くにさくロゴ
1955/12/05 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 本会議 第4号
姉妹サイト
 
1955/12/05 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 本会議 第4号

#1
第023回国会 本会議 第4号
昭和三十年十二月五日(月曜日)
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四号
  昭和三十年十二月五日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
●本日の会議に付した案件
 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査をなすため、委員二十五人よりなる特別委員会を設置するの件(議長発議)
 公職選挙法改正に関する調査をなすため、委員二十五人よりなる特別委員会を設置するの件(議長発議)
 本国会においても行政監察特別委員会を設け、その委員の数を二十五人とすることとし、その存続期間、権限及び次の国会召集の日までに支出し得る費用等については、昭和二十六年二月六日本院で議決した通りとするの件(議長発議)
 科学技術振興の対策を樹立するため、委員二十五人よりなる特別委員会を設置するの件(議長発議)
 内閣、法務、外務、社会労働、農林水産、商工、運輸、建設及び懲罰の各常任委員長辞任の件
 内閣委員長外八常任委員長の選挙
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後一時二十六分開議
#2
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 海外同胞引揚及び遺家族援護に関
  する調査をなすため、委員二十
  五人よりなる特別委員会を設置
  するの件(議長発議)
#3
○議長(益谷秀次君) 特別委員会設置につきお諮りいたします。
 海外同胞引き揚げ及び遺家族援護に関する調査をなすため、委員二十五名よりなる特別委員会を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。
     ――――◇―――――
 公職選挙法改正に関する調査をな
  すため、委員二十五人よりなる
  特別委員会を設置するの件(議
  長発議)
#5
○議長(益谷秀次君) 次に、公職選挙法改正に関する調査をなすため、委員二十五名よりなる特別委員会を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。
     ――――◇―――――
 本国会においても行政監察特別委員会を設け、その委員の数を二十五人とすることとし、その存続期間、権限及び次の国会召集の日までに支出し得る費用等については、昭和二十六年二月六日本院で議決した通りとするの件(議長発議)
#7
○議長(益谷秀次君) 次に、本国会においても行政監察特別委員会を設け、その委員の数を二十五名とすることとし、その存続期間、権限及び次の国会召集の日までに支出し得る費用等については、昭和二十六年二月六日本院にて議決した通りといたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。
     ――――◇―――――
 科学技術振興の対策を樹立するため、委員二十五人よりなる特別委員会を設置するの件(議長発議)
#9
○議長(益谷秀次君) 次に、科学技術振興の対策を樹立するため、委員二十五名よりなる特別委員会を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#11
○議長(益谷秀次君) ただいま議決せられました四特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 内閣、法務、外務、社会労働、農林水産、商工、運輸、建設及び懲罰の各常任委員長辞任の件
#12
○議長(益谷秀次君) なお、お諮りいたします。内閣委員長、法務委員長、外務委員長、社会労働委員長、農林水産委員長、商工委員長、運輸委員長、建設委員長及び懲罰委員長から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 内閣委員長外八常任委員長の選挙
#14
○議長(益谷秀次君) つきましては、この際右の各常任委員長の選挙を行います。
#15
○長谷川四郎君 常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#16
○議長(益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって動議のごとく決しました。
 議長は各常任委員長を指名いたします。
      内閣委員長 山木 粂吉君
    〔拍手〕
      法務委員長 高橋 禎一君
    〔拍手〕
      外務委員長 前尾繁三郎君
    〔拍手〕
    社会労働委員長 佐々木秀世君
    〔拍手〕
    農林水産委員長 村松 久義君
    〔拍手〕
      商工委員長 神田  博君
    〔拍手〕
      運輸委員長 松山 義雄君
    〔拍手〕
      建設委員長 徳安 實藏君
    〔拍手〕
      懲罰委員長 長井  源君
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
   一 国務大臣の演説に対する質疑
             (前会の続)
#18
○議長(益谷秀次君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。前尾繁三郎君。
    〔前尾繁三郎君登壇〕
#19
○前尾繁三郎君 私は、自由民主党を代表して、過般の総理の所信の表明に関連しまして、今臨時国会召集の眼目であります地方財政の再建について、鳩山総理、太田自治庁長官、一萬田大蔵大臣並びに各関係閣僚に対し若干の質問を試みんとするものであります。
 現在の地方財政が極度に窮迫し、いわゆる崩壊の寸前に立ち至っておりますことは、今さら多言を要しないと思うのであります。すでに二十九年度までの赤字の累積額は六百四十八億円の巨額に達し、さらに、本年度もこのまま放置するとすれば二百億円の赤字が予想せられ、今や地方団体の理事者は借金の元利支払いに追われ、給与の金繰りに狂奔している状況でありまして、そのことは諸君の十分御承知のことであります。
 この臨時国会は、地方財政の再建促進のために召集されたものであります。従って、前国会において継続審査となりました地方財政再建促進特別措置法を成立せしむることは焦眉の急ではありますが、過去の赤字対策は当然現在の赤字対策並びに将来の赤字対策を伴わなければなりません。これなくしては、過去の赤字処理は望むべくもないのであります。しかるに、将来の根本的対策は別としましても、現在の赤字対策がようやく昨今になって問題とされるに至りましたことを、私ははなはだ潰憾と思うのであります。現在の赤字問題は、すでに本年度の当初の地方財政計画にその端を発しているのであります。すなわち、本年度の地方財政計画は、自治庁の諮問機関であります地方財政審議会が百四十四億円の赤字の生ずべきことを警告したにもかかわらず、また、国税三税の減税に伴う地方交付税の減収や警察費の平年度化に伴う増加額等は、地方交付税制度の性質上、当然税率の引き上げによって補填せらるべきものであったにもかかわらず、これをすべて地方団体の節約にしわ寄せして糊塗しようとしたことに原因するのであります。従って、このことは前国会においてもずいぶん論議せられ、前自治庁長官もこれが善処方を言明せられたところでありますから、国会終了後直ちに着手せらるべきものであったのであります。もとより、その後において新党の結成という大きな政治上の変化があり、これが対策の最終的決定は現在まで延引せられたのもやむを得ないところではありますが、問題の解決はもっと早くから検討され準備されてしかるべきものであったのであります。しかるに、今になって政府の問題となり、急速いわゆるとりあえずの措置のみが提案されることになりましたことは、政府が地方財政の窮迫に対する認識と理解とを欠いているのではないかとの疑いさえ抱く者が多いのであります。(拍手)私は、かかる誤解を解くことは鳩山総理の重要なる責務と考えるものでありますが、これに対し総理の御所見をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 さらに、地方団体の赤字の原因については、私は、過去においては、地方団体理事者のいわゆる人気取り政策や地方団体職員の行き過ぎた労働運動に帰すべきことが多かったことを認めるものであります。(拍手)しかし、現在においては、地方団体の理事者は、好むと好まざるとを問わず、真剣に赤字問題と取り組まざるを得なくなり、いかにしてこの難局を切り抜けるかについて日夜心を砕いている状況であります。しかるに、なお政府の一部においては、地方団体を放蕩児のごとく考えて、これが対策をなおざりにしているかのごとき感を与えておるのでありまして、かくては、せっかく燃え上っている自治体側の地方財政確立の熱意を喪失せしめるおそれなしとしないのであります。私は、この際こそ、政府も地方団体も一丸となって本問題の抜本的解決に当るべき絶好の機会であると信ずるものでありますが、この点についても、あわせて総理の熱意ある御所見を伺いたいのであります。
 次に、私は、なぜに今回の措置をすべて暫定的なものとされたのか、やや理解に苦しむものであります。交付税の税率三%引き上げについては認めたかのようであります。また認めないかのようでもあります。また、特別会計の補正予算はお出しにはなりますが、肝心の財源措置である一般会計の補正予算は通常国会に御提出になるかのようであります。このことは、税率の引き上げを行えば漫然給与の引き上げ等の財源に使われる心配から税率の引き上げを行わないのであるか、あるいはまた、将来交付税率をそこまで引き上げる必要なしとの考えに基き、その既得権化することをおそれるがゆえんであるのか、あるいはその他の理由によるものか、はなはだ明確を欠くのであります。また、財源措置についても、ここで補正予算を出されないのは、ただ単に時間的に間に合わないのか、それとも不用額が不明なためであるのか、さらに、自然増収があった場合は、これによって補てんする余地を残すためであるのか、その間政府の所信の変更もはかりがたいので、地方団体をしていたずらに迷わしめ、揣摩憶測のみによって事が運ばれることをおそれるものであります。私は、もとより、地方財政の健全化をこいねがうとともに、国の健全財政を破壊するがごときことがあってはならぬと思うものでありますし、何はともあれ三%の引き上げに相当する財源措置をされたことについては、その苦心を多とするものではありますが、なぜこの際大胆率直に交付税率の引き上げを行わなかったか、また、何ゆえ財源についても確固たる措置をとらなかったかをはっきりしていただき、(拍手)地方団体に十分な見通しを与えていただきたいと思うのでありまして、それについて自治庁長官と大蔵大臣の明確な御答弁を伺いたいのであります。
 次に、現在非常な問題となっている今回の財源措置についてお伺いいたしたいのであります。百八十八億円の財源措置のうち、賠償費の不用や一般経費の節約等については、問題はあるとしましても、さして論議の対象とはならないと思いまするが、公共事業費の不用額については重大な問題を含んでいると思うのであります。
 その問題点を要約しますと、公共事業は地方団体の生命とするところであります。そうして、公共事業がやりたいからこそ財源の賦与を熱望してきたのであります。従って、財源を公共事業費以外の経費の節約額かまたは不用額でまかなうことができないのか、たとえば、俗論とは思いまするが、毎年繰り越しとなる防衛庁費の不用領をなぜ使わないのかということが疑問の第一点であります。(拍手)次に、だれしも要望している公共事業費に果して相当巨額の不用額があるのであろうか、これを返上するような地方団体がそんなにあるのであろうか、または、それによって貧弱団体のみが返上することとなり、非常に不公平なものにたりはしないかということが疑問の第二点であります。また、不用額を立てるにしましても、これは全くの見込みでありまするから、もし実際にそれだけの不用額がなかったとしたら、いかなる措置をとられようとするのか、これが疑問の第三点であります。そうして、もし、事業はすでに行なったが、予算がないので、実際には支払いだけを遅延する結果となったら、地方団体のみならず、一般の国民にまで迷惑を及ぼし、支払い遅延の弊風を除去しようとして従来努力してきた政府の方針とも逆行するのであります。また、私は、地方団体の財政紊乱の一つの大きな原因は、繰り越しや財源の繰り上げ充用や支払い遅延によって年度区分を不明確ならしめていることにあると思いますが、国がかかる弊風を助長するようなことになっては、将来に非常な禍根を残すものと憂慮にたえないのであります。これが疑問の第四点であります。
 いずれにしましても、一般には、公共事業をやるために運動して、かえって公共事業費を削られた、いわゆるミイラ取りがミイラになったような措置は一昨日の取りきめで変えられたようでもありまするが、なぜ変ったか。表現方法がまずかったのか。現実にはどう違う結果となるのか。公共事業費の一律削減はなくなったので安心はしたものの、まだ一抹の不安を感じているのであります。私は、健全財政を守り抜こうとする政府の熱意には敬意を表するものであり、さらに、公共事業費の地方負担分の不用額をできるだけ少額にとどめようとする苦心についても感謝をしているのでありまするが、国民のだれしもが疑問としている点について、大蔵大臣並びに自治庁長官の明快なる御答弁をお願いいたしたいのであります。また、公共事業費の不用額の可能性や、直轄事業などの不用ということは、どういうふうに認定されるのかを、農林大臣と建設大臣に御答弁願いたいのであります。
 次に、私は、将来の赤字に対する対策についてお伺いしたいと思うのであります。政府は、しばしば、来三十一年度より根本的に地方財政の確立をはかることを約束しておられるのであります。過去の赤字対策は、現在の赤字対策とともに、将来の赤字の出ない保証がなければなりません。従って、将来の根本的な赤字対策についても、一日も早くこれを確立しなければならないのであります。地方財政の一赤字の根本原因は、まず地方財政の実態と地方財政計画とが全く遊離していることによるのであり、しかもその差の大部分は給与であって、二十八年度の決算による人件費の食い違いが四百四十億円にも達しているのであります。従って、政府は、従来しばしば、今秋に判明すべき給与の実態調査の結果を待って根本対策を講ずべきことを言明せられたのでありますが、給与の実態調査はすでに完了したのでありまするか、また、その結果はどうなっているのでありまするか、さらに、もし地方公務員の給与が国家公務員に比して相当高い場合は、いかなる方法によってこれを是正せられるのでありまするか、お聞きしたいのであります。
 また、現在の地方団体の赤字原因の一つは、現在の補助金政策にあるといわれております。すなわち、国が補助金によって地方団体に過重な事業を半ば強制したり、また補助金があまりに希薄であって地方の負担を重からしめていることは、早急に取り上げるべき問題であるにかかわらず、今もって実行せられていないところであります。また、私は、現段階における地方財政の危機は地方債費の累増にあることを憂慮しているものであります。そうして、これは現在審議中の再建促進特別措置法の処理のみをもって足れりとは考えられないのであります。従来起債を一般財源と同一視したところに大きな誤まりがあり、また公募債等については相当高利のものもあるので、現在の地方財政は全く利子負担に脅かされていると言っても過言ではありません。従って、今後は、起債方式や利子負担について相当根本的な方策を講ずる必要があると考えるものであります。さらに、現在の地方の行政制度が財政膨張の原因をなしていることも、私は認めるにやぶさかではありません。しかし、前国会において提出されたよらな自治法の一部改正のごときものをもって重要な赤字対策と考えられては、はなはだ遺憾に思うものであります。行政制度の改革はもとより重要でありまするが、角をためて牛を殺すようなものであってはならないのであります。また、現在の地方税は、ともすれば都市に偏在し、貧弱町村はますます貧窮の度を加えていることを考えなければなりません。地方交付税率やタバコ消費税の引き上げ等、一般財源の増強についても、一段と御配意を願わなければなりません。これら赤字の根本対策について、自治庁長官、大蔵大臣の具体的な構想をお伺いしたいのであります。
 最後に、われわれの銘記すべきことは、国の財政と地方の財政は、そのいずれもが健全でなければ、いずれも健全でないということであります。(拍手)しかるに、従来、ともすれば、国の財政だけは健全で、そのしわを地方財政に寄せたり、また地方財政の健全化は国の財政に破綻を来たすがごときこととなり、常に利害相対立するかのごとき感を与えているのであります。政府部内において大蔵省と自治庁が犬猿もただならぬようなことになりましては、国の財政も地方の財政も健全を期することができないのであります。(拍手)国と地方が一体となって、健全化の大きな一線を画して予算全体が編成せられなければならないのであります。従来はこのことに遺憾な点が多々あると思うのであります。私は、三十一年度の予算の編成において、特にこの点を御留意願いたいと思うのでありまするが、当面の責任者である総理及び大蔵大臣、自治庁長官の御所見をお伺いいたしたいのであります。
 なお、一昨日のニュースによりますと、奄美大島の名瀬市に大火があり、九百戸を焼失したとのことで、御同情にたえません。これが復興については特段の御考慮を願わなければならないと思いますので、この際あわせて建設大臣の御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
#20
○国務大臣(鳩山一郎君) 前尾君の御質問にお答えをいたします。
 地方財政の窮乏対策に対しまして相当の思い切った措置の必要であることは御説の通りでありまするが、本年度には、これをなすことは不可能でございます。根本的立て直しは明年度にやりたいと思っております。
 赤字問題につきましては国が地方と一体となって当るべきものであるという御説はごもっともであります。その通りに考えます。
 なお、国の財政と地方財政、いずれも健全でなければならないとの御議論に対しても御同感でございます。慎重に検討をいたします。
    〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#21
○国務大臣(一萬田尚登君) しばしば申し上げましたように、地方財政につきましては、三十一年度に抜本的にこれが対策を講ずる、こういうふうにいたしておるのであります。そういう関係から、この三十年度におきましての措置は、交付税の税率の引き上げによりませんで措置を講じたわけであります。今回のこの措置において、なお財源として公共事業費にこれを求めたのはどういうわけか、こういうような御質問もあったのでありますが、これは、御承知のように、公共事業につきましては年々巨額の繰り越しを生ずるのであります。昨年度等におきましても、節約をした上、さらに年度末には五、六十億程度の繰り越しが出ておる、こういうふうな状況であるのであります。本年は特に二回も暫定予算を出した関係から、相当巨額な繰り越しを見るだろうと考えられるのであります。なお、公共事業は同時に地方財政に対して今日相当大きな重圧になっておることも御承知の通りでありまして、こういう意味から、公共事業の繰り延べ不用額に財源を求めることにいたしたわけであります。
 なお、そういうことをせずに、防衛費の繰り越しに求むればどうかという御意見もあるのでありますが、これも、御承知のように、防衛費の繰り越しにつきましては、先般の日米共同声明にもありますように、防衛庁費が八百六十八億、それから国庫の債務負担行為が百五十四億の前提で、分担金を三百八十億円に減額することになっている、こういうふうな話し合いになっておるのでありまして、これは全体として急にこれには手をつけるというわけには参らない。その他諸般の情勢からこれを差し控えたわけであります。
 なお、今後において抜本的な対策を講じなければならぬことは申すまでもないのでありますが、これにつきましては、先ほどありました、給与が実態の調査と食い違っておる場合には一体どういうふうに考えるか、処置するかということでありすますが、これにつきましては、今後適正な給与水準並びに人員を設定いたしまして、これを上回るものは減縮をする、こういうふうなことも今日考えておるわけであります。
 なお、補助金の合理化という、これも、今後公共事業の圧縮並びに重点的なこれの使用、零細な補助金を整理する、あるいは補助単価を適正ならしめる、こういう面において今後抜本的にやっていこうと考えております。
 なお、公債の累増ということが今日地方財政を圧迫いたしておるのでありますが、これにつきましては、公共事業を圧縮して、なるべく新起債の発行を少くする。大体、従来におきまして税と起債との関係が十分の調和を保っていなかった点に今日の地方公共団体の財政的窮乏の大きな原因もあるように考えておるのであります。
 なお、今後、むろん根本的には行政の整理、いわゆる行政、財政、税制の根本的な改革を加えまして、そして地方の財政に将来赤字が出ないように改良いたさねばならぬと考えておるわけであります。
 さらに、御質問のうちに、中央と地方との財政の関係についてお話がありましたが、これはむろん中央と地方とは区別さるべきものではないのでありまして、今後におきましては、中央、地方一体といたしまして財政を整えていく、かように考えておるわけであります。(拍手)
    〔国務大臣河野一郎君登壇〕
#22
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。公共事業費につきましては、今年度は暫定予算も二回に及びましたし、八月からその事業の実施に入りましたので、なるべく最善を尽してすべての計画を遂行する努力をいたしておりますが、何分期限も短こうございますし、例年の例から見まして相当額の事業の繰り越しを見るのやむを得ざるに至りますことは、あらかじめ想像できるのであります。これらは、いずれも、事業を遂行いたします上において、設計でございますとか、直ちにまた事業に入りましても、用地の交渉でありますとかいうような、どうしても万やむを得ずそういう事態になりますものが毎年の例において見られますので、私どもといたしましても、年度の終りにおきましては、ある程度そういうものは出てくるものと思うのでございます。この点、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣太田正孝君登壇〕
#23
○国務大臣(太田正孝君) 前尾君の御質問に対してお答えいたします。
 地方財政が赤字を生んだ原因については御指摘の通りであると思います。つまり、地方団体におきまして、賦与されたる財源を越えての規模が行政となって現われているからであると信じます。あるいは、行財政制度の改まったこと。戦後に制度の改正がありまして、質にも量にも大へん大きなものになった。しかし、これに対する財源がしっかりしておらない、弾力性を欠いしおったということは御指摘の通り。地方財政計画というものが、運用の面からすると、遊離して財源の措置が講じられなかったこともその一つでございます。運営につきまして、国庫補助り単価が低いとか、あるいは押しつけられたというようなことはございます。要するに、その責任は、地方にも放漫なりという問題が起るかもしれませんが、同時に、国におきましても、今まで不親切であったということを認めなければならぬと思うのでございます。(拍手)しかも、なお、これを実行するにつきましては、自治体という本義に顧みまして、自治体を本来の姿において伸ばしていく意味においての赤字処置をしなければならぬのでございます。
 交付税につきましての御質問でございますが、交付税の引き上げ方式をなぜとらなかったか。御質問の中に、給料引き上げ等の財源に使うのではないか。そうではございません。また、既得権化するためではないか。それでもございません。今回の財源処置は、年度の中途でありまするし、また本年度限りのとりあえずの措置でありまするので、恒久的な方法を避けて、交付税の引き上げと実質的効果において同じになるような措置をとった次第でございます。総理大臣も言われましたる通り、根本的赤字対策につきましては、昭和三十一年度を期して断行いたしたいと思うのでございます。
 公共事業費につきまして、大蔵大臣、農林大臣から申された以外に、私からお答え申し上げなければならぬことは、今回の公共事業の節減は、事業の繰り延べでありまして、事業の切り捨てではないのであります。年度区分から見ますると節減なりと考えます。しかし、御説のように、本年度の事業のうちには相当進捗しているものもありますので、単に支払い繰り延べにならぬよう、繰り延べ事業の決定について関係各省に要請したいと考えております。
 なお、給与の実態調査につきましての御質問がございました。申すまでもなく、地方の赤字対策としては中心問題でございます。その実態調査の結果につきましては、統計局からの報告に対しまして、現在事務当局をして報告を検討さしております。内容を十分調べましたる上、対策を講じたいと思っております。
 地方債の方式及び償還条件を合理化することにつきましては全く御意見の通りでありまして、実行いたしたいと思っております。
 終りに、国の財政と地方の財政とをしっくり合せなければならぬということは御説の通りでございます。地方の健全なくして国の健全財政はございません。両々相待って初めていくのでございます。また、経済の地固めということを申しまするが、今日までこの点においては十分達しなかったのでございます。今、お言葉の中に、従来財政当局と自治庁とが犬とサルの間のようなことを申されましたが、決してそんな根性でなくやっていくつもりでございます。さりとて、仲よくするということは、自治庁の正当な主張をやわらげていく、投げるという意味では断じてないのでございます。
 鳩山内閣総理大臣の言われました根本的改正につきまして、自治庁として今考えている問題のしぼったところは、言うまでもなく、地方制度調査会の答申を主といたしまして、給与の合理化、地方債、公債の問題を片づけること、補助金の合理化をはかるということにあるのでございます。
 お答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣馬場元治君登壇〕
#24
○国務大臣(馬場元治君) 建設省に関しまする点についてお答えを申し上げます。
 公共事業は、国土保全の上からも、国民の福利増進、産業開発、雇用の問題等の観点からいたしましても、一日もこれをゆるがせにすることはできないのでありまして、毎年度の予算は完全にこれを消化するように努力すべきは申すまでもないのであります。しかるに、従来の実情を見ますると、毎年度相当額の消化困難な事業のありますることは御承知の通りでありますが、ことに、本年は、予算の成立が相当におくれましたのと、地方財政の窮乏等の事情からいたしまして、事実上年度内に消化の困難な事業が相当見込まれまするので、個々の事業はこれを中止または繰り延べ等をいたしませんでも、支障なく実行できると考えます。早急に実情を調査いたしまして、事業の進捗に支障のないように取り計らいたいと考えます。(拍手)
 次に、奄美大島の火災に対する対策についてお尋ねがございましたが、奄美大島の名瀬に大火が起りまして、非常な被害を与えましたることは、まことに遺憾千万であり、罹災者各位に対して御同情にたえません。
 名瀬市の大火による滅失戸数は、国警の調査によりますると九百五十戸であります。しかも、目抜きの繁華街でありまするので、名瀬市の市民諸君の打撃は甚大であると考えられますので、直ちに係官を派遣いたしまして実情調査と指導とを行わせることといたし、すでに玉三の係官が現地に向って出発いたしました。
 これに対する住宅対策といたしましては、公営住宅法第八条に基きまして、焼失戸数の三割に当る災害公営住宅を建設して参る計画であります。本年度は、そのうちのおおむね半数の建設をするために、直ちにその予算措置を講じて参りたいと考えます。なお、住宅金融公庫におきましても、住宅金融公庫法第二十一条の二に基きまして、焼失戸数の約二割程度の住宅建設に必要な資金を融資すべく、目下検討中でございます。また、現地調査の結果に基きまして、必要があれば土地区画整理事業を施行し、その費用につきまして二分の一の国庫補助の措置を講ずることといたしたいと考えております。
 なお、奄美群島の問題でありまするために、奄美群島復興特別措置法との関係もございまするから、この点につきましては、自治庁と協議の上、極力罹災地の利益をはかるつもりでございます。(拍手)
#25
○議長(益谷秀次君) 河野密君。
    〔河野密君登壇〕
#26
○河野密君 私は、日本社会党を代表して、内治、外交の重要課題に関し、鳩山首相並びに関係閣僚に対して質問せんとするものであります。
 先日、鳩山首相より、第三次鳩山内閣の政治方針の表明があり、また重光外相より外交経過の報告がありました。率直に申しまして、いずれも砂をかむごとく単調なもので、義理にも国民の期待に沿うものとは言われなかったのであります。(拍手)ことに、今臨時国会開催の中心課題である地方財政に関しましては、不思議なことに、一言半句の説明がなかったのであります。これには与党の諸君の間にも相当御不満がおありのようで、ついに一昨日の本会議はお流れになるという不始末でございました。(拍手)かくのごとき情勢では、二大政党の対立も前途多難でありまして、なかなか鳩山首相の楽観論のごとくには参らぬのではないかと憂慮いたされますが、(拍手)その責任はあげて政府の無準備、無計画にあることを十分銘記せられたいと存じます。(拍手)
 本論に入るに先だちまして、私はまず、現下の焦眉の日韓問題に関しまして、われわれの不満を申し上げたいと存じます。
 重光外相の報告にもあったごとく、最も緊密なるべきはずの日韓両国が、依然として正式の国交をすら樹立し得ない状態にあることは、はなはだ悲しむべきことでありまするが、政府はこれに対してどれだけの努力を払ったのでありましょうか。しかも、最近韓国軍当局の砲撃声明がありましてからも、関係者の切なる要望にもかかわらず、外務当局はいたずらにろうばいするのみで、具体的には何らの的確なる手段もとっていないのであります。
 そもそも、李承晩ラインの問題は、今日に始まったことではなく、すでに数年来の懸案であり、漁民の犠牲者だけでも二十五名を出しておるほどであります。しかるに、外務当局は、今日まで袖手傍観して自然の成り行きにまかせ、事態かくのごとく悪化するに至るも、なおなすところを知らざるもののごとくであります。船団は近く大挙出漁すると聞いております。韓国側は、重ねて、拿捕並びに撃沈を声明して参りました。放置すればおそるべき惨劇が起ることは必要であります。全日本海員組合は韓国公使館前にすわり込みを決行すると申しております。事態はいよいよ緊迫の度を加えつつありまするが、政府はこれに対していかなる対策をとらんとしているのでありまするか。われわれといたしましては、あくまで正義を正義として主張する半面、事態を平和裏に解決するため最善の努力を払うべきものと考えます。すなわち、国際的な世論に訴えるとともに、即時外交交渉に移すか、必要なる国際条約上り処置をとるか、あるいは業者の出漁を一時停止せしめて国家補償の道を講ずるか、何らかの緊急措置を講ずべきものと信じまするが、政府の所見はいかがでありますか。(拍手)私は、かくのごとき問題の解決のためにこそ、重光外相みずから韓国に乗り込むくらいの勇気を出すべきものであると存じます。(拍手)外相の行く先がアメリカのみに限定されることはないはずでありまして、私は重光外務大臣の所信を承わりたいのであります。(拍手)
 本論に入りまして、第一に私が質問いたしたいことは、外交方針、特に対米方針についてであります。本年二月の総選挙において、いわゆる鳩山ブームを現出いたしました最も大きな理由は、占領政治を改める、対米追従外交を独立外交に切りかえるという声明にありました。その具体的の施策として、政府は、防衛分担金を削減し、これを社会保障費に充当する旨を言明したのであります。しかるに、その後の防衛分担金の折衝はどうなったのでありましょうか。防衛予算全体に何らの削減が加えられないのみか、予算外国庫負担契約によって一そう加重され、あまつさえ、重光外相の渡米みやげたる日米共同声明によって海外派兵の義務まで負わされていることは、周知のごとくであります。(拍手)鳩山首相の公約たる、独立にふさわしい政治の実態とは、かくのごときものでありましょうか。向米一辺倒外交から脱却するという政府の方針は、一体どうなったのでありましょうか。また、政府は、自衛のための軍隊に名をかりて、しきりに自衛隊の増強を実行しつつありますが、政府がアメリカと防衛折衝に当って基礎とした計画は、いわゆる防衛六カ年計画の第十二次案と称せられるものであり、昭和三十五年度を期して、地上軍十八万人、海上軍十二万トン、航空機千二百八十四機に増強し、別に爆撃機を保有するというのであります。これを土台とした日米協定によって、ジェット戦闘機の発着のために飛行場の拡張が義務づけられ、現に各地に基地問題を惹起しておることは御存じの通りであります。
 そこで、私は鳩山首相並びに関係閣僚に問わんとするのでありまするが、一つ、政府がアメリカに提示して交渉の基礎とした防衛六カ年計画案なるものを公表するの意思があるかどうか、もし公表できないとすればその理由。二つ、飛行場拡張の義務は鳩山内閣による対米交渉の重大なる失敗と考えないか、その義務のために現在各地に起りつつある基地問題に対していかなる解決案をもって臨まんとするのであるか。三つ、防衛費千三百二十七億円というワクは昭和三十年度限りという厳重なる制約をアメリカからつけられているはずでありますが、その通りであるか、もしそうだとすれば、今後の防衛予算並びに防衛分担金削減の折衝はいかなる方式によって行うのであるか。以上、明確に御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 思うに、鳩山内閣の防衛問題に関する対米折衝を見ておりますると、吉田内閣と同様、きわめて卑屈であります。ロバートソン国務次官補以下米国首脳は、常に日本の防衛努力の足らないことを非難し、日本の防衛支出は国民所得の二・五%、全国家予算の一三%にすぎないと申しておるとのことでありますが、これはきわめて浅薄なる考えであります。わが陸上自衛隊は近く十五万人になるのでありまするが、この数字は満州事変が勃発する直前の陸軍の兵力と相匹敵するのであります。予算のごときも、当時の陸軍経費は一億八千人百万円、総予算の一三%にすぎませんでした。これを当時の国民所得百六億三千五百万円に比しまするならば一・八%、軍事予算全体を引きくるめても三・七%にすぎなかったのであります。これによって見ますると、現在のわが国は満州事変以前の平和時代の軍事負担とほぼ同程度の防衛負担をいたしておるのであります。国力が低下し、人口のみ過剰なわが国にとって、二・五%の防衛負担は数字以上の過重なる負担であって、断じてアメリカの非難に値するものではないのであります。(拍手)鳩山首相以下、この点について十分なる認識を持ち、アメリカに対して堂々と説明の労をとっているのでありましょうか、総理大臣に伺いたいのであります。
 また、一口に軍事基地と申しておりまするが、米軍接収のものは四億一千五十六万坪、十三万六千八百余町歩に及んでおります。これに海面水域の制限を加えますると全土の四・五%に及び、人口過剰、領土狭小のわが国にとっては大いなる痛手と言わなければなりません。しかも、米駐留軍の数は年々減少し、現在は二個師団を余すのみであり、そのうち五千名は年内にも撤退するといわれているにかかわらず、ひとり軍事基地のみ年々拡大し、本年四月一日現在においては、平和条約発効の当時に比して約三割拡大しておるのであります。何ゆえ、米駐留軍の撤退にもかかわらず、ひとり軍事基地のみ拡大されているのでありましょうか。鳩山首相以下、唯々諾々としてアメリカの要請に追従する前に、何ゆえ、日本の実情を訴え、アメリカをして理解せしむるの労をとらないのでありましょうか。(拍手)われわれは、基地問題に対して、単に起り来る事態に対処するばかりでなく、進んで基地白書のごときものを作り、積極的に対米折衝を開始するの必要を痛感いたすものでありまするが、政府は果していかなる施策を有するか、伺いたいのであります。(拍手)
 第二に質問いたしたいのは、憲法改正の問題についてであります。第三次鳩山内閣の使命として第一にあげてあるのが悪法改正であります。鳩山内閣のすべての施策は行き詰まりを来たしましたが、ただこれ一つとしてしがみついているのが憲法改正であります。その妄執たるや、まことにおそるべきものがあるのでありまするが、(拍手)私も、鳩山内閣及び鳩山首相に敬意を表して、きわめて簡潔にこの問題に触れておきたいと思います。
 一つは、鳩山首相の憲法改正の理由いかんということでありまづ。鳩山首相は、かつて自由党の憲法調査会の発会式に当って、憲法改正の理由として三つのことをあげ、憲法第九条はマッカーサーの命令で挿入されたものであり、アメリカも今は後悔しているとか、アメリカの意図を迎えるためにも憲法改正が必要だとか、相当ひどいことをおっしゃっておられるのであります。首相の改正の趣旨はかくのごときものと考えてよろしいでありましょうか。独立の体制にふさわしい憲法と称しながら、アメリカの意図を迎えるためにも憲法を改正した方がいいのだというのは、あまりにもはなはだしい矛盾であると考えまするが、首相の見解はいかがでありますか。二つは、現在まっこうから憲法改正を主張しておる人々が、かつては吉田内閣の閣僚として現行憲法の公布に副署しておるということであります。おそらく、この憲法に副署した人々は、この憲法に賛成をし、新日本建設のいしずえをなすという詔勅に同意をして、その大典として副署をしたものでありましょう。しかも、その中には現鳩山内閣の閣僚も含まれているのであります。かくのごとき事情を、鳩山首相はいかにお考えになるのでありましょうか。かつてこの憲法の公布に副署した者は、政治的責任としても憲法改正を言うべきではない、憲法改正を政綱とする鳩山内閣の閣僚たることを遠慮すべきものであると思うが、どうでありましょうか。(拍手)政治的責任について、首相り見解を伺いたいのであります。
 第三に、財政の根本方針について質問いたしたいと存じます。鳩山内閣の財政政策は、自由党内閣末期の緊縮政策を継承して、きわめて平凡なる均衡予算の編成から出発いたしました。しかるに、前国会の半ばにおいて、いわゆる自由党吉田派の伏兵にあい、昭和三十年度の予算は、いわゆる加えて二で割る式の、緊縮政策ともつかず、さりとて拡大均衡政策でもなく、ずたずたに切り刻まれた予算となったのであります。幸いにして、海外好況による輸出の予想以上の伸張、国内農作物の未曽有の豊作、近年の例を破った過小なる災害等々という事情に助けられて、大きな破綻なしに今日に至ることを得たのであります。まことに天佑と申さなければならないでありましょう。(拍手)従って、今日の財政経済上の小康状態を鳩山内閣の政策に帰するのは失当であり、昭和三十一年度の予算を編成するに当っては、根本的な施策の再検討をしなければならないのであります。
 今鳩山内閣の一萬田財政を脅威するものは、第一に、地方財政の破綻を告げる警鐘であります。過去の累積した赤字六百五十億といわれ、本年度の経費不足は二百五十億から三百億といわれまするが、地方財政窮乏の根本的対策は重大なる問題であります。地方制度調査会の中間報告によれば、地方財政の赤字は二百八十三億と推定され、自治庁すら二百三十八億を要求しておるにかかわらず、政府が今回百八十八億と決定したといわれますその根拠は一体どこにあるか、これを明らかにされたいのであります。(拍手)政府は、地方財政救済のために本臨時国会を開きながら、補正予算も組まず、財源も明らかにされず、何をもって地方財政の窮乏を打開しようとせられるのでありますか。与党の諸君すら納得できない施策を、野党たるわれわれにのめるはずはないのでありまして、(拍手)いわんや、地方団体の同調すべき理由はないのであります。
 いま一つの脅威は失業問題であります。貿易の伸張にもかかわらず、失業者の数は増大するばかりであり、ことに学校卒業者の就職難は言語に絶するものがあります。今にして雇用量の増大をはかり、失業救済の道を講ずるのでなければ、前途まことに寒心にたえざるものがあるのであります。
 第三の脅威は、産業における不均衡の拡大であります。いわゆる日の当る産業と日の当らない産業との懸隔はきわめて顕著であり、しかも、その一線が資本の大小に比例することがようやく明確になってきたのであります。戦前のごとき財閥の復活が目立って現われてきたのが一つの特徴であり、大資本の制覇の陰に下請業者、中小企業者の犠牲が強要されつつある現状であります。
 第四の脅威は防衛費の増大であります。日米共同声明にも現われておる通り、防衛力の増強はわが国の義務であり、これが決定を見ざる間は予算の編成をすらなし得ない状況にあるのであります。
 かかる事態を眼前にして、鳩山内閣はいかなる方針をもって昭和三十一年度の予算を編成せんとするのでありますか、その方針を承わりたいのであります。(拍手)
 一、予算のワクは何を基準として、いかなる限度に定めようとするのであるか。二、地方財政に対して、その資金需要を幾らと算定し、これが財源を何に求めようとするのであるか。公共事業費の削減は本年度限りのごまかしであると先ほど御答弁がございましたが、本年度はいかなる方針をもっていくのであるか。大蔵大臣の言う抜本的なる対策というのはいかなるものであるか。(拍手)三、公債を発行するのかしなのか。四、各企業間の不均衡をいかにして是正せんとするのであるか。五、雇用量の増大を何によって確保せんとするのであるか。
 以上、明確に答えられたいのであります。
 昭和三十一年度の予算編成の重大な難点は、雇用量の増大をはかりながらインフレを阻止し、予算規模の膨張を抑制しながら財政需要にこたえ、公債発行にたよらずして歳入を確保しようという点にあると存ずるのであります。一萬田蔵相は、いかなる施策をもって、このむずかしい現下の要請にこたえようとされるのでありましょうか。明確に回答せられんことを望むものであります。(拍手)
 第四に、しこうして最後に、私は綱紀粛正の問題について鳩山首相の信念をたださんとするものであります。
 その第一は、保全経済会の問題についてであります。保全経済会の問題は、すでに一カ年を経過し、世人の耳目より忘れ去られたるかのごとくであるが、決してさようではありません。これが行政監察委員会において問題とされた当時、鳩山首相の名前も決してそのリストからは漏れていなかったのであります。(拍手)当時の行政監察委員会の速記録にも鳩山首相の名前は明らかに載っておるが、最近、保全経済会の中心人物伊藤斗福は声明書を出して、政界知名の士が保全経済会に関係したと暴露し、三木武吉、鳩山一郎両氏に対して三千五百万円の金を手交していると述べておるのであります。これに対して、鳩山首相はいかに考えられるのであるか。もし事実無根なりとせば、その無根なるゆえんを明らかにすべきであり、もし何らかの関係ありとせば、いかなる性質のものであるかを国民の前に明らかにすべきであると思うのであります。(拍手)
 第二は、直接内閣の中枢に関する問題についてであります。鳩山首相は、本年八月、第二十二国会の終了を待って杉原防衛庁長官がその職を辞し、斎藤国警長官が相次いでその職を去ったのは何ゆえであるとお考えになりますか。表面の理由は、国会内における法案不通過の責任を負って杉原氏は退陣し、斎藤氏は参議院に立候補するために辞職したといわれておりますが、鳩山首相も真実その通りとお考えになっておられますか。
 本年七月、内閣調査官兼通商産業事務官伊藤六豊なる者は、自分の全く関知しない間に依願退職となったが、それは偽造の辞職願によるものであり、この辞表を偽造した者こそが内閣調査室防衛班主任肝付兼一なる者であり、この間には田中官房副長官も介在し、その辞表問題をめぐって告訴と告発の応酬となり、まことに奇怪なる事態を招来せる事実を知っておられるのでありましょうか。
 内閣調査室は緒方竹虎氏によって立案されたものであるが、その最初の予算は六百余万円でありました。しかるに、その後いつの間にか拡大され、海外第一班、海外第二班、経済班、治安班、防衛班、文化班、労働班に分れ、膨大なる人員と組織を擁し、予算も九千万円に増大されたのであります。一体、内閣調査室とは何を目的とし何をなす官庁でありましょうか。
 私は、この問題の起りました当時、背後に伏在する重大な事情――日ソ交渉が何ゆえ鳩山首相の手によって始められたかなど、日ソ交渉につながる問題、日米関係にもつながる重大な問題を知り、果してこれを国会の問題とすべきや、国会の問題としたる場合に、わが国の政治にとってプラスなりやマイナスなりや、その判定に苦しんだのであります。しかし、私は、鳩山内閣の運命にも関するこの事実を承知しながら、あえて国家のために私一人の胸中に蔵して、その片鱗だも漏らさじと決意したことを、おそらく鳩山首相は了とせられるに違いないと存ずるのであります。しかるに、その後自民両党の合同がなり、政局は一応安定を見るに至りましたので、内閣調査室のごとき不明朗なる存在が政界を毒する禍根を一掃するため、あえてここにこの事態の片鱗を述べて、鳩山首相の信念を聞かんとずるものであります。(拍手)
 一つ、鳩山首相は、緒方氏によって企画され、幾多の問題を生むと思われる内閣調査室に対して、いかにこれを処理せられんとするのでありますか。二つ、内閣調査室の活動が政治的色彩を帯び、国際的に、また国内的に秘密警察的の性格を持ったとするならば、これに対していかにお考えになりましょうか。三つ、いやしくも内閣活動の費用は国家予算によって決定され、その予算以外に内閣活動の費用はないはずであります。もし予算以外に何らかの金が使用され、どこかの国と関係を持つということがあった場合に、政府はこれに対していかなる措置をとられんとせられるのでありますか。(拍手)四つ、日本の首相の権限は広大であり、首相を動かすことは日本を動かすことであると考えられるのでありますが、鳩山首相の身辺には常に不明朗なる人物が去来いたしておるのであります。首相はこの点についていかにお考えになるか、伺いたいのであります。
 私の申し述べますことは……。
#27
○議長(益谷秀次君) 河野君、申し合せの時間が経過いたしました。簡単に願います。
#28
○河野密君(続) はい、承知いたしました。
 私の述べるところはきわめて抽象的でございますが、おそらく鳩山首相並びに関係閣僚の胸にはこたえるものがあるはずだと信じます。占領治下において、吉田首相が何ゆえにワン・マンたり得たか、自由党が何ゆえに絶対多数をとり得たか、私は、占領政治の惰性を打破せんとする念願において、決して鳩山首相に譲るものではございません。けれども、占領政治の余弊を改めるとは、いたずらに米国の歓心を求めて憲法を改めると言い、再軍備のお先棒をかつぐことではございません。第三国よりの政治的干渉の根を断つことでなければならぬと存じます。(拍手)この点において、私は鳩山首相の率直なる御答弁をこいねがう次第であります。
 願わくは、国家的見地に立って堂々と所信を披瀝せられんことを要求いたす次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
#29
○国務大臣(鳩山一郎君) 河野君の御質疑に対して答弁をいたします。
 対米外交の方針について御質問がございましたが、日本の外交が自由主義諸国との協力を基調とするということは、たびたびここで申し上げた通りであります。協力をしていきたいというだけでありまして、その意味は決して米国の利益に奉仕するというような意味では断じてございません。(拍手)
 第二に、基地問題につきまして御質問がありましたが、アメリカの言いなりになっているのではないのであります。アメリカの要求が安保条約上ありました場合には、わが国の防衛上必要なことであるか、そして、それの最小限度はどのくらいのものであるかということをよく審査いたしまして、安保条約の義務の履行をしただけでございます。(拍手)
 第三に、憲法改正について御質問がございました。これは、たびたび申します通りに、国民の総意によっての自主独立の体制に合致するような憲法を作りたいというのであります。決して軍国主義の再現を期するというようなことは断じてございません。
 第四に、綱紀粛正についての御質問がありました。私は保全経済から金円の授受をしたということは全然ございません。
 大体これで私に対する質問には答弁したつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣重光葵君登壇〕
#30
○国務大臣(重光葵君) 外交問題の御質疑にお答えいたします。
 日韓関係について、正義を正義として強力に主張して交渉すべきだという御議論に対しては、私もその通りに考えております。主張すべきは主張しなければなりません。(拍手)しかし、砲撃の声明があったから直ちに激越なる言葉でもってこれに応酬するということは、平和外交の趣旨には沿いません。(拍手)あくまで平和的に国交の調整をやろうというのが政府の方針でございます。
 対米外交につきましては、先ほど鳩山総理の御説明の通りであります。私は、対米外交について、自主独立の外交ということを言っております。自主独立の外交ということは、必ずしも、ただに反米政策をやろうというのではございません。(拍手)私は、米国との間に、主張すべきは主張し、そうして協力をしていくというのが、日本の国の発展、利益に合しておると、こう考えておる次第でございます。(拍手)
 防衛力の増強ということが条約上の義務であることは、今お認めになった通りであります。これは、私が渡米の際においても、その義務を果すべく十分に説明をいたしました。しかしながら、政府といたしましては防衛計画の細目はきめておりませんから、私は防衛計画の細目は説明をいたしておりません。しかしながら、あくまで条約上の義務を行う、実現するということは十分に説明をいたしました。
 それから、海外派兵の問題について御疑問がありましたが、これはもうたびたび繰り返した通り、先方の要求も受けませんし、また、こっちもむろんこれを受け合う必要のない問題でありますから、問題は起っておりません。
 それから、次に防衛分担金の問題でございます。昨年の交渉は昨年のこととして、これは終りを告げたということは、その通りでございます。しかし、今年はさらに分担金の軽減を得るように交渉をいたすつもりでございます。
 それから、基地の問題は、数は少くなっております。しかしながら、飛行機の性能の関係から拡張を要するのでありまして、それも、その必要に応じて適当な処置をとっておるわけでございます。基地の白書ということを言われました。基地の問題について、十分に、議会にも、また一般国民にも知らせることは必要でございます。必要の場合には十分に説明すべく材料を整えておることを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#31
○国務大臣(萬田尚登君) 三十一年度の予算編成の方針とその規模についてまずお尋ねがあったと思うのでありますが、私自身の考えといたしましては、経済の今日の内外の情勢からいたしまして、財政経済の健全化政策は堅持いたすべきものと考えておるのでありまするが、今日政府並びに与党の間に慎重に検討中でありまして、具体的に今ここで申し上げる段階ではないのであります。規模についても同様に御了承を願いたい。
 さらに、地方財政についての御指摘。これは、先ほども申し上げましたように、ほんとうに三十一年におきましては根本的にこれが改善をはからなくてはなりません。これについては、行政税制の改革を行うことは言うまでもありませんが、さらに、その地方財政の運営についても十分な検討を加える必要があろうと思うのでありまして、ごく考えついたことを申し上げてみましても、たとえば、給与の適正化、あるいは公共事業補助金の合理化、これの適正、さらに税の偏在を是正する、あるいはまた行政委員会等の整理をする、いろいろと非常に問題が多いのでありまして、これらに十分取り組んでいく考えでおります。
 なお、雇用の問題についてのお話。私も、三十一年におきまして雇用が非常な重大な問題であることを了承いたします。しかし、雇用は、結局、私の考えでは日本の経済を拡大すること以外にないのでありまして、日本の経済を拡大するためには、どうしても経済、財政、この健全化をはかっていかなくてはならない。これによって初めて日本の貿易量の増大ということを通じて雇用が拡大していく。今日すでにいろいろ言われておりまするが、貿易面の好調を映しまして、雇用関係は相当よくなっていることによっても立証されていると考えておる次第であります。特に、この雇用に関係しましては、私は中小企業対策というものに今後やはり重点を置かなくてはならないと考えておるのでありまして、ここにいわゆる職につく人が集まり、あるいはまた、ここから失業者が出るという今日の段階におきまして、中小企業については特に配慮を加えるということを申し添えて、私の答弁といたします。(拍手)
    〔国務大臣船田中君登壇〕
#32
○国務大臣(船田中君) 防衛の六ケ年計画につきましてお尋ねがございましたが、防衛六ケ年計画につきましては、いまだ政府の正式の成案を得ておるわけではございません。防衛庁の試案として、対米折衝の際に、一応の参考資料として重光外務大臣に示しておる、その程度のことでございます。その内容につきましては、ただいま河野君から示された大体の数字を目標といたしておる次第でございますが、そのほかに、若干の予備自衛官、及び、でき得れば郷土防衛隊の設置ということも考慮いたしております。要するところは、わが国の国力と国情に応ずるところの自衛体制を整備するというところに目標を置いて、せっかく努力いたしておる次第でございます。(拍手)
    〔政府委員根本龍太郎君登壇〕
#33
○政府委員(根本龍太郎君) 内閣調査室の問題について御答弁いたします。御承知のように、一国が政治を実施する場合において、国内の各般の情報並びに国外の情報を十分調査研究して施策をすることは当然のことでございまして、いずれの国家においてもそれを持っているのであります。現在内閣にある内閣調査室はその趣旨において作られたものでございまして、外務省、あるいは警察庁、あるいは公安調査庁等、各方面における調査を全面的に総合検討し、これを政府の施策の資料にするという趣旨にほかならないのであります。なお、予算の問題は、従って、これに必要なる経費を計上することになります。
 さらに、肝付某あるいは伊藤某という問題について触れられましたが、これは、事務的に見て適格にあらざるがゆえに、本来通産省から出向を命ぜられておりました者を、おのおの原局に帰した。その後においての問題については、調査室は何ら関与いたしておりません。
 なお、また、内閣調査室の問題と、杉原前防衛庁長官あるいは齋藤国警長官の人事については、何ら関係もないことでありまするから、この点を明確にいたしておきます。(拍手)
#34
○議長(益谷秀次君) 成田知巳君。
    〔成田知巳君登壇〕
#35
○成田知巳君 日本社会党を代表して若干の質疑を行いたいと存じますが、質疑に入る前に、一言総理に申し上げたいことがございます。
 われわれが憲法の規定によりまして臨時国会の早期召集を要求したにもかかわらず、国会の召集を遅滞いたしまして、国政を空白にしてきた政府の責任については、すでに鈴木委員長の指摘した通りでございます。われわれの要求に対し、総理は、臨時国会召集の目的は地方財政窮乏打開の抜本的措置を講ずるにあり、従って、これが準備の整うのを待って国会を召集したいと言明され、あたかも臨時国会で根本施策を樹立するかのごとき印象を国民に与えてきたのでありますが、ようやくにして開かれた本国会に臨む態度として政府が閣議決定した地方財政施策案は、総理の言明とはおよそ似ても似つかぬ全く一時のがれのごまかし案であり、問題を単に将来に延期したものにすぎません。現に、一昨日自民党の代議士会は本問題について紛糾し、与党の意見不統一のため本会議の代表質問も延期するという前代未聞の醜態さえ演じております。(拍手)総理みずから今日あることを十分予期しておられながら、国会で日ソ交渉、日比賠償の失敗が国民の前に明らかにされることをおそれ、かつは保守合同前に国会を召集することは合同にひびを与える結果になることを危惧して、羊頭狗肉の策として、地方財政の根本的解決云々と宣伝され、国会召集を延期したものとすれば、総理の眼中には、党のみあって国民なく、党利党略のため国政をもてあそんだとのそしりを免れないでありましょう。(拍手)あるいは、総理御自身は地方財政の窮乏打開を真剣にお考えになり、かつ、そのための努力も続けられてきたのであるが、情勢のおもむくところ今日の結果になったのだとしても、総理の善意は別といたしましても、結果に対する責任は率直にお認めになるべきであります。政治家は、単に主観的に正しかったとかいうだけでなく、自己の考えと行動の結果に対して責任を負うという責任倫理の原則に徹底しなければなりません。この点に関し、総理の所見を伺いたいと存じます。
 本臨時国会を通して鳩山内閣が解決を迫られている重大問題は、申すまでもなく、その一は地方財政問題、その二は公務員の年末手当問題、その三は中小企業の年末金融の問題であります。
 政府の地方財政対策を一言にして言えば、実は大蔵省官僚案でありますが、本年度の地方財政措置額を百八十八億円とし、そのちち百六十億円を公共事業費の削減と一般会計の歳出圧縮によって捻出せんとするものであります。本年度の地方財政の赤字は五百四億円といわれている。にもかかわらず、百六十億円の財政措置では、全く焼け石に水であります。政府部内の自治庁すらが二百三十八億円の補てんを主張してきたことは、総理もよく御承知の通りであります。しかも、この百六十億円の半ば以上を占める八十八億円を、地方に与えらるべき公共事業費の圧縮によりまかなわんとするのでありまして、このことは、ちょうど、地方自治団体の右のポケットに八十八億円入れ、左のポケットから八十八億円を取るのと同様であります。一昨日の自民党代議士会は、八十八億円の公共事業費の削減は一率には行わずとのことで話がきまったそらでありますが、一率に削減せずとは、さきの閣議決定事項の内容に変更を加えたものであるか、あるいは単に表現のみを変えたものであるか、大蔵大臣にはっきり御答弁願いたいと存じます。(拍手)もし、自民党の諸君にして、かかる案に賛成するとせば、みずから政党政治家をもって任じながら、大蔵官僚の軍門に下ることを意味するものであります。(拍手)聞くところによれば、自民党の間にも、われわれと同様、交付税率の引き上げ、あるいは防衛庁費の削減を主張する良心的分子もあるとのことであるが、(拍手)諸君にして、あくまでもその正論を主張するならば、われわれも党派を越えて協力する用意あることをここに明らかにするものであります。(拍手)
 現行の地方財政計画は、昭和二十五年度の地方財政の決算を基礎として、その上に毎年歳出入の増減を積み重ね、その歳入不足を交付金または交付税で補てんし、収支のバランスを保ってきた、いわゆる積み重ね方式によるものであります。しかるに、政府は、先ほど与党の前尾君も指摘したように、二十六年以降毎年一方的に多額の節約額を計上して、それだけ交付金を削減してきたのであって、この節約の名において減額された地方財源は実に九百九十九億円に上っておる。このことは、一たん与えた地方の財源を剥奪したことでありまして、地方自治の侵害と言わずして何でありましょう。政府は言うでありましょう、来たる通常国会で抜本的対策を講ずると。しかし、地方自治尊重の精神に欠ける政府が、いかに声を大にして宣伝しても、しょせん、それは口頭禅にすぎません。もし政府にして自信ある三十一年度の地方財政計画をお持ちならば、この機会に国民の前に明らかにしていただきたい。
 数字の明らかに示すごとく、二十六年以降、地方財政の削減額は、逐年増大の一途をたどっておりますが、このことは、中央における自衛隊を中心とする防衛関係費の増大と、不思議なほどその傾向を一にしておるのであります。地方財政の問題は、決してそれ自身孤立した問題ではなく、中央財政と切り離して考えるわけには参りません。中央における防衛関係費の増大、そのしわ寄せが地方財政の破綻と地方自治の侵害となって現われてきたことを強く指摘したいのであります。昔から言い古された言葉ではあるが、今日もなお新しい言葉である大砲かバターかは、地方財政解決に当っても百パーセントの真理性を有するのであります。総理は、大砲を選ばんとするのか、バターを選ばんとするのか、自衛隊の増強か、地方財政の確立か、そのいずれをとられんとするか、明確なる御答弁をお願いしたいと存じます。(拍手)
 次にお尋ねしたいことは、公務員の年末手当の問題であります。政府はいまだに公務員の年末手当に対する態度を決定しておらざる様子でありますが、人事院勧告にもある通り、公務員の給与が民間給与を相当下回っており、かつ、ベース・アップ、昇給、昇格がストップされてきた今日、最小限年末手当の増額を行うことは、政府のとるべき当然の措置であります。十五日の支給日を前に控えた今日、いまだに方針も決定していないということは、幾ら寄り合い世帯とはいえ、無責任、怠慢もはなはだしいものがあります。(拍手)政府は、年末手当をいかほど支給し、その財源措置をどのようにされんとしておるか、国家公務員、地方公務員、教育公務員、三公社職員別に、方針を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 わが党は、地方財政の赤字解消と期末手当増額のために、さらにはまた、年の瀬を控え生活苦に悩む日雇い労務者、被生活保護家庭に対し越冬資金を支給するために、これに必要な合理的かつ実際的な予算案、法律案をすでに用意いたしております。もし政府にして補正予算の提出を行わないならば、予算編成の決議を上程し、政府、与党のなし得ざるところをわが党の手で解決せんとする用意を有するものであります。(拍手)このことは、わが党がすでに批判政党にあらずして、責任政党であり、実践政党であることを事実をもって証明するものであります。(拍手)今からでもおそくありません。政府はすべからく国民の声に耳を傾け、補正予算を即時提出すべきだと考えるが、政府の所見を承わりたい。(拍手)
 次に、中小企業に対する年末金融を中心に、政府の財政金融政策をただしたいと存じます。政府は、最近の経済事情を、インフレなき拡大とか、静かなるブームとか称し、金融事情も正常化したと自画自賛しておられますが、不渡り手形は最近激増し、十月には、ついに四万七千五百二十五件という戦後最高の記録を示しております。しかも、手形一件当りの金額は二万、三万という小額のものが激増しておる。このことは、平穏だといわれておる年末金融において、日の当らない中小企業者が多数いること、言葉をかえていえば、いわゆる金融の正常化なるものが弱小企業の犠牲において行われてきたことを示すものでありまして、政府はこれらの中小企業に対しいかなる年末金融を考えていられるか承わりたい。
 歴代保守党内閣は、口を開けば中小企業の育成を唱えられますが、もしほんとうに中小企業の保護助成を行われんとするならば、問題を財政金融の面に限ってみても、まず市中銀行の大企業中心の選別融資に規制を加えて、中小企業への融資の道を積極的に開くこと、あるいは、独占企業中心の財政投融資のあり方を根本的に改めて、むしろ、財政投融資の対象は、市中銀行の金融ベースに乗らない中小企業、農民、庶民へ重点を置く等の一連の措置を断行すべきであります。旧態依然たる現政府並びに自由民主党に百パーセントその実行を望むことは無理かもしれませんが、もし政府並びに与党の諸君が、世論の要求する進歩的保守政党への脱皮の心がまえを有するならば、その一部でも実行してしかるべきと考えるが、政府の所信を承わりたい。(拍手)
 次に、三十一年度予算に関連して二、三の重要問題について伺いたい。総理は、その所信表明において、税制の根本的改革を三大政策の一つとして掲げられました。世上、天の星と地の石ころ以外はすべて税といわれているほど、現在の税負担は国民にたえがたいものとなっております。総理がこの事実を率直に認められたことに対しては心から敬意を表するものでありますが、大切なことは、税を根本的に改正するという総理の言明がどのようなプログラムで実行されるかという点であります。総理の所信表明にもかかわらず、肝心の大蔵省は、来年慶は本年度の減税の平年度化で減税が多くなり、一方、防衛費その他の歳出が増加するゆえ、均衡財政の立場をとる限り、減税は不可能だと言っております。もし大蔵省の言うごときならば、減税はだいぶ先のことになり、早くても三十二年度以降となるのでありまして、世上計画的暫定内閣といおれておる第三次鳩山内閣では実行不可能と考えられますが、総理は、果して、大蔵官僚を押えて、三十一年度において税制の根本的改革を断行される用意ありやいなや、伺いたいのであります。(拍手)
 次に過重なる税負担を軽減する場合、財政収支のバランスをいかに保持するかを大蔵大臣に承わりたい。申すまでもなく、均衡財政を貫く以上、歳出を減らすか、新規の財源を見つけるか以外には道はありません。従来の保守党内閣は、歳出の圧縮といえば、行政整理とか、補助金の削減とか、これを取り上げる以外には能がないのでありますが、これらのものよりも、その額において大きく、その性質において非生産的な防衛費や、職業軍人優遇を主眼とした軍人恩給等が見のがされてきたことは、全くの片手落ちであります。問題解決のためには、一面、かかる非生産的出費の大幅削減により歳出の圧縮をはかるとともに、他面、資本蓄積の美名のもとに行われてきた大法人に対する特別減免制度の廃止、思い切った高額所得者に対する累進課税制度、ぜいたく品税制度の採用等により新規財源を確保する以外、政府の言われる税制の根本的改革は不可能と考えられるが、大蔵大臣の所見を承わりたい。(拍手)
 次に、国民関心の的である米の統制撤廃について、農林、大蔵両大臣に質問申し上げたい。低米価、低賃金をねらう財界筋が中心になって、米の統制撤廃論を盛んに放送しておりますが、これに対する政府の態度は、統制を撤廃するかのごとく、しないかのごとく、きわめてあいまいもことしております。しかも、現実には、一歩一歩統制撤廃の前提条件を整えつつあるようであります。このために全国の農民、消費者は非常な不安に陥っているが、政府は、一体、三十一年産米について、現在の予約買付制を継続するのか、あるいはまた間接統制に移行するのか、明確にしていただきたいと存じます。もう今ではだれでも知っているように、財界や大蔵省が統制撤廃を主張する一番大きな理由は、食糧政策を農民と消費者の利益になるように進めていくために欠くことのできない財政上の負担を切り捨てたいという、この一語に尽きるのであります。それがためには、まず二重価格方式のための財政負担をなくすること、次には、外国食糧の輸入により、国内の食糧増産のための財政投融資を削減するということであります。防衛費等の非生産的支出には毎年二千億に上る国費を支出しながら、国民の食生活安定のために若干の財政負担ができないという理由はどこにもございません。一方、国民の食生活を安定せしめるとともに、農業の再生産を保障するために必要な二重価格方式は絶対に必要で、このために一定の財政負担は回避すべきでないと考えるが、大蔵大臣の所見を承わりたいと存じます。(拍手)
 次に質問いたしたいことは、行政機構改革の問題であります。総理は、所信表明において、本問題を大上段に振りかざしたのでありますが、日ソ交渉、日米交渉等、外交上の行き詰まりで人気下向きとなった総理が、大向うをねらっての人気回復策が今回の行政機構改革案とさえいわれております。(拍手)事実とせば、国民こそ、まことに迷惑しごくであります。しかも、機構の簡素化を主張する政府が、一方では副大臣制の設置を考えておるというに至っては、矛盾もはなはだしく、とうてい常識では判断できないところであります。防衛庁を国防省とし、建設省と自治庁を合わせて内政省にするとり構想を持っておるとのことでありますが、これこそ昔の官僚的中央集権制の復活と、国家体制の軍国主義化以外の何ものでもありません行政の能率化と称するも、その能率化は官僚のための能率化であっては断じてなりません。真に民主的機構改革を断行するつもりならば、その目的と内容を明らかにして、国民の理解と共感を得て、じっくりと行うべきであると考えるが、長官の所見を承わりたい。
 最後に、外務大臣にお尋ねしたいと思います。先ほど河野密氏も触れられましたが、さきに米国でいわゆる日米共同コミュニケを発表したその際に、日本は憲法を改正して自衛隊を三十万内外まで増強し、必要に応じては海外派兵をする了解を与えたとの報道がなされ、内外に一大衝動を生ぜしめたことは、御承知の通りであります。政府は問題の重要性に驚き、直ちにこれを取り消し、陳弁これ努めてきたのであります。今、かかる約束をしたとか、しなかったとかいっても水かけ論になるので、あえて触れませんが、注意を要することは、政府は海外派兵の約束はしなかったといっておるのでありますけれども、海外派兵について話し合いがあったことまで否定していないということであります。さらに重要なことは、共同コミュニケには、西太平洋における国際の平和と安全の維持に寄与することができるよう努力すべきことが合意されたとありますが、安保条約第一条を見ると、日本の国内に配備されたアメリカ陸海空軍は、極東における国際の平和と安全に寄与するために使用することができると規定してあります。共同コミュニケと安保条約の違うところは、前者は主語が日本であり、後者はアメリカ軍であるという点だけであります。この安保条約の規完に基き、日本に駐留するアメリカ軍が朝鮮に出動したごとく、共同コミュニケの、西太平洋の平和と安全を維持するという名のもとに、日本、すなわち日本の自衛隊が出動するための条件を作ることを合意したというのが、日米共同声明の真のねらいだと解することが、果して間違いであるでありましょうか。海外派兵の条件を作ること、すなわち、そのための憲法改正、自衛隊の増強、これを約束したのが今回の日米会談だとわれわれは解釈するものでありますが、外務大臣の見解を承わりたい。(拍手)このことは国民のひとしく重大関心を有する問題でありますゆえ、外務大臣は、もししからずと言われるならば、その理由を明確に示して、国民の疑問に答えられんことを特に要望いたしまして、質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
#36
○国務大臣(鳩山一郎君) 成田君の御質問にお答えをいたします。
 この臨時国会は地方財政の応急措置のために開いたものでありますが、根本的立て直しをいたします準備が整いません。根本的立て直しは明年度に提出する次第でございます。本年度は応急措置だけについて御審議を願いたいと思うのであります。
 中小企業の年末融資については、これは大蔵大臣から答弁をした方がいいと思いますが、国民金融公庫及び中小企業金融公庫の融資を増大いたしまして、それから政府指定預金の年内引上げを延期いたします等の処置をもって年末の金融対策に遺憾なきを期したい、かように考えておるのであります。
 税制改正については、この税制改正は減税を目的とするわけではありませんので、負担の不均衡を是正いたしたい、そうして、国民が負担しやすいようにしたいというのを目的とするものであります。ただし、本年度の減税の結果、来年度において二百六十億程度は減税されるのでありますけれども、これが目的ではないのであります。
 行政機構の改革については、河野行政管理庁長官が中心となって作成中でありますので、同大臣から答弁をした方が適当と考えます。
 これをもって私の答弁は終ります。(拍手)
    〔国務大臣重光葵君登壇〕
#37
○国務大臣(重光葵君) 海外出兵のことについて、再びお答えを申し上げます。西太平洋の平和、安全、すなわち、日本の位置する東ア方面のことについて、その平和、安全について日本が重大なる利害関係を持っておることは、これは当然のことでございます。われわれは、東アの平和について十分心配をしなければなりません。しかし、それであるから、その日本の地位を認めておるから、日本は憲法を改正しろとか、国外に出兵をしろとかということは、要求もなければ、話も出ませんでした。そこで、こういう問題については、全然そういうことのないことを申し上げておきます。(拍手)
    〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
#38
○国務大臣(萬田尚登君) 今回の地方財政に対します措置は、解決を後に延ばしたにすぎないじゃないかという御質疑につきましては、今回の措置は、先ほども申し上げましたように、三十年度の地方財政の窮迫に対処した措置でありまして、根本的には三十一年度において解決をいたすと、かように申しておるのでありまして、その意味におきましては御意見の通りであるのであります。
 税制の根本的な改革につきましては、ただいま総理大臣から相当詳しく御説明がありましたが、それはまた、根本的な改正となりますれば、影響の及ぶところも非常に大きいのであります。それで、税制調査会の審議に移しまして、知能を集めて根本的な改正案を得たいと努めておるわけであります。これには自然相当な時間も入り用と思いますので、さよう御了承を願いたいのであります。
 なお、歳入が限定されている場合において、均衡財政を続けるためには支出を押えなくてはならないではないかという御意見でありますが、これにつきましては、今三十一年度の予算編成について検討を十分加えているのでありまして、今ここで具体的にどうこうと申す段階ではありません。
 米の統制撤廃につきましても、これの経済並びに国民生活に与える影響が非常に大きいのでありまして、慎重に考慮を加えている、かような状態であります。(拍手)
 なお、年末の中小企業に対する金融につきましては、極力政府関係の機関の資金量をふやしまして、これに対処することを努めております。特に、これらの金融機関の資金を集めるのに、中中銀行の資金をこちらに振り向けるというような構想も今考えておりますので、十分配慮ができると考えます。(拍手)
    〔国務大臣河野一郎君登壇〕
#39
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。
 公務員の給与の点につきましては、早くきめることが大事でありますることは十分承知いたしておりまして、各方面といろいろ折衝いたしております。実は、五日までに大体の見通しをつけるということを公務員の代表の諸君にもお話ししたのでございますが、いろいろ問題が複雑でございまして、両三日遅延をすると思っております。なるべく早くいたしたいと思いますが、さればと申しまして、本年のこの年末給与にわれわれが取り組んでおりまする現状は、例年に比べまして、ただいまひどくおしかりを受けましたほどおくれておるとは私は考えておりません。われわれは最善を尽してやるつもりでございますし、また労働問題につきましては、われわれといたしましても十分努力をするつもりでございますから、御協力を賜わりたいと思う次第でございます。(拍手)
 次に、行政改革の問題について申し上げます。われわれといたしましては、今日の行政機構を現状のままに推移いたしてよろしいという人は、国民の諸君の中にはおそらくどなたもないのではなかろうかと思うのであります。必ず何がしかの方向にこれを改組しなければいけないといち御要望が強いわけであります。その方向につきましては、総理からも申し上げましたる通りに、国民の便利のようにわれわれはあえて申し上げます。この機会に行政整理を目途としてやろうというのではありません。いずれそういう時期はあるかもしれませんが、今回は、行政整理が目途ではなしに、国民の便利のように、しかも、占領中にいろいろ占領行政の示唆によってできました混肴しておりまする行政を簡便にし、国民の便利をはかり、また行政の能率の上るようにこれを取り進めていかなければならないというのが眼目でございます。(拍手)ただ、いたずらに、われわれがその法案を整備いたします前に、内政省を作ってどうとか、国防省を作ってどうとかいうことで御非難を賜わりまする前に、御協力を賜わりたいと私は思うのであります。どうか社会党の諸君におかれましても御協力を賜わりたいと思うのでございます。
 第三に、米の統制撤廃の問題についてお答えを申し上げます。米の統制撤廃につきましても、決して米の統制を撤廃するとわれわれは申したことはないのでございます。しかるに、あたかも政府が米の統制を撤廃することに決定をして、そうして、これの準備をしておるかのごとくにいろいろお伝えになりますので、このために……(「大蔵大臣が言ったよ」と呼ぶ者あり)農林大臣が所管でございますから、私の答えをお聞きいただきたいのであります。
 そのために、これだけの豊作であるにもかかわりませず、米の集荷が意にまかしません。従って、消費地におきましても今なおやみが横行いたしておりますることは遺憾千万でございます。
 この米の統制の問題につきましては、統制を現行通りに続けていくこと、統制を撤廃すること、この二つだけではないのでございまして、この中間に、いろいろの示唆、行政上の行うべき点がある、改善して、どの道が一番現在の与えられたる条件のもとに、消費者のためにも生産者のためにも最善であるかという道を選ぶことが一番正しい道だと考えるのでございまして、それらにつきましてせっかく検討中で、いずれお諮りをいたしたいと考えますから、それまでお待ちを願いたいと思う次第であります。(拍手)
#40
○議長(益谷秀次君) 中原健次君。
    〔中原健次君登壇〕
#41
○中原健次君 私は、今日の二つの中心問題について、総理並びに外務大臣初め政府の各位の見解と政策をただしたいと考えるものであります。
 第一番に、いわゆる保守、革新の二大対立、政局安定という問題についてであります。いわゆる保守合同によって自由民主党ができ、鳩山さんがその基礎の上に第三次の内閣を作りましたが、日本の財界とアメリカの政府筋では、これによって日本の政局安定が実現されたと非常な歓迎をしておるようであります。しかし、日本の国民大衆の率直なる見解は、そのように歓迎をしておるのではないのであります。少くとも、鳩山さんが吉田ざんにかわり、日ソと日中の国交回復や貿易の拡大を宣言したときよりも歓迎をいたしておらぬのであります。この点は、むしろだれよりも鳩山さん御自身がよく感じておいでになるだろうと私は思うのであります。
 なぜかといえば、政局の安定ということと民生の安定ということは、必ずしも一つではなく、いや、むしろ全く別ものだからであります。政局を安定して、さてその力で何をやろうとするのか、このことについて、ただいま国民大衆は大きな不安を持っておるのであります。かつて、いわゆる吉田自由党政府のときに、やはり二百数十名の絶対多数をもって、政局は安定したかのようでございました。しかしながら、民生は果して安定しておったでありましょうか。全く逆であります。おそらく、鳩山さん初め民主党の多くの方々もそれを否定されはすまいと私は思うのであります。
 今日、わが日本の現状の中に、砂川で、太東津で、大高根で、あるいはまた新潟で、伊丹で、板付で、地元の住民を泣かしております。全国民を憤らせておるのであります。その軍事基地の問題、日本の土地をアメリカの要求によって幾らでも差し出すという、いとも悪名高い行政協定、日米安全保障条約、これは、ほかでもなく、いわゆる政局安定のもと、吉田政府の手によって調印された事実を、国民は決して忘れておらぬのであります。(拍手)総理にお尋ねしたい。いわゆる政局安定ということは何のためのものであるのか。日ソ交渉をもみつぶすためのものではないか。日中国交回復と貿易の拡大を押えるためのものではないのかしら。さらに膨大な防衛関係支出を国民に押しつけるためのものではないか。不平等従属的なアメリカと日本との現状をいつまでも国民に強制しておくためのものではないのかしら。私はこのことを憂える。
 次に、今度の保守合同と、さきの両社合同に伴い、いわゆる保守革新二大対立なる議論が今日行われております。そして、やはり財界とアメリカ筋がこの体制に対して好感を寄せ、期待を寄せておるかのように見えます。政府、与党方面においても、またその他の方々の中にも、これをもって現下わ国のあるべき正しい政治体制であるとされる向きが多いようでございますが、この点について、私どもの見解をいささか申し述べ、特に総理の御所見をわずらわしたいと考えるものであります。
 私どもは、今日わが日本において一番重要な対立は、保守か革新かではないと考えます。保守か革新かではなくて、むしろ、逆に、保守も革新もというのが私どものスローガンであります。今日、ソ同盟、中国との国交回復運動が非常に大きく行われており、軍事基地反対の運動もそうであり、また、原水爆禁止運動もまさにそうなのであります。これらの大規模な国民運動をおいて今日のわが日本の政治を談ずることは、全く無意味といわなければならないのであります。ところで、これらの国民運動には、御承知のように、革新派の人たはもちろんのこと、保守派の人々も、自由民主党の党員の諸君までもがこのことには参加をしておるというのが、偽わりなき実情であります。すなわち、保守か革新かではなくて、保守も革新もというのはまさにこれであります。保守も革新もこれらを貫いて、アメリカと日本の不平等かつ従属的な関係を打破し、独立と自由を打ち立てようとする立場と、あくまでアメリカの側にあってその立場に立つのが日本だとする考え方にとりつかれておる人々、この人々との対立、これが今日ほんとうに存在するわが日本国内における二つの対立であると考えるのであります。そして、この対立の中で、アメリカ、日本の関係を変更し、独立と自由を目ざす努力こそが最も大切な努力であると、私どもは考えているのであります。総理の御見解か承わっておきたいと思うのであります。
 第二の質問は、日ソ交渉についてであります。政府の従来の言うところ、なすところを見ておりますと、そして、それを国民の立場から申します必ば、政府は一体何を主眼として日ソ歩渉をやっているのか、またやろうとしているのか、さっぱりわからないというのが真状であります。アジアと世界の平和を固め、日本の国際的な復帰と地位の向上のためには、ソビエト同盟との国交回復が最も早急に必要であると私どもは考えている。しかし、私どもの見るところでは、政府はそのようには考えておらず、領土要求獲得が交渉の主眼であるかのように見受けられるのであります。もし、しかりとするならば、相手には何かを与える用意を持っておいでになるのかどうか、聞きたいと思うのであります。ギブ・アンド・テーク、これが国際外交の上のいわゆる常識であります。この常識が通らない場合は、戦勝国が戦敗国に押しつける場合と、特別な相手の国が好意をもってする場合以外にはあり得ないと考えるからであります。思うに、政府は、国交回復そのことが、日本の利益である以上にソビエト側に利益を与えると考えているのかどうか、率直にお答えをいただきたいと思うのであります。もしそう考えているとするならば、かつてロンドン・エコノミスト誌が論評いたしましたように、これは全く大きな時代錯誤であるといわなければなりません。「ソヴェトは世界の六分の一を占める巨大な国であり、何人もその存在を無視できない。他の諸国はこのソヴェトと外交関係を結んでおり、西ドイツも又そうしければならない。ソヴェトは西ドイツとの外交関係の有無に拘らず生存できる大国である。」これは西ドイツのアデナゥアー首相が、モスクワから帰りましてから直ちに、ボンの記者会見で語った言葉であります。鳩山ざんは、このような考えで交渉を進める決断をお持ちであるかどうか、外務大臣はまた、このことについてどうお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
 日ソ交渉がはかどらないおもなる原因は政府の態度にあると私どもは見ておりますが、ソ同盟は、サンフランシスコ講和、安保両条約体制に好意を持つことはとうていできないが、この条約があっても両国の国交回復はできるという態度を一貫してとっておるようであります。しかるに、政府は、サンフランシスコの講和条約はソ同盟には無関係であるとして、講和条約で惜しくも放棄してしまった千島などの返還を要求して、他方では、そのソ同盟に対して、サンフランシスコ両条約体制を絶対に動かさぬという態度をとっております。これは、だれが見ましても全くお話にならない、だだっこの態度でありまして、言葉をかえれば、不遜きわまる態度とも言うことができるのであります。私どもは、初め、鳩山さんが言われましたように、まず国交を回復して外交関係を樹立し、その上で千島などの諸問題を話し合い、商議するという態度が正しいと考えておる。それ以外に交渉を妥結する可能性はないと信ずるのであります。総理並びに外務大臣の決意をこの場合承っておきたいと考えるのであります。
 最後に、政府並びに与党一部その他の日ソ交渉に消極的な人々によって行われております。
 十年前に終りました、あのいわゆる大東亜戦争について、総理初め諸公は、そもそも、あの戦争を正義の戦いであったと考えておいでになるのかどうか。それとも、東条軍閥によって仕組まれた反国民的な侵略戦争であったと考えておいでになられるのかどうか。この際あらためて事新しくお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。国民にとって、このような設問はあまりにも明らかなる答えの出る質問であるのでありますが、
 終戦のとき、皆さん、阿南陸軍大臣の秘書官林三郎という人が、戦後の著書で、このようなことを発表いたしております。ごらんになられた方もおありと思います。「日本は昭和十六年四月十三日、日ソ中立条約を締結した。それから三月とたたない七月二日の御前会議後、大本営は対ソ新国策に基き、関東軍に対する大規模な兵力増強を開始した。企図秘匿のため関東軍特別大演習と呼ばれたものがこれであり、四十万の関東軍はここに一躍七十数万に増強された。このいわゆる関特演こそは、独ソ戦が独軍側に有利かつ迅速に進展するとの見透しに基く対ソ武力行使の準備であった。ところが、あてにした独ソ戦は、ヒトラーの言明通りには進展しなかった。」このように書いておるのであります。
#42
○議長(益谷秀次君) 中原君に申し上げます。申し合せの時間が過ぎました。簡単に願います。
#43
○中原健次君(続) このため、その国の危急にもかかわらず、ソ同盟軍の多数が極東にくぎづけされたというのが事実のようであります。鳩山さん、重光さんの、これらの点に関するお考えを承わっておきたいと考えるのであります。(拍手)
    〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
#44
○国務大臣(鳩山一郎君) 中原君に御答弁をいたします。
 日本の民主主義のもとにおいての政党間のおもなる争いは、保守陣営と革新陣営だと私は思います。しかしながら、保守陣営も革新陣営も、ともに自由主義というものを理想として、そのもとに存在するものであります。(拍手)決して、自由か奴隷か、自由か専制か、自由か共産かという範疇において日本の政党は争うのではないのであります。
 日ソ国交につきましては、大体たびたびここで申し上げましたから、今日これを再びいたしません。戦争状態終結未確定の時代を確定の時代に作り上げたいというのを目的として、戦争のなかった時代に持っていきたいというのが理想であります。それには、未帰還者の帰還だとか、あるいは領土の問題とかいうようなものを解決しなくてはならないのは当然なのでありまして、決して不自然なことではありません。
  以上、答弁申し上げます。
    〔国務大臣重光葵君登壇〕
#45
○国務大臣(重光英君) お答えいたします。
 日ソ交渉において重要なる懸案を解決して平和を持ち来たすようにしたいという総理大臣の御説明は、私もその通りに今までお答えをいたしております。
 さらに、御議論において、ギブ・アンド・テークで、すべてをソ連に与えて国交を回復して、そうして、将来の協力関係はアメリカにかえるにソ連をもってすべしというような趣旨の御議論に対しては、私は賛成できません。(拍手)
 ソ同盟の開戦の責任は、そうではない、日本が中立条約を侵したのであって、関東軍の演習がこれを証明しておるという御議論も、また、歴史上の判断として私は賛成することはできません。関東軍の演習と戦争と一つにするわけには参りません。中立条約は日本側で侵したことのないことは、すでに史上に確立されておることと私は考えておるのでございます。
 なお、終戦の際に、ソ連邦から、日本が原子爆弾から助けられた。しかし、助けられたよりも、満州において日本人が受けた悲惨な状態は、歴史上の事実としてこれを認めなければなりません。(拍手)
#46
○議長(益谷秀次君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト