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1955/12/15 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 農林水産委員会 第7号
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1955/12/15 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第023回国会 農林水産委員会 第7号
昭和三十年十二月十五日(木曜日)
   午前十一時九分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十四日委員深川タマヱ君辞任に
つき、その補欠として青山正一君を議
長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     棚橋 小虎君
   理事
           青山 正一君
           重政 庸徳君
           鈴木 強平君
           江田 三郎君
           三浦 辰雄君
   委員
           秋山俊一郎君
           雨森 常夫君
           田中 啓一君
           東   隆君
           河合 義一君
           清澤 俊英君
           三橋八次郎君
           奥 むめお君
           森 八三一君
           千田  正君
  政府委員
   大蔵省理財局長 河野 通一君
   農林政務次官  大石 武一君
   農林大臣官房長 谷垣 專一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       安楽城敏男君
  説明員
   大蔵省印刷局業
   務部長     潮   洸君
   農林省農業改良
   局総務課長   庄野五一郎君
   農林省畜産局長 渡部 伍良君
   農林省畜産局競
   馬監督課長   黒河内 修君
   日本専売公社総
   裁       入間野武雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○農林水産政策に関する調査の件
 (昭和三十年度の地方財政に関する
 特別措置に関する件)
 (タバコ耕作による養蚕被害に関す
 る件)
 (ミツマタの需給確保に関する件)
○食糧管理の適正に関する請願(第九
 号)
○急傾斜地帯農業振興臨時措置法の期
 限延長に関する請願(第一〇号)
○山形県の干ばつ被害農家救済に関す
 る請願(第一一号)
○米の予約売渡制存続等に関する請願
 (第一二号)
○急傾斜地帯農業振興臨時措置法の期
 限延長に関する請願(第二二号)
 (第二八七号)
○さつまいも処理対策に関する請願
 (第二三号)(第八三号)
○米の配給量増加に関する請願(第三
 二号)(第二三六号)(第三〇九
 号)
○米の統制撤廃反対に関する請願(第
 三三号)(第一五七号)(第二三七
 号)
○北海道十勝川上流音更川のかんがい
 用水に関する請願(第四一号)
○北海道上士幌町等所在の国有林野払
 下げに関する請願(第四五号)
○北海道宮野漁港修築工事継続施行に
 関する請願(第四六号)
○北海道豊浜、乙部両漁港修築整備工
 事施行に関する請願(第四七号)
○北海道太田漁港拡張工事施行に関す
 る請願(第四八号)
○北海道落石漁港修築工事施行に関す
 る請願(第四九号)
○北海道熊石漁港しゆんせつ等に関す
 る請願(第五〇号)
○北海道久遠漁港修築工事施行に関す
 る請願(第五一号)
○北海道上浦漁港修築工事施行に関す
 る請願(第五二号)
○北海道本別町所在の国有林野払下げ
 に関する請願(第五三号)
○北海道勇足地区の造田施設に関する
 請願(第五四号)
○北海道熊石村黒岩地区かんがい事業
 施行に関する請願(第五五号)
○北海道長磯漁港修築工事施行に関す
 る請願(第五六号)
○北海道砂原漁港修築工事施行等に関
 する請願(第五七号)
○北海道居辺無水地域の農業開発促進
 に関する請願(第五八号)
○北海道根室未開発地域の農業開発促
 進等に関する請願(第五九号)
○北海道姫川上流に小川ダム築設の請
 願(第七二号)
○北海道士幌村新田地区開拓事業促進
 等に関する請願(第七四号)
○急傾斜地帯農業振興臨時措置法の一
 部改正に関する請願(第九〇号)
○農業改良普及員の強化等に関する請
 願(第九一号)
○北海道駒ケ岳山ろく火山灰地帯の農
 業確立に関する請願(第一〇六号)
○北海道知内村の土地改良事業促進等
 に関する請願(第一〇七号)
○北海道川汲漁港築設工事促進に関す
 る請願(第一〇八号)
○北海道尾札部漁港拡張工事促進に関
 する請願(第一〇九号)
○北海道福島漁港修築工事継続等に関
 する請願(第一一〇号)
○北海道石崎漁港修築工事施行等に関
 する請願(第一一一号)
○北海道涌元漁港完成促進等に関する
 請願(第一一二号)
○農業振興対策に関する請願(第一二
 七号)
○静岡県網代漁港修築整備工事施行に
 関する請願(第一三一号)
○漁業労務加配米増量等に関する請願
 (第一四〇号)
○北海道勇払原野開発等に関する請願
 (第一四一号)
○北海道稚内市の水害対策に関する請
 願(第一四六号)
○北海道中川村の水害対策に関する請
 願(第一四九号)
○鹿児島県笠之原地区畑地かんがい事
 業施行等に関する請願(第一五六
 号)
○台風常襲地帯特別措置法制定に関す
 る請願(第一五八号)
○米の予約売渡制存続に関する請願
 (第一六六)(第一八六号)
○北海道の土地改良事業に関する請願
 (第一七四号)
○北海道団体営土地改良事業の地区指
 定等に関する請願(第一七五号)
○北海道道営及び団体営土地改良事業
 に関する請願(第一七六号)
○北海道畑地かんがい事業費国庫補助
 増額に関する請願(第一七七号)
○北海道総合開発等の関連事業に関す
 る請願(第一七八号)
○北海道篠津地区等の総合開発関連事
 業予算に関する請願(第一七九号)
○北海道長万部町にてん菜製糖工場設
 置の請願(第一八九号)
○北海道美唄地区土地改良事業施行に
 関する請願(第一九九号)
○北海道浜頓別町内ポンニタチナイ開
 拓道路開さくに関する請願(第二〇
 五号)
○北海道頓別船入まの昇格に関する請
 願(第二一〇号)
○北海道雨竜、大鳳両川のこう水被害
 救済に関する請願(第二一二号)
○北海道東天北地区を高度集約酪農地
 域に指定するの請願(第二一三号)
○北海道岩見沢市隣接でい炭地帯の土
 地改良事業対策に関する請願(第二
 一四号)
○福岡地区以西底引網漁船船員の労働
 条件改善等に関する請願(第二二三
 号)
○蚕糸業振興法制定促進等に関する請
 願(第二三八号)
○北海道新湊漁港整備促進に関する請
 願(第二三九号)
○北海道伊達町にてん菜製糖工場設置
 等の請願(第二五五号)
○北海道猿払村のこう水被害農家救済
 に関する請願(第二五六号)
○北海道仙法志漁港修築工事促進等に
 関する請願(第二五七号)
○北海道音調津漁港修築一工事促進に
 関する請願(第二五八号)
○北海道広尾町を魚田開発地に指定す
 るの請願(第二五九号)
○北海道苫前漁港防災工事施行等に関
 する請願(第二六〇号)
○北海道美深町の水害復旧対策に関す
 る請願(第二六一号)
○自作農維持創設資金のわく拡大に関
 する請願(第二八六号)
○宮崎県の農林水産被害に対する復興
 資金の請願(第二八八号)
○台風常襲地帯における農林水産業に
 対する災害防除特別措置法制定促進
 に関する請願(第二八九号)
○特殊土じよう地帯災害防除及び振興
 臨時措置法の期限延長に関する請願
 (第二九〇号)
○農業共済金の早期概算払に関する請
 願(第二九一号)
○でん粉の政府買上げわく拡大等に関
 する請願(第二九二号)
○宮崎県内開拓地入植者に対する営農
 資金の特別わく拡大等の請願(第二
 九三号)
○ラミー価格の安定等に関する請願
 (第二九四号)
○宮崎県開拓地入植者住宅復旧費国庫
 補助増額に関する請願(第二九八
 号)
○米の配給量増加等に関する請願(第
 三一〇号)(第三四八号)
○新潟県東頸城郡内の耕地災害復旧工
 事施行に関する請願(第三一一号)
○新潟県東頸城郡内の治山砂防工事施
 行に関する請願(第三一二号)
○北海道幌延村開拓実施計画に関する
 請願(第三一六号)
○北海道遠別漁港築設促進等に関する
 請願(第三一七号)
○北海道天塩町の開拓事業等に関する
 請願(第三一八号)
○北海道羽幌町築別地区土地改良事業
 促進等に関する請願(第三一九号)
○北海道小平村川上地区に補水ダム設
 置等の請願(第三二〇号)
○北海道更別村集団湿地帯土地改良工
 事促進等に関する請願(第三二七
 号)
○北海道鬼鹿村港町、苫前町三渓間に
 開拓道路開さく等の請願(第三三三
 号)
○北海道のこう水被害農家救済に関す
 る請願(第三四〇号)
○肥料管理の合理化等に関する請願
 (第三四一号)
○農業災害補償制度確立に関する請願
 (第三四二号)
○畑作農業の経営安定対策に関する請
 願(第三四三号)
○北海道の風害未処理に伴う自家用材
 に関する請願(第三四四号)
○北海道の農業指導、試験及び研究機
 関の拡充強化に関する請願(第三四
 五号)
○食糧管理制度等に関する請願(第三
 四六号)
○北海道酪農安定対策に関する請願
 (第三四七号)
○米の予約売渡制存続に関する請願
 (第三四九号)
○農地改革による犠牲者救済の請願
 (第三五四号)
○新潟県林道大栃山線開設工事施行に
 関する請願(第三六四号)
○農林漁業金融公庫法の一部改正に関
 する請願(第三七四号)
○農地法の一部改正に関する請願(第
 三七五号)
○市町村公共事業用地買収に関する請
 願(第三七七号)
○日本中央競馬会の国庫納付金等の臨
 時特例に関する法律案(内閣送付、
 予備審査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから委員会を開会いたします。
 最初に理事の補欠互選の件についてお諮りいたします。先般青山委員が委員が辞任され、理事が欠員になっておりますので、その補欠互選を行いたいと存じます。互選の方法は、成規の手続を省略して、委員長において便宜指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(棚橋小虎君) 御異議ないと認めます。
 それでは私より青山正一君を理事に指名いたします。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(棚橋小虎君) 昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案の件を議題にいたします。
 この件について、江田委員から決議の動議が提出されておりますので、この際御発言を願うことにいたします。ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて下さい。
#6
○江田三郎君 この件につきましては、先般来の当委員会及び当委員会と地方行政委員会との連合審査の経過で御承知のように、農林大臣としてはこの地方財政の赤字補てんのための公共事業費の節減という問題については、これは一律の削減あるいは特定事業の削減ということはしないんだ、年度末にどうしても必然的に出てくるところの繰り越し分を充てるんだと、こういう意思表示をしたわけでありますが、しかしなお一方におきまして、大蔵省の見解をただしてみますというと、現在農林関係の公共事業費は一割の保留が出ておりまして、もし一律に削減しないということなら、これをすみやかに解除しなけりゃならぬ問題を、大蔵省は明快な答えをしていないのであります。そういうような経過もございますので、農林大臣としての言明を聞いただけではなお安心できないものがございますから、この際、次に読み上げますような決議をいたしたいと思うわけであります。
   昭和三十年度の地方財政に関する特別措置法案に関する決議(案)
  この件について、政府は次の事項を必ず実行すべきである。
 (一) 本年度公共事業費の留保分を速やかに解除し、これを当初の目的に従つて執行するこる。
 (二) 臨時地方財政特別交付金の財源を捻出するため、既定事業、特に公共事業の実施を不当に抑制しないこと。
 (三) 交付金の財源捻出のため未施行となつた事業については、来年度において速かに之を完遂することができるよう、予算的且つ資金的裏付に遺憾なからしめること。
 右決議する。
  昭和三十年十二月十五日
      参議院農林水産委員会
 本決議、秦に御賛成願いまして、ただちに、今地方財政に関する特別措置法案を審議中でありますところの地方行政委員会、及び大蔵大臣、農林大臣の方へ委員長の方から御提出を願いたいと思います。
#7
○委員長(棚橋小虎君) ただいまの江田委員の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(棚橋小虎君) それでは、御異議ないと認めます。ただいまの江田委員の動議による決議案は、全会一致をもって可決されました。後刻この決議に対し、農林大臣の御所見を伺いたいと思います。
  ―――――――――――――
#9
○委員長(棚橋小虎君) タバコ耕作による養蚕被害の件を議題にいたします。この問題につきましては、かねて委員会の問題になっておりまして、できるだけ早い機会に専売公社総裁の御出席を求めて、御所見を伺うことになっておりましたが、いろいろな都合で、今日まで延び延びになっておりましたところ、本日総裁の御出席を得られましたので、重ねて本委員会の問題とすることにいたしたいと思います。この問題について御質問の向きはこの際御質問をお願いいたします。
#10
○鈴木強平君 議題となっておりまするタバコ耕作が養蚕農家に及ぼした被害の問題について専売公社総裁にお尋ねしたいと思います。
 総裁は、二年有半にわたって専売公社の総裁として、事務の刷新、あるいはりっぱな議論をお立てになり、終戦後は三万町歩であったものを、今日七万五千町歩まで反別をふやして増産せられましたが、非常に事業的手腕の高い方であるので、今回のタバコ耕作が養蚕農家に被害を及ぼしたことについては、すでに特別の措置がなされたであろうと思っておりましたところが、今もってそれがなされておらない。しかも十一月十一日の本委員会においては、当時の白波瀬委員から生産部長に強く要望したけれども、その後何らのめどもあげてない。従って今日この問題についていろいろな観点からお尋ねしたいと思います。
 先日被害の場所である群馬県の勢多郡を視察いたしました。視察した結果によりますと、特にそこには行政監察庁の出先機関である群馬地方監察局長の石垣という方にあってみたり、研究した結果によりますと、たとえてみれば前橋地区の勝沢地区におきましては、その後被害を与えて多くのおかいこを殺したのみではございません。その桑の葉を食べたニワトリは何匹も斃死しておる、またその桑を捨ててはもったいないというので、牛に与えた場合においては、牛が下痢をしておる。
  〔委員長退席、理事重政庸徳君着席〕
 やむなくこれを堆肥の中に突っ込んでいる現場すら見ておるのであります。従ってこの被害はとうていわれわれが想像できないような大きな被害であったことは、この点から見てもわかるのであります。当時県の養蚕連合会及び県の蚕糸課、あるいは改良課、あるいは耕作団体の首脳者が一しょになって、そうした被害地を歩きました。ある農協の村におきましては、たとえば新里村におきましては、たびたび起るものですから、事前に桑畠の交換調整をいたしまして、多少の被害は免れたが、調整ができないところでは非常に被害を受けておる。それから被害額というものは現に耕作しておるものと全然タバコ耕作しておらないものとの比率は耕作しないものが七割も被害を受けておる、耕作しておるものの側は三割である。従ってこの問題は大きな社会問題であろうと思っております。こういう点についてあなたの方にもいろいろ出先機関の方から、地方局からいろいろ調査の報告が行っていると思いますが、どれくらいの被害になっておりますか。その点について現在いかなる処置をとっておられますか、御質問申し上げます。
#11
○説明員(入間野武雄君) ただいま鈴木委員からのお尋ねに対しましてお答えいたします。御承知の通り葉タバコ専売を始めましてから六十年近くなっております。その間に養蚕家とタバコ耕作者との間に問題のあったこともしばしばあったように聞き及んでおります。いずれも両者間の現地における解決によって円満に進んでおるような状態であります。ことに最近に至りましては、両者の間に事前に調整してそういう害のないように心がけていっておる地方が多いのでありますが、ただいまお話の群馬県におきましては、多年あの地区にタバコを入れろという御要望がありましたので、公社といたしましても養蚕地のことでもあり、ちゅうちょいたしていたのでありますが、現地の御要望が強かったために、本年初めて新産地を開拓いたしたような次第でございます。その新産地においてかくのごとき問題を起しましたことについて、ことにかくのごとき問題を起し、議員の皆様方の御尊慮をわずらわしましたことにつきましては、まことに恐縮に存じておるところであり、また被害を受けられた養蚕家の方々に対しましてもお気の毒に考えておるところであります。ただ、ただいまの制度上におきましては、公社自体が補償するということは認められておりませんために、私ども非常に苦慮いたしたのでありますが、やはりこれは現地において養蚕家とタバコ耕作者とよく御相談を願って、さらにまた県庁あたりに仲介していただきまして、できるだけ現地で解決していただきたいと考えまして、ただいま目下その方向に努力いたしておるような次第でございます。
#12
○鈴木強平君 たばこ専売法によると、もちろんこれはもうわかっておりますが、たばこの一切の販売の権利、その仕事は全部国に専属しており、公社がかわって実施しておるにすぎないのである。国が国民に迷惑を与えてながら、損害の費目がない、損害があっても出し得られないということはおかしなことであると思う。現に耕作者が災害にあった場合には相当の補償をやることを建前にしておるし、そのほか多額の融資をしておって、それに対します利子の補給まで予算にとってある。毎年少くともタバコの災害に対しては一億を要求しておる。ところが実際には三億二、三千万円を現に毎年支払っておる。費目より、二、三倍は出しておる。しかもタバコの許可を与える場合におきましては、許可をとったものは公社の定める方法により耕作し収穫しなければならないと、第十三条に明らかなように、耕作者は百パーセント公社の制約のもとにやっておるのであります。これは明らかであると思います。しかも許可の条件の中には、第九条の中に、タバコの耕作上必要な経営的及び技術的能力を有しないものには許可をしないと明らかにうたっておる。そのようなめどのもとに許可を与えておきながら、零細なるタバコ耕作者自身がさような被害に対しまする損害の対象であるということは、これは納得できないのです。この点についての御解釈を承わりたいと思います。
  〔理事承政府徳君退席、委員長着席〕
#13
○説明員(入間野武雄君) ただいまのお尋ねに対しましてお答え申し上げます。御指摘の通り、タバコ耕作者は大体全国四十五万人の耕作者が七万五千町歩を耕やしておりますので、一人当りの反別が一反六畝ぐらいの平均に相なっております。その資力が十分でないことは私どもも了承いたしておりますが、両者の間で話し合いがつきますならば、融資その他につきましては全力をあげてあっせんいたしまして、また耕作団体の微弱になってきたものに対しましては、ことにこういう問題の産地ではいろいろ頼むことも多いので、長い目でこれを救済していくという方向に進んでいきたいと考えております。
#14
○鈴木強平君 そういたしますと、先ほどのお言葉と違って、さような損害が出た場合には公社は損害を補てんしてあげると、その方法にはいろいろあるが、現地解決の方法で損害を補償するという意思には変りはございませんですね。
#15
○説明員(入間野武雄君) 現地で養蚕団体と耕作団体との話し合いをつけまして、いずれ相当金額が出てくると思いますが、それを耕作団体が借入金によってまかなうよりほかには道がありませんので、その借入金をするに当りましては、公社としましては十分このあっせんに努力いたしたい。さらに耕作団体が借入金をしょったために微弱になりまして、公社の指示する仕事もできないようでは困りますから、ことにまた新産地のことでもあり、その耕作団体に対しましては何とかめんどうをみてやっていきたいと、こう考えております。
#16
○鈴木強平君 今度の事件の損害額は、養蚕連合会からの調査によると二千二百万円、県の調査によると二千七十万円、二千万円からの額が出ておるのですが、さような額が地方の小さな府県のタバコ耕作団体が果してできるかどうか、これは非常に心配するものでございます。その点はいかがでしょうか。
#17
○説明員(入間野武雄君) お説の通り二千万円という巨大な額につきましては、耕作団体として非常に困ることであると思います。その額につきましては両者の間に相当お話し合いを願いまして、適当な線でおきめ願う、こう考えております。
#18
○鈴木強平君 私先ほどからいろいろ言っておるのですが、国にかわって公社がこういう専売事業をやっておる。そうしてこのような耕作者が災害にあった場合には、少くとも災害の五割以上をめんどうをみる。しかるに自分らが全国に千七百の指導員をかかえており、特に今度の問題のときには四十町に一人というにかかわらず、六十五町に三人の指導員、しかもそのほかに三人の補助指導員すら出しており、そういうような関係においてこれを現地解決を融資でしてしまって、あとの融資の後始末はどうするか、相当問題があると思います。ですから私はできるなら、かような団体に対しては公社自体が今までに過去に例がないということは、遠慮なく言わしむれば、タバコの耕作権の権利が毎年更新する、しかもむずかしい規定があるので、また来年とられてはたまらないということで隣近所におじぎしてしまってかんべんしてもらう。今、民主主義の世の中にお互いに民事契約をしても、一方的な契約であれば裁判所では負けてしまう。そういうような弱い零細な耕作者が被害の対象になって払うというのは払われないと思うのですが、この問題は金額も大きいし、しかも相当社会に対する非常な刺激を与えておる問題でありますから、私は公社自体が県を間に入れるなりして、耕作者や養蚕団体の損害の率を出して、そこで解決すべきだと思うのです。あくまでもう現地解決して地方に委譲することはどうかと思うのですが、公社自体においておやりになるお考えはございませんか。
#19
○説明員(入間野武雄君) 法制の建前からいたしまして、公社がやるべきものであれば進んでやりたいと考えておりますが、ただいまの建前からしますと、公社が表に出てこれを処理するということは至難でありますから、ただいま申し上げましたように、便法を考えまして、両者の妥結によってやっていく、そうして公社といたしましては非常に困った組合に対しましては、これを長い目で援助していく、こういう方向で進めたい、これで御了承願います。
#20
○鈴木強平君 公社の建前では損害は払われないというのは非常におかしいのですが、どういう建前で払われないのですか。
#21
○説明員(入間野武雄君) これは御議論にわたるようなことがあるといかぬと思いまして、差し控えておりましたが、第一次の耕作は耕作者がやっておる。従いましてこれが当面の責任者でありまして、その陰に公社が隠れておりますものですから、直接に損害賠償をするという形はできないように制度上なっておりますので、過去六十年の経験に徴しましてもそういうふうに進めておりますので、その解決方法によってやって参りたい、こう考えております。
#22
○鈴木強平君 ただいまのお答えは陰におるということはおかしい。先ほど来私もいろいろあなたの方のやっておるたばこ専売法にのっとって御質問申し上げておるのですが、陰でなく、表面からはっきりしておるのでありますから、遠慮なくあなたの方は国会に向って新しい予算支出の費目を上げて、今年度にこれだけの災害があれば来年度にこれを払うという費目をお作りになってはいかがですか。
#23
○説明員(入間野武雄君) ただいまの御質問を突然に受けまして、私もどうしていいか思案がまだできておりません。御趣旨のあるところを考えまして、よく検討して十分考えていきたいと思います。
#24
○鈴木強平君 委員長にお尋ねしますが、公社総裁は現地において融資をしてめんどうをみておられるが、どのようにやるのか、委員長から一つ各委員を代表してお尋ねになっていただきたいと思います。
#25
○委員長(棚橋小虎君) この問題につきましては、本日の委員会の経過にかんがみまして、すみやかに農林省及び専売公社の間において十分連携して、応急的及び恒久的な対策を確立されたい。その結果できるだけ早い機会に当委員会に御報告されますようにお願いしたいと思います。
#26
○説明員(入間野武雄君) ただいまの御希望を承わりまして、そういうふうにいたしたいと思います。
#27
○江田三郎君 どうも総裁、――あなたのような御年配の人をここに引っぱり出しまして恐縮に存ずるのでありますが、大体せんだってやったときに、あなたの方の生産部長さんかだれか見えまして、私はあの人の答弁を聞いておりまして非常に憤慨にたえなかった。何か非常に専売公社という独占事業といいますか、また特殊な事業の性格から、あなた方公社の方々の考えというものはお互いの常識とかけ離れたような考えがしたのでありますが、それはひとり私だけでなくて、委員の各位がその答弁を聞いていて、なんだいという憤激の声を上げられたわけです。私は、その六十年来の経験ということをおっしゃいますが、その六十年来の経験というものは必ずしもいい経験だけでなしに、専売事業という特殊の事業から少し片寄った経験ばかりされたのじゃないか、そういう点はやはり業務の面において刷新すべきものがあるのじゃないかということを痛切に感じまして、そこで老総裁をわざわざここへ御出席をわずらわすようなことになりましたが、一つそういう事業の面について今後十分お考え願いたいと思うのです。今の御答弁を聞いておりまして、今の制度の上からいろいろ御苦心された御答弁のようでして、当面の責任者が耕作者であるからして、それに損害賠償をさせるのだ、しかしそれについては融資をするのだし、またそのために現在でも平均反別の少いタバコ耕作者が弱体に陥るようなことがあったら、あとあとまでめんどうを見るというきわめて含みの多い御苦労された答弁を承わりまして、そういう気持を最初から現場の諸君にまで持たしていただけたならば、私はわざわざあなたにここに出てきていただくようなことはなかったろうと思うのです。今委員長もおっしゃいましたが、一つこれからどうするかということについては、十分お考え願って、私ども考えましても、今の制度でいけばあなたの御答弁以外にないかもしれませんけれども、ちょっとおかしいと思うのです。公社というものがどういうような耕作をするかということを一々指導されて、ちゃんと現場に指導員もおって指導されるし、また法律によっても、公社の法律以外の耕作をしてはならぬということをきめておって、それによって出た損害というものを公社の方は直接は関係ないのだという今の制度は、これは常識的にちょっとおかしいと思うのでして、その点はせっかくこういうことを、災いを福に転ずるという意味におきまして、一つ思い切った合理的な制度にすみやかに切りかえていただきたいということを希望しておきます。
#28
○説明員(入間野武雄君) ただいまの御希望に対して、私の考えておりますことをちょっと簡単に申し上げたいと思います。
 御承知の通り専売事業は、お話もありましたが、独占事業であります。私一昨年総裁を拝命いたしまして、とにかく独占事業というものはとかく安易になり、その上にあぐらをかいていたがるような風がある、これはどうしても直さなくちゃいかぬ、四万従業員諸君は日に日に新たなる心をもって研さんこれ努め、そういうことのないように、民間事業におくれないように進んでいく、そうして一面におきましては、歳入を上げて一般会計並びに地方消費税に貢献し、他面におきましては、できるだけよいたばこを安く売るという方向に進んでいかなければならぬと思っておりますが、ただいま御指摘になりましたように、私の力が及びませんで、まことに相済まぬことであると考えますが、御趣旨を体しまして、よく四万従業員を督励いたしまして、専売事業の健全な発展に寄与していきたいと、こう考えております。
  ―――――――――――――
#29
○委員長(棚橋小虎君) 請願を議題にいたします。
 本国会中今日までに当委員会に付託されました請願は、公報で御承知の通り百八件であります。先例によりただいまから懇談によって、順次調査員から調査の結果を報告して、御審議の土取扱い方を御決定願います。
 それでは速記をとめて懇談に移ります。
   午前十一時三十八分懇談会に移る
   ――――・――――
   午後零時四分懇談会を終る
#30
○委員長(棚橋小虎君) これにて懇談会を閉じます。暫時休憩いたします。
   午後零時五分休憩
   ――――・――――
   午後二時八分開会
#31
○委員長(棚橋小虎君) ただいまから委員会を開会いたします。
 懇談中に御協議を願いました請願第九号ほか百件は、議院の会議に付するを要するものとして内閣に送付を要するものと決定して御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○委員長(棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。
 なお報告書については、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  ―――――――――――――
#34
○要員長(棚橋小虎君) ミツマタ需要確保の件を議題にいたします。
 かねて当委員会の問題になっておりましたこの件について、重ねて江田委員から質問の御要求がありますから、この際御発言を願います。ただいま政府からの出席は、印刷局業務部長潮洸君、印刷局みつまた課長須川博君、農林省改良局総務課長庄野五一郎君であります。
#35
○江田三郎君 この問題につきましては、肝心の大蔵省の方が来られぬと、ちょっと御質問するのに困るのですが、まず大蔵省が来られるまでに印刷局の方にお尋ねしますが、その後の経過がどうなっているかということであります。これは当委員会におきましては、前二回の委員会で委員各位からいずれも、百円紙幣を硬貨に切りかえるということは、ミツマタにとって重大な影響を及ぼす、特にミツマタというものが山間僻地のこれ以外に代作のきかない産業であるという点、それから今まで長い間政府の方が補助金まで出して奨励をしたという点、しかもこれが植えてすぐに収益が上るのでなしに、ことしも補助金が出ているわけですが、ことし植えたミツマタというものが数年後でなければ収穫ができない、そういう点から考えて、百円紙幣を硬貨に切りかえるということは承服しがたいという各委員からいろいろ御意見が出たわけでして、その後政府の方でも、そのときの意見を十分御考慮されて対策を立てられておると思いますが、その後の経過というものはどういうようになっているかをお伺いします。
#36
○説明員(潮洸君) 百円銀行券を硬貨にする問題でありますが、その後の経過がどういうふうになっているかというお話でございますが、実は私ども印刷局といたしましては、百円札を硬貨にするかどうか、この問題につきましては、この問題を企画する立場に実はございませんので、私どもの方ではこの問題をどういうふうに扱うかということにつきまして、特別にその後の動きは承知いたしておりません。御了承願います。
#37
○江田三郎君 そこで早く大蔵省を呼んできてもらわんと、どうも格好がつかないのですが、一つ改良局の方へお尋ねしておきますが、改良局の方でも前二回の当委員会の質疑応答の経過というものは十分御承知になっていると思うのでして、改良局は当委員会の各委員の意見に基いてどういう措置を今日までとってこられたか、その点をお答え願いたいと思います。
#38
○説明員(庄野五一郎君) ミツマタの問題につきましては、当委員会においても再々御審議願ったわけでございまして、この問題が起りましてから、前に御説明申し上げたと存じますが、大蔵省の方に対しましては、このミツマタの需要というものにつきまして、従来通り百円札に使っていただきたい、なお百円札の質の問題につきましても、混入率を上げていただくようにお願いしたい、まあそういうことを強くお願いたしておるわけであります。この点につきましては、印刷局の方においても非常に御努力になっていると存じます。御承知のように、ミツマタは山間の急傾斜地帯の永年性作物でありまして、こういう傾斜地帯には、ほかの作物を植えるということは考えられないわけでありまして、ただミツマタが唯一のその地帯の換金作物であります。絶対に転換は困難でありまして、われわれといたしましては、一そうこの紙幣等の安定した需要というものをお願いしたい、こういうことでお願いいたしております。なお、その後生産地の皆さん方に集まっていただきまして、こういう点の問題、あるいは出荷の問題、今後の問題等、生産者それから大蔵省の関係、あるいは紙原料といたしまして、なお需要のさらに紙幣外にも及びますように通産省の担当課も来てもらって、研究なりあるいはそういう面の要望なりいたしておる次第でございます。
#39
○委員長(棚橋小虎君) ただいま大蔵省理財局長河野通一君が出席されました。
#40
○江田三郎君 肝心の大蔵省が見えましたから、お聞きしますが、大体前二回当委員会で問題になりましたからして、当委員会の各委員が何を考えているかということは十分御了承になっていると思う。先般衆議院の農林水産委員会においても、特に本問題について決議もできたようでございますから、問題の所在は大蔵省の方でも十分御了承になっておるわけでして、そういう今までの当委員会における委員各位の発言なり、あるいは衆議院の決議等に対しまして、あなた方ではどういうような対策をお立てになりましたか、その後大蔵省の方針がどういうことになっているかという経過をお聞かせ願いたい。
#41
○政府委員(河野通一君) 百円の硬貨を製造するかどうかの問題が今お話しのミツマタの問題と密接に関係すると思うのでありますが、その問題につきましては、大蔵省といたしましては、まだ最終的結論に到達いたしておりません。現在鋭意検討を加えておるところでありますが、大体問題になりまする検討の要点等につきましては、当委員会でございましたか、ちょっと私はっきり記憶いたしませんが、いろいろの見地からおのずから問題となる点についてはいろいろ申し上げた記憶がたしかあるのであります。その幾つかの問題のうちで、やはりミツマタの銀行券製造との関係についてどういう影響があるかということも重要な一つのポイントとして私ども検討いたしております。現在のところでは、そういうわけで、百円の硬貨を発行するかどうかにつきまして、最終的な結論に到達いたしておりませんので、これは発行しないとしたらどうなるか、あるいは発行したらどうなるかといったような点につきましては、まだ十分ここで御説明をする段階に参っておらぬと、こういうわけでございます。
 それから第二の問題といたしましては、百円の硬貨を出すか出さんかは別問題として、従来からかりに百円の硬貨を出さないといたしました場合においても、ミツマタの需要が当初考えられておったものよりも減ってきているではないかというような御意見があるようであります。これは百円の硬貨を出す出さぬにかかわらず、そういう問題が一方にあるやに私は聞いておるのですが、この点はもっぱら私どもといたしましては、現場の責任当局である印刷局の方にこれらの問題に対する処理を一任いたしております。こういうわけでありまして、現在印刷局におきまして、この問題についての処理についてはいろいろ御関係の向き等とも御相談を申し上げているはずであります。私は現在いろいろ経過については聞いてはおりますけれども、現在の段階ではそういった問題については、これは印刷局において処理されることを期待いたしておる次第でございます。
 そのほか先般来印刷紙幣、あれは銀行券の印刷用のミツマタの需要量がかりに減った場合に、何らか他の面においてミツマタの需要を起すといいますか、需要を多くしていくというような措置について政府として考えるようにという御要望が別途出ております。このことにつきましては、私どもの所管をいたしておりまする仕事の範囲内においてできますことがあれば、これはできるだけそういった御要望に沿うべく具体的に検討はいたして参りたいと思っておりますが、何分にも大蔵省の所管いたしておりまする仕事の範囲というものは、いまの紙幣の印刷ということを除きましては、あまりこういった問題に対する需要喚起の具体的な道というものはあまりないわけでございまして、これらはやはり私どもが農林省当局、その他そういった仕事を担当されておられる所管の向きにおいて十分にお考えを願うことが何よりであろうと思います。なお私どもとして側面的にお手伝いができることはできるだけいたしたいと思いますが、やはりまだ何よりも農林省御当局あたりで十分にこの点については考えていただきたい、かように考えている次第でございます。なおこの御質問の点にお答えになったかどうか私よくわかりませんが、なお足りませんところがございましたら、御質問に応じてお答えを申し上げたいと思います。
#42
○江田三郎君 この問題を当委員会で最初に取り上げましたのは九月の初めです。そのときはまだきまっていないということでしたが、しかしそのきまっていないという間にいろいろな情報が乱れ飛んで、そのために現地ではこれが一つの投機材料といいますか、何といいますか、ミツマタ価格に非常な影響を与えた、私たちとしては、これはすみやかにそういうことについては政府の方針をはっきりしてもらわなければならぬ、こういうことも要望しておったわけで、ところが九月からすでにだいぶなりますが、その間にもあるいはあなた方の方では来年度の予算の案の大蔵省の案ですか、その中には百円硬貨鋳造ということを入れての予算案の案を立てられておるというようなことも伝わってきまして、生産農民としましては、やはり非常な不安に落し込まれているわけですが、一体今まできまらなかったということはどこに原因があるのですか。そして一体いつまでにこれはおきめになることなんですか。どうなんですか。
#43
○政府委員(河野通一君) この問題は、私どもはなるべくすみやかにきめたいと存じます。しかし今お話もありましたように、各般のこれらの問題については解決を要する問題がたくさんあるので、そういうことを十分に一つ一つ処理の方針なり、あるいはめどなりをつけた上で、最終結論にもっていくことにいかなければならないと思っております。今江田先生から御指摘がありました、私どもの来年度の予算の中に百円硬貨を製造するということを前提にした予算が組まれておるというお話がありましたが、そういう事実はございません。今私どもが予算の案として内部で立てておりますのは、二つ立てております。百円の硬貨を製造する場合における予算の形と、百円の硬貨を製造しない、出さない場合における予算の形と、二つの予算の案を検討させております。そのことは事実でありますが、一つにまとめてすでに予算案が出ているということは、事実そういうことはありません。今後検討をさらに加えた上でできるだけすみやかに結論を出したい。少くとも来年度の予算が正式に予算案として政府の決定に至りますまでには、いずれにいたしましてもどちらかにきめなければならない。(「それは来年のことだよ」と呼ぶ者あり)そういう段階でございますから、あとそういつまでも不安定な状態が長く続くということはないというように、なるべく早くいたします。
#44
○江田三郎君 政府の予算案がきまるまでにはきまるということは、これはあなたに教えていただかなくてもそれくらいのことはわかりますが、それは私は答えにならぬと思う。とにかく大蔵省としての省議というものは、それより前に一応おきめになるだろうと思う。それは一体いつごろおきめになるのか。しかも当委員会において、これは産地に関係のある議員だけが言うのではなしに、この場合の経過をごらんになりましても、産地に関係あるなしにかかわらず、超党派的にこの問題は百円硬貨の鋳造ということについては、これは軽々にやってもらっては困るという、こういう意見が出ておる。衆議院でも同じことだろうと思いますが、そこまで関係委員会の方で要望している点を、大蔵省の方ではこれをすなおにお聞き下さるわけにいかないのかどうか。
 もっとも私たちの方は農林水産委員会の性格上、農民に与える影響という角度から問題にしておるわけですが、別途貨幣政策という問題はございましょう。それは私ども担当の委員会でございませんから、あえてそのことについてはかれこれ申しませんが、しかし貨幣政策としてもですね、なぜ現在の百円紙幣というものを硬貨に改めなければならぬかということは、私どもには納得できないわけであります。何か硬貨を作ることによって通貨の安定が得られるのだ、安心感があるのだということをこの前もおっしゃいましたけれども、しかし現在のようにたとえば五百円紙幣にしたところで千円紙幣にしたところで、すぐ兌換される紙幣ではない。こういうときに補助貨幣というものを硬貨にしなければ通貨の信頼感が得られないということは、私は少し以前の金貨があり銀貨があった昔の貨幣理論が、そのまま出てきておるのではないかという気もしてきておるんですけれども、これは私どもが直接関与すべき問題ではございませんから、まあそれはそれとしてその程度にいたしますけれども、とにかく今のあなたのお答えの中にも、百円硬貨を作る場合と作らない場合と両建になっておるということが、これがまあ非常に不安を来たしておるわけです。
 そこで私は一つもう一歩突っ込んで聞きますが、一体口円硬貨を作る場合には、今後年々の百円硬貨の鋳造量、それから紙幣の発行高、そういうものについてきちんとした長期の計画というものがあるわけですか。これはもうできておりますか。
#45
○政府委員(河野通一君) 百円硬貨を出すべきかどうかを結論を得るために、必要の限度においてはこれは準備できつつあります。しかしこれはまだ出す出さぬが確定いたしておりませんので、確定をかりに百円硬貨の発行をするという結論が出ました場合には、それをどういうふうな長期の計画によってこれを行なっていくか、それに加わるべき印刷局なら印刷局自体の銀行券の発行計画というものと製造計画というものを、どういうふうにしてきめていくかということが当然にそこに出てくるわけです。その場合におけるもろもろの障害と申しましょうか、悪い影響はこれはできるだけあらゆる努力をして緩和するなり、あるいはこれを排除することができれば一番いいのでありますが、かりにその悪い影響を排除できないといたしましても、その影響をできるだけ最小限度にするという意味において、緩和をしていくという措置はあわせて当然講じなければならぬと思っております。そういった点につきましては、その結論が出た上で、私どもはそういったものについての検討を具体的にやって参りたいと思います。ただわれわれが百円硬貨の製造を開始すべきかどうかをいろいろ結論を得るために必要な程度については、大体のばく然とした作業計画、将来に対する影響というものとかは一応は作ったものがございますけれども、これはまだ今申し上げましたように、まだ政府としての最終の結論は出ておらぬのでございますから、まだその意味において正確を期しがたい、つまりここで御披露を申し上げるほどりっぱなものとしての計画はできておらない、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
#46
○江田三郎君 理財局というところは、まあ私は一番緻密な計算をされるところだと思っているのですが、一体この予算の大蔵省原案の中に――原案というか正確な言葉は知りませんよ、あなたの方で作っておられる案の中に、すでに百円硬貨を鋳造する場合と、しない場合との二本建の計算ができておるということなら、この百円硬貨を鋳造する場合にはどういう年次計画で行い、そうしてミツマタの買上量はどうなる、あるいは造幣局なり印刷局の方ではどういうふうな人員配置になるかというようなことは、ちゃんと計算ができていると思うのです。それなくしてこの予算の案というものが、数字が出てくるはずがないわけでして、そういう点がまだ発表するほどりっぱなものができていないと言われながら、片方では予算については二本建で数字を出しているというような、ちょっと理財局さんの言葉とは思えませんね。これはどうです。
#47
○政府委員(河野通一君) これは先ほど申し上げましたように、予算の内容をどういうふうに組むかということは、実体がきまればこれは割合簡単なんです。予算を組むことは、それは技術的に参考書を作ったりいろいろいたしますために時間は要しますけれども、その起草的には簡単なことなんです、この問題は。私ども予算は実は両方の場合を考えて一応案は立てさしておりますけれども、これらを今申し上げましたように非常に正確な数字に基いてそのきちんとしたものが背後にまだできておらぬのです。これは当然私どもはその結論が出ました場合においては、正確な長い長期にわたっての計画をちゃんとつけて、その中の第一カ年としての来年度というものをどういうふうに予算上に表現するか、表わすかということは当然きめなければならぬ、その点は精密なる作業をいたすつもりでございます。現在まだそういった精密な作業を前提としたような精密な作業を必要とするようなまだ結論が出ておらぬのでありますから、皆さんにお示しするまでのものはない、こういうことでございます。
#48
○江田三郎君 できていないと言えば、それ以上言ってみたって仕方がないということになりますが、そこらにどうもみんながこの問題について不安を感ぜざるを得ぬところがあると思う。まあそんなことを言うけれども、今はとにかく国会があるから、うかつにやるとうるさいから、国会が休会になったら、そのときにやればいいというようなことを考えているのじゃないか、こういうあるいはひがみかもしれませんけれども、感じを持っているのです。われわれも申しますし、また関係の農民諸君としては、一そうそういう観念を深くするのではないかと思うのですが、一体あなた方の方、では、かりに百円硬貨を鋳造する場合に、まあいろいろ問題点がありますが、その問題点の中に百円硬貨鋳造によってミツマタの買上量が減るということもやむを得ぬと、こうお考えになっておりますかどうか。その点だけはどういうことになろうと、ミツマタの買上量については、これはふやすことはあっても減ることはないというお考えに立って問題を処理されていくのかということが一つと、もう一つは、硬貨鋳造に伴って印刷局の人員というもの、これは人員整理があってもやむを得ぬとお考えになっているのですか、それとも人員整理は行なってはならぬという建前で問題を処理されようとするのか、そういう問題の処理に当っての基本的な考え方はどうですか。
#49
○政府委員(河野通一君) 先ほど申し上げましたように、百円硬貨を出した場合にどういう影響があるかということは、今の人員整理の問題、あるいはミツマタの需要量の問題等とも関連していろいろ検討いたしております。私は当委員会でたしか数カ月前に申し上げたと思うのでありますが、現在私どもの手元で計算をいたしました限りにおいては、日本銀行券の未発行準備を現在の状況よりも相当程度充実をしなければならぬということを前提にいたしまして――と申しますのは、現在日本銀行券の未発行準備は、発行高一〇〇に対して未発行準備は六〇程度しかないわけであります。これは戦前におきましては――戦前と申しますか、普通の正常な年におきましては、大体発行高一〇〇に対して未発行準備は大体二五〇から三〇〇というふうな数字を示しております。ここらの数字にできるだけ近寄せてゆく、未発行準備の充実をはかってゆくということを前提にして考えますならば、ここ十年や十五年間少くとも百円硬貨を発行することによってミツマタの所要量が減るということはないというふうな計算を一応私ども持っておりますが、この点はもう少し最終の結論が出た上で、さらに精密なる計算をいたす必要があるかと思いますが、現在まで私どもの見込みましたところでは、以上のようなことが言えると思います。
 それから印刷局の人員の問題でありますが、この点をよ、言われておりますように、百円の硬貨を出されると四千人、印刷局で現在七千人のうち四千人の整理を要するといったようなことが言われておるやに聞いておるのでありますが、いかに百円硬貨を出しましても、今後長い計画から考えますと、そういった極端な人員整理をするような事態が起るとは考えません。しかしながら若干の人員整理を、要するというようなことになるかとも思いますが、これらの点につきましては、正確に計算できておりませんが、できるだけ、かりに百円硬貨を出すことによってそういう影響が現われるといたしましても、その影響はできるだけ最小限度に食いとめる、その影響度をできるだけ緩和し、もし許されるならば、その影響が排除できるところまでも考えて参りたいと思うのでございますが、現在まだこの点につきましては、少くとも四千人の整理を要するといったようなそんな極端なことは、いずれにしてもないということだけは、はっきり申し上げられますが、影響が全然ないということは、今の場合私の方ではちょっと申しかねると思います。しかしながらできるだけ影響を最小限度にする、あるいは影響をゼロにするということができればなおけっこうだという意味において、十分これらの問題についての配慮は、今後かりに百円硬貨を出すという場合におきましては、十分に考慮していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
#50
○江田三郎君 硬貨に伴ってミツマタの買上量が減ることはないのだ、十五年や二十年は影響はないのだということは私らも聞きましたが、どうも私どもはそれが具体的な問題になってこないと、そこに安心できぬわけですが、われわれの素朴な頭でいきますというと、百円、硬貨というものができてきて、百円札というものがなくなるのに何ぼ準備率を高める、混入率をどうとか言われても、そんな買上量に影響がないというような素朴な頭では計算は立たぬわけです。どうもそこらマジックに引っかかっているのじゃないかという気がしますが、しかしそれはあなたの方で影響がないと言われればよろしいが、いまの人員整理の問題についても、もちろん四千人がすぐ整理されるというようなことは、これはあり得ないことで、そんなことはどこかで言うておるかもわからぬが、そんなばかなことを、国家企業の中において一ぺんに四千人の首を切る、そんなことをやったら大へんなことですが、ただあなたのお言葉の中で若干のという言葉がありましたが、ゼロにはしないと思うけれども、若干の人員整理はあるいはやむを得ないかもしれないというお言葉がありましたが、その若干というのはどういうことですか。この若干という言葉は、勤労者の生活を非常に大きく見ていく立場からみていくと、若干というのはほんの数人であろうとあるいは十数人であろうと、それは非常に重く見ていかなければならない立場もありますし、またあなたの方のような一兆円のことばかり、大きなことばかり考えている向きから言うと、何百人くらいは大したことはないのだというお考えもあるだろうと思いますが、若干とはそもそもどの程度のことを言うのですか。
#51
○政府委員(河野通一君) たびたび申し上げておりますように、まだこの点については、百円硬貨を出すということも最終結論を出しておらないのでありますから、印刷局当局ともこの問題についてまだ十分相談をいたしておりません。印刷局とも相談をして、もしそういうことが最終的に百円の硬貨を発行するということになるといたしますれば、その影響というようなものを具体的に計算を出して参る、しかしその計算は、まだ印刷局の方に相談しておらぬ。私どもはそれはどうしてかというと、まだ発行をするときめておらないのでありますから、これからそういう問題を並行して検討しようということですから、そういう意味におきまして、大体私どもはそう大きな影響はないとは思います、という程度のことを本日としては申し上げるより仕方がない。ただこの問題を正式に政府の方針としていずれかにきまりました場合には、この点についての影響はどういうふうになるかということは具体的に御説明申し上げなければならないと、かように考えますが、現在のところはまだ精密なそういった計算については、今日も印刷局の方から人が来ておりますけれども、相談はいたしておりません。こういう段階でございますので、御了承をいただきたいと思います。
#52
○江田三郎君 もう一つちょっとくどいようですが、あなたは具体的なものはきまっていないと言うのですから、それはそう言われればそうでしょうと言うておるのです。しかし具体的なものはきまっていないが、今後問題を処理するに当っての基本的な考えはどうかと伺っているのです。基本的な考え方として、このミツマタの需要には影響を来たさないということを思っておられると同時に、人員整理についても積極的な人員整理を要しないと、そういう建前で問題を検討していかれるのかどうか、あなた方の基本的な心がまえは一体どうかと聞いておるのですから、それには私はお答えはできると思うのです。
 それからもう一つ。ついでですが、印刷局の方にお聞きしておきますが、先ほどの局長さんのお答えは、この百円硬貨ということにかかわらず、現在ミツマタの政府買上量が減っていくんじゃないかという問題については、それはその対策というものは印刷局の方にまかしておるということでありましたが、そういうことについては今どういうような対策をお立てになっているか、あるいは現在の発行過程においてもこの混入率を高める等の措置を考えておるかどうか、局長さんと印刷局の両方から伺います。
#53
○政府委員(河野通一君) この点は私の方もお答えが、実はくどく重ねて同じことを申し上げざるを得ないのでありますが、若干の影響が起るかもしれないが、できればその影響がないように努めていきたい、こういう気持でこの問題を考えていきたいと考えます。
#54
○説明員(潮洸君) 百円札のミツマタ混入比率を高める問題でございますが、御承知と思いますが、百円札に対しましては、昭和二十八年でございますか、ミツマタの需給事情が非常に逼迫いたしまして、必要なミツマタの墨を確保することが困難になりました。で、そのために百円札の用紙にマニラ麻を混入することにいたしまして、今日まで参っておるわけであります。で、最近ではミツマタの需給事情も変って参りましたし、また百円札が非常に耐用年数も短い、紙質がよくないというようなこともございますので、印刷局におきましては、ことしの春以来百円札の用紙の紙質を改良するという問題を取り上げまして、小田原工場におきまして研究をいたしまして、試験漉きを十数回いたしました。その結果ミツマタの混入比率を三割にいたしまして、これに応じて技術的にいろいろ改善も加えることになりまして、非常に強度の強い用紙ができるということがわかって参っております。この実施につきましては、日本銀行とも相談を申し上げておる次第であります。
#55
○森八三一君 今河野局長と江田さんの質疑応答を聞いておりますというと、まだ百円硬貨を発行するか、発行しないかは最終結論を得ておらぬということでありますが、お話を聞いておりますと、百円硬貨を発行する場合に、ミツマタに与える影響をいかにしてなくしていくかということでまあ御研究を願っておるというように私聞こえるのです。そうなると、その百円の硬貨を発行するということは結論を得ておる、得ておるが、そういうことによって生ずる弊害がどうであるかということの研究をなすっているということにしか受け取れないのでありますが、大体方向としてはそういう方向である、こう理解していいのかどうか。
#56
○政府委員(河野通一君) この点は、たとえば通貨の体系といいますか、そういう観点から考えても、百円までコインにするということは、現在の使用慣習その他から見ても適当ではないのじゃないか、百円はやはり本位貨幣的にやはり銀行券をもって補てんすべきじゃないかと、こういった意見も実はあるのであります。従いまして、通貨の体系といたしまして、一体百円をコインにする方がいいのかどうか、この点についてはいろいろな意見がまだ実はあるわけであります。これらの点についてはもう少し私どもは検討いたしたいと存じます。私個人としては意見はあります。ありますけれども、まだ政府として、政府の職員として申し上げる段階においては、まだそういった問題についてもさらに検討をするということが必要になってくる。まあそのほかに検討しなければならぬ問題は、先ほど来江田さんからお話がありましたように、いろいろな問題があると思いますけれども、必ずしもそのミツマタの需要を減らさないで、ミツマタに対する悪影響を及ぼさないでやれるかどうかということが唯一の何といいますか、百円硬貨を発行するかしないかということの判断の未決定な問題だ、唯一の問題だということではございません。そのほかにもいろいろ考えなければならぬ問題があると思います。
#57
○森八三一君 私が申し上げているのは、まあミツマタということに例をとったのですけれども、最終決定はまだない、そのことはよくわかりました。わかりましたが、そういう結論の表現をなさりながら、硬貨発行によって生ずるさまざまな悪影響というものをいかにして排除していくかということの御研究がずっと進められているという御意見とも伺われるわけです。今の速記を見ればわかりますが、そのことはもう結論は得ておる、その結論を実行に移すための障害というものをどう排除するかということなんで、まあ方針がきまっているというように私には聞こえるのですが、そうじゃないのですか。
#58
○政府委員(河野通一君) 先ほど申し上げましたように、江田さんからの御質問で、かりに百円硬貨を出す場合に、一体印刷局の人員がどういうことになるのか、あるいはミツマタというものの需要量にどういう影響があるのかと、こういう御質問でありましたので、この点は出すか出さぬかきまっておりません。しかし、かりに出した場合にはどういうことになるかということを研究いたしております。その研究の結果は今ミツマタで申し上げた通り、また減員についてはこれは十分に具体的に正確なことを申し上げることができませんことは残念なことでありますけれども、今江田さんの御質問にお答え申し上げましたようなことでありますと、かりに百円硬貨を出すということをきめた場合の影響がこうあるということを申し上げた次第でありまして、大蔵省といたしましては、先ほど申し上げましたように、まだ発行、製造をいたすかどうかにつきましては、最終の結論にはまだ到達いたしておらぬのであります。
#59
○森八三一君 その最終の結論に到達する御研究を願っておるが、その研究の過程における。硬貨にした場合にはこういう有利性がある、しかしこういうマイナスもある、現状を維持した場合にはこういうマイナスもあれば、こういう利点もあるというようなことの今までの研究の過程をお話し願うと、いろいな問題に対する誤解があったり、心配があったりすることも氷解してくる。でお話のように人員整理は若干であって、まあないとか、あるいはまた、ミツマタの買上量についても、かりに硬貨を発行した場合といえども減少しないのだというようなことは、結論は得ておられませんけれども、結論を得るための研究の過程をもう少し具体的にお話しをいただきますると、いろいろな問題が解決してくる、こう思うのでございますが、その経過の御発表というものはむずかしいのでございますか。
#60
○政府委員(河野通一君) 私どもがこの問題の検討を始めるに至りましたのは、やはり特別の事情がなければ、百円の硬貨を出すという時期にきておるのじゃないかという意図から出発いたしております、検討を始めましたことは。しかしそれはそれじゃ出すという結論になっておるかというと、なっておらない、これは現にすでに百円は銀行券によってみたされておるのでありますから、やはりその現状に対して何らか別のことをやるということになれば、そのやることがいいか悪いか、悪くなければやった方がいいということから出発をいたしておることは間違いがございません。でそういうことを考えましたことは、大体通貨の価値が安定いたして参ったということ、と申しますのは、やはり高額の硬貨を発行いたしますという場合に、通貨の価値が安定いたしておりませんと、これは必ず鋳つぶしというような問題が起ってくる。従ってそういうふうな場合におきましては、やはり通貨の価値が安定に向ってきているということが前提の要件だと思います。
 それから第二には、戦前における日本の通貨の体系の中における補助貨、硬貨の大体状況であるとか、あるいは諸外国における硬貨の金額がどの程度までに出るか、いろいろな計算を、いろいろな実情を調べてみますると、大体日本の現在の円の価値、通貨価値のもとにおきましては、百円の程度がコインであるということは、戦前の日本の状況あるいは諸外国の実例から見て別におかしいことではないし、不自然でもない、こういうことは私どもは言えると思っております。
 それから次に、一体硬貨と銀行券と、百円の場合にはどっちが一体国民経済的に経済であるかという点を考えてみますると、これもたしかこの委員会でお話し申し上げたことであろうかと思いますが、あるいは重複いたしまして恐縮な点はお許しいただきたいと思いますが、今の百円の銀行券の製造費用がたしか四円五、六十銭、百円一枚について四円五、六十銭かかっておるのではないかと思います。これは日本の金利が御承知のように非常に高いため実はそういう四円――しかもその百円の紙幣は御承知のように現在一年の耐用期間しか持っておらない。そういたしますと、大体製造費用、製造コストというものが年利四分五、六厘にかかるということになる。これは日本の金利が高いからそういうことが考えられるのでありますが、金利の低いところではとても考えられないような発行コストになっています。ところが今申し上げましたように、百円の紙幣は一年しかもたないという状況であるのであります。これがかりにコインにいたしました場合に、コインにいたしますと、どの程度の大きさにし、どの程度の質にいたすかによって、品位によっても変っては参りますが、大体戦前の状況等を考えてみますと、あるいは諸外国の例等を考えてみますと、外国の製造費用と原材料とを合せて大体四十円から四十数円といったようなところではないかと思います。そういたしますと、百円のコインは十年間使うということにいたしますれば、大体今の百円の硬貨のために必要な費用というものがちょうどそれでカバーできる。しかも百円の硬貨というものは半永久に使われるものであるし、かつこれはかりにそれを鋳つぶして何らかの形で改鋳する場合におきましても、素材は残っておるということでありますが、そういったような発行なり、製造なりのコストというものを長い目でみた場合におきましては、私はその方が国民経済的にみて経済的であることは間違いないことだろうと思うのであります。しからば、そういった問題に対して、一体現在まで大体百円といったようなものは銀行券によってみたされておる。しかもその札というものを使いなれてきているという国民の間の利用する立場における便宜の問題が、一体硬貨に変ることによって便利が悪くなるかどうかといったような問題がここに一つある。この点はいろいろの方々の御意見がまちまちだと思います。私はそれでは百円はコインの方が使いやすいという御意見も承わっておりますし、いや、やはりそれは銀行券の方が便利がいいといったようなことの立場もあるわけでありまして、その統計をとって、どちらが何パーセントということはなかなか出ませんが、どちらにもこれは御意見があるわけです。当委員会の委員各位におかれましても、いろいろとどちらがいいか、どちらが便利かということについては、いろいろ御意見がおありになるのではないかと思いますが、この点はどちらにも便宜、あるいは不便宜の方がおられるというように、私は考えております。しかしながら先ほど申し上げましたように、この点はやはり通貨というものが、国民の間に、絶えず日常使われているものでありますから、その国民の便宜ということは、これは十分この問題の解決に当りまして、ウエートをおいて考えなければならぬ問題だと思います。やはりその国民の方々のこういった問題に対する感触と申しますか、そういった点につきましてはさらに十分御意見なり、そういった点を広く承わって参りたいという意味におきまして、現在でもそういう努力はいたしておるのであります。そういったふうの問題が通貨の体系といいますか、そういう形の問題としては、いろいろ考えて参らなければならぬ点じゃないかと思っております。もちろんそれだけではこの問題の解決に当っての条件はすべて出ているわけではございませんが、先ほど江田さんからお話のありましたような問題をさらにその上にいろいろ検討をし、これらの問題に対しての調整をどうしてつけていくかということも、非常に重要な一つの要素として私どもは頭において考えておる、こういう次第であります。
#61
○三橋八次郎君 ミツマタの問題は当委員会におきましては再々取り上げておることでありますが、栽培農家の貧弱な経済的値下りによるそれの打撃等を考えます場合におきましては、これはこのままにしてはおかれない問題であると思うのでございます。また今話を聞きますると、大蔵省の方の措置も十分結論が出ておらぬという話でございますので、ミツマタ栽培農家等を擁護する目的におきまして、皆様方の御賛成を得まして、決議をいたしたいと思うのでございます。案文を朗読いたします。
   みつまたの需要確保に関する決議(案)
  みつまたは、急傾斜地或は僻陬地等、恵まれない農山村地帯に残された重要作物であって、これが栽培は国の助成の下に現況に達し、かかる地帯の農業経営上欠くことのできない役割を果している。
  然るに、さきに印刷局は、その消費するみつまたの一部をマニラ麻をもつて代替し、更に最近、大蔵省は百円硬貨の鋳造を企図し、みつまたの需要並びにその価格に憂慮すべき事態が予想されるに至つた。かくしてみつまた栽培に依存している零細農家から、これが生業を奪うものとして、現地農民に深刻な不安と動揺を与えていることは甚だ遺憾である。
  よろしく政府は、かかる事態を未然に防ぎ、みつまた栽培農家擁護のため万全の措置を講ずべきである。
 右決議する。
  昭和三十年十二月十五日
      参議院農林水産委員会
#62
○委員長(棚橋小虎君) ただいまの決議案の案文に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(棚橋小虎君) それではただいまの三橋委員の動議による決議は、全会一致をもって決議せられました。
  ―――――――――――――
#64
○委員長(棚橋小虎君) 日本中央競馬会の国庫納付金の臨時特例に関する法律案を議題にいたします。
 本法律案は本十五日、内閣から閣法第十号をもって予備審査のため提出され、特に当委員会へ予備付託となったものであります。
 まず提案理由の説明を求めることにいたします。
#65
○政府委員(大石武一君) ただいま議題となりました日本中央競馬会の国庫納付金の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
 日本中央競馬会の所有する観覧スタンド等の競馬場設備は、その多くが戦前の建設にかかり、しかも木造建築が大部分を占めておりますために、耐用年数をこえた老朽の設備となっており、保安上から見まして危険と認められるものが少くないという実情であります。従いまして、一たび不測の災害が起りました際には、多数の観客が集まる場所でありますことから、これによって生ずるであろう惨害は、まことにおそるべきものがあるやに思われるのであります。しかるに競馬会は、昨秋発足いたし、日なおいまだ残く、経営の基盤も未だ薄弱であり、しかも最近の勝馬投薬券の売上額をみますると、他の競合事業との関係もあり、その額は当初予定いたしました額を多少下回り、それがために競馬会の経理状況はかなり窮屈なものであって、現在におきましては、これら設備の復旧または改築に要する資金はもとより、通常必要とされます減価償却のための資金も容易に捻出し得ない状況にあるのであります。従いまして、かかる設備の復旧または改築を早急に行い、保安上の危惧を除き、さらには政府出資財産の保全管理を全からしめますためには、競馬会をして冗費を節約し、今後なお一そう経営の合理化に努めさせますことはもちろんでありますが、競馬会の現状にかんがみ、この際何らかの特別の措置を講ずることが必要であると考えられますので、昭和三十一年より五カ年間に限り、その復旧または改築を行うため必要な資金を調達することが著しく困難であると認められる場合において、年二回の範囲内において農林大臣の許可を得て臨時競馬を開催し、その納付金についてはその全部または一部を免除することとし、これにより競馬会の所有設備の急速なる整備を行わしめようという目的をもちまして、この法律案を提出いたした次第であります。
 何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
#66
○委員長(棚橋小虎君) 政府当局で補足的な説明があれば、この際御説明を願います。
 ただいま農林政務次官大石武一君、畜産局競馬監督課長黒河内修君、官房上長谷垣專一君が出席されております。
#67
○説明員(黒河内修君) ただいま御提案になりました日本中央競馬会の国庫納付金等の臨時特例に関する法律案につきまして、補足説明をいたしたいと存じます。
 趣旨はただい左政務次官から申し上げましたように、日本中央競馬会が昨年九月十六日に発足いたしまして、当時といたしましては百三十億程度の馬券の発売を見込みまして、そして民営に移りまして、経営がある程度安定してやっていけると、こういうような考え方であったわけでございますが、御承知のように最近の上半期におけるデフレ基調の経済情勢でありますとか、あるいは各種の競輪その他の競技との競合の問題、特に中央競馬は御承知のように都心部から相当離れた場所に競馬場がございますために、売り上げが思うように伸びないというようなことで、本年度の見通しといたしましては、一月からこの十二月一ぱいにおきまして約百十億程度、これはお手元に資料として差し上げてございますが、勝馬投票券の収入といたしましては約百十億程度しか実績が上らない。かような現状でございまして、法制定当時の考え方、それから昨年の幕におきまして、私どもが日本中央競馬会の予算を認可したときに考えました当初予算の予定額面十五億に対しまして、著しく減少をしておる。かような状況になっておるのでございます。もちろんこれに対しましては、政府といたしましては、極力競馬会の経営の合理化をはかっていただくために諸般の指導監督につきまして、たとえば実行予算を編成いたしまして、管理その他一般経費の節減というような点は、極力指導監督をして参ってきたのでございますが、いかんせん、先ほども申しましたように、勝馬投票券自体の収入がきわめて予想を下回っておるというような現状、それから一方におきましては、御存じのように現在の中央競馬会の競馬場施設というものは、昭和の初めに日本競馬会時代に、あるいはそれ以前のクラブ時代に作った施設が国営に移管され、昨年また中央競馬会に政府出資の形におきまして出されておるというようなことでございまして、その多くは戦前の築造にかかりまして、たとえば中山競馬場のごときは木造建築でございますが、すでに耐用年限を八年も経過している。かようなことでございまして、最近専門家にいろいろと調査をお願いいたしましたところ、これが改築は緊急に行わなければならない。かような調査結果も出ておりますので、私どもといたしましては、先ほど申しましたような経営状況、あるいは施設の現況からみまして、この際何らかの措置を講ずる必要がある、かように考えておるわけでございます。
 そこで、本法案にございますように、この五年間の暫定期間につきまして、年二回の臨時競馬を競馬会に許可をいたしまして、その二回の臨時競馬につきましては、日本中央競馬会法二十七条一項による、いわゆる開催による納入金の免除をいたそう、こういう考え方でございます。それでその免除したものは競馬会の差しあたり中山の競馬場のスタンドの改築が当面の問題であろうかと思いますが、それの復旧の関係に使っていきたい。その他の復旧の計画につきましてはお手元に差し上げてございますが、これは大体競馬場のうち特に四大競馬場につきまして、差しあたり何とかいたさなければならないというもののおもなものを一応私どもが調査いたしましたのを書いてございます。なおこのほかにもいろいろ厩舎その他につきましてたくさんございますけれども、おもなものについてここに書いてありますように、約十億程度の復旧あるいは改築が必要である。そこで私どもといたしましては、大体年二回の臨時競馬によりまする政府納付金の免除が大体毎年度約二億円程度のことを考えておりまして、約五カ年間におきまして、少くともここに計上されておりますような主要スタンド等の改築あるいは復旧をいたそう、かように考えておる次第でございます。
 そこで、それにつきまして、たとえば具体的にはそれではどういう程度の減免額になるかということを、これはたとえば中山競馬場において来年度行なった場合に、どの程度の減免予定額が出るかということにつきまして、資料として提出してございますように、約二回分といたしまして一一%相当額が一億五千八百四十万円程度になる、これは現在の日本中央競馬会の競馬場におきまして、全国で最もよく売れる中山競馬場の場合につきまして、大体この程度のものが予想されるという、私どもの一応の本年の実績によりまする推定でございます。この程度のものを考えていったらどうだろうか、かように考えておる次第であります。
 以上大体主要な点につきまして、補足説明をいたした次第でございます。
#68
○委員長(棚橋小虎君) これから御質疑に入ります。御質疑の向きは御質問を願います。
#69
○重政庸徳君 大体建物が老朽をしておるということはわかる。それを改築をしなければならぬということもわかるのでありますが、ところが合理化に努めてきたが、馬券が思うように売れんから方法がない、それでこの方法、一番安易なこの方法をとる、こういうことになるんだが、そうすると、これを改築してきれいなしっかりしたものにすると、今度馬券が売れるようになるかどうか、あるいは将来これはこれで済んだが、将来やはり協会はこれを改築すれば、再びこういうことがなくして自立していけるかということをまず第一点として伺いたい。
#70
○説明員(黒河内修君) 重政委員の御質問につきましては、私どもといたしましては、まず昨年発足早々でございまして、競馬会の経営自体もですね、まだ十分基礎がかたまっておらない、かような現状でございます。そこで将来の問題といたしましては、少くともわれわれが考えておりますような程度の主要な競馬場につきましての改築、あるいは復旧工事ができますれば、それによる投票券の増収ということは、これはどの程度とはちょっと計数的には申し上げられませんが、専門家の意見によりますれば、中山競馬はもっとファンの便利のいいような近代的な設備をいたしますれば、相当増収があるだろう、そういうふうな見込みでございます。
#71
○重政庸徳君 そうすると、この建物をきれいにすれば増収を得ると、そう安易に考えるべきものではないのではないですか。あとのもう少し自立していける何らかの方法を、私はこの建物の改築と同時に考えねばならぬ問題じゃないかと思うのですが、その点どうお考えになりますか。
#72
○政府委員(大石武一君) お答えいたします。おっしゃる通りでございます。今回の建物を直しますのは、観衆の保安上の問題を中心にいたしておりますが、一応それでも建物が便利がよくなりますれば、確かに売り上げは前よりもよくなると思います。しかしそれよりももっと根本的なことは、競馬会の正しい民主的な運営と、それから民衆の心に合うような競馬のやり方をやりたいと思っておりますので、その方面に今後一生懸命努力いたしたいと思います。
#73
○重政庸徳君 他のすべての事業は、こういう一番安易な方法でそういうことをやられるのでなく、いろいろ苦しんで経営の改善をやって、そうして立っていくんですが、そうすると中山はまあこれで済む。ほかの競馬場はやはりこの手で年に二回ずつ競馬日数をふやして、そうして改築していくということになるんですか。
#74
○政府委員(大石武一君) おっしゃる通りでございます。この競馬は五年間の期限つきでございますので、五年間に中山その他京都あたりもよろしゅうございます。それででき縛る限り全部を修理いたしたいと考えております。
#75
○森八三一君 基本的な問題ですが、よく競輪だとかモーターボート・レースだとかというものが戦後どしどしできてきた。こういうような一極の射幸的なものは、国の経済がだんだん落ちついてくる、民心も安定してくるに従って廃止すべきだという声が最近相当支配的にあると私は思うのです。競馬につきましては、戦前は非常にそういうような意味を離れた、もっと非常に重い一つの目的といいますか、使命があったと思いますが、そういうような声を聞くさなかに、競馬の問題についてはさらにこれを継続していくという建前にお立ちになっておるからこういう問題が出てくる。そのことば一体どう説明なさるのか。基本的な態度としてどうお考えになるのか。戦前には競馬というものは、別の重要な一つの使命を持っておった。戦後はそれが変って参ったのに、何かここに主張しなければならぬ根拠があるのか。競輪やモーター・ボート・レースはやめろという空気が支配的であるときに、これをこういう形で進めていくという根本的な観念といいますか、態度ですね。
#76
○政府委員(大石武一君) お答えいたします。この競馬の目的は、第一条にございますが、馬の改良増殖、その他畜産の振興に寄与するためでございまして、この目的を中心として競馬の運営をいたしておるわけでございます。国民の生活が安定するに従って、競馬をやめたらよろしかろうという御意見のようでございまするけれども、ただいま農林省といたしましては、これを廃止いたす方針ではございません。と申しますのは、このような目的を遂行いたすことも必要でございますが、さらにこの競馬を急にやめますと、幾十万の馬の生産者が非常にこれは困ってしまうわけでございます。ことに東北とか北海道の農家にとりますと、大牧場ばかりでなく、小さな牧場でもたくさん馬を副業的に生産いたしておりまして、これが農家の副業としていいことになっておりますし、その他いろいろの理由がございますが、今のところはこのような方針でやっております。
#77
○森八三一君 一条の目的にそう書いてあることは承知しておりますが、それじゃもう一つひらき直って聞かなければならぬのは、私は有畜農業を奨励していかなければならぬという基本的な態度についてはちっとも異存はございません。が、馬というものを日本の今後の新しい農業にどういうように考えていらっしゃるのか。一面には機械化の問題が進んでくる、一面には飼料との関係において牛の問題が進んでくる、そういう中にはさまって、馬というものは今後日本農業の上にどういうような地位を占めていくのか、戦前には僕は別の意味があったと思うのです。そういう目的があったでしょう。けれどももっと非常に違う意味における馬というものの価値なり、これを進めなければならぬ必要性が確かにある。戦後の考え方というものは相当変ってきたんじゃないか。僕は畜産の振興は熱望します。しますが、馬というものを考える度合というものは相当変っていっているんじゃないかというように感ずるのですよ。これはしろうと考えですから間違っておりましたら御叱正をいただきたいのでありますが、農林省としてただ競馬法の目的に響いてあるからというのじゃなしに、日本農業の将来に畜産業を取り入れていくという基本的観念には異議はありませんが、その具体的な内容を一体どうお考えになるか、その点です。
#78
○政府委員(大石武一君) お答えいたします。詳しいことは畜産局長からお答えいたさせますが、私どもの考えといたしましては、日本の農業は、有畜農業でございますが、おっしゃる通り馬が有畜農業の中心になるとは私は考えておりませんです。しかしこの馬というものは、面接われわれの食糧とかその他増産には関係ございませんけれども、やはり農家の現金収入の一環としては馬もまあ役に立つと考えておりますし、今これを急に馬をやめさすということはできないことだと考えております。なお詳しいことは、畜産局長より答弁いたさせます。
#79
○説明員(黒河内修君) ただいま政務次官からお話しになった通りでありますが、これは戦争の前は軍馬というので最重点でやられておったのが、戦後は食糧なり衣料に重点が移って、乳と肉、あるいは綿羊というように移っておるのであります。馬がだんだん皆の地位を失ってくるのは、これは世界各国共通の現象でありまして、これはもういかんともしがたいのじゃないかと思います。それかといって、もう馬は要らぬと言ってしまうこともできないのです。従来からの飼育慣習、それから従来からその地に適している所がありますので、ただいま木曾の山地に乳牛を入れたいと思っておりますけれども、一挙にはいかない、そういうふうな地方が相当あるのであります。それから牧場の経営にいたしましても、小岩井なら小岩井のものをだんだん乳牛に切りかえております。北海道のいろいろな牧場におきましても、どうしても一挙にはいかないと思います。しかしながら何といいますか、世界の趨勢には抗しきれないのでありまして、日本の馬がほかの家畜がふえるに逆比例して戦前から数十万頭減ってきておるのであります。実際一挙に農家に打撃を与えないようにやるためには、従来の政策なり制度を相当期間持続せざるを得ない、こういうふうに考えております。
#80
○千田正君 私は別な角度からお伺いするのですが、競馬によって得た収入が一応国庫に入るにしても、競馬の目的である産馬奨励なら奨励という意味にこの金は十分に還元されて使われているかどうかということに対しては、まだ私ははなはだ勉強が足りないのでわかりませんが、一体それはどういうふうにして使われておるのですか。
#81
○説明員(黒河内修君) 直接には納付金の売り上げの一一%を畜産の奨励、それから社会保障というのに回しておるのでございます。売り上げから七五%、残り二五%ありまして、そのうち一一%引きますから、一四%が競馬会の一切の経費になるわけであります。そこから人件費なり改良費、修繕費、それからもし必要ならば馬の奨励のための補助金というものを直接出しております。こういうことであります。現在は日本中央競馬会法の第三十六条に納付金の方から畜産奨励、その中に馬も入っておりますが、たとえば伝貧研究のためでありますとか、そのほか家畜で行われます馬の共進会、馬に関するいろいろな奨励施設等にも行っております。しかし直接には抽せん馬とか、あるいは馬の研究所、あるいは今問題になっておる、たとえば千葉方面にあります腰の抜ける病気等はまだわからぬのでありますが、そういうところを研究するために大学に、あるいはその方の獣医に調査を委託するとか、そういうようなことをやっておるのであります。いろいろ申し上げましたが、主としては納付金の中から畜産奨励、あとそこまで制度を確立しない分について残りの一四%の経費の許す範囲で馬のための費用を出してゆく、こういうことであります。
#82
○千田正君 どうもさっきの森委員の言うたように、戦前戦後のこの畜産の態勢が変ってきておるということは、これはいなめないことでありますし、同時に競馬というものが果して非常な必要性を帯びておるかどうかということは最近再検討せられつつある、それはわれわれはいなめないと思うのです。そこで運営の仕方というものが少くとも国民生活の上に、あるいは日本の経済の生産の上に寄与するという方向に向っていかなかったならば、この競馬というような問題は将来競輪と何ら変ることなく、射幸心を一つの目標とした競争にしかすぎないというふうに持っていかれるおそれがある。私はもちろん私の郷里など馬の産地ですから、馬というものは自分の家族と同じように育てておるような関係から言いますれば、実際畜産奨励の意味においてこういうことをやってもらうのはけっこうですけれども、もう少し今後競馬の運営、それからそれによって収入を得た益金が十分に一つの重点的な方向に向って将来使われるような方向に持っていかなければいけないのじゃないか。むしろ競馬を目的に馬が扱われるようであったらば、私はこれは将来考えなければならぬ問題じゃないかと思うのであります。だから今森委員が言う通り、農林省が今後競馬を相変らず継続していくとするならば、この根本方針を今後はっきりこの辺から確立していかなければ、将来国民の支持を受けないじゃないかと思うのですが、その辺どういうふうに考えておられますか。
#83
○説明員(渡部伍良君) 先ほどの森委員からのお話に関連してのお話でありますが、競馬をすぐやめるというわけにはいかない。馬が減っていけば競馬はおそらく幾らいっても衰微するのじゃないかと思います。これはもうすでにお話が出たかと思いますが、これに類する競輪、オート・レース等をあわせまして、二十九年の実績一千億余りの売り上げがありますが、そのうち競輪が六百億あります。競馬が中央が百億余り、地方が百八十億余りになっております。まあざっと三百億であります。そのほかオート・レース等があるわけであります。もう何というか、社会の趨勢からいって競馬を従来のような軍馬が盛んなときのように盛んにすることはできないと思います。しかしすぐやめることはできない。そうすればその金を馬はもちろんでありますけれども、馬の維持のために病気であるとか、日本の農家に適するようなものに、馬の費用に使うというのにとどまらざるを得んと思うのです。しかし馬の費用であるから馬だけに使わなければいかぬというものもあれでありますので、われわれといたしましては、競馬を継続して上ってくる金は一つ畜産一般に使うように今後も努めたいと、こういうようなことであります。
#84
○千田正君 私はもう少し範囲を、国民の支持を受けながらなお馬の種族を保存していくような方法を考えるとするならば、今のあなたのおっしゃるような馬の疫病であるとか、病原を研究しようとか、あるいはもう少し獣医のもっと的確な研究心を高めるようなそうした疫病研究所というようなものの確立というものを一方で考えながら、片方においてばある程度射幸心をあおっているのですから、一面において社会保障制度の一環に使うような方向にある程度二つぐらいの根本的な使い道を立てて、これをむしろ国民に十分知らして、そうして継続するような方法を立てるべきじゃないか、こう思うので、十分そういう方面に利用していただきたいと私は思うのであります。
#85
○政府委員(大石武一君) 千田委員のお説はごもっともと思います。同感でございます。ただいまでも少額でございますが、約二億円近くの金が社会福祉の方に出ておるのでございますが、私は将来競馬から上った政府納付金と申しますか、益金の大部分が社会福祉に流れるように熱望しております。
#86
○江田三郎君 この法案は、大石さんが政務次官になられて初めて出された法案でございますから、大石さんとしましても、将来まで印象に残るものだろうと思います。そこで私はちょっとお聞きしておきたいのですが、従来国会の会期末のどさくさに乗じていろいろなおみやげ法案や利権法案が通るということを世間で非難されてきたわけです。私どももほんとうにそういうことが新聞に書かれるというと、身を切られるような思いがしたわけでして、必ずしも会期末に出てくるものが利権立法やおみやげ法案ではない。必要にしてまた適切なものが多いのだ、こう弁解しましても、世間のそういう見方というものに対しましては、私どもといたしましては、いずれも強い反省をみずからしてきたわけです。そこでまあ今度の一体臨時国会というものはどういう性格の臨時国会であったかということから問題になるのでして、私どもは今度の臨時国会というものは地方財政の赤字をどうするかということが一番中心で、そのための臨時国会だったと思うのです。そういう臨時国会に一体このような法律案を出すということがまず第一に適切なのかどうかということですね。しかもこれが議員立法というのでなしに、政府の提案として、会期は明日一日というときに、その一日前の午後になって出されるということになると、これはよほど臨時国会召集の趣旨に照らしてやむを得ない、避くべからざるものでなければならないかと思うのですが、中身をみるというと、競馬のことですね。世間からは競馬とか競輪とかいうものは、あなた方が今おっしゃるような高尚な目的には考えておりませんよ。競馬というものはやはり競輪なんかと同じようなジャンルにあるのだという見方の方が強いので、そういうものはこの会期のわずかな臨時国会に、しかも最終日の前日の午後に至って、しかもそれを政府提案として出されたということは、一体どういう意味でこんなことをおやりになるのか。これは大石さん初仕事でありますから、将来あなたの政治経歴の中にいつまでも残る仕事でありますから、一つ積極的な意義をお聞かせ願いたいと思うのです。しかも先ほど聞いておりますと、あなたが言っておられるこの提案理由というものは、私はこれはあなたが説明せられて恥しくございませんかと聞いてみたい。一体この中央競馬会というのができたのはいつできたのかということですね。去年の秋でしょう。まだ一年少々ですよ。中山の競馬場は耐用年限を八年越している。去年の秋で言えば七年越しているわけです。そういうことを一体どういう計算をしておられたのか。去年の秋には耐用年限というものは一向気がつかなったのかどうか。もっともこれはあなたが責任者でおやりになったのじゃございませんけれども、まあ大体去年の吉田内閣からずっと引続いてあなた方の方の陣営でおやりになっているのだから、若干の関係はあるわけですから私はお聞きするのですが、あるいはこの売り上げが悪かった。一年前にこういうことをやられて、一年後になってみて、売り上げが予想通りになかったとか何とかいうことは、あなたは当時の責任者じゃないけれども、私は畜産局なんかとしては議員立法としてこれを出すならまだわかりますよ。政府がこんなものを出してくるということは、よくまあ政府というものは恥しげもなしにこういうものがやれるものだと思う。そういうやり方をされるのだったら、今後あなた方にどんなことを聞いても、一年後には情勢の変化が起るだろうということを考えなければならない。私は政府提案というものはもっとしっかりしたものでなければならぬと思う。そうした根本的な問題について一つ大石政務次官の御心境を承わりたいと思う。
#87
○政府委員(大石武一君) お答えいたします。全くおっしゃる通りでございます。われわれとしてもはなはだこんな臨時国会に、このような本来の臨時国会の目的に沿わないようなものを、しかも会期末に至りまして突然出したような次第は、非常に恐縮いたしておるような次第でございます。ただ一言弁明いたしたいことは、実はこの競馬会の会計年度は一月から始まっております。その会計年度においていろいろな事業を始める予算を立てますには、どうしても農林大臣、大蔵大臣の承認を得なければならぬわけであります。それが十二月中にできなければ来年一月からの会計年度は発足できないのでございますから、そのような意味で実は今ごろ非常に不手ぎわであります、もっともっと準備を整えて、前の国会なり、または今度の国会にいたしましても早く出すべきでございましたけれども、ざっくばらんに申しまして非常に不手ぎわでございまして、このような情勢になりましたことは非常に申しわけない次第でございます。今のような会計年度の関係におきまして、この末期に提出した次第でございます。たしかに耐用年数をすでに八年も越しておるわけでありますから、これは今に始まったことではありません。去年は七年越したはずであります。それを今ごろまでがまんしたと申しますか、知らないで過ごしたということは、たしかに今までの政府なり競馬会の手落ちであったと思います。これは私は当時こういうことに関係しておりませんので、その詳しい事情はわかりませんが、たしかにこれは何と言いわけいたしましても手落ちであったと思います。しかしまあ一応こういう危険であるということが気がつきました以上は、この競馬の施行を続けて参ります以上は、やはりでき得る限りの安全性というものを保って参ることは必要であろうと考えておりますので、まああえてこのような法案を作って参ったわけであります。
 それからざっくばらんに申し上げますと、議員提案になるべきはずでございました。そのような手配をいたしたのでありますが、われわれのいろいろな手違いもありましたし、いろいろ力の足らないこともありまして、議員提案になし得ずしてと申しますか、政府提案の形になりましたのでございまして、私の考え方といたしましては、江田議員のお説の通り、賛成なんでございますけれども、このようになった次第でございます。
#88
○江田三郎君 まあ答えは今のは実は聞かぬでもいいんでして、そこで内容についてもいろいろ聞かなければならぬ点があるわけです。たとえば先ほど来の話を聞いておっても、馬というものは戦前の状態とは変ってきておるのだということをもうあなた方は世界的な趨勢として認めておられるわけです。そこで馬というものが漸次減ってくるというと、どうしても競馬というものもまた不振、不振というわけじゃございますまいが、だんだんと盛況を続けてゆくわけにいかぬということも認めておられるわけです。そこでそういうような立場に立つと、一体東京、中山、京都、阪神というそれぞれの競馬場をそれぞれ改築をしなければならぬかどうかということが問題になるわけであります。競馬というものがだんだんと今後規模が小さくなってゆくということを予想されておられるならば、それならば四カ所のものをいずれも復旧しなくても、その中に復旧するものもあっていいが、同時にこれはここで金をかけるよりも、将来自然になくした方がいいということも出てこなければならぬはずです。しかるにそういうことでなしに、この四カ所も出してこられ、そうして今計算は一回の発売額を九千万円として何回というような計算をされますけれども、しかし片っ方で競馬というものが漸次繁栄を続けてゆくことができないという傾向を認められておる以上は、この計算の数字自身がまた狂ってくるということなんですよ。そういう点でどうも私どもは今のお話を聞いておっても納得ができない。それから畜産振興、畜産振興と言われますけれども、一体畜産振興というものは上った金をつぎ込みさえすればいいのであるということじゃないと思う。一体競馬馬を作ること自身がどれだけ畜産振興と関係があるかということが一番大事です。上ったテラ銭といっては悪いですけれども、そういう金をつぎ込むのは千田さんのようにむしろ社会保障につぎ込むべきじゃないかという考えも出ましょうし、大体国庫の方で雑人として入れて、はっきり畜産だけはなんぼという、畜産へ全部向けるという金ではないのですから。そういうことよりも一体競馬馬を今後育成してゆくことがどれだけ日本の畜産振興と関係があるかということになる。その点一体将来も残る、馬は残りますよ、馬は残るけれどもどういう馬が残るか、日本の馬というものは競馬馬のようなものをどんどん作ってゆくということが一体馬産奨励の目的なのかどうか、その点についても今のお話を聞いておりますというと、納得できないものがある。なおいろいろ問題がありますが、今日は説明を聞いたばかりで、法案を今もらったばかりですから、私はきょうよく勉強しまして、あすあらためて質問いたしたいと思います。
#89
○三浦辰雄君 今の江田さんの質問に対しては答えはないのですか。
#90
○江田三郎君 答えはいいよ。
#91
○説明員(渡部伍良君) 競馬場が御承知のように十二カ所あるのでありまして、ざっくばらんに申し上げまして、われわれのところで競馬場の施設をみますと、たとえば宮崎でありますとか、あるいは新潟でありますとか、北海道等、中山よりももっとひどい個所があるのであります。しかしそれはお話がありましたように、この地方で果して今後競馬を継続すべきであるかどうかということにつきまして、まだ確信を持っていないのであります。戦前のようにたとえば宮崎なら宮崎の方でうんと馬をやる可能性があるかというと、ざっくばらんに申し上げまして、ないと思います。しかしそうかといってここで一挙に競馬をやめてしまうということができませんとなれば、基幹的な、かつ入場者の非常に多い競馬場につきましては、開催する以上絶対安全ということを最小限度確保することが必要である、こういうような考え方からいたしておるのであります。そういうわけでありますので、何と申しますか、率直に申し上げまして、競馬をどうするかという問題は都会、人の集っておるところだけではなしに、十二の競馬場それぞれについて問題がありますので、それを検討しておるのであります。結論を簡単に申し上げるところまでいっていないような次第でありますので、御了承願いたいと思います。
#92
○三浦辰雄君 ちょっと二、三私お聞きしたいのです。今まで根本的な問題についてはいろいろ御質疑がありましたが、私配ってもらってある資料を中心にしてわからないところを二、三お聞きしたいのです。
 一つば先ほどもちょっと触れたけれども、百分の十一というものを計算し、あるいは最後のその年度の収益の半分というものを国庫に入れるという問題の際に、そういうものは全然考えてなかったのか、それよりもいわゆる見込みが、売れ行きが悪いために、つまり不振なためにこういったような便法を講じなければならないように至ったのか、この点はどうなんですか。あれが普通以上予想の通りにいけば、こういった便法と申しますか、今議論になっておるような方法を用いなくてもやれるはずであったという事情なのかどうか。一つずつお聞きしましょう、それはどうなんですか。
#93
○説明員(渡部伍良君) お話のように法律制定の当時、当初は一〇%というのが国会で、衆議院で一一%に修正されたのであります。それが第一点であります。それからその当時は国営競馬は二十九年の七月の推定では百三十億以上の売り上げが期待されておったのであります。従いまして、法律を出すときには、一つはこんなに売り上げが下るとは考えなかったのであります。これは先ほどから申します通り景気の関係もあるだろうし、競輪等との競合もあるのじゃないかと思います。それからまた土、日開催で、普通の週日開催をやめたというような関係も、売り上げに影響しております。そういう関係でわれわれは多少修築をしなければいかぬという当てがはずれたのであります。これは先ほど江田委員からおしかりがありましたのでありますが、一年もたたないうちにそんな見込み違いということでありますが、これは全く弁明の余地ないと思いますが、事実はそういうふうになっております。
#94
○三浦辰雄君 それから今配ってもらった「日本中央競馬会設立以降の経理状況」、これに(註)がありますね。昭和二十九年度決算それから三十年度決算に(註)がある。これは私聞きたいのは、減価償却の関係なんですが、この(註)についてもう少し敷衍して説明をしていただきたい。二十九年度、三十年度……。
#95
○説明員(黒河内修君) 三浦先生の御質問に対してちょっと申し上げますと、実はこの法案を制定するときにおきましては、まだ政府出資財産の評定価格というものが確定しておりませんので、大体六千万円程度の償却は百三十七億見当売ればできるであろう、大体こういうような見込みであったと私承わっております。ところがこの資料でごらんになりますように、二十九年度につきましては、これは九月十六日から十二月三十一日までの間でございますが、ここにごらんになりますように、減価償却費としては二千五百万円程度しかないわけです。これは要するに三カ月分でございますから、年間引き直しますと約一億見当になるわけであります。これは実は私どもといたしましては、昨年発足以来大蔵省その他とも御相談しまして、大体一億程度の償却ができていけばよかろうというようなことで、この二十九年度につきましては三カ月分でございますので、約二千五百万くらいの償却を計上してあるわけでございます。ところが最近におきまして、会計検査院の二十九年度の決算につきましての検査があったのでございますが、実は日本中央競馬会につきましては、政府の出資財産は現実に中古資産であるにもかかわらず、まあ一億という評価額は、減価償却費は新品と同じようなそういうような減価償却額になるわけでございます。中古資産として見ますと、法人税法の企業会計上認められております適正なる減価償却と申しますのは、約三億ないし三億五千程度、当然企業として合理的によくやっていくにはその程度の減価償却をしなければならない、こういうことに相なるわけであります。ところが残念ながら、たとえばそういうことで実は会計検査院からも御注意があったわけであります。これは私どもといたしましても大へん恐縮に存じておるわけでございます。そういう関係から申しますと、実は二十九年度においては、この決算におきましては、約六百万円くらいの剰余金があるという計算になっておりますが、まあ検査院等の御意見によりますれば、減価償却がまだ非常に少いのだ、だからむしろ本来ならば赤字になるべきである、それをこういうことにおいて多少検査院からもお小言をいただいたわけであります。
 それから、三十年度につきましては、先ほど申し上げましたような年間を通じまして百十億見当の勝馬投票券、その他の雑収入を見込みまして約百十一億余の収入がありまして、それを年度末において大体見込み決算を立ててみますとこの程度のものになるということで、この(註)に書いてございますように、実は先ほど申しましたような減価償却は、これはちょっと二億とございますが、先ほど私が申しましたように、三億のミス・プリントでございますから御訂正をお願いしたいと思いますが、法人税法の中古資産の取り扱いから見ますと、約三億程度が必要になるわけでございます。それに対しまして、本年は先ほど申しましたように、いろいろ経費の節約、その他いろいろと競馬会も努力いたしましたけれども、四千三百万円見当しか減価償却ができない。こういうことで、結論は結局今程度の売り上げでは、相当競馬会で企業内部の経営合理化に努めましても、まともな減価償却ができない。こういうことに考えられるわけでございます。
 それからちょっと申し落しましたが、昭和二十九年度の(註)にありますのは、政府出資の物品の一部を貯蔵品としたためであると書いてありますが、これは国営競馬特別会計時代に、たとえば馬券の用紙であるとか、そういうものを全部競馬会に引き継いだわけでございます。それがある程度貯蔵品の勘定に約一千万円程度のものがあったわけでございます。それは私どもといたしましては、一応貯蔵品として計上いたしたわけではございますが、実はこれは企業経理の本来から申しますれば、その一部につきましてはすでにもう使えないものがあるとかいうようなものにつきましては廃棄、廃棄と申しますか、勘定で落さなければいかない。そういうのにかかわらず、私どもの指導といたしましては、一応九月十六日に政府出資したはずであるから漸次落していく、こういう方針をとったために、これが一千万円ばかりが計上してあったわけでございます。その点につきましては、やはり会計検査院の方から企業経理の原則からいえば、そういう経理は、妥当でない。これは不正ではございません。ただやり方が甘かった。本来資産でないものを資産勘定に載せては、企業経理としては要するにうまくない。こういうサゼスチョンがありました。そういう関係をちょっとここでは(註)に書いておいた次第でございます。大へんちょっと不十分な説明ですが、大体そんなようなことでございます。
#96
○三浦辰雄君 そうしますと、結局いわゆる減価償却というところを正規の額を上げるとすれば、いずれも大へんな赤字というのがその内容のように見えるのですね。そこで今後の法案で企図しておられる一方における主要な四カ所の工事改築見込額だと十億以上になっておる。そこで同じく与えられている中山競馬における推定の減免予定額を見ると、年二回やったとして一億五千万円、この問題を、十二カ所はおそらくやらないので、おそらく主要ないわゆる売れるところ、つまりネットのいいところにやろうと思うのだろうと思うのですが、一体ネットのいいところを心、考えておるのは何カ所くらい考えておるのですか。言葉をかえて言えば、既定の三十年度の実績に対してさらに実質ふえる回数ですね、全体からいってはどのくらいに考えておるのですか。
#97
○説明員(渡部伍良君) 御承知のように、競馬法の規定によりまして、各競馬場三回以内開催できる。従って十二競馬場あるのでございますので、三十六回開催できることになっております。ところが、競馬場の施設その他やむを得ざる事由で拠る競馬場で競馬の開催ができなければ、その回数はほかの競馬場でかわって開催することができることになっております。そこで三十年度今年は札幌一回、福島一回、中山六回、東京五回、中京二回、京都五回、阪神四回、小倉二回、こういうふうに二十六回開催いたしました。三十一年度の見込みとしましては、そこの中で札幌あるいは中京、阪神、小倉、これは相当赤字になるのであります。しかしそれは従来馬の数が少い、従って競馬がおもしろくないとか、あるいは施設が十八分でない、いろんな原因であるのでありますが、だんだん馬の頭数も出馬の頭数もふえておりますので、一方においてはたとえば阪神、京都等は前年より一回だけ多く開催いたしたいと思っております。そのかわり中山とか東京はそちらの方に馬を回す関係で多少減さなければならないことになっております。それからまた北海道につきましては、先ほど申し上げましたように、札幌が去年一回やったのでありますが、ここでは少し距離が遠いというような関係もありまして、馬の輸送等の原因から非常に不振であります。ところが御承知のように北海道は馬の産地でありまして、どうしてもやりたいという地元の要求が非常に強いのであります。しかしながら現状のままでやったのではみすみす赤字になるので、もう少し地元でもっといい馬が出るようにしたらどうかと、そこで来年度は抽せん馬の奨励金を出しまして、とにかく東京の方、あるいは中央の方に出てきてしまったらあとはがらがらにならないように、国営競馬に出れる馬をもっと北海道の中で持つことをしようというふうにいたしまして、来年は北海道では一ぺん休む、こういうふうにしておるのであります。しかし先ほど申し上げましたように、阪神、京都、それから小倉ではそれぞれ一回ずつ増していきたい。こういうふうに考えてやっております。
#98
○三浦辰雄君 そうすると、今のところを復習しますと、大体この法案が通ったときには、今のところ予想では何回ふやすことになるのですか。
#99
○説明員(渡部伍良君) 今のところあと三、四回ふやしていきたいと思っております。去年二十六回やっておりましたが、三十回内外じゃないかと思っております。
#100
○三浦辰雄君 馬はだんだんふえてきているというのですが、一面においてはお話の中にあったように、馬が足らないから不振だというような問題もあるのですがこの四、五年間にこういったところに出場できる馬の頭数の変遷といいますか、増加状況はどんなことになっておりますか。場所等の関係もありますけれども、総括でけっこうです。
#101
○説明員(黒河内修君) ただいまお尋ねの馬の状況につきましては、終戦後御存じのように大へん競走馬が少なかったのでございますが、その後漸次増加いたしまして、現在競馬会で一応出馬登録と申しますか、出走のために登録してある馬が、たとえば昨二十九年度末現在におきまして、サラブレッド、アラブ、トロッター、全部含めまして千三百頭程度で、二十八年度が千百頭程度でございますので、約二百頭程度ふえておる。最近といたしましては、現在程度の施行回数では大体馬がある程度充実して参っておる。かようにわれわれは考えております。
#102
○三浦辰雄君 そうすると、この法案がかりにこのまま通ったとすれば、二回分以内で農林大臣が特に許可した場合においてはやるという便法、便法と申しますか、恩典に浴するということになるわけですが、そこで二回分というのはおそらくネットのいいところ、つまりもうけのいいところに二回分やろうという算段には違いない。そうすると言葉をかえて言えば、四回前後三十年度より回数はふえるにすぎない、大体その他の関係でですね。けれどもこの恩典に浴する回数というのはどういうことになるか。相当な回数になる――こういうふうにたとえばここに少くとも比較的いい内容の場所では、これはおそらく二回やらなければこの目的を達し得ないからやるだろう。しかもこれを見ると、これらなんか誤解される資料だと思うのだけれども、いかにも全部または一部とあるのに全部引いてもらうような格好の計算をしてあるあたりは、少しどうも馬の足を出しておるような気持があるのだけれども、こういったような形を見ても、大体そういったようなことはきまっておるんだな。大体どことどことどことぐらいはこの二回中に数えてやりたい、またおそらく許可もやらなければならないと今のところ考えておられるか、その関係。
#103
○説明員(渡部伍良君) ちょっと法律がわかりにくいので、あとで御説明申し上げようと思っているのですが、衆議院の農林委員会でちょっと修正になったんであります。それは、第一条の「年二回を限り」という上に、「全競馬場を通じて」年二回を限りと、こういうふうにしてあるのであります。従って趣旨はこの法律と変らんのですが、そう入れないと誤解ができるのであります。先ほど申し上げましたように、十二カ所の競馬場でそれぞれ三回できて、それを融通してやれるから、三十六回の開催ができるのであります。ところが現実には馬の関係とか、あるいは競馬場の施設の関係で二十数回しか行なっていないわけであります。そのうちで二回分の競馬の上り量は政府に納付しないでいいと、こういうのがこの一条二条の言っているところであります。そこでどこの競馬場でやるのか、こういう話なんでありますが、これはお話しの通り中山、あるいは場合によったら東京というふうにですね、中山、東京でやる予定にしております。
#104
○三浦辰雄君 私は法律の要綱みたいなものをただざっと概観みたいに見たくらいで、今はっきりわかりませんが、これは冬競馬場について年二回だけはいいというように私は考えたんですが、それは間違いであって、どういうふうになるんですか。もう一回今のところ。
#105
○説明員(渡部伍良君) そこで先ほど衆議院の修正を申し上げたんですが、「年二回を限り」の上に「全競馬場を通じて」年二回を限る。従って免除されるのは二十数回か三十回のうち二回だけが免除される、そういうことであります。それぞれの競馬場で二回やれる、こういうわけじゃないのでございます。
#106
○三浦辰雄君 そうなれば、これは大分目算というか、あれが狂って、こういつたことを一応目途としている現にきまっちゃった施設の復旧というものがなかなか早急にはいかない。ましてや赤字の問題、つまり減価償却ということをいつまでも変態的にごめんごめんといって願っていくというわけにはいかないだろうから、その点はどういうふうに考えられているんですか。
#107
○説明員(渡部伍良君) お手元にお配りいたしております表では、四カ所で約十億余りの修繕費が要る、こういう計算であります。もう一つの資料ではもし中山競馬でやると、かりに二回とも中山競馬でやると、中山競馬の売り上げ平均から言うと、一億五千万くらいですかしか年に上らないということになります。そうすると、五年やると七億五千万しか上らないわけで、十億との差額が出てくるわけであります。この差額はわれわれの方では競馬会の事業の合理化、あるいはもう少し勉強してやる余地がありやせぬか、あとの研究に残そう、こういうつもりであります。これは多少案を作る経過で行き過ぎがありまして、当初はこういう案でなくしてもっと出してくれ、こういう案が衆議院の方で出ておったのでありますが、いろいろな関係から最も明確にするのは、特定の競馬の上りだけを増した力がいいという説が強くなりまして、こういうふうになったのであります。その差額だけはどうしても企業努力で出していかなければならない、こういうふうになります。
#108
○三浦辰雄君 今の差額のみならず、減価償却に対して何といいますか、考え方というものはどうするんですか。
#109
○説明員(渡部伍良君) 減価償却と、監督課長から説明しました現在四、五千万円しかできないのが、ほんとうはもっとうんと減価償却しなければいけないその金と、今の所要資金と売り上げから出てくる納付金免除の金額との差額、それを企業努力でやらなければならぬ。こういうことになるわけであります。これは先ほど大分ほかの委員さんの方からお叱りを受けたのでありますが、ちょっと事務当局としては困っておるのであります。というのは先ほど御指摘がありましたように、こうして一年とたたぬうちにこんな見込み違いをしておる、こんな話があるのであります。その通りでありますが、そうかといって一年くらいの経験で将来どうなるということを判定することもできないのであります。そこで衆議院の議論におきましても、こういうふうなものよりももっと根本的に将来の見通しを立てて、減価償却なり修理が必要なら納付金の率を下げたらいいじゃないか、こういう議論が非常に強かったのであります。また一方から申し上げますと、先ほど御説明申し上げましたように、われわれの手で修正したんだから、一年もたつかたたぬうちにそういうことを言うのはおかしいという説もまた半面非常に強く出たのであります。そういうわけでこういう中途半端なことになっているわけでありますが、これは私どもの方でもできる限り競馬会の事業の刷新、合理化をはかると同時に、もう少し競馬の行方というものを見てから、先ほどお話がありますような整理するものは整理する必要があればする、あるいは何かの都合でもっと競馬が進展すれば、これは私どもほとんど期待しておりませんが、そういうふうに対処しなければいかぬことになると思います。いずれにいたしましても、中央競馬会が発足しましてから時を経過しませんので、必要の最少限度の事業施設の改革に必要な金をとりあえず確保したい、こういうのが法案の問題であります。
#110
○三浦辰雄君 だんだん苦心の点がはっきり浮かんで出てきたのですが、やっぱりこういった制度をやっていく限りにおいては、やっぱり根本の問題が、今政府への納付金率の問題等が当然研究されなければ、なかなかすっきりした姿にならない。その中でこれを続けようというのだからいろいろな無理算段をやらなければならぬという立場は私はわかるのですが、一方において、先ほど来同僚の議員諸君から議論がありましたように、今日のこの競馬の維持という問題が薄らいでいるけれども、あるいはちょうどターニング・ポイントにきているというような感じなのですから、最後に一つお聞きしたいのだけれども、回数をふやすのがいやだという説があるのです、実は。それは経理状態をだんだん聞いて見れば、ある都道府県は非常に困るだろう、これだけでやって行けるのか、従来で言えば日本競馬協会と言えば、大したゆとりのある競馬のみならず農林関係の団体としては飛びきり豊かな会だったのをわれわれまで知っているわけです。ところが洗って見ると、今のような非常に風前のともしびのみならず、赤字を負った運命になっている。だから何とかしなければならぬ。しかし一面においては回数をふやすということはどういうものだろうか。そういった窮状にあるとするなら、ある程度の減免というものはこれはかりにがまんするとして、回数をふやさないでその中の何回かを限って、たとえば二回なら二回というものを限ってそういう措置をやったらどうだろうという議論に対しては、政府当局の方ではどういうふうに考えますか。また計数的に言って概算どんな差が出てきますか。
#111
○説明員(渡部伍良君) 回数をふやせばという話、これは衆議院の方でもあったのでありますが、しかしこれは競馬法の三条で規定されておる全体を通じて三十六回以内なら一つはやむを得ないということであります。そうして先ほどお話がありましたように、馬の頭数が、出馬の頭数がふえてきておるのだから、その範囲内ではできるだけ上りを多くするように努めなければいかぬじゃないか、こういう説もあるので、三十年度は二十六回開催で百十億のあれをやっているのでありまして、来年度はこれを二十九か三十回として、少くとも昨年の売り上げよりも数億、せめて百十五億くらいにまでもっていきたい、またそれが馬の保有状態からいって可能になっているから、その可能な範囲内でやろう、こういう考えなのであります。
#112
○委員長(棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#113
○委員長(棚橋小虎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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