメリカの委員会と協議することになるのですが、この四つのうちのどういうような条件を見て、日本としてはだれに指定しようと考えているのか、お伺いいたします。
#47
○松井説明員 その認定は、おそらく原子力局で決定されることと思いますが、一応形式的な質素といたしましては、今のセントルイスのマリン・クロット、なるべくそれに近くて、分析能力のきわめてすぐれたところが選ばれると外務省としては想像いたします。
#48
○佐々木政府委員 この問題は、ただいまお話のありましたように加工業者と、こちらから向うへ送りました際に、そのウェーストを検査する分析料、この二つに問題が分れます。そこで、前者の加工業者の方でございますが、これはただいま外務省の方から齢話がありましたように、米国のAECから弗化ウランという形で渡しまして、それを硫酸ウラニウムというのに変えるのが加工の過程でありますが、硫酸ウラニウムにする業者は、ただいまのところはマリン・クロットという会社一軒でございまして、ほかにございません。反対に、この加工よりももっとむずかしいと申しますか、金属ウラニウムにするような会社はまだほかにたくさんございますけれども、日本で、ウォーター・ボイラーでほしいのは、むしろこの硫酸ウラニウムでございますので、ここに頼みたいというふうに考えておるわけであります。
 それから、後段の検査所、こちらから送りましたウェーストを化学処理いたしまして検査をいたします会社は、さっきお話にありました四つがございまして、その四つの中からどれを選ぼうかという点に関しましては、まだウェーストができますのはだいぶ先でございますので、ただいまのところはきめてございません。が、基準といたしましては、AECの評判を聞くなり、あるいは実際に各国で受け取った状況等もございますれば、そういうデータも集めまして、最も信頼度の高い確実な会社を選びたいというふうに考えております。
#49
○田中(武)委員 私、先ほどこの協定が、どうも平等の立場を貫かれていないのじゃないかと申し上げたのは、二条のC、D、E三つを見た場合に、積み出したときの費用は日本が全部持つ、それから、積み出しの輸出港は両国で協議をしてきめる、こうなっている。ところが、今度引き渡しのときは、一方的にアメリカの指定するところへ持っていかなきゃならない、こういうことになっておる。平等の原則でいくならば、引き取るときに向うで引き取るならば、返すときはこっちで返すとか、あるいは持ってきてもらったら、持っていって返すというのがほんとうの平等ではないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
#50
○松井説明員 御説明を申し上げます。引き渡し前の場合は、両国政府で協議してきめるということであるのに反し、引き渡し後はそうではないじゃないかという御質問でございます。引き渡し前と引き渡し後につきましては、少し内容が違うと思います。といいますのは、引き渡し前はまだ燃料要素が全然使用されていないので、放射能その他は全然問題はない。ところが、引き渡し後につきましては、非常に放射能の強いもので、特殊のセキュリティの立場から見ましても、それは勝手なところへ持っていくよりも、アメリカ政府の原子力委員会の施設のあるようなところに持っていった方が、相互のためにこれは有益たと思っております。そのために、形式的に、アメリカ政府の一方的にきめたところに持っていくから自主性がないじゃないかという御意見も一応理屈があるかと思いますけれども、しかし、実質論からいけば、放射能の非常に高い特殊のものであるから、向うの工場に近いところに持っていった方が、日本側としてもいいのではないかということが、またお考えになれるのではないかと思います。
#51
○田中(武)委員 それはどうも平等の原則が貫かれていないのではないかと考えておるが、あなたは、そうでないと言われるから、これは見解の相違だと思うので、これをこれ以上申し上げてもむだだと思うので、やめます。
 第四条の免責事項のことについて、そこに原因のいかんを問わないでという言葉が入っておりますけれども、これは不可抗力のような場合も含まれておるのですか。
#52
○松井説明員 これは一応の解釈論としましては、たとえば、戦争とか、ゴッド・アクトの天災地変の場合はどうか、その場合にも日本政府に責任があるかというような御解釈かと思いますが、アメリカの原子力法の根拠規定からみますと、不可抗力という場合には、この協定に定めるところでない、一般の国際協定においては、ゴッド・アクトについては免責することを特に規定しておりますが、この協定にはそれがない。私ら事務当局者といたしましては、不可抗力というものは、いわゆる天災地変のような場合は含まれな
 いものと考えております。
#53
○田中(武)委員 いわゆる不可抗力、天災地変の場合は含まれない。そうするならば、両国のいずれにも責任がはっきりわからない。両国のいずれの責任にも帰さない事項があると思うのです。そういう場合は、全部含まれないと見てよいのですか。
#54
○松井説明員 御説明申し上げます。あらゆる原因とありますけれども、あとで例示してございますが、原因の発生につきましては、全然無責任もしくは無制限なものでないと思います。
 ユース・アンド・ポゼスション・パブリケーションという文句があります。それらのものを含めて全部、それ以外のもの、たとえば天災地変でもなく、また今申し上げたような加工、製造、使用のそれでもない、このボーダーラインのものはどうなるかという御質問だろうと思います。この問題については、協定の解釈としましては、その原因の発生につきまして、両国政府が事実を認定しなければいけない。そしてその認定の結果、天災地変でないことは明らかであるけれども、原子力協定に誓いてあるところのユース・ポーゼスションもしくはそれに関係するかしないかという事実認定がまず第一であります。事実認定につきまして、天災地変でないけれども、しかし、協定の免貢条項にカバーされるのではないかということになれば、そういうことが確認されれば、これは外交交渉によって、その取扱いをはっきりきめなければならぬと思います。何となれば、ユース・アンド・ポゼスション・パブリケーションという文句につきましては、これははっきりしております。しかもなお、その原因がアメリカ政府に帰すべき原因であるか、あるいは加工業者が加工の段階において発生した原因であるかということも、非常な分れ目でございます。この点は非常に重要であります。日本政府が免責することを要求されておるのは、アメリカ政府だけでございます。今申し上げましたように、また原子力局長がおっしゃったように、六弗化ウランを加工業者に貸した場合には、日本政府は加工業者に、加工契約に基きまして、民事上の責任を追及せられるわけでありますから、実質論としては、すべての原因とありまして、言葉は非常に荒いのでございますけれども、実質的には限定されておると思います。しかも技術的に見ますと、この硫酸ウラニウムという溶液燃料については、事故の発生がきわめて少いという技術的な保障を持っております。
#55
○田中(武)委員 再度お尋ねいたしますが、普通個人間の賃貸借の契約のような場合は、賃借人の責めに帰さざる事項については云々という書案になっておると思うのですが、それと、原因のいかんを関わりということは、どのように違いますか。
#56
○松井説明員 御説明申し上げます。これは普通の賃貸借における免責条項と少し違うと思います。これは特殊核分裂について、特殊物質について、アメリカの原子力法五十三条において一応免責したということは、政府が損害保険とか損害補償については一切責任をとりたくないから、政策的に入れた文句でございまして、特殊性に基く規定でございますから、これは一般の賃貸借に牽く通念をもってしては律し切れない特殊なものでございます。しかしながら、一方において、国家の請求権の変更もしくは改変を加えるのでございますから、財政法第八条の関係がありまして、特にこの点につきましては、国会の御承認を得たいという趣旨でございます。しかも、これは日本側だけが片務的に特にこの条項を受け取るわけではございませんで、アメリカ政府は他国に対しても同様の条件を課しておりまして、二十数カ国と結んだ協定にこの条項がすべて含まれております。しかも、この実質的な検査によって免責の原因の発生を防止するということの表現についても、政府としては、初めの案よりもかなり言葉を緩和するように努力いたしました。その点も御了承を願います。
#57
○田中(武)委員 先ほどちょっと触れられたと思うのですが、四条と二条のD項との関係ですが、二条のD項を見ると、日本が加工業者から受け取ってから先のことを言っておるように思うのです。四条の場合は、加工の段階においてもというように解釈できるのですが、この加工中に起った問題ですね、これは先ほどのいわゆる米国政府は免責を受けるが、加工業者に対して日本が損害賠償ができるというような何か問題があったように思うのですが、この四条と二条D項との関係を一つ……。
#58
○松井説明員 免責の原因となるべき損害の発生の場所は、米国政府の領土内に起った場合、それから日本政府が米国から引き取ってその以後に起った場合、この二つに分けて考えなければいけないと思います。米国政府内の危険の発生につきましては、日本政府は免責する必要はないのです。これはアメリカの加工業者がアメリカの原子力委員会から受け取るライセンスの条件に、そういうことになっておりますから、アメリカの加工業者が米国政府に対して責任を負う。日本が引き取った後の危険の発生につきましては、四条の適用があるというふうに解釈しております。
#59
○田中(武)委員 四条の「原因のいかんを問わないすべての責任(第三者に対する責任を含む。)」となっているのですが、この第三者は加工業者を意味しているのじゃないですか。
#60
○松井説明員 今申し上げたように、引き取り後における危険の発生でございますから、引き取り後については加工業者というものは物理的に離れておりますから、加工業者は考えられていないと思います。
#61
○田中(武)委員 そうすると、この第三者というのは、大体どういうことが考えられますか。
#62
○松井説明員 第三者の概念というのは、一種の無過失責任に対して、たとえば当事者以外の者でございますね。従って、日本で当事者というものは、まず原子力研究所の研究所員とか、もしくは日本政府の役人とか、ただ、たとえば放射能炉の運営上何かの錯誤がございまして、中性子が漏れて一般の町を通っている人に危険を与えたような場合、これに対しましても、その原因の発生がたといアメリカ政府に帰すべ遂責任であっても、日本政府は、一応その被害を受けた第三者たる一般の町を通っているような人に対しましては損害賠償をする義務を負っているわけです。その点は、国家賠償法の規定を逸脱する日本政府の故意または過失に基かない場合の損害賠償でございます。その場合は、特に国会の承認を得よう、そういうことは実際上あり得ないと思いますけれども、法律上には、国家賠償法なり労働基準法によってカバーできない規定でございます。そういう特殊の規定でございますから、特に国会の承認を得たいという趣旨でございます。
#63
○田中(武)委員 だから、それは特に承認を得るのだとおっしゃっているのですが、この点なのですよ。道を歩いている人だとか、あるいはそれを運搬していると遂に起ったアメリカ国土以外のものに対しての損害が発生した場合は、全部日本政府が責任を負って損害賠償しなければいけないのでしょう。この点については、今の説明なら、そうですというよりしようがないと思う。新聞等で見ると、この免責条項については、協定の話し合い中にいろいろ問題があって、最後に日本が譲ったといいますか、折衝に負けたというような新聞の情報等もあるようですが、この経過をもう少し詳細に言っていただきたいと思います。
#64
○松井説明員 さっき申し上げましたように、この免責条項のアメリカの国内法上の法的根拠は、原子力法の五十三条のe項の(8)でございます。これは特殊核分裂物質の貸与に関しましては、ぜひともつけなくてはならないと場ころの規定でございます。しかも、その表現は、日本の現行法の考えられた一つの法律の概念なりターミナルとしましては、ユニークなものでございます。これは核物質の取扱い使用に関する特殊性に基くところの規定でございまして、日本の従来の法律概念をもって律すると、なかなか説明がつかない点が非常にございます。従って、私の説明自体も、十分に御満足のいく説明はあるいはでき遂ないかと思っています。なお、この問題につきましては、場合によっては、条約局から御説明させてよろしゅうございますが、この規定を日本側がのんだのは、日本側が譲歩したのじゃないかという御質問につきましては、特に御説明申し上げたいと思います。これは一種の契約の特殊な約款のようなものでございまして、これがいやならば借りられないという問題でございます。そこで、いやな規定であるかもしれぬけれども、特に検査をして、危険の発生に対して防止のあらゆる措置を尽すと同時に、一方においては、原子力の平和利用というのは非常に重要だから、これはやむを得ずというか、譲歩した、のんだわけでございまして、しかも、のんだのは、日本だけがアメリカから特に不利な条件を誤されたという音心味では決してございません。それだけちょっと……。
#65
○佐々木政府委員 私からちょっと補足して申し上げます。第四条の「引き渡された後は、」という中で、引き渡される以前の問題と引き渡された以後の問題と二つあるのじゃなかろうかと思います。そこで、引き渡されるまでの問題点といたしましては、ここにあります生産もしくは製造等に関する問題でございますが、この点は先ほど申し上げましたように、初めのアメリカ側の原案では、一切のそれに対する責任を負わないというふうになっておりましたのを、それでは困るというので、ほぼ半年以上交渉いたしました結果、分析上の検査をいたしまして、両方合意の上で、これであればよろしいというふうに両国で認定して引き取るわけでございますから、その限りにおきましては、それ以前の向う側の政府に対する責任は、そこで解消するわけじゃないかという解釈が成り立つだろうと思います。それから、引き渡されたあとにおきまして、使用等から生ずる原因、たとえば原子力研究所等でいろいろ研究をした結果、何らかの障害が生じたという場合には、これは日本国政府自体の問題であって、米国政府としては責任を負わないぞというふうに解析すべきじゃなかろうかと思います。それから、第三者に対する責任という回顧がございますが、この協定は、実は政府対政府の協定でございまして、日本国政府が米国から賃貸を受けるのでございます。従いまして、濃縮ウランの引き受けあるいは賃借料等の支払いは、政府の責任で行います。従って、第三者に対しまする責任といいまりのは、研究所あるいは両国当事者間以外の者を含むというふうに解釈願ってけっこうじゃなかろうかと解釈いたします。
#66
○田中(武)委員 どうやら語るに落ちといいますか、平等の原則は貫かれ、いないという私の意見に対して、貫かれておりますと答えられたのですか、先ほどの説明員の御答弁によると、どうやらそういうことになったようです。ということはこの条項をのまはければ借りられないということであります。一条の「要請に基費」というしとは、やはりこちらから借りることを強く頼むということの裏づけになっていると思うのです。それから引き渡しされたあとと言われておりますが、この条文を見ると、「濃縮ウランの生産若しくは製造、」云々とあるわけですね。そうすると、引き渡し以前じゃないかとも考えられるのです。そこで、先ほど四条と二条D項との関係をお尋私したわけなのです。
 それからもう一つは、これもはっきりしたと思うのですが、いわゆる今までの日本の法律概念といいますか、故意または重大な過失のみに基いて損害賠償の発生がある、損害賠償を行う場合は重大な過失かもしくは故意の場合である、こういうことになっておるのが、それ以外のときにも損害賠償をしなければならないということになってきたと思うのですが、それでいいでしょうか。
#67
○松井説明員 まず第一の点でございますが、生産とありますけれども、生産その他から生ずる原因とありまして、生産自体ではございません。生産から生ずる原因、たとえば六弗化ウランを硫酸ウランに加工する段階におきまして、何かの過失によったといろその原因、瑕疵があった。それが日本に来まして、その瑕疵の結果何か起ったという場合でございまして、これは生産から生ずる原因でございます。生産自体の原因じゃございませんから、従って、アメリカ政府の生産についても責任をとるかということとは、少し違うように思います。危険の発生の時期が生産の過程中の故意または過失じゃなくて、ある種の瑕疵のある原因なりキャリーされたその結果、日本に物理的に発生した、というときにおいては、日本政府は責任をとりなさい、アメリカ政府の損害から救済しなさいということでございます。生産から発する原因でございますから、生産自体じゃございません。文句はこういうふうに書いてあります。「この協定に基いて賃借する原子炉用物質に含まれる濃縮ウランの生産若しくは製造、所有、賃借又は占有及び使用から生ずる原因のいかん」云々、従って、発生の時期が日本側の引き取り前に発生した責任については、予想されておらない。こういうふうに思っております。
 あとの点の、日本が自主性をなくしたかどうかという問題は、私は見解の相違だと思わざるを得ないと思います。
#68
○田中(武)委員 見解の相違かもしれませんが、ともかく先ほど来の答弁によりますれば、この協定を結ぶに際して、平等の立場に立っておったとはいえ、日本の方がやはり弱い立場にあったということは、あなたは先ほどこの四条を入れなければ借りられないと言ったが、これが弱い立場だ、こういうことです。
 それからもう一つは、少くとも今までの法律概念における故意または重大な過失以外の場合にも、こちらが損害賠償の責任を負い得る、負うことがある、こういう点だけがはっきりしたと思うのですが、それはどうです。
#69
○松井説明員 御説明申し上げます。免責条項のこれがなければ借りられないから、従って、それを借りたのは屈辱的で、自主性をなくしたのじゃないかということは、私には決してそういうふうに思われないのです。これは、何となれば、普通の賃貸借、民法上の物もしくは役務の賃貸に関することといささか内容を異にしておりまして、核物質という特殊のもので、セキュリティに非常に関係のあるもの、しかもアメリカ政府が独占的に所有権を行使しておる特殊のものの賃貸の一条件にすぎない。その一条件をのんだからといいまして、日本側がそのために屈辱的な協定になったということはあり得ないと思います。何となれば、この賃貸の取りきめの基礎たるべき本協定自体は、国会の御承認を得ております。
#70
○有田委員長 田中君、簡単に願います。
#71
○田中(武)委員 委員長の御注意もありますから、簡単にいたします。これは本協定が国会の承認を得ているからと、こういうことを言っておられますが、あなたはさようでございますと言えないでしょうから、けっこうです。それから、もう一つ疑問なのは、「生産若しくは製造」、こういうことから見ると、やっぱり生産過程にこちらの責任があるように思うのです。さらに引き渡しの際の検査の具体的な方法とそれからその検査する能力が、日本側にどの程度あるか、こういう点を伺います。
#72
○佐々木政府委員 検査能力に関しましては、御承知のように、日本はまだウランあるいは濃縮ウラン等の製造を本格的に始めておりませんので、検査能力自体はないと申し上げるよりほかないと思います。そこで、この検査を信用ある個所におまかせして検査をおたのみするわけですが、その際、たとえば費用の折半の問題等によく現われておりますけれども、片一方で払うといろ場合には、たとえば、米国で検査料を払って、日本側が関与しないということでありますれば、ややともすると、検査に不公平を生ずるかもしれないということで、あくまでも費用は折半でやろうというふうな格好にいたしまして、両国政府の合意の上で、検査の結果を認承できるというふうな態勢にしようというところまでこちらから話し合いまして、ここまで持ってきたわけです。従って、検査の結査が果して間違いがないものかどうかという、検査の検査と申しますか、ここまで参りますと、アメリカ自体でも何べんとなく検査場を変えてやる以外に、手がないわけであります。そこまでこの問題を押し進めていくこと自体が、一体何と申しますか、不信用と申しますか、そういうことでなくて、権威のあるところで検査をして、その検査に基いて、両国政府が検査の過程なり、検査の方法なり、従来の検査の結果との比較なりを調べまして、もうこのくらいの検査の成果であれば十分であるという認定をして、その上で引き取る以外に、現状では仕方がないと思います。日本で優秀なそういう検査場がありますればもちちん問題ないわけでありますが、日本にはただいまのところ検査場はありません。米国でもさっき申し上げましたように、あるところは数個所というような工合でありますので、どうしてもそういう結果にしかならないと思います。従いまして、最終の過程において抜き取り検査をいたしまして、十分検査した、これであれば間違いないということで、こちらが受取状を出した上は、その検査そのものに瑕疵があったらどうかという、この認定は非常にむずかしい問題でありまして、おそらくそういう問題は起らねだろうと思っております。
#73
○田中(武)委員 残念ながら日本の技術能力といいますか、現段階においては、その詳細な検査をするところの能力を欠いておる、従って、これは現在の日本の技術水準がそうであるからやむを得ないと思いますが、立ち会いの上、協議の上で検査するといっても結局はあなたまかせ、こういうことになりますと、その過程について、検査方法等について云々ということを言われましたが、検査それ自体はあなたまかせ、こういうことになると思います。
 それから、もう時間がないので、次の機会に質問を保留しておきますが、最後に、これは当然のことでありましょうが、念のためにお伺いしておきたいのです。この協定書の前文ですが、「日本国政府とアメリカ含衆国政府との間の協定(将来改正され又はこれに代るものを含む。)」云々とありますが、この原子力の非軍事的利用に関する協力のための協定が、将来改正せられたり、変更せられたりする場合を含んでおるのだ、これはそういうことはない思いますが、この改正が、明らかに軍事的ではなくても、ある程度カムフラージュされた軍事的なものに変るようなことがあり得た場合には、これに伴ってその内容も変わってくると思いますが、そういうことが絶対にないかどうかということだけ確かめておきたいと思います。
#74
○松井説明員 そういうこと、は絶対にありません。何となれば、くどいようでありますが、アメリカの原子力法の百二十三条に基くところの協定というものは、研究用の協定でございまして、秘密情報を含むような協定は、アメリカの原子力法の百四十四条で別の協定を作らなければならぬ。従って、協定の性格を、非軍事的な利用の問題を軍事的にしようということは、この協定ではできない。従って、別に協定を結ばなければならぬのです。そこで、予想される協定の改正は、濃縮ウランを借りるというかわりに買う、あるいはプルトニウムを買う、こういうことの程度でありまして、軍事的にするとかということは、この協定自体、法律的技術的に不可能であります。そういうことは、絶対にあり得ないと信じております。
#75
○田中(武)委員 絶対になければけっこうであります。
#76
○石野委員 関連して。ただいまの御説明の中で、四条の免責規定の中の「から」という字の使い方について、まだはっきりちょっと理解できないので、その点だけ一つお尋ねしておきます。「濃縮ウランの生産」「から」、「若しくは製造」「から」というその「から」は、やはり生産過程からあるいは製造からといふうに理解さるべきじやないかというふうに考えますけれども、先ほどの松井課長のあれでは、そういうものの結果からだということで御説明がありました。これはあるいは法制局あたりからでも聞いておかなければ、将来非常に重要な問題になると思います。先ほどの英文の方から見ましても、必ずしも課長の説明のようには思えないので、その点をもう一度説明していただきたい。
#77
○松井説明員 御説明申し上げます。英語の原文をごらんになりますと、はっきりいたします。申し上げますと、「アゲンスト・エニイ・アンド・オール・ライアビリティ・フォー・エニイ・コース・ホワットソーエバー・アライジング・アウト・オブ・ザ・プロダクション」とあります。これについての私の解釈につきましては、それを条約局、法制局から御確認を願うことはけっこうだと思いますが、私はそう信じております。
#78
○有田委員長 他に御質疑のある方もあるかもしれませんが、本日は時間がだいぶたちましたし、外務委員会との連合審査会もあることとなっておりますので、その機会に質問を譲っていただくこととして、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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