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1955/12/14 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 商工委員会 第4号
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1955/12/14 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 商工委員会 第4号

#1
第023回国会 商工委員会 第4号
昭和三十年十二月十四日(水曜日)
   午後一時三十二分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
十二月十三日委員西川彌平治君辞任に
つき、その補欠として遠藤柳作君を議
長において指名した。
本日委員遠藤柳作君辞任につき、その
補欠として西川彌平治君を議長におい
て指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     三輪 貞治君
   理事
           古池 信三君
           河野 謙三君
   委員
           上原 正吉君
           西川彌平治君
           白川 一雄君
           中川 以良君
           西田 隆男君
           阿具根 登君
           海野 三朗君
           上林 忠次君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       川野 芳滿君
   通商産業大臣官
   房長      岩武 照彦君
   通商産業省鉱山
   局長      松尾 金藏君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
  説明員
   通商産業省重工
   業局次長    大堀  弘君
   中小企業庁長官 佐久  洋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○経済自立方策に関する調査の件(中
 小企業の年末金融に関する件)(科
 学技術行政に関する件)(外資提携
 に関する件)(硫黄の緊急輸入に関
 する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(三輪貞治君) ただいまより本日の委員会を開会いたします。
 中小企業の年末金融に関する件につきまして政府より発言を求められておりまするので、これを許可いたします。
#3
○説明員(佐久洋君) 年末金融対策、特に私の方の関係から申しますと、中小企業についての問題でありますが、今日までとりました措置についての大要を御説明申し上げたいと思います。
 最近一般的に金融情勢が大体緩和の様相を呈していると言われておりますが、中小企業の分野におきましては一部輸出産業に関連のある部面を除きましては、全般的には昨年と同様に不円滑な状況にあると認められますので、中小企業庁といたしましては、年末金融対策としまして、以下申し述べるような方策をとっておるのであります。
 第一が政府の指定預金の引き揚げ延期の措置でございます。十月末におきます政府の指定積金の残高は全体で六十二億一千二百万円、機関別に申しますと、商工組合中央金庫が二十七億四千万円、相互銀行が二十一億三千二百万円、信用金庫が十三億四千万円、合計いたしまして六十二億一千二百万円でございますが、これは従来十一月末に全額を引き揚げる予定になっておったのでありますが、年末金融の緩和をはかるために、さしあたり年内における引き揚げは行わないことにいたしたのであります。
 次に第二としましては、市中金融機関における年末融資の促進であります。市中の金融機関におきましては、手元資金繰りに相当の余裕が見受けられる現状でございますので、全国銀行につきましては昨年の十一月に決定しました中小企業向融資の改善策に関する決定というのが一つございます。それから今年の九月に同じく決定いたされました中小企業向融資の積極化等融資方針緩和に関する決定というのがございます。いずれも中小企業についてはさらに積極的に融資を行うという趣旨の決定でございますが、それを年末においては特に励行してもらう。さらに両建、歩積みというような、いわゆる拘束預金の解除等についても、できるだけの措置を講じてもらうように要請をいたしました。また相互銀行、信用金庫等につきましては、前申しました指定預金の引揚げ延期によって、その資金繰りを十分にいたしますとともに、大口融資をある程度抑制して、小口融資をさらに一そう促進するように、特段の努力を要請いたした次第でございます。
 次に、政府関係の金融機関でございます。第一に中小企業金融公庫でございますが、中小企業金融公庫の本年度の貸出の資金計画は二百五十五億であります。そのうち第三・四半期の予定が八十五億になっておりますが、これをさらに十五億円増しまして、第三・四半期としては百億円ということにいたしたいのであります。また、貸出の窓口を増加することによりまして、中小企業者に便を与えるという趣旨から、代理店を若干追加する措置を講じたのであります。
 次に、国民金融公庫でございますが、国民金融公庫の本年度の貸出計画は、年間として四百六十八億であります。そのうち第三・四半期としましては百五十一億となっておりますが、回収金の増加、あるいは第四・四半期ワクのうちから繰り上げまして、これを百五十八億円に増加をいたした。状況によりましては、特別小口のワクという別口の、これは五万円の小口で、しかも三カ月というきわめて短期のワクがございますが、これが比較的余裕がございますので、これを普通貸付の方に充当するというような措置を講ずるということにいたした次第でございます。
 次が商工組合中央金庫でございます。商工組合中央金庫の本年四月から、九月までの貸出純増額は、約二十七億円であります。これを昨年同期と比べますと、昨年同期の実績が二億八千万円でありますから、それから比べると、著しく活発な状況となっているのでございますので、第三・四半期におきましては、貸出高を四百五十億という予定にいたしまして、積極的な貸付をはかることにした。なお、資金の不足が生じた場合には、日銀からの借り入れ、あるいは農林中金の余裕金の借り入れというような方法を講じて参りたいというように考えているわけであります。
 金融機関の措置としては、大体以上でございますが、そのほかに中小企業の金融として大きな問題であります下請代金の支払いの促進の問題であります。これはかねがね公正取引委員会と協力をいたしまして、独占禁止法の運用によりまして、その促進をはかって参ってはいるのでありますが、最近大企業の資金繰りが、相当好転しておるにもかかわらず、下請企業に対する支払いは必ずしもよくないという状況が見られますので、支払いの非常に悪いというものに対しては、公正取引委員会におきまして勧告あるいは審判というような措置を講ずることにいたして、目下その手続きを進めておるところであります。さらに政府並びに地方公共団体の支払いに関連いたしまする下請中小企業に対する支払いにつきましては、一そうこれを促進いたしまするように、過日次官会議の決定も行われましたし、また通産大臣名をもちまして、大企業六百社に対してその促進方について協力を依頼した次第でございます。この点につきましては関係各省庁とも相当の熱意を示して努力をされておる状況でございます。さらに、日銀あるいは市中銀行の協力を求める必要がありますので、下請代金の支払い促進についても同様にその協力を求めて参っておるところでございます。
 最後に、零細金融の資金源の確保でございますが、これは系列融資といたしまして、商工組合中央金庫から信用組合に対する積極的な貸付を行うという措置を講じて参っておるところでございます。
 こういう措置をとりましたにつきまして、先般衆議院の商工委員会におきまして、お手許に配付されておりまするような、中小企業年末融資に関する件という決議がなされまして、さらに中小企業に対する年末金融について特段の努力をするようにという鞭撻を受けたのであります。これに基きまして、当方といたしまして検討をいたしましてとりました措置について御説明を申し上げます。
 まず第一に、政府の指定順金でありますが、年内におきましてはこれを引き揚げないことにいたしましたことは先ほど申しました通りであります。なお新しく預託を増加するという問題につきましては種々検討を重ねたのでありますが、とりあえず財政投融資の増大をはかりまして、政府関係金融機関の貸付計画の増加によりまして旺盛な資金需要に対応せしめるという措置をとって、結局におきてましては新規預託と同様の効果を期待することといたした次第であります。
 第二点といたしまして、政府関係金融機関の融資の増加でございます。中小企業金融公庫につきましては、資金運用部から予定計画による借り入れの確保はもちろんでありますが、新たに第四。四半期の資金計画の一部を繰り上げまして五億円の借り入れ増加をはかることにいたしました。これによりまして年末融資といたしましては、その貸付計画をさらに増加いたしまして、先ほど申しました百億円プラス五億円、合計百五億円といたしたのであります。また、国民金融公庫につきましても同様、第四・四半期のワクの一部から十億円を繰り上げて充当いたしまして、貸付資金計画を百六十八億円に増加いたしました。これによりまして活発な小口資金需要にこたえることといたした次第であります。
 第三に、政府関係金融機関の運営の改善についてであります。政府といたしましてもこの点につきましてはかねてから細心の注意を払いまして、その指導に遺憾のないようにして参ったのでありますが、この際衆議院の決議もございますので、その趣旨をすみやかに実現して、あたたかい気持をもって中小企業者の要求するところにこたえるように強く指示をいたしまして、種々の改善策を講じて直ちに実施に移している次第でございます。たとえば中小企業金融公庫について申しますると、長期運転資金の貸付期間を従来は三年ということになっておりましたが、これを五年に改め、一般的に五年の範囲内でできるだけ延長するように代理店に指示をいたした等はその一例であります。そのほかに事務の促進方についてかなりこまかな一つ一つの問題についての指示をいたした次第でございます。
 第四に、公庫の指定代理店のうち、成績不良のものに対する指導に関する措置であります。代理店に対しましては従来とも監査等の方法を講じまして、その業務の適正化に努めて参ったのでありますが、状況によりまして資金の配分額の減額あるいは取扱いの停止等の措置を講じておりますが、今後ともその指導監督に遺憾のないことを期することといたしまして、なお目にあまるものがあれば、指定の取り消しというような方法も考えて参りたいと考えております。
 第五が市中金融機関の融資の促進についてであります。各金融機関団体の代表者あてに文書をもちましてその促進方を要請するとともに、本月の五日でございますが、中小企業金融の円滑化について種々検討をいたしまするために、全国銀行協会連合会と市中金融機関の代表者、日本中小企業団体連盟等中小企業界の代表者、政府関係金融機関の代表者等に参集をお願いいたしまして、中小企業金融懇談会を開催いたしました。そこでその方策の審議並びに協力を強く要請いたしたのであります。
 第六に、信用保証の信用補完制度の改善の点でありますが、保証範囲の拡大等につきましては、法律改正等の措置が必要であろうと考えられますので、目下当方におきまして慎重に検討を重ねておるところでございます。
 第七番目が下請支払いの促進の問題であります。政府といたしましても政府支払いに関連する下請中小企業に対する支払い促進をはかるために、各省各庁各公社に適切な措置を講ずるよう指示をいたしましたし、また地方公共団体に対しましても同様の措置を講ずるように通牒をいたしましたほかに、主要会社数百社に対して下請支払いの促進を依頼して参ったことは先ほど申した通りでありますが、さきの金融懇談会におきましても、市中銀行の融資に当りましては下請支払いの円滑化についてもその協力方を強く要請しております。また公正取引委員会ともさらに密接な連絡を保持して、十分遺憾なきを期したいと考える次第でございます。
 最後に、災害都市におきまする融資の促進をはかるために、以上のような改善措置に加えまして、特に次のような措置を講ずることといたした次第でございます。すなわち中小企業金融公庫につきまして、直ちに職員を現地に派遣いたしまして融資の促進をはかるほか、貸付期間について、当該企業の実態並びに罹災の状況を勘案いたしまして、無理のない期間を設けることといたしました。また現行の貸付限度五年をこえることができるように、特別の例外措置を講ずるような方法もとったわけでありまして、災害都市の復旧についてできる限りの措置を講じている次第でございます。
 以上が、今日まで私どものとりました中小企業に対する年末金融措置の大要でございます。
#4
○委員長(三輪貞治君) 以上の説明に対し、質疑のある方は御発言を願います。政府側の出席は、ただいま説明をお願いいたしました中小企業庁長官佐久洋君、同庁振興部長秋山武夫君、政務次官川野芳滿君であります。
#5
○西川彌平治君 年末金融に対しましては、諸条件が非常にゆるくなった関係もございますし、また政府関係者の心づかいもあったことと思いますが、全体的には大へんによく私は年末金融がいくのではないかと考えておりまするが、ただ大中企業に対しましては、ややよろしいのでございまするが、小並びに零細企業に対しましては、なかなかしわ寄せが非常に大きくいっておりまするので、非常に困難をきたしておるのであります。その部面に対しましてまあそれぞれ金融の手は伸びておりまするが、私がここに取り上げたいと思いまするのは、公庫の指定代理店が全国に相当にあるわけであります。そういう代理店の小並びに零細企業に対する扱い方の点でございまするが、ややもいたしますると、この年末時期をちょうど契機とでもいたしまして金はよく貸してくれるのでございます。たとえて申しまするならば、零細企業に対しまして十万円程度の融資は割合に簡単に応じてくれるのでありまするが、中には、その十万円が完全に零細企業に対して使われるのでなくて、はなはだしいものになりますると、その五割を定期預金に据置をさせられるというような事例が、今までにおいてたくさんあったのでございます。この年末におきましても、私の仄聞するところによりますると、そういうふうな融資のやり方があるやに聞いておるのであります。この点に対しまして中小企業庁では、何かその関係機関に注意というようなことを出しておるのでありましょうか、いかがでございましょうか。
#6
○説明員(佐久洋君) これはいわゆる金融が非常に逼迫している時代には、いわゆる両建あるいは手形の割引の場合の歩積みというようなことがかなり行われたようでありますが、もちろん中小企業者にとりまして、それが相当大きな痛手であったことも確かでございます。先ほどもちょっとその問題に触れましたのですが、いわゆる市中金融機関に対しては、歩積み、両建を一つ年末に当ってはなくしてもらいたいということを強く要望いたしましたし、市中金融機関としても、歩積み、両建というものはもうできるだけ一つなくしたいというような意向も強く述べております。ただいまのお話しの公庫の金についての両建ということでございますが、これは私はあまりないのじゃないかというふうに考えておりますが、もし、ありましたら、そういうことのないようにもちろんいたしたいと思います。金融がだんだん緩慢化すれば、そういう問題もおのずから解消されると思いますけれども、今までのところは、かなりそういう問題が中小企業金融の大きなガンと申しますか、問題として残ったことは確かであります。
#7
○西川彌平治君 この下請代金の支払いの問題でございますが、公正取引委員会等におきまして、それぞれ大会社に対して注意、勧告がありまして以来、支払いの状況は幾分よくなって参っておると私は見ておるのでありまするが、手形の期日が長期化しておるという点に対しましては、決してまだよくなっておらないと私は申し上げたいのであります。最近の手形はほとんど四カ月、五カ月あるいは六カ月、あるいは台風手形というような手形が続出しておるようでありまするが、こういう点に対しまする中小企業庁のお考えはどうでございましょうか。
#8
○説明員(佐久洋君) 手形の相当長期間であることは、これはもう確かに中小企業者にとっては非常に痛手でございまして、できるだけ私どもとしましても、手形期間を短縮するように努めてはおるつもりでございます。ことしの一月から六月までの間の下請関係の状況を調べた資料によりますと、昨年の同期から見ると、だいぶ手形の期間も短かくはなっておりますが、しかし、そう大きな改善は見られたとは思われませんので、その点については今後とも私ども改善をいたしたい、かように考えております。
#9
○西川彌平治君 災害都市の困窮者に対するところの思いやりに対しましては、非常に感謝を申し上げておるわけでありますが、何分にもその災害を受けました都市の復興は、三年や五年や七年ではなかなかむずかしいのでありまして、今回その貸付期間を五カ年をさらに延長するということを、ただいまお話がありましたし、その措置に対しましてはまことに敬意を表するものでございますが、私の聞くところによりますると、なかなか簡単にはいかないから、九年ないし十年ぐらいに一つお願いをしたいということを強く要望しておるように聞いておるのでありますが、この今のお話しでは、七カ年とかいうようなお話があったやに私は今記憶しておるのでありますが、これは最高を何年ぐらいにお認めをいただけるようなお考えでございましょうか、伺っておきたいと思います。
#10
○説明員(佐久洋君) 災害地の金融問題では、これはなかなか私どもも頭を痛めた問題でありますが、長期であればあるほど有利であることは間違いがないのでありますが、急にあまり全般的に長期にするというのも、ちょっと工合の悪い問題でありますので、一応先ほど申しましたような期間の延長をいたしまして、これが最高幾らということは私の方できめておりませんので、現実の問題に当りまして、そのつど、返済の問題をさらにきめていった方がいいのじゃないか、かように今のところ考えておるわけであります。
#11
○中川以良君 大体西川委員から御質問申し上げたのですが、特に伺っておきたいのは、私は中小企業金融公庫がせっかくできて、活発に中小企業の金融をやっておるのでありますが、衆議院の決議の中にもございますごとく、指定代理店の中に、これに対する熱意がない。積極的にその指導をしていかない。いろいろ頼みに行っても、結局ペイしないこういう金融はめんどうでしようがないというようなそぶりをする向きが相当あるようです。こういうような事例はいろいろ中小企業庁においても御承知だと思いますが、それに対していろいろ指導、警告その他あると思いまするが、一体どういうふうにそれを指導改善にお努めになっておられるでしょうか。
#12
○説明員(佐久洋君) 代理店が本来の中小企業公庫の設立の趣旨を十分に認識し、しかも代理店というよりも、むしろ実際に窓口に当って金を借りに来られた人と接触する人の気持が改まることが私は先決だと思いますが、どこの銀行が悪いというようなところも一応わかっておりますけれども、ここで申し上げるのは工合悪いのですが、そういうものにつきましては、しばしば口頭ではありますが、注意をいたしておりますので、だいぶ最近は改善されたように思っております。結局これはもうその衝に当る者の私は心がまえであろうと思いますので、何回も重ねてその趣旨を話し、気持を改めるように指導するということ以外には私ないんじゃないか、かように思っております。
#13
○中川以良君 その点は一つ一そう御注意をいただきまして、せっかくわれわれが政府に御協力を申し上げ、かような画期的な中小企業金融機関を作ったのであります。これがぜひ一つ一般の中小企業者に徹底をして、しかもこれを利用することを銀行みずからが一つ宣伝指導をするように努めていくようにお願いしたい。そういう悪い銀行に対しましては徹底的に御警告を発していただく、またこの取り消しをするというような処置を一つ果敢にお取りいただきたいと思う。
 それから公庫、商工組合中央金庫の貸し出しの条件が緩和されたことは、これは非常に適切な処置だと思いますが、現在借りておりまするものに対しても、従来三年を五年に延ばすというようなことがある程度簡単なる手続でできると、こういうことを考えておいででございましょうか、どうでしょうか。
#14
○説明員(佐久洋君) 従来貸したものについての期限の問題は、期限が到来したときに考えればいいんじゃないかというふうに考えております。
#15
○中川以良君 それはまあ当然そうでございましょうが、新たなるものに対してこれから五年にするというようなこともやっておいでになる。現在返済の期間が迫っておる。しかしこれはもう少し延ばしてもらった方が円滑にいく、こういうようなものはやはり延ばしてやるべきじゃないかと思うのです。これはどうでしょう。
#16
○説明員(佐久洋君) それはその問題について一般的にということでなしに、その問題についてやはり延ばすものは延ばしていった方がいいと私はかように考えております。
#17
○中川以良君 ぜひ一つそういう御指導をお願いしたいと思います。
 それから信用金庫、相互銀行、これは零細な金融をやっておるのでありますが、これはややもすると、その方面のボスを主体としての不正金融をするおそれがないでもございません。いろいろなそういう事例があるのであります。こういうものに対してはなかなかどうも監督官庁の取締りが十分にいっていない。これはあるいは大蔵省関係かもしれませんが、そういうような面についてやはり中小企業庁としても従来御関心がございますかどうか、そういう事例をお聞きかどうかということを一つお尋ねしておきたい。
#18
○説明員(佐久洋君) もちろん金融機関でありまするから、公正なしかも公共性を持った行動をしてもらうことが望ましいわけであります。中には確かに今お話しのような話も若干聞いております。なかなか数が多いので監督が十分に行き届かないというような点もあろうと思いますが、そういう点のないように大蔵省と十分連絡をとりたいというふうに考えております。
#19
○中川以良君 せっかく大衆の金融機関として、従来の組合なりあるいは無尽事業というものをああいう制度に変えてきたのでありますから、これがほんとうの零細な大衆に対する金融機関としてのまじめな機能を発揮するように、これは一つ十分に御監督いただき御指導願いたいと思います。年末に当りましてそういうようないろいろな事例を私も陳情を受けておりますので、特に御注意を申し上げておく次第であります。
#20
○海野三朗君 中小企業庁長官にお伺いしたいのですが、昨年の国会におきまして、中小企業金融公庫の方面の金融問題について、私はある会社のことをよく知っているので、その出先機関である都民銀行に行けということを私は言うてやった。そうしたところが、その銀行に行きまして青写真約四十枚近くを提出させられた。その結果が利益が少いからといってはねられた。そういうふうな公庫のあり方ではならない、つまり旅館とかそういう方面の金の入る方面にばかり出先機関は重きを置いておって、国の重要な産業を担当しているところの中小企業の方面に対しては、銀行屋あたりにまかせておいたのではいけないということを強くこの前主張しておいたのでありますが、その後中小企業庁としてはいかなる対策をとっておられますか、それを承わりたい。
#21
○説明員(佐久洋君) 中小企業金融公庫も一つの金融機関でございますので、全然資料なしに金を貸すというわけには参らんと思いますので、ある一定の資料は必要であろうと思います。ただ、ただいまのお話しのようなそういう膨大な資料を取る建前には私はなっておらないと思いますので、それはおそらく具体的な例を調べてみないとわかりませんが、代理銀行が少し行き過ぎているのじゃないかというふうに考えております。先ほど中小公庫の貸出の迅速化をはかったという、具体的に一つ一つ申し上げませんでしたが、その中にも書類の簡素化というようなことも入っておりますので、ただいまはそういう厄介なことはないと思っております。
#22
○海野三朗君 そういう際につまり公庫の方に直接申し込むというような方法があるのですか。
#23
○説明員(佐久洋君) 今年の十月から新しく中小企業金融公庫が直接受け付けまして直接貸し付けをする方法を始めました。まだ始めましてから間もないことでありますので、そう十分な効果は発揮しておりませんが、だんだんこの方法は拡大して参りたい、かように考えております。
#24
○海野三朗君 どうかわれわれがこの法案の通過の際に当ってはやかましく論議したのでありますから、この中小企業の育成ということに重きを置いていただきたい。あるいは医者、歯医者なども入るでしょう、あるいは旅館も入るでしょう、あるいはパーマも入るでしょうが、そういう方面に重きを置かないで、生産の、工業に従事する方面、堅実な中小工業の方面に重点を置いて今後やっていっていただきたいということをここにお願いいたしまして私の質問を打ち切ります。
#25
○古池信三君 二、三お尋ねをしたいと思うのですが、中小企業金融公庫の直接貸しの状況はどんなふうになっておるか。ちょっと概略を御説明願いたいと思います。
#26
○説明員(佐久洋君) これは十月から始めまして、大体本年度内に資金ワクとして一応二十億ぐらいを考えたのでありますが、予想以上に希望者が多うございまして、件数といたしましても現在正式に受理をいたしておりますのが、件数といたしましてざっと百件でございます。その前に直接貸しを受けたいというので相談に来た、あるいは様子を聞きに来たというようなものはもう非常に多くて、最初はそれの応接にいとまがなかったというような調子でございます。ただいま申し込みを受けておりますのが金額にいたしまして約五億でございます。すでに貸し出しを完了いたしましたのが三件で三千万円、一件一千万円が三件でございます。この新しい制度でありますので、審査に存外時間をとりまして、私どもも新しい制度であるだけに好評を博するためにもどんどん審査を急がしておりますが、年内にできるだけ一つ金を出すようにということで督促をいたしておるところでございます。最初考えました以上に好評を博しているような状況でございます。
#27
○古池信三君 今の三件の三千万円というのはどういうことでございますか。全体の数字ですか。
#28
○説明員(佐久洋君) 三千万円というのは貸し出しをすでに完了いたしました金額でございます。
#29
○古池信三君 十月から始めて今まで完了したのが三千万円というのは少し少いように思うのですが、何か特別な理由があるのですか。
#30
○説明員(佐久洋君) 最初受け付けてからすぐにある一定の期間で締め切って、すぐに審査を始めるということであれば、もっと私ははかどったと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、非常にたくさんの申し出がありまして、その中で一般市中金融機関で十分にやれるというものについてはその市中金融機関のあっせんをかなりいたしまして、本来の公庫の趣旨から考えて貸すのが適当であるというのを選んで正式に受理をいたしたわけであります。その間にかなり時間を食った関係もあります。また最初のことでもありますので、審査に割合に時間を取ったということ、こういう関係で若干おくれておるようでございます。これはもちろんもっと早くするのが本来の趣旨でございますので、先ほど申しましたように督促をいたしておるところでございます。
#31
○古池信三君 この直接貸しをやり得るのは、本店とそれから他の支店でもやれるんだろうと思うのですが、もしそうであったとすれば、何か地方別の希望者の数字でもわかっておりますか。
#32
○説明員(佐久洋君) きょう実は資料を持って参っておりませんので、正確な数字を申しかねるのでございますが、必要とすれば作りまして差し上げたいと思います。
#33
○古池信三君 ただいまのはまた後日でけっこうでございますが、せっかく新しい制度を考えられたのですから、ぜひこれを有効に利用できるように今後とも御尽力を願いたいと思います。
 それからその次には先ほども同僚の委員からお話がありましたが、せっかく代理店として指定されていながら、中小企業金融公庫の資金の利用についてはなはだ熱意を欠くものがある。こういう話が出ておったのですが、またその逆に、ぜひその代理店の指定を受けたいと、こういう希望を持ちながら、いろいろの事情で代理店に指定されておらぬという金融機関もあるだろうと思うのです。そういうような状況はどんなになっておるか、ちょっとおわかりになっておるなら一つ、なお、現在指定を受けておる窓口機関は幾つあるか、その数もちょっと。
#34
○説明員(佐久洋君) 現在指定を受けておりますのが、本店数で四百四でございます。さらに新しい代理店として指定をぜひしてもらいたいという希望を申し述べておりますのが、正確な数字をはっきり覚えておりませんが、百前後であったと思います。そのうち五十ないし六十見当を新しく追加したいというふうに考えております。
#35
○古池信三君 それは大体いつごろその指定になるのですか。
#36
○説明員(佐久洋君) これは大体のもう下審査と申しますか、かなり時間をかけてこまかな検討もいたしましたので、数日のうちに決定できると思います。
#37
○古池信三君 なるべく地方の金融的に非常に困っているようなところにできるだけ重点を置いて指定をしていただきたいと考えます。
 それからもう一つのお尋ねしたいことは、中小企業の窓口としての銀行の態度でありますが、中には非常に忠実に中小企業者のために利益をはかって、熱心に事業をやってもらっておるところが多々あると思いますけれども、中には資金の回収を非常に急ぎまして、ずいぶん無理なことを要求しておるところがあるやに聞き及んでおるわけでございます。たとえば中小企業がやや不振に陥ったというような場合になりますと、急いで回収せねばならんというので、ずいぶん無理な手続を要求するというそういうようなために、せっかくもう少し心配してもらえば十分再建できるというような中小企業者が、ただ徒らにつぶれてしまわなければならないというような例も聞いておるのであります。そういうことにつきましては窓口機関としてはもう少し親切なあたたかい気持をもって中小企業の立場に立って、どうしたら再建できるか、どうしたら事業がうまくゆくかということの相談相手になるような気持で今後運用してもらわないと、ただ自分の銀行が損をしなければいいというだけで、非常に無理な回収を督促するというようなことがあっては、せっかく中小企業金融公庫を作ったその趣旨にももとるのではないかと思うわけです。そういうようなことの点についてはずいぶん政府として御調査になっておると思いますけれども、今後さらに強力に御調査の上、そういうことのないようにできるだけ立ち直れる中小企業者は十分これの相談相手になって、建て直すように努力をしてやると、こういう点に御留意を願いたいと思うのですが、これに対する長官の意見をちょっと承わりたい。
#38
○説明員(佐久洋君) 全く御趣旨は同感でありまして、中小企業というのはもともとその資力におきましても、あるいは技術の点におきましてもどうしても脆弱でございます。もちろんこの全部を人に頼って他力本願というような行き方は私は賛成いたしませんが、自立精神を養成すると同時に、側面からあたたかい育成保護というものを与えてゆく必要があろうというふうに考えておりますので、ただいまのお話しのような特に従来顕著な現象でありました、金融をちょっと締めればもうそれでばったりと参るというようなときにおきましては、金融業界の態度というものに非常に中小企業者にとっては悪く出られた場合には痛い目にあうわけであります。かりに若干金融状況が正常化してゆるんで参りましても、なおさらあたたかい気持で当ることが必要であると思います。そういう方面の指導について万全を期して参りたい。かように考えておる次第でございます。御趣旨は全く同感でございます。
#39
○古池信三君 私の聞いておりまする例についてみますると、他の一般市中銀行でさえもその業者に対しましては非常に協力的に考えておる。しかるにその中で中小企業金融公庫の代理店だけが非常な強いと申しますか、いんごうな態度に出て、連帯保証人の住んでおるうちまでも取ろうというような態度に、非常に冷い態度に出ておると言って、非常に悲しんでおる実情を見ておるのであります。そういうようなことがあっては、これは何のために政府が中小企業金融公庫のためにいろいろ心配をしておられるか、その趣旨が末端にさっぱり徹底しておらんじゃないか。こういうことを考えますので、ただいまの御意見のように今後十分そういう中央の趣旨が末端の窓口に徹底するようにおはかりを願いたいということを強く希望いたします。
#40
○白川一雄君 先ほど御質問があったのでありますが、下請に対する支払のことにつきまして、手形が長期になっておるというお話がありましたが、特に小企業者におきましては手形をもらうのがまだいい方なので、手形をもらう前に長く未払いのまま置いておいて、そしてその手形をもらうときには、未払いの半分とかあるいは三割というのを百二十日とか百五十日という手形で渡しておるのであります。実際には品物を売ってから金が入るには十カ月以上かかる。だから世間では最近陣痛手形とさえいっておるような始末で、ですからわれわれから考えますと、日本銀行の貸し出しが少くなった、市中銀行の金がだぶついておるという半面には、金利のかかる借入金を大きな銀行家の方へは支払って、そのしわ寄せを下請の方に寄せておるという実情が多分に見られるのであります。単に手形の期日が長くなったというだけでなく、その前に長い未払いに立てておる期間があるということを十分御調査になって、特に年末も迫っておりますので、できるだけ早く下請代金を支払うように当局で格別の御努力を願わないと、一方景気がいいと言っておる半面、小企業者は金融にてんてこ舞いをしておるというのが現状のように見受けられますので、その点先ほどの質問に関連いたしまして強くお願い申し上げておきたいと思います。
#41
○説明員(佐久洋君) ただいまのお話し、中小企業庁の調査によりましても明らかに出ておるところであります。現在の制度なりあるいはわれわれの努力の及ぶ限りのことをやっておるつもりでありますが、それでもなお強制力というものがないものですから、全部が全部うまくいくかどうかということについては一まつの不安を持っておるわけであります。考え方によりましては下請に対する支払いについて何か法律をというような考え方もあるようでありますが、よほどこの法律も考えませんと、下請業者自体の競争が激烈でありますので、かえってやかましいことを言うならもう下請はやめだというようなことで、下請関係から排除されるというような逆効果の方が大きく出てこやしないかというような心配もありますので、その辺を今後どうやっていったらいいものか、はっきりした考えも実は私どもにありませんが、何かの方法を一つ考えなくちゃならんというつもりでおるわけであります。
#42
○河野謙三君 先ほど衆議院の「中小企業年末融資に関する件」で八項目の決議が出ましたが、それに対して一項目ごとに御説明がありましたが、これはこういう八項目の要望を待つまでもなく、すでにそれぞれ御説明があったように通産省では適切な手を打っている、こういうことですか。先ほど御説明を聞くと何か一々……、この決議は十一月二十八日で、ついこの間ですね、ところがあなたの方ですっかり手を打ってあるというのですか、どういう意味です、これは。
#43
○説明員(佐久洋君) 最初に経過から申し上げますと……。
#44
○河野謙三君 経過はいいですよ。どうなんですか。要するにこれに対して、こういう決議を待つまでもなく一から八までいろいろ御説明があって、すでにもう政府としては適切な手が打ってある、こういうことですか。
#45
○説明員(佐久洋君) そうです。
#46
○河野謙三君 そうするとこの決議はまああなたの方から見ればもう時期おくれであって、衆議院の商工委員会がおっしゃるまでもなくわれわれは先に手を打ってある、こういうことですね。
#47
○説明員(佐久洋君) 決議の中で、たとえば新規預託を増加するとかというような問題はこれは従来私どもが手を打っていなかった問題でありますが、先ほど御説明しましたように、それについては別に運用部資金の繰り上げ使用というような方法を講じたわけでございます。それからこの決議がなされる前にこの問題についての全部の手を打っておったというわけではございません。一部はもちろん手を打っておりまして、決議がありましたあとでさらにこの決議におこたえ申す意味で具体的な御説明を申し上げた、こういうことになっております。
#48
○河野謙三君 どうも毎年盆暮れには同じような決議をして同じような答弁を伺って、私の知る範囲において二年、三年の間少しも進歩していないのだな。私はこの八つの項目もさることながら、金利の問題をちょっと伺いたいのです。たとえば商工中金なら商工中金の金利コストというものは最近下りつつございますか。
#49
○説明員(佐久洋君) 大きな下り方はないのでありますが、資金源として債券発行に頼っておりますので、その利率の低下によりまして若干低下するということになると思います。
#50
○河野謙三君 私はもう少し具体的に聞きたいのですがね。というのはこういう八項目の問題は私が先ほど申し上げたように、これはいずれも妥当な要求でありますけれども、根本は金利ですよ。いかに貸します、手続は簡単にします、何しますと言ってみたところで、今までのように金利が高くてはだめなんですよ。去る国会において本院の付帯決議によって、それにこたえて金利の引き下げをやってくれました。これは非常に感謝しております。歩積み等につきましても非常に条件を緩和して、これは非常に緩和しておりますけれども、御承知のように一般金融を非常に緩和して今後一般市中銀行の金利というものは下る傾向にあるのですよ、それに追従できるだけの準備ができておりますか。
#51
○説明員(佐久洋君) これはお説の通り特にこの中小企業に対して金利が安いことは必要でありますが、どうも今まで安い原資を手に入れるのに困難をしておったために金利が下らない。現在も私どもとしてはたとえば商工中金にしましても、あるいは金融公庫にしましても、どちらも同じでありますが、商工中金について言えば運用部資金の借り入れなり、あるいは中小企業公庫について言えば政府出資の増額なりというようなことを大蔵省と折衝をしておるのでございます。そういう方法によりまして金利を下げたい、こういうことを考えておるわけであります。
#52
○河野謙三君 もうわれわれの常識から言えば、非常に資金源は安いのですね。しかるにですよ、金利コストが私の知っておる範囲については従来割合高い。それにつきまして何かこれらの公庫なり、商工中金なりの機構、その他運営につきまして、もう少し通産省が積極的に指導されませんと、今後の金利の漸落傾向に処して追従していけないと思うのですがね。そういう何か御検討をなすった資料がございますか。たとえばコストの中で、市中銀行とこの公庫や商工中金の場合の人件費が一体どうなっているか、一般事務費がどうなっているか、こういうことについて、いわゆる原価計算的なものの市中銀行とこういう特殊金融との何か比較検討された資料がございますか。
#53
○説明員(秋山武夫君) きょう実はうっかりそのこまかい資料を持ってきておりませんので、数字的なお答えはいたしかねますが、ただいま御指摘の人件費関係、たとえば給与ベース、それから経費の全体としての率というようなものを、市中の金融機関、と申しましても、もちろん大銀行ではないのでありますが、相互銀行とか、あるいは信用金庫というような程度の中小専門金融機関と比較いたしましても必ずしも高くはないのでありまして、経費率あたりは相当低い、またベースも低いというような状況でございます。従ってやはり私ども金融の大きさからみましても、中金金利の引き下げということの中心問題は、原資コストの引き下げということに待つほかはないということに考えております。
#54
○河野謙三君 いずれ資料をいただいた上で検討させてもらいますが、今の御説明を基礎にしますと、もう少し金利は引き下げる余地がある、かような結論になると思うのですが、そういうふうに承知していいですか。これは一般の金利の体系をくずしたりなんかするといかんという関係がありますが、それらのことは考慮の外に置いて、ただこの特殊金融だけの金利コストから計算していって、一般の金融機関と総合的な関係がありますから、この機関だけ勝手に金利を引き下げるというわけにはいかぬでしょう。そういうことはありますけれども、それは別にして、この特殊金融機関のコストの面から言えば、今の貸付金利よりももっと下げ得る余地があるということにはなると思うのですが、そうじゃありませんか。
#55
○説明員(佐久洋君) これはもちろんもう少し具体的な数字に当って検討いたしますが、実は私その点について十分の知識がありませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、経費の節減によってはそう大きな金利引き下げというものは期待できない。やはり安い原資を入れるということによって金利を引き下げるということが筋じゃないかというふうに思います。もちろんこの経費の引き下げについては再検討もいたしますし、ぎりぎりのところまで引き下げまするように指導はしなくちゃならぬと思っております。
#56
○河野謙三君 資金源の点はあなたのおっしゃった通りですが、一般の経費の点においてはよそよりも高いことはない、こう言うのでしょう。しかるに貸付金利は高いのです。現実に……。だからそこで金利をもう少し下げる余地があるじゃないか、こういうことでお尋ねしているのですよ。下げる下げないという最後の段階は、いずれ日本の金融体系全体から見て、これは複雑な問題がありますから、これは今お答えをもらう必要はない。たとえば商工中金なら商工中金だけの計算においては、貸付金利と金利コストとの間にまだ幾らか貸付金利を圧縮する余地があるという私は結論になると思うのですがね。そうじゃないですか。……いや、その点、まだ長官は就任早々でありますので、十分一つ検討されて、私は先ほど申し上げたように、この八項目はどうでもいいというのじゃないのですよ。これらのことよりももっと大事なことは、金利のコストを下げて貸付金利を下げるということなんですよ。その面に触れていかなければ…−、これは政務次官もおられるけれども、これは政策的に一つ十分お考えを願いたい、私はこう申し上げるのですが、お答えは後日でけっこうです。
#57
○中川以良君 中小企業の金融の問題は、これはまあこの年末においてわれわれが声を大にして申し上げるまでもなく、本委員会では中小企業の問題を取り上げるたんびに、この間衆議院で決議をされたこの八項目の問題、その他各委員諸君が御質疑になった点は常に申し上げて政府をただし、政府を御鞭撻を申し上げておる問題であります。今さら決議をするような問題じゃないのでありまして、政府自身がもっと活発にこの問題は一つ果敢に施策を行なっていただかなければならぬ問題、ことにわが国産業の中核をなす中小企業の金融の問題に対しましては、もっともっと御関心を持っていただきたいと思います。きょうは大臣が御出席になっておられませんが、幸い政務次官がおられますので、一つこの機会に政務次官より政府の決意のほどをはっきりとここで御言明を願いたい。
#58
○政府委員(川野芳滿君) 中小企業金融の問題につきましては、十二分の金融措置をやりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#59
○委員長(三輪貞治君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#60
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて下さい。
 他に御質疑もないようですから、本件に関する本日の質疑はこれで終了いたしたいと思いまするが、異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(三輪貞治君) ではさように取り計らいます。なお、質疑中に資料の提出を御要求になりました古池信三君並びに河野謙三君の調査資料は、会期の都合もありまするので、早急に作成の上御配付を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#62
○委員長(三輪貞治君) 次に、経済自立方策に関する調査の件を議題といたします。初めに科学技術行政に関する件を議題といたします。
#63
○海野三朗君 私がお伺いしたいと思いますることは、この行政事務なるものの主体者としての重要資格は何であるかと申しますと、その基本的知識につちかわれた人格識見と、これから生ずるところの有機的な管理能力でなければならない。この意味で、たとえば一国の産業行政のようなものは、いわゆる人文科学の基礎教養に立つ人格識見と、自然科学の基礎教養に立つ人格識見、この両面の機能のバランスによって初めて円満にしてかつ完全に打ち出されるものであることはきわめて明らかであります。今、端的に申しますならば、この産業行政のようなものは、機械学、化学、林学、鉱山学、それ自身の単なる展開でないと同様に、法律学、経済学の単なる展開でも決してないのであります。これはあくまでも前述のようにこの人文、自然両科学、それぞれの分野の基礎的知識教養に立った人格、識見ないし管理的能力の発露でなければならない。これから結論として出てきますところは、一国の産業行政の事務の主体者であります。人文科学系の人材と、自然科学系の人材とが相待って、車の両輪のごとく運営されなければならない。そのどちらに偏するのも行政効果は至難なものとなるのでありまして、このきわめて理解しやすい前提に立って、今通産行政の二、三について私が伺いたい。
 重工業、軽工業、繊維、そういう方面のこの日進月歩の近代産業の科学技術を占めようとする行政に、商工省開設以来自然科学系の局長がおったためしがない。ただ一人戦時中豊田海軍大将が少将のときに機械局長に一人あったばかりである。これが一つ。また石炭、鉱山局長も現在一名も技官局長がないのであります。そうして時折緩衝策として鉱山保安局長を技官をもって充てた例もあるのであります。次には、企業局の任務中、企業の産業資金の計画とか、外国技術導入の計画など産業技術の完全なる実態の把握を必要とするにもかかわらず、局長はおろか課長一名も技術系統は充てていないというようなこと、こういうことでは通産行政が決してわれわれが考えることほど伸びていっていない。たとえばミシンの工業にいたしましてもそうであります。ミシンのことをよくわからない人間がこれを採用するのであるから、過日も石橋通産大臣が衆議院においては当座限りの答弁をしておられる。また硫黄の問題についてもそうである。この技術的な基礎教養を持った人が立たないで、事務一点張りの人ばかりがこういう通産行政をやっておるということは、私は根本からゆがめられておる現象であると考えるのでありますが、政府当局はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。
#64
○政府委員(川野芳滿君) 通産省といたしましては不公平な人事をやったわけではございませんので、適材適所というような考えから人事をやっておる、こういう点を御了承をしていただきたいと思います。
#65
○政府委員(岩武照彦君) ただいまの政務次官の答弁を補足いたしましてお答えをいたしたいと思います。御指摘のように官庁の行政が技術的な基礎と経済的な判断のもとに立たなければならぬことはこれはもう当然でございます。のみならず役所の組織といたしましては、これは単独の、あるいは大臣、局長、課長というふうに一応長といたしましては一人に相なっておりますが、その中の組織は、これは技官と申しますか、技術的な知識経験に富んでおります者、あるいは経済的な知識経験に富んでおります者合せまして一つの組織としてあるわけでございます。その上に立っておりまする長かそれぞれ総合判断をいたしてことをきめております。こういうふうに下から上にピラミッド型に積み上っておる、こういうことでございます。従いまして特定のポストに、あるいは技術的な知識経験にすぐれた者か当るものもございましょうし、あるいは事務的な知識経験にすぐれた者が入る場合もございます。これはそれぞれそのときのいろいろな人事の都合等もございますので、画一的にこのポストは技官で占むべし、このポストは事務系統で占むべしというような固定した考えは持っておらないのでございます。御指摘のございました企業局の問題等にいたしましても、これはむしろ各原局がそれぞれの技術的判断、あるいは経済的判断等をもちまして、それを企業局で総合いたしてやっておるわけでございます。また重工業局、軽工業同等にはそれぞれ課長以上にいたしましても数名のポストを持っておる。ポストを持っておるというと、言葉は悪うございますが、技官的な経験の豊かな人が現在数名就任いたしております。決してこれは、数でありますと事務系統の者が現在のところ多いわけでございます。しかしこれは決してこのポストが技官だ、このポストが事務官だというふうな扱いをせずに、適任者があればこれは事務系統、あるいは技術系統を問わずその地位に充てるというふうな考え方で人事の方はやっております。従いまして特にある方面に片寄るとかいうようなことは、たまたまその組織の長がいずれかということできまるというようなことではないと思います。
#66
○海野三朗君 ただいま次官及び官房長からの御答弁がありましたが、率直に申し上げますと、非常なごまかしを言っていらっしゃる、しからば私は事実をあげてこれからお伺いいたしましょう。そういうふうなごまかしを私は伺おうと思ったのではない。現在技術系をやった者は、事務系統をやった者と人種が違いますか。まずそれから伺わなければならない。ところが通産省で局が幾つありますか。その局長には技術系が今まで出たためしがない。たった一人あるのみである。いかに適材適所とはいえども、これは全く抱腹絶倒の御答弁であると申さざるを得ない。先ほどの中小企業庁の方からも、中小企業の育成に金融面ばかりやっておるから、先ほど私が質問をしたのがあれなんです。中小企業の現状を知らないでもって、金の出し入れなんかばかりやっておるのが中小企業庁長官で事足りると思ったら間違いである。金の出し入ればでっち小僧にもできるのである。私はここにこそこの工業の相当な知識を持った人がその要路に当っていない証拠が、中小企業庁のこの金融公庫のあり方でも何でも、みな全部それから出てきておると私は思う。それからただいま官房長の御答弁ではありますけれども、同じ大学を出ておりながら高文を通った者と通らない者とでは格段の差がある。まず私は資料の提出を要求いたしますが、通産省における各局長が技術系であるか、事務系統であるかをまずお調べを願いたい。そうしてその卒業年次と手当の調べの表をお出し願いたい。ここに格段の差があるのです。こういうふうなことは私はゆがめられたる日本の通産行政でありまするがゆえに、その結果はどこに出てきておるかと申しますると、今日困っておるミシン業者の問題、このミシンの方についてはどういう見通しがある人が通産行政を扱っておるかと申しますと、場当り的な事務官ばかりがやっておるから、今日そんなミシンのざまになっておる。また硫黄にしてもそうした硫黄はどんどん国内に産しておるにかかわらず、輸入せんとしている。こういうふうなことは通産行政がゆがめられておるということは明らかなのであります。戦争当時も各大臣、各町村長が軍人でなければならなかった時代がございましょう。そういうふうな考え自体が日本を敗戦のどん底にたたき落としたのである。通産行政をやる局長あたりが事務官でなければやり得ないとするその考え、そのことが日本の産業を阻害しておる一大原因であると私は考える。官房長は、今適材適所であるということを次官も言われましたけれども、その昇給、人間の割当を握っておるのは官房長でしょう。あなたが胸に手を当てて考えてみればよくわかる。高文を通った人と、通らない人とちゃんとポストはみな作ったりストを手元に持っていらっしゃるでしょう。今企業庁長官がやめれば今度だれが行く、だれが行くということはちゃんとリストを持っている。そのリストを一つ出してもらいたい。そうしてしかも技術者は眼中に置いてない。それでありますから通産省においては技術者はほとんどいません。私はその点について通産行政がゆがめられているということを根本から思うのであります。まだまだたくさんありますが、まずそれから一つ官房長の御所見を承わりたい。
#67
○政府委員(岩武照彦君) お言葉でございますが、今先生のお話しの中では二つの問題が実は一緒になっているかと存じております。一つは私が先ほど申し上げましたように局長たる者は決して事務官に限ってございません。技官といえども適当な方があればこれは当然局長にいたします。その例は先ほど申し上げた通りであります。電気のお話でございましたが、電気関係の技官のうちで、局長たるにふさわしいものがあれば、これは当然その地位にあることもあると考えております。別段事務官でなければならぬとも考えておりません。それからもう一つのお話は、これはむしろ通産省というだけでなくて、各官庁の給与制度の問題に関連しておると思います。これはまあ高文という言葉がございましたが、現在は国家公務員試験六級職の試験、これは昔の高文に相当するのでありますが、一つの給与体系の基準になっております。これは人事院の給与の準則できまっております。そういう何といいますか資格のある人は、たとえば昇給昇格の年限は幾らで一級上るとかいうふうにきまっておりまして、現在、ただいま技官のお話がございましたが、技官の諸君でもこの昇給昇格の年限は同じでございます。その差別はいたしておりません。ただ、こういう問題がありますが、それは特定の技官、たとえば試験所等におきましては、これは大幅な人事交流等はできませんので、その試験所限りの級別の定数の範囲内で昇給いたします。従って試験所における高級の職級が少い場所は、これはなかなか上に上れない、こういう問題はあろうと思います。従ってその職場における、これはまあ試験所はほとんど全部技官でございますが、技官の諸君の昇給が、本省の技官の諸君よりおくれておるということはございます。これは問題が二つございます。一つはそういうふうな職級別の定数をふやすということ、それからもう一つは、研究体制でありますれば、これはむしろ一般の事務に従事いたしまするものの職階制を持ってくるのはどうか。むしろ課長あるいは部長にならなくても、専心研究を進めておれば、ある年限たてば有能な人は上の階級に進むというような研究公務員の体制が必要と思います。及ばずながら私どもも、毎年そういうふうなことでいろいろ予算あるいは人事等やっておりますが、なかなかこの研究公務員の職階制の問題は簡単に片づきませんので、残念ながらそういう研究の諸君の方は、これは本省の事務官あるいは技官の職に比べまして、ある年限たちますとどうしてもおくれて参る、これははなはだ残念に思っております。何とか解決する機会があればと思っております。
 それからたまたま今ミシンと硫黄のお話が出ましたので、お言葉で恐縮でございますが、ミシンの方は、これは担当の現在課長も、あるいは局長も、これは事務官でございます。硫黄の方は、これは課長は技官であります。局長は事務官系統でございます。それで私が申し上げたいことは、担当の局長なり課長なりが事務あるいは技術いずれであろうが、これはいずれに片寄らず組織として動きます以上は、課内に、あるいは局内におりまする技術、経済等の知識を総合いたしまして判断して、それに基いて課長なり局長なりが処理いたすということでございまするので、決してどっちかの区別……私は区別するのは実はおかしいと思っておりますが、たまたま先生が区別なさいましたから区別して申し上げますが、どっちかの区別に入る人がそこにおったから結論が片寄るとか、あるいは政策の方向がゆがめられるとかいうようなことは私はないと確信しております。御指摘がございましたから、お言葉でございますが具体的な事例を申し上げた次第であります。
#68
○海野三朗君 今のお話しで、まず通産本省の技官と事務官との待遇を一つ表に作って出して下さい。その資料の提出を要求いたします。それに対して、ただいま人事院の規則によって手当をこうだと言われるけれども、二五%の役務手当がついておる。これが、この役務手当を入れて今度は技官の方と比べてみると、ここにすばらしい差が出てきておる。いかにひいき目に見ても、これは公平なあり方とは考えられないのです。また適材適所であると言われるけれども、それを選定する人自身かどうですか。あなた自身が高文を通っておられるでしょう。高文を通っておる人たちがその牙城を作って、それでやっておる。通産省がことにはなはだしいのです。建設省もあれば、農林省も、運輸省もあります。すべての方面の中で、ことにこの通産省がはなはだしい。技術官の局長は一人もいない。たとえば重工業局長にしたってもそうだ。鉄の重大な問題、鉄鋼業にしたって、あるいは石炭業にしたって、それは皆事務官だ。あれじゃ何ぼひいき目に見てもこれはどうかと思うのです。ただいまのお話しでは、決してそういうことはないとおっしゃいますけれども、キツネに化かされておるときは、そのキツネに化かされておることに気がつかない。(笑声)自分の間違っておるときは、その自分の間違っておることに気がつかない。私はそれをお伺いしたい。そういうお考えであるから、今日ボロがたくさん出てきているのはそれです。たとえばバナナ、パイナップルの割当にしても、それからミシンのことにしてもそうです。あるいは硫黄のことにしてもそうです。事、ことごとくが中小工業に関することであるのに、それをやっておるのは事務官ばかりだ。世間をごらんなさい。あるいは日本製鉄にしてもそうです。いかなる会社にしたって、枢要なる地位には、必ず技術者が枢要なる地位を占めておる。しかし通産省が時代におくれてしまって、世の中がどんどん変っておる。通産省ばかりが安閑としてこの考えを持っておられては私はならないと思うのです。それでありますから、この間も通産大臣がミシンに対して当座限りの御答弁をしておられるけれども、あんな不徹底な御答弁はないと思う。そういう点についてはなお事務官は、技術官を本庁においては人間として扱っておりません。あれは特別な人種として扱っております。実際そうです。たとえば官房長にお伺いいたしますが、官房長、ほんとうに胸に手を当てて考えてごらんなさい。この次、企業庁長官はだれ、事務次官はだれ、高文を何年に通っておるからあれをやるということで、石炭局長から中小企業庁長官に持ってきてみたり、笑わせるわ。(笑声)こういうようなあり方は今に始まったことじゃないのです。これはあなただけを責めるのじゃありませんよ。決して私は官房長だけを責めるのじゃありませんが、こういうような行政でもってゆがめられてきておる。日本の産業というものも台なしになると私は考える。それから特許庁にしてもそうです。特許庁がなぜ通産省の下にあることをいさぎよしとしないか、その一つの原因はそこにある。技術官は人間だと思っていないのです、事務官の方から見れば。そういうような不平もある。あるいはもう職員の定員を通産省が食らっておるということもありましょう。いろいろございましょうけれども、これは何とか一つ官房長、その辺で一はだ脱いでいただかなければならない、私はそう思うのですが、ただいま申し上げました資料の提出を要求いたします。技官と事務官との待遇の差、これを一つ。
#69
○委員長(三輪貞治君) 今のは資料の提出だけで、御答弁は要らないのですか。
#70
○政府委員(岩武照彦君) 御答弁いたしたいところがありますから……。私は御指摘のように高文という試験を通ったわけでございますが、事務の範疇に属しますが、現在内局の局が九つありまして、現在のところはいずれも事務系統ということになるわけであります。ただ海野先生御指摘のように、先ほど申し上げましたが、根本におきまして、われわれ、技官の人と事務官の人と区別するのは実はおかしいと思っております。これは御指摘の通りであります。別段われわれも区別して扱っておりませんし、ただ何と申しますか、事務系統の人は、先ほど御指摘のように、いろいろポストも変り得まして、いろいろな経験を経るのに反しまして、技官系統の方は、これは機械とか、電気とか、あるいは応用化学とかいうことでございますので、なかなか機械の仕事を応用化学でやっていくわけには参らぬ。従ってまあ特定の分野の仕事に狭く深くなるということはございます。ただ、そういうことでございまするので、比較的事務系統の人は物をよく知っておる。簡単に申しますれば、事務官の諸君でもある程度の技術的な考え方知識等は得ておるわけであります。よく通産省の事務官は技官みたようだと言われておるのでありますが、ある程度のことはわれわれといえども、こまかいところはよく知りませんし、理屈も知りませんが、まあ産業技術の大体の動向はそれは心得ておるつもりでございます。たまたま、石炭局長が中小企業庁の長官になりましても、中小企業の問題のつぼはそうはずしておらぬと思っております。これは私が思っておるだけでなくて、皆さんもそれはそうだと思いますが、そういうことでございまするので、根本におきましては、この事務がどうだ、技術がどうだと区別するのは実はおかしい。これは繰り返して申し上げたいと思います。それから技官の諸君が、まあそういうふうなことで、いわば一極の差別感を持っておられるということは、われわれとしては残念でございます。劣等感と申しますか、ノイローゼと申しますか、そういうことであっては困りますので、一般の職員といたしましても、ある程度の役所の仕事をいたしますれば、法規に通じますし、だんだんに課長になる諸君も出てきますし、御指摘のように鉱山保安局長もこれは技官でやることもございまするし、また地方の通産局長も技官でやったこともございます。これはそのときによって適所適材ということでございまして、ポストがあいて適当な人がおれば、これは事務官であれ、技官であれ、適当にやっていく、あらかじめ特定のポストに特定の人を予定しておるということは全然ございませんので、これは私が人事をやるわけではございませんので、大臣両次官そのときの御相談できまるわけでございますが、決してそういうふうにあらかじめどうということはこれは全然現在やっておりません。これははっきり申し上げたいと思っております。
 それからもう一つ、特許の問題お話ございましたが、これはどうも若干誤解があるように存じております。特許庁の定員につきましては、二十九年度予算におきまして、当時行政整理がございまして、通産省全体の定員はたしか一割弱と思いましたが削減されました。しかるに特許庁の定員は四十三名プラスしてあります。言葉をかえて申しますると、当時一番整理の率がきつかったのが本省と通商局でございます。それをいわば普通の整理の率以上に減らしまして、そうして特許に定員をつけ、この人員を充足した、こういうことでございます。なお三十年度予算におきましては、これはこの春の国会であるいは申し上げたかと存じますが、この際は特にはっきり本省の定員を三十名落しまして、それを特許庁にふやしまして、現在そのうちでこれはまあ八月一日から施行でございまするから、現在全部特許勤務に変っているわけではございませんが、十一名だけ残っておりますけれども、これはその定員を現在特許にふやして勤務いたしております。従いまして特許庁から本省に定員を貸しておるというようなことは……現在残っておるのは十一名でございますが、これもだんだんに本人の希望も聞き、それからまた適所適材ということで特許庁に配置転換する予定でございます。年度内に終る予定でございます。従いましてこの特許庁の定員を本省なり通産省全体が借りているということはごうもございません。逆にまあいわば身を切って特許をふやしておるということでございます。この点は一つ特に御了承を願いたいと思います。
#71
○海野三朗君 今の特許庁がなぜ通産省の下にいたくないという運動を起しておるのかということを私は伺っている。それは今までの通産行政のあり方がいけないからじゃないかということを言っているわけです。その通産行政のあり方が間違っておるということは、局長が、ことごとく事務官で占領し、官房長初め皆高文を通った者でなければ通産省の局長にもなれんというようなあり方で、適材適所とさっき言われましたけれども、それは適材適所ということは大へん重宝なお言葉でありますが、なんぼやってもものには大てい限度というものがあるでしょう。国の中にことごとくが事務官で占領されているというようなこと、しかもその技術面、重工業局にしたって、石炭局にしたって、繊維局にしたって、ことごとくが事務関係でなければできんというようなことは、いかに人材中心であるとは言われるけれども、これはちょっと常識で考えて納得がいかないですよ。三分の二ぐらい占めるというふうならばまだしも聞えた話ですが、ことごとく百パーセント皆事務官が占領しているということは、これはちょっとまあ適材適所とおっしゃってもこれは国民が納得しないですよ。世間がみな笑っているんですよ。世間の大多数の人たちが通産省は時代おくれになっていると言っている、それだからして、ぼつぼつ馬脚が出てくるわけだ。砂糖の問題にしてもそうだし、いろいろな問題みなそうだ。私はそういうふうに考えるので、特許庁がなぜ通産省の下にいたくないかということを私はお伺いしたい。
#72
○政府委員(岩武照彦君) 実はそのお尋ねの点は私もよくわかりません。なぜ特許の、ことに技官の諸君が、通産省におりたくないということを方々に申して回っているか、思っていることはさっぱり実は私自身も心理状態わかりません。と申しますのは、先ほど申しましたように、通産省としましては特許庁の定員等につきましては相当まあいわば本省をまあさいているつもりでございますし、また内部の先ほど御指摘のような技官のポスト等みましても、現在特許庁には十二級以上の指定官職の職が四十ございますが、そのうち四〇%の二十四が事務系統で、六〇%が技術系統でございます。これは事務系統と申しましても、ここは御承知のように、特許関係四法の法律問題もございますので、単にこの技術的な見地だけから処理するというわけにも参りませんものでございますから、従いまして、まあ結論的に申しますれば、ある程度技官の諸君の何と申しますか、ポスト、待遇等も特にまあ差別待遇をしているという工合にはわれわれ感じておりません。それから部長でございますが、現在長官はこれは事務系統でございますけれども、部長の方も四部のうち半数はこれは技術系統でございます。事務系統の人といえども、これは一人が相当長年月特許庁でやっておりまして、これはむしろわれわれから申せば特許専門のまあいわば技官的な人であると、かように考えております。単に学校の出が法学部であるとか、あるいは工学部であるとかいうことで、あまり特許の仕事は区別するのはいかがかと存じております。そういうように長くあの仕事に専念してもらうということでやっております。別段それは事務だからどうだとか、技術だからどうだということは考えたことございません。ただまあ特許庁にあります技官の諸君がいろいろ訴えているところは、どうも通産省におってはあまり定員もふえないし、予算もふえない、よそへ行けばふえるだろう、待遇もよくなるだろう、こういうことではないだろうかと思っております。まあそういうふうな問題実は何とも申し上げられません。通産省にいるから予算を取れないということはちょっとわれわれにもわかりませんし、いわんや定員の問題はわれわれも身銭を切ってふやしている。なぜそういうふうに考えて外部に対して運動しているのか、私はよくわかりません。のみならずどう申しまするか、ああいう動きにつきましては内部の技官の諸君でもいろいろ批判があります。全部が全部あの動きに、あの動向に賛成をしているようでございませんのでございます。これは私は技官の諸君のまあ大部分でありますか、過半数でありますかわかりませんが、少くとも総意ではないように私としては見ております。
#73
○海野三朗君 もう一つ伺いたい。この官房長はすべて大臣のおぜん立てをして出されるあんたなのであるからして、将来そういうふうなあり方はとにかく不公平であると私は思うのですが、そういうふうな点はあんたはこれから改良していこうという御意思を持っていらっしゃるか、在来の通りでいいと思っていらっしゃるか、あなたの御信念のほどを承わりたい。
#74
○政府委員(岩武照彦君) これはどうも大臣にかわりまして答弁を申し上げることははなはだ僭越でございますが、まあ事務系統でございますけれども、まあ事務当局の方のあれとしましては、今まで各局の仕事につきまして十分な何といいますか、技術的な見地を入れてやっている、その通りやっていると思うのでございますけれども、あるいは日常のいろいろな仕事に追われまして、そういう点では欠けているところもあるかと存じますし、通産省傘下にはいろいろな試験場がございまして、相当大きな技術的な基盤を持ってございます。今後仕事の面におきましてはさらに一そう技術的な知識を入れまして、遺憾なきを期したいと思いますが、ただ問題は技術的な問題だけではいきませんので、日々変転いたします経済情勢とにらみ合せましてやっていきたいと思います。
 それからなお人事の問題はこういうところで申し上げるのはどうかと思いますが、これは先ほど申し上げましたように、この某々のポストが技官とか事務官とか考えたことはございません。たとえば局長にふさわしい技官の人がおれば、これは局長にしてもしかるべしだと思います。ただこれはこの官庁のただいまの給与の体制、あるいは昇給の体制等ございますから、いきなり幾ら優秀でも十一級の課長補佐程度の人をすぐ局長というわけには当然参りません。やはりたとえば十三級の古参の課長でいい人がおれば十四級の局長にするということは役所の人事の通則でございます。各省とも同じでございます。従いましてそういうふうに一局を背負うて立つに足る識見と、経済的並びに技術的知識を持っております人がありますれば、これはそのとき前任者がやめますれば、これは局長にして悪いという理屈はないと思います。今後ともそういう方向でやりたいと思っております。
#75
○海野三朗君 もう一つ、官房長、工業技術院あたりよく見ていなさるか、事務局の局長あたりはどうですか。技術院では何をやっているか、そういうふうなことは一体視察をしていらっしゃいますか。
#76
○政府委員(岩武照彦君) 私は就任以来傘下の十一の試験場がございますが、全部参って見ております。ある程度まあどの試験場では大体どういうふうなことをやっているか、どういう建物のところにどういう格好のオフィスがあるか、どういう調子かということはある程度見ておりますが、あるいは言葉が過ぎるかもしれませんけれども、一応自分なりに心得て勉強もしておるつもりでおります。
#77
○阿具根登君 関連して一つ質問しますが、官房長の答弁を聞きますと、その答弁の中からはっきり事務官と技官というのは技官の方が勉強が足りないのだと、かえって何かひねくれているのだという言葉を聞くようですが、まあ表現としては公正ということを言っておられますが、その中に鉱山保安局の局長も技官であるとおっしゃいましたが、鉱山保安局が通産省に属し得るようになった経過を一つここで説明して下さい。
#78
○政府委員(岩武照彦君) これは先生御存じのいきさつと思いますが、鉱山保安の行政は、一方におきまして鉱業施設の問題でありますと同時に、また一方中で働いております労務者諸君の保安の生命問題であるということで、当時労働省との間に所管問題があったことは御承知の通りであります。これは結局戦前からの鉱業関係の取締りの鉱業警察規則、鉱夫労役扶助規則の関係で、二元的に分れておりまして、中央の規則は分れておりましたが、出先のところでは鉱山監督局一本でやっておったというようなことで、あの狭い坑内のいろいろな問題の監督が二途に出ましては、これはなかなかうまく参りません。生産担当であります通産省にそういうふうな部局を設けて、両者を総合してやった方がいい、こういうことで、そうなったと存じます。なおそういうふうでございまするから、御承知のように、本質におきましても生産担当の石炭局、鉱山局と離れまして、鉱山保安局が持っております。また地方におきましては、御案内のように全然通産局長の監督でない鉱山保安監督部というものを持っております。直接鉱山保安局長の膝下に入ります。なお、先ほどお話し申し上げましたのは、鉱山保安局長は技官であった、つまり現在の局長の前任者は技官であったということを申し上げたわけであります。
#79
○阿具根登君 一番大切なことを一つお忘れになっているから、だからこういうことになってくるのです。その当時、労働省にあるべきか、通産省にあるべきかということは、相当論議された。しかも出されたものは労働省関係から出されているのですよ。なぜそれが人命を守らなければならん保安局が、通産省に行かなければならんようになったかということは、これは技術屋が労働省におらないから、労働省に技術者が少いから、技術屋は通産省であるからといって、通産省へ行ったのですよ。それをあなた方は事務屋が当然だというふうに考えているから、何千人という人が死んでいる。一年間に二千人の人が死んでおりますよ、炭鉱では。それを当然のことのように言ったって、たとえば鉱山保安局長は技官でありました。ただ一回だけ。その前も事務官、今度も事務官。通産省へ伺う点は、技術でなければできない、技術屋は通産省にいるのだ。そこで事務官がなるのがおかしいのですよ。これは実際そういうことをお考えになっておらないから、こういう問題は起ってくる。仕事の性質等も考えなくて、ただ法律さえ知っておれば、いい事務屋でおったから、頭は事務屋だというふうに考えているから、坑内の実情は何にも知っておらない、こういう災害が次々に起ってくる。そういう点は通産省に鉱山保安局が行ったいきさつから、経路から、実際の炭鉱の実情、鉱山の実情等考えてみた場合に、当然これけ技官がなるべきであって、たまたま技官の人がおらなかったから事務官がなったというならばわかるけれども、あなたの説は反対です。また技官が局長になったのが非常に少い。その点はどういうふうに……、私の言ったのが間違っておったら指摘していただきたいと思います。
#80
○政府委員(岩武照彦君) 今の阿具根先生のお話は大体その通りでございます。と申しますのは、これは人事のいろいろないきさつをこの際申し上げるのはどうかと思いますが……。
#81
○委員長(三輪貞治君) 簡潔に願います。
#82
○政府委員(岩武照彦君) ちょうど折あしく技官諸君のうちで鉱山保安局長に適当な方がおらなかったということで、現在は事務官がなっております。しかし私個人としましては、鉱山保安局長は、これは技官の方がいいと思っております。従いまして適当な人があれば適当な機会に技官局長ができることと存じております。
#83
○海野三朗君 資料の提出をお願いいたすと同時に、通産省において局長、課長、それは一体その課長の名前と、それが事務官とか技術官であるとかいうまず資料の提出を急いで御提出願いたい。この問題につきましてはまだまだありますけれどもこれは他日に保留いたしまして、このミシンのことです。もうせっぱ詰まったこのミシンのことについて私はお伺いいたしたい。
 このパインとシンガーとのこの提携ですね、業界を脅かしておる。これはもう去年ずいぶんこの商工委員会でやかましく論じられたのでありますが、あれはどういうふうに見ていらっしゃるか、一つその通産当局の率直なる御意見を承わりたい。
    ―――――――――――――
#84
○委員長(三輪貞治君) この問題は公報でお知らせしておりますように、経済自立方策に関する調査の一項目として外資提携の件をあげておりますから、幸いまあ質疑が移ってきたようですから、ただいまから外資提携に関する件についてを議題といたします。
#85
○海野三朗君 ただいまの、さきにミシンの話が出ましたが、そのミシンにつきましてもこれは山形にはハッピーがあるのですが、全国のミシン業者は非常に困っておる。これに対してどういうように一体通産省では考えておられますか。
#86
○説明員(大堀弘君) パインとシンガーの提携問題につきましては、御承知のようにかねてから検討いたして参っておるわけでございます。この問題につきましては、御承知のようにこの輸入外資提携を許可するということが、国内に与える影響、中小企業の問題、そういった見地からこれは非常に困るという御意見も十分に承わっておりますし、通産省当局といたしましても外資法の見地からいたしまして、この技術提携が日本の経済産業全般に対しまして技術的にあるいは経済的に積極的な寄与ができるかどうか、そういった各面の検討を加えております。現状におきましてはこれらの見地からいたしまして本件を認可いたしますということは、相当困難な事情があるのじゃないかというふうに考えられておるわけでございますが、一方におきまして日本のミシン権業というものはやはり現在輸出産業になっております。大部分が輸出に向けられておりまして、ことに対米市場には相当、半数が出ておる。ミシンの輸出の問題についてはいろいろと複雑なトラブルが常時起っております。その間の事情もいろいろと考究いたしまして、本件の処置については総合的な見地から慎重に検討いたしまして、その反響等も考慮しながら結論を出すということで、現在まだ最終的な結論に到達していないのが現状でございます。
#87
○西川彌平治君 このミシンの問題は、非常に業界に反響を大きく与えておるのであります。はなはだとっぴなことを申し上げるようで失礼でありますが、ここにミシン業者が実は今来て、この問題を非常に注視をしておるのでありますが、少し休憩とでも申しますか、をいたしまして、この際ミシン業者からその意見を一つ開陳をさせていただいたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
#88
○委員長(三輪貞治君) 皆さんに委員長からお諮りいたします。西川彌平治君からただいま御提案になりましたミシン業界の代表の方の御意見を聞くことについてですが、これは参考人でもございませんので、速記をつけた正式の委員会で発言を許可するというわけには参りません。従って速記をとめて懇談の形で伺ったらいかがかと思いまするが御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○海野三朗君 なるべく短時間に時間を切りつめてお願いします。ほかの問題がありますから……。
#90
○委員長(三輪貞治君) さよういたします。速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#91
○委員長(三輪貞治君) 速記を始めて。
#92
○海野三朗君 ただいまのミシン業者からの陳情に対して、重工業局次長どういうふうな態度をとっていらっしゃいますか、死活問題ですから。
#93
○説明員(大堀弘君) ただいまのお話しの点につきましては、かねがね伺っております点でありまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようにミシン業界の実態は非常に中小企業が多いという点も十分に考慮いたしております。外資法の問題につきましては先ほども申し上げましたように、経済的な方面及び技術的な面両面からいろいろと検討しておりますが、現状におきましては先ほど申し上げましたように許可を与える、認可をするということは相当困難な現状にある、かように考えております。本問題はやはり国際的な問題でございまして、通商関係から見ましてもやはり日本は大きな輸出をやっておるので、先ほどお話がございましたように、三千万ドル以上の輸出をやっておるわけであります。これらの点につきましても行政としましては相当考慮を払って参りますことが大事ではないかと考えまして、最終的結論についてはなお慎重に検討いたしたい、かように考えておるわけであります。
#94
○海野三朗君 ただいまアメリカにはだいぶ日本のミシンが余っておるやに聞いておるのですが、国内の生産をある程度制限でもしておられますか。
#95
○説明員(大堀弘君) 最近は非常に日本からの品物が殺到いたしまして、現地には相当な滞貨ができてきておるということで、しかもその間に日本の業界の間の競争がありまして値段が非常に下ってきおるということで、いろいろと関税の問題でありますとか、輸入割当の問題とか、そういった動きがちらちらあるわけでございまして、私どもとしましてはこれは重要な仕事でございますから、それいうトラブルを起さないようにしてやってゆきたいということで、日本側でも昨年来一年間かかりまして、中小企業の安定法に基く調整組合によりまして輸出の調整をやる、輸出組合も共同しまして協調した価格で適当な量のものを輸出いたしまして、そういう混乱を防止するように努力いたして参っておるわけであります。現状はさようなことでございまして生産の統制という段階まではまだ入っておらないわけであります。
#96
○海野三朗君 シンガーとパインの生産に対してはどういう態度をとっておられますか。つぶれるからしようがないという傍観的態度でいらっしゃるのか、どうなんですか。
#97
○説明員(大堀弘君) パイン・ミシンにつきましては、これはやはり国内の企業の一つでございますから、やはりその生産そのものにつきましては、工業会なり調整組合なりそれぞれのメンバー同様に、企業としてはやはりお互いに競争はある程度やらざるを得ない。それに対して行政上現在のところいずれを制限する、だれの活動を制限するということは、法律でもございませんとやれないわけでございます。そういう意味におきまして国内の生産活動につきましては、やはりそれぞれの企業の競争によって行われておる輸出につきましては、ただいま申し上げましたように対外的な問題でございますから、現在の輸出入取引法なり、中小企業安定法なりの建前でできる範囲内におきまして協調的に販売をやっていただく、こういう方向へ持っていく。
#98
○海野三朗君 私は率直なるお答えをいただきたいのは、ミシン業者がこうやってみんな来ているわけです。過日は私はミシンの労務者の会合にも行ってみましたが、死活問題である。こういうような外国資本を導入しないけれども、技術提携という名のものにうんと向うから入ってきて、そして月に五千台ずつも作ろうというような意気込みでやられてはかなわないと言うのですよ、日本内地の人が。ですから、結局するところ、日本人が食うていくか、外人が食うていくかという問題なんです、根本は。そういうことに対して通産省はただ傍観的態度でいらっしゃるのか、どういう手を打たんとしておられるのか、その抱負を一つ承わりたい。
#99
○説明員(大堀弘君) これは先ほど申し上げましたように、外資法の問題でございますのと、これは外資法の許可によりまして、提携します場合は政府の許可が要るわけでございます。先ほどお話がございましたように、無為替輸入の申請というのが最近出ております。これもやはり為替管理法によりまして現物の形で物が入ってくるわけでございますが、その場合にもその物はもちろん価値があるわけで、対価というのが当然これは問題になるわけであります。従いまして、これも為替管理法によりまして、無為替輸入も許可が要るということになっております。従いまして、シンガーが日本に入ってくる場合の方法としましては、やはり外資法で正式に入ってくる場合、あるいは無為替で物を、検査機械を入れて何らかの形で技術提携をやっていくということも考えられるわけであります。今問題になっておりますのはその二件でございます。無為替輸入といいましても、やはり、技術提携の問題が裏にございますれば、これはそれ自身としてやはり処置することは困難でありまして、外資法の問題と同様に考えていかなければならぬ、かように考えております。ただ国内の生産の問題につきましては、これは輸出の面から見ましても、ミシン工業全体が伸びていくということは、これは国家として歓迎しなければならぬことでございます。どこどこの企業、Aさん、Bさんというわけには参らない。やはり、全体として技術的に優秀であり、競争力のあるところが伸びていく。全体としてやはり総合的に伸びるということが望ましいことでございまして、その意味におきまして、やはり協調的な、業界の協調によって、輸出の面についてもトラブルを起さないで輸出も伸びていくという方向であるべきだと考えておりまして、生産の面について現在のただいま申しました外資の導入、技術提携して導入するという形ですね。これを別といたしますれば、これはやはり現在のところでは、各企業それぞれが努力して伸びていただくというのが現状の方向ではないかと、かように考えております。
#100
○委員長(三輪貞治君) 私から関連して端的に伺いますが、シンガーに関する限りは外資導入については不賛成の態度をたびたび言明されているわけですね。昨年の議会においても不許可の方針を答弁しておる。なぜ今日に至って不許可にはっきりと態度を決定されないのか。それから工具類の無為替輸入の問題にいたしましても、これは結局は外資の欺瞞的進出以外の何ものでもないと考えられる。これに対して一体政府はどういうふうにお考えになっているのか。これは一つあまりくどくどお答えになる必要はありませんから、はっきり一つ答えて下さい。
#101
○説明員(大堀弘君) 先ほど申し上げましたことと重複するかと思いますが、現在までのところでは、この認可を認めるということは困難な事情がある。むしろそういう結論になるわけでございますが、ミシンそのものの問題につきましては、やはり輸出の問題もございますので、通商関係その他の考慮をいたしまして、本件の取扱いについては行政措置としては慎重に行わなければならぬと、かように考えまして決定がおくれているわけでございます。
 第二の無為替の問題につきましては、これはただいま申し上げましたように、私どもは無為替輸入であるからといって、これは単純に物を寄贈されたというような格好のものではなくて、やはり外資提携の問題が裏についておるという判断をいたしておりますので、無為替輸入といたしまして、別個の取り扱いで処置をするということはいたさない考えでございます。
#102
○委員長(三輪貞治君) それではもう一点端的に伺いますが、現実パインミシンがシンガーと提携をして、メリットというミシンを月産五千台生産をしているという事実は御承知でしょう。これを一体どうお考えになりましょう。
#103
○説明員(大堀弘君) この問題につきましては、先ほど来の外資提携の問題とは別個の問題でございまして、現在日本にあります、日本シンガーという日本法人の会社がございまして、これがパインミシンが生産しておりますメリットという機械の販売権を得てやっておるわけでございます。この点につきましては、これは外国人でございますから、その点については現在のところ格別にこれがいかんといいましても、行政上特別な措置を講ずるということは非常に困難じゃないかと思っております。この問題については、最近メリットという機械が売り出されておりまして、まだ一カ月か二カ月しかたっておりません。従いましてこれが果してどの程度伸びていくかどうかということも、まだ見きわめがついておりませんが、今後の情勢を見なければならぬと思いますが、それに対して何らか措置をするということでありましても、別途の見地で考えなければならぬ、かように考えております。
#104
○海野三朗君 重工業同次長は、あくまでもそういう方向で、パイン、シンガーの進出を阻止することに努力してやろうというお考えなんでございますね。
#105
○説明員(大堀弘君) この問題は、非常に大きな問題でございますから、私の立場で結論を申し上げることはお許しいただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、現状におきましては、もう認可処分ということは非常に困難な事情にあるのではないか、かように考えておるわけでございます。
#106
○委員長(三輪貞治君) これはそういう御答弁をいただくために、海野さんは僕は質問しておられるのじゃないと思うのです。それで、先ほど懇談中に業界の方の御意見も聞きましたのですが、現在においても、アメリカに輸出したものが実はストックなんかできて困っているという状態、しかもシンガーは過去において日本あるいはその他の国々において、一つの手段でもってそこの業界をつぶして独占的な利益を得ているという歴史があるわけですね、それが今始まろうとしているのです。それを一体どうしてとめるかということについて、もっとはっきりした御信念を言っていただかないと、のらりくらりとした答弁じゃ満足いかないわけです。
#107
○海野三朗君 それで私はさっきから言っているけれども、あなたはまるでヒョウタンナマズのような御答弁である。それで一体通産当局はどう考えているか、今まさにこのミシン業者が倒れんとしている。こういうものを見殺しにしていいかどうか、はっきりしたあなたの信念を承わりたい。お座なりの答弁を伺うのじゃありません私は。あなたの一存の考えでどうにもいかぬと、そういうふうに逃げられるけれども、あなたはいやしくも重工業次長としてある以上、その方面の通商行政を担当しているのじゃありませんか。そんなあやふやなことでやっていけますか。はっきりしたことを言いなさい。
#108
○説明員(大堀弘君) もちろん、私は、日本のミシン工業が発展して参るということは、われわれの仕事の趣旨でございます。従いまして、日本のミシン工業が危殆に瀕するとか、あるいは中小のミシンメーカーが危機に瀕するというようなことを放置するという考えはございません。この点につきましては十分の考慮をして参るつもりでございます。
#109
○海野三朗君 はっきりしたお返事はいつして下さいますか、このことについて。今のミシンもそうでありますし、それから硫黄の問題もそうですよ。実にその当座限りのことばかりおやりになっているように思う。その根本は何かというと、これは通商行政の根本が間違っているからだということを先ほど力説したのでありますが、もう少しはっきりしたことを言っていただかないと……。
#110
○説明員(大堀弘君) 外資法の措置の問題につきましては、先ほど申し上げました通り、はなはだくどくなりますが、本件につきましては現在検討中でございます。御趣旨の点は十分胸に入れまして結論を出すようにいたしたいと思います。
#111
○阿具根登君 何回も同じような答弁を繰り返しておられますが、海野委員の言っておられるのは、シンガーが入ってきたならば、日本のミシン工業はつぶれてしまうじゃないか。それだからシンガーが入ってくるのを紡ぐ気持があるかどうか。こういう質問に対して、局長は、日本のミシンの発展は私たちは願っておるし、それは阻害しない。そう言われるなら、シンガーが入ってきても日本のミシン業界は阻害されないんだというのか、シンガーが入ってきたら、日本のミシン業界はこれは大へんなことになるぞという、どっちかにあると思うんです。そうすれば、シンガーが入ってくるのを、日本の産業を守るためにこれは防がなければできないならできないと、その点をなぜはっきり言えないか。言えないとするならば、何かそこに原因があるはずだから、それをはっきり言ってもらいたい、こう言っていると思うから、その点はっきり答えてもらいたい。
#112
○説明員(大堀弘君) 御趣旨の点は十分わかります。私どももその点は十分了承いたしておる次第でございます。ただ、現在問題になっておりますのは、外資法の許可の問題でございます。本件の措置につきましては、政府部内、各部局と相談いたしまして決定いたさなければならない問題でございます。現在のところ、もう少し検討を要しますので、慎重に検討をいたして参りたい。現在のところその措置につきましては、私から申し上げかねるということを申し上げる次第でございます。
#113
○阿具根登君 これ以上追及してもだめかと思いまするが、無理かもしれませんけれども、それはそういう各省とのお打ち合せもありましょう。ありましょうけれども、その当の責任者としてのあなたのお考えはどうですか。あなたのお考え遜りいかないかもしれません。しかし、あなたのお考えはこれに対してどうですかと、これを聞いているんです。
#114
○説明員(大堀弘君) シンガーにあえて限りません。日本のミシン工業全体が危胎に瀕するような事態につきましては、私どもは十分それを防止するような方向に努力いたしたいと思っております。
#115
○委員長(三輪貞治君) 他に御発言もないようですから、本件に関する質疑は、以上をもって終了いたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(三輪貞治君) ではさようにいたします。
    ―――――――――――――
#117
○委員長(三輪貞治君) 次に、硫黄の緊急輸入に関する件を議題といたします。
#118
○海野三朗君 硫黄の方は、国内の生産高と国内消費の量と比べていかがなものでありますか。
#119
○政府委員(松尾金藏君) 本年度におきましては、当初大体二十万七千トンの生産をいたしますれば、大体国内需給としてはちょうどいいところであるというふうに、若干の輸出をしても、二十万七千トンの生産をすればいいというような想定で出発したのであります。しかし、最近の状況におきましては、特に下半期の状況におきましては、御承知のように化繊なりその他の輸出が非常に伸びまして、その関係から需要が急速に伸びて参ったのであります。それにそういう需要の状態にあわせまして生産をいたしますためには、二十万七千トンでは足りませんので、極力増産に努めまして、本年度の生産見込みとしては、二十一万四千トンまでは生産が追いつくというような想定をいたしております。
#120
○海野三朗君 そうしますと、約七千トンの不足になりますか。輸出は二十二万四千トンと二十万七千トンで。
#121
○政府委員(松尾金藏君) 私言葉が足りなかったかもしれませんが、ただいま申しましたのは、当初の生産見込が二十万七千トンでございましたが、その後需要がふえましたので、さらに二十一万四千トンまで増産をしなければならないというふうに申し上げたわけであります。
#122
○海野三朗君 今その輸入はどれほどおやりになるお考えでありますか。輸入をやって、つまり国内の硫黄の値上りを抑えようという腹であるというふうに新聞では報じておりますが、そうなんですか。
#123
○政府委員(松尾金藏君) 今回の緊急措置としての輸入は、決して値段の調整のため、特に国内の価格を押えるというような意図で緊急輸入をするわけでは決してございません。これは先ほど申しましたようなことで、つまり硫黄に対する消費者側の生産が非常に伸びましたので、その関係からくる需要の急激な増加によって、硫黄の生産にも努力したのでありますが、どうしてもこの冬場をしのぐことができませんので、今回限りの緊急措置として、絶対量の確保のために輸入をせざるを得ないというような事態になっておるために輸入をいたすのでありまして、値段の点は御承知のように、現在山元二万円くらいの値段でございます。この点は、決して今回の輸入でこの値段がくずれる、あるいは値段を抑えるというようなことをいたしておるわけでは決してございません。
#124
○海野三朗君 聞くところによれば、使用する側の力では相当ストックを持っているというような話を聞くんですが、それはどうなんですか。使用する方はストックを持っておって、そうして輸入の方でもって値をたたこうという腹であるということが流布されておりますが、その点はいかがなんですか。
#125
○政府委員(松尾金藏君) もしそういうことでございますれば、鉱山局長として私が決して了解するはずはございません。現在大体各消費者の手元、工場別に消費者の側に対して担当局から調査をしてもらっております。その結果では、工場ごとに見まして十日の手持を切っておる所が相当ございます。そういう状態では消費者側の生産に重大な支障をきたすというので、やむを得ざる処置として輸入せざるを得ない、こういう状態にあるわけであります。
#126
○委員長(三輪貞治君) 私からただしたいと思いますが、特に不足している需要者は一体どの方面であるかということ、それから緊急輸入に対する外貨の割当はすでに決定いたしておりますかどうか、その点をお伺いします。
#127
○政府委員(松尾金藏君) 先ほど申しましたように、パルプあるいは化繊、こういう部門が輸出なり生産の伸びを反映しまして需要がふえ、その在庫が減っております。それから硫黄の需要の大部分は、そのほかに二硫化炭素の部門があるわけでございますが、これも硫黄全体の需要関係が逼迫して参っておりますので、やはり手持十日以下になっておる工場が相当ございます。それから輸入の外貨の関係でございますが、これは硫黄の緊急輸入をせざるを得ないというところで、関係の部内の相談が大体内定をしておる程度でございまして、外貨の割当の発表なり、その外貨の割当は、まだ現在やっておりません。
#128
○委員長(三輪貞治君) なお、二十一万四千トンの需要の詳細なる内訳並びに生産の詳細なる内訳、いわゆる需給の詳細なる表を、一つ次回までに資料として御提出を願いたいと思います。
#129
○海野三朗君 ただいまの委員長の要求、私もそれを要求いたします。
#130
○委員長(三輪貞治君) 他に御発言もないようでございますから、本件に関する本日の質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(三輪貞治君) それではさようにいたします。
 これをもって本日の委員会は散会いたします。
   午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
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