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1947/07/02 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 鉱工業・商業連合委員会 第1号
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1947/07/02 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 鉱工業・商業連合委員会 第1号

#1
第002回国会 鉱工業・商業連合委員会 第1号
昭和二十三年七月二日(金曜日)
   午後一時四十二分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
  鉱工業委員
   委員長     稻垣平太郎君
   理事      小林 英三君
   理事      川上 嘉市君
   理事      中川 以良君
           大畠農夫雄君
           田中 利勝君
           原  虎一君
           村尾 重雄君
           荒井 八郎君
           大屋 晋三君
           寺尾  豊君
           平岡 市三君
           堀  末治君
          池田七郎兵衞君
           入交 太藏君
           橋上  保君
           林屋亀次郎君
          深川榮左エ門君
           鎌田 逸郎君
           楠見 義男君
           小宮山常吉君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           藤井 丙午君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
           濱田 寅藏君
  商業委員
   委員長     一松 政二君
   理事      林屋亀次郎君
   理事      鎌田 逸郎君
           椎井 康雄君
           中平常太郎君
           松下松治郎君
           平野 成子君
          大野木秀次郎君
           黒川 武雄君
           中川 幸平君
          深川榮左エ門君
           油井賢太郎君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           佐伯卯四郎君
           島津 忠彦君
           高瀬荘太郎君
           波田野林一君
           結城 安次君
           廣瀬與兵衞君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○事業者團体法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(稻垣平太郎君) それではこれより鉱工業・商業連合委員会を開催いたします。前会に引続き事業者團体法案の逐條審議に移りたいと思います。第一條は一應御審議を終りましたので、第二條に移りたいと存じます、第二條は前回質疑がありましたが、引続いて質疑を願います。
#3
○帆足計君 第二條の解釈につきましては、経済復興会議につきましては、私從來関係もありましたので、お尋ねし、意見を述べさして頂きたいと思います。御承知のように復興会議は、今業種別に十数個ございますが、経営者の他に労働組合の代表並びに復興会議によりまして、一般消費者の代表、それから消費産業代表等が参加いたしております。從いましてこれは事業者としての共通の利益を増進する機関ではありませんので、國民経済の公共的な利益の発展を促進するということが直接の目的であります。万一事業者の共通の利益を増進することを目的とするような組織又は運営の復興会議があるとしましたならば、その復興会議は贋の復興会議でありまして、労働組合側、又は消費者側、又事業者側から参加を当然要求せねばならんような会議であると存ずるのであります。從いまして理論的に申しまするならば、私はこれはトラスト、カルテルそれらの範疇には属しないものであるし、属しないような機関と判定しなければならんというふうに解釈いたしますので、当然これに入らないというふうに考えております。只今取引委員会の方のお考えがありますれば、前回もお話が出來ましたが、御見解を重ねてお伺いいたします。
#4
○政府委員(黄田多喜夫君) 復興会議のことは、実は公正取引委員会におきましても、目下研究中でございますが、只今お話の通り、馴れ合いの形態というふうなものがありとしますならば、一概には言い切れないと思うのでありますが、一應の研究の結果といたしましては、復興会議というものは入らないであろうというふうに考えております。
#5
○帆足計君 從いまして若しも馴れ合いの縱断的な当該業界だけの利益を代表するような復興会議がありますれば、私はもう当然復興会議の看板を外すことを要求しなければならんと思いますから、念のため意見として、この点を附加えて置きます。
#6
○一松政二君 第二條の一に掲げてある例の「二以上の事業者が株主」とあるが、株主である会社が若しこの五條の禁止事項にあるところの「購買、販賣、生産、製造、加工、包装、荷扱、保管、輸送、配分その他の営業に從事すること。」を禁ぜられておる場合には、法の目的は、私は大きなものが統制に反することをやつたり、或いはどこかに中心勢力ができてそれが社会の公共性を害するというようなところに狙いがあるのであろうと想像はいたしておつたのでありまするが、昨日衆議院における当局の説明を間接に承わりましたところが、如何なる零細なる事業者であつても、それが二つ以上寄つて会社を拵えた場合に、その会社は全然結局営業ができないということは、そういう会社を設立することを認めないのだという、結局結果になると思うのであります。そうしますると、たとえ同種のものでありましても、例えば小さな鑄物工場を持つている者が銘々にやつておるよりも、四、五の業者が寄合つて一つの鑄物工場を、或いはそれを会社にして経営して行くということが全然不可能になるのであります。ひとり鑄物のみならず農業においても、水産業においても、すべてそういう結果になると思うのであります。ところがそういうことは禁ぜられるのだという当局の答弁が昨日あつたということを聞いて、私は非常に驚いたのであります。でありますると、却つて法の目的に副わずして小さな者をいぢめようとすることになる。而も大きな者が二以上仮に寄集まつて、多少世間の非難を買うようなことがありますれば、これは独占禁止法によつて如何ようにでも公正取引委員会において問題にし得るものであると思うのであります。何を苦しんでそんな小さな者が寄集まつてやる会社を禁じなければならんか。而もそういうものは協同組合によつてやつたらいいじやないか。こういう御答弁があるかも知れませんけれども、一々それを何かの寄るべき法令によつてやらなければできないということは、亦必ずしも業者を奨励する意味にならんのであります。ただそういうものは手続も要るし、或る程度の煩わしさがある。簡單に寄合つて何かやれることがあればそれをやつて、一つの私は私的独占禁止法から來るような恐るべき影響が何もなくて、むしろ中小企業を育成するためにはそういう結合こそ私は奨励すべきものであると、かように考えるのである。でありまするが、その点に対してはやはり私が傳え聞いたところに間違いがあるのかないのか、これはこの法律案を審議する上において非常に重大なるキイ・ポイントであると思うが故に、改めてお伺いする次第であります。
#7
○政府委員(蘆野弘君) この法律は、二つ以上の事業体と書きましたわけは、どうもいろいろな関係で或いは十なら十で抑えていいか、五つで抑えていいか、併し稀な場合を考えると、三つくらいでも業者が結合すれば、その業界全体を支配することができるというふうな場合も考えられないではないのであります。そう考えて見ますと、結局二つと、一番下のところまで來る外ないので、こういう形になつたのでありますが、その規定の狙いますところは、やはり相当大きな……大きなと申しましても相対的なことでありまして、日本全國としては左程でもなくても、或る業界においては相当の勢力を占めておるものが、たとえ二つでも、結合すれば、それでその産業だけは独占してしまえるということも考え得るので、そういう場合、つまりいわゆる大きいものも、小さいものも、とにかく或る産業は……法律の使つておる言葉を使いますれば、一定の事業分野における競爭をなくすというような虞れがあるので、こういうふうに規定したのでありますが、併しながら只今御説明のような極く小さな業者が何か共同してやる、協同組合にもするだけの手数も掛ける値打がないというようなものが仮にありましても、或いは嚴密な文字通りの解釈としては入ることになるかも知れませんが、実際そういうことを狙つておるのではございませんで、そういうものを一々、この法律によつて取締るというつもりは毛頭ないのであります。
#8
○一松政二君 それでありまするならば、むしろそういう心配の方は、独占禁止法という根本の法規によつてはつきり線が引かれておつて、苟くも独占に互りそうな形勢があり、或いは社会公共の福祉のために弊害がありそうだというものは、いつでもあの根本の法規によつて発動し得る建前だと思います。若し弊害を恐れる余りに、今政府委員のお述べになつたように、どこかで線を引けばその法を潜る。それが故にすべてのものを一應網の中に入れて、それから出さないようにするのだということでありまするならば、それは結局角を矯めんとして牛を殺すの愚に堕すると私は思うのであります。もともと独占禁止法の精神は、一つの枠を作つておいて、そうして若しそれを鏡に例えますと、その鏡に映つたものだけを取締つて、映らないように持つて行くという精神であろうと思うのでありますが、映るかも知れないことを予想して、小さなところまでもやつてしまうということは、業者を萎靡沈滞せしめて、そうしてすべてを公正取引委員会の認可事項にするか何かにすることになつて、その煩に堪えないと思うのであります。從つて非常に私は業者を萎縮せしめることになると思うのでありまするから、若しそういう意味においてこの「二以上」というところまで書いたということであれば、私はこの点に対しては、飽くまでこの原案のままでは甚だ困る、結局仕事を盛んにすることはできずして、却つて害になるというような見解を持つ者でありまして、これが若し意見になつて、意見が対立するというのであれば、私は意見は意見として申上げて置きたいと思うのであります。
#9
○中平常太郎君 私も一松君と同じ意見でありますが、これだけのことをやらせようと書いてありますが、これは質問をいたすのでありますが、一つの事業体がしてはならないということだけは法において定めることは無論当然でありますが、これだけのことをしてよろしいと書かれたら、これはしてはならないものがどれだけあるか判らなくなつてしまう。してよろしいということを書く必要はない。してよろしいという側に廣汎な意味が含まれておれば一項目でもよろしいが、してよろしいという側に廣汎な弾力のある項目は一つもない。これは業者をどうしても萎靡沈衰せしめることになつてしまうのであります。恐らく政府としては、これをお出しになることは嫌であつたに違いない。どこから出させようとしたか私は申しませんが、嫌で嫌で堪らなかつたと思いますが、とにかく國会としては、これは嫌なら嫌といつて構わない。それは戰爭に負けたのだから嫌と言えないのだろうと思いますが、政府が嫌と言えないならば國会が言つたらよろしい。とにかくやつていけないことだけを置いて、その中で又改正することもありますが、やつてよろしいということは書いて貰う必要はない。これは一つの事業体が発達するについては千態万様のものがあるのであります。とにかく一つの仕事だけで生きておる会社は一つもない。生活はこれ以外でできておる。例えば現在の我々の生活から見ましても、マル公で賣つておるというけれども、マル公で生きておるという人は一人もない。会社はそれならマル公以外の、規定以外の悪いことをして生きているかといえば、そうでもないが、人間自体の生活でさえも今日マル公だけでは生きて行けないような状態でありますので、会社が一つの運営を円滑ならしめ、発展せしめるためには、あらゆる手段方法を講じなければならん。だから業者が五人・十人寄つて一つの事業体を発展せしめようとする場合には、業者が五人十人寄つて相談することは差支えない筈なんであります。それを止めておいて、政府に協力することによつてのみ生きておるようなことになつておりますが、政府に協力するだけなら……政府が協力しなければならん。とにかくこれは私はこういうような極めて両方をとつちめてあるということはいかんと思つておりますが、これは意見でありますから、質問するにつきましては、今の通り五人、七人の同業者が寄つて協議して事業の発展を図るという協議、並びにそれから生ずるところの方法、行動、それは絶対にいけないのでありますか。伺いたいと思います。
#10
○政府委員(中山喜久松君) 只今中山さんの質問でございますが、先般來たびたび申上げておりまするように、この法律は、各種の事業者がおられまして、その方々が事業の発展のために相集まつて團結の力を以て向上発展をやられるということは、それは自然の現象でございまして、この法律はそれを敢て抑圧しようという考えから出発しておるのでは決してございませんし、といつて又今まで或る種の團体法にあつたように、これを強力に推進して育成するというような精神でもない。ただ、あるものをあるがままに掴まえておるというだけでございます。ただ御承知の通りこういう事業者の方々の從來の集まりというものが、いわゆる閉鎖機関指定ということで段々閉鎖をされまして、一体今後どういうふうに團体を持つて行けばよいかということが非常な問題でありましたので、これに対して基準を與えなければならんということで、いろいろ折衝いたされておつた結果、こういう法律になつた次第であります。故に第四條におきまして、事業者の團体なるものは如何なる活動をなし得るかということを明らかにすることが、この法律の大眼目であります。そうしてそれは只今御質問のありましたように、五人でも十人でも同業者の方なり事業者の方が集まつて協力して、発展の途を講ぜられるということを抑圧するわけじや決してございません。但し第四條のような活動の範囲に限られて頂きたいというのであります。尚集まるといいましても第二條にありますように、事業者としての共通の利益ということを増進することを目的としないで、單に投資株主として、仮に会社を作つて一つの事業を行われるというようなことは、成る程事業者のお集まりであるかも知れませんけれども、事業者としての共通の利益とは解釈できないのでありますから、この法律の事業者国体とは認められないということになつておるのでありまして、まあ手つ取り早く言えば從來の同業組合とか産業團体というものの行動について、一つの基準を與えて行くというのであります。
 ところで一面におきまして團体の行動というものは、各業社の自由なる活動を拘束するような結果になり勝ちな点もあるのでございます。又今後そういう虞れがあるということを予想した法律でございまして、各事業者の個々の公正にして自由なる活動を、飽くまでも伸ばすために、仮に事業者團体ができましても、事業者團体の行動というものは、この範囲でなければならん、事業者團体はこういう行動をなさらないようにして頂きたいという趣意なんでございます。
#11
○中平常太郎君 それに引続いてお尋ね申上げます。今度は具体的のことで御答弁願いたい。只今中山委員長のお話で五人、十人が寄つて互いに業態の研究をし、又そういうことをするのは差支ないようなお話でありますけれども、協議の結果から生ずることについて抑制かあるわけですね。例えて言えば僕は醤油屋ですが、醤油醸造家が十人寄りましてそれぞれ醤油の製造をやつて市場へ出す。滓は肥料にするとかいろいろになつておりますが、我々が例えて言えば滓を一ケ所に集めて圧搾して油を取る。或いは合成肥料にするということを、一つの工場で煙突を立てて、各所の醤油屋から集まつた滓を一つの工場で拵えてやろうじやないかという相談をした。そうして肥料工場ができます。十軒の醤油屋の原料を以てやるのですが、それかどんどん独立して仕事をして行くのであります。そういうことは業者みずからの便法上そうやつて有利に仕事をして、生産増加をやろうという意味で行われておるところのものであつて、何ら独占禁止法にも触れていないし、更に極めて善意のものでありますがそれが法に掛かるかどうかお教え願います。
#12
○政府委員(蘆野弘君) 只今醤油屋の例をお出しでありますが、これが事業者團体法に規律されるかどうかというお話がありましたが、実は具体的な例になりますと、法律上の形式まで詳しく伺わないと、右とも左とも断定いたしかねますが、只今お話の通り醤油業者なら醤油業者が一種の結合を作つて、その間に協定を作つて、そのお互いの間の競爭をなくすということが、独占禁止法の最も嫌うところでありまして、そういうふうな結果にならない性質のものならば、この法律が敢て問うところではないという原則の下に、実地判断に当て嵌める外はないと思います。
#13
○中平常太郎君 大分分りました。十一軒の醤油屋が廃棄された醤油滓を個々場に処分すると、実際どういうふうに処分されるかといいますと、いろいろな手段があるに相違ない。併しながら今日肥料が少いから、お互いに皆で寄つて肥料工場を建てよう、原料をお互いに提携して持つて來て一個の肥料工場を建てようという場合に、独占に掛かることは一つも関係がない。何人もそれがために害を受けるものがないのでありますから、私はよろしいと思うておるのでありますが、十軒の醤油屋が協議の結果一つの行動として現われて、一個の結果となつて会社ができ、会社の株は十軒の醤油屋が持つというときにはどうかというのです。今のお話のように別に拘束をする意味は一つもない、拘束してはいないからよろしいという御解釈ならば、私はその点はそういう手段は世の中に沢山ありますから、いろいろな業態から吐き出される残滓を以て、一つの工業体を作ることは沢山ありますから、その点を伺いますが、只今の御説明であらまし差支ないようになつておりますが、差支ないとそう見てよろしいのですか、醤油屋が株を分けて持つということですが……。
#14
○政府委員(蘆野弘君) 醤油屋が十人なら十人株を持つて、その事業に関連ある会社を作るということは法律の文字から申しますと、どうもむずかしいのではないかと思うのでございます。併しこれが又非常な小さいものであるということならば、先程申上げたように実際問題として入りませんでしようし、相当なものならば協同組合というふうにする形のものになることも可能でありましようし、一番さつぱりしているのは、醤油業者と離れて單独の事業として存在し得るじやないかと思います。
#15
○中平常太郎君 資金の出資は……。
#16
○政府委員(蘆野弘君) 多少、法律があるために從来より御不自由の点ができるかも知れませんが、その仕事が意義があるならば單独の仕事でもできるのではないかと、何か途があるのに相違ないので、たとい只今の御説明のような場合が法律に触れることになりましても、実際上そう支障を生ずることにはなるまいと考えております。
#17
○中平常太郎君 そういう場合におきまして單独の会社を作ることは勝手でありますか、その資金の出所は十軒の醤油屋が出すので出資金をお互いに持たなければなりません。大きな醤油屋は大きい出資をし、小さい醤油屋は小さい出資をし、皆出してできるので、この持株会社ということになると、一つの会社が他の会社の株を持つことができない、それが独禁法によつて他の会社の株を持つことができないというのは、連鎖の仕事ならば差支ないということになりますか。出資金を持つて別の会社を作つてよろしいのでありますか。株主として早くお伺いしたらいいのですが、なかなか委員会が忙しくて再々來られないのですから、幼稚な質問かも知れませんが教えて下さい。
#18
○政府委員(蘆野弘君) 只今の御説明の事業者というのは、実は個人業者と拜聽してお答え申上げておつたのでありますが、これがおのおの会社ということになりますと、その仕事が何であるに拘わらず、会社は他の会社の株は独占禁止法でないのであります。
#19
○一松政二君 今中平委員の例にありました醤油の会社のことでありますが、これは、仮に事業者である單独のいわゆる株式会社ならば、独禁法によつて根本的に他の会社の株を持つことができないという、これは独禁法の最も今実情に副わない、修正して貰わなければならんという意見を多分に持つておる一人であります。それは現在できないといたしましても、個人ならばいいのか悪いのか、運用で以てそれはやらないのだ。或いは法ではこれは嚴禁されているという、この点をはつきりして置いて頂かないと、この法案自体がいいか、惡いかという審議をする際に重大な問題になります。私は先程申上げましたけれども、これは後は意見として、御回答を求めていなかつたのでありますけれども、今中平委員が再びそれに触れられまして、その御回答を聞いておりますとその辺が非常に曖昧模糊としております。でありますからこれを明白にこれこれのものはいい、これこれのものはいかんと。それから先程も御答弁になりました通りに單なる投資ならばよろしい、共通の利益を目的とせず單なる投資ならばよろしい。この投資、共通の利益ということは、これは非常にデリケートな関係があると私は思うのであります。表面は單なる投資の意味においても後ろから引つくり返して見れば共同の利益を得るためにそういうことはやつた方がいいことが世の中には沢山ある。今中平さんの例示されたことも一應御尤もであります。そういうものを一應網に引つ掛けて、いかんというものでありますから、私は委員の諸君の多数がやはりこれに引つ掛かつて割切れない氣分をお持ちになつているだろうと想像するのであります。でありますからこの点をはつきりさせることによつて、この法案の形が決まると思いますから、この点は速記録がありますから後日のために明白なる答弁を願つて置きたいと思うのでございます。
#20
○政府委員(蘆野弘君) 先程のお答え申上げたことに対して大事なことを落しましたから、ちよつと附加えさして頂きたいのでございます。会社が他の会社の株を持つことが、できないと申上げましたが、それは原則でございまして、独占禁止の第十條の第二項、第三項に特別な規定がございまして、今お説例のような製造業者の廃物を利用するというような関係上、或る会社の株は公正取引委員会の認可を経て持つことができるということになつておりますから、只今お話のような場合は丁度それに当るのでありまして、認可を得て株式を取得することを認めれば認可いたすことになつておりますから実際上何らの支障もないと存じます。
 それから一松委員の御質問に対しましては重要なことでありますから、或いは委員長からもお答え申上げるだろうと思いますが、私の感ずることを申上げて置きたいのでございます。余り小さなものは運用で以て見逃すのだというふうなことを申上げたがさようか、それでは不安ではないかというところが、御趣旨のようでございますが、どうも法律といたしましては、こういうふうに規定する外、致し方がないのではなかろうかと思うのでございます。二人ならばいいが、三人ならいかん、或いは五人とか十人とか、或いは金額で何万円と限るというわけに行きませんので、それは法律論としてはどんな小さいものが、こういうことをしても法律に触れるのであるかとおつしやいますと、法律論としてはその通りでございますとお答え申上げるより外は致し方ありません。一円取つても泥棒かとおつしやれば、一円取つても泥棒になるようなことは、法律ではそれは無理ではないかと、こうおつしやるのと同じことではないかと思います。一円取つても泥棒かといわれると、法律としてはさようでございますと、こう申上げるより仕方がないのでございまして、法律の規定の致し方としてはそういうことでございますが、決して運用の上において無理のようなことはしないつもりでございます。さようにできておるものと存じます。
#21
○一松政二君 今蘆野政府委員の御答弁の中で、極めて明白に泥棒という例示を以てお答えになりましたけれども、泥棒であるかないかということは殆んど世の中の何人も常識で以てこれは分ると思います。この事業者團体法の根本には独占禁止法という一つの掲げがあるのであります。それを泥棒であるかないかということは各個人なり社会が見れば分りますけれども、独占禁止法という根本法があつて、これに触れるか触れないかということは、こういう法律がなくともちやんと分るのであります。それ故に私はいうのであります。独禁法というものを立派に掲げて置きながら、何故こういう小さい細かい、誰かこれを施行細則見たような法律だともいつた人があるように記憶しておりますが、何故そういうような小さいところまで網を曳かなければならんのかということが根本問題になる。今いう通り例えば、今日ではありませんけれども、三井、三菱の二社が寄つてそうして秘密協定とか或いは表向きの協定を結んでやればこれは独占になる、なるけれども、これは独占禁止法ではつきり問題にして、それを解体せしめ処理することができる建前になつております。でありますから何を苦しんでそういう小さいところまで網の目を細かくしなければならんかということが皆さんも腑に落ちないのであります。でありますから今言つたようにちやんと決めて置かなければならん、そこに線を引かなければならんというが、だから最低の線を引くには独占禁止法という立派な法律があると思います。独占禁止法によりましてきつちりした網が曳いてあつて、この線以上は独占になる、これから先は公共の福祉を害するというあなた方の判定が下されると思います。誰が見てもそれに触れることのありそうのないものまでも入れなければならん理由が分らない。その点に対してもう一度甚だ相済みませんが、何故そこまで決めなければ、独占禁止法では何故それがやれないかという点をお伺いしたい。
#22
○政府委員(黄田多喜夫君) 独占禁止法の話をよく御引用になるのでありますが、独占禁止法には実は事業者團体というものに関しては規定してございませんので、個々の事業者はこういうことをしてはいかんとか、対象が事業者になつておりまして、事業者團体というものを対象としていないのであります。これは小さい問題でございます。
 もう一つ大きい問題といたしましては先程もお話が出ましたように戰時中のいわゆる産業團体事業者團体というものが、続々と閉鎖機関に指定されるということが大きな導因になつておるのであります。一体事業者團体というものは何ができるものか、何ができないのかということに関して事業者團体が非常に迷つておるということがこの法律を提案いたしました大きな理由なのでございます。尚事業者團体法において非常に小さい点までも手足を縛るというふうな御議論でございますけれども、第四條に相当幅のある書き方をいたしておるのであります。先程中平委員からも御質問があつたようでございますけれども、第四條の許容流動というものは相当幅のある書き方になつておりまして、殊に啓発し若しく宣傳をするというようなことは、これはむしろ廣い言葉でございまして、これを一々小さく書きますと却つて運用の妙を得ないというために、啓発をし若しくは宣傳をすることというふうな曖昧模糊たる言葉が使つてあるのでございまして、この点は非常に大きな幅のある規定となつてあるのでございます。尚この事業者團体法と申しますものは、独占禁止法の姉妹法と申しますか、補助法でございまして、結局大きなものを狙いとしておるということは、これは当然なことなのでございます。第六條の第二項に農業若しくは漁業を営む者で十四人以下の事業者を構成員とするものにはこの法律を適用しないということを規定しているのでございますが、これはそういう精神の現われをここに現わしておるというふうに御了解願いたいと思います。
#23
○一松政二君 今の独占禁止法第一條によつて、若し結合によつて独占に亘るようなものがあれば結合そのものを禁止しておると思う。結合を禁止すれば、從つて團体というものは私はできないであろうと思うのであります、でありまするから、独占禁止法があつても團体の或る分野においては差支えない部面があるので、こういう法律ができるのみであろうと思うのでありますが、私ももともと大きなものを大体において規制するのがこの法律の建前であろうと思つたのでありますけれども、どうも小さいものまでもそれが入つてしまつて非常に不安を感ずる。で今の四條の許容でありますけれども、この四條の許容活動は、大体において大きな團体のやることばかりを許容活動に見ておる。只今問題になるような二以上の事業者の大きなものが集まつておれば、こうかも知れませんが、特に各委員が心配しておられますような小さなものが寄り集まつた場合に、そうしてそれが一つの別な会社、組合を拵えて一つの活動をするという場合に、この五條の十三の購買、販賣、生産、製造、これらが全部、つまり全然事業ができないことになる。なぜこういう小さなものまで進出できないような、小さなものが会社を拵えて活動することができない、五條の十三号によつて全面的に営業というものの如何なる部面にも進出することができないというような禁止規定を設けてあるのか、これが問題になると思う。大きなやつの活動を規正をすることは、私は或る意味において妥当であるかとも考える。で関係筋の人も相当幅の廣い解釈をとつておられたので、私も可なり最初とは考えが違つておつたのであります。ところが昨日私は衆議院で政府委員の説明があつたということを聞いて非常に驚いた。從つてこの点を尚ここではつきりと質して置きたいと思うのであります。
 つまり二以上の業者が寄つて会社を拵えていけないという結局結論なんであります。これはこの規定を置けばどうしても小さなものに対する非常に私は威嚇になると思うのであります。それで許可を一々受ければよいといつたつて、僻村の者が寄つて組合を拵えて何かやろうと思つても、それが一々公正委員会の許可をとりに來ることは、これはなかなか煩に堪えるものでない。そういう組織を持つておるものならそういう心配もないのでありましよう。けれどもそういうものまでも何か協同組合とかいうものによらなければ拵えてはいけない。寄り集まつて何かめらてもそういつた法に触れるのだということは、私は産業に從事する者には非常な重圧になる法律だと思いますから、更にこの点伺つて置きたい。独占禁止法には事業者團体のことはないという今のお話でありますけれども、この独占禁止法は結合そのものについて殆んど禁止規定みたいなものがあるのでありまするから、独占禁止法の建前からいえば、もう公共の福祉に反する虞れある企業というものの枠はもうこれで決まつておる。でありまするから、そこに一つの鏡が置いてありますから、それに差支のないものであつたらよいと思う。なぜそういう小さなものまで枠に入れなければならんかということを聽いておるのであります。
#24
○政府委員(黄田多喜夫君) 五條の十三号の、購買、販賣、生産、製造云々と沢山実例が挙げてありますけれども、結局事業者團体というものはみずから商賣をしてはいけないということがその精神なのであります。その根本に流れております思想と申しますものは、飽くまで商賣というものは個々の業者の創意工夫によつて活発に競爭すべきものである、その業者というものが相寄つて事業者團体というものを作つて、それが購買、販賣、生産、製造、加工というふうなことをやるべきものではない。そういうことは徒らにカルテルというふうなものを作り易い。又進歩、発達もないということが、この根本の精神になつておるのでございます。從いましてこれは独占禁止法の精神と全く同じなのでございまして、小さいが故にこれを許すとか、大きいが故にこれを縛るとか、大体ラインを引くべきものではなく、飽くまでも独占禁止法にあります通り、個人の創意工夫を活かして自由競争を根本精神とするということからこの十三号というものが生まれておる次第であります。
#25
○一松政二君 私だけが長くとつて甚だ恐縮でありますけれども、独占禁止法としても公正且つ自由な競争をさせることが建前であつて、生産や販賣やそれから技術等の不当な制限を設けてはいけないということが書いてあるのであつて、一切の制限を設けてはいけないということが書いてあるのでない。第一條に「不当な制限」ということが書いてあるのでありますから、このカルテル、トラストが一切いけないということは、私は腑に落ちないのであります。経済の現象としてカルテルとトラストというものが自然発生的に発生して來た。これが産業を擁護し、産業を発展せしめ、いろいろな事業に作用していろいろな現象が起つて來た、それがいろいろな弊害を釀す部面まで來たならばこれを矯めるのはよい、それに制限を設けることに異議のある者ではありません。併し自然の経済現象として自家擁護的に、全体擁護的にそういうものが発生して来ても、独占禁止法ではそれは不当なものでなければ禁ずることはできない。その根本に遡つてそうなることがいけないということは、自然現象に反すると思う。これを反しないとお考えになつたかどうかということを伺いたい。
#26
○政府委員(黄田多喜夫君) 共同行爲ということは独占禁止法の第四條によつて禁止しておるのでございますけれども、その場合におきましても、これらの共同行爲が一定の取引分野における影響が軽微であるというふうなものには適用しないということになつておる。その精神は事業者團体法案においても同様でございます。
#27
○一松政二君 もう一つ、今の御答弁だと私は分るのでありますが、私もそうも思つておつたのであります。ところが如何なる零細なものまでも規定しなければ、規定の網に入れなければいけないから規定を設けるということから問題が起る。それは独占禁止法の根本より更に私は逸脱していると思うのであります。それよりも更に進んでいるそこが、問題なのであつて、独占禁止法でも弊害のない、或いは事業分野において大した問題がない、例えば今の中平委員が言われましたように、或る地方の一部市において、醤油屋があつて、その滓をお互いの利益のために一ケ所へ集めて、一つの事業をやらせるということは何が全体のためになるか、一地方のほんの関係者の利益を増進し、延いて社会の利益になる問題である。そういう問題があるのに、何故こんな細かい、つまり独占禁止法を更にその源に遡つて、これを殺すという立場を何故お取りになつたかということが腑に落ちないのであります。
#28
○政府委員(蘆野弘君) 先程から頻りに第二條の定義が非常に細かいものまでも網羅するようにできておつて、或いは恰かもそのためにできておるというふうに御解釈のようでもございます。或いは昨日衆議院でいたしました答弁の中にそのようなふうにもお取りになれるような言葉があつたのかも存じませんが、只今も黄田政府委員から申上げました通り、決してそういう趣意ではございませんで、黄田政府委員から申上げた通り、独占禁止法は不当なる取引を制限又は禁ずるのが趣意であり、又一定の共同行爲を禁じておりますが、併しその一定の事業分野における競争に及ぼす影響が軽微なものは、これは問題にしないということがはつきり書いてございまして、事業者團体法でもその文句はございませんが、むしろそれは当然なこととして、わざわざ規定しなかつたのでございまして、先程から運用と申上げましたが、いわゆる運用でない解釈といたしましても、そういうものはこの法律で取締る趣意ではないのでありまして、ただ二つ以上、二ということを入れましたことが大変お氣になつておるようでございますが、これは先程も申上げました通りに、事業の種類によりましては、又場合によりましてはたとえ二つでもそれが相当大きな業界に対する制限になる場合がないともいえないということで、殊に非常に小規模の業者の、而も数の少いものが一緒に何か仕事をするのを、それまで取締ろうというつもりはないのでありまして、先程お引きになりました、非常に田舎の小さな規模でやつている農民や漁民のことについては、特にこの第六條の第二項に規定がございまして、十四人以下の者が共同で、或いは農具を持つとか、或いは何か小さな施設を持つてやるとか、そういうために作る團体は全然この法律の問題にしないということが規定してございます。十四人と決めました趣意は、現在の農業協同組合法におきまして、十五人から寄れば協同組合の組織ができるが、それにも至らないもの、そういうものは協同組合にもできない、そういうものが人と協力すると、直ちに法に触れるということでは困るというので、わざわざこの規定を設けたのでございますが、実は農村漁村ばかりでなく、その他の小さな企業者でありましても、これと同一程度のものは実は法律は初めから問題にしておらないのでございます。
#29
○田村文吉君 議事進行について……先日の会議の場合には、逐條審議はするけれども、併し関連する場合もあるから、それに対しても質問を許す、こういうふうに承わつておりましたが……。
#30
○委員長(稻垣平太郎君) さようでございます。
#31
○田村文吉君 でありますれば、小林委員からの御発言を許してよろしいと思いますが……。
#32
○委員長(稻垣平太郎君) 今二條をやつておりますから、後へ返る場合も何でございますが……。
#33
○田村文吉君 私はどの條文ということでなしに質問いたします。この法案の狙いは、昨今閉鎖機関になりましたのは、つまり政府の配給等の業務を民間の團体が手傳うというようなことはよろしくないということから皆閉鎖機関になりましたし、今度の法律もそれが第一点でお狙いになつておるものと考えます。第二には独占には独占禁止法から因由した、企業者が團体を作つて、独占の形になるようなことの形態を避けよう、こういう二つの御趣旨から大体出ておるものと考えるのであります。それが余りに細かくお決めになり、こういう行爲はやつてもよい、こういう行爲はやつてはならんというようなことになりまするというと、先刻、中平委員から御質問になりましたようなことがあり、それに対する御答弁は私は今以て実は腑に落ちないのであります。かような中平委員の言われたような例は、例えば尾張の一ノ宮で毛織物の業者が共同の加工場を作り、仕上工場を作り、小さな地方では織物業者が洗工場を作り、染物だけは共通に染めようじやないかということで一種の組合を作る。かようなことは実に枚挙に暇がない程日本には多いのであります。かような経過を経て日本の工業というもの、中小企業が発達して來ておるのであります。それをすらも止めようとしますれば、日本の中小企業は全く全滅せざるを得ないと考えます。さような重大なことを解釈の上からいつて、小さなものは何とか解釈の途があり、運用の点でやるというようなことを仰せになる前に、こういうような逐條的に細かくお決めになるならば、こういうものはよろしい、こういうものはいけないということを工業組織全体について逐一御明示なさるのが当然であります。ただ運用如何にあるということでして、行政機関の運用の範囲だけを拡げて頂くということは業者が不安である、又迷惑する。かようなことでありますから、若し法律をお作りになるならばその点まで細かく御規定なさるべきが正当じやないか。今日質問を申上げると、まあ大体運用の手加減ができるというようなことでは、業者が安心して仕事ができん。日本の中小企業の発達というものは、全くそういう経路から育つて來て今日に至つたのでありまして、若しこれを取除けば日本の中小企業というものは全く壊滅に帰せざるを得ない。
 尚もう一つお断りいたして置きたいことは、日本が貧乏な國で資本がない、資本がないから個人でやるべく小さな会社を作つて、資本金五万とか三万とかの会社を作つて織屋でも何でも経営しておる、こういうのが実情であります。それが皆個人の場合には或る程度の許しがあるといたしましても、法人になると一つの会社が別の会社を作ることができないというような、こういうふうに相成つておるのでありまするから、甚だその点についての不都合が多いのであります。こういう点はもつとはつきりとあれをお作りになることができなかつたか、この点について御質問いたします。
#34
○政府委員(蘆野弘君) 只今の御質問に御答えいたしますが、通常の会社企業はこの法律によつては何も影響を受けませんで、仕事を始めるのに五万、十万の小さな会社を作るということには何も制限はございません。それからして小規模の商工業者が協力するということも特に五條で禁止していないことは何でもできるのでありまして、ただ同じ種類の業者が、たとえ小規模のものでありましても数多く寄りまして、結合を作つて或る市場を支配するということは、一般の福祉上差支があるので、そういうことはできないということになつておりますが、それ以外のことで、要するにさつき申上げました通り、不当なる取引制限ということに至らない限りは、各種の商工業者が適当に協力し、力を合せて仕事をするということは、何にも禁ずる趣意ではございませんし、又そういう條文もないのでございます。
#35
○田村文吉君 私の質問に対してちよつと的が外れた御解答のように考えます。私の申上げるのは、無論個人の人達が会社を作ることをお止めになつておるとは考えておりません。そんなことは問題ではないのでございますが、殆んど個人と同等にみなすべき法人がお互いに、例えば一ノ宮の仕上工場を作るので、その当時においても仮に八十万円とか百万円かかる、これではやり切れない、お互いが出資し合つて仕上工場を共同で作ろうということで、仕上工場ができまして、又地方におきましては、染物の設備をお互いが無駄をして一つ一つ持つておるより、染物の施設を共同の組織でやろうじやないか、こういうことが常にある、そういう意味をお尋ねしておる。ところがそれは決して止めないとおつしやつておいでになりますから、そういう解釈がはつきりしておるのは、よろしいと思うのでございますが、どの條文を見て、それが許されておるかということを考えますが、それが伺いたい。第五條による禁止規定に、はつきり触れておる。それが触れていないと仰せになるならば、どういう解釈によつて触れていないとおつしやることができるか、こういうことを伺いたい。
#36
○政府委員(蘆野弘君) 只今の御質問に対しましては、先程は原則的に第五條に規定してあることに触れない限りは、各商工業者が協力することは差支ないということを申上げたのでありまして、只今お示しになりました具体的の例には、或いは当らなかつたかと思うのでございますが、これは実は商工協同組合法の立法とも関係いたすことでございまして、その法がどういうことに決まりますかによつて分りませんが、如何にも只今のお話のよう、同じ業種の会社が幾つか寄つて、そうして共同に團結をして一つの組合を作つて共同の施設を持つということはできないことになつておりますが、実際上は或いは多少の不自由は生ずるかも知れませんが、併し一方には協同組合法の制定ということも考えられておりますしそれからして又違つた單独の、そういう一つの営業が生れ出るということも考えられるのでありまして、この法律のために、お話のように日本の中小工業界が全く壊滅するような心配はないと思います。
#37
○田村文吉君 私は結論的に申上げるのでありますが、今のようなお話で、協同組合品法によつて救済する途があるじやないかというお話でありますが、協同組合法はまだ何もできておらん。殊に在來の政府の解釈は、個人の場合はいいけれども、会社、法人になつた場合には協同組合にも入れない、こういうふうな解釈に在來なつて來ておりますから、今後できる法律も多分そうじやないかと私は考えております。その点がはつきりしないのに、この重大な日本の中小企業を護るべき仕事を、この法律で以てぺしやんこにしてしまつては取返しが附かない、かような考えを持ちますので、若し政府の御趣旨が、今の政府でなすべき仕事を民間で代つてやるような、統制配給のようなことは止めたらいい、もう一つは、社会公益に害があると認めた場合における共同経営、即ちカルテルとかトラストはいけないというような程度に、お決め下さる法律でありますれば、私共満腔の賛意を表したいのであります。なぜこういうふうにこの法案が出て來なかつたのか。私は御趣旨がそこにあるならば、もつとはつきりと明瞭に簡單に御指示になつて、そうして國会の承認を得られるということが順当ではなかつたか、こう考えるのであります。以上申上げます。
#38
○政府委員(蘆野弘君) 商工協同組合法はできておりませんが併しながら現在の法律の下におきましては、独占禁止法におきましては小規模の業者が、相互扶助の目的のために作るところの協同組合というものは、認めておるのでございまして……、ちよつと只今申上げたのを取消しますが、只今商工協同組合というものは設立することができまして、そうしてそれが独占禁止法の二十四條に一定の條件がございまして、これは一口に申せば極く民主的なものである、而も小規模の企業が相互扶助のために作るものであるという、條件が適えば協同組合を設立することができまして、これは今回の事業者團体法から適用除外になつておりますので、それで一つの途があると思いますし、又それ以上非常な大規模のものが共同に仕事をするという場合には、これは実は何ら無害の場合も実際多いのでございましようが、併しながら又同時に、これがおのずからその間に協定ができて、不当なる取引制限になるというふうな場合もあり得るのでありまして、その辺のことを考えまして事業者團体法は、こういうふうに結局なつたのでございまして、お説明の通りに本当にいけないのはカルテル、トラストだけで、はつきりそれ以外のものはいいというふうに決められれば、大変結構なんでございますが、併しながらこの法律は各種の業界に通ずるところの一般的の法律でございまして、各種の業のことを考えなければならないので、どうもそれを通じてどこからして、どういう形で切つていいか、実はそういうことはいろいろ考えましたが、到底不可能なのでございまして、こういうふうに非常に大きなものを取締るために、小さなものにまで苦痛を與えるという結果にはなつておりますが、併しながら狙いは飽くまでも有力者が何人か寄つて、不当な取引制限になるようなことを起すのを防ぐ趣意なんでございまして、その後はどうも法律の運用に委して頂くことが止むを得ないのじやないかと思います。
#39
○田村文吉君 お言葉の中に非常に大きな企業とか、ちよいちよいと極端な例を仰せになるようでありますが、私の申しますのは中小企業というものは、常識的に全國の機屋とか紙屋とか、瀬戸物屋とか、いろいろのものがある。そういうものについて一つや二つのものをお縛りになろうために、この全部の人が迷惑する、日本の産業が壊れます。さようなことをよくお考えになつて、私は実際問題でいうなら、若しこういうものを閉鎖機関として処理しなければならん、社会公益上よろしくない、或いは政府の代行行爲をやるのはよろしくない、こういうものを閉鎖機関になさるのだから、それならば原則的に社会公益に害あるものとか、政府の事業を手傳つてはならんとかいう枠を法律でお決めになつて、それ以上はこれが社会公益にいけないところのものは、これを取消させるというようなことは、命令でもできるようにして置いて、若しそれに対して不当なりと考えるならば、訴願の途を考えて置く、こういうことでいいのじやないか。今これを小さな企業に適用しないと仰せになりますが、法律の文章から行きますと、どこにもそういう逃げは打つてない。だから若しこの通りおやりになつたら、全國の企業は皆潰れてしまいます。そういうことを若し細かくお決めになるなら、こういう場合はよいだろうということをはつきりして下さらなければいけないと思うのであります。これ以上は私は議論になりまするので、余り申上げませんけれども、お作りになるときになぜそういうふうにお作りできない事情があつたのか、これを私は伺いたいというので、先刻來からお話申上げておつたのですが、議論では大抵もう御了承を頂いておると思いますから、敢て答弁は要求いたしません。
#40
○委員長(稻垣平太郎君) 他に第二條に関連いたしまして御質疑がございませんければ第三條に移りますが、御異議ございませんか。
#41
○一松政二君 ちよつと済みませんが、二以上の事業者があつたという場合に、例えば後の二十や三十のものは全然違つた種類の事業者であり、或いは事業に関係のない個人であつても、或いはもう二つの同種の事業が入つていなければよいのかという、そういつたものは差支ないものだと思うのですが、その点どうですか。
#42
○政府委員(黄田多喜夫君) これは共通の利益を増進する云々ということに当ては嵌らない場合が多いし、そういう場合に当て嵌まりませんでしたら事業者團体とはならない、こういうことになつております。
#43
○委員長(稻垣平太郎君) それでは第三條に移ります。第三條についての御質疑をお願いいたします。届出の義務の問題ですから大して問題はないのじやないかと思いますが、……別に御質疑がなければ第四條の許容活動の問題についての御質疑をお願いいたします。これはさつき小林委員から……。
#44
○小林英三君 四條と五條と関連しておるのですがよろしうございます。
#45
○委員長(稻垣平太郎君) 第四條と五條は関連いたしますから、四條と五條を両方合せて御審議願うことにいたしましようか。その方がよろしいと思いますから……。
#46
○小林英三君 第四條の第四号、それから第五條の第一号の終りの方ですが、これは私非常にはつきりしない点があるのでありまして、ちよつとこういう点につきましてお伺いして見たいと思います。
 第四條の四号の「商品の品質の改善」、それから「規格の改良又は生産若しくは配分の能率の向上」ということに対する寄與、これはこの「規格の改良」も「又は生産、若しくは配分の能率の向上」ということに対する「寄與」ということに意味がかかるのですか「規格の改良」に対する寄與と、生産に対する寄與、配分の能率向上に対する寄與というものを先ずお伺いしたいと思います。
#47
○政府委員(蘆野弘君) 只今の仰せの点、これは皆寄與というところへかかるので、要するに寄與を、政府その他の機関に「自由意思により協力することのみによつて、行う」ということになつておるわけであります。
#48
○小林英三君 それから第四條の四号の「適当な政府機関」という意味と、それから第五條の第一号の終りにあります「政府」と、この字句はどう違うのですか、政府機関と政府というのは……。
#49
○政府委員(蘆野弘君) 第四條四号の方の「適当な政府機関」と申しますものは、これは政府の各部局という意味もございましようし、或いは公團というふうな政府の機関である場合も両方あると思いますが、要するに商品の品質の改善ならば、これを掌つておるところの関係の、從來の言葉で申せば当局というぐらいの意味でございます。五條の方へ出ました「政府」と申しますものもやはりこれを掌る、結局は提出するときは政府に提出するので、或いはそれも「適当な政府機関」とするのが正確であつたかも知れませんが、片一方を政府機関とし、片一方を政府としても別に意味はないわけであります。
#50
○小林英三君 「適当な政府機関」というものと、第五條の一号にあります「政府」という意味は大して、変つた意味じやない。こういうことですね。
#51
○政府委員(蘆野弘君) そうです。
#52
○小林英三君 そういたしますると、第四條の四号の「工業標準調査会」でありますとか、「商品標準化の機関」、商品標準化の「研究機関」、こういうような意味のことを先に又お伺いして置きたいと思います。
#53
○政府委員(蘆野弘君) 「工業標準調査会」というのは、工業の標準を調査し、且つ適当な標準というものを定めるというようなことを目的として、昭和二十一年に官制ができて設立されたところの政府の機関でございます。「その他一般に認められた有力な商品標準化の機関又は研究機関」というようなものは、必ずしも政府のもの、或いは公のものでなくても、たとえ私立のものでありましても、そういう仕事をして相当実力があると、世間一般に認められている機関とこういうことでございまして、こういうものに協力することは差支ない、但し自分で自主的に規格の統一とか、商品の標準の單一化とか、そういうことを行うことはいかんという趣意でございます。
#54
○小林英三君 これもやはり五條の一号と関係がありますので、対照して質問いたすのでありますが、五條の第一号の終いにありまする「原材料、商品若しくは施設の割当に関する原案若しくは計画を政府のために作成し、」の「原案」とはどういう意味でありますか、意見というような意味でございましようか。それを先に言つて貰いたい。
#55
○政府委員(蘆野弘君) この「原案」と申しますのは、單に意見であるとか、方針であるとかいうことではなくて、極めて具体的に何某には何を幾らというふうに作成する案という意味でございます。
#56
○小林英三君 そうしますと、この原案若しくは計画というものを政府のために作成する、或いは作成しなくても、原案若しくは計画を政府に提出するいうことは禁止事項になつておるのですが、これと四條の第四号とは非常に私はデリケートな関係にあるんじやないかと思うのですが、この第四條の第四号におきまする寄與を自由意思によつて協力する、これはその結果からいつたんでありましようか、目的からいつたんでありましようか。この寄與を協力するという目的を以てやつたんでありましようか。その結果がこういうことになつたということを禁止してしまうのでございましようか。
#57
○政府委員(蘆野弘君) 目的でも、結果でもどちらでもよろしいので、とにかく政府に協力するということでございます。
#58
○小林英三君 そういたしますると、第五條の只今伺いました原案だとか、計画であるとか、そういうようなものが実際におきまして、四條の第四号にありまするような「配分の能率の向上に対する寄與」を、非常にデリケートな問題でありますが、自由意思によつてやつた、こういう場合には触れないと思いますが、第五條一項の一号に触れないことでありましようか、行爲は同じことでありましても……。
#59
○政府委員(蘆野弘君) 如何にも仰せの通りでございまして、五條でしてはならんといつておるところの政府のために割当ての原案を作成するということは、「配分の能率の向上」の寄與のために政府に協力する一つの形でございまして、この二つの條文の関係は、四條の方が原則でございまして、原則として事業者團体というものはこういうことをしてもいいということで、殊に配分の能率の向上に寄與するために政府に協力するということは、或いは適当な公定價格について調査をするとか意見を出すとか、或いは適当な配給をするのについて必要な資料を調査し或いは提供するとか、そういうことはやつてもよろしい。ただそれが原則でございまして、五條の方で、但しこの通りに直ぐにそれによつて配給を実行するという、その案の作成はしてはいかない、これは例外的でありまして、その程度に至つてはいかん、その程度に至る段階として、政府が適当な原案割当計画を立てるための準備の調査を命するとか、その命に應じてこの調査をするとか、或いは必要な資料を提供するとかいうことで協力することは四條で差支ない、そういうことを予想しておるのであります。ただすつかりでき上つたところそのまま割当の原案というものを事業者團体が作ることはいけない、この二つの條文はこういう関係になつております。
#60
○小林英三君 只今の御答弁によりまして、これを客観的に考えますと、考え方によつては禁止になる、場合によつては禁止じやなくなるというように考えますが、どうでしようか。つまり政府の方で本当にこの配分の能率の向上を図りたいという意味で、現在実際行なつておりますような政府に受入態勢がないために、民間の團体を利用するというような場合が殆んどであります。その際にいわゆる事業者團体なるものが、自分といたしましては配分の能率の向上に寄與するためにこれを出したのだ、或いは政府の方から言えば困るから出して呉れとか、自分の方から自由意思によつてやらずして出す、こういういろいろな場合がありますが、客観情勢によつて、考え方によつて違つて來ると思うのであります。一方は禁止條項で一方は協力事項である、この点の解釈が非常にむずかしいと思いますが、どうですか。自分の勝手の解釈でよろしいものでしようか。
#61
○政府委員(蘆野弘君) 実際問題としては、これが原案若しくは計画の作成の程度に至つておるか單なる準備的なる調査若しくは具申であるか、区別が附けにくい場合も或いは起るかも知れないと思うのでございますが、法規の趣意は準備のために必要なる調査は如何ようにもしてもよろしい、但し原案そのものを事業者團体が作ることはいけないという趣意でございまして、一々の事実問題がどつちに当るかは、そのときどきについて判断しなければならないことだろうと思います。
#62
○小林英三君 尚この点だけははつきりお伺いして置きたいと思うのですが、やはりこの五條一項第一号の政府のために作成しちやいかん、それから政府に提出しちやいかん、こういうのでありますが、只今政府から頼まれたためにやつた場合はどうですか。
#63
○政府委員(蘆野弘君) それもやはりいけない主義でございます。
#64
○小林英三君 そういたしますと、只今この事業者團体法が仮に施行されるといたしますと、いわゆる政府機関と申しまするか、政府と申しまするか、これは全部闇をやることになりますか、この問題はどうでしようか。実際問題としてそれをお考えになつて……
#65
○政府委員(蘆野弘君) この法律が実施されて励行されると、政府の割当の機能に非常な支障を生じはしないかという御趣意と思うのでございますが、実はこれは現在もすでに臨時物資需給調整法の附則第二項によつて指定される機関だけは許しておりますけれども、外の機関がこういうことをすることは現在でもできないことになつているのでございまして、ただ今度新たに事業者團体としてそれができないということをはつきりさしただけで、その点は別に從來と変わる点はないのでございます。
#66
○帆足計君 私は先程の各委員の御意見に大体同感でありまして、不当な独占は排除せねばならないということには勿論賛成でありまするが、いま一つ必要でありまする業界の公正な相互協力の面につきまして、これが甚だしい支障を與えるという一点について憂慮する者であります。從いましてそういう観点から更に突込んでお尋ねいたしたいわけでありますが、只今の小林委員のお尋ねの点が最も重要であろうと存じます。そこで第四條の第四号の「生産若しくは配分の能率の向上に対する寄與」という言葉と、五條の割当その他の原案者若しくは計画を作つて政府に協力することを禁止するという二つの事項が相矛盾している点があると思います。
 又現状につきまして今小林委員から突込んだ御質問がありましたように、私は第一にお尋ねいたしたいのは、経済團体が自己の必要上各企業別に、能率又は原材料の数量等を勘案いたしまして、如何なる配分が妥当であるかという参考資料を政府の必要のためでなくて、自分みずからの必要のために作ることは許されるかどうか、これが第一。
 第二にはそれを第五條の最初の一号にかかるというような関係でなくても、政府のやり方を監督する、又は業界として当然苦情を言う権利がある、そういうために自己のみずからの発意によつて作つた案と、政府の案とを比べて見て、どこに不公正な点があるかというようなことを自己監査することが、果して許されないかどうか。
 第三には諮問委員会が今後できると聞いておりますが、この諮問委員の個人の参考のために、業者團体としてそういう自己資料を提供することが不当であるかどうか。
 第四には現在このことは各政府の現局並びにGHQの現局が誰よりもよく御存じでありまするが、政府のみならず司令部の御必要によりまして、経済團体は直結されていろいろなことの調査その他意見を聽かれているわけで、密接にこれに協力しているという現状の事実があるわけでございます。この事実を今後どういうふうに御覧になるか。先ずこれにつきまして明確なお答えを得なければ、業界團体としても非常に困ると存じますからお尋ねするわけであります。
#67
○政府委員(黄田多喜夫君) 第五條の一項第一号と四條の第四号、これは決して矛盾するものではないのでございます。若し第四條の第四号というものがなければ、これこそ業界の手足を縛るし、進歩発展の途を鎖すということになるのでございまして、第五條の第一号というものは、先程も御説明がありました、現在でもできないことをここに改めるということに過ぎないという趣旨だけでございます。第四條の第四号というものは、ここに規定してありますようなことを、どんどん政府に協力して進歩発展を図ろうという趣旨でございます。只今御説明になりましたような四つばかりの例、それは一向差支ないことであろうと思います。
#68
○帆足計君 それではお尋ねいたします。只今私の申上げました例を実情に即して申上げますと、業界團体が工場別に、原材料の割当の自分自身の案を、又計画を作りまして、客観的に政府の施策に寄與するということになるわけでありますが、常識的に見ますると、五條に違反するということになるように、どうしても考えられるのでありますが、その点は如何ですか。これは微妙な、現在行われておりまする問題でありますから、お答えが困難でありますならば、私はもう少し特にGHQの現局の方と御相談になりまして、実際の運営に支障が果してないかどうかを確められまして、お答え頂きましても、私個人としては結構であります。
#69
○政府委員(黄田多喜夫君) その点は先程申上げました通りに、原案とか計画とか、具体的のすつかりでき上つたものを提出し、事実において、政府がそのままそれを採用するというようなことが、しばしばあるのであります。そういうことを避けるために特にこの禁止を入れたのでございまして、その段階に至らない限りは、例えば或る團体の出しました資料なり、研究の結果なりが、有力に政府の施策を支配するということがあつても、この條文に触れることには私はならないのであるというふうに解しておるのでございます。それから占領軍の司令部の命によつて、こういう材料を出すのはどうなるかということでございますが、これは成る程政府に協力するということがございますが、併しながら同時に、政府その他の公に認められた適当なる機関に協力するということになつておるのでございまして、或いは司令部のことまで、この文言を考えるときに考えておつたかどうかは疑問でございますが、ともかくも主たるところは、事業者團体が単独に自主的にやつてはいかんということでございまして、それが一般に認められたところの適当な機関には意見を上申するなり、資料を提出するなりして、協力するということは少しも差支ないことであるというふうな意味であるところから考えますと、司令部に提出し、これをお助けするということは、やはり差支ないのじやないかと思うのであります。
#70
○帆足計君 先程小林委員からのお尋ねのありましたときは、政府から頼まれました場合のことであるというようなお答えのように私は承つたのでありますが、只今の御答弁によりますと、むしろ第五條の一よりも、第四條の方に重点を置かれまして、相当弾力性のあるように伺いました。併し只今來のお答えでは、業界としましては、折角政府に協力しながら、安心して公益的な寄與をすることができない。むしろ公共的な立場から非常な努力をいたして、又職員一同非常な苦労をして寄與しておりながら、ややもすれば犯罪視されるというようなところに非常な困難な事情があるのでありますから、更に重ねてお尋ね申したいわけでありますが、第一に日本の統制経済の現状といたしまして、原材料の割当が廣汎に行われておりまするが、現在の官廳の機構、人員、予算を以てしますれば、私はそれは極めて不十分であると存じます。然らば予算をどの程度殖やし、人員をどの程度増加してできるかと申しますと、それは厖大なものになろうと思います。從いまして、政府といたしましては、この法案が通りまして、又独占禁止法の建前もありまして、八月、九月をもちまして殆んど指定補助機関も全部閉鎖になつてしまいまするが、それに対しまして如何なる御準備がおありになりますか、果してやつて行けるのであるか。曾て民間の経済團体を活用することになりましたときに商工省の周りを轆轤のように陳情で埋め込みまして、そうして官僚独善の声が國内に満ち満ちまして、これではいけないというので、民間の声を聞くというように是正されて参つたのでありまするが、統制機関のすべてが必ずしも独占的又は過当なる利益追求のためにのみ動いたわけでは私はないと考えております。從いまして、この法案が実施に移されるに当りまして、果して現在の官廳機構、人員能率を以てしまして、この困難な割当の事業が円滑に、且つ公正にやり得るものであるかどうかということにつきまして、もう少し現局の実情などをお聽きになりまして、相当準備されるところがなければならんと存じます。
 第三に、民間の機関を活用いたすといたしますならば、只今の御答弁におきましても、私は若干矛盾しておる曖昧な点があろうと存じますので、この点を更に明確にして頂きたいと存じます。
 第三には、この問題を解決いたします一つの便法といたしまして、新たに現在の民間業種別團体を物資調整法の附則によるところの指定機関にいたしまして、これを公然と活用する。公然と活用するといたしましても、只今のように業界の原案が直ちに政府の原案になるという形態の好ましくないことは、私も当然であろうと存じます。併し民間の実情に即した調べが、政府の配分の能率化に寄與するという途を、ここで公然とつけるということは、或いは一つの方法ではなかろうかと存じます。現状において見ますると、折角政府の政策に民間團体が寄與しておりまするのに、これが不用になりますると、閉鎖機関に指定されまして、恰かも罪人であるかのごとき観を呈する、取扱いを受けておる実情でございます。戰時中の統制機関でありますならば、戰爭の事情もありまして、そのような取扱いを受けることは、或いは止むを得ないかも知れませんが、戰後にできまして、而も司令部又は政府の依願の下に動きました機関においてすら、このような、取扱いを受けておる現状であります。この点につきましては民間事業別團体としましては、割切れない感情を持つております現状であります。從いましてこの問題につきましても、もう少し明確なる御答弁を頂きたいと存じます。
#71
○政府委員(蘆野弘君) 本法案におきましても、六條の適用除外團体の中に、物調法附則による指定團体というものは除外してあるのでございまするけれども、これが指定を解除されると同時に閉鎖機関になる。折角今まで政府と協力をしていたものが、その後において解除されるや否や、直ちに恰かも罪人視されて、閉鎖機関にされて、手も足も出ないということは不法じやないかという御論旨でございましたが、それは全く私もその通りだと思うのでございます。この点に関しましては、我々といたしましても、直ちに解除と同時に閉鎖機関に指定されるということのないように、大いに今後努力いたしたいと考えております。
#72
○帆足計君 先程來の御答弁では、私はまだ明確を欠いておる点があると存じますので、その点は又改めてお尋ねいたすことといたしまして、只今の政府だけの割当業務では不十分である、そうして民間機関をどういう形で今後使用なさるかということにつきましては、更に御研究を願いたいと存じます。
 そこでその他の一、二の点につきまして、お尋ねをいたしますが、一つは民間の事業者團体におきまして、業者のために融資の斡旋、又はそのために事業証明等を、自治的に出しておるような例が多いのでありますが、そのようなことは何ら独占を構成するものでないと存じますが、第五條の十三号と連関して、何らかの制限を受けますかどうか、その一点を伺います。
 第二に地方に分散しております業者のために、少量の物資、貴重な物資、特殊の物資等の代理購入として、このためにわれわれ協同組合を作るまでもないことでありますので、事業者團体におきましても部分的なかような代理購入をするというようなことが第十四号と矛盾することにおいて不可能になるか。又は公正取引委員会といたしましては、仮に第四條に便法が設けられるような行爲があるとしますれば、かようなことはお認めになる御意思があるかどうか。更に第十五号に関連いたしまして、集金を禁止してございますが、場独占禁止の建前からして、果してこの集金の全面的禁止という項目をお置きになる必要があるか。中小業者のために代理集金を認められる便法は公正取引委員会の精神としまして運用上お認めになる可能性があるかどうか。それから次には業界におきまして、自治的に仲裁の機能を持つておる例がございますが、法的又は行政的性質を持たずに純粋の自治的なものであります限りにおきましてはかような機能は認められますかどうか。これらの数点をお尋ねいたします。
#73
○政府委員(黄田多喜夫君) 仲裁のことに関しましては、拘束力を持つ仲裁ということは、第五條で禁止してございます点でございますが、それを持たないところの自治にうまく紛爭が解決するような調停をやるということは、禁止しておる趣旨でございません。それから斡旋のことはお尋ねになりましたか。
#74
○帆足計君 少量物資のですね。
#75
○政府委員(黄田多喜夫君) 融資の斡旋ということに関しましては、この法文に條項を置いております理由は、こういうことによつて事業者團体が非常に構成事業に対して勢力を持つということを防ごうという意味でございまして、従いまして、まあ事業者團体の職員その他の給料の前拂いとか、そういうことまでも止めようという趣旨ではないのでございます。
 それから集金の問題でございましたけれども、これは実はやりようによつては非常に大きな商賣になるのであります。事業者團体というものは、第十三号におきまして商業商賣になることは一切いかないということが規定してございまして、この立法趣旨に関しましては先程御説明申上げた通りでございます。その趣旨から申しますならば、商賣になるように集金をやるということはこれは認めるわけには参らないと考えるのであります。
#76
○帆足計君 それから僅かの物資の代理購入……。
#77
○政府委員(黄田多喜夫君) 事業者團体が少量物資の代理購入をやる必要があるかないかということに関しては、実は非常に疑問を持つのであります。そういうことをやらなくても外に方法がある、それをお取りになるということができるのじやないかと考えております。
#78
○中平常太郎君 第四條の二でありますが「構成事業者の事業の経営に役立ち、且つ、その属する事業分野における技能及び能率を向上させるような技術、科学又は將來の市場に関する情報を公刊する」とありますが、この「情報」というものは、どうしても業者間における完全な事業形態が明らかにならなければ情報の價値がないのであります。然るにこれは「情報を公刊すること。」と書いてありまして大変よろしいように思いますけれどもが、禁止の方のなすべからざる側の第五條の七におきましては、これが禁止的に近いものがある。ここには「構成事業者に対し、その販賣、價格、取引條件、注文、在庫、生産、工場設備能力、経理、事業活動若しくは事業上の便益に関する報告の提出を強要し、」とある。この強要という字でありますが、その業者が互いに話合つて出すことはよいとなつておりますから、その場合にはよいのでありましよう。けれどもが、報告を聽取する、或いはこういう報告を出して呉れというてどんどん掴み出し何月何日までにこの報告を出して貰いたいということは、或る意味から言うならばその業者の事業形態の内部に影響する問題があるかも知れないからして出さない、出さなかつたならばその情報なるものは不完全となつて政府の参考資料とならない。而もこれが相当大きな影響を與えて、業者が出さなかつたならば殆んど無意味になることがある。そういうようなことを考えて見ますと、最初に許された情報の公刊というようなことは、殆んどこれはなすべからざる方の側の第七によつて抹殺される虞れが多いのであります。そのために先程からお尋ねになりました、即ちこの適当なる政府機関に協力することのみによつて行うという規格の改良、生産や配分の能率の向上というような問題が、これ亦その不完全なる資料を以て、到底これは政府に寄與することはできないということになる。又政府から今度政府の原案に近いような資料を提供しようと思いましても、業者間の統計その他いわゆる事業の実態を掴むことができなかつたならば何らそれは寄與ができないのみならず政府自体もそれは困難であろうと思うのでありますが、そういうふうに何もかも括つてあるところから考えて見まして、私はこの民主主義とそうして独禁法の徹底ということで以て、自由自在に競爭場裡に立たしめるという、誠に麗わしい美名ではありまするが、競爭場裡に立たしめるという美名下のに、何人もさまざまなる障碍の網に掛かつてしまつて、自由競爭のところが手も足も括られた形に現われて來て、自由競争はそういうような状態のところでさあやれということになつて來る。さあやれと言つて互いに発展せしめるというならば、そういう網を脱けてこそ、発展し得るので、網の上に網をかけてこの道でなければ通れないよというところを掴まえて、それでこの穴は君が通る穴じやない、この穴はこつちの会社が通る穴だ、銘々にそれらを几帳面にやつたらどうか、とこれではとても発展することができないことに相成ると思うのであります。だからして業者の自由競爭を認めている、発展を希望するという根本理念から言うならば、これ程括つては発展さそうという、いわゆる自由競争を誘致しようという根本精神に間違いができておると思うのであります。だがそれは意見になりますが、そこで第四條の二号の情報を公刊するということは、第五條の七号の報告の強要ということのために、完全な情報ができないのじやないかということに対する御説明を願います。
#79
○政府委員(黄田多喜夫君) この五條の七号は、どういうわけでこういうことを書いてあるかと申しますと、事業者というものはお互いに競争すべきであつて、その競爭のためにはおのおのそれぞれの祕密というものがある、この祕密までその事業者團体が曝け出させるということはいけない、これは却つてお説の通り自由競争を阻害するということになりますが故に、この第五條第七号というものを置いてあるわけであります。尚第四條の第一号にも、その「状態を明示することなく」云々ということがございますが、これも同様なる精神でございます。それから第四條の二号は各事業者の祕密の事項に属すべきようなものでなしに、一段共通的な問題に関して事業の経営に役立ち、或いは技術及び能率を向上させるようなことは何も自由競爭を阻害するようなことではないのでありまして、祕密を暴露させるというようなことでもないのであります。從いましてこういうことを許容活動の中に入れておるという関係に相成つておるのであります。
#80
○中平常太郎君 第四條の一号に、「情報又は状態を明示することなく」とありますのはよく分つておる。これは個々の状態を現わさずして全般的な統計を出すためでありますからよく分つておりますが、これを拵えるためには個個のものが分らなければならない。個個の問題が分らずして概括的な数字が出ないと思うのであります。だからしてこの個人の状態を明示せずして、統計を作るための個々の材料は、業者團体の中で作つて行かなければ、その團体の統計が分らないというふうになりますから、どうしてもその個々の業者團体の方から可なり正確なものが來なければならん。この正確なものは、併しながら祕密があるから、祕密はいけないと言われますけれども、祕密の分だけはたとえどうでも、その会社が現わすところの、会社自体が出すことだけは、そのいわゆる状態を明示せざる統計の中に入れるための数字だけは欲しいのです。そういうその数字だけを取ろうということになつても、それを又出さないという者があつたらどうしますか。これは出さない者があるかも知れない。小さい者は出さなくてもよろしいが、大きいのを出さなかつたら、全く統計ができない。そういうことでその隘路をどういうふうに打開して、公平な立派な情報が作り上げられるかという問題でありますが、それを一つ。
#81
○政府委員(蘆野弘君) 四條第一号は公刊する際に、個々の事業者の状態を明らかにしてはいけないということでございまして、統計を作るためには、お説の通りに、各個の事業者の個人に関する数字も亦手に入れなければならんので、それを集めることは差支ないのでございまして、ただそれをそのまま一般に発表してはいけない、必ず概括的に統計の形にして出すということでございます。その資料のことにつきましては、個々の業者に関する資料を集めて差支ないのでありますが、但しこれも強制をしてはならない。出すというなら出せということで、ございまして、これはこの第五條の方の制限でもございますが、各個の業者が正当に祕密にしていることを、これも無理に出せということは、事業者團体に余りに過大な権力を與えるのでございまして、若しこういうことをしておる團体があるとしますと、これはそこに何か共同行爲をやつておるということに、とかくなるのでありまして、又個々の業者のそういう自由意思を尊重するということが、即ち只今お説の競爭を自由にする、決して事業者團体によつて圧迫されることがないと、どこまでも個人の自由意思を尊重するという趣旨で一貫しておるのでございます。
#82
○中平常太郎君 もう一つちよつと。それでは民間の事業者團体におきましては、完全な統計は取り得ないわけになつて参りまして、取り得るだけの程度のもの、可能なものだけしか取れないということになりまして、或る意味から申しますと、民間業者團体もこれを参考にする價値がない。今日統計というものは、文明の世界におきましては、統計なくして進歩というものはない。ものの進歩は統計によつて行われ、又それによつて刺戟を受けて來るのでありますから、統計の價値は大変なものであるに拘わらず、業者自体の自分の生死に関する、業者自体が自分の業態と同じ業態にいるものの統計が完全に把握し得ないというふうなことが、公然と法において制定されておつてはこれは耐えられるものではないと思います。アメリカあたりは、私はまだ、トラストとかカルテルとか、何ぼでも大きなことをやつておるように思うのでありますが、日本は敗戰國でありますから、何もかもこれは御無理御尤もでやらなければならんかも知れませんけれども、とにかく(笑声)何でもええ。盛んに個性を発揮して商賣せよというのなら、それのできるようにして貰わなければならん。いわゆる飯を食わずに安全に歩けというようなことで、安全に歩けと言われても食わして貰わなければ歩けないということでありまして、こんなに法に括り付けられては、中小業者は立ち行けないと思いますが、これは意見の問題でありますので、それでは完全な統計を取るということは、政府に縋らなければいけないことになりますか。その点を伺いたい。政府は如何なる場合でも完全な統計は取り得る、従つて我々業者というものは、完全な統計の要るときは、業者團体に行かずして、政府の所へ行つて統計を貰うということになるか。そういうことについて。
#83
○政府委員(中山喜久松君) お話のように御解釈になれば、政府でなければ完全な統計は取れないということになると私共も思います。併しながら本当に一致團結して、業界の発展を図ろうという、眞に意見の合致した優良な團体であるならば、隠す所なく自由意思によつて、統計資料を御提供になるだろうと思います。どうか優良な團体のできますように、私は希望いたします。
#84
○油井賢太郎君 第四條第一号に公正取引委員会の認可した行爲はこれを許容されるというようなことを追加されたのは、大変に結構のようでありますが、先だつてウエルシユ氏のお話によりますと、この第四條は許容範囲を具体的に示したものであるというようなことであつて、これに限られたものでないというようなお話でありましたのであります。そういう点から申しますと、第四條の公正取引委員会に届出だけによつて一應認めてはどうかというように我々は考えておりますが、そういう御意思があるかどうか。それから更に公正取引委員会は、たつた七人で以て形成されておつて、そのうち四人出なければ公正取引委員会は開催されない。そういうことで、急を要する事業等につきましては、一々公正取引委員会が開催されるのを待つて、認可が遅れて來るという点もありますので、届出に直した方がいいのではないかと思いますが、委員会の方の御意向は如何ですか。
#85
○政府委員(中山喜久松君) 屆出にいたしては如何かということの理由といたしまして、公正取引委員会の七人の委員のうち、四人が集まらなければ決定ができないのじやないかというお話のようでございますが、これは或いは承知ないかも知れませんが、公正取引委員会の七名の委員は常任で、毎日役所に詰めなければなりません。殊に四人の定員を欠かさないように、他に例えば議会へ参りますとか、その他の用務がありましても、欠かさないように、努めて常に会議をなすということになつておりまして、その辺の御懸念はないようであります。
#86
○油井賢太郎君 実際において、公正取引委員会の認可に対する日数は、どれ程平均かかつておりますか。
#87
○政府委員(中山喜久松君) 只今は、最も多く認可申請のございますのは、國際契約の認可申請、即ち今の貿易の代理契約の認可申請が非常に多いのであります。これは概ねその週に参りましたものは、次の週の初めに認可を與え得る情勢になつております。それからその次には、会社の合併の認可申請、或いは営業讓渡の、讓り受の申請が非常に多うございまして、それも大体前週に参りましたものは、その次の週の終り頃までには認可を出し得る状態にあります。
#88
○委員長(稻垣平太郎君) ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#89
○委員長(稻垣平太郎君) それでは速記を始めて……。
#90
○油井賢太郎君 只今のお話ですが、この精神から言つても、公正取引委員会の認可という点よりも、第五條の禁止條項というものははつきりしておるのですから、この禁止條項に触れない程度のものであつたならば、届出で以て一應認めて置いて、若し悪かつたらその行爲について後から禁止してもよいのじやないかと私は考えますがこれは回答はよろしうございます。
 次に第五條の最後の方の第三項の二ですが、当該團体の構成事業者が比較的少数の有力な事業者に限られておるというようなことが書いてありますが、事業によつては比較的少数の有力な人を中心にして、余り有力ならざる人がその周りを多数取巻いておるということもあり得ると思うのであります。こういう場合に、この経営から生ずるところの利益などが、比較的少数の有力な者に支配されないといつても、出資に應じて或いは配当するとか何とかいう場合もでき得ると思いますが、こういうものを一々認めないというふうに解釈するのですかどうですか。この点について御回答を願いたいと思います。
#91
○政府委員(蘆野弘君) これは事業の種類によつては比較的有力な事業者が中心になつて、そのほかに小規模な事業者が沢山おるという場合もあるということでございますが、そういう状態が事実あることは差支ないのでございまして、そういう小さな事業者がこの中に入ることを許されていない、或いは非常な不相應な飛んでもないような入会費を要するとか、そういうふうな不当な條件さえ課せられなくて、おのおのその業界に適應したところの條件で以て、入りたいという者は入れるという組織になつておつて、そうして研究機関を利用するとか、或いはそれからでき上つたところの成果の利用についてもおのおの、その分に應じてと申しますか、その事業者に相当したところの機会が與えられる、つまり機会均等でおる、少数の者だけが利用するのでない、こういう組織になつておればいいということでございましてこれで極めて無理のない條件ではないかと思つております。
#92
○油井賢太郎君 具体的に申しますと、出資なら出資によつてその利用をするというような場合に、少数の者が支配する立場になりますが、そういうのは出資に感じてやる場合は差支ないと解釈してよろしうございますか。
#93
○政府委員(蘆野弘君) 利用の方はすべての構成事業者に平等でないといけないのだろうと思います。これを運営する方は必ずしも同じ程度でなくても、或る程度まで段階を附けても、つまり、如何なる小さな事業者でも全然これから排除されてしまう、こういう状態でなければいいのだと思います。
#94
○帆足計君 事業者團体いろいろな強制が禁止されておりますけれども、業者を除名し得る條件はどういうふうにお考えになつておりますか。
#95
○政府委員(蘆野弘君) この法律は、事業者團体の組織とか構成とかいうことについては、直接には一つも触れておりませんで、或る一定の場合に除名するというような規則を作ることも差支ないのでございますが、ただこの法律の各條で強制することを禁止している事項についてこれを強制して、それを聞かなかつたならば除名する、こういう規則を設けられ、或いはそういうことを実行されれば、これは本法の強制してはならないという條項に反することになるのであります。
#96
○田村文吉君 これは独占禁止法の根本精神にも触れますので、この間ウエルシユさんにもお尋ねしたときに、政府委員の方もおいでであつたと思います。時間もありませんことと、余り質問を繰返すことは非礼といつたそういうことで止めたのでありますが、あの当時のウエルシユさんの私のお尋ねいたしました質問にお答えになりましたことは國際的の競爭もあることであるから、弱い者は倒れても仕方がない、強い者は結局残るということになつても止むを得ないだろうというふうの、お話があつたかと私は承わつたのでありますが、そこで私は過去の製紙業界の状態を少し御説明したいのであります。
 過去には王子製紙、富士製紙、樺太工業という三つの会社がありまして、今日はそれが王子製紙一つになりましたが、群小の会社が沢山あつた。その場合に、樺太で無暗矢鱈に、内地へ賣ることもできないのに増設されても困るじやないかということで、或る程度増産を一つ制限して貰わなければならんということを話したこともあります。又或る程度製造の制限もしなければ、事実上今日もう十幾つの会社は潰れようとしておるというような場合には、それは止むを得ないのでないかというような話もございましたのでありますが、どこの会社がどうというわけではありませんが、非常に有力な会社になりますると、さような場合にはさような協定には成るべく入りたくないということで、常に独自の立場から行こう行こうといたします。それから十幾つの会社は何とかして一つ仲間に入つて貰つて、お互いがリストレインをしないと産業が全部倒れてしまう、こういうようなことでやつて参つたのでありましたが、いろいろ一張一緩して参つたのでありましたが、結果は皆様が御承知のような状態であります。私はかような或る程度の申合せというようなものを同業者ができないということになりますると、今の景氣のよい時分には実はこんな協定も何も要らんのでありますが、非常に不景氣で困るような状態というものは遠からずして又來ると思うのであります。さような場合に、何らの申合せもやることができなということになりますると、結果において結局集中するということになるのでありまするが、さようなことをウエルシユさんにお考えになつて、止むを得ないことであるとお考えになつていられたのでありましようか。実はその当時は大体そんなに承わつたんですがこれに対して政府委員の代表から、どういう御見解をお持ちになりますでしようか、一つお尋ねいたしたいのであります。
 尚この例はひとり製紙業界だけに起つたことでありませんで、日本のあらゆる産業がそういうふうの状態になつた。それで協定というようなことを嫌うのは、大きな会社であります。それから中どころの堅実にやつておるところは、何とかして生きて行こうと思うから、それでやつて來る、こういうことであるのでありますが、若しかようなことになりまして、集中がひどくなり、又一方には、私はこれから不景氣にでもなれば沢山の失業者が出るであろうと思うのでありますが、その失業状態において、地方的にも存立していた会社も事業も皆倒れてしまわなければならんというようなことが一つの社会問題でもあるのだ、こういう点がありまするので、実は独占禁止法の根本精神に対しても、亦この法律に対しても、非常な危惧の念を実は持つておるわけなのであります。これに対して一つ御見解をお示し頂きたいと思います。
#97
○政府委員(中山喜久松君) 只今田村委員から、或る人の述べられたことについて、そのことをどういうふうに解釈しておるかという御質問がございましたが、これは非常な困難なることでございまして、私もあのとき述べられた言葉のままに、ただ受入れておりました次第でございまして、さよう御承知置きを願いたいと存じます。
 ただここで私自身の考えをちよつと申上げて見たいと思いますのは、不況になつた場合に、やはり依然として業者の協定なり或いはその救済のための合同を認めないのかどうかというような御趣旨のようにも取れるのであります。独占禁止法の建前から申しますれば、飽くまでも共同行爲、結合による取引制限というものは排除して、公正自由な経済体制を保持して行こうとするものであります。併しながら、大きな日本の経済問題といたしましての不況対策というものが取上げられるときに、それは又別に考えられることがあるのではないかということを私は考えておりまして、独占禁止法と又離れて別に國家政策としての問題ではないかと思つております。
 尚不況の際において、倒れるままに倒れて行けば、そこに大資本の集中が起るのではないかというようなことでございましたが、この点こそは実は独占禁止法の非常に働いて來る場合ではないかと思います。独占禁止法におきましては、合併について或る程度の制限を設けております。この制限の根本趣旨は、要するに大企業、大資本の集中というところにあるだろうと思います。非常な不合理な合併のないということを期しております。その場合には、御質問のようなことはないと考えております。
#98
○田村文吉君 私も合同等を不景氣の場合に会社がやるというようなことは、独占禁止法で止められると、併し過去の多くの場合は、さようなもう堪らなくなつたから買收して呉れというような場合もありますけれども、それよりはそういう有力な会社は幾らでも拡張ができる、どんどん拡張する、一方では品物が余つて困つておるから何とかして抑えて貰いたいと言つて來る、これは私は自然だろうと思う。そういうような場合がありまするから、そこで過去においては、まあそう無理なことは言わないで、お互い十人が頼むのだから一人が承知して呉れというところに、大変うまく行つて來たのでははいかと思いますが、そういうことはいけないのだと、十人、十一人の人が相談をして決めるということはうけないのだと、そういうことになりますから、私は結局において集中を嫌う法律が、集中を育成せんがために作られるのではないかとこういう心配をするのであります。さような意味でありましたから、どうもウェルシュさんのお話が、結果からいつて止むを得ないのだ、そうなつても仕方がないのだというお話になると、集中排除ということが甚だ矛盾したような結果になりますので、それを実は私お伺いしたかつたのでありますが、余り質問を重ねることになりますので、そういうことは政府委員の方は多分御意向等が分つておるだろうと、こう考えましたのでお伺いいたした次第であります。
#99
○政府委員(中山喜久松君) 只今の御趣旨よく分ります。或いは私から申上げるのは蛇足かも分りませんですが、今のそういう不況の結果、大資本がますます設備を拡張していよいよ有力なものになるだろうというお話の点は、これも亦独占禁止法の上におきまして、いわゆる事業能力の格差という問題でこれを抑えて行くことができます。又私的独占の結果になれば、これを制限する、抑圧するということもできるわけであります。御承知の通りに、過度経済力の集中排除は、今までの状態もただ一時にこれを破壊するという結果だけでありまして、この後に起りまする経済界のそういう現象に対しましては、私的独占禁止法が働き掛けて行くということになるということを御了解置きを願いたいと思います。
#100
○帆足計君 先程御質問いたした点でありますが、現在経済計画に対する民間事業者團体の協力は、一應全面的にいけないということに解釈され運用されておるように私は聞いておりました。従いまして、実情といたしましては、一種の闇のような関係におきまして両者が提携しておるということで、誠に不明朗であると思います。
 從いまして、私はやはりこの問題につきましては、現在の官職機構だけの手でこれが解決付くものであるかどうか。第二、それだけでは不十分であるとすれば、如何なる條件を限度の下で事業者團体をこの問題のために活用なさるお考えであるか。第三に、そういう観点から如何なる活動が許容されるかということを、もう少し明確にして頂かなければ非常に困ると思うのであります。從いまして、第五條の第一号につきましては、一つ本日か又次の機会でも結構でございますが、もう少し系統的に、政府はどういう仕事をする、民間はどういうように協力してこそ事業者團体としての眞價を発揮するものであるかということを、もう少し立入つて伺つて置かなければならないと思います。
#101
○委員長(稻垣平太郎君) それでは大体本日の質疑はこの辺で打切りまして、次会に尚続行いたすことにいたしたいと思います。本日はこれで散会いたします。
   午後三時五十八分散会
 出席者は左の通り。
  鉄工業委員
   委員長     稻垣平太郎君
   理事
           小林 英三君
           川上 嘉市君
   委員
           原  虎一君
           大屋 晋三君
           堀  末治君
           入交 太藏君
           奧 主一郎君
           鎌田 逸郎君
           佐伯卯四郎君
           宿谷 榮一君
           玉置吉之丞君
           田村 文吉君
           帆足  計君
           細川 嘉六君
           佐々木良作君
  商業委員
   委員長     一松 政二君
   委員
           中平常太郎君
          大野木秀次郎君
           黒川 武雄君
           油井賢太郎君
           九鬼紋十郎君
           小林米三郎君
           島津 忠彦君
           結城 安次君
           廣瀬與兵衞君
  政府委員
   公正取引委員会
   委員長     中山喜久松君
   公正取引委員会
   委員      蘆野  弘君
   公正取引委員会
   総務部長    黄田多喜夫君
ソース: 国立国会図書館
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