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1947/07/02 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 司法・厚生連合委員会 第1号
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1947/07/02 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 司法・厚生連合委員会 第1号

#1
第002回国会 司法・厚生連合委員会 第1号
昭和二十三年七月二日(金曜日)
  ―――――――――――――
 委員氏名
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
           岡部  常君
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
          大野木秀次郎君
           遠山 丙市君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           鬼丸 義齊君
          前之園喜一郎君
           宇都宮 登君
           來馬 琢道君
           松井 道夫君
           松村眞一郎君
           宮城タマヨ者
           星野 芳樹君
           小川 友三君
           西田 天香君
  厚生委員
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           三木 治朗君
          池田宇右衞門君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           安達 良助君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
           千田  正君
           小川 友三君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○少年法を改正する法律案(内閣送
 付)
   午前十時五十一分開会
#2
○委員長(伊藤修君) それではこれより司法並びに厚生の連合委員会を開会いたします。
#3
○塚本重藏君 司法委員会におかれましては多数の法案、なかんずく重要な法案を御審議なさりつつあるその中途におきまして、私共も厚生委員会といたしまして、少年法を改正する法律案の審議をなさいます機会に、兒童福祉の関係からいたしまして、一應この法案の審議に連合委員会を開いて頂きたいことを申入れましたところ、これを御快諾下さいまして、この連合委員会をお開き下さいましたことを先ず以て御礼を申上げて置きます。
 尚この機会に厚生委員会といたしましての、別に申合せ等をいたしたわけではありませんが、大体の意向としての多数の意見の意のあるところを一應簡單に申上げて置きたいと思うのであります。少年法を改正する法律案が印刷物になつて配付せられましたときに、第三條の一項一号、二号、そうして(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)とありまするだけを見ましたときに、これだけでは兒童福祉法を通過させました厚生委員の者としましては、その立場上、責任上まだ不当分であると考えておつたのであります。その考えておりました点は、言うまでもなく正誤表によつて訂正せられておりまするその次に加えられた、この「家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年で十八歳に満たない者については、都道府縣知事又は兒童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。」こういう一項が正誤表によつて訂正加入せられましたことを承わりまして、私共としましては実はこの訂正追加せられました條文を是非附けて頂きたいことを念願して止まなかつたものであります。厚生委員会の者としましては尚一、二申上げたい、希望したい点もないではありませんが、会期切迫の折柄そう十分に何もかもということを申上げるわけにも参りませんので、一應この條項の挿入を以て満足したいと考えているのであります。併しながら國会全体を通して、この條項につきましては尚多少の議論があるやに聞いておるのであります。或いは追加せられました條文、或いはその他の條文において、これを削除してはいかんかというような意見もあるやに聞いて、心密かにそれを心配しておる者であります。希わくば参議院におきまする司法委員会におかれましては、是非政府が最初に出されました原案並びに訂正加入せられました條項を、削除することなく御決定下さいまするならば非常な幸いだと思う次第であります。
 これらの少年というものは飽くまでも温かい心、愛の精神、又愛に満ちたいろいろな施設において、これらの子供達を將來幸福にならしむるために矯正し、善導し、教養して一人前の成人に育てて行きたいというのが我々の切なる念願なのであります。この点十分にお汲取り下さいまして、御審議されるとをお願いいたす次第であります。
#4
○委員長(伊藤修君) では少年法を改正する法律案につきまして審議を継続いたします。
#5
○政府委員(齋藤三郎君) 只今御審議を頂いておりまする少年法を改正する法律案の内容の主要な点についてその理由を御説明申上げたいと存じます。
 第一点は、從來の少年法によりまして、少年審判所が犯罪を犯した少年、犯罪を犯す慮れのある少年の両者について保護処分をいたしておつたのでおります。今回の改正の第一点としては、この審判所を、最高裁判所をピラミツドの頂点といたしまする裁判所法による、裁判所の制度にいたしたことでございます。これは新憲法の精神によりましてさようにいたすのがよろしかろう、こういう理由でいろいろ考究いたしました結果、少年に関する保護事件を担当する分野で、從來本年の一月から発足いたしておりまする、普通地方裁判所の支部として現在仕事をいたしておりまする、家事審判所というものがございます、この家事審判所の機能、機構を併せましてここに一つの地方裁判所と同格の、独立した家庭裁判所というものを作りまして、その家庭裁判所において、家事審判所の從來営んでおりました事件を担当いたしますと同時に、少年の保護事件を担当することにいたしたのであります。而うしまして裁判所の機構、権限というようなものは、すべての裁判所を通じまして、裁判所法において規定いたす建前になつておりまするので、家庭裁判所の機構や権限等の根本のものは裁判研法の改正によることにいたしております。そうしてこの只今御審議をして頂いておりまする少年法を改正する法律におきましては、その家庭裁判所において行いまする事件の手続、その他を規定いたしたものと御了承願いたいのであります。
 又家庭裁判所は考えまするのに、少年につきましては絶対に刑罰を科さない裁判所でございます。全く少年の健全なる育成を図るために、非行のある少年を対象としてこれを十分に科学的調査を用いて、そして少年の個々の事犯に最も適切なる保護処分をいたす裁判所でございます。從いまして從來の刑事裁判所、刑事事件を取扱いまする裁判所とは全然趣きの異つた万事において明るい、不愉快な感じを與えない裁判所が生れ出るように我々も考え、又最高裁判所においてもさような考えでいろいろ企画をしておられるのであります。從來裁判所と言いますれば民事事件、刑事事件のみを担当いたしておりました関係上、事件がお互いの利益の相反する、而も民事事件のごとき、或いは刑罰を科する刑事事件のごとく、その事柄からしてどうしても嚴格を要する事件を担当しておりました関係上、ややもすれば裁判所は暗いもの、冷たいものといろ感じを受けておつたのでありまするが、今回新たに生れまする家庭裁判所は、凡そ子供のために、或いは家事事件を、裁判によらないで円く明るく納めるというために生れ出るものでありまして、その審議の手続も非公開であり、又法廷を用いずして関係者が相寄りまして和やかに話合つて、そして科学的調査方法を用いまして、その対象となりました少年について最も適切なる保護処分を決定いたす審判機関でございます。從いまして審判機関に止まるのであります。執行のことについては何らいたさないのであります。保護の実際はいたさないのであります。保護の実際はそれぞれのその家庭裁判所が調査研究をいたしまして、社会政策を以て処置すべき少年は、社会政策の方面を担当される施設にお委せし、又嚴格なる矯正教育を必要とする刑事政策の方面をも加味した、そういう必要のあるものは、さような方面にお願いをする。結局審判をいたすだけでありまして、みずからは何も保護を実際には担当しない、從つて行政機構とは関係のない、行政と司法とのはつきりした分野、建前を守りまして、審判のみをいたす機関とお考えを願いたいのであります。
 それから今度の改正の大きな点の第二点は、対象になる年齢を引上げた点でございます。現在の少年法におきましては、十八歳未満を対象といたしておるのでありまするが、終戰後の犯罪の状況を見ますると、曾ては三十五、六歳ぐらいが、大体最も犯罪の多い年齢層でございましたが、最近におきましては十八、十九、二十歳という年齢層が一番犯罪が多いのでございまして、これらについてただ刑罰によらずに、恩愛備えたところの保護の意味合におきまして、十八歳の年齢を二十歳に引上げようといたしておるのであります。ただ裁判官の手不足、或いは物的の施設を急速にはできないという関係もございますので、附則において施行後一年間は十八歳を対象とするというふうに、経過的な、暫定的な措置を講じておるのであります。
 次に第三に大きな変更の点は、從來の少年法の建前によりますると、少年の刑事事件は警察から検事局に参りまして、検察廳が調査の結果、起訴すべきものは起訴し、不起訴にするものは不起訴にいたしまして、そうしてそれを少年審判所に廻して、保護処分を加えておつたのであります。併し今度の建前におきましては、折角少年のために明るい、そうして行届いた少年のための特別の專門的な裁判所を作るのでございますから、軽微な刑事事件は警察から、直接重い事件も、検察廳は、強盗事件でも殺人事件でも全部少年裁判所に参りまして、そうして少年裁判所が身柄を留めるべきものについては、アメリカにありまするようなデイテンション・ホームに該当するような施設を作りまして、そこに收容いたしまして、その期間に十分に科学的な方法を用いまして、本人の性格その他を鑑別いたしまして、それらの科学的な資料を十分に参酌いたしまして、保護処分に付すべきものについては、適切なる保護処分を決定いたすのであります。但し罪質その他の事情から、どうしても刑罰処分に付さなければならんという僅かの例外につきましては、家庭裁判所から管轄する検察廳に移送いたしまして、そうして検察廳は原則として、その事件を起訴する、そうしてこれは普通刑事手続によりまして、証拠が十分であれば有罪の判決を受け、少年刑務所に参る、こういうことにいたしたのであります。
 第四点は兒童福祉法との関係について、我々としましては、十分意を用い、その調整を考えたのであります。この法案の第十八條におきましては、家庭裁判所におきまして、少年の事件について調査をいたしておる際に、調査の結果、これについては強制力を用いる必要がない、保護処分をする必要はない、こういうふうな事件については、速かに権限を有する都道府縣知事又は兒童相談所長に送致しなければならない。但し、都道府縣知事又は兒童相談所長から、強い矯正保護の手を加えて欲しいという認定を以て送られた事件については、その限りでない。かようにいたしておるのであります。更に又家庭裁判所が調査の結果、審判を開始する必要があるということで審判を開始しまして、審理をいたすのでありますが、その審理の結果、やはりこれは兒童福祉施設の方でやられた方が適切であるという事件につきましては、第二十三條の第一項において、兒童福祉施設にお委せするということにいたしておるのであります。
 尚種々の提示がございましたが、結局において第三條の第二項というものを入れたのであります。これは十八歳に満たない虞犯の少年については、都道府縣知事、又は兒童裁判所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができるという規定を入れたのであります。これにつきましては、いろいろな方面からいろいろな角度で考えられると思うのであります。兒童相談所は兒童福祉行政の最も中心であつて、これは間違いのないところでありまして、その観点から、都道府縣知事又は兒童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することも一應考えられると思うのであります。これにつきましてはいろいろな角度から考えられるのでありまして、二十数年來犯罪少年、虞犯少年を放つて参りました少年審判所におきましては、かような條文は理論的にも、亦実際的にも極めて不適切であるというような陳情を法務総裁に出しておるのであります。この点については別途又十分に御審議を頂きたいと存じております。
 次に保護処分の内容を非常に嚴格にいたしたのであります。從來は現行の少年法によりますと、一号から九号までございまして、最も軽い者は訓戒を加えるという程度のものであつたのでありますが、今回は保護処分の内容を三種類に分ちまして、嚴重なる保護観察に付する者と、それから教護院その他兒童福祉施設に送致する者、それから從來の矯正院でございますが、少年院に送致する、この三種類を保護処分といたしたのであります。從いまして、虞犯少年と申しましても、最初から訓戒で結構だという程度の者は、その保護処分という最終の結果を狭くいたしました見地から、おのずから相当程度の進んだ虞犯ということが出て來ると思うのであります。この点も三條の二項を御審議の際に御考慮を賜わりたいと思うのであります。
 第六点は保護司の制度を設けた点であります。從來は矯正院送致という処分を少年審判所でいたしますと、それについて爭う途がなかつたのでありますが、これにつきましては、憲法の精神も十分考えまして、そうして本人一保護者、附添人、附添の中には弁護士の方もおられるわけでありますが、そういつた方々から決定に影響を及ぼすべき法令の違反、事案の重大なる誤認、処分の著しい不当というふうな事由のあつた場合には、高等裁判所に抗告をなし得る途を開いたのであります。そして更にその高等裁判所においての抗告の決定について、更に憲法上の問題があるというような場合におきましては、最高裁判所にまで再抗告の途を開いて決定に誤りなきことを期したのでございます。
 第七には少年の福祉を害するような大人の刑事事件を、家庭裁判所が取扱うことにいたしたのであります。これは少年の事件を調べておりますると、その原因が家庭の無理解、雇主の無理解、或いは不当なる処遇ということが原因をなしておることが多いのでございます。從いまして、それらを奇麗にいたさなければ本人の救濟ということはできないのでございまして、さような事件については、家庭裁判所に起訴をすることにしました。そしてこの事件を家庭裁判所が取扱うということにいたしたのでございます。尤も家庭裁判所は事件の性質からいいまして、單独の判事が当るのがよろしいので、單独制を用いております関係上、体刑を以て処断すべき場合は、止むを得ず普通の裁判所に移譲しなければならんことになつております。
 更に家庭裁判所という制度を考えまして、少年の保護事件、大人の少年不良化の原因を與えた事件を処理する外に家庭のもつれを解決する家事審判所の機能を加えたということは、いろいろ問題の少年が生れました原因には、家庭上のもつれが多いのであります。從いまして、かような家庭上のもつれをやはり奇麗にするということも、少年を本当に救濟する上において必要であると考えましたので、家事事件と少年事件とを合せた一つの家庭裁判所という制度を考えたのでございます。
 尚以上が改正の要点でありまするが、その他にも十八歳未満で罪を犯した少年に対しては、絶対に死刑を科さないというような改正もいたし、少年が家庭裁判所から普通裁判所の方に参りまして、刑罰を受ける際にも、少年の特殊性から種々普通の法律に例外の規定を入れる必要がありますので、さような点も考慮しまして、それぞれ所要の改正をいたしておるのでございます。
 以上が改正の概要でございまして、詳細につきましては、御質問によりましてお答え申上げたいと存じます。
#6
○委員長(伊藤修君) ではこれより質疑に入ります。質疑のあるお方はお申出を願います。
#7
○宮城タマヨ君 新憲法の精神によつて、少年審判所がなくなりまして、少年裁判所になるということを私共聞きましたときに、少年裁判所という看板を掛けるところができて、將來のある子供連がここで裁かれなければならなくなつたと思つたとき、私共非常に心配いたしました。内容について心配するというわけではございませんけれども、少年裁判所で、裁判所というところはアメリカの人が考えておるようじやございません。日本の今の常識としましたならば、非常に嫌なところであると思うものでございますから、その心配が一層強かつたのでございますけれども、今度この家庭裁判所に含められることになりましたことを聞きまして、大変嬉しく思いました。同時に今まで長い間、三十年近く少年審判所で実際の御苦労をしていらつしやる方々に対しましては、その看板がなくなつたというだけでも随分淋しいじやないかというようなことも考えまして、交々の感じを受けたのでございますけれども、併しどうかして將來を持つております子供連が傷が附かないように、社会の人から後指を指されないような、跡形を残さないような子供を作り出して行かなければならないという意味から言いますと、本当に刑は刑なきを期する。保護は保護なきを期する。私共はもう保護処分を受ける子供もないというところまで行くことを目指して進んでおるのでございまするから、その意味において私は看板の塗替えであつたにしましても、今度の家庭裁判所となることを喜ぶものでございます。
 その点につきまして政府委員にお伺いするのでございますが、今までの家事審判所というのは主に家庭爭議、又は民事の方に関係のある事件を扱つておりましたし、それから少年審判所は刑事政策に立脚しておりますところの保護処分をやつて参りましたので、おのずとそこに方角の違う二つのものが一緒にされまして、そうして今説明を伺いましたところでは本当に混然一体となつて、事件を取扱われるようでございますけれども、その衝に当られる判事はどういうことになるのでございましようか。つまり子供に非常に今まで経驗を持つていらつしやる方を以て当てるということになつておるんでございましようか。それともその反対になつておりますか。又その混然一体となるという御説明は分りますけれども、実際余り方角の違つておりますようにも思うのでありますが、御説明願います。
#8
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。少年審判所の会同などにおきましても段々少年事件を掘下げて処理しようと思うと、しよつちう民事上の家庭上の爭いにぶつかるということを申しておられました。何らかそこに有機的な関係を持ちたいということを申しておられるのでございます。又外國の立法例におきましても、家庭裁判所というふうなフアミリー・コートというものを作りまして、その中において家庭上の問題を処理すると同時に、少年保護のことをいたすという立法例もございまして、理想的な姿として私共は家庭裁判所を考えて作ろうとしておるのでございまして、当初におきましては諸種の関係から理想的な姿にするということは困難であると存じますが、最高裁判所の方々とも十分御協議いたしまして、少年事件につきましては、二十数年心血を注いでやつて來られました少年審判所の方々が、少年保護の事務を担当せられるということになることは、これはそれ以外に方法はないのでございまするから、さようにはるということを確信いたしております。又少年審判所の方々が何か法務廳から最高裁判所に入られまして、十分に重く見られないではないかというふうなことを考えられる向もございまするが、私は社会が現在少年の問題に最、も関心を集めておるのでございまするし、各種の会合等がございまして、やはり家庭裁判所において少年を担当する方々は、社会が要求するに比例する、重要性を認められざるを得ないとうふうに確信いたしております。
#9
○宮城タマヨ君 重ねて伺いますが、例えばこの家庭爭議の事件がございまして、それを調べているうちに、その家庭の内に犯罪少年がおるというようはことが発見された場合には、例えば大変貧乏だから、母親が自分も盗みをしますけれども、子供を使つて盗みをさしておつたというような問題が起つて参りますとか、或いは家が治まらないで、父親が大変子供を虐待するので子供は家に自然に寄り附かなくなつし、その結果浮浪となり、不良となつたというようなものは、つまりここの第三條の第二項に規定するような子供が出たということが、家庭裁判所で、初めて発見されましたようなときに、手続としたら、やはり地方長官の送致を待ち、兒童相談所の送致を待つことになるのでございますか。
#10
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。家庭裁判所におきまして、家事事件の申立てがございまして、調査中に、家の物を持ち出しておるとかいうようなことが大体判つたというような場合が相当多いと存じます。又現在の少年審判所におきまして、一人の掏摸事件を警察から送られて参りまして調べる際に、その仲間が五人、十人あるということは通例でございます。而も今度の刑事訴訟法が非常に人権尊重の見地から嚴格になつて参りますと、單純な臆測では、犯罪として扱うわけには参らないと存じます。從いましてその場合は、家庭裁判所は、現在におきましては少年審判所といたしましては、虞犯少年として扱わざるを得ないことになると存じます。そういたしますると、三條二項の規定によりますると、家庭裁判所では、みずから今まで調べた結果、強い保護の手を與える必要があると考えましても、家庭裁判所としては、如何ともなし難い、一遍兒童相談所に参つてそうして兒童相談所長がこちらの方に同じ意見で送つて來なければ、事件の処理はできないということになるのであります。
#11
○宮城タマヨ君 その点は今、重ねて質問しようと思つておつたのでございますが、一体今迄の兒童福祉法にも、少年法にも「罪を犯した少年」という言葉はございませんが、ここで初めて「罪を犯した少年」という文字が出て來たのでございますが、これはどういうことでございましようか。
 それから今一つ、その罪を犯しました少年が、犯罪事実について証拠がないという事態に直面しましたとき、つまり、今回の刑事訴訟法を改正する法律案の三百十九條の第二項によりますと、どうしても自白だけでは、犯罪が成立しないということになつておりますが、この少年の場合におきましては、その犯罪事実については、少年はただ自白しまして、そうしてこれは「罪を犯した少年」であるということを少年自身も認めましても、それが唯一の証拠でごさいましたときには、「罪を犯した少年」ということにならないということになりますと、そこで一應は放さなければならないのでございますか。放しましてもう一遍、地方長官或いは兒童相談所から送つて來る手続をとるまで、その間の少年は一体どうすればよいのでございますか。その一「罪を犯した少年」ということになりますと、殊に今の時局では非常に数も多うございましようが、質は惡くなつておると思うのでございます。それを新らしく改正されます刑事訴訟法の線に沿つて行きますと、この手続をとる間拘束を解かなければならない、身柄を放さなければならないということになると、治安の維持からいつても、子供の保護という点からいつても、問題になりはしないかということを私は非常に憂えておりますが、その点如何でございますか。
#12
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。この改正法案の條文を御覧頂きますと御理解願えると存じますが、刑事訴訟法中保護事件の性質に反しない限り、所要の部分について準用いたすことにいたしております。今度の新らしく改正せられる刑事訴訟法において、嚴格な條項等がそのまま少年の保護事件に來るかどうかということは、非常にむつかしい問題で、ございまして、一読には刑事訴訟法にいう刑事手続、訴訟手続は、刑罰権の存在範囲等を定めるために作られたものであつて、保護処分には必要でないというふうな説もございます。併し又唯一の自白を以て有罪の認定をしてはならんというのは、憲法の大きな精神でございまして、この精神が、少年の保護事件につきましても、裁判官が犯罪ありというはつきりした心証を得なければならないのでございますから、裁判官としては、唯一の本人の自白だけで犯罪ありと、実際の運用に当りまして断定するかどうかということにつきましては、私はお請合いできないと存じます。私も確信ございません。そういうことは憲法違反であるという説が必ずや出まして、そうして最高裁判所においてそれについて断定をされて、初めて法律的にはつきりしたことになるのではないかと、かように存じております。從いまして実際の運用上におきまして御役例のような場合には、「罪を犯した少年」とはいえないというふうに具体的に裁判所が認定いたしますると、その少年は兒童相談所長から送致を受けていない場合には、審判に付することができませんので、止むを得ず拘束を解かなければならん。そうして兒童相談所長に送致をするというふうなことに相成るかと存じております。
#13
○前之園喜一郎君 家庭裁判所の数ですが、どのくらいお作りになるお見込みであるか、それからどこに作られるか、家庭裁判所の数と場所と、それからこの法律の施行後において大体一年にどのくらいの審判の件数になるお見込みであるか、それを局長に御答弁を願いたいと思います。
 それから丁度総裁もいらつしやるから、この際総裁の御意見を承つておきたいと考えますが、先程宮城委員の御質問によつて、局長から判事の任用に対する御意見を承つたのでありますが、如何に新法律を作りましても、これが運用に当るのにその人を得なければ効果を挙げることはできないわけであります。この家庭裁判所の判事の任用につきましては、やはり一般の判事と同樣な手続によつて、最高裁判所が作成する名簿におつて、内閣が指名するという形になるのだろうと思いますが、そうすると、結局判事の任用ということは、最高裁判所の判断によつて決まるということに形式的においてはなるわけであります。併し実際において家庭裁判所のそれぞれの場所に送つて來られる、その運用に当られるのは法務廳の各機関でありまするりで、判事の任用について單に法規上、最高裁判所の任用に任せるということでなしに、その家庭裁判所の内容においては、やはり法務総裁から相当なる意見の具申もあつて然るべきではないかと考えるものであります。最も適当なる裁判官を得る方法について、法務総裁の御意見を承わつて置きたいと思います。
#14
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。家庭裁判所は、現在では檢事局が起訴すべきは起訴し、残りを少年審判所が審理するというような建前でございましたが、今回は全部少年の刑事事件、それから虞犯少年のある場合においては、全部事件を処理するということになります。而も年齢を十八歳から二十歳という犯罪の多い年齢層にまで引上げますので、相当数が殖えるというように考えております。正確なる数字はいずれ取調べの上お答え申上げたいと存じますが、私の現在記憶しておるところでは、昨年度の統計によりまして、檢事局の警察から受理しました二十歳未満の少年の犯罪事件の数は確か十六万数千件であつたかと記憶いたしております。さような関係で相当事件が多くなりますので、最高裁判所においては、目下本廳としましては、各地方裁判所の所在地に一つずつ四十九廳置き、それから支部としましては二百数十でございます。現在の家事審判所の存しまする所に家庭裁判所の支部を設けようということで、いろいろ御研究立案中のように伺つております。
#15
○國務大臣(鈴木義男君) この最も適当なる裁判官を得る方法につきまして御質問でありまするが、この点は最も大切な問題であると考えるのでありまして、結局は先に齋藤局長からもお答え申上げましたように、少年審判所長或いは審判所の審判官というような人々が轉用されるであろうということは疑いがないところであります。行く行くは是非この少年事件を扱う專門の裁判官を、もつと殖やさなければならないと同時に、家庭裁判所は、いわゆる家庭的な事件を扱うところでありますから、ひとり少年事件の專門家だけでは足りないのであります。はつきりしたそういう部を分けるというようなことが良いか惡いかは問題でありまするが、少くも男女の関係、家事に関する爭い、そういうような方面を担当いたしまする者と、少年事件を担当いたしまする者と、おのずから專門が分れると思うのでありまするが、そのいずれにしても、單なる法律の素養だけでなく、廣く社会的な、一般的な教養を持つた人が裁判官になつて頂かなければならんと考える次第であります。そういう人々をこの方面に招致すべき方法について考慮いたしておるのであります。実は裁判官一般を、もつとその見識を高め、立派な人を得る方法について、只今法務総裁、最高裁判所長官その他と協議をいたしておりまして、大規模な委員会のようなものを拵えまして、そうして新らしい任用の制度について考えてみようというようなことになつておるのであります。それに伴いまして、できるだけ良き裁判官を得る方法を考慮いたしたいと考えております。
#16
○前之園喜一郎君 よく分りましたが、各地方裁判所並びに家事審判所の所在地に置かれるということになりますると、大体判事の数はどのくらいになるお見込でありますか。
#17
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。最初、最高裁判所で十六万というような数を押えまして、それに対する判事一人の処理能力というものを算定されました数字は、相当大きな数字でございまして、併し司法保護事件につきましては、專門の少年保護司というものが、事前に十分取調べをいたしますし、又形式を離れた実質的な審理をいたしまして、延期に延期を重ねるというようなことも考えられません。それから家事審判所と合体することによりまして、お互いに彼此融合をするというような途もあるかと存じます。それで最初四百とか、五百とかいうような数字を考えておられたようでありまするが、実際に当つては、それ程の数は要らないのではないかということは、私だけの考えでございまするがさように推測いたしております。
 尚判事の現在欠員の多い実情から申しまして、この改正法案の第四條におきまして、裁判所法の亀二十七條の特例といたしまして、本法の第二十條の決定、即ち起訴するために檢察官へ移送すると決定した以外の裁判は、判事補が一人でこれを処理することができるというふうな規定を設けまして、運用においてできないということがないように、私共考えて立案いたしてございます。
#18
○委員長(伊藤修君) ちよつとこの際申上げて置きますが連合委員会で、厚生の方も外に委員会を開かなくちやなりませんから、先ず厚生の委員の方に先に発言をお許しすることにいたします。
#19
○山下義信君 少年法と兒童福祉法との関係につきましては、先程厚生委員長がすでにお述べになりましたので、自分としては省略いたしますが、この二大法典の重大なる関係の点につきまして、関係各位に多大の御心配を頂きましたことは、本員の誠に感謝に堪えないところでございます。この両法案の関係につきましては、御承知のごとく、すでに國会の意思が決定いたしてあるのでございまして、それは歴々として速記録に残つておりますることは、申上げるまでもございません。少年法を御提案になりまして、その点常常に私共も心配いたしたのでございますが、正誤表の御配付を受けまして、実に大いに安堵いたしておるのでございます。
 多くは厚生委員といたしまして申上げませんのでございまして、この点先程政府委員の御説明のときに、尚この点に問題があるかのごとき御口吻もあつたようでございますが、この但書のありますることによりまして、両法案の実に各々眞價を発揮することができまして、私共満足に堪えないと思うのでございます。一應こういうふうに兒童福祉法の目的の範囲内、この少年法の目的の範囲内、その間がはつきりいたしましたわけではございますが、併しながらこの少年法の中を拝見いたしますというと、非常に両者の間は密接な関係がありますことは、只今政府の御説明のありました通りでございます、一應兒童相談所長の送致の範囲内が但書によつてございましても、この兒童相談所たるや、少年法によりまして家庭裁判所が自由に御命令に相成ることになつております、且つ又今日全國十二万の民生委員が、今や兒童委員といたしまして、兒童問題のために昼夜研究を重ね、兒童福祉法の実施に向つて準備をいたしておりまするその全國十二万の民生委員即ち兒童委員も、この裁判所側の家庭裁判所で十二分に御命令ができるように相成つておるのでございます。從いまして一應法の建前のその領域は判然と区分は相成つておりまするけれども、この運営の上におきましては両者が混然一体となるように、少年法が御立案相成つておりまする点は、私共亦十分満足いたしておるのでございまするから、この対象のいろいろ法の建前の上におきまして、どうか今後御審議の上にかれこれと御紛議が再燃いたしませんように、政府におかれましても当初の御立案の通り、但書御加入の通りに終始一貫御堅持を相願いたいと存ずるのでございます。
 つきましては私共、少年審判所が、しばしばお繰返し相成りまするように、二十年以上に亙つての多年の御努力、御経驗には大いに敬意を拂うものでございまして、その方々が家庭裁判所の判事諸君におなりになりますることは言うまでもないこと、それだけではございません。厚生省側においていたしておりまするこの兒童相談所長、そういう兒童福祉事業の方面にも、その多年の蘊蓄経驗を活用なさいまして、どんどん御進出の多く相成らんことを切望いたすのでございます。
 そこでこの法案の中を拜見いたしましても、兒童相談所、或いは兒童福祉司、そういうものと密接な関係がある法律になつておりますが、その実際の運用の面におきまして、家庭裁判所側と、或いは兒童相談所、兒童委員そういうものとの間の平素の緊密なる連絡というものは、どういうふうにしてお附けになりまして、運用の完璧をお期しになれます考えでおいでになりますか、この点私は法務総裁に御所見を承つておきたいと存じます。
#20
○國務大臣(鈴木義男君) 誠に適切な御質問でありまして、法律の建前は非常によくできておつても、運用よろしきを得なければ結局画に描いた餅となるわけでございますから、どうか今後はこの少年保護のために厚生省的な任務と、法務廳的な任務、裁判所的な任務が混然一体となつてうまく行くことを希望しておるのであります。そのために御承知でもありましようが、今度少年の犯罪防止及び監護、保護観察等のために、一つの國家最高の中央機関として委員長を作りまして、委員長は内閣総理大臣を以て当てまして、法務総裁を副委員長とし、その他厚生大臣、労働大臣、文部大臣等を委員とし、及び民間の有識者を同数ぐらいつまり五人ぐらい委員になつて頂きまして、そうしてこの委員会がすべてこれらの運用の最高基準を決定する、そうして絶えず指揮命令をして、これらの運用がうまく行くように努力する建前になつておるのであります。その方の立案も近く完成いたしまして、御提案いたす予定であります。非常に力を入れておるのであるということを御了承願いたいと思います。
#21
○中平常太郎君 兒童福祉法におきまする家庭審判所と申しまするのは、即ち少年法を改正される法律案の中に、家庭裁判所となつておりますのと同一なものであるかという問題でありまするが、つまり審判所がなくなつて、家庭裁判所になつたのか、家庭裁判所が審判所の仕事を一緒にするのか、即ち看板が二つ掛かつて行くわけなのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
 それからもう一つは、この兒童福祉法におきましては、もとより全く愛の精神でやつて行くのでありますが、この少年法の改正の法律案におきましても、先程から極めて親切な、愛に基礎を置いたところの御説明がありまして、我々大変喜んでおるのでございますが、今法務総裁のお話になりましたように、最高部におきましては、相当理想的な協議機関もできますのでありますけれども、末端というものは決してさようには参りません。未端は指令によつて動くのでありますが、その文頭の用い方というものが、裁判所という考えと、審判所という考えとは、すでに早や輿論、いわゆる一般の常識から考えまして、極めてその裁判所という文字を嫌うのであります。それはアメリカ式なれば、何も嫌うところはないのでありますけれども、日本の一般の通念といたしましては、審判というたら、まあやさしい裁判というたら、最早何かそこに一つ冷酷な、批判を、裁判を受けるというような形に思われますのでありまして、極めてそこに冷やかな観念が先に生れて來るのでありますが、そういうような関係からいたしまして、この裁判所の行爲は、とかく輿論の注視になつて参ります。
 子供というものは、先般フラナガン神父が言われました通り、実際におきましては、これは惡くなるというのは、悉くこれは環境の然らしむるところでありまして一決して本來惡のあるべきはずがない。その立場から申しますというと、環境を直すということが極めて大切なことに相成りまするが、出て來たところの惡を矯正するというよりも、又環境の方面に力を入れなければならん問題が沢山に今日残されて、おる場合であります。併しながらそれぞれ分業的にかかつておる問題でありますから、この場合といたしましては、どうしても対象者を愛護する以外に仕方がないのでありますが、それにつきましては、本当に環境に支配されておるということが原因をなしておるということに対して、少年の犯罪に対しましては、飽くまでも愛を中心でやつて頂かなければならんが、どうもその末端におきまして、どうしてもそいつがうまく行かない、今度付議されます少年院法案におきましては、これは私は実際におきまして少年院にとかくに問題が起きて來るのでありますから、これにつきましては意見があるのでありますが、この少年法につきましては、私共も今いろいろ御説明になりましたことによりまして、大変当を得ているように思われるのであります。
 併し今申上げました審判所と裁判所の問題だけは差向きここで御説明願います。二つ存在するのかということ、それからしなければ何故に裁判所という名前にしてしまつたが、極めて社会通念の上におきましては冷やかな感じを國民に與える。この意味におきましてどうしても裁判所という文学を使わなければならないという理由につきまして御説明願いたい。これはアメリカかぶれになつておるわけではあるまいと思いますけれども、その辺も一つ御説明願います。
#22
○國務大臣(鈴木義男君) 私から必要なことをお答えして足りないところを政府委員からお答弁申上げます。勿論家庭裁判所に今までの少年審判所も吸収されるわけでありまして、家庭裁判所はその他にいろいろな仕事を持つております。それでこの裁判所という言葉はどうも皆さんがあまりお好きでないので、私共も少年時代に何かこの裁判所といろ所はよくないことをしたときに行く所である、こういう感想を持つておりまして、警察は國民を保護するものであり、非常に大切な役割を勤めるものでありまするが、何か恐ろしいものであるという観念を持つておつたのであります。この二つの誤つた考え方は是非一つ止めなければならんと考えておるのでありまして、一つは名称をなるたけそういうものから避けることも一つのやり方ではありまするけれども、そういたしまするためには、非常にこの裁判所法というようなものを作ることがむずかしくなつて参るのでありまして、第一裁判機関であるか、行政機関であるかということの建前もむずかしく相成りまして、非常に立法上困難を感じまするので、取敢ず家庭裁判所ということにいたしたのでありまするが、アメリカなどの実例を私は親しく見ても参つたのでありまするが、夫婦で喧嘩をすると、とにかくフアミリー・コートへ行つて一つ決めて貰つて來ようと言つて、無料で夫婦喧嘩の仲裁をして呉れる所と心得ているようであります。少年などもやはり隣の少年が自分をいじめた、それで判事の所へ行つて解決して貰つて來ようといつて、少年がいじめた隣の少年を連れで行つて、そうして判事さんに相談をしているというような実情でありまして、本当にいい小父さんの所へ頼みに行き、相談に行くという考えが発達しているのであります。どうか日本でもそういうふうになつて欲しい、これは裁判官その人が、いずれも皆いい小父さんであり、いいお父さんであり、行く行くは女性の判事も出て來ることでありましようが、小母さんであり、母親でありということになります。自然そうなつて、そう裁判所であるからといつて恐ろしい所ではない、刑事事件だけはいつになつても恐ろしい所でありますけれども、その他の事件はそれ程恐ろしがる必要はないのでありまして、日常茶飯事についていろいろ仲裁をして貰つたり、解決をして貰つたり、身の上の相談に乘つて貰う所、こういうふうに一つ向けて参りたい、そこで名称を暫くこういうふうにしても、段々裁判所という所はそういうこともする所である、我々も一つ親しくそういう所へ行こう、こういう氣持に國民を誘導して行くことも亦必要ではないか、かように考えておる次第であります。併し名称を変えるということになりますると、非常にむずかしい立法技術上の問題を生じまするので、名案がありますればこれを採用するに吝かではありませんが、只今のところ非常に困難である、かように考えております。
#23
○中平常太郎君 法務総裁の御説明でよく分りましたが、それでは兒童福祉法における家事審判所ということはなくなるわけですか。吸収されるのですからなくなるわけですね。そうしたらいわゆるあの方の側にあるところの審判所という文字は、家庭裁判所と変るわけですか。どうですか。
#24
○國務大臣(鈴木義男君) さうであります。少年審判所と他の関係法律にありまするのは、家庭裁判所とみなすことになります。
#25
○中平常太郎君 みなすことになるのですか。
#26
○姫井伊介君 私も家事審判所ということがいままで親しみを持つております言葉であり、又それができておつたのでありますから家事審判所がいいのじやないか、意見でありますが、これはこれだけにしておきます。
 先つき中央に最高の委員会を作るというお話でありましたが、地方におきまして、やはり法務、法制並びに自治方面に緊密な連絡協調を保つための委員会をお作りになりますお考えがありますかということが一つ。
 次には子供の犯罪を防止するという方面におきまして、即ち防犯運動を社会的に乃至は実質的にと申しますか、その運動を法務関係におきましてどういうふうに行われますか。それを伺います。
 次には第二十四條のことでありますが、これは十八條並びに二十四條と考え合せまして、第一項第一号に「十四歳に満たない少年」は、若し字句の通りで行きますれば、初めから兒童相談所に持つて行つていいのじやないか。二十四條の條文から考えまして、そういうふうに解釈されるのでありますが、更に第三條に今度新たに加えられました第二項は十八歳ということになりますが、非常に複雜化して來るのでありますが、兒童相談所と緊密な連絡をとるということから考えますならば、これを一貫して十八歳とお決めになります御意思はありませんか、そういうことができない特別の事情がありますか、それをお尋ねいたします。少くとも十八歳には十四歳ということが処理されるのじやないかということを考えるのであります。
 次に同じく第二十四條の第二号であります。その(イ)の「地方少年保護委員会」とありますが、それはどんな構成になつておりますか。尚少年観護所の構成も伺いたいのであります。更に(ロ)(ハ)の関係でありますが、兒童相談所で申すまでもなく鑑別の施設所が置かれているのであります。その方から送られたものは仕方がありませんが、そうでないものは直ちに(ハ)の「教護院又は養護施設に送致すること。」とありますが、やはりこれは兒童相談所から経て來ない者は、やはり一度兒童相談所の万へやることが適当ではないか、そこには申しました鑑別設備も持つておるのでありますが、この辺の関係もお伺いいたします。
 これは文字の点でありますが、次は第五十六條に、「監獄又は監獄内」とありますが、從來そういうふうな文字の使われておつた関係もありましようが、改正をする法律案でありまする以上は、やはりこういうことにも留意しなければならんのではないかと思います。以上お伺いいたします。
#27
○國務大臣(鈴木義男君) 細かい点は政府委員からお答え申上げます。只今御質問の第一の、中央に少年保護のための最高の委員会を置くと共に、地方にそういうものを置くつもりはないかと、もとより全國を網羅いたしまして、段々末端に浸透して行くようにやつて行くつもりでありますから、各地方に置くつもりであります。地方の委員につきましては、只今考えております構想は、家庭裁判所長を成るべく委員長にして、知事、教育、厚生、労働検察、警察及び行政の各関係の方面、それから学識経驗者というような方を御委嘱して委員になつて頂く、こういうつもりでおるのであります。
 それから犯罪の防止という方面につきましては、もとより最も力を入れなければならんと考えておるところでありまして、これは少年と青年とを通じまして、内閣総理大臣を最高の委員長といたしまして、法務総裁、厚生大臣、文部大臣、労働大臣、國家公安委員、それから学識経驗者というような人を御委嘱いたしまして、これ亦最高の中央委員会を作り、又これに準ずる地方の委員会を作りまして、犯罪の防止のために、あらゆる角度から努力をいたすといろ構想を以ておるのであります。それからその他の点は政府委員から御答えいたさせます。
#28
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。二十四條の第一号の「十四歳に満たない少年については、これを兒童相談所に送致する」ということは、他の條文と比較しておかしいじやないかというふうな御質問とも承わつたのでございますが、これは立法の過程中において、十分折衝の余地のない間に入つた條文でございます。速記を止めて頂きたいのですが……
#29
○委員長(伊藤修君) 速記を止めて……
   〔速記中止〕
#30
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて。
#31
○政府委員(齋藤三郎君) 少年の年齢を二十歳から十八歳に下げてはどうかというお考えでございますが……
#32
○姫井伊介君 それはちよつと質問が違います。第二條の第二項の十八歳未満と、それから二十條の十六歳、それから二十四條の十四歳といろいろな関係もありますが、区々になつておりますから、少年の年齢をどうというのではなく、取扱いを一貫したものにされた方が御便宜ではありませんかということであります。
#33
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。三條の二項を十八歳に満たないというようにいたしましたのは、兒童福祉法が十八歳まででございますから、ところが本法の対象は二十歳まででございますので、二十歳以上のものは兒童相談所に参らないものでございます。それは直接にやられるというように、やはり兒童福祉法の年齢と、こちらの年齢が違いますから、止むを得ずギャップが生じますので、そのギャップを埋めるためにかようにいたしたのでございます。
 それから「十六歳に満たない少年の事件については、これを檢察官に送致することはできない。」という二十條の規定は、これを十八歳に上げるということにいたしますると、現在の犯罪の情勢から見まして、十七、八くらいでは、もうその環境によりまして、精神年齢においては、もう成年者と同じような精神年齢に達し、犯しまする犯罪も、どうしても諸般の状況から檢察官を煩わさなければならんという事件もたまにはございまする。これを上げることは如何がと考慮して十六歳にいたした次第でございます。各條文ともそれぞれ関係の点を考慮して、最もよかろうというところに書きましたために、一見すれば不一致の点がございまするが、止むを得ざるものと考えております。
 それから少年観護所の組織でありまするが、これは少年院法にございまする施設でありまして、この組織は、少年院と同樣に、院長、教官、補遺、事務官というようなものから成立つております。
 それから二十四條の二号の(ロ)(ハ)の関係についてお尋ねでございまするが、これも十分御檢討の上適当な御整理を願いたい。その方がよくなるのではないかというふうな考を持つております。
#34
○委員長(伊藤修君) 少年保護委員会と五十六條。二十四條の二号の(イ)ですね、少年保護委員会の組織はどうかということと、五十六條の監獄という文字を使うことは不穏当でないかという、この二つ。
#35
○政府委員(齋藤三郎君) お答え申上げます。これは現在のこの二十四條の二号の(イ)の地方少年保護委員会というのは、先程総裁からも御答弁がございましたが、犯罪者予防更正法という法律を準備いたしまして、その中に、この根拠があり、その組織権限が書いてあるのであります。そしてこれも同時に提案する予定でおりましたところが、関係方面の都合上、現在まで提案ができなかつたという事情によつて、かようなことになつたわけでございます。本法が來年の一月一日を施行期日といたしておりまするので、それまでにこの犯罪予防更正法の御審議を願つて、施行の際には間に合うのではないか、かように考えております。
 五十六條の監獄という文字でございまするが、監獄法において、まだやはり法律上は監獄ということになつておるそうでありまして、止むを得ずかような表現を用いた次第であります。さよう御了承願います。
#36
○草葉隆圓君 この少年法の改正につきましては、多大の御苦心を拂つておいでになる点に対して、敬意を表しまするが、実はいわゆる問題の少年、或いは不良少年、要保護少年と申しておりまする少年の、保護という立場から、從來のいろんな関係で、昨年兒童福祉法を厚生委員会において審議いたしました場合には、相当論点の中心になつたのであります。從つて兒童福祉法と今回の改正少年法との点において、第三條の第二項に今度後で追加されます分が入りませんと殆んが兒童福祉法の問題の少年、不良要保護少年に対する分と、本法の少年保護に対する最初の分との混淆が再び起るのではないか。これは大変この箇條によりまして我々は安心をいたしておりまするが、併しこれにもいろいろ議論があるように今承わつたのでありますけれども、どうぞ司法委員会におかせられましてももう時間がありませんので、兒童福祉法のときに直ぐ問題になりました点等を十分御了承を願いまして、この一項はどうしても置きませんと、折角の兒童福祉法及び少年法との関係が、曾てのような混乱が生じて來ると思いますから、この点司法委員の皆さん方に心よりお願い申上げて置く次第であります。
 同時に私は法務廳総裁にお尋ねをいたしたいと存じまするのは、今度の改正少年法によりますると、年齢が二十歳になりまして、從つていろいろ現在の犯罪の多くの部分は、或いは半数以上はこの年齢層じやないか、いろいろな統計からでましても、最近そう考えまするので、二十歳に延長されましたことは大変結構だと思うのですが、從つてこの少年法によつての中心の眼目は、むしろ先に説明のありました裁判或いは審判というのが中心の方法をとつて行くべきものであつて、その外に政治或いは行政或いは保護というふうなものについては、むしろこれとは全然切離した形において取扱うのが、今後の日本の状態、私もアメリカで少年審判方面は努めて見て廻りましたが、殊に日本の現在の國情から考えまする犯罪その他の点から考えまして、この少年法の眼目中心は、むしろその層のいろいろの問題に対する或いは審判、裁判という事項こういうものに殆んど追われる状態ではないか。だからそれに中心を置いて、あと行政処分或いは行政的取扱い、或いは保護的取扱いというものは、むしろ兒童福祉と一本のような形にして、現在の兒童福祉法が不十分であるならば、それをむしろ改正して、そうして一つの行き方で國家としては行くというのがむしろ妥当ではないか。で、こちらの方にも兒童少年保護司というのがあり、又一方には兒童福祉司というのがあり、或いは兒童委員というのがあり、いろいろ同じような形で、以前と同じような形で残つて來るということは、内容は相当画期的な進歩をいたしておりますが、從來ややともするといわゆる問題の少年に対する限界の相違によつて、不十分な保護が行われておつた、その弊害を取り去るのには不十分ではなかろうか。できますならば、この裁判、審判というのは敢然としてこの少年法によつて取扱つて、そうして國家としましては、むしろ保護なり或いは行政的な立場というものは、それが軽い不良であろうが、相当高度の不良であろうが、どうせ参りまする系統は一本でありまするから、これを厚生省で取扱うとか、或いはこれを任務廳で取扱うとかという、そういう区画をなるべくなくして、法務廳でも結構でありますから、成るべく一本で行く方が正しい方法でなかろうか。このために、二十数年來相当のやはり國内に問題を起しながら、問題の少年の取扱については、いわゆる社会事業と司法保護事業との中に、十分ないろいろなことがあつた例を考えまして、そういうふうに強く考えるのであります。で、根本的な考え方において、取扱い方において、少年法の中心は、日本の敗戰の現状を正しく矯正する意味においての、裁判及び審判というものに中心を置いて、行政及び保護処分というものは兒童福祉法と一本にして、一つの兒童保護という立場における行き方を採つて行く方が正しくないか。その点について、私は本法の改正にそういう観点からいろいろ疑義を持つ次第でございます。この点について法務廳総裁の御意見を承りたいと思います。
#37
○國務大臣(鈴木義男君) 御趣旨御尤もであります。兒童福祉法のときにも申上げましたように、できるだけ少年の保護は、刑罰等を用いず、明るい方面で、國家的に保護をして参りたい、その見地からいえば、厚生保護一本で結構なんであります。ただ実際問題としては、どうも更生保護だけでは持て余すことがしばしばありまするので、そういうものについての処理について考慮して置かなければならないということが、この少年法の補充的に必要になる所以でありまして、そういう考え方において変りはないのであります。併しさてそれでは審判並びに刑罰だけをこちらで取扱えばいいではないかということになりますると、余り狭くなるのでありまして、相手方が生きた人間であり少年でありまして、その事情に應じ、單なる訓戒で濟む場合には訓戒の機関に廻してやる、進んで温かい保護を與えるならば、その方法に廻してやる。嚴格な刑罰的なこと、或いは強制的な保護なり矯正なりを加えなければならんということになりますれば、これは純然たる裁判を俟たなければならない、こういうことになつて來るわけでありまするから、そういうものをまるで切離して扱うというわけに行かないために、彼此混淆を生ずるような形でありまするが、これは実際の運用の上において、互に緊密に連絡をしてやつて行きまするならば、おのずから解決される問題であると考えるのでありまして、他の場合と違いまして、いわゆるセクシヨナリズム的な爭いを生ずるというような性質のものではないのでありますから、是非一つ融和して、調和を保つてやつて頂きたい、そういうふうにこれを指導して参りたい、かように考えておる次第であります。
#38
○中平常太郎君 時間も経過いたしますから、極めて簡單に法務総裁にお伺いしたいのでありますが、第五十六條の「監獄」という文字でありますが、これは只今監獄法が施行されておるから止むを得ないという御説明でありましたが、第一國会において私がこの問題に触れて置いたのでありましたが、現在この「監獄」という文字は一般に使つていないのに、法にのみ残つておる。これは法を改正されて「監獄」という文字を削除する御意思がないかどうか。
 それから我々遺憾に堪えないことは、一つ議院内におきましても衞視という問題がある。この衞視というものは、実は我々議員が置いておる。議員を守るべく、或いは秩序を保たしむべく置いてある。我々の置いておるところの衞視なるものが恩給法によつて警察、監獄職員の中に入れられている。そういうようなジレンマになつておるのでありますが、これは改正されたら適当なものであるに拘わらず、まだ改正にならんのであります。その気持がいかんと思う。それでああいう監獄職員というものは名称をお変えになるという御意思があるかないか、それをお伺いいたしたいと思います。
#39
○國務大臣(鈴木義男君) お答えをいたします。この「監獄」という言葉が適当でないのではないかということは、監獄法改正審議委員会というものが今設けてありまして、私が委員長でありまするが、朝野の有識者を集めてやつておりますが、大いに問題になつておるのでありまして、新らしい法律ではなるたけこの監獄という言葉を使わないようにしたいとは考えておりますが、ただ非常に適当な言葉が見当りませんので、又余りこの監獄という所が非常によい所である、万人の行きたい所である。というような考えを持たせるような和やかな言葉でもどうか、多少はやはり人の嫌がる所であるということも実態がそうなんであります、又そこに効果があるのでありますから、そこでまあ一つ適当な言葉を考えようということになつておるのであります。でありまするから、只今はつきりとどういう言葉に変えるということは申しかねますが、変えても余りその気持のいい、懷しい言葉に直すということには行かないと思います。
 それからこの議院内の衞視が監獄の職員の一人になつておるということは只今初めて、承知いたしたのでありますが、(笑声)恐らくこれは恩給その他の関係上どつかの職員になつていないとうまく行かなかつたのでそうなつているだろうと思いますが、これは非常に間違いなので、苟くも最高機関であり立法府でありますから、先ず率先して議会でお直しになりまして、これは議会の職員として、そうして当然恩給にもなりその途で立身出世もできる。これは自治体警察の場合にも、もうここの世界から外へ行けないから出世は止りだ、面白くない、こういうので警察官の前途が塞がれたというふうに歎いておる人が多いのであります。私はこれは非常に誤解だと思いますが、この誤解を解くことはなかなか、むずかしいでございましよう。それと同じように、そういつたような意味で、なんか廣い管轄の中の職員になつておるということを非常に喜ぶ傾向があるのであります。併しそれとは別問題で、いわゆる立身出世というようなことは、どういう方法ででも図つてやることができるのでありますから、これは決して監獄の職員にして置く必要はないのであります。急速に立法して改められることをこちらから希望いたします。
#40
○委員長(伊藤修君) 簡單に願います。
#41
○中平常太郎君 只今法務総裁から今初めて衞視が監獄職員になつているということについてお気が附かれたようでありますから、それでまあ結構でありますが、どうか我々が監獄官吏に守られておるような形にならないように、我々が作つて我々が置いたところの衞視である、勿論國会職員である、その意味におきまして、監獄法によれる者がそこへ立つて我々を監視して奉るという形は極めて不快でありますから、近く成るべく早くこれは一つ職員の安定するよう、名称その他監獄職員の中に入つていないように希望いたします。
 それから又監獄については、多少嫌がる言葉の方がよいというお話がありましたが、全國ですでに刑務所という名前になつております。そんなに嫌うような名前も変つておる状況でありますから、法のみ監獄という文字を残すような、これも成るべく早く名称をお変えになることを希望いたします。
#42
○塚本重藏君 簡單にお尋ねいたします。二十四條の第一項の中に、「地方少年保護委員会の観察に付する」ことになつております。こういう制度を委員会のごときものを設けて講じなければならない事情がそこにあるかどうか。こういう場合におきましては、地方にありまするところの兒童福祉委員会、或いは兒童委員にこれを掛けることができないか、これが一つ。それから(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)とありますが、少年院のこの取扱いを厚生行政の上に移すことはできないかどうか。先に法務総裁のお話のように相当重いものについては、刑罰的な取扱をしなければならんというお話がありましたけれども、教護院と分けまして、少年院というものを作ることは結構でありまするけれども、その取扱いにつきましては、これを厚生行政に任してもいいのではないか。多少の手心はそこに加えることにいたしまして、必ずしもこれを法務行政の下に置かなければならんという理由はないと考えられるのでありますが、この二点についてお伺いいたします。
#43
○政府委員(齋藤三郎君) 犯罪者予防更生法の構想について申上げて、この委員会の性格として狙つておることを申上げたいと存じます。今日まで日本におきましては、犯罪を犯し、刑罰の、言渡しを受けた者を満期まで入れて置くことを常態にいたしておつたのであります、併しながらこれに関して仮釈放という制度を大いに活用いたしまして、本人の成績によりまして仮釈放を十分に活用いたしまして、その仮釈放の期間中この者に対して十分の保護観察を加えまして、そうしてその人間が万が一不当の情状がある、そうし、保護観察員の指導監督に從わないという場合には、取消権を與えまして、その期間を無事に終らせることにいたしますると、再犯の率が非常に少くなるということは諸外國の例等もありまして左樣なパトロールの制度を日本で考えたらどうかということがこの犯罪者予防更生法の骨子であります。從いまして從来のただ社会政策的の見地とは大分違つた、又角度のものであるか、ように考えておる次第であります。
 それから少年院の所管を如何にするかという問題でございますが、これも主として犯罪を犯した者の処遇でありまして、一般の健康なるものをますます健康にし、犯罪を犯さないようにする、不良なる状態に置かないとするのが社会政策的な見地であり、一旦惡い色に染まつて間違つた者を治療して直すというここが、矯正政策的な面だとすれば、やはり法務廳のその途の專門家の者が担当した方が妥当ではないか、かように考えます。
#44
○塚本重藏君 まだ少し申したいこともありますけれども、我々の聽きたいところも亦、後で司法委員各位において、司法委員会におきまして十分に審議をなされることであろうと考えまして、その方に信頼して御一任することにいたしまして、この程度において連合委員会の審議を打切りたいと思います。
   〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(伊藤修君) それでは星野さんの質問が一つありますから、簡單にちよつと打切る前に……
#46
○星野芳樹君 少年法が少年を保護するものであり、過重な刑罰などが免れるというのは非常にいいのですが、一面少年が監督されると思うのであります。それが行過ぎた場合には、少年の正常なる発達を害する点が生れやしないかと恐れるのであります。具体的に言えば、第三條の、「次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。」という項で、一は、これは大人でも裁判に付せられるわけでありますが、二は、大人にはこの場合何でもないのが、少年であるが故に裁判に付せられる、而も「保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。」「正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。」これと今回この法を十八歳から二十歳まで引上げて適用すると非常に行過ぎになる点がありはしないかと考えるのですが、その点を一つ法務総裁に伺いたいのであります。つまりこれで行きますと、親の思想に服しない思想的な問題が十八歳以上に起つて來る、これが十八歳以上で親の思想に服しているというのでは、却つて將來仕事ができないくらいともいえるので、これが弊害がないのか。更に(ハ)という項では「犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し」これも非常に明瞭を欠くのですし、更に「いかがわしい場所」、これは誠に明瞭を欠くのですが、法務総裁は「いかがわしい場所」というのは、具体的にどういうものを考えておられるか、それを伺いたい。
#47
○国務大臣(鈴木義男君) 御尤ものお尋ねであります。これは抽象的に読みますると如何ようにでも解釈ができる規定でありますけれども、「その性格又は環境に照して、將來、罪を犯す虞のある少年」と、こういうふうに制限が附いているのでありますから、ただ「監督に服しない」、「いかがわしい場所に出入りする」とかというだけで、この審判に付しようというようなものではないのであります。それだけのことをいうのには余程事情があるものと見なければならん。只今までは「罪を犯す虞」というようなことがなくても、皆親が審判所へ連れて來て何とかして頂きたい、親の手には余りましたという者が多かつたのであります。今度はそれだけでは審判所も受付けはしない。更に「罪を犯す虞のある」ことが客観的に立証されなければならないということになるのでありますから、可成りこれは制限されるのであります。実際今日行われておりまする犯罪は、多く先づ二十歳を周辺として、その辺の者が一番多いのでありまして、これらの人々が淨化されますならば日本の犯罪というものは激減すると申して差支ないのであります。それがどういう動機から來るかというと、いかがわしい場所に出入するために金が欲しい。その「いかがわしい場所」というのは実に樣々でありまして、カフエーもあれば、喫茶店もあれば、飲食店もあれば、淫賣屋のようなところもあるのです。普通からいえば正しいようなところでも少年にとつてはそれが惡いところに変るのであります。そういう欲望を満したいだけのために窃盗を働き、掻拂いをやり、掏摸を働き、恐喝をするということになる。そこでどうしてもそれらの事情がありますれば……。それからそういうことを好んで教える人がいるのであります。これは「不道徳な人と交際し、」というのはそれを意味するのでありますが、手先に使つてやるというようなものが少くないのでありましてそういうふうかいろいろな場合、すべて罪を犯す虞ありということは、現に一度か二度犯さなければ認定しないのでありますから、すでに犯していることを仮定してよろしいと申して差支ない。そういう意味で、先ずこの辺ならばそう濫用される虞れはなかろうというところで規定したつもりなんであります。
#48
○星野芳樹君 いかがわしい場所の具体的な御説明がありましたが、それならもつとはつきりと、風紀を壞廢するとか何か限定することができないでありましようか。このままだと、どうも労働組合の本部に入るのもいかがわしいというように解される、濫用される虞れが十分あるように思うのであります。
#49
○国務大臣(鈴木義男君) それはあまりにも杞憂に属することだと考えております。要するに犯罪の原因になるような、欲望を挑発するようなところをいかがわしいと言うのでありますから、労働組合の事務所がそういうところであるということが客観的に立証されない限り、そこまで申すことはちよつと行き過ぎだと思います。
#50
○小杉イ子君 只今法務総裁は二十歳までの者がいかがわしいところに行くこの機会をなくするならば、犯罪の大半はなくなると申されました。それ程に二十までに多いのでございましようか。統計が出ているのでございましようか。
#51
○国務大臣(鈴木義男君) 二十歳近くの犯罪者が多い、例えば犯罪が百あるとすれば五十は二十歳近くの人の犯したものです。
#52
○委員長(伊藤修君) では只今の塚本厚生委員長の動議の通り決することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(伊藤修君) それでは動議の通り決しまして、連合委員会はこれを以て解くことにいたします。ではこれを以て散会いたします。
   午後零時三十七分散会
 出席者は左の通り。
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
           岡部  常君
   委員
           大野 幸一君
          大野木秀次郎君
           遠山 丙市君
          前之園喜一郎君
           宮城タマヨ君
           星野 芳樹君
           西田 天香君
  厚生委員
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
   委員
           中平常太郎君
           三木 治朗君
          池田宇右衞門君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           小杉 イ子君
           姫井 伊介君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
  國務大臣
   國 務 大 臣 鈴木 義男君
  政府委員
   法務廳事務官
   (少年矯正局
   長)      齋藤 三郎君
ソース: 国立国会図書館
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