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1955/03/08 第24回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第024回国会 社会労働委員会 第15号
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1955/03/08 第24回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第024回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第024回国会 社会労働委員会 第15号
昭和三十一年三月八日(木曜日)
   午前十一時四十分開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀世君
   理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君
   理事 野澤 清人君 理事 滝井 義高君
      植村 武一君    小川 半次君
      加藤鐐五郎君    熊谷 憲一君
      小島 徹三君    高橋  等君
      床次 徳二君    仲川房次郎君
      中村三之丞君    中山 マサ君
      亘  四郎君    阿部 五郎君
      岡本 隆一君    栗原 俊夫君
      堂森 芳夫君    長谷川 保君
      八木 一男君    中原 健次君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小林 英三君
 出席政府委員
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      山口 正義君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  曾田 長宗君
        厚生事務官
        (保険局長)  高田 正己君
 委員外の出席者
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
三月八日
 委員千葉三郎君、濱野清吾君、坊秀男君及び三
 宅正一君辞任につき、その補欠として仲川房次
 郎君、床次徳二君、中村梅吉君及び稻村隆一君
 が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員床次徳二君及び仲川房次郎君辞任につき、
 その補欠として濱野清吾君及び千葉三郎君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第七八号)
 厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第七九号)
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第八五号)
    ―――――――――――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の三法律案を一括して議題といたし、審議を進めます。
 この際、議事進行に関し野澤委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。野澤清人君。
#3
○野澤委員 本日の新聞を見ますと、厚生大臣が新医療費体系の国会通過を急いで大幅修正をする、こういう記事が出ておるのであります。聞くところによりますと、新聞紙上にも書いてありますが、昨日の省議決定でこうした方針がきめられた、こういうことであります。しかもその内容に至っては、細部な事項まで指摘されております。この記事の内容については、大臣が全部御承知の上に発表されたものと思います。そこで、今度の新医療費体系はすでに中央社会保険医療協議会にも諮問されており、参議院においてもすでに十数回も回を重ねて審議しておりまして、本委員会においてもしばしば滝井委員より早期提出を要求されていた案件であります。かかる重大なる問題を、軽々しく厚生省において大幅修正の原案撤回とも申すべき案を発表された、その考え方の基本がどこにあるのか、またこうした新聞記事は、どの記事も似たような内容を持っておるがへその内容については了承の上に発表されたものかどうか、この点はっきりしていただきたいと思います。
#4
○小林国務大臣 野澤委員のけさの新医療費体系に関する記事につきましての御質問でございますが、新聞記事の内容につきましては、私は全然存じていないのであります。ただ誤解がありますから、この機会に私どもの態度につきまして申し上げておきたいと思います。
 新医療費体系の問題につきましては、事非常に重大な問題でございますし、厚生省が昨年の十二月の末に発表いたしておりますけれども、できるだけ関係団体の各位あるいは関係者各位の意見を聞きまして、そうしてできるだけ慎重を期してこの問題の最後の案にいたしたい、こういうつもりで今日まで参っておったのであります。当委員会におきましても、私の所信はかって申し上げたことがあると存じております。ただ四月一日からは、現実的な問題といたしまして医薬分業がスタートすることになっておりますし、かたがた私どもといたしまして、新医療費体系について諮問をいたしております医療協議会等の審議の関係もございましょうし、一応厚生省といたしまして、今後との問題に対してどういうふうに向うべきであるかということにつきまして、実は昨日省の幹部が集まりまして、いろいろ協議を重ねたのであります。協議を重ねました結果、一つの方針だけをきめましたことは事実でございます。新聞に出ておりますような内容等につきましては、昨日の省議では少しも触れておらないのであります。従いまして今日の新医療費体系を全部撤回して、そうしてこういうふうに変更していくとか、こういうふうに修正していこうとか、こういうような具体的な問題についてやっていこうとかいうような掘り下げた問題については、昨日は少しも相談になっておらないのであります。ただ方針といたしましてこういうふうにいたしたいということを昨日はきめただけでございます。もちろん私は党出身の閣僚でございますし、方針をきめて党の最高幹部あるいはそれぞれの機関にも諮りまして、最後の発表をいたしたい、こういうつもりで実はおったのでございますが、けさほど新聞を見ますと、はからずも各新聞にいろいろな記事が載っておりました。私どもが具体的にきめてないことまでも載っておるのであります。これは多分いろいろ揣摩憶測されて出されたものだとは考えておりますが、私どもとしてその内容につきましては全然存じていないということだけはここで申し上げられると思います。
#5
○野澤委員 方針をきめたとおっしゃいますが、その方針というものの内容が示されないで内容をきめたと言われることは不可解である。それから新体系の精神、その方針が変更されたということになりますと、過般来滝井委員も言われておるように、今後の健康保険法の改正と相対比して審議するのに相当の支障が起るのじゃないか。方針を変更したというならば、健康保険とあわせて審議しようというこの委員会の態度に対して、少くともその方針変更の内容をまずもって示すのが至当じゃないか。新聞記事の内容について全然関知しないと言うてこれを否認されたようでありますけれども、その否認された事柄はそれでけっこうであります。しかし方針を変えたということになると、健康保険法の審議の上において相当の関連性があると見られますから、この点に関してどういう方針にされたのか、あるいはまだまとまっておらないのか、これからまとめ上げようというのか、こういう点について端的に御説明を願いたいと思います。
#6
○小林国務大臣 野澤さんの御質問ごもっともだと思います。きょうのいろいろの新聞に載っております記事に関連いたしまして、いろいろ誤解を生じないために、この際私どもの考えております方針をこの委員会において申し上げることの方がかえってよいと思いますから、一応申し上げてみたいと思います。
 新医療費体系に基きます点数表につきましては、昨年の暮れに中央社会保険医療協議会に諮問いたしましてからすでに十二回にわたって審議が行われておるのでありまして、またこの点数表に対しまして各方面からもいろいろ御意見が寄せられておるのでありまするが、今日に至りましてもいまだ結論が得られるといろ見通しはつくに至っておらないのであります。医療費体系を物と技術とに分離する、いわゆる新医療費体系の基本的な考え方につきましては、今日はすでに大方の理解と賛成が得られているのでございまして、このように医療費の体系を合理的な組み立てに改善して参いる努力は、今後あくまでもいたす所存でございます。しかしながら、何分にも従来のわが国の医療費を全面的に変更することになりますので、その影響するところはきわめて広範でございまして、従って私といたしましては、無理にその実施をはかるようなことはいたすべきではないと考えております。医療協議会の審議は十分慎重に継続していただくとともに、聞くべき意見は広く各方面にわたって聞きまして、関係者の十分な納得がいただけるような結論が得られまするようにいたすべきであると考えておるのであります。ただ、しかしながら四月一日からの分業の実施に支障を来たすようなことがありましてはならないのでありまして、分業を円滑に実施するために必要な範囲の改正を早急にいたすために、医療協議会の審議もとりあえずこの方面でやっていただきまするように促進をはかって参りたいと存じております。従いまして、今日新聞に出ておりますようないろいろ具体的な関係につきましては、ただいま検討中でございます。具体的な案はまだ持っておらないのでございます。
#7
○佐々木委員長 質問の通告がございます。逐次これを許します。滝井義高君。
#8
○滝井委員 ただいま新しい医療費体系に関する大臣のきわめて漠然たる方針の御説明がございました。実は私は、きょうは健康保険の改正に関連をして、特に健康保険の支払いに重大な関係のある新体系に基く新点数というものをいつごろ大臣は告示するつもりなのか、これを実はお尋ねするつもりであった。はからずも新聞紙にああいうものが出まして、与党内部ではこれが非常に波紋を及ぼし、混乱をしておるということをまのあたりに見ることができたのです。そこで大臣にお尋ねしたいのですが、分業は四月一日から実施をせられる、今こういう御言明がございましたが、一体新点数はいつ告示になるつもりですか。もう目睫に迫っておりますから、きょうは一つ明白に御答弁を願いたいと思います。
#9
○小林国務大臣 今の御質問につきましては、野澤さんの御質問にお答えいたしましたように方針だけはきめたわけでございますが、その内容につきましては具体的な問題になりますので、一応局長から答弁させたいと思います。
#10
○高田(正)政府委員 分業に必要な範囲の点数改正を分業に間に合うようにやっていくというふうな方針は、ただいま大臣から仰せの通りでございます。その内容は相当専門的に検討いたさなければなりませんので、専門家のお集まりであり、現に新医療費体系に御検討願っておりまする中央医療協議会でその具体案を検討していただくようにいたすつもりでございます。御存じのように、いかなる点数の改正にいたしましても法律上医療協議会に諮問をいたしまして、その答申を得て実施をいたすということが建前になっておりますので、さような運びにいたしたいと存じます。従いまして、今の滝井先生の日にちはいつかという御質問でございますが、これはもちろん四月一日以前に告示をいたさなければならないことは当然でございます。ただ、その日にちが何日ということは、医療協議会の御審議の関係もございますので、今直ちに何日ということをここで申し上げることは、私はちょっとむずかしいように存ずるわけでございます。
#11
○滝井委員 厚生当局が考えておられます分業に必要な限度を一つ御言明願いたい。
#12
○高田(正)政府委員 ただいま申し上げましたように、なお大臣も先ほど申されましたように、分業に必要な範囲ということにつきましては、これはいろいろ論議があるところでございます。従いましてこれは専門的に御検討願うべき筋合いのものでございますので、専門家のお集まりである医療協議会でその具体案を御検討を願いたい、私どもはかように思っておるわけでございます。大臣の仰せになりましたように、方向はきめましたけれども、その内容をどういうふうにするかということにつきましては、ただいまのところ厚生省といたしましては白紙でございます。これから協議会で御検討願う、こういうようなつもりであります。
#13
○滝井委員 それは今までの厚生省の態度とは違いますね。厚生省は中央社会保険医療協議会に少くとも診療報酬の額あるいは保険医の指定、取り消し、こういうようなもの、あるいは指導監査等の事項について出す場合には、あなた方の原案をお持ちでした。専門の中央社会保険医療協議会の委員の諸君にそれを御一任をして、あなたの方は今度は原案なりあなた方のお考えを出されない方針であるのか、それを一つ御言明願いたい。
#14
○高田(正)政府委員 点数の改正につきましては、非常に広範なものでございますが、御存じのように今諮問をいたしております。しかし医療協議会といたしましては、四月一日に間に合うように、この広範なものについてのいなやの答申はなかなかいたしかねるような状態にあるわけでございます。従って医療協議会がとりあえずこの程度に範囲を狭めて実施したらどうかというふうな御意見をお出しになることは、これは可能でございます。従って私どもとして全然原案を出しておらないわけではないわけであります。従って私が申し上げたような運用の仕方もあると思います。それからなお滝井先生の今御指摘のように別の運用の仕方もあると存じます。しかしこれはいずれの方向にいたしますか、医療協議会とお話し合いの上で私どもは協議会を運用して参りたい、かように考えておるわけでございます。
#15
○滝井委員 そうしますと、念のためにお尋ねをいたしますが、厚生省は医療協議会の情勢によっては、現在出しておる新点数を撤回するということもあり得る、こういうことも言えるわけなんですね。と申しますのは、現在原案を出しておる新点数の範囲を狭めていくという方法もあるし、それから私の言うように全然医薬分業に必要な限度で、たとえば現行の点数でいく、こういうこともあり得るわけですね。いわゆる政府原案とは全く別個の立場でやれという、こういう諮問もあり得るということですね。その場合には厚生省は原案を撤回されるということを意味しておりますか、そういう意思もあるのか。
#16
○高田(正)政府委員 協議会の運用の仕方には、今先生が申されたように、なお私が先ほどお答えいたしましたように、理論的に二つの方法があり得ると思います。ただしかし、私どもが今元出しておるものを直ちに引っ込めて、そうして新しい諮問をし直すかどうかということにつきましては、そういうことも考えられるけれども、私はそういう方法は今とるつもりはないのであります。というのは、今諮問をいたしておりますものも、これは協議会としては、まだこれはだめだという結論に達しておらないわけでありまして、引き続き検討していこうというお気持が十分にあるように私は伺っておるわけであります。従ってその運用の仕方はこれは協議会と私どもとの話し合いでいずれの運用もできる、私はかように考えておるわけであります。
#17
○滝井委員 どうも今まで筋の通ることばかり言われておった厚生省の論理として、今の高田局長の論理は筋が通らないと思うのです。
 そこで大臣にお尋ねしますが、大臣は二月十一日の予算委員会で、私が現在出ておりますところの医療費体系と四月一日から実施する分業とはどういう関係があるかというお尋ねをいたしましたとき、新医療費体系と分業とは不可分である、この新医療費体系がなければ分業はできないという御言明をなさった。今の局長の御答弁では、医療協議会の情勢によってはこれを撤回することはあり得る、こういう御答弁なんです、大臣の答弁と食い違っている、一体これは大臣どちらがほんとうなのか、明白にしていただきたい。
#18
○小林国務大臣 滝井さんの御質問の、予算委員会におきまして私たしかそう申し上げましたが、これは私自身といたしましては、四月一日からスタートいたします医薬分業を実施するには、いわゆる物と技術とに分けた、その分け方によってできた新医療費体系が現実に要るのだということを申し上げたのでございまして、今回も医療協議会におきまして御審議を願っておりますが、今日なかなか四月一日から直ちに間に合うような情勢でもございませんしいたしますから、やはり四月一日から実施いたします医薬分業に対しまして、これが実施をするに差しつかえがないような意味の、いわゆる物と技術を分けた問題についてやっていくということでございますから、予算委員会におきまして私が申し上げたこととはかけ離れてはいないと考えております。
#19
○滝井委員 重大な発言です。現実の日本の医療費の支払いの方式というものは、物と技術とを分けていないのです。今大臣から、結論的に申し上げれば物と技術とを分ける体系でなければ医薬分業はできないという御答弁があった。そうしますと、その通りで行かれれば医療協議会は撤回する必要はない、物と技術を分けておりますから。物と技術と分けない体系でいかなければ現在の医薬分業というものは現実の段階では実施できないところに追い込まれている、そこに厚生省の苦悶があるのです。あなたは今物と技術と分けた体系でなければ医薬分業はできないとこう御言明になりましたが、私はその通り了承いたしておきます。そうしますともし物と技術を分けた医療費体系が、もう四月一日まで今月中しかありませんので、できなかったとするならば、大臣はその延期の法案をいつお出しになるつもりでありますか。
#20
○小林国務大臣 私といたしましては、この医薬分業の問題を延期するという意思はございません。
#21
○滝井委員 いや大臣、そうしますと医薬分業は少くとも物と技術とを分ける体系で修正をしていくのだ、こういう基本的なものは変っていないわけですから、医療費体系の一番のいわゆる方法論的な背骨をなすものは、物と技術とを分けて、物を原価主義でいき、技術料というものは、今まである程度物の中に入っておったものを抽出してきて、そうして現実の技術料に加えるというのが医療費体系の姿なのです。その姿をとる限りにおいては、それをここ二十日やそこらでやるということは、これは私は太鼓判を押してもよろしいと思う、医療協議会では結論は出ません。また私たちのこの国会においても医療体系はまだ一つも審議をしておりません。これを審議するのにもおそらく二十日はかかるでしょう。そうすると間に合わないでしょう。間に合わないならば、分業を四月一日からできないじゃありませんか。だから私たちはあなた方にこの前五つの点を出したのです。まず第一に、現在政府が出しております物と技術とに分けた医療費体系に基く点数を、そのまま強行していくか。それとも出されておるあれを修正されるか、あるいは現行点数のままで入っていくか、あるいは現行の点数を修正して医薬分業に入るか、それとも医薬分業を延期するかというこの五つの場合しか現在の段階ではないのだと言った。ところが大臣は今と同じように、現在中央社会保険医療協議会に出しておる医療費体系に基く新点数を修正して、医薬分業に入るという御言明をされた。私はそれを二度念を押して確認をしてもらった。大臣の今の態度はそれなんです。今の御答弁はその通り物と技術とを分離しておる。だから大臣は前の態度と変っておりません。変っていないとするならば――まだ衆議院の審議は一つも終っていませんよ。これは私は高田さんにも尋ねなければならぬが、高田さんのように国会の審議を軽く見るようなことは大臣はやらないと思います。国会の審議も終っていないのに、まさか大臣が自分で強行されることはないと思う。政党政治家である大臣がそういうことをされるはずはないと思います。国会の意思を尊重されると思いますが、そのとき大臣は腹をきめて分業の延期法を出すのですか、私は分業の延期法を出すことには反対ですが、大臣の医薬分業と新医療費体系とは不可分であるというこの不可分論あるいは物と技術とを分けるのだという理論の筋を通していく限りにおいては、新医療費体系に基く新点数が中央社会保険医療協議会なり国会の承認を得られない限りは延期をしなければならぬという論理的な帰結は詭弁でなく出てくる合理的な筋だと思う。これは大事なところですからもう少し明白にしてもらわなければ困る。七十年の歴史を解決する段階に来ておるのですから、一つよく考えて、取り消しや言い直しのない明確な御答弁をいただきたいと思います。
#22
○小林国務大臣 滝井さんの御質問が私の申し上げておることに対しまして何か食い違いがあるように存ずるのでありますが、私は四月一日から医薬分業は必ず実施いたしたいと考えております。従いまして私が先ほど野澤さんの御質問に答えましたように、ただ根本的な新医療費体系は今後十分にいたしたいと思っておりますけれども、とりあえず医薬分業に差しつかえない程度のものはいたしたい、こういうことを申し上げておるのであります。
#23
○滝井委員 いや、それはよくわかるのです。だから医薬分業に支障のないものというのは基本的にはどういうことかとお尋ねしたら大臣は、物と技術とを分けるのだと、こういうことなんです。物と技術とを分けるというその思想は、今まで七十年の日本の医療費の支払いの思想の中にはない思想なんです。昭和二十五年の中ごろですか、それ以来新しく出てきた思想なんです。しかもそれがなお現実に固まったものとしては結論づけられていない、ペンディングしておる問題なんです。ところがそれでまだ大臣はおやりになるということなんですから、それではもしできないということになるならば医薬分業は延期しなければならぬということになるが、その通りかと言っておるわけです。なぜならば大臣は医薬分業と、物と技術を分けた医療費体系とは不可分だからということをおっしゃっておられる。これはちっとも私は誤解も何もない、その通りだと思います。その点もう一ぺん明確にしてもらいたい。
#24
○高田(正)政府委員 非常に専門的な御質問でございますので私からお答え申し上げますが、物と技術を分けることは分業をいたします場合にはどうしても必要でございます。しかしながら一体どこまで物と技術とを分けるか、どこまで物と技術とを分けるという原則を及ぼしていくかということが結局問題なんです。従って全私どもが出しております点数表は相当広範にわたってその思想を推し進めまして、しかもそれとつじつまの合うように他のいろいろな要素についても手を触れておるわけであります。しかしながらさような広範なものについては国会でも御論議がございますし、医療協議会でもいろいろ御論議があってなかなか結論が出ない、こういうことでございますし、一方では分業は四月一日から行わなければならない、従ってその物と技術を分ける範囲をどこまで及ぼしていくか、それをどこにとどめるかということが結局問題になるわけでございます。従って非常に専門的なことであるから、さような点は、専門家のお集まりである医療協議会でいろいろ御検討願って、どの範囲までさような思想を貫くべきであるかということについての御検討をお願いしたい。そういうつもりでいるのだということを申し上げたわけでございます。大臣と私との申し上げておることについて、先ほど矛盾があるように仰せでございましたけれども、別にないつもりでございます。
#25
○滝井委員 そうしますと、これは局長でよろしいですが、物と技術を分けるということは貫いていきますね。一つはっきりしておいて下さい。私の方の党の主張は、物と技術とを分けるということはすぐにはできない。だから少くとも現行の点数で、できれば小修正を加えて医薬分業に突入すべきであるというのがわれわれの党の一貫した主張である。これは発表もしております。ところが今のあなたの主張と私の主張とは違うのです。あなたの方は、あくまで物と技術とをお分けになるという主張です。だから私はその点でいく限りにおいては、医療協議会においても、この国会においてもまた論議が出てくるので、医薬分業に間に合わないと私は断定しておる。間に合わないときには、医薬分業の延期法を政府みずから出すのかということを尋ねているわけですが、あなたの方はどうですか。物と技術を分けて間に合うという御言明ができますか。これは七十年の伝統のある問題のいわば解決点にやってきているのですから、しっかり腹をきめて、大臣の首をかけたつもりで答弁してもらわないと、大問題になります。私はそれをはっきり申し上げておきます。重大問題になる。与党の諸君だって大問題です。あくまで物と技術とを分ける体系というものを作って、医薬分業にいくのだ。私の主張は、それではできない。だから現行の点数に小修正を加えて突入すべきであるというのが私の主張です。明らかに違っております。これは私に誤解も何もない。大臣もよくおわかりだと思います。大臣の方針でいきますと、今月中に告示ができない、まとまらないということになったときは延期するか、これは仮定の問題ではない、もう二十日に迫っておる。この点は政策的な問題ですから、局長じゃなくて、大臣から腹をきめて、そのときは延期するのか、それとも私の言うように今の点数でいきます、こうなるのか、その点をはっきり御答弁を願いたい。
#26
○小林国務大臣 折り返しお尋ねでございますが、私は四月一日から医薬分業は必ずやって参りたいと考えております。これをやるにつきましては、今私も申し上げ、また高田局長も申し上げておるような線におきまして、医薬分業をやるに差しつかえない程度の修正によりましてやって参りたいと思っております。
#27
○滝井委員 医薬分業に差しつかえない修正というものの基礎を、現行点数の小修正でいくのか、それとも今言ったような物と技術とを分けるという基本精神を貫いていくのか、その点についての御答弁がないのです。それをもう一ぺんはっきり言明をしていただいて、そのあとでもしそれができなかったときは、医薬分業は延期するのか、あるいは私の言うように現行点数でいくか、この二点。まず、現行点数でいくのか、物と技術を分けたものでいくのか、これが一つ。それから、物と技術と分けていくと御言明になってもけっこうです。もしそれができなかったときには、今度は分業は延期をしますというか、あるいは私の主張する現行点数の修正でいくということになるのか、そこらあたりをもうちょっと明白にしていただかぬと、審議が進みません。
#28
○小林国務大臣 相当明白にしておるつもりです。四月一日からの医薬分業は必ずやりたいと思っております。
 それから暫定的に医薬分業のスタートに差しつかえない程度の改正につきましては、先ほどから申しておりますように、専門家の意見を聞いてやって参りたい、こう思っております。
#29
○滝井委員 そこで私は一応今までの答弁を確認しておきます。四月一日から医薬分業は実施する。その分業というものは、最小限度物と技術とを分けた姿で入っていく、これで差しつかえありませんね。
#30
○小林国務大臣 この問題につきましては、先ほど高田局長からも申し上げましたように、どの辺で線を引くかということは、いろいろ考え方があるだろうと思います。要するに医薬分業に差しつかえない程度の修正をいたしまして、将来根本的な問題につきましてはいろいろ世間の御意見も聞きました上できめていきたい、こういう考え方です。
#31
○滝井委員 物と技術とを分けるということは確認いたしました。高田さんもそう御言明になりました。そこでお尋ねしますが、医薬分業法の延期は、二十九年の十二月に参議院の有馬さんが来て提案理由をわが衆議院においてもやった。そうしてこれが通過をいたしましたときに、「医薬分業の実施に伴う適正にして合理的な新しい医療費体系の確立及びそれが国民の医療費負担、なかんずく社会保険経済に及ぼす影響等の語問題は、国会において十分に検討されなければならない基本問題であります」という提案理由の説明があった。同時にまたわれわれ国会においても、医療費体系は、これは法律ではございませんけれども、日本の医療の根本に関する重大な問題であるから、十分検討をして国会に提出をすべきであるという確認を得ております。大臣が検討をせられて、できた成案は当然国会の審議の対象にしていただき、国会がよろしいと言ったら実施に入るものだと私たちは了承しておるのですが、大臣もそう了承しておりますか。
#32
○小林国務大臣 滝井さんの御質問になりましたのは、今医療協議会に諮問をしております新医療費体系のことについてでございましょうか、どういうことですか。
#33
○滝井委員 今諮問をしておる新医療費体系はものの役に立たぬということを大臣自身が御言明になった。あれでは今の段階ではとても四月からやっていけません。だから少くとも物と技術とを分けたあの原案を一応考えながら、物と技術とを分ける思想を最小限度に織り込んで分業実施の点数を作るのだ、こういうことなんでしょう。だから、今のあの体系というものはもうものの役に立たぬことになってしまった、これははっきりしてきた。ものの役に立たなくなった体系をまさか国会へ出してきて、この忙しいときにわれわれは審議するわけにはいきませんから、そこで時間を節約し、健康保険の審議を十分にやるためには、大臣の方で御修正になったものを国会に持ってきて、そうして国会で、これならば日本の医療の基本に大した影響を与えない。日本の医療の進展に役立つものであるという認定をしてから当然実施しなければならぬ。昭和二十六年以来の経過はそうなっておる。それは当然に国会の審議の対象として、国会がよろしいと言ったら実施をするように持っていってくれるでしょうね。国会の審議にかけるでしょうねと大臣に尋ねておるわけでございます。大臣は、それをかけますとか、かけませんとか言って下さればけっこうです。どちらですか。
#34
○小林国務大臣 今申し上げておりますように、四月一日からの医薬分業という問題はもう間近に迫っておりますし、滝井さんは現在の新医療費体系はものの数になるとかならぬとか申されましたが、そうではなしに、これは将来十分に検討をする、そうして完全なものとして出す。とりあえず四月一日に間に合う程度のものを医療協議会に諮問いたしまして、そうして決定して実施したい、こういう考えでございます。
#35
○滝井委員 大臣、もう少しよく聞いてもらわなければならぬ。私は医療協議会に今かけていることはよく知っている。ところが今のものは厚生省としては最上のものとして出した。ところがいろいろと各方面に意見があって、修正すべきところは修正してりっぱな体系として守っていきたいというのが大臣の気持だった。予算委員会でもそう御答弁をいただいた。ところが、きょうの答弁をお聞きしてみますと、今の体系は客観情勢から見てあのままではやっていけないということがはっきりしてきた。これは大臣も今お認めになった。そこであれではできないので、物と技術とを分けた最小限度のもので医薬分業に突入したいということを大臣が御確認になったわけです。そこでその修正をされたものは物と技術とを分けるという新医療費体系の基本的精神を受け継いできておるのであるから――受け継いでいなければ大へんですよ。受け継いでいて、二十六年以来の国会の審議の過程から当然国会におかけにならなければならぬとわれわれは考えておるのであるが、大臣はそうお考えになるのか、三才の童子といえどもわかりますよ。かけるかかけぬかということなんです。
#36
○小林国務大臣 はなはだ恐縮いたしますが、滝井さんのかけるとかかけないとか言われる意味は、健康保険法の一部を改正する法律案と同じ意味においてかけるという意味でしょうか、どういう意味ですか。
#37
○滝井委員 これは高田さんからお聞きになっておられるでしょうが、高田さんは十二月二十七日の中央社会保険医療協議会でこういう発言をしている。これはいずれ高田さんの責任を追及しなければならぬと思っているが、これは法律案とは違いまして、必ず国会に提案して議決をいただく筋合いのものではございませんと言っている。これは大問題であります。ただ国会が国政の調査権の関係からこれを取り上げて御審議いただくことは、これは自由でございます。きわめて簡単に取り扱っている。(「きわめて簡単だよ」と呼ぶ者あり)そうじゃないですよ。これは経過から考えて、高田さんの考えているようなそういう簡単なものじゃありません。
  〔「法律案じゃないよ」と呼びその
  他発言する者あり〕
#38
○佐々木委員長 静粛に願います。
#39
○滝井委員 法律案じゃないけれどもそんな簡単なものじゃない。今までの経過から考えて、当然われわれの審議を要するものなんです。国政調査の上からいっても、もしわれわれがまかりならぬと言ったら実施してはいかぬですよ。それでも大臣はやられるおつもりかどうか。こういう点から考えて、今の大臣の御答弁では国会にはかけないのだというような感じがするのですが、大臣どうですか。こういう医療の基本問題について参議院の提案理由では明らかにそういう説明をしている。だからそれは一つはっきりしてもらいたい。これがはっきりするまでは私はやめませんよ。あなたは国会にかけられるのかかけられぬのか、国会の了承を得るまでは実施をするのかしないのか、それだけでけっこうです。
#40
○小林国務大臣 今私がお尋ねいたしましたように、瀧井さんのお考えが国会の審議を要すべき法律案と同じような考えで言っておられるとすれば、私はかけるつもりはありません。
#41
○滝井委員 しかしこれはきわめて重大な、健康保険の法律以上に日本の健康保険制度の根本をゆるがす問題です。それであなたは承認を得ずにやるつもりであるかどうか、私ども社会党があなたに対する態度はこれできまります。あなたがそうなら不信任です。それははっきりしております。その点をはっきりいたしたい、これは局長や何かに尋ねられる必要はありません、政治論ですから。あなたはこれを国会の承認を得てやるか、それとも国会の承認を得る得ないには関係ない、医療協議会さえ通ればやっていけるというのか、その点どうですか、国会の承認を得るか得ないかはっきりして下さい。多くを語る必要はありません。
#42
○小林国務大臣 国会の御意見、委員会の御意見は尊重いたしますけれども、他の法律案と同じように承認を得ようとは考えておりません。
#43
○滝井委員 そういたしますと、この委員会の審議が終了するまでは告示はいたさないでしょうね。委員会の意見を尊重するということになれば、この委員会の意見が結論に到達するまではやらないでしょうね。告示はやるかやらないか、委員会は審議中でも告示をしてしまうのか、その点をはっきりしていただきたい。
#44
○小林国務大臣 医薬分業に間に合わすととが必要でございますから、国会の御意見は十分尊重いたしますけれども、国会の意見がきまるまでは告示しないということは私は申し上げることはできません。
#45
○滝井委員 そういたしますと、それは尊重しないことになる、それでわかりました。国会の意見がきまらなくても、医薬分業のときが来ればやる、それであなたのおっしゃることはわかりました。それでは医療協議会の意見がきまらなかったらどうするか、まとまらなくてもやりますか。
#46
○小林国務大臣 やることもあり得ると考えます。
#47
○滝井委員 それでわかりましたから、ちょっと参議院に行ってきます。
#48
○佐々木委員長 午前中はこの程にとどめまして、午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十六分散会
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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