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1955/12/03 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 本会議 第3号
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1955/12/03 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 本会議 第3号

#1
第023回国会 本会議 第3号
昭和三十年十二月三日(土曜日)
   午前十時二十七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三号
  昭和三十年十二月三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)
 昨日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。岡田宗司君。
   〔岡田宗司君登壇、拍手〕
#4
○岡田宗司君 私は日本社会党を代表して、鳩山総理並びに閣僚諸君に対しまして、次の諸点について質問をいたします。
 本年二月の総選挙のあと、第二次鳩山内閣が成立したのでありますがこれは衆議院において過半数を占めず、参議院におきましては、わずか二十数名の勢力しか持たない民主党を土台とするもので弱体な内閣でありました。しかも内外にわたる失政のゆえに、わが党は鳩山内閣の退陣を求めて参ったのでありますが、この内閣は本国会において危機に直面せざるを得なかったのであります。この形勢を憂慮し、また社会党の合同に刺激されまして、十一月中旬、にわかに自民両党の合同が行われ、第三次鳩山内閣はこの合同政党を土台にして組織されたのであります。だが、合同政党の政策は、与野党として激しく対立した両党の政策がチグハグのまま持ち込まれ、また人事の調整もつかず、ついに代行委員制というがごとき奇妙キテレツな制度をもって急場をしのぎましてみずからを欺き、国民を愚弄しているのであります。(拍手)総理は、昨日の演説において自由民主党の誕生と社会党の合同とをもって二大政党の対立という鳩山総理の古くから抱いておりました政治の理想形態が生まれたと言っておるのでありますが、保守政党の合同は、保守、革新の二大政党の堂々なる政争と政権の交代によって民主主義政治を確立していくという政治の理念から生まれたものではなくて、社会党の統一におびえ、社会党に政権を渡さずに、保守勢力の手に永遠に政権を保持していこうという本質的には政権たらい回しの便宜的合同にほかならないのであります。しかも自民党内には、緒方氏を初め有力な分子は、四月には総裁公選を行い、鳩山氏を引退させて緒方内閣を実現させようという含みで合同に参加しておるのであります。旧民主党系の人々のうちにも鳩山氏を引退させることを示唆しまして自由党との合同を実現した人もございます。鳩山氏はまさか四月に引退することの了解を与えまして、この内閣を組織したわけではございますまい。旧自由党系の人々は、鳩山内閣を四月までの暫定内閣と考えていて、もし鳩山総理が引退しない場合には、自民党内部から内閣の崩壊をはかるという事態の起ることも予想されておるのであります。この意味で鳩山内閣は衆議院二百九十九名、参議院百十九名を擁しておりましても、四カ月後にはがたつく弱体内閣にすぎないのであります。鳩山総理が責任ある政治家であれば、四月までの暫定という意味で内閣を組織したのではありますまい。あなたはあなたの所信を実現するためにも、長く総理として活動することを念願されておるでございましょう。
 そこでまず首相にお伺いしたい点は、一体あなたは四月に引退されるつもりであるのか、党内にあなたを引きずり落そうとねらっておる有力な勢力があるにかかわりませず、引き続き健康の許す限り続けておやりになるつもりであるかどうか、この点を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 第二に、総理はこの内閣に憲法調査会を設け、憲法改正案を作り、また選挙法の改正を行なって、自民党が両院で三分の二の議席を占める見込みを立ててから国会の解散を行おうと企図されておるのであります。鳩山総理が真に民主主義政治家であることを念願されるならば、総選挙をここまで延ばしてはならぬのであります。去る二月に成立した第二次鳩山内閣は総選挙の結果に基いて組織されたものでありまして、たとえ衆議院の過半数を占めておらなかった弱体のものでありましても、とにかく総選挙という国民の審判を受けてできたものであります。しかるに怪しげな自民合同の結果生まれた第三次鳩山内閣は、総選挙という国民の審判を受けていないのであります。総理が民主主義政治家であれば、今直ちに国会を解散して総選挙を行い、国民の審判を受くべきでありましょう。この選挙において堂々と合同社会党と争い、もし勝つならば、あなたは今のような同床異夢ではなく、もっとすっきりした保守政権を打ち立てることができるでありましょう。総理は直ちに衆議院を解散して総選挙を行うつもりがあるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。(拍手)
 さらに総理はこの所信におきまして、憲法改正を強調し、わが国を真の独立国家に立ち返らせるためには、何よりもまず国の大本を定める憲法を国民の総意によって自主独立の態勢に合致するよう作り変えることが大切であると力説しておるのであります。総理を初め憲法改正論者は、いずれも日本は独立国になったのだから、占領中外国人によって与えられた憲法は改正しなければならないとうたつておるのでございますが、これは一見もっともらしい論理でありますが、実は次のごとき国民が警戒をしなければならない内容を包んだオブラートにほかならないのであります。すなわち憲法第九条を改正して、公然と再軍備を行い、徴兵制度を復活させ、軍事同盟に参加することを可能ならしめること、天皇の政治的地位を強化し、他方国民の基本的人権を制限いたしまして、一部特権者が強権的支配を行うことを容易ならしめようとする意図を包んでいるのであります。しかもアメリカ当局は日本の再軍備を促進し、日本を太平洋における防衛機構に参加させるために憲法改正を行うことを強く要望しているのであります。本年八月末、重光外相が渡米した際、アメリカ側に、将来憲法を改正することを約束してあるのではないかと推測される節もあるのでございます。憲法改正は平和と民主主義への挑戦でありまして、わが党は平和憲法擁護のために戦い続けているのでありますが、われわれは平和と民主主義を欲する国民の支持を得まして、総理を先頭とする保守勢力の憲法改正の企図を水泡に帰せしめる確信を持っているのであります。(拍手)
 それはそれといたしまして総理自身は一体憲法のいかなる点をどのように改正したいのか、その点を具体的に示されたいのであります。またいつごろまでに憲法改正を実現したいのか、その時期を示されたいのであります。特に総選挙との関係もございますので、大体憲法調査会がいつごろまでに成案を得ることを期待しておられるのかこれらを明示されたいのでございます。
 次に外交問題について総理並びに外務大臣に質問をいたします。先ず日ソ交渉についてでありますが、ロンドンにおける日ソ会談は、今は休止しておりますが、おそらく本月中には再開されるでありましょう。今度再開されますならば、もはや今までのような長い論議が行われることはなく、妥結か、しからずんば決裂かの最後の段階に直面していると思われるのであります。そうして政府は松本全権の帰任に当りまして最終的態度を決定して訓令しなければならないと思うのであります。鳩山総理は初めは早期妥結を熱心に主張され、わが党もまた日ソ国交回復が一日も早からんことを望みまして鳩山総理の方針を支持し、鞭撻して来たのであります。自由党は日ソ交渉に賛意を表するどころか、戦犯釈放問題、領土問題について強硬な条件をつけて実際には交渉を不成立に終らせようとはかっておったのであります。しかるに合同してでき上りました自民党は、日ソ交渉につきまして、戦犯として抑留されている者を条約締結前に帰国させること、歯舞、色丹のみならず南千島を無条件に返還すること、南樺太、北千島の帰属を国際会議において決定することを方針として打ち出しているのであります。再開後の会談におきましてこの方針で突っ張り通しますならば、ソ連側の従来の態度から見ましても、交渉の成立は遺憾ながら不可能と見なければならないのであります。(「いたし方ないじゃないか、それは」と呼ぶ者あり)従来早期妥結を強調して来られた総理の心境は、合同後、日ソ交渉が不成立に終ろうともかまわないという心境に変化されたのでありましようか。わが党は早くから戦争状態の終結と、両国の代表の交換を取りきめて、先ず国交の回復をはかることを主張して参ったのであります。西独のアデナウアー首相はこの方式をもって国交の回復をはかり、条約の調印と同時に戦犯の帰還が行われ出しているのであります。われわれは今こそ西独の事例にならい、交渉の決裂を避けまして、すみやかに国交の回復をはかることが必要であると確信するものであります。総理は再開後の会談で妥結することを欲せられるのであるか。また自民党の外交方針を固守しまして譲らず、交渉の不成立もやむなしと考えられておるのであるか。この点について、はっきりとさしていただきたいのでございます。(拍手)
 次にお伺いしたい点は、重光外相が八月末に渡米されまして行われた日米会談についてであります。八月三十一日に発表されました日米共同声名は、日本の将来にとりまして重大な問題を内包しておるように思われるのであります。すなわち、日本ができる得る限りすみやかに自国の防衛のため第一次責任を引き受け、かつ国際的平和と西太平洋における安全保障の維持に寄与できる条件を確立するため云々といっておりますが、このうちにわれわれが見逃すことのできないものを含んでおるのであります。これは明らかに自国の防衛の上にさらに西太平洋地域の防衛を約束したものでありまして、明らかに日本が広く西太平洋においてアメリカと共同の軍事行動をとること、すなわち自衛隊の海外出兵を約束したものにほかならないのであります。アメリカ側がこれを歓迎したのも当然のことでありましょうが、国内におきましてはこの共同声明に対して疑惑と強い非難が起ったのであります。この反響に驚いた外相は、あらためて海外派兵に同意を与えずと言明いたしましたし、また米国国務省当局とはかって、この点についての統一解釈なるものを発表したのでありますが、いまだに私どもの疑惑と不安は一掃されておらないのであります。外相はこの会談において前国会で政府が説明することを拒否いたしました防衛計画をアメリカ側に提出し、憲法改正をいたしまして軍備を強化することを約束したのみならず、日米安全保障条約を将来相互防衛援助条約に拡大し、海外派兵の義務を負うことをあらかじめ約束したのではないかという疑惑がいまだに消えうせないのでございます。外相はさきに参議院が海外派兵反対について本会議で議決しておることを御存じと思いますが、日米会談の際に、憲法改正、相互防衛機構への参加、海外派兵について討議し、それらを約束したかどうか。また日本の防衛計画をその際にアメリカ側に提示したかどうかをお伺いしたいのでございます。さらにこの会談の際、問題となったと思われます米地上軍の撤退の問題、防衛分担金の減額の問題がその後いかに具体化されつつあるかをお伺いしたいのでございます。
 第三にお伺いしたいのは、日本の国連加盟の問題であります。カナダが提案し、二十九カ国が支持しておる十八カ国一括加盟案が、いよいよ国連の特別政治委員会に付議されることになり、待望しておりました日本の国連加盟が、ようやく具体的な段階に入りましたことは喜ばしいことと言わなければなりません。しかるに中国国民政府は、外蒙人民共和国の加盟に反対しまして、拒否権を発動する決意を表明しておるのであります。もし台湾政府が身のほど知らすに、あるいは破れかぶれになりまして拒否権を発動いたしますならば、日本の国連加盟がだめになることが明らかであります。かかる台湾政府の態度は、まことに私どもにとりましてはけしからぬと思われるのでございまして、われわれとしては、これを傍観して、成り行きまかせにしておくわけには参りません。政府は台湾政府のこの態度をどうお考えになるか。これに対しまして翻意を勧めるとか、棄権を要求するとか、何らかの外交的措置をおとりになっておるかどうかをお伺いいたしたいのでございます。
 第四にお伺いいたしたいのは、賠償問題についてであります。対フィリピン賠償について、先方は八億ドル案を示してきておるのでありますが、政府はこの金額を受諾するつもりであるかどうか。わが党はこの八億ドルを日本の賠償支払能力の上から見て過大であると考えておるのでありますが、政府がこの額で交渉をまとめますと、ビルマが増額を要求してくるでありましょうし、インドネシアに対しても予想以上に巨額の賠償を支払わなければならないというむずかしい問題も起って参るのであります。賠償額を個別的に取りきめ、これにさらにガリオア、エロア等の対米債務、その他の対外債務返済等を合算いたしますならば、その総額がかなり膨大なものとなりまして、日本経済を圧迫しその発展を妨げると思われるのであります。そこでお伺いいたしたいのは、フィリピン賠償につきまして、八億ドルの金額を承認するつもりであるかどうか。さらに大体一兆円、あるいはそれを若干上回る程度の財政規模におきまして、年々の賠償等対外債務支払の限度はどのくらいであるか、この点は大蔵大臣から御答弁を承わりたいのであります。またこれらの対外債務支払につきまして、統一的に計画を立てまして実行するために、政府は特別の機関を作るおつもりであるかどうか、この点もお伺いしたいのであります。次に日中国交回復並びに日中貿易の問題でございますが、重光外相は昨日の演説中におきまして、中国との国交正常化につきましては一言半句もうたっておらず、この点につきましての社会党の鈴木委員長への答弁も、全くこれを無視しておる。手を打たないといっておるのであります。鳩山総理は、さきに中国との国交回復についてもかかる冷淡な態度はとっておらなかったのであります。また自民党におきましても訪中議員団の団長でありました上林山榮吉君は、北京におきまして日中国交の正常化に積極的に努力するという覚書に調印をして来ておるではございませんか。日本といたしましては、歴史的にも、地理的にも、また政治的にも、経済的にも関係の深い中国との国交を回復することの必要は、今さら申し上げるまでもないことであり、わが党はこれを強く主張し、努力しているのであります。さきに周恩来総理は、日中国交回復は無条件であること、大使級以上の人物によって会談を行なうことを、中国を訪問いたしました国会議員との会見において提示しているのであります。中華人民共和国に対する世界各国の態度は、アメリカがどう考えておりましょうと、今や変りつつあるのであります。隣国に位します日本が、いつまでも現在のままでおられるものではありません。手を打たないなどといっていられるものではないのであります。今こそ右顧左眄することなく、中国との国交正常化に乗り出さなければならない時期に達していると考えられるのでありますが、総理並びに外務大臣は、日中国交回復についてどうお考えになっているか。また大使級以上の代表を出して会談を行い、国交回復の糸口を作るつもりはないかどうか、これを伺いたい。また中国との貿易は、今日種々の障害のためふるわないのでございますが、政府は貿易協定の締結、通商代表を相互におくこと、ココムの制限の緩和等につきまして積極的に努力するつもりはないかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
 第六、韓国政府は十一月十七日に李承晩ラインを越えた日本漁船を撃沈することあるべき旨の声明を発し、また韓国よりの報道は、そのために軍艦の出動準備がなされているということでございます。李承晩政府のかかる理不尽な態度に対しましてはまことに憤慨にたえないのでございますが、ただ憤慨のあまり強行突破などということが行われますならば、それこそ不測の事態を誘発するに至るでありましょう。われわれは冷静に問題を検討いたしまして、解決策を見出さなければならないのであります。問題がここまでこじれてしまいましたのは、久保田発言によりまして日韓会談が決裂して以来、政府が何らこれという手を打たなかったこと、いわゆる在韓財産の問題について、政府がもっと具体的な解決案を講じなかったことが、両国の関係を一路悪化させることになったのであり、さらに砂田前防衛長官の放言等も、いたずらに韓国を刺激して、こわばらせた面もあるのであります。強硬な決議と抗議だけでは問題は解決しないのであります。政府はかかる事態を、手をこまねいて見ているばかりではなく、両国間の諸懸案の解決に、何か一歩進んだ新しい構想を示して、日韓会談の再開をはかり、そこで李ラインの問題、抑留漁民の返還の問題等を解決すべきではないか、これに対する政府のお考えはどうでありましょうか、伺いたいのであります。第七に、十一月二十日ごろ、ソ連はその領土のどこかで強力な水爆の実験を行なったのであります。ジュネーヴ外相会議の失敗した直後のことでもあり、全世界に非常なセンセーションを巻き起しました。また、わが国にはその後しばしば放射能を多量に含む雨が降って、国民を恐怖に陥れているのであります。一方アメリカはこれに対しまして、来年春さらに強力な水爆の実験を太平洋において行うと発表しているのであります。これまた日本にとりましては恐怖の種であることは、昨年春のビキニの水爆実験に徴して明らかであります。これから原水爆の実験競争がひんぱんに行われることになりますれば、世界平和はこれにより非常な脅威を受け、各国民は不安と恐怖のうちにおののいていなければならぬのであります。特にソ連、アメリカの実験地と近い日本は被害が著しいのであります。ソ連であれ、アメリカであれ、ゆえなくわれわれを脅威する実験は絶対にやめてもらわなければならぬのであります。政府は、ソ連がやるのだからアメリカがやるのは仕方がないというような、半ばあきらめ的な考えであるか、あるいはインドその他脅威を感じている国々とともに、すべての国の原水爆の実験の禁止のために積極的に努力するつもりはないかどうか、それに対して何か手を打っておられるか、お伺いしたいのでございます。(拍手)次に、軍事基地に関する諸問題についてお伺いしたい。政府は、アメリカ駐留軍の要求によって、飛行場の拡張を承諾し、調達庁は砂川町を初め、各地で農民の土地を強制的に取り上げ、工事に着手しようとしているのであります。地元民はこれに強く反対し、また国民の間には、日々に軍事基地反対の運動が広がっているのであります。砂川町における強制調査のごときは暴戻きわまるものでありまして、調達庁、警察の関係農民に対する態度は、まるでこれを敵として臨んでいるのであります。鳩山首相は昨日、これは安全保障条約、日米行政協定の義務の遂行で、国の防衛上やむを得ないと言ってうそぶいておられますが、これこそ国民の生活を無視し、てんとして恥じない態度と言わなければなりません。米軍が新型のジェット機や輸送機を使用し始めるごとに、さらに広い土地を要求して参るでありましょう。政府がこれを拒まず、一々これを受け入れまして、国民の土地を取り上げていったならば、将来一体どんなことになるでありましょう。強制取り上げ、警察の出動のごときは断じてやめてもらいたいのであります。また、政府はとりあえずアメリカに対しまして、現在の拡張計画の取り消しを求めるつもりはないか、さらに安保、行政協定を改廃いたしまして、漸次軍事基地の縮小、返還を要求するつもりはないかどうか、この点をお伺いしたいのであります。(拍手)次に、米軍基地に持ち込まれましたオネスト・ジョンの問題でありますが、これが持ち込まれたとき、国民の間に原子兵器が持ち込まれたという不安が広まり、非常な非難が起って参ったのであります。初め操作して見せるだけだと言っていたものが、そのうちに富士山麓で試射を行うことになり、さらに北海道でも試射が行われたのであります。地元民はもちろん、地方の知事まで反対しておるのであります。これからもっと多くのオネスト・ジョンその他の新兵器が持ち込まれてはたまったものではございません。政府はアメリカに対しまして、かかる物騒な武器の試射をやめさせ、またかかる危険な武器を日本の国内から撤去することを求めるつもりはないかどうか、この点をお伺いしたいのであります。また、現在米軍基地におきまして、国府、タイ、フィリピン、インドシナ等の軍人八百名を逐次訓練しておるのでありますが、政府はいかなる根拠に基いてこれらの軍人の入国と訓練の承認を与えたのでありますか、これは明らかに米軍が日本を防衛するために日本に駐留するという安保条約の条章を逸脱いたしまして、すでに日本をSEATOの基地として使用しておるのではないかと思われるのであります。政府はこれをやめてもらうように交渉すべきではないかと思うが、その点につきましての政府の見解をお伺いしたいのであります。
 次に、鳩山内閣の財政経済政策についてお伺いしたいのでありますが、これはいずれ通常国会に三十一年度予算案が提出されました際詳細にただすことにいたしまして、ここでは大蔵大臣に次の諸点をお伺いしたいのであります。
 第一には、世界経済の好転と国内の米の豊作によりまして、本年後半の日本の経済はやや生色を取り戻したようでありますが、そこで来年度におきまして国民所得が増加するであろうと見込まれまして、自民党の中にも、また閣僚の中にも拡大均衡のための予算編成を主張する者があり、また蔵相のごとく、依然として緊縮予算主義をとっておる者もありまして、対立し、一つのまとまった方針がないのであります。大蔵大臣は、一体、来年度の国際経済並びに日本経済の動向につきましてどう見ておるか、これをお伺いしたい。
 次に、大蔵大臣は従前通りの緊縮予算の方針で三十一年度の予算を編成するつもりであるかどうか、お伺いしたいのでありますが、そうだといたしますれば、その規模は一兆円のワクをこえるのであるか、こえないのであるか、その点をお伺いしたい。
 総理はその所信の中で減税を力説しておりますが、それはいかなる種類の税金についてでありますか、大まかでもよろしいから、すでに大蔵大臣も立案中だと思いますので、お伺いしたいのでございます。
 最後に、これは鳩山総理にお伺いしたいのでございますが、今日のわが国の国民生活を見ますと、高度に発展した資本主義国であるにかかわりませず、欧米諸国に比べてその生活水準はまるで低く、失業者、潜在失業者、要生活保護者等の数が非常に多いのであります。国民の間から貧乏を駆逐し、生活の安定をはかりますためには、一方雇用量の増加をはかる方策が必要であります。他方、現在のきわめて不十分な社会保障制度を拡充し、国民全般がその恩恵に浴するようにしなければならないのであります。これはもとより多額の支出を要するのであります。しかるに現在の財政では、防衛費に最も多くの金が使われ、しかもこれが乱費されておるのであります。口で言うように防衛と社会保障を両立させてやっていくなどということはできるものではございません。総理は一体、今後の財政経済計画につきまして、防御の拡張を主とするのか、あるいは社会保障の拡張によりまして国民生活の安定を主とするのか、この点につきまして明確な方針をお示し願いたいのでございます。
 以上をもちまして私の質問を終りまして、なおあとに再質問をいたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(鳩山一郎君) 岡田君の御質問にお答えをいたします。
 四月に引退するかという御質問でありますが、ただいまのところ引退の意思はございません。(「いつまでやるんだ」と呼ぶ者あり)これは神様きりしか知りません。(笑声)
 第二点は、総選挙をする意思があるか――総選挙をする意思はただいまのところ持っておりません。何ゆえ解散しなかったか――解散の必要はないと思いましたからであります。(「そんなことでは答弁にならぬよ」と呼ぶ者あり)政権の移動には、民主主義のルールでは解散を伴うものと私は思っております。解散せずに政権の移動をするということは、これは反則であります。ただしこのたびのは、政権の移動ではないのでありますから、民主主義の原則上、解散の必要はないと考えております。
 憲法改正の要点は、むろん軍国主義を作るというようなことは毛頭考えておりません。ただ国民の総意による憲法を作りたい、自主独立の態勢に合致する憲法を作りたいという一念だけでございます。憲法調査会でいりごろまでにきめるつもりかという御質問がありましたが、これは一カ年間くらいはかかるだろうと思います。
 外交問題については、重光外務大臣という名ざしがありましたから、重光外務大臣からお答えいたします。(「総理にも聞いているよ」と呼ぶ者あり)大体、外務大臣の答弁する通りであります。大体これで、私に対する直接の質問は済んだはずであります。(「答弁漏れがある」と呼ぶ者あり)最後のところだけは私の名前が出ております。
 社会保障と防衛問題と、どちらを主とするかというような御質問であったと思います。防衛問題は、自衛のために必要なる範囲内においてやりますし、社会保障は、できるだけの保障制度はやりたいという考えを持っております。(拍手)
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(重光葵君) お答えを申し上げます。御質問は、ずいぶん多岐にわたっております。それについて一つ一つのお答えをいたしたいと思っております。国際連合加入の問題からお答えをいたします。
 国際連合加入の問題は、お話の通り国会において全会一致の希望を表示されたのでありまして、そのために昭和二十七年六月に連合加入の申請をいたして以来、この問題については、あらゆる手段を講じて、少しでも早く加入の実現をいたしたい、こう思って措置して参ったわけでございます。昨今、国際連合の総会の機会におきましてこの問題がほとんど関係国の一致の意見のようになりまして、日本の加入ということが国際連合将来の発展並びに活動の上において非常に重要であるというふうに認められまして、今回その問題が取り上げられてきたことは、今お話の通り非常に喜ぶべきことだと考えております。そこで問題は、最後に外蒙の問題にこだわって果してその実現ができるかどうかというせとぎわになっているということもお話の通りであります。これにつきましては、列国はいずれも故障はないようになりましてきたのでありますが、ただ国民政府台湾国民政府において異議を唱えておるという状態でございます。しかしながら、国民政府も、東亜の大局から考えてみて日本の加入を、この問題について加入ができないようになるということについては、決して私は国民政府の利益にもならぬと、こう考えられまするので、国民政府は、他国、米国その他特に日本側の非常に強い勧奨にも、要請にもかんがみまして故障を入れないようにということを、衷心から私は希望しておる、期待しておる次第でございます。これはどうなるか、むろんこれは国民政府のことでありますから、それはわかりません。しかし、さような状態に今なって、この問題は、一、二週間のうちにきまりがつく状態になっていることを御報告いたします。
 次の問題といたしまして韓国の問題でございます。韓国との外交関係につきましては、私の外交報告に詳細を尽してお話をいたしております。その以外にはございません。これまた御意見の通りに、でき得るだけすみやかに韓国との関係を調整いたしたいということに私は全然賛成でございます。しかしながら、それについてはいろいろ問題を解決いたさなければなりません。その問題の解決の交渉は進行中でございますが、その内容を一々申し上げることは避けます。しかし最も重要な問題は、抑留漁夫の送還の問題であるということはもとよりでございます。これは人道上の見地からでも、なるべくすみやかに実行してもらわなければならぬと思って、百方努力いたしておるわけでございます。
 それから中国との関係について、中国との国交回復をやれ日本の承認しておるのは国民政府でございます。これは政府の意思であるのみならず
 この点は国会においても御承認のあった後においてさような手続に相なっております。(「論理の魔術だよ、現実を見ろ」と呼ぶ者あり)中共との国交を回復するというのは私はこういう意味だろうと思います。東亜の平静、安定を少しでも回復することが日本の利益である、さようなことについて各方面の地域について努力をするということは当然のことでございます。そうやらなければならぬ。しかし一つの国に対して二つの政府を承認しろということは、私は、これはできない御相談であると、こう考えております。ただ形勢の緩和をするということは、これは全局をはかって当然のことでありますが、そこで中国との関係においても、日本の国際義務に反しない限りは、貿易の増進ということもはかっておるということをかねがねから申し上げておる次第であります。
 次は賠償問題について御質問がありました。賠償問題を少しでも早く解決したいということは、私の外交報告の
 中に述べておきました。この点につきましても、むろん日本の支払い能力ということを十分に考えなければなりません。さようなことを考慮に入れて、フィリピンとの賠償問題を今交渉いたしております。それと同時に、将来いろいろ賠償問題について解決を要する方面がございます。たとえばインドネシア、ヴェトナム、これらの方面のことを十分に全局的に考えて、そうして日本の経済力等とも照応して総合的の計画を立てるということは、これまた当然のことであるのでございます。そこで、さようなことにつきまして関係閣僚の間に、賠償その他のかような問題に対する解決の道をはかるために協議会をこしらえております。この協議会においてこの問題は十分に討議をして進んでいく態勢をとっておる次第でございます。
 それから軍事基地の問題については、総理の御答弁の通りでございます。私は、外交方面から申せば、むろん国防ということは自衛の範囲においてやらなければならぬことであると考えます。そうして、そのためにいろいろ条約があれば、条約の遂行は当然国の信用を維持するために必要でございます。しかしながらそれを実行する実際問題として、なるべく関係者に迷惑のかからぬように、国民の納得を得るようにやらなければならぬということは、たびたび繰り返して政府の方針を声明している通りであります。軍事基地は非常に減少しつつあります。
 それからさらに、オネスト・ジョンのことについてお話がございました。オネスト・ジョンは、あるいは新兵器かもしれません。(「新兵器だ」と呼ぶ者あり)しかしながら、これは専門家の定義によりますれば普通兵器であって防御兵器でございます。そうでありますから、これについて異存を言うべき筋合いでないと考えております。
 他国の軍人の訓練のことがございました。軍人の訓練を大げさにやりますことは果していかがかと思って、今どういう程度のものであるか、またそれはどういう影響を持つものであるかということを十分に検討せなければならぬと思ってその検討中でございます。
 それから水爆の実験のお話がございました。ソ連が実験をした。アメリカも将来やるかもしれんそれはそうであるかもしれません。しかしながらこの問題は国際連合において取り上げられておる問題でありますし、そうしてわが方においても、日本側の主張はむろん原子力を平和利用にのみすべきものであるという根本的の主張を持っております。従いまして、水爆の実験なんぞは、なるたけない方がいいので、これは国際連合を通じてその主張を認めしめるように努力をすることが最も効果的であると思って、さように今進んでおるわけであります。
 それから私の渡米の際に憲法改正の約束をしたのではないかというのが第一点。私は、日本の憲法は日本人の扱うべきものであって、米国などの他国と協議すべき問題ではないと考えております。従いましてさよな約束はいたしておりません。
 それから渡米の際に、海外派兵のことを約束したのではないかということですが、海外派兵をするかどうかということは日本できめなければならぬことで、派兵したくないということは院議できまっております。さようなことに反する約束はできもしなければ、私、したこともありません。(「共同防衛はどうなんだ」と呼ぶ者あり)日本として自衛力を増強して国防について十分責任を持つようにする、こういうことを、私はその決意を表明したのであります。それは何も海外派兵の問題には関係がございません。そうして、そういう自衛力を持つことが、東亜の平和に貢献するゆえんであるということは、私は当然のことで、それだけのことはやらなければならぬと、こう思っております。そうして、その際に、日本の自衛力の増強があれば漸次に米軍の撤退をも考えてもらいたいということも私は話をしました。
 それから防衛分担金の問題については、その漸減方式を双方において考えようじゃないかということについて話をして、合意を得たのであります。その合意に基いて今現にいろいろ話し合いをしております。さようなわけでございまして、それらのことはすべて共同コミュニケに発表しておる通りでございます。
 さらに日ソ交渉について御質問がございましたが、これは今なお交渉中でございます。交渉中であって、その交渉は、全権の不在ということによってこれは事実中絶をしておるような、理論上は中絶はいたしておりません。いろいろなことはやっておりますけれどもしかし事実そういうふうになっております。そこで全権がまた会うようになれば、これは交渉は進むのであります。そこで今、今日妥結しなければならぬとか、決裂すべきであるとかいうようなことは、その後のことを見てよくわかってからで差しつかえないと思うのであります。今それを早急に結論をつけてお前は決裂するつもりじゃないかと、こう言われるのは、私はどうも理屈に合わぬことだと思います。できるだけ努力をいたしまして、わが方の主張もできるだけ通すことにしてその後の形勢の変化を見なければならぬ。しかし私は、しいて申し上げますれば、これはわが方の正当な主張が認められてそうして目的を達することができる、こういうふうに考えて交渉を進めておるのでございます。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#7
○国務大臣(一萬田尚登君) 内外の明年度における経済の動向と、明年度における予算の編成をどういうふうに考えておるか、こういう質問があったのでございますが、ごく端的に申し上げます。
 大体国際経済の今日のありさまは、最近まで続きました好景気がようやく限界にきて頭を打ちつつある、こういうふうに見てよろしいと思います。それは今日、英米、特に欧州を中心といたしまして各中央銀行が公定歩合を数次にわたって引き上げております。消費の規正もいたしております。増税もやっておる。こういうふうな施策を強く打ち出しておるのであります。従いまして私の考えでは、アメリカの景気がそんなに急に私は悪くなるとは思っておりませんが、今後世界の経済は、どちらかといえば下向き、若干下向きをとる、こういうふうな方向にいくだろうと思うのであります。日本の経済は御承知のように、輸出の非常な増大を中心といたしまして、生産はふえ、特にまた本年は非常な農業が豊作であります。国民の所得もふえておる、雇用も最近はやはりよろしいと思います。そうしてしかも物価は上っていない、非常に好ましい状態、これは原因が一体どこにあるかと申しますれば、過去数年にわたじまして財政経済にわたって緊縮をやっている、日本の経済の基盤と強固ならしめた原因がここにあるのであります。同時に国際の経済が非常によかった。好景気だった。これが日本の経済をして今日あらしめた。ところが今日では先ほど申しましたように、ヨーロッパの経済を初めとして国際経済に注意すべき徴候があるのであります。従いまして今後日本の経済が、この国際情勢をよくキャッチいたしまして、食い違いのない、どちらかといえば、日本の経済は若干おくれて進みつつある、世界の経済のあとを追いつつあるという状況にあるのでありまして、世界の経済が今、やや下向き、頭を下げつつあるのに、日本の経済が頭を上げていくと、ここに大きな間違いを生ずる。この経済にマッチする、従いまして予算の明年度の編成におきましても、財政経済の健全、この線は緩和するわけに私はいかないと思います。
 なお具体的に、先ほど、予算は従来通りに組むのかというお話でありますが、従来通りに組むことはない。これは三十年と三十一年度には、日本の状態において大きな変化がある、また国際的にも大きな変化があるのでありますから、従来通り組むことはありません。そういう新しい事態に十分適応するような予算を組むことにいたしております。
 一兆円のワク通りかというお話もありましたが、これは、私はこの前の国会にも答弁しておきましたが、何もこだわることは考えておりませんので、先ほど申しましたように、健全な財政を組むということを、これはかたく守らなければならない。従いまして歳入というものを重く見ていく、こういうふうにお考え下さればけっこうだろうかと思うのであります。
 なお、賠償問題について私に御質問がありましたが、たとえばというようなお話でありましたが、たとえば、一兆円のワクの予算を組んだ場合に、賠償は一体幾らがいいのかというような御質問であったと思うのでありますが、一兆円の予算の場合に賠償が幾らというようには考えられないのであります。ほんとうをいえば、日本の今日の、戦争に負けて、やらなければならぬことが非常に多い国といたしましては、ほんとうをいうと、賠償を払う力がないともいえる。しかしながら国際の親善をはかり、国交の回復をはかり、そうして大きく通商もやっていく、こういうような関係から、大局からしてやはり苦しきを忍んで賠償は早くやっていかなくてはならぬということになると思います。従いまして賠償ということは、そういうふうな予算のワクよりも、端的にいえば国民経済にいかなる圧迫を、国民経済、あるいは国民生活というものが、どれほどしんぼうするかということと日本の場合はシーソーゲームになる。そういう意味におきまして、私は、賠償というものをきめる場合においては、総合的に考えていくという以外に、今日申し上げかねるのであります。
 答弁といたします。(拍手)
   〔岡田宗司君発言の許可を求む〕
#8
○議長(河井彌八君) 岡田宗司君。
   〔岡田宗司君登壇、拍手〕
#9
○岡田宗司君 ただいまの三大臣の答弁を伺いますというと、一向何を言っておるのやら私ども理解できないのでございます。これが議場を通じまして、国民に対して政府が所信を示しておると考えられないということです。いずれ委員会でこまかくは追及いたしますが、まず鳩山総理にもう一度お伺いしたいのは、四月にやめるおつもりではないというのですが、その先のことは神様のおぼしめしだと言っておりますが、私は神様のおぼしめしを議場で聞いておるのではありません。あなたの意思を聞いておる。あなたは万難を排しても続けていくおつもりがあるか、あなたの所信を具体化するおつもりがあるかどうか、この点だけ、はっきりしていただきたいと思うのであります。
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(鳩山一郎君) 岡田君の再質問に対してお答えいたします。
 私は、力の続く限り自分の所信を実行いたしたいと希望をしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(河井彌八君) 小林政夫君。
   〔小林政夫君登壇、拍手〕
#12
○小林政夫君 私は、緑風会を代表いたして鳩山総理並びに関係閣僚に若干の質疑をいたしますが、質疑に入るに先だち、わが国政治史上画期的な保守、革新二大政党対立の政局に処する緑風会の立場を鮮明にしておきたいのであります。本年四月十二日、私を含む緑風会有志は、政策の基調を同じくする民自両党に協調の実を上げるべきことを申し入れました。われわれは、いわゆる保守党に加担をして、その強化をはかるというがごとき一方に片寄った配慮からではないのであります。第二次鳩山内閣の弱体は目に余るものがあり、ひいては日本の議会政治に対する国民の信頼を失うことを非常に憂慮したので、安定政権の確立を強く要望することにしたのであります。しかし、もとより緑風会は、政党政派を超越し、国家国民の立場に立って是を是とし、非を非とする立場に立つ者の集まりであります。参議院本来の職責に忠実たらんとするものでありますから、自由民主党に参加すべきものでもなく、左右合同成った社会党に加入する者でもありません。保守、革新の二大政党対立による議会政治の運営は理想として希望されたことでありますが、残念ながらわが国現実の二大政党の政策には、非常な隔たりがございます。われわれは参議院の審議運営の全きを期するとともに、現実的な政治勢力の上に立って隔たりのある二大政党調整の役割をも果したいと念願しておるのであります。(拍手)
 鳩山首相への質問に入りますが、まずわれわれ多数の要望を入れて民主、自由両党が合同し、自由民主党の結成成り、ここに第三次鳩山内閣の発足をみたことに一応の祝意を表する次第であります。しかしながら、外からながめておるわれわれには、なお多くの危惧があるのであります。民自合同成れりといえども、形式的に二つを合せただけで、総裁すら決しかねる現況であり、第三次鳩山内閣は実質的には民自連立内閣という批判も行われており、総裁決定までの暫定内閣であるとの世評もあります。鳩山首相は、新自由民主党の最高幹部の一人として、新党をどのように育成しようとお考えになっておるのであるか。
 新党育成の中心課題は、党運営費を捻出する方法の確立にあると思いますが、私はしばしばこの議場において、あるいは予算委員会において鳩山総理に政治資金規正法の改正意見を述べ政党運営費を調弁する方法を示唆しておいたのであります。今や党費調達方法の適不適は、日本保守党の興廃にかかわるのみならず、汚職等不祥事の発生は日本の政党政治議会政治の存廃に関する問題となりました。鳩山総理の所信はいかがでございますか。
 総理は、昨日所信として表明された、すべてのことをやり遂げ、なかんずく憲法改正、行政機構の改革、税制改正の三目標を達成するまで政権を担当する所存であるとただいま岡田宗司君の質問に対して御答弁なさったようでありますが、間違いはないと思いますが、いかがですか。われわれは長期安定政権の確立をこそ熱望したのであります。病弱だからどうせ長くはやれないのだ、総裁決定までの間に合わせだというなら、政権を私するものであり、第三次鳩山内閣の発足をわれわれは祝うわけに参らないのであります。
 外交問題の質疑に入りますが、昨日の外務大臣の報告では、重要な外交問題の二つが落されておる。その一つは、日本の国連加盟の問題であり、その二は対中共問題であります。
 国連加盟の問題につては、先ほど岡田君の質疑に対して外務大臣より御答弁がございました。私も国府の良識に、この議場を通じて強く訴えたいのであります。また同時に政府の善処を強く要望をいたします。
 対中共問題につきましては、中共のごとき国柄で、純粋の意味における民間機関とか民間人とかいうものがあるのかどうか疑問なしとしないのでありますが、最近経済文化の交流が漸次活発になりつつある折柄、政府の所信を明らかにしておく必要があるのではかいか。対国府、対韓国関係問題の処理のためにも必要ではないかと存じますが、外務大臣の所信はいかがですか。
 日ソ交渉についてでありますが、日ソ交渉こそは、終戦後の日本外交問題としてサンフランシスコ平和条約に匹敵する重大問題でありますが、現在日本国民は、この問題に対する態度について、あたかも重要性を意識してないかのごとくでありますが、その原因の最大なるものは鳩山首相の態度であります。いとも気軽にどこの国とも仲良くする、世界に八十カ国もある国々の中で、アフリカ大陸や中米あたりの国々と少しも違わないような、さりげない態度でどこの国ともと言いはなすところに問題があるのであります。日ソ交渉の中心問題である領土問題にしても、口を開くつど、言うことが変っておるといっても過言ではない。政府は交渉の根本問題について確信がないばかりか、国民に対してそれを説明する努力さえ怠りているというだらしなさであります。最も悪いことは、国民をめくらにしておきながら、問題が困難に逢着し決定を迫られる段階になるというと、向きなおって国論の動向を見きわめると言う。材料を与えられない国民、不完全な知識しか与えられておらない国民に、正しい結論を出せる上げがないのであります。政府は共産主義国の唱える平和共存をどう受け取っておられるのか。平和共存は平和攻勢の一環として、ソ連が不利となった権力政策のつり合いを取り戻そうとして打ち出した非武力的な補強策にほかならないのではないでしょうか。果せるかな外務大臣も報告の目頭に解明されたごとき国際情勢に最近なって参りました。外務大臣は、かかる国際情勢の認識の上に立って、なおかつ、本年七月ゼネバに開かれた米英仏ソの首脳者会議前に始められた日ソ交渉を、同じ心がまえ、同じペースで推進しようとしているようでございますが、それでいいのかどうか。この交渉における日本側主張の根本的出発点であるべきソ連の中立条約違反による対日開戦という事実を日本側は指摘しておるのであるかどうか。去る九月二十一日の日本議員団に対するフルシチョフ第一書記の言明をどう思われますか。西ドイツと日本とを全く同一視した高圧的な言明に、われわれはやる方なき反発を感ずるのであります。ソ連の言う戦犯を政府は是認しておるのであるか。中立条約を忠実に守った日本に、対ソ連戦犯というがごときものがあるのであるかどうか。戦犯にあらざるものを戦犯として抑留し、しかもこれを人質として国交再開の具に供せんとする卑劣きわまるソ連の手口を、何と考えるか。われわれは日本国民として罪なくして異境に抑留十年の苦難をなめている同胞やその留守家族を思うとき、断腸の思いをするのでございますが、同時に、その苦境の同胞が、最近に至っても、われわれの釈放のために、日ソ交渉上の国家全体の大目的を犠牲にしないでもらいたいという伝言をしてきておる心事に想到するとき、われわれ本国におる日本人として、その努力の不足にざんきし、日ソ交渉の展開に新しい勇気を感じるのであります。
 外務大臣は、内政に干渉しないとの基礎の上に平和条約を締結するというが、わが国内には筋金入りの共産党員を多数かかえておるし、前回の衆議院総選挙において共産党の獲得した得票は七十余万票であります。ソ連大使館が設置され、腕ききの工作員を配属し、日本赤化工作というものが推進されれば、実質的な内政干渉を受けることとなりましょう。西ドイツの国民と現在の庁本国民は非常に違うのです。政府はこれらの赤化工作に対していかに対処するつもりであるか。相互に内政干渉をしない、建前は相互主義でありましても、日本への同調者の皆無なソ連内における日本大使館活動と、在日ソ連大使館活動には、雲泥の差が出てくるのであります。これを政府はどう判断しておるのであるか。
 領土問題について、歴史上常に日本の領土であった諸島の返還を主張するというが、具体的にはどういう諸島でありますか。国際正義心を喚起し、世界の世論をわれわれの味方とするには、歴史上常に日本の領土であったということだけでは論拠は薄弱ではないか。帝政ロシアのあくなき侵略、帝国主義、植民地主義に基く領土関係の是正ということをうたうべきではないか。満州、北鮮、樺太にあった日本の公私の財産にして現在ソ連の手に帰したものは、いかように扱われるのであるか。
 以上日ソ交渉について外務大臣に伺いたいと思います。
 日韓関係については、先ほども質問もあり、るる御答弁もあったわけでありますが遺憾であって善処するといいながら、するずると今日の事態に立ち至り、ついに韓国軍事当局が、李ラインを越える日本漁船を撃沈するというような最悪な事態に突入することになりました。何とかするというようなゆうちょうな段階ではない。少くとも外務大臣が李大統領と会って、国交調整の努力をなすべきではないか。事務当局の交渉に放任しておくべき段階ではないと思いますが、いかがですか。
 賠償問題についても、いろいろ大蔵大臣から御答弁がありましたが、一点、フィリピン賠償問題については、民間投資二億五千万ドルということが言われておりますが、これについて日本政府がフィリピン側へその投資額の保証をしなくてもいいということについて、フィリピン側は了承をしたのかどうか。また日本の国内の投資者がフィリピンに投資する際に、その投資の安全を保証してもらわなくとも、投資をする人があるかどうか。こういう点について政府はどのような見解を持っておられるか。
 また最近イタリアの外務大臣が来られて特別円の支払い交渉がなされたのでありますが、国民は全く意外に感じておるのであります。あのような支払い義務がイタリアに対してあったのかどうかということについては、今まで知らされておらなかった。これはまあ一例でありますが、今まで賠償請求国あるいは特別円支払いというようなことで、対外的に日本が支払い義務を負わなきゃならぬ、支払い義務の発生する国々というようなものは今まで出尽しておるのか、もう今後出ないのか、この点について外務大臣に伺います。
 行政機構の改革について行政管理庁長官に伺いますが、総理は、国民の便宜をはかることを最重要点に置いて組織と機構を国情に適合するよう、全面的に改革するつもりと言っておられますが、行政機構の改革の主眼は、行政の能率化と行政費の節減になくてはならない。それには行政事務の再検討も当然なされねばならぬと思います。食糧管理行政、補助金行政等についても抜本的な検討がなされるべきであると思いますが、これについて政府はどう考えておられるのか。また行政費の節約という面からは当然に人員整理が伴ってくるのでありますが、これには強い抵抗が予見されるのであります。行政管理庁長官を兼ねる農林大臣の足元から火の手の上るおそれがありますが、政府は断固としてやりぬく決意であるかどうか。
 税制改正についてでありますが、総理が言っておられることはまことにごもっともで、大賛成であります。税制の仕組みを複雑にし、国民負担の不均衡を来たしておる最たるものは租税特別措置法であります。これを全廃する心組みがあるのかどうか。また来年度以降の歳出の増加要因並びにその予想額等から見て減税は当分できるはずはないのであります。減税をせずして国民負担の不均衡を是正しようとすれば、減税される方は異論はありませんが、負担を増加される方は猛烈に反対をするでありましょう。たとえば、よく言われる戦後の税制はシャウプ勧告以降、直接税に重みがかかり過ぎているから、間接税に比重を移すということも、具体的にやろうとするならば、流通税の新設または増税となるわけであります。吉田内閣当時の繊維消費税の新設提案に際してとられたあの反対を思い起すまでもなく、強烈な反対運動が展開されるであろうことは明らかであります。総理並びに大蔵大臣は断固としてやりぬく確信と腹を持っておられるのかどうか。やるとすれば、いつからやるのであるか。大蔵大臣の諮問機関としての臨時税制調査会の審議ぶりを見ておりましても、三十一年度予算編成に間に合いそうには思われない。いつからやる予定でございますか。
 地方財政行き詰まりの打開策の審議こそは、この臨時国会の中心議題であるべきにもかかわらず、抜本的打開策は通常国会に持ち越し、とりあえずの措置を提案するという、そのとりあえずの措置を提案するという政府の態度自体について、私ははなはだ不満でございます。地方財政の行き詰まり打開の問題は、第二十二国会からの問題である。このためにこそ、かつての野党、自由党、社会党は、臨時国会の召集要求をしたはずであります。政党異変があったとはいえ、この問題はじんぜん放置しておくべき問題ではない。超党派的に真剣に取り組まねばならない問題であります。国民の負担する中央、地方を通ずる租税公課のうち、戦前すなわち昭和九――十一年には、国は五一%を使い、地方は四九考を使っていたのが、昨二十九年には、国は四一%を使い、地方は五九%を使っておる。すなわち国民の負担するすべての租税公課、国がとるものであろうと、地方がとるものであろうと、すべての租税公課のうちで、地方の使用割合は、戦前に比し、昨今は実質的に格段と増加しておるのであります。にもかかわらず、地方団体は年々赤字を累積し、二十九年度末までに六百五十億の赤字をかかえるに至った原因はどこにあるのであるか。三十年度の臨時措置として、政府は百六十億の交付金を捻出して三十年度の赤字発生を防ぐと言いますが、この三十年度百六十億補てんをしなければ赤字が出る原因はどこにあるのか、百六十億交付金を追加すれば、三十年度は赤字を出さないという責任が持てるかどうか、百六十億を地方自治団体は何に使うのか、赤字の原因を助長するようなことに使わないという保証を政府は取りつけておるのかどうか、取りつけるのかどうか。百六十億の財源でありますが、公共事業費の削減、一般経費の節減、賠償費の削減によって捻出し、財政規模の膨張を防いだということは賢明の措置でありますけれども、それなら何ゆえにただちに補正予算を提出しないのか。とりあえず起債でまかなうという、とりあえずの措置をとるということは全く不可解である。起債でもってしばらく様子を見て、租税の自然増收でもあれば、既定歳出の削減、節減をやめるという底意でもあるのかどうか。公共事業費の削減も、専門的な言葉で言うならば、繰り越しなのか、繰り延べなのか、すなわち支払いを繰り延べるだけであるのか、あるいは一応三十年度の事業としては打ち切るのか、支払いを繰り延ばすだけならば、国も赤字となるのみならず、地方団体にも赤字の原因を残すことになるので、この点はいかがであるか。大蔵大臣は今回の臨時措置をとるに当って、自治庁や与党側に条件をつけたと報ぜられておる。すなわち来年度においては地方団体の行政費を節減する方途を講ずべき旨の条件をつけたと報ぜられておるのでありますが、その条件の内容はどういうものであるか、この点は大蔵大臣、自治庁長官御両人から、しかと御答弁を願いたいのであります。交付税率二二%は据え置いても三十一年度に地方団体に赤字を出さない程度に地方団体が行政費の節減をはかるという約束なのか、あるいは交付税率には触れずに具体的に行政費の節減項目を列挙して約束をしたのか。たとえば二十二国会に提案された自治法の改正案は、政府原案通り通過せしめるとか、給与ベースの基準を定め、団体別に標準定員を厳守させるとか、公共事業補助金を圧縮するというような、これはまあ例示でありますけれども、具体的な節減すべき項目をあげて約束をしたのかどうか。以上は今回の臨時措置に関する質疑でありますが、できるだけ詳細に答弁をざれたい。
 しかし、自分はさらに将来の抜本的対策について政府の所信をただしたいのであります。現行の制度のもとにおいては、全体の地方財政計画の遂行に責任を持つ者、責任をとり得る者はだれもいないのであります。国会に提出される地方財政計画は必ず收支バランスのとれたものが提出されておる。にもかかわらず年々赤字を累積する。一見まことに奇異な感があるのでありますけれども、それはそのはずであって、自治庁といえども、個々の地方団体の財政については、極論すれば片言隻句も容喙することはできない、国会に提出される地方財政計画なるものは全く机上の推計に過ぎない、その全体の執行について政府は責任を持てない制度であるからであります。政府は通常国会に抜本的打開策を提案すると言いますが、その方向は地方財政計画に責任の持てる体制にしようと考えておるのかどうか。もっと端的に申しますならば、戦前のごとき中央集権体制に戻そうと考えておるのかどうか。もしそうでなくて、従来通りの地方自治を百パーセント尊重する行き方で行くとするならば、交付税交付金ははっきり渡し切り資金であるという意味づけをする必要があるのであります。すなわち地方自治団体がどんな勝手気ままなことをやっても、最後のしりぬぐいは国がやるのだということでは、正直者がばかをみるのみならず、国の負担に限りがない。国が負担しようと地方が負担しようと、最後の負担者は国民である、国民のふところには限りがあるのでありますから地方が破綻しなければ国が破綻するというゆゆしい事態を招来する危険なしとしないのであります。もう一つ、従来の地方自治団体の国家財政への依存を助長しておるものは、各種補助金制度であります。わずかな補助金で地方団体をつって行政を強要するというところに赤字発生の原因もあるし、ひいてはそのしりを国に持ち込まれるのであります。中央地方を通ずる行政費の節減のためにも、この際各種補助金の大幅打ち切りを断行せねばならない。一般会計のみで各種補助金は二千九百億円に達しておる。すなわち一般会計の三割にも達する額であります。三分の二とか五分の四とかいう補助割合の高いものは国が全額負担でやり、その他のものは全部削除して、それで浮いた金を交付金に繰り入れるという思い切った措置をとらなければならないと思いますが、政府の所信はいかがでありますか。補助金行政の抜本的再検討があらゆる意味において急務中の急務であるということを強調して、私の質疑を終る次第であります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(鳩山一郎君) 小林君の私に対する質問は非常に少かったので、関係大臣から大体答弁をしてもらいます。私に対して特に御質問がありましたのは、表明した諸政策を完遂する意思があるかどうかという御質問でありました。もちろん完遂する意思を持っております。完遂したい意思を持っております。他の質問に対しましては、外務大臣その他の大臣から御答弁申し上げます。
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(重光葵君) 御質問に対してお答えいたします。国連加入の問題は、先ほど申し上げたことで尽きておりますから、これはそれに譲ります。中共の問題を次に御質問がございましたが中共等の共産国との交流の問題は、共産主義の活動から見て非常に考えものではないかというような御趣旨じゃないかと思います。むろん日本は共産主義には反対しておるのでございます。従いまして共産活動の性質から見てこの交流の問題には、十分に注意を払い用心をしなければならぬということは、私は御同感でございます。
 しかしながら、中共との間は御承知の通りに地理的関係においても日本は密接な関係を持っておる。特に物の交換については、国際義務に反しない限りは交換をしなければならんと思っております。さようなことについて十分に注意はし、また日本の反対している共産活動によって、いろいろ不都合の起らないように、あらゆる用心はしなければならんと思っております。さようにして、またやらなければならん貿易のことについてはできるだけ進めて行きたい。これが日本の利益であると考えております。そこで政府に関係のない民間の人々がいろいろ往復する、こういうことについては、これまた非常に注意をしなければなりません。また政府がこれに対して責任を負うわけには参りません。しかしながらこれらのことを、それじゃ一切人の交流はやめたがいいか、こういうこともどうかと思います。これらのことはもう日本人といたしましては、反共の考え方を持っておるのでありますから、ただ思想的にいろいろ言われても、すぐそれが感染をするということではないのでございますから、よく理解をして、そうしてそれに対応する策を講ずることがいいと、私はそう考えております。
 また日ソ交渉についてお話がございましたが、日ソ交渉について、従来日ソ開戦以来のことからいろいろ考えてみて、本当にいろいろ言いたいことはあるわけでございます。それであるからこそ、日本の主張は十分私は力をもって抑留者の送還の問題等を早くやってもらいたいということは本当に力をもってやっているわけでございます。しかしそれならば交渉はすべて妥結にはいかないという方向に向くのだとも、私はこれは考えておりません。主張すべきはあくまでも主張して抑留者の問題についても、また領土の問題についても、主張すべきは主張をして、そうして目的を達して妥結をする私は日ソ関係の妥結のことにつきましては、過去を振り向くというよりも、将来の大きな見地をもって、将来の建設をはかるという方向に頭をより大きく向けべきだと、こう考えて進めておるわけでございます。そこで決して日本の正当に主張すべきことをしり込みをしたり何かするということはしないとともに、なるべく妥結をみるように努力をするということも一面必要ではないかと、こう考えております。過去のいろいろなことはたくさんございます。それはそれとしておいて、これは何も言わんということを私は申し上げるわけじゃ少しもございません。しかしながら主として、将来の建設に向って日本の道を開きたい、こう考えておる次第でございます。
 それからお話がございました韓国の問題も、詳しく先ほど御説明を申し上げた通りでございます。私はほんとうに、隣国との関係がいつまでもこのままになっているということは、残念でしょうがございません。私の努力する余地があるならば、どんなことでもいたします。しかしながらただ、今すぐ朝鮮に飛んでいくことが、この問題の解決になるということでもございません。十分その素地を作ってあらゆる努力をいたしてみたいと考えております。はなはだ抽象的であるというお叱りをこうむります。こうむりますけれども、その一つ一つのことについて今申し上げることを差し控えたいと思います。
 賠償問題につきまして、イタリア特別円等の問題が非常に唐突に出てよくわからぬということの趣旨の御発言がございました。その点はあるいはごもっともでございます。この問題は、相当複雑な問題でございまして、実はずいぶん前からこの問題については報道もされ、一般に発表されておる点もあるのでございますけれども、今この問題が最近イタリア外務大臣の訪問とともに出てきたので、新たに出てきたので、いろいろ御不審の点もございましょう。これらの点については十分明らかにして、そしてあるいは一切の点を、お考えの材料として差し出すことには私もいたしたいと考えております。賠償問題は実に外岐にわたっております。賠償というものの名のつくもの以外に、平和条約によるところの請求、要求してきておるものがございます。サンフランシスコ平和条約によって要求してきておるものが相当多うございます。旧連合国及び中立国等からたくさん参っております。その口数はずいぶん多うございます。その他イタリアのような特別円関係の債務、アメリカとの関係は、ガリオアの関係等もございます。特別円の問題は、タイの問題はようやく解決をいたしました。仏印の特別円の問題、イタリアの特別円の問題がございます。その他外債関係の問題が、これまで米貨債、英貨債、仏貨債の問題等がございます。これらの問題は、今ここに材料がございますが、さらに整理をいたしまして、御参考に供する機会をなるたけ早く作りたいと、こう考えております。
 フィリピンの賠償問題について、投資を受ける、十分安心して投資し得る方法になっておるかというお話もございましたと思いますが、それはそういうふうになっておりますし、そうしなければなりません。そして借款の形式によって投資をすると、こういう考え方を持っておるのでございます。
 以上をもって私の答弁は終ります。
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(一萬田尚登君) 税制につきましては、ぜひともこれは再検討を加えて、国民の納得のいくような税制にしたい。そういう意味をもちまして、もうすでに内閣では税制調査会を設けて、目下御審議を願っておるわけでありまして、こういうふうな答申を待ちまして、税制の改革をほんとうに断行したいと、かように考えております。ただ根本的な改革になりますと、そう早急にも参りません。三十一年度の予算編成には私は間に合わないと思います。がしかし、三十一年度において取り入れらるべきものについては三十一年度からこれを実行して行きたい、かように今考えております。地方の財政の現状、これはまことに窮迫をしておるのでありましてこれにつきましては、前国会で、なおただいま御審議も願っておる地方財政再建整備促進法、これができますれば、二十九年度までの赤字を一応たな上げしましてさらに三十年度については今回特別の措置をとることにいたしております。そうしまして、しょせんこれは三十一年度において根本的にやる、この根本的という意味は、この今日の地方財政の困窮のよって来たるところは非常に多岐にわたっておるばかりでなく、時間的にも多年の累積になっておるのでありまして、これはどうしても行政、税制、さらに財政の運営当について根本的な改善を、あるいは改革を加えないと、これは将来の赤字を確実に防ぐことは私は困難である。そういう意味におきまして、三十一年度はこういう面にわたりまして根本的にやるという決意を持っておるわけでございましてそういう際には、ただいま小林さんからいろいろと御例示になったような点はむろん取り上げられて考究されるものであります。特に御例示のうちでも、補助金の問題等につきましては根本的に一つ検討を加えたい、かように考えておるわけであります。御答弁いたします。
   〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(河野一郎君) 行政機構の改革の問題についてお答えいたします。昨日、総理からその所信を表明せられましたる通り、現内閣といたしましては、行政機構について根本的にこれを改めたいということを考えておるのでございますが、ただ御趣旨にありましたる通り、この行政機構の改革の目的を、行政費を節減するということに重点を置いておらないということであります。人員整理を主たる目的といたしておらないというところをわれわれは御了解を得たいと思うのでございまして、なぜかなれば、私考えまするのに、現在の国内の情勢において人員整理をいたしまして失業者を出しますれば、その失業者に対してさらに考えなければならぬという問題になりまするので、これはおのずからやるべき時期があると思うのであります。でございますから、この際の行政機構の改革をいたしまするのは、長年にわたる行政の機構が、果して現在のわが国の政治の実態に、これでいいか悪いかという点を根本的に検討いたしまして、そうして最も能率の上る、機能の達成できる、しこうして国民各位に便宜な組織にいたしたいというところに主眼を置いて行きたいと思うのでございます。従っていろいろ御趣旨は拝聴いたしました。なお今後各方面の御意見を十分承わりまして、この通常国会にその成案を得て御審議を願いたい、ぜひ断行いたしたいということの決意を持ってかかっておるわけでございますから、よろしく一つ御協力を賜わりたいと思います。
   〔国務大臣太田正孝君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(太田正孝君) 小林君のお問いに対してお答え申し上げます。御指摘の通り、国及び地方の関係におきましては、税及び公課の中において、地方の占める分は非常に大きいのでございます。支出の面からみましても、国の一兆円予算に対しまして、同じくらいの約一兆円の予算が地方財政の分になっておるのでございます。この点につきまして、赤字は何で出たか、こういう第一の御質問でございますが、私は一方には地方にその責めありと思います。他方には国にも責めがあったと思います。地方のやり方につきまして、あるいは放漫であるというお言葉を承わりますが、私もその一部を認めなければならぬと思います。しかしながら、国の方でいろいろな費用を地方にさっつけまして無理なことをさしておったという、今までのやり方にも省みなければならぬ点があると思います。赤字の責任は国と地方双方にあるというのが私の見方でございます。これが打開のためには両方、国及び地方を通ずる行政機構の簡素化、合理化ということを必要といたしますが、しかし直ちにこれが中央集権への移行をするとか、地方自治の制限を行わんとするものでは断じてございません。お説の通り、国庫補助金制度につきましても、これまで、ともすれば地方財政に余分な負担をかけるようなことがあったようにも思われますが、かかることのないように徹底的な改革を断行することは必要であります。そのために国と地方とが互いにその施策を尊重しつつ、他に累を及ぼすことなく仕事を行なって行く方策が常に考慮されなければならぬと信じます。
 一萬田大蔵大臣が答えられました以外の点につきまして、交付金の財源百六十億円は借入金によって支出するのでございまして、地方起債ではございません。公共事業の節約は事業の繰り延べでございまして、事業の切り捨てという意味にはならないと私は了解しております。地方財政計画が悪いという点については、私もいろいろ感じた点がございます。この意味におきまして、実態を基礎として是正して行きたい考えでございます。
 根本的の地方財政の改革ということにつきましては、先ほど一萬田大蔵大臣も言われましたる通り、現在御審議を願っておりまする再建促進措置法の通過をお願いいたしまするとともに、大体において五つの点にしぼり上げられて問題を解決すべきものと思うのでございます。第一は、給与費を合理化しなければならない。これは申までもなく地方財政あるいは地方財政計画の中心点でございます。また第二は、地方債及び公債費を合理化しなければならない。第三が、国庫補助金制度等、財政制度をもっと理詰めに合ったようにしなければならぬと思います。さらに第四点といたしまして、行政制度の合理化、さらに、財源を充実するのを五点として申し上げたいと思うのであります。この五つにつきましてただいま、というよりも、今日地方財政委員に諮問しておる答申が出ますが、私どもはこれを慎重に調べるとともに、これを尊重いたしまして、その実現をはかりたいと思うのでございます。御答弁申し上げます。(「行政制度の合理化というのはどういうことだ、行政機構じゃないか」と呼ぶ者あり)
   〔小林政夫君発言の許可を求む〕
#18
○議長(河井彌八君) 小林政夫君。
   〔小林政夫君萱垣〕
#19
○小林政夫君 答弁漏れがございますので再質問をいたしますが、総理に対して、私は新党の育成方策、その中心課題は、党費調達の方法をどうするのだ、こういうことについてお尋ねをしたはずであります。これは何回も鳩山総理には、私から政治資金規正法改正の研究をお願いをしておるはずであって、答弁を落されておるようでは、どうもあまり研究をされておらないのじゃないかと思うのですが、一つ、しかと御答弁を願いたい。
 それから外務大臣に対する質疑であったために……少し外務大臣自体から御答弁願うのは無理な問題ではあったかもしれませんが、そうであれば、総理または法務大臣から御答弁をわずらわしたいのでございますが、国内の共産化対策、こういうことについて、日ソ平和回復後における予想される事態というようなものを考慮いたしまして、多少問題を指摘したわけでありますが、それについて従来日本の赤化対策というものについてどのような態度をとり、今後どのような施策を進めて行くつもりであるか、こういうことについて総理と法務大臣の御所見を伺いたい。
 それから外務大臣は、中共との経済、文化交流について、私が少し快からず思うておるというふうに誤解をされておりますが、たとえば韓国の李承晩との交渉の問題に考えても、御承知のごとく李承晩は、反共の闘士としてやっておる、それに対して日本はあまり味方をしてくれないというような不平も、今日韓国との国交調整上問題の点ではないかと思う、李承晩の気持としては。そういうこともあるので、もちろん中共との関係において経済交流、文化交流、大いにやるがよろしいが、日本の立場はどうだと、こういうことを、この外交報告のような機会に一言も中共問題にふれないというようなことがおかしいのじゃないかという意味なんでありまして、決して中共との経済交流、文化交流に異議をはさんでおるものではないのであります。
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(鳩山一郎君) 党費調達について答弁をするのを忘れました。党費調達は将来党員においてこれを負担するような仕組みにしたいと(「将来か」と呼ぶ者あり)今、研究中であります。
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(重光葵君) 国内の共産活動につきましては、これは非常に注意をしなければならぬということは私もそう考えます。そうして共産活動は、むろん対外関係にもすぐ共通する問題でございますから、そういう方面に関する各般の情報等は、私の方で十分に整えて、政府内にこれを供給をしておるわけでございます。国内の共産活動については、他の閣僚からお答えを願うことにいたします。
 中共との関係につきましては、今お話を伺いました。よく私も了解をいたしました。私の意向も、べつに変ったことはございません。
   〔「法務大臣どうした」「答弁漏れ、法務大臣」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣牧野良三君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(牧野良三君) 答弁を申し上げます。
 国内の赤化対策につきましては、従来のような警察、検察行政に堕することなく内閣全体として政治的にこれを講じていきたいと存じます。その点につきましては、なにとぞ皆さんの御協力を請います。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(河井彌八君) 森下政一君。
   〔森下政一君登壇、拍手〕
#24
○森下政一君 私は、社会党を代表いたしまして質疑をいたします。本臨時国会は、地方財政の赤字対策を重要課題として召集されたと承知いたしております。つきましては三十年度に予想される赤字の額、そのうちでどのくらいの額に対して、どのような財政措置を講ずるか、財源措置を講ずるかということにつきましては、本国会の劈頭において、政府から当然説明が行われることを期待もし、かつ強く大蔵大臣の説明を要請したのでありまするが、その期待は裏切られ、要請に対しては回避されたのであります。
 一体、赤字対策を重要課題とする臨時国会を召集しておきながら、政府の決定した財源措置に対して、何らの説明を加えないということは、はなはだ奇異な態度であると思うのであります。はなはだ奇異な態度であると思うのでありまするが、かような政府の態度は国会を愚弄するものだと私は思う。(拍手)その点に関しては、一体政府はどう考えられるか、鳩山総理から私は御所見を伺いたいと思うのであります。御所見を質したいと思うのであります。
 これまでの赤字は、その一部に対して赤字補填の起債を認める、そうして一応たな上げをするが、交換条件といたしまして、地方団体に対して、さなきだに節約に節約を重ねているのに、さらに大幅の節約を要請する、さらにまたその後極限に達していると思われる地方住民の税負担、これを顧みることなしに地方税を増税し、増徴することを強要する、これらの要請が果されなかったならば、利子の補給を打切る、あるいは一部予算の執行の停止を命ずる、そういうふうな内容を持ちました地方財政再建促進措置法というものは、結局私はあらゆる面に中央が地方を支配して、中央の統制を強化せむとする中央集権、官僚統制の強化を行わむとする内容を持つと思いまするので、むしろかような措置をいたしますことは、あの法案を成立せしめることは、地方行政を、いな、地方自治を阻害することになる、地方自治と逆行する結果を生むことをおそれるのでありまするが、この点について政府はどうお考えになるのか。
 三十年度の予想される赤字に対する財源措置、これは誰からも説明を聞いたことがない、政府側から説明を聞いたことがない。今小林君の質問に対して僅かな説明があっただけでありまするので、新聞で知り得たくらいのことを土台にしてお尋ねするほか途はないのであるが、これを要するに年度の四分の三を経過しているそのときに、突如といたしまして公共事業の繰り延べを断行するなどということは、地方の混乱を招くことは火を見るよりも明らかでありまして、まことに暴挙であると思うのでありまするが、これまた地方自治に逆行するものだと私は思う。こういう思想は全部排除しなければならぬと思うが、赤字克服のために自治を阻害するというこの態度は、政府がぜひとも反省しなければならぬ点だと私は考える。この点についてどうお考えになるか。さらに赤字克服の根本的な施策はひっきょう今後赤字を出さないような地方財政の機構を確立するにある。これがためには当然今日まで累積した赤字を出すに至りました基本的な原因がどこにあるか、その基本的な原因を探求いたしまして、これを排除する、こういうことが一番根本の施策であろうと思うのでありまするが、この点について政府に何か御所見がありますか。私は今指摘いたします二、三の点につきまして簡単に申し上げるから、率直に、抽象的でなしに、同感だとか、それは違っておるとかという政府の端的な見解を表明していただきたい、こう私は思うのであります。
 まず第一は、地方財政計画というものが適正でないと、こう私は考える。今のような政府の地方財政計画策定方式によりますると、いつまでたっても財政計画それ自体が適正を欠いておると、こう私は考えるのであります。現に二十八年度の財政計画と地方団体の決算、すなわち実際とを対比してみますならば、歳出におきまして千百九億円の隔たりがあるのであります。二十七年度もそうであった。二十八年度またこの通りである。歳出に一千億以上の隔たりが、実際から遊離しておるというような財政計画を基本にいたしまして財源措置を講ずるというところに、私は十分でないものがあると思い、地方に赤字を生ずるのは当然だと思うので、財政計画それ自体の適合性をはからなければならぬ。今のような方式なら、むしろなきにひとしい。こう私は思うのでありまするが、その点どうお考えになりますか。
 それからもう一つは、何としましても地方財政に赤字が累積してきた原因の大きなものの一つは、自主的な財源に乏しい、地方団体の自主財源を強化しなければならぬ、これであると私は思うのであります。三十年度の地方財政計画の歳入の総額は九千八百二十九億円でありまするが、地方団体の独自の財源、自主的な財源として支柱をなすものは、言うまでもなく地方税収入でありますが、その地方税収入の額は三千八百三十五億円とされておる。すなわち収入総額に対しまして三割九分であります。まことに乏しいと言わなければならぬ。もっとも三十年度の国の予算に現われております国税収入は九千百七十六億円であります。この九千百七十六億円の中から国庫支出金として二千七百五十七億円、地方交付税並びに譲与税として千六百二十七億円、合計四千三百八十四億円というものが地方に流されることになっておるのでありまするが、このことは一体何を意味しておるか。地方団体の自主的な財源は非常に乏しいが、国家に依存していかなければならぬ。すなわち依存財源というものが比較的多いということなのであります。同時に、この国家に依存することのために中央の官僚が地方団体を支配する。先刻来論議されたように、わずかな財源措置をしながら膨大なる事務を押しつけておる。これでは地方に赤字が出るのは当然でありまして、このことを改めなければならない。地方財政法第九条の趣旨にのっとりまして、地方団体の行政費は全額地方団体が負担することを原則とする限りにおいては、むしろ私はこの中央依存財源として中央から地方に流されますものを一思いに地方団体の自主的な財源としてこれを与える。そのかわり地方団体はみずからの責任におきまして、赤字を出さない財政の運営をなさしめるということにするならば、必ず私は将来赤字は払拭することができると、こう考えるのでありますが、そうお考えになりませんか。先刻小林君が補助金行政の合理化を唱えました。補助金行政がはなはだしく不合理だということを申しましたが、まことに同感のように自治庁長官は言われたけれども、はなはだ抽象的である。もっと端的に、これはどうしても改めるというふうな決意を伺うことができませんでしょうか。たとえば例を学校建築にとってみましても、単価の見積りが非常に違う。すなわち財政上実際に地方団体が支出しますものは、木造建築の場合におきましては坪当り三万円、鉄筋建築におきましては坪当り七万円といわれておりまするが、実際これに対して政府の与えておりまするものは二十八年度におきましては、木造に対しては坪当り二万三千円、鉄筋に対しては五万七千円というわけで非常に少い。その隔たりがありますために、せっかく補助金をもらいましても、補助金をもらうたことによって自腹を切って持ち出さなければならぬものが多い。これが累積していくということになりますならば、かような制度も残しておく限りは、いつまでたっても地方の赤字というものは絶えるときがない、必ず累積せざるを得ないのであります。従いましてこういう点に対して、どういうふうにお考えになるか。はなはだしいのは、その不足の穴埋めのために地方団体は起債をしなければならぬ。しかも不思議に補助事業に対する起債が一番多く認められるという傾向にあるのでありまして、全く地方団体としては赤字の累積に悩まざるを得ないという必然的な結果が生まれてくるのであります。それどころでない、起債と公債費の悪循環ということがしきりに言われまして、この調子で毎年起債額がふえて参りますると、昭和三十二、三年ごろには、結局起債額と償還額が匹敵するようなことになりまして、何のための起債であるか疑わしいようなことになる。ついには償還不能の地方団体ができるのでないかということが憂えられておりまするが、そういう事態を一日も早く断ち切ることでないならば、私は将来赤字の出ない地方財政の運営というものはあり得ないと考えるので、こういう点に対して私は簡明に、どうぞ政府側の主管大臣から御所見を伺いたい。抽象的でなしにはっきりした御所見を伺いたい。かように存する次第であります。赤字を忍ぶことが、もし地方の経済の開発、あるいは社会福祉のためなどということでありますならば、まだ忍ぶことができるかもわかりませんけれども、仕事を押しつけられて、財源措置をしてもらわなくてしかも自腹を切って出すものが軍事基地の付属施設であるところの協定道路の建設なんといったような、土木費に対する自腹を切っての赤字だなんということになりましたならば、地方住民はとうてい耐えることができない思いをするだろうと私は思う。
 昨日の総理の御演説によりまして、私どもは政府が大きな決意を持って行政改革を断行する意思があるということを承知いたしました。この点につきましては私はもう端的に申し上げます。河野所管大臣から先ほど行政整理――人員整理をしようというのじゃないのだと、こういうふうな明快な答弁がありましたが、以下、私の申し上げる二、三の点だけは率直に態度を表明していただきたい。
 今度の企図されておりますところの改革によりまして、予算編成権というものは一体どこに持っていかれるお考えでありましょう。たとえば予算局というようなものを新設して、政府に、いな、内閣に直属せしめてこれに編成権をゆだねるというような構想がありますか。うわさによりますと、内政省などというものを新設いたしまして、昔の内務省の復活をはかって、中央集権強化、そういったようなことを夢見ておるのじゃないかというなうわさが飛んでおりますが、さような懸念はありませんか。あるいは防衛庁を昇格せしめて国防省にして、再軍備強化への促進を夢見るというようなことがありませんか。さような点につきまして、私は率直にお考えを聞かしていただきたいと、かように存するのであります。
 同様に、昨日総理の御声明によりまして、税制改革、しかもその税制改革というものは、総理の御演説で了承し得ましたことは、全般にわたる改革というよりは、国民負担の不均衡な面があるので、これをぜひとも是正していきたい。こういう御要旨のように拝聴いたしたのであります。一体どこが一番国民の負担が不均衡であるか。端的に申しますると、私は勤労者に対する課税が他に比較いたしまして、はなはだしく過重であるというのが現状だと思う。従いまして、重点的にもし改革をやろう、そうして負担の不均衡を是正しようというならば、私は勤労者に対するところの所得税の改正をぜひ取り上げなければならぬと、こう思うのであります。先ごろ税制調査会の要請にこたえて第二次鳩山内閣の労働省がこれにこたえたという回答の内閣を新聞で承知いたしたのでありまするが、その中にこういうことがうたわれておる。「現在の勤労者の租税負担は他に比べて過重であるから、勤労所得税の軽減をはかるべきである。」さらにまたいわく、「経済の興隆をはかるためには労使関係の安定が緊急の課題であるが、このためには労働者の生活安定が何よりも必要である。税制の改正はこの方面に向わねばならぬ。」さらにまたいわく「戦前は一年千二百円までは無税であった。物価の変動を考え、三百倍にすると、年三十六万円になる。この程度に軽減することが困難としても、漸次戦前の負担割合に復帰すべきである。」私は社会党の政策を読んでおるのじゃないのです。鳩山内閣の労働省の税制調査会に提出した意見を読んでおるのでありまするが、ここ数年来、私どもの主張してきたことが、はからずも労働省に取り上げられて、その意見としてここに述べられておるような次第でありまするが、政府内部の声がすでにそうである。私は、重点的にぜひともこれだけは早急に実現さるべきだ、そうして総理の声明を具体化していただきたいと思うが、いかがでございましょうか。
 最後に一言、期末手当の問題に対する政府の態度を伺っておきたいと思うのであります。今、公労協の期末手当獲得の闘争が展開されましてだんだん深刻になりつつあるようでありまするが、ほとんど年中行事のようなことが繰り返されるということは、全く愚かしきことでありまして、誰しもこれを歓迎する者はないと思うのであります。かくのごとき事態の発生を未然に防止することが困難であるかということを考えると、これは容易な問題であって、一にかかって政府の真心のあるなしにかかっておると、私はこう考える。(拍手)人事院は早くも七月に勧告を発しておるのでありまするが、その人事院の勧告の線に対してさえ、政府の態度というものは今日なお未定である。ここに非常に混乱を惹起しておる大きな禍根があると思いますると同時に、今、地方財政は非常に赤字で困っておる。その克服のために政府は臨時国会まで召集しておるというような、このやさきに、地方の公務員というものは全くこれを無視するというような態度をとられるかのごとききらいがありまするが、一体どうしようとされておるのか、政府の態度をお伺いいたしまして私の質問を終ることにいたします。(拍手)
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(鳩山一郎君) 森下君の御質問にお答えいたします。
 赤字対策のため臨時国会の開会を社会党が要求されたことはおっしやる通りでありまして、その応急の措置として、政府は法案を今議会に提出いたしました。詳細のことは大蔵大臣、自治庁長官から御説明をいたします。その他のことは、すべて関係長官からお答えいたします。
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#26
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま御指摘のうちで私から答弁いたしますことを申します。
 まずこの地方の団体に自主の財源をもう少し投下すべきじゃないか、こういうお話しでございます。今日地方の団体が非常に赤字が出ておりますが、いろいろこれは原因があることは申すまでもありませんが、一番やはり大きなのは、この地方のなさる仕事の量とそれに見合う財源がマッチしていない、こういうところにあることは、これは私、やはり争えないと思っております。ただ、従いまして仕事量が果してこのままでいいのか、これをやはり基本的に考えてみなくてはならぬと思います。単に財源を与えるだけでは私は適正なものとは考えられない。また同時に、この自主的財源と申しますが、今日、日本の地方団体は非常に状況が違っておりましてあるところでは大へん租税収入をあげ得るが、ある地方ではどうにもならない、こういうふうな状況も少くないのであります。従いまして地方団体全体を考えます場合は、やはり、たとえばこの交付税交付金、こういうふうな形で地方の財源の偏在を是正する、こういう措置も今日の日本ではやむを得ないので、まあそういう点を考慮しつつ、今後地方団体の財源を考えてゆきたいと思います。特に従来、財源の租税収入なら租税収入が少いところで仕事量をそのままにしておいて、まあ起債でゆきなさい、こういうふうなやり方があったのであります。これは私は否定できないと思います。言いかえれば、仕事はさせるが財源はなくて借金でやってゆく。こういうこと、これが積り積って今日やはり大きな地方団体の困窮の原因になっておると思います。これは私、やはり三十一年度の、地方団体の赤字を将来出さないようにするためには、ぜひともためるように考えていかなくてはならぬと思っております。
 なおお話のうちに、しばしば、中央に税をある程度とりまして、これを地方団体に分ける。この考え方がいかにも地方の自治に関与するかのようなお考えも少くなかったのでありますが、そういう考えは、税の関係においては毛頭持っておりません。この財源の偏在をどうして調整をするかという、その手段として考えておるのにすぎないのであります。
 それから税の点について一体どこが今重いのか、こういうお話、まあ私の考えでは、やはり所得税を中心とする直接税、そこには税負担がやはり重いと私も率直に認めます。ことに勤労者の所得税が重いということは、私やはり認めていいと思います。従いまして、今後税について考える場合は、こういう点を十分取り上げて考えてゆきたいと思っております。
 大体私から御答弁……(「公共事業の補助金の率の問題が不適正だということについてはどうか」と呼ぶ者あり)これも、一番先のお話の地方財政計画の適正の問題、実態と合わないじゃないか、こういう問題に触れてくると思うのでありますが、たとえば単価の問題、こういうものが不適正であった。そういうものがありますれば、これはぜひともこの次から是正しなければなりません。私の考えでは、仕事の量を適正ならしむれば、単価を適正ならしむる。どうも仕事が非常に大きいものですから。ところが、それに割り振りする金が少いという関係で、自然単価が小さくなるというような、こういう弊もあると思う。それで今後は仕事の量はある範囲にとどめて、単価だけはほんとうにそれでゆけるという単価をつける、こういうふうな行き方に改めたい、かように考えております。
   〔国務大臣太田正孝君登壇〕
#27
○国務大臣(太田正孝君) 森下君の御質問に対してお答え申し上げます。
 今回の地方財政の措置の内容は、すでに御承知のことかとも存じますが、現下の地方財政の窮状を打開いたしまして財源の基礎を確立するために、地方制度調査会の答申を尊重いたしまして、国家財政の現状をにらんで案を立てたのでございます。すなわち三十年度限り交付税の繰入率を三%引き上げと同じ効果のある措置をして、その増収を財政措置とすることにしたのでございます。これに基きまして、百六十億円を交付税の例によって算定交付するのであります。その算定の基礎は、交付税率引き上げの三%による百八十八億円になるのでございますが、公共事業節減で地方負担の二十八億円が減ずるのでございますから、それを差し引いた百六十億円を交付税の例によって配分しようとするものであります。森下君の言われました地方財政計画が悪いということ、及び自主的財源をもってしなければならぬという御意見、補助金の問題につきましては、私は大体におきまして同じような考えを持っております。直さなければならぬと思います。特に依存財源を自主財源に振りかえるということは、方向としてはとるべきものであると思います。
 第二点といたしまして、補助事業の基本単価を是正することは必要であります。毎年少しずつはやっておるように聞いておりますが、来年度は強く要請いたしたい考えでございます。地方債の財源的な配分につきましては、漸次改善を加えていきまして地方債本来の姿に帰してゆきたいという考えでございます。
 一言お答え申し上げます。
   〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。
 行政機構を改革いたします問題につきまして予算局、内政省、国防省というようなことについて、いろいろ御意見がございました。これにつきましては、目下十分調査検討中でございます。
 しかし、この機会に申し上げておきたいと思いますことは、内政省を作りましたからというて、かつての内務官僚がばっこして、それが非常にどうであったというようなことを御懸念下さいますことは、決して私はこれは必要ないのじゃないかと思う。国防省を作ったからというて、軍閥がばっこするというようなことは断じてあり得ないと私は思うのであります。なぜかと申しますると、はなはだ僣越な申し分かもしれませんが、これらの時代に、われわれ自身がどういう経験をいたしたかということは、私自身も身をもって体験いたしております。従いまして、これを作ることによって何が生まれるか、憲法改正をすれば、すぐ徴兵制度だろう、行政機構改革をすれば、すぐ内政省で官僚がばっこするだろうというふうに、すべてやらぬ先から、これにけちをつけられてしまったのでは仕方がないのでありまして、先ほど私がお願い申し上げました通りに、現在、この制度機構のままでは、不適当である、機能が十分発揮できない、国民の側から見ても不便であるというようなものについて直そうとするのであって、名前が主ではないのでございまして、機構を改組もしくは合併、併合することが目的でございますから、どうかそれらの点について十分御理解を賜わりまして、御協力をお願い申し上げたいと思うのであります。(「答弁漏れがある、年末手当は」と呼ぶ者あり)
 お答えいたします。年末手当の問題についてお尋ねがございましたが、これにつきましては、目下政府において、部内でいろいろ検討中でございます。御承知の通りの事情でございますが、早急に結論を出しましてお答え申し上げるときがあると思いますから、しばらくの間御猶予をいただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#29
○副議長(重宗雄三君) 羽仁五郎君。
   〔羽仁五郎君登壇、拍手〕
#30
○羽仁五郎君 日ソ、日中友好善隣の関係の回復を一日千秋の思いで待っている国民のために、もっぱら首相の政策の根本について質疑を許されたいと思います。
 昨日、本議場において、つつしんで重光外相の演説を伺っていますと、次第に、何かきわめて強烈な睡眠剤の注射を受けているかのような作用に襲われまして、生気を取り戻すために食堂でコーヒーをすすりながら、僕は、このコーヒー代の支払いは外相に願うべきものであるかの錯覚に陥ったのです。僕は、これは全く僕の錯覚であると確信していますので、今日これを繰り返すことを避けたいと考えます。問題は外交に関連しますが、もっぱら首相のお答えを伺いたいと存じます。
 鳩山首相の政府与党には、日ソ、日中関係において、マリクあるいはモロトフ、グロムイコ、周恩来などの現代国際外交の最高のレベルに対して、わが国民をはずかしめないような外交担当者がいないとは存じませんが、昨日チャーチル、イーデンの政権移動に言及された鳩山首相は、ブルガーニン、フルシチョフ、周恩来と対等の高いレベルにおいて所信を中外に声明されたいのであります。
 首相はロンドン会議再開に当り、果して妥結の見込みありとお考えですか。外交評論家入江啓四郎君なども、ロンドン会議再開は、直ちに決裂か、日本が考え直すかの岐路に立つだろうと見ています。ただいま岡田議員もこの点を指摘されたのでありまして、重光外相はロンドン会議は中休みをしているなどと言っているが、事実世界の面前でわが全権をしてロンドンに置き去りを受けるような指示をしてきた外相は、自己の重大な責任を感じていないのですか。国民の血税を浪費してロンドンに茶のみ話に来たのかと言われて返答もできず、いさぎよくその地位をもっと適任の方面に譲りもしない恥ずべき外相を、わが国民は耐え忍ばなければならないのでしょうか。
 松本全権は、政府の方針の中途変更によって苦境に立ったと告白している。事実鳩山首相は最近の選挙に際して何と公約したのか。「領土問題や抑留者や戦犯者の帰還問題が片づかないのに、国交を回復するのはいけないという論もありますが、これほど本末転倒はありません。」これはあなたの言葉ですよ。「両国が国交を回復してから、対等の話し合いができるようになってから堂々と要求できるので、そのためにも一刻も早く国交を回復する必要があるのです。」首相、あなたはそう公約し、国民はこの公約を信じてあなたを選挙し、あなたに首相の重任を託したのであります。この公約を変更するならば、総選挙を行わねばなりません。現在ロンドン会議の行き詰まりを打開するには、あなたがいわゆる本末転倒の御論を押えて日ソ間の戦争状態終結の宣言の成立、外交関係再開の早期妥結を決意するほかはありません。西独アデナウアー首相はブレンタノ外相などの異論を押え、ボーレン・アメリカ大使の牽制に屈せず、ドイツ国民の悲願のために戦争終結、国交回復を三日間で妥結したではありませんか。
 首相は重大な決意をもって、あなたが国民に公約した方針を死守し、松本全権をあなたの直接の代理者としてロンドン会議再開に臨ましむべきではありませんか。しからずんば、あなたは何のためにあなたの健康をかけて首相として立っておられるのか。悲しき抑留者、戦犯者の方々、その家族の方々はロンドンの茶のみ話をこれ以上忍ぶことができましょうか。わが北海の風浪と戦う漁民とその家族の方々は、一日も早く日ソ国交回復を願っている叫びが、あなたの耳に達しないのですか。戦争終結が宣言され、外交関係が回復されるならば、それと並行してこれらおよびそのほか国民の悲願の問題の大部分が即時解決されるのです。国交が回復され、日本にソビエト大使館が再開されるならば、共産主義の宣伝がおそろしいなどというほど自信のない御論にあなたはくみするのですか。わが政府が最近まで抑留者、戦犯者などの問題、貿易問題、文化交流の問題、漁業問題そのほかあらゆる問題を赤十字社などに頼って、そのほかいろいろなことをやって正式の外交機関によらないで解決を求めている態度は、国際外交儀礼に反するけれども、政府はいつまでかかる現状を続けているつもりか。
 日本側からの招待によって日本を訪問されたソビエトまた中国の貿易代表あるいは国際見本市の代表などに、何の必要があって入国管理法令を機械的に適用して指紋の強制などの態度をとって、国際的な物笑いの種を作っているのか。朝日新聞十月八日の夕刊の「今日の問題」というところにも、法律の適用はエラスティクにやるべきだ、必要のない物笑いの種になるようなことをやめろと言っているではありませんか。しかも、これは現在日本にソビエトや中国の外交機関があれば、外交上の抗議を受くべき問題です。重大な問題が発生すべき問題である。こういう不必要にして有害なことはやめさせることが、私はあなたのとるべき態度だと思います。昨日は日本学術会議の招待によって中国の学界を代表せられる方々が日本に到着しておられる。こういうふうに文化交流などあらゆる面において進展が行われている際に、政府が全くこれを傍観し、打つべき手がないかのごとき態度をとられていることが、果してこの善隣の誠意でありましょうか。どうか首相は、この際高いレベルに立って、善隣の誠意を示されたいとお願いするのです。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(鳩山一郎君) 羽仁君の御質問にお答えいたします。
 ソ連と日本との国交を正常化したい。戦争状態終結確認の事態を作り上げたいという当初の目的は、今日においても少しも変っておりません。国交の正常化をする、戦争のなかったような状態に日本とソ連とを持ってくるというのには、どうしても未帰還者の始末、未帰還者の早期送還、あるいは占領せられたる領土の返還というものが当然にその中に包含せられるものでありますから、国際関係の正常化とともに、この問題に携わってきたということは、成り行き上当然だと私は思います。そうしてこれらの問題が日ソ交渉の題目になりましても、日ソ交渉は決して見込みがないということはない。私はある段階において日ソ交渉は必ず成功するものと、今日においても固く信じている次第でございます。(拍手)(羽仁五郎君「指紋の問題はどうですか、指紋などをとらしている」と述ぶ)この中国から日本に参りましたのは商業者としての資格において来たのでありまして、商業者としての資格において来た人の指紋をとるというのは、国際慣例になっておりますので、決して中共であるから指紋をとったという次第ではございません。
   〔羽仁五郎君発言の許可を求む〕
#32
○副議長(重宗雄三君) 羽仁五郎君。御登壇願います。
   〔羽仁五郎君登壇、拍手〕
#33
○羽仁五郎君 首相が国民に対する公約を守られて、国民の悲しい願いを一刻も早く実現せられるために、戦争状態の終結の確認ということに一路邁進せられることを国民の大多数の方々を代表して心からお願いをいたします。そうでなければ茶のみ話が続くのです。しかも日本の外務省には茶のみ話と言われて返答もできない人が代表しているのです。
 そしてこの指紋の問題は、法律はエラスティクに適用するのが当然です。あなたに申すまでもない。それを機械的に適用して、商業者であるから指紋をとるのだ、そして国際的な感情を悪化させて何の役に立つのですか。必要なことならばおやりなさい。必要もないことで、そして国際的な日本のいかにもインフェリオリティというか、情ない感情を、物笑いの種になるようなことをおやめなさいと言っているのです。(拍手)
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#34
○副議長(重宗雄三君) 八木幸吉君。
   〔八木幸吉君登壇、拍手〕
#35
○八木幸吉君 私は鳩山総理に対し、最初に保守合同と政局担当に関して三つの点をお伺いいたします。
 総理はかって解散しないで政局を担当することは僣越であると申し述べられました。この夏の予算委員会におきましても、自民両党を解党して新党を作る場合には、解散して民意に問うのが民主的であり、正しい行き方であると言明されたのであります。しかるに今回この当然の解散を回避せられましたのはどういう理由であるか、第一に伺いたい。第二点は、内閣総辞職は解散の後か、引責辞職のときに限るべきであるにもかかわらず、総裁をも決定し得ずして、再指名を予想して総辞職をするがごときは、国会の首班指名の制度をもてあそび、解散を回避してしかも立憲的の行動をとったがごとく装う一種のカムフラージュであると私は断ぜざるを得ない。(拍手)この無意味なる総辞職の理由を承わりたい。第三点としては、来年の四月に与党総裁の公選が行われるのであるかどうか、また総裁がきまれば解散をされるかどうか、念のために承わっておきたいのであります。
 第二に伺いたいのは、行政改革の問題であります。行政機構を合理的に簡素化し、能率化し、サービス化して国民負担の軽減をはからんとするのは国民一致の要望であります。第三次鳩山内閣がこの問題に異常な熱意を示されたことは真に敬意を表するものであります。総理府に予算局を設置し、人事院を廃止し、建設省、自治庁並びに労働省、厚生省を内政省及び社会省に改組統合し、各省の出先機関の整理等は、いずれも私はその実現を切望するものであります。しかしながら過去の実績が示す通り、行政改革は常に龍頭蛇尾に終っております。多年にわたってつちかわれた官僚の組織的抵抗があるからであります。今や現内閣は保守合同によって国会勢力は整備されましたが、問題は実行の勇気と決断にあります。総理はいかなる決意の下にこの目的を達成せんとするのであるか、その覚悟のほどを承わりたいのであります。
 第三は、税制問題についてであります。現内閣はなお減税をされるのであるかどうか、勤労所得と農業所得との不均衡を是正されるかどうか、直接税と間接税のバランスを変更される気持があるかどうか、承わりたいのであります。
 最後に伺いたいのは憲法改正の問題であります。総理は一年くらいの準備によって憲法改正の原案を作って、解散によって三分の二以上の賛成者の議席を得たいと述べておられます。しかしながら、憲法の改正には衆議院のみならず参議院の賛成をも必要とします。保守党として来年の参議院改選を間近かに控えて、いかなる準備と対策を持っておいでになりますか。特に私はこの際強調いたしたいことは、自衛隊はいかに強弁されましても、これは明らかに憲法違反である。その他の点はゆっくり研究するとしても、憲法第九条だけは、法律の維持、秩序、憲法の尊厳のために、一日もすみやかに改正をしなければならぬと私は信ずるものであります。来年の四月に自由民主党の総裁公選を機に衆議院を解散し、参議院の改選とともに憲法第九条改正の要を積極的に訴えて、堂々国民の審判を受けられんことを切望するものであります。この点に関する総理の御見解を承わって私の質問を終ります。
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(鳩山一郎君) 八木君にお答えをいたします。
 何故解散しないかというのが第一の御質問、私は政権の移動を予想する場合には解散をするのが適当だと思います。ただし、このたびは政権の移動ではないので解散をしなかったのであります。(「それならばなぜやめた」と呼ぶ者あり)第二次鳩山内閣は民主党の推薦によって指名をせられました。その民主党は解党をしてしまったのであります。なくなったのであります。(「それなら政権の移動じゃないか」と呼ぶ者あり)移動とは思いません。総辞職は、与党の基盤が変ったので、これはなした方がいいと思ってしたのであります。与党の基盤が、つまり民主党がなくなりまして、今度自由民主党になりましたので、これは一応やめた方が適当だと思ってやめたのであります。
 行政整理と機構改革について十分の用意と覚悟をもってやれという御趣旨であったと思います。むろんこれは難事でありまして、十分の用意と覚悟の必要であることは申すまでもございません。
 税制改革については、大蔵大臣が今いませんので……減税をやるかと御質問でありましたが、減税は来年度におきましても二百六十億ぐらいの軽減になるのであります、従来のやり方でいって。それで、勤労所得と農業所得とのバランスをとれというお話でありますが、不均衡を是正するというのが税制改革の目的でありますから、バランスのとれるようにいたしたいと思います。
 憲法改正について、参議院についてどういう対策を持つかということでありますが、参議院が三分の二の保守陣営がなければ、憲法改正は三年間はできないわけでありますから、参議院がやはり三分の二の保守勢力を持つように努力をしたいと考えております。(八木幸吉君「答弁漏れがあります。総裁の公選をなさるおつもりであるか、公選するようにリードなさるか、公選を阻止するようにリードなさるか」と述ぶ)公選せらるることを熱望はしております。阻止するようにはもちろんリードいたしません。そのときに今くらいの健康を持っていたなら候補者に立つつもりであります。(八木幸吉君「いや、公選というのは、あなたが候補者におなりになるというのではなくて、自由民主党として地方組織が完備したならば公選ということを四月におやりになりますか」と述ぶ)
#37
○副議長(重宗雄三君) 私語を禁じます。
 これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。
 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時二十二分散会
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
ソース: 国立国会図書館
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