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1955/12/09 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 本会議 第5号
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1955/12/09 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 本会議 第5号

#1
第023回国会 本会議 第5号
昭和三十年十二月九日(金曜日)
   午前十一時二十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第五号
  昭和三十年十二月九日
   午前十時開議
 第一 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)
 第二 昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案(趣旨説明)
 第三 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案(衆議院提出)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 内閣総理大臣から、去る一日鉄道建設審議会委員八木秀次君の辞任に伴う後任者を、また去る五日同委員伊能繁次郎君の辞任に伴う後任者をそれぞれ指名されたいとの申し出がございました。
 つきましては、この際、日程に追加して、同委員の補欠選挙を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
#5
○剱木亨弘君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
#6
○上林忠次君 私は、ただいまの剱木君の動議に賛成いたします。
#7
○議長(河井彌八君) 剱木君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって議長は、鉄道建設審議会委員に松野鶴平君、寺尾豊君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#9
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、社会保険審査会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
 去る二日、内閣総理大臣から、社会保険審査官及び社会保険審査会法第二十二条第三項の規定により、藤田宗一君を社会保険審査会委員に任命したことについて、本院の承認を得たい旨の申し出がございました。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、地方財政審議会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
 去る六日、内閣総理大臣から、自治庁設置法第十五条第六項の規定により、兒玉政介君、木村清司君、上原六郎君、荻田保君、遠山信一郎君を地方財政審議会委員に任命したことについて、本院の同意を得たい旨の申し出がございました。
 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、中央更生保護審査会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
 去る六日、内閣総理大臣から、犯罪者予防更生法第五条第一項の規定により、横溝光輝君を中央更生保護審査会委員に任命することについて本院の同意を得たい旨の申し出がございました。
 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#17
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#18
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
 去る六日、内閣総理大臣から、日本銀行法第十三条の四第三項の規定により、中山均君を日本銀行政策委員会委員に任命することについて本院の同意を得たい旨の申し出がございました。
 本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#20
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(河井彌八君) 日程第一、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)
 本件について、国会法第五十六条の二の規定により、内閣からその趣旨説明を求めます。重光外務大臣。
   〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(重光葵君) ただいま議題となりました原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 本年一月、米国政府から、もし日本政府が希望するにおいては、わが国に対し、濃縮ウランの提供と、これに伴う技術等の援助を行う用意がある旨の申し出があったのであります。政府といたしましては、わが国における今後の原子力の平和的利用の研究及び開発の問題の重要性にかんがみまして、慎重に検討いたしました結果、適当な条件のもとにこれを受け入れる方針を決定いたしました次第でございます。これがため今春以来、米国政府との間に、本件に関する日米間の双務協定締結に関する交渉を行なって参りましたところ、去る六月、案文について一応の妥結を見ましたので、仮調印を行い、さらに打ち合せを遂げた上、十一月十四日、ワシントンにおいて、わが井口大使とシーボルト極東関係担当の国務次官補代理及びシュトラウス原子力委員会委員長との間に、この協定の正式調印を見るに至った次第でございます。
 この協定は、米国が一九五三年十二月に決定いたしました大統領の原子力平和的利用計画に基いて、同国がすでに二十数カ国との間に締結した協定とほぼ同様の内容を持つものでありますが、この協定に基いて、わが国は、米国から研究用原子炉の燃料として、濃度二〇%以下の濃縮ウランを、U―二三五計算で、最大限六キログラムを賃借することができ、また市場で入手することのできない原子炉用資材を入手し、さらに原子力の平和的利用に関する諸種の情報を交換することができるようになっております。かくしてわが国は、原子力の平和的利用の研究及び開発に向って、大きな一歩を踏み出すことができるように相なるものと期待されるのでございます。
 そもそも原子力の平和的利用は、資源に乏しいわが国の将来にとっては、はかり知れない意義を有することは申すまでもないことでありまして、従ってこの際、一日もすみやかに本協定を正式に発効せしめるための手続をとりたいと存ずるものであります。よってここに、この協定を国会に提出し、その御承認を求める次第でございます。
 何とぞ慎重御審議の上に、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。以上。(拍手)
#23
○議長(河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。曾祢益君。
   〔曾祢益君登壇、拍手〕
#24
○曾祢益君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま重光外相から御説明がありました原子力の平和的利用に関する協力のための日米協定に関連して、本協定並びに原子力の平和利用に関する政府の所信をただしたいと存じます。
 そもそも原子力が大量殺戮兵器として使用されることなく、もっぱら新しい動力源その他の平和的な科学の目的に向って利用されるならば、人類の福祉に画期的な進歩をもたらすこととなり、特に動力資源に乏しいわが国の経済、民生の向上上、多大の貢献をなすことは明らかでありますので、わが党はつとに原子力の純粋な平和利用に対しては、積極的な熱意を持って参ったのであります。
 他面原子力の開発そのものが、その性質上常にその資材、設備の軍事的目的への転用の危険を伴うものであるばかりでなく、わが国のように原子力の利用の分野におきまして立ちおくれ、かつ原子力資源に恵まれない国が、原子力の研究、開発に関して外国と協力をするに当っては、将来わが国の産業の基本に重大な制約を加えられるおそれあることは、今さら申し述べるまでもないところでございます。
 従いましてわが国がここにおくればせながら原子力の平和利用の研究、開発に踏み切るに当りましては、日本学術会議のいわゆる三原則、すなわち平和的目的に限ること、民主的な運営、研究の自由と公開に加えまして、わが国の自主性の確保と、国際協力の自由という五原則を絶対の大前提といたしまして、まずこの基本的態度を原子力基本法の制定によりまして中外に明らかにすることが先決条件と思考するものでございます。これと同時に原子力の研究、開発に関する機構、すなわち中央統括行政機構並びに研究と開発を直接担当する機構、さらには国会における機構等を法制化いたしまして、また必要な予算措置を講ずることが絶対に必要でございます。しかして、このような機構の整備を待って初めて実験原子炉の建設の方式並びに発電炉の建設のプログラムが決定されることが順序であるのでございます。アメリカからの濃縮ウランの受け入れ並びに実験炉建設に関する協力の申し入れを受諾することの可否は、まさしくこのような順序に従って整備されたわが国の自主的な基本的方向の決定に沿って冷静に論議せられるべきでございます。
 しかるに政府の態度は当初からアメリカからの協力の申し入れの受諾を無条件に前提といたしまして、これを出発点といたしまして国内の体制を考えるという全く本末転倒で、しかも自主性を欠いたものであったことは遺憾千万でございます。政府は元来、去る第二十二国会におきまして、アメリカとの協定について国会の承認を求めるつもりのようでございましたが、国民の不安と疑惑、並びに世論の反撃の前に、形式上一歩後退して、一応まず協定の仮調印を行なった上、正式調印は七月のジュネーヴ原子力学術会議の終了まで見送ることにしたわけでございます。この間貴重な時間を空費し、今回またも原子力基本法その他の法令の整備をすることなく、アメリカとの原子力協定を単独に国会に提案して参ったのであります。
 わが党といたしましては、すでに述べました理由によりまして、原子力の純然たる平和的利用と、これがため必要とわが国が自主的に認めた国際協力については、原則として何ら反対でないのでありまするが、提案された日米協定は当然に原子力基本法その他とのにらみ合いにおいて並行的に審議すべきことであるとの態度には何ら変りないのであります。以上の観点に立ちまして、以下若干の質問をいたしたいと存じます。
 第一に、政府は何ゆえに原子力基本法を本協定と同時に提出されなかったのか、その理由並びに今後提出される予定であるか、またその時期はいつであるか、またその基本的構想はどういうものであるか、さらにそれは私が今述べましたような五原則を含むものであるかどうか、はっきりと伺いたいのであります。同様に原子力中央行政機構についてもいかなるお考えであるのか。その構想としてわが党は内閣に原子力委員会を設置し、原子力の研究、利用、開発を一元的に統括決定せしめるとともに、学界、事業界、労働組合より委員を選び、会議制度による民主的な運営を行うことを絶対必要と考えておるのでありまするが、いかがでございましょうか。以上の二点について総理並びに正力国務大臣の御答弁を求めます。
 第二に、原子力平和利用の国際協力機構につきましては、目下第十回国連総会におきまして審議中でございまするが、国際原子力機関に関する規約草案におきましては、右機関の政策決定権を持つ理事会の構成は、米、英、ソ、仏、カナダのような主要な原子力技術の先進五カ国並びにその他の原料物資の提供国五カ国が事実上常任理事国となり、これに反しましてわが国のように技術がおくれ、資源に恵まれない諸国、換言すれば原子力開発のおもなる受益国は、わずかに六つの議席を与えられるにすぎないという、きわめて非民主的な構成と運営を予定しておるのでございます。これは本年四月のアジア・アフリカ、バンドン会議の決議、これは原子力平和利用について、アジア、アフリカ諸国が十分なる代表権をこの機関に持たなければならないという趣旨でございまするが、この決議の趣旨にも反するものであり、日本としては断じて承認し得ないところであります。つきましては、今にして機を失せす、悔を残すことのないように日本及びアジア諸国の正当な発言権確保のために政府はいかなる措置をとり、またはとられんとしておるのか、これは外務大臣から御説明を願いたいのであります。
 第三に、日米協定でございまするが、ジュネーヴ科学者会議においてそれまで非公開であった各先進国の原子力研究がほとんどあますところなく公開された結果、今では各国の進歩の程度、その特殊性、それらも大体判明したわけでございます。そこで御質問いたしたいのは、政府は果してこのような情勢の進展に照らして、やはりわが国の原子力研究の手初めである実験炉は、濃縮ウランによるアメリカ方式が最も適当であるとの科学的な結論に到達された結果、今回アメリカとの協定に正式調印を行なったものであるかいなか。よもやアメリカからの申し入れの義理合いに引きずられまして、ただひたすらアメリカとの協定の調印を取り急いだということは信じたくないのでありまするが、この点は原子力平和利用準備委員会会長たる重光大臣並びに原子力担当大臣である正力大臣から明確なるお答えを求めたいのでございます。
 さらに、本協定の案文について、外相から次の諸点を承わりたいのであります。
 協定第三条A、研究用炉の建設に関するアメリカとの協議、並びに第七条C、原子炉に関する通報並びにアメリカ原子力委員会の代表者による観察等は、技術提供国側の要請といたしましては一見無理からぬようでもございまするが、果してこれが日本側の自主性を束縛するおそれが全然ないかどうか。
 次に、付属交換公文は、主として原子発電等に関する将来の日米協力に関するものでございまするが、この件については、本年六月六日の外務委員会におきまして、私と外相並びに政府委員との間に応酬がありました。すなわち、原子発電に関する日米協力の予約については、これはアメリカ・トルコ間の協定と異なって、協定の本文から外して交換公文に落したのだから、厳密な拘束力はない。従っていわゆるひもつきの心配はなくなるというのが政府の御説明のようでありまするが、それならば交換公文それ自体が有害でかりにないといたしましても、それでは無用となるのでありまして、全く意味をなさないのであります。元来、政府の腹が初めから濃縮ウランの受け入れに限るのか、あるいは原子発電についても話し合うのか、全くきまっていないのではないかというのが私の意見でございます。原子力による動力の生産に関する国際的な技術協力については、すでに申し述べましたようなわが国の基本的な体制が整った上で、あらためていずれの国とこれを行うかを決定するのが正しい方法であると確信いたしまするが、政府は何ゆえにことさらわが方から要求して、このようなこそくな方法によってアメリカとの協力の可能性に言及しなければならなかったのか。明確なる御説明を願いたいのであります。
 この点に合せて今度の協定によって日本が今後アメリカ以外の国と技術援助協定を結ぶ自由を阻害されることはないと断言し得るかいなか、これもお答え願いたいのであります。
 さらに去る六月の国会におきまして、政府は本協定の正式調印までには、細目協定も同時に締結したいと述べておられましたが、濃縮ウランの賃貸価格、その他設備の売却または貸与の価格等のデータは、七月のジュネーヴ科学会議を契機といたしまして、たとえば同位元素U二三五を二〇%濃縮したウランの基礎価格が一グラム二十五ドルというように判明して参りました。今日では果してアメリカからの賃貸価格が妥当なりやいなやを決定し得る段階となったにかかわらず、政府がこのような重要な点を含む細目協定を本協定と同時に締結して国会に提案しないのは、非民主的であるのみならず、不特定額の国の債務を引き受けるがごときは、財政法にも反するものと思うが、いかがでございましょうか、
 最後に、本年七月のジュネーヴ巨頭会談によって生まれましたいわゆるジュネーヴ精神も、四国外相会談の行き詰まりから、いささか後退のきざしを示しており、ことに軍縮問題の停頓と相待って、原子力の平和利用とはおよそ正反対な現象であるところの水爆の実験が、再び大国間の競争の形において復活しつつあるのは遺憾しごくでございます。特にシベリアの空と南太平洋の海上という水爆実施区域にはさまれ、いわば水爆の谷間に位する日本の受ける被害と脅威とは絶大なものがあるのであります。政府は二十九年四月五日採択されました原子力国際管理並びに原子兵器禁止に関する本院の決議に従って、この際、あらためてソ連及び米英に対し、すみやかに原子兵器の禁止の協定に達するように、並びにその間まず今後の水爆の実験を取りやめるように強く要請すべきものと考えるのでありまするが、この点は総理並びに外務大臣の明確なる所信を伺いたいと存するのであります。
 以上をもちまして私の質問を終りまするが、繰り返して申し上げますように、原子力問題は、人類の安全と福祉を左右する二十世紀最大の科学の課題であり、かつ同時に今日最高の政治問題でございます。従いましてわれわれもなし得る限り超党派的に考えて参りたい所存でございまするが、特に総理大臣以下政府の諸賢も、厳粛にして確信に満ちた態度をもって、国民に所信を告げるように切望いたしたいのであります。特に通り一ぺんの説明や答弁に終ることのないよう、これを期待してやまないのでございます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(鳩山一郎君) 曾祢君の御質疑にお答えをいたします。
 原子力に関する基本法は、根本的に研究をいたしまして、通常国会に出したいと思っております。
 学術会議の三原則、民主、自由、公開、並びに国際協力という点につきましては、その趣旨に沿うように規定いたしたいと考えております。
 原子力の利用に関する行政は、極力民主的に運営すべきものと考えまして、各界から選ばれる委員会を設けまして、企画、審議及び決定に当るようにいたしたいと思っております。実施官庁としては原子力局を設ける予定でございます。
 最後に御質問になりました水爆の実験の禁止はたびたびこれまで要請しておりますが、今後も要請をするつもりでございます。
 以上をもってお答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣正力松太郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(正力松太郎君) 曾祢君の御質問に対してお答えいたします。
 原子力についてアメリカとの協定と同時に基本法を提出すべきことについては御質問の通りでありまして、極力政府として、今お話の通りに提案すべきはずでありまして、政府においては極力やっておりました。ところが、今度議員立法で基本法を出そうということがありますので、今政府としてはその調整中であります。近く提出することと思います。(「政府は出すと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)今、議員立法で出そうという案がありますので、その調整中であります。近く出します。(「議員立法かどっちだ」と呼ぶ者あり)そういう、議員立法という形で出そうという案もありますので、それで今、議員の方と折衝中であります。
 それから次に申し上げます。先刻述べる通りに、立法については議員と折衝中でありますが、なおこの運営につきましては、先ほど話のありました通りに、学術会議の三原則を尊重いたします。
 それからなお、構成につきましては、先ほど総理の言われました通りに委員会を設けます。そうしてそのほかに実行機関として原子力局というものを設けます。その委員会につきましては各界の権威を網羅したいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣重光葵君登壇〕
#27
○国務大臣(重光葵君) 私に御質問の諸点についてお答えを申し上げます。
 原子力に関する国際的の機関の権限、構成が、今国際的に提案されておりますが、その権限は相当大きいのでございますので、数ヵ国でこれを独占するようなことがあってはならぬ、こういう御意見については、私もその通りに考えております。そこでバンドン会議を引用するまでもなく、アジア諸国のメンバーも、これに十分発言権を持つようにしなければならぬと考えまして、その理事国の数を初めの提案よりも広くするように、実はしきりに強くアメリカ政府にすすめておるような状況でございます。かようにして御趣旨のあるところに沿いたいと考えておるのでございます。
 それから次に、この協定を結ぶのに当って自主性を欠いておるではないかという点につきましては、そうではないのでございます。これは日本側において科学的にも十分研究をいたしました結果、この協定を受け入れて、アメリカとの協力を進めるということが、日本のこの方面の科学の進歩に非常に必要であるという結論に達して協定を結んだわけでございます。
 それから第七条の点に御言及がありました。これは、自主性をこれも欠くのじゃないか、アメリカ側の制肘を受けるのじゃないかという御意見がございました。これについても十分に考究をいたしまして、何らわが方の自主性を拘束されるものじゃないということを確かめた上でこの協定を成立せしめたのでございます。そういうわけでございますから、この点は前にもずいぶん御質問に応じて説明を申し上げたことのあることを記憶いたしております。
 それから動力に関する交換公文を、別にこれは必要はないじゃないかというお話がありました。私はこの問題が、本協定に規定してあるものとは別の関係を持つものでございますから、これを引き離して交換公文にする。しかしながら、これまた原子力の動力のことに関係するのでありますし、将来も米国側の協力を得るきっかけをこしらえておくということは何も不利益はない。利益があっても不利益はないと、こう考えて交換公文の形式でこれを入れた次第でございます。
 それから細目協定のことを御質問がございました。細目協定も、必要なことはこれはどんどんやらなければなりません。大体のいろいろ意見交換はやっております。おりますが、これまた日本側の施設にも関係することでありますから、日本側のこの準備を今急速に進めております。その準備と見合って細目協定ができることになります。その場合にはむろんこれは議会に提出をされるわけでございます。
 米国以外の第三国との協定をこれではばみはしないかという御質問に対しては、これは、そういうことはございません。日本は十分にこの点について自主性を確保しておるのでございます。
 それからゼネバ精神を引いて、最近原水爆実験等が行われる模様だと、私もまことにさような傾向は、国際情勢の傾向として遺憾な点であることは、御同感いたします。原水爆の実験を国際的に禁止するように今運動が行われております。日本側としてはこの運動を助成すべく、あらゆる機会に方針をそういうふうに進めて措置いたしておるわけでございます。今後もその方針に変りないことは、今鳩山総理の御言明の通りでございます。
 以上でございます。(拍手)
#28
○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は、終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#29
○議長(河井彌八君) 日程第二、昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案(趣旨説明)
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、内閣から、その趣旨説明を求めます。太田国務大臣。
   〔国務大臣太田正孝君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(太田正孝君) ただいま提案いたしました昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案の提案の理由及びその内容の概要につきまして、簡単に御説明申し上げます。
 御承知の通り、政府は地方財政の窮状を打開し、地方財政再建の基礎を確立いたしますため、当面とるべき措置について検討いたして参ったのでありますが、今般地方制度調査会の御答申の趣旨をも極力尊重し、国家財政の現状をも十分考慮いたしまして、とりあえず本年度地方団体に対し、地方交付税の率三%に相当する百八十八億円の財政措置を行いました。これに基きまして、百六十億円を地方交付税の交付の例によって臨時地方財政特別交付金として交付することにいたしたいのでございます。従って本年度におきまして、国から地方団体に対して一般財源として交付される地方交付税、たばこ専売特別地方配付金及び臨時地方財政特別交付金の総合計額千五百七十九億円の九割二分の千四百五十二億円を普通交付税の交付の方式によりまして、八%の額百二十七億円を特別交付税の交付の方式によって交付することといたしたいのでございます。これがため、本年度分の地方交付税の額の算定等につき特例を設けまして、地方交付税はその全額を普通交付税として配分交付することなどの必要が生じてくるのでございます。しかもこれらのもろもろの措置は、いずれも本年度に限っての特別措置であることにもかんがみまして、地方交付税法の一部を改正するという形式によることなく、単独の特別法により措置することといたし、ここに本法律案を提出いたしたのでございます。
 次に、本法案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。第一点は、臨時地方財政特別交付金に関する事項でございます。総額を百六十億円と定めますとともに、その交付の方法につきましては、一部を普通交付税の交付方式により、他の一部を特別交付税の交付方式によって交付することといたします。普通交付税の交付方式による部分は地方交付税、たばこ専売特別地方配付金及び臨時地方財政特別交付金の総合計額の九割二分に相当する額から普通交付税の額を引きました額、すなわち七十八億円、特別交付税の交付方式による部分は総合計百二十七億円から、たばこ専売特別地方配付金四十五億円を控除いたしました八十二億円といたしたのでございます。
 第二点は、地方交付税の配分に関する特例事項でございます。第一の措置に伴いまして本年度に限り、地方交付税はその総額を普通交付税として配分することといたし、各地方団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定の方法は、普通交付税の総額を各地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額、すなわち財源不足額で按分いたしますこととし、基準財政需要額の算定に用いまする単位費用について、本年度限りの特例を定めたのでございます。この特例単位費用の積算は、今回の特別措置の趣旨をも勘案いたしました上、既定の単位費用について従来より不十分であった投資的経費を是正することを第一とし、消費的経費につきましては、道府県分恩給費の算入不足を是正することにとどめたのでございます。
 以上が本法案の提案の理由及び内容の概要でございます。幸いに本法案が成立いたしました上は、すみやかに八月に決定いたしました普通交付税の決定額を変更いたしますとともに、臨時地方財政特別交付金のうち、普通交付税の交付方式により交付すべき部分を決定し、各地方団体に交付することとし、臨時地方財政特別交付金の残額と、たばこ専売特別地方配付金とは明年二月中において特別交付税の例によって交付いたしたいと存ずるのでございます。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたします次第でございます。(拍手)
#31
○議長(河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。石村幸作君。
   〔石村幸作君登壇、拍手〕
#32
○石村幸作君 私は自由民主党を代表して、ただいま上程されました昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案を中心として、政府の見解をただしたいと思います。
 地方財政問題は、ここ数年間論議を繰り返しておりますが、依然として解決することなく、かえって地方財政は毎年赤字額を累増し、昭和二十九年度末の決算によれば、その実質的赤字は約七百億円の巨額に達するといわれ、赤字団体の数は、府県にあっては八四%、市にあっては七二%、町村にあっては三五%の多きに上っております。さきに政府は、目下継続審議中である地方財政再建促進特別措置法案を立案上程されたほどでありますが、三十年度においては、さらにその窮乏ははなはだしく、ついに地方制度調査会の答申のごとく、財源不足額に対する応急財政措置を絶対必要とせざるを得ない状態に立ち至ったのであります。政府におかれましても事態の重大性を率直に認められ、地方財政の窮状打開を主要課題として、今次臨時国会に臨まれたことに対しては一応敬意を表するものでありますが、今回政府がとられた昭和三十年度の地方財政対策としての財源措置については、あながち全面的に釈然とできない若干の疑義がありますので、詳細は委員会の審議に譲るとして、大綱につき、次の諸点をお尋ねいたします。
 まず太田自治庁長官にお伺いいたします。第一に、提案理由の御説明に、地方財政の窮状を打開し、地方財政再建の基礎を確立するため、地方制度調査会の趣旨をも極力尊重してと申されておりますが、それならば、なぜ端的に地方交付税の税率引き上げによって措置しないのか。地方財政の今日のような窮乏を招いた原因は、地方行財政制度及びその運営にあるのでありますが、現在の地方交付税の繰り入れ率の算定の基礎となった地方財政計画において、財源所要額が過小に算定されていることが有力な原因であることは、否定することができません。地方制度調査会の答申にも、明らかにかくうたってあります。そこで政府は地方財政の財源の不足を認めたればこそ、今回の措置を講じたのでありましょう。配分方法においても、基準財政需要額の算定に用いる既定の単位費用について、従来から不十分であった経費を是正し、かつ算入不足のものをも是正するという措置をとったことは、全く地方交付税の税率が妥当でないことを率直に認められる証左ではありませんか。本年度に限っての臨時措置であると言われますが、一時借り入れをして、年度内において予算を補正して一般会計から補てんをするという完全な措置が講ぜられる以上、ことさらに三十一年度に問題を持ち込む必要がどこにあるか、了解に苦しむのであります。
 第二に、財源措置を要する額を百八十八億円とした根拠はどこにあるか。地方交付税の率の三%に相当する額と申されたが、その算定の基礎、すなわちその内容について御説明を願いたいのであります。聞くところによりますと、自治庁は最初二百三十八億円を要求したとのことであるが、現在はその見解を変更されたのかどうか、お伺いしたい。また百六十億を補正することは、三十年度地方財政計画で自治庁が赤字百四十億を計上した分を内閣で切り捨てた額を、すべて認めることになるのであるか。当時の百四十億円切り捨てと、今回の百八十八億円を認めた内容との関係はどうなるのでありますか、お伺いしておきたいと思うのであります。
 次に大蔵大臣と自治庁長官にお尋ねをいたしますが、第一に、今回政府がとった措置によって、本年度においては地方財政の赤字が出ないと言い切ることができるかどうか。すなわち百八十億円の措置で事実必ず足りるかどうか。もちろん地方団体自体も十分自粛、最善の努力を払うべきことは申すまでもありません。なお、本年度発生すると考えられる赤字については、政府はいかに措置するおつもりでございますか、お伺いいたします。
 第二に、今回の財政措置には給与費は除かれているはずであります。給与費については実態調査中で、近くその結果が得られることと存じますが、もしも財政計画と実態との隔たりがあって、不足が出たら、いかように処理するお考えか、いかように財政措置をなさるお考えか。そのときは考えるではおそいのでありまして、無責任のそしりは免れません。今からあらかじめ明確なお考えがなくてはならないので、お伺いをしておきたいと存じます。
 第三に、政府は国家公務員について〇・二五月分の年末手当の増額支給の措置を決定いたしましたが、地方公務員の場合もこれに準ずるわけでありますが、地方財政の現況にかんがみるときは、所要の財源措置を講じてやらなければ、地方団体は支給することができないと思われます。本年度にこの措置を講じないとすれば、それだけ地方団体の赤字は増加することとなり、せっかくの百六十億円もその相当部分が年末手当の支給に食われてしまって、その意味を失うこととなります。かりに短期融資によるといたしましても、それでは年度内に返還を要するので、実行不可能でありますから、他の有効適切な財政措置を講ずるお考えがおありかどうか、お伺いいたします。
 次に、大蔵大臣、建設大臣、自治庁長官にお尋ねをいたします。昭和三十年度の地方財政対策として、今回政府が行なった財源措置は、公共事業の圧縮と、これに伴う地方負担の軽減を見込んでおりますが、年度も押し迫った今日において、公共事業費の削減が可能であると言い得るかどうかであります。北海道、東北、北陸等の雪国においては、すでに工事を終り、または進行中であります。その他の地方におきましても、着工しておるのがほとんどでありましょう。従って、実質上は仕越し工事として地方団体の負担となり、赤字を増加することとなると思うのでありますが、これをいかに処理するおつもりでありますか。また公共事業費不用額八十八億円とありますが、不用額というのはすこぶる不可解なことであります。そこで公共事業費の削減の方法でありますが、個々の事業によって拾うのか、または天引き方式で行うのか、また具体的に落すこととなる事業はきまっているのか、なおこの削減によって事業の遂行上大きな支障を来たすおそれはないかどうかをお伺いしたいのであります。
 最後に鳩山総理にお伺いをいたします。今次国会召集のおもなる目的は、地方財政の健全化促進のための施策を審議するためでありますが、今回政府がとられた措置は応急策であって、地方財政建て直しの根本策ではございません。よって、政府は三十一年度において地方財政健全化確立のため、いかなる施策を講じようとなさるのか、その改編方針の大綱と御所見を承わりたいと存じます。
 以上をもちまして、私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(鳩山一郎君) 石村君の御質問に対してお答えをいたします。
 地方財政の健全化の方策について御質問がございました。地方制度調査会の答申書の趣旨に基きまして、左の点について抜本的の改革をいたしたいと考えております。一、給与の合理化、二、地方債及び公債の合理化、三、行政制度の合理化、四、財源の充実、これらの点について抜本的の改革をいたし、地方財政の健全化をはかりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣太田正孝君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(太田正孝君) 石村君の御質問に対しお答え申し上げます。
 今回、地方交付税の繰入率の低いことを認めるならば、この率を引き上げることを率直にやったらどうかという御質問でございました。かようなやり方はもちろん考えられるのでございますが、本年度限りの特例的措置でありますので、特別措置法によって措置いたして、交付税の例に従って配分することにした次第でございます。もちろん明年度は、地方制度調査会の最近における御答申もあり、地方行政制度の根本的改革を行う考えでございますので、その際に恒久的に税率の修正をいたす考えでございます。
 第二点の百八十八億円の財政措置をした、その根拠についての御質問であったと思います。地方制度調査会の答申には二百億円見当の財源不足を申されております。これをよく調べました上に、さらに国家財政の現状とも顧みまして、百八十八億円の今回の措置をとった次第でございます。
 第三点といたしまして給与費についての問題でございます。地方財政の中心問題は給与費であるとさえ申されておるのでございまして、その通りでございます。この点につきましては、実態調査の結果がすでに私の手元につい最近届きましたので、これを調べてまた皆様方のお手元へ差し上げたいと思いますが、その結果を検討して十分措置をとりたいと存じます。
 年末手当の問題につきまして財源措置をどうするか、こういうお言葉でございました。地方公務員の年末手当増額支給に必要な財源につきましては、本年度補正予算の際措置せられるよう努力いたしたい。もしその際できない場合は、三十一年度におきまして措置せられるよう努力いたしたいと考えます。短期資金を受けた団体の借入金返還に要する財源は、その団体の一般財源でございまして、必ずしも今回措置した百六十億円の資金を充当することになるものではないのでございます。
 終りに公共事業の繰り延べについて申されましたが、私として承知しておるところ、毎年の例でございますが、公共事業が実際に繰り延べをせられるものが多く、昨年のごときは五十億円にもなり、本年は予算の成立もおそくなった関係などもございまして、もっと多くなるとのことでございます。しかもこれは事業の中止ではなく繰り延べでございまするので、十分でき得ることと思います。また私の知り得る限り一律にこれを減らそうというものでないのでございます。実行し得ることと信じております。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#35
○国務大臣(一萬田尚登君) 私から御答弁申し上げます事項につきまして、は、大体今自治庁長官が詳しく御答弁申し上げたので、特に私から申し上げることはないのでありますが、簡単に申し上げますれば、一つは本年度の今回の措置によって本年度にもう赤字は出ないのか、こういう御質問であったと思うのでありますが、率直に申し上げまして、本年度はなお会計年度の途中でもありますし、きちっとした数字が出るわけでもないのでありますが、しかし百八十八億の財源措置をいたしましたことによって、私は赤字は出ないで済む。こういうふうに考えているのでありますが、ぜひともさように努力をお願いしなくてはならぬ。なお三十一年度にほんとうにこういう赤字についての根本的な、抜本的な策をやるのでありますから、それもあわせて御承知おきを願いたいと思うのであります。
 なお給与費の点がありましたが、これは実態の調査がまだ終っておりません本年度におきましては、これについて何らかの措置をとるということはいたしません。この給与費の問題が、おそらく私は、三十一年度で地方財政の再建をはかる一番中心問題になるのじゃなかろうか、かように考えているのでありまして、三十一年度に、これはぜひ給与ベース並びに賃金ともに適正なものにいたしまして、そうして地方財政をぜひとも再建をしたい、かように考えているわけであります。
 なお今回の財源について、公共事業を圧縮して財源にするのかという御質疑であります。これについては長官が詳しく御説明を申し上げたのでありますが、なお私が若干重ねて申し上げますれば、一律にやるということはいたしません。これは実情に即しまして無理のないようにして、またそのために今関係各省と定例に研究をいたして相談をいたしているわけでありまして、さよう御了承を願いたいのであります。
 なお年末手当の点、これも詳しく御答弁があったのでありますが、これも国の方においてほんとうに今日の財政から見て難きを忍んで実行いたしたのでありますが、これは国の方もほんとうに節約してこの財源を見ておるのでありますから、どうぞ地方におきましても国に準じまして節約によって出す、そのようにいたしたいと考えるのであります。なお資金繰りの面においてお困りの団体もありますが、それには融通をして上げよう。かように考えております。
 これで答弁を終ります。
   〔国務大臣馬場元治君萱垣、拍手〕
#36
○国務大臣(馬場元治君) 私に対する御質問にお答えをいたします。
 道路、住宅、河川その他万般の建設行政が国民の福利増進の上からも、産業の開発あるいは雇用の増大、各方面から見まして、きわめて重要なることは申すまでもございません。従いましてこれに関する年々の予算が完全にこれを消化いたしまして事業が滞りなく進行するように努力すべきは当然でございます。しかるに事実におきましては、従来の実情からいたしまして毎年度相当額の消化困難なる事業がありますることは、皆様方御承知の通りでありまして、ことに本年度は暫定予算の関係等もございまして、本年度予算の成立が相当おくれましたために、並びに地方財政の窮乏等の事情もございまして、事実上年度内に消化いたしかねる事業が相当見込まれるのでございます。従いまして個々の事業は支障なく実行できる、かように考えておる次第でございます。早急に実情を調査いたしまして、事業の進捗に支障のないように取り計らいたいと考えております。
 寒冷地と温暖地との関係についての御懸念、まことにごもっともであると存じます。寒冷地におきましても、消化困難なところが相当に見受けられまするので、事業の重要性や工事の進捗度などを勘案をいたしまして、温暖地にしわ寄せになるということのないように措置をいたしたいと考えております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(河井彌八君) 中田吉雄君。
   〔中田吉雄君登壇、拍手〕
#38
○中田吉雄君 私は日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっています二つの案件に対しまして質問をいたさんとするものであります。
 自治庁の発表によりますると、昭和二十九年度末の地方団体の赤字は、実に六百四十八億円の巨額に達していますが、このような膨大なる赤字が地方団体に累積いたしましたことは、戦前戦後を通じて初めてのことでございます。しかもそれだけでなく、地方財政審議会の発表によりますると、本三十年度単年度だけで財源不足額は五百四億と推計され、これらを合計いたしますならば、本年度末には地方財政の赤字は優に一千億を突破することが予想されるわけであります。自治体はこの膨大なる赤字のために、地方団体自身の自治行政の運営ができないだけではなく、地方団体の手を通じて行われますところの国の行政施策の遂行すら重大な困難に直面いたしております。従って本臨時国会が、地方財政再建のための有力なきっかけとなるよう、その期待はきわめて大であったわけであります。既往の赤字につきましては再建法案に待つといたしまして、せめて昭和三十年度再び赤字が発生しないような財源措置がなされることは、地方団体あげての最低限の要望であり、悲願ですらあったわけであります。しかるに今回の財源措置は、わずかに百八十八億円にすぎず、地方財政審議会の本年度財源措置をすべきだと称された五百四億には、なお三百億も足らず、去る十一月一日の地方制度調査会の答申二百億円にも及ばない状態であります。これではいつまでたっても地方財政の赤字解消は望むべくもなく、地方団体の要望と期待が完全に裏切られたことは、まことに遺憾と言わなくてはなりません。申すまでもなく第三次鳩山内閣は、二百九十九名という犬養内閣に次ぐところのわが国憲政史における第二番目の絶対多数の内閣で、なそうと思いますならば、何事もなし得る強力な内閣であるはずであります。真にこの内閣が有能な内閣であるならば、あえて通常国会を待ちませんで、本国会において一挙に根本対策が立てられたはずであります。しかるにこの程度の弥縫策しかできないということでは、鳩山内閣に地方財政の再建を期待することは困難と言わなくてはなりません。実は保守合同とは、国家、国民の緊要なる課題を解くための保守合同ではなしに、鳩山内閣の延命のための保守合同であったことは、まことに遺憾と言わなくてはなりません。(拍手)
 私は以下数点にわたりまして、わが党の立場と対比しつつ、政府の御所見をお尋ねいたしたいと存じます。
 先ず第一に、地方財政再建の根本方策についてお伺いいたしたい。地方財政は昭和二十五年に初めて五十億円の赤字ができてから、昭和二十九年度末には六百四十八億に達し、さらに昭和三十年度本年だけで五百四億の赤字が予定され、なおそれだけでなく、地方制度調査会が今日の二日にきめたところの答申原案によりますると、明昭和三十一年度には、約三百億の歳入欠陥が予告されているわけであります。このような状態に対しまして、継続審査中の再建法案と今回の措置だけをもってしては、全くどうすることもできないわけでありますが、政府とされては数次の言明にもありますように、通常国会に根本的な対策を用意されているということですから、それについてお伺いしたいと思います。川島前長官も非常に御努力をされましたが、この大臣ほど旅先で多くの声明をし、何一つ期待すべき成果のあがらなかった大臣もございません。各省の閣僚もまた自分の所属する省の補助金の獲得に努力はされますが、その裏づけ財源が地方財政にしわ寄せされることについて、内閣共同の責任として自治庁を擁護されたその形跡が見られないことを遺憾と言わなくてはなりません。また一萬田大蔵大臣に至っては言語道断でありまして、国家財政の均衡のためには、地方財政の赤字は捨てて顧みないという態度であります。たとえば昭和二十九年度の国の一般会計は、その決算において実に六百五十四億を本年度に黒字として繰り越しておりますが、地方財政は昭和二十九年度ちょうどこれに見合いますところの六百四十八億の赤字をかかえているわけであります。財政の健全化とは、中央地方を通じて初めて言うべきことであるのに、大蔵省の見解によると、結果としては地方財政の犠牲による国家財政の均衡が財政の健全化となっていることは遺憾と言わなくてはなりません。(拍手)
 地方制度調査会は、すでに三年前早くより今日あるを予測いたしまして、昭和二十八年十一月、第一回の答申において三百億、本年十二月一日に二百億の措置をされるべきことを答申いたしておりますが、いささかも尊重されず今日に及んでおります。
 これを要しまするに、過去数カ年間の経験に徴しまするに、自治庁と大蔵省がともにその責任のなすり合いをいたしまして、じんぜん日を過ごしましたことが、今日の膨大な赤字を累積した根本の原因と言わなくてはなりません。これではいつまでたっても赤字の解消はできませんので、この上は鳩山内閣の最重要なる施策とされまして、内閣の責任において私はこの問題を解決される以外に方途はないと思うわけでありますが、通常国会においてそういう御準備はありましょうか。ありますれば、その構想を承わりたい。なお大蔵省が依然として従来のような頑迷固陋な態度を続けますならば、地方財政再建のためにも、私は予算の編成権を大蔵省から内閣または企画官庁に取り上げることもやむを得ない措置と思われますが、総理はどういうふうにお考えでありましょうか。また地方制度調査会では数度にわたり内政省の設置、農業事業税の創設等を、地方財政再建の大きな要素として答申いたしていますが、影響するところもきわめて大でありますが、これらについてどう思われるか御所見をお伺いしたいと思います。
 第二に、地方財政審議会は去る十一月四日に意見書を発表し、それによると、本年度四百五十四億ないし五百四億の財源措置をすべきことを主張いたしています。しかるに今回わずかに百八十八億のみ措置されたところを見ますると、給与問題の解決を将来に譲っておられることは同僚石村君の質問でも明らかであります。昭和二十六年十月の給与改訂以来、地方公務員の給与単価は国家公務員のそれに比しまして高いといたしまして、道府県一般職員は三百四十八円、教育職員は三百四十九円、市町村職員五百七十六円とされて、その分だけを切り下げまして給与費が財政計画に組まれているわけであります。この推計が果して正しいかどうかは多年の懸案であり、そのためこの二月から膨大な調査費をかけ、全地方公務員の給与の実態調査が行われたわけであります。政府は今春来、おそくとも今年十月までには集計いたしまして、この問題の解決に最終的なケリをつけることを国会に約束いたしています。しかるにこの重大なる地方財政を中心課題とする国会に対して、すでに集計ができているのに示さないということは、この結果が本国会を切り抜けるのに重大な支障を来たすために、国会切り抜けの手段としてこの問題を犠牲にしているそしりが多分にあるわけであります。またわれわれが伝え聞くところによると、大蔵省が言うように、地方公務員の給与単価は国家公務員に比して高くないという重大な結果が出るやもしれないということであります。少くとも太田長官の説明によりますと、すでに手元まで来ているということですから、その中間発表をお願いしたい。特にわれわれとしましては、調査や将来の根本的な解決に名をかりまして、問題の解決を将来に遷延することは断じてとるべきではありません。給与の実態調査の結果が判明しない場合は、少くとも実際に給与の支給された額を基礎としまして地方財政計画を組むことが大切であります。このことをしないことが地方財政の困難を今日のような事態に陥れている大きな原因だと思うが、なせそのような措置をされなかったか、一鶴田大蔵大臣、太田自治庁長官に所見をお伺いしたいと思います。
 第三に、今回国は地方に対して百八十八億の財源措置をきめましたが、なぜ一般会計の追加補正によらず、大部分を公共事業費の削減に求めたか、その理由をお伺いしたい。まず第一に指摘したいことは、石村君も言われましたが、昭和三十年度地方財政計画を策定する際に、自治庁の事務当局は、要求額中に赤字として百四十五億を計上いたしましたが、国会対策上、大蔵当局の入れるところとならずに、節約その他で圧縮いたしました。しかるに今回百八十八億を措置いたしましたことは、事実上大蔵省のとった予算の節約にもおのずから限度があり、何よりも大蔵省が地方財政の計数について自治庁よりうとかったことを示す重要な証左と言わなくてはなりません。自治庁が必要以上に譲歩した点、その責任も免れませんが、今後は地方財政計画の策定に当っては、自治庁は自信をもって大蔵省に当るべきですし、大蔵省はまた不当な容喙によって問題を先に残すような措置をとらないことが大切だと思うが、両大臣に対してこれについてのお考えを承わりたい。また修正財政計画は用意されたと思うが、太田長官からその主要な点について承わりたい。また百八十八億の財源措置のうち、八十八億を公共事業費の削減に求めていますが、これでは何らの財源措置ではなく、負担の転嫁以外の何ものでもありません。特に公共事業費の繰り延べについて言を左右にして申されなかったが、私の伝え聞くところの情報によると、治山治水三十六億円、港湾漁港九億円、食糧増産二十二億円、文教五億円、水道等厚生関係一億円、住宅十億円、その他合計八十八億円と伝えられています。もしこれが真実といたしますならば、食糧増産といい、治山治水、文教といい、住宅対策といい、政府が国民に公約された絶対遷延を許さないところの重大な費目であります。この詳細が判明すれば、党内はもとより、法案審議に重大な支障を来たすので、一律には削減しないというような言辞でもって国会を愚弄しようとすることは、断じてわが党が許さないところであります。(拍手)その点はっきり示されたいと思うわけであります。また八十八億のうち直轄事業分が三十五億を含むと伝えられているが、その内容について言を左右せず、はっきりいたしてもらいたいと思うわけであります。
 第四に、今回の措置を昭和三十年度の地方財政に関する措置として一カ年に限った理由を太田長官に承わりたい。また単位費用について、失業対策事業費、恩給費等について実情に合うように引き上げられましたことは了といたしましても、一方において本年度の財源措置としまして八十八億の公共事業費を削減しながら、他方におきましては、本特別措置の配分では、農業土大賞等の単位費用のみ引き上げて、その方の財源措置をするというようなことでは、全く自己矛盾もはなはだしいと言わなければなぬと思うが、これについてお伺いしたい。さらに百六十億を配分する便宜的な手段のために、単位費用の数項目だけを引き上げましたことは、精緻をきわめた全体と深い関連のある単位費用のいじり方としては適切ではないと思うが、これについてお伺いしたい。また単位費用の配分は、標準率から偏差の高い貧弱団体、後進県、弱小県に不利だといたされていますが、これらにつきまして、補正係数と関連して十分それらの問題の点を解決する考慮をなされているかお伺いしたい。
 第五に、地方公務員の期末手当〇・二五カ月分の増額に関する財源措置は重要でありますので、重ねてお伺いすることを御了承いただきたい。地方公務員の〇・二五は、五十七億の財源措置を必要とします。そのうち不交付団体分十二億円と、義務教育の国の負担分十二億円を差し引きましても、なお三十三億の財源が必要です。政府はこの財源の捻出といたしまして、国家公務員と同様に人件費の節約によることとし、必要な場合にはさらに旅費、庁費などの節約によることといたしております。しかし地方財政は極度に窮迫いたしまして、予算定員と実定員との差額はほとんどございません。これでは地方公務員に、国家公務員に準じての期末手当の増額支給は事実上困難と言わなければなりません。さしあたり資金繰りによってやむを得ない地方団体に対しては、短期融資を行うことがあるといたしておられますが、これでは赤字の上塗りであり、連年にわたるかような弥縫対策こそ、今日の数百億の赤字を累積した原因であって、この際断固とるべきではないと思うわけであります。もし短期融資をいたしたならば、将来政府は元利を補給する用意があるか、あるいは昭和三十一年度の財政計画にこれを組み入れる用意があるか、お伺いしておきたい。
 次に教職員の期末手当について清瀬文部大臣に一言お尋ねいたしたいと思います。所要額二十四億の半分は義務教育の国庫負担として将来財源措置をされるとのことであるが、本年度末か来年度か、いつ、それはなさるのであるか、また、もし地方が立てかえるといたしますならば、その金利の負担はどうなるのでございましょうか、都道府県の四月の定期昇給をみますると、完全にやったものは二十二で、いまだ実施しないものが二十ございます。七月に至っては、実施いたしましたものはわずかに十一で、いまだこれを実施しないものが大半の三十四の多きに上っているわけであります。このような状態で期末手当の問題を支障なく解決されるためには、大蔵省、自治庁と打ち合せられまして遺憾のない措置をとっていただくことが大切だと思いますが、どういうふうな措置をされたでしょうか。特に最近におきましては、県知事と教育委員会との間に抜きがたい確執がありますので、中央で、はっきりした施策をきめておかぬと重大な支障をきたすと思いますので、清瀬文部大臣の善処を強く要望いたしまして、私の質問を終りたいと思うわけであります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
#39
○国務大臣(鳩山一郎君) 中田君の御質疑にお答えをいたします。地方財政の健全化方策につきましては、石村君に先ほど答えたのでありますが、さらに同じ趣旨のことを申し上げます。政府としては、地方制度調査会の答申を尊重いたしまして、行政機構の改革、税制の改正の実現をはかる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣太田正孝君登壇〕
#40
○国務大臣(太田正孝君) 中田君の御質問に対してお答えいたします。お示しの通り、地方財政が赤字に苦しんでいることは、まことに遺憾なことでございます。民主政治の基盤といたしましても、また国の財政とそろった健全性を持たすためにおきましても、国の仕事を実行する、いわば手先となりますか、実行の支援となるべき立場から申しましても、重大な問題でございます。私の考え方といたしましては、過去における借金の非常に多くなったのを、これをどうするか。それから現在におけるこの赤字の累積せんとするのを防ぐ方法はどうか。第三は、将来に対して根本的対策を立つべきではないか。いろいろ時間のズレもございましたが、私が当面の責任者となって考えました今日におきましては、第一の、過去の問題につきましては、昭和二十八年度の決算を主といたしまして当院に御審議を願っておりまする再建措置法がございます。しかし二十九年度の決算に現われて参りましたので、あるいはこれに筆を加えなければならぬかとも思いますが、いずれ決定いたしまして、実行する段になりますと、日も少いのでございまするから、事務上にもできないことかと思います。しかし修正し得る限りにおきましては、それを認めていきたいと思うのでございます。第二点といたしましては、この御審議に当って、根本策がないということが御非難でもあり御決議でもございました。これを根本的に一ぺんにやりますることは、私として就任後日浅く、すぐできません。私といたしましては、現状の処理については現在の問題をまず片づけるべく、地方制度調査委員会におきまして二百億円程度の処理をしろというお言葉がございましたが、これも税率を上げることにより、という御趣意でもあったのでございますけれど、私はこれは第三の根本問題に譲りまして、現状をしのぐ、総理大臣のお言葉にもありましたが、赤字の増加しないように防ぐ程度のものを今回措置いたしたいのでございます。将来の問題につきましては申し上げるまでもなく、財源の大きさ以上のものが今日地方に行われている姿ではないか。従って財源の行政の規模を一致さすところに一つの狙いがあると思います。これは予算の立場から申せば、一方に歳入であり、一方に歳出であると思います。歳入の弾力性がないということが今日地方の苦しんでおるゆえんであり、この点につきまして十分考えなければならず、例としてお引きになりました農業事業税なども答申案のうちに入っておりますが、こと重大でございまするから、十分考えたいのでございますが、とにかく歳入についての根本的考えをここに表わさなければならぬ。
 歳出につきましてはおよそ四つの点があるかと思います。その一番大きいものはお示しの通り給与でございます。これを合理化しなければならない。第二は公債費が非常に高まっておる。利子も高い上に、年々その借金を返すために借金がふえていくというような状況、これが合理化しなければならん第二の問題であろうと思います。第三は、どなたも御指摘なさいますように、補助金の問題を解決しなければならんのでございます。率直に申しまして、地方に押しつけられたような補助工事もあるように存じます。また小さい補助金がいかにわずらわしいかということも、もう世間周知の事実でございます。この補助事業をどういうように合理化するかという問題でございます。第四点といたしましては、国と地方とを通ずる行政制度というものに、根本的の考え方をもって改めていかなければならんと思うのでございます。従って今回は、過去の問題に対する再建措置法の問題と、現在の処理の問題と、将来に対する基本方策と、それを三十一年度において基本方策を定めていきたい。過去と現在と将来に対しまして、私はかような考え方で進んでおるのでございます。
 中田君の御指摘の通り、国の健全と申しまするが、地方の健全がなくてはとうていできることではございません。私もほんとうに中田君の説を聞きまして、今日互いに国と地方がなすり合うというお言葉がありましたが、そんな根性でもっては、この問題は解決できません。地固めということを申しますが、少くとも国の方において財政にやや明るみを得たとは申しながら、地方の財政の現状におきましては、決して地固めなどということはできないのでございます。そこに真剣に、過去の問題にも現在の問題にも将来の問題にも考えなければならんことと思うのでございます。
 第二点といたしまして、今回の百八十八億円の措置は、地方制度調査会における二百億円との関係につきまして、どういうわけであるかと申されましたが、この二百億円というものをいろいろな点から調べまして、かつ、それのみならず大きな地方財政が健全主義、緊縮主義をとっておる立場とも考えあわせて、今回の百八十八億円としたのでございます。中心となる給与の問題がないではないか、実態調査はどうなっておるか、こういうお言葉でございましたが、先ほどもお答え申しました通り、実態調査は集計をいたしまして、最も早い機会において発表いたしたいと思うのでございます。第三点といたしまして、今回の措置は、なぜ補正主義をとらなかったかということと、当初百四十億円要求したのにかかわらず、それをはねられたのかここに、かかる赤字を出したところの原因の一つではないか、こういうお言葉でございました。過去の経過は別といたしまして、私の責任に関する限り、今回の財政計画のうちにはその百四十億円の分を入れておりますので、しかもその財政計画は近く発表して皆様方のごらんを仰ぎたいと思っております。
 第四点といたしまして、なぜ一年限りにいたしたかということは、第一点として申し上げましたる通り、根本改革を明年度に譲っておりまするので、この際はとりあえずの措置として一年度としたわけでございます。
 最後に手当につきましては、先ほど石村君の御質問にお答えいたしましたる通り、その財源措置につき私の立場からして十分努力していきたいということをつけ加えておきます。
 なお順序をおくれて申しわけございませんが、公共事業の節約をしながら投資的経費の単位費用を上げた理由はどうか、こういうお言葉があったように存じます。投資的経費は従来他の経費に比べまして見方が低かったので改めることにいたしたのでございます。弱体団体に対して交付金は多くしたらばというお言葉のように承わりました。御趣意の方針によりまして、弱小団体に多くいくように単位費用の改定を行なっております。補正係数を変更したのではございません。
 お答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま自治庁長官から詳しく御答弁がありましたので、私は重複しないように御答弁を申し上げたいと思います。
 一つは地方財政計画について大蔵省があまり差し出がましいことをいたしておるのではないかという御指摘、今日地方財政計画とその実態が必ずとも一致していないのでありまするが、これについては私今ここでどちらがどうというのじゃありませんが、地方財政計画自体に関して、あるいはまたこれに基く運営の方面において双方に私は反省をすべき点があるだろうと、かように考えておるのでありまして、私どもとしてはこの地方財政計画について特に差し出がましいことをいたしたとも思いません。ただ協力して話し合って、そうして立派な計画をどうして作るかという点にあるのであります。
 なお三十一年度におきまして、地方財政がほんとうに再建されれば、その後におきまして私は地方財政計画というものはそれほど重きをおくものではなくなるだろう、かように考えておるわけであります。
 なお、直轄事業も繰り延べるか、節約をするか、こういう御指摘でありますが、地方公共事業の中には約三分の一ぐらい直轄事業があるのであります。むろん、当然直轄事業についても節約をすることになるわけであります。ただ、ただいまのところ、どういうものをするかという点について関係省と相談中でもありますので、事項別、所管別等がはっきりいたしませんので、ここでどういう金額になるということを申し上げかねるわけであります。
   〔国務大臣清瀬一郎君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(清瀬一郎君) 今回の年末給与の措置は、原則として庁費、旅費等の余裕を使うのでありまするが、教育公務員については半額負担の原則によって十二億もの金が地方公務員のために要りますので、四半期、一月以後の国家が負担すべき金額を流用いたします。そうしますると、年度末には必ず穴があきまするから、今お問いの第一点の財政措置は、おそくとも年度末までにはしなければならぬと存じております。それからして、教育公務員は、かの特例法の二十五条の五によって国立学校の教職員と同じ種類及び額の待遇を受けることになっております。しかるにただいま御指摘の通り、従前はそうもいっておりませんが、今回提案しまする法律、今回は法律を修正します、その実行に関しては、地方にも相当の調達はしたいと思っております。しかしながら、何分今日の制度では、地方分権の名のもとに、強い勧告ができないのはまことに遺憾であります。それからして、それで足りないものはやはり短期の融資はする旨を明らかにすることを申しておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#43
○議長(河井彌八君) 島村軍次君。
   〔島村軍次君登壇、拍手〕
#44
○島村軍次君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま提案の法律案に関連して若干の質問をいたしたいと存じます。
 現内閣成立の一つの試金石とも称すべき今回の臨時国会は、地方財政再建の問題がその唯一の目標であったことは御承知の通りであります。ここに保守合同ができ、これと同時にその気魄と努力がこの法案の中に現われることを大いに期待いたしておったのであります。しかるにこの措置はきわめて微温的でありまして、われわれの期待に反しましたことはまことに遺憾とするところでございます。大よそ、地方公共団体の運営は、現在の財政規模から申しますると、実質的には国家財政一〇〇に対して一五六を占めるという、まことに重大なる経費をもっておるのでありまして、われわれは国民とともに重大なる関心がなければならないことは当然と言わなければなりません。しかるに今日の地方財政が窮乏に次ぐに窮乏を招いた原因は一体どこにあるかと検討を加えて見ますると、いろいろの原因はありましょうが、これはかかって占領政策の結果、あまりにも分権主義の膨大になったことであると認めざるを得ないのであります。あるいはこのためには行き過ぎとなり、あるいは中央依存の程度が過ぎるというような点もここに指摘せなければならぬのでありまして、われわれは今回の本法案を中心といたしまして、今後大いに事務の再配分等について十分な検討を加えなければならぬと思うのでありますが、現内閣成立後におけるその気魄と努力が果してどこに現われておりましょうか。またこれらの諸点について、すなわち、抜本的な地方制度の改正について、ただいまある一部分の説明は承わったのでありまするが、関係当局、すなわち自治庁長官のこれに関する具体的な所見をさらに承わりたいと思うのであります。
 なお、巷間に伝えるところによりますと、ただいま中田議員の質問に対する御答弁がなかったようでありますが、内政省の設置を望むとか、あるいは前自由党内閣の際に時の長官塚田氏は、その言葉として、知事の官選も考えておるというようなことを発言されたことがありまするが、現内閣はこれらの内政省の問題及び知事の官選等について、いかなる考えをお持ちになっておりますか。本日総理大臣御欠席でありますが、関係大臣からこの点を承わりたいと存ずる次第であります。
 さような見地からいたしまして、私は他の同僚議員から御質疑のありました重複の点を避けまして、二、三の点を伺ってみたいと思うのであります。
 第一は、今回の財政の特別措置は、いわゆる地方財政計画の算定から起ったものでありまして、財政平衡交付金制度の際に行われましたる、すなわち地方財政の基準財政収入と基準財政支出との間の算定を自治庁で毎年計数的に調べ、しこうしてその算定基礎が基準となって地方の財政計画が策定されておるのでありまするが、しかるところこれは当時の考え方としてはまことに適当でもあり、かつまた、この一つの目標としてはきわめて妥当なものと考えるのでありますが、ややもするとこの算定基礎につきまして、いつも問題になっておることは、すなわちこの基礎が過小に見積られておることであろうと思うのであります。たとえば小学校建築費におきまして財政計画に見積られた額と、その単価において地方の実際の単価とが合わない、過小に見積られておる。あるいは昨年移管になりました警察費におきましても同様であり、また今日問題になっておるところの給与費におきましてもしかりであります。しかも、この給与費は今回の財源措置百八十八億には包含していないのでありまして、たびたび政府の言明のごとく、すなわち給与賞は目下その根本的な調査をやっておるという美名のもとにまだ措置ができていないということは、これはこの本年度の措置がかりにつけられましても、三十年の終りにおきましては、ただいま大蔵大臣からもお話のありました通り、給与費を中心として赤字の出ることは予想にかたくないのであります。しかもこの給与費の関係は、かりに是正が行われ、合理化が行われるとは申しましても、三十一年度以降におきましてはまことに頭痛の種であることは、われわれが地方に参りまして、各府県、市町村等から十分にその実情を承わっておる実例に徴しましても明らかであります。従来大阪あるいは愛知県等、いわゆる裕福県として羨望の的であったこれらの諸団体も、警察費の増高あるいは給与費の増高、ひいては財政計画の算定の基礎等の誤まり、過小に伴って、おそらくここ数年来におきましては、むしろ剰余金よりも赤字をきたすというような事情にならんとする現状であることは、われわれの深く認識せねばならぬと同時に、私はこの際一片の政府の遁辞に終ることなくして、将来の数年後における財政計画を十分に立て、しかもその財政計画はその算定基礎が実情に合うような基礎に置くべきであると考えられまするが、これらに関する政府当局の所見を承わりたいと考える次第であります。
 第二に承わりたいと存じますることは、この地方の赤字に対する財源措置は、これは申し上げるまでもなく府県、市町村の多数の団体中、府県においては八四%、市においては七二%、町村において三五%に相当するものであって、それらの数が漸次増高して参ることは今日の趨勢でありましょうけれども、要するにこれらの赤字を出した原因は、いろいろの原因がありましょうけれども、財源の弾力性のないことと同時に、財源が一律であって偏在をしておることであると思うのであります。財源偏在に関する是正をいかにするか、政府の所見を承わりたいと思うのであります。これはやがて税制改正の問題にも関連し、本日の新聞紙上に表われておりまする審議会の答申等から、果して大蔵大臣は、この問題に関していかなる措置を考えておりますか。私はその一例としてここに昨年改正になりました入場税のごときものは、むしろ今日の考え方といたしましては、交付税中に組み入れをしまして、財源偏在の是正をする、あるいはまた交付の方法について特別な措置を講ずるあるいはまた、たばこ消費税等につきましても、同様に現在の売上金額の措置をさらに人口割りにするとか、あるいはまた他の方法によって、今日の偏在財源を国と地方を通じた措置を講ずることが、すなわち中央地方を通じた行政事務の責任の明確化をなし、かつまたこれがシャウプ税制勧告の占領政策是正の一つの道であろうと考えられるのでありますが、これに対するお考えを承わりたいと思うのであります。要するに今回の財政措置がきわめて微温的であることに対しては、各同僚議員はもちろんのこと、地方公共団体の一致の意見でありまして、これは責任ある政治といたしましては、保守合同の成りました現内閣において、この際思い切った気魄のある措置をとるべく努力を重ねて、これらの諸問題の解決が一日も早からんことを熱望いたす次第であります。
 以上の諸点について、各関係大臣の所見を伺って、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君、登壇〕
#45
○国務大臣(一萬田尚登君) 私から特に御答弁申し上げる点は、税の偏在の是正の点が一番大きかったように思うのですが、この税の偏在の是正はぜひともやるつもりでありまして、幸い臨時税制調査会からも相当の示唆がある答申がありますし、またただいま具体的にお示しになった御意見の点も十分参酌いたしまして、必ず実行いたすつもりをいたしております。
   〔国務大臣太田正孝君登壇〕
#46
○国務大臣(太田正孝君) 島村君の御質疑に対しましてお答え申し上げます。
 仰せの通り、国の財政に対する地方財政の比率は、非常に大きくなったのでございます。しかも、ただ大きくなったばかりであって、それに健全性がなく、また地固めもできておらない非常に危ないという状況にあるのでございます。その抜本策につきましては、私の先ほども申しましたる通り、財源をこえた規模の行政が行われていることが、私の信ずる原因といたしましたならば、その財源と行政の規模とを一致さすところにございますので、先ほど申しました通り、一方に財源の安定及び弾力性を考えること、他方におきまして、給与を初め、あるいは公債の問題、補助金の問題及び行政制度の問題等について十分検討を加えて、三十一年度の予算に向いたいと思うのでございます。
 お話のうちにありました内政省という言葉がございましたが、答申案の言葉をもってすれば、統轄調節機関とあったように思います。また知事官選の問題もございましたが、これは政府といたしまして、今行政管理庁の主管のもとに、いろいろの案が出ております。自治の達成ということは非常に大きい問題でございます。戦前におきましてのいわゆる内務省がいろんな力を現わした、そこでもって占領政策がこれをずたずたにして、いわば現在のようなたくさんな分化になってしまったのでございます。しかも自治の本義に返ってみますると、国が命令するのじゃない、助言していくような立場におきまして、自治がすくすくと伸びていくようにしなければなりませんので、大きな方針は過去の内務省のようなものに帰るのでなく、いわゆる民主政治の基盤となるべき自治性の伸びていくような組織にいたすべきという考えで進んでおります。
 第二として地方財政の赤字の原因の一つは、お示しの通り地方財政計画の算定に当りまして、過小算定の点が指摘されます。学校の建築についてお示しになったことは、私も同様に感じております。今回の財政措置によりまして一部是正いたしましたが、もちろん将来は極力これに力を注ぎまして、補正に努力いたします。お言葉そのままの実情に合うようにいたしたいと考えております。
 税制につきましては、大蔵大臣からお答え申し上げました通りでございます。(拍手)
#47
○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#48
○議長(河井彌八君) 日程第三、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず委員長の報告を求めます。法務委員長高田なほ子君。
   〔高田なほ子君登壇、拍手〕
#49
○高田なほ子君 ただいま議題となりました罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律案の委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 もともとこの罹災都市借地借家臨時処理法は、あるいは戦災による罹災建物の旧借主に優先的に借地権を取得させ、あるいは逆に罹災地の借地権で今後存続させる意思がないと認められるものを消滅させる等の道を開き、戦災地における借地借家の権利関係を調整することを直接の目的として立法されたのでありますが、その後同法は改正されまして、その第二十五条の二においては、かような戦災による場合だけに限らず、別に法律で定める火災、震災、風水害その他の災害の場合にも法律で指定する地区に限り、同法の規定はこれを準用し得ることと定められているのであります。すなわち本法案は、去る十月一日新潟市に発生しました火災をこの第二十五条の二による災害と定め、また新潟市をその地区に指定し、同市における借地借家の権利関係に同法の規定を準用せしめてこれを調整し、もって同市の急速な復興をはからんとするものでございます。
 新潟市における今般の被災は、市街地の中心部約八万四千坪に及んで約一千戸を焼きました大火災でありまして、師走の寒風の中に生活の根拠を失いました被災の方々の現状を思いまするとき、本法案による措置を急速に必要とすることは想像にかたくないところでございます。
 当委員会におきましては、かような事情にかんがみまして、熱心に審議を急ぎ、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致にて可決すべきものと決定いたした次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#50
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#51
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時四十分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 一、鉄道建設審議会委員の選挙
 一、社会保険審査会委員の任命に関する件
 一、地方財政審議会委員の任命に関する件
 一、中央更正保護審査会委員の任命に関する件
 一、日本銀行政策委員会委員の任命に関する件
 一、日程第一 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)
 一、日程第二 昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案(趣旨説明)
 一、日程第三 罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律立案
ソース: 国立国会図書館
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