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1955/12/07 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 本会議 第4号
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1955/12/07 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 本会議 第4号

#1
第023回国会 本会議 第4号
昭和三十年十二月七日(水曜日)
   午前十一時七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四号
  昭和三十年十二月七日
   午前十時開議
 第一 国際連合への加盟に関する決議案(鶴見祐輔君外三十九名発議)(委員会審査省略要求事件)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。中山福藏君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、木下源吾君、小松正雄君、平林剛君から裁判官訴追委員を、曾祢益君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河井彌八君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員並びに裁判官訴追委員及び同予備員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
#7
○阿具根登君 ただいまの選挙は、いずれもその手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#8
○剱木亨弘君 ただいまの阿具根君の動議に賛成いたします。
#9
○議長(河井彌八君) 阿具根君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に市川房枝君を、裁判官訴追委員に大倉精一君、岡三郎君、片岡文重君を、同予備員に山田節男君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#11
○議長(河井彌八君) 去る二日、常任会員長に選任せられました棚橋小虎君は検察官適格審査会予備委員を、田中一君は国土総合開発審議会委員を、高田なほ子君は日本ユネスコ国内委員会会員を、三輪貞治君は海津砂地地帯農来振興対策審議会委員を、国会法第三十一条第二項の規定により解かれました。
 つきましては、この際、日程に追加して、その補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
#13
○阿具根登君 ただいまの選挙は、いずれもその手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#14
○剱木亨弘君 ただいまの阿具根君の動議に賛成いたします。
#15
○議長(河井彌八君) 阿具根君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、検察官適格審査会予備委員に加藤シヅエ君、国土総合開発審議会委員に永井純一郎君、日本ユネスコ国内委員会委員に荒木正三郎君、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員に中田吉雄君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#17
○議長(河井彌八君) 昨日、内閣総理大臣から、首都建設委員会委員黒川武雄君の委員辞任に伴う後任者を指名されたいとの申し出がございました。
 つきましては、この際、日程に追加して、同委員の補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
#19
○剱木亨弘君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#20
○阿具根登君 私は、剱木君の動議に賛成いたします。
#21
○議長(河井彌八君) 剱木君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、首都建設委員会委員に安井謙君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#23
○議長(河井彌八君) 日程第一、国際連合への加盟に関する決議案(鶴見祐輔君外三十九名発議)
 本案は、発議者から委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。
 まず発議者の趣旨説明を求めます。鶴見祐輔君。
   〔鶴見祐輔君登壇、拍手〕
#25
○鶴見祐輔君 ただいま議題となりました国際連合への加盟に関する決議案について、私はその提案の趣旨を御説明いたしたいと思います。まず決議案を朗読いたします。
  国際連合への加盟に関する決議案
  本院は、現在国際連合総会において審議中の新加盟国承認に関する二十八カ国共同決議案の趣旨にのつとり、わが国を含む申請国の加盟が今期総会中に実現するよう、国際連合加盟国の決定を要請する。
 右決議する。
 わが国は、過去において国連加盟に対し熾烈なる希望を抱いて、機会あるごとにこれを表明して参っておるのであります。ことに昭和二十七年六月の十六日には、外務大臣より国連事務総長に対し加盟申請をいたしたのでありますが、同年九月十八日、同連合の安全保障理事会において、ソ連の拒否権行使によって否決されたのであります。しかるに今回は、第十総会においてカナダが提案し、他の二十七カ国が共同提案国となって提出した、十八の未加盟国加盟承認の決議案がただいま特別政治委員会で審議されておるのであります。国連憲章によりますと、加盟承認には安全保障理事会、次に総会の決議を経ることが必要であります。しかるに、今期総会におきましては、加盟問題をこの際全般的に解決しようという機運が高まっておりますけれども、安保理事会におきましては、五大常任理事国が拒否権を持っておりますから、外蒙古の加盟に対し、もし中国が拒否権を行使すれば、日本を含む他の十七カ国の加盟も不可能となる状態であります。あと数日を余しますところの国連総会において、かくのごとき不幸を招きますならば、日本にとってはゆゆしき重大事でありますから、この危機に際し、日本国民の総意を本院において決議によって表明し、世界の公正なる英知と良識とに訴えんと欲するものであります。
 しからば、日本国民は何ゆえにかくのごとく国連加盟に熱烈なる願望を抱いておるのか。その第一の理由は、日本国民が世界のいずれの国民よりも痛切に近代戦争の残虐を体験したということであります。すなわち原子力時代における戦争は時代錯誤であることを痛感したからであります。ゆえに世界平和の維持ということは、全日本国民に共通する一つの悲願であります。ゆえにわれわれは、平和維持のための唯一の国際機構たる国連に対し、深甚なる信頼と期待の念とを持っているのであります。
 第二に、敗戦後の日本は、従来の悪夢からさめて、真の平和愛好国民として復活しようと決心したのであります。そしてもう一度、世界各国のあたたかい友情の中によみがえろうと努力して参っておるのであります。ことにサンフランシスコの平和条約発効後は、日本国民は明るい希望を抱いて再出発をいたしたのであります。しかるに戦後十年、平和克復後約三年半の今日に至りましても、なお国連の一員として受け入れられないのであります。これは日本国民にとっては、忍びがたき失望であります。今日二十八カ国の共同提案が国連総会に提出されましたことについては、われわれは提案首唱者たるカナダはもちろん、これに賛同したる各国に対して、衷心より感謝の意を表するものであります。こいねがわくは、二千年来の友邦である中国が、両国の長い歴史を顧みて、日本の国民的総意の達成のために最後の支持を与えられんことを切望してやまないのであります。またこの機会において私は、日本の国連加盟への熱意は、加盟国としての権利に均霑せんとするのゆえのみではなく、その高貴なる義務の履行に対する不抜の決意を持っておることに発することをあわせて声明しておきたいと思うのであります。
 何とぞ、満堂の皆様の御賛同によりまして、本決議案の成立いたしますようお願いいたします。(拍手)
#26
○議長(河井彌八君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。加藤シヅエ君。
   〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕
#27
○加藤シヅエ君 ただいま議題となりました国際連合への加盟に関する決議案に対しまして、私は日本社会党を代表いたしまして賛意を表するものでございます。
 わが日本社会党は、社会主義政党の性格から、国際間の協力、相互援助、世界恒久平和の確立につきましては最大の貢献をいたさんと、常日ごろ念願しているものでございますから、その基本的政策にも見られるごとく、日本の平和愛好国として育成しつつ、その安全を保障するためには、話し合いによる国際緊張の緩和の方式を、双手をあけて賛成するものでございます。(拍手)そればかりか、国際的な監督機関のもとに、全世界を含む軍備の縮小と原子兵器の禁止を叫び、国際間の最も進歩した機構としての国際連合の内容充実とその集団安全保障の完備を求めているものでございます。
 国際連合憲章は、昭和二十年六月、日本の無条件降伏以前すでに署名され、同年十月効力を発生し、今日では六十の加盟国を持つ世界大家族を形成しておりますが、敗戦に打ちひしがれました日本国民としては、国運の再起も、平和への貢献も、一にかかってこの世界平和機構への参加にあると考えて参りました。もし敗戦国は、国際間にあって永久に犯罪国のごとく白眼視され、弱小国は、常に強国に支配されるという昔日の歴史が繰り返えされるのでございましたなら、私ども日本国民は、何の希望あって国の再起をはかることができるでしょうか。しかるに今日、世界を支配する基本的人権を尊重するの思想は、敗戦国なるがゆえに、あるいは弱小国なるがゆえに理由なき侵略、不当なる内政の干渉等を受けることなく、独立したる民族諸国家が、それぞれの立場から相互に助け合いつつ、その繁栄を企図し、世界平和への貢献をなし得る道として国際連合は存在しているのでございます。
 従ってわが国としても早くよりこれに加盟することを念願し、すでに第十三国会において国連加盟について承認を求めるの件は可決せられております。それから三年を経過いたし、ようやくこのたび十八カ国一括加盟の方式をもって日本の加盟が推進されるのを見るに至りました。この加盟の成否の決定は、安全保障理事会及び国連総会の採決によってなされるものでございますから、今や私どもは外電が吉報をもたらすことを待ちに待っている次第でございます。しかし世界の平和を守る機構としての国連が、そこに新しい加盟国を承認することがなかなか平坦な道でないところに、今日の国際間の緊張いまだ緩和したとは申せない現実を見ないわけにはいかないのでございます。すなわち新規加盟希望国に対して、国連は、はなはだ狭き門であったことは、一九五〇年、インドネシアの加盟を見た後、その門は一回も開かれなかった事実を見てもわかるのでございます。しかしこれは加盟申請国の資格の問題に原因があったのではなく、むしろ米ソ両陣営の対立が、国連を平和の機構とするかわりに、大国間の権力闘争の舞台と化せしめたのでございました。このことはまことに不幸であったと言わざるを得ません。従って、このたびカナダを先頭といたし、今日では二十五カ国共同提案となりましたこの十八カ国一括加盟の方式は、長年にわたる加盟問題の暗礁を乗り切るための政治的な措置であり、自由、共産の二大陣営に分裂している世界の悲劇的情勢下において案じ出された産物とでも申すべきでございましょう。もし幸いにしてこの共産側五カ国、自由陣営十三ヵ国といわれる大量加盟が承認されることになりますならば、国連は一応従来のデッド・ロックを取り除いて、清新な活力を入れることが可能となり、集団的平和維持の国際機構としてその基礎を大きく広げることを意味するのでございます。
 かかる情勢下におけるわが国の加盟が承認されますならば、日本はこの平和機構の中においてすでに存在する権力的な対立の、そのどちらに加担することなく、高らかに平和思想をうたった日本国憲法の精神を生かして、国連憲章をよく守り、その傘下のもろもろの専門機関において諸国家と協力し、啓発し合い、太平洋の地域に恒久平和と民族の繁栄を持ち来たらすために貢献することができるのでございます。
 よってここに本決議案の趣旨が、国際連合の今期総会中に実現するよう強く希望いたしまして、私の賛成の言葉といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(河井彌八君) 佐藤尚武君。
   〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
#29
○佐藤尚武君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする国際連合への加盟に関する決議に賛意を表するものであります。
 平和条約が締結されまして以来、わが国はあらゆる機会におきまして国連加盟の意思を明確に表示して参ったのであります。加盟は認められなくて今日まで参りましたものの、国連のすべての専門機関には日本は参加いたしております。すなわち事実上の国連協力は、日本としては努めているのでございます。一九五二年の第七回総会の決議をもちまして、日本の国連に加盟する資格の認められておりますることは、先ほど鶴見議員の提案理由の中にも、るる説明された通りでございます。
 ここまで事態を持って参りまする上には、第一に戦後の日本が、国連の支持者であり、日本は国連とともに生きていくのであり、国連によって立って行かなければならぬ国であり、平和日本としまして、世界の平和建設に寄与する国であるということを、世界をして認識せしめなければならなかったのであります。このためには、歴代の内閣、党派のいかんにかかわらず、政権を掌握しました歴代の内閣は、この努力を続けて参ったのであります。単に政府関係者がそういう努力をしたというばかりでなく、日本の民間団体といたしましても、また多くの民間団体が、やはり同じ努力を続けて参ったのであります。私自身そういう民間団体の一、二に事実関係しておりまするがゆえに、ここでいささかでも誇大にわたるようなお話は避けなければなりませんが、しかしながら、これら民間団体の努力によりまして、国内におきまする国連に対する認識を高め、国連の精神を全国的に普及して参ったということだけは申し上げることができるのであります。もとよりまだいずれの団体も微力でありまして、十分のことはできておりませんものの、国連というものに対して、日本国民の関心を高めたということだけは申し上げて差しつかえないと思います。のみならず、われわれの運動は、国際連合本部におきましては比較的高く評価され、また認識されておるのでありまして、そのために国際連合の本部から、そういう意味の書状も参っております。そういうようなわけで、今日におきましては、漸次国際連合に所属しておりまする多くの国々から、日本の国連加盟が支持されてくるというようなことになったわけであります。
 わが国の政策といたしましても、世界から孤立して立っていくようなことは断じて考えられないところであります。満州事変以来、不幸にして、日本は世界から孤立してしまったのでありまするが、その結果が、どういうものであったかということは、身をもってわれわれは体験して参ったのであります。再び世界から孤立するというようなことは断じてやってはならないのでありまして、そのためにこそ、世界の独立国の集団でありまするところの平和維持機構、すなわち国連にわれわれが参加を熱望するのであります。
 この国連加盟承認の動きが、現在行われておりますところの、開催されておりまするところの国連総会において、逐次進められて参ったということも、先ほど来、るる御説明があった通りでございまするが、ただ中国の外装に対する関係からして、日本の加盟問題も心配されておるような事態でありますることは、まことに遺憾にたえません。ただ中国といたしましても、日本の加盟にいささかでも反対するというのではないということは、これは国連におきまする国府代表の言明によりましても明らかであります。ただ特別の事情のもとに、中国が一括加盟を渋っておるというような事態に直面しておるわけでありまするが、私どもは、国連加盟国の良識によりまして、これらの困難が逐次解決され、そうして十八カ国一括加盟の問題が、無事に解決されまするよう心より念願するものであります。
 その点におきましての強い希望を表明いたしまして、あらためて私は緑風会としての本決議案に対する賛意を表するものであります。(拍手)
#30
○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。(拍手)
 ただいまの決議に対し、外務大臣から発言を求められました。重光外務大臣。
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(重光葵君) ただいまなされました国際連合加入実現に関する参議院全会一致の御決議は、直ちに国際連合及び関係列国に通告する手続をとることといたします。政府といたしましては、御決議の趣旨を実現するために、全力をあげて引き続き努力する方針であることをあわせて申し述べます。(拍手)
     ―――――・―――――
#33
○山本經勝君 私はこの際、炭鉱保安に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#34
○剱木亨弘君 私は、ただいまの山本經勝君の動議に賛成いたします。
#35
○議長(河井彌八君) 山木君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって、これより発言を許します。山本經勝君。
   〔山本經勝君登壇、拍手〕
#37
○山本經勝君 私は、最近の炭鉱災害頻発にかんがみまして、日本社会党を代表いたしまして緊急質問をいたすわけでございます。
 御承知の通り、本年の十一月中において重大なる炭鉱災害がすでに四件に達しておるのであります。まず北海道雄別鉱業茂尻炭鉱のガス並びに炭塵の爆発によりまして、八十八名の被災者のうちで六十名に上る死亡者を出しております。続いて同月の九日、福岡県の田川郡におきまして、赤池炭鉱のガス突出による被災者三十名のうち十一名が死亡いたしております。さらに十五日に同じく田川で真岡炭鉱のガス燃焼によりまして四名の被災者を出し、そのうち一名死亡、同じく二十九日に福岡県の宗像郡大和炭鉱のガス爆発によりまして二名の即死者を出しております。以上の通り、一カ月間にガスによる災害で百二十四名の被災者を数え、そのうち七十四名に上る多数の犠牲者を出しておるのであります。
 災害の性質は爆発あるいは突出燃焼というふうに変っておりますが、いずれもガスによる災害であるという点では変りはございません。しかも、これらの各炭鉱は、鉱山保安法並びに石炭鉱山保安規則に定める甲種炭鉱の指定を受けておる炭鉱であることでございます。この甲種炭鉱と申しますのは、可燃性のガスを多量に発生し、爆発や発火、燃焼等の危険が常にあるからこそ、特別に対策を施す必要上、法的措置が講じられておるのでございます。にもかかわらず、今回のごとき災害を発生したということは、一口に申しますなれば、管理者の保安に対する軽視、あるいは保安のサボといわれるものがあったのではないか。最近石炭産業の合理化を中心にして、業者がもっぱら利潤の追求に汲々とするあまり、保安を軽視し、サボるという実態から、このような結果を起したのではないか。もしそれが間違いであるということでありますなれば、以下私が申し上げるような矛盾が起ってはならない、こういうふうに考えるわけでございます。あるいはまた事実サボっており、あるいは軽視をしておるというのであるなれば、それに対する鉱山保安法及び石炭鉱山保安規則に基く指導監督の任に当っておられる当局は、どのように日常の監督業務の推進をなさってきたか。あるいはこの点に不行届があったのではないかという問題になるのではないかと考えるのであります。
 そこで、以下数点にわたって通商産業大臣並びに労働大臣に御質問を申し上げるわけでございます。
 まず第一に、災害の原因に対する究明でございます。茂尻炭鉱では、まず肩盤の掘進中にハッパによって停滞ガスに引火したと言われておりますが、この作業個所は五十メートルの延び先にエアゼットによる局部扇風機が設置されているだけで、完全な排気が行われておったとは言えないのであります。その状態は、坑道内、つまり行き詰まりになっておる坑道内に、ガスを多量に含んだ空気が、弱いエアゼットの通風によりますから、いきおい乾流しております。そうして排泄されない、こういう状態がこの坑道の中にあったと判断されております。これは作業の進行を急ぐのあまり、間に合わせ的なやり方であったと言わなければならぬのであります。こういう状態が私ども常に至るところの炭鉱において見受けられる実情なのでございます。こうした状況のもとで作業を強行しておったということであるなれば、これは明らかに保安に対する軽視どころではなくサボである、かように断ぜざるを得ないわけでございます。さらに七月二十六日と記憶いたしまするが、北海道保安監督部の派遣班が、この茂尻炭鉱の現場を検査いたしましたその際に、問題の十一番層払いの随所に多量の粉炭が堆積しておった。そこで、これを一掃するよう勧告をした事実は、報告書によって私も見たのでございます。しかるに今回のガス爆発に当っては、この十一番層払いの粉炭に誘爆を起している。そのために被害を一そう拡大したことは、これまた明らかな事実でございます。そうしますと、炭鉱には炭塵があるのは当然のことで、この粉炭の処理の勧告は、一時的なものであってはならない。日々発生するのでありますから、常に粉炭を処理する措置が講ぜられなければならない。これは御承知の通り、規則の第百三十七条から第百四十四条にわたりまして、詳細な措置が明確な規定になって示されておるにもかかわらず、このような炭塵爆発を誘発したということは、明らかにこの炭塵処理が法の規定並びに勧告に従って行われていなかったということを裏付けする。そうしますと、こういうような状態を私ども保安のサボ、あるいは保安軽視という事実として指摘して当然であると確信をいたしておる次第でございます。しかも、さらに赤池炭鉱の場合におきましても、ガス突出の危険はすでに以前から予知されておる。そのために先進さく孔が一週間ほど前から行われておったのでありますが、三交代の作業行程で、一方だけが通称十尺ノミ、約三メーターのノミでもってさく孔をし、さぐりを入れておった。このくらいでは、とうていこの予防にはならないということは明白なのでございますが、一方の採炭によりまして、払い面の進行は一メーターないし一メーター半前進いたします。そうしますと、十尺ノミでせいぜい掘れるのが九尺、そうしますと、一方進行することによりまして、あとに、先進さく孔をやったいわゆるさぐりの効果というものは、すでに消えておる、こういう状態でなくてはならぬと考えます。しかも、この突出ガスというのは、強い力で圧縮されて、そうして地殻内に閉じ込められた天然ガスが、ハッパ作業によって衝撃を受け、亀裂を生じた炭壁を突き破って飛び出してくるのであります。このような現象は少くとも綿密な連続的な先進ポーリングを必要とするにもかかわりませず、わずかに先進さく孔を十尺ノミでやっておった。しかも三作業行程で一回しか行なっていない。つまり二十四時間中に一回しか行なっていなかったということは、これまた保安軽視の実態以外の何ものでもないと考えるのであります。
 以上のような実態について通産大臣並びに関係当局は、どのような日常の監督、あるいは指導を行なっておいでになったのか、あるいは今次災害に対して、どのような実態調査をなされ、そうして事後の措置を十分とり行われたか。詳細な御説明を承わりたいのでございます。
 次に、茂尻及び赤池の今次の災害に当って、私は現地についてそれぞれ調査に当った一人でございますが、茂尻炭鉱においては、北海道の監督部長の意見によりますと、ガスの爆発は、少くともガスが空気中に四・五%以下の場合に起ることはないということが言明された。われわれもまた長い経験上、そう信じて参っておるわけでございます。四・五%にして初めて爆発が起るのである。ところが一番爆発に適切な条件だといわれるものは七・八%、こういうことになっておるようでございますが、そうしますと、四・五%以上七・八%に達する爆発に最も恰好な条件があった。つまり流動にせよ、停滞しておるにせよ、そういうガスがあったということはいなめないのであります。これは爆発の事実が物語っておる。こういう状態から考えて参りましても、この保安に関する現場の職制上の指導と、いわゆる保安監督の関係が、いわゆる所長あるいは鉱長、あるいはまた鉱業権者といった人々が、いわゆる業務上、計画の遂行と保安監督の最高責任とを兼ね持っておるということに非常に問題があるように考えるのでありますが、この点につきまして、通産大臣、最高責任者としての通産大臣の明確なる解明、御説明をいただきたいと考えるのでございます。
 さらにお伺いを申し上げまするのは、鉱山保安法第三条にいう保安の対象が、人と物と、いずれにウエートを多く置いておるのか。人命の保安と、資源と施設、資材の保安と、あるいは鉱害に対する保安が並列されておりますが、この考え方は、人間の生命の保安というようも、とかく石炭産業の合理化という方針が、能率の増進と、さらにコストの引下げを重点的に強行していく関係上、生産と保安という関係が、むしろ人間の生命の重要性というものよりも、生産に重点がおかれた形になっております。このような法律そのものが根本的な問題だとわれわれは考えるのでございますが、この点につきまして、法を改正して、自後に起る対策の基本を確立される通産大臣にお考えはないか。
 最近、昭和二十五年以来二十九年までの五カ年間に、炭鉱災害で死亡したものは年々七百十九・五名、約七百二十名に上るのであります。このような多数の犠牲者が出ておるのでありますが、たまたま、洞爺丸の沈没とか、あるいはまた紫雲丸の沈没等による災害につきましては、非常に世間的にも大きくとり上げられますけれども、日日職場でもって倒れて参りますこの炭鉱労働者の七百二十名については、とかく軽視された傾向がございます。この七百二十名は年々この職場でもって倒れて参るのでございますから、炭鉱労働者の保安問題というのは、少くともより強力な立場で指導監督されなければならぬにもかかわらず、それがおろそかになるということの理由は、今申し上げましたような経営者の手に、つまり事業計画を推進し、生産し利潤を追う、こういった面から、付随的な保安として考えられたことに、何といっても大きな原因があると考えられるのでございますから、この際、政府当局といたされては、この法律の根本的な改正を必要とすると考えるのでありますから、これに対するしっかりとした所信を伺っておきたいわけでございます。
 それで特にお願いなり、お伺いをせなければならん点は、保安法の第四十五条ないし四十九条に示す保安協議会、並びに保安規則第四十九条から五十四条にわたる保安委員会の設置、これらの運用等につきましては、非常に遺憾な点が多い。事実上空文にひとしいと考えるのでございます。その理由は、中央協議会は通産大臣、地方協議会は保安監督部長の単なる諮問機関に終っている。しかもその下にあります炭鉱の現場にあります保安委員会は、これまたいわゆる保安管理者の諮問機関である、こういう領域を出ておりません。しかも先ほどから申し上げますように、保安のサボ、あるいは保安軽視の傾向をより強力に取締るためには、保安監督官の増員、あるいは予算面でのこれらの行動費の増額が必要だと考えます。このことは今まで経験した多くの事実が物語っておるのでございますから、この点について通産大臣の責任のある御答弁を伺っておきたいわけでございます。
 最後に、労働大臣にお伺いをいたしますが、法第五十四条によりますると、大臣は、この種炭鉱災害に対しまして、通産大臣に、鉱山における災害に関する防止についての必要な勧告ができることになっております。この勧告は当然なされたと考えますが、いつどのような内容によってなされたか、このことを具体的に御説明をいただきたいのであります。
 以上、御質問を申し上げて御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣石橋湛山君登壇〕
#38
○国務大臣(石橋湛山君) お答えを申し上げます。
 石炭の山、一般に鉱山全体についても同様でありますが、近年漸次災害が減少をして参っておりまして、傾向としては非常にいい傾向を持っておりましたのに、最近、ごく最近に至りまして、幾つかの大きな災害を発生しましたことは、はなはだ残念に存じます。
 これについては、平生におきましても、御承知のように、特にガスが多いとかいうような注意をしなければならぬ石炭の山については、特別な監視をいたしております。またその経営者に対しても十分の注意を促しておったのであります。これは千数百、千六百もあります石炭の山でありますから、それをまんべんなく監督するということは、なかなか容易でありませんので、従ってその中に危険の多い山と、比較的危険の少い山との何段階かに区別しまして、最も注意すべき山については、監督官も少くも月に一回程度は必らず巡視する、そのほかに抜き打ち的の調査をする、かようなわけで、極力保安の確保に努めております。その結果が、大勢としては、先ほど申しましたように、近年幸いに災害の回数もまた災害による死傷者の数も減って参ったのでありますから、(「実際ふえている」と呼ぶ者あり)最近特に、ごく最近においてです、注目すべき大きな事故が起ったということであります。これに対しては、東京の鉱山保安局長もみずから出張いたしましたし、また現地に監督官等を派遣いたしまして、十分その原因を調査するようにいたしております。ただ御承知のように、災害が起りましたあとの調査というのは、なかなか困難でありまして、的確にその原因を突きとめる、どこに責任があるかということまで突きとめるのには相当の時間を要しますので、まだ結論には達しておりませんが、総合的にできるだけの手は尽しているつもりであります。
 それから御質問の中に、生産が第一で人命が非常に軽視されておるのじゃないかというお話でありますが、むろん石炭の山にありましても、あるいはそのほかの鉱山にしましても、その石炭を掘るとか金属を出すということが一つの目的でありますから、その目的をはずすわけにはむろん参りませんけれども、しかし生産のためには保安ということが第一の条件なんであります。保安が非常に悪いところで生産が興るはずがありませんから、むろん人命を軽視するというようなことはございません。しかし、もしこれについて現在の法律等に欠点があるというならば、むろん改正をすることに少しもやぶさかでないのでありまして、この点はただいま厳重に申しまして、法律制度についても研究をするように、またなお、お話のように保安監督官の増員ということにつきましても、本年度も現に予算が少し足りないので、特別の処置をとりまして百万円ほどふやしまして監督を強化しまして、なお、三十一年度以後につきましては、この点は十分予算の増加もいたしまして、監督の行き届くようにいたしたいと考えております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(倉石忠雄君) お尋ねの鉱山保安行政につきましては、御承知のように労働基準行政と密接な関係がございますので、労働省といたしましても、常に鉱山保安については、重大なる関心を持っておるのでございます。
 そこで従来も、しばしばこの災害の防止につきましては、通商産業当局に警告を発していました。ことに最近しばしば起きて参りまする炭鉱の事件については、通商産業当局に対して厳重なる警告を発しております。ことに最近炭鉱の経営者団体に向いましても、特に保安について特別なる注意を喚起せよということで、これまた労働当局としては、厳重なる警告を発しておる次第でございます。なお、今後も一そう努力をいたしまして、主管は御承知のように通産当局でございますが、私どもの方といたしましても、事故発生を未然に防ぐために、最善の努力をいたすようにいたしておる次第でございます。(拍手)
#40
○議長(河井彌八君) 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員並びに裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 一、検察官適格審査予備委員、国土総合開発審議会委員、日本ユネスコ国内委員会委員及び海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員の選挙
 一、首都建設委員会委員の選挙
 一、日程第一 国際連合への加盟に関する決議案
 一、炭鉱保安に関する緊急質問
ソース: 国立国会図書館
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