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1955/12/15 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 商工委員会 第5号
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1955/12/15 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 商工委員会 第5号

#1
第023回国会 商工委員会 第5号
昭和三十年十二月十五日(木曜日)
   午前十一時六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員栗山良夫君及び上條愛一君辞
任につき、その補欠として湯山勇君及
び岡三郎君を議長において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     三輪 貞治君
   理事
           古池 信三君
           小松 正雄君
           河野 謙三君
   委員
           小野 義夫君
           西川彌平治君
           白川 一雄君
           中川 以良君
           深水 六郎君
           阿具根 登君
           海野 三朗君
           岡  三郎君
           湯山  勇君
           上林 忠次君
           石川 清一君
  衆議院議員
           有田 喜一君
           中曽根康弘君
           志村 茂治君
  政府委員
   通商産業省鉱山
   局長      松尾 金藏君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力基本法案(衆議院提出)
○参考人の出席要求に関する件
○理事の辞任及び補欠互選
○連合審査会開会の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(三輪貞治君) ただいまから本日の委員会を開会いたします。
 原子力基本法案を議題といたします。
 まず発議者から提案理由の趣旨説明を求めます。発議者代表衆議院議員有田喜一君。
#3
○衆議院議員(有田喜一君) ただいま議題となりました原子力基本法案の提案理由を御説明申し上げます。
 木原子力基本法案は、自由民主党並びに日本社会党の共同提案になるものであります。
 御承知の通り、原子力の開発に関しては、世界の主要国は言うまでもなく、その他の諸国においても、それぞれの努力を傾けているのであります。わが国民は人類史上最初の原子爆弾の犠牲をこうむったために、原子力の問題に対しては、強い恐怖と深い関心を持っておりますのでありますが、今後の原子力時代に備えて、原子力の平和利用に関する国の基本構想を明らかにし、原子力の開発に関する一貫した体系をもった法律と機構を整え、原子力をいかに平和的に開発利用するかの方式を、国民の安心する形で示してやることがきわめて必要なのであります。
 本法案の提案に際しましては、超党派性をもってこの政策を運用し、もって日本の原子力国策の基本を確立すること、日本に存在する有能なる学者に心から協力してもらうという体制を作ること、国民の疑惑や懸念を一掃し国民的協力の基擬を培うこと等の点を考慮して提案いたした次第であります。
 次に本案の内容を申し上げますと、原子力基本法案は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とをはかり、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに符与することをその目的とし、また学術会議の三原則を尊重して、原子力の研究、開発及び利用ば平和の目的に限り、民主的運営のもとに自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとしているのであります。
 しかして、この原子力基本法案においては、原子力行政の民主的運営機関として原子力委員会を、開発機関としては原子力研究所及び原子燃料公社の設置を規定するほか、原子力に関する鉱物の開発取得、核燃料物質の管理、原子炉の管理、特許発明等に対する措置、放射線による障害の助士等、基本的事項を規定いたしておるのであります。
 その詳細は他の提出者中曽根康弘君より御説明を願うことといたします。
 何とぞ、どうか御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(三輪貞治君) ただいまの説明の中にございましたように、詳細について補足説明を中曽根康弘君より求められておりますので、これを許します。
#5
○衆議院議員(中曽根康弘君) ただいま有田衆議院科学技術特別委員長より御説明申し上げましたが、具体的に私から御説明申し上げたいと思います。
 この原子力法案は、社会党並びに自由民主党共同提案でございまして、この内容は両党の議員による共同作業によってできたものでございます。一つの政党が作ったというのではございません。両党の議員による共同作業によりできた法案でございます。
 最近原子力の各国における利用は非常に進んでおるのでございますが、各国におきまする事情と、日本の事情とを比べてみますと、次のような相違がございます。
 第一は、外国におきましてはもはや動力炉の実験に入っておりまして、発電を中心に動力炉の実験に入っております。しかしわが国におきましては、これから実験原子炉を入れようという非常な後進性を示しておるのであります。
 また原子力の取扱いにいたしましても、外国におきましてはすでにこれを動力源の問題として、産業構造の問題として取り上げておるのであります。と同時に、外国は非常な個性をもって、独自のいき方を示しておるのであります。たとえばイギリスにおきましては発電計画を中心にして、非常に経済的計画性をもった十カ年計画、ないし二十カ年計画を推進しておる。ノールウェーでは商船の建造について研究しておる。あるいはアメリカにおきましては、あらゆるタイプの産業に対する応用をけんらんとして発展せしめておる等々、非常な個性をもって、国情に即応したやり方をやっております。さらにどの田におきましても原子力の推進ということは、超党派的な措置をもって遂行いたしておりまして、原子力というものは政争の圏外に置いて、計画的に持続的にその建設に努力を傾けておるのであります。と同時に、非常に二十年とか、三十年とかという長期性をもってこれを行わんとしておるのであります。
 さらに顕著なことは、最近は核分裂反能のみならず、核融合反能の研究が非常に進められておりまして、原子核を作る融合反能の前途というものは、おそるべき発展を約束しているやに見受けられるのであります。こういうような状態に対しまして、わが国の原子力政策は非常におくれておりまして、そこでわが国といたしましては総合的な基本法を作りまして、国策の大綱をきめ、すみやかにこれを推進せしめる必要があるのであります。
 そこでわが国の原子力政策の基本としてあぐべきものとして、われわれが原子力基本法を作ります際に考えましたことは、まず第一は、わが国における長期的国策の確立であります。原子力に対する国策が厳然として確立しておりませんと、学者の中でもこれに指向してくる者が少い。あるいは勤労者にしましても、財界にいたしましても、このことに対する考えが不安定であります。そこで国家が公正な立場に立って、厳然としてこの国策を確立する、予算的措置もとる、そのような態度を示すことが、今日浮動状態を続けている原子力政策について、一番中心になることであります。
 第二番目は、この原子力政策というものは、超党派的な措置をもちまして、政争の圏外において全国民の協力を得る形をとることが必要なのであります。国民の一部に冷眼視してこれを見る層がいささかもないように、われわれは政治をあずかる者としては心がけなければならないということであります。
 第三点は、長期的な計画性をもちまして、しかも日本独自の個性を重んじた、自主的な研究を促進するということでございます。最近ウラニウム協定等で、アメリカとの関係が出てきておりますけれども、これは将来自主性のある、日本独自の国産原子炉等を作るための予備的調査段階として認められるものでありまして、われわれの研究の主体性、われわれの研究の主目的というものは、あくまで日本の国情に沿った自主的な研究と開発を促進するということであります。たとえばわが国の現状からしますれば、濃縮ウランを作るということはきわめて困難であります。そこで長期的な動力計画といたしましては、国産の燃料によって、国産原子炉を作る。従って濃縮ウランを外国から買ってやるといういき方を短時日のうちに解消して、少くとも動力計画の中には国産的資材をもって行う、そういうような措置が必要だと思うのであります。そのほか貧鉱の処理であるとか、重水の研究促進であるとか、こういう点も日本独特の方途を期する必要があると思うのであります。
 第四意は、有能なる学者技術者の養成、特に若い世代の学者技術者の養成であります。原子力の行政の一番の中心は、実に機構でもなければ、金でもありません。一番の中心は、湯川博士や朝永博士や、そのほかにこれに続く三十代の有能なる若い学者、日本に存在する貴重な学者たちが、心からこれに協力して研究するような環境を作るということであります。これが最大の政治家としての関心事でなければならないと思います。そのためには日本の原子力行政というものは、一政党の手先として行われるような性格ではならない。あるいは財界の便宜のために行われるようなものではならない。全国民的スケールにおいて、国民本位の立場に立って各階層の意見を網羅して設置されるということが必要なのであります。このことはそのような学者、技術者の要望でもありまするので、われわれは謙虚にこれを採択しなければならないと思うのであります。
 第五点は、豊かな国際性を持ってこれを推進するということであります。われわれはアメリカと提携すると同時に、イギリスとも、ノールウエーとも、その他の諸国とも、積極的に提携したいと思うのであります。特にアジア共同体という構想もわれわれが持つ時代も来たると思うのであります。日本は原子核に関する研究は非常に進んでおります。また技術も豊富にございます。インドはしかしトリウムの生産が非常に豊富であります。そこで日本の技術をインドに持っていき、インドのトリウムを日本に持ってくる、こういうようなことを中心にして、アジア共同体という構想も当然出てこなければならないのみならず、さらに進んでは、国際連合に、原子力国際機関が近く設立されますが、この原子力国際機関に対しましては、われわれとしても大いなる活躍をしなければならないと思います。わが国は広島、長崎の悲しい経験を有する国でありまして、こういう特殊な国柄からしても、平和利用については世界において非常なる発言権を獲得して、そのような立場において国際社会においても働く、人類の幸福のために貢献しなければならないと思うのであります。このことのためには、どうしても国論の統一を必要といたします。原子力の平和利用の推進につきてまして、国の中で世論が二つに分れているということは、外に対してまことに悲しむべき結果を生むのでございまして、特にわれわれが国際機関の理事国として入ろうとする場合には、世論が統一され、挙国一致の態度をもって、誠実に、平和的にこれを推進しているという立場を、外国に見せる必要があるのであります。諸外国における態度が超党派的な、挙国的な態度で進んでおりまするので、日本もすみやかなるそのような体制をとる必要があると思うのであります。
 最後に、こういう基本的意義をもちまして、現在国民の中にある誤解や不安、猜疑、これらを解消するために、政府ないしは政党といたしましては、非常なる努力を傾注いたしまして、国民の協力を求むる謙虚なる立場がほしいと思うのでございます。
 原子力はわが国におきましては、一部ではまだ野獣と思われていますが、外国ではすでに家畜になっている。家畜になって、人類に奉仕しているということを国民によくお示しして、心からなる協力を得るような努力がなければならないと思うのであります。このような考え方を基本的に織り込みまして、原子力基本法案というものをわれわれは提出いたしました。でこの提出に当りましてわれわれが考えましたことは、総合的基本法としたことであります。総合的基本法という意味は、わが国原子力政策に関する全俯敢図を、全般的な見通し図を国民に与えまして、いささかの不安もないように考慮するということであります。
 第二番目に共同提案といたしました理由は、原子力の問題は、第二次産業革命、第三次産業革命さらに高次な産業革命にも発展する問題でありまして、全国民の代表が積極的に国運開拓の責任をとって国民の前に出るという、そういう積極的意思の現れとして議員提出としたのでもあります。と同時に、原子力の問題は、放射線の予防にいたしましてもあるいは核燃料の取扱いあるいは採掘、探鉱等にいたしましても、国民の権利義務に影響するところきわめて大であります。そのような法案は権力を握っておる政府が一方的に提出するということではなくして、国家の前途を開拓せんために、国民代表であるものが積極的に国民の世論を開いて、その世論のもとに提出するという形が望ましいと思ったのであります。と同時に、国論の一致を完全にはかりまして、外国の誤解を解くと同時に、外国に対して日本の発言権を強力に留保しようという意味も含まれてあるのであります。
 そこで、本法案の特色を各条章にわたりまして御説明申し上げたいと思います。
 第一章総則、この第一条に目的が書いてあります。「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。」エネルギー源の問題としてかつまた学術の進一歩と産業の振興をはかるという広範の目的をもつて行う――原子炉を作るということは単に動力のためのみではありません。原子炉を中心にいたしまして、金属材料、化学分離、物理あるいは数単あるいは医学、生物学、植物学あるいは電気、このような総合的な研究所を阿りに作りまして、原子炉を中心にした科学の総合センターというものを作る必要があるのであります。決して原子炉だけの学問あるいは動力だけの学問にあらずして、この中性子を使ってやる総合的な科学の発展、バック・グラウンドの深みを深める、科学の厚みを深めるという広範な目的をもってこの研究は行われなければならないということであります。そうしてその目的は人類の福祉と国民生活の水準向上とに寄与する。人類の福祉というものは、平和利用ということは全世界の国民の運命に連なることであります。と同時に、わが国民の生活水準の向上にも寄与する世界的なかっ国民的な目的をここに記述したのであります。
 第二条「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」ここに平和の目的ということを厳然とまずうたいました。それと同時に、いわゆる学術会議の三原則を率直にこれに取り入れまして、民主的な運営というものは次にありまする原子力委員会の構成等ではかっておるのであります。自主的な運用というものは、核燃料資源の自主的取扱いあるいはパチント――特許権その他に関する外国からの侵入を防ぐ等々の点にこれを確保し、と同時に、成果の公開、国際協力というものをうたったのであります。国際協力につきましてはすでに申し上げましたが、進んで積極的に協力するという意図をここに示しておるのであります。そのことはアジア共同体であるとかあるいは原子力国際機関に関するわれわれの重大なる関心をここで示しておるつもりなのであります。このことはまたアメリカ
 一国と提携するのみではない、イギリスともノールウエーとも、いかなる国とも善意を持って提携するという精神を示しておるのであります。
 第三条の定義は、これは学者、技術者の御意見に従ってその通り書いたのでございます。
 第二章 原子力委員会。原子力委員会の構想につきましては別の委員会で御審査を賜わっておるようでありますが、簡単に御説明申し上げたいと思います。
 第四条「原子力の研究、開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図るため、総理府に原子力委員会を置く。」ここに原子力委員会の構想をうたったのであります。すなわち計画的に長期計画を持続的に遂行する民主的な運営をはかる――民主的な運営という意味は各界の代表を入れまして、その世論を聞いて進めるという意味であります。と同時に政争の圏外において、全国民的な規模においてこれを運営していくという意味であります。これは原子力委員会の運営のみならず、次に出て参ります原子力研究所、原子燃料公社等の実施機関についても同様にそのような態度で行わせる予定であるのであります。そうして「総理府に原子力委員会を置く。」「原子力委員会は、原子力の研究、開発及び利用に関する事項について企画し、審議し、及び決定する。」ここで原子力委員会は非常に強力なる審議機関、決定機関になっております。しかし、実施機関はどうなっておりますというと、別の法案におきましては、原子力局というものを総理府に作ります。これが実施を行います。そうしてそれはいずれ来議会提案されまする科学技術庁ないし科挙技術省の原子力局として編成がえを受ける予定になっております。その意味は、日本の原子力行政の基本というものは各界の権威を網羅した超党派的な、政争の具に供されないような機関において、やや半独立自治機構においてこれを推進させる。そうしてその委員の任命は国会の同意を要するとしてあります。このようにして人事に慎重を期し、公正なる原子力委員会の編成を考えておるのであります。
 そうして第六条に「原子力委員会の組織、運営及び梅限については、別に法律で定める。」と法律に委任されておりますが、ここで重大な点が二つございます。
 まず第一は予算の点でございますが、原子力平和利用費につきましては、原子力委員会において各省庁のものを一括してまとめまして調整を行う。そうして無駄を避ける。それから研究の促進を連絡を密にしてやらせる。こういう意味において見積り、振りかえ等をここで行われるようにしてあります。わが国におきまする原子力開発はまだ処女地でありますから、非常にむだも多いし、また重点的に行う必要もあります。そういう点でむだを排除するために各国で行なっておりまするように、予算的な措置もそのように調整することになっております。
 第二点は、大学の自由をこれがために侵してはならないということであります。そのために大学が現在個有にやっておりまする講座研究、これは従来通り文部省を経由して予算は要求されまして、この範囲には入りません。従って大学講座研究として行います原子力研究も含めてこれは調整の範囲外であります。しかし、大学の付属研究所の原子力平和利用、これにつきましては調整をすることになっております。なぜかと申しますと、工学部の研究所と農林省の研究所で相当金のかかることをダブってやるおそれもあります。あるいは医学部の病院と厚生省の病院が同じことをやるおそれもあります。そういう場面が付属研究所のことにつきましては割合に応用研究が多いものですからダブるおそれがある。ダブることも必要な場合もあります。これはいろいろな方法で研究を進めるという意味下、必要な場合もあります。しかし不必要な場合もあります。そこで必要な場合は必要であることを承知しながらそれを行うことが必要で、不必要な場合はそれを避けるということが必要であります。と同時に、原子力の開拓をわが国におきましては集中的に行うと同時に、総合的に行うということが必要であります。先ほど申し上げましたように、非常に個性を持ったやり方で日本の国情に合うように資源的にも技術的にも行わなければならない。ことに、自在性を維持するために慎重なる考慮を払わなければなりません。かような観点から重点的に、集中的に日本の独自の世界を開くために行うと同時に、これらの学問は一朝一夕にしてできるものではないので、諸科学の総合としてできるものであります。従って諸科学のバック・グラウンドを無視したり、その厚みを薄くするということはとてもできないのであります。そういう意味で総合化ということが必要なのであります。そういう点につきましては、原子力委員会に基本計画を立てまして重複のないように、また処女地でありますから、情報の交換等は各方面で緊密にやる必要がありますので、このような調整を行う。従って大学の付属研究所につきましては原子力平和利用に限って調整されます。ここで問題になりますのは、原子力平和利用費の限界であります。現在朝永先生その他が御心配になっておりますのは、具体的に田無のサイクロトロン、京大の原子力研究所であります。われわれの見解におきましては、原子核の研究と原子力の研究を切り離して取り扱おう。従って田無のサイクロトロンは調整の範囲外であります。そういうことは大学のほかの研究部門とのバランスも考えなければなりませんので、たとえば京都大学のサイクロトロンは調整を受けない、しかし東大の付属研究所のサイクロトロンは調整を受ける、こういうことになりますというとバランスも崩れます。そういう点からいたしましても、原子力の研究と原子核の研究というものは分けておきたいと考えるのであります。そのほか軽易のアイソトープの利用等はもはや普遍化しておりまして、特に調整を要すべき原子力平和利用として取り扱っていいかどうかは疑問であります。そういう意味で実行に当りましては、その限界線をどういうふうに引くかということは学者、技術者等とも話し合いましてこれを行いたいと思うのでございます。
 第三章 原子力の開発機関、第七条「政府の監督の下に、原子力の開発に関する研究及び実験、その他原子力の開発促進に必要な事項を行わしめるため原子力研究所を、核原料物質及び核燃料物質の探鉱、採鉱、精錬、管理等を行わしめるため原子燃料公社を置く。」ここに実施機関を規定いたしました。原子力研究所と原子燃料公社であります。原子力研究所や原子燃料公社をどういう形態におくかということは非常に議論の的でありました。ある筋からは、これは電源開発会社であるとか、あるいは日本銀行のような特別会社方式がいいだろうという有力な意見もあります。しかし他の向きかちは、これは国立研究所にすべきであるという議論もありました。いろいろ研究をいたしました結果、われわれはいわゆる公社方式、独特な公社方式というものが適当であると思ったのであります。その理由は、この原子力の研究開発は相当膨大な国家資本を必要といたします。また国家権力を背景にして急速にやらなければ外国に追いつけるものではありません。ところが原子力の研究は当分の間はペイしないものであります。従って業界方面の御意見も聞きましたところ、現在瞬間法人原子力研究所に出資している以上の金は当分出せないというお話でありまして、しからばそれよりも数百倍、数万倍に当るような膨大な資本をこれから出していく以上は、国民の税金を使うのでありますから、そういう点からしても国家の監督のもとに行う公社というやり方が適当であると考えるのであります。と同時に、原子力研究所は一財界の手先でもなければあるいは将来電力会社が原子力発電所を作るための職人養成所でもない、全国恥的な規模において公正に康子力の開発を進める機関である、そういう意図も盛る必要がありますので、公社が適当である。ただし公社というものは弾力性がなくして、研究には不適なところもあります。そこでこの公社は特別の配慮をいたしまして、先ず超党派性を維持するために、役員の任命はこの、原子力委員会の同意を得て政府が任命するというふうにしてあります。原子力委員会には国民各層の代表がおりますから、それによって相当コントロールできると思うのであります。また任免の免の方も政府、が勝手に罷免するということは許されないようにしてあります。重大な故障とか、心神の喪失、病気、過失、こういうものがない限りは罷免できないような措置もしてあります。
 それから予算につきましては、この研究所の予算は、将来できます科学技術庁あるいは原子力委員会一括して、平和利用費として、出資金として出します。その予算はでき得べくんば国会での明細な審議やら何かは直接は必要ではなく、委員会や科学技術庁は詳細にこれを検討し、監督することにしております。しかし一括して原子力平和利用費として国会に出すことにしております。もちろん参考資料としてその計画は出すべきでありますが、具体的な内容までそこで提出する必要はない、一括して出すことにする、しかし決算は国民の税金を使うのでありますから、国会が直接厳重な監督をする、かような考慮を行いたいのであります。
 第二点は給与であります。これはイギリスも同様でありますが、国家機関並みにすると、給与が低いために有能な人が集まらないという難点もあります。そこで現在公社は国鉄から専売に至るまでいろいろなニュアンスがあるのでありますが、その中の最も待遇のいいものに、財界の各会社の普通どころより落ちない程度の給与は確保できるように、われわれはいろいろな面において給与準則等を研究したいと思います。それには研究費というものを特にあてがいまして、税金がかからぬような給与措置というものもわれわれは考えておきたいと思うのであります。
 それからもう一つは、これらの研究所や燃料公社は自分で委託契約ができる、ほかの会社や技術研究所等に委託契約が行われるようにして弾力性を持たせるということも考えております。と同時に、この運営につきましては、官庁技術、官立、私立の大学グループ、それから事業会社の技術陣、こういう三つのものからある程度代表を出しまして、運営委員会のようなものを作って民主的に運営するように、運営の方式も考えたいと思うのであります。こういうふうにして玄関が高くない研究所になるたけ持っていきたい、これはブルックヘブンの研究所はそういうタイプでやっておりますが、その長所はわれわれまねしていいと思うのであります。その研究所は総合研究所であります。原子力を中心にしまして金属、化学、電気、物理、数学あるいは生物学等の諸研究所を包含いたします研究センターとして作る考えなのであります。
 第二は原子燃料公社のことであります。原子燃料公社につきましては、まだ置くのは早いのではないか、法律に規定するのは早いのではないか、こういう御議論もありました。しかしわれわれは次の三つの理由で置く必要を認めるのでございます。
 第一は探鉱、採鉱の努力であります。わが国におきましてはウラン鉱の探鉱、採鉱は非常に怠っております。フランスにおきましても全然ないと言われたのでありますが、年間二十五億円ほどの金を使いまして数年間やりました結果、現在非常に職官に産出いたしまして、スカンジナヴィア諸国に輸出しております。わが国におきましても、中国地方にようやく出て参りまして、国際水準のものが出て参りました。従って相当に経費をかけて膨大な探鉱作業をやればかなり有望だと思われるのであります。国産燃料を作るということは、自主性の上にきわめて必要であります。そのためにもわれわれは、相当な経費をこれにかけなければならないと思うのであります。現在地質調査所が飛行機等を使いまして概査をやっております。現在の計画によりますると、日本全国の概査は二年ぐらいかかることになっているのであります。そんなことではとてもいかぬというので、われわれは少くとも一年ぐらいで概査は終了させるように予算的な変更もやろうと思っております。そこで実際概査が終ったらボーリングをやる、あるいはジープを走らせる、こういうことは地質調査所ではできないので、独特の機関を設けて専門的にやる必要があります。石油について資源開発会社ができましたが、それと同じように、ウラニウムの探鉱、採鉱に関する実務機関がどうしても必要なのであります。それが第一で、あります。
 第二は精錬の研究であります。ウラニウム二三五と二三八を分離するとか、あるいはプルトニウムの転換をはかるとか、トリウムをウラニウム二三三にかえるとか、そういうような精錬事業というものは日本では全く未知であります。そこでこれの研究をし、日本独自の方法を作りあげ、パイロット・プラントを作りあげる、その程度まで進めなければならないのであります。その仕事は非常に費用も要します、また努力も要するわけで、独立の一部門になるのであります。
 第三点は廃棄物、残滓の処理であります。この原子力の一番の脅威は灰であるとか、放射能であるとか、つまり廃棄物等から来るのであります。そこで今後原子産業が発展し、動力炉ができるに当りましては、そういう原子関係の廃棄物は一手にこの公社が回収しましてそうして処理をする、それは国内的にも国際的にも必要なことになります。その処理の研究が先ず必要であります。そういう三つの部門を担当せしめる大事業がありますので、今その公社の芽を作りまして徐々にその研究部門を発展せしめていくと、こういう構想でございます。
 なお現在財団法人原子力研究所というものができておりまするが、この原子力研究所の設立に従って、その努力に対しましてはわれわれも十分敬意を表しまして、この公社と研究所との受け継ぎの場合には、なるたけそれらの努力は継承して尊重していきたい、そういうように考えております。原子力研究所なり原子燃料公社に関する規定は別に法律を作りまして、次の国会に提出する予定でございます。
 第四章 原子力に関する鉱物の開発取得、この点は鉱業法の特例を認めまして、第八条は「核原料物質に関する鉱業権又は秘鉱権に関しては、別に法律をもって、鉱業法の特例を定める」、これは鉱業法に書いてあることでありまして、注意的規定であります。第八条は御承知のように、鉱業法に書いてあることの特例でありまして、つまりウラニウム、トリウム系統については公社において収用することができるということ等を規定しておいたのであります。
 第九条、買取命令及び譲渡命令「政府は、別に法律で定めるところにより、その指定する者に対し、核原料物質を買い取るべきことを命じ、又は核原料物質の生産者又は所有者若しくは管理者に対し、政府の指定する者に核原料物質を譲渡すべきことを命ずることができる。」これは主として原子燃料公社によってこれを行わしめる、こういう意味であります。核原料物質ウラン、トリウムというものは非常に貨重品でありまして、転々流通するということもあり得るのであります。現に中国地方におきましては、もはや投機の対象になっておりまして、採掘をする意思のないものが権利だけ設定しようとする、こういう動きがあるのであります。これが転々流通してちょうど株式証券のように投機の対象になってその土地が動くということがあり得るのであります。外国ではすでにあったことであります。そこでそういうような場合には、政府が眠って起さないものには代出鉱を命ずるとかあるいは獲得した鉱物は燃料公社に渡せと命ずることができる、それによって開発を促進しようとする意味であります。
 第十条「核原料物質の輸入、輸出、譲渡、譲受及び精錬は、別に法律で定めるところにより、政府の指定する者に限ってこれを行わしめるものとする。」トリウムやウランの輸出入というものはよほど管理しなければなりません。一般に民間商社が勝手に入れて、勝手に処理をするということは、兵器産業に使い得るような場合もありまするから、一般の保安上よほど注意しなければならない点があるのであります。たとえばわが国に現在某国から鉱石が入ってきてトリウムを作っております。ところがわが国におきましては、原子炉のまだ需要がないから、フランスとイギリスが日本にきて高価で買おうとしております。これを制限する法律は今ありません。十数トンあるこれらのものが外国に出るということは非常に大きな問題であります。しかし放任されようとしておるのであります。そういう点からいたしましても輸出や輸入は国家が管理する。また譲受、精錬、これも法律で規制して核原料物質の採鉱や探鉱は民間にもやらせるつもりであります。民間にもやらせます。しかし精錬は公社が一事に引き受けてやるという意図であります。なぜかといいますと、探鉱や採鉱は民間に刺激を与えまして促進する。ただしできたものは一手にこれを買い受ける、専売方式で全部買い入れて、精錬所に持っていく、こういうやり方でありますが、精錬所はウラニウムのアイソトープの分離に危険性があるのであります。六弗化水素でありますが、ああいうものを使って行うために猛毒性もありますし、周囲に対する保安の問題もあります。そういう点から民間の仕事としてやるには非常に不適当である。イギリスにおいても、フランスにおいても、アメリカにおいても国家がやっておるわけであります。従って保安上から見ましても、いろいろほかの目的のために使われないという措置の上からも燃料公社が一手に引き受けてやるというふうに規定いたしたいと思います。しかしこれらはいずれも法律事項であります。
 第十一条奨励金「政府は、核原料物質の開発に寄与する者に対し、予算の範囲内において奨励金又は賞金を交付することができる。」これは開発を促進せんがための考えであります。たとえば現在鈍なら鉛の鉱業権が設定されておる。そのところに鉄砲打ちとかあるいは学生やその他がウラニウムを見つけにいってウラニウム鉱石があったといたします。それは鉱業権を持っている者に帰属して、発見者は何ら恩恵を受けないようになっている。そこでそういう場合に、発見者に対して国家がある程度賞金を与える、こういうふうにいたしますと、ウラニウムの開発が国民的規模において促進されるということがあり得るのであります。そういう点もここで考慮しておるのであります。
 第五章 核燃料物質の管理、核燃料物質の管理は、燃料物質はウラニウムやトリウムのような直接もう燃料になるもので、非常に危険性があります。そこで輸出入、所持、譲受等をここで管理しよう、これも法律で規制しようという意味であります。
 第十三条、核燃料物質の譲渡命令、これも同じでありまして、ちょうどこれは塩について専売公社が処理していることとよく似ております。すなわち塩は民間の業者に輸入さしておりますが、これを納めるところは、専売公社一手で専売をやっている状態であります。これと同じように、「核燃料物質を所有し、又は所持する者に対し、譲渡先及び価格を指示してこれを譲渡すべきことを命ずることができる。」このように規定したのであります。
 第六章 原子炉の管理、これは原子炉につきましては、周囲との保安上よほど注意して設置したり、あるいは運転を行わなければなりません。そのために別に法律を作ってこれを規制しようというのであります。これはある程度実績を見ましてから、日本に適する原子炉というものを作るべきものだと思いまして、実績をもっと見る必要があると思っております。
 第七章 特許発明等に対する措置、これは非常に重要なところであります。第十七条「政府は、原子力に関する特許出願に係る発明又は特許発明につき、公益上必要があると認めるときは、特許法第十五条及び第四十条の規定により措置するものとする。」これは公益上必要あるときは収用するという意味で、これは注意規定であります。これはほかのものと同じであります。
 第十八条譲渡制限「原子力に関する特許発明、技術等の国外流出に係る契約の締結は、別に法律で定めるところにより政府の行う規制に従わなければならない。」原子力に関する日本の国内はまだ処女地である。従って米英等において公知の事実が日本においては公知でありません。従って外国が日本に特許の網の目を張りめぐらそうと思えば、いかようなることも現在できる可能性があります。そのようなことをある程度コントロールされる必要がある。と同時に、日本の国内で国家資本をもって開発したり、研究したり、民間が研究したことが外国人に高価で買われて外へ出ていくというおそれもある。そういうところはある程度国家的規制を行う必要がある。ただし工業所有権同盟条約に違反しないような程度で、国家的規制でもって特許を守るものであります。これは特許ということが科学発明の終着駅だと思います。これが不適正に行われるというと、発明発見を非常に阻害いたします。そういう点で十八条は非常に重要な規定になっております。
 十九条奨励金、これもここに書いてある通りに、「特許出願に係る発明又は特許発明に関し、予算の範囲内において奨励金又は賞金を交付することができる。」となっております。
 第八章 放射線による障害の防止、これは原子炉の設置並びにアイソトープの移動につきましては、相当危険もあります。そとで別に法律をもってこれに対する保安措置を講ずるというのでありまして、これは炉からレントゲンから、さらにアイソトープに至るまで総合的に規制しようというのであります。との内容は昭和二十七年東大の中泉教授を中心にするスタッフによりまして研究した原案がありまして、これが大体まとまりまして、これをわれわれが引き受けまして、原子炉の点も考慮いたしまして、ある程度手を加えて次の議会に提出する予定であります。
 第九章 補償、これは権利を国家が補償しようとするものであります。これは普通の法律にある通りであります。
 以上で大体逐条の御説明を終りましたが、本法案は国民の生活にも関係きわめて大であり、われわれは衆議院におきましても慎重審議をいたしましたが、どうぞ御審議を願いまして、できるだけすみやかに成立さして下さいますようにお願いいたします。
#6
○委員長(三輪貞治君) この際お諮りいたします。ただいま本会議の振鈴の鳴っておる都合もございまするし、また議案をさらに精査するために暫時休憩をいたしまして、本案に対する御質疑は午後行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(三輪貞治君) それではさよう決します。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
   ――――・――――
   午後一時四十五分開会
#8
○委員長(三輪貞治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#9
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて下さい。
 原子力基本法、審査のため、明日参考人から意見を聞くことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお参考人の人選及び事後の手続等は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#12
○委員一長(三輪貞治君) なおこの際委員に移動がございまして、栗山良夫君のかわりに湯山勇君、上條愛一君のかわりに岡三郎君がそれぞれ委員になられました。
 なおたまたま上條愛一君が理事でございましたので、この際委員長より理事の指名をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(三輪貞治君) それでは小松正雄君を理事にお願いいたしたいと存じます。
  ―――――――――――――
#14
○委員長(三輪貞治君) 午前中提案理由を聴取いたしました原子力法につきまして、御質疑のおありの方は御先書を願います。
#15
○海野三朗君 私は原子力基本法案の第四条におきまして、「原子力の研究、開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し、」こうありまするが、「国の施策を計画的に遂行し、」ということになりますと、施策を遂行するものは政府であるので、その政府がこの基本法に定めてあるところが何と定められてあろうとも、ときの政府の勢いによってあるいはこれを軍備に使うという方面に研究の馬力をかけ、圧力をかけていくということがあり得るのでありまして、この点については提案者の方にお伺いいたしますが、どういうふうにお考えになっておりましょうか。この点、お伺いいたしたい。
#16
○衆議院議員(中曽根康弘君) この法案の冒頭に平和利用に限りと限定しておりまして、それを貫くためにも核燃料物質、核原料物質、原子炉等の設置、移動、所持、輸出入、こういうものは政府が厳重に監視し、そのような曲った方向に使われないようにいろいろな措置を考えておるわけであります。燃料の点からあるいは原子炉の設置からあるいはその他の点にまで一々節を設けまして政府の認可を要する、そういうふうになっておるのでございまして、かりそめにも軍事利用にならないようにこの法案自体も規定しておりますし、またその関係法が単行法としてきましたときには、それぞれ明細に規定することになっております。従ってこの法案を忠実に施行すればそういうことはあり得ないと思います。
#17
○海野三朗君 国の施策という点に私はまた非常に疑義を持つのでありますが、その点は心配ないのですか。
#18
○衆議院議員(中曽根康弘君) この第四条は、原子力委員会をおく本旨をここで申し述べておるのでございまして、わが国におきまする原子力国策、原子力政策をこのような機関で、こういう原則でやるのだ、こういう意味であるのでございます。従って「国の施策を計画的に遂行」するという意味は、平和利用ということと、第二条に掲げました基本方針にのっとってやるという制約があるのでございまして、その御心配はないと思います。
#19
○湯山勇君 私はこの法律に基本法という名前をつけた理由からお尋ねいたしたいと思います。それは従来ある基本法では、教育基本法というようなものがございますが、この教育基本法等におきましては、教育の目的を明示し、教育の基本を確立しておる、これが基本法の性格でございます。従って教育の目的とか、あるいは機会均等とか、男女共学とか、そういうような条章があげられておりまして、それに対する最後のところに、この法律に掲げる諸条項を実施するために、必要がある場合には適当の法制が制定されなければならないという規定にとどまっております。そうして他の学校教育法とか、私立学校法とか、社会教育法とかというものは、それぞれこの基本法の中に別に法律で定めるというような規定なくして、附則あるいは関係法として出されております。ところがこの基本法は、基本法と名前のついておるものは、教育帯本法のような、そういうものとは著しく性格を異にいたしまして、第二条のように基本方針をきめておるところもありますけれども、しかしながら、その最末端に至りますと、たとえば奨励金等、これはもうこの本法以外には他にないようなところまでいっております。これは単に基本法というものはこの法律の名前なのか、いわゆる原子力の平和的利用の基本を決定する原子力憲章というものに当るのか、この点について立案者はどういうふうにお考えになっておられるか、承わりたいと思います。
#20
○衆議院議員(中曽根康弘君) 基本法といたしました理由は後者の理由でございます。すなわち、わが国におきまする原子力政策の基本的事項を明定して、国民の前に安心させると同時に、御協力をいただくという趣旨であります。従って原子力政策に関する必要な事項、国民が不安に思っておる事項等はこれで総合的に明らかにするという意味でございまして、その中で最も重要なことは平和利用に限るということで、いわゆる学術会議の三原則を明定するということであります。これが一番の中心であります。そうしてこれを実施してゆく上のいろいろな点を次の条章以下に書いてあるのであります。教育基本法と違いまして、原子力の開発は一種の事業を伴うものでございますから、従ってこれを開発する機構であるとか、これに伴う物件の移動であるとか、これに伴う放射能の予防措置であるとか、そういう国民が心配しておるものもやはり基本的事項として明らかにしておく必要があるのでございます。その中でそのたびごとに法律をもって定めるときめましたのは、内容が各条章によって異なるものでございますから、そのように規定したのでございます。
#21
○湯山勇君 ただいまの御説明は、大体において了解できると思いますから、そこで重ねてお尋ねいたしたいのは、この基本法によってできるところの附属法あるいは関係法は幾つになりますか。
#22
○衆議院議員(中曽根康弘君) 目下考えておりますのは、第一は原子力研究所法と申しまして、研究を実施する機関、それから第二は原子燃料公社法、これは探鉱、開発を促進する機関でございます。それからその次は核燃料資源の開発促進法、それからその次は放射線障害防止法、それから現在その一環として参議院で御審議願っております鉱業法の一部改正もその一環になると思います。そのほか現在提案されております原子力委員会法、総理府設置法の一部改正法、これもその中に含まれると思います。
#23
○湯山勇君 今海野委員の御質問にもありましたが、これらの附属法、関係法が、基本法の趣旨の通りに行われると、この基本法の精神を体して作られるということの保証はだれがすることになりますか。
#24
○衆議院議員(中曽根康弘君) この基本法の草案を作ります際に、社会党並びにわが党の有志の間におきまして、総合的な法体系要綱というものがすでにできておるのでございます。あとでこれを差し上げてもけっこうでございますが、それに一貫して関連のあるように作っておりますから、この条項を法律の条文に面して提出いたしますると、そごのないようにいくと思います。精神はこの第二条に盛られた精神ですべて尽して書いてあるのでございます。
#25
○湯山勇君 そこでただいままでの説明では、この原子力の平和利用に対するいろいろ各界に不安がある。その不安を取り除くというお話でございましたが、私はそういう不安な点がまだ若干あると思いますので、私自身にあるものもありますし、あるいは国民の間に、各界にそれぞれ残っておると思いますから、そういう点について以下お尋ねいたします。
 まず一番根本的な問題は、平和の目的に限ると、こう限られております。このことが原子力の平和利用というものの基底になっておると思いますが、この「平和の目的に限り」ということには、私もまた社会党に籍を置いておりますけれども、志村委員と中曽根委員との間には若干の見解の相違があってしかるべきだと思います。その間の調整がどのようになされたか、これをまず承わりたいと思います。
#26
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点はおとといも社会党の岡委員から鋭い御質問がございまして、要点は憲法の解釈や、あるいはオネストジョンの問題や、そういう問題で見解の差違ある者が、平和利用というものが確保できるか、こういう御趣旨でありました。われわれは不幸にして国防政策や、外交政策については意見を異にしております。これもいずれ超党派でぜひお願いいたしたいと思っておりますが、しかし現在は不幸にして意見を異にしております。しかしそういう国防政策や、外交政策というその面からまず考えられるべきでなくて、日本が独自に原子力を開発していく基本方針を示しているのでありまして、この日本独自の研究方針という面につきましては、全然そごはない。この精神に基いて開発するという点において一致しておるのであります。従ってこの原子力の開発については、この基本法が優先さるべきであります。ほかの法律に優先さるべきであります。政治上の憲法論や何かについてはいろいろ疑問があって、一定はしておりませんが、この原子力の開発に関する基本方針という面につきましては、全然社会党及び自由民主党と一致しておるのでありまして、そういう精神でわれわれはよく心得ておるつもりであります。
#27
○衆議院議員(志村茂治君) 基本方針に盛られた精神につきましては、私は四人が全部同じ意見でやっておったのでありますが、その間に多少の違いを私は認めざるを得ません。ということは、憲法が第九条をきめておっても、なおかつ軍隊ができるというような状態においては、やはりわれわれは究極においては、そのときの政治権力によってある程度歪曲されるということも覚悟しなければならない。そうなってはいけないのだ。ならないはずだとは考えておりますが、そういうこともまたあり得るというふうに考えなければ、われわれはならないと考えております。そこは、そうであればこそ、われわれは民主的に運営するための機構であるとか、あるいはこうした平和利用に限定するという一つのよるべき根拠といいますか、サポーターになるようなものをわれわれが作っておく必要がなおさら強くなるのではないか、ただわれわれは完全にこれが阻止できるということは旨い切れない。それだけの自信は持っておりませんが、しばしば一歩前進という形においてわれわれは処潰しなければならない。一方において原子力を開発しなければならないということは皆さんも十分御存じであろうと思いますが、そういう条件下においてはわれわれは一歩前進の形でがまんしなければならない。そのためにわれわれはこれに賛成し、こういうふうに作ったのであります。
#28
○湯山勇君 この「平和の目的に限り」という字句について両者で御検討になり、あるいは意見調整をなされたことがございますか。
#29
○衆議院議員(中曽根康弘君) ジュネーヴ会議へお供して参りまして、各国の状況をみまして非常に驚きまして、この問題についてはわれわれは政争の圏外において推進しなければならぬ。そこで各国も最近におきましては平和利用という方面へ非常に指向して参りまして、予算的にも機構上非常なる格段の措置をしている。わが国におきましても平和利用一筋でそういう措置を講ずる必要がある、こういう点で完全に一致したのであります。防衛政策や憲法論議ではそれはどうも違いますし、意見は違いますけれども、ジュネーヴ会議の結果、世界の大勢に目を開きまして、平和利用というやり一筋でわれわれは協調していかなければならない。その点についてわれわれ保守党の政策で反省すべきものは厳重に反省しなければならない。社会党のお考えで現実化すべきものはまた現実化していかなくちゃならない。これは譲るとか妥協するという意味ではなくして、ほんとうに謙虚な立場で原子力を平和的に推進するという立場で提携すべきである、こういう気持になったのであります。
#30
○湯山勇君 この基本法は先ほど提案者の説明にもありましたように、今後数十年にわたる基準にたるものでございまして、今そういったような了解とか現実とかは将来の規定にはならないと思います。そこで私はこの字句について端的にお尋ねいたしたいわけで、そこで「平和の目的に限り」という字句の解釈がこれは御両人で違っておる、あるいは事実もをこれに合う、合わないという判定が違っておるというような場合があっては大へんだと思います。そこで非常にわかりやすい例を引いてこの「平和の目的に限り」ということをお尋ねしたいのですが、現在の自衛隊は、これは平和の目的のために置かれておると御判断になりますか、平和の目的のために置かれていないと御判断になりますか、これは御両者の御意見を伺いたいと思います。
#31
○衆議院議員(中曽根康弘君) 自衛隊に対する考え方は、これは自民党及び社会党で意見を異にしまして、そこで多数少数に分れたものでございます。従って、あるいはお考えが違うかもしれませんが、われわれは自衛隊は名前の示すように、国家の安全を保持し、国を防衛するために存在するもので、それは平和を維持し、国を安定させるという貴味があると思うのであります。平和を維持して国を安全に保つというために自衛隊というものがある、そういう点からは、やはり平和目的にも合うと考えられる存じます。
#32
○衆議院議員(志村茂治君) 御指摘の通り私は社会党ですから、今の自衛隊等は平和のためとは考えておりません。従って平和目的とここに書いてあります以上は、軍事目的、自衛隊には絶対に使ってはならぬ、こう考えております。
#33
○湯山勇君 それでは中曽根委員にお尋ねいたします。自衛隊でやはり原子力をいろいろ利用し研究する、自衛隊の用にたてるために。これは「平和の目的に限り」となる中の範疇に入るか入らないか、どうお考えですか。
#34
○衆議院議員(中曽根康弘君) それは入りません。それは岡委員の御質問にもありまして、自衛隊が自分の目的のために原子力の研究をするということは許すべきでないと申し上げたのであります。
#35
○湯山勇君 その理由をお尋ねします。
#36
○衆議院議員(中曽根康弘君) ここに書いてある「平和の目的に限り」という意味は、民生安定であるとか、あるいは国民生活水準の向上であるとか、第一章の第一条の目的を達するためにやるのであります。具体的に申し上げれば、エネルギー資源を確保するとか、学術の進歩とか、産業の振興とか、そういうことに寄与すべきものであって、国防目的のためにそれを使うべきではない、第一条から見てもそのことは当然であります。
#37
○衆議院議員(志村茂治君) われわれがジュネーヴへ行きまして、そうして平和利用のための国際会議というものを見て参りましたのですが、そこで実際に行われておりますことは、軍事目的の利用は全然入っておりません。少くとも原子力の世界におきましては、原爆あるいは原子兵器というようなものに対抗したような概念として平和利用ということがうたわれておりますので、私たち四人の考えもやはりその線に沿っておりまして、軍隊が平和的であるかどうかということは別といたしまして、原子力に関する限り、世界の考え方はすべて平和に使うことは除外するという考えでありまして、その考えに立ってわれわれは共同してやっておることを申し上げたいと思います。
#38
○湯山勇君 重ねてお尋ねいたしますが、それではアイソトープ等を使って、自衛隊の使っている銃なり砲なりの材質、あるいは海上自衛隊の軍艦等の使用材料の検査、そういうことをするのはどちらに入りますか、これも御両者から御答弁願います。
#39
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点も衆議院でお尋ねがありまして、私は次のように申し述べたのでございます。
 この原子燃料を用いて人を殺傷するための武器、それは原子力の軍事目的になる原子燃料を用いて人を殺傷するための武器として使う……。しかし大学やあるいは金属材料研究所や原子研究所が、原子炉を使いまして、いろいろ金属材料の試験をしたりして、それが一般科学の水準の向上になって新しい鋼鉄が生まれるとか、あるいは高度のプラスチックが生まれるとか、そういう間接的な一般科学の上昇に伴う間接効果として、鋼鉄の強い機関銃が生まれるとか、今使われておる程度のものが使われるということはあり得ると思うのであります。この原子燃料というものを使って人間を殺傷するための武器として使うとか、そういうことは別であります。そのことはジュネーヴで開かれました今度の世界の会議も、そういう意味で平和利用というものをうたっておりまするし、今度国際連合にできました原子力の国際機関も平和利用というのをそういう意味で使っております。私はそういう国際的な概念に従って日本の平和利用という概念も規定すべきであると思います。
#40
○衆議院議員(志村茂治君) 直接原子力を使った武器については、われわれ絶対反対いたしておりますが、原子力を使った結果として従来ある武器が、これが改良されるというようなことについては、われわれは脅えておりません。
#41
○湯山勇君 考えていらっしゃらないというのじゃなくて、それは認められるかられないか。
#42
○衆議院議員(志村茂治君) われわれ社会党の立場ですと、それは認められません。しかしながら現状は別だ、こう考えております。
#43
○湯山勇君 そういたしますと、中曽根委員にお尋ねいたしますが、あなたは自衛隊は平和目的のために置かれてあるのだ、こういう前提をお下しになって、その平和目的のために置かれておる自衛隊の使うものも、またこれは平和目的以外の何ものでもないはずです、あなたの理論をもってすれば。そうすると、自衛隊の武器だろうが何だろうが、やはり平和目的というものにかなうということは、これはもうだれでもわかる論理でございます。その論理をあなたはお認めになるか、ならないか。ならないとすれば、論理的にどういうところからそうならないか、その点について御説明願いたいと思います。
#44
○衆議院議員(中曽根康弘君) 非常に三段論法が御巧妙でありまして、誤解を私は受けたような感じでありますが、平和目的という概念が、自衛隊の場合と原子力の場合は内容がやや違うような気がいたします。たとえば国民のためとかあるいは世界のためとか、そういう抽象的な概念はよく混用されると思うのです。ヒットラーも国民のためにやったと言う。ヒットラーも世界のためにやったと言う。ヒットラーも平和のためにやったと、こう言うでしょう。それはルーズベルトも同じようなことを言うし、東条さんも同じようなことを言っている。抽象的な、理念的な言葉はどちらにも転用されることになると思うのであります。ただ問題は、その抽象的なことを実現する手続、方法がほんとうに民主的に構成されているかどうか、保証されているかどうかという問題だと思うのであります。その点から見ますと、ここに書き上げてありますように、いろいろな諸般の手続をして国家が規制するようにしてありまするし、ただいま申し上げましたように、ここに書いてある平和目的というものはジュネーヴ会議の精神、あるいは国際連合で、国際機関を作ろうと、ソ連を含めてこの間決議したあの意味における平和農的ということであることを申し上げたいのであります。
#45
○湯山勇君 私御説明についてはなおあとでお聞きしたい点がありますから保留いたしまして、平和目的という言葉は非常に概念的に広いと思うのです。そこで他の国の同様のものを見ますと、非軍事利用とか、あるいは兵器その他の軍事的目的に使用しないという端的な表現をしております。これならば私はよくわかると思うのです。ところがこういうふうに「平和の目的に限り、」という言葉を、しかも今日の日本の国内情勢で、憲法についてさえ論議がある段階で、こういう言葉をことさらお使いになった、十分お練りになって使われたことと思いますから、他国で使っておる非軍事目的のために使うとか、兵器その他軍事的目的に使用しない、そういった端的な表現をしないで、なぜこういう含みのある表現をされたか、その点についてお尋ねいたしたいと思います。
#46
○衆議院議員(中曽根康弘君) 非軍事的目的という表現はこれは非常に正確であるかもしれません。しかしそういう消極的否定の言葉の使い方よりも積極的肯定の、前進するかまえのほうが、こういう新らしい処女地を開拓する表現としては私はいいと思ったのです。それはジュネーヴのこの間の会議におきましても、アトム・フォア・ピース、フォア・ピースという言葉をちゃんと使っております。また国際連合におきましても同様であります。従って消極的否定の感情を国民の前に示すよりも、積極的肯定の開拓精神を示すほうが、法案の構成上私はいいと思ったわけであります。すなわち人類の福祉に貢献する、ガンをなおすのだ、新しい材質を作るのだ、新しい種を作るのだ、そうし七国民生活をよくしていくのだ、すなわち平和の目的である、そういう積極的なものを国民の前に提示するほうが法案としては力が強いとわれわれは考えたのであります。
#47
○湯山勇君 それは最初の御説明と若干食い違っておりまして、最初御説明になったのは、原子力に対して国民の間にもいろいろ不安がある、その不安をなくするということが大切だということからこのような基本方針を立てたのだ、もちろんその中には今日の国際情勢、社会情勢の中で、原子力の開発におくれてはならない、むしろこれには積極的に乗り出さなくちゃならないという意図があることはもちろんでございますけれども、不安を除くということは、今おっしゃったように世界の国々と日本の場合とでは非常に違っております。むしろ今日の日本の国情に合せる、そうして国民の不安を除くという点からいえば、そのことがより厳密な意味をもっておる、そういう消極的な表現のほうが妥当だとはお考えになりませんか。これは御両人、お二人から承わりたいと思います。
#48
○衆議院議員(中曽根康弘君) 午前中提案のときに申し上げましたが、共同提案として議員提出したのはどういうわけかという第一に、国民に対して日本の原子力政策全般の見通しを与えるということ。それから第二は、全国民の代表者が積極的に国の運命を開拓する責任をとって国民の前へ乗り出して行くのだ、そういう姿を示すということを第二に申し上げました。それから第三番目に、このことはしかし国民の権利義務にも影響するところが多いし、国民に不安をまく、そういう点もある、そういう点につきましては政府が一方的に提出するというやり方ではなくて、国民代表が十分に審議をし、安全の措置を万般講じて議員提出として仲間から出すというやり方が望ましいということを申し上げました。そこで不安を除くという要素と、もう一つは積極的にわれわれ議員が日本の運命を開拓するために提示したいという両方あるわけであります。これで少くとも第二条に基本方針を示す場合には、そういうような積極的意図を盛った方が法案としても、議員の心がまえとしても適当であると考えます。
#49
○衆議院議員(志村茂治君) 実は私たちが今度の国際会議に参りまして一番強く印象に残りましたことは、世界が平和利用という形で強く打ち出されておるということであります。日本の国民が従来何も原子力で恵まれたことはない。被害だけを受けておるということは万般知ってはおるのでございますが、しかし日本がわれわれの考えておりました場合には、そういうことよりも日本が進んで、燃料資源の足りない日本は、まず第一にこの原子力によってエネルギー資源を獲得しなければならないということが非常に強く印象に残ったわけでございます。そういうことからむしろ逆に否定的な言葉々使うよりも積極的な平和的利用だ、これから大いに開拓して甘木の経済力を増進するのだというふうな意欲の方が強かったのであります。従って内容におきましては、これをおそれる人から見れば、やはり平和利用という意味も同じく今おっしゃられるように非軍事的利用だ、そういう意味で私たちは解釈いたしております。
#50
○湯山勇君 それでは中曽根委員にお尋ねいたしますが、今志村委員のおっしゃったように、「平和の目的に限り、」という言葉の内容は非軍事的利用である。そしてこれは兵器その他の軍事的目的に利用されない。こういうことを意味しておるということをあなたは御確認になられますか。
#51
○衆議院議員(中曽根康弘君) その通りであります。
#52
○湯山勇君 それじゃそれで一応わかりました。
 次にお尋ねいたしたいことは、その次の「自主的にこれを行う」ということですけれども、この「自主的」という言葉の説明は、先ほどの御説明では、日本の国が自主的に行うというような意味にとれましたが、そういう意味だけでございましょうか。
#53
○衆議院議員(中曽根康弘君) 御質問の趣旨がまだよくわかりませんが、私らが考えておりますことは、たとえば日本の原子力の学者が海外へ旅行したり、勉強に行く場合に、今までの傾向だと外国の資金をもらったり、あるいは学術奨励金やなんかで行くのが多いようですなるたけそういうことはやりたくない、今後は原子力平和利用という予算をとってわれわれの税金で外国へ学者を送りたい。また若い優秀な大学院の卒業生やなんかたくさんおりますが、こういう人々も外国にいろいろ奨励金を探し回っておる状態ですが、われわれ国会で国民からお願いしていただいた税金で、日本人みずからの総意において外国へ送りたい。たとえばそういうような精神で原子力の運用というものはやっていこう。またたとえば先ほど具体的に申し上げましたが、日本の原子炉の築造にいたしましても、アメリカから濃縮ウランを借りてできたものを持ってくるというのは、これはしばらくの暫定的措置として行う。それで大体原子炉の構造もそれでわかりますし、訓練の要員もできますし、これでなるたけ早く卒業してしまって、三年目には国産第一号炉を作って、それがある程度完成したら、それと並行して動力炉まで進んでいく、しかし日本の動力炉というものは燃料の制限を多分に受けてきます。外国の燃料によってこれが行われるということではよくない。従って濃縮ウランによって動力炉を作るということはわれわれはなるたけ避けたいと思っておる。国産の天然ウランによって国産の重水またはグラファイトによって行うように持っていきたい、こういう念願で自生的に行うということを考えておるのであります。
#54
○湯山勇君 この基本方針の中に、大学その他における研究の自由の保障はどこにございますか。
#55
○衆議院議員(中曾根康弘君) これは大まかな基本方針でございますから、大学その他の関係のようなことは、これは関係法その他で書くべきものでありまして、現に原子力委員会設置法に一部書いてあります。そこで大学の先生方のの誤解があったのでございますが、われわれは今まで大学の先生方が固有の研究としてやってこられたものをこの法律等によって調整し、干渉しようとは毛頭思わないのであります。いわゆる大学の研究の経費は講座研究費として出てきております。これは文部省を通して要求しておるので、これはこのままにしておくのです。従って大学が今まで固有にやっておる講座研究費が、原子力平和利用費がその中に入っておってもこれは調整しない、アイソトープや原子力を研究する場合も講座研究費の場合はそのままにしておくわけです。ただし附属研究所が行う場合はダブるおそれがある。先ほど申し上げましたが、農林省の場合あるいは大学の農学部の場合あるいは大学の病院の場合、厚生省の場合、それが軽微なものならいいけれども、大規模なものを知らないでやっているということもあり得ます。そういう場合にはやはり調整をしてむだを省くとか、あるいはダブっていることも必要なことがあります。その場合には知ってなければいけない。両方ダブらしてあることは非常に重要な点もあると思うのですけれども、少くとも国家の一定の場所でそれを知っておらなければならない。そういう意味におきまして、重複を避け、情報を密にし、交換を密にし、研究を促進する。ことに日本の場合は先ほども申し上げましたが、原子力は処女地ですから重複やむだがかなりあり得るとも思われるのです。そういう点からしても調節の必要があるのであります。現に航空研究所の場合は、これは同じように調整するようになっておるのであります。従ってこの場合だけそういうことが行われるというのではありません。ただ先生方の御心配の一つの問題点は、たとえば東大の田無の原子核研究所の経費が原子力平和利用費として包含されるのではないかという疑問なのですが、これはごもっともでありまして、京都大学のサイクロトロンは固有研究費として調整されない、しかし東大の田無の費用はサイクロトロンでありながら調整されるとは不均衡である、その通りなのです。われわれはこれを入れようとは思わぬのです。なぜかというと、原子力利用費、原子力というふうにわれわれは限定している。原子核はこれには入らない。従ってサイクロトロン等の原子核の研究費はこれに包括する意図はないのであります。また原子力の中でもアイソトープのようなものは軽微なもので普遍化しているものを一々取り上げていいまどうかは疑問であります。従って原子力平和利用費の限界線につきましては大学の教授の皆様方ともお話し合ってゆっくり御了解を得て御意見を尊重していいたいと思うのであります。
#56
○湯山勇君 今おっしゃったのでは私はますます心配な点ができて参りました。そこでお尋ねいたしたいのですが、この法律は基本法ですからそういった例外があるということがいけないことであって、基本法に照せばすべてが明瞭になると、こういうことでなくてはならないと思います。今アイソトープとかそのほか核実験のためのわずかなウラニウムというようなものは話し合いによって除外していくというお話でございましたけれども、「この法律において次に掲げる用語は、次の定義に従うものとする。」と定義が、そういう除外例を認めるというような、あるいは扱いにおいて別ワクを認めるというようなことは、これは基本法としての権威にかかわると思いますが、それらの点については、やはりこの法律に若干不備な点があるということをお認めになるわけでございますか。
#57
○衆議院議員(中曽根康弘君) 基本法に行政の執行上のすべての点まで網羅することはむずかしいと思うのであります。そういう場合は、行政の執行上の問題でありまして、この基本法並びに原子力委員会設置法、この二つをごらんになりますると、そういう点は明らかになっておるのであります。
#58
○湯山勇君 それでは今お話のあった現在使っている程度のアイソトープとか、基礎研究のわずかな量のウラニウムとかいうものは、この法律の基本法の第五章の核燃料物質の管理、この法律からは除外される見通しを持っておられるわけですか。
#59
○衆議院議員(中曽根康弘君) それはその核燃料物質の質がどういうものであるとか、量がどういうものであるとか、これが研究用途、使用用途がどういうものであるとか、そういう具体的なケースでないと、包括的には申し上げられないと思います。それで第五章の法律を規定する場合に、そういう点は詳細に検討して記入したいと思っております。
#60
○湯山勇君 あなたはさっき慣用上使っておるようなものは除外するということをおっしゃった。その程度のものは、この第五竜の法律から省かれるかということを申し上げておるので、一般的に申し上げておるのではありませんから、明確に一つお答えいただきたいと思います。
#61
○衆議院議員(中曽根康弘君) 第十二条にいう核燃料物質というのは、ウラニウム及びトリウム等、原子核分裂の際、高エネルギーを放出する物質でありますから、これは原則的に包括されると思うのであります。なぜならば、こういう危険物質を大学が勝手に輸入したり、輸出したり、政府の担当するところが知らない間に入ったり、出たり、移動するということは、国定の安全の上から非常に検討を要することと思います。やはりこういう危険物質は、少量でも非常に危険な物質ですから、国家が一元的に入ってきたところから埋没するところまで見て責任をとるということが必要と思います。
#62
○湯山勇君 そうすると、現在あるように核実験のためのごとく少量のウラニウム、こういうものもみなこれに当てはまるというように御解釈になっておられますか。
#63
○衆議院議量(中曽根康弘君) 大学の場合ですか。
#64
○湯山勇君 そうです。
#65
○衆議院議員(中曽根康弘君) 大学の場合、大学はそれをどこから持ってきてどういうふうに使うか、その態様によっても異なりますが、たとえば大学が鉱石を自分で買ってきてケミカル・セパレーションの実験をして自分で生産したごく少量を、それをいろいろ研究に使うというような場合は一般の場合と違いますから、そういうものは、法律を規定する場合に事情によって考慮すべきものと思います。しかし原則的にはそういう例外を認めることは、こういう危険物資につきましては非常に消極的に考えなくてはならぬと私は思います。
#66
○湯山勇君 私が言っておるのは原則的なことじゃなくて、具体的な、今あなたの御指摘のような事例を言っておるわけですが、そういうものは除外される見込みだとか、あるいはやはり厳重にやるのだとか、そういうお答えをしていただきたいと思います。こういう点はあなたは最初おっしゃったように、ささいな不安もなくしようということで、これは御提案になっておるわけでありますから、こういったささいな不安についても、これは記録に残して、そういう不安をなくすることがわれわれの任務ですから、別にこれであなた方に文句をつけようというようなことではないのですから、一つそういう立場でもう少し端的にお答え願いたいと思います。

#67
○衆議院議員(志村茂治君) 実は中曽根君が言いましたのは、放射性物質といったようなアイソトープのようなものであって、核燃料とは違うのです。そういうようなお医者さんが使うアイソトープ程度のものであれば、これはそうやかましく言わぬでもいいじゃないか。核分裂をする危険なものだけは慎重に取り扱わなければならぬ、こういう意味であります。
#68
○湯山勇君 それから次にやはり同じようなことですけれども、トリウムなどは真空管用に使われておると問いております。これらはやはり第五章の規制を受けることになりますか。
#69
○衆議院議員(中曽根康弘君) これは大学が使う場合ですか、それとも工場、会社で使う場合ですか。
#70
○湯山勇君 両方を一つ。
#71
○衆議院議員(中曽根康弘君) 私は大学が実験のためにそういうものを使うという場合は、トリウムの所持その他について野放図にそのまま放任しておくわけにもいかぬけれども、包括的に許可をするとかそういうことはあり得ると思います。しかし民間の鉱業会社になりますと、大学の場合と非常にケースが異なってくるので、それは相当厳重な規制を加える必要があるんじゃないかと思います。そういう真空管に使うものはほかのものにも使えるのでありますから、うっかり兵器に使われると平和利用がめちゃめちゃになりますから、やはり厳重に監視しなければなりません。
#72
○湯山勇君 そこで、今大学のお話が出たついでにお尋ねいたしたいと思いますが、衆議院の方では、原子力委員会が大学の予算にまで関与するということは工合が悪いというので、大学の学部については付帯決議かなんかをなさったと聞いております。そこで、同じような性格の大挙院についてはどういうふうになりましょうか。
#73
○衆議院議員(中曽根康弘君) これは文部省の予算の形式がどうなっておるかということでありまして、大学院も一緒に講座研究が入っておると思います。その辺は、私はしろうとでございますから、よく知りません。われわれが特に規定したいと思ったのは付属研究所だけです。それ以外の大半の学部とかあるいは大学院とか、そういう普通の研究コース、あるいは学術行為をやるコース、これはタッチしない。付属研究所というのは大体、主として応刑研究をやるところが多いのです。そういう場面は、たまたま農林省や厚生省がやっておることとダブる場合が非常に多い。そういうことをわれわれは示唆して言っておるわけであります。
#74
○湯山勇君 これは付帯決議のあった大学の学部に大洋院が置かれている学校も多いと思いますが、東京大学なんかは、学部とは別に大学院があると聞いております。そういう場合に、今の付帯決議等によって大学の学部だけに認められましても、そういうことが、大学院がそれから除外されるということになると、はなはだ片手落ちなやり方だと思いますが、この点についてはどうお考えになりましょうか。
#75
○衆議院議員(志村茂治君) 衆議院の科挙技術特別委員会におきまして付帯条件をつけるときに、大学というのは大学院も含むという意味に解釈いたしております。
#76
○湯山勇君 それは少し変なので、おつけになったのは、「大学の学部における」とはっきり書いてあります。そこでそうなりますと、少し違うところもできてくるので、そこでもしそういうことになれば、本院においてそういう決議もしなくちゃならぬかもしれませんから、その点を一つ明確にしていただいて、大学の学部というのは大学院と当然同じになされるのだ、こういうことならそれでいいと思いますが、一つ明確にしていただきたい。
#77
○衆議院議員(中曽根康弘君) この点は衆議院におきまするわれわれ提案者並びに政府の責任大臣の答弁にも終始はっきりしておりますが、講座研究費には手をつけないということ、講座研究費の中には大学学部、大学院ともに入っているはずであります。はっきりもっと申し上げますと、付属研究所以外は全部手をつけたいというふうになっております。
#78
○湯山勇君 付帯決議の文章をお持ちでございましょうか。
#79
○衆議院議員(中曽根康弘君) あります。「原子力委員会設置法第二条第三号の関係行政機関の原子力利用に関する経費には、大学学部における研究を含まないものとする。」となっております。
#80
○湯山勇君 そうすると、今私が申し上げましたような不安が当然起ってくると思いますが、これは不安が起るということはお認めになられますか。
#81
○衆議院議員(志村茂治君) それは衆議院の科学技術特別委員会でもやはり問題になりました。そのときに、提案者が大学の大学院も含むのだということを言っております。
#82
○湯山勇君 含むのだとおっしゃっても、ちゃんとそういう、一方は成文化されておってそうなっておるし、一方はそうなっていないということに、やはり不安があると思うのです。不安をなくするということがきょうのこの審議の重点ですから、だれも反対する人はいないのですから、そこでそういう不安が残るか残らないか、残るならば何とかしなければならぬと思って問いておるのですから、一つこれも率直にお答え願いたい。
#83
○衆議院議員(中曽根康弘君) 本旨は、付属研究所以外全部に触れないというのでありますから、もしさような点に誤解があるとすれば、御訂正いただけばありがたいし、われわれの趣旨は、付属研究所のものに限るという趣旨であります。
#84
○湯山勇君 次にお尋ねしたいことは、今私もあなたの今のお説に賛成したのですが、核分裂だけではない。核融合についてもやはり相当今から用意してかからなければならない。そこでこの原子力基本法を見ますと、核分裂については相当詳しいというか、検討がなされておりますけれども、基本法としてばやはり核融合に関しても何らかの、何といいますか、種々将来の指針ですね、そういうものがなくてはならないと思うのですが、それについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#85
○衆議院議員(中曽根康弘君) 水素融合反応につきましては、われわれは研究いたしますときに議論いたしまして、これも包括したらどうか、こういうことでありました。そこで第三条の定義のところで、「『原子力』とは、原子核変換の過程において原子核から放出されるすべての種類のエネルギーをいう。」こういったのであります。原子核変換という場合には、原子核の分裂と融合と両方入るわけです。初めは原子核分裂と書いたのです。そこで、これでは融合反応が入らないというので、変換というもっと大きな概念を作ったのであります。そういう意味で、この水素融合反応の場合も考慮に入れているということを御了解願いたい。
 ただ、当面の問題は、原子核分裂の際出る一億数千度の高熱が、二重水素、三重水素の反応を引き起す原理になりますから、とりあえず原子核分裂に力を入れておりますけれども、しかし核融合反応も無視しているというわけではございません。
#86
○湯山勇君 これは皆さん御承知の通り、ジュネーブの、バーバですか、インドのあの人もはっきり言っておりますように、二十年後には核分裂と同様に核融合反応のエネルギーが平和的に使われる、こう言っておるくらいでございまして、当初の立ちおくれはまあ別としましても、基本法としては、やはり今おっしゃったような程度ではなくて、もっとその核融合反応についてのこともやっておかなければ、将来の発展を期待するという大構想のもとにおける基本法としては、私は若干不十分ではないかという感じを持ちますが、これはいかがでしょうか。
#87
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子力という概念には、そういう融合反応と分裂反応とが、概念として両方入っているわけでありますから、まあそういう原子力の変換あるいは原子力の利用、そういう概念で両方包括されるとお考えいただきたいと思うのです。
 ただ、ただいまの状況では、核分裂の方による原子力の動力的利用や、医学その他への利用が目下課題である。わが国の状態は、外国はすでに動力炉に入っておるのに、まだ実験原子炉しかないという状態であります。ここ当分の間は実験原子炉から動力炉に移行する必要がある。それと並行して、核融合反応の研究も必要でありまして、私の聞いておるところでは、来年四月ごろから、湯川さんを中心にして学者たちがこういう研究グループを作り、いろいろな計算もするようになっているようであります。これは非常に重要でありまして、われわれはそういう点についても大いにプッシュしていきたいと思っております。
#88
○湯山勇君 私がお尋ねしておるのは、そういう御精神はよくわかるのであって、そういう精神があればあるだけに、もう少しこの基本法にも、それに触れた方面が原子力というものの中に――それはもちろん含まれることはよく存じておりますけれども、原子力という言葉でそれを含んでいる以外に、核融合反応の開発とか、そういうことに関する条章、字句が一つもないわけです。つまり原子力という言葉以外の何ものも核融合反応については使われていないわけなんで、一方核分裂反応についてはいろいろなことがあります。そこで、そういう点についてもこの際、あるいは将来この基本法をもう少しそういう方向に画けるべく、改めていかなければならないのではないか。そうでなければ、これは基本法じゃなくて、まあここ五年か十年かの今の日本の国情に合うための当座の原子力法にしかならないと思いますから、基本法である以上は、もっとその方面の追究も必要ではないかということをお尋ねしておるわけです。
#89
○衆議院議員(中曽根康弘君) この原子力という概念は間方入って、定義したのでありまして、その点では私は修正の必要はないと思うのです。なぜかと申しますと、第一条におきましては「原子力の研究」云々となって、これは当然分裂も融合も入っているわけです。第二条も同様であり、第三条の定義もそういうことを考慮しているのであります。第二章の原子力委員会というのは、第四条に「原子力の研究」とあるのでありまして、それは分裂反応だけを言っているのじゃないのです。総合的に言っているのです。ただ、常識的に核分裂だけが原子力だと思われておる弊はあります。しかし、原子力という概念は両方法律的には含まれておるのでありますから、特に断って、水素融合反応だけを取り出す必要はない。原子力の概念ということで全部包括されておるのであります。従って、原子力研究所はやはり融合反応も研究するのは当然であります。従って、特にそれだけ取り出すことはどうかと思います。
#90
○湯山勇君 あなたは私の言うことを少し誤解しておられるので、至るところにそういうふうに融合反応を含めた原子力という言葉は使ってあります。原子力研究所とか、あるいは原子力委員会にしたってそうだと思います。そういうこと以外に、一方の分裂反応については、今の定義にしても、ずいぶん詳細に他のことも書いてあります。それからその他の場合においても、たとえば核燃料物質の公社を作るとか、あるいは鉱業法等においても、その他についても、危険度とかなんとかいうこともあれますけれども、とにかくこの核燃料物質、つまり分裂反応のことについては単独な条章もたくさんある。条文もたくさんあります。しかし融合反応については、分裂反応と一括された原子力という言葉以外に、原子力という言葉はこの中にたくさんありますけれども、それ以外には単独に融合反応に関するものはない。しかし、融合反応に関するものも非常に重要であるしするわけですから、そうだとすれば、そういうことについての考慮もやはりしなければならないのではないか。そうだとすれば、これだけでは、まだ現在はこれでいいとしても、将来そういう点についての考慮もしなければならないようになるのではないかということをお尋ねしておるわけです。
#91
○衆議院議員(中曽根康弘君) そうなりますというと、融合反応の中でもいろいろ今度は反陽子なんてものが出てきまして、核分裂反応及び水素核の融合反応、あるいは反陽子云々と、そういうことまで一々書かなければわからないようになります。実際一番重点が指向されてしかるべきは反陽子の利用でありましょう。分裂の場合は千分の一のエネルギーしか解放されないが、反陽子の場合は百パーセント解放されるのですから、エネルギーの効率においては一番大きいわけです。そういうことにもなりますので、原子力という概念にはすべてが包括されている。反陽子の場合も入ってくるし、水素反応の場合も入ってくるし、すべての場合が入ってくる。それでこの第一条、第二条、その他には、核分裂を目的として研究するというような意図はどこにも言葉にも出ておりません。包括概念として両方含めているのですから、どうぞその程度で御了承願います。
#92
○湯山勇君 将来第三条にあげてある用語の定義、つまりこれは基本法ですから、ここで使われておる定義はその他の関係法が出たときにもみなそのまま使われると思います。融合反応の研究が進んでき、これがある程度実験段階に入ったときに、これらの定義の中につけ加える必要はもう全然ありませんか。
#93
○衆議院議員(中曽根康弘君) 日本の水素融合反応がもっと進んできて、今後十年ないし十五年、二十年後に実用化するとか、あるいは実用のメドがつくという程度にいくならば、そういう考慮が必要かもしれません。しかし、今はどっちに進むかわからないのです。赤ん坊を妊娠したということはわかるけれども、里か女かも、どういう顔をしているかもわからないのです。従って、これは生まれてからある程度名前は考えた方がよいのではないかと思うのであります。
#94
○湯山勇君 ずいぶん危ない御答弁だと思いますが、これはまあしかし、そういうことではなくて、私が今申し上げようとしておるのは、基本法だからそういう考慮も十分しなくちゃならないと、そういう点がこうなっておるのだということをここで明らかにしておけば、それでまあ一応安心できますから、その点を記録に残すために申し上げておるのですから、最後におっしゃった答弁で私は了解いたします。
 それから次にお尋ねいたしたいのは、原子燃料公社ですが、これについてはお二人の間で意見の対立はございませんでしたか、論議の過程において。
#95
○衆議院議員(志村茂治君) 燃料公社についてはありません。
#96
○海野三朗君 今のに関連して……。この核燃料に関しては、そういうことでありますというと、将来燃料という見地から考えてみて、石油などがすぐ頭に浮んでくるのです。この前の国会において、石油開発会社を作った。そうして政府が二分の一以上の出資をするということでありましたが、そのことについて私はちょっと通産当局に聞きたいのでありますが、この核燃料に関してどういうふうなお考えを持っておるか、私は通産当局にちょっとお伺いしたい。来年度の予算というものにおいてこの予算をどういうふうに組んでおられるか、それはいかがなものですか。石油資源総合開発五カ年計画の達成を目的として、二十二特別国会において石油資源開発株式会社ができたわけです。その三十一年度においては、予算をどんなふうにお考えになっておりますか、この核燃料に関連してお伺いしたい。
#97
○委員長(三輪貞治君) ちょっと海野委員に申し上げますが、ちょっと原子力基本法にはずれておるようですが、いかがですか、今どうしても関連してお聞きになりますか。
#98
○海野三朗君 私は、この核燃料について関連質問でありますから、ちょっと通産当局に、鉱山局長に聞いておきたい。予算はどんなふうに考えておられるか。
#99
○委員長(三輪貞治君) それは、この法律の審議の過程でなくても、別の機会もあるのではないでしょうかね。
#100
○海野三朗君 それに関連してちょっと伺っておけばいいのです。
#101
○政府委員(松尾金藏君) 御承知のように、本年度新会社の発足に当りましては、政府で帝石株を現物出資をいたしまして、五億数千万円の出資をいたしたわけであります。来年度におきましては、三十一年度の予算要求といたしまして、現在七億の政府出資を要求をいたしております。大蔵省の予算査定の立場からも、石油資源開発の精神はよくくんでおいでになっておると思いますので、ぜひこの線で実現いたして参りたいというふうに考えております。
#102
○湯山勇君 それでは、今中曽根委員が、公社の職員の給与等についておっしゃいましたが、イギリスでは燃料だけの公社じゃなくて、原子力公社となっていると思いますが、それを日本は特に燃料公社とした理由、これを承わりたいと思います。
#103
○衆議院議員(中曽根康弘君) イギリスの場合は、お説の通り、ユナイテッド・キンググム・アトミック・エナジー・オーソリティというので一本になっております。しかし、あれは非常に膨大な機構で、いろいろなブランチがあるのです。原子力の研究ブランチはコッククロフト卿が中心であって、ハーウェルの研究所がある。あるいは工業化のブランチは、ヒントンとか何とかいうのが中心になっておるので、民間実業家と連係してやっておる。それからもう一つのブランチの燃料の関係のものがありまして、それがプルトニウムの生産までやっておる。そういうふうにブランチが幾つかあります。しかしイギリスは、オーストラリアその他との関係、あるいはコンゴーとの関係があって、燃料は外国から自由に大量に入ってきます。それが入ったやつを化学分離するという仕事ですから、現業的な仕事はあまりなくて、むしろ研究とかそういう性格があるわけです。従って、一括してアトミック・エナジー・オーソリティでやっております。日本の場合は燃料の自給という点が非常に強いのでありますから、やはり探鉱の努力をしなくちゃならぬのでありまして、その点からもちょうど石油資源開発会社を作って石油について一生懸命探鉱しているそれ以上の努力を、われわれはウラニウム、トリウム等についてはしなければならぬと思いますので、別のブランチでやる必要がある、こう考えておるものであります。
#104
○湯山勇君 これは最初の御提案のときにお話があったのは、一大総合研究機関ができてくる、そういうお話であったので、むしろ当初の御説明と今の御説明とは矛盾してくると思いますので、提案者の雄大な構想からいえば、むしろイギリスが燃料公社であっても、日本は原子力公社というので行こうということの方が、私はこの基本法をお作りになった当初の提案理由とマッチするのではないかというように考えますが、そういう点についてのお考えはいかがでしょう。
#105
○衆議院議員(中曽根康弘君) 雄大な構想は依然として雄大な構想なのでございまして、原子力研究所は、まん中に幾つかのタイプの炉を置きまして、そのまわりに金属とか、医学とか、植物とか、化学とか、物理とか、そういう諸研究所を置きまして、それが総合的に動いていくという総合センターを考えているわけであります。ところが、鉱石を処理する精練という事業は、現に煙をはいて労働者が働くという現業があるわけです。従って、そういう研究部門とこの現業部門を一緒にするということは、どうも好ましくない。このことはカナダがそのタイプをとっておりまして、原子力委員会というものが政府にありますが、その管轄下に現業機関としては王室公社というものを作りまして、あれはクラウン・カンパニーといっております。研究の公社と、もう一つはエルドラド・マイニング・アンド・リファイン・カンパニーというのが鉱石の処理をやっている。カナダは非常にウラニウムが出て参りましたから、アメリカに売って黒字を出して、政府に納付金を納めている。日本の場合は納付金を納められるかどうかわかりませんが、これからやれば不可能ではないと思いますので、そういう現業部門が将来出て参りますから、二つに分けたのでございます。
#106
○湯山勇君 それじゃ、最終的には黒字を出してもうかるということがこのねらいですか。
#107
○衆議院議員(中曽根康弘君) そこまで行けば大したものだと思います。それは日本に鉱石がありやなしやということにもかかってくるのであります。しかし、不可能とは私は必ずしも思いません。鉱石を発見する努力をやったら、あるいは可能になるかもしれません。
#108
○湯山勇君 ちょっと、私はこのことにつきましては、志村委員の意見を聞きたいと思うのです。それは、将来この原子力のエネルギーをとる仕事を公共企業体あるいは公社のような形でやるか、民営でやらすか、そこがこの考え方の分れ目になると思いますから、それについてはやはり多少御見解の相違あるのじゃないかと思うので、お聞きしておるわけです。
#109
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点は、意見の相違は全然ございません。初めからこれは一致しておるのでありまして、公社で一貫していくということです。なぜかというと、精練事業というものは、非常に危険性を伴うのでありまして、先ほど申し上げましたが、六弗化水素などという毒性のガスを使ってウラニウムの分離をやる。そのために、一般の民間会社なんかにやらすべきものじゃないのです。ですから、イギリスでもフランスでも、どこでも公社ないしは国立の精練所でやっているわけです。日本におきましても、これを民間の事業にやらせるなどということはとんでもないことでありまして、技術が普遍化して、何でもないという安全性が出てくればいいのですけれども、そうならない限りは、公社とかあるいは国家的機関においてこれはやるべきものであって、特にこの公社には廃棄物の回収までやらせることになっておりまして、各研究所や炉から出てくる原子炉の灰というもの――灰といってもこんなたばこのような灰じゃありません。いわゆる灰というのはウラニウムの溶けたようなものです。そういうものを回収するというのがまた大きな問題になる。これは国際的に大きな問題になっていきます。太平洋あるいは大西洋のどこに埋めるか、深い所はどこかということになってきまして、そういうためにも一元的に、危険物が入ってきてからお墓に埋めるまでをずっとトレースして、責任を持つ機関が必要なんです。それをこの公社にやらせよう、こういう意味でありますから、初めから一貫した公社でありまして、志村さん、全委員の間に意見の不一致ということは全然ありません。
#110
○委員長(三輪貞治君) この点に関して御疑問があれば、志村茂治君はNHKの用務のために許可を得て行かれまして、すぐお帰りになりますから、それまでお待ちを願いたいと思います。
#111
○湯山勇君 私が言っておるのは、今の点はいいのです。それが公社でやるとか民間でやるとか、こういうことじゃなくて、今あなたがおっしゃいましたように、原料を取るところまでは公社でやる、あとの始末も公社でする、その初めと終りの間を一体公社でやるという意見はないか、それは民間にやらせるかどうか、そういう点についてはあるいは御意見の相違があるかもしれない。その点を一点質してみたいと思うのです。
#112
○衆議院議員(中曽根康弘君) その点についても、意見の相違はありません。その間ということになると、精練の研究及び作業ということになります。その間はどうするかというと、ケミカル・セパレーションというものの研究的な機関が必要なんです。これは鉱石が入ってきて、それを精練して廃棄物まで処理するという一つの過程でありますから、これだけ取り出してほかの会社にやらせるというわけにはいきません。ただ、その過程の研究を大阪金属とか三菱製煉所とか、そういうものに委託研究をやらせることはあります。それはこの公社で可能にしてあります。民間会社や民間研究所も十分これは使えるようにしてあります。しかしそれはあくまで委託研究であって、業務としてそれをやらせるということは、精練については国家あるいは国家的機関がやるべきだという点に一致しております。
#113
○湯山勇君 それでは、この過程の間に、公社で作った原料をたとえば民間の電力会社なら電力会社に売る、そうしてその売ったあとの灰の始末は公社がやる、そういう形態は出てこないのですか。
#114
○衆議院議員(中曽根康弘君) それはもちろんあります。この公社が生産した核燃料を、一定の規制のもとに、日本の原子力平和利用が進んだ場合に、日本の各電力会社とか会社に配給して使わせるということは、もちろんあります。
#115
○湯山勇君 その場合のことを言っておるわけです。初めは公社でやって、しり始末も公社でする、あと原子炉でエネルギーを取り出す段階だけが民間へ移るという形態が出てきますから、その場合に果して、それも民間にやらせるのがいいか、公社で一貫してやるのがいいか、それについては私はいろいろ問題があると思うのです。それをお二人で御意見が違うだろうと思いますから、私の予想ではですね、これは志村委員が見えてからその点は聞くことにします。
#116
○衆議院議員(中曽根康弘君) 湯山さんの御質問は、了解いたしました。つまりあれですか、燃料を買って電力をやる場合に、その電力会社の形態を、会社形態がいいか公社形態がいいか、つまり資本主義的形態か社会主義的形態がいいか……。
#117
○湯山勇君 原子力に関する……。
#118
○衆議院議員(中曽根康弘君) 原子動力の生産販売の関係につきましては、志村さんの方のお考えは社会主義的方法がいいと仰せられているだろうと思うのです。われわれはそのときになってみないとわからぬのです。普遍化してくれば、これは普通のマーケットと同じになって、民間会社にやらせることもいいだろう。しかし危険性やその他の点もよく見まして、かりに民間にやらせる場合にも相当国家が規制をして行わせなくちゃならない。まあわれわれの個人的な考えでは、むしろそれは公社的性格を持ったものになるのではないかという予想もいたします。しかし、そうきめたわけではございません。
#119
○湯山勇君 そこで、その点を、私今中曽根さんのおっしゃったのと同じ理由で、二人にお聞きしたいと思いますから、私の質問はこれでちょっと休憩いたします。
#120
○小野義夫君 この第二条の「自主的にこれを行うものとし、」という点が非常に私は問題があると思うのですが、一体学問はいろいろな、自主的だの何だのということはないので、国際を超越してめいめいの学者が総合して研究していくのであって、日本に特に学問上の自主的というようなものはあり得ないと私は考えます。ところで、かりにそういう自主的という方針にのっとるとしましても、外国の技術もしくはそのプラントを、原子力に関してこれは一般的に、それが兵器であろうとしても、あるいは平和産業にしても、そういうものの輸入をすることをこの基本法は制限しもしくは阻止し、あらゆることを目的としておるのですか、どうですか。
#121
○衆議院議員(中曽根康弘君) この基本法におきましては、原子力のわが国における平和利用を明確にうたっておるのでありまして、軍事的利用については厳禁いたしております。それから自主的な研究と申しますのは、ちょっと例で先ほど申し上げましたが、日本の学者が外国へ行くのに外国の奨学資金をもらってやるとか、あるいはそのほかいろいろ日本の国内研究というものが外国の圧力やら影響を受けないで、みずからの立場ですべてを行うようにする。その主体性を確立した上で外国といろいろ提携し、緊密に連絡していくということはもちろんのことでありますが、ともかく日本が国産原子炉を作り出す、自分の材料で、自分の技術で国産原子炉を作り出す、そうして日本国民の生活水準の向上に努め、ひいては世界の文明推進に努める、そういう趣旨でありまして、国産原子炉を作り出すとか、日本の技術を使うとか、外国から輸入するものはなるたけ少くするとか、そういう意図をここではもっているわけであります。で、外国との提携、協力を否定するのでないことは、最後に「国際協力に資するものとする。」と書いてあることから、御承認いただけると思います。
#122
○小野義夫君 そうすると、外国のプラントを輸入したり技術を輸入したりすることは、この法律の関知するところではないという御方針ですか。
#123
○衆議院議員(中曽根康弘君) 日本が自主性を回復するために、早く日本独自の研究を完成するために、外国からいろいろ試験的にプラントを入れたり、技術を交流したりするということは、もちろんあり得ることでありまして、来年ウォーター・ボイラーを入れ、再来年、その次の年にCP5を入れて、その間外国へ留学生をどんどん派遣しようとするのは、そういう意図であります。
#124
○小野義夫君 それならば、外国の非常に優秀な学者を日本の研究所に招聘して指導を受け、もしくはいろいろな研究の助手を頼むということは、一方この法律ではそういうことも期待しておるのですか、その点はどうです。
#125
○衆議院議員(中曽根康弘君) これは当初の間非常に期待しております。そこでこの原子力研究所の予算の内訳におきまして、外国人の学者をしばらく招聘するという予算を盛っております。たしか当分の間、二人か三人くらい専門家を入れておこうということになっておるようであります。またたとえば国連の今度の原子力会議をやるのに非常に力のあったランダースというのがいますが、ノルウェーのランダースを適当な時に日本へ招聘しよう。そのことが日本が国際連合にできる原子力国際機関の理事国になり得るチャンスにもなり得ると思うのでありまして、そういう交流は大いに助長しようと思いまして、そういう予算はいずれ予算の御審議のときぜひ御協賛を賜わりたいと存じます。
#126
○小野義夫君 そういたしますと、この自主的というのは、先ほど第一回に御説明があったように、日本の国状に合うような原子力の研究をするということを自主的という意味に考えてよいのではないかと思うのですが、外国が日本の学術なり研究なりに圧迫を加えるなどということが、何か事実としてあるのですか。その事例を一つ、あったらば承わりたい。そういうことは私はないはずだと思う。学術研究に外国人が関与し、もしくはこれに圧力を加えるなどということは、あり得ないと思うが、どうですか。
#127
○衆議院議員(中曽根康弘君) 私はあり得ないと思います。ただ、特許権の点では、学術研究とは別でありますけれども、外国の特許が日本へどんどん入って来て、外国では特許ではないが日本なら特許になるということはずいぶんあります。そういう面からおそれられるという危険性はありますので、特許の面につきましては、われわれは国際条約に反しない程度に、日本の主体性を守るために規定したいと思います。しかし、学術研究について外国の圧力を日本の学者が受けるとかいうことは、あり得ないと思います。
#128
○小野義夫君 もし外国の特許権その他のものが、日本国の産業その他の面からこれを防止し、もしくは何するというのであれば、これはひとり原子力に関係しない。御承知の通り、日本の電力においても、あるいは蒸気力においても、その他諸般の各般の産業にわたって、日本の国に輸入せられているところの技術の導入も、あるいは特許権の使用等は、広範に日本産業の必要とあればこれを輸入することが、日本の国富を増進し、日本国民の利益を増加することになるのであって、そういう点を心配して自主的の研究、「自主的にこれを行う」ということは、これを国際的に見たときに、はなはだしく鎖国的、学問上原子力の研究に鎖国的の表現をしているという……。それでなくて、日本の学者のある言動を聞くと、すこぶる鎖国的言動があるように私は考えておる。その思想を緩和するためにかかる文字をわざわざ入れるということは、その次の段階における「国際協力に資する」、あるいはその結果を公開する、あるいはまた産業の振興に寄与するなどの言葉と、この「自主的にこれを行うものとし、」ということは、私は撞着していると思うが、立案者の御意見はどうでしょうか。
#129
○衆議院議員(中曽根康弘君) 自主的に行うということは、私はある程度これは必要であると思います。と申しますのは、日本は原子力については全く処女地でありますために、まず自分で国産炉を作って、燃料も自給して、日本独自の国状に合った原子炉を作り出していく、そういう心がまえをもってやりませんというと、ややともすれば、外国の技術のみにたよって、外国の製品を入れてきて、その職人だけ作ればいい、そういう気風になりかねないこともあり得ます。われわれの目標というものは、あくまでも国産の原料で、国産の燃料で、国産の炉を作り、わが国の国民の生活に寄与するのだ、そういう心がまえをもって、その心がまえの上に立って必要なる機械や器具や技術というものは、外国と勇敢に提携協力して進めてゆく、そういう精神が必要ではないかと思います。
#130
○小野義夫君 そうすると、この「自主的」というのは、一極の高遠な理想である。なるべく日本の国において日本人の学者たちは、外国の学問に依頼することなく、自己独特の発明発見その他の研究をして、よってもって原子力の発達に寄与しよう、こういうのですか。日本が今日原子力研究においておくれているということについては、十数年ということは普通の常識であります。これからかような自主的な研究をするということで、果して非常に進歩的な産業の革命その他あらゆる文化の革命に、こういうことで寄与するということを立案者は考えておるのですか。それとも、まあこういうことをしておけば、また他にいろいろいい諸点がある……。私は大体においては賛成でありますが、この自主的に行うという一句と、それからまた産業に寄与するというならば、産業振興方策の上から、私どもは、こういう将来の研究を待って日本の産業や文化を、革新的なことをやるということに、あまりにも縁が遠過ぎるんじゃないか。むしろ端的に、諸外国に、アメリカだけというのではありませんが、スイスもいいでしょう、あるいはノルウェーも、スエーデンも、あるいは世界各国の進んだ技術あるいはその他の学問を導入してこそ初めて、日本はまずよってもって学んで、それから自主というものが起る。小学校の生徒が自主独立というよりは、大学を卒業して後自主というものがあるのではないでしょうか。あなたのおっしゃるように、きわめてまだ小児的存在であるところの日本の原子力研究を待って、自主的にお前は一人前になれというようなことは、まだその過程を終らないのに一つの目標を、大学を卒業すべしという立法の趣旨であると、この文句だけについてはそう考えますが、どうですか。
#131
○衆議院議員(中曽根康弘君) 御説の通りでございますが、日本の学術は必ずしもそんなにおくれておらぬと私は思います。少くとも原子核の研究、特に素粒子論におきましては、湯川先生以下、世界でも尊敬すべき人を生んでいるのでありまして、またそのほかの部面におきましても、世界の一流水準に達している人もあるようであります。ただ、日本で一番おくれているのは、一つはエレクトロニックスといいますか、その点と、もう一つはケミカル・セパレーション及び材料学の点と、そういうような諸点が日本の場合は非常におくれている。つまり工業化の段階が非常におくれている。しかし理論の点ではそうおくれているのではない、そういうふうにいわれております。そこで日本においてある程度外国のものを早く入れてきて、分解したりなんかしてこれを調べてマスターすれば、日本独自のものを作り上げることはそう困難ではない。しかし日本独自のものを作り上げるためには、よほど向うから入れてきて、向うの学者の意見も聞き、世界に人間を派遣して調べないと、向うのものでは独特のものがなかなかできない。そういうわけでありますから、当分は韓信のまたくぐりで、相当多量の留学生を、特に大学院を出たクラスの若い有能な人を出して、二年くらい置いて、日本へ帰ってきて、そのころ日本の原子力研究というものはだんだん伸びてきてきわめて技術者が必要になるから、それに合うように計画を立てたいと思っております。
 そこで、現在原子力研究所の予算といたしまして計画しておりますのは、原子力研究所として、五名ばかり同研究所に外人を滞在させるように計画しております。海外研修生派遣は二十名、そのほか調査講習会議出席簿で十名、国内訓練など三十名、こういうような計画になっております。
 このほか、われわれは各省の予算を検討いたしまして、厚生省のガンの研究とか、あるいは運輸省の船舶とか、農林省の種の改良とかいう問題におきまして、去年から見ますと、少くとも三倍乃至五倍くらいの研究員を外に出す。そのほか、今アメリカのサイエンス・アタッシェというのに一人おりますが、これはイギリスにも置く、それからドイツにも置く、フランスにも、スカンジナヴィア、カナダにも置こうという計画で、予算を要求いたしております。これらは外国のものを一日も早く摂取しようというわれわれの努力であります。
#132
○小野義夫君 非常にけっこうなお考えであると思いますが、次に十二条、十八条は今の自主的というものと関連性があるように思うのでございまするが、核燃料物質のこれは主として原料問題のようでありますが、これは別に規則を作るということで、その規則にゆだねておるようでありますし、第十八条のこの特許発明その他の契約、これは先ほど申しました産業上各般のこの原子力応用の業産設備と申しますか、産業上の革命が起った場合に、この法案によっていろいろ、これは自主性に反するのだ、あるいはまたこれは平和の目的に沿わないのだといったようなことで、本法が日本の産業、文化の発達にいささかでも妨害を与えるという懸念は毛頭ないのでありますか。
#133
○衆議院議員(中曽根康弘君) 特許権の問題は原子力については非常に重要な部分をなすと、私は思うのであります。と申しますのは、今までテレビやその他を見ましても、日本の商社が外国に争って特許権を申請して、外国の特許を持ってくることに狂奔して、同じ技術についても五つとか六つの会社から持ってきて、単に国内市場だけを争うという例が必ずしもないとは言えないのであります。そういうことは国民経済の不経済であるのみならず、こういう場合には必ず、外国へ日本で作ったものを輸出するというのに制約を受けますから、外国資本に外の市場を荒されるおそれがある。そういうことも間々ありますので、原子力につきましては、特に日本の場合は処女地ですから、外国では公知の事実が、日本では公知の事実になっておらぬ。そこで勝手にどんどん入ってきて特許申請されるというと、クモの巣を張りめぐらされたように、日本人は動きがとれなくなるおそれがある。そういうものをどうするかという問題が一つと、それから日本国内で国家資本を使って研究をやっているわけであります。そこで出てきた研究が、あるいは事によると、外国に流れるおそれがないとはいえません。非常に高い値段で買われるというおそれもありますので、それは巧妙な手段でやればできます。入ってくるやつと出るやつをいかに規制するかが問題になる。それについては工業所有権同盟条約というものがありまして、国際的な条約は尊重しなければならない。その間をどういうふうに調整をするかという問題でありまして、いろいろ研究もしておりますが、これは法律事項によりまして、具体的に今後御審議を願おうと思っておる次第であります。
#134
○委員長(三輪貞治君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#135
○委員長(三輪貞治君) 速記をつけて。
#136
○古池信三君 今まで同僚議員からいろいろと詳細なる御質問がありましたが、この原子力の平和利用、またこの前提としての研究、開発などの推准が、非常に重大な問題であることは申すまでもないことであります。特に、これが人類の福祉には将来非常に大きな影響力を持つものであり、われわれとしてはこの際国家のために、またわが日本人の福祉という意味からいって、超党派的にこの問題を取り上げてやるということは、まことに適切なことであろうと思うのであります。
 そこで、諸外国の事情が非常に進んでおるのに比べて、わが国の現状は大きな劣りを見せておる。ただいまも御説明にあったように、なるほど理論の、学者の面においては必ずしもそんなに遜岳はないかもしれないけれども、実際問題として、これを扱っておる段階においては非常な劣りを見せておるのは、事実だろうと思うのです。そこで、まずこの原子力基本法がこの国会において成立いたしますならば、これが施行され、さらにこの基本法に基いて関連する各般の法律が制定されますと、直ちに実行段階に入るわけであります。そこでこの原子力基本法を審議するその背景として、提案者の方で御研究になっております程度でけっこうでありますが、現在各国の原子力平和利用の研究、開発等についてはどんな状況になっておるか。これはまあ詳細に御説明を願うと時間が相当要るだろうと思いますから、おもなる米国、英国、カナダ、フランス、ソ連その他諸国につきましても、概略説明を一つ承わりたいと思います。
#137
○衆議院議員(中曽根康弘君) 各国の模様を調べて参りましたが、まず機構から申し上げますと、超党派的な原子力委員会を作って、そうしてそのもとに公社的なものを、あるいはクラウン・カンパニー的なもので、各国やらしております。それが二十年ないし三十年くらいの長期計画でやっております。そうして具体的に申し上げますと、電力の問題が一番大きいのであります。イギリスにおきましては十カ年計画を持っておりまして、十カ年間に百五十万キロの電力を原子力で行う。二十カ年間に四千万トンの石炭を全部原子にかえる。それでもイギリスは石炭消費量の四〇%だそうであります。電力における石炭消費量の四〇%。そうしてイギリスにおきましてはコールダーホールが、もうすでに五万キロの発電所が来年初めから運転を開始する。フランスにおきましては、五千キロの発電所が近くできるはずであります。そのほか、来年から一年以内に三万キロくらいのものの発電所を作る。それからロワル川の渓谷に電力会社が数十万キロのものを作る予定でいろいろ準備を進めておる。それからアメリカにおきましては、ここ五年間に二百万キロくらい原子電力を作る。アメリカにおきましては、今までは原子法の関係で政府だけでやっておりましたが、今年四月に改正いたしまして、民間に対して、原子力発電をやりたいものは名乗り出ろ、政府で燃料を貸してやる、技術を貸してやる、こういって、そうして公募しましたら、約七つばかりのグループが申し出てきまして、建設計画をきめて、認可を受けて、活動を開始しておるのであります。この詳細な点は恐縮でございますがあとでそれは申し上げたいと思いますが、ともかくそれはみな二十万キロくらいの発電所です。それらができるのは一九五八年から六〇年くらいです。
 具体的に申し上げますと、最初はニューヨークのコンソリデーテッド・エジソン、これは二十万キロワットの電力です、五十九年完成。それから第二は、シカゴ・グループといわれるもので、シカゴ・コモンウエルス・エジソン会社が八つの会社と協力してやっておる。十八万キロワットの電力、これは六〇年完成。第三がデトロイト・エジソン中心でやっております十万キロワットの電力、五十八年完成。第四がネブラスカ・グループ、七万五千キロワット、ノースアメリカンがソジウムグラハイト型で引き受け、五九年完成。第五がニューイングランド・グループ、ヤンキー・アトミック・エレクトリック、十一万キロワット。第六がフロリダ電力、二万キロワット、こういうわけで、民間会社がすでに、五八年ごろを目ざして、商業用電力に入っておる状況であります。
 それで、そのほかやっておりますのはアイソトープの利用でありますが、アメリカでは、そのほかに携帯用の原子炉を作っておりまして、三千キロから一万キロくらいのものを陸軍が主になり作らせております。これがいろいろな方面に出てきました。たとえば機関車の方面に適用しようというので、アメリカでは、アメリカン・ロコモティブという会社が引き受けまして、今試作しております。二百十万ドルで落札しております。それからノーナラスができたということは御承知の通りです。これは非常に経過がいいというので、来年度あたり六隻隻るという計画だそうであります。もう三隻目ができ上りました。
 そのほか、原子商船につきましては、ことしの春アイゼンハワーが原子商船を作って世界を回すということを提議した。これは海船委員会を通ったのですけれども、ほかの合同委員会かなんかでまだ早いというので、ペンディングになっております。これはできてることは事実なんで、ただ値段の問題で、アメリカが世界に回す以上は、普通の船と同じコストで世界に回した方がよい。そうでなくて、何でも高いものを世界に回すというのは、金メッキして船を回すようなものだ、こういうことでペンディングになったそうであります。
 こういうふうにしてあらゆる方面の動力に使われております。そのほかアイソトープの利用がガンの研究とか――私が驚いたのは、ブルックヘブンの研究所に行きますと、頭の脳の中に腫瘍ができます。これは日本だというと、東大の清水外科が脳を切開して摘出して、なおしているわけです。で、それがブルックヘブンの研究所に行きますと、手の中に硼素一〇という硼素を注射するのです。これが回っていって頭の中に入る。それを患者をつれてきて、炉の上に寝かせる。ふたを取って中性子を飛び出させる。これは頭の脳の中でその硼素に中性子がぶつかって、分裂を起して、短い放射能を出す、これがおできを全部食っちゃうのです。そうして手術せずに、なおしているのです。これはブルックヘブンの研究所に行ったら、やっておりました。十人のうち八人ぐらい、なおっているという話です。こういうような方面にも使われ出す。
 あるいは農業におきましては、新しい種の突然変異を人工的にやらせるということをやっております。たとえば原子炉の中にトウモロコシの種やバレイショの種を置く。そうして中性子を飛び出させるというと、中性子がぶつかりますから、染色体に変化が起る。それによって新しい種になるわけです。そういうわけで、新しい品種をどんどん作っている。
 あるいはさらに工業方面におきましては、プラスチックを接合するときに中性子を与えるというと、鉄より固いものになったそうです。こういうわけで材質の変化が起ってくる。こうなるというと、プラスチックの小刀が出てくるかもしれない。
 こういうような、あらゆる方面に科学の革命が起っているわけであります。われわれが考えているのは動力だけじゃありません。炉を中心にした諸科学の発展ということを考えなければならない、そういう意味で総合的な考えをいだいているわけなのであります。
 こういうことを行うために外国はどれくらい金を出しているかと言いますと、フランスは今までに年間百億使っておりました。しかし、ことしから四カ年譜面で、さらに百億円ずつ追加することになって、二百億円使う。そのうち二十五億円ぐらいは探鉱費に使った。その結果、今までなかったというフランスに、大々的にウラニウムが出てきた。イギリスは大体年間五百億円です。ことしは五百六億円です。それからアメリカが八千億円です、年間。
 それで、各国はこれをどうして推進しているかというと、実際問題として科学の推進をやっているのは軍部であります。陸軍、空軍、海軍です。これが兵器の改善のために補助金をやり、委託研究をやる。これがどの国でも大きな力をなしている。日本も戦前はそうだったと思う。そのほか、イギリスは一九一七年から科学技術省という独立の省を作りまして、両方がタイアップしてきたわけです。そういう機構があって初めてイギリスはコメットをやり、水爆をやり、レーダーを作ることができた。そういう蓄積がやはりものをいうのだと思います。アメリカにおきましては、そういう軍のほかに、合同委員会が国会にありまして、これが上下両院を通じて政治力をなして、ラッセル車の役目をなして進めている。そのほか、大統領を中心に直属の原子力委員会がありまして、これが非常に強力に動いているわけです。そういうわけで、それに対応するだけの政治力や政治組織というものがあるわけです。
 で、日本の場合どうするかということが問題なんです。日本の科学を発展さしたのは、幸か不幸か、軍であったのです。陸田、海軍等がいろいろなものを試作したりして、ボールベアリングができ、液体酸素ができてきた。これが戦争で何もなくなった。国会に何があるかというと、何もありません。政府の機構に何があるかというと、科学技術行政協議会があるだけです。こういうようなヴァキュームをどうするか。一方を見れば、中共は御存じのように、酸素モーターを作り出したり、ソ連式の工作機械を自給するようになってきた。ああいう工業力のスピードはもっとついてきます。ああいう全体主義的政治権力でこのまま押されてきたら、二十年ぐらいで追いつかれちゃう。これをどうするかというのが目下の大問題であると思う。そういう意味から、ここに原子力の委員会を厳然と作り、次の議会において科学技術者を作り、でき得べくんば国会にもそれを推進するような、アメリカの合同委員会の方式を作って、これが中心になってやろう。日本でいう防衛庁は、こういうことは日本の場合いけない。どこに政治力を求めるかといえば、これは国権の最高機関である国会に求めるべきである。そういう考えで、国会に新たなる機構を考えなければならぬと思っておる次第でございます。
#138
○古池信三君 大体各国の概要、また提案者の構想もわかりましたが、ことしの八月にジュネーブで行われた原子力平和利用に関する国際会議、あれにも提案者は出席せられたと承知しておりますが、この平和利用の国際会議においていろいろな原子炉があったと思いますが、今回日本において原子力基本法を作るに当って大いに参考になるという点があったら、この機会に述べてもらいたい。
#139
○衆議院議員(中曽根康弘君) 国際会議で一番顕著なことは、私は一つはバーバ博士が開会の辞で申しましたいわゆる核融合反応、いわゆる水素爆弾の原理でありますが、核融合反応は二十年以内に平和利用に転換される、実用化されるであろうという予言は、これは各国の学者は否定しない。アメリカではストローズ委員長が、それもまた肯定しております。アメリカは一九五一年以来その研究をすでに進めている。だから、ある程度進んでいるらしいのです。問題は、あの問題は私はしろうとだから知りませんが、一億万度ぐらいの熱が出て、そうして融合を起す。この熱が今作れない。原子爆弾で初めてできる。そうしてその金属は融けちゃう。融けないで、何かの方法でうまく熱を作る方法はないかというのが、問題点だそうです。最近日本の学者に開くと、サイクロトロンというやつは、もうすごいスピードで出るわけですから、そのスピードで真空の中でああいうことを起すと、熱に転化するものになるそうです。そういうようなサイクロトロンの原理を真空中で起さして、高速度のものを出すということによって、あるいは行えるかもしれぬという見通しを言っておりました。これは非常に顕著なことで、先ほど湯山さんが御質問になった点と符合するのであります。
 それから第二の点は、各国はみな非常に個性を持ったやり方でやっておるということです。フランスの努力は探鉱の努力でありました。それからフランスらしい平和利用に一貫したやり方をやっております。それからイギリスはもう電力一本槍です。それで非常なる経済的な能率性をもって、組織的、計画的にこれを着実に推進している。いかにもイギリス人らしいやり方だとあるいは思いました。その点では、イギリスは非常に進んでいる。しかもイギリス人がやっておるのは、天然ウラニウムを使いまして、それに主としてグラファイトを使って、ガス・クーリングというわけで、炭酸ガスを回してヒーターをやるというやり方で、発電機を回すやり方、これは独特のやり方であります。それからヨーロッパの国全体は大体そういう天然ウラン、石墨型の型をとっているようであります。スカンジナヴィア半島のスエーデンあたりは、鉄鉱の採掘の開発に非常に力を入れておる。ノールウエーへ行きますというと、商船の研究を非常にやっております。アメリカへ行くというと、動力もやっておりますが、今申し上げたように、機関車から商船から、あるいは小型の携帯炉に至るまで、全面的にけんらんたる研究を示しております。そういうわけで、個性をもってやっておるということです。従って、日本も外国の水準に一挙に追いつくことはできないから、どっかの一角で世界的水準を獲得するという個性のあるやり方をやらなければならぬということを思いました。
 それと同時に、この原子力の扱い方というものは各国とも超党派的な計画、長期計画性をもってやっておる。これは先ほども申し上げた通りであります。一番われわれが感じましたことは、各国がその国情に応じて個性をもったやり方でやるということでありました。
#140
○古池信三君 最後にもう一つお尋ねしたいのですが、原子力基本法を実施するに当りまして、提案者としていろいろな構想を持っておられるわけでありまするが、これを来年度から実行する上において、予算についてはどんな構想をお持ちになっておるか。これもこれからいよいよ国会に出ました場合には、予算委員会で詳細に審議するわけですけれども、一応の御意見あるいは御構想を、志村議員からお答えを願いたいと思います。
#141
○衆議院議員(志村茂治君) この原子力開発は長期にわたって計画を立て、それを実行していかなければならない性格のものでありますから、予算も、従って、継続費でやるべきであるというふうに当初は考えておったのであります。しかしながら、一方におきまして公社がこれを実施するという場合におきましては、あれは十四条の二だと思いますが、継続費の条項が財政法にありますが、あれによりますと、国が工事を行う、あるいは事業を行う場合であって、公社がやった場合は人格的に違うから、これはまずいということで質問いたしましたところ、大蔵大臣は、どういうお考えかしりませんが、繰越し明許でやったらどうかというような意見もございました。いずれの形にいたしましても、われわれとしては継続費の形でやっていきたいという希望は依然として捨てておりません。できるなら、そういう形にやっていきたいというふうに考えておるのであります。
 それからこの研究所における予算は、人件費もまぜて、一活研究所あるいは核燃料公社の出資金によってまかなっていきたいというふうに考えております。他にもそのような公社がございますので、そういうような形でやっていきたいというふうに考えております。
 そうしてそのほかの経費の問題につきまして、一番大きな問題は、この原子力平和利用費を一括して予算に計上する。そうしてこれは事業の性質上、研究でございますから、将来どういう形が出るかということははっきりわかりません。研究本来の性格からいってそういうものでありますから、これをやかましく政府が初めから、一定の計画を持たなければ、成果をはっきりさせなければ出せないというような方法であってはいけないし、臨時にまた入り用なものもたくさんありましょう。少くとも自由に研究開発をさせるためには、自由な予算を獲得しなければならないということで、一本でこれをやり、原子力委員会で認証をするというふうな形にもっていきたいと私たちは考えております。
#142
○古池信三君 ついでに、大体の大ざっぱでいいですが、金額について御説明願いたい。
#143
○衆議院議員(志村茂治君) 私たちの構想だけを申し上げます。金額といたしましては、原子力研究所に出資金として、三十一年度だけでございますが、二十二億四千三百万円、原子燃料公社出資金といたしまして十四億八千万円、それから科学研究費交付金、これは交付金として文部省が一括計上いたしますが、その中で特に原子力と認められる部分だけをとりまして、それが三億円、それから試験研究調査委託費、これは民間の工場に対してたとえば重水であるとか、グラファイトであるとか、ステンレス等、いろいろな資材そのほかにつきまして公社が研究を委託する場合がございます。その経費として十六億六千七百万円、国立研究所、今工業技術院に属しております国立研究所の試験研究費といたしまして八億七千三百万円、それから今厚生省と文部省と両方で、一方では放射線医学の基礎研究をやるし、他方においては医療の実際を厚生省はやろうといたしておりますが、私たちはこういうものを一本にした方がいいだろうという構想から、国立放射線医学総合研究所というものを考えまして、ここの初年度の三十一年度の経費といたしまして四億四千三百万円、それから次には、これは大学関係でございますが、重水の精製設備費でございますが、京都大学に、これにきわめて優秀な技術を持っておる、今ももうすでに行なっておるそうですが、これに対して七百七十万円、それから東北大学ではやはり金属学に優秀な技術を持っておりますが、これに金属材料研究設備費といたしまして三千万円、端数は省略させていただきます。それから国立諸学校における特殊研究費といたしまして、各大学におけるアイソトープ研究施設の経常費とか、あるいは放射性物質等取締法に即応するアイソトープの使用障害に対する保護設備の整備費であるとか、あるいは放射能障害の診断、治療の方法を研究確立するための経費であるとか、こういうようなものを合せまして約八千万円。それからこれからは官立学校だけではいけないのであって、総力を結集する意味におきまして、私立学校に対しましても原子力研究に対しての何らかの補助の形をとってやらしていこうということで考えましたのが、一億円でございます。
 次に農林省がすでに予算として要求いたしておりますものが、諸試験研究機関における施設整備費といたしまして、一億二千五百万円ございます。内容といたしましては、農業技術研究所、地域農業試験場、家畜衛生試験場、畜産局薬事検査、蚕糸試験場、食糧研究所、林業試験場、水産研究所等がございます。これらはわれわれ吟味いたしまして、入り用なものと考えまして、その経費として一億二千五百万円を計上いたしております。
 それから各省における原子力関係の図書購入費といたしまして、一億二千万円。それから委員手当でございますが、これは原子力委員会の委員ではございません。学術会議とか、あるいは運輸省船舶同等で計上しておるものがございますが、これが百二十七万円です。
 それから今度は、私たちが特に留意いたしましたのは、できるだけ多くの人々を海一外に送って、少しでも多くの日本の原子力科学者をふやしていこうという考え方でございまして、日本には御承知のように、理論物理学に対しては相当の数もございます。質もかなり高いところにあるようでございますが、原子力に関してはゼロの状態であります。今アルゴンヌであるとかブルックヘブン、これらのところに研究に行っておる八が最初の日本における原子力科学者になるであろうと思いますが、このような状態で、一刻も早く、日本が原子力開発について独立をしようということはおぼつかないのでありますから、私たちが向うへ参りましたときにも、各研究所はもちろん、大学にも参りまして、留学生を収容してもらいたいということを申し入れましたところが、各国の研究所や大学がわれわれに賛成いたしてくれまして、そういうようなこともありますので、言いかえれば、むしろ日本にそれらの留学生を求めることができるかどうか、それがむしろ先決問題の状態になっておりますが、それだけの許す範囲内におきまして、私たちは全体として百名程度の人を海外に派遣しなければならないということを考えております。各省別に言いますと、文部省が二十人、これは平均一カ年になっております。農林省が二十人、六カ月。外務省が十三人。これは今科学アタッシェが行っておりますが、これをもう少しふやさなければならないという考え方でございます。これが一年。それから運輸省が四人、六カ月、厚生省が七八、六カ月、技術院十三人、六カ月、原子力委員会二十人、六カ月、私立学校分として十人、一年、海外の原子力学者の招聘が五八、これによって国内におけるこれの訓練をさせようというふうに考えているのでございます。以上合計いたしまして、総額といたしましては七十五億六千七百万円ということになっております。
#144
○白川一雄君 資源の少い日本に原子力が必要だということは、先ほど古池委員が言われた通りでございますが、原子力の技術と一般科学の技術とが独立して存在できるとも思えないのでありますが、そういう趣旨から、近く科学技術庁が設置されるということを聞いておりますが、従来のごとく、小さく各省に技術が分割割拠している体制では、せっかく進もうとする原子力の研究もブレーキがかかるのじゃないかというようにわれわれ非常に心配しておるので、この際各省に分割割拠しておるこの技術を何とか統合して、むだのない大きいスケールの格好で進まなければ、原子力だけのものが独立しているわけにいかないという点から考えますと、非常に重要なることだろう、こう考えておるのでございますが、提案者の方々におきましては、この点につきましてはどういうような御観察を持っておられるか、今後の研究のために承わっておきたいと思います。
#145
○衆議院議員(志村茂治君) 御意見、まことに私たちが日ごろ考えておることをおっしゃって下すったようで、ありがたいと思っております。私たちもこの原子力法体系の中には科学技術本部、これは大体省の大きさと考えております。この程度の科学技術の行政機関は必要であるというふうに考えておりまして、その法要綱も考えたわけであります。これは政府が提案するとか、まあ政府が提案するのが適当だろうと思っておりますが、一応われわれ案を作り、政府とよく相談し合って、近い将来にこれは提案の運びになってくれればいいということを私は考え、また極力そのような努力をいたしておる次第でございます。
  ―――――――――――――
#146
○委員長(三輪貞治君) 本会議の都合もございますので、暫時休憩をいたしたいと思いまするが、この際お諮りいたします。先ほど決定いたしました参考人に、委員長は、経団連会長石川一郎君、学術会議議長茅誠司君、教育大学教授藤岡由夫君の三氏を御承認願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。
  〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(三輪貞治君) なお、茅誠司君、藤岡由夫君は、連絡の結果、出席を許諾されました。なお、石川一郎氏については、目下連絡中であります。また、労働界の代表は棄権をせられましたので、御了承願いたいと思います。
  ―――――――――――――
#148
○委員長(三輪貞治君) 連合審査会に関する件についてお諮りをいたします。本院規則第三十六条に基き、砂利採取法案について、建設委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
  「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(三輪貞治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 暫時休憩いたします。
   午後三時五十八分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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