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1955/04/17 第24回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第024回国会 運輸委員会 第26号
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1955/04/17 第24回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第024回国会 運輸委員会 第26号

#1
第024回国会 運輸委員会 第26号
昭和三十一年四月十七日(火曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 松山 義雄君
   理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君
   理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君
   理事 中居英太郎君
      有田 喜一君    伊藤 郷一君
      岡崎 英城君    佐伯 宗義君
      關谷 勝利君    中嶋 太郎君
      堀内 一雄君    眞鍋 儀十君
      井岡 大治君    下平 正一君
      楯 兼次郎君    山口丈太郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 吉野 信次君
 出席政府委員
        自治政務次官  早川  崇君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 原  純夫君
        運輸事務官
        (海運局長)  粟澤 一男君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  山下 正雄君
        運輸事務官
        (鉄道監督局長)權田 良彦君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       十河 信二君
        専  門  員 志鎌 一三君
    ―――――――――――――
四月十三日
 万関水道のしゅんせつ促進に関する陳情書(長
 崎県町村議会議長会長浦口淳一)(第五六三
 号)
 国鉄貨物運賃の特別割引に関する陳情書(北海道
 知事田中敏文)(第六〇九号)
 氷見、羽咋間の鉄道敷設促進に関する陳情書外
 一件(石川県羽咋郡志雄町議会議長前田昌雄外
 一名)(第六一〇号)
 後免、牟岐間の鉄道敷設促進に関する陳情書(
 高知県議会議長山中伝)(第六一一号)
 四国循環鉄道東部及び西部線の敷設促進に関す
 る陳情書(高知県町村議会議長会長筒井元正)
 (第六一二号)
 山川枕崎線及び隼人古江線の鉄道敷設促進に関
 する陳情書(鹿児島県町村議会議長会長高野季
 信)(第六一三号)
 東北本線の電化第一期工事区間延長に関する陳
 情書(栃木県議会議長稲川時)(第六三六号)
 道路運送法の一部改正に関する陳情書(静岡市
 鷹匠町二丁目十八番地静岡県貨物自動車協会長
 大滝長吉)(第六三九号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国鉄の経営及び海運会社の復配等に関する件
     ―――――――――――――
#2
○松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。
 最初に陸運、海運について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。山口丈太郎君。
 なお続いて、理事会の申し合せによりまして、直ちに日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の質疑を行うことになっておりますので、質疑はなるべく簡潔にお願いをいたします。
#3
○山口(丈)委員 私は先日の質問に引き続いて、簡単に御質問をいたしたいと思います。
 最近の新聞紙上に、国鉄の運賃値上げは妥当である、こういうような運輸大臣の談話が報道せられました。ところが当初運輸大臣は、運賃値上げは本年度は行わないという言明をせられておりました。運輸大臣は、心境が変ったとすれば、今申しましたような運賃の値上げは妥当である、従って本年度は運賃値上げをやるという含みを持たれているのではないか、こういうふうに考えるわけですが、それでは運輸大臣の心境というものは一貫性がないと私は思う。いわゆる朝令暮改的な態度といわざるを得ないのですけれども、それについて運輸大臣はどういうふうに考えられておるか、これが質問のまず第一点であります。
 第二点は、私は先日も質問をいたしましたように、実はこの国鉄公社に対して納付金という固定資産税が課せられておる。あるいはまた新しく軽油税等も設けられて、交通機関に対しては非常な重税が課せられる。こういう両面からいたしますと、政治的に運賃値上げに追い込まれざるを得ないような措置がとられておる。従って運輸大臣の言われる、運賃を値上げすることは妥当である、こういうところへ結びつくのではないかというふうに考えるわけですが、これに対してはどういうお考えでありますか。この二点を質問いたします。
#4
○吉野国務大臣 私の考えは少しも変っていないのですが、私がたびたびいろいろな機会に申し上げましたのは、公社としての今の国鉄の経営の現状から見て、それは経営調査会等の報告にもある通り、ある程度の運賃の値上げをするのはやむを得ないのだ、しかし運賃というものはそういう採算だけの関係ではなく、いろいろな複雑な要素があって、世間には、理屈にかかわらず、採算がどうあろうとも、とにかく上げるのはまっぴらだという心理的の意見もあるし、また政府として今度の予算を編成するときには、低物価というものを堅持するという建前もございましたので、採算の点からいえば上げるのが順当だと思うのですけれども、とにかくそういういろいろな配慮をいたした上で、三十一年度の予算の編成に当ってはこれを考慮しなかったということで、その考えはちっとも変っておらないのであります。しかしそれならこのままいつまでも現状に放置していいかというと、それは適当でないと私は思う。つまり今のような現状で、あれだけの工事費をつぎ込むのですから、これを運賃収入によって回収せざれば、インフレの要因になることは経済の原則からいって当然のことです。それですから適当な時期に適当な方法で、また適当な程度で運賃値上げというものは考慮しなければならぬものだと考えておりますけれども、それらにつきまして今のような点もございまするし、また方法についても、御承知の通りに今は運賃をいじるということは法律事項になっておりまして、国会できめなければならぬという建前にもなっておりまして、そういったようないろいろな観点がございますので、この際は考えないということであります。従って固定資産税に見合う納付金の問題につきましても、それだけの負担は国鉄に新しくかかるわけでありますけれども、これも現状から見れば国鉄に対しては一つの負担でありますが、民間の鉄道にはすでにこれを課しておるわけでありまして、公社というものの自主独立の関係からいえば、やはり固定資産税に見合うようなものは、かけるのはやむを得ない、こう思っております。そうでないとそれだけのものを、つまり結局地方財政にそれだけの穴があれば、国税でもってこれをまかなわなければならぬというような結果にもなりますから、やはり国鉄を利用する人に負担してもらう、こういう意味でそれに同意をしたわけであります。しかしそれだからというて、その程度のものを直ちに運賃の値上りにはね返らせるとは私は考えておりませんので、平年度におきましても七十億見当の負担でありますから、国鉄の今の現状から申しますと、他の方面において合理化その他の方法で経費を節約して、その程度のことは、そのことのためにことさらに運賃を値上げするほどの必要はない、こう考えております。
 それから軽油税その他につきまして、これはおもにバスの方の関係でございますが、これも負担になりますけれども、結局私がこれに同意いたしましたのも、目的税でやはり道路というものの改善改良の方に占められるものでありますから、終局においてはやはりバス業のために利益になる、こういう見解でその地方財政全体の立て直しの建前からこれに賛成をしたわけであります。
#5
○山口(丈)委員 どうも私は、今の答弁懇切ではありますけれども、理論的にやはり一貫しない矛盾があると思うのです。というのは、今日やはり政府は依然として低物価政策をとっていく、そうしてその線で物価の安定をはかっていく。その基礎として、重要なコストを占める運賃については、やはり低運賃の方針を踏襲していく、こういうことでないと論理が一定しない。今大臣のお答えでは、公社経営の実態から見れば運賃値上げはやむを得ない、妥当性をお認めになっている。しからば運賃値上げというものが俎上に上るとすれば、ただそれを見るに当って、心理的影響から社会は反対するのだと、単にそれを心理的影響に結びつけられておる。なるほどインフレの要因、経済の変動というものは、物的及び心理的な両面から起って参りますことは、これは私も認めます。けれどもその運賃値上げという事実を、ただ大臣は心理的観察においてこれを見られるということは、これは私はあまりにも軽率であると思う。単に運賃が今まで十円のものが十二円になり、二円の負担をよけいしなければならぬという心理的な影響から大臣は反対するだけのものではない。やはりこれは深刻な経済事情に影響を与える、ここに私は反対の根拠があると思う。ですから政府の一貫した低運賃、低物価主義、それに基きまする経済安定というものの一貫性がない、こういうことが私は言えると思うのです。
 さらに今の御答弁によりますと、地方財政の赤字を補てんする。これは公社に納付金という課税をしなければ、地方財政の赤字を国家が補てんしなければならぬ。どこからか補てんしなければならないのであるからして、これはやはり公社にそれを出させて、その公社か払う犠牲は一部利用者に負担を転嫁するのもやむを得ない、こうおっしゃる。私はその考え方は全く無責任だと思う。少くとも地方財政の赤字は、この間私が質問を申し上げたように、今日行われている地方財政の制度そのものが国情に合わない。いわゆるシャウプ勧告というものが出て、それに盲従して何ら改善を加えようとしないところに、政府の重大な責任がある。そこから地方財政の赤字というものが生まれておると思う。昔はそういう赤字はなかったのです。シャウプ勧告が出たとたんに赤字が累積されてきた。ですからここに地方財政の根本的な改革を行うべき責任が国にあるのであって、この交通機関を利用する大衆が、何で地方財政の赤字を埋め合わす責任を負うのか。それだけの犠牲をなぜ払うのかわからない。その交通機関を利用する大衆が、あるいは貨物輸送などを行うその需要者が、当然その赤字を負担しなければならないというお考えであるならば、大臣ははっきりその理由を明らかにしてもらいたいのです。そうでないと私たちは承知ができないのですが、どうですか。
#6
○吉野国務大臣 お尋ねの前段につきましては、私の説明が少し足りなかったのかもしれませんが、私の言う心理的という言葉の中には、多分に経済上のことも入っておるのです。と申すことは、今の国鉄というものの経営についてむだがある。特に国鉄一家とかなんとかいって、やり方にむだがある。そういう経費を節約する面、あるいは簡単にいえば合理化というものの面があるわけでありますから、そこで運賃の値上げを取り扱うときには、やはり国鉄側にも合理化面において徹底して改善した実績を示さなければならぬと思う。それを示さずして、直ちに運賃値上げということは大衆の支持を得られないだろう。そういう意味においての心理的ということを申し上げたのであって、そういうようなことも今の時期において、まずもって値上げがやむを得ないといたしましても、とにかく国鉄というものの今までの経営の上において、経費を節約する余地がないか、あるいはさらに収入を増す余地がないかということについて、できるだけの努力をしなければならぬ。今せっかくそういうことを指示して、国鉄ではそういう方面のことを今努力しておるところでございます。
 それから後段の納付金の問題につきましては、お話はだいぶ地方財政というものの根本論についてのお話でございまして、あるいはそれも一つの論として傾聴すべきものだと思うのであります。ただ現在においては、それも必要だとは思いますけれども、根本の論はともかくとして、現在非常な赤字を持って地方財政は困っておるのですから、それをいかに処置するかという問題のときに、何も国鉄だけがその全般を負担しなければならぬという理屈はないのですけれども、ただ今の民間の鉄道というものについても、営業用に属する財産については、やはり固定資産税というものを課しておるのですから、それとのつり合いを見て、国鉄というものの自主採算の建前からいえば、今の経営の段階では非常に赤字で苦しんでおりますけれども、長きにわたって考えるときには、私はその程度の負担はした方がよろしい、こういう考えであれを同意したわけであります。
#7
○山口(丈)委員 私納得ができないのは、地方財政が赤字だから、大臣はこれについて国鉄の納付金制度を認めざるを得ない、こうおっしゃる。それでは大臣は国鉄の赤字は御存じないのですか、それをちょっとお伺いしたい。
#8
○吉野国務大臣 いろいろ計算の方法はありますけれども、国鉄は大体赤字経営といってよろしいだろうと思います。
#9
○山口(丈)委員 しからば大臣は国鉄の経営を赤字にするか黒字にするかは、ただ決算書の数字の書き方によってなる、こういうようなお考えですか。それでは実質上国鉄は赤字は持っておらぬ、こういう工合にお考えですか。地方財政が赤字を持っておるのと同じように、今まで私どもは、口を開けば国鉄は赤字である、であるから従業員の待遇も改善できないのだ、こういうようなことでたびたび騒ぎを起しております。それを突き進めていけば、都合のいいときは黒字だと言うし、都合の悪いときは赤字だと言うし、勝手気ままなことが言えると思うのです。そんな無責任なものではないと私は思うのですが、どうでしょうか。
#10
○吉野国務大臣 私もそういう無責任なことを考えておるわけではないのであります。ただ私が言うまでもなく固定資産税というものの評価いかんという問題もあるわけであります。私いつかも申し上げましたけれども、今の三十一年度の国鉄の予算は、決して格好のいいものとは私も実は考えていないのであります。考えていないけれども、いろいろなそういった合理化の途上にあって、十分にメスを入れ切れない問題もございますので、一応のつじつまはあれで合っているわけであります。しかし、私少し正直に申し上げ過ぎるかもしれませんが、固定資産税の問題をもう少し理屈に合うようにするということになれば、金が足りない、こういうことであります。
#11
○山口(丈)委員 これは根本問題で、とにかく大臣の答弁は一貫性がないと思う。これは無理じいされておるのですから、その無理をしいられておるものをば合理化して答弁なさるのですから、私は大臣の心境はよくわかる。昔は私企業の私鉄でも、たしか戦前は予算において全国に対して七十万程度の補助金が出ていた。そのかわりにその利益の配当においても、一割以上の配当をしてはいけないというので、制限が加えられておったのです。そうしてその公共性が保持されておったわけです。しかるに終戦後にシャウプ勧告に基いて、これらの公益性のある事業に対しても全部課税しろということになった。そこで十九回国会以来この運輸委員会では超党派的に、直接運輸に使用する資産については固定資産税を課さないように、事業税は、外形標準課税というきわめて悪質なといいますか、不合理な課税であるから、これについてはいわゆる所得課税に変えるようにという決議が、再三、再四なされておるのです。それをちっとも実行しようとしない。これは一面からいうと政府は国会の意思を無視しておるものだ、こういうふうにしか私どもはとれないのです。何ゆえにこういう決議がなされるかといえば、この委員会の全部がそういう公共性を認めるからであります。それを少しも実行に移そうとしない。しないどころか本年になりますと、今申し上げたように国有の財産を公社が委託されて経営しているのですが、それに固定資産税をかける。これは国の財産に国が税金をかけておるのだ、しかもその国鉄が赤字でないかといえばそうではないので、ことごとくこれは赤字だといっておる。その国鉄の内容を合理化し、経費を節減するということは、これはもうたびたびこの委員会においても勧告をし、論議せられてきたところなんです。ですからそんなものは今さら大臣が申されるまでもないことです。それになお大臣がそういうことを言われるというのは、その再三にわたるところの運輸委員会の国鉄当局への勧告というものを、国鉄当局が無視しておることになる。いまだにそういうことがなされていないとすれば、これまた国鉄当局は、権威ある国家の議決機関を無視しておることになる。そうでしょう。今さらそんなことは弁解の余地のないことです。
 そこで私は、自治庁の方がお見えになりましたので一つ質問をいたしますが、自治庁は、地方財政の赤字を埋め合わすため、ただ取りよいものから税金を取り上げられておるが、今日の労働者の源泉課税と、いわゆる一般の自由業者の税金とは、はなはだしく不均衡です。一方は自分の任意申告制をとっており、一方は人権も何もあったものじゃない、強制的に頭から源泉徴収でぽかぽかと税金を取る。しかもその一番取りよいものは国が取り上げて、取りにくいものは地方にまかせて勝手なことをやっておる。そこでこの国鉄の固定資産税なるものですが、国の財産に国が税金をかけて、それだけの赤字が地方に出るというならば、当然国家が予算をもってこれを行うべきものであって、公社には何らの責任もないのです。今大臣の言われるのでは、公社に責任がないから、従ってその負担分は当然利用者大衆にしわ寄せして、運賃値上げをせざるを得ない妥当性をお認めになるというようなことは、はなはだしく得手勝手な言い分であるし、行政上から申しても全くもって無責任きわまるものだと私は思うのですが、こういうような軽油税であるとか、あるいは国鉄に対する固定資産税であるとか、こういうようなおよそ公共性を無視し、それに逆行するような政策を自治庁はどういう見解でおとりになったのか、その経緯について御説明願いたいと思います。
#12
○早川政府委員 お答えいたします。三公社に課税をいたしました経緯は、これは実はシャウプ税制使節団以来の懸案問題でございまして、いやしくもコーポレーションとして一つの独立採算制という形で事業をやっている以上は、公共的なものであろうとも、たとえばアメリカにおきましてはコーポレーションとして公社に固定資産税を課税しており、英国においても御承知のように国有鉄道は自治体に税金を納めておるというような関係がございまして、とにかくその市町村にそれだけの資産があることによって、市町村がいろいろな経費を負担しなければならない。消防施設あるいは道路施設というような施設に応益した納付金または固定資産税を納めるということが、税の本質からいって認められるものでありまして、そういうような観点から、このたび固定資産税相当の納付金をお願いすることになったのであります。もちろん地方財政が非常な赤字でなければ、あえてそういうお願いをしなくてもよいのでありますけれども、御承知のように地方財政の赤字はもう頂点に達しております。政府といたしましても、今年度の予算においては地方財政をまず立て直すということが政策の根本であります。そういうような付随的な要請をもあわせまして、このたび三公社に納付金をお願いする、こういうことになったのでございます。
#13
○山口(丈)委員 地方財政が赤字の頂点にある。しからば現在の交通機関も、崩壊の一歩手前にある。これは同じことなんです。そこで今の早川政務次官の論理でいけば、少くとも固定資産税の性格において三公社からそういう納付金を取り上げるということは、納付金ということがごまかしなんで、これははっきりいえば固定資産税です。私はその経緯を知っているのです。そんな固定資産税などにしてみろ、そんなものは承知しないと、私はこの予算が提出される前に、運輸省に行って、大いに言っておいた。そうしたら名称が二回、三回と変って、ついに納付金ということに変ったのです。その経過をちゃんと知っているのです。僕が言うように国の資産を公社に出資して、公社はそれによって営業しているのですから、その営業するということはすなわち事業ですから、従ってその事業面について課税するということならば、これはまだわかるかもしれない。それならば、公社自身にかける。ところが固定資産にかけるということは、理屈に合わないじゃないのですか。国の財産に国が税金をかけているでしょう。しかもその責任だけを公社に負わせているのでしょう。そんな無責任なことがありますか。地方財政が赤字だから、これを救うためだとあなたが言われるならば、国鉄も赤字で困っているのですよ。しかもこれは日本の交通運輸の動脈として、公共性がある、公共性があるといって責任をおっかぶせているのでしょう。そうしておいて、その公共性を無視するように、国が委託しておるその財産に税金をかけて平然としているという理屈はないのですよ。どうですか。
#14
○早川政府委員 国の資産に国が税金をかけるという御議論でございますが、御承知のように、このたびは自治体と国との関係でございまして、国鉄に固定資産税を所在市町村に納付させないで、お説のように予算で別にとればよいではないか、こういう御議論もむろんあると思いますが、税理論から申しまして、少くとも国有林野におきましても、御承知のように納付金をいただいておるのでございますし、その他国の資産におきましても、それがあることによっていろいろな施設をしなければならない、そういうところには応益的課税というのは税理論にあるのでございます。特に国鉄の場合には、経営その他を勘案いたしまして、御承知のように私鉄の場合に比べまして本年度は四分の一、平年度は二分の一と、特に考慮を払ったのでございまして、もしさらに事業税も私鉄と同じようにかける、所得税も、というならば別でありますが、その施設があることによって生ずる自治体の負担に対して、応分の納付金を納めてもらうということは、税の理論から申しましても、現実の要請から申しましても、各国でやっていることでございまして、別に御批判に当るまい、かように考えております。
#15
○山口(丈)委員 それは全く詭弁ですよ。いろいろの施設をしなければならないとおっしゃる。それならば私鉄だって、国鉄だって、その鉄道が敷かれることによって、その沿線はどれだけの利益を受けているのですか。その利益があるということが確認されるからこそ、公共性ということをあなた方は言っているのでしょう。しかるに早川さんの論法でいけば、その公共性はいつの間にか消えてしまっているじゃないですか。私鉄だって国鉄だって、その鉄道がその地方に利益をもたらす、すなわちその地方産業の開発であるとか、あるいはその鉄道沿線の経済的発展であるとかに、非常な貢献をしているのです。そのようにしてその地方は恩恵を受けておるのに、その恩恵を与えておる公共性を有する交通機関を目のかたきのようにして、赤字で悩むものから税金を取り上げるということは、これは矛盾もはなはだしいではありませんか。しかもあなたの税体系理論というものは、今日の税体系理論からいけば全ゼロですよ。そんなお考えでおられるなら、一ぺん地方に出てきてごらんなさい。それがほんとうに交通機関の使命に対する政府の持つ政策であるかどうか。もう一度はっきりしてもらいたい。
#16
○早川政府委員 あなたは公経済と私経済を取り違えておるのではありませんか。たとえば今度電電公社の施設に納付金をかけるというのはおかしいじゃないか。ところが電話は全部無料じゃないのです。鉄道も無料で乗るのじゃない。してみればここに工場が許された、それによって地方が非常に繁栄する、ところがその工場については御承知のように固定資産税がかかっておる。私鉄におきましても、その私鉄によって地方が非常に潤う。にもかかわらず国鉄よりも四倍の固定資産税がかかるわけでございまして、われわれといたしましても、市町村の自治体自体が、それによっていろいろの土地が占領されて、いろいろな費用がかかるということから生ずる一つの税金でありまして、むろん国鉄のみならず、工場全般にわたりまして、その地方に非常に利益を与えたから税金をかけるのはおかしいじゃないかという御議論は、電話について逓信委員会の問題となりましたのと同じ御議論でありまして、対価を取っておる、電話料あるいは運賃を取っておる私経済と、自治体というものの公けの経済を、少し混同した御議論じゃないか、私はかように思いますので、その点は御了解願いたいと思います。
#17
○山口(丈)委員 えらいところに逃げようとせられますけれども、私は決して逃がさない。あなたは公経済と私経済というものを混同しておられると言われる、私はこれくらい侮辱されたものはないと思っておるのです。そんな話はありません。公経済においても、私経済においても、その利益を受けておることについては何ら変りはないのです。むしろ交通機関、たとえば山間僻地に鉄道ができて、そのために大きな都市が形成せられたとすれば、公経済はそれによって潤っておるのです。そうして潤いの部分をもちろんその民生安定に使い、あるいはその発展の度合に応じて諸施設を拡充していくことは当然の話ではありませんか、そうでしょう。鉄道ができたから、私鉄なら私鉄が敷かれたから、そこに都市が形成せられて発展したのでしょう。それによって公経済というものは潤っておるのです。にもかかわらずその欠くべからざる交通機関に対して、取りよいから税金を取るということは、これが果して合理的なんですか。そんな公経済論なんてありますか。私は各種の経済学者にも聞いてみたけれども、早川政務次官のような経済論はいまだかつて聞いたことはない。そんな経済論を持っておるのですか。あなたは文学的な人だと聞いておるのですが、なっていないじゃありませんか。
#18
○早川政府委員 大へんおしかりを受けましたが、私は論争しようというつもりは毛頭ございません。御承知のように、地方財政が非常に赤字でなければ、しいて国鉄に四十数億というお願いをいたすつもりはないのでありますが、しかしお願いするにいたしましても、ある程度税法上の根拠がなければ私は課税はできまいと思う。しからばその根拠は何かということでお話を申し上げますれば、それは所在の自治体にそういう施設があることによって、たとえば国有林野もそうでしょう、あるいは電話局もそうでしょう、ほかの民間の企業、あるいは最近は公営住宅すら、その市町村にいろいろの利益を与えているが、その施設があることによって火事のときには消防もかけつける。消防の費用は市町村で維持しなければならぬ、学校の施設もまたふやさなければならぬ。いろいろなそういう公経済のものは自治体が負担しなければならないわけでありますから、所在公共施設に対しましても、対価を取って運賃なり電話料を払っているところにはお願いしたい。ただ税務署なり、あるいはその他行政官庁なりというものは、これはむろん固定資産税を払えという議論もございますが、その場合には利潤で潤うといった対価関係が個人経済のようにないものですから、それは世界各国においても税金は取ってない、こういうことになっている。ちょうど中間的なコーポレーションにおいてはそういう考え方でお願いする、こうなっているわけでありまして、しかも私企業の四分の一程度のものだというので、このたび特に運輸省その他の御了解を得まして、納付金をお願いする、こういうことになったのでございます。従ってこの納付金を納める根拠は、むろん地方財政がより逼迫しているということも有力な理由になっていることを御了承願いたいと思います。
#19
○山口(丈)委員 私は何もあなたと論争するという考えはないけれども、あなたの経済論は実に驚き入った経済論で、これはあなただけにしか通用しませんよ。それほど言われるのなら私は言うが、本年度新設せられた軽油税、これでも本年度キロリットル当り六千円の課税を新設するという。ところがキロリットル当り六千円の根拠は、一車当りの単位においても、著しくわれわれの計算とは違うのです。これは社会党の山口が言っているのではないのですよ。運輸委員全部が寄って計算したところと違う。それで本年度は四千円くらいにまでは引き下げても、決して予算には穴があかないということは、だれもが言っているのですよ。しかるにそれを修正しない。ここで私が変に思いますことは、あなたはそれだけ大きなことを言われるなら、私は言いますけれども、この税を修正するという議論がほとんどきまりかけた。ところが驚くことには、料飲店の公給領収証と引きかえになったということを聞くのだ。あなたはそれだけ大きな経済論を振り回されるなら、料理屋の公給領収証も廃止して、そして脱税を奨励して、あるいはそれを減税することが、この交通機関の公共性にまさる公共性を持っているとあなた方は考えていられるのですか。それで自治体の負担は救われると考えておられるのですか。どうなんです。私は不可解千万だ。
#20
○松山委員長 山口さんに申し上げますが、公職選挙法で政務次官を呼びにきておりますから、簡潔にお願いいたします。
#21
○早川政府委員 公給領収証を政府が廃止するということに賛成した覚えはございません。これは御承知のように、従来通りやるわけであります。これを引きかえに国鉄公社の納付金を考えたということは、事実に当らないと思います。
#22
○山口(丈)委員 私はそういうことで逃げられるにきまっていると思っていた。そんなことは恥かしくて言えやしませんよ。けれども実質的にはそうなんだ。あなたが何と抗弁されようと私は確認がちゃんとあるのですよ。人でもあげることができる。そんな無責任きわまることはなし。聞いておきますけれども、自治庁としては、今までの運輸委員会がたびたび決議をした、私企業と公共企業を問わず、少くとも直接――全部とは言いません、直接運輸に必要な施設に対する固定資産税の排除、並びに今日交通機関にかけられている、特に私鉄等にかけられている外形標準課税という最も悪い税金の体系を早急に直していかなければならぬ。そうしてやはり名実ともに交通機関の公共性を守れるようにしてやることが行政上必要である。ところが今地方財政が赤字の頂点に達していると言われるが、それならば中小企業である私鉄はほとんど赤字の頂点に達しているのですよ。八千円の給与ベースで三ヵ月も四ヵ月も給与を支払えないものがある。毎日々々何とかしてくれといって私のところに来ている。そんな企業は地方の公共性のために、鉄道線路をめくることもできないし、一日運行をとめることもできない。そうして交渉しているのです。これらの現実を考えれば、そういうようないわゆる矛盾した税制を直ちに変えるべき必要がある。これについて将来どういうふうに考えているか、一つ言明を願いたい。早急にこれらについて合理的に税制を改正する必要があるのだが、見解を次官からはっきりしておいていただきたい。
#23
○早川政府委員 私鉄の外形標準課税を所得課税に改めろという御意見は、地方税法改正に当りまして衆議院におきまして附帯決議になっているわけでありまして、われわれといたしましても国、地方を通ずる税制の根本改革が本年度の末に持たれる。そのときに所得課税に直すか、外形標準にして課税標準税率を下げるか、いずれにいたしましても院議の御趣旨に沿って再検討いたしたい、かように考えておりますから御了承願いたい。
#24
○山口(丈)委員 あとでちょっと楯委員から関連質問があるそうです。
 それからもう一つ聞いておきますが、軽油税ですね。これについても先ほど申したように、その課税の基礎はきわめてあいまいですよ。のみならず私はああいうような基礎をもって税を新設する。少くとも新しく税を課する場合には、その課税対象となる対象が、名実ともに納得するような基礎の上に立たないと、新しく税金を取り立てることは不見識だと思うのですよ。国家がきめたことだからというので、いやおうなしに、人の財物を差し押えしてでもやはり税金を納めろという義務を課すのですから、もっとしっかりした根拠がなくちゃならぬ。たとえば一車当りの基礎計算にしても一一・五だと言う。あるいは私どもからいえば一〇・五でもいける。しかも政府の言う本年度の税収分は確実に取れる。そうすれば私の方では四千円でも政府の言う予算額は必ず穴をあけずにできるというちゃんと計算がある。しかるに六千円でこれだけだと言われる。それはどうも納得がいかぬのです。だからこのような税を新設する場合には、その納税義務者が納得のいく説明ができるように、多くの委員の意見も聞いてこれを修正なさるということは当然のことだと思う。そこに民主政治の根源があると私は思っている。何もいたずらに政府の原案を絶対に修正させないという態度はあり得ない。政府の子算に支障がなければ、そのワク内においては当然修正せられても何もかまわないと思うのです。しかるにそれを固執されておるのです。そうしてとうとう附帯決議とかなんとかでごまかして通した。ごまかすという言葉は悪いかもしれませんけれども、はっきり言ってごまかしたのだ。なぜかといえば、その課税の基礎においてもうすでに食い違いがあるということは、これは明らかにごまかしなんです。これをあなたはこの国会においても、あるいは次の来たるべき国会においても、そういう不合理性が発見されておるのですから、その不合理性をなくするために努力し、かつそれを合理化するために修正をするという御意思があるか、あるいは修正に応ずるという態度をお持ち合せであるかどうか、一つ承わりたいのです。
#25
○早川政府委員 今の点も同じく衆議院の附帯決議になっております。百万キロリッターという五ヵ年計画の軽油の消費量を上回って、百二十万キロリッターなり百三十万キロになりましたときには再検討いたしたい、かように考えておるわけであります。
 なおほかの委員会に呼ばれておりますので、主管課長を残しておきますから、こまかい数字は説明員の方から説明させます。
#26
○山口(丈)委員 ちょっと次官、待って下さい。私は自治庁に来てもらうために一週間待っているのです。よろしいですか。そしてあなたは時間を急がれるから、私は――これは大蔵省と並行して尋ねたいことなんだ。何回も同じことを言わなければならない。けれども私は時間を急がれるから、あなたに質問を集中しているのですよ。一週間も待って、ここで三十分や四十分でもう立っていくなんということはあまりにも――そういうような考えだから、こういう交通機関の公共性などを無視しているのですよ。これはもっと深刻に考えなければならぬ問題なんだ。私はそう思っているのです。一体自治庁というものは自分の主管だけをまかなえば、あとはだれが迷惑してもよろしい、こういうことなんですか、どうなんですか。そんな無責任なことでは私はいけないと思うのです。ただ自分の所管だから、人が迷惑をしようがしまいがかまわない。軽油税を新設するわ、ガソリン税も取るわ、自動車の検査料も上げるわ、国鉄の固定資産税は取るわ、ただ取って、そうしてつじつまを合せておけばそれでいい、そんな無責任なことはないと思うのです。真剣に考えてもらいたい。それによしんばあなたの所管の委員会にも呼ばれておるかもしれぬけれども、しかし何もそうそうなにせぬでも、たまたま一ぺん来たものを、そうそうあわてて出て行かぬでもいいじゃないですか。
 そこで私の言いたいのは、積極的に、この事業税でも外形標準課税でおいてもいいが、今言われたように、税率を下げるなりして、実質的に交通機関の問題を考えておられるとすれば――これは当然のことだと思いますけれども、これを考えておられるとすれば、自治庁は根本的な交通機関に対する税制の改正についてはどういうお考えですか。次期国会にでもその片りんを提出していこうという考えでありますかどうか。
#27
○早川政府委員 むろん自治庁が自分のところだけ考えて、ほかの方をほうっておくという考えはないのでありまして、政府の基本方針が地方財政の再建ということでございましたので、相当の無理は覚悟の上で、運輸当局、逓信当局、その他一般国民にも税の面で御配慮を願ったわけでありまして、その点は誤解のないように願いたいと思います。
 なお軽油六千円が高い低いということは、むろん低いとは考えておりません。ただ諸外国のガソリンに対して大体二分の一という例もありますし、その他原油、ディーゼルの原価計算その他詳しい資料がございますが、あの程度でやってはという線はやはり根拠があるのでありまして、しかし百万キロよりもさらに百十万、二十万という軽油消費が実際に出ますれば、これは山口委員のお説を待たずして再検討いたしたいということは、先ほども申した通りであります。ただ私鉄の外形標準課税を所得課税に改める、こういういろいろな問題は、税制全般に関係がございますので、本年末国と地方を通ずる税制改革の審議会が持たれるわけでございますので、その機会にあわせて考慮をいたしまして、院議の附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしたい、かように考えておりますから御了承をいただきたいと思います。
#28
○松山委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#29
○松山委員長 速記を始めて。
#30
○楯委員 簡単に一点関連質問いたしたいのですが、早川政務次官と山口委員との質疑応答を聞いておりますると、私は非常に心外に思う。といいますのは、交通機関の性格ということをわれわれは該当委員として真剣に考えているわけです。ところがたまたま質疑応答を聞いておりますると、あたかも今までの地方税法が間違いであった。たとえば三公社に固定資産税をかけない方が間違いである。諸外国の例を見よ、こういうような答弁をされておるわけです。これでは現在ある法律というものを無視されたような答弁をあなたはされておる。非常に心外であると思うわけです。それからあなたは諸外国の例がそうであるから、こういうことを言われますが、われわれが承知をしておる範囲内においては、諸外国においては公益命令等がありまして、たとえば定期運賃等の非常に低廉な社会政策上の低運賃、原価を下回った運賃については、やはり国の方が法律によってその損失を埋め合せるような法律を作ってからやっておるわけです。ところがあなたの答弁を聞いておりますと、まずむしり取る方ばかり外国の例に当てはめて、そういう措置については何ら触れておらない。従ってこういう点もあなたは今後研究していただかなければならないと思うのです。それから固定資産税にはなっておりませんで納付税という形になっておりますけれども、あなたがここで幾らもっともらしい答弁をなさいましても、われわれはその経緯を知っておるわけです。なぜ知っておるかといいますと、国鉄は非常に赤字である。ところが地方財政の赤字を埋めなければならぬ。ところがこれは常識的に考えて国鉄や運輸省の方は無条付でこんな案をのむことはないのです。しからば条付とは何かということになりますると、運輸大臣は一応否定をされておりまするけれども、運賃の値上げを認めようじゃないか、こういう妥協がなければこれはのんでおらないと私は思う。これは常識的なことだ、従って地方財政の赤字を埋めるために、鉄道を利用する人が結局より以上の地方財政の赤字を負担をしていく、こういうことになっておるわけです。これでは一貫性がないじゃないか、これではほんとうに朝三暮四の考え方ではないか、こういうことを私どもは申し上げたいのです。先ほど来あなたと山口委員との質疑応答を聞いておりますると、今までありまするところの地方税法を無視したような答弁であります。それからあなたがどう答弁なさいましても、地方財政の赤字補てんの納付税は鉄道利用者の負担にかかってくる、このこと以外にないわけです。どう考えますか。
#31
○早川政府委員 お答えいたします。現在の地方税法を無視しておるじゃないか、こういう御意見でありまするが、われわれは無視しておるのではなくして、これを再び改正する、こういうわけでありまして、諸外国の例はむろん参考でありまして、日本の国情に沿いまして考えればよろしいかとわれわれは考えておるのであります。なお運賃の点が云々の問題は、たびたび運輸大臣が申されましたことに尽きるのでありまして、私の方からつけ加える何ものもないのであります。
#32
○楯委員 あなたはそういうふうにおっしゃいますが、これは運輸大臣が運賃の値上げをやらないやらないと言われるから、われわれどうも話が合わないので不思議に思うわけです。これはこの席上ではおっしゃることはできないかもしれませんが、とにかくそういう黙契なくして、赤字であるという国鉄がのむはずがないと私は思います。それからあなたにいろいろな国鉄の財政の問題を申し上げても仕方がないと思いまするけれども、とにかく公共性を主張される国鉄の場合でありまするから、これは山口君が言っておりますように考えてもらわなければ困ると思うのです。たとえばよく例に出るのでありますが、新線建設等が最も代表的なものです。これはどんなところへ敷いても採算が合わない。それを百パーセントの公共性という面から、これをあなた方がやっておられるのです。いろいろたくさん例はありますが申し上げませんけれども、そういう面からいってあなたのおっしゃっておるように、当りまえだというような考えでやってもらっては困ると思う。将来に対する考えを、重複いたしますが私はお伺いしておきたい。
#33
○早川政府委員 われわれは当然取るべきものは取るという考えではございません。先ほどから申し上げましたように、地方財政が非常に赤字になりましたので、いろいろな面に影響がございまするが、特にこの際三公社にお願いいたしまして――こういう関係でございまするから、誤解のないようにお聞き願いたいと思います。将来の問題といたしましては、先ほど山口委員にお答えいたしましたように、軽油の問題あるいは私鉄の所得課税問題等については、税制審議会のときにひっくるめまして再検討いたしたい、かように考えております。
#34
○松山委員長 ただいまの外形標準課税の問題、さらに軽油税の問題、当委員会で決議を申し上げました通りに、また次官のお答え通り、十分再検討をしていただくことをお願いいたします。
#35
○中居委員 関連して伺いますが、さっき山口君が国鉄に対して固定資産税等を課した根拠を伺いました。これに対してあなたは、国有鉄道も一つのコーポレーションである。民間鉄道から取っておるのであるから、企業体である国鉄から取ることも理にかなう、こういう御答弁をなさっておりました。元来、固定資産税というのは、昔の地租、家屋税の形を変えたものである。応益税の範疇に入るべき性格の税ではない、こう思っております。従いまして国有鉄道の財産が地方に散在いたしておりまして、地方の公共事業によって利益を受けることは私は確かだろうと思います。山口君はこの点につきましては、逆に鉄道が地方に敷設せられたことによって、地方が大きな利益を受けておるから応益の対象は逆だ。応益はむしろ地方が受けておるのであって、国鉄は応益を受けていない、こういう質問でございましたが、それに対してあなたは逆だ。地方の公共事業によって国鉄の財産というものも益を受けておるのであるから、応益税の性格である固定資産税を納めることは当然だ。これが納付金を創設した理由である、こういう説明でございました。私もその理論は一応それで一つ成立すると思いますが、ただ考えていただかなければならないことは、普通の企業であるとかあるいは民間の鉄道であるとか、こういうものが地方に誘致されることによって、地方に恩典を与えておることは確かでありましょう。しかしながらこの民間の企業というものを開始するに当りましては、利潤ということが前提で事業というものが開始されております。利潤を前提として営業を開始しながら、たまたま地方の産業経済に貢献しておる、これは結果であります。しかしながら国鉄は全然営利を目的としないで、公共というものを前提といたしまして鉄道を敷設いたしまして営業を開始しております。その公共性という目的によって企業を行なっておる結果が、あるいは地方に利益を与えておるかもしれない、自分が利益を受けておるかもしれない、民間の企業と国鉄というものは全然別個であります。民間企業は利益が目的で公共性が付帯しておる。国鉄は公共性が主目的で利益が付帯しておるわけです。従いまして私は、民間企業と同じような考えを持って固定資産税あるいは納付金制度を国有鉄道に課するということは、理論的に誤まりがあると思うわけであります。この点についてあなたはいかがお考えになりますか。
#36
○早川政府委員 御案内のように、固定資産税は利益に課税するのではございません。施設があることによって、大きい家を持っているとかあるいは山林を持っているとか、国有林野を持っているとかいうことで課税されるわけでありますから、利益のあるなしということは、固定資産税あるいはこれに相当する納付金とは本質的に結びつかないのであります。しかしわれわれといたしましても、御案内のように私鉄の場合にはむろん全額固定資産税をかけておりますが、このたびの国有鉄道に本年度四分の一、平年度二分の一という特別の配慮を払ったゆえんのものは、本質的には固定資産税は利潤には関係ありませんが、そういった公共的配慮をもあわせいたした次第でございます。
#37
○中居委員 あなたの答弁は違っておりますよ。私は固定資産税は応益税であるとは申しましたが、利益を対象として課税しておる税金であるとは申しません。利益を対象にしてかける税金は応能税であります。応益税というのは、ここに土地がある、地方の税金でここに道路を作った、下水を作ったということによって、自分の所有しておる土地が値上りをいたします、利益を受けております、それの代償として払う税金であります。これが固定資産税の定義であります。従いましてそういう観点に立って、国有財産に対する課税と一般の民間企業の財産に対する課税というものを同一視することは間違いである。しかも民間企業というものは営利を目的として営業を開始して、その営業の過程においてたまたま公共性が付随してくるわけであります。国鉄は逆ですよ。国鉄は公共というものを目的として事業を開始して、その過程において利益を受ける場合が想定される。大きな違いがあるわけでありまして、あなたの答弁は私の質問を取り違えておると思います。重ねてこの点をお伺いします。
#38
○早川政府委員 国鉄は御承知のように一般の国有の施設ではありません。同時に私企業とも違いまして、独立採算制の一種の公企業的な事業であります。従って完全な私企業と同じように考えておりません。もし考えておったら事業税ももらいたいし、所得税ももらいたいということになる。そういう点は考えておらないのです。施設だけは、先ほど申しましたように、すでに国有林野におきましても納付金をいただいておりますし、これは私企業かあるいは公企業かということに関係ありませんので、このたび地方財政の逼迫に伴いまして特にお願いする、こういうことになった次第でございまして、しかもその率は特に低くいたしたのであります。そういう関係から申しますと、固定資産税は一種の原価計算に入るべきものかと思います。利潤と関係あるものでないのはもちろんであります。そういった性格を持っておりまするから、御了承願いたいと思います。
#39
○山口(丈)委員 大蔵省はおられないようですが、災害復旧関係について一つ質問をいたしたいと思います。
 御承知のように二十八年の災害におきましては、いわゆる水害地緊急対策として特別立法がなされたわけであります。そうしてこの水害の復旧に当っては、その災害額の査定あるいは補助金の申請をなすに当りましても、地方財務局、地方建設局あるいは陸運局、地方農地局等、それぞれ政府の出先機関がその各府県の機関と協力をいたしまして、きわめて具体的な復旧計画及び経費の見積り等の作成を指導援助して、それに基いて補助金の申請を行なったものであります。従って復旧補助の申請は、申請者独自の見積り計画によるものではないと思うのでありまするけれども、この点についていかがですか、一つ……。
#40
○權田政府委員 今お話の通り昭和二十八年に、その年の八月、九月に水書があったと思いますが、風水害による地方鉄道等の災害の復旧のための特別措置に関する法律というのが施行いたされまして、昭和二十八年度の運輸省予算の予備費でもって、この法律の災害復旧所要資金の補助をいたしたのでございます。補助金は今仰せられました通りに、この風水害によって損害を受けた地方鉄道業、軌道業を営む者が、その受けた損害を復旧するための資金を得ることが著しく困難なため、当該事業の全部または一部を休止し、または廃止すべき事態に立ち至った場合に、その休止または廃止が当該地域における民生の安定及び産業の復興に著しい障害を与えると認めるときは、この事業の復旧のための資金の五分の一に相当する金額を補助することができる。今仰せられましたように、復旧に要した費用ではないのでありまして、復旧に要する費用、こういう特別の立法になっております。従いまして当初この復旧資金を要求して参りましたときには、それぞれの当該復旧補助を受けました者、これは七社でございますけれども、それが、それぞれいろいろな資料によりまして復旧資金を申請いたして参ったわけでございます。この復旧資金につきましては、当方といたしましても被災状況の実地の調査をいたしまして、物件費、人件費とも客観的な基準、すなわち人件費については労働省の告示、物件費については財団法人経済調査会の経済調査報告に基き、各被害地ごとに即応しました金額を、復旧に要する適正な資金を査定いたしまして、その五分の一を補助額として交付いたしたわけでございます。
#41
○山口(丈)委員 私が今お尋ねしているのは、申請するに当って、その申請者が独自で申請額をきめて申請したものかどうかということを尋ねている。私の見解に基くと、災害の復旧に当っては、その災害額、復旧の見込み額等は、それぞれ政府の出先機関である地方財務局、地方建設局、あるいは運輸に関係するものとしては陸運局、農地に関係するものとしては地方農地局、こういうように出先の機関がその災害の額あるいはその復旧の額、復旧の計画等々すべてを指導して、その具体的申請書を作成して申請したものだ、こういうふうに考えるのですが、それに間違いないか、こういう意味で言ったのです。
#42
○權田政府委員 お答え申し上げます。申請につきましては、先ほど申し上げましたような七社が、それぞれの立場において申請額をしかるべきところと相談して申請いたしたことと思いますが、申請額そのものが補助金算定の基礎額ではございません。その申請額について、ただいま私がお答え申し上げましたような査定を加えまして、その査定額に基いて、復旧に要する資金として補助額を算定交付いたしたのでございます。
#43
○山口(丈)委員 私はその作業はあとで質問する。その申請そのものの形式について尋ねているのです。そのあとはその通りだと思うのですけれども、でそれは申請そのものは、私の言ったことを肯定されるのですね。
#44
○權田政府委員 運輸省といたしましては、申請書を受理して、それに運輸省の査定を加えたのでありまして、申請書を作り上げる経緯につきましては、査定幾関ではございませんので、申請としての成り立ち、手続においていかなることがございましても、査定と申請とは一応別個のものと考えておる次第でございます。
#45
○山口(丈)委員 申請と査定というものは別のものなんです。そんなことは説明してもらわぬでもわかっている。そこで申請をせられたものは、その申請についても、運輸関係の復旧については陸運局が、その復旧の計画、損害額を具体的に指導をして申請を行なったが、しかしそれは査定額とは別個のものであるから、それを査定して減額をするなり、あるいは増額をするなりして施行せられたものだと思うのです。ですからそのことについては、私は政府において、その具体的な計画について責任を負われるものと思う。ところが申請をして査定をされて、その査定の計画に基いて施工をしても、なお今度は別の機関でその完成工事を検査をしている。そうすると、何だかんだと言って減額をする。そしてその補助額を削って、せっかく補助したものを返せ、こういうことは各省ともにそういう傾向がある。こういうことになると、はなはだしく迷惑をこうむるのは施工者ということになる。施工したあとに行ってみて検査はもちろんしなければならぬ。そうしてそれがその規格に合っておるかいないかを検査するのであるから、合っていなければ当然それは再工事を命ずるなり、規格に合わせるように命じて、それを改善させるなりいたしますことは、当然な話です。ところが何ら改善も何も加えさせない。しかしただ減額をする。そういうことはおそらく減額のための減額というように思える。こういうことについてはどういう御方針でこれを指導されておるのか、これを一つ伺いたい。
#46
○權田政府委員 お答え申し上げます。先ほど御説明申し上げましたように、その当時の申請額は約二億三千五百万円でございました。それを先ほど申し上げました当初は、これを一億二千五百五十万円くらいに総工事費を査定いたしたのでありますが、最初法律を御説明いたしました通り、この法律は復旧に要する資金と、こうなっておりまして、在来の補助は復旧に要しました実際の工事額、それに対して補助をするというものを、国会で特別立法でございましたので、独得の補助の建前になっております。従いまして、当初さように査定をいたしましても、その後の現地のそれぞれの実情で復旧、すなわち原状に回復するということのための、いろいろの事実上の工事その他も違って参りますので、この際に、交付をいたします当初におきます補助金額が、実際工事をやってみて原状回復、復旧に要した費用の二割相当額をこえるときは、その超過額を国庫に返還しなければならない、こういう条件付で昭和二十八年の予備費で交付をしております。その後それぞれ風水害の実情、交通機関の実情に応じて、各関係会社は鋭意復旧をいたしまして、大体復旧も完了いたしましたので、今度はこの復旧に要した額というものを調査いたしたわけでございます。この復旧と申しますのは、ただいま申し上げましたように、これはあらゆる災害復旧工事の補助を通ずる同じ問題でございますが、原状回復の限度までしか認めていない。たとえば木造家屋が倒壊いたしまして、これをもとの木造家屋に復旧することは、その費用として認める。しかしこれをコンクリート建のものにいたしますと、原状よりは改良的部分が起って参る。また、たとえば蒸汽機関車をディーゼル機関車に直す、このうち原状回復に要する額をこえた部分は改良費額的なものと認められるので、補助の対象額とならない。このようにいろいろ精細なる――昭和二十八年の災害でございますので、昨年中で大体原状回復をいたしておりますものですから、これを実際に復旧に要する額と復旧に要した額というものとの差額を、本省でいろいろ現実に現地を調査したわけであります。この数字の結果は今まとめにかかっておりますので、数字的にはその決算額との差額がまだ確定いたしておりませんが、それによりますと、どうしても中に二、三復旧に要する額よりは復旧に要した額というものが小さいというものが出て参る、この差額だけはこの法律の精神から申しましてもどうしても国庫に納付していただかなければならぬ、こういうふうになって参るのでありますから、今山口先生が仰せられましたことは、かような事情によって生じて参るわけでございます。
#47
○山口(丈)委員 具体的に説明があったわけですが、そこに私は多少食い違いがありはしないかと思うのです。私も水害対策特別委員の一人として立法に携わったのですが、この非常の水害を復旧するに当っては、いわゆる災害を繰り返さないためには、従来のような復旧形式、すなわちその原形復旧のみを主眼にして水害を復旧させるということは、将来その災害を繰り返さないという予防措置を考えた場合には適当でない。だからある程度の改良を伴う復旧工事もあり得る。そういう点を認めた上でこの緊急立法をやらなければならぬ、こういう精神で立法はせられたと思うのであります。これは当時の議事録をお読みになっても私はわかると思います。そういうことで各種の立法がなされました。従って災害の復旧に当っては、原形復旧というものを、そう従来の災害復旧と同じように厳密には規定せられていない、これが立法の精神であったと思います。
 それから第二の点は、たとえば今局長の言われるように、なるほどその復旧に関しては具体的細目について検査をされて、その細目ごとに当ってみて、超過した部分については国庫へ納付させる。細目ごとに超過した部分については見ないというきわめて事務的な処理のようであります。しかしその大本の、たとえば土木工事なら土木工事、電気工事なら電気工事、車両工事なら車両工事、こういう項目で最初に申請をして、それで許可をして、その項目の中では、たとえば土木工事である堤防の一つを石がきにするのを、石がきだけでは不十分であるから、従ってこれをコンクリートにして、しかも排水をよくするようにそこに排水口を設ける。これは原形ではそういうことはなかった。しかしそのために工事費が若干他の項目よりも上回った。従って他の工事はやめにしても、それを施工することによってその堤防は完全に安全が保障できる。あるいは機関車の水没あるいは土砂で埋没したのを掘り出した。それは何百万円、何千万円かかっても復旧して使う。ところがそれを復旧するには新しいディーゼル機関車を買うよりも高くつく。しかもそんなものを復旧しても能力的にもだめだ。だからこれは廃品にして、そうして新しくディーゼル・エンジンの機関車を買った。ところがそのために他の車両は、その災害復旧費でまかなわないで別の経費でまかなうとしてもこれを認めてもらいたい。こういうことは私はその総額において間違いがなければ、やはりその立法の精神からいえば大して逸脱したものではないというふうに考えるのですけれども、どうでしょうか。それについても画一的にそういう事務処理によって返還を命ぜられるものでしょうか。あるいはそれについてお認めになるものでしょうか。一つ立法の精神からお答えを願いたいと思います。
#48
○權田政府委員 お答えを申し上げます。当時の議事録を手元に持っておりませんので、詳細にいたしませんが、成立いたしました法律によりまして、これは原形復旧と申しますか、災害の復旧の補助に立法上限定せられたわけでございます。従いまして今仰せられました第一点のうち、改良的な部分につきましては、これはどうも法の運用上、補助をする余地がないように各方面でも解釈されておるのでございます。ただそれでは改良か原形復旧か、こういうことが続いて問題になって参りまして、御質問の点もそこにございますが、当該工事に対します改良か、原形復旧かという決定は、当該工事費の最初に御説明申しました原申請額に対する査定額によって、査定をいたさざるを得ないのでありまして、これ以外の基準はできないと存じます。従いまして当初の査定額の決定が絶対であるというふうに運用いたしておるわけであります。
 次に御質問の趣旨は、費目別と申しますか、工事部門的になって参りますが、この点は当初の査定いたしました部門別において、私どもはそれを実地検査して、今最後の計算をなお精細にやっておるわけでありますが、この場合、たとえば今最後に仰せられました蒸気機関車がこわれた、これを掘り出してやったところが、たまたまそういう蒸気機関車を中古でさらに原形復旧するよりは、同じ型のディーゼル機関車の方がいいのだ、かえって金もかからない、こういうような場合には、それが事実でありますれば、代替購入の必要があったということが立証されまして、しかも被災車両を修理して稼働が可能であるという前提で、当初原査定額がきめられました場合に、この原査定額をこえない範囲における決算額というものは、具体的な事情を調べました上で、妥当であるという場合も起って参るのであります。従いまして実際そういう部門別に実地監査の結果によって、事実の判断の結果、今私が御説明しておりますような意味の改良的性格でなくて、あくまでも復旧費と認められます場合には、そういうものは復旧費として認められる場合もある。かように相なると思うのでありますが、いずれもこまかい工事内容を具体的に一つ一つ査定して参りますので、今それの結果を慎重に検算しておるところでございます。
#49
○山口(丈)委員 私はその査定のときに、たとえば車両費なら車両費で何ぼときめる。今度は完成したときに具体的費目についてやられるということになると、復旧の施行者の方では、その車両費なら車両費でまかなえるのだという具体的細目について示されていないものですから、その車両費だけでやってみたところが、実際はその使用にたえられないのでだめだから、そういう変更をもてやっても補助申請の総額については変りがない。たとえば車両費なら車両費について……。ところが検査のときにそれは不合理だというので切られたのでは、非常に思惑が違うのであります。それなら最初から具体的に、機関車については何ぼ、客車については何ぼ、あるいはその施設について何ぼというような工合に、具体的な費目についてこれをやりなさいというならよろしいが、車両費に何ぼ、土木費に何ぼ、電気費に何ぼやるからこれで復旧しなさい、こういうふうにその査定額を示して復旧しておいて、検査のときに具体的に検査をするということになると、思惑が違ってくる。それで返せといわれると非常に困りはしないか。だからそういう点について当初とあたかも何か違うような検査をされますと、迷惑になると思うのですけれどもどうでしょう。最初から具体的な費目を示した上で施行されたものですか、それとも大まかなそういう費用だけを示して査定されたものでしょうか、どうでしょう。
#50
○權田政府委員 御説明申し上げます。当初の査定におきましては、先ほど御説明いたしました通りに、当該行為に対しまする改良であるか、非改良であるか、原形復旧であるかどうかをまず判断いたしまして、その原形復旧等を工事別に査定額を出しまして、それを今度部門別に今おっしゃいましたように、土木費が幾ら、車両費が幾ら、何が幾らというふうにまとめ上げまして、それを部門別の査定額として通知いたしたわけでございます。通知を受けた方の側におきましては、その申請とそれから査定の過程におきまして十分説明も聞いておりますし、こちらも査定の経過は十分慎重にやっておりますので、個々の工事別の内容の通知はいたしておりませんが、その程度の了知はいたしておるわけであります。今回個々の工事から査定の積み上げはお説の通りいたしておりますが、これは先ほども申しております通りに、改良的性格を持ったものには及びませんが、今仰せられましたような部門別の中でありますならば、それがあくまでも復旧費であると認められまする場合には、一応各部門内の各号の査定額の合計額の範囲内であれば、その部門においての復旧費として認め得る場合もございます。これはいずれにいたしましても、実際に実地監査をいたしましたので、その結果によって具体的に事実を判断してやるべきでありますが、そういった程度には御了解願ってもけっこうかと存じております。
#51
○山口(丈)委員 大体今までの御答弁で方針がわかりましたから、一つ希望として、多少そこに具体的細目別には超過しておる分もあり、あるいは超過していない分もある。しかしたとえば大きな項の分に属するものといいますか、大きな部門別、車両とか電気とか、こういう大きな項目での経費の総額で超過しない分については、なるたけ復旧額を認めて査定をしていただくようにお願いいたしたいと思います。
 それから次に私は船会社の復配問題について伺いたいのですが、年々計画造船で造船をして参りましたが、船会社は本年に入りまして復配の計画をして申請をするというところへきたようでございます。復配後は、法律によりますると利子の補給等の問題に関連をして非常に重要な段階に入ると思いまするから、従ってこれについてお伺いをいたしますが、今復配を申請している会社は一体どのくらいありますか、まずそれからお伺いいたします。
#52
○吉野国務大臣 正式の文書で来たのは二通です。そのほかに口頭で二つ来ておるということでございます。ですからあと政府の方針がきまれば若干来るかもしれませんが、今われわれのところに来ているのは、正式には二通、口頭で二つということだけが今問題になっておるわけです。
#53
○山口(丈)委員 そこで私お伺いをいたしますが、大体会社というものは配当をするに当っていわゆる二つの方法がおると思います。一つは純然たる利益を計上して正当な復配をする場合、それから一つは増資等を行なって自己資金を調達したい、そのための政策的な面からする復配、この二つの方法があると私は考えます。ところが船会社は、日本の外航船舶を増強しなければならないというので、利子補給をいたしますとともに損失補償金も出す。かくして計画造船を実行して今日に至りました。従って特別の保護政策の恩恵を受けておるのでありまするから、従って私が言う後者の自己資金を得るための政策的な復配というものはあり得ない、そういうものは許されるものではない、こういうふうに考えるのでありまするけれども、この復配に対する政府の許可の方針について明らかにしていただきたいと思います。
#54
○吉野国務大臣 お話の点は私は立法論としては一つの論だろうと思います。ただこの前に利子補給法をきめますときに、それらの問題も考慮されたわけなんですね。そうしてそのときには、政府といいますか、議会と申しますか、やはりそういう厳格な方針をとらずに、政府から莫大な補助をもらっておってもなお配当をすることあるべし、こういう前提のもとに法律の仕組みがなっておるわけです。ですから現在におきましても、すでに政令においてそういうことを予想して復配をする場合の基準がきめてあるわけです。また過去におきましても、これは過去には二社でしょう。とにかく時を同じゅうしてはおりませんけれども、過去においてやはりその法律、政令というものなどにおいて配当を申請してきて、これを許可した、こういう実例があるのであります。ですから、これは立法論と現在の法律制度のもとにおいての論とは、多少区別しなければならぬと考えます。私としては立法論として大いに考究しなければなりませんけれども、現在の法律制度のもとにおいては、やはり政府から莫大な補助を受けておりましても、配当ということがあるべしという建前でできております。
#55
○山口(丈)委員 そういたしますと、外航船舶建造融資利子補給法とどうも違ってきはしないかというふうに思いますが、それはあとで論ずるとしまして、こういうことが新聞に報ぜられたのを私は知ったのであります。大蔵、運輸両省が船会社の復配の基準について了承した。その了承の一つは、各決算期において当期の普通償却の限度一ぱい行う。このほか当期の特別償却限度額と復配する期に繰り越された過去の普通償却の不足額の十分の一(年一回決算を行う会社は五分の一)以上の額とどちらか多い額の償却を行う。一つとして、各決算期で開発銀行の利子(年六分五厘)と市中銀行の利息を約定通り払うとともに両銀行に対する支払い猶予利息の全額を復配する期から三年間支払う、こういうのであります。これはいわゆるタコ配防止のための措置、今申しましたように政策的配当に陥らないように企業を健全化する措置として、大蔵、運輸両省が了承せられたものであるというふうに考えるのです。しかし私の考えでは、この程度のものでは内容はきわめて不健全な結果となる、今後の海運行政にも重大な影響を与えると思いますが、これについてどう考えられますか。
#56
○吉野国務大臣 まあその程度なら、私は世間並みだろうと思うのです。ずいぶん世間に会社もございまして、配当をしておるものもございますけれども、償却を完全にやらないで配当しておる会社も世間には往々にしてあるわけなんであります。つまりこういうことを御了解願いたいと思うのです。一つか二つならこれは問題にならないのです。私どものおそれるのは、海運界が非常に好況にきたものですから、今はたった二つか四つでございますけれども、近く政府から特別な補助を受けている海運会社がいずれも同様な問題を起すだろう、そうなればそのときには私はこの海運政策の助成についての根本問題について、お話のように立法的に措置をしなければならぬと思うのです。過当な補助はなるべく早く断ち切った方がいいと私は思うのです。ただ三月の決算期ということの問題ですと、今の法律がそれを認めておるものですから、この決算期の問題では、これをいじることは私は適当でないと思いますけれども、将来の含みがあるものですから、いずれこれは開発銀行から御厄介にならなければならぬのですから、そこを開発銀行にも、御承知の通り払うべき利子も三分の一たな上げしている分もございますし、償却が未済の分もございますから、こういうものはなるべく早くやめなければいけない。それですからここにひっかけてたな上げしておった利子もこの三年の間にはみんな返す、それから償却未済の分も、それは二つの段階がありますけれども、常識的にいえば五年以内にみんなやる、こういうことです。そうするとこの五年の計画造船の間にはきれいに海運会社が一本立ちになる、こういうところにいきたいという含みでもって、お話のような趣旨でいきたいという意味でその第一歩をそこに踏み出したわけです。だから次に残る問題は、よけいなことですけれども、つまり三十二年の十三次計画造船のときに、なおかつ利子補給の制度をそのまま存続するかどうかという問題だけが残るわけです。今後もし私の今予期しておるように軒並みに海運会社というものが海運界の好況によって内容がよくなれば、――利子補給の問題はどういうわけでやったのか、私も立法当時のことは存じませんけれども、とにかくその根本問題というものについても当局としては再検討しなければいかぬのだろう、こういうふうに私は考えております。
#57
○山口(丈)委員 伝えられるところによりますと、とにかく政府の本年度の利子補給は実行させておいて、そうして九月期には今言われておる二社だけで、あとは口頭でそういう意思表示をしておるところが二社あると申されたが、それだけではなくて非常に広範囲にわたって九月期の復配をねらって、そうしてこの十二次造船並びに十一次にさかのぼる造船の補給はそのまま実行されていく、言いかえると本年度の予算は実行される。そうして取るものを取れば、あとは復配をやる、こういうようなことが今の運輸大臣のお考え方からすると現われてくることがきわめて濃厚な気配を示しておるということを私は了解しておるのです。こんなことに貴重な税金が乱費されると言うことは語弊があるかもしれないけれども、乱費される傾向にあるとするならば、これは非常に重要ないろいろな問題を含むだけではなくて、船会社がいわゆる利益を生むだけではなく、自己の利益保全のためにするあまりにも露骨なやり方といわなければならぬと思うのです。そういうようなことに政府が乗ぜられるということになりますならば、これはまた政府の責任が非常に重大である。従ってそういうようなものを九月になってやめさせるということになれば、また一方において船会社も見込みが違うでしょうから、今運輸省が本年度のこういうような船会社の復配の動きについては、確固たる一つの方針というものを示さない限り混乱を生ずると思いますが、これについて運輸大臣はどうお考えになりますか。また大蔵省がおられますか。――大蔵省もおいでになっておるなら、私はこれについては大蔵省の方針もあわせ聞いておきたいと思うのですけれども、責任者がお見えにならないようですから、運輸大臣から一つはっきりとこの方針をここでお示し願いたい。
#58
○吉野国務大臣 御心配のようなことがないつもりで私もやっておるわけなんであります。ということは、もうすでに三十一年度の利子補給につきましても、三十年度の半分にしてあるのです。こういう海運界の軒並みの好況がくるということを予想せられなくても、一年半前から海運界が立ち直ってきたものだから、三十一年度の予算面においてその片りんが現われておるわけですから、あと九月決算以後のことをどうするかということは、これは私も慎重に考えたいと思います。
 ただ一言御了解を得ておきたいのは、何せ計画造船はあと五年あるわけであります。五年間にどういう状況がくるか、こういう状況が続けば問題はございません。法律を改正しても私は差しつかえないと思います。けれども、もし不幸にして急変いたしまして、海運界がまた不況になって、また立法当時のような事情を生じたというときに、また立法をし直すわけにもいくまいと思うのです。それですから、そこの立法技術の点におきましてもどういうふうな立法にするか、これがまた私は一つの問題だろうと思うのです。とにかくこの法律には期間は書いてありませんけれども、計画造船の間は政府としては財政資金もやる、利子補給もするということで出発しておるのですから、その建前を、事情が変らぬのに途中から打ち切るということは、私は行政として適当でないと思う。今日は幸いにして事情が非常に好転いたしましたから、私も今山口さんのお話のような趣旨において、どういうふうな行政措置、あるいは必要があれば立法措置をとるかということは、これはぜひ考えたい、こう思っております。
#59
○山口(丈)委員 私は今言われた中で、利子補給は本年は半分だとおっしゃいましたけれども、これは大臣はお考え違いじゃないかと思うのです。六億余りの違いじゃないですか。
#60
○吉野国務大臣 いや、私の申し上げましたのは、三十一年度の予算の分は三十年度の半分にした、だからだんだん漸減する方針で、もうすでに片りんがそこに現われている、こういうことを申し上げたわけであります。
#61
○山口(丈)委員 それが私は半分になっていないと思うのです。去年の予算額は一体幾らですか。そんなに違っていはしません。
#62
○吉野国務大臣 それは山口さんのお話は、私よりも政府委員の方がいいと思いますが、総額の点についてはお話の通りですけれども、私は三十年度と三十一年度を比較しての場合を申し上げているのです。どっちもほんとうなのです。なお必要があれば、こまかいことですから政府委員から答弁いたさせます。
#63
○楯委員 関連して運輸大臣にお伺いをいたしたいのですが、今運輸大臣の山口委員に対する御答弁を聞いておりますと、われわれ社会党が党議として決定をいたしましたように、将来に対する基本的な見通しの立つまでは、復配を禁止といいますか、どう申すのか知りませんけれども、復配をやらないようにと、そういうふうにやっていかなければ、運輸大臣の考え方が現実と合っていかない、こういうふうにとっていいわけですか、どうですか。
#64
○吉野国務大臣 楯さんのお話は、今すぐにやらなければ徹底しないというお話でしょうか。
#65
○楯委員 山口委員の質問に対してあなたの御答弁は五ヵ年間の計画でやったので、今はいいけれども、将来はどうなるかわからない、こういうことですね。従って今ここでこの法律を廃止をするかいなかということは、検討をしなければわからない、こうおっしゃったわけですね。だからあなたがそういうお考えを持つなら、当然その基本方針が決定をされるまで復配は禁止をしなければいけないと思うのです。あなた方が大蔵省と運輸省とでいろいろ交渉をなさいまして、復配に対する条件を新聞は報道をいたしております。山口委員が読み上げた通りです。この了解の条件というものは、これは当りまえのことを言っておるわけです。当然返すべきものは返す、それから償却不足を、あるいは年次計画の普通償却をば当然償却をしなければいけない、その上に立って八分の復配を認めるというようなことは、これは当然やるべきことをやれというだけであって、何も私は新しい条件にはならないと思うのです。従ってきのうもあなたのところに申し入れをいたしましたが、やはりこの補給法をどうするか、どういうような方針でいくかという基本政策を立てられるまで、この復配は禁止をしていかなければいけない。そうしなければ、今のあなたの御答弁と実情が合わないと聞いておったのですが、どうですか。
#66
○吉野国務大臣 私の考えは逆なのです。逆だということは、立法論としては別ですけれども、現在の制度がすでに復配を予想して立ててあるのです。ですから、現在の制度のもとにおいては申請をしてくればこれはやるのが当然なのです。いかぬといえば将来にわたって考えなければならない。ですからお話と私の考えとは逆であります。
#67
○楯委員 これは大臣、造船疑獄の起った当時の模様を思い浮べていただけばわかると思うのですが、非常に国民に与える影響は――それはまあ理屈じゃない、感情だとおっしゃるかもしれないけれども、あの造船疑獄から必要以上の疑惑の目をもって見られておるというのが実情です。そういう政治的な考慮を入れて考えていただかなければならないと思うのです。きのうまでは、やれ金が足らぬ、利子を払え、何とかしろというので大騒ぎをやって――これが相当の期間黒字が継続をされたならば、あなたのおっしゃるような措置をとっても、これは法律の建前からして至当であるかもしれません。しかしきのうまで大騒ぎをやっておいて、とにかく黒字になったというので、短期間にすぐ復配をやるということは、国民感情として私は許されないと思うのです。だから、法律がそうであるからかまわないじゃないかというのは、ちょっと私は運輸大臣としては答弁がおかしいと思うのです。
#68
○吉野国務大臣 そこまでお話しになりますと、まあ考えが違うと申し上げるよりほか仕方がないのですが、過去においてすでにもう一、二やってあるのです。今度もきているのは、さっき申し上げました通り正式に二つで、あとは口頭で二つと、四つしかないのです。あの恩典を受けているのは五十以上だろうと思います。それですから過半数、大体においてみなそういったような情勢になれば、これは私は考えていいと思うのです。
#69
○楯委員 なるほど現在は申請が二つだ、あるいは口頭できておるのが二、三であるということで、数は非常に少いと思います。しかし今運輸大臣が言われるような復配を認めていったならば、おそらくこの次の九月期決算以後においては、定期航空路を除く以外の会社は、ほとんど私は復配を要請すると思うのです。しかもきのうきょうの新聞紙の報ずるところによりますると、海運界の好況はもう朝鮮ブームを上回るということが報じられておるのです。こういう実態でありまするので、ただ法律がそうなっておるからこれは違法でないというようなこと一片では、われわれとしては納得がいかない。当然基本政策が確立されるまでは、この復配というものは中止をしていただかなければいけないと思います。
 それからついででありますが、今のような情勢からいって運輸大臣としては、九月期決算において復配申請があればこれをどんどん許していくつもりか、あるいは制肘を加えるつもりか、この点を一つ御答弁願いたい。
#70
○吉野国務大臣 現在の点はさっき申し上げましたように、私はあなたのお考えと反対なのです。私はやはり現在の法律制度のもとにおいて行政を行う上においては、現在の法律制度というもののもとを業者は期待しているわけですから、それをみだりにいじってはいけないと私は思います。それですから、九月先のことにつきましては私も十分に考えたいと思います。これが情勢が今お話の通り四個にとどまらずに、大半がそういった情勢になるということの見通しでございましたならば、それから先のことにつきましては――九月から先ですね、それは過当な補助というか、助成というようにはならないように私は考えたい、こう思うのです。
#71
○山口(丈)委員 それですから私はさっきから尋ねているのです。運輸大臣は、今のところは文書で申請されておるものはわずかに二社、口頭で申請しているものがわずか二社、合計しても四社だ、こう言われるのですね。しかしそれが、五十数社にわたって補助を受けておるのですけれども、その全般がそういうことになるというと考え直すと言う。そうすると、それは著しく不公平になるのじゃないですか。とにもかくにも先申請してそういう措置をしてもらった者は得で、みんながそういうことになるともうやめだ、そうなればそのときに新しく申請した者は損する。こういう著しい行政上の不公平、それは常に正直者がばかを見るということになるのですよ。そういうようなことが平気で行われるということになれば、大混乱を起す原因になりますから、それだけではないのです。この計画造船につきましては、かの有名な造船疑獄以来、国民は造船といえば何らかの動きがあるのではないか、あるいはこうして納めた税金が心やすく乱費されるのではないか。あるいは一部の特権者と結んでおるのではないか、こういうような疑惑の目をもって見ておりまするし、実際上政界と海運界というものは、人的配置から見てもそのつながりは非常に深いものがある。従ってなおさらそういう行政上の不公平な取扱いにわたらないようにするためには、今日こそあなたがはっきりとした態度、計画をお示しにならないと、国民は了解しないと思うのです。どうでしょうか、その点に対するお考えは。
#72
○吉野国務大臣 それですからそういう不公平が出るから、私は今度はやりたいと言っているのです。なぜなら、前にやっているのです。前にやっているのを現在の法律制度のもとに願ってきた場合に、今度はいけないということにいきませんから、それだから将来の問題は、軒並みといっても五十何社全部というわけではございませんが、大半が九月決算以降その必要がないということになれば、それは考えてよろしい、こういうことです。
#73
○山口(丈)委員 それが危険なんです。前にわずか一、二社の例がある。その例を今蒸し返すということは危険であるから言っているのです。運輸大臣は私らの説を逆手にとってこようとされておると思います。そういうことはいけないと思うのです。しからば外航船舶建造融資利子補給法の十二条の規定の、利益計上の場合の納付金の義務について政府はどういうふうに取り扱いますか。あの規定の厳密に取り扱われたならば、私は今日復配を申請する会社といえども、これは不可能だと見ている。ところが、それを今言うように運輸省と、新聞紙上に報ずるようなことで了解をして、そしてそれを認める、非常にこれは運輸大臣が甘い考えをお持ちになっているのではないか。そういう復配を前にやった例がある、だから今度それを公平を期するためにやるのだ、しかしそれが軒並みになってくるということになれば別途考える、ということならば、これは三段論法でちっとも筋は一貫していない、ばらばらなんです。そういうような取扱いは、私はできないはずだと思うのです。なぜ、前のみぞをきれいに払った後にしなさいというふうに、態度をおきめにならないか。どうなんですか。
#74
○吉野国務大臣 それはそう簡単には踏み切れないのです。これは立法論として、私は非常にお話を傾聴しているのですけれども、ただ、今の制度が出た理由、すなわち政府からあれだけの補助を受けながら、なおかつ配当することあるべしという建前で法律ができたということの立法の理由には、とにかく配当というものばかりではございませんけれども、配当がなければ増資はむずかしいわけでありますから、それで今の海運界の事情から見て、自己資本は三百何億でしょう、あとはみな借入れが二千何百億になっているのです。それですから、会社の資本構成というものの健全さから見れば、どうしても自己資本というものを増資その他の方法においてふやさなければならぬことは常識なのです。それですから、それをやるために、ただ現在のあの制度が手取り八分程度のものが十分かどうかということは、議論がありましょう。ありましょうが、とにかくそういうようなことも考えた上で、制度としてともかく政府のあれだけの手厚い保護を受けておるのだけれども、なおかつ復配というものがあり得るという建前でこの制度ができているのですから、これを全体にやるということについては、私は相当に将来の見据えなり何なりを考えなければいかぬだろう、こう思うのであります。
#75
○山口(丈)委員 大臣は立法論の建前から論ぜられますけれども、私の考えるのは、十二条において、利益計上の場合の納付金の義務について規定されており、しかも十三条において納付金の限度額を規定しているわけです。そうすると、片方では利益を配当する場合には必ず政府に納付金を納めろということになっている。そうしてその納付金は、しかし限度というものをきめておいてやらなければいかぬからというので、立法上はその納付金の限度額をきめている、そうでしょう、これは立法論の当然の話。そこで配当を行うに当っては、この法の規定する年度平均償却及び十三条の規定の限度の納付金は当然実施させなければならぬのですよ。しかるに今答弁なさったところによりますと、必ずしもこの法の規定する限度額をそのまま実行しなくても、あなたの考えでいくと、今までに了解されたきわめて平易な常識だけでこれを実行されようとしている。私はそこに将来にわたってこの配当復活を申請する会社が続出するのではないか、法に基く限度額を強く要求することになれば、それだけでもすでにもう配当ができなくなるものが配当復活を申請してくるようになるのではないかと思う。特に会社の政策上から申せば、私が言うように二つの方法がある。一つはタコ配でも、少くとも自己資金を調達するためには、どうしても配当というものをしていかなければならぬ、あるいはそうでない場合の二つの場合がある。これはやはり、今まで国民の血税をもって保護育成されてきた会社としては、良心的にも私はそういうことはできないはずだと思う。大臣としても、これについては十分に、この規定通りのことを実行させなければ配当復活はできない、これは当然の義務じゃないかと思うのですけれども、どうなんですか。
#76
○吉野国務大臣 その通りであります。十二条、十三条はむろんその通り励行するのです。ただちょっとそこに誤解がないように申し上げておきたいのは、十二条の規定は、これは一定の利益があれば納付するということであって、配当とは関係ないのです。それは利益があればおそらく配当するのもあるでしょう。あるでしょうが、これは利益が一定の、たとえば今の政令では一割ということになっておりますが、一割というものを、こえた利益があればどうだということを言うておるのであって、会社によっては配当するのがいいというのもありましょうし、また会社の内容を健全にする意味において自分で留保しておきたいというのもありましょう。ですから、これは必ずしもこの十二条というものは配当の規定というふうには私は読まないのです。
#77
○山口(丈)委員 どうもその点、私は一定のいわゆる一割以上の利益というものが限度であると思うのです。限度額をこえた納付金、利益を計上した場合に納付金を納める。その限度額と両方二本建になっているのです。それは言われる通りなんて、私は誤解はしておらぬのです。けれども、政府へ納付金を納めるくらいな利益がなければ、実質上は配当なんてできはしませんよ。そうでしょう。私の解釈では、それをしも配当できるという規定にはなっていないと思うのです。だから配当するというからには、少くとも利益一割そんなもので配当はできませんよ。納付金をやらなければならぬとすれば、配当をする限りにおいては、その利益率というものは、政令できめられている以上に上回っていることは当然なんです。それにもかかわらず、納付金を政府に納付するということになれば、私は正常な意味の償却を行なって後の利益というものは、そうない。もしありとするならば、そんなに直ちに復配というように持っていくよりも、私はその船会社の健全経営のために自己資産の蓄積なり、あるいはその企業内容の充実に充てるべきであって、あるいは補助金に規定せられておる返却金に充てるなり、そういうことにしてこれを健全化するという方向に持っていくべきであって、いたずらに政策的に配当を復活させるということは冒険と思われるのですけれども、なおそれをそのまま受け入れていかれるのですか。私はそれを大臣に承わっておきたい。
#78
○吉野国務大臣 一割云々のものは、利益金のものであって配当ではないのです。それですから、あれによれば法定積み立てや何かやるから、現実には八分以下の配当になるでしょう。私も配当を奨励するという考えは一つもないのです。ただ会社の事情によって、利益がたくさん上ったときに、今お話の通り、自分のうちに留保してこれを社外に出さないというのも一つの方法でしょうし、またこれを株主に分けて増資その他の便宜に資するというのも、一つの方法でしょう。そこらは会社当局者の考えでございますから、そこまで私は指図はしたくないと思うのです。しかしお話の趣旨に私も大部分同意なんでして、とにかくほかの産業に類例ないほど過当と申しますか、非常な特別な国家の財政的の助成を受けているのですから、幸いに海運界の市況が立ち直ってきたという場合においては、なるべく政府の財政上の負担は軽くして、一日も早く自分で自分が立つように仕向けていきたい。ただそれには先ほど申しましたいろいろ手順がありまするし、順序がございますから、また行政技術の問題もございますから、それらは私どもの方でとくと考慮いたしまして、なるべく早い機会において将来のそのことに対する方針をきめて、ちゃんと業者に公表して了解を得たい、こう思っております。
#79
○山口(丈)委員 大臣は今非常に適切に答弁をせられましたが、私の観察では、たとい復配をいたすとしても、今日その復配は私は適切ではないと思う。なぜならば現在の船会社の資力をもってしては、自己資本によって外航船を建造するということは、思いもよらぬことだというふうに考えている。しかも国際貿易の競争を行なっていくというためには、なお船腹をふやしていかなければならぬという事情に迫られておる。従ってこういう時期において復配をして、せっかく助成しつつある途上において、その利益を急ぐよりも、一歩退かせて社内保留をして、経営の健全化の道をたどらしめるということの方が、私は国家百年の計からいって正しい行き方である、こういう考え方を持っておるわけです。もしそれが行われないとするならば、あるいは計画造船についても大きな計画の変更をしなければならぬ。同時に利子補給及び損失補償についても、これが打ち切りを世論として迫られる結果になる。これは功をあせって文とらずの結果に終る、こういうことが考えられるわけです。今大臣は行政的技術と申されたが、その行政的技術も実際に実行するとするならば、当然私どもの言う説が肯定されてしかるべきじゃないかと考えるわけですが、どうでしょう。
#80
○吉野国務大臣 お話の点は私もよくわかるのでありまして、私も賛意を表するにやぶさかではないわけですが、しかし百パーセントその通りだということまでには、やはりまだ私は踏み切りがつかないのです。ということは、やはり経済のしおというものがあります。経済のしおというものに、みだりにわれわれ役人の手で急激な変動を与えない方がいいと思います。立法論としてはいろいろありましょうが、今までは今までの制度できたのですから、これを今度変えるのですから、変えるには変えるだけの相当の準備をしなければいかぬのであって、今直ちにお話のようなことをやるがいいのだ、これは御意見としては承わっておきますけれども、にわかに私はそれならそういたしますということを今ここで申し述べることは、ちょっとできかねるわけであります。
#81
○山口(丈)委員 大蔵省が見えましたから、この問題について一つお尋ねしたいと思いますが、問題は、船会社が配当を復活していく、こうすれば、配当を復活するくらいですから、所定の納付金を国庫に納付する義務が当然あると思う。同時に納付金を納付させるということになれば、これは利子補給金との相殺もしくは利子補給金の停止という問題が、そこに新たに生じてくると思うのです。そうなると計画造船等においても、重大な変更を加えざるを得ない。しかも世論というものは、国民の税金で補助するのですから、そう甘いものではなくて、非常にきびしいものである。年々利益を計上しておる会社に対して、なお莫大な補助を投じるということは不公平じゃないか、他の産業から見ても不公平じゃないか、こういうような議論がほうはいとして起ると思う。ひいては船腹増強の急なるゆえに計画造船を実行しつつあるにもかかわらず、それを変更しなければならないということは、そのために受ける国家的損失というものは莫大なものである。従って私は軽々にこの復配を容認することはきわめて冒険的行為ではないかと思いますが、これについて大蔵省はどういう方針をもって臨まれておるか承わりたい。
#82
○原政府委員 私どもも気分といたしまして、復配について非常に慎重にやっていただきたい、もっと端的に言えば、復配はなるべくがまんするということは、全然同感でございます。ただいろいろの会社があるわけで、業績が非常に悪いのから、また総体悪いのですけれども、中で小なり優秀なのもある。企業でありますから、配当したいということは、いろいろ自己資本の充実というような意味から御希望がある。そうしますと、事柄は一括していいとか悪いとかいうことではなくて、おのずから程度の問題である。そしてどの程度になるかということは、企業自体が、あるいは関係の役所が、広く常識的な判断をしてきめるべき問題だろうというふうに考えて、この点に対してはわれわれの態度をその方針で、つまりとりとめがないようでありますか、非常に健康な、常識的な線を立てていくというつもりで、鋭意努力しておるわけでございます。
#83
○山口(丈)委員 これは大蔵省としても、今の答弁ではどうもはっきりした態度とは受け取れないのです。もちろん企業はいろいろ千差万別でしょう。しかし総体的に見て一時の好況が訪れておるからといって、果してそれが将来、長くとは申さなくても、二年、三年と続く見通しが立てられるかということがまず第一の問題です。従ってそれを保証してくれといっても、だれも保証しませんよ。そういう見通しが立たない限りにおいては、軽々に、新聞に発表せられたような大蔵省と運輸省との間における了解によって、この復配が認められようとすることはきわめて危険だ。しかも国民感情としても、今私が申し上げたように、利益を計上し復配しておるのに、国民の税金を多額に補助する、もっと補助してもらいたい――実際に公共性を有するもので泣いているところはたくさんある。しかもそれを捨ててもなおかつそれだけの犠牲をつぎ込んでやらなければならぬところに、日本の経済事情があるのですから、そういう点から見るということになれば、その国民感情を無視してこういうものを軽々に許すということは、船会社の一時的な企業面の糊塗策を考えていくということになるのであって、これは非常に危険な国策と言わなければならぬ。私はこういう点についてもう少し混乱を起さないようにして、はっきりした両者間における態度というものがここに表明されないといけないと思いますが、どうですか。
#84
○原政府委員 重ねて申し上げることになると思いますが、私どもとしては、結局健康な常識の線ということをねらって事柄を処理したい。そうして率直に申しまして、お話の通り、海運界のいわば浮き沈みの実際の経験にかんがみましても、もう少し慎重にやっていただきたいという気分は持っております。同時に、好調のときに配当したいという気持も、これは全然いかぬのだとも言えない。そうすると、やはり配当します場合に、少くともどれだけは社内の健全性を高めるために残して、どれだけやれというようなことについていろいろお話し合いがあって、それらについてしかるべき線を御指導になっておると思いますが、一方配当したならば、利子補給は返せ、新規のものはやるなという声が出て参るのも、これはまた自然だと思います。ただその場合におきましては、やはり私どもあまり感情的になって、配当したならばすぐ全部だめだというようなことは、長い海運政策を盛り立てるゆえんではなかろう、その辺は運輸省も特に御苦心のあるところだと思います。私どももその辺につきまして、特に常識的な配慮もより勉強しなければならぬ部面があると思います。長く海運をもり立てるためにどういうことをやって参るか、配当が行われるということは、だんだん自立してもらう方向でありますから、利子補給についても、いわば抑制的な方向に力が働くということはもちろんでありますけれども、そこをあまり気分的に事柄を処理してもいけない、その辺は、配当期を短期間に軽々に判断してはいかぬということから、なお十分研究をいたしていく、海運当局はそういう考え方でおる次第でございます。
#85
○山口(丈)委員 今言われたところにジレンマがある。そしてそのジレンマの期間に今ぶっつかっておる。たとえば実際において融資資金を償却する、あるいは利子の償却もやるということは、御承知のように昨年までは全然といっていいくらい行われていないのです。それが今少しよくなったからといって、いきなり配当するということになれば、これはどうしても国民感情が許さない。そこで一方において外航船を充実していくためには、やはり何らか国家の補助というものがなければ、何ぼ配当する会社といえども、自己資金でできるものではない。そうなると、国民感情としてはそれを許さない。だから、そこに大きな混乱を生ずることがあります。従ってわが党としてもそれを十分検討した上で、昨日運輸大臣に申し入れをしたのです。ですから、今こういうものを軽々に許すということは適当ではない。だから、その船会社に対しても強制的に配当するなとは言えないかもしれないが、もう少し自重すべしということを言って、社内保留を強化すべしという要請をする。これは当然あれだけの補助を受けておれば、監着官庁としても言えるだろうし、大蔵省も国家財政の見地からいって言えると思う。それをしも言わないということになれば、行政技術の拙劣と言わざるを得ない。こういう点から、はっきりされることが混乱を防止することじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
#86
○吉野国務大臣 だんだん伺っておると、心持はわれわれとあまり変らないのですが、ただお話は、この十二条、十三条の法律の規定が厳としてあるのに、これをこの際実行するな、それは国民感情だ、こういうことに帰着するだろうと思います。しかし一方からいえば、これだけの規定があるのですから、突如としてこれをやめるということは、また経済人の常識からいうと、これはあまり短兵急だという論も起るので、私が先ほど申し上げたように、経済上の秩序というものがあるから、その秩序を役人の筆先で急に変えるということはよろしくないのだ、改めるなら改めるだけの順序、手段をとりたい、こういうのです。お話の趣旨は私もよく了解しておるので、その趣旨に沿うように私はこれから努力したい、こういうことを申し上げたのですから……。
#87
○山口(丈)委員 次に私は計画造船のうちの油送船について一つ伺いますが、最近石油会社の販売競争の激化から、自家船による油の輸送を計画しておる、これは各社ともにそういう傾向をたどりつつあるようです。昨年は丸善石油がスーパー・タンカーを許可されて建造された、各社ともにそういう石油会社の動きがある、そうすると今まで計画造船としてスタンダード型式による造船をやって参りましたけれども、これがもう油を輸送する競争船としての価値を失ってくるのではないか、あるいは競争する価値を持たないようになるのではないか。そうなれば、計画造船に大きな支障を来たすだけではなく、海上運送業にとっても大きな混乱を生じてくると思いますが、この自家造船と計画造船によります造船との今後の方針をどうされますか、伺いたいと思います。
#88
○吉野国務大臣 両方は調節させたいと思います。現に丸善に許す場合にも、これは私の就任前ですけれども、運航についてはやはりタンカー業者に委託するということで、つまり現在のタンカー界の秩序を乱さないように考慮を払っております。将来もそういう考慮を払いたいと思います。
#89
○山口(丈)委員 タンカー界の秩序を乱さぬようにということでありますけれども、これを国内だけではなく、世界の趨勢からながめましても、もう今までの計画船、スタンダードの型ではどうしても競争ができないのです。だんだんスーパー型式になって大きくなりつつある。聞くところによると、呉のアメリカに貸与しておる造船所では、本年度は八万トン以上のタンカーを二隻も建造する。これは世界の港にそう簡単に入港できるような船ではなくて、非常に大きなものでありますから、ただ商業用にのみ使われるものとは考えられません。しかし今の計画造船による重量トンで一万二千トン、このような程度のものよりもはるかに大きくなって、二万トン、三万トンの型式になって、スーパー式になることは間違いないです。そうなると計画造船でも、やはりそれに対応するために型式を変えていかなくちゃならぬと思うのです。そうでないと太刀打ちできなくなると思うのでありますけれども、今までの型式をなおそのまま踏襲していかれるつもりですか。あるいは本年度の計画から、さらにスーパー式に大型化していかれる計画はないのか。これを承わりたい。
#90
○吉野国務大臣 ごもっともな点でありまして、われわれもその点を考慮して、いわゆるスーパー・タンカーというものを取り入れたいと思っております。ただその八万トンはどうか知りませんけれども、御承知の通りに、日本の今の港湾の設備では、三方トン以上でもどこへでもというわけにはなかなかいきませんから、製油所が全国に偏在している日本の現状においては、一万トン級のタンカーなどもまたそれだけの用途はあると私は思う。しかし世界の立場からいえば、お話の通りのような点がございますから、これが一つは港湾の設備の改良という点にもからんでくるのでありまして、将来の趨勢としてはどうしてもそういうふうになるのがほんとうだと思いまして、御承知の通りに、去年すでにスーパ一・タンカーを一隻でしたか、建造を許しました。あとことしもその程度のものは当然でありますが、さらにもう一歩それに踏み出すか踏み出さないかということが今考えなければならぬ問題だと、率直に申して私としては考えているところであります。
#91
○山口(丈)委員 従って計画造船においてももちろん変更を加えるとともに、外国との間における油輸送の計画においては、これと競争するためには、日本の海運の再編成にまで発展すると同時に、国内の港湾施設においても大型艦を受け入れるような港湾施設を当然なしていかなければ、将来この油輸送の状況に応ずることは困難だと思うのです。これは答弁を求めようとは思いませんが、そういうような根本問題についても一つ十分に考慮をして計画を進めていかれるようにお願いいたしたいと思います。
 非常に長らく質問をしましたが、これをもって終ります。
#92
○松山委員長 暫時休憩いたします。
   午後一時十五分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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