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1955/12/15 第23回国会 参議院 参議院会議録情報 第023回国会 外務委員会 第4号
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1955/12/15 第23回国会 参議院

参議院会議録情報 第023回国会 外務委員会 第4号

#1
第023回国会 外務委員会 第4号
昭和三十年十二月十五日(木曜日)
   午前十一時十一分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     山川 良一君
   理事
           小滝  彬君
           鶴見 祐輔君
           羽生 三七君
   委員
           大谷 瑩潤君
           野村吉三郎君
           佐多 忠隆君
           石黒 忠篤君
           梶原 茂嘉君
           佐藤 尚武君
  国務大臣
   外 務 大 臣 重光  葵君
   国 務 大 臣 正力松太郎君
  政府委員
   内閣総理大臣官
   房審議室長   賀屋 正雄君
   経済企画政務次
   官       齋藤 憲三君
   外務政務次官  森下 國雄君
   外務事務官
   (公使)    木村四郎七君
   外務省条約局長 下田 武三君
   外務省国際協力
   局長      河崎 一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       渡邊 信雄君
  説明員
   外務省国際協力
   局第四課長   松井佐七郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○原子力の非軍事的利用に関する協力
 のための日本国政府とアメリカ合衆
 国政府との間の協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
○国際情勢等に関する調査の件(国連
 加盟に関する件)
○在外抑留同胞帰還促進等に関する請
 願(第三〇号)
○日ソ交渉に関する請願(第四二号)
○ソ連等の抑留同胞帰還促進に関する
 請願(第一〇〇号)
○長崎県鳥島海域の米軍爆撃演習地変
 更等に関する請願(第一五四号)
○在外抑留同胞帰還促進等に関する請
 願(第二二九号)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山川良一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。まず本件の内容について政府から概略の説明を願います。
#3
○政府委員(下田武三君) 御質疑に入ります前に簡単に経緯と内容の説明をさしていただきます。
 終戦以来米国の対日政策はずいぶん変っておりますが、本協定も実は米国の対日政策の非常に大きな転換を物語る一つの例証だということができると思うのでございます。すなわちわれわれの記憶にまだ新たでございます通り、日本占領の当初日本に核分裂物質の研究等は一切厳禁するという政策をとりまして、仁科博士等が苦心してお作りになりましたサイクロトロンに至るまで東京湾の底深く沈めてしまうというような政策でございました。それがわずか十年以内に百八十度の転換をいたしまして、米国は日本の原子力研究に援助をいたそうという政策になって参りました。本年の一月にアメリカ側から、もし日本政府が希望するならば米国は原子力の平和的利用について、できるだけの援助をいたしたいという申し出がございました。もとより資源の貧弱な日本といたしましては、第二の産業革命の原動力たる原子力の平和的利用ということを一日も早く開始したいと思っておりましたところでございますので、米国側の好意的な申し出に応じまして、直ちに今春から交渉を開始して参ったのでございます。そして今度六月には早くも内容につきましておおよその妥結を見ましたので六月に仮調印をいたしました。仮調印をいたしました目的は一つは交渉の内容を一応固めておくという意味もございますが、アメリカ側におきましては、実はこれは議会に対する関係上どうしても必要な手続でございまして、つまり議会の正式のアプルーヴァルを必要としない種類の協定でございますけれども、仮調印したものを議会に送付いたしまして、その一カ月間に議会側からオブジェクションが出なければ、議会の方は承認を与えたものとみなされるという建前になっておりますので、米国では直ちに仮調印をいたしました英文テキストを議会に送付いたしまして、一カ月の期間何らのオブジェクションが出ませんで米国側としてはそれでもう手続は済んだわけでございます。わが国といたしましては仮調印いたしました英文に基きまして慎重に学者、専門家の御参加をわずらわしまして日本語のテキストを作成いたしまして、日本語のテキストにつきましてさらにアメリカ側と打ち合せを遂げました上、十一月の十四日にワシントンで調印に至った次第でございます。
 この協定の内容をかいつまんで申し上げますと、この協定は原子炉そのものには直接の関係はございません。この協定の眼目は原子炉の中に入れます濃縮ウランの賃貸を定めるというのが主眼でございます。原子炉と原子炉用の資材につきましては売却や賃貸のあっせんはいたしますけれども、あくまでも濃縮ウランの賃貸に関する取りきめというのが主眼でございます。濃縮ウランにつきましてはまあいろいろ種類はございますが、日本側に貸与いたしますのはウランの成分が二〇%の濃度でありまして、その純粋ウランの勘定におきまして六キロを日本側に貸与するということに相なっております。もっとも六キロと申しましても輸送の途中のもございますし、また返す場合に減衰していくのもございますので、多少の追加分を見込んでの六キロでございます。
 この濃縮ウランの賃貸のもう一つの大きな眼目は情報の交換でございます。これは相互的の建前になっておりますが、もちろん日本側がアメリカ側から情報を受けることの方がはるかに多いことは間違いないことでございます。情報の種類は秘密資料を一切初めから除かれております。従いまして、秘密でない何ら取扱いについて心配の生ずる可能性のないものだけがこの協定を通じて日本側に参るわけであります。情報と申しましてもこれはあらゆる情報があるわけでございまして、原子炉自体の設計とか建設、あるいはその操作に関する情報ももらえますし、また原子炉を扱う者や、第三者に対する保健上の障害をどうしたら除けるかというような問題。そういう原子炉の管理に関する情報もくれますし、さらに応用方面におきましては医学の治療上の情報、あるいは農業方面の情報、工業方面に関する情報、一切の応用部面の情報も交換できることに相なっております。この眼目はその二つ、濃縮ウランの賃貸と情報の交換というのがこの協定のねらいであります。
 さらに世間で非常にやかましく言われた点でございますが、ひもつきではないかという疑問がずいぶん先国会以来提起されておりました。私どもの見解では何らのひもがついていないと申し上げることができるのでございます。もとより濃縮ウランは日本が買って日本の所有になるわけではございません。所有権はアメリカにおきましても米国政府、つまり米国の原子力委員会というものが濃縮ウランの一手専売の所有権を持っているわけであります。それを日本が貸してもらうわけでございますから、他人のものを借りるという場合に当然つく義務は負っております。つまり保管の措置を十分講ずるという点、また濃縮ウランの燃焼状況、出力等につきまして記録を保持しまして、これを一年ごとに先方に通報してやるというような義務。また米国の原子力委員会の係官が日本に観察に来たい場合にはこれを許可するという義務を負っております。これらは人のものを借りている以上当然の義務だと存ずるのでございます。さらに日本側の義務といたしましてはこの濃縮ウランを軍事目的に使用してはいかんという点でございます。これはもう日本側の平和的利用の建前から申しまして、一向差しつかえない義務でございまするが、これは米国の原子力平和利用計画という大統領の計画から発足しておりますので、軍事目的に使用しないということは当然のことでございます。またアメリカから借りた濃縮ウランを第三国に移転しないという約束、これもまた当然のことであろうと存じます。要するに日本側の負います義務は当然のことでございまして、特にひもと申し上げることはできないと思うのでございます。
 もう一つひもつきではないかという御非難がございましたのは、この協定にはないのでございまするが、将来動力用の原子炉を作るという段になって、その相談を米国とするというような条項がアメリカとトルコとの間の協定にあったのでございます。それが問題になりまして、実は今回の協定は実験用の原子炉だけの問題でございますので、発電その他の動力用の原子炉は初めから問題になってないわけでございます。そこで全く異なる問題を同一の協定に導入いたしております米ト協定のことは形式上おかしいと認めまして、実は日本側から削除を申し出まして、アメリカ側ももっともだと思いましたのでこの協定から削除いたしまして、別に交換公文でもし将来日本政府が希望するならば、さらに動力用原子炉についての協力のための協定締結の可能性について協議するという、別個の交換公文にいたしたような次第でございます。これはむしろひもつきをおそれるというよりも形式上からいたしまして、そういたした方が妥当であると日本側が認めたからでございます。
 簡単でございまするが、経緯、内容及び関連する交換公文につきまして御説明申し上げた次第でございます。
#4
○委員長(山川良一君) それでは本件について御質疑のおありの方は順次御発言願います。
#5
○石黒忠篤君 この協定にしばしば出て参ります濃縮ウランの賃貸ということが、今の条約局長の御説明で主のことでありまして、従って濃縮ウランの賃貸という文字が出てくるのでありますが、借りました濃縮ウランについて返す義務があると思うのであります。あるから賃貸であろうと思うのであります。返還するときにおける借りたウランの状態はどういうふうにあるべきかということの協定がどっかにございますか。
#6
○政府委員(下田武三君) 返還につきましては協定の第九条に規定いたしているのでございまするが、つまりこの協定は五年間効力を有しまして、両政府が合意すればさらに更新されることに相なると思いますが、その期限が終了いたした場合に返還するという約束があるだけでございます。ただその返還の際には、日本側といたしましては合衆国の推定する場所に輸送し、また輸送中の放射線障害の危険に対する適当な保護措置を日本側の責任でやるというような条件がついておりますが、協定が続いております限りは返還ということは生じて参りません。生じますのは、その濃縮ウランの二〇%でございますが、それがだんだん一五%に減るとか減衰して参りまして役に立たなくなった場合に、取りかえるという問題が別に規定してございますが、全部返してしまうということは協定の終了した暁に初めて起る問題になっております。
#7
○石黒忠篤君 濃縮ウランは原子力関係において燃料と認められているのだと思うのであります。そうしますと放射をいたしまして力が減ずるのであります。そういうことはどの程度に使用するといったようなことについての理由はこちらが確保されておるのでありますか、あるいは何か条件がついておるのでありますか。
#8
○説明員(松井佐七郎君) 御説明申し上げます。借りました濃縮ウランを研究用の原子炉で中性子の発射その他ラジオ・アイソトープの製造等に使います。ある程度ウランの二三五が中性子の衝撃を受けまして消耗すれば濃縮度が減ります。その分は下田条約局長が御説明相なったようにアメリカに灰として返しまして、さらに新しい濃度二〇%のものと取りかえられますが、今御質問の点はその他のほかの研究経路についてアメリカからいろいろ制約を今受けるかどうかの意味かと拝察されますが、研究の自主性につきましては第三条のA項に書いてある通り「原子力の平和的利用に関連する実験」という規定があるのみでございます。その運用は日本側の全然自主的な立場で運営されるものでございます。アメリカ側もこれを文書においても口頭においても確認いたしております。
#9
○石黒忠篤君 よくわかりました。それからこれははなはだ幼稚な質問なのでありますが、この協定は日本文をもってやっぱり正文としているのですね。そこでこの文案については、正文にすることにつきましてはそれぞれの専門家が十分に見られたということで、前に起りましたような仮調印のときのようか問題はまず出ないことと思うのでありますが、そう心得てよいかという問題。それからもう一つ。はなはだ幼稚でありますが、賃貸という観念は現物を賃料をとって貸す、これは法律問題のように日本の法律では思うのであります。燃料の賃貸といったようなことは、日本の法律観念にはないように思うのでありますが、これで正文はよろしいのでありますか。
#10
○政府委員(下田武三君) 御質問の第一点につきましては、仮調印をいたしましたときは存在するものは英文のテキストだけでございまして、それによって日米間は了解を遂げておって、その英文だけについてまとめたわけでございますが、その際にはむろん学者の御検討を経まして、英文自体についての日本側の了解は何ら米国の了解するところと異なっておらなかったわけでございまして、両国間には完全なる意思の一致が英文においてあったわけでございます。ただその際にワシントンから各社の新聞社の報道として英文を送って参りまして、各社がばらばらな訳を作って新聞に出しますと非常な混乱を来たしますので、日本側としてはまだ協定の正文を日本語で作成する段階にはなかったのでございまするが、一応発表関係の担当者が、これはしろうとでございますが、新聞社がばらばらな訳を新聞に載っけるよりはまだ不正確の度が少いだろうと考えまして、外務省の担当官が訳して新聞社に提供いたしました結果、しろうとの訳でありますために問題になりましたような誤訳問題を生じましてまことに恐縮にたえなかったのでありますが、その際問題になりましたのは英文テキストについて、日米間の意思の合致があったという点につきまして、その点は何ら私どもも心配いたしておらなかったのでございます。そこで英文テキストによりまして日本語を作るという段階になりましてからは、英文につきましては藤岡博士、朝永博士等の御検討を得ておりました。さらに日本語を作る際には関係庁の専門家のみならず、武田、杉本両教授につき切りに御検討をわずらわしまして、これは新たに日本語のテクニカル・タームを決定するという、御意気込みで当っていただいたわけでございますが、そこで先ず万全の日本語のテキストを作る作業を相当の時間をかけまして作りました。日本語で得ました成案をさらにアメリカのワシントンで米国の専門家の間で日英両語の対照をいたしまして、これならばそごはないという見きわめをつけまして調印いたした次第でありまして、この国会に正式に御提出いたしました英文につきましては何らの御心配は要らないという確信を実は持っておる次第でございます。
 第二の点でございますが、まことに仰せの通り法律問題としても賃貸というなら土地でありますとか、家屋でありますとか形が変らないものを賃貸というのが、日本語でまさにぴったりした観念でございます。濃縮ウランのような減衰して参りまして、ちょうど松井課長が申されたように灰になってしまう、全然白い灰になってしまうわけではございませんが、濃縮ウランとしての価値のないものになるわけでございます。しかしまた向うで濃縮度を高めて復元し得る、同じものに濃縮度を高めるということがまたできるわけでございますので、多少濃度が落ちますけれども、これをリースと英語でいっておりますが、賃貸と訳しましてもあながち妥当し得ないとは申し得ないと思います。ただ仰せの通り全く不動産の賃貸借の賃貸なんとは違うことは争えないところでございます。
#11
○委員長(山川良一君) どなたか御質問ありませんか、御質問がなければこれで休憩します。
   午前十一時三十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十九分開会
#12
○委員長(山川良一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国際情勢等について外務大臣に御質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと思います。大臣はあとで衆議院の本会議に出席されねばならぬようなことになっているようでありますから、その場合には一つ退席されるということを御了承願いまして御質問願いたいと思います。
#13
○羽生三七君 先ほど大要は私、本会議で承わりましたので、この機会にざっくばらんに御感想というか、まあ今開会前に承わっておると、落ちついてじっくり腰を構えるというお話もあったけれども、どういうことが予定されるかお差しつかえない範囲でざっくばらんにお聞かせ願えたらと思っております。
#14
○委員長(山川良一君) 私は、都合では速記を一時中止しても一つお聞かせ願ったらという気がするのですが、どういたしましょうか。速記を中止いたしましてよろしゅうございますか。……速記をとめて下さい。
   午後一時五十二分速記中止
     ―――――・―――――
   午後二時四十一分速記開始
#15
○委員長(山川良一君) 速記を始めて下さい。それではこれより原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件について御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#16
○羽生三七君 さきに前の国会で濃縮ウラン協定の仮調印をしたわけですが、その仮調印も延ばしたらどうかということを私お尋ねしたことがあったのですが、その理由はジュネーブにおける原子力平和利用の国際会議が進んでおる過程であるから、その世界各国の動きを見て本調印をした方がいいのじゃないかということをお尋ねしたことがあるのです。事態は進んでいよいよここに協定の調印というところまで来たわけですが、その後、原子力の平和利用に関するジュネーブ会議に参加した国々、そういうものの間に何かその後の動きというものがあるのか。そのままただああいう会議があっただけでやりっ放しなのか。その辺もしわかっておりましたらお話願います。
#17
○政府委員(河崎一郎君) お答えいたします。ことしの八月にゼネバにおきます国連主催の原子力平和利用に関する会議が契機となりまして、各国でも急速にこの原子力平和利用に関する国際協力という面を重要視するに至りまして、その結果今行われておりまする国連の総会におきまして、国連のワク内で原子力国際機関を作ろうじゃないかという決議案が最近採択されまして、その結果いよいよ国連並びに国連専門機関を含みます国際原子力平和利用の機関が設置される方針がきまりました。その機関の憲章を相談いたしますために、明年早々関係国が寄りまして憲章をきめて、早急にこの国際機関の設置を実現しようという段階まで来ております。
#18
○羽生三七君 私はこの原子力平和利用というような問題については、世界の技術が公開されて、国連からもどこからも自由に購入なり貸与を受けることができるようになって、そういう中で日本の平和利用というものが合理的に進められるようなことが一番望ましいと思うのです。しかしそういう態勢ができ上るまで待っておるというわけにはいかないだろうから、とりあえず日米間の二国間の協定だけでもということだろうと思うのですが、かりにそういう世界全体を含む新しいシステムができた場合に、何らか日米間の協定のために拘束を規制を受けるとか、そういうことはないのでありますか。
#19
○政府委員(河崎一郎君) ただいま考慮されております国連機関が設置になるまでにはなお相当日にちがかかると思うのであります。そうしまして国連が今予定いたしておりまする機関は原子力のプール案と申しまして、加盟各国が資材その他を供出してそれを低位開発国に分ち与える。かつまた技術を教えようというアイデアでございますが、しかしこれと二国間の協定とは全然並行的に存在するということに今のところなっております。従いまして、重要な援助は二国間の協定によっても受けるが、この国際プール案によりますると、これはもう公開された技術を一般的に供与されたわけでありまするが、二国間協定によってさらに進んだ技術を教えてもらうということが可能であります。
#20
○羽生三七君 この一九五四年のアメリカの原子力基本法によって、日米協定が何らか規制を受けることはないか、国内的に。その点はどうですか。
#21
○政府委員(下田武三君) 一九五四年の合衆国原子力法の規制を受けるのは、米国政府と米国の市民だけでございまして、日本の政府及び日本国民は何らの規制を受けません。ただこの協定では定義を下します場合に、第一条で「秘密資料」、「原子兵器」「特殊核物質」という三つの言葉の定義をながながしく書くかわりに、この三つの言葉は原子力法にいう定義に従うという所がございます。これはつまりながながとまた定義を書きますかわりに、アメリカの法律のその部分をはさみで切ってこの協定にのりで張りつけたというだけでございまして、それ以外にこの原子力法を引用した個所はこの協定には一つもございません。ただアメリカ政府自体が原子力法に縛られております結果、米国政府としては日本に約束する場合にその制約を受けることは当然でございまして、従いまして第七条の「保管の措置」とかその他は米国政府の必要からいたしまして入ってきておりますが、これは協定そのものの規定になっておりまして、何も日本側が米国の国内法に規制を受けるということではないようになっております。
#22
○羽生三七君 現在は今御説明の通りと思いますが、仮に原子力の基本法が何か改正されたようなことがあった場合には、もちろんこの国際上の関係から過去に遡及するようなことはない、何ら日本が影響されることはないと思うのですが、そう解釈していいのですか。
#23
○政府委員(下田武三君) その点も仰せの通りでございます。さきにMSA協定の場合には、MSA法及び将来その改正等が行われた場合には、その法律とアメリカの予算に従って、アメリカ政府が供与するということになっております。しかしそういうような意味合いにおける原子力法の引用もこの協定では全然いたしておらないのでございまして、ただこの協定で一九五四年の原子力法に従う定義だけを引用しておりまするので、たとえ将来この法律が変りまして違った定義が掲げられるようになりましても、この協定を通じて適用になるのは一九五四年の法律で下した定義であるということでありまして、将来の米国側の立法によって左右されるようなことは全然ございません。
#24
○羽生三七君 アメリカの母法によっての影響はないということがこれでわかったわけですが、それで、アメリカの基本法とは関係なしに純粋にこれは日本自身の判断からだということで、何かこの秘密保持に対する特別立法をするということは起らんのですか。そういうことは絶対ないということを前々国会から確約されておるのですが、もちろんそういうことはないと確信いたしますけれども、主観的なあれでなしに、この協定なり今作っておる日本の基本法からいって、そういうようなことを必要とする解釈が生れる危険がないかどうか、これはいかがですか。
#25
○政府委員(下田武三君) その点も全然御懸念のような点はございません。この協定では、第六条におきまして秘密資料のみならず秘密資料をインヴォルヴするような結果になる情報も初めからもう交換しないことに約束しております。でございますから、交換される情報はすべて公開の情報だけでございまして、従ってこの協定の締結の結果、日本側で秘密保護法のような立法をする必要は全然ございません。また秘密資料以外の規定で、間接にも何らかの秘密の保護を必要とするような立法をやる必要もまたこれは全然ございません。
#26
○羽生三七君 現在はアメリカと日本国だけの二国間の協定ですが、そのほかイギリス、ソ連等の諸国もウランを持ち、また売るだけの力を持っておると思うのですが、ソ連はまあ別として、何かアメリカ以外の国とこういうことで取引をするとか向うから話があるとか、そういうことは現在までには全然ないのですか。
#27
○政府委員(河崎一郎君) 現在までのところアメリカ以外の国からのオファーはございません。
#28
○羽生三七君 第四条によって原子炉用資材を向うから売ってもらったり貸してもらったりすることができるわけで、しかもそれは合意された条件でいいわけになっておるのですが、この協定ができた場合これは純粋にウランの協定であって、原子炉とは直接の関係がないわけですが、これは前国会で一番質疑された中心問題と思うけれども、これは合意される条件がなければ何ら拘束を受けないのかどうか。
#29
○政府委員(下田武三君) 合意される条件は、つまり日本の原子炉ができましても、いよいよウランを借りたりあるいは資材をもらうというときに細目取りきめを締結することになると思いますが、その細目取りきめできめるという段取りになるのでございます。
#30
○羽生三七君 私のお伺いしたいのは、それはよくわかるのですが、たとえばアメリカからウランを借りるなり買うなりする場合に、アメリカ以外にもいい原子炉がある、まあ実験用原子炉の場合ですね、そういうようなことがあり、またそれが得られるような条件にある場合に、この日米間のことだけに規制されて拘束を受けることはないかどうか、こういうことをお尋ねしたわけです。
#31
○政府委員(下田武三君) その点は全然拘束を受けません。これは第三国から売却をしてもらい、または賃借することは完全に日本側の自由でございます。
#32
○梶原茂嘉君 先ほど来の質疑応答に触れる点があると思いますけれども、お伺いしたいのでありますが、国連機構の内部にできる原子力の平和利用に関する機関ですね、これの大体の性格というのはどういう性格を持っておりますか。
#33
○政府委員(河崎一郎君) 御説明申し上げます。その性格と申しまするのは、大体先ほどもちょっと申しましたように原子力のいわゆるプール案でございまして、今のところ加盟国は国連加盟国並びに専門機関に加盟しておる国とを合せまして八十四カ国を予定いたしておりまするが、この八十四カ国が新しい機関に加盟いたしまして、そのうちで技術の進歩した国、それから資源を持っておる国が資材なり技術をこの機関に提供いたしまして、この機関が仲介となりまして、加盟国の中で資源のない国あるいは原子力の技術が進歩しておらないいわゆる後進国、未開発国、そういう国に資材並びに技術の援助をやろうというのが主たるアイデアでございます。
#34
○梶原茂嘉君 そうしますと、近い将来に国連内部の一つの機関ができて、そこからも資材を提供し、それから技術的の援助指導も行われることになるわけであります。ところが、アメリカはおそらくその場合においても国連機関の内部においては一つの有力なる何といいますか、立場になるでしょう。結局近い将来にこの協定に基くアメリカの直接のウランの供給及びそれに伴う指導と国連の系統と二重になるわけですね。そうならば結局目的とするところは一つになるのであって、近い将来にはむしろこの協定に基くものが国連のほうに吸収されていくといいますか、そういう形において行われるということも当然あり得るように考えていいのですか。全然それは別個のものであり、二本建でいくということになるのでしょうか。
#35
○政府委員(河崎一郎君) この新しい機関と二国間の協定は全然別であります。従いまして、今のお話のように二本建でいくということで、日米協定は有効期限五カ年でございますが、その間は原子力国連機関と別個に協定が存在して、吸収されるということは今のところ考えられておりません。
#36
○梶原茂嘉君 一応二本建でいくということは当然なわけですけれども、二本建もあり得るわけですけれども、現実の問題としてそれでは近い将来にこの協定に基く一つの研究用の原子炉の試作と、それから国連系統の分が別個に一つ日本において行われるという姿を想定してもいいのですか。
#37
○政府委員(下田武三君) 日米の二国間の協定と原子力プールによる二本建には相なりますけれども、日本側内部の問題としては何も二つに分れる必要はごうもないのでありまして、この協定に基いて入手した原子炉資材にプールから借りたウランを使っても一切かまいません。要するに日本側としては統一された自主的な見地から原子力平和利用の研究をいたしまして、ただそこに使う濃縮ウランまたは原子炉用資材の調達先が二本であるというだけのことでございます。
#38
○梶原茂嘉君 それからアジアにおける原子力指導のセンターということが報道されているのですけれども、あれはどういう性格と機能を持っているのですか。
#39
○政府委員(河崎一郎君) アメリカの大統領基金で設置を予定されておりますアジア原子力センターの問題でございますが、これはコロンボ会議でアジアのどこか有利な国に設置するという方針がきまりまして、その後アメリカ側でどこへ置くかということを検討いたしているわけであります。この原子力センターと申しますのは、主として後進国の原子力に関する技術者を養成することを主眼といたしているものでございまして、従いまして、設置される炉はごく程度の低いものだということなのでございます。そうしてそこにアジア地域の各国の科学者を集めまして、そこで養成するというのがこの計画の内容でございます。
#40
○梶原茂嘉君 それから今のところアメリカ以外の所からはウラン等のオファーがないというお話がありましたけれども、近い将来にアメリカ以外からウランを入れるという可能性はあるのでしょうか。
#41
○政府委員(河崎一郎君) 先ほども申しますように、ただいままでのところアメリカ以外からオファーはございませんが、カナダなどはやはりアメリカと同じような計画を今進めている。すなわち希望する国に原子力の平和利用の援助をしたいというような希望は表明いたしておりまするが、具体的にはまだカナダからもオファーは参りません。
#42
○梶原茂嘉君 そういうオファーがあれば、日本としてはそれを受け入れてやるような考え方はあるのでしょうか。
#43
○政府委員(河崎一郎君) それはそのときの情勢によると思います。そのときまでに日本の国内で自主的に研究が相当進んでおれば、日本側の事情で果してそのオファーを受けるかどうか、そのときに検討していい問題かと思います。
#44
○梶原茂嘉君 秘密に関する話が先ほどもあったのでありますけれども、これはその後に秘密資料については情報を交換しないということになっておるわけですけれども、一体どれが秘密でどれが当然公開していいという区別をあらかじめはっきりつけているのか、当然それが常識的につき得るのか、そういうところはどういうふうになるのでしょう。
#45
○政府委員(下田武三君) アメリカの原子力法の第一章に、この秘密資料に関する定義がございますが、それによりますと、「原子兵器の設計、製造及び利用」に関する資料、これはまあ兵器でございますから、当然この協定から除いておるのでございます。それから第二番目は「特殊核物質の生産」、つまり核物質自体を作るということに関する資料、これも日本は自分で作るのではなくて、ひとの作った濃縮ウランを借りるわけですからこれも当然除かれて参ります。その次は「エネルギーの生産における特殊核物質の使用に関するすべての資料」と書いてあります。これもやはり生産部面の問題でございまするので、この協定の対象からは最初から入って参りません。大体この秘密資料とはただいま申し上げました一、二、三の三つのカテゴリーに属するものが秘密資料となっております。
#46
○梶原茂嘉君 濃縮ウランの二十キロですか、それが時間の経過に伴って減耗していく、そしてその都度それに対する補給が行われていく、その合計の量が二十キロと、こうなるわけですか、そのうち減耗する量はどの程度になるのでしょう。
#47
○政府委員(下田武三君) 大体濃縮ウランは濃度二〇%となっておりますが、それが一割減衰いたしますともう使いものにならないそうでございます。この中性子の衝撃を受けているうちに減衰いたしまして、大体濃度において一割減衰いたしますと中性子のごみといいますかダストといっておるそうでありますが、そのダストがたまってしまいますともう使いものにならない。大体一割程度の減衰で無効、取りかえを必要とするに至る限度だということであります。
#48
○梶原茂嘉君 時間的にいうとどの程度これが何と言いますか持続するのですかね。
#49
○政府委員(河崎一郎君) 詳しいことは最近アメリカで原子力委員会と打ち合せをいたしました松井説明員に……。
#50
○説明員(松井佐七郎君) 今の御説明を補足いたします。まず濃縮ウラン、濃度二〇%というものをまず御説明申し上げた方がいいと思います。御承知の通り天然のウランの中にはウランの二三八というものと二三五というものがございます。で、二三八というものは中性子の衝撃を受けても核分裂を起さないのであります。ところが核分裂を起すところの二三五というものは天然ウランの中には百四十分の一、すなわち〇・〇七%しかございません。これを連鎖反応を起すに必要なウランの二三五を百四十分の一から百五十分の一に濃縮して集めたものが濃縮ウランでございます。で御承知の通りウランの二三八と二三五というものはいわゆる同位元素と申しまして化学的な性能が同じでございます。この両者を分離することが非常に今まで困難とされておりましてのでございますが、アメリカは原爆を作る必要上、そのウランの原子番号は同じ九十二番でございますが、その陽子の数と中性子の数と合せたものがこのウランのマス・ナンバーといっております。これが多い方が重さが多いわけでございます。従ってこれをいわゆるガス撒布法の工場におきまして非常に多大な金をかけましてウランの二三八と二三五に分離することに成功いたしました。従って日本におきますウランの、濃度二〇%のウラン六キロというものは、ウラン二三五が二〇%でございまして残りの八割、八〇%がウランの二三八でございます。従って実際受けるところの量はウランの二三八と一緒に参りますから六キロの五倍、すなわち三十キロのウランが参ります。その中の八割二十四キロがすなわちウランの二三八に当り、残りの六キロがウランの二三五に該当いたします。それでウランの二三五が中性子の衝撃を受けますと核分裂を起しまして、その過程におきまして中性子を三個放出いたします。それがまた近くのウラン二三五に衝撃を与えましてそれがまた二つに分れまして、その次に巨大なエネルギを出すときにまた中性子を三個ぐらい出します。それが次々に近くのウラン二三五に当りましていわゆる連鎖反応を起します。原爆の場合はウラン二三五の濃度が九九%以上一〇〇%に近いものでウラン二三五の純粋なものを集めております。そういたしますと連鎖反応が即時に起りましてその際巨大なエネルギーを出します。で、今度の研究用の実験炉に使うものはウランの連鎖反応が起すところのミニマムな量でありまして、しかもそのスピードとエネルギーが今度の場合は統御されるわけであります。この場合グラファイトまたは天然水をモデレーターとして、ウランに当るところの中性子のスピードをコントロールいたしまして、連鎖反応を起させる率を高め、さらにコントロール・ロッドによって連鎖反応の力を統御いたしております。これがいわゆる原子炉のおもな使命でございます。さっき条約局長が仰せになったように研究用の実験炉の中に濃縮ウランを入れておきますと、大体まあウォーター・ボイラー型では一キロの分量があればよろしいそうでございます。で、これが一年、まあウォーター・ボイラーは五十キロの出力でございますので、毎日五時間ずつ研究いたしますにしても一年に千三百時間、そういたしますと濃縮ウランの二三五の消耗量は約四十キログラムだそうでございます。従って一定の期間燃料を入れておきますと、中性子の衝撃を受けましてウラン二三五は核分裂を起し、いわゆるニュークリア・フィッションを起します。それが入れた燃料の一割を消耗いたしますとダスト・フィッション・プロダクトがたくさん起りまして、これが連鎖反応に向うところの中性子を吸収してしまって連鎖反応がとまる、中性子の経済上非常に得だからというので一応取り出しまして、新たな濃度はこの場合は二〇%でありますが、これは燃料要素と称しておりますが、これをリサーチ・リアクトの中に入れて研究いたします。少し話がくどくなりましたが少し補足して申し上げました。
#51
○梶原茂嘉君 そうしますと濃縮ウランの二三五というやつを六キロですね、これは補充するものを含んでの六キロ、これは普通に使っていって大体年限でいえばどの程度もつものだろうか。こういうことを一つ常識的にいってもらえば大へんいいのだが、五年も続くものかあるいはもっと長いのか、そういうことです。
#52
○説明員(松井佐七郎君) お答え申し上げます。それはウラン二三五というものは、一度衝撃を受けますとその一定のウランの二三五というものは二十個くらいの同位元素に分れるそうであります。従ってその場合二三五というものはなくなりまして、違った化学性能を有するところの他の元素になります。従ってそのなくなったのは使えないわけでございます。しかしながらウランの六キロと申しますと、特にウォーター・ボイラーになりますと、一キロと申しますと、燃料は一年に四十グラムでございますからその継続期間は約二十五年間必要な燃料はそれで十分にあります。
#53
○梶原茂嘉君 七条で「ウランの保全を確保するため必要な保管の措置」それからその他の原子炉の用材について必要な保管の措置を講じていく義務があるわけであります。大体どういうふうな措置が必要とされるわけですか。
#54
○政府委員(下田武三君) 第七条の保管の措置は実は精神的の注意規定でございまして、きわめてばく然たる規定になっておりますが、別にこれをこまかくするために細目の取りきめという必要は全然ないのだと向うでも言っております。そこで要するに精神的な注意規定を実行いたしますのは、日本政府の委託を受けましてどういう機関がおやりになりますかわかりませんが、その機関が政府から又貸しした濃縮ウランの善良なる管理者としての注意を払えばよろしいというだけのことでございます。
#55
○梶原茂嘉君 受け渡しの関係ですけれども、返す場合は相当規定があるんです。こちらに受け入れる場合はどういうふうになるんでしょうか。一時に受け入れるのか、それともときどき必要に応じて六キロの範囲で受け入れをしてゆくということになるんでしょうか。またその実際の受け渡しの方法等についてはどういうふうになるんでしょうか。
#56
○政府委員(河崎一郎君) 受け渡しの細目については細目取りきめにきめるわけでございますから、ただいまのところ六キロのうち六キロまで借り得るわけですけれども、さしあたって実験用原子炉に一キロ半で十分であればまず一キロ半をもらって、それについて細目の賃貸協定を結べばいいんじゃないかと思っております。
#57
○梶原茂嘉君 九条ですか、これによりますと、日本で必要な憲法上または法律上のすべての手続が完了したことを確認して初めて効力が生ずる、こうなっておるわけですね。そうするとこれに関して必要な立法それから予算措置、そういうものがすべてでき上ってそれからのち初めてこの協定の効力が生ずる、こういうことに相なるわけで、それは大体いつ頃が想定されるんでしょうか。
#58
○政府委員(下田武三君) 九条の御指摘の規定は、実はこの協定に効力を与えるために必要な憲法上または法律上の手続でございまして、従ってこれは日本の場合には憲法の七十三条の規定を指すわけでございまして、条約を締結するには、事前または時宜によっては事後に、国会の御承認を必要とすることになっております。その国会の御承認を済ませば憲法上の手続は終了したことになるわけでございまして、従って御承認を得次第、米国政府に憲法上の手続は済んだということを通知いたしてやります。そういたしますと、直ちに効力が発生するわけでございまして、これはなるべく実は早く行いたいと思っております。
#59
○石黒忠篤君 河崎局長の御説明で国連に平和利用のための機関ができることに進んでおるというお話でありますが、むろんそれにはソビエトの方も同意をして参加することになるのだろうと思いますが、どうでございますか。実情はどういうふうになっておりますか。
#60
○政府委員(河崎一郎君) 国連でこの原子力機関設置に関していろいろな議論をやりました当時、最初はソ連側はこの機関では原子力の平和利用ばかりでなくて、原子兵器の取締り、禁止の問題も議題にしたいということを主張しておったんでありますが、その後ソ連側はそういう主張を撤回いたしまして西欧陣営の提案いたしましたラインに沿いまして、ただ原子力平和利用の問題だけを取り扱うということでソ連例もこれに参加するということに確定をいたしております。
#61
○石黒忠篤君 そうしますとその機関ができると、今両陣営に分れて、初めのうちは爆弾の競争でそれぞれ支配力を強からしめようとしておったのが今度はやや変って、平和利用の提供及び協同によって勢力をそれぞれ張り合っているという形勢になったんでありますが、その機関によって平和利用に対する援助の提供ということが話し合いによってうまくいくんでしょうか。
#62
○政府委員(河崎一郎君) 石黒先生のそういう御心配は実はこの夏の八月のジュネーブ会議、国連のいわゆる原子力平和利用の会議の前にもそういう懸念が一般に行われておりまして、果してソ連は原子力の平和利用の問題について積極的に、そしてほんとうに協力をするのであろうかどうかということは疑いを持たれたのでありますが、八月のゼネバ会議におきまして、ソ連は全面的にこの平和利用に協力いたして参りまして、資料の提供その他積極的であったのでございました。このゼネバ会議の態度から見まして、ソ連、共産圏をも含めて、こういう国際機関がうまくいくという見通しが立ちましたために、今度の国連総会において、いよいよこの原子力平和利用の機関の設置というふうになった次第でございます。
#63
○石黒忠篤君 そうだとしますと、その国際機関が、これは問いも答えも将来の想像に過ぎないことになろうと存じますが、日本というような協力を受ける側の国の選択に従って、どこの国からの平和利用に関する各般の提供を受け得るということになりますか。あるいはたとえば米国との間に協定を結んでおるという、まあ事実上は米国が主になりましょうけれども、ここにおいては、ソ連その他の国々の方からある特殊のものについては提供を受けることができるというようなことが保証されるのでありましょうか。そこいらはどんなものでしょうか。
#64
○政府委員(下田武三君) 国際連合におきましては、すでに技術援助という計画をやっておるのでございまして、それによりますると国連加盟国ないし技術援助に参加国は、国の当該政府の希望のあった場合、それからその国の同意か承諾のあった場合において初めて援助を受け得る、援助を与える場合もそうでございます。そういうわけで決して国連の機関を通じてやります場合には機関から命令を受けたり強制を受けたりすることは全然ないのでございます。今度設置を予想されております原子力国際機関も、技術援助の面におきましては現在国連でやっております技術援助のシステムと同じでございまして、従いまして日本がそういう国際機関に加盟しましても、日本の政府の希望に反し、また同意のない場合に援助を押しつけられるという懸念は全然ないと思います。
#65
○委員長(山川良一君) ほかに御質問はありませんか。ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
    ―――――――――――――
#66
○委員長(山川良一君) 速記をつけて。それでは外務委員会に付託されておる請願が五件ございます。書いたものを差し上げてありますので、内容は読み上げませんが、これを採択するかどうかということですが、どういたしましょうか。今までもこういう請願があってこれまでに採択されたこともあるのだそうですが、一つ一つ読み上げてやりますか。どうでしょう。速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#67
○委員長(山川良一君) 速記をつけて。それではただいま申し上げました外務委員会に付託されました請願五件採択することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(山川良一君) 御異議ないと認めます。それでは請願は採択されました。
 明日は午前十時から開会いたします。本日はこれにて閉会いたします。
   牛後三時三十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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