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1955/02/03 第24回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第024回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第2号
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1955/02/03 第24回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第024回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第2号

#1
第024回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第2号
昭和三十年十二月二十三日
 原健三郎君が委員長に、臼井莊一君、木村文男
 君、中馬辰猪君、中山マサ君、堀内一雄君、櫻
 井奎夫君及び戸叶里子君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
昭和三十一年二月三日(金曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 原 健三郎君
   理事 臼井 莊一君 理事 木村 文男君
   理事 中馬 辰猪君 理事 中山 マサ君
   理事 堀内 一雄君 理事 櫻井 奎夫君
   理事 戸叶 里子君
      逢澤  寛君    高岡 大輔君
      田中 龍夫君    仲川房次郎君
      眞鍋 儀十君    受田 新吉君
      河野  正君    三鍋 義三君
 出席政府委員
        外務政務次官  森下 國雄君
        厚生政務次官  山下 春江君
        郵政政務次官  上林山榮吉君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (アジア局第二
        課長)     小川平四郎君
        厚生事務官
        (引揚援護局総
        務課長)    中村 光三君
        厚生事務官
        (引揚援護局引
        揚課長)    瀬戸新太郎君
        厚生事務官
        (引揚援護局援
        護課長)    大崎  康君
        郵政事務官
        (郵務局次長) 渡邊 秀一君
    ―――――――――――――
一月三十日
 ソ連未帰還同胞の帰還促進等に関する陳情書外
 二件(小樽市稲穂町東七丁目全国樺太連盟小樽
 支部長糸井勝則外二名)(第四九号)
を本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭に関する件
 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件
    ―――――――――――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する件について調査を進めますが、本日は、昭和三十一年度における海外同胞引き揚げ関係及び遺家族援護関係の予算の概要、及びそれに伴う施策について、政府当局より説明を求めることといたします。
 まず最初に、厚生省当局より説明を求めます。山下厚生政務次官。
#3
○山下(春)政府委員 三十一年度の引き揚げ関係その他についての予算の概況を御報告申し上げます。
 未帰還者留守家族等の援護に必要な経費につきましては、昭和三十年度の実績を基礎として、その後の引き揚げ人員等を勘案し、四万三千六百十九件分、約十四億六百万円を計上しております。この経費は、未帰還者留守家族等援護法に基き、留守家族に手当を支給し、未帰還者が帰還した場合に必要な療養の給付等を行うために必要な経費であります。なおこの法律におきましては、過去七年以内に生存資料のない未帰還者の留守家族に対しては、本年八月以降手当の支給を停止することになっておりますが、この規定は、その時期までには未帰還者の状況についての調査、究明及び未帰還者の帰還を進捗せしめ、消息不明の未帰還者はほとんどなくなるような状態にならしめたいという努力目標に基いて定められた規定でありまして、国際情勢の現況から判断して、消息不明の未帰還者について、法に定められた本年八月までに調査究明を完了することはきわめて困難であると思われますので、政府といたしましては、右の手当打ち切りの期間を延長するよう法律改正の準備をいたしております。従って昭和三十一年度予算案には、この延長を見越し、年間分の経費を計上いたしております。
 次に、海外邦人引き揚げ等の処理に必要な経費について申し上げます。この経費は、昭和三十一年度における引き揚げ見込み人員を、一応、ソ連、中共地域より二千八百人、その他の地域及び巣鴨釈放者が三百人、合計三千百人と見込み、約六千百万円を計上いたしております。この経費の内容は、引揚者に対する帰還手当の支給、給養、援護物資の支給その他の援護を行うに必要な経費及び北海道に設置されております引揚者集団収容施設の補修費約八百万円がおもなものであります。
 このほかに、住宅対策として、建設省所管第二種公営住宅予算のうちに、昭和三十一年度新規引揚者分として二百三十戸、北海道に設置された老朽兵舎等の引揚者集団収容施設の疎開住宅分として五百戸がそれぞれ計上されております。
 なお内地における引揚者集団収容施設の整備についても、明年度予算において措置すべく財政当局とも種々協議いたしたのでありますが、遺憾ながら、国家財政の都合等により、当初予算に計上することはできなかったのであります。しかしながら、この問題はこのまま放置することもできない実状にございますので、今後これが実現につきましては、さらに努力をいたす所存でございます。
 なお戦傷病者戦没者遺族等援護法施行に要します経費につきましては、昭和三十年度は、遺族年金、傷害年金及び傷害一時金の支給に要する経費として三十一億千七百十二万五千円、事務費として中央分五千四百三十八万二千円、都道府県委託費として二千二百八十八万九千円が計上されているところでありますが、昭和三十一年度予算につきましては、遺族年金及び傷害年金の支給に要する経費として三十五億二千四百二十四万一千円、事務費として中央分四千八百六十七万円、都道府県委託費として二千百四万九千円が計上されております。遺族年金及び傷害年金の支給に要する経費について見ますと、昭和三十年度に比較して四億三千四百二十八万円の増額となっておりますが、これは昨年八月の遺族援護法一部改正による年金額のベース・アップ、すなわち遺族年金額が二万七千六百円でありましたものが、昨年十月から三万一千五円に、本年七月から三万五千二百四十五円にベース・アップされたものによるのでありまして、このベース・アップは、兵の公務扶助料額のベース・アップと同様であります。
 なお、ソ連地域抑留者に対する慰問品の送付につきましては、明年度予算案には計上されておりませんが、国会の決議の趣旨も尊重いたしまして、とりあえず、本年度におきまして予備金を支出して、抑留者全員に慰問品を送付するよう折衝中でありますので、明年度につきましては、おおむね本年度の例に準じ措置する考えであります。
 以上、御報告申し上げます。
#4
○原委員長 次に、海外同胞救恤のため記念切手を発行し、慰問品の送付、救恤運動の基金をこれによってまかなう計画を持っておりますが、これに対する法的見解及び説明を郵政省当局より求めることといたします。上林山郵政政務次官。
#5
○上林山政府委員 海外同胞救援のために、郵政省としても積極的に協力をしなければならぬということは、いうまでもないことでございますが、ただいま、そのために記念切手を発行することが、どういう状態になるかということだけを、まず御説明申し上げたいと思います。
 切手は、御承知の通りに非常に国際性を持っておりますので、これを慎重に取り扱わなければならぬのではないか、たとえば、竹島の問題について記念切手を云々といわれたときに、日本側が非常なる刺激を受けたことも事実でございます。またドイツが、御承知の通りに抑留者の援護のために発行した切手がソ連圏との間に非常にトラブルを起しまして、一時いろいろな支障を来たしたことも事実でございますので、できるだけ慎重にこれをやっていかなければならない。もちろん法的根拠においては、これは当然にできるわけでございまして法律上からいいますと、何ら支障はないものと私どもは認めておるところでございます。
 なお、切手を発行せずして、何らかの形で、たとえば慰問品を送ることに対する協力をせよ、こういうことがございますれば、われわれとしましてもできる限りの具体的な協力を申し上げたい、こう考えておるところでございます。
 一応、これだけを申し上げておきたいと思います。
#6
○原委員長 これにて政府の説明聴取を終ります。これより質疑を行います。
#7
○三鍋委員 引揚者に対するいろいろな援護法は、もちろん当委員会でも審議されまして、不十分ではありますけれども、対策を講ぜられておるのでありますが、私は、主人公――抑留されておる人の問題が、今までどれほど考えられてきたかということについて疑問を持つのです。いわゆる主人公の問題が、私はやはり中心にならなければならぬと思うのです。そういう観点からいたしまして、現在までに抑留されている人に対する当委員会の対策はどのように行われていたか。それから今、慰問品とか記念切手の発行といったような問題が出ております。私はそれももちろん大事でございますけれども、実情を十分調査して、もう少し根本的にこの対策を講ずる必要があるのじゃないかと思いますが、政務次官はこれに対してどういうお考えでございますか、お聞きしたいのです。
#8
○山下(春)政府委員 従来抑留されておられます方々に対する慰問は、赤十字社が中心になりまして、それぞれの留守家族の方、あるいは一般の皆様方からお寄せ願ったものを送っていたのでございまして、国がこれの主体になって送りますということには、今日まで至っておりませんでした。今回、先ごろお引き揚げになった方のいろいろなつぶさな収容所内における生活の実情を承わり、なお本委員会におかれまして、それに対する救援の方途をすみやかに講じよという御決議がございましたので、厚生省は直ちにその用意をいたしました。収容されておられます方々のぜひともしなければならない必要品を、お話を聞いて、それに基いていろいろ調査いたしまして、さっそくお送りいたすように準備を整えて参ったのでありますが、ちょうど予算編成期にぶつかりましたので、あわせてこのことも予算の要求をいたして参ったのであります。大体一人当り二千円くらいな品物を、毎月国がお送りするという建前で折衝をいたしておりましたが、ちょうど予算編成期のために、この問題が押せ押せにあとへ押し残されましたような形になりました。ただいま折衝をいたしておって、至急に第一回分を発送いたしたいと考えております。国が、この委員会の御決議等もあって、慰問品を発送するということの最初のことになると思いますが、今後継続してお送りをいたしたいと考えております。
#9
○三鍋委員 いろいろ訪ソ議員団その他の、抑留状況を視察してこられた方々の情報によって、そういうお考えになったんだろうと思いますけれども、もちろん議員団の調査された、そして実態をつかんでこられたそのことを、どれほどまでに実態をつかんでこられたかという疑問を持って私は申し上げるのではないのですけれども、やはりもう少し国が、国の立場でこういう実態を詳細に調査する必要はないか。そして、それに対して適切なる処置を講ずるということが、やはりとらなければならぬ処置である、こう思うのでございます。今、政務次官がおっしゃったような処置は、三十年度予算で大体どれくらいの予算を確保されるお考えなのでございますか。そして明年度は、これに対してことしと同じようなことをおっしゃいましたが、どれくらいな見込みでおられるのでございますか、お聞きしたい。
#10
○山下(春)政府委員 今申し上げました、ぜひとも必要なものをお送りして差し上げたいと考えましたそれは、訪ソ議員団の御報告もありますが、直接にお帰りになりました帰還者の皆様からつぶさに承わりました。従いまして、大体今厚生省が用意をいたしておりますものは、ラーゲルの中で生活された方々の御注意から出たものでございまして、調査には粗漏はないものと考えております。そのほかに、ビタミンとかその他の薬品類につきましては、外務省の方で特に折衝をしてくれまして、従来それらの薬品は一切手に渡っておらなかったのが、新聞、雑誌あるいは薬品等は、すでに、送付すれば入手できるような形になっております。そこで、あとは厚生省が送ります慰問品だけでございますが、これは大体三十年度必要予算として八百万円を要求いたしました。これは今申し上げましたように、抑留者の方々お一人に大体一ヵ月二千円見当の品物をお送りして差し上げたいというので、要求をいたしておる次第でございます。
#11
○三鍋委員 ただいま、次官からのお話の中に、新聞、雑誌の件が出たのでございますが、これはどうですか、直接本人に渡るように処置できておりますか。
#12
○山下(春)政府委員 さようでございます。直接、どなたからでも御本人に送ってよろしいことになっております。
#13
○三鍋委員 大体政府の御見解を承わったのでございますが、今後ともこの問題を十分御検討なされ、善処していただきたいと思います。
#14
○原委員長 ちょっと私からも補足してお聞きしておきます。昨年十二月、本委員会において、すみやかに政府が救援物資を抑留者に送るよう決議をいたしまして、政府が尽力されていることは多とするものであります。れで一体、慰問品はいつごろでき上って、いつごろ向うへ届くか、そういう具体的なことをもっとこまかく伺いたい。ただ急いでおりますだけでははなはだ心もとない。昨年十二月決議され、一月を過ぎてしまった今ごろでも、急いでやりますでは、どうもはっきりしない。一体どういう方法でいつごろ届くのであるか、もっとしっかりお答え願いたい。
 それから、三十一年度予算は一体どのくらいとるつもりであるか、その見込み等もあわせてここで御明答をお願いいたしたいのであります。
#15
○山下(春)政府委員 三十年度分の今申し上げました慰問品に必要な予算は、一両日中に決定をいたす予定でございます。決定いたしますれば、品物その他の手配はすでに以前からいたしておりますので、直ちにそれを作ることができる状態になっております。どうして送るかということになりますと、これは今ちょっと明確なお答えができませんが、いろいろなルートが研究されて、どのルートを通ることが最も短時間に到着するかということでございますが、これは全く私個人の見解で、事務当局からまだ聞かないのでございますが、ソ連から十名の方をお帰しするという報道が新聞に伝わっております。たとい十名であろうと一人であろうと、帰すとならばお迎えに行くべきであろうと考えられます。そこで、できればそのお迎えに行く船に積んでナホトカへ持って参りますことが、一番近道ではなかろうかと、私ひそかにそういうふうに考えておりますので、そういうことができれば、たとい十人であろうと一人であろうと迎えに行く方途を講じて、その船に乗せて持っていきたい。これはただいまのところ私個人の考えでございますが、私はさように念願をいたしております。
#16
○中山(マ)委員 関連して。今の政務次官のお考えは、私どももこの間ちょっと理事会で話し合いましたときも、どのルートが一番早いか、確実かというお記をいたしておりましたが、今後その十人の方がお帰りになるときが一番直行であろう、ぜひこれでお願いしたいということを、おとといでございますか、理事会でも考えておりましたので、ぜひ一つその一番確実な方法で、私どもは政務次官の政治力に大きな期待をかけておりますので、これを実現いたしていただくように、省内でおまとめいただくようにお願いいたしたいと思います。
#17
○櫻井委員 ただいま上林山政務次官のお話で、慰問品基金募集切手のことについていろいろ御説明があったのですが、この問題は、われわれの考えているのは、単に資金を集めるということばかりでなく、場合によっては、むしろ国際的な世論なり関心を喚起したい。また国内における世論ももっと強めたい。さらには、切手が添付されてあちらの抑留されている方の手元へ届けば、内地の同胞もこれだけわれわれのために力を入れてくれているのかという、精神的な大きな交援ともしたいというところにねらいがあるのです。ところが、それが国際的に側か逆効果を来たすような懸念があってはというような御配慮に基くような御説明があったのであります。この点について何か、ソ連の方としてはもちろん望ましいことではないと思うのですが、その望ましいことでないことの根本を解決することは、帰してもらえれば一番解決する、そういうところに、決していやがらせではないのですが、正当な人道主義的な立場に立っての輿論を起したいという大きなねらいがあるわけなんであります。ドイツにおいてもやはり同様のことをやり、またある一定の日には、気笛を鳴らして帰還者のために健康を祈り、すみやかに帰らんことを祈ったというようなことも聞いております。ソ連とドイツとの間の何かトラブルの問題があったということですが、具体的にどういう問題がありましたか、もし御承知でしたらお伺いしたいと思います。また、この点について外務省の御見解も伺えれば幸いだと思います。
#18
○上林山政府委員 この問題は非常に大事な問題でございますので、郵政省としても、引き揚げを促進するためには、積極的に御協力をしなければならぬ立場にあるということは、先ほど申し上げた通りであります。それを切手を通じてということになりますと、先ほども申し上げました通り、非常に国際的に関係が深く出てくる。日本においては、御承知の通りに、ただいまロンドンにおいて引き揚げ促進を含めた外交交渉が行われておるやさきでもございますし、先ほどソ連圏というようなことを申し上げましたが、東ドイツと西ドイツの関係においても、そういう抑留者の記念切手を張ったものはほとんどそのまま送り返された、こういうような具体的な事実もありましたので、この点は慎重に考えるべきではないだろうか。国内的なことを申し上げますと、終戦直後赤十字社が非常に財政的に困難であるというので、切手を発行してこれを援護しよう、こういうことをやったのでございましたが、これも三年がかりでようやく予定のものを消化したというような状態でございまして、成果をおさめることはできなかった。なお、郵政省といたしましては、切手はきわめて美しいもの、あるいは意義のあるものを一年に二回なり三回なり発行いたしまして、広い意味における社会福祉事業もしくは学術文化事業などに、それで得たきれいな金を使っていくようにしたいというので、法案もただいま改正を用意いたしておるところでございますので、かたがた慎重に考えてみなければならぬのではないかというのでございます。
 なお、何らかの方法で、先ほども申し上げました通り、これに協力せよということでございますれば、郵政省といたしましては、その他の方法で御協力申し上げる道もあるのではないかというようなことをかたがた検討中でございます。
#19
○小川説明員 ただいま上林山政務次官から御答弁のありましたドイツの件、これは私もそういうことがあったということを聞いておりますが、ただいまちょっと資料がございませんので、詳しく、どういうことであったかということは承知しておりません。それから竹島の件も、これは特に日本の方で非常に問題があったのであります。そういう点で、出した手紙が向うへ届かぬということになりましても、郵政省としては非常にお困りのことでありますので、それの影響については慎重に考えなければならない。たとえば表現をどういうふうなことにするかということであれば、これは緩和できるだろう、そういうような点で、もう少し郵政当局と御連絡いたしたいと思っております。
#20
○逢澤委員 関連して。ただいまの臼井さんのお尋ねに対する御答弁で、大体その輪郭はわかったのですが、しかし私ども、この委員会がこんなことを強調するというその趣旨が徹底していないのではないか。それは今の上林山政務次官の説明によると、法的には支障はないのだ、しかし国際的や政治的に支障があるのだ、こういうお話なんです。ところが、この委員会の気持は、政治的に解決しようとしているのです。われわれ同胞が、ああいうとこうで非常に困っておる。視察をした人の話を聞いたり、帰還者の話を聞くと、実に耳にするに忍びない実情がある。その実情を国民的に、国家的に打破していかなければならないのではないか、これが当該委員会の一番の責任ではないかということから出発しておるのです。こういう意味だから、政治的にはぜひ必要なのです。端的にいえば、この切手が国際的によその方へ出るという場合は、使わなくてもいい。国内の国民の気持を高揚するというところにこそ委員会としてのねらいがあるのだ、こういうようなことから考えると、熱心に御研究はいただいておると思うのだが、そういうような意味合いで、一つもう一ぺん御研究をしていただくのが必要だと思う。ただ、今お話があったが、これが二年も三年もかかるようであれば効果はない、むしろ逆効果だと思います。われわれとしては、これの解決は、なんぼ長くても、ことし中にはまるっきり長してもらわなければならないということを目標にしておるのですから、それが二年も三年もかかるようであれば、むしろ逆効果になる。そんなことならやらない方がいい。とにかくことし中にはぜひ戻ってもらわなければならない。それには国内的に、こういうような国民的な気持が沸いておるのだということを国際的に聞かしてやらなければならないのではないかというのが、この委員会のねらいである。この点を一つお考え賜わりたい。
 それからもう一つ、今、政務次官から、ほかの方法ならば考えがあるというお話があったのだが、その考えておることについても、一つこの機会にお聞かせいただければ仕合せだと思います。
#21
○上林山政府委員 引き揚げを促進しなければならない、抑留者が非常に苦んでおられる、この問題については、もう再三お答え申し上げました通り、この委員会と同じ気持でございます。だからできるだけ委員会の御希望に沿うように研究もし、努力もしなければならないと思いますが、もし切手に集約されて、というようなことがあれば、先ほど申し上げました通り、国内的にこれを発行する場合においても、あるいは国際的にこれが影響を及ぼすことが多いのだ、だから慎重を要する、こういうように私どもは考えておるのであります。またほかの方法において――これも国民の輿論であるのでございますから、ほかの方法において引き揚げを促進する効果のある方法も別途にあるのではないだろうか。これは政治的な問題でございますので、ここで多くを申し上げませんが、並びに郵政省として何か具体的にこれに協力する方法があるというておるが、あるのか、こういうことになりますと、これも結論はまだ得ておりませんが、私限りの責任において申し上げますと、ただいま皆さんの御審議を煩わさなければならぬ法案が用意されております。それは、例の年賀はがきに対する芥付金のついておるものの関係法案でございますが、われわれといたしましては、あれをもう少し拡大いたしまして簡単に言いますと、美しい切手といいますか、非常に意味のある切手といいますか、国民が喜んで買ってくれるような切手で、ことに最近は切手収集家というものが、だいぶ日本も国際的になりかけまして、今、相当人数がふえておりますので、そういうような人たちが喜んで買ってくれるような態勢というものを、一年間を通じて、これから適当な時期にやってみようという含みを持っておるところでございます。ただ今当委員会で慰問品を送るために、経済的に何か必要である、こういうのでございますれば、私がただいま申し上げたような方法その他にも考えておることがございますが、ここでまだ発表することは少し早いかと考えますので、そういうような含みにおいて、積極的に御協力申し上げてみたいものである、こういうように申し上げているわけでございます。政治的にどうだ、国際的にどうだと大きく御質問を受けますと、私も簡単に答弁がただいまできないところでございますので、この点は一つ御了承を願いたいと思います。
#22
○中山(マ)委員 ただいまドイツの場合のお話が出ましたが、これは結局引き揚げ促進という政治的のみのねらいであったのではなかろうかと聞き及んでおります。私どもがねらいますところは、前の委員のお話は、政治的にもあるのだが、しかし私どもは、政治的のみでなく、一番大きなねらいは、結局慰問品を送るという気持を国民にも起させる。数がだんだん減ってきておりますから、何だかすみっこの方に押しやられたような感じを家族が持っておることは確かでございますから、私はそう小さくいらいらと神経質に郵政省がお考えになる必要はないのじゃないかと思うのでございます。外務省あたりから郵政省に、こういう問題について横やりが入ったのでしょうか。郵政省は法律に従って行動をされればいい省であって外交関係から問題が起きることを処理するのは、ちゃんと厳然と外務省というものがあるのですから、外務省から郵政省にそういうことをしてもらっては困るというさしとめがいけば、これはまた、あるいは国家的見地から考えなければならないかもしれませんが、人の心配まで郵政省がお引き取りになって、やいやいと、こうであろう、ああであろうとお考えになることは、少し行き過ぎではなかろうかと私は思うのでございます。外務省も、このことについて考えていただきたい。切手のついたものを送り返されたというお話を聞きまして、まことに気のせまい人間が世界にはたくさんおると思うのでございますが、いやしくもこの問題は、すでに国連でも取り上げて、世界の目の前に提供したのですから、そういうことをおっしゃっていただきますと、この引揚委員会もやめなければならぬということに、極論をすればなると私は思うのです。それほどソ連に気がねをなさるのでしたら、この委員会も解消してしまって、外務省一本でお願いしておかなければならぬというような、まことにおかしなことに追いやられると思います。女の私が男の先生方に、もっと度胸をお出しなさいと言うのもおかしな話ですが、もっと大きくなっていただいた方がいい。私が郵政政務次官なら、あえてやってみると思うのです。そしてもしそれに対して反撃がきたら、そのときには考えてもいいじゃないですか。そこまで気がねしていただくのは、四つの島に閉じ込められたほんとうの小国民になってしまったという感じを私は受けるのでございます。少し肝っ玉を大きくしていただくわけにはいかぬものでしょうか。せっかくこの委員会でも皆が真剣に話していることですから、私は郵政省の方でもっと御心配なくやっていただきたい。私は外務省の御意向もこの点について承わっておきたいと思います。
#23
○上林山政府委員 大きなことを考えることについては、中山さん以上に考えることもあるのでございますが、ただいまのお話に対して、何か外務省から横やりが入ったのじゃないかという御質問でございますけれども、そういう事実はございません。しかも 御承知だと思いますが、中山さんは国際的に非常に研究の立っておられる方でございますから、よくおわかりと思いますが、郵便というものは、国際的にはできるだけ中立性を守るという精神、そういうような方針で、元来も、これは私どもの就任以前からずっとそういうような方針できておることも御承知だと思います。そういうような意味から考えましても、慎重を要すると考えますので、何もほかに方法はないかということになれば、ほかにも方法はある、こういうことでございます。
#24
○中山(マ)委員 中立というお話は、私は受け取れないのでございます。これは人道問題でございますから、人道問題に中立があるのですか。私はおかしいと思うのです。これは人道問題でございまして、これには左も右もない、中立もない。ただ一本やりじゃなかろうかと思うのでございます。人道問題に立つてのこの委員会でございますし、郵政省が中立をお守りになることは、それが郵政省の基本原則であれば、これはまあそれでよろしゅうございますが、私どもは人道問題を掲げていっているのでございます。この人道問題に中立があろうはずがないという観点から申しますれば、当然帰ってくるべき人が帰れない、しかもまた私も舞鶴へ行って、若い人が歯がぼろぼろになるほど栄養不足であるという現実を見てきております。こういうのを見て、見るに忍びないから何とかしようということでございます。私はこういうことで、山へ登るとか、いろいろな問題でだんだんと新しい切手をお出しになって、オシドリが二羽水の上に乗っているような切手も私昨日買いましたのですが、そういうのが中立であれば、まことに妙な中立であると私は思うのです。私はもう少し一つ人道的に出ていただいて、なぜ中立を守らないかともしだれかが言ったら、人道に中立はないという、私どもこの委員会の考えましたことを一つお考え願いたい。できるだけ当らずさわらずやっておった方がいいのだというお考えかもしれませんが、それでは私は情ないと思うのでございます。法的にこれが可能であり、また外務省もこれに横やりを入れないというのでございますれば、私はさしたる御心配はいらないと思うのでございまするが、外務省ともお打ち合せいただきまして、御回答いただくわけには参りませんでしょうか。
#25
○上林山政府委員 私は中立と申し上げないで、中立性というようなことを申し上げたのでありますが、それをもう少し申し上げますと、郵便は御承知の通り各国に行くべき性質のものでございますし、政策に関連のあるようなことを記念する切手の発行ということは、よほど慎重に考えなければならない。こういうことを申し上げたのでございまして、何も一切がっさい中立を守らなければならぬという意味で申し上げているのではございませんから御了解を願います。なお、たっての御主張でもございますので、私ここで一存で御回答もできかねますから、外務省その他とも相談を申し上げて、できるものならば御希望に沿うようにいたしてみたい、こういうように考えております。
#26
○小川説明員 実は、外務省の方からとやかく申したことはございませんで、そう非常に大きな影響を与えるかどうかということは、私個人としては疑問に思っておるのでございます。ただ、そういうことで、たとえば向うが受け取りを拒絶するということになりますと、郵便業務として非常に支障が起ることじゃないかと思います。その点を十分検討しなければならぬ。先ほど申しましたように、たとえば切手の表現を変えて、抑留者というような言葉は使わないでもできるかとも思いますし、その点は私どもも十分考えなければいかぬと思いますが、先ほど申しました郵政業務に支障を生ずるというようなことがありますれば、非常に困ったことになると思います。その点はただいま政務次官のお話のように、さらに御連絡をしてみたいと思います。
#27
○木村(文)委員 ちょっとおそく参りまして申しわけないと思っておりますが、きょうの私の質問せんとしておることは、郵政省に対する質問と希望であります。それから外務省の見解も後ほどただしたいと思います。
 多分同僚の委員の諸君からもお話があったろうと思いますが、この切手の問題は、われわれ当委員会としてはきわめて重大なことなんです。そこで第一にこの切手を発行してもらうという、そのねらいであります。多分意を尽しておられると思いますけれども、今までの御答弁によりますと、認識を改めてもらわなければならぬという考えから、私重複になっても重ねて申し上げたいと思う。その一つは、引き揚げの促進の国民的な運動の問題である。いわゆる民族精神の問題も加味している、こういうこと。もう一つは、精神的な一つの面であります。物質的な面からいうと、これは慰問品の問題であります。たとえば他国であるドイツから、われわれの同胞が慰問品を毎日三個ずつ恵まれているという事実がある。こういうようなことで、われわれは同胞としてそれをそのまま見ておくことができるかどうか。それにはいろいろの方法があるでありましょう。しかしドイツでも現にそれをやっている。こういうようなことを考えてみましても、私はどうしてもこの切手を発行して、物心両面の――こまかく分けるとこれは一石十鳥にもなるような方途であります。法治国の中にあって、国家の組織機構の中にある行政機関の一端であるところの郵政省が、これをはばむ理由がどこにあるか。今、中山同僚委員からも申し開きがあったように、いろいろ法的に見ても可能である。外交上の問題であるというようなお話もありましたが、それは方法を改めればいいのであって、たとえば今の外務省のアジア第二課長の答弁にもありました通り、一個人としては当然の話であるような御賛成の意見もある。ただ国際上から見て、抑留者という言葉を使ってはどうかというような御見解の相違はあるかもしれないけれども、これは是正すればいいのである。要は、郵政省は、究極のところ、やる腹があるかどうかということを私はただしたい。
 それからもう一つは、政務次官は先ほど釈明されたようであるが、中立性の言葉を出した。私はこれはもってのほかであると思う。人道上の問題を取り上げ、しかも国連がこれを十分に認めておる。その問題を、政務次官が、郵便というものは中立を守らなければならぬ、中立性というようなことによって、この問題に対する郵政省の見解を曲げるといいますか、そういうようなお考えを持つということは、日本の行政に携わるところの方としては、十分考え直してもらわなければならぬ、私はこう思います。でありますから、要点を申し上げますと、私の要求するところは、精神的な面からいっても、物質的な面からいっても、われわれはどうしてもこの切手を発行してもらはなければならないが、その大きな決意をしての考えを持っておられるかどうか。私は、同僚の諸君の御質問があったろうと思いますが、これは自分でも提案いたした問題でありますので、特に重ねて申し上げたい。
 そのお答えを願う前に希望があります。一つは、事務当局としての、郵政局長かだれかおるでしょう。その担当の局長がおられるならば、事務当局としての事務的な技術の面においてどうかを伺いたい。政務次官は政治家として、与党から派遣されている立場において、国民の代表であるが、政務官として、もう一ぺん中立性の問題についての見解をさらに明確にお答えを願いたい。外務省は、アジア第二課長は、個人の見解としてのお話がございました。そのほかの、つまり抑留者という文字についての言葉の問題もありましたけれども、アジア第二課長の立場においては、自分の意見を堂々とはけるという自信があるかどうか。この三つの点について、お三人の方にお答えを願いたいと思う。
#28
○上林山政府委員 先ほど申し上げました通り、人道問題に対して、郵政省が中立でなければならぬという意味は全然ございません。私が、中立性をできるだけ守らなければならない方針を長い間郵政省がとっておるということを申し上げたのは、先ほども説明しました通り、政策に関連のあるような記念切手を発行することは、今までできるだけ遠慮してきた、こういうことを申し上げたのでございますから、そういう意味にお願い申し上げたいと思います。
 なお、これを発行する意思があるかないか、こういう御意見でございますが、先ほども申し上げました通り、外務省あるいはその他とも相談を申し上げまして、できるだけ御希望に沿うように研究、努力していきたい、ただいまこういうことを申し上げる以外に、私自身お答えのしようがないのでございます。
#29
○木村(文)委員 今、政務次官は、政策に関する問題は取り上げたくないという長い間の御方針だ、こうおっしゃった。これはおそらく社会党の方もそうだろうと思うが、わが党も、別に政策として掲げる問題というよりも、もっと大きな世界的な人道問題と考えておる。それを何のために、今ここに中立性ということを出して、この政策の問題は取り上げたくない、取り上げない方針であるというような言葉を言わなければならぬのか、私ははなはだ残念だと思う。今われわれが郵政省に何を求めているかというと、発行なんだ、理由ははっきりしておる。しかも一石十鳥の理由をあげておるのです。その理由をあげて、超党派的にこの問題を推進しようとしている。その場合に、政策の問題は取り上げないで、むしろ外務省に納得させるだけの自信を持って交渉してみますくらいの強力なる御発言をむしろ私はほしかった。そういう意味で私はこの問題を今重ねてお尋ねしているわけであります。中山先生がお尋ねをし、しかもわが党の所属でありますので、私は何ら重ねて申し上げる必要はないのでありますが、政務次官に、このあと外務省に交渉するに当っても、この他に交渉するに当りましても、郵政省がわれわれに協力して、これを担当し、ぜひとも実現したいという意気込みの発言がほしいために、私は重ねてこうして申し上げているのであります。その決意を持ってないかどうか。またこれは、われわれの常に尊敬している厚生政務次官の山下さんは、その道のエキスパートである。こういう人が政府当局にいれば、横の連絡がとれる。そういう意味において、山下さんも動員して、きっとやるように努力するというくらいの御熱意のある御発言がほしいために、こうして申し上げているのであります。その熱意があるかどうか、重ねてお尋ねしたい。
#30
○原委員長 厚生政務次官は、参議院の呼び出しがあるそうですが、この際厚生政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。
#31
○山下(春)政府委員 ちょっとお許しを得まして、先ほど三鍋委員の御質問に対しまして、私の答えました中で、薬品という言葉を使いましたが、ちょっとずさんでございましたので、そこに誤解があるといけませんので、直接に送ってよろしいものの内容を明確に申し上げておきます。新聞は二部でございます。雑誌も二部、それから語の辞書も二冊、それから先ほど薬としましたところは、ビタミン剤、肝油等の栄養剤に限っております。それから縫い針あるいは小さなはさみ、つめ切り、それから安全かみそりの刃でございますと二ダースでございます。それからなお一般の書籍、それから通信文、書類、酒類、それから骨ばい、時計、薬品、刃物類で、告示に掲げられましたものを除く他のものは従来通り送ることができない、こういうことでございます。その点を明確にしておりませんと、私、薬品と申しましたので、どんな薬でも行くということで御迷惑がかかるといけませんので、訂正させていただきます。
 それから、委員長から三十一年度の予算はどうするのかという御質問がございましたが、私お答えを抜かしておったと思いますので、申し上げます。先ほど申し上げました今三十年度分として八百万円請求いたしておりますのは、一両日中に決定いたすと思います。三十一年はすでに予算も決定いたしましたが、これは、厚生省といたしましては、予算の決定に当りまして、そのことは十分に大蔵省に折衝いたしておりますので、予備費からでも、今年度と同額のものを必ず支出してもらって、慰問品に対する資金は、必ず調達いたす覚悟でおりますから御了承願います。
#32
○原委員長 ちょっとついでですが、三十一年度は本年度と同額の八百万円でいいのですか、あるいはそれの四倍でいいのですか。
#33
○山下(春)政府委員 それは本年度送ります金額が、私どもは八百万円を要求いたしておりますが、仄聞いたす一と、もうちょっとまからぬかという話があるようでございます。(「それはちょっとよけいにするのですか」と呼ぶ者あり)減るのでございます。ですが、それは品物を差しかえまして、たとえばだんだん呼かくなりますので、その中には毛織のシャツ等がございますから、それらのものを多少工夫いたしますれば、あまり品質を落さないで、金額の点では同じものが送れると思います。三十年度にきまりましたものと同様のものをずっと引き続き送れる金額というのでございますから、一年かかれば四倍になることになります。
#34
○三鍋委員 今、内容の詳細な御説明を承わったのでございますが、私が聞いたところによりますと、ソビエト自体が野菜に非常に不足しておるということでございます。特にハバロフスクあたりの抑留者が、野菜に非常に困っておられるということを聞いたように思うのですが、その中へ、大根、ニンジンを送るわけにもいきませんが、何かこれに対する対策をお考えになっているかどうか。
#35
○山下(春)政府委員 御指摘の通りでございまして、なまではとても不可能なことでございますので、御希望の野菜の乾燥したものを用意いたしております。
#36
○櫻井委員 私は南方諸地域から引き揚げてこられた人たちの援護がまだ十分いっていないということを聞きましたので、その点ちょっと御質問申し上げたいのです。二十九年の十一月三十日に、ヴェトナムから、おとなが七十一名、子供が五名、計七十六名ほど引き揚げておるわけであります。この人たちに対して、まだ何ら援護法の適用がない、こういう訴えが来ているわけでありますが、これはやはり法の改正をしなければ適用ができないのか。もしそうであるとするならば、政府はこういう人たちにも援護法の適用を拡大するために、法の改正を考えておられるかどうか、その点もお聞きいたしたいと思います。
#37
○山下(春)政府委員 これは、私も同感でございます。ただいま法改正の用意をいたしておりませんけれども、ソ連、中共に抑留されておられた方と同じケースの方として取り扱うべきであろうと考えておりまして、まだその援護の手が伸びていないという御指摘は、そういう点もあるかと思います。これはよく調査をいたしまして、私どもはぜひソ連や中共におられた方と同等の待遇をいたす所存でおります。
#38
○櫻井委員 大体政府の考え方はわかりましたが、これは早急にやっていただかないと、もうすでに一年以上経過して、非常に切々たる訴えが来ているわけです。だからこれはどうしても法律改正に持っていかなければ、すっきりしないと思うので、早急に法の改正を用意していただきたい、この国会にでもぜひとも御提案を願いたい、こういうことを御要望申し上げておきます。
#39
○山下(春)政府委員 お考えとしては同感でございますから、よく相談いたしまして、研究をさしていただきます。
#40
○受田委員 ちょっとでけっこうですけれども、今、山下政務次官の御説明の中に、消息不明の未帰還者の調査究明が三十一年の七月で一応打ち切りになるわけなのですが、これを来年度一ぱいまで厚生省としては予算措置もしてあるということで、この点、非常に行き届いた態度には敬服をするわけです。それに対する改正法案というものをいつごろ出されるかということが一つと、それから今御説明の数字の中に、帰還予定者はソ連その他が二千八百名、巣鴨が三百名というお言葉が出ました。この二千八百名と三百名の算定基礎はどういうところに置かれたのか、科学的算定基礎というわけではないでしょうけれども、何かそこにはっきりしたものを基礎に置かれておると思いますが、その二点をお答えいただきたいと思います。
#41
○山下(春)政府委員 法律改正は、至急に提案できるように用意いたしております。
 それから人数の算定基礎は、御承知のマリク全権が手交いたしました名簿による数と、厚生省があらゆる帰還者その他の情報から調査いたしました生存確実の数字とを合せまして、大体そのような数字を出しておるのでございます。
 それから巣鴨は、大体もう戦後十年を経過いたしておりますので、今年中くらいには釈放の措置が講ぜられるであろうし、また講ぜられるべくあらゆる努力を傾けなければならないということで、巣鴨が大部分からになるであろうという考え方からでございます。
#42
○受田委員 生存確実と思われる者という数字は、これよりはもっと多いのではないかと私は思うのであります。二千八百名という概括の数字は――もしそういうことを言われるならば、二千八百何十何名というところまでをきちんとお出しになるのが筋でありまして、概括の数字を出されるということになる以上は、生存を確認されている者はすべてこれを含むという、一歩進んだもっと大きな線で数字をお出しになる方が親切なやり方であると思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#43
○山下(春)政府委員 報告が間違ったようでございます。各地から帰ってこられます方々で、生存確実と思われる方を大体七千三百人と推定いたしまして、そのうち三十年度にお帰りになれるであろうと推定した者を三千六百人、三十一年度にお帰りになれるであろうと思う方を三千百人、こういうふうに見込んで予算措置をいたしたのでありまして、今の生存確実と申しましたのは、私の頭がソ連だけに限られておりましたので、これはつつしんで訂正いたします。
 人員は、大体厚生省が予想いたしております数字の印刷物がここにございますので、もし御希望でございますれば、この資料を差し上げたいと存じております。
#44
○受田委員 いま一つ、今度援護法の改正案をお出しになるときに要望申し上げておきたい点は、未帰還手当を出す対象は、その者によって生計を維持されているという原則があります関係上、二男、三男という人は対象になっておりません。ところが戦傷病者戦没者遺族等援護法の中には、二男であろうと三男であろうと、なくなった人に対しては全部遺族年金その他が出されておるのでありますから、留守家族援護法にも――二男、三男であろうと、大事な子供がまだ帰ってこないという家庭の気持は、戦死者遺族以上の苦しみがあろうと思うので、この点につきましては、帰らざる二男、三男に対しても、戦傷病者の援護法に規定されたような意味において、その者によって生計を維持するという、すなわち長男とか生活の主体であった者と同様の措置をとるような改正案をお出しになる必要はないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#45
○山下(春)政府委員 受田委員の御質問は、私個人といたしましては全く同感でございます。十年を経ました今日、その生計依存の考え方というのは、もう不合理だと私も思います。しかしながら法律の建前から申しますと、遺家族援護の場合と趣きを異にいたしておる点もございますので、私どもとしましても、なお十分に研究をいたしますから、委員会におかれましても、この問題はなお一そうの御研究を賜わりまして、なるべく御希望に沿うような結論を出すことをむしろ私も希望いたしておるのでありますが、ただいまのところ、厚生省といたしましては、法律を改正する用意はいたしておりません。
#46
○受田委員 政府が案を出されるのがこの委員会の審査の中心になるので、援護の精神から言ったならば、戦死された遺族も、また未帰還の家族も同じ性格の援護の立場に立つのでありますので、これは恩給法とは意味が違う。恩給法じゃなくして、戦没者の遺族に対する援護においては、りっぱに二男、三男であってももう援護の手が差し伸べられている、だが未帰還者だけが二男、三男が生活主体でないという意味において取り除かれているという点においての比較検討を申し上げているのであって、恩給法を別にして、二本の援護法を同じ基準に立たさせるという意味で、政府が案を出していただくことが筋として通ると思うのであります。この点を十分御検討されて今、用意をされておらぬというお言葉でありますが、今から大急ぎで用意されていただいて、提案される以上は、再び委員会でつまらぬ論議をしないで済むように、政府の行き届いた態度をお示しいただくことを要望しておきます。
#47
○山下(春)政府委員 御趣旨は全く同感でございますので、努力をいたします。
#48
○原委員長 先ほどの質問に対する答弁を願います。上林山政務次官。
#49
○上林山政府委員 先ほどから再三申し上げます通り、委員会の御趣旨に沿うように、研究努力をいたしたいと考えております。
#50
○渡邊説明員 お答えいたします。政務次官からお話がございましたように、当委員会のお話は、われわれ事務側といたしましても十分納得いくのでありますが、ただ、先ほどから政務次官からお話のありますように、郵便切手というものは、国内で発行いたしましょうと、どういたしましょうと、世界各国を回って歩くものでございます。従いまして、そういう関係上、いろいろと国際的に関係のあるような問題、たとえば先ほどもお話がありましたが、西独が昨年八月にいわゆる抑留者を帰せといったような意味の切手を発行いたしました場合にも、若干問題が起っております。それから韓国が竹嶋を図案にした切手を発行いたしました場合にも、これもやはり日本国内におきましていろいろと議論が起っております。さような関係上、先ほどか十お話がありましたように、郵便切手の発行につきましては、そういう点を十分考慮いたしまして、慎重にやって参っております。
 なお、これは事務屋として考えると同時に、従来の慣行から申し上げますと、たとえば今度の問題にいたしましても、もちろん切手の発行ということも一つのお考えだろうとは思いますが、私どもの考えといたしますと、まず従来の慣例からいきまして、国家的なこの引き揚げ問題につきまして運動が起る、あるいは政府がそれを強力に推進いたしまして、何か記念的な行事を行われる、あるいは式典を行われるといったような場合に、それに関連いたしまして、記念切手を発行するといったようなことが従来の慣例でございます。今回の場合におきましても、もしこれに関連いたしまして切手の発行ということを研究いたしますといたしましたならば、私ども事務屋の考えといたしましては、国家的に何か運動が起り、そうして政府としてこれを記念する行事でも行われます場合に一つ考えさしていただきたい、かように考えております。
 なお、切手の発行につきましては、いろいろ技術あるいは準備といったような面で、計画を初めましてからでも相当の期間が必要であります。たとえて申し上げますと、今から計画いたしましたといたしましても、まあせいぜい六月ごろに発行できれば上出来でありまして、それから各末端に行きますのにやはり一ヵ月、ニヵ月といったような時日を要するのが実情であります。もし何か行事がございますような場合にいたしましても、そういったようなことを念頭におき、考慮しながら計画をいたさなければならないというのが実情でございます。
#51
○木村(文)委員 今の局長のお話は、事務屋だということを念頭においてのお話であるから、はなはだ失札であるかもしれませんが――私も事務屋であったときもございますので、誤解のないように申し上げますが、あなたの今おっしゃることは、きわめて狭い御見解だと思います。たとえば、国家的な問題であるが、一方国際的な影響があるということをあなたはおっしゃっておるが、そこに大きな矛盾があると思う。引き揚げの問題で何か国家的な記念の行事をやった場合に発行しても、今までの慣例からいって、これはよろしいと考えられる。一面において、国際的な問題があると言われるが、今は、引き揚げの問題で、言葉は別です、言葉は、私が先ほど申し上げましたように変えればいいわけであります。しかし今のお話では、そこに一つの矛盾があるということをお考え願いたいということが一つ。もう一つは、あなたも今、局長までおやりになっておるから、おわかりになると思います。ことに世界を回って歩く切手をお取り扱いですから、さらにおわかりになると思いますが、この問題は国連が認めている問題であり、そして人道上の問題である。それは行政的な、事務的な立場に立ってこれを考えなければならぬので、遠慮しなければならぬようなことがあるのでありましょうか。ただ西ドイツの問題がいささかでもあったとするならば、そのいささかでもあったことを、何とか少しでもないようにして事務的に処理していけばいいだけでしょう。あとは、発行することそれ自体は国連が認めておるのです。国内的においても、あらゆる政党が皆これは超越しておる問題で、ほんとうにわれわれは今あなた方に要求しておる。国外的には国連が認めておる問題である。こういうことは、事務屋としてこれ以上考える余地がどこにあるでしょうか。ただ事務屋として考えなければならぬことは、いささかの問題もないようにすることです。これは当然のことであります。そこで、いささかもないようにするためには、西独で起きた問題を、技術的に、事務的に深く検討を加えて、それをないようにする、その事務的な処理をすればいいだけの話であって、発行の趣旨においては、あなたの御心配になっておるようなことは、何らお考えにならなくてもいいと私は思いますが、御納得いかないでしょうか。その点をお伺い申し上げます。
#52
○渡邊説明員 お話の御趣旨でありますが、私が先ほど申し上げましたように、これは御承知だろうと思いますが、郵便関係におきましては、万国郵便連合というものがございまして、各国がそこでいろいろの郵便関係につきましての相談をいたしております。そういった過去のいろいろな国のやり方なんかを検討し、万国郵便連合というものの精神と申しますか、そういったものなり、過去の例から見まして、やはり今度問題になり、今議題になっておりますような意味の切手をこの際発行することは、事務屋としていかがなものであろうか。ということは、先ほども申しましたように、最近ドイツあるいは韓国で発行をした一、二の例がありまして、これは事務的にうまく処理すればいいじゃないかというお話でございますが、これは結局事務的に処理できる問題と、そうでない問題とがあるじゃないかと思います。これは相手がある問題でありまして、たとえば韓国が竹島切手を発行した、これを日本が憤慨するか、せぬかという問題で、これは立場が変って、韓国として怒るなといってみても、しょうがない問題じゃないか。ただ図案その他につきましては、これは十分研究する余地があると思いますが、さような点から考えまして、従来の慣行その他から見ますと、この発行の方法なり時期ということについては、かなり慎重に考慮しなければならぬじゃないだろうかということでございます。
 なお、私、郵務局の次長でございます。
#53
○木村(文)委員 あなたは万国郵便連合の問題をとって、その例に韓国の竹島の問題を出した。竹島は歴史的に見まして日本の島であるわけです。もしかりに百歩を譲って、それは問題ないにしても、戦争上直接の侵略だとか、それが問題だ。抑留者が終戦後今なお抑留されておるのは、人道上の問題だ。それを同じにして考えてもらっては、これは大へんな間違いです。これだけは御訂正願いたい。
#54
○渡邊説明員 今の韓国の竹島の切手の問題と今度の問題とはもちろん違いますので、おわび申し上げます。要するに、そういった対外的に発行する切手によって、微妙な影響があるという点をわれわれ十分考慮しておるということと、従来からの切手の発行の慣例等から見て、先ほど申し上げましたような考えをわれわれは持っておるということをお答え申し上げます。
#55
○木村(文)委員 それならそれでいい。
#56
○小川説明員 私、率直に申し上げまして、はなはだうかつな次第でございますが、この切手の問題は、実は切手発行自身の問題として考えておりまして、それが国外に出るということ、さらにそれが関係国に届いてどういう影響が起るかということにつきましては、切実に実は検査しておらないのでございます。そこで、先ほど個人的な見解を申し上げました。これは政府の中でも郵政省と外務省でいろいろ意見が違うということは困りますので、至急に私どもの方でも検討いたしまして、郵政省の方と連絡して、意見を合せるようにいたします。
#57
○受田委員 今その研究の資料に考えてもらいたいことがある。それは、政府が記念切手を発行する度数をあまりたくさんしては、記念切手の意味がなくなるということは考えなければならぬのであります。それに強弱をつける必要があると思うのです。それで、すでに抑留同胞の引き揚げの記念切手発行については、昭和二十四年ごろだったと思いまするが、国会でしばしば郵政省の政府委員をお招きして、このことについて特別委員会の総意をもって要望したことがあるのです。相当強力な要望をした。にもかかわらず、郵政省は言を左右にして、じんぜん月日を今日まで経過しておるわけです。こういう過去七年間にわたって怠慢を続けたということにおいては、郵政省の責任はきわめて重大だ。この点は、今になってからまだこれを考えるとか、六ヵ月先になって発行するのだから期間があるというようなことでは、これははなはだ研究不足であって、郵政省としては、その間に、今、小川課長が言われたような、外国を刺激しないで済むような意匠はどういうふうにしたらよいかというくらいのことは考えておくべきだ。そして木村委員の御発言にあったように、この問題は国連の問題であり、また万国赤十字社の問題であって、赤十字社は、公正な立場で帰還せしめるという結論を出しておるのです。中共といえども、またソ連といえども、赤十字は原則として帰還を賛成しておるのです。そうした人道問題は、中立性云々という問題ではなくして、これは世界のすべての国民の高い友愛に基く要請なのです。それを今ここであまり議論せぬで、別にソ連とか中共等に刺激を与えないで済むという意匠を考えておけば、私はりっぱなものができると思う。この点において、政府は過去満七年にわたる期間において、この切手について国会の意思が強力にあなた方へ集中されたとき以後において、いかなる努力をされたか、その努力の経過報告をしていただきたい。
 それから、まだ今になっていろいろな影響など考えておられるという点については、その経過報告の中に、そうした渉外的な事項も織り込んで御報告まただきたい。
 それからもう一つ、この記念切手を発行するについて、国際的にも、記念切手を発行する影響などもあると思いますので、みだりに乱発するということも問題だと思います。こういうものを発行するときに、郵政省の中に何か審議会があると思うのでありますが、そういう組織の中に、外務省、厚生省というような関係当局を入れて、高い立場で、一省にとらわれない立場で、こういう問題の処理に当るというような熱情がないのか。こういう点について御答弁いただきます。
#58
○上林山政府委員 過去七年間にわたって、当委員会が熱意のある要請をしたにもかかわらず、郵政省がといいましょうか、政府がといいましょうか、いずれにしても、結論を得ずに至った、その経過報告をせよということでございますが、不幸にしてそれを洋しく存じませんので、後刻調べた上で経過報告をさしていただきたいと思います。七年間かかつてもなおかつ実現しなかったところには、今論議されていること、その他にもいろいろな事情もあったのではなかろうかと想像するのでございまするが、いずれ御報告をいたしたいと思います。
 なお、その他の事務的な問題については、郵務局次長からお答えさしていただきます。
#59
○渡邊説明員 今のお話でございますが、実はまことに申しわけないことで、私はその当時は関係いたしておらなかったのでございます。また、承わったところによりますと、二十四、五年ごろにお話があったということを承わっておりますが、その当時は、先ほどからお話し申し上げたような事情で、発行をおとどまり下さったやに実は伺っておったのであります。従いまして、先生から七カ年も怠慢だというおしかりもありましたが、実はそれに対する経過報告を申し上げる資料も、そういう事情で持ち合せておりませんので、政務次官からお話申し上げましたように、よく調査いたしてみます。
 なお、切手の発行につきましては、審議会を持っておりますが、これはおもに図案のことに関係いたしまして、そのほかにももちろん発行の時期、あるいはこういうものを発行することがいいか悪いかというようなことを、その審議会に諮って発行いたすことにいたしております。
#60
○受田委員 今の政府委員の方からの御答弁によるならば、昭和二十四、五年ごろにこの国会で問題にされたけれども、議員の方も、いろいろ説明申し上げたのを納得されて、引っ込められたというような意味の御答弁があった。これは大へんな間違いである。私は当時をよく知っております。強力に政府に要望して、国民の声を代表して、抑留問題の解決のために記念切手を発行せよという請願だけでもずいぶんたくさん出た。政府は、当時占領下でもあったのですが、渉外関係のこともあるので、いろいろ考慮してやるということで、その努力を誓っておる。そのことは、当時の速記録を読んでいただけばはっきりするのであって、その後この研究を怠られたということは、明らかに政府の怠慢であることははっきりしておる。今そういう問題を、ここで新しい問題として取り上げていないという点においては、これは郵政省が、こういう記念切手などは発行に半年ぐらいかかるのだということを考えたならば、その半年の十四倍も前から研究されなければならぬ。それが解決されない。そのときにある程度の図案ぐらいはちゃんと用意されておらなければならぬのに、それさえもやっていないということは、明らかな怠慢である。何かの大会を契機とすれば、抑留同胞救出大会とかなんとかいうものが契機であるならば、その契機が今まで何回もあったのに、それを怠っておられたということは、これは非常に怠慢であったと思う。即時研究をして、次のこの委員会あたりまでには、過去の速記録もよく見、図案なども十分研究していただいて、できれば、外務省、厚生省等の関係各省の責任者をお呼びになって審議をされて、即時実施を強力に要望して、私の質問を終ります。
#61
○原委員長 委員長からも一言申し上げておきます。ただいま受田君から発言されました点、すみやかに御協議の上、本委員会に御報告あらんことをお願い申し上げておきます。
    ―――――――――――――
#62
○原委員長 この際お諮りいたします。靖国神社の英霊合祀に関する問題について、神社と憲法との関連につき、参考人として、学識経験者より意見を聴取いたしたいと思います。
 なお、先般、蒙古より引き揚げて参りました引揚者より引き揚げの事情を、また開拓団の援護及び留守家族援護法の問題について、それぞれ参考人を招致し、事情を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお、参考人の人選、出頭の日時等については、委員長に御一任を願います。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○原委員長 本日はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせ申し上げます。
 これにて散会いたします。
   午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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