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1947/11/17 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会第二分科会 第1号
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1947/11/17 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会第二分科会 第1号

#1
第001回国会 予算委員会第二分科会 第1号
本分科員は昭和二十二年八月十二日(火曜日)委員長の指名で次の通り選任された。
   主 査 荒畑 勝三君
   副主査 船田 享二君
      加藤シヅエ君    中原 健次君
      山花 秀雄君    川崎 秀二君
      鈴木 明良君    佃  良一君
      磯崎 貞序君    世耕 弘一君
      苫米地英俊君    樋貝 詮三君
      大神 善吉君
十一月十七日豫算委員第三分科主査海野三朗君が第二分課兼務となつた。
    ―――――――――――――
會 議
昭和二十二年十一月十七日(月曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席分科員
   副主査 船田 享二君
      加藤シヅエ君    中原 健次君
      川崎 秀二君    鈴木 明良君
      磯崎 貞序君    苫米地英俊君
   兼務
      海野 三朗君
 出席國務大臣
        文部大臣    森戸 辰男君
 出席政府委員
        外務政務次官  松本 瀧藏君
        外務事務官   太田 一郎君
        外務事務官   與謝野 秀君
        外務事務官   下田 武三君
        外務事務官   朝海浩一郎君
        外務事務官   島津 久大君
        文部事務官   日高第四郎君
        文部事務官   柴沼  直君
        文部事務官   清水 勤二君
        文部事務官   伊藤日出登君
        文部事務官   稻田 清助君
        文部事務官   辻田  力君
        文部事務官   近藤 直人君
 分科員外の出席者
        外務事務官   小島 太作君
        專門調査員   芹澤 彪衞君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した議案
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)中外務省及び文部省所管
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第八號)中外務省及び文部省所管
    ―――――――――――――
#2
○船田副主査 それではこれから會議を開きます。
 審査に入るに先だちまして、お諮り申し上げますが、御承知のように、この第二分科は、外務省、文部省、厚生省及び勞働省所管の豫算に關するものでありますが審査の方針としては、本日の午前中に外務省及び文部省所管の豫算について、明日午後厚生省及び勞働省所管の豫算について、審査をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○船田副主査 御異議がなければ、その通り進行いたします。
 それではこれから昭和二十二年度一般會計豫算補正第七號及び第八號中、外務省所管の豫算各案の審査に入ります。まず政府の説明を求めます。松本政府委員。
#4
○松本政府委員 昭和二十二年度外務省所管の豫定經費の追加要求額について、御説明申し上げます。
 この金額は八千二百四十三萬一千圓でありまして、すでに成立しておりますところの豫算及び補正要求中の豫算額にこれを加えますると、この額はちようど一億九千百九十二萬八千圓になるのであります。合計二億七千四百三十五萬九千圓と相なるのであります。
 この追加要求額は六項目にわかれておるのでありますが、その第一は渉外事務等に要しますところの經費六百二萬圓であります。最近御承知のごとく、著しく増加いたしましたところの渉外事務等の處理に必要なるところの經費であります。主として旅費竝びに通信費がはいつておるのでありますが、料金の値上り等による必要な額であります。
 第二はイタリー、ドイツの外交官、領事等の送還に要する經費でありまして、終戰以來抑留中でありましたところのこれらの外交官竝びに領事等を今囘本國に還すことになりました。人數から申しますと百三十九名おるのでありますが、一人につき六千圓という經費を計上してあるのであります。主として荷物の運搬費にこれがあてがわけるわけであります。
 第三は、財政法及び會計法の制定施行に伴い、會計事務處理に必要なるところの經費十五萬六千圓であります。さきに財政法及び會計法が制定公布されましたために、會計經理事務が著しく煩雜多量となりましたので、會計事務機能を十分整備いたしますのに必要な經費であります。
 第四は、行政監察委員會の設置に伴うところの經費十萬圓であります。行政監察委員會法に基きまして、外務省におきましても監察委員會竝びに事務局の設置が今囘行われましたので、一樣に各省において要求しておりますところの額を計上したわけであります。
 第五は、終戰連絡中央事務局設營部の機構整備に必要なるところの二十六萬八千圓の經費であります。連合軍のための諸施設の維持管理業務、及びその監査機構の整備を強化しなければならなくなつたのでありますが、殊に設營等に必要なるところの技術家の増員等が加わりましてこの經費が計上されたわけであります。
 第六は、政府職員の給與改善費七千五百五萬三千圓でありまして、外務省職員竝びに外地官廳職員等の給與を改善するに必要な經費を計上したわけであります。これが合計で先ほど申しました追加豫算額の八千二百四十三萬一千圓となるわけでありますが、その點大要の説明でありましたけれども、なお詳細にわたりましては御質問に應じて御説明申し上げることにいたします。何とぞ御審議の上御承認あらんことを切望いたしまして説明を終ります。
#5
○船田副主査 外務省所管に關しまして、御質問がありますれば御發言を願いたいと思います。
#6
○磯崎委員 實は豫算案の御提示が大分遲れました關係、それも日の迫つた期間において總會を開かれ、委員會を開かれるということでありまして、つい御質疑を申し上げる機會を失つておりますが、實は去る豫算總會におきまして、きわめてわずかな時間でありましたから、質疑の要領の足らざるところを、この席上でお尋ねをいたしたいと思います。
 まず現在の客觀情勢から見まして、最も國民の關心しておりますところの講和條約の期日、およそどういう頃合いに行われるものであるかということをひとつお示しを願います。
 いま一つは、この講和條約に對しましては、いろいろの國民の見方があります。すなわち對等國間におけるところの條約である場合は、發言權も相當強うございますけれども、今次のような形の條約に臨むには、いわゆる至上命令的な形でくるのであるから、そうしたものとは、よほど意味を異にしている。この見方が二樣に見られております。先の場合ならば、強力なるところの内閣のもとに、強力な外交手腕のある者を迎えてやる。それに反しまして、後者の場合は、それほどこの問題については深い關心をもたないでもいいという見方をしている者もございますが、これにつきまして、當局の御説明を煩わしたいと思います。
#7
○松本政府委員 お答え申し上げます。二樣の見方を今おあげになられたのでありますが、御承知のごとく、日本は、無條件降伏に調印しているのであります。從つて特にこの問題に關しまして、いろいろ發言のあるような簡單なゼスチユアですら、きわめて日本を不利に導いている事態がしばしば展開されておるのでありまして、もちろん政府といたしましては、殊にこの期日の問題がまだはつきり決定しておりません今日、いろいろとこの講和問題に關しまして苦心しているのでありますが、もちろん全體の態勢をこのために整備するということが、われわれにとつて一番必要であるということを強く申し上げたいのであります。
 なおこの期日の問題に関しましては、來年の二月三日というような説も、外國のいろいろの通信によつてうかがわれるのでありますが、また中には、半年一年のことは、長い日本の歴史から見て、きわめて短い期間ではないか、從つて急ぐ必要もないというような説もあるのでありますが、ただいまのところでは、この期日の問題に關しましては、はつきりした見透しがつかないというのが、正しい見方ではないかと考えます。はなはだ簡單でございますが、以上お答え申し上げます。
#8
○磯崎委員 實は現在國民がいろいろ敗戰後の苦痛の生活に耐えて、いわゆる忍苦の生活をしているのでありますが、これに對しまして、去る本會議において、總理大臣は、いろいろ忍苦の耐乏生活をお稱えになりましたが、そのうちにおきましても、無限の耐乏を要請するものではないというようなことで、その前途には希望の明るさがあり、しかもその明るさの時は、講和條約の後においてくるであろうというようなお話がございました。これに對しまして私は去る豫算總會におきまして、總理大臣に重ねて御質疑を申し上げましたが、まず國内における態勢を備えなければならぬ。それについて、政治、經濟、あるいは精神的方面の民主化をいろいろお述べになりました。もちろんそれは納得のいくことでありますが、私は外に向つての講和問題を控えて、いわゆる外務當局におかれまして、少くともそこにただいま仰せのような形における環境にはおかれておつても、いわゆる日本の外務當局として相當な國民的な發言を要請して、そうしてその明るさを一日も早くさせるという形において、外務當局は、今どんなふうに折衝しておいでになるか、その大體をお示しを煩わしたい。
#9
○松本政府委員 これはきわめてデリケートな問題でありまして、御承知のごとく先ほど簡單に説明もいたしましたけれども、講和に關するところの發言がない今日、間接的にはもちろん、國際信義の囘復のために、いろいろな面で、文化あるいはその他の面でできるだけの努力をしておるのでありますが、こまかい點につきましては、こちらに政府委員も出そろつておりますので、もつと具體的の御質問があれば、それにお答えしたいと思うのであります。大局からいたしまして、特に日本のいろいろな立場を間接あるいは直接的に關係方面によく説明したりするし。あるいは許された範圍内において文化交流の努力を盡しておるところでありますが、なお殊にこまかい面で、もし御質問がございますれば、お答えすることにいたします。
#10
○磯崎委員 實は大臣やその他の方々がおいでにならぬから、あまり大きなことを申し上げて、責任ある御答辯を要請することもどうかと思いますが、しかし、ただいまの問題は、おそらく國民のすべてが聽かんとするものでありますから申し上げたのでありますが、これはまた他日の機會に讓ることにしまして、しからば現在外務省としましては、戰前と今日とは、著しくその形が小さく限局されておる。從いまして、現在の外務省は一體これらに對するすべての人員、あるいはそうした經費その他については、相當な形に輕減されてしかるべきものだ、見方によつてはほとんど開店休業の形であるというほどに申し上げてもいいと思うのですが、これにつきまして現在はどういうふうにすべての各課の機構がなつておりましようか。また私の見るところは、情報とか連絡事務というような仕事だけのようで、戰前の形から見れば、これに伴う經費その他は著しく少くてよろしいというふうに見ておりますが、いかがですか。
#11
○松本政府委員 仰せのごとく、現今の日本の實情からいたしまして、戰前の、あるいは戰爭中の外務省よりも、その機能は著しく縮小されておるのでありますが、われわれといたしましては、講和後に來ますところの體制を考えまして、それに對するところの準備態勢あたりをいろいろと考え腐心いたしておる次第であります。なお外務省の機構の問題に關しましては、專門委員に説明をしていただくことにしまして、その他の質問に關しましてお答えすることにいたします。
#12
○太田政府委員 現在の機構について、それではごく簡單に申し上げたいと思います。現在外務省では總務局、條約局、調査局、管理局、それに情報部の四局一部ございます。戰前あるいは戰時中におきましては、地域別にまた仕事別に、たとえば御承知の通りアジア局であるとか、東亞局であるとか、歐米局であるとか、あるいはアメリカ局、歐亞局というような地域的、それからただいま申しました條約局、調査局のほかに、たとへば經濟局であるとか、あるいはさらにさかのぼりまして通商局というような地域的な局と職能的な局というふうにわけておつたのでありますが、今日はこの地域的の局を設けることもいかがかというので、ただいま申しましたような總務局であるとか調査局であるとか、あるいは管理局というふうな名前になつておるわけであります。たとえば滿洲事變の起りました前の外務省には、アジア局、歐亞局というような地域的な局があり、さらに通商局あるいは條約局というような職能的な名前のついた局もあつたのでありますが、今日は先ほど申しましたような地域的な名前をつけたものはなく、四局一部ということになつております。そのうち管理局と申しますのは、大體大東亞省がやつておりましたような仕事を引受けまして、終戰後の戰後處理というようなことを多くやつております。それからまた調査局は大體五つの課にわかれております。そうしてこれはおのおのその課が地域的に分擔を引受けまして、各方面の調査をやつております。それから條約局におきましては、今日別に條約を締結するようなことはないのでありますが、いろいろ各國間に締結されんとしておりますところの條約、たとえばイタリーその他の國の講和條約というようなものの研究あるいは條約と國内の法律との關係というような法規的の問題の研究をやつております。それからまた情報部におきましては、バブリツク・リレーシヨンに關するいろいろなことをやつておる次第であります。そうして大體その相互の關係を總合調整いたします仕事といたしまして、總務局というのがございます。ただその總務局の中に一つの課がございまして、そこでもつぱら經濟問題をやつております。ごく率直に申し上げますと、ただいま御指摘のありました通り、從來のように在外公館をもち、そこらのいろんな情報に基きまして渉外關係を處理していくというような部面の仕事はありません。もつぱら調査及び今後への準備というような關係がありますので、あるいはそういう日々の個々の懸案解決というような部面につきましては、外務省の仕事は減つておる次第でありますが、海外との交通杜絶、そういう中におきまして、いろいろ外國の通信を讀むとか、あるいは外國の雜誌を讀むとかいうような、非常に限られたるところの範圍において勉強を續けていくということのほかに、われわれといたしましてはこの體制に備えまして、省員の研修でありますとか、すなわちいろいろこの間にとぎれていかないように修練を積んでいく、研修を進めていくという點においても少からざる努力をしておる次第であります。外務本省の現在の機構に關しましてごく簡單に御説明いたしました。
#13
○磯崎委員 まず私どもから考えると、大分お仕事がただいまのような形に減つておりますから、從つて現在その職員は、よほど從前のそれと比べて人員が減つておりましようか。その計數をひとつ。
#14
○下田政府委員 ただいまの總務局長のお答えを數字的に御説明いたしますと、御承知のように終戰直後、外務省は各省の中で飛び離れて大きな大整理をいたしました。整理されました人員の比率について申しますと、八四%が首になつたわけでありまして一四%だけが殘つたわけであります。その後連合軍等の關係におきまして、終戰連絡事務局方面で、今度もございますように設營の監査とかそういう特殊な人員が數人という小さな機構の擴大はございましたが、外務省自體といたしましては八四%の大整理をいたしましてから、ちつとも人員は増しておりません。それから金額の點について申しますと、大體平時豫算におきまして、日本の總豫算が二十億圓見當でありまするときの外務省豫算は四千萬圓でありまして、比率にして申しますと二分に相當するわけでございます。今日二千億の國家財政のもし二分計上いたしますと四十億になるわけでありまするが、實際は先ほど政務次官御説明のように二億七千萬圓、大體千分の一、非常に外務省豫算の占める率が低く、相當の規模を小さくし、また經費も極力節減した事態が今日現われておる次第であります。
#15
○磯崎委員 大體私どもは現在拜見しております豫算によりますと、どうしてもこれは當然行政整理というものが行わるべきものであるというふうに考えております。しかして各官廳の形におきましてその實現を期しよう、おそらくその第一は、外務省方面に相當な形に行われなければならないというふうに思つておりましたが、ただいまのお話では、約一四%程度の形にまで今減縮されているというお話であります。しかし減縮されてはおりますが、現在定員としてある中で、いわゆる缺員というようなものが相當あると思いますが、それはどんなふうになつておりましようか。
#16
○下田政府委員 現在、先日政府から發表になりましたように、各省の中で最も缺員の少いのは外務省でございます。つまりぎりぎりのところまで定員を削減されましたので、實員もほとんどその定員に近い。現在定員と實員との比率は九一%になつております。
#17
○磯崎委員 最後にもう一つお尋ねしますが、これは外務當局へお尋ねするのがほんとうかどうかわかりませんが、實はソ連におります日本人は相當歸つてきておりませんが、これはいつも本會議やその他で常に要請され、輿論的な形でこの問題を要請されておりますが、現在どういうふうなところに、いわゆる昭和二十二年十一月のきわめて接近した現在のその形を御發表願いたい。
#18
○小島説明員 ソ連關係の未歸還者の數を十一月七日の現在で申し上げます。一番大きいのはシベリア地區でありまして、五十二萬七千七百七十五名、その次が、樺太と千島地區でありまして、二十一萬二千九百九十九名、その次が大連地區でありまして、これは三千名、その次は北鮮――三十八度線以北でありますが、これが千四十二名、合計十一月七日現在でソ連關係地區に七十四萬四千八百十六名未歸還の状態になるということになります。これをほかの地區と比較しますと、ソ連地區以外で殘つているのは七萬六千七百八十名、その中で約六萬七千名というものが北滿の中共地區にあるのでありまして、この北滿地區を除けば、九千二百九十六名というものが南方その他各地に散在しておるわけでありまして、これは主として戰犯關係者であります。このソ連地區の七十四萬四千名餘りという未歸還者が、ただいまの状況でいつ引場げが完了するかという點を申しますと、現在引揚げの基礎になるのは、昨年十二月十九日に總司令部代表と對日理事會、ソ連代表との間に協定された引揚協定により、月五萬平均という數によつて行われておりますので、この月五萬の率でまいりますと、今後なお十五箇月近くかかるのであります。ただこの月五萬という協定はただいまの状況では未確定の要素が二つほど加わつておるのでありまするが、この二つの要素は、一つは消極的な性質一つは積極的な性質をもつております。消極的な性質というのは輸送に關して氣候その他豫期せざる條件が發生した場合には、この月五萬という數も變更することかある、もしくは全然歸還せしめないということも起り得るという條項がはいつておりまするので、冬の間氣候條件によつて輸送困難という理由で、あるいは送還が減つたり、あるいは停止されるかもしれないということがあり得るわけであります。そうなりますと、十五箇月以上にわたると申し得るのであります。積極的な面と申しますと、これは先月二十九日、對日理事會で最高司令官の意向として、五箇月以内に引揚げを完了し得る用意がある。これの成立する條件は、ただソ連當局がこの總司令部の意向に同意することにあるというその一點にかかつておるのでありまして、もしソ連側がこの五箇月以内に送還を完了するという申入れに同意した場合には、引揚げの期間は短縮されまして同意した時から、おそらく五箇月以内に完了し得るものと言い得るのであります。ただその消極的な面と積極的な面は、いずれもソ連側の意向ないし判斷によるものでありまして、ただいまのところ、政府側といたしまして、いかようになるかということは、確定的には申し得ない状況でございます。
#19
○磯崎委員 ただいまのソ連未歸還の同胞に對しましては、むろん先般の對日理事會における厚意ある聲明等もありましたが、ソ連の意向ということに對しまして厚意を待望しておいでになるが、やはりこれらの問題は、政府がいかに現在のような外務當局の形であろうとも、向うから發表せられますまでもなく、相當強く要請してその實現をはかるように願いたい。始終同胞からいろいろの要請が各地において熾烈に行われておりますが、その方面の意向は、どうも外務當局がこの問題について無關心であるというような形にいつておるのであります。また政府當局も無關心であるといつておりますが、これはひとつ向うの徳義にまつとか、そういうものではなくて明らかにポツダム宣言の規定するところによつて強く要請して、政府が先頭に立つて一日も早く歸還を促すということにお力添えを願わなければならぬ問題であると思つております。この點を特に當局で心に體して、絶大なるお力を願いたいと思つております。
#20
○松本政府委員 ただいまのお言葉は、十分考えまして今後一生懸命やります。ただ政府の努力というものは、御承知のごとくあまり新聞に出ないのであります。特に對日理事會、あるいはシーボルト議長あたり、もとのアチソン議長あたりとも、しばしばいろいろの折衝をいたしまして、この問題に關しては、許される範圍内に精一ぱいやつておるということは、申し上げ得ると思うのでありまするが、なお今後とも一層の努力を拂いまして、御期待に副うようにいたしたいと思います。
#21
○船田副主査 磯崎君、大體御質問はよろしゆうございますか。――それでは苫米地英俊君。
#22
○苫米地(英)委員 ごく簡單でございますが、終戰事務局が内閣に移管されるといううわさがありますが、それは事實でございましようか。
#23
○松本政府委員 いろいろ客觀情勢も變つてまいつておりますので、終戰連絡事務局の機構改革の問題に關しましては、目下研究中であります。もちろん發表の時期には達しておりませんけれども早晩何かの形において、内部の多少變更があるだろうということだけは申し上げておきます。
#24
○苫米地(英)委員 その點につきまして伺つておきたいことは、この終戰事務局が内閣に移ることがいいか、外務省の手に殘ることがいいかという點であります。どうも從來の例を見ると、内閣直屬というと、非常に名義がよくて、力強く物が運行するように印象を受けるのでありますが、現實はこれと反對に、内閣に屬すると非常に弱體化してしまつて、ほんとうの仕事をやつておらぬということが間々あるのであります。これは外務當局としては、ちよつと意見を御發表になりにくいかと思いますが、外務省としてのお考えを承りたいと思います。
#25
○松本政府委員 仰せのごとく、外務省といたしましては、この問題に關しまして、總理廰に移管する方がいいとか惡いとかいうようなことを述べることは、はなはだ困難なのでありますが、しかしただいまの御意見を十分參酌いたしまして、今後機構改革に努力することにいたします。
#26
○苫米地(英)委員 もう一つ伺つておきたいことは、どうも現實を見ますと、終戰連絡事務局が出發したときと、動き方が非常に違つておるように見えるのであります。初めのときには、渉外事務はすべて終戰連絡事務局を通じてやるということになつておつたようでありますが、いろいろの事情も了承いたしておりますが、その後各省がてんでんに直接折衝をやつておる。そのために各省の言うべきことがまちまちになつておつて、どうも統制がとれない。そのために政策面にいろいろ惡い影響を與えておるように、私ども感じておるのであります。今度の機構改革にあたりましては、やはり一本でいく考えでありますか、もしくは現在のように各省ばらばらで、終戰連絡事務局を通さなくていくというようなことになるのでありましようか。どつちの方向に向つておりましようか、それを伺つておきたいと思います。
#27
○松本政府委員 仰せのごとく、終戰直後に終戰連絡中央事務局ができましたときには、ほとんどすべての問題を終連を通してやつておつたのでありますが、だんだんと司令部との折衝事務等が煩雜になりまして、各省におきましていろいろ渉外部等を設け、あるいは課を設けてやつておつたことは、事實であります。しかしだんだんとまたこれか擴がつていくにつれて、統一のとれない點もございますので、できることならば、何かの形によりまして、各省個別的に折衝することもたいへん結構でありますが、また一方これを統制するの連繋をよくとる意味の統制の何かの機構改革が必要ではないか。これは今後十分考慮に入れまして、案を練つておる次第であります。
#28
○苫米地(英)委員 御説明を伺いましてまことに安心いたす次第でありますが、現在ある各省の渉外課というようなものをこしらえていきますことは、經費の上から申しましても、また國策の上から申しましても、私どもはどうも賛成できないような氣がいたしますので、どうかこの點を十分御努力くださいまして、統一がとれるようにやつていただきたいという希望を申し上げておきます。
#29
○松本政府委員 數々の御意見、十分參酌いたしまして、そうして一生懸命努力いたしたいと存じます。
#30
○船田副主査 ほかに御質疑はありませんか。――それでは外務省所管の審査を一應終ります。
   ―――――――――――――

#31
○船田副主査 續いて文部省所管に移りたいと思います。
 それではこれより本分科會の文部省所管の審査に入ります。昭和二十二年度一般會計豫算補正第七號及び第八號中、文部省所管豫算各案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。森戸文部大臣。
#32
○森戸國務大臣 昭和二十二年度文部省所管の補正豫算の大要につきまして御説明申し上げます。
 昭和二十二年度文部省所管の補正要求額は、追加額十六億二千四百十六萬四千圓、修正増加額一億五千三百九十萬七千圓、修正減少額一億五千九百七十五萬圓、修正差引減少額五百八十四萬三千圓、差引補正額十六萬一千八百三十二萬一千圓でありまして、これをすでに成立いたしました昭和二十二年度豫算額と、今次の國會において成立しました昭和二十二年度豫算追加額との合計額、四十九億七千八百五十一萬二千圓に加えますと、六十五億九千六百八十三萬三千圓となるのであります。
 今、追加または修正を必要とする事項について申し述べたいと思います。第一は新制中學校整備等に必要な經費であります。公立新制中學校の明年度自然進級によります増加生徒に對する不足設備費を、地方公共團體に補助いたしまする等に必要な經費五千六百八十九萬四千圓を文部省學校教育局に、二十一萬二千圓を文部省教育施設局に、四萬八千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第二は、財政法及び會計法制定施行に伴つて會計事務を處理するに必要な經費であります。財政法及び會計法制定施行に伴つて、會計事務を處理するに必要な經費三十八萬二千圓を文部大臣官房に、百六十九萬一千圓を帝國大學に、百十七萬九千圓を官立大學に、千四十四萬五千圓を直轄諸學校に、三十九萬六千圓を帝國學士院外八部局に、千三百八十九萬五千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第三は、東京帝國大學天文臺の分秒報時受信の實施等に必要なる經費であります。東京帝國大學天文臺及び測地學委員會において分秒時報及び受信を實施するのと、天文臺の大赤道儀の應急修理をするとに必要な經費八十七萬圓を東京帝國大學附置天文臺に、二十八萬二千圓を測地學委員會に、六十二萬一千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第四は、職員の待遇改善に必要なる經費であります。政府職員の待遇改善をはかるため四億四千五百九十九萬二千圓と、地方公共團體職員給與措置費を補助するため二百四十七萬三千圓を、行政共通費に追加豫算したのであります。
 第五は、小學校及び新制中學校教員の待遇改喜に必要なる經費であります。小學校及び新制中學校教員の待遇改善費を、地方公共團體に補助するに必要な經費九億五千二十二萬一千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第六は、日本育英會補助の増加に必要なる經費であります。日本育英會職員の待遇改善のための經費を補助する等に必要なる經費六百九十三萬四千圓を、文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第七は、大學院特別研究生の待遇改善に必要な經費であります。大學院特別研究生の待遇改善をはかるため千七百八十五萬三千圓を、行政共通費に追加豫算したのであります。
 第八は、直轄の大學及び學校附屬病院の運營等に必要なる經費であります。直轄の大學及び學校の附屬病院において、醫藥品、燃料等の値上りに伴つて必要な經費二千五百一萬一千圓を帝國大學に、千百五十四萬三千圓を官立大學に、三百四十三萬四千圓を直轄諸學校に、また松本醫學專門學校の皮膚泌尿器科の擴充に伴つて設備品を購入する等に必要なる經費五十萬圓を、直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第九は、直轄の大學及び學校の農場及び演習林の運營に必要なる經費であります。直轄の大學及び學校の實習農場及び演習林において、人夫賃、肥料及び運搬費等の値上りに伴つて必要な經費千百四十二萬七千圓を帝國大學に、百二萬二千圓を直轄諸學校に、六十三萬二千圓を行政共通費に追加豫算したのであります。
 第十は、直轄の大學及び學校の研究費の増加等に必要なる經費であります。直轄の大學及び學校において研究用資材の値上りに伴つて必要な經費二千三百六十八萬一千圓を帝國大學に、五百八十二萬四千圓を官立大學に、七百十三萬四千圓を直轄諸學校に、また民間研究機關の研究事業を助成するのに必要な經費四百萬圓を、文部省科學教育局に追加豫算したのであります。
 第十一は、教材調査委員會の設置等に必要なる經費であります。教材の基礎的資材の檢討及び教材の適否についての研究のため、委員會を設置する經費十萬圓を文部省教科書局に、また教育基本法の趣旨を徹底させるため、講習會を開催する等に必要な經費十五萬二千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第十二は、直轄の大學及び學校職員の特別旅費に必要なる經費であります。直轄の大學及び學校職員の赴任旅費、本省への事務打合せのための旅費に必要な經費百五萬一千圓を帝國大學に、六十一萬三千圓を官立大學に、四百六十七萬四千圓を直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第十三は、大學基準協會に加盟するため入會金等に必要なる經費であります。直轄の大學が大學基準協會に加盟するための入會金及び會費に必要な經費五十四萬圓を帝國大學に、十六萬五千圓を官立大學に追加豫算したのであります。
 第十四は、鹿兒島水産專門學校の實習船補修等に必要なる經費であります。鹿兒島水産專門學校において實習船を修理し、冷凍裝置を設置するのと、函館水産專門學校の練習船を修理するのと、福井工業專門學校紡織科の設備品を購入するのとに、必要な經費百九十五萬圓を、直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第十五は、東京高等學校の土地購入等に必要な經費であります。東京高等學校において專用道路を新設すため民有地を買收するのと、長野女子青年師範學校の寄宿舎用建物を買收するに必要なる經費十九萬八千圓を、直轄諸學校に追加豫算したのであります。
 第十六は、行政監察委員會及び同事務局を設置するのに必要なる經費であります。行政監察委員會及び同事務局を設置するのに必要な經費十萬圓を、文部大臣官房に追加豫算したのであります。
 第十七は、罹災學齡兒童生徒に對する學用品の給與に必要なる經費であります。昭和二十二年七月及び九月の暴風雨のため罹災した學齡兒童生徒に對して學用品を給與するため、地方公共團體に、補助する等に必要な經費千二萬五千圓を文部省學校教育局に追加豫算したのであります。
 第十八は、義務教育費の國庫負擔金の組替えであります。文部省學校教育局、教育文化費の部、國民教育費の款、義務教育費國庫負擔金の項中に計上してある負擔金のうち、國民學校高等科教員の分一億五千二百七十七萬九十圓を、新制中學校の設置に伴つて、同部、學制改革費の款、教育費の項に組替え修正したのであります。
 第十九は、教育施設局設置に伴う既定豫算の組替であります。文部省教育施設局の設置に伴つて、文部省大臣官房、行政部費の部、文部本省の款、文部本省の項中に計上してある建築營繕等に關する經費百十二萬八千圓を、文部省教育施設局の同部、同款、同項に組替え修正したのであります。
 第二十は、國立博物館設置に伴う文部本省等の經費の減少であります。國立博物館設置に伴つて、文部省社會教育局の事務の一部を移しかえたため、七十二萬二千圓を文部省社會教育局において、また美術研究所官制廢止のため、二十九萬三千圓を美術研究所において、既定豫算より減少したのてあります。
 第二十一は、豫防衞生研究所設置に伴う東京帝國大學傳染病研究所の經費の減少であります。厚生省所管の豫防衞生研究所の設置に伴つて、東京帝國大學附置傳染病研究所の機構を縮小するため、三百九十八萬二千圓を帝國大學において、既定豫算より減少したのであります。
 第二十二に、長崎醫科大學附屬醫學專門部の廢止等に伴う經費の減少であります。長崎醫科大學附屬醫學專門部廢止に伴つて、特設高等學校を設置するため八十萬九千圓を官立大學において、また徳島醫學專門學校において、生徒募集の停止に伴つて特設高等學校を設置するため三萬七千圓を直轄諸學校において、既定豫算より減少したのであります。
 以上は文部省所管におきまする昭和二十二年度補正豫算の大要につきまして御説明申し上げました次第でございます。何とぞ御審議の上御協贊あらんことを希望致す次第であります。
#33
○船田副主査 文部大臣の説明に對しまして、御質疑がありましたら、時間の關係もありますので、なるべく簡單に御發言願いたいと思います。
#34
○磯崎委員 まずお尋ねいたしまするが、六・三制の豫算に對しまして、當初三十一億二千萬圓という數字を發表せられ、それによつて各地方關係者へお示しになり、町村の方ではそれによつてすでに著工までしておるという事態を來しているのでありますが、これは豫算技術上、事前においてすでに當局は相當の御決心をもつて、こうした内示をなすつたものと思われるのですが、この間の事情をお示し願いたい。
#35
○森戸國務大臣 この問題につきましては、實は文教委員會竝びに豫算委員會の總會でもお話申し上げたのでございますが、内閣は七月十五日の閣議で六・三制、新制中學のための費用を三十一億、うち國庫負擔約十四億というものを内定いたしたのであります。しかし、これはあくまでも内定でありまして、追加豫算の審議が進んだ後に確定されるものであつたのであります。しかし他面冬季に際しまして、寒冷地帶における非常に惡い假教室や、二部教授の生徒を收容する教室のことを考え、なお來年度の自然増加する新制中學の生徒に對する教室については、來年度にやつては間に合いません、今年度にできるだけ早く著工する必要がありましたので、實は豫算が最後にきまるまで待つて内示したのでは間に合わないというような事態があつたのであります。そこで文部省といたしましては、責任をもつて、實は八月と十月と、二囘にわたつて道府縣に割當額を内示いたし、道府縣はさらに市町村に割當を内示いたしたのであります。しかしこれはあくまでも内示でありまして、豫算の決定によつてはこれと異なるものがあるかもしれないという條件のもとにおいてであつたのであります。しかし地方によりましては、その割當額がほぼ確定的のものであらうという豫想のもとに、事業に著手したものも相當あるのであります。それで、追加豫算の審議の進行で、私どもはこの額が盛れるものと考え、また盛れるように努力をいたしておつたのでありますが、一面資材等の關係で、當初考えられた公共事業費に對する約八十億というものが、だんだんとそうはいかぬことになつて、五十二億ぐらいのところにおちつかざるを得ない事態にあるのと、もう一つは、その後に私どもまつたく豫想しませんでした例の關東の水害がありまして、それの復舊のために、緊急に相當額の費用を要求されることとなつたのであります。水害復舊竝びに救濟のために二十五億という金額が要求されることになつた、まつたくこれは豫期せざるところでありました。公共事業に充てられたわく約八十億というものが五十二億となり、他面この緊急の公共事業の資材を必要とする費用が豫期せざる形で必要となりました事態から、六・三制の問題において非常な困難に逢著いたしたのであります。私どもは、現内閣が六・三制を行うという建前で、最小限度を十四億と定め、しかもこれが内示された事態であるから、できるだけこれが實現されるように努めましたが、同時に水害の復舊という緊急の事態があり、これができなければ、また水が出れば民家が流され、田畑も流されるということも十分考慮に入れなければならないという事態で、愼重審議をいたしましたが、なかなか議がおちつかず、遂に總理の裁定によりまして七億ということになつたのであります。これは最小限度と考えたものの、約半額でありまして、これでは、なかなか十分なことができないのは明らかでありますが、しかし、七億ということは、とりあえず七億ということになりましたので、私どもは、資材の状況等を考えて、今後、あるいは追加豫算の形になりますから、豫備金の支出という形になりますから、何らかの形で、殘りの額は補足していくように、最善の努力をいたしたいと考えておるのであります。そうしてそれによつて事業を始めた地方が迷惑をこうむるようなことはいたしたくないつもりでおりますし、また、殊に地方が早く著手したために、それだけ損をするということは、斷じていたしたくない考えでおるのであります。
 なおこの點で申し上げておきたいことは、一應七億ときまつたということは、一面からいいますと、非常に不十分ではありましたが、他面からいいますと、このような事態であるから六・三制はやめたらよかろう、あるいは當分延ばしたらよかろうという考えも、世上には相當にあつたのでありますが、政府はかような考えに立つものでなく、この窮乏の間にも六・三制はやつていこうということで、重要な災害復舊費等と同列の重要さを認めながら、六・三制を實現していこうという意圖を明らかにしたということも、御了承願いたいと思うのであります。そうしまして、この七億がさしあたり確定されたものであつて、われわれは不足額を最善の努力を盡して現實のものといたすという一方、他面地方債の十七億というものも從來通りこれを認めていつて、各地方でその額を起債その他の方法で調達され、どうしてもできない場合は國庫、預金部で最後には引受けるという考え方は、從來と變りないのであります。かような事情で、またかような状況に六・三制の豫算があるということを御了承願いたいのであります。
#36
○船田副主査 磯崎君にちよつとお諮りいたしたいと思いますが、海野三朗君がほかの分科會の御都合でごく簡單に質問なさつて御退席になりたいという御希望がありますので、御了承願います。
#37
○海野委員 學術振興會の豫算、それから民間の財團法人の研究所、それから各學界に對する豫算がはなはだ少い。こんなことでは私は實に納得できないと思います。何ゆえであるかと申しますと、この學術振興會、各大學の研究費――今どういうことを大學がやつておるかと申しますと、手取早いことを一、二例をあげて申し上げますならば、たとえば鑛石を掘るところの鑿岩機、これを私は實際鑛山に行つて見たのでありますが、鑿岩機が一時間經たないうちに丸まつてしまつて掘れない。それを何度も何度も燒き返えし燒入れしながらやつておる。それはその材質というものを少しも考えずに、ただ機械的にやつておる現状であります。しかるに東北大學の金屬材料研究所におきましては、この鑿岩機の權威者がおり、鑿岩機に對して非常な研究を續けておるのであります。そういう産業の基礎であるところのこの研究技術、そういう方面のもとであるところのこの學術振興會、それから各大學の研究所とか、あるいは民間の研究所とかいうところに力を入れないで、今國の豫算のつじつまを合わせようとしておるのでありますが、物が足りない、つまり家を建てるにいたしましても、かんなや、のこがあつたといたしましても、そのかんながなまくらのかんなでありましたならば、ろくな家が建つはずがないのである。この學術振興會なり、各學界なり、學者のやつておりますことは、そのかんなを磨くことをやつておるのであります、のこの目立てをすることをやつておるのであります。このことに力をもつともつと注がないでは、日本の産業の再建はおろか、産業の破壞であると私は思うのであります。この點につきましては、文部當局におかれまして、いかなる所信をおもちになつてこの豫算をお立てになつたのでありますか、もつともつと私は豫算が要ると考えているのでございますが、御所見を伺いたい。産業の再建とか、あるいは日本の經濟が危機だとか何とか言いますけれども、それを建て直すところの根本は文部省が握つているのである。この學術振興會には、學者、技術者が集まつている。かんなをいかにして磨くか、のこをいかにして目立てするか、そういうエキスパートがたくさんおつて、そうして研究してもらつてこそ、初めてりつぱな家が建つのに、今の各學界なり大學なりを見ますと、ほんとうに生活に困つて、研究費さえもないから、いろんな他の仕事もやりつつある現状であります。この點に對しまして、文部大臣の御所見、御信念を伺いたいと思います。私はこれ以外に文化日本の建設はないと思う。たとえば農學部におきましては、學會が十五もありながら、その研究報告を出しているのは、たつた二つの學會しかない。最近におきまして、これは傳研の所長から私は聽いたのでありますが、つつが蟲というものは山形縣と新潟縣とがその産地であるというように考えられておりました。このつつが蟲にかかつた者はほとんど生命を失つてしまう。ところがこのたびの戰いによりまして、南方方面、太平洋方面には、到るところにこのつつが蟲がいるのであります。ブーゲンビル島に上陸しましたところの兩軍の兵隊が、どんどんこのつつが蟲に倒れている。これを進駐軍の方では一生懸命に調べました結果、つつが蟲であるということがわかつて、つつが蟲の研究はすでに日本においてはやつているということで、非常な驚異の眼を見張つている。何ゆえに日本はこれを發表しないのであるかという質問であります。これに對して傳研の所長が、發表することもできないのである、紙がないのであるというように答えているのであります。これを思いますと、文化日本の建設と申しましても、他の方面では日本は一人前ではないのだ、ただ一人前として立ち得るのは學問の方面、科學の方面である。それを考えると、何をおいても、今、文化日本の建設に第一に必要なのは、この研究方面である。大學の學者、民間學者を總動員して起たなければ、産業の再開はできない、こう私は考えるのでありますが、文部大臣の御所信を伺いたいと思います。
#38
○森戸國務大臣 科學技術振興に對して、文部省はどういう考えをもつているかということでございます。日本の再建にあたりましては、殊に文化國家をめざす日本といたしましては、一方文化が外面的に擴がつて、いわゆる民主化が行われるという方面と、他面では文化の水準が高まるということに、重點がおかれているのであります。先ほど御質問になりました六・三制等は、文化の擴がりの面でありますが、同時に私どもは、文化が國民的に擴がるのみならず、文化の水準が高まらなければならぬと存じておるのでありますから、高等諸學校、殊に大學におきましては、文化の水準を高めるという意味での研究は、あくまで推進していかなければならぬと存じております。殊に自然科學と技術の面におきましては、日本の經濟状態は資源が乏しく人が多い。日本におきましては、根本的に經濟的の見地からいいましても、科學技術を振興しなければ、經濟的の再建というものは、非常に困難であると考えております。この面からも殊に自然科學技術の水準が高まるということが、國の文教政治の大きな目標でなければならぬことは、まことに御質問の通りであります。かように考えておるのでありますが、同時に、政府竝びに民間の研究團體竝びに研究者に對する國家の補助が不十分であるということは、私としても、まことに遺憾に存じておるのであります。民間團體におきましては、殊に戰爭の結果研究所が破壞され、あるいは資金が凍結されたような事情もありまして、なかなか研究がうまくまいつておりませんし、官立の研究所等におきましても、いろいろな事情で、經費においても、資材の調達においても十分でございません。私どもは、かような研究竝びに研究團體等の補助に豫算を組んでおりますけれども、なかなか必要の額に達しておるとは申されないのであります。しかもそのわずかな額が平均的にわけられますために、實際に得られたる補助では、何ともできないという所も多々あるやうに聞き及んでおるのでありまして、こういう點は今日の財政と見合いながら、急速に改めていかなければならぬと存じております。ただ私どもかように科學技術の振興ということが、日本の經濟と、また日本の國家の再建のために、これは特に理學等において言うのでありますが、非常に必要であると思いまして、それに對する十分な費用を求めておるのでありまするが、他面日本の經濟、殊に財政の實情がそれを滿たすことに困難であるという事情も、今日の事態ではまた御了承願えると存じておるのであります。かような事情を十分考慮に入れながら、私どもは殊に日本の再建が科學技術に負うところ、すこぶる多いということを十分存じておりまするので、海野委員の御指摘になつて方向において、私ども文教の衝に當つておる者は、最善の努力をいたしたいと存じておる次第であります。
#39
○磯崎委員 先ほどの大臣の御答辯で、責任をもつて、豫算の不足を生じました分のことに對しまして、お力添えを願えるという御言明を得まして、ぜひひとつ大臣が全力をその點にお盡しを願いたいということで、その質問は終ります。
 今、海野さんからお話の、科學教育の問題でありますが、實はこの問題は、敗戰後において特に各方面から、科學技術の進行によつてのみ日本が今後平和國家に向い、世界に先進し得るということに考えておるのであります。昨年の議會におきましても、衆議院において滿場一致でその問題の決議案が通過しました。その後各種の委員會においても、この問題が最も重要とされたるところの議案であつた。その結果としまして、文部當局も大分その方面にお力添えを願つて、現に科學教育家方面において、科學教育委員會というようなものをつくり、民間の者も相まぜまして、學界のエキスパート等によつて一つの會ができております。ところで、實に遺憾に思うことは、豫算面においてはもちろん取るに足らざる豫算である。これでどうして衆議院の院議をもつて可決しました要望が達せられるかどうかというふうに考えておるが、さらに一方その委員會でさえ、ほとんど開店休業で、會議をお開きになつたことが、おそらく一囘か二囘だつたと心得ておりますが、ほとんど今日は休業しておいでになる状態である。こうしますと、大臣はなかなかこの方面にお力添えを願つておるのでありますが、やはりそうした方面の實際面にはいりますと、まことに事志と違つた現實の問題になつてくる。現在食糧で、大分日本人も苦しんでおる。農林當局では、おそらく百八十萬トン程度の輸入を懇請しなければ、自給できないということでありますが、そこで科學の進行によつて、この問題は私はおそらくその年度において解決し得る。と申しますのは、どういたしましても、日本の食糧の不足は、今さつまと馬鈴薯、この問題を解決すれば、おそらくここ一年の間に解決するという深い自信をもつております。この方面は、肥料はそう必要でなくて、いわゆる自給肥料で事が足りるというのと、栽培の技術を高植栽培にすることによつて、相當の増産を期待し得ることと、旱害とかいろいろなそうした被害が少くて安全作であるというようなことや、そこに一つの簡單な栽培技術をやりますれば、現在の段當收穫の倍くらいの飛躍的な收穫をあげ得る。昨年は十四億八、九千萬貫ということでありますが、それが倍の三十億貫になる。かりにその通りにいきませんで十億貫殖えたにしましても、不足であるところのいわゆる百八十萬トンは、大體これによつて滿たされるということになります。ただ遺憾なことには、甘藷は腐敗しやすいから腐敗しない技術を各所でエキスパートが研究しておりますが、要するに生で供出しないで一部を澱粉で供出する。それは地下四尺以上掘り下げて生芋をある一つの簡單な機械で澱粉化すれば、半年でも一年でも腐敗しないでもつ、そうして輸送力も平均化できる。そういう生芋でなく供出すれば、平均的に不足は補えるというようなことで、引續き科學者が血みどろな研究もしておる。そんな卑近な問題でさえ解決し得る。要するに當局が熱意を施してくだされば、この問題は大きな國家再建に役立つことでありますから、ぜひこの問題について、毎年われわれが口頭禪をもつて申し上げるだけでなく、實現をしていただきたい。それには、ぜびひとつ文部大臣が先頭に立つて、この豫算の適正なる増額をして、その振興をはかつていただきたいというふうに要望しておきます。
 いま一つは、現在盲唖學校がございます。そこで盲人が鍼灸の教育を受けているのですが、最近そうした方面に對して、ある學會の方からは異議が唱えられておる。盲人に鍼や灸やそうした方面の非科學的なものをやらせるのは危險であるというような聲さえあつて、大分問題を起しておりますが、しかし、この問題は、文部大臣としまして、鍼灸というものについては、學術的にどういうふうにお考えになるか。これは盲人にやはりそうした技術を授けさせて、いわゆる獨立自營の途を得させるという意味において、學校における重要な課目であり、社會に立つてそうしたものによつて、みずからその方面で自活の途を講するようにすることが適當であるというふうにお考えになるかどうか、その問題もひとつお答えを願います。
 さらに六・三制に伴つて、先生が大分素質低下になつております。先ほどお話のごとくに、幅をお擴げになつたが、質においてかえつて低下して、まことに憂うべき情勢にありますが、先生の問題について、いかなる對策をもつてこの裏づけをなさんとするか、さらに資材の面において、教科書のごとき、ずいぶん不足を感じております。最近になつて一册か二册の國語の本が子供に渡つたというような悲しむべき現状であります。こうした問題について、どういう御確信をもつてそれの缺點を滿たさんとなさるか、その點についてのお答えを願います。時間がありませんから、簡單にそれらの點について御答辯をお願いいたします。
#40
○森戸國務大臣 御質問の技術の振興に對してのお考えは、まことに御同感でございまして、食糧對策の點においても、科學技術の研究というものが、いかに今日の問題を解決する上に重大な意義をもつておるかということは、まことにその通りであります。食糧問題に限らず、國民生活全般にわたつて科學知識が滲透するように、他面においては、その科學研究の水準が高まるように、最善の努力をいたしたいと存じております。私どもは文化がただに擴がるというということに止まつてはならぬ、文化が高まるように最善の努力をいたさなければならぬと存じております。
 次に盲人の鍼灸の問題でございまして、最近盲人、唖者等、殊に盲人にとつては重大な問題となつておることを承つております。ただいま鍼灸という問題は、醫學的の見地から十分に檢討せらるべきものであり、その次には、何人がこれを行うのが適當であるかという問題がございます。他面またこれらの不具者の職業教育の一面からも、これを考えなければならぬ。というのは、長い間これらの不具な人々の生活を立てる重要な方便として、これらのものが職業化されてまいつたという事實があるのであります。これは關係方面、殊に厚生省と十分な連絡をとりながら、この兩面の立場から、この問題を十分に解決していきたいと存じておりますが、まだ具體的な結論には達しておらないのであります。
 第三には六・三制の實行に伴う教室以外の問題についての御質問でありまして、一つは先生に對する素質の低下というものも想像されるがどうかというお話で、至極ごもつともなのであります。私どもは、ただ學校の看板が變るということではなくして、學校の本質が變つていかなければならぬ。本質の變るということは、教室ができるのではなくして、特に先生の素質がよくなることでなければならぬと存じておりますが、他面建物はすぐに建てかわりますけれども、先生の素質を急に一變させるということは、なかなかむずかしいのでありまして、私どもは現におられる先生については、一面不適格者を淘汰いたしますとともに、適格者はいずれ嚴格な資格の檢定をいたしまして、本免状をお渡しするのでありますが、それまではただいま假免状を差上げておるのであります。そうしてそれらの人々には政府としても適當な――たとえば先ほどの再教育講習會のようなものを順次設けてまいりますし、また先生方御自身も殊に教職員組合のような團體的の力、あるいは所によつては教育會というようなものによつて、みずから新しい教育に副うように自己教育をしていただきたいと存じておるのであります。
 なおさらに現在の先生のことはそれといたしまして、將來の先生につきましては、中小學の先生も、私どもの目的とするところは、皆大學を出た人が教育に當つてもらうようにいたしたいと思つておりまして、それがために教員養成の機關について私どもに考究をいたしておりまして、これも遠からず具體的な案を得られるものと存じております。
 なお教科書の點も、殊に本年度はいろいろ遲れまして、子供たち、先生方に御迷惑をかけたことを非常に殘念に思つておつたのでありますが、しかしただいまでは大體教科書はできまして、いろいろな事情で今手にしていないものもありますけれども、これもやがて得られるものと存じております。ただ紙が十分でありませんために、餘裕のある部數を刷れなかつたことのために、外地から歸還された子弟等があつて、豫定數より子供が非常に殖えた所、あるいは疎開地から歸還して非常に生徒數が殖えたという所では、不十分なところがありますし、また水害で家を流されたために教科書を失つた子供には、教科書が得られませんが、これらの子供のためには、ただいま教科書をあとから増刷りをいたしておるよううな次第であります。今年度はいろいろな理由で編纂が遲れたり、また紙が足らなかつたり、印刷が思うように運ばなかつたり、配給その他も思うようにならず、また中學の場合には、生徒數もあらかじめはつきりわからなかつたような事情で遲れましたが、來年はそういうことがないように、大體段取りをつけておりますし、紙の點でも來年度の教科書については、今年のようなことのないような段取りをつけられておりますので、來年は今年のようなことはなく、適時に子供に教科書が渡ることを期待しておるのであります。ただ本年の不十分であつたことについては、私どもはなはだ遺憾に存じておるのであります。しかし、それもただいまでは、全體としては克服されまして、例外的なごく少數の人々に教科書が屆いておらぬという事態でありまして、これも不日屆くことになると存じておる次第であります。
#41
○磯崎委員 ただいま教科書とか、そうしたものの配給が大分遲れておりますが、さらに最も困つておる事實は、ノートとかそういう必須資材がまことに不如意でありまして、しかも街頭にはやみでたくさんあるのであります。とにかくそうしたものが正當なルートから來ていない。そこで各家庭において小學校に子供を入れるについては、千圓から千數百圓の金がなければ、國民教育に入門できないような形になつておりますので、これらの必須資材については、特にお力添えを願つておきたいと思います。
 いま一つは、貧困家庭に對する補助が、從來は多少あつたのでありますが、今後こうした現實から、さらに一段とそうした方面に多くの額を要請されるのではないかと思いますが、これらについて大臣のお心構えを伺つておきたいと思います。
#42
○森戸國務大臣 その點まことに御同感でありまして、教科書その他學用品が十分に參りませんために、やみの品物を高く買わなければならぬということでありますれば、國民教育と義務教育の本來無償であるべきものが、ただいまおつしやつたような金額を各家庭で必要とされるということはまことに遺憾なことと存じております。殊に教科書あるいはその他の必需學用品というものは、ある意味では主食にもひとしく、あるいは精神的な副食物にもひとしいものでありまして、これらのものは、私どもも何とかして優先的に資材を得て、生徒に配給されるように最善の努力をいたしておるのであります。そしてその點においては、だんだんとその妥當性が認められ、安本、商工省等でも、そういう線に沿つて資材の割當を行うという傾向にありますので、十分とは參りませんが、最小限度のものを確保いたしたいと存じている次第であります。
 なお學校に子供をやるために、家庭が生活に困るということも、まことに同情にたえないのであります。從來は奬勵金があつたのでありますが、生活保護法ができ、生活保護法にそれがまわされて、それによつて生活の最小限が確保されるということになつておるのであります。ところが、そのお金は必ずしも子供を學校にやるための費用に使われず、せつぱ詰つた生活ですから、ほかの方に使われている事態でありますので、一般的に生活保護法にもつていくのがよいか、あるいは就學している子供に對して從來のように特別な金を拂つて保護していくのがよいかという點については、私どもは財務當局ともよく話しをして、考え直したいと考えている次第であります。
#43
○苫米地(英)委員 六・三制の問題について、もう一應伺つておきたいのでありますが、先ほどのお話でも、また各所でもたびたび伺つておりますところの、追加豫算もしくは豫備金から支出して十四億程度ということでありますが、それがいつごろ確定的になるか、これをはつきり承知したいのであります。大臣の先ほどの御説明を伺いますと、七月十五日の閣議の内定によつて、氣候の關係から寒冷地等における普請は急がなければならないから内示したのだと言われ、私もそのことはよく了承しております。しかし、そのあとの八月及び十月と二囘内示したけれども、これはあくまでも内示であつて、變更することあるべしというのに、氣早く工事にとりかかつたのだというお話は、非常に矛盾していると思います。本省でお考えになつたように、氣候等の關係で急がなければならないがゆえに内示した、内示したがゆえにとりかかつた。しかし内示はどこまでも内示であり、こつちの責任ではないというお考えは、非常に矛盾があると思います。私がいつごろ確定されるかということを伺いますのは、寒冷地等においては、すでに内示に從つて工事を進めておるのでありますが、この間に非常な物價騰貴が起つて、初め坪五千五百圓という見積りであつたのが、現在では坪八千五百圓もかかる。從つて起債を許されているものも、坪三千圓程度増加しなければならないという實情にぶつかつておるのであります。ところがこの年末の財政資金の放出とか、また遞信省、鐵道省等において本年度中に發行しなければならない公債も相當額政府は計上しておられる。また政府支出と歳入とのずれというようなものから、インフレの進行がますます早くなつて來ることは必然であると思います。從つてこの工事が一日でも遲くなればなるほど、地方財政は非常に困窮してくる、そして國家財政も危くなつてくる。そこでこれは近い將來にというようなお考えでなしに、もつと明確に、いつごろにはつきりするのだということを伺つておきたいと思うのであります。
#44
○森戸國務大臣 苫米地君のお話で、内示してからまた變つたということは、はなはだ矛盾するではないかということでありますが、その通りであります。しかし大體内示というのは、事態が平常に動けばそうなるということでありまして、文部省としても責任をもつて、これはある點それと違つたことがあるかもしれぬということは考えに入れながら、發表したのでありますし、地方においても、あるいは違うこともあるかもしれないけれども、それでもやろうという熱意があつたものと考えられるのであります。しかしそれによつて、私どもは矛盾があるが、責任を囘避しようというのではなく、最善の努力をしてその線にもつていこうと考えておるのであります。それでは一體いつそうなるか、はつきりしろというお話でありますが、これはいろいろな事情から、實はいつそうなるとはつきり申し上げられないと申した方が、適當ではないかと思うのであります。實はただいま追加豫算が審議されておりまして、それがどのようにか確定するより早く、そういうことはあり得ないのでありますし、それができた上でいよいよ足らぬということが明かになり、そして資材等の十分の見透しがついた上で、初めて問題が取り上げられる。また他面においてはわが國の財政状態における餘裕ということも考慮に入れねばなりませんので、從つてその期日をあらかじめ申し上げることは、殘念ながらできない事情にあります。私どもといたしましても、これはできるだけ早くはつきりといたすことが、地方にとつて非常に有利であることは、よく存じておりますけれども、ただいま申したような事情で、はつきりと今日から明示いたすことは、できないのであります。しかし私どもは補給額を豫算的に獲得するように最善の努力をいたして、地方が計畫を立てて實行されたことが、國家の裏づけのない地方の負擔となるようなことにはいたさないということを考えておる次第であります。
#45
○苫米地(英)委員 大臣の御苦心のほどはよく察しますけれども、期限が延びるということは、ただ期限が延びるのではなくて、地方財政に赤字が出てくることなんです。そこで赤字が出てくるのであるから、今のところ明確におつしやれないという事情もわかりますが、大體において、いつごろまでにはこれを決定したいというようなお見透しはあるだろうと思うのですが、その點はいかがでしようか。
#46
○森戸國務大臣 大體と言われますならば、年度内にはできるというふうに申し上げるよりほかはないと思うのであります。實は苫米地委員からも申されたように、インフレーシヨンの進んでおる時ですから、できるだけ早く渡ることがよいということは、私も重々承知しておるのであります。しかし諸般の事情から、今日それをあらかじめいついつまでにということは、申し上げにくい事情にあることを、御了承願いたいと思うのであります。
#47
○苫米地(英)委員 年度内にというのは、これは私ははなはだ了解いたしかねるお話なのであります。それは先ほども大臣は、來年度から足りなくなつて實施するのであるから、遲れては困るから内示したのだ、來年になつたのでは間に合わないと、こうおつしやつておるのです。そこで來年の三月になつてこれがきまつたのでは、大臣の初めのお考え通りに行かない、こういうことになるのであります。のみならず、本年度内というようなことであつては、地方でどういうふうに施していいか、起債をするのに、手の打ちようがないのであります。そこでこの點はもう少し御研究になりまして、はつきりさせる責任をおもちだろうと思うのであります。六・三制というものをぜひ實行するというならば、ぜひできるようにやつていかなければならない、私はこう考えておるわけであります。しかしこの問題は、それ以上答辯できないというならば、いたし方ございません。
 その次に再來年から、今度は六・三制の上の方に發展していくわけでありますが、これを實施するためには、二十三年度の豫算に相當御計畫がなければならないと思うのであります。この御計畫におきましても、今度のようなことのないように、十分御注意を願いたいと思うのであります。
 次に問題を變えまして、いよいよ行政整理も行わなければならない最後のどたんばに來ておると思うのでありますが、從來の行政整理を見ておりますと、學校の教授等に對して、行政廳とほとんど同じようなぐあいに人員の淘汰をやつておるのであります。それは理由なしに財政を減らすという意味でありますが、專門學校以上の所におきましては、先生はすべて專門家がおるので、その人をやめさせて他の人にこれを兼職させるということは、きわめて困難であります。こういう事情がありますので、今度行政整理をやります場合にも、大學、專門學校等においては、他の方で人を減らすのだから、おつきあいで減らせというようなやり方をなさらないで、その實情に應じて、これを行つていただきたいと思うのでありますが、この點について大臣の御所見を伺つておきたいのであります。
#48
○森戸國務大臣 苫米地委員のお話でありますが、實は遲くなるとたいへん困るということは、これは繰返し言うように、その通りでありますが、大體仕事は、現金が行つてから始められるということではなく、おそらく北海道その他の地方では、すでに始められておるので、それが負債になつておるのではないか。そうすると、それをあとから填補するという形になるので、遲れたからそれで事業ができないということになるだけではなかろうかと私は存じておるのであります。そういう點で遲れるということは、重々わるいのでありますが、實はそれが行つてから校舍の建築を始めるという地方であれば、簡單でありますが、すでに始まつておるのであるから、それで遲れたからできないということだけではないのではないかと思つておるのであります。
 それから第二の點につきまして、來年度は本年度のようなことのないようにという御注意でありますが、まことにその通りで、來年度は六・三制度の山とも考えられておりまして、この點私ども重々そういうことのないように豫算を組みたいと思つております。ただ國費全般非常に窮屈なときでありますので、なかなか理想的な形にはまいりませんので、この點については議員諸君の力強い御支持と御鞭撻を必要とすると存じております。
 なお最後に、行政整理のことについてのお話はまことにごもつともでありまして、專門學校、殊に大學の教授においては、かけ替えのない人も幾多ありますので、簡單に行政廳の人員整理のような形で行うことは、よろしくないと存じております。行政廳においても、おそらく必ずしもただ頭を減らすということではなく、全體の能率等を考えて行うことと思いますが、殊に大學のごとき特殊の學者をもつている所では、この點御注意のようなことを十分に考慮に入れたいと存じている次第であります。
#49
○苫米地(英)委員 大臣の今のお話では、すでにとりかかつているのだから、仕事は進んでいるのだから差支えないじやないか、こういう御見解のようですがこの點が私非常に大臣はお考え違いじやないかと思うのであります。それは先ほど申しました通り、時間の延期ということはただちに起債額の變更ということになるのであります。その起債が、地方においては非常に困難であります。これは物價が騰貴していくから起債を殖やすというわけにもいかないのであります。そこで中途半端でひつかかつているのが實情なんであります。でありますから、仕事にはかかつたけれども起債はできない、こちらの方はきまらない、それで工事が進まないがゆえに困つているのであります。それは金があつてどんどん進行していつたら、あとから政府からもらえばいいじやないか、こういう簡單なお考えでこの問題をごらんになつては、地方民は非常に迷惑すると思いますから、もう一度よくお考え直しをいただきたいと思います。
#50
○森戸國務大臣 その點は金が遲れてもいいというのではなくして、最善の努力を拂つて、できるだけ早くいたしたいと思うのであるが、金がこなければ工事が始まらぬというような事態ではないので、始まつた工事をできるだけ支障のないように進めていくことが大事であるということを私は申し上げたのであります。
 なお地方起債については、七億ということに政府の補助が減額いたしました。さしあたり七億となつたけれども、地方の起債については、十七億というわくは減らさないという方針で進んでいくように、財務當局にも話をしておりまして、大體そういうところでいくであろうと存じている次第であります。
#51
○苫米地(英)委員 その十七億のわくというもので遲れては、起債ができなくなつてくるのであります。そこのところに問題がある。起債は十七億あるからそれでいいというけれども、こちらの方の時期が遲れていくに從つて物價が騰貴し、すでに先ほど申しましたように、坪五千五百圓のものが八千五百圓になつている。そこですでに一坪において三千圓の差が今ついており、これが五千圓になるか、六千圓になるかわからない状態であります。そこで十七億の起債で、はたしてできるかどうかということが問題であり、また金融機關も金融難の際であるから、この起債になかなか應じないので、起債ができないのです。そういう状態がありますので、この補助金の方でも早くいただいて、いくらかでも工事を早く進めて、そうして起債の方の困難な問題を解決していかなければならないはめにあるわけであります。この點をひとつどうかよろしくお考えいただいて、なるべく早くおきめくださるようにお願いいたしておきます。
#52
○森戸國務大臣 かしこまりました。
#53
○中原委員 時間が相當經過しておりますから、ごく簡單になるべく範圍を狹めましてお尋ねいたしたいと思います。
 ただいまも、いろいろ議論が出ましたが、學校の校舎の新築、あるいは戰災の校舎の復舊等について、地方が非常に困却いたしておるということについては、すでに十分の御認識をおもちであることと承知いたしておりますが、そのことについて、私は全然別のことから、ひとつ當局の御所見を承つておきたいと思うのであります。それは建築用材の問題であります。建築用材の問題は、いろいろ入手方法もございまするが、このような場合でありまするから、地方の人たちもいろいろ苦心いたしまして、町村民が直接自分の勞働力をもち寄りまして、安易に、しかも安直に用材をつくり出していこう、こういう努力もあるわけであります。そのことについて、あるいは國有林その他の公の山林から、町村民の手によつて木材を伐採し、そうしてそれを製材し、運搬するというようなことも、一應考えられるわけであります。すでにそういうような勞作をいたしておる地方もないのではありませんが、しかしながらそれにしても、その山林の伐採についてのいろいろな手續上の困難がありまして、殊に文部關係の一應のわくもあると聞いておりまするが、そういう關係から、かなりりつぱな山林をまじかにもちながら、それを利用することができないというような關係で、ただ手を組んで建築費のかさむのを恨んでいるというような形もあるわけであります。從いまして、そういうような國有林その他の山林を直接伐採するための取計らいをするために、文部當局とせられて、相當積極的な御斡旋ができ得べきではなかろうかと私は思うのであります。ただ從來の關係からか、文部當局におかれては、そういう問題では、ただ一應政府が方針としてきめて、そのわくだけを忠實に守つて、積極的にそのことの斡旋をしようという意氣込みが見えないように私は思うのであります。これらのことにつきまして、現在お取計らいになつておいでになるいろいろな實情、あるいは當局の考え方等について、一應この機會にお示しが願いたいと思うのであります。
 それから第二は、最近中等學校で社會學科というものができておるようでありまするが、しかし社會學科の重要性にもかかわらず、その指導の任に當つておりまする教師が、社會學の何ものであるかをまつたく辯えておらない。ただ一應その場を糊塗するために、新聞などを中心として思いつきの講義をしており、あるいは生徒に自由研究をさせておるという程度に過ぎないようであります。もちろん中等學校の生徒が自由研究のことにあたるということは、必ずしも惡いとは思いませんけれども、私は一應教師としてしかるべき指導の方針をもつべきではないか、從いましてテキストのしかるべきものがやはり詮議されることが必要ではないかというふうに思うのであります。とりわけ幼少青年のころに一應社會學に對する認識を與えておき、そうしてまたいわゆる民主主義のための基礎的な教育が十分施されていかなければならぬということについて、もつと積極的な當局の御關心が必要なのではないか。もちろんかなりこのことについても、お考えのあることとは思いまするけれども、今現われておる部分で考えますると、どうも心細く感ずるのでありまして、この點に關しまして、特に大臣の御方針を承つておきたいと思うのであります。
 最後に、これは育英事業に關する問題でありまするが、今日のような經濟事情のもとでは、育英事業も相當やりにくいことであろうと考えております。しかしながら、この英才を教育するために、殊に貧困な英才を教育するために、國が相當の關心を寄せなければならぬということは、いまさら言うまでもございません。從いまして、この英才教育のために、この際かなり深い理解が伴わなければ、この育英事業は成功的にいくものではないというふうに私は思うのであります。ただ形ばかりの給與によつてそのこと成れりというようなことでは、どうにもならないのでありまして、かように考えまするときに、現在の育英事業の模樣が、一體そういう考え方にこたえるようにできているかどうか。これも一應現在の事情をお示し願いたい、かように思うのであります。
 以上三點についてお伺いいたします。
#54
○森戸國務大臣 第一の、殊に中學校の校舎を建てる場合の用材の問題でありますが、これにつきましては、實は資材の割當が、全部の豫定された金額に相應いたしません。七億については、完全に資材が裏づけされておるのでありますが、殘りの七億については、必ずしもそういうことは同じようには申されません。こういう事態もありますので、資材、殊に建築資材が確保せられる途については、十分に考慮をいたしておるのであります。この點につきましては、政府委員から具體的のことを御答辯いたすと思いますから、私はそれだけのことを申し上げておきたいと思います。
 第二には、中學校の社會科の問題であります。中原委員の御指摘のごとく、社會科というものは、これらの青年たちの教科としては、非常に重要な役割をなすものと私ども存じております。その教科書の編纂につきましては、非常に愼重に考えてでき上つたものでありまして、ただこれを擔當いたしまする先生の部面で、まだ十分に資格が滿たされていないという憾みも存在するということは、御説のごとくであります。今夏、認定あるいは再教育講習會を開きましたのも、一つはかような意味をももつておるのでありまして、私ども新しい教育の制度ができましたが、それに應ずるような先生の資格をできるだけ早く充實いたしたいと思つております。殊に社會科の場合には、新憲法に基いて日本の大きな民主的な變化がありましたので、從來の先生がそのままでは實際に困るのでありまして、この點につきましては、御説のように十分力を入れて、社會科の先生の再教育ということに努力をいたさなければならぬと存じております。この點も、詳しいことは政府委員の方から、後の機會に御説明いたすことができると思います。
 第三の育英事業の點でありますが、これもまことに中原委員の御指摘になつたごとくでありまして、今日の日本の状況から言いますと、英才にして學資を送ることができずして、教育の機會を得られない子弟が相當に多いのであります。私どもは、何とかしてこれらの人に、殊にすぐれた者には十分に國費、その他の公共の補助のもとに、勉強ができるようにしていかなければならぬと存じております。大日本育英會がございまして、今年は約一億圓で、三萬の子弟に給費をいたしているのでありますが、二千萬に近い學徒のうちからでありますれば、あるいは九牛の一毛というようなことにもなるのでありまして、この點は、さらにその重要性を認めて、これに對する十分な費用を求めていくとともに、その内容も形式的のものでなく、實質的なものに、ほんとうに英才で援助を必要とする者を助成していくような形にしなければならぬと存じております。けれども、他面困つておる學生を、この育英制度で全部解決していくということは、今日の一般の學生の困窮状態と、日本の國情からは、とうてい望み得られませんので、他面では働きながら勉強できるという制度に力を入れながら、一面育英制度をも、量の上からも、質の上からも、堅實なものに育てていきたいと存じております。育英制度に對する詳しいことは、政府委員から後の機會に御説明申し上げたいと思います。
#55
○船田副主査 中原委員にお諮りいたしますが、時間も來てしまいましたので、今文部大臣の言われる政府委員からの答辯は、あるいは文書にでもして提出してもらうことにいたしたらいかがでありましようか。
#56
○中原委員 ではそういうことにいたしましよう。次の機會で結構であります。
#57
○船田副主査 それではほかに御質疑はございませんか。――なければこれで文部省所管の審査は一應終ります。
 次會は明日午後一時から開會いたしまして、厚生省及び勞働省所管の審査をいたします。本日はこれにて散會いたします。
    午後一時五分散會
ソース: 国立国会図書館
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