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1955/12/09 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 農林水産委員会 第5号
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1955/12/09 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第023回国会 農林水産委員会 第5号
昭和三十年十二月九日(金曜日)
   午後二時二十一分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     棚橋 小虎君
   理事
           重政 庸徳君
           鈴木 強平君
           江田 三郎君
   委員
           秋山俊一郎君
           東   隆君
           河合 義一君
           清澤 俊英君
           小林 孝平君
           三橋八次郎君
           溝口 三郎君
           森 八三一君
           千田  正君
  政府委員
   農林省農林経済
   局長      安田善一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   農林大臣官房予
   算課長     昌谷  孝君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○中央卸売市場法の一部を改正する法
 律案(田中啓一君外六名発議)(第
 二十二回国会継続)
○農林水産政策に関する調査の件
 (昭和三十年度の地方財政に関する
 特別措置法案に関する件)
○連合審査会開会の件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。本日あらためて日韓漁業問題を議題にして御審議願う予定でありましたが、本日も昨日同様関係大臣の出席が困難であるとのことでありますので、はなはだ遺憾ではありますが、本日もこの問題を見送ることといたします。中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題といたします。本改正法律案は、前国会に本院議員田中啓一君外六名によって発議せられ、当委員会に付託され、閉会中継続審査となっていたものでありますが、本日は本国会において本改正法律案の取扱い方について御協議御決定を願うことにいたしたいと存じます。なおその前提として、政府当局から農林省における中央卸売市場対策協議会の進行状況及び政府における現行中央卸売市場法改正の企図及び改正法律案の提出の見通し等について伺っておきたいと存じます。
#3
○政府委員(安田善一郎君) 中央卸売市場法につきましては、ただいま委員長から御報告もありましたようでありますが、前国会参議院の田中啓一議員その他のお方から、議員立法によりまする法律改正案が御提出になりまして、継続審査になっておる次第であります。この案につきましても、政府といたしましては、この案を尊重しつつ、また敬意を払いながら改正をしようとされておる主として内容のある二点、卸売人に関する権限を地方長官から主務大臣に改めること、また卸売業者の認可制を主務大臣にいたしまして、乱立傾向にありまする市場の卸売人につきまして、ないしは卸売りの業務をする者につきまして、合併または営業の譲り受けにつきまして、主務大臣が認可をいたします前には、公正取引委員会に協議をいたしますが、認可があれば私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、簡単に言えば私的独占禁止法と通称されておりますものの法律の規定を適用しないことを主たる観点とされておる案が出ておるので、これにつきましても研究中でございます。他方三十年度の予算を御審議いただきましたわけでありますが、国会で御審議をいただきました本年度成立予算の中には、農林省の私どもの事項といたしまして、中央卸売市場対策協議会の設置運営に関しまする予算が計上をされておるわけであります。この両者を考えまして、国会の御審議活動の方は一応別といたしまして、農林省におきましては、同対策協議会の人選を終えまして、十一月十二日から十二月六日に至りますまでに三回の協議会を開いたのであります。木村鉱一郎先生を議長にいたしまして、約四十入の関係の多い各方面からの、業態別ではありますが、その業態における学識経験者本位に委員を委嘱申し上げて、三回いたしました。現在の段階は、第三回目におきまして、全体の委員の中からさらに十八名の委員を議長が会議に諮ってこれを選ばれまして、農林省から提出いたしました最近の情勢にかんがみまして、中央卸売市場対策は今後いかにすべきやという諮問に対しまして答申すべく、起草委員をあげられまして、まず第一回の委員会を開かれたのでありますが、それに至りますまでの主として委員の御発言を整理しまして、それをもとにしまして起草をされようとしておるのであります。次回は、委員の方々の御都合もございまして、十二月十二日に第二回の十八名よりなる起草委員会を開催の予定でございます。見通しは、いささか私の個人的な観測になりますが、十二日だけではことによると終らないかと思いますが、答申の仕方によりましては、十二日またはそれに引き続いてやりますれば十三日、ことによりますと、そこでまとまる部分だけまとめて、残りをざらに次回に移したり、または起草委員でありません全体の委員会をさらに継続いたしまして、さらに詳細御意見をいただく模様のようでございます。
 そこにおきまする御意見は、今まで出ましたところによりますると、これを若干はしよりまして整理して申し上げますというと、大正十二年に現在の中央卸売市場法が制定されました当時に比しましては、特に大都市を中心にしまして、また地方都市を中心にしまして、産地、消費地、あるいは需給事情等を考えまするというと、中央卸売市場の性格がかなり違っておる部分がある。法律制定当時予想したような形態もある。そこでこの両者につきまして、現在及び将来のあり方をいかに考えていくかということの基本もかなり論議があるのでございます。しかし、一応生鮮食料品の需給調整、適正な価格形成の任に当るのが中央卸売市場であって、これは原則として自由経済をもとにしまして、その中に公正な安全な取引を確立して生産者、消費者に資するようにその目的を達するようにしたいものだということが最大公約数の意見でございまして、その見地に立ちましても、現行法による中央卸売市場は、たとえて申しますると、主として現行法制定当時は消費市場の性格を持っておりましたものが、中にはかなり集散市場の性格を持って参ったということなどをとらえましても、現行法をこの際は改正する方がより適切であろうという意見が最大公約数的にあるわけでございます。またこれを中央卸売市場内部の現状についてみますると、取り扱いまする品目の数量や、取引される形態もかなり従前、特に制定当時法が予想したものより変りまして、一方最近の経済情勢からも自由でありましょうが、卸売人の乱立の傾向が多くなりまして、その弊害がかなり見られる。この弊害は同種業界の中においても生じまするし、市場の公正なせり売り等の方法を励行することにおいても生じまするし、少し長期にみますると、生産者及び消費、者の利益にも反することが多い、こういう点などが指摘されております。また現行法令によりまするというと、卸売人と売買参加者に関するような建前をとりまして、特に卸売人については法律の条章をもちまして、しかるべき規定がございまするが、それにつきましても参議院の議員提案にあられますように、監督ないしはこれの監督の運営ということなどにつきまして、現行法では適当ではないのではないかという意見が、かなり強いのでございます。また大市場におきまして、大部分目下のところでは仲買人がしかるべき地位を占めておりまして、卸売人と仲買人とが一応対峙をいたしまして、せり売り等の方法によりまして価格の形成、需給の調整というようなことなどを行なっておることになっておりますが、現行法は単に市場の業務規程の中において、都市の条例等において、仲買人に関する規定をしておるのでございます。これが本法に基いて地方の条例で規定し得るものなりやいなやの法律問題もあるかと存じておるのであります。またその他につきましても、もう少し中央卸売市場に関しては指導、育成、助長の措置も講じながら、集散市場の実態を持っているような性格の場合には、特に中央政府、言いかえますると、目下のところでは農林省ということになるかと思いますが、農林省の監督指導の権限をもっと確立した方がいいじゃないか。しかしあまり不当に干渉を多くするのは適当ではないという意見が圧倒的でございます。さらには現行法によりましても、中央卸売市場法に基いて市場を指定しますと、開設する段に当りまして、認可がありますと、市場ごとに地区が指定されるのでありますが、その地区内におきまして、類似市場が相当発生しておるのが現状でございます。この類似市場につきましては、市場を開設する段に当りましては、閉鎖を命令し得るような規定が現行法にございまするけれども、一たん中央卸売市場を法的に公認して開設しましたあとに発生いたしまする類似市場につきましては、指導も、規制につきましても、いずれの両面につきましても、何らの規定をいたしておらないのが現行法の状況であります。この類似市場は経済上やむを得ず発生し、また相当にいいものもあり、適正に動いておるものもありますが、その多くは法的にきめられました中央卸売市場の取引を混乱させたり、需給及び価格形成を不安定ならしめましたりしておる部分が相当あり童して弊害も少からずあるという議論が多くございます。特に名古屋地方、大阪地方において、あるいは神戸地方において、京阪神と言った方がいいかもしれませんが、その地方におきましては、その弊害が見られるといち意見が学識経験者、都市の代表者等からも述べられております。しかしこの問題はなかなかむずかしい問題でございまするが、何らかの規制方針を、方法をとり得る措置を法的に新たに認めるのがいいのじゃないだろうか。しかしその反面、中央卸売市場が開設されます場合には、されておるものを設備をざらに整備強化しないと、現状に合わないではなかろうか、その点に当りまして、集散市場の性格が強い場合は特にでありますが、そうでない場合にしましても、中央政府とか、地方の政府と申しますか、都道府県におきましても、従来のように都市を中心では必ずしもございませんで、もう少し補助なり、助成なり、指導なり、積極的指導なり育成なりをはかるのがほんとうである。そういうふうにして荷動きの状況、荷扱いの状況、生産者、消費者のために市場の取引が公正に行われて、関係業者も適正に法の意図するように、また市場のあり方として期待をされますように、動けるように政府は努力すべきではないか。まあこういうことは現行法におきましても補助金を交付することができるということは規定がありますが、もう少し積極的に何かできないかという声が大へん強くございます。
 また中央卸売市場法の開設者そのもの、たとえば東京で言いますと東京都、大阪の市場では大阪市、こういうのが原則になっておりますが、これらについてもどういうふうにしたらいいかという意見などが相当ございます。中には政府、または公的機関、公社等がやるといいのじゃないだろうか、こういう意見もありますが、これは少数説でございます。また開設者が現在相当設備を長く使いまして、ほとんど償却がついておる分、もしくは市場の経営に還元しないで市場使用料をあまり下げない、あるいは新設のための設備拡充等のための準備をすることなどに欠けておるので、これは法的事項かどうかわかりませんが、考えようによって差があるかと思いますが、市場の手数料等の決定についても、取引の公正ということと合わせ、両者を合わせ考えまして、適当な法的な根拠規定を置くべきではないか、こういう意見がかなり強くございます。
 その他いろいろな意見がいろいろの角度から出ておりまするが、これを起算委員によりまして整理をされまして、追って御答申がいただける予定でございます。すでにその起草委員会が始まっておるわけでございます。これに対しまして、私は農林経済局長でございますが、少くとも河野農林大臣とお打ち合わせし、その方針を聞いておりまするとこによりますると、中央卸売市場対策協議会の意見をいただきましたならば、これを尊重いたしまして、またかりに参議院で継続審議中の中央卸売市場法の一部改正法律案がこの臨時国会で可決になりませんような事態にありましたならば、この両者を尊重いたしまして、またあわせて政府が予算措置や、政府資金の措置や、融資の措置やなどの運営等、法的事項でないことをもあわせてできるだけ考慮と努力を払いまして、そうして通常国会にはお許し願えまするならば、農林省としましては、大臣も事務当局もそういう取り扱い方をいたし、まして、中央卸売市場法の改正法樺案を政府提案において提出させていただきたいと思っておるのであります。目下政府全体といたしましては、どの法律案を通常国会において提出するかという最終決定をする段階にございませんで、目下内閣に向いまして各者が提案を希望する案件を提出する段階でございますが、河野農相の相当強い提案の決意と申しますか、希望と申しますか、あわせて大蔵省に向って最小限度にしろ必要な予算要求をすでにしつつあることなどを考えまして、参議院のお取り扱いが、先ほど委員長から御報告がありましたようでありますれば、万難を排して政府提案において通常国会においてより改正事項を多く、また多くの方々の世論と申しますか、具体的には対策協議会の意見の尊重、あるいは国会の議員のお方、議員立法の内容、御提案になっておる法律改正案の内容、こういうものを十分に参考にし尊重いたしまして、より広範囲な改正事項を盛りまして、現状に適した適当な程度で法律案を御提案申し上げたい、こういうのがただいまの考えでございます。
#4
○委員長(棚橋小虎君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(棚橋小虎君) それでは速記をつげて。
 それではお諮りいたしますが、ただいま付託審査中の当院議員田中啓一君ほか六名の御発議にかかる中央卸売市場法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま農林省農林経済局長の説明によりますと、政府においては現行中央卸売市場法の全面的改正を企図し、ただいま農林省に協議会を設けて研究中で、来たる通常国会には改正法律案を提出することになるとのことでありますから、ただいま審議中の議員提出の改正法律案は政府の改正法律案が提出されるまで審査を継続し、政府提出案との見合いにおいて処理することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(棚橋小虎君) ではさように決定いたします。
 従いまして、先般御決定をいただきました本法律案に関する参考人出頭の件もその際まで延期することにいたしたいと存じますが、これも御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(棚橋小虎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#8
○委員長(棚橋小虎君) 速記を始めて。
 なおこの際政府当局に申し上げておきたいのでありますが、今度中央卸売市場法の改正法律案を提出する際には、中央卸売市場施設の整備、その他市場機能を完成するために必要な諸般の経費、予算及び資金についても遺憾なく措置せられるように要望いたしておきます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#9
○委員長(棚橋小虎君) 速記を始めて。
#10
○清澤俊英君 安田さんにお伺いいたしますが、名簿をみればまたいろいろわかりましょうが、この協議会には協同組合関係の方は。
#11
○政府委員(安田善一郎君) この協議会の委員の中には全国漁業協同組合連合会の会長さん、会長さんは木下辰雄さんでございます。また全国販売農業協同組合連合会の会長の石井英之助さん、くだものの方としましては、日本園芸農業協同組合連合会の会長の塚越勇作さん、その他もと水産委員会の専門員をされておりました岡尊信さん、これは全国漁業協同組合連合会の理事でございます。勝賀瀬ざんという全版連の理事のお方等を入れまして、入っていただきまして御意見をいただいております。また中には東大農学部の教授の磯辺先生とか、神戸商大の福田教授等々をも、御関係の深い学識経験者もお入りになっております。御議論の中では、たとえば魚類の扱いにつきましては、全漁連の直売等の規定を設けるか、全国的なあるいは地方的な連合会の生産者の協同組合を卸売人にするかどうかということなどについて御議論があるのでございますが、一方には卸売人にすべし、一方はするのが適当でない、こういう御意見もあります。しかし法律におきまして、卸売人に関しまする規定を置きましても、それらの問題は運用においてやるようなふうの法律案の改正案がいいのじゃないかという意見の方が多いように、ただいまはすらっと委員のお方の意見を聞くと聞えます。これらは国会でいろいろ御審議を願うべき事項と思って考えておるわけであります。
#12
○委員長(棚橋小虎君) 議題に追加して、昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案に関する件を議題に供します。
 本法律案は去る七日内閣から閣法第五号で予備審査のため提出されたものであります。この法律案はかねて問題になっております本年度の公共事業費の削減と表裏をなすものでありまして、農林水産に重大な関係がありますので、当委員会においても十分御検討を願う必要があると考え、特に議題にいたした次第であります。本日はまず自治庁及び農林省の事務当局から本法案の提案の理由及び内容、臨時地方財政特別交付金増額の決定の基礎、その財源措置及びこれが農林水産関係公共事業費及び公共事業に及ぼす影響等について説明を聞き、続いて御質疑を願い、その上において当委員会として本法律案の取り扱い方について御協議を願いたいと存じます。ただいま関係官庁からの出席は農林省昌谷予算課長であります。なお自治庁の関係官は本日は都合が悪いそらでありますから、日をあらためることにいたします。それでは御説明がありましたら……。
#13
○説明員(昌谷孝君) ただいま議題に上っております件につきまして、私ども農林省の事務当局といたしまして、ただいままでに了解いたしておりますところにつきまして事情を御説明申し上げます。
 今回の措置は、地方財政の不足に充てるための財源といたしまして百八十八億円の臨時の措置をとる、交付税の引き上げによらずに本年度限りの臨時の措置として、地方交付税の率の三%に相当する額といたしまして再八十八億円の財源の手当をする、その財源といたしまして、国、地方を通ずる財政の健全性を堅持する建前で、国家財政におきまする一般経費の節約額、それから賠償費、公共事業費などの不用額を合わせて百六十億円、これに伴う地方負担の軽減額二十八億円を見込む、さような御方針でとり進められておるように承知いたしております。従いまして、農林省といたしましても、食糧増産費その他公共事業関係経費を事業官庁といたしまして、この御趣旨によりまして年度内に、ここに先ほど申しました不用額と申しますか、繰り延べの可能額がいかほど生ずるであろうということについて、ただいま各部局、各地方を通じまして事業の進捗状況、その他今日までの公共事業関係経費の事業の進捗状況の調査に着手いたしたばかりであります。従いまして、それぞれの事業におきまして、年度内に工事が明年度にずれるというよりなものがいかほど出てくるかということを調査、集計をいたしました上で、どの種の工事にどれだけの額が繰り延べ可能、つまりここに申します不用額として出て参るかということに相なるわけでございまして、その事業種別の金額が私どもの手元でまとまりますのは、例年の例その他から申しまして明年の一月末、あるいは二月に相なろうかと考えております。そういった事情でございますので、建設省その他他省の公共事業関係経費の事業官庁におきましても、おおむね同様の模様でございます。その額が集まりました上で、明年度になりまして、そういった見通しが確実につかめました上で減額補正の措置がとられるものと、さように了解いたしております。従いまして、現状におきましては、その繰り延べ可能額がいかなる種類のものが出て参るかというような調査をまず第一義としてやっておるわけであります。従いまして、一律に天引き的な意味での節約をかけるとか、さような処置は考えておりません。また本年度はこういった地方財政の特殊の事情によりまして、平年度でありますならば、予算繰り越しという措置をもちまして、明年度に延びます事業につきましての予算措置は繰り越しということで措置をせられるのが通例でありますが、特にこういった特殊の事情から、繰り越すべき額を一時的に不用として年度内に減額をいたし、また引き続き明年度におきましてその事業の継続するに必要な予算措置が講ぜられる、さようなふうに考えております。本措置に伴いまして事業官庁といたしましての農林省の予算につきましての状況は、以上申し上げたような次第でございます。
#14
○委員長(棚橋小虎君) 何か御質問がありますればどうぞ。
#15
○森八三一君 今の御説明で抽象的には一応了解いたしますが、三十年度の地方財政の赤字をこれによって解消するという限りにおいては、百八十八億というものが最低限度として措置されなきゃならぬ。ところが百六十億というものは、国の事業の繰り延べなり節約なりというものによってまかなうのだ、それに対してはまだちっとも見当がついておらぬ、内容的には。ということになると、これはまあ農林省にお伺いするのじゃありませんが、実際問題としてはどうなるかわからぬという姿のものであろうと思います。そこでそうであっては、地方財政の建て直しは不可能に陥るわけでありますので、建前としては画一、一律にどうこうするのではないということではありましても、具体的な当面の措置としては、農林関係のお話のありましたような食糧増産費を中心としてかくかくの総額は期待をするというような目安というものが置かれておるのではないか、もし置かれずとして漠然として進んでおるとすれば、地方財政の建て直しという目標に到達しない場合も考えられる、こらなりますが、その辺はどうなっておるのか、まずお伺いいたします。
#16
○説明員(昌谷孝君) ただいま御指摘の点につきましては、私どもといたしましては先ほど申し上げましたように、事業実施に無理を及ぼさない範囲内におきまして、工事がずれるものを累積集計いたしまして、本措置のいわゆる公共事業費などの不用額と了解いたしておりますので、その数字は一律的に目標額などを定めて捻出すべき筋合のものでなくて、工事の実際の進捗状況を十分見ました上で出すべきものと思います。で、本年度の特殊の事情といたしまして本予算成立がおくれ、工事の着手が多少平年度よりもずれました関係でありますとか、それから地方財政が不如意のために工事がおくれました関係でありますとか等を勘案いたしまして、例年の繰り越しをやっております。例年工事がずれましたための繰り越し額等とも勘案をいたしますと、まあ相当の額の繰り越し可能額が累積せられるであろうということは予測できますが、今日の段階におきまして、あらかじめかくかくの事業で幾ばくというような予測はいたしかねておるわけであります。御指摘のように、一方地方財政に対する財政措置としての確実性という点から申しまして、御指摘のような御懸念が起ろうかと思うのでありますが、財政当局といたしましては何省何事業ということでなく、公共事業一般の例年の工事の進捗状況、また本年度の進捗状況等を全体的な形として把握をいたしまして、一つの現状における財政見通しを確立しておるものと了解いたしております。従いまして、どの事業あるいは何省の事業でその内訳がどれだけ出るかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、いましばらく地方の実情を集計をいたしませんと出て参らない、さように御了解願いたいと思います。
#17
○森八三一君 まあ原則的な建前としてはそうでありましょうし、そうでなければ実態に合わないのでありますので、そういう御答弁は当然と思いますが、後段に申し上げましたような百八十一八億というものがなければならぬという究極のそろばん勘定を合せまするためには、何とはなしに省別の期待額というのがあって、それが無理にはじき出されてくるような危険もあると思われますので、農林省としては特に食糧増産に格別に成績を上げていかなければならぬ現段階をよくお考え下さいまして、そういうような逆算的な無理が生じないということはお話しの通り確保していただきたいと思います。そらしてお話しのありましたように、本年度の予算が前数カ月は暫定予算で経緯し、第一・四半期を終ったあとで本予算ができたというようなことのために、相当の事業の繰り越しが予測をせられる、それを今度の財源措置に充てるんだというような御説明であったのでありますが、予算の建前から申しますれば、私はそういうような仁とも当然考えられるとは思います。思いますが、過去累年その年度内の事業がその年度内には完成されませんで、次々と繰り越しという措置で経過しておる。ここで一ぺんその繰り越しという措置を打ち切ってしまら、こういうことになると穴があいてしまう。ことに積雪地帯のごときは新年度の予算ができましても、その予算の配分はおおむね六月か七月になってしまら、もう十月には工事を行うことのできないよらな気象条件に置かれる。四月から工事が着工できますれば、気候の条件に妨げられませんですべって参るのでありますが、新年度の予算の配付がこれは実際の事務的な手続としておくれる。従来はその穴埋めを前年度の繰り越しが果しておる。それが今度なくなってしまうということになると、非常に大きな食糧増産等に影響をもたらしてくるということが考えられますが、そういう点は一体どう考えられるか。従来、今申しまするように、予算の配分がおくれるために実際に穴埋めをしておった。予算の建前から申しますれば、そういう繰り越しということは感心すべきことではありませんが、実際の事業というものが打ち切られてしまうということになると非常に大きな問題になる。そういう点を勘案して不用額というものをはじき出すという御計画であるのか。ただ数字の上で予算というものの本質の建前からいって出発してかくかくの数字は不用額である、それは提供してしまおう、こういう感覚でお進みになるのか。これはきわめて重要な問題だと思いますが、予算課長としてどういう心がまえで取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
#18
○説明員(昌谷孝君) 御指摘のように、相当まとまった額の事業を実施いたしております。農林省といたしましては、極力年度内に事業の完成に努力をいたしておりながら、なおやむを得ず繰り越しと相なる額が出て参る。これは予算の執行の建前から申しますれば、まことに申しわけないと申しますか、なるべく年度内に予定通り事業を完成すべき筋合いのものであると思っておるわけであります。まあ多くの事業の累積といたしまして、かなりの額が繰り越しのやむなきに至っておる現状でございます。そういうわけでございますので、私どもといたしましては、繰り越しの生じましたこと自体を今後そういうことのないように心がけねばなりませんと同時に、やむを得ず出ました繰り越しにつきましては、やはり平年の扱い通り繰り越しという措置によりまして、引き続き新年度予算に関係なく、繰り越しという措置によって事業が円滑に繰り越されることが私どもといたしましては一番やりよいわけであります。その点本年度のようにこらいった特殊の重要な財政事情が出て参った関係とは申しながら、事業官庁の立場から申しますれば、まことに実施について従来にましてむずかしさを加えて参る。先ほど来申しておりますように、そういうことに相なりましたとはいたしましても、なるべく現地の事業がその措置のために計画が狂ってしまいましたり、そごを来しませんようにということを十分現地の・事情を把握いたし、地元都道府県等とも十分協議をいたしまして、極力無理のないところで繰り延べをいたして参るというふうに、現地々々に即しまして処置をして参るのが、この際としての最善の措置かと思いますので、そういうふうに取り計らって参る以外に方法なかろうかと思います。
#19
○森八三一君 現地々々の事情に即してという点を強く理解いたしますると、予算の執行は累年ずっと継続して、毎年々々きちんきちんとその年度年度で区切られてきておったわけではないので、継続しておるという形に置かれておる。これをここで一ぺんこの措置のために不用額として打ち切ってしまうことになれば、その継続的な考えというものがそこで一ぺん破壊せられるということによって非常な支障が起きるといもことは、これはもう間違いない存在だと思うのです。で、その地方々々の実情に即してという言葉一は、形式的な年度々々に区切って年度内に使用し得ない額は不用額として供出をするということではなくて、私が一つの例として申し上げました積雪地帯のごときは、どう考えてみましても、予算が成立して四月一日から配分をして仕事をやるなんということは不可能なんです。その穴埋めをしておったのが繰り越しという、好ましい姿ではないといたしましてもそれが実態なんだ。その実態を打ち切るということは、これは非常に大きな問題だと思うわけでありますので、今お話しになりました地方々々の実情に即するということは、そういうような穴があいて新年度の予算とのつなぎが中断ざれることがないという範囲においてのみ考えられることである、こうも私は理解をいたしますので、そういう措置をとっていただきたい。
 なお委員長にお願いしますが、このことは予算課長だけのお力では僕はいかぬ問題だろうと思うのです。農林大臣なり、大蔵大臣なり、責任のある、そうしてまた指導をされる側の方にそのことを十分のみ込んでもらわなければ、ただ形式的に財務当局からかくかくの数字は不用額であるといって追い詰められてくれば、何とも事務当局ではいかんとも措置しかねる。理論的にはそこにまた追い込められると思いますので、適当なときにこの問題についてはっきり究明のできるときを作っていただきたい。あるいは地方行政委員会との連合審査会等でそういう問題を論議し得ますれば、それも一つの方法かと思いますが、いずれにいたしましても非常に重要な問題でありますので、しかるべき審議のときを委員長の手元で作っていただきますることを委員長に要望しておきたいと思います。
 それからなお、もう一つ最後にお伺いしたいのは、今度の節約額といいますか、特別措置のために供出されるべき相手方の費目というものが、農林省関係では食糧増産対策費というものだけに局限をされるのか、省全体の予算のうちで求められるものはどういうものにでも求めていくということになるのかどうか。もし全体に求めていくということになりますれば、国会の予算の審議の際に御説明なすった説明とは変えて、すなわち予算編成当時にはこういうような補助費も出したいということでおきめになったのを、最近の情勢によればそういう補助金等は支出することを必要と認めないという感覚の変更によって、一方的補助費というようなものについて打ち切ってしまうという措置までお考えになるのかどうか、そういうことはあるかないか知りませんが、たとえて申しますれば、保温折衷苗しろの資材に対する補助金というものを年度の当初には考えて予算に計上しておった。ところがその事業はいまだ実施をされておらぬ。最近の農村の経済事情その他にかんがみまして、そういうようなものは支出する必要はないと認めたからこれは打ち切るというような措置があるのかないのか。国会には必要と認めて予算の審議を求められ、国会はその審議をして予算を認めたが、その後の感覚の変化によってもう打ち切るというようなことまでお考えになるのかどうかということを、最後に一つ聞いておきたいと思います。
#20
○説明員(昌谷孝君) 先ほどのお尋ねに関連してちょっとお断わりをいたしておきますのですが、例としてお話の出ました積雪寒冷地帯等における問題でございますが、私どもの予算の従来までの進捗状況から判断して申し上げますると、概して北海道でありますとか、東北その他積寒地帯は工事の実施可能期間が短い関係もございまして、事務的にもでき得る限り予算配賦その他につきましても、事業の内容の割当につきましても、そういった冬期間作業の困難な地帯に対しまする仕事の進捗状況は、概して申しますれば、他の温暖地帯に比べますれば進捗いたしております。従いまして、まあ例としてお話が出たわけでございますが、そのような繰り越しの可能額といいますか、仕事はできるが、やめてもらうというのではなくて、仕事が年度内に幾ら精を出してもこれ以上はやれなくなって翌年度に繰り越すという趣旨におきまして、私どもはこの不用額を考えておりますので、その辺は、先ほど実態に即してと申しましたけれども、極力無理のないような運用をいたすよう各部局の方で作業をいたしておりますので、御了承を願いたいと思います。
 なお、何といいますか、今回の財政措置に裏づけます捻出財源の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、総額において百六十億円ということと、その捻出の範囲は一般経費の節約、それから賠償費、公共事業費などの不用額というような表現が出ておりますのでありますので、当面問題になっております公共事業費、あるいは公共事業関係経費と申しますか、食糧増産対策費のみにとどまらず、広く農林省所管一般の中で捻出可能財源を明年補正予算決定までの閥に決定を逐次見て参ることに相なろうかと思います。ただ、ただいま申しましたように、不用額でありまた節約でございますので何と申しますか、成立いたしました予算の内容にわたりまして、いわば価値判断的なふうな削減は毛頭予想しておりません。むしろ何と申しますか、先ほど公共事業で申し残したと同じような意味合いにおきまして、物理的に三月三十一日までに支出することがむずかしい、四月一日以降に支出をして十分実態的に間に合う、あるいは当初の予算積算におき市して見込みました対象と申しますか、積算の基礎に変更がありまして、予算自体が不用に帰した、そのようなものを対象として捻出せられるものと考えておりますので、御指摘のような予算自体の価値判断をあらためてここでいたしまして、要不要をきめて参るというようなことは毛頭ないと考えております。
#21
○東隆君 私は今森君が質問したと同じような中身になりますが、質問その他を通して聞きますると。大てい北海道の方は積寒地帯は非常に仕事が進んでおる、こういうお話でございましたが、そういう形でもって南の方にしわ寄せになるのじゃなかろうか、こういう質問がきょうもあったわけでございます。本会議で……。私はその点について、直接北海道におりますからよく知っておるのですが、例年会計検査院から調べに参りますのは、北海道では大てい六月以降です。七月くらいに大ていなりましょう。それはどういうわけかと申しますと、冬季間にやった仕事は、これは竣工いたしたとしてもこれは完全にできておりません。そんな関係で、大てい手直しその他をやって、竣工をするのは雪が解けてしまってから、こういうことになります。そんな関係でおそらくそういう点は大目に見ておるのではないかと思いますが、このことを一つお考え下さると、北海道で仕事が繰り越しになった、こういうような仕事は実は春と秋としか仕事をするときがございませんから、そこでことしの予算のように暫定予算で承って組まれた場合には、来年の春にやる分が非常に多くなります。そんなような関係もありますので、これは例年のことですから、昨年は五月ごろ法律になって出たあの財政法の一部改正その他の措置を実はとってもらったわけであります。そして簡易に事故繰り越しができるような措置を講じたわけで、その結果非常に北海道としては助かって、そうしてこれに関係しておる仕事が相当あると思います。今年は。そういう面が実は大きく犠牲になるのじゃないか、こう考えられるので、これは決して国費をむだに使うのではなくして、有効に使うために事故繰り越しをしておる面があるわけで、漁業方面なんかになりますと、もう九月から以降はほとんど仕事ができない、漁港関係の仕事はもうほとんどできない。そんなようなことにもなりますし、それから冬季間のコンクリートの作業なんというのはこれはもちろんできませんから、従って春にこれをすると、こんなようなことになって、相当な部門が繰り越される予定のうちに入っております。もし政府の方でそれに対して繰り越しをしたものについて取り上げる、削減をする、こういうような方針になりますると、これは一月以降繰り越し許可を得るのに相当の私は無理が起きてくるだろうと思う。その結果私はいろいろな面でまた不祥事が起きてくると思います。そんな関係で、私はこの機会に相当考えていただかなければならぬ問題がたくさんあると思いますので、その点をお考え願いたいと思うわけであります。これに関連してそういうような情勢から、二十八年度、二十九年度の実行予算において削減をされておるのですから、本年もやはりその程度削減をされることになるじゃないですか。二十八年、二十九年は例の災害対策のために公共事業費で削減をしております。今年は災害が少いから、逆に今度は地方財政の建て直しのために削減をするという形になってしまった。一兆円のワクの中でもって措置をするんですから、おのずから新しい財源が必要になったときには削減をしてそうしてやっていく、こういうことがこれで三年続いておるわけです。そこで私は今までのやり方から見てあまり芳ばしい方法ではないと思いますけれども、今申し上げたような事情があるので、例年の削減の点もあるし、それから当初国の方で示された例の北海道には七%、それから全国的には一割とかというような公共事業費の削減の何か割合が出たようでありますが、私はああいう面はある程度積寒地帯その他についての考慮が払われておっての数字じゃなかったかと思います。そういうようなものは政党の話し合いの中でぶっこわれてしまって、そうしてその結果が現在のようなよりどころのないものになっておる。そういう点で私は総体で無理のないような方法を考えられるときに、今の事情を一つ十分にお考え願いたいと、こう思うわけです。
#22
○説明員(昌谷孝君) お話しの点、十分わかります。と申しますか、私どもも自体そういう事情を考えて処理の仕方について非常に苦慮をいたしておりますので、できます限りそのような御指摘のような事実上の工事に対する支障の起りませんように処置をいたしたいと考えております。
#23
○委員長(棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#24
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて下さい。
 連合審査会の件についてお諮りいたします。
 このほど政府より提出されました昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案は、本日地方行政委員会に付託いたされましたので、同委員会に対し連合審査の申し入れをいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。なお、開会の日時等につきましては、慣例通り委員長に御一任願いたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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