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1955/12/05 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 法務委員会 第1号
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1955/12/05 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 法務委員会 第1号

#1
第023回国会 法務委員会 第1号
昭和三十年十二月五日(月曜日)
   午前十一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 世耕 弘一君
   理事 福井 盛太君 理事 三田村武夫君
   理事 古屋 貞雄君
      小澤佐重喜君    椎名  隆君
      高橋 禎一君    長井  源君
      林   博君    松永  東君
      横井 太郎君    横川 重次君
      櫻井 奎夫君    田中幾三郎君
      吉田 賢一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 牧野 良三君
 出席政府委員
        法務政務次官  松原 一彦君
 委員外の出席者
        議     員 伊東 隆治君
        議     員 北 れい吉君
        検     事
        (民事局参事
        官)      平賀 健太君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
七月三十日
 委員島上善五郎君及び矢尾喜三郎君辞任につき
 、その補欠として八百板正君及び吉田賢一君が
 議長の指名で委員に選任された。
同日
 岡本隆一君辞任につき、その補欠として原彪君
 が議長の指名で委員に選任された。
十一月三十日
 委員田中幾三郎君辞任につき、その補欠として
 中村時雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員中村時雄君辞任につき、その補欠として田
 中幾三郎君が議長の指名で委員に選任された。
十二月一日
 委員生田宏一君、船田中君及び馬場元治君辞任
 につき、その補欠として高瀬傳君、花村四郎君
 及び三木武夫君が議長の指名で委員に選任され
 た。
同月五日
 委員小澤佐重喜君、長井源君、猪俣浩三君及び
 山本粂吉君辞任につき、その補欠として池田清
 志君、小島徹三君、櫻井奎夫君及び宮澤胤勇君
 が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 り災都市借地借家問題
    ―――――――――――――
#2
○世耕委員長 これより法務委員会を開会いたします。
 本日はまず国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。すなわち、衆議院規則第九十四条によりますと、常任委員会は会期中に限り議長の承認を得てその所管に属する事項について国政に関する調査をすることができることとなっております。本委員会といたしましては、一、裁判所の司法行政に関する事項、二、法務及び検察行政に関する事項、三、国内治安及び人権擁護に関する事項、四、上訴制度及び違憲訴訟手続に関する事項、五、外国人の出入国に関する事項、六、交通輸送犯罪に関する事項、七、売春問題に関する事項、八、戦犯服役者に関する事項、以上の各事項につきまして議長に対し国政調査承認を要求いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○世耕委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、国政調査承認要求書の作成並びに提出手続等につきましては委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
#4
○世耕委員長 この際法務大臣及び法務政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。牧野法務大臣。
#5
○牧野国務大臣 私がこのたび法務省を担任することに相なりました。どうぞ皆さんよろしくお願いを申し上げます。
#6
○世耕委員長 次に松原法務政務次官。
#7
○松原政府委員 松原一彦でございます。きわめて場違いな者でございますが、誠意をもって努めますから、一つよろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#8
○世耕委員長 次に、新潟市の大火災による借地借家問題について質疑の通告がありますので、これをお許しいたします。
 なお、伊東隆治君、北れい吉君より委員外発言をいたしたき旨の申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○世耕委員長 異議なければお許しいたします。伊東隆治君。
#10
○伊東隆治君 本日この委員会におきまして新潟の大火に関連いたしまする借地借家法の審議があるということでございましたので、私の選挙区でございます奄美大島の名瀬市が一昨日大火がございまして、一千戸余にわたる焼失がございましたので、新潟におきまする事情と全然同じ事情でございますので、この法案が審議されまする際には、どうか奄美大島の名瀬市の大火の問題をも御考慮いただきまして適当に御審議を願いたいと存じまして、まかり出た次第でございます。どうかよろしくお取り計らい願います。
#11
○世耕委員長 櫻井奎夫君。
#12
○櫻井委員 私は、先般新潟市に起きました大火の状況を簡単に御説明申し上げまして、この大火に伴って新潟県会及び新潟市会が満場一致決定いたしまして政府に要望いたしておりますところの借地借家臨時処理法の適用の一日もすみやかならんことをお願いする次第でございます。
 新潟市の大火は皆さん御承知の通り九月三十日で、ちょうど当日は台風二十二号が日本本土を通過中でございまして、新潟県におきましてもこの台風二十二号の通過の警告がございました。新潟市は、当時、新潟気象台の情報によりまして、最大風速三十メートルに達する台風が通過する、こういうことで、十時四十五分に火災警報を発令いたしております。次に、さらに警戒態勢の強化をいたしておりましたが、気象台の情報は、三十日の夜半から一日の明け方午前四時ころまでの間に新潟市を通過の見込みだ、こういうことで、さらに一そう態勢を強化しておったわけでありますが、ちょうどその時刻、台風の通過さ中であります三時四分に新潟県の県庁の分館であります教育庁の一角から火を発し、これが御承知のような非常な大火になりまして、全市をあげて消防力を動員いたしましたけれども、非常な烈風のためにこの機械力もついに手の施しようもなく、ちょうど私はこの三十日の夜帰省いたしておりまして、実情を実際に見ましたが、私の家のすぐそばまで罹災した、こういう状況であったのでございます。鎮火いたしたのは十時五十分、実に、えんえん八時間にわたって燃え続けておりました。当時の風速は三十三メートルと発表されております。
 この中におきまして、市民は非常な混乱をいたしまして、しかし幸いにして死傷者を出すという事態には立ち至らなかったわけでありますが、全市五万三千戸のうち一千戸を焼失いたし、五万五千の世帯数のうち一千二百五十七世帯というものが焼け出されたわけでありますが、これは市当局から政府の方には重ねていろいろ状況が説明してあるわけであります。焼失区域が新潟市の中心街、特に商店街を一なめにいたしたのございまして、罹災者の約七割が商工業者、いわゆる目抜き通りというものが全部廃墟に帰したわけであります。
 この火災を受けまして直後に起きた問題は土地の問題でございます。いわゆる借地借家の問題が翌日から起きて参りました。地主側は、民法上の借地借家法をたてに、契約を解除する、こういうことで、この借地人との間に非常に深刻な紛争が起きております。しかも国会閉会中でございまして、この臨時処理法を適用する機会がなく、今日まですでに二カ月有余、これが放置されております。この間におきまして、この借地借家の関係の係争事件が、すでに簡易裁判所で扱ったものが十一月二十八日現在り調べで八十四件、商工会議所の相談所に二十八件、弁護士会相談所に百二十三件、警察署に四十九件、それから政党方面で扱っておりますのが百五十件、ほぼ五百件に近い紛争が起きております。以上述べました数字はほんとうに表面化したものだけでありまして、そのほかに県や市当局が陳情あるいは相談を受けたものは非常に多いのでございます。
 その中に非常に悲惨をきわめたものの一例として、私はここに具体的に例をあげて、いかにこの処理が緊急を要するか、こういうことを皆さん方に訴えたいわけでございますが、その一例としまして、ある印刷所の職工さんでございますが、これは、勤務先が焼失をいたしまして職を失った上に、自分の家がまた焼失をしている。そうして、失業のうき目を見る一方、地主の方からは、お前の家は絶対に建ててはいけない、再建の許可はしない、こういうふうに宣言をされまして、扶養家族多数を抱えておりまして、全く行く先がまっ暗になり、ついに入水自殺を企てた。こういう悲惨な事件が、これはほんの一例にすぎませんが、起きております。その他、借地人が建てたところに地主が強引に自分の家を建てて、その屋根の上にさらに屋根をかけた、これは新聞等にも大きな写真が掲げられて報道されたわけでございますすが、また立ち入りを禁止するためにさくを設けて借地人を入れない、こういうふうに各地に暴力ざたあるいは血なまぐさい事件がひんぴんとして起きておるのでございまして、全市において今一日も早く借地借家臨時処理法の適用をしてもらいたい、こういう声がきゅう然として起きておるのでございます。
 なおまた、新潟市の都市計画、あるいは新しく家を建てようという人たちにとっては、やはり土地の問題の解決が先決でございまして、この法律が出ないために新潟市の復興も非常におくれておる、こういう実情でございますので、どうか一日も早く本委員会でお取り上げ願いまして、この法律の適用をお取り計らい願いたいと思う次第でございます。
 なお、私は、現地において起きておるいろいろな紛争に関しまして政府に対して少し問題点を御質問申し上げ、御見解をお伺いしたいと思うのであります。
 先ほど申しましたように、この火災は一日に起きまして、今日すでに十二月五日でございます。二カ月間これが放置されておったわけでございます。従って、地主の方は、いわゆる借地権というものをたてにいたしまして、この法律は現在適用されていないのであるから、この期間にいわゆる既成事実というものを作っていけば、これが法の適用がないのであるから、既成事実が生きるのだ、こういう見解のもとに、私が先ほど申し上げましたように土地取り上げ等の事態が生じておるわけでございますが、この法律の適用のないこの二カ月間に起きた事態というものは、この法律が出た場合に一体どういうふうになるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
#13
○平賀説明員 ただいま御質問の通りに、十月一日に火災が起りまして二カ月有余経過いたしましたために、いろいろの既成事実関係が現地では起っておることと想像されるのでございますが、原則といたしましては、従来ありますところの借地法・借家法の規定によりまして法律的な解決がされるよりほかはないのではないかと思っております。それから、なお、今度の法律が施行されますと、この既成事実に対しましてどういうふうに働いていくか。これはやはり、今度の法律の適用に関しまして解釈上いろいろな問題が起ってくるのではないか。法律的に解決はできる建前になっておりますけれども、果してスムーズにいくかどうか、かなり懸念されるものがあると思うのでございます。
 それから、今具体的に御質問のございました地主による土地の取り上げ、これは、借地法の規定でいきますと、要するに、賃貸借の解約であるとか、あるいは賃貸借の期間の更新の拒絶であるとかいう形で行われておると思うのでありますが、これにつきましては、借地法の規定におきまして、期間の更新を拒絶する、あるいは解約するには正当な事由がなければならないということになっておりますが、この点は借地権者の方は決して遺憾ないと思うのであります。それから、地主が借地権の存在を無視いたしまして、事実上地主がそこに家を建ててしまったということになりますと、これは借地権の侵害になるわけでございます。借地権は今度の罹災によって決して消滅するわけではございませんので、借地権者は地主に対しまして建物の取り払いを要求できることになりますので、これも法律上十分保護されると思うのでございます。
 そのほか、今度は期間が二カ月以上になりましたために、この法律の施行を予期いたしまして、何と申しますか、思惑的にいろいろなことが行われておる、そのために法律上かなりむずかしい問題が起ってくるのではないかということが予想されるのでございます。その一例としまして、今度の法律が適用されますと、従来ありました借地権は、これは登記をしなくても向う五年間はその借地権をもって第三者に対抗できるということになるわけでございます。ところが、その登記をしないでも第三者に対抗できるというのは今度の法律が施行されて後五年間でございまして、施行されるまでの間に、たとえば地主がその土地の所有権を第三者に譲っておるという状態、これはもうどうにもいたし方がない。その新しい第三者が借地権者に対して、借地権はない、借地権は存在しないのだからという主張をしてきますと、ちょっとこれには保護が欠けるわけでございます。しかしながら、わずか二カ月間に急速に土地の所有権を譲渡したというような場合でありますと、果して真に譲渡するつもりであったかどうか、新しく施行されますこの法律の適用を免れるために仮装の譲渡をしたのではないかという場合も現実にはかなりあるのではないかと思われるわけであります。そうなりますと、そういう点でやはり救済が考えられるわけでございます。従いまして、この点いずれも救済ができないというわけではないだろうと思うのでございます。
 さらに、もう一つの例といたしまして、今度の法律が適用されますと、罹災建物の借り主、つまり借家人は、地主に対しまして土地の賃借の申し出ができることになるわけでございます。しかし、その賃借の申し出も、この法律が施行されて後に初めてできる、現在のところまだできないという状況にあるわけでございます。さらに、一つ困りますことは、借家人が賃借の申し出をする前に、すでに地主なり第三者なりがその土地の上に建物を建てまして、現にその土地を使用しておるという状況ができ上っておりますと、借家人はその土地の賃借の申し出ができないという規定になっておるのでございます。でありますから、今回の場合におきましても、この二カ月の間に地主なりあるいは新たにその土地を買い受けました者あるいはその土地に借地権の設定を受けたような人がおりまして、建物を建ててその土地を使用しておるということになりますと、借家人は賃借の申し出ができないということになるおそれがあるわけでございます。もっとも、今度の法律の第十四条をもちまして、建物ができましたならば、その建物を貸してくれという申出権はございます。しかし土地賃借の申出権はないというおそれがあるわけであります。ただ、しかしながら、これとても全然解決ができないわけじゃないのでありまして、今度新たに適用になりますこの罹災都市借地借家臨時処理法の第二条にいう、建物所有の目的ですでに土地を使用しておる者があるときというその建物は、一体どういうものと解釈しているか。私ども承わっておりますところでは、地主なんかの方で、この借家人の賃借申出権の行使を阻止いたしますためにバラックなんかが建ててあるという話を聞くのでありますが、そういうバラック、ことに賃借の申し出を封ずるためにそういうバラックを急いで建てたというような場合に、そのバラックがこの法律の二条にいうところの建物と言い得るかどうか、これは非常に疑問ではないかということも考えられるわけでございます。これはいずれ裁判所の問題になると思いますが、裁判所でいかなる解釈をするか、あるいはそういうバラックなんかはここにいう建物ではないという解釈も立ち得ないわけではないのでございまして、そういう点で保護がはかられるということも可能であろうと思うのであります。
 今回、二カ月以上の期間があり、しかもこの法律の適用を見越しましていろいろ両方の側で事前の方策を講じたということのために、かなりむずかしい問題が起ってくるとは思いますが、やはり何らかの合理的な解決が可能ではないかと私どもとしては思っておる次第でございます。
#14
○櫻井委員 ただいま御答弁をいただきました通り、この二カ月間の空白のために、一がいに申せませんが、五百件がみんなケースが違うわけでありますが、いろいろなケースで紛争が起きて参りまして、それが今仰せの通り非常に解決困難なものも出てきておるわけであります。それで、おそらく法律問題になると思うのでありますが、そういう場合に、政府、特に法務省といたしましては、何らかの救済の方法を講ぜられて、臨時処理法の精神――もとのあの火災の前の形に返す、そうして弱い者の権利を守ってやるというのが借地借家臨時処理法の精神だろうと思う。そういう精神のもとに、そういう不当に苦しめられておる人たちを救済するような方向に何らか救済の方法を持っていってもらいたいと思うのであります。これは個々に当っていろいろ法律的問題にからんでくるわけでありますので、ここで具体的に一々申し上げるわけには参りませんが、大きな精神としてはそのようなお考えで処理していただけるかどうか、一つここで確認をいたしておきたいと思うのであります。
#15
○平賀説明員 法務省といたしましては、今回の新潟の事態は今までとは相当違った様相を呈しておりますので、すでに民事局の係員を現地に派遣いたしまして、二日間にわたりまして、講演会をやりますとか、あるいは法律相談に応ずるとかいうようなことで、借地借家関係をめぐっての法律問題の解説、質問に対する応答というようなことをやったわけでございます。今後におきましてもできる限りのことをいたしたいと思っておるのでございますが、要するに、問題は、今後におきましては、土地の争いということになりますと裁判所の問題になってくるわけでございます。幸いに裁判所の方におきましても借地借家の民事調停法という法律がございまして、まず調停によって合理的な解決をはかるという努力は十分されるだろうと思うのでございます。この調停でどうしてもいかないということになりますと、これは裁判ということになるわけでございますが、これとても、今申し上げましたように、法律的に解決の方法が決してないわけではございませんので、裁判所の方におきましても、この罹災都市借地借家臨時処理法の解釈、運用につきましては、現在の事態を十分に考慮されて、正しい合理的な解決をはかられるのではないかと、私どもそれを期待しておる次第でございます。
#16
○櫻井委員 私は最後に法務大臣に御要望を申し上げます。先ほどから申し上げました通り、この借地借家臨時処理法というのは、罹災者の権利を守ってやるという大きな前提のもとに作られておる法律だと思うのでありますが、遺憾ながらこの法律の二十五条の二項の中におきまして、こういう事態が起きたときには法律をもってこの地域を指定しなければならぬ、こういうことがありますために、たとえば今回の新潟の大火が一番いい例でございますが、休会中にこういう大火がございますと、国会が開かれるまで何とも手の下しようがない。そしてその間にいろんな問題が次々と発生して、この法律が出ても処理ができないというものがあとに残ってくるわけであります。こういう観点から、たとえばその適用罹災区域を政令で定めるとか、休会中であっても政府の方で指定をするというふうに、もっとこの法律を――また矛盾の点もあると思いますが、そういう点を十分研究されて、将来そういう借地借家の問題がスムーズに解決がつくように、これを改正なさる御意思がありますかどうか、お聞きをいたしておきます。
#17
○牧野国務大臣 お答えを申し上げます。櫻井さんのおっしゃる通り、これは実際いけないことだと思います。私は、数日前に、新潟市に借地借家臨時処理法の適用がないというので、何でそんな怠慢なことをしているかと言いましたら、怠慢じゃない、国会が開かなければできないということでしたが、そんなことでは臨時処理法の精神は徹底いたしません。何としても、災害が起きたら、そして臨時処理法を適用したいと思えば、すぐぽっとやれるというのでなければ、この法の精神は徹底しません。のみならず、私は、新潟にいろんなトラブルが起きているということは実に申しわけのないことだと思います。ただし、今までに起きたことは、これはきっと善後処理ができます。将来のことについては、櫻井さん、あなたのおっしゃる通りなことをしたいと思いますから、その点はぜひ御協力を請いたいと思います。
#18
○吉田(賢)委員 関連して。今の櫻井君の最後の御質問並びに法務大臣の御答弁の点、すなわち、閉会中もしくは国会休会中の災害に対する臨時処理法の問題、これは非常に重大な問題だと思いますが、これはやはり、以前の憲法の緊急勅令のごとく、何か臨時の、それこそ臨時の政令のようなものでも出して、次に法律ができるまでの措置として何らかの手を打ち得るような、この法律の適用上の欠陥を補てんする意味におきまして、そのような方法が準備せらるべきだと思います。この法律は大へん急いでおりますので、一両日のうちに法律になってしまうのだろうと思いますが、それに間に合いますれば間に合うといたしまして、一つ政府の方で適当に御準備していただく必要があるだろうと思います。このことを申し上げまして、一つ準備の御意思のいかんだけ御質問申し上げておきます。
#19
○牧野国務大臣 ただいまの吉田さんの御意見の通り、準備は進めておりますが、これはやはり委員会の皆さんと御相談して、どういうふうにしたらいいか、――沿革を見ますと、それはやはり議員にまかしてくれというのが沿革らしいので、政府がむやみとやるな、議員にまかしてくれということで、今回の新潟のような残念な事態が出てきたらしい。――まだわかりませんが。そこで、この委員会で相談してやりましょう。この委員会の御意向によりまして、ここの決定を待ちますと、私は衆議院も参議院もすべてが御同意なさると思いますから、吉田さんの御意思に沿うように努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
#20
○世耕委員長 北れい吉君。
#21
○北れい吉君 ただいま地元の櫻井奎夫君の話した通りであります。私は、一日の火事の次の二日に東京を出発して現地を親しく見ました。御承知のごとく焼失延坪は七万八千四百八十坪となっております。焼失建坪は四万八百三十九坪余、損害の合計額が約百五十億円、その中で保険がわずか十五億となっておる。莫大な損害で、市長は、固定資産税をとるところや営業税をとるところがみな焼けたから税金が入らないと嘆いておりましたが、まことに無理もない。新潟市の全面積から言うとまことに少いようでありますが、古町通りという目抜きの場所、それから柾谷小路という大きな所、これが全部焼けたのですから、市長が嘆かれるのは無理もないことで、これは非常にお気の毒な状態です。原因についてはいろいろ意見が分れておりますが、漏電説に固まったようです。教育庁から起きてきたから、教育長の堀部君は辞職をいたしましたが、堀部君は、辞職に際して、漏電などのようなことは設備に関係することで、われわれは昼間使用しておる間に責任があるだけであると、暗に県土木部長に責任があるごとく言った。ところが、県土木部長は、使用者が注意してくれねば困ると言う。実は官庁に火事が多いということは事実でありまして、ことしも、東京都建設局の火事直後、九月二十六日に、各地に官庁の建物は用心しろという指令を発しておる。ことに漏電についても特別配線をよく見て注意しろという注意書きをやっておるのに、これが起きたことは非常に遺憾であります。そうして、火事が起きると、県知事は市長に、なかなか連絡が困難であったが、破壊行為をやったらどうかと言うたようであります。市長は、消防署の諸君や自衛隊の諸君と相談した結果、風が強く飛び火が多いので、破壊してもだめであるということで破壊しなかった。私は、破壊行為をやった方がいいか悪いかということは、しろうとだから断言いたしませんが、当局も相当苦しんだ結果であろうと思う。ともかく、飛び火が非常にひどくて、三十二メートルから三メートルという台風であったから、飛び火の多いのは無理もないことであります。ただ、県知事は県議会をして臨時処理法を適用することを決議させました。それから、市長も骨折って、市会議員が満場一致適用することに決議いたしましたから、まず当局も適用されるものと見ておる。現に、大野市郎君というのは自民党の代議士でありますが、その旅館が二つ焼けた。そうしたところが、借り地であるから、地主がへいをしてバラックを建てた。それで仮処分を要求して勝ったのです。そうしてバラックも大野君に管理を命じた。これは百万円ばかり積んだそうです。これは裁判所の方でも大体臨時処理法が適用されると見たから許したのだ、こういう解釈をしております。おそらくは借地借家法の適用がされると思うて、そういう裁判をした。これはテスト・ケースだと見ております。私は、大体はこの法の精神が適用されるものと考えます。しかしながら、この火災については手落ちは相当あると思うのです。新潟市の消防は、実際は市の割合から言って半分くらいの実力しかないそうです。ことに消防のときに引き出したポンプが働かないのが相当あった。しかも水道が弱い。そこへもってきて風が強いので、水をまいても煙になったそうです。水が固まっていかなかった。そういうふだんの手落ちもあったようであります。この際は、それを追及しても、もう責任問題だけでしようがないので、今日は事後処理の問題であります。御承知のごとく臨時処理法は熱海の火事のときや鳥取の火事のときも適用いたしておりますから、これを適用していただきたい。二月以上過ぎましたけれども、国会が開かれればすぐにやるはずであるという認識のもとに、なるべく初めから臨時処理法の適用があったがごとき態度でいろいろの懸案を解決してもらいたい。これが希望であります。新潟は目抜きの場所がみな焼けたのでありますから非常に困っております。市の財政も非常に逼迫しております。現に、日和山という山が決壊を始めて、運輸省から三億近く金をいただくのであるが、運輸省では四割しか出せない、あとの六割は地元で負担せよということですが、六割ということになると一億五千万以上のものを新潟市及び県で負担しなければならない。県は有名な赤字県であるし、市は今のように税金もとれぬという状態であるから、これを何とか全額補ってもらいたいという要求を私からいたしておりまして、適当の考慮をしてくれるということになっております。そういう問題も含まれておる。新潟市は一番目抜きの場所がやられたので、商店と住宅とからなっておるものがたくさんある。これでは市は税金がとりにくいです。しかるに決壊などがあって三億ばかりいるのであります。これは四年か五年かに二十億ぐらいでやることになっておりますが、これにも困っておる状態でありますから、この法律を一日も早く実施して、罹災者の損害を軽減していただきたい。ことに旅館が三十四焼けておりますけれども、これは住宅公団の融資の対象にならぬで、年に九分五厘で十年の年賦ということになっておるそうで、これは非常に困るという陳情を受けております。住宅の方は、下を店にして二階、三階を住宅ということにして、これは二十年年賦で相当貸してくれるそうであるが、旅館は住宅というわけにいかぬから金を借りにくいので非常に困っていると陳情に参っております。これなども何とか有利に解決してもらいたい。これは法律問題ではなく金融問題でありますが、現在泣きつらにハチの状態でありますから、どうかこの法律だけは早く制定いたして、善後の処置についても、この災害直後にこの法律が適用されたという意味において善後処置をお願いいたしたいと思います。
#22
○牧野国務大臣 ただいまの北さんの御意見を拝聴しまして、実に御同情にたえません。最善を期して御期待に沿うようにいたしたいと存じますが、この点については委員会の皆さんの御協力をいただき、一日も早くその実現を期したいと存じますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。
#23
○三田村委員 先ほど鹿児島の奄美大島の災害について御発言がありましたが、法律関係について伺っておきたいのです。あの名瀬市の災害に関しても新潟の災害と同様の法的措置をしなければならぬと考えておりますが、新潟市の火災と同じような法律的措置が可能であるかどうかということが一点と、それから、この前提にはすでに借地借家法がその地域に施行されていなければならないと思いますが、その点どうなっておりますか。新潟市と同じ形で法律的救済ができますかどうかということ、その点、法律的の立場を一つ御説明願いたいと思います。
#24
○平賀説明員 名瀬市にも大島復帰と同時に借地借家法がまた昔に返り適用になっております。法律的に見ますと、今度の罹災地に法律の適用ということは可能だと思います。
#25
○世耕委員長 他に御質疑はありませんか。――なければ、この際一言ごあいさつを申し上げます。
 不肖私が法務委員長に就任いたしましてから半年余の長きにわたりまして、この間委員諸君並びに関係各位の御協力によりまして大過なくその職責を果すことができましたことをまことに感謝いたします。本日をもってその任を終ることになりますので、一言ごあいさつ申し上げる次第であります。
 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。
   午後零時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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