くにさくロゴ
1947/11/18 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会第二分科会 第2号
姉妹サイト
 
1947/11/18 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 予算委員会第二分科会 第2号

#1
第001回国会 予算委員会第二分科会 第2号
昭和二十二年十一月十八日(火曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席分科員
   副主査 船田 享二君
      加藤シヅエ君    中原 健次君
      川崎 秀二君    鈴木 明良君
      磯崎 貞序君    苫米地英俊君
 出席國務大臣
        厚生大臣    一松 定吉君
        勞働大臣    米窪 滿亮君
 出席政府委員
        厚生政務次官  金光 義邦君
        厚生事務官   宮崎 太一君
        厚生事務官   小島 徳雄君
        厚 生 技 官 三本 行治君
        厚 生 技 官 東 龍太郎君
        引揚援護院次長 大野 連治君
        復員事務官   遠藤 武勝君
        勞働事務官   上山  顯君
        勞働事務官   中西  實君
        勞働基準監督官
        兼勞働事務官  江口見登留君
 分科員外の出席者
        厚生事務官   神谷 秀夫君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した議案
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)中、厚生省及び勞働所管
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第八號)中、厚生省及び勞働省所管
 昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第三號)中厚生省及び勞働省所管
    ―――――――――――――
#2
○船田副主査 これより豫算委員會第二分科會を開會いたします。
 昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)囘(第八號)及び昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第三號)中、厚生省所管の豫算各案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。一松厚生大臣。
#3
○一松國務大臣 ただいま議題となりました昭和二十二年度一般會計及び特別會計補正豫算の大要について、簡單に御説明申上げます。
 まず昭和二十二年度一般會計の補正要求額は、追加額において四十八億四千九百四十一萬一千圓で修正による増加額は一千四萬六千圓、減少額は二億五千四百九十一萬八千圓、差引減少額は二億四千四百八十七萬二千圓でありまして、右の追加額と、修正減少額との差引は、四十六億四百五十三萬九千圓の増加と相なつております。またさきに成立しました、二十二年度豫算と、今次國會に提出の豫算追加額の合計八十二億五千八百四十三萬九千圓に、右の増加額を加えますと、百二十八億六千二百九十七萬八千圓と相なるわけであります。
 今囘補正いたしました追加豫算のうち、おもなるものについて概略説明いたしますと、まず第一は、公衆保健衞生の向上に必要な經費三千九百五十六萬餘圓であります。人口動態統計に關する事務は、從來内閣所管でありましたが、今囘厚生省に移管されたので、これに必要な經費二百二十四萬餘圓を追加し、五百三十七萬餘圓を修正増加し、合わせて七百六十一萬餘圓を計上したのと、國立公園は、わが國天與の資源でありまして、これを國民の保健、休養、教化と、國際親善、觀光經濟の増進に活用するため、この際國立公園の維持管理と、その積極的利用に萬全を期するため、これに關する事務機構を整備擴充する經費五百五十萬圓と、また保健所は、公衆衞生行政の末端の指導機關としてきわめて重要な地位を占めておりますので、保健所の機能を擴充強化いたしまして、公衆衞生向上に寄與させようとするための經費二千十二萬餘圓と、なお公衆衞生の向上をはかりますには、從事する職員の素質の良否が影響することが大きいので、公衆衞生院において、地方衞生關係技術者の再教育事業を割期的に擴充するため必要な經費六百三十三萬餘圓等を追加計上いたしたのであります。
 第二は、醫務、藥務對策及び國立病院等經營のため必要な經費八億五千五十八萬餘圓であります。日本醫療團は解散することに決定いたしまして、これに關する法律案を本議會に提案いたしましたが、これに伴いまして、施設の轉換その他解散に關する事務處理の萬全をはかりますための經費十三萬餘圓、不時の傳染病の發生に備えまして、防疫用の各種醫藥品は、常にこれを確保し、適切な配給をする必要がありますので、これに必要な經費三億七千三百二十七萬餘圓及び先般關東、東北地方の水害地へ醫藥品等を急送し、罹災民の醫療確保に資しましたが、これが事務處理の經費六萬餘圓と、また國立病院、療養所等において、物價の改訂に伴いまして、賄費、醫療費等の經費に不足を生じますので、これを増額して、患者收容の萬全を期せんとするため必要な經費四億七千四百十三萬餘圓と、今次の關東、東北の水害による病院療養所の建物その他應急復舊するに必要な經費二百九十九萬餘圓等を追加計上いたしておるのであります。
 第三は、結核豫防對策及び傳染病豫防措置等に必要な經費千七百六十二萬餘圓でありますが、結核及び花柳病の蔓延の現状に顧みまして、諸般の對策を講するのと、物價改訂によりまして、地方公共團體等の經營する結核及び癩療養所竝びに花柳病診療所の患者費の引上げを行いまして、これに對し助成いたします經費八百七十九萬餘圓と、又上下水道清掃等の行政は、公衆衞生上重要な事項でありますので、これに關る行政機構を整備するため必要な經費十九萬餘圓と、疫痢と日本腦炎の臨床及び學術的の徹底した研究を行いまして、豫防の萬全をはかるための經費百十八萬餘圓と、海港檢疫所の設備その他を整備するため必要な經費七百四十六萬餘圓をそれぞれ追加計上いたしたのであります。
 第四に、民生安定及び災害應急救助に必要な經費二十二億圓であります。戰災者、引揚者その他一般生活困窮者に對し、生活保護法による各種の扶助、援護のことにつきましては、本年度當初豫算に三十六億圓を計上いたしまして、これが徹底を期しておるのでありますが現下の經濟状況に顧みまして、生活扶助において六大都市五人世帶で月千三百二十六圓を標準として、給與する措置を講じ、さらに一段と扶助、援護の徹底を期するため必要な經費十八億圓を計上いたしましたが、生活保護に關する經費は、當初豫算と合計いたしますと總額五十四億圓となります。また今囘の關東、東北地方の水害は、その被害がきわめて甚大でありまして、これが救助の萬全をはかりますことは、重要なことでありますので、これに必要な經費四億圓を追加計上いたしたのであります。
 第五は、兒童の福祉増進に必要な經費三千三百十一萬餘圓でありますが、兒童の健全なる育成、愛護等、兒童の福祉を増進することは、きわめて重要なことでありますので、本議會に兒童福祉法案を提案しましたが、これに伴いまする行政機構の整備、兒童相談所、一時保護所、保導委員の設置費等に對する助成と、都道府縣の經營する少年教護院の經費に對する補助の増加等、兒童福祉の向上に必要な最小限度の施策を實施するための經費を追加計上いたしたのであります。
 第六は、國民健康保險組合その他社會保險に必要な經費二億六千二百五十二萬餘圓であります。國民健康保險組合は、國民の保健衞生向上の基盤でありまして、これが振否は、國民生活に至大の影響を及ぼすこととなりますので、物價の改訂に伴う、組合事務費、保險婦の設置費の増加に對し補助するのと、新たに組合に囑託醫の設置、直營診療所の設置費に對し補助しまして、組合員の醫療の確保をはかる等、國民健康保險組合の再建に資するため必要な經費二億五萬圓と、又健康保險及び厚生年金保險等の保險給付の適正をはかりますため、保險審査官を設置する經費百二十三萬餘圓及び厚生保險特別會計の業務取扱費不足を、一般會計より繰入れするため必要な經費二千六百三十萬餘圓を追加計上いたしました。また船員保險特別會計を新設するに伴いまして、厚生保險特別會計への繰入減少額二千四百五十六萬餘圓を修正減少し、あらためて、船員保險特別會計への繰入増加額五千九百五十萬餘圓を追加計上致しました。
 第七は、政府職員給與改善に必要な經費三億一千五百四十九萬餘圓であります。現下の經濟事情に顧みまして、政府職員の給與を改善する必要がありますので、これに要する經費三億一千八十二萬餘圓を追加し、四百六十七萬餘圓を修正増加致しました。
 右のほか、行政監察委員會運營に必要な經費十萬圓と、連合軍より拂下げの自動車を購入し、公衆衞生及び社會福祉の増進に資するための經費二千四十四萬餘圓と、財政法及び會計令實施に伴う事務量増加に必要な經費二千二百七萬餘圓を追加し、また第一復員局は、十月十五日から内閣所管より厚生省所管に移管せられましたので、今囘在外元軍人軍屬の給與改善等に必要な經費十億六千六百十五萬餘圓を追加し、未復員者の減少等により、二億三千三十五萬餘圓を修正減少して計上いたしました。
 以上厚生省所管一般會計補正豫算の大要の御説明を申し上げたのでありますが、何率本豫算の成立につきましては、今後皆樣のお力添えをお願い申し上ぐる次第であります。
 次に昭和二十二年度特別會計補正豫算の大要について、簡單に御説明申し上げます。
 まず厚生保險特別會計の健康勘定の豫算額は、歳入歳出とも二億二千七百七十五萬圓でありますが、右は業務勘定へ繰入れを必要とするものであります。
 また船員勘定において、歳入一億四千八百六十四萬二千圓、歳出四千九百八十四萬六千圓、差引き歳入において九千八百七十九萬六千圓のいづれも減少となつておりますが、これは船員保險については、新たに失業手當制度をも包括して實施いたしますため、別に特別會計を設置いたしますので、今囘これに伴う本勘定の減少を豫定したものであります。また業務勘定の豫定額は歳入歳出とも四千四百三十八萬六千圓となつておりますが、右は政府職員の給與改善のため及び業務取扱費の不足等を補うために追加計上いたしたのであります。
 次に船員保險特別會計でありますが、これは前に申し述べましたが、本會計を普通保險勘定と、失業保險勘定とにわけまして、まず普通保險勘定の豫定額は歳入一億五千百六十萬圓、歳出五千三百六十萬八千圓、差引き歳入において九千七百九十九萬二千圓の歳入超過となつておりますが、一般船員保險に關する保險給付及び事業運營のため要する事務取扱費を豫定いたしております。また失業保險勘定の豫定額は歳入五千七百七十四萬九千圓、歳出三千四百三十九萬圓、差引き歳入において二千三百三十五萬九千圓の歳入超過となつておりますが、これは失業手當制度實施を豫定しまして、これに必要な、給付費及び事業運營の經費を豫定しておるのであります。
 以上厚生省所管一般會計及び特別會計補正豫算の大要の御説明を申し上げたのであります。補正第八號は既定經費のうち一割を目途として節減いたしたのでありますが、何率本豫算の成立につきましては、今後皆樣の格別の御力添えを御願い申上ぐる次第であります。
#4
○船田副主査 ただいまの厚生省所管に關しまして御質疑があれば御發言を願います。
#5
○中原委員 在外陸軍軍人軍屬等の給與改正に必要なる經費であります。もう戰時状態が終りまして二年有半になりまするが、在外軍人軍屬、特に軍人に對する給與の状態が、今日どのような状態になつておるか。殊に階級がそのまま認められているのではないかと思いますが、階級別に今日の給與状態をお示し願いたいと思います。
 それから海外の引揚者が引揚げをするときに、その引揚旅費の支給をなすことができず、一時の便法として引揚者自身によつて旅費の立替えをいたしている場合があるように聞いておりますが、その立替旅費のその後の措置はどういうふうになつているか。さらに在外財産の措置について、今日の實際の状態を承りたいと思います。在外資産については、海外の引揚者諸君は、異常の關心をもつているわけでありまして、彼らが一生をささげて海外に活躍した所産としての財産である限り、國際的な關係のいかんにかかわらず、引揚者自身としては、この財産に對しそう恬淡たろうはずもないのであります。これについての當局の御方針、あるいは將來に對する見透しというようなものを伺つておきたいと思います。
 もう一つは、最近賣藥の價格が非常に高くなつてまいりました。これももちろん物價基準の設定に伴つて當然藥價の値上げも了承しなければならぬと思いますが、ここ一兩月の間の賣藥の價格の値上りは、非常に不安定な形で現われております。きのうときようとの間には非常な價格の差異を生じ、しかもその價格の差異の開きが非常に大きいということが、最近目立つておるのでありますが、これについての厚生當局の御所見と、價格値上げに對する計算の基礎的なものでありますれば、それも併せて聽いておきたいと思います。もちろん價格の點まで厚生當局の關係になつているかどうかは存じませんが、少くとも監督主務官廳としての御見解があろうと思いますので、伺つておきたいのであります。
#6
○遠藤(武)政府委員 ただいまの御質問のうち、未復員の元軍人、軍屬の給與の改正に關する點についてお答えいたします。現在未復員の軍人、軍屬に對する給與の種類は大體三つございます。一つは在外中の給料に關するもの。それから生きて歸つて來た人々が、上陸地において歸るまでの旅費をもらうという給與。それから遺骨を遺族に渡します場合と、大體この三つにわかれておると思います。あとの二つ、すなわち上陸地におきまして支給します旅費は、全部一律一人當り三百圓でございます。遺骨を渡します場合の經費は遺族の方が受取りに來る旅費、埋葬費というものを加えまして合計五百八十圓、これは皆一律でございます。もう一つ在外中の給料の問題でございますが、この給料については現在まで戰爭中から引き續いてそのままの給與體系でやつてきておるのであります。すなわちそれぞれの階級によつて、兵で月給九圓、その他階級に應じて從前の給與を基本として實施しておるのでございます。この状況が終戰後になつて適當でないというお話で改正を企圖してまいつたのでありますが、いろいろな關係から、改正が實現せずにまいりました。それでやつと今度の追加豫算に計上されたのでございます。その改正案は、從來の階級區分を全部かえまして本俸は一律に百圓としたのであります。そして扶賽家庭をもつている者に對しては、扶養家族一人について月額百五十圓の給與體系にしたのであります。そして家族をもつている人に對しては留守宅に毎月百五十圓を送る。たとえば三人なら四百五十圓であります。そういう勘定で留守宅に渡すという方法をとるのであります。一般にはそういう方法をとりますが、從來の規則で留守宅渡しを受けておつた人々が、この新しい方法でする留守宅渡しの金額と比べて從來留守宅渡しを受けておつた金額が多い場合には、從來の額をそのまま渡すという方法をとつたのであります。從つて獨身者は從來の額に關係なく全部百圓で、これを歸つて來たときにもらうことになりますが、家族をもつていた人で、從來留守宅渡しを受けておつた人々は、この方法で計算した額以上になる場合には從來の額が支給されることになるので、その點は違つてまいります。なおこの給與につきましては、近く法律案として國會に提出されることになると思いますが、現在まだ審議中でございます。
#7
○一松國務大臣 この引揚げの状況は、今御承知の通り、月々五萬というような引揚げを豫定いたしておりますが、どうもそういうようなことでありますと、ソ連地區におきまする者でも、來年の年を越えなければならぬかもしれぬというような實情にありますので、今關係方面に懇請をいたしまして、その増員をお願いしておるのであります。御承知のように先般も對日理事會においてこれが問題になりまして、一箇月十三萬ないし十六萬ぐらいの者を引揚げるということが、もし米ソ兩國の御好意によりまして、これが實施できるということになりますと、あまり遠からないうちにその引揚げを了するような實情にございます。それらの點につきましては、ただいま交渉中でありますから、これ以上ちよつと申し上げるまでに到達しておりませんが、その點はひとつ御了承を願いたいのであります。
 それから賣藥の價格の値上り、その他不安定の實情、そういうような値上りの基礎的資料というようなものは、政府委員から答辯をいたさせます。
#8
○神谷説明員 それでは私から賣藥の價格のことについて御説明申し上げます。實はただいま醫藥品の價格につきましては、實際上も、また形式の上でも、この仕事は大藏省の物價廳に全部移しております。從前私どもの方で、藥價の問題につきましては厚生省がやつておりましたが、現在これを全部大藏省がやつております。ただ、ただいまもちよつと御意見に見えておりましたように、一面においてこの藥價の改訂ということは、國民醫療保健の上に非常に大きな影響をもたらすものでございますので、かような意味合において、改訂の事前において厚生省に、物價廳から協議をしてくれということに相なつております。最近の實情を申し上げますと、先般の新物價體係に基きます重要醫藥品の價格の改訂が最近行われるわけでございますが、大體二倍ないし三倍の値上げが行われるのでありまして、この結果、局方品あるいは重要醫藥品をさらに原料といたします賣藥についても、いきおい價格の改訂の問題が出てくるわけでございます。ただいま賣藥と申しておりますが、普通われわれ家庭藥と呼んでおりまして、局方品あるいは重要醫藥品と區別をいたして呼んでおりますが、この賣藥については、いわゆるマル公というよりも、認證價格ということになつておりまして、多少重要醫藥品の價格の決定とは趣きを異にいたしております。ただいま御指摘のありました賣藥は、どういう種目のものか存じませんが、おそらく今囘の價格改訂に基く改訂を、お話の點はおつしやつておるのではないかと思つております。なお消費者の面においてかくかくのようなことがある、あるいはまたメイカーの面においてかくかくのことがあるというようなことがございましたら、具體的に私ども承つて、あるいは措置を要すべきものについては、必要な措置をとるということにいたしたいと存じております。
#9
○船田副主査 ちよつとお諮りいたします。厚生大臣は急な御用で行かなければなりませんので、もし厚生大臣に對する御質問がありましたら、御迷惑でもこの際にお願いいたしたいと思います。
#10
○磯崎委員 ここに人口問題研究所という費目がございまして、これに對する事業の概況を承りたいのでありますが、これはほかの方から御答辯願うことにいたしまして、大臣にお願いいたしたいことは、御承知の通り現在のような食糧事情下でありまするし、國民の生活向上とか、あるいは日本民族の發展というようないろいろな觀點から、人口問題というものは相當重大な案件に相なつております。この問題に對しまして、私は當局がいわゆる人口の制限問題に對して、いかなるお考え、御所見等をおもちになつておるか、この際大臣の御意見を拜聽したいと思つております。
#11
○一松國務大臣 人口問題の重要なことは、ただいまお示しの通りであります。戰前に比べまして、戰爭中いろいろな事情のために入口が大分減つてまいつておつたのでありまするが、最近在外の同胞が引揚げてまいりまするし、そういう關係でまたぽつぽつ人口が増加いたしておりますることも御承知の通りであります。しからば、人口の増加ということについて、わが國の食糧事情等の關係から、これはどうすればよろしいかということも、大いに研究の問題であることは言うまでもありませんが、さればとて、このわが國の人口の増加することを今政府の手において法律その他の手段によつてこれを制限することは、ただいま考えておりません。ただここに問題となりまするのは、いわゆる産兒制限ということが、いろいろな人々において取上げられ、研究せられておることは承知いたしておりまするが、この産兒制限という問題も、あるいはすでに妊娠いたしておる者に對してある制限を加え、そして人口を減少せしむるというようなことは、これはもちろん現行法においては認められておらぬことは御承知の通りであります。ただ受胎の制限、妊娠することを豫防するというようなことは、これは考えられるのでありましようが、これらの點を法律によつて規定するということよりも、今日の階段では、これは各人の立場々々、生活状態等において各人に放任しておく方がよろしいと、かように考えておるのでありますが、もしこの結果、非常に人口が増殖いたしまして、わが國の國内においてとうてい賄うことでがきない、外國の方面から食糧を輸入することも困難になつた、これではどうも人口の増加をこのままに放任しておくことはできない、というような時期が將來到來いたしましたならば、そのときには、大いにこれを研究して善處しなければならぬと考えておりまするが、ただいまの現状では政府といたしまして、まだその點については考えておりません。そういたしまして、しからばそういうような時期が到達したときにどうすればよろしいかということについてそれぞれ研究をいたしておるということは、これは間違いはないのであります。今ではその程度よりほか進展いたしておらぬことを、御了承を賜わりたいのであります。
#12
○磯崎委員 この問題はきわめて重大なる問題であります。さらに現在から推して、相當そうした問題を考慮いたさなければならぬというときがくることは、はつきりしておるのであります。さいわいにそうした人口問題研究所等もございますが、それ以外に、あらゆる權威者を集めて、委員會の議に付して、日本百年の大計を樹立しておかれることが、きわめて大切であるというふうに考えております。これに對しまして遠大な計畫のもとに立つ委員會を設けて、この問題を審議檢討して百年の計を誤らざるところの方途を講ぜられる意思があるかということを、ひとつ御答辯を伺わせていただきます。
#13
○一松國務大臣 先刻申しましたように非常に重要な問題であり、國策として取上げられなければならない問題でありますから、今あなたの仰せになりましたように、相當の權威者に集まつていただいて、これらのことを調査研究することの最も必要であることには、少しも反對はありません。しかし、ただいまのところでは、まだそこまでに考えておりませんので、ただいまのところでは、そういう權威者を集めて、これらのものを研究するという程度には進んでおりませんが、政府部内においては、こういう點について、十分の關心をもつて調査研究をいたしておる、この程度において今のところ滿足しておるのであります。將來あなたのおつしやるような時期が到來するような見透しがつきますれば、これはもちろんいたして、萬遺憾なきを期したいと考えております。
#14
○磯崎委員 いま一つ簡單に――これは實は昨日も文部大臣にお尋ねを申したのでありますが、その管下にあります特殊の盲人學校であります。あの方面のいわゆる盲人が學校を出まして、大きな生活の支柱として、いわゆるはりとか灸というものによつて、相當經濟を立てている。ところが最近はそうした方面にこの業を營ませることは、危險であるかのごとき問題をもつて、ある方面から反對の聲さえある。しかし今日の憲法下におきまして、當然彼らの職域を通して生活權が保障されておるのであるから、これは當然そうした方面について學校で授業をさせ、その技術を得て、危險のない立場におかれた資格者に對しては、當然鍼灸の業を彼らに與えるのが妥當であるというふうに考えております。この點につきまして文部大臣、相當同情をもつておりますが、さらに厚生大臣の方面の意向等も、大分考慮しておられるようでありますが、この際厚生大臣の御所見を承りたい。
 いま一つは大分醫療問題の重大性というような觀點、あるいはまた社會政策的な意味合等からしまして、醫療の國營という問題が世間でいろいろ論議されておりますが、これに對しましてその意思があられるかどうか。この二つの點につきまして大臣の御答辯をお伺いしたいと思います。
#15
○一松國務大臣 盲人に對して鍼灸を許すことがいいか惡いかという問題につきましては、お示しのようにそれについてはいろいろ意見があるようであります。しかし私といたしましては、今日までそれらの人に對して、これらの營業を營むことを國家として認めておりまするから、現在資格をもつておりまする者の既得權を今ここに侵して、これらの營業を禁止するというようなことは考えておりません。既得權はどこまでも既得權として、これを尊重したい。但し、盲人の營業の中で、なかんずくはりを用いて病を治すというような點については、これは盲人という立場から危險ではなかろうかというような疑いをもつておる人が、なきにしもあらずでありますが、これらの點について、專門家についてその意見を聽いてみましたところが、われわれいわゆる目明きの人間よりも、むしろ目の見えない人々の方が、觸覺が非常に發達しておる。それがために病氣のある場所を指の先で探り出す。そこを彼らの言葉で言いまするならば、經穴と稱するそうでありますが、その經穴の場所を探り出して、そこにはりをするということによつて、病氣の治療ができる。しかもその點は專門の醫學者の間においても、すでに認められておるところである。こういうようなことでありまするから、こういう先天的なそれらの特長を取上げまして、國民が危惧の念を抱かないように、それらの技術の向上發展をはかるという意味において、現在資格をもつておる人々に對しましても、再教育ということをして、彼らの技術の向上をはかり、これらの手術を受ける人をして安心をして受けることのできるようにするということは、必要であろうと思いますから、そういう線に沿うて既得權者の業を認めるつもりであります。しからば新規にこれらの特權を與え、營業權を與えるということについてはどうするか。これは盲などというような者にさせることは危險だから、禁ずるがよろしいというような意見も、一部ないではございませんが、先刻申しましたような意味において、必ずしも禁ずる必要はない。ただ問題はこれらの人をして、その技術を向上發展せしめ、國民をして安んじてその手術を受けるようにさせるということは必要でありますから、今後の試驗等は、今までよりもよほど高度に、地位を高めるところの試驗をして、その試驗に及第をした人はその營業に從事せしめる、こういう方針をもつて今進みつつあります。いずれこのことも最近の時期に、關係方面の了解を得ました上で、本院に提案をいたしまして、御審議を受けることであろうと考えております。その時分には、どうぞよろしく御審議を賜わり、御經驗に富んだ御意見等を承ることができますれば、非常に仕合せと考えております。
 醫療問題の國營でありますが、これは必ずしも私は國營にしなければならぬという必要は、今ただちに考えておりませんけれども、私どもの一番關心をもつておりますることは、かの結核の病であります。こういう病氣は民間に任せきりにしておくということは、必ずしも國家のために上策ではないと考えまするから、こういう點は、できる限り國家が、これに重大なる力を加えまして、肺結核の療養所というものは、でき得べくんば國營にして、これらの治療を完全にして、國民からこういう忌まわしい病氣を一掃するということに努力する、こういう方針はもつております。しかしながらこれをも全部國營にしてしまつて、民間のこれらの醫療に從事をする人に、これらの診療投藥等に當らしめないということまでは、考えておりません。その他の病氣にしましても、たとえば花柳病を豫防するとか、撲滅するというようなことに對しましては、政府として大いに關心をもつておりまするから、私はある方法によつて、少くともあまり遠からないうちにこれを撲滅したい、こういう考えをもつて、今、事務當局において寄り寄り調査研究をいたしておるのでありまするが、まだこの點を發表するまでの程度には達しておりません。さように御了承を賜わりたいのであります。
#16
○船田副主査 それでは先ほどの中原君の御質問を續行していただきます。
#17
○中原委員 元軍人軍族に對する給與の問題で、階級をそのまま今日まで認めてきた。しかしそれが適當でないというので、今囘給與の率を一つにいたして給與の公正を期する、こういう御意見でありましたが、まことに當然のことと思います。大體私は今日までなおかつ給與のこのような段階が、そのまま繼承されておつたということそのことが、非常に遺憾なことであると考えておりましたし、またその階級的な取扱方が、おのずから思想に非常に大きな影響を與えるのでありまして、基本的人權の享有を妨げないと規定された今日、依然としてそこに階級的な差別的な考え方と取扱いが續けられてきたということは、それがただのわずかな時間にいたしましても、非常に悲しむべき事柄だと私は思つておつたのでありますが、さいわいにその點にお氣づきになられて、近くそういう法律案もまた上程されると承りましたので、これは刻を急いで一日も早くこれを具體化させられるようにお骨折りをお願いいたしておきたいと思うのであります。
 さらに引揚者の問題でありますが、引揚者のある一定期間の引揚時期のことであつたと思いますが、一時政府が引揚者の旅費を立て替えることをなし得ずして、便宜上本人にその立替えをなさしめたということがあるのであります。それがそのまま不問に付せられて、立て替えたものを立て替えたままに放置されておるという實情があるかに承つておりますが、これについての今日のお取扱いの状態というふうなものが聽きたいと思うのであります。
 それからもう一つ、在外資産のことですが、これはもちろん大藏省の所管に屬するだろうと思いますけれども、少くともこの引揚者の今日の窮状を思いまするならば、直接引揚同胞の援護に關する主務官廳としての厚生省には、これに對して相當積極的な考え方と、またこれら在外同胞のかつてのその資産に對するこれを防衞するための積極的な手が打たれることが、必要なのではないかというふうに考えておるのであります。ただこれをなるがままに任せておくというのであれば、おそらく在外資産はそのまま立消えになるのおそれがあると思います。從いまして、引揚同胞の生活援護という建前に立つ當局としてのこれに對する考え方なり、あるいは今後の方針を承つておきたいと思うのであります。
 それから先ほど賣藥のことについて、すなわちこれは家庭藥のことなのでありますが、たとえば最近一つの例をあげて申しますれば、エビオスを求める、今から一週間ほど前に――これは現實に私が經驗したのでありますが、エビオスB1を買いに參りましたところが、三十二圓になつておりました。それも相當高くなつておるのでありますが、まあ當然だと思いましたが、それから一週間ほど經てエビオスB1を求めに參りますと、今度は五十圓になつておる、まだ上るかもしれない、こういうような事柄なのであります。かような實際の賣藥業者の取扱いというものは、これは政府は十分にお認めになつて、御存じの上でそういうことになつておるのであるかどうか。ただいまの言葉にもありましたように、物價廳が大體主務官廳として取扱つておるのではございましようけれども、厚生省としては、當然この問題について、相當深い關心をお寄せにならなければならぬ關係にあると思うのでありまして、賣藥もちようど戰前三箇年間の六十倍ないし六十五倍の基準に全部もつていく、そういう考え方でこの扱いをなされておるのであるかどうか、それらの點についての御所見を聽きたいのであります。
 それからこれは母子寮の話でありますが、最近だんだん母子寮ができまして、夫を失いました妻が、子を抱えてその母子寮に收容されておりますが、その母子寮の授産事業がまことに適當でないと思われる向きが多々あるのであります。たとえば、その授産場の經營者あるいは世話役と申しますか、その人がちようど一つの企業の經營者のような立場になつて、母子寮で自分の安心するとまではいかないが、ともかく辛うじて生活の據點を得て、そうしてこれから起ち上ろうとしておりまするその人々に對して、非常に高率な搾取をいたしておるという事實があるのであります。そういう關係から、せつかく母子寮に收容されたものの、たちどころにその搾取の功勢のために生活が脅かされておる、こういう實情があるのでありますが、これらについて、當局は實際御存じかどうか、あるいはまたそれに對する何か御見解をおもちであるかどうか。そうしてまた指導方針としては、どういうふうなものをおもちであるか。これも併せてお聽きいたしておきたいと思うのであります。
#18
○大野(連)政府委員 引揚げ關係についてお答え申し上げます。私途中から參りましたので、あるいは御質問を取違えてお答えするかも存じませんが、そのときはあらためてお尋ねくだされば申し上げたいと思います。
 最初の引揚者の旅費の立替えという問題でございましたが、これは引揚者が旅費を立て替えるというケースは、どういうケースでございましたか。もつとも私、最近引揚援護院の方に參りましたので、最初からの經緯は存じませんが、現在のところは、御承知の通り引揚者が引揚げてまいりますと、定著地までの一切の旅費は、援護院で負擔する建前になつておるのであります。汽車に乘ります場合、汽車賃はむろんこの援護院が後から一括して拂うのであります。無賃の乘車券が渡されるのであります。そのほかに引揚者が歸郷するまでに、全然お金をもたなかつた場合には、非常に不便でありますので、雜費といたしまして一人二百圓、二人になりますと四百圓という割合で歸郷雜費としてお渡ししておるのであります。これはもつとももどつてまいりまする引揚者個人において現金をもつておりますれば、その分は差引きまして、足らない分だけ差上げるという建前をとつておる次第であります。それから元軍人でありました場合には、俸給の前拂いといたしまして、これは第一復員局の所管でございますが、三百圓一律に支給しておるのであります。これは家に歸るまでの諸雜費という意味で支給せられるのであります。そういう次第でございまして、船でお迎えに參りまして、船内の給食その他はお迎えの船に用意させてまいつておるのであります。それから内地の上陸港に參りましてそこで數日間滯留を願い、その間に必要な事務處理を濟ませまして、それから引揚先の乘車券を差上げる、そうして還すという建前になつておるのであります。そういう状況でございますので、この旅費の立替えというケースがどういうケースでございますか、私今問題をよく解き得ないのでありまするけれども、あるいは引揚げが始まつたのはすでに二年前のことで、當時の状況として、何かそういうところがあつたのかどうか、それはまだ聞いておりませんですが、もし何かございましたならば、ひとつ取調べの上、はつきりしたところをお知らせいたしたいと思います。
 その次に、在外資産の問題についてお話がございました。これはまことに重要な問題でございます。引揚げてまいります者は、ほんのわずかな金をもつてくる者もあり、中にはまつたく金をもつてこられないで、無一文で歸る者も相當あるのであります。一切の財産を殘して引揚げてきた、所持金をもつておりますのにつきましても、僅少の所持金で、一體今後の生活再建ということをどうしたらいいか、非常に深刻な問題であるのであります。この在外資産補償の問題は、御承知の通り、對外的にはさらに賠償問題と關連のある問題であります。國内的には、たとえば軍需補償の問題であるとか、あるいは國家財政の負擔力というようなものとも絡み合つた問題でありまして、終局的な處理ということは、どうしてもこの賠償問題の解決後でなければ、これを終局的に解決するということはむずかしいかと思うのであります。在外資産の問題は、實は外務省が所管いたしておりまして、厚生省の引揚援護院は、引揚げに關する一般問題、あらゆる問題に關連する役所として、むろん外務省と協力してこの問題については考慮しておるのでありますが、引揚げてまいられました者の身にとつてみれば、一刻も早くこの在外資産の問題を、何らか目途をつけてもらわなければならぬという切實な要求があることは、御承知の通りであると思いまするが、政府におきましてもこの問題を何らか、たとえば終局的に目的が解決することはできないにいたしましても、引揚者の心情を考えまして、何らかの方法で、便法でかりにこの問題を一應の處理をするということは、かねてから考えたのでありまして、たしか本年度の豫算に相當額のものを計上いたしまして、これでもつてかりの處理をするという事務的な事務當局間における計畫はでき上つたのでありまするけれども、これが必要筋の承認を得ることができませんで、問題が中途で頓挫いたしてしまつたのであります。そういう經緯をたどりまして、今日まことに遺憾ながら何ら手がつけられず、そのままの状態に放置せられておるのでありますが、この問題の非常に重要であるということは、よく關係者間で考えておりまして、何らかの機會にどういう方法でか一刻も早く手をつけたい、かりの處理でもいたしたいということは考えておるのであります。この問題につきましては、随時主管の外務省當局と連絡をとりまして、考慮を重ねておる次第でございます。
#19
○神谷説明員 ただいま御指摘のございましたヴイダミンB1の錠劑のお話でございますが、これは先ほど私が申しましたいわゆる賣藥あるいは家庭藥と呼んでおりますものの中には、われわれ含めておらないのでありまして、これは局方品に準ずる家庭醫藥品中にある品目でございまして、價格も公定される品目でございます。それで今御指摘がございましたように、大體これらの家庭醫藥品の今囘の價格改訂は、從前の大體二・三倍と私記憶いたしております。これはちようど九・一八價格と比べてみますと、六五・五二倍になつております。今囘の價格改訂は、先ほど申しましたいわゆる新物價體系に基く價格改訂でございまして、ただいまお話のございましたように今後そう私は頻繁にこれらが改訂されるというようには考えておりません。ただ今後事態の推移がどうなりますかは、豫報を許さないのでございますが、そう頻繁にかえられるものでなく、ちようどその改訂の時期にお當りになつたということになるかと思います。その問題はかようなことでございますが、非常に藥價も上つてまいりまして、一般の消費者、殊に大衆の治療に大きくこれが影響してまいります。ただいまお話がございましたように、藥價問題についていろいろ私どもでも研究してみたのでございます、また現にいろいろ調査を練つております。たとえば一つの例を申し上げてみまするならば、非常に重要な藥品について二重の價格制度をとるというようなことも、かつて案を練つてみたこともございます。また特に治療上必要なものであつて、大衆の治療上缺くべからざるものについて、獨特の價格の方法を講ずるというようなことも考えてみたのでございます。あるいは生産者に必要なものについて補助をするというようなこともその一つの案として考えたのであります。いろいろ案として考えてみたのでありますが、いずれもまた他の面においての差障りが出てまいりまして、ただいまのところでは、われわれの考えております方途といたしましては、藥價それ自體て解決するということでなく、治療の面からいひまして、醫療の面からいつて、いわゆる資力のある者についてはその價格で買つてもらう。しかしながら、いわゆる資力のない庶民大衆の醫療につきましては、別途に、これが低廉に醫療を受けられるような方途を講ずる、そのための別途に何らかの財源を求める、かような措置を講ずるという方向に、ただいま考えを進めておるのでございます。一つの例といたしまして、これは私から申し上げるのは、いかがかと思いますが、御承知の社會保險の制度も、その一つの制度の大きな對象にもなりますし、また今囘考えられております、また具體的に措置が進められております保健所網の整備の問題、これに伴う治療の問題も、私は大きな役割を果し、またその他の公的診療機關を、かような面において活用するというようなことで、この問題を解決するという方向に、ただいまわれわれ考えておるのでございます。いずれにいたしましても、これらの問題は非常に經費のかかることでございます。實はかようなことを私の方から申し上げますのは、藥價問題でいろいろ私の方で考えてみましな結果、いずれもどうもこちらの方によければこちらにまずいという面が出てくるということで、今のような點に到達しましたわけでございまして、その財源の點についても、今はつきりと申し上げることは私この際ちよつとできませんが、一つの案をもつておるのでございます。そういうような面からこの問題を解決してまいるようにいたしたいと考えております。
#20
○小島説明員 ただいま母子寮に關しましてのお尋ねがありましたが、この問題について、私からお答え申し上げたいと思います。ただいまお話になりましたように厚生省といたしましては母子寮の内容の充實強化につきましては、非常な努力を拂つておるのでありまして、今囘提案になりました兒童福祉法案等も、母子寮というものを兒童施設として將來やつていく、こういうことにいたしたのであります。この母子寮というものは、今度の兒童福祉法案と關連がありますけれども、母子の生活安定竝びに生活向上のために非常な努力を拂う、そういう指導精神の上に母子寮竝びに授産施設をやつておるのであります。ただいま申し上げましたような、これによつて母子が搾取されておるようなことを、厚生省としてはまだ承つていないのでありますが、もしさような事例がありますれば、よくこれらにつきまして調査いたしまして、適當な善處方策を講じてまいりたいと考えるのであります。今囘いろいろな施設に關しましては、社會局方面におきましても監査の方を強化して、豫算をきめるということでやつておるのでありまして、これらの點につきましては、間々そういうものがありますれば、その監督について、十分な注意を加えてまいりたい、かように考えておるのであります。
#21
○中原委員 醫療の問題について、いろいろ御方針をお示しくださいまして、まことに結構に存じますが、賣藥の問題を私が非常に氣にいたしましたのも、一に問題はかかつて國民の現在の經濟事情下における特異性として注意を要することだと考えるからであります。現在の國民生活は、おのずからそこに榮養の不調和を來しまして、非常な勞疲現象が多いのであります。特にその主務官廳當局としては、非常に大きな注意を拂つておいでになると思いますが、なお一層今後醫療の普及徹底、そしてその社會化の浸透については、一層積極的な御方針をもたれますようにお願いいたしておきたいと思うのであります。
 さらに引揚者の旅費の問題について、御了解がいただけなかつたように思いまするが、これはいずれ私は證憑書類をもつてお示しをいたします。そうしてまた當局の方はお氣づきでないかもしれませんけれども、そういう特別なことがあつたということも、事實なのでありますから、これは後日具體的に御相談をいたして、そういう關係の下に被害を受けております相當數に上るであろうところの引揚者について、ぜひとも考慮願いたいと思います。
 それから母子寮に關連しまして、授産場のことでありますが、これが搾取されておる事實は、現在あるのでありまして、これはそういう報告はまだお聽きになつていらつしやらないのがほんとうだと思います。結局授産場の經營を特定人に委囑しておるというところに、その原因があるわけでありまして、特定の個人がその授産場の經營を委囑されて、己れの財産によつてこれを運營しておるという事柄があるのであります。かようなことは國が力をあげて援護をせなければならない人々を對象として、ある特定個人が財をなしておるという、想像だも及ばない結果が、今生れておるわけでございます。このことについては、ぜひ積極的に御精査をいただきまして、また私どもも積極的に御協力いたしまして、この授産場をして國家目的に副うような授産場たらしめるように、そうして母子寮をして眞にその關係者の人々が、せめてもの生活上の安心を得るように導きたいものであると考えるのであります。
 最後に私は、これは大臣の御答辯をいただく方がよかつたかと思いますけれども、必ずしも大臣の御答辯でなくても結構であります。製藥業者に對する一應の基本的な考え方でありますが、製藥業はその業種のもつております性格上、非常に公共性を強くもたなければならぬことと存じます。從いまして特定個人の利益追求對象としての製藥業者の經營であつてはならぬということを、私日ごろ考えておるのであります。先ほど醫療の國營化の問題について御意見が出ておりましたが、それと同じように、製藥の業は一個人の利益追求のために放置するというような、自然の成長に任すという行き方で、はたしていいのであろうかという疑問が起つてまいるわけであります。今後少くとも製藥の業は、現在のような行き方を相當深刻に批判いたしまして、製藥の業に對する公共性の自覺認識というようなものを十分與えて、これを眞に國民全體の利福のために役立つようにせしめたいものであると、かように思うのであります。從いまして製藥業の國營ということは、あるいは距離があるかと思いますけれども、少くとも製藥の業に對するそういう公共性を附與するための適切な方針がもたれることが、必要なのではないかと考えるのであります。今日のようにただ藥劑、たとえばヴイタミン劑が非常に要請されると、一も三も五も十も全部がヴイタミン劑の製造に動きまして、しかも疎製濫造のおそれのある、ただ巧みに宣傳廣告をいたしまして、いかがわしい藥が賣られておるかのような、そういう不安を與えるような傾向があるのであります。かようなことを今後十分警戒して、眞に醫藥品の目的に副わしめるような優先藥品をつくらせる、またつくり得るという状態をつくり出さなければならぬのでございます。そういう意味において、當局におかれては製藥業に對する相當大きな方針の確立が要るのではないかと思うのであります。もちろんいたずらに製藥を許しておいでになるとも考えませんけれども、えてして、これは資本主義經濟のもたらす一つの惡でありますが、個人の利益追求ということが、あくまで個人利益追求のために動かされて、それが究極において公共性に合致するというようなことは、もはや考えがたいような状態に陷つているかに思うのであります。このようなことに關連いたしまして、製藥業に對する當局の當面の御所見を伺つておきたいと思うのであります。
#22
○船田副主査 今關係の政府委員がおられませんので、適當な機會に御答辯願うことにいたします。
#23
○磯崎委員 時間もありませんから、簡單にいま一つ質問の殘りました點をお伺いしたいと思います。實は食糧の問題でありますが、今日大分食糧が不足でございまして、政府も大わらわでいろいろ米麥、甘藷、馬鈴薯というような方面に力をいたして、いわゆる量においてこの問題を解決されんとしております。ところが私の考えでは、日本の現状では、これはなかなか滿足な解決は日本のみではできない。わずかにそうした含水炭素の問題におきましては、甘藷においてのみ刻下の急を救う途が殘されておる。これは農林當局にも建言し、その實現を要請するのでありますが、そこで實は現在お互いに食べております食糧は、家畜の食べておるものまでも蠶食して、なおかつ二合五勺も遲配缺配の状態になつておるのでありますが、これはまことに非科學的な知惠のない食糧計畫で、要するに、ここで農林當局が少し頭を使えば、そこに量においてでなく、質において改善することができる。たとえてみますと、人間が牛のものまでも食べる必要はない。牛にはやはり牛に對する飼料をやり、大體乳牛一頭について一段歩の飼料を與えれば、ほぼその生活な賄うことができる。そうして麥が乳になつて、その乳を供出させるとか、あるいは豚に飼料として一段二十頭というような比率になりますので、それに對する飼料を與え、そうして肉によつて供出をさせる。あるいは鶏は卵というように、すべてのものを要するにカロリーを標準にして供出させる。從來はそうした澱粉類が少いからでありますが、これを補う途は、先ほど申しました甘藷でつくから、ぜひひとつ飼料だけは與えて、家畜は今までの頭數を減らさず、乳でも、肉でも、卵でも、あるいは海藻魚介、そうした方面を増産させて、それを織りこんだ形における一つの食糧配給ということが絶對的に必要であるというふうに考えております。そこでいろいろ厚生省でも御配慮願つて、榮養研究等も願つておるのでありますが、現在のようなときにおいて、われわれは二合五勺とか何とかいうことではなくて、そうした榮養を中心にした食糧配給が絶對に要請されるのでありますが、これらの點につきまして厚生省當局は、食糧を擔當する農林當局等と互いに練つて、そうして國策の上にいろいろ御貢獻になつておるかどうか。あるいは單なる一種の研究所であつて、そうした方面についての机上的な御研究で日を送つておいでになるか、その點についてのお考えを伺いたい。さらに當局の私の質問せんとするカロリーを基盤とするところの食糧配給に切りかえるべきものであろうという點について御所見等を拜聽したいと思います。
#24
○三本政府委員 お答えいたします。まず榮養研究所は、どういうふうな仕事をやつておるかという御質問でございますか、ここではもちろん厚生省は榮養要求省として、國民の保健衞生を推持するに足る榮養を確保するよう、農林省に要求するという立場に立つておるのでありますが、併せてこれらの食糧資源が、最も效果的に、效率よく食べられるというような指導をいたしておるわけであります。それらの行政の方面に向つての基礎的な研究をやつておるのが、ただいまの國立榮養研究所であります。なお農林省の方にも、食糧管理局の研究所がございますので、これらの兩研究所は相提携してやつていくという、研究上の提携のみならず、兩省行政の提携につきましても、一つの審議會をつくりまして、相提携してやつておるような次第でございます。なおただいま御指摘になりました食糧の面において、動物の飼料等を奪うことなく、動物には飼料を出して、動物からは乳、肉、卵等をとればいいではないか。さらに進んでカロリーを基準とし榮養を基準にしたところの食糧配給を行う意思はないかという御意見でありまするが、この點につきましては、私どもといたしましても、まつたく贊成でございます。安本を中心といたしまして、食糧と榮養の協議會というのがございまするが、この協議會に厚生省もはいつておりまして、それらのところにおきまして、いわゆるカロリーを基準といたしまするところの配給に組みかえていくというような成案も得ておるようなわけでありまして、その行き方が一番適切であると思うのであります。殊に食糧は何と申しましても九十九パーセント、心理的でありまして、まずいものは食えないのであります。まずいものは、カロリーがあつても食糧ではないということもございまするので、ただいま御指摘になりましたような、なるべく動物蛋白質、あるいは動物を通してその動物の卵なりを食うという面及びカロリー、この二つの上に立つた食糧及び榮養の配給方法は、私どもの最も待望するところであります。またその線に向つて努力をいたしておる次第でございます。
#25
○磯崎委員 最後にいま一つお尋ねしまするが、先ほどもちよつとお話があつた出征遺家族の救濟問題であります。戰線に夫を送つて孤獨な身に小さな子供を抱えて、このインフレの激浪に飜弄されておるところの氣の毒な家庭でございますが、こうしたものに對する救濟は、生活保護法において行われておるというふうに聞いております。しかし單にその程度では、なかなか容易なことでない。特にそうした大きな犠牲を拂つて、若い婦人が乳のみ兒を抱いてやつておるというようなことに對しては、相當これは一般とは變つた觀點から救濟さるべきものである。もちろん救濟ばかりに依存するのではないのですが、國家がそうした方面に温かな手を伸ばすということが絶對必要なことである。先般實は各地においてそうした遺族の會合などがあつたのでありますが、そうした遺族の連中は、口をきわめて過ぎ去つた過去を嘆いております、これは相手方方面との關係もあつて、陰でわずかにそうしたものを憂えておりますが、何とかこの遺族の救濟という方面は、いろいろな形において、他の一般の形とは違つて、厚い形の救濟の途が講ぜらるべきではないかと考えております。この點に關しまして、當局は一體どんな考えをもたれておるか、お答辯を願いたいと思います。
#26
○大野(連)政府委員 ただいま出征遺家族の保護の問題についての御質問でございます。御承知の通り、生活保護法が施行されまして、すべて保護は無差別平等にやる建前に相なつておるのであります。從つて出征遺家族のみを特に一般と離して保護することは、法の建前上なかなか困難になつておることは御承知の通りであります。從つて現在三百萬近い者が生活保護法の對象になつておるので、いわゆる出征遺家族の數が非常に多くなつてきておるのであります。生活保護法が施行された當時におきましては、引揚者とか戰災者が相當多くのバロメーターを示したのでありますが、今日のような時代になりますと、だんだん出征遺家族の方が殖えてきておることが、統計上にも目立つてきておるのであります。こういう方面につきましても、厚生省としては十分なる保護と指導を加えなければならぬと考えて、この方面につきましては十分に努力はいたしておるのであります。從いましてこれらにつきましては、物心兩面の援護が必要であると考えておるのであります。精神方面におきましても、各種の社會事業團體、あるいは各方面との連絡をとりまして、それらの者の精神的な慰安と、彼らの向上をはかるという面についても努力しておるのであります。物質方面におきましても、これらの保護につきましては、十分に注意を拂つておるのでありますが、現在のところ、法の建前としまして、特別に他と切り離してやることがなかなか困難になつておりますから、これらの人々が法の保護から漏れることがないように、十分監督を加えておるのであります。ただいま御質問のありましな母子寮の問題につきましても、あるいは授産施設の問題につきましても、特に十分なる援助を與えまして、これらの人が生活に十分なる確信と國家の保護を受けるように、その方面については、政府としても十分の施策を講じておるのであります。なおこれらの問題につきましては、すべての國民がそういう氣持になつて、政府と相まつて國民全般がそういう遺家族の問題について精神と物價方面の援護を與えるような方面につきましても、十分なる努力を拂つておる次第であります。その點につきまして皆樣方の御協力をお願い申し上げる次第でございます。
#27
○磯崎委員 今の問題と關連して申し上げますが、ただいま全國的に展開しておる寄附金募集運動、これは厚生省管下の、何か救済事業らしゆうございますが、一府縣に數千萬圓程度の割付けをして、各地域にこれを分擔させて大わらわで募集しておりますが、こうした金はやはり厚生方面に使われるのか、ないしは他の管下のものも含んでおるのか。とにかくその樣子はわかりませんが、金額はきわめて厖大であります。これは現内閣のずいぶん無理な健全財政と稱される豫算の中において、そうした方面で收入の一部を賄われるのか、ちよつとそこらのことはわかりませんが、どういう方面に使われるか、ちよつとこの際御所見をお伺いいたしたいと思います。
#28
○大野(連)政府委員 ただいまお話のありました問題につきましては、各種の社會事業團體がコンミユニテイ・チエストという運動のもとに、全國的に展開しているものと思いますが、これは全國的に相當の額に上る寄附金募集でありまして、各種社會事業の民間團體が結合して、社會事業のために全國的に寄附金を募集しておるのであります。從來區々まちまちに行われた寄附金募集を、社會事業の團體が全部打つて一丸となつて、一つの運動として現在展開されておるのであります。これは民間團體の自發的な運動として、われわれもできるだけこれに協力しておる次第でありまして、これら全國から集まつた寄附金は、そういうような社會事業の施設その他社會事業の資金に、みなはいることと考えておるのであります。これによつて官民相そろつて社會事業運動の展開に非常に役立つのではないかと考えておる次第であります。
#29
○船田副主査 他に御發言ありませんか。――ないようでありますから、厚生省所管の質疑はこれで終了いたします。
 しばらく休憩いたします。
    午後三時二十六分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後三時三十六分開議
#30
○船田副主査 休憩前に引続き會議を開きます。
 これより昭和二十二年度一般會計豫算補正(第七號)同(第八號)及び、昭和二十二年度特別會計豫算補正(特第三號)中、勞働省所管の豫算各案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。米窪勞働大臣。
#31
○米窪國務大臣 昭和二十二年度一般會計竝びに特別會計の豫算補正といたしまして、補正第七號、さらに經費節約の意味の補正第八號と、失業保險、失業手當のための特第三號を一括して、三案を御説明申し上げます。
 まず第一に、昭和二十二年度一般會計豫算の補正第七號のうち、勞働省所管豫算補正追加要求額は總計で十億五千八百十七萬六千圓となるのであります。そのおもなるものについて概略の御説明をいたします。
 まず勞政局關係において、中央勞働委員會事務局機構の追加整備のために二十七萬二千圓を計上いたしました。これは現下勞働情勢に鑑みまして、中央勞働委員會の職責がきわめて大となつてまいつたのでございまして、過日全遞及びその他の官公吏からの要請に基いて中央勞働委員會が重大なる調停案を決定してそれを發表したことに鑑みましても、今後ますます勞働委員會の活動が期待されるわけであります。ところが各委員の手當がはなはだしく低額になつておりましたので、これを増額するために必要な經費を勞働者勞政局の分に計上いたした次第でございます。
 次は九月一日から實施されました勞働基準法の施行に關して、その施行の任に當る勞働保護官署の機能を充實するために必要な經費二千百一萬七十圓でございますが、これは基準法の施行に伴いまして、都道府縣勞働基準局及び勞働基準監督署の機構整備をいたしつつありまするが、本豫算を組んでから、諸物價が御承知の通り非常に高騰したために、これら官署の整備をはかる上に多大の支障を來しておりまして、これが地方においていろいろの問題になつておるのでございまするが、これが機能充實を期するため必要な經費を勞働保護官署分として計上いたしたのでございます。
 次に職業紹介事業の整備に必要な經費として、主として職業安定所のために百四十九萬六千圓、さらに職業安定所を連絡する機能をもつておる職業安定事務所を設置するために必要な經費として七十萬圓を計上いたした次第でございます。
 ただいま國會に提出中の職業安定法の制定實施に伴いまして、職業安定行政機構の第一線機關でありまする公共職業安定所の擴充整備をはかるとともに、勞務の需給調整の圓滑適正を期するため、府縣間の連路機關として職業安定事務所を設置するため必要な經費を職業官署分に計上いたしました。
 次に失業手當及び失業保險に必要な經費として九億六千六百二十三萬六千圓を計上いたした次第であります。これについては、また本國會に提出中の失業保險法及び失業手當法の運營のため、失業保險特別會計を設けまして、これに一般會計より所要經費を繰入れまして、本年度はこれに要する經費として右金額を勞働省職業安定局に計上いたしました。
 以上のほか、官廳の民主化、官廳事務の能率化をはかるため行政監察委員會を設置するため必要な經費十萬圓を大臣官房分に計上しました。さらに財政法、會計法施行に伴い、都道府縣勞働基準局及び産業安全研究所における會計事務の増高に對處するため必要な經費二百六十五萬三千圓を計上し、その中二百五十九萬七千圓を勞働保護官署分に、五萬六千圓を産業安全研究所分に計上しました。なお政府職員の給與改善を行うに伴ひ、勞働省職員分として必要な經費四千九百六十八萬圓を行政共通費に、勞働關係地方職員の待遇改善を圖るため必要な經費千六百七萬六千圓を勞働省勞政局分に計上いたしました。
 第二に、昭和二十二年度一般會計豫算補正第八號中の勞働省所管分について御説明申し上げます。本豫算は、十月十四日、閣議決定に基く豫算節約額を計上いたしたものであります。勞働省所管豫算は、厚生省所管よりの移替額を含めて、その總額は三億七千五百五十七圓であり、これより職業補導協會補助及び勞働省廳舍營繕費六百三十萬八千圓を差引いた三億六千九百二十六萬二千圓を今囘の節約對象額とし、右の一割相當額三千六百九十二萬一千圓を科目別、部局別に節約したものでありまして、これを費途別に見ますならば、八件費二千五百四十萬圓、物件費八百九萬圓、補助費三百一萬圓その他四十二萬圓と相なつておるのであります。
 以上によりまして勞働省所管一般會計歳出豫算總額は厚生省所管より移管した二十二年度成立豫算二億六千六百二十一萬二千圓、補正第一號第四號及び第五號による追加計上額二億一千二百五十九萬八千圓及び今囘提案の補正第七號追加計上額十億五千八百十七萬六千圓でありまして、以上を合計しますれば十五億三千六百九十八萬六千圓となりますが、これより、今囘提案の補正第八號の修正減少額三千六百九十二萬一千圓を差引きますれば、勞働省一般會計の歳出豫算現額は十五億六萬五千圓と相なるのであります。
 第三に、特第三號中の昭和二十二年度勞働者災害、補償保險特別會計について御説明申し上げます。勞働者災害補償保險特別會計の補正豫算は、歳入歳出とも修正減少額六千五十七萬六千圓であります。厚生省所管より移し替えしました、二十二年度成立豫算額と、今次國會において決定を見ました特第一號及び特第二號歳出豫算補正額との合計額は三億二千九百二十六萬九千圓でありまして、右の合計額から今囘の補正減少額を差引いたしますと、歳入歳出とも二億六千八百六十九萬三千圓と相なるわけであります。
 今囘補正いたしました追加豫算の概略について御説明いたしますと、當初豫算は六月末日をもつて勞働者災害扶助責任保險法を廢止し、七月一日より勞働者災害補償保險法に吸收施行の豫定をもつて成立いたしたのでありますが、勞働基準法とともに勞働者災害扶助責任保險法が七月一日より施行の豫定が九月一日よりとなりましたので、これに伴い本特別會計においても、差額二箇月分を修正減少することとし、さらにさきに申し上げた本年度豫算一割節減の方針により既定經費を節約するため、歳出において百八十八萬六十圓の補正をいたしておるのであります。第四といたしまして、特第三號中の昭和二十二年度失業保險特別會計豫算について御説明申し上げます。先ず失業保險特別會計豫算は歳入十七億一千二百四十五萬九千圓、歳出九億七千四百六十一萬一千圓、歳入過七億三千七百八十四萬八千圓であります。
 今囘の補正豫算の概略について御説明いたしますと、わが國は現在すでに相當厖大なる失業者の發生を見ているのでありますが、政府の經濟緊急對策の強力なる實施に伴いまして、さらに相當の失業者を生ずることも豫想されますので、これ等失業者に對し、まずさしあたり失業手當制度により對處し、さらに失業保險制度の確立により根本的救濟政策を樹立するため、本國會に提出中の失業手當法及び失業保險法の運營のため、失業保險特別會計を設けることとし、これが所要の經費として右豫算を計上いたしたのであります。その内譯を申し上げますと、歳入においては一般會計より受入れ九億六千六百二十三萬六千圓、保險料收入七億四千四百四十八萬圓、雜收入百七十四萬三千圓、合計十七億一千二百四十五萬九千圓でありまして、歳出は、失業手當給付金八億三千七百五十四萬圓、失業手當實施に要する事務費六千六百八十八萬四千圓、失業保險實施に要する事務費二千九百八十八萬六千圓、諸支出金千四百萬一千圓、豫備費四千三百七十六萬九千圓、合計九億七千四百六十一萬一千圓と相なるのでありまして、差引き歳入過七億三千七百八十四萬八千圓は昭和二十三年度本會計豫算へ繰越すものであります。
 以上、勞働省所管の一般會計及び特別會計の補正豫算の大要の御説明を申し上げたのであります。本豫算案の成立につきましてその重要性に鑑み、愼重審議の上、一日も早く御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
#32
○船田副主査 ただいまの勞働省所管について御質疑がありますれば、御發言願います。
#33
○中原委員 この度中央勞働委員會が裁定いたした結論に對して、政府は中勞委の決定は、これを尊重するということを、首相もまた勞働大臣もすでに御發表になつておられたと思います。從いまして、中勞委がこのたび裁定いたしました五千二十六圓の臨時補給金のことは、どのような困難を排してもこれを實行されるであろうと私は期待いたしております。それにつきましていろいろ議論もありますが、時間がないように承つておりますので、そのことを避けまして、ただこの中勞委の裁定に對して、主務大臣としてどういうふうな御見解と、そうして今日どういうふうな、これが實現のための努力をしておいでいただけるのであるかということを、ひとまず承つておきたいと考えるのであります。
#34
○米窪國務大臣 お尋ねに對してお答えいたします。中勞委の調停案は二つにわかれておりまして、その一は明年一月一日から、同一の事業に從事しておる官吏と民間との給與に今日差のあるものを、同じレベルにもつていくように給與體系をかえるということであります。それからもう一つは、本年一月から六月までの生活費の補給金、すなわち赤字が出た生活費の補給金は政府の責任であるから、これを埋めるために二・八箇月の補給金を出すことになつております。政府のこれに對する案を、今發表する時期にはなつておりませんが、勞働大臣としては、たびたび聲明しておる通り、勞働爭議の平和的、早期的解決をはかる一つの方法として、勞働委員會の權威を認め、勞働委員會の決定を尊重するというその事柄からいつて、なるべく中央勞働委員會の調停案を承諾したいと思いますが、問題は第二の補給金の點でございます。これはまだ政府の意向がはつきりきまりませんが、過去の生活費の赤字は、政府の責任としてこれを補給すべきであるかどうかという理論、これがまだ政府の方で認めるか認めないか、わかりません。もう一つは二・八箇月、すなわち五千六十二圓ですか、あの中の財源というものが官公吏にまで及ぶものとするならば、相當の額になるので、はつきりここで數字は申し上げられませんが、大體七十億から百億の間くらいになると思うのであります。この財源がはたして政府において求められるか否かが、政府の態度決定に關する重要な點であると思いますが、この財源を、大藏大臣が中心になつて政府が求めることができるならば、この中央勞働委員會の調停案を承諾すべきである、こう考えております。
#35
○中原委員 その財源のことでありますが、いろいろこのことについては熱心な考究がなされておることと存じますし、また私どもも非常な關心を寄せておる次第であります。つきましては、現在の豫算を通して考えてみましても、相當財源として期待できる部分が見受けられるわけでありまして、たとえば價格差の益金の問題であるとか、あるいは所得税歳入の増加であるとかいうような點が、今の實情から考えて、相當期待できる部分に屬するというふうに思えるのであります。もちろんこれは當面應急の問題でありまするから、根本的に國家の歳入のための歳計をやりかえることは當然むずかしいのであつて、一應今の場合、考えられる範圍内において、その財源が考えられなければならぬと思います。從いましてこれはむしろ強行する。何としてもこの中勞委の決定の權威を十分認めて、これを斷行するという腹をおきめになれば、何とかなるのではないかということが言えるように私どもは考えております。もちろんこの五千六十二圓の補給金を補給するということだけをもつて、組合側が納得しておる状態でないことは言うまでもありません。組合側としては相當いろいろ要請をいたしておるわけでありまするが、いずれにいたしましても、末弘委員長のお言葉にもあるように、一應政府が、この場合できるだけの誠意を示すことによつて、この勞働紛議は必ず解決におちつくものであるというふうに、私は考えるのであります。殊に官公吏の場合でありまする關係上、國民の關心もまた格別のものがございまするので、政府がなるほどという誠意を示せば、國民もまた政府のその熱意に理解をもつであろうし、國民がその理解をもつことによつて、組合側としてもまた考えなければならぬような實情になつていくと私は思います。願くばそういう意味で國民的立場から見て、政府は非常に純粹な熱情を示すということが、最初に大切なことではないかと思うのであります。それに關連して、千八百圓ベースの問題ですが、これはその初めから議論のあつたところでありまして、私ども、もちろん勞働者の立場に立つてものを考えまするときに、今日の物價の状態をもつてして、千八百圓という基準が妥當適切なものなりやということは、初めから考え得られなかつたのであります。安定本部の方では非常に自信ありげな數字的な御發表もございましたけれども、私どもはその當初からその發表のあまりにも大膽であることに驚いておつたわけでありまするが、はなはだ遺憾ながら、結果は私どもの想像の通りに、安定本部の發表するものは、數字的にもはや崩壞し盡しておると私は思います。そうしてまた今度の官公勞關係のこういういろんな紛議から、結論づけられましたいわゆる中央勞働委員會の裁定によつても明らかなるごとく、結局赤字の生活をいたしてまいつた。殊に組合側の發表によると、むしろ安定本部が發表しておる黒字になるであろうというその豫想にもかかわらず、問題はむしろ反對に、非常に大きな赤字が出てまいつておる。しかも組合側の發表によれば、むしろ黒字を豫想いたしました數字の十倍にも及ぶような赤字が發表された。もちろんその發表されている赤字の數字が、妥當であるかどうかについての詮索は別にいたしまして、ともかく、少くとも相當程度の赤字生活を勤勞者が營んでおるということだけは、これは何人が見ても間違いのない事實であつて、まことに悲しむべき現實であります。こういうことから思いますれば、すでに千八百圓ベースそれ自體が、遺憾ながら修正されなければならぬ事情に逢著しておるのではないか、もちろん政府としても、いろいろこのベースを堅持することを必要とする事情もあると思いまするけれども、可能ならざるものを可能であるがごとくに、ただ觀念的にそれを押しつけていくということが、今とられていいのかどうか。私はその點について、むしろそういう考え方は、改むべきことではなかろうか。もちろん國の經濟再建のために、いろいろ苦心しておいでになることもわかるのでありますけれども、少くとも今後わが日本の經濟再建の重要な要件は、勤勞大衆が、殊に勞働力を行使する者が眞に心を打込んで、すべての産業面に活動し、直接關接にその部門に參加して全力を盡すということでなければ、とうてい成果の上るものではないのであります。そうであればなおさらのこと、勞働階級が眞に憤激して生産に參加し得るいい條件をつくることが必要である。そうであれば、その條件は少くともいわゆる再生産に備えるための條件をまずつくるべきである。勞働力の再生産への行使ということができなければ、とうていこれは滿足にいくものでないのであるから、その點で何ら疑問の餘地も何にもないと私は思うのでありまするが、實情がそうであればただ觀念的に千八百圓ベースを守ろうとする無理をやめるときが來ておるのではないか。もちろん守れるだけそれを守ろうとするその執拗さは、私は結構だと思いますけれども、もはや守れないという現實が目の前に立證されたならば、それを勇敢に改むべきではないかというふうに考えるのであります。從いまして今度のこの補給金を必要とするという裁定の下りましたことそれ自身、すでに千八百圓ベースは堅持し得ないということを、遺憾ながら立證しておるものであると考えるのであります。この點につきまして主務大臣の御所見を承つておきたいのであります。
#36
○米窪國務大臣 千八百圓を標準給料としてきめたのが、とかく誤解があるようですが、これは本年の七月の給與審議會において、物價と賃金の惡循環を斷ち切り、インフレーシヨンの暴騰を抑制するためには、新して物價體系と、そして賃金給與の體系とを同時的に決定して、これによつて賃金と物價の惡循環を斷つことが、すなわちインフレを抑制するために最も有力な手段である。もちろんそれがためには生活必需品の生産が多少でも囘復して、さらに日本のインフレーシヨン高進の最大原因であるといつてよい流通秩序の確立が實現されるという、この二つが前提になつて、これがうまく豫定通り行つたときには、非常に困難なる事情である物價と、賃金の惡循環を、同時的に解決される、こういう目途のもとにああいうものが發表されたのであります。千八百圓が發表されたことについては、一方の新物價體系は昭和九年、十一年の時の平均物價に對するバリテイ計算であつて、賃金はこれに對してバリテイでなしに、當時の官吏及び私企業の全産業にわたつた平均給與が千六百圓である。これに對して新しいマル公か改訂されて高くなつた、そのはね返りが賃金の方へ來る。そのはね返り二百圓というものを考慮して千八百圓というものがきめられた次第でございます。從つてこの千八百圓が新しい物價體系をつくるための原價計算における一つのフアクターでございまして、これによつてこの賃金をくぎづけにしようという意味では毛頭なかつたのでございます。從つて國の財政あるいは豫算關係の伴わない私企業の方では、團體協約によつてこれがだんだん高められてきたことは御承知の通りと思います。すなわち七月を分岐點として、國家財政の抑制を受けるところの官公吏の給與は、千八百圓ベースと俗に言うところのものでくぎづけになり、しかも私企業の方は團體協約によつて、組合の力によつてこれが獲得をされたために、だんだん差が大きくなつてきたのでございます。ただここでちよつと申し上げたいことは、千八百圓と申しましても、これが大體同じ生活を對象として見た場合の千八百圓で、五人家族の場合においては東京の計算によると約二千九百圓乃至三千圓ぐらいの給料をもらつておつたことは事實であります。また田舎の方に行きますと、千八百圓よりはるかに下の給與である。從つて當時の標準は千六百圓程度であつた。それに二百圓加えて千八百圓ということになつた。ところが今申し上げておるようなわけで物價がだんだん上るとともに、組合の力をもつて、私企業の團體協約によつて、新しい給與がだんだんつくられていくということで、翌月の八月全産業の平均給與が二千圓、九月が二千二百圓、こういうぐあいにだんだん上つて來ておるのでございまして、今日ではおそらく相當の額になつておると思うのです。そこでこの千八百圓は初めから無理だつたという考え方は、私は流通秩序の確立と、生産増強が豫定通り行われておつたならば、私は千八百圓ベースでもつてこの名目賃金と實質賃金との開きが大きくならずに濟んだ、すなわち最低生活のギヤツプがあまり大きくならずに千八百圓でも行けただろうと思いますが、問題は要するにやみ値がだんだん上つて、しかも一方生産力は戰前の約二分の一乃至三分の一に落ちておつた。生産力は少しも囘復しておらぬ。そこに私は今日見るがごとき社會不安、生活苦が起つた原因があるのではないか、こういうぐあいに考えております。從つて私どもとしては、千八百圓という賃金ベースにこだわるべきものでなく、これを動かすことが、せつかくきめた物價體系を壞すか壞さぬかというところにあると思う。もしもこれが壞れれば、結局また新しく物價體系を立てかえる、するとその物價體系をかえたがために賃金もそれに對應してかえる。賃金がまた變れば物價體系もまた無制限に變るということになれば、物の裏づけのない物價の値上りと、賃金の値上りというものは、循環的に止まるところを知らない、こういうことになるのです。そこで問題はどの程度に千八百圓ベースを動かして、これを改善するなり、あるいはその給與を上げた場合に、それがせつかくこしらえた物價體系を壞さないでいくかということが、非常にむずかしい問題ではないかと考えるのであります。また一方においては、せつかくきめられた物價體系というものは、ものによつては相當これを避け得る品目があり得るではないか、あるいは統制をはずすことができる品目もあり得るではないか、すなわち賃金を動かさずに勞働者の生活を緩和するために、實質賃金を高めるという意味において、物價の方を直して、そうして生活費を輕くするということも考えられるのでございまして、これらのことは、中勞委の裁定にありますところのいわゆる臨時賃金委員會というものが十一月中にできることになつておりまして、これについては係數に明るいところの使用者側といいますか、政府側竝びに勞働者側竝びに中立側の委員若干名が選ばれて、この點を忌憚なく檢討されて、そうしてどうしても千八百圓を變化させなければいかぬ、これを改正しなければならぬということになれば、おのずから改正されると思いますが、問題は改正された結果、どの程度に物價體系がまた崩れていくかという、その影響力を考えないといかぬと思うのであります。從つてここにわれわれとして、參考として考えられることは、公務員法における職階制と職務制とを考慮したところの新しい給與體系を立てることも、當然參考案として考えられるだろうと思うのであまりす。從つてこれらのことは、近くできる臨時賃金委員會において十分に檢討されることになるだろうと考えている次第であります。
#37
○中原委員 もちろん勞働者といたしましても、名目の賃金を問題にいたしておるのではないのです。あくまで實質賃金の確保ということが中心であることは、言うまでもございません。しかし遺憾ながら物の裏づけの面は、必ずしも成功しておらず、もちろんそれには國民の積極的な協力ということも常に要請されておりましたし、また大切なことであるのでありますが、やはり政府がそれに對する基本的な方針を確立するという必要があつたと私は思うのであります。もちろん、そう申しますると、政府は方針をもつておつたというふうに仰せになると思いますけれども、政府がせつかく立てましたいわゆる流通秩序の確立ということについても、ほんとうにこれが實行し得るための態勢であつたかどうかについては、いささか疑問があるのであります。いずれにいたしましても、今後物の裏づけについて相當思い切つた措置が講ぜられなければならぬと思いますが、これはこの委員會でこのような議論を進めるのは無理ではないかと思いますから申しませんが、とにかく勞働者も名目をそれほど重要視しておるものでないということだけをつけ加えておきたいと思うのであります。今後は少くとも實質賃金の確保に向つて御協力が願いたい、そういう御努力が願いたいと私は思うのであります。
 さらに今の時局のいろんな事情から考えますると、どうせ失業者は減るのではなくて、不幸にして殖えるのではないかというような實情にあると思います。從いましてこの失業手當法竝びに失業保險法の問題でありますが、もちろん政府はそのことを考慮されて、この法律案を御上程になられたのであり、また議論もそれを考慮して審議したことと思いますが、しかしながら失業者の一應の豫想について、政府と私の見解が少し違うのであります。この失業手當支給に關する事柄に關連しまして、政府の豫想しておいでになる失業人員でありまするが、まず大體陸上において二十萬人、海上において九千人というふうにふんでおいでになると承りまするが、現在の状態のもとで、全體で二十一萬人ほどの失業者を見込んでのこの豫算の計上が、はたして適切であるかどうか。どうもこの點について私はいささか疑惧をもつのでありますが、當局におかれては、この數字の算定基礎をどういうところにおかれたのであるか、一應この場合承つておきたいと考えるものであります。
#38
○米窪國務大臣 わが國には從來勞働問題を專門に取扱う統計調査機關がなかつたのでありますが、九月一日勞働者の發足と同時に、勞働省内に勞働統計調査局というものができまして、今後專心勞働問題に關する調査統計をつくることになつておるのであります。從來の内閣統計局は、あらゆる問題全部にわたる調査をしておつた關係上、われわれが信頼するに足る的確な勞働統計というものがなかつたのは殘念であります。そこではつきりしたことは言えませんが、前内閣以來言われておることは、いわゆる職業安定所その他に登録されておる顯在失業者と稱するものが二百七十萬、國勢調査あるいはその他の人口調査等に現われた數字を基礎として大體産業の状態なども斟酌してみた推定の濳在失業者と稱するものが五百二十萬人、合計八百八十萬人くらいが失業者であろうというぐあいに考えております。これを基礎としまして、失業保險の起草委員會においては、A案、B案、C案國というものをつくつて、A案の場合においては――大體A、B、C案を通じての失業救濟を受くべき共通の基礎條件としましては、今失業状態にあるものは全部これを救濟するという意味ではないのであります、そうすれば八百萬人をみな救濟しなければなりませんが、そうでなくして、過去においてやはり一年間に通算して六箇月間くらいの雇用關係にあつたということが失業の條件になる。これが失業者であると認定する最初の條件になるのであります。そこでこの條件のもとに出發して、A案、B案、C案というものをつくつて、A案というのは一番廣い意味で、これは船員もはいれば婦人もはいる、それから日雇勞働者もはいる。官業勞働者もはいる。男女の區別なく、職業の區別なく、大體入れたもの約六百萬人というものがその中にはいる。それから船員を除外する、あるいは日雇勞働者を除外したというものがB案、C案は官吏及び官業勞働者を除外したもの、それが四百九十萬、こういうぐあいに踏んで三案を立てた。なぜ官吏、官業勞働者を省いたかというと、大體これには退職金、恩給というものがあるので、やめてもただちに遊んでおる間生活費に困る――もちろんこれは程度の問題ですが、一文もないという状態はないだろう、若干の退職金があり、あるいは恩給がある。こういうぐあいで一應除いてみたのがC案であるのであります。その四百九十萬のうち、大體さつき申し上げた一年間に六箇月間の雇用關係があつたという條件にはまるものは、大體それの一割ぐらいだろう、それで四十九萬になる、その四十九萬のうち、さらに待機であるとか、あるいはその他の條件があつてそれに合わないものが約半分あるだろうというので約二十四萬人ぐらいはC案によるところのすぐ即日から失業手當を受ける數だろう、こういう大體推定のもとに、例の二十四萬というものを目標としてこれに實質賃金の最高は八割、最低は四割、すなわち賃金の安いものに對しては職業をやめる直前の實質賃金の八割をやります。賃金の非常に高かつたものに對してはそれの四割、これの平均をとつをのが六割とこういうことで、かりに千八百圓というものを實質賃金と計算しますと、約千百圓をやる。その千百圓をどのくらいやるかというと、六箇月間やる。こういうことで大體追加豫算十五億圓を出した。ところがこれに對して關係筋と折衝の結果、約半額に減らされたので、これでは失業保險を經營することはとうていできないというので、十億圓に復活ができたというのが、今までのごく大ざつぱな經過でございます。
 そこでさいわいか不幸か知りませんが、實施期が一箇月延びたために、十月一日のものが十一月一日になつたので、五億圓減らされたのでありますが、大體これでもつて來年の三月まではカバーできるのではないか、こういうぐあいに考えております。
#39
○中原委員 さらに支給額のことでありますが、政府のお見透しによれば、大體九百九十圓の平均というふうになつておるようでありますが、失業者が九百九十圓の失業手當をもらつて、はたして生きていけるかどうか。しかもそれまでに勞働者が餘分を蓄積しておるということが豫想されておれば、これはもちろん問題ではありませんが、先ほど申しましたように、赤字になつておるという現實、できるだけのものをすでに賣り飛ばして、辛うじて生きてきたという現實、そういうことから結果して、さらにここに失業状態に陷つたという場合に、千圓に足らない給與をもつてやつていけるかどうか。これはもちろんやつていけません。政府もこれは御存じのことと思いますが、やつていけないが、しかし失業手當は普通の生活のできるだけのものをもつてする必要はない、またそういうことはなし得ないということになるかしりませんが、しかし少くともこういう特殊段階において、國の責任においてその失業にこたえなければならぬ。失業は個人の意思による失業ではなくて、國家の――少くとも過去にさかのぼれば、あの憎むべき戰爭の所産、結論としてこういう状態が生れてきたし、またこれを急速に囘復するだけの施策が成功し得なかつたという、その國家的責任において發生する失業であるとすれば、これは普通の場合の失業に對する考え方とは、相當違つた考え方をもつて臨むべきではないかというふうに私は考えます。そうであれば、この九百九十圓平均の給與をもつてやれないということがわかりきつておる以上は、少くともそういう状態を一日も早くなくするための政策が行われなければならぬということは當然のことであります。それに對して政府はいわゆる失業者をなくするためのどういう政策をもつておいでになりますか。一日も早くそういうことを解消するための政策としてはどういうことをお考えであるか。この點について承つておきたいと思います。
#40
○米窪國務大臣 責任が政府にあるか、あるいはその他にあるかは、ここで論ずることを私遠慮しまして、かりに政府に全責任があつてこういう失業者がたくさん出たという場合において、これを漏れなく救濟することになれば、これは保險觀念を離れて、社會保障制度の觀念になるのであります。社會保障制度については、當然理想としては完全雇用の問題と相竝んで失業問題として最高のものであります。しかしこれは諸外國においても、なかなか社會保障あるいは國家保障という制度を政策として實行できないことは、その國の國力あるいは財政とにらみ合わせるときに、當然それは限度があるのでありまして、最近厚生省が社會保障制度調査會に、かりにどのくらい金が要るかといつて調査したところが、合計二千億圓要るという答申が出ておるようなわけであります。國民の最低生活費を國が保障するという觀念からいきますれば、これは保險制度ではいけないので、社會保障制度ということになると思います。從つて日本が敗戰二年後の今日、まだ戰前のような状態にまで社會秩序が囘復しておらない、また勞働者の生産性も高揚されておらない。その他金融状態、あるいは資材その他において、ほとんど囘復の色は一つも見えない。占領軍によつて管理されておる。日本の國が、建國以來ほとんど歴史上未だかつて見ない最惡の状態におかれておるということから見まして、しかも生産力は戰前の三分の一に落ちており、生産状況はほとんど囘復しておらない。こういう點から見まして、非常な制約をわれわれは受けておることは事實であります。從つてこういう状態において政府の施策のでき得る限界がきわめて低いということは、これは當然であるのでございます。また資材が底をつき、金融はますます梗塞してきまして、あらゆる經濟的條件がマイナスになつておるときに、その一番困難なときに引受けた現政府が、社會制度としてなすべき保險事業というものが非常に困難であることは、これは言うまでもないのでございますが、われわれとしてはやはり失業問題については、失業救濟というよりも、失業防止が必要である、救濟よりも防止が前提である。この意味から言えば、失業保險あるいは失業手當で失業者を救うということは、最後の方法であつて、もちろんこれが最上の方法ではなく、やむを得ず、やるべきことであります。そこでこれをやる前に、政府としましては、これまたいろいろな經濟的惡條件にわれわれは當面しておりますが、何とかして就職の機會を多くして、事業を興して、たとえば公共事業あるいは輸出産業事業、そういうものを興して、それによつて失業者を救濟する。もちろんその前に失業ということが起らないように、企業が盛んになり生産が上つてくれば、これはいいのでありますが、現状はむしろその反對になつておる。從つてわれわれとしては失業救濟の意味において、新しい就職の機會をこしらえてやるべきである。また企業整備、經濟力集中排除、獨占禁止というような法案で、どうしても失業を免れない人に對しては、職業補導所において、今まで自分の慣れておらない企業に對して若干臨機の教育をやつて、その方へ配置轉換をしていく、大體そういう目途でいきたいと思う。昨年度は公共事業あるいは配置轉換によつて約百六十萬の失業者を救濟し得たと思うのであります。本年は條件が惡くなつておりますが、この程度の失業救濟をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#41
○中原委員 大臣の御所見は私も大體同感でありまして、失業をなくするということがねらいであることは、言うまでもありません。なお私は附け加えておきますが現内閣の責任であるというふうに申したのでないのであります。少くとも今日、こういう國が壞滅するかもしれないというような状態に立至らしめたについては、過去におけるわが日本の指導階級の負うべき責任が全部的にあるわけでありまして、ただ悲しいかなそういう跡を受け繼いだ社會黨首班の片山内閣として、まことに苦しい現實の處理を背負うて立つておるわけでありますが、それに對する理解は十分もつておるつもりであります。ただ問題はその過去の責任の所在のいかんにかかわらす、現實直面しておりますこの状態の中から、われわれはいかにしてここを解決處理していくかという場合に到達しておるわけでありますから、その點についてはもちろん誤解をもつておりません。そのことを明らかにいたしておきます。
 さらにいわゆる失業保險法の對象としての失業者の問題は、以上をもつて一應打切りますが、それ以外の失業者群に對する處置であります。このことは當然少くとも勤勞階層に對する政策を黨の生命としております社會黨主班の内閣であれば、それらのその他の失業者に對する積極的な施策をもつて進まなければならぬと思います。もちろんそれに對していろいろな施策が行われていることを承知いたしておりますけれども、遺憾ながら現在非常に多數の失業者群があふれておる、しかもますます失業者數は増大するであろうという危機に直面しておるのでありますが、そのときたまたまいわゆる行政整理の問題がもち上げられておる。この行政整理の問題はおそらくおのずから人員淘汰ということに行くであろうということが考えられるわけでありますが、この行政整理のことは、殊に本會議においても、あるいは委員會においても、當局はこれを行うということをしばしば言明いたしております。私どもはもちろん行政整理ということについて、これを全面的に否定しようとは思いません。しかしながら、行政整理ということが、輕々しくこれを斷行するものであるというようなことが表明されて、それでいいのであろうかどうか。少くとも私は人員淘汰を伴うところの行政整理である以上は、その行政整理を行うということについて、相當な考慮が拂われなければならぬのではないかと思うのであります。しかるにもかかわらず、先日に本會議においても、たしか齋藤國務相の口から、行政整理が遲れておることを何だか恥ずるかのように、急ぎ行政整理を行わんとする氣構えを見せた御答辯がありましたのを見て、非常に遺憾に思いました。行政整理ということが惡いという意味ではないが、しかしながら、行政整理をすることのために伴う大きな犠牲に對して、一體政府はどういう心構えをもち、どういう對策をもつてこれをなさんとするとか。この問題は少くとも愼重に考慮されべき事柄ではないか。特に現在の政府の手においてこれが行われるということは、あまりにも悲しむべき運命のように私は思うのでありまして、このことにつきまして、特に勞働行政の長である勞長大臣としては、どういうお考えをおもちになるか。このことを一應この場合に伺つてみたいと思うのであります。
 時間がありませんからごく簡潔に終ります。第二に勞働基準法の實施に伴いまして、勞働基準局竝びに監督署がいろいろこれから仕事を開始するでありましようが、これにつきまして、この勞働基準法を運用いたしますための監督官廳としては、今後非常に私は責任が重いと考えております。殊に出先官廳が、過去の今までの經驗から見れば、犯すかもしれないであろう一つの心配がある。というのは、せつかく監督官廳としての責任を遂行しようといたしましても、それにはまたいろいろな妨害があり、あるいはいろいろな誘惑も伴うことでありまして、出先の監督官諸君が、ときに勞働者の最低の線としてここに保護されるようとしております勞働基準法の運用にあたつて、反對側のために動くというようなことがあるおそれがないであろうか。ひとつ間違えば、せつかくの勞働基準監督署の機能が反對の方に作用するということがないと斷言しにくいのであります。從いまして、この出先に派遣されまする監督官は、少くとも嚴選されて、そのような過ちを犯すことのないような確信のもとにこれを選考運營さるべきではないかと私は思うのであります。もちろんそれには物質的ないろいろな裏づけも必要になつてまいるわけでございますが、いずれにいたしましても、勞働基準法、畫期的な勞働者のための立法として期待されておるこの法律の運用に齟齬のないような體制が整えられなければならぬということを私は思うのでありまして、これについての御所見を伺つてみたい。
 さらに勞働基準委員會あるいは中央賃金委員會、あるいは地方賃金委員會、その他各種の委員會ができるわけでありまして、この委員會の結成については、もはや著々具體的になつておると考えまするが、急速に各種の委員會を結成されて、この各種の委員會がそれぞれ機能を發揮することのできるような状態に一日も早く急いでもらいたい。そうしてその委員の決定にあたりましても、もちろん事務上の過ちのあることはないであろうと思うのでありまするけれども、委員選考について、十分民主性を確保するようにお取扱いが願いたいのでありまして、このことについて一應御説明願いたいと思います。
#42
○米窪國務大臣 行政整理については、機構の能率化、それから官僚の繁文褥禮であるとか、あるいは不親切であるとか、こういう官僚といえばすぐそれがつきもののような屬性を、この際拂い退けるために、行政機構を改善するということは、萬人ともに異議はないと思うのであります。ただその結果、各官廳の集約が行われ、あるいは整理が行われていくときに、もしもこの官廳の能率化によつて、今までのような職員の要らないということが起つたときには、それは當然人員の整理ということになつてくるわけであります。戰爭中に多少水ぶくれをした感がなきにしもあらずでありまして、現業、非現業とも若干の人員整理を行い得る餘地は、確かにあると思うのであります。しかも人員整理を行わずして、現在の給與で最低生活費がカバーできる場合においては、私はあえて事を好む必要はないと思いますが、財源においてすでに制約があり、給與において今日の給與を徹底的に改正しなければならぬということになれば、あるいは人員整理もやむを得ないとも考えられる次第であります。しかしその人員整理をするときには、その實施についてはよほど考慮しまして、働く能率の上るものを犠牲にしたり、あるいは働く能力があるにかかわらず、これを失業者にしたりすることのないように、だれが考えても、これは不適當だ、これは能率が上らないという人については、これはやはり今まで申し上げたような事情から、この際國としてはやむを得ない處置である、こういうことを十分了解の上、ひとつ犠牲になつてもらいたい。しかしその犠牲になつた人についても、政府としては當然親心をもつて、まだ豫算定員に達しない官廳が相當あると思うのであります。すなわち新しく採用しなければならぬ官廳があると思うのでございまして、そういうような所へもし餘裕があれば再採用することによつて、この人たちの失業を救濟してやるという處置が必要ではないかと考えております。
 次に第二の御質問である勞働基準局の勞働保護官というものについては、お説の通り第一線に立つて民衆に接するきわめて重要な任務につく人であります。今日勞働基準局が一府縣に一つありまして、その下に勞働監督署というものができることになつておるのですが、まだそれが全部整備されていないのは、お尋ねのような點で、人物の選考でいやしくも誤りの起らないような人物を選ぼう、今日御承知の通り給與が非常に惡くなつて、しかも事務費は非常に足らない時分に、こういう重大なる責任のある地位に優秀なる人を探すことは、なかなか骨が折れるのでございますが、この人たちのいわゆる行政的態度いかんによつて、その影響の及ぶところ甚大でございますから、勞働大臣としては、極力人物の選考、人選については、深甚の注意を拂つておるような次第でございます。
 第三點、勞働基準法に關する各種委員會が相當必要になると思うのでございますが、目下これも名前だけの委員會でなしに、實際その委員會のなすべき仕事について十分の效果をあげ、能率を増進していただく意味において、目下愼重に選考中でございます。これは近く發表し得る段階に達することができると考えておる次第であります。
#43
○中原委員 私は勞働省所管豫算については、相當實は大量の質問をもつておるのであります。從いまして、今日のこの分科會で私の質問を完了することは、とうていできません。しかし時間の關係があり、その他全體の豫算審議の進捗の見透しも考えまして、一應この分科會における質問はこれをもつて打切りたいと考えます。ただ最後に勞働行政の面では、現在わが日本の置かれておりまする特別な諸條件の中に、非常な重要性があると考えまするし、わが日本の興廢を決定するものも、また勞働行政の成不成にかかわるというふうに私は考えておるのであります。從いましてこの勞働行政一般についての今後の政府の政策は、一層力を入れて、わが日本の興廢を決する機能を十分發揮していただきますることを、私どもの信頼する勞働大臣にお願いいたしておきます。そうしてこの勞働基準局關係の問題につきましては、特に長い間というよりも、むしろ先祖代々今日まで、勞働者がかつて一度も基本的人權を享有することができ得なかつたのでありますが、その基本的人權の享有を一應保障されようとしておりまするこの段階におきまして、勞働者のかかる長い間の待望であつた基本的人權確保の可能なる條件が、ここにともかく出てまいりましたが、このときにあたつてこれらの人權確保のための機能を十分この勞働基準關係各機關によつて遂行し得るようにお骨折りを願いたいと思います。一應これをもちまして私の質問を終ることにいたします。
#44
○船田副主査 ほかに御發言はありませんか。それでは勞働省所管の質疑は終了いたしました。
 これにて本分科會における質疑は全部終了いたしました。
 それでは本分科會所管豫算各案を一括いたしまして討論に付します。
#45
○中原委員 この際本分科會における討論採決はこれを留保いたしまして、總會において議決せられんことを希望いたします。
#46
○船田副主査 ただいまの中原君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○船田副主査 御異議がなければ動議のごとく決定いたします。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後四時四十六分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト