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1947/06/22 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 文教・治安及び地方制度連合委員会 第1号
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1947/06/22 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 文教・治安及び地方制度連合委員会 第1号

#1
第002回国会 文教・治安及び地方制度連合委員会 第1号
昭和二十三年六月二十二日(火曜日)
  ―――――――――――――
 委員氏名
  文教委員
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           岩間 正男君
           梅津 錦一君
           小泉 秀吉君
           柏木 庫治君
           河崎 ナツ君
           藤井 新一君
           若木 勝藏君
           左藤 義詮君
           安達 良助君
           高良 とみ君
           安部  定君
           梅原 眞隆君
           鈴木 憲一君
           堀越 儀郎君
           藤田 芳雄君
           小野 光洋君
           中山 壽彦君
           木内キヤウ君
           仲子  隆君
           岩本 月洲君
           河野 正夫君
           中川 以良君
           矢野 酉雄君
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中井 光次君
           青山 正一君
           鈴木 直人君
           羽生 三七君
           村尾 重雄君
           大隅 憲二君
           黒川 武雄君
           鬼丸 義齊君
           岡元 義人君
           柏木 庫治君
           阿竹齋次郎君
           岡田喜久治君
           草葉 隆圓君
           奧 主一郎君
           岡本 愛祐君
           小野  哲君
           駒井 藤平君
           濱田 寅藏君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○教育委員会法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
   午前十時四十五分開会
   〔田中耕太郎君委員長席に著く〕
#2
○委員長(田中耕太郎君) 只今から文教及び治安及び地方制度連合委員会を開会いたします。議題は教育委員会法案でありまして、この法案は文教委員会に付託されておりますが、併し地方制度と非常に密設なる関係を持つておりまするし、ために治安及び地方制度委員会の方々の御意見等も十分伺いまして、文教委員会といたしましては愼重に審議いたしたいと存じます。吉川治安及び地方制度委員長と御協議の上、今日の連合委員会を開くことをお願いしたのでございます。文教委員会といたしましては、前回に提案理由の説明を文部大臣から伺い、又一般的の説明を政府委員からいたのでございます。今日は各條の質疑に入ります夫第でございます。それにつきましては治安及び地方制度委員会の方の御意見を十分伺わして頂きたいと思うのでございます。ところで審議の方法でございますが、大分長い法案で、全体百條近くありまして、どういうふうにいたしますか。若し御異議ありませんければ、章節に分れております。章とそれから節に分れておりますところは、節を切りまして、一括して朗読いたしまして、そうしてその章なり、その節につきまして審議をいたすことにいたしたいと存じます。
#3
○岩間正男君 その章節に入ります前に、やはりこの法案の概括的な点につきまして、二、三点質問して輪郭を明らかにしなければならないのじやないかと思うような点がありますので、その点からお入りを願いたいと思います。
#4
○委員長(田中耕太郎君) 若し各章節に関係のない概括的の御質疑がございましたら、初めにそれをお願いいたします。
#5
○岩間正男君 最初に本法案につきまして概括的な質疑をいたしたいと思います。
 先ず第一に、本法案そのものは、第一條に謳つてありますように、教育の眞の民主化、地方の実情に即した、そして国民大衆の本当の希望を元とした教育の今後の運用を策するという面におきましては、この趣旨には我々も大いに賛成なのであります。ただ実情との睨合せにおきまして、どうしても次のような諸点について政府の意向を質さなければならないと思います。それと言いますのは、日本の教育の実情を見ますときに、今まで教育のいろいろな改革がなされて来たのでありますが、それらの改革の実際の様子、運行の状態を見ますと、どうも原則論と現状論の間に幾多食違いが起つておるのではないかという点が考えられるのでおります。つまり原則的には非常に望ましいというような制度並びに法案でありましても、これが日本の敗戰後の創痍が十分瘉えない、財政的な確立がなされていない、そうして又民主化が十分に行われない、こういうような日本の現状において、果してその原則論がそのままに、今日そのまま適用されて、所期の目的を達することができるかどうかということを考えますときに、相当疑問があり、実際の問題として困難が起つておる面を我々は指摘することができるのであります。例えば六・三制の問題でありますが、この六・三制そのものの制度は、原則におきましては我々も大いに賛成するところなんであります。併しながらこれが施行されました樣子を見ますというと、それを裏付けるところの財政の確立というものが殆んどなされていなかつたということ、更にそれを坂上げるところの國民大衆の教育に対する民主的な理解、その理解によつて醸成されるところの基盤というもりが確立されていなかつた、そのことのために、御承知のように今日この六三制におきまして非常な混乱が起つておる。又教育の不安がそこに醸成されまして、單に教育問題を薄れて、もう社会問題だというような大きな問題にまでなつておる実情を見ておるのであります。言わばこめ六・三制そのものの実際に適用をされ、それが取運ばれたやり方において、やはり今日冷静に考えて見るときに、そこに幾多の批判の余地が存在し得る、こういうような反省を持ちますときに、同じような教育民主化、日本の教育の民主化を全面的に成し遂げるために、非常な重要な連関を持ちますところの、基本的なこの法案をここに我我が審議いたしますときに、同じような懸念が考えられるのであります。再びあの六・三制におけるところの混乱を繰返したくない、つまり先程申しました原則論と現状論、これをどのように一致させるか、ここに重要な我々の関心が拂われなければ、この法案そのものは、甚だ現状から離れたところの理想案になるに過ぎないという点が思われるのであります。こういう点から考えまして、私の一番懸念されますところは、本法案が実施されるそのことに上つて、その裏付としての地方財政の確立が今日なされておるかどうか、この点が一番重要な我々の関心事でなければならんと思うのであります。この委員会法案の今までの過程を眺めますときに、最初たびたびその間に我々が内示を受けましたところの法案の姿よりは、大分そういうような現状に対するところの顧慮が拂われておることを、我々は見受けておるのであります。例えば一万以上の市町村における場合並びに特別教育区の場合においては、これをこの委員の選挙を二年間延ばす、そうして今後の運営を俟つて、二年後においてこれを行うというような一つの措置をなされておるのでありますが、こういうような方向については、これは非常に当局も苦心され、そうしてその御努力がこのような形で現われたことに対して、私は賛意を表したいのであります。併しながら尚この法案の適用されますところの市町村、その市の中にも小さい場合におきましては三万、五万というような市があるのであります。このような市におきましては、その実情がこの法案の適用を受けますときに、どのような形になつて、その地方財政との裏付においてそこに問題が発生して來るか、こういうことに対する十分な審議が、本法案の審議を進めて行く上に非常に重要になつて來ると思うのであります。そこで私はこれは当局に質したいのでありますが、今申しましたような三万、五万、十万というような市におきまして、この法案が適用されるときの財政的な姿付はどのようになつておるか、これを当局に質しますと同時に、尚又地方制度委員会の委員の方々にも、この点についてどのような見解を持つておられるか、これが我々が今日合同委員会を開催いたしまして、この法案を審議される一番の中心眼目じやないかと思うのでございますから、この点について十分に我々としても意見をお伺いいたしたい、こういうふうに思うのであります。財政のことにつきましては、そのようなことで打切りますが、更に人的構成の問題でございます。やはり現状におきまして、この委員会法案がこのまま適用されるということになりますというと、果してこの法案の望んでいるような委員会が直ちに構成されるか、現在の日本の国民の教育のレベルにおきまして、この委員会法案の趣旨に本当に適應するような人がそのまま選ばれるかどうか、これを原則的に適用することによつて、実に幾多のそこに混乱と不安が発生する慮れがあるのじやないかということが考えられるのであります。ということは、この委員会はこの法案のような構成をやつて行きますと、つまり現職の教員を除きまして一般市民の中から、そういうような教育に関心を持ち、教育に理解を持つというような人を挙げ、量も適当な委員会を構成するために選挙が行われるのでありますが、併し現在のこの情勢におきましては、ともすると地方の権力者、それからもつと極端に言いますならば、ボス的な存在の人、そういうような人達が選挙に名を籍りて、それらの委員会の中に相当入つて來るというようなことが考えられる、その人達が將來この委員会の実際の権力を握つてしまう。そうしてその委員会の権能から見ますときに、ここに財政権、更に教員の任免権、人事、こういうようなものまで左右するということになりますると、これは日本の現在の段階におきまして、この運営が十分にうまくやられない場合におきましては、非常な不安が起ることが考えられるのであります。曾て学務委員会というものがありまして、その当時の日本の教育の実情を見ますときに、この学務委員、会の権能が余りに過大であつて、そうして教員の身分というものが確立されていないで、地方財政にその生活権を仰ぐ面が非常に多かつたために、この学務委員会によつて殆んど町村の教育行政は支配された、これらの一部の権力者のために神聖なるところの教育の運営というものはいろいろな不当な圧迫を受け、その権限の下に隷属しなければならなかつたというような形があつたのでありますが、このような同じ形が、姿こそこれは選挙という形を坂つておりますけれども、又再び発生する心配が果してないかどうかということを考えますときに、この点についてこの法案の審議に当りまして、今から十分の措置が考えられなくちやならない。こういう点につきまして文部省はどのような考慮を拂われ、そうしてこれに対してどういうような、法案の上におきましても、亦その他の点におきましても、用意がなされておるかということが伺いたいのであります。又同じような連関からしまして、現職教員の被選挙権というものが、この法案によつて認められていないのであります。現在の教育行政におきましては、やはり最も教育に対するところの深い関心を持ち、又日本教育の再建のために熱意と努力を傾けておるのは、現職の教員じやないかというふうに考えられるのであります。こういう点からいたしまして、何故に現段階において、現職教員にこの被選挙権が與えられなかつたか、こういう点についてもその意図するところを伺いたいと思うのであります。更にこれは五大都市の場合に発生して來る問題でありますけれども、この法案をこの主まで適用いたしますというと、ここに府縣と、それから市というような関係におきまして、そこに大きな都市におきましては二重監督の状態というものが発生する形になつて來るのであります。これは東京都なんかの過去の教育行政を考えますときに、我々もそのような経験をしたのでありますけれども、東京都において一つの監督をする。それが又東京市において、市の時代でありますが、市において監督する。教員の例えば任免なんかの場合には、その辞令を発するまでに二重の手続がかかつて、そこに非常に教育行政の面に遅滞と混乱とが生れておつた事実を見るのであります。こういう点を考えまして、今日五大都市の間におきましては、府縣と同じような権限におきまして、この東京と大阪、神戸、それから横浜、名古屋、この五大都市においては、そのようなものを府縣と同じような権限において、独立した委員会として設けることができないかというような請願が起つておるのでありますが、これに対する当局の見解はどのようなものであるかということについても、又伺いたいと思うのでありますが、更に又東京の場合なんでありますが、東京の区は特別区として、特別な扱いを受けるような仕組みになつておるのでありますが、これが東京だけの特例の問題でありますが、これを設けたところの根拠と、それからこれと東京都の教育委員会と、更にそこに連関して考えられますところの、財政と人事権との問題、こういうものを特に東京の場合設けなければならなかつたというようなことについて伺いたいと思うのであります。大体総括的なこと並びにそれに連関します問題について、以上の点をお伺いいたしたいと思います。
#6
○國務大臣(森戸辰男君) 岩間委員の御質問にお答えいたします。御趣意のように、本委員会法の目指すところは教育の民主化、殊に地方分権を目指しまして、地方の人々の教育意思が政治の上に、殊に教育行政の上に十分に反映することを目標といたしておりますので、これについては民主主義の國家の國民としては誰人も異議ないところと思うのであります。ただこの法案は、かような目標を持つと共に、現状に即して行くということも非常に必要でありまして、現駅を非常に離れますと、御指摘のように、これが実行に当つていろいろな問題を生ずることは誠にその通りであります。六・三制につきましてもいろいろ困難を惹起しておるのであります。ただこれは混乱と不安、或いは教育の崩壊というような言葉で現わすのはやや不適当でありまして、日本國民がいろいろな悪条件の間に闘いながら教育を完成しておる姿であると私は考えておるのであります。かような悪條件での、苦しみながら教育への努力が現わされておる姿であると考えておるのでありますが、いずれにしろ立派な理想も、現状を非常に離れては多くの困難を持ち來たすにとは申すまでもないのであります。教育委員会法におきましても、その点は特に私共関心を拂いまして、原案を作るに当りいろいろと考慮を拂い、又関係方面とも交渉をして参つたのでありますが、かような見地から個々の問題を御質問になつたのでありますが、いづれも重要な点でるのであります。
 第一の点は、地方財政との関連の問題でありまして、教育委員会は勿論地方の教育行政の問題でありまして、本來の建前は、地方がその費用を負担するということであります。併しながら地方の財政は御承知のような事情でありまするので、地方に財政の負担を掛けるということは必ずしも望ましいことではなく、よい制度もそれがためにいろいろな障害にぶつかるということも考え得るのであります。この委員会の創設運営につきましての費用でありますが、もう一つは、選挙ということになりますれば、選挙の費用が要るのであります。それから又この委員会を設けるにつきましては、教育長その他に携わります事務的の人々の研修養成というような問題もありまして、本省における費用も必要とするのでありますが、只今の問題は地方の費用であります。地方の費用は選挙に関するものと、この委員会ができて、そうしてこれを運営する費用でございます。で都道府縣並びに市におきましては、教育に関係の部局があり、課がありますので、そこには相当に教育の専門的な事務に携わつておる人もあるのであります。差当りはそういう人々がそこに横辷りをされるということになりますから、新たに全部教育長の下における事務所を設けて、それがために費用が全部必要であるというわけではありません。併しこれについては幾分の費用が要る。尚委員につきましては俸給は拂いませんけれども、手当を出すということになりますと、これにも費用が要るのであります。地方において或る程度の費用が要るということは止むを得んのであります。これにつきましては地方財政との関係がありますので、ただ地方のみの負担にそれを覆い被せることは、事情甚だむつかしいものがありますので、中央からの分與その他の方法でこれを助けて行くという方向に事務的な交渉が進められておるのであります。詳しいことば事務当局から後刻お答えいたすことにいたします。
 第二の点は、人的構成の問題でありまして、果してこの委員を公選した場合、期待したような委員が選ばれるかどうかということであります。これは日本の國民の民主主義の成熟度によることと思うのであります。私共は子供の教育ということは大事であつて、自分の子供の教育に対することを掌つて貰う委員を選ぶということは、銘々が本氣でやるであろうから、適当な人が選ばれるに違いないこと、こういうような考え方に立つておるのであります。諸国における教育委員会も、大体そういう前提に立つているのであります。私共は日本の民主主義が、殊に大事な子供の教育については、地方民は非常な関心を持つて、それに適した委員を選ぶであろうということを期待いたしておるのが本案の趣意であります。只今御説の中に、これでは一部のいわゆる教育ボスというようなものが選ばれるということがありはしないか。又岩間委員から御指摘はありませんけれども、又他の人からいうと、一部の特殊の政治的な勢力が、この選挙を利用して出て來るという心配はありはしないか。こういうようないろいろな心配も諸方から申出られているのであります。教育が不当な勢力の支配に属せないという目標から言いますと、これらはいずれにいたしましても望ましいことではないのであります。民主主義の建前から言いますならば、これは選挙民の正しい政治意識によつて解決せらるべきものと私共は考えているのであります。尚こういう不安からごの委員会に対するいろいろな要求、修正の翼諸等がありますが、その中にはこういう危験を伴うから、或いは公安委員のような方法によつて、当分この委員を選んではどうかという意見も出ておりますし、又或いは候補者を適当な推薦母体を定めて、それで倍数或いは三倍の候補者を推薦して、それを公選に附する方がいいではないか、こういうような修正の考え方、これは教育刷新委員会の案であります。そういうような修正よりは、そういう案が提案されたこともあるのであります。併し私共は選挙民の政治的良識に信頼いたしまして、公選によつて適当な人が選ばれるであろうということを前提といたしておるのでございます。尚その際現職の教員、その価に選挙権が與えられておらないのでありますが、これについては、なぜそうなつておるのであるかという御質問でありましたが、これはこの委員は、大体何と申しますか、素人と言一ますか、特殊の教育に関連を持たない人々、そういう割合に限られた、そういう形の人々の方が、却て公正に問題を取扱い得るのではなかろうかという見地に立ちまして、そういう特殊の教育についての専門の知識は、教育廳の下にある教育廳の事務関係に集めまして、それうの教育的な專門知識を参考としながら、むしろ教育專門家でない委員が、公正な立場から教育の行政の方針を定めて行く、こういうことが妥当である、こういう建前に立つたのであります。
 それから次に、東京都の特別区並びに五大都市の問題を御指摘になつたのでありますが、法案におきましては、都道府属に教育委員会を置き、そうして市に、差当り本年は人口三万以上でありますが、それに地方教育委員会を置くということになるのであります。そこで小さい市ではいろいろ経済的にも十分でないところがあるから、こういうところにおいてはどうであるか、又これに反して五大都市は特殊の地位を占めるから、別に扱うようにしたらどうかという意見でありますけれども、東京都は都としてすでに認められておるのでありますが、その他の都市におきましてはいろいろな事情もあつたのでありますけれども、併しこれは今日の段階では、他の市と同様な地位に置いたのであります。東京都につきましては各区というものが、例えば人口三十万というような大きな区もありますので、これにつきまして特別区を設けることが適当であるという考え方から、これにつきましては東京都一本にすることなく、各区に委員会を設けることにいたしまして、特別区につきましては委員会が持つております自主性を持つことになつておるのであります。簡単でありますが、以上お答え申上げます。
#7
○草葉隆圓君 いろいろの條項についての直接の問題は、その條章の場合に譲りまして、全体として二つの点について一應文部大臣の御意見を伺つて置きたいと思います。この教育委員会法は、ここにもありますように、公正な民意によつて地方の実情に即して教育行政をやるという意味においては、一方から考えますと、確かに進歩した教育行政の一つの画期的な措置であろうと存じますが、同時に又一方から考えますと、従來知事が持つておりました教育に関する権限を全部委員会の方に移して、而もその委員会は全然財政的なものを何も持たず、而もその委員会に移された教育の内容たるや、極く廣汎な意味の教育というもの、いわゆる社会教育という、もうあらゆる教育的なものまで含んで行く、一方において知事は財源は持つておる、財政的な権限は持つておるけれども、その手からは激育というものを全然取られてしまつた、取られるというと悪い言葉かも知れませんが、離れてしまつた。そうして教育委員会というものと知事というものとが全然独立した形においてなされて行く、片方は権限は持つておるが、財政的なものは何も持つてない、片方は教育に対する権限は持つておるが、財政的なものは持つてない。條文の中には、それに対するいろいろなことが書いてありますが、全体としての行き方で、これでうまく行くかどうか、將來委員会に対して、教育に関する特別な財源というようなものを独立しておやりになるという前提の下に、当分こういうようにしておやりになるかどうか、いわゆる知事の権限の中に、地方財政の中に教育も含めて、そうして教育費というものは従來の通りにおやりになつて、ただ権限の執行だけを委員会というものでおやりになるというのか、実際上の問題になるというと、相当いろいろな問題が具体的に起つて來そうな氣がいたしまする具体的な條文が沢山あるわけであります。全体としてり考え方の上において、これに対してどういうお考えと御方針でお進みになるかというのが、一つ。
 もう一つは、委員会という一つの制度を或いは縣、或いは市町村、特別区というものも含めて、そうして或る期間にこれをずつと作つてしまう、全國に一つの教育委員会の行政区というものが大体でき上る、でき上つた暁においては、この委員会の行政区というもりが何か一つの教育的な独立した仕事をする。仕事と申しましても沢山するわけでございますが、直接に或いはその行政区を中心にした、何か画期的な教育制度をお布きになるという前堤で、これをおやりになつておるかうかという点でございます。或いはそこに大学を作るとか、高等学校を作るとかいうような一つの前提の下に、そういうものの含みを持つて、そういう制度というもりを完成させようという意味であるか、ただ現在の教育というものを徹底させるというだけで、この教育委員会というものをずつと網を張るというのであるか、そういう点について、この二点について一應承わりたいと思います。
#8
○國務大臣(森戸辰男君) いずれも非常に重大な問題に触れておるのでありますが、第一点は、教育委員会と一般行政の関係でございます。教育委員会は地方における教育の行政を掌どることになる、その限りにおきまして、一般行政から教育行政が独立するということになつたのであります。この点につきましては、こういう形が地方自治でうまく行くであろうかという御懸念りあるのは尤もなことであると存じます。筒独立するといいましても、完全な独立ではないので、御指摘になりましたように、権限においては独立するけれども、財政の面においては、一應予算を立てることにおいては独立性を持つておりますけれども、その決定は結局市会、区会等に俟たなければなりませんので、それに結局は依存するということになるのであります。尤も教育委員会には、縣会、市会から選ばれた一人の委員が加わつておりまするので、これによろ連絡がありまするから、そう唐突な衝突にはならんかとも存じますけれども、そういう可能性も全然存在しないとは言えないのであります。例えばアメリカにおける教育委員会は、教育税その他の独自の財源を持つておりますので、いわゆる行政上の権限に対して財政的な裏付けを持つておりますので、勿論それと雖も一般行政といろいろな問題が起らないとは申されませんけれども、矛盾が少いのでありますけれども、このような形でありますと、そういうような問題が起るということも全然ないことにはならないと思うのであります。こういう意味では、教育委員会は教育行政に対する一定の財源を持つということが、教育行政が独自のものであるということを押進めますれば、そういうことに行かないと完全なものにはならんのではないかと存じますけれども、今日の日本の財政の状況並びに財政上の方針から、かような特別の財源を持つということは許されないのであります。そこで教育委員会は、この点で行政上の権限は持つけれども、財政については独立税を完全には持たない。一應予算は立てるけれども、結局においては市、縣、その他の議会の決定に從わなければならんということになつておるのであります。それでありますから、若し委員会と縣会その他がいろいろな利害関係で対立するということになりますと、いろいろな問題が起つて來ることも考え得るのでありますが、私共としては教育という大事な問題であるので、一般行政の面でもこれらのことについても十分な関心を携われ、他面教育委員会におきましても、又縣、市の財政ということについても盲目であつてはならず、全体的な考慮において案を練られる。そういう良識が二つのものにあるということが、私は民主政治の要望するところでありますので、問題は起るかも知れませんが、いろいろな問題の後にも協調的な結果が得られるであろうということを期待いたしておるのであります。
 第二の点は、教育委員会が諸方にできました末、これが一つの特殊の、御質問の意味がやや私に了解し兼ねるのですが、特殊の教育制度になつて行くかということでありますか。
#9
○草葉隆圓君 そうして或いは高等学校なんかを、教育委員会の行政区に一つずつ作るようなことでもやつて行くという一つの前提かということ。
#10
○國務大臣(森戸辰男君) これは大体一番問題となりますのは、大学と私立学校であります。私共はこの教育委員会法案ができますと同時に、私立学校に対する法案も作り、又大学に対する扱いも決めるようにしたいと思つて、さような努力をいたしたのでありますが、遺憾ながらこれはできませんでした。大学については名立大学も含めて委員会法の適用は受けないのであります。私立学校につきましては、從來府縣知事の管轄にあり、法令で定められる範囲におきましては、教育委員会の下におかれるのでありますけれども、併し科立学校につきましては、他の公立学校と特殊の状況にもありますので、これにふさわしい立法をいたすように急いでおるのであります。尚大学の問題はそれといたしまして、高等学校の問題が、或いは御質問の中に含められておると思うのでありますが、これにつきましては、高等学校は、その所在の或いは市町村、その他の委員会の所轄に属せしむべきであるというような考え方もあるように傳えられたのでありますけれども、この法案においては、さようなことは規定いたしておらないのでありまして、新制の高等学校、即ち旧制の中等学校につきましては、ただその市とか、区にあつたものは、偶然その地にあつたので、縣全体或いは都全体の建前からできたのでありまして、従つてそこにあつたら、その所のものがそれを管理するということは無理がありまするので、そういう形は取らんのであります。むしろ協定して、その所とその縣が、その委員会に移していいということであれば、その限りでありませんけれども、併しそうでない場合には、元通りの状態に置くと、うようなことになつておるのてあります。
#11
○委員長(田中耕太郎君) ちよつと御了解を得たいのでありますが、速記の件で、今日の委員会には委員部の方の割り振りで以て速記が付かないことになつていたそうでありまして、それをこちらで司法委員会の方に無理に都合つけて貰つて書いておるような次第でありまして、委員部の方ではこの委員会の審議は初めからすでに二回付けておるので、今日は司法の方で、書いておるのを返して呉れということでありますので、從つて甚だ遺憾でありますが、手不足で止むを得ない、さつきから盛んに催促を受けております。この点御了解を願います。それでは速記を止めて……。
   午前十一時三十三分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時二十五分速記開始
#12
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて……。それでは連合委員会はこれにて散会いたします。
   午後零時二十六分散会
 出席者は左の通り。
  文教委員
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           岩間 正男君
   委員
           河崎 ナツ君
           小泉 秀吉君
           若木 勝藏君
           小野 光洋君
           木内キヤウ君
           高良 とみ君
           仲子  隆君
           岩本 月洲君
           河野 正夫君
           鈴木 憲一君
           堀越 儀郎君
           矢野 酉雄言
           藤田 芳雄君
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中井 光次君
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           草葉 隆圓君
           岡本 愛祐君
           柏木 庫治君
  國務大臣
   文 部 大 臣 森戸 辰男君
ソース: 国立国会図書館
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