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1955/12/10 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 農林水産委員会 第7号
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1955/12/10 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第023回国会 農林水産委員会 第7号
昭和三十年十二月十日(土曜日)
   午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長 村松 久義君
   理事 小枝 一雄君 理事 笹山茂太郎君
   理事 白浜 仁吉君 理事 田口長治郎君
   理事 足鹿  覺君 理事 稲富 稜人君
      赤澤 正道君    五十嵐吉藏君
      伊東 岩男君    石坂  繁君
      大野 市郎君    大森 玉木君
      川村善八郎君    木村 文男君
      吉川 久衛君    楠美 省吾君
      鈴木 善幸君    中馬 辰猪君
      原  捨忠君    本名  武君
      松浦 東介君    松田 鐵藏君
      赤路 友藏君    有馬 輝武君
      淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君
      井谷 正吉君    井手 以誠君
      石田 宥全君    川俣 清音君
      中村 時雄君    芳賀  貢君
      日野 吉夫君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 河野 一郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  大石 武一君
        農林事務官
        (大臣官房長) 谷垣 專一君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (理財局総務課
        長)      高橋 俊英君
        大蔵事務官
        (印刷局業務部
        長)      潮   洸君
        大蔵事務官
        (印刷局業務部
        みつまた課長) 須川  博君
        農林事務官
        (農業改良局
        長)      大坪 藤市君
        水産庁長官   塩見友之助君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
十二月十日
 委員松野頼三君及び佐竹新市君辞任につき、そ
 の補欠として山口喜久一郎君及び井手以誠君が
 議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産関係公共事業費に関する件
 工芸農作物に関する件
 農薬使用に伴う漁業被害に関する件
 にしん漁業に関する件
    ―――――――――――――
#2
○村松委員長 これより会議を開きます。
 朝鮮半島周辺の漁業問題については外務大臣の出席を待って随時これを進行したいと思いますが、まず最初に工芸農作物のうちミツマタに関する件について調査を進めます。質疑を許します。小枝一雄君。
#3
○小枝委員 大蔵当局の出席の上で質疑をいたしたいと考えておりますが、時間の関係で、いずれ同僚の諸君からこの問題については御質疑があると思いますが、とりあえず質疑をしてみたいと思います。
 最近、伝え聞くところによりますと、大蔵当局においては百円紙幣をある程度銀貨によって鋳造したいという計画があるように伺っております。これは農山村の特有作物であるミツマタの将来の上に非常に重大な関係を有するものでありますので、われわれ農政に関係するものといたしましては、根本的にこの問題には反対せざるを得ないのであります。農林当局といたしましては、この問題についてはいずれ御調査も済んでおることと思いますが、御承知の通りにこのミツマタは永年作物でありまして、植え付けましてから三年ないし四年間時日を経過しなければ、これは経済価値がないのであります。使用にたえないのであります。そういう意味において、政府が農山村に奨励をいたしまして、特にこれを作付をさしておいて、そうしてこのミツマタに影響のあるような百円硬貨を鋳造するということについては、われわれといたしましてはどうしても承服することができない、どうしてもこれは百円紙幣をもってやっていってもらわなければならぬと考えておるのであります。ことに百円の銀貨を鋳造するという一つの論拠となるべき問題を考えてみまするのに、国内に千五百トンばかり銀が余っておる、国が手持ちにしておる。そこでこの千五百トンの銀をとりあえず貨幣にして使おうという計画のように伺っておるのでありますが、これは大へん誤まった考えではなかろうかと私は思うのであります。幸いにして銀は、世界各国の中で、あるいは銀本位制をとり、あるいは特に銀を尊重する国がたくさんあるのでありますから、そういう方面に、あるいは賠償も支払うようになっておるようでありまするし、またそのほか物資を購入いたしますにしても、この銀は日本のために非常に有効な使い道があると思うのであります。それを、百円紙幣を今日国民が非常に喜んで使用いたしておる場合に、あえてこの大事な銀で紙幣にかえて作るというようなことは、私は今日日本の国の大きな立場から考えてもとるべき道ではなかろうと考えております。そういう意味におきまして、農村当局においては、農業保護という見地から、この問題については一そうの努力をせられなければならぬと考えますが、当局の御所見を一つ伺ってみたいと思います。
#4
○大坪説明員 ただいまミツマタの問題につきまして小枝先生から、非常に私どもの意を強うする御意見をいただきまして、私どもといたしましてもまことにありがたく存ずる次第であります。ただいま先生からお話がありましたように、ミツマタはわが国の特産品といたしまして、古くからわが国の紙幣にたくさん使われておるのであります。現在におきましても、ミツマタの全生産量の約三分の一が紙幣の原料に使われておるのであります。政府といたしましても、こういう意味からいたしまして、特に中国なり四国方面の山間地帯におきましては、ミツマタは現金農産品としてきわめて重要であり、かつまたほかに転換のしにくいことでもありますので、非常に奨励をいたして参ったのであります。たまたま最近になりまして、大蔵当局の方で、紙幣の大部分を占めておりまする百円紙幣を御意見のように銀貨に切りかえられるという話を聞きまして、このことが産地に伝えられまして、本年の中ごろから、ミツマタの価格が相当下落傾向になって参ったのであります。私ども一といたしましては、ぜひこういう特産でありかつ山間地帯の非常な現金収入の元でありまするミツマタの生産を確保し、農家収入を維持して参りまするために、大蔵省の理財局長と印刷庁長官にあてまして、本年の九月十九日に、ぜひこの際百円紙幣の銀貨切りかえの問題は思いとどまってもらいたいという意味の公文を、改良局長名をもって提出し、かつ関係の方々に対しまして、ぜひこの際この問題は思いとどまってほしいということを強く要望いたしたのであります。また農林大臣も、口頭でありまするが、大蔵大臣あて銀貨の問題はこの際待ってもらいたいという意味のことを申し入れられておるということであります。私どもといたしましては、ただい玄の御風見の通り、ぜひこの際百円紙幣の切りかえの問題は思いとどまってもらいたい、かように強く要望いたしております。
#5
○小枝委員 ただいま局長の御答弁を伺って私非常に意を強くいたしたのであります。大蔵当局の話しておるところを仄聞いたしますと、どうも一部の百円硬貨の鋳造であって、ミツマタの買い上げに対しては影響を来たさないということを強く主張しておるようであります。しかしわれわれといたしましては先ほども申し述べましたように、銀は銀として使い道があり、これは日本の国として今日の困難なる経済事情のもとにおいて、対外的に非常に有力なる物資であると考えておるのであります。国民のかえって紙幣を喜ぶ傾向のあるものに対しましては、あえてこれを貨幣に鋳造するところの必要を認めないのであります。いろいろと陳弁をいたしておりますけれども、究極するところこの百円硬貨を始めるということは、結局農村の重要なる産物たるミツマタを圧迫する結果になり、むしろこういうミツマタの生産のごときは、今日の農山村の事情よりいたしましてますますこれを助長し、ますます増産せしめる必要があると考えるのでありまして、いかなる意味におきましてもわれわれは、百円硬貨を鋳造するということについては根本的に反対せざるを得ないのであります。十分この点の御認識をいただいて、農林当局におきましても大蔵当局との間に強力なる交渉をいたされまして、現在の目的を達成するように御努力あらんことを重ねて御要望いたしまして、一応農林当局に対する御質疑を終ります。
#6
○大坪説明員 私どもが現在まで大蔵当局と折衝しておるところによりますと、百円紙幣をこの際硬貨に切りかえましても、当面の問題といたしましては、百円硬貨のいわゆる保有高を増加するだけであって、急にはミツマタの減少にはならないということを一応説明といたしましては聞いておるのでありますが、勢いのおもむきますところどこまで参るかわからない、こういうことでありますので、少くともこれは法律の改正を要すると思いますが、そういうようなことのないように一つお願いいたしたいということで、強く今後も折衝して参りたい、かように考えております。
#7
○村松委員長 井谷君に申し上げますが、理財局長は今大蔵委員会に出席中なので、それが済み次第来る、こういうことでございますので、一応農業改良局長の方に質疑を進めておいていただきます。井谷正吉君。
#8
○井谷委員 今小枝さんから改良局長の方にお話があり、御答弁がありましたので、大体改良局長の言われることは私どもわかるのでありますが、さらに一、二点改良局長こお尋ねをいたしたい点があります。
 御承知のよべにこのミツマタを栽培しておりますところは山間の僻地で、しかも北向きで湿気の多い急傾斜地であります。われわれの常識としては、どう考えてみてもこの作物の転換はできないと思っております。もし大蔵省の方針のように百円の硬貨ができて、ミツマタの消費量が減る、こういう場合にこの転換作物の研究ができておるか、そういうことができるものであるかどうかということを一点お伺いをいたしたいことと、それから今申しますように山間僻地であります。これを栽培しておる栽培農家というものは専業じゃございません。大体炭焼きさん等をやっておりますが、こういう人も自分の山があって焼いておるのではなくて、下請をやったり、あるいは歩分けでやったりしてかろうじて生活をしておる。ほとんどトウモロコシやアワが常食でございます。そういうところで現金を得ます手段としては、このミツマタ栽培というものが大きなウエイトを持っておるのであります。これは転換もきかない、しかも消費量が減っていくという場合、これは大きな問題だと思う。これは大蔵省も明治十年から今日まで約八十年来の間、奨励指導をしてこられた、農林当局においても主体となって増産を奨励していただいたのでありますが、こういう場合になって、これは時世がこうなったのだからといってほうったならば、これは大へんなことだ。そこでもし大蔵当局がやはりこの百円硬貨を鋳造せられる、こういう線で進んでいった場合に、農林当局としても、これらの農家に対してどういう処置をとられる腹がまえなのかという将来の問題についても、これは私はぜひ一つ承わっておきたいと思う。
#9
○大坪説明員 ミツマタの生産が山間地帯でしかも非常に急傾斜地等が多い、こういうような事情でありまして、ただいまお話の通り耕地の転換はほとんど不可能じゃないか、かように考えられるのであります。私どもといたしましては、ミツマタは古来から紙幣として非常に重要でありますし、従って大蔵当局とともに奨励して参ったのでありますが、これが転換はいろいろ内部におきまして検討いたしたのでありますが、現在のところ完全にこれに置きかえ得るというような産業は、ミツマタの生産地帯の特殊事情からいたしましてこれはほとんど不可能じゃないか、かように考えられるのであります。従いまして私どもといたしましては、農家収入を維持して参りますために、どうしても百円紙幣の銀貨への切りかえはこの際大蔵当局に思いとどまってもらいたい、かように考えまして要望をいたしておるわけであります。
#10
○井谷委員 そうすると農林当局としては百円硬貨の鋳造を思いとどまってもらいたいという一本押し以外に手はない、今それに集中しておる、こういうわけですか。
#11
○大坪説明員 現在のところただいまの御意見の通りであります。
#12
○村松委員長 井谷君、大蔵省関係では潮業務部長が来ております。それから理財局の高橋総務課長が来ておりますから、どうぞ御質問願います。
#13
○井谷委員 これは理財局にお伺いをいたしたいのでありますが、今回百円コインの鋳造という問題が、ただいままで論議しておりまするように、栽培農家に非常なショックを与えまして、このためにミツマタの価格というものが非常に下落をしておる、さなきだに今日までこの価格が、以前は一万二、三千円もしておりましたものが今日一般市価で四千円台に落ちておる、こういうときにこのうわさのためにだんだんと下落の度を強めておるのであります。今改良局長も申されましたように、農林当局としてはぜひともこのコインの鋳造を思いとどまっていただきたい、こういう御主張であります。私どもも生産農家の立場として同様な考えを持っておるのでありますが、およそこれらの輿論というものがお耳に入っておると思いますが、現在どういうようなお考えであるか、またそれらの動機等についても御説明を承わりたいと思います。
#14
○高橋説明員 百円硬貨の切りかえの問題は正直なところ申し上げまして、まだ何ら決定いたしておりません。なるほど研究はいたしましたけれども、それもまだ完全の段階ではございませんし、いろいろ各方面に影響の大きい点もございますので、できるだけ慎重に扱いたいということから、いましばらく決定を見るまでには時間がかかるのじゃないか。長い目で見ますると、いつかはどっちみち硬貨にしないとやり切れなくなる、政府としてはやり切れない段階に来つつありますので、何らかの措置が必要になりはせぬかと思っております。ただ今のところは、先ほど申しましたように決定いたしておりませんので、その仮定に基いていろいろお話し申し上げることがどうかと思うのでありますが、ただミツマタに関する限りは、かりに紙幣を硬貨に切りかえましても、ただいま買い上げておりますような数量がこのために非常に減るというふうなことは起らないのではないか。百円を作らなくなりますためにそれに要するミツマタが減ることは当然でございますけれども、ただ一方でただいま日本銀行に置いてありますところの予備の通貨、これは当然必要なわけであります。非常に少い数量でやっております。戦前の例を見ますると、今よりもはるかに大きな量を手持ちしなければならないことになっております。そういう関係で、硬貨に切りかえまして百円の製造が減りました場合には、もっと高額面の通貨紙幣を製造しなければならぬと考えております。そういうことになりますれば、ミツマタの使用量としては百円にはあまりたくさん入っておりませんで、高額面はオール・ミツマタである関係上、ミツマタとしての使用量はあまり減らない、そういうことを申し上げることができるかと思います。ただこれはあくまで仮定に基いた話でございまして、そういうように硬貨に切りかえるということをきめた上での話ではございませんから、その点御了承を願いたいと思います。
#15
○中村(時)委員 関連して……。今理財局のおっしゃるのは、あなたはたいへんな誤解をしているのじゃないか。それでしかも非常に大きな行き過ぎをやっておるのじゃないか。あなたは百円硬貨にしなくちゃならない、政府も将来当然そうしなくちゃならないというような言葉を使っていらっしゃいますが、そういうことを言う権限をあなたは持っていらっしゃるのかどうか。少くともそういう結論を、あなた自身がしなくちゃならぬというような、あなたが一官吏でおりながら、そういうような行動あるいはそういう発言をあなたは責任を持って言えますか。その一点をお聞きしておきたい。詳しいことはいずれあとからあなたといろいろ質疑をやりたいと思っておりますが……。
#16
○高橋説明員 私の発言が、政府はやりきれないと言った点は、確かにちょっと言葉の誤まりでございます。私としてはいずれそういうふうに切りかえをする時期が必要になるというふうに思うという意味を、政府としてはやりきれないという言葉を使いましたので、たいへん誤解をされるようなことになりまして……。
#17
○川俣委員 関連して……。まだ硬貨の問題についてはきまっておらない、こういうことですね。同時にこのままでいっては政府としてはやりきれないことが起る、こういう表現なんです。そうすると、一方は政府としてきまっていない、やりきれないということは政府としてきまっておる、こういうことになるのですね。それじゃ政府としてやりきれないということをいつ決定されたのですか。政府ですから、政府として決定されたのはいつであるか。やりきれないという決定を政府が――政府というのですから、おそらく内閣だと思うのですが、いつ決定されたか、お答えを願いたい。
#18
○高橋説明員 その点はただいまお答え申しました通り、政府がそういう決定をしたのじゃないが、私がそういうふうに思うという意味のことを、政府としてやりきれなくなるような事態になるであろうということを申し上げただけで、政府は何らそういう転換を決定しておるわけじゃございません。
#19
○川俣委員 政府としてやりきれなくなるであろう、こういうわけですね。ですから、それは政府の意思表示がなければならぬはずです。少くとも政府と言われるからには通常内閣をさすのだと思います。これは内閣がいつ決定されたのか。やりきれなくなるであろうというようなことがいつ話題になり、いっそういうことが問題になったか。これはあなたは政府委員か、あるいは説明員の形で出てきているめでしょうが、別に個人の意見を聞いているのじゃない。政府の意向を代行しておられるのだと思いますが、それで聞いているのです。取り消すなら取り消すでもかまいません。自信がおありになるならば伺いたい。
#20
○高橋説明員 政府として何らそのような決定はいたしておりません。
#21
○川俣委員 そうすると、前言は取り消されるのですか。
#22
○高橋説明員 そういうふうにとられましたので、その意味ではないということを、先ほどから申し上げた通り、取り消しておきます。
#23
○川俣委員 そういう意味でというようなことではない。速記録にある。私の聞き違いの問題ではなくて、速記録に表現されたことを取り消されるかどうか、こういうことなんです。聞き違いやなんかと違いますよ。冗談じゃない。
#24
○高橋説明員 取り消します。
#25
○村松委員長 先ほどの発言は、高橋総務課長は取り消しをいたしました。
#26
○井谷委員 ただいまの御答弁の中に、この問題は慎重に研究をして、まだ決定はしていないというお話でございましたが、仄聞するところによると、相当日にちは迫っておるというように聞いております。今月の十五日かあるいは二十日までの間に大蔵省の態度が明らかにせられるのではないかということも耳にせぬではありません。この点について明確なお答えをいただきたいことと、検討というのは、今晩まで検討してあした抜き打ちにやる方法もありますし、あるいはほんとうに慎重に研究するためには一年、二年を要する場合もあるが、どういう意味の検討なのか。それからただいまのお答えの中に、長い目で見ておればこうしなければならないようになるであろう、こういうことでございますが、それはどういう意味であるか、非常に簡単でございますから、もう少し御説明を願いたい。どういうふうに見ればどうなるか、長い目というのはどういう範囲のものであるか、内容をお聞きしたいと思うのであります。
#27
○高橋説明員 まだいつまでに決定をするという予定をはっきり申し上げられません。何分この問題は、いろいろな方面において研究したあとで、大臣自身の最後の腹もお聞きし、またそれ以上の段階できめなければなりません。私として今いつまでにこの問題をきめるとかあるいはきめるであろうかというこをを予測して申し上げることはできません。それから長い目で見た場合云々という点は、こういうことであると思います。ただいま印刷しておりますところの紙幣のうちで百円紙幣が七割を占めており、非常に大きな割合を占めておるわけであります。印刷局といたしましては、完全操業といいますか、せい一ぱいの仕事をしておりまして、それでなお日本銀行の要求するところの紙幣の総量を十分にはまかない得ない、もちろん日々すでに発行に出しておりますところの紙幣につきましては、どうやら間に合わしておりますが、それだけでは十分でない、全国の支店にそれぞれある程度の予備を持つ必要があるわけであります。それらの予備の点が非常に窮屈になるという点でございます。それでこのままで参りますと、年々国民所得がふえまして、それに伴ってある程度通貨の総量もふえてくるわけでありますから、従って印刷する必要量が増大するわけであります。そういう点で、片方の印刷局としては仕事がますます大きくなりがちである、一方で造幣局の方をとらえますると、ただいまやっております仕事も、硬貨も間もなくそう時間をかからないで仕事が済んでしまう。造幣局の方では仕事がだんだんがらあきになってしまうという状態であり、一方で印刷局の方は非常に仕事に追われて、これに伴うところの百円の関係の製造費も、毎年二十数億円、現在のベースで申しまして二十数億円を要しておるわけですが、この紙幣というのが、大体今では一年以内しか耐用年数がありません。つまり一年たちますと全然使えなくなってしまうというような計算になっております。外国でも、これは戦前の日本でもそうでございまするが、非常に消耗度の激しいものですから、今で申しますと、価額が二、三百円以内くらいのものは、世界各国を調べましても概して硬貨を使用しております。わが国も戦前そうだったわけでございまするが、戦後はいろいろインフレ等の関係で、なかなか硬貨に移るチャンスがございませんでした。経済が安定するに従いまして、各国とも経験上百円程度のものは硬貨の方がいろいろな点で有利であるということから、そういう慣習が一般に行われておる。そういう点から申しまして、このままで続けました場合に、一方の硬貨製造部門の方は仕事ががらあきであって、片方の印刷の方は非常に仕事が窮屈になる、こういう状態に対して大体二十数億円あるいは将来は三十数億円になると思いますが、そういったものを年々空費するよりは、硬貨に切りかえて、硬貨でありますると、よほどひどいインフレということがありません限りは、非常に長い期間、ほとんど半永久的といってもいいほど長持ちしますので、そういう点からいってむだもないということから、そのような通貨の体系ですか、通貨の系列を整えるということが必要になってくるのではないだろうか、そのように私の気持では、長期の見方をすればそう申し上げることができるかと思います。
#28
○井谷委員 ここは農林委員会でありますから、私はここで貨幣論をやるということは考えておりません。しかし最初に一つお伺いしたいことは、いつできることかもわからない、慎重に考慮中だ、こういうことであるが、これはほかの農産物と違うのであります。これは明治十年印刷局ができました当時から、八十年の深い関係を持って御指導にあずかって、また御援助をいただいて今日まできておる。その大事な納め先である大蔵省が、百円硬貨のためにこれからミミツマタを使えない、消費量が減るのだろうという印象を一般に与えたために、先ほど申しますように、ミツマタの価格が下落しておる。慎重に検討しておられるそのことはいいけれども、そういうことが流布されたために農家のこうむった被害というものは、一体どういうふうにして補償していただくか、こういう点についてはどういうお考えを持っておられるのかということを一つ承わりたい。
 それから続いてお話がございましたから、私のわからない点を伺いたいのでありますが、印刷能力がない、今金能力を発揮しておるのだから、これ以上に紙幣の増刷をするということになれば印刷局の方が困るということ、この点について印刷局の方からどなたかおいでになっておれば、印刷能力についての御説明を願いたいと思います。それから私わからないのは、なるほど紙幣は十一ヵ月ともいい一年半くらいはもつだろうともいわれておる、これは百円紙幣の中に入っておるミツマタの分量が二割程度で少いから弱いので、もっとミツマタを使って丈夫なものにしてもらえば、保存力は大いに伸びると思うのです。さらにまたいま一つ、コインは永久的だと言われますが、今まで五円にしても十円にしても、何であんなにしばしば鋳造をしかえるのですか。永久的なものであれば、費用の要るのに鋳かえる必要はないと思うのですが、これはやはり永久的でない、欠陥がどこかにあるから、ああしてしばしば鋳造をしかえるのじゃないかということを、これはしろうと考えだけれども不思議でならないのであります。また外国で二、三百円程度のものはコインだ、それにならうというお話でございましたけれども、今日本の国の経済の状態というものは、外国に比較する立場になっておらぬ、たとえば私ともがタバコを買いに行って千円札を出します。そうするとおつりをもらう場合に、紙幣ならばじゃまにならぬが、これが百円の硬貨をもらうということになれば、紙幣と硬貨の比率は、かりに百円を基準にすれば、コインにすれば私は七倍多くなるという話を聞いているのだが、そうなってくると将来お互いは袋をさげて歩かなければいかぬようになる。これは便利どころじゃない、私は非常に不便な状態が起きてくると思うのです。そういうことについても、もっと計数的にお話が願いたい。百円一枚はどれだけの重みがあるか、これを百円のコインにすればどれだけの重みがあるか。私どもは、いつも腰にぶら下げて歩くわけにいかないから、これは簡単な話で子供みたいな質問だけれども、ちょっと私にはわからないので、わかるようにお話を願いたい。
#29
○潮説明員 今印刷局の製造能力のお話がございましたが、本年度の製造は、百円札に換算しまして七億枚という計画になっております。これ以上製造する能力があるかないかという問題でございますが、この点は御承知のように、紙幣の製造というものは設備と人間の数、働く時間というようなことに依存しておるわけでございまして、現在の設備をもってしましても、職員の働く時間を長くいたしますならば、もちろん若干の増刷は可能であります。ただしこのためには、超過勤務手当というような面におきまして、予算の措置が必要になって参る問題がございます。
 それからもう一つの点でございますが、現在の百円札は一年くらいしかもたない、これをもう少し紙質のいいものを作って、もう少し長くもつものを作ったらどうか、長くもつものを作れば結局製造能力の問題も解決するじゃないかというお話がございました。実はことしの春ごろから、印刷局におきましては、百円紙幣の紙質が非常に悪くて耐用年数も少いというような声がございましたので、小田原工場におきまして、十数回にわたりまして試験的に紙をすいてみました。御承知のように、今までのところ百円札の用紙には、ミツマタが原料として二割混入されております。これを三割混入いたしまして、それに合うようにいろいろ技術的な研究をいたしました結果、現在までに、技術的にはかなり丈夫な紙が作れるという結果が出ております。どういった点で強くなるかというようなことにつきましては、私も専門家でございませんのですが、たとえば折り畳むということに対する抵抗力、それから引っぱる、あるいは引き裂く、そういった点に対する抵抗力をいろいろ機械的に試験いたしまして、技術関係者は、この紙を使えば一年半は十分もつのじゃなかろうか、こういった結論を出しておるのであります。その程度の紙は作れるという段階に至っておる次第であります。
#30
○高橋説明員 先ほどの御質問の中で、目方の点などで大へんな差があるという話がございましたが、それはその通り、硬貨の方が重いことは当然でございます。こういう点についての、硬貨と紙幣との間の使用上の優劣ということにつきましては、いろいろ意見が分れておりまして、私ども、先般新聞、雑誌等においてこれらの優劣論が取り上げられましたときに注意して見ておりますが、それぞれ使う面から申しますると、硬貨の方がいいという人もございますし、また現在の紙幣の方がいいんだという意見もございまして、私どもこれらを十分参考にさしていただいておりますけれども、今ここでは、私として、使う上からいって必ず硬貨の方がすぐれているのだというような結論を私どもが持っているということを申し上げるわけでございません。この点は全く皆様の御判断もいただかなければなりませんし、今後もそういう点について一層厳密に研究を進めていきたいと思っておるわけでございまして、私としてもここで、硬貨がはるかにすぐれているというようなことを申し上げる意志は毛頭ございません。まだその辺ははっきりわからないと申し上げた方がいいのじゃないか、両論あると思います。
#31
○井谷委員 私の調べたところによりますと、百円札は〇・九グラムです。コインは六・七グラムですから、ちょうど七倍半の重みになります。それからなお申し上げておきたいのですが、これは確実な数字かどうか知りませんが、製造の費用が、百円札一枚作るのには四円五十銭かかる、百円コインになれば四十五円になるという話を聞いております。そういうことがございますか、それだけ費用の要るものですか。
#32
○高橋説明員 現在の百円の製造費と申しますと、これは全部でございますか、もし硬貨の場合になりますと――これは現在でも、十円も五十円も硬貨でございますが、地金代と製造費に分れると思います。つまり地金代というのは、もちろん摩滅したりあるいはいろいろな災害等のときに滅失することはございますが、大体において再び環流することがあると考えます。地金代を含めた製造費の全部をとらえますと、おそらく、安く作りましても、百円のものを作るのに大体四十円前後はかかるのじゃないかと思います。ただこれは大きさその他品質等をきめなければ何とも申し上げられませんが、その大部分が地金代でございまして、地金を除きました製造費、つまり鋳造費だけをとらえますと、百円紙幣一枚を作る製造費と硬貨の鋳造費はあまり違わない、こういうことは申し上げることができるのじゃないかと思います。
#33
○井谷委員 それから、これも漏れ聞くところによると、大蔵省は、この百円コイン鋳造とともに将来一万円の札をこしらえる、こういう構想から、ミッマタの使用量はさして減らないということを考えられておるやに聞くのでありますが、一万円の紙幣をお作りになるのでありますか。
#34
○高橋説明員 その点につきましても何ら決定を見ておりません。
#35
○井谷委員 決定を見ていないが構想の中には出ておると私は思います。そうするとこれは話が先ほどに戻ってくるが、一万円の札ができるようになった場合に、百円硬貨のおつり銭をたくさんもらうようになった場合の不便さも一つ考えてもらわなければならぬと思います。それから銀貨を作るといわれますが、二の銀貨が八年間に八億枚といえば約二千七百トンです。その手持ちがどれだけあるかというと、政府手持ちが二百トン。千八百トンの接収解除の銀を使うとしても七百トンという不足ができる。さらに小枝さんも先ほど申されましたが、接収解除の銀を当てにするということは1今、日銀に眠っておる銀は、戦争中に金、銀、ダイヤモンドと一緒に供出をした、それらのものが主体だと思う。これは前国会でも問題になったのであって、何に使うかということはまだきまっておらないはずです。そういうものを、大蔵省がすでに自分のものだと思って鋳つぶしていくというようなお考え方は、大へん行き過ぎておると思いますが、やはりあれを使う、こういうことでありますね。
#36
○高橋説明員 もし硬貨を作るということになりました場合に、ああいったものが使用できる状態でありますれば、当然それを先に使用するということになると思いますけれども、今の段階では、もちろんあれは使用可能な状態になっておりませんので、それを使うということを申し上げるわけにはいかないと思います。
#37
○井谷委員 そういうふうに、まだ硬貨を作るその基本の原料がきまっていない。そうしてまたこれを使うとすれば、法律も新しくこしらえなければいきますまいが、そういうふうな、まだ実際民間であったならば、海のものとも山のものともつかぬ正体のないものを、既定の方針のようにそれを進められ、ミツマタ栽培家に非常な脅威と不安を与えるという、こういうやり方は、私は感心しません。大蔵省はこれらこついての大きな責任があると思うのだが、冒頭に申し上げましたように、お答えがないのだが、これらについてのお考えを承わりたい。
#38
○高橋説明員 私どもといたしまして、特にミツマタを減らすためにどうこうするというようなことは毛頭考えておりません。むしろあの問題が新聞等に出ました際に、ミツマタ関係の方々が非常に心配して来られた。そこで私どもは、非常に心配しておられるけれども、ミツマタそのものとしてそんなに減るというふうには考えてないのだ、この点ははりきりした数字はもちろん申し上げられませんけれども、硬貨に切りかえたからといって、ミツマタの買い上げ量が急に減るのだというおそれはもちろんないということをしばしば強調いたしましたくらいでありまして、実際問題として値段が下ったりしたようなことがもしありました場合に、これはまことにお気の毒だと申し上げるほかありませんけれども、こちらとしては、そのような値段が下るほど買い上げ量が減ってしまうのだということについては、常にこれを否定して参ったような次第でございます。御了承を願いたいと思います。
#39
○井谷委員 将来ミツマタの使用量は減らないから心配することはないという、ただそういうばくとしたことでは、これはやはり心配せぬわけにはいかぬのであります。私は大体大蔵省においても一万円札をこしらえる、そういう基準の線から徹底的に割り出されたものを持っておられると思う。どういうふうな状態になって、あるいは経済六ヵ年計画の線に沿うて、年々これだけのものはふえていく。そうしてまたこれだけのものは減っていく。硬貨の場合とミツマタ使用の場合、そういう資料はあるのですから、われわれに納得のいく程度のもの、そう専門的なものはいりませんが、そういうものを一つお出しを願いたいと思うのですが、これはできておることは私知っておりますので、お願いしたい。これは私どもの計算ですと年々減って参っておる。あなたはふえると言われるけれども逆なんです。
#40
○村松委員長 今要求の資料がありますか。
#41
○高橋説明員 内部的なものですから……。
#42
○井谷委員 なければこしらえていただきたい。
#43
○村松委員長 なければこしらえてくれという要求でございますから、お伝えをしておきます。答弁なさいますか。−井谷君答弁がないようです。
#44
○井谷委員 出していただけるのですか。
#45
○村松委員長 今のところ内部的のもので、出すべきものはないということです。今これからこしらえて出すことを要求しておきました。
#46
○井谷委員 私はその資料が出てからまた質問を続行したいと思います。
#47
○村松委員長 中村時雄君。
#48
○中村(時)委員 私はまず第一に、現在このミツマタの問題に関しまして、
 一番最初に言いたいことは、農林省と印刷局において、総合的に十分な研究をせずして、ただ単に造幣局のみにおいてそういう問題の取り上げ方をしておるというところに一つの理財局に対する疑問を持っている。しかももう一つお聞きしたいのは、少くとも現在この地域を見てみますと、高知、愛媛、徳島、島根、静岡、岡山、この地域の、特に山村地におけるところのミツマタ生産業者、これらの方々が死活を賭しての問題として今取り上げられておるということを前提にいたしまして、一、二お聞ぎしたい、このように考えておるわけなんです。
 先ほど理財局の方から、政府はやらざるを得ないということを取り消されたわけでありますが、あなた方の立場というものは、少くとも政府すなわち内閣においていろいろなことを決定される、その決定されたものを行うというのがあなた方の立場であろうと私は思うのであります。それを逆にあなた方が自分がこうだということを表現されるということは、非常に今後とも慎しんでいただきたい。これは少くとも政党政治におけるところの原則である。しかもそれが秩序である。そのことをみずから破るような行為というものは、よく今後においては注意を払っていただきたい。これは一点御注告であります。
 それからあなたは先ほど取り消しはいたしましたけれども、しかしその本質の中にひそむものは、やはり私は、百円硬貨をやるという腹がまえがあるであろう。これがほんとうの正直な姿であろうと思う。そこで的確にお尋ねしたいのは、まず第一に、三十一年度の予算の要求を、あなた方は百円硬貨切りかえのために行なっておるかどうか、三十一年の予算要求に入れておるかどうか、これをはっきりと聞きたい。その点は明確にお答え願いますよ。
#49
○高橋説明員 三十一年度の予算は、この問題がきまりませんので、印刷局、造幣局の作業量としては大体両様の場合を考えて出しておる、そういうふうに了解しております。ですからこれは主計局としても、ただいまのところ査定はできないという段階であります。
#50
○中村(時)委員 そうするとあなた方のは研究過程でなくして、もうすでに一つの行為として、予算というものを出しておることは一つの行為であります。行為としてのそういう心がまえを持っているということになるわけなんです。違いますか。
#51
○高橋説明員 きまっておりますれば、それだけなんですけれども、この問題だけはきまらないので、この問題がきまったあとで、あらためてその数字をいじるといいますか、両様のかまえをとっておる、そういうことでございます。
#52
○中村(時)委員 全くずるいお考え方をしておるのですが、あなた方の本質は、要はやりたいという希望条件が非常に強いということなんですね。そういうように理解していいですね。予算の中には入れてはおるでしょう。要求はしておるのでしょう。そうするとあなた方の希望条件としては、非常に何だかんだ言って、きまっておりませんと言っておりながら、腹の中ではもう一応きまった線はでき上っておるということが言えるわけでしょう。
#53
○高橋説明員 きめかねております。腹の中でもきめかねております。正直に……。きめるというところまでいっておりません。
#54
○小枝委員 関連……。大蔵当局にお尋ねいたしますが、この百円硬貨の問題に端を発して、今日非常に窮乏しておるこころの農村山村のミツマタ生産者に非常に不安を与えておる。そこでここまで問題が進展して、しかも政治問題化しようとしておる今日、一つあっさりと百円硬貨の鋳造の問題は思いとどまってもらいたいと思うのです。銀の使い道については申し上げるまでもなく、よく大蔵当局御存じの通りでありまして、ミツマタはほかの方面に十分な用途というものが前途に開かれておらぬと思うのです。これを紙幣の材料にすると、非常にりっぱな国民の信頼するところの紙幣になると思う。先ほどのお話によると、銀貨を作っておけば永久的だといわれますけれども、これが真に永久的なら、もう一度貨幣を鋳造しておけば、もうこれの鋳造工場というものはいらぬわけです。それはけっこうでありますけれども、貨幣価値というものはいつも動揺いたしますから、そのたびごとに永久的であると思って鋳造しておいても、時にこれを引き揚げてまた改鋳しなければならないことになると思います。そういう意味において私は、ここまで政治問題が発展していこうとしておるときに、あっさりこの問題はこの際思いとどまってもらいたいと思います。その点についてどうお考えになっておりますか。
#55
○高橋説明員 私どもとしては、ここで何らその問題についてこうしろああしろということを申し上げることができませんので、こういう御要望がございますことは、十分上司にも伝えていきたいと考えております。
#56
○中村(時)委員 それではよく聞いてもらいたい。今度は農林当局にお尋ねするわけですが、現在理財局においてはきめかねておりながら、予算の折衝はやっておるということです。非常にわかったようなわからぬようなやり方をやっておる。過去八十年間、御存じのようにミツマタというものは、土地利用としては最も高度の土地利用をやっておるわけです。その戸数にいたしましても、御存じのように、たとえば特に山間地における零細農が中心になってこれをやっておる。そこで先ほど改良局長のお話では、農林省当局としては、このミツマタに対する農家経営の立場からいって、これを助長するという考え方を持っていらっしゃる。そうなんでしょう。改良局長は意図がはっきりしているのです。それだけはっきりしているなれば、少くともそれを勘案すれば、あなた方の中においても、当然百円硬貨はまだ時期尚早であるという結論が、きめかねておるならばきめられてもいいんじゃないかと私たちは常識で考える。あなたはどういうようにお考えになりますか。
#57
○大坪説明員 百円紙幣の硬貨への切りかえの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、この際ぜひ思いとどまってもらうように大蔵省当局には再々交渉いたしておるわけであります。
#58
○中村(時)委員 結論がはっきりしているのです。あなた方も一歩譲って、理財局の方もおっしゃる言葉を譲って、私も百歩を譲って考えた場合、要はこういうことになる。もしも百円硬貨にした場合に、今までやっておるところのミツマタの局納を、あなた方が全面的に引き受けるという責任が出てくる。今までこれだけ生産奨励をやっておきながら、そのまま切り捨てるという二とこなったら、ちょうど首をつろうとしている人間に、その首をつる台を引っぱって、早く首をくくってしまえと言って手伝いをするのと同じことじゃないか。そういうことにもなりかねない。そこであなた方がもし百円硬貨にした場合に、農林当局としてこのミツマタの問題の局納を全責任を持って行うことができるかどうか、あるいはその農家の安定をはかることができるかどうか、あるいは逆に農林当局に対しましては、もしもかりに今理財局のおっしゃるように、百円硬貨ができるとするならば、そのミツマタ業者に対して、いかなる責任を持ってこれを安定さしていくような方向の考え方を持っていらっしゃるかどうか、それをお聞きしたい。
#59
○大坪説明員 ミツマタの生産地帯、また生産事情は、先ほど申し上げましたように非常に特殊地帯におきまして、特殊な方法で生産されておりますので、これが転換というものはなかなか困難であると思うのでありまして、従って農家収入を維持して参ります関係上、この際転換の問題は取りやめてほしいということを強く要望いたしておるわけであります。
#60
○中村(時)委員 今お聞きのように、私もそうだと思います。ミツマタというものは、御存じのように多年作なんです。きょうやったら、あすできるという作物ではないのであります。それだけに年期が入っている。それだけに非常に苦しい。生活も犠牲を払っている。今までは国家のためだといって犠牲を払ってきた。そういうふうになってきている状態です。あなたはそういう状態を考えられまして、今どういう争うこお考えこなっておる小。今までは私の方も迷っておるんですと言うが、その迷った中にどれだけの考え方が打ち出されてきたかを聞きたい。
#61
○高橋説明員 ミツマタの問題につきましては、たびたび私も申し上げましたが、そもそもミツマタの使い方を減らすためにということは毛頭考えておりませんし、百円硬貨に切りかえた場合においても、これからの通貨製造計画の立て方によりましては、若干ふえるくらいのことが予想されるくらいでありまして、減るということはあまりないじゃないかというふうに思います。ただしこれはそういう計画がはっきりまだでき上っておるわけでもございませんので、ここで私の口から絶対に減らないということを明言するのは、少し行き過ぎておりますけれども、私個人の予測から申しますと、その計画のいかんによりますが、まず減ることはないんじゃないだろうか、従ってそう不安にお考えになる必要はないように思うわけであります。
#62
○中村(時)委員 あなたは計画がほんとうにでき上ってないにかかわらず、そういう不安に思う必要もないし、ミツマタの局納も減るとは思いませんと言う。あなたのような頭のいい人が総務課長をやっておる。その方が計画もでき上ってないというのに、私はそういうふうに思いますという結論はどういうところから導かれるのか、私は非常に疑問なんです。あなたのようなりっぱな方ならば、すぐにそういう結論が一ぺんに出るのかもしれませんが、そこでそれでは減りはいたしませんということは、どういうところにあるかということが第一点。貨幣にした場合に、おそらく私たちの承わっておるのでは、年次計画をもって何年後にどうするという一つの立案がはっきりあると思う。あなたはまだでき上っておりませんとおっしゃいますけれども、計画としては考えられておるからこそ予算措置の中にはっきり出しているのでしょう。予算措置の中に両立させてできる場合とできない場合とを出したということは、その計画に基いてやっておるのです。その計画はないにかかわらず、予算措置の要求をするというようなことをいって、国民の税金から金を取るなんて、そんなべらぼうな計画はあるものですか。そう考えるとあなたは計画はないのじゃない、あるが発表ができないという答弁がほんとうだろうと思う。そこでその計画を一つお教え願いたい。この二点。
#63
○高橋説明員 計画と申しましても公表し得る計画というものはないという意味でございます。もちろん研究いたしておりますと申し上げる以上、何ら数字もいじらないで架空なことを申し上げておるわけではございません。試算はいろいろとやっております。試算はいろいろやっておりますが、しかしこれはあくまで試算でございまして、それが大蔵省のされた計画であるというふうには申し上げかねる、こういうのでございます。なおどうして減らないかという点は、はっきり数字は申し上げられませんけれども、要するに現在の日本銀行における発行元準備、これは予備券のことですが、これはある程度は必ず持たなければいけないわけでありまして、おそらく操作上最低なものでも三ヵ月分は絶対持たなければならぬ。日本銀行の本店にだけ積んでおけばいいというわけではございません。全国の日本銀行支店にそれぞれ次の配車があるまで――汽車で送っておりますが、次の配車があるまでの間ちゃんとつなげるだけの手持ちが必要なわけです。これは物理的に申しても最低三ヵ月は必要なことになっておるわけですが、今の発行元準備というものは券種によりまして差はございますが、非常に低い。年末などで見ますと、四、五ヵ月分しかないことになっております。券種によっては三ヵ月すれすれの線まで落ち込んでくるものがある。非常に心細いような状態であります。戦前におきましては通貨発行高の二倍半、場合によると三倍くらいあるところもございますが、二倍半くらい持っておった、つまり二年分くらいの発行元準備というものがあったわけです。そこでいかなる事態が生じましても、日本銀行にお札がないなどということは万々ない、そういう万全の態勢をとっておったのが戦前の姿であります。今はそこまではいっておらぬわけであります。今日まで幸いにして大体そういう危険なことはなしに過ごして参りましたけれども、やはり経済が正常化するにつれまして、漸次そのような発行元準備につきましても戦前の状態に復しなければならぬと思います。しかしこれを急速にやろうといたしますと、かえって非常な摩擦がございますので、急速にやる考えはなくて、かりに計画を立てるといたしました場合には、相当長期間にわたってだんだんに発行元準備を充実させて、最後には発行高の二倍程度にまで持っていかなければならぬと思います。これには十年でも足りませんでしょうし、十五年あるいは二十年かかるかもしれませんが、しかし長い聴聞をかけてだんだんに発行元を手厚くしていくということが、理論上も実際上も必要であるというふうに考えているわけであります。そういたしました場合には、現在の百円は減りましても、千円等の高額券は今よりははるかに多く印刷をしていかなければならぬ。そういたしますと、千円の場合には同じ一枚を印刷するのに百円券のおおむね四倍のミツマタを必要といたします。そういうことから私どもの係の方のただ単なる試算ではございますが、これを充実さすという計算をすると、ミツマタの使用量としては減るという数字はほとんど出てこない、こういうことを申し上げたのであります。
#64
○中村(時)委員 どうもただ単なる試算とか計画とかいうことを言っているのですが、あなた方が予算の要求をされている以上は、それに基くところの計画があるであろうと思う。あなたの答弁じゃ納得いたしかねます。
 そこで私は資料の一、二を要求しておきます。まず第一に、百円銀貨の鋳造年次計画、大体どういうふうにあなた方は考えていらっしゃるか、その年次計画をはっきり出していただきたい。それから高額券を発行せずして流通高がふえると仮定した場合には、どういうふうになっていくか。あるいはまたその逆の問題を取り上げたときの、そういうデータを出していただきたい。これをお願いしておきます。
 次に、あなたは千円札の問題に触れましたが、先ほど印刷局の方からもおっしゃったように、現在の百円札をミツマタを三割にいたしますと、かなり耐久的なものができ上る。耐久的なものができ上るということになれば、これは非常に考慮をする必要があるのではないか。そこでお尋ねしたいのは、百円札は年限が一年ということですが、千円札の場合にはどの程度の年限を考えていらっしゃるか。
#65
○高橋説明員 今の千円札は流通いたしましてから完全にこれが正常な回転を始める段階にまで至っておりませんので、ほんとうの耐用年数ははっきりつかんでおりませんが、大体五年ぐらいはもつものと考えていいのではないかと思います。
#66
○村松委員長 なお資料の要求に対しては御意見は……。
#67
○高橋説明員 資料の点につきましては、計画がないということを私は申し上げておりまして、つまり公表し得るような計画がございませんので、この点は御容赦願いたいと思います。
#68
○中村(時)委員 それはどうもおかしい。計画もなしにずさんに予算の要求をするというようなばかげたこともないと思う。作ればできると思う。だからそういうものを作っていただきたい。
#69
○高橋説明員 予算は先ほど申しましたように両様のかまえでおるわけでありまして、はっきりきまっておりますれば一方だけになるわけであります。しかし予算は必ず十年あるいは二十年の長期計画があって、それに基くものというふうに限りませんで、さしあたり今出ておりますのは、第一年目としてやればこんなようなものであるという程度のものが出ておるわけであります。非常にかたい計画に基いた予算要求が出ているわけではございません。
#70
○中村(時)委員 あなたのおっしゃることは、どうも私は解せないのですが、ともかく予算を要求するなれば、百円硬貨をこれだけこうするからこういうように要求するんだ、こういうことになってこなければならぬと思う。それは当然そうだろうと思う。だからそういうものから勘案していけば、そういう資料というものはみずから作れると思うのですが……。(「大蔵省は勘でやっておるんだ」と呼ぶ者あり)政府与党である自民党の中からも、勘でやっておると言われる。そこでよくかんで含めるようにわれわれにも言ってもらいたい。
#71
○高橋説明員 造幣局の予算として、来年度においては初年度でございますから、普通の年よりは非常に少い量の百円硬貨をまず作る。年次計画というものがはっきり先にあって、そうしてそれに基いた初年度分として出ておるというよりは、いずれにいたしましても初年度はこの程度である、こういうふうな意味で出ておりまして、造幣局自身がきめかねておるわけであります。
#72
○中村(時)委員 ともかくそういうずさんな方法でやっておる。この委員会の各諸氏はおそらくそう考えておるだろうと思う。そんなずさんなことで、たとえば予算を編成するとか、要求するとかいうようなことはできない。あなたの考え方はほんとうにずさんだと思うのです。
#73
○高橋説明員 その点についてもう一ぺん釈明させていただきます。この問題は先ほど申し上げました通り、主計局としても査定のしょうがない。つまり要求がはっきりした形で出ておるわけじゃない。この問題は決定するまでの間一応の案として受け付けておるわけであります。いずれあらためてこの問題がいずれかに決定いたしました際には、それに基いてはっきりした予算要求をもう一ぺん出し直しまして、それを早急に査定する、これだけをいわば別物扱いにしておるというのが実態であります。
#74
○中村(時)委員 それではふんだくり、ぶったくりというわけですよ。これだけとっておいて、それから考えていきましょうということです。そんなべらぼうなことでは、非常に重大な問題だと思う。そんなふんだくり、ぶったくりで予算を折衝されたのでは大へん重大な問題だ。あなたはそれでいいという結論があって、そういうことを真剣にお考えなんですか、もう一回だけお聞きします。私はその結果百円硬貨に対するあなたの考え方は非常にずさんであるという結論をつけざるを得ない。
#75
○高橋説明員 問題がきまっておりますれば、それははっきりした要求になりますけれども、問題が決定した後においてあらためて要求を作り直して出す、こういうことになっておるわけであります。つまり造幣局と印刷局に関する限りは、いわばいつものような予算要求という形で受け付けておるわけじゃないのでありまして、主計局としては暫定的な予算として受け付けておる、問題がきまったならば、あらためてそのときに正式な要求を出す、こういうことになっております。
#76
○村松委員長 中村君、これは理財局長の出席を待って、さらに質疑をいたしたいと思います。
 そこで関連の要求があります川俣君に一つ発言を譲っていただきます。
#77
○川俣委員 私は約三点だけお尋ねしたいと思います。
#78
○中村(時)委員 まだ終ってないのですから、関連質問は一点ぐらいで……。
#79
○村松委員長 それじゃ関連の要求でなく、別の発言にいたします。川俣君はあとにしていただきます。
#80
○中村(時)委員 それからもう一つお尋ねしたいのは、あなたの百円硬貨という観点の基本は、経済が現在安定しておるという立場に立ってのお考え方だろうと思う。そこで現在実質的にあなたは経済が安定しておるとみなされるか、あるいは将来における変動があり得るかあり得ないかということをまず一点お聞きしておきたい。
#81
○高橋説明員 おおむね安定しておると思います。もちろん将来に対して何らの不安がないとは申しませんが、大体において安定しておると思っております。
#82
○中村(時)委員 私は逆に考えておる。これはどこが、たとえば社会党が与党になっても同様のことになると思いますが、少くとも現在の為替の上からいって、ドルにしても三百六十円、たとえば中国におきましても現在百四十四円の対為替勘定をやっておるわけです。そういう線を私たちは引き下げていくところに努力をしているのです。しかもあなた方のお考えのような姿からいけば、当然想像されるのは五千円券なりあるいは一万円券なりというものが想像されてくるのです。そこで私たちはそういう安定化している方向はまだない、もっと安定をさせなくてはならないという基本を今後確立していかなければならない。そこで一つお尋ねしたい。これはあなたは先ほど地金代あるいは製造費、それが百円について四十円、四十円のうちそのほとんどが地金代とおっしゃる。地金代といえば実質価値なんです。そこでその実質価値の四十円という分があるならば、それを他の方に転用する方がしやすい。ところが先ほどお聞きのようにミツマタ、コウゾにおきましては、転用する面というものが非常に少いのです。そこで今言ったように転用する面が少いものを農家経営の立場からいっても取り上げて、そうして実質価値が四十円あるのですから、これは他の方に転用される方が、実際に経済全般の安定の上からいって、私は当然の帰結だろうと思うのです。そのくらいのお考えは持っているだろうと思うのですがいかがです。
#83
○高橋説明員 転用と申しますのはおそらく地金の転用のことであろうと思いますが、これはもちろん転用は可能であろうと思いますけれども、国内におきましては今の生産量は二百トン余りだと思いますが、銀の地金の生産が二百トン余りといたしまして、そのうち何十トンかは輸出いたしておりますから、国内における消費量といたしましては、現在の国内生産量全部にまでは達しておらぬというのが実態でございます。そうしますとかりに二千トンという数字をとりますと、大体日本国内の消費だけといたしますれば十年分ぐらいに相当するような数字でございますので、さしあたりの転用と申しましても、輸出すれば別ですが、輸出でなく国内で消費するとすればかなり大きな量になると思います。
#84
○中村(時)委員 二千トンとおっしゃいましたけれども、それは今度解除になった分を含めての問題だろうと思います。そこで今言ったように転用の価値判断をした場合には、まだその範囲なり方法なりというものは、私はあるであろうと思う。そういうような御研究をなさったことはありませんか。たとえば経審なら経審と相談するということは今までにありませんか。
#85
○高橋説明員 銀の転用と申しましても工業用として使う銀が大きいわけです。私ども専門ではございませんので、銀の使途全部については調査しておりませんが、たとえば写真の乾板用に大きく使っております。これらは写真の関係なんかの仕事がふえるにつれまして年々多少ずつ消費は増大いたしますが、現在の段階ではまだ国内の生産が二百トン余りであり、その全量を消費するに至っておらない。これに対しましてかりに接収解除の銀が使えるような状態になりました場合に国内においてその二千トンという銀を使うということはちょっとめどがつかない。従いましてこれを早急に金にかえるという必要がありますれば、これは輸出するよりほかないというふうに考えます。
#86
○中村(時)委員 輸出になれば輸出でもけっこうなんです。問題は銀そのものの地金は実質価値が四十円あるのです。そうでしょう。片方はもっとはるかに低いものである。効用度の上からいっても、この低いものを流通過程に持ってきて、輸出するならば輸出するのもけっこうですから、実質価値のあるものは実質価値のあるような方法をとる。このくらいは子供だってわかりますよ。そういうふうにお考えを願って努力していただきたい。ただしあなたと幾ら話をしておっても、ともかく急所がはずれてしまって答えにならない。だから委員会に出ていらっしゃるならば、少くともそういう点をはっきり自分の態度をきめて明確に答弁のできるようにしてここへ出てきていただきたい。あなたの今のようなあいまいもことした答弁ではこれはとても結論は出ませんし、そこで今言った一点だけを最後にお答えを願って残りは局長なりあるいは責任のある答弁のできる方を呼んでいただきましたときに私はこれを継続質問といたしたいと思うのであります。これでは、時間の空費ですから最後の一点だけ一つお答え願って……。
#87
○高橋説明員 実質価値があるということと転用ということを私もまだよくのみ込めない点がありますが、片方は実質価値がない、片方は実質価値が四十円近くある。その点について差しつかえなければもう一度まことに相済みませんが、どういう意味であるのかお教えいただきたいと思います。
#88
○中村(時)委員 こういうことなんですよ。銀の方は地金の銀そのものが四十円の価値を持っておるわけです。ところがミツマタの方は四十円もの価値がないわけですね。そうすると効用度からいって価値のないものを価値のあるように使う方が農家の実際の上からいっても助かるのだ。価値のあるものは価値のあるものとして輸出もできるのだし、あるいはほかの方法も、あなたはまだ考えていないとおっしゃるが、考えるように努力し、そのようにやっていくのがほんとうではないかということを言っておるのです。
#89
○高橋説明員 その点は意見にわたりますから私ここであまり申し上げたくないのですが、ミツマタの方は、つまりミツマタといいますか紙幣の方はそれに含まれておるミツマタをも含めまして四、五円でできる。片方は地金を含んで四十円前後かかる。そうした場合にその価値のある高い方をほかに転用せよというお話でありましたが、これは経済的に論議いたしますれば、紙幣の方は幾ら長くといいますか、現在のものを多少改良を加えましても、二年なり一年半すれば滅失してしまうわけです。これはものとしてはなくなってしまう。そのために年々二十数億円の予算を必要としておるわけであります。これだけ国民の税金で二十数億円というものが百円札のために使われておる。これに対しまして片方の銀の場合は、その地金自体としては滅失ということはないではありませんが、非常に少い、ときどき過去におきましても鋳造がえなどをいたしておりますから永久的とは決して申せません。ただ非常に長い期間にわたって、それはその性質を失わず持続いたしますから、経済的に考えた場合にどちらが得かということはあまり簡単には言えない。どちらかと申せば鋳造費というものは空費されてしまいます。それはちょうどお札の印刷代に相当するものでありますから、これは何にもなりませんけれども、地金そのものは大体過去の経験で見ましても鋳造がえするときにもう一ぺん使える、何べんでも使える、こういうような意味がございます。
#90
○中村(時)委員 だからさっきから言っておるのです。そういうふうこしてもあなたは、漠然とわからないから年次計画的に、たとえば本年度は今言ったように百円硬貨をこれだけにした場合、あるいは百円硬貨を作らなかった場合、そういうふうに考えて私が資料の提出を願いますと言っても、それをこしらえてくれない。それは十分計画ができていない。それでは答えるものがなければ何にもなりませんよ。みずからがみずからを暴露したわけですね。だから問題は、あなたとこうやっておったのでは最後の結論の締め方ができ上らない。そこで委員長、今言ったように私は責任のある人を要求いたしますから、お願いいたします。
#91
○村松委員長 承知しました。川俣清音君。
#92
○川俣委員 私は主として農林関係から大蔵当局並びに農林当局にお尋ねいたしたいと思います。どうも根拠がよくわからないので、はなはだ悪いけれども、いろいろお尋ねしますから御答弁願いたいと思います。
 日本領土の狭いことはむろん御承知だと思うのですが、狭くて人口の多いことはお認めになっておると思いますが、その前提はそうだと思いますか。――大蔵省もそうでしょうな。そういたしますと、この狭い領土の中に人間が生活するのでありますから、もちろん生活の向上もはからなければならぬと同時に、土地の利用も高めていかなければならないというふうに私は思うのですが、この原則は大蔵省から見て間違いだと思いますか、この点だけ御答弁願いたい。
#93
○高橋説明員 その通りでございます。
#94
○川俣委員 そういたしますと、土地の高度利用という面からいたしまして、狭い土地でありますから結局は急傾斜地、非常に山の険阻なところまで活用して国民経済をまかなうような生産を上げるということに努力することは国家的要求であり、国民経済の上からもしかるべきだと思うのです。ところで急傾斜地の利用率の一番高いのがミツマタであります。普通の杉だとかほかの針葉樹などは直線に伸びるのであります。従って急傾斜地でありますと、この面積を十分に利用することができない。ところがミツマタは御承知の通り、上に伸びるよりも横に伸びる力がありますから、急傾斜地でも平面と同じような面積に植えることができまして、これほど急傾斜地の利用度の高いものはないのです。この点はお認めになりますかどうですか。
#95
○大坪説明員 まさに御意見の通りだと思います。
#96
○川俣委員 大蔵省はどうです。
#97
○高橋説明員 御意見の通りでございます。
#98
○川俣委員 大蔵省も土地の利用度の高いミツマ女栽培については理解を持っておる、こういうふうに理解をいたしまして次の質問を進めます。
 大蔵省当局の先ほどの御答弁の中に、硬貨にするか紙幣にするかについては、いろいろ影響するところが大きいので慎重に研究をしておられるそうであります。その研究で、大蔵省の内部の造幣局に与える影響とか印刷局に与える影響とか、そういう点はこの際お尋ねいたしません。いろいろ影響するところが大きいというのは、おそらく国民経済の上に与える影響が大きいことをお考えになっておられるのだと思いますが、いろいろ与える影響が大きいというのはどんな点を指しておられますかお尋ねしたい。
#99
○高橋説明員 国民経済の上に与える影響が、実質的にはそう大きいとは私は思いませんけれども、ただ何分にも百円という金は全国民が毎日使うもので、全国民が関係しているものでございますので、これの方がいいとか悪いとかいう意見はだれからでも言い得る問題でございます。それだけにこの問題が新聞等で取り上げられた際にはかなり大きく扱われたということを見ましても、そのことはわかるのであります。あとは、問題の重要性は別といたしまして、印刷局の今後における機構なり、規模なり、造幣局のあり方というふうな問題についても、これはもちろん大蔵省内部の問題でございますが、それぞれ人員の整理というふうな点から影響がなくはないと考えます。なおミツマタについても同様何らかの意味で影響があるのではないかという問題があるわけでございます。それでこのように取り上げられておることと思いますが、その点は私どもは実質的にはあまり影響がないというふうにたびたびお答えいたしましたけれども、しかしそういうふうに影響があるであろうというふうにとられる点はやむを得ないと思います。
#100
○川俣委員 いろいろな影響の中にあげられたのはミツマタです。大蔵省内部の造幣局と印刷局の関係をおあげになりましたが、もっと影響するところが大きいのじゃないですか。それを検討しておられるのではないですか。いろいろ検討されておる点を正直にお聞きしたい。一体こういう点を検討しておるのか。結論を聞くのじゃないのです。検討される材料になっているのは何かということをお聞きしたいのです。
#101
○高橋説明員 その検討と申しますのは、やはり通貨の系列としての問題が中心でございます。通貨の系列としていかにあるべきか、それは現在のままでいくのと、切りかえた場合には国家の財政に影響するわけでございますから、そういう点を通貨に対する国民の使用上の便とか不便とかという問題とともに考えたいと思います。
#102
○川俣委員 どうも大蔵当局の考え方は、大蔵省内部の問題としてのみ重要視しておられるのではないかと思います。影響するところはもちろんミツマタにも関係いたしますし、一体財布などを見てごらんなさい。今までは紙幣を入れる財布になっておる。これをドル入れのように硬貨を入れるように変えなければならぬことになる。個々の経済にも相当影響するのです。私はそういうところまで検討しておられるものと思っておった。ところがそれはあまり問題にされていないようです。そういうところを見るとややずさんなような気がする。影響を与えるところを各般にわたって検討されておるのかと思うとそうじゃない。全く大蔵省の内部のことだけで検討されておるようですが、そういうような考え方だけでは、御承知の通り貨幣というものは貨幣法という一定の法律に基いて作られておるものでありますから、この改変については国民経済特に農民経済に及ぼす影響について慎重であらねばならないと思いますが、この点はどうですか。
#103
○高橋説明員 今仰せられました財布というような入れものの問題も含めまして、国民の通貨使用上の便益の問題という点で先ほど申し上げたつもりでございます。もちろんそういう点も十分考えております。慎重にしておるのはそういう点を考慮して慎重にしておるのでございます。
#104
○川俣委員 ミツマタの買い入れ数量は年次計画において減少することはないことをたびたび言明をいたして安心を与えておるということでございましたが、年次計画で買い入れ数量あるいは使用数量が減少することはないと言明せられた根拠を資料としてお出し願いたい。言明せられたからには、おそらくその資料に基いて言明せられたものと思うのです。そうして安心を与えられたことと思いますから、その資料をお出し願いたい。委員長、資料の請求をもって私の質問を終ります。
#105
○高橋説明員 その点は帰りまして、どの程度のものをお出しできるか、何しろ計画といいますか、正確なものかどうかについては、大蔵省としては……。
#106
○川俣委員 答弁にならぬですよ。あなたは減少することはないということをたびたび言明しておる。言明された以上、資料をお出し願いたい。
#107
○高橋説明員 承知いたしました。
#108
○村松委員長 農林大臣が出席しましたから、今のミツマタ問題に関して簡単に質疑を許します。
#109
○中村(時)委員 先ほどから実は大蔵省、農林省にいろいろ質疑応答をやったのでありますが、結果において、大蔵省の方からは理財局からこミツマタに関して、百円硬貨にするという名目のもとに、予算の要求をしていらっしゃるということがはっきりした。しかも二本建です。そこでそれに関して私たちから、少くともその予算の要求をした以上は、その過程におけるところの経過、すなわち比較をもってやられたのであろうから、その資料の提出を要求したところが、十分な計画がないということがここにはっきりしたわけです。御存じのように現在ミツマタを製造している地域、特にこれは零細農家が多いのでありますが、その零細農家を、土地の効用度からいいましても、あるいは現在までの政府の施策の上からいいましても、八十年間にわたって指導援助をしてきたわけであります。にもかかわらず今現実には、そのデフレの波、あるいはまたマニラ麻の転換によって非常にミツマタを多量に抱き込み、あるいは価格の低落によって、これらの農家が瀕死の状態になっておる。そこで私たちがこの問題に反対を唱えつつあり、その結果いろいろのことを要求いたしましたところが、先ほど言ったように、予算の要求をしておるということが出てきたわけです。ところが予算の要求も決定したものではなく、その計画たるやまことにずさんである。私たちとしてはどうしてもこれは納得しかねるという状態なんです。そこで農林大臣としては、少くともこれを私たちの考え方に基いて行動をとっていただきたい。同時に大蔵当局に対してもその折衝をやっていただきたい。また過去において折衝をやったことがあるかどうか、そういう問題をお聞きしたいと思います。
#110
○河野国務大臣 ミツマタの生産業者の諸君が、政府が百円紙幣を硬貨にかえるために、非常に不安があるということは、かねて委員諸君から御注意をちょうだいいたしておりますので、私もこの問題について両三回大蔵大臣と懇談いたしました。しかし現在の百円紙幣の流通の点において、非常に不経済であるというようなことから、これが対策をどういうふうにするかということと、それからミツマタを一方において生産の奨励をしながら、その点について全然配慮せずに、ただ政府の一方的な都合でこれを硬貨にするということのよしあしというようなことにつきましては、慎重に検討する必要があることは、大蔵大臣も私も同様な意見であります。従ってただいま御指摘のありましたように、もしこれを百円硬貨と併用いたします場合、よって生ずるミツマタ生産業者の今後の対策につきましては、政府としてはもちろん万全の策を講じて、これが今日まで政府の意図に基いて、生産の奨励の対象としてこられた諸君の別途転換等につきましては、遺憾なき方法を講じなければならないと私は考えております。ただいま御注意もありますので、今後すみやかにこの問題の解決策を大蔵当局と打ち合せておりまして、どういう方向で進むか、進むことによって生ずる対策はどうするかということについては、一つ案を具しまして皆様に御相談申し上げたいと思いますから、御了承いただきたいと思うのであります。
 次に続いて、この機会に一つ私から皆さんに御報告を申し上げたい点があります。それは有明海の農薬の害毒に対する対策でございます。これは前国会においても、委員各位から熱心にこの点について御主張がございましたので、政府におきましてもこれが対策についていろいろ検討をいたしまして、しかも大蔵当局との間においてもこれが対策の予算化についても相談をいたしております。大部分のものはもちろん明年度予算に計上しなければなりませんが、御承知の通り利用の水域の変更でありますから、明年度予算を待っておりましては時期が非常におくれる点もございますので、それらの点につきましては、本年度内に予備費をもって一部準備にかからなければならぬ点等もございます。これにつきましては大蔵当局とすでに打ち合せをいたしまして、着々実現するように努力いたしておりますから、必ず御期待に沿うように私はできるということをここに申し上げて、御了解を得たいと思うのでございます。なお詳しいことは事務当局から詳細を申し上げることにいたしますから、これで私の申し上げることは御了承をいただきたいと思います。
#111
○中村(時)委員 最後に一点、これは要望として申し上げますが、御存じのように、ミツマタというものは、土地は非常に高度に利用される作物であり、しかも零細農家がほとんどである。もう一つは、作物の形態としては多年作である。そういう意味において、すぐに転換ということは農家経営にとっては非常に困難な状態になっておる。そこで先ほども総務課長からおっしゃったのですが、貨幣の価値としての標準が、大体百円硬貨にした場合に銀の本質価値が四十円、ところがミツマタの場合には、今二割使っておりますが、それを三割にした場合に、その耐久力も三年なり四年になるという結果がはっきり出てきておる。そういう魚味において、農家経営と、今の硬貨に対するところのあり方という問題と、作物の性質上多年作ということから非常に転換が困難であるという結論を私たちは持っておりますが、一つ河野農林大臣も十分その点を御配慮の上でその方向をきめていただきたい。と同時にもう一点は、今言ったように、まだ十分の政策ができ上っていないときに、こういう硬貨の問題を投げ出さないようにしていただきたい。これは厳につつしんでいただきたい、このように思っております。
#112
○河野国務大臣 御趣旨拝聴いたしました。十分善処することにいたします。
#113
○村松委員長 暫時休憩いたします。
   午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時一分開議
#114
○村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 農林水産関係公共事業費の問題に関して調査を進めます。質疑を許します。川俣清音君。
#115
○川俣委員 私はこの際農林大臣に、農林行政のうちでも最も農民にとりまして関心の深い公共事業費の削減と申しますか、節約についてお尋ねいたしたいと思うのであります。それは譲与税の特別配賦を考慮されて、政府は公共事業費から約八十八億を節約するのだということが新聞紙上に見えております。特に関心の深いのは農林関係でございまして、食糧増産から二十三億あるいは漁港あるいは林野関係から約九億ばかり、同じく北海道の項目になっております農林関係が四億というように、合せて約三十五億ばかりの節減をはかるのだ、こう言われているわけであります。このことが一体ほんとうなのかどうかという問題です。政府部内におきましても、また与党側におきましても、いや削減であると言われたり、農林省関係が約三十五億ばかり削減されたと言われたり、あるいはそれは節約だと言われたり、あるいは繰り延べだと言われたり、いやあれはもうすべて御破算になっているのだ、こういうように言われている。いやそうじゃなくて、年度末において未使用分があればそれは切り捨てるのだ、こうも言われておりまして、不安が非常につのっているわけであります。この際大臣の所見をお尋ねいたします。
#116
○河野国務大臣 ただいま川俣さんのお述べになりました数字は、農林大臣としては間違いだと申し上げます。そういうことは私は考えておりません。ただし新聞に出たことはあるようでございますから、例の通り大蔵当局がそういう見当をつけたのじゃなかろうかと思います。問題の性質はあくまでも切り捨てだとか節約であるとかいうようなことは考えておりません。公共事業費の中から幾らという金額も、公共事業費で幾らである、何で幾らであるということでなしに、農林省予算を通算いたしまして、そのうちから繰り延べらるべき――事業の性質上必然的に繰り延べる結果になるもののうちから充当するということで、従って今日直ちにその金額が出てもこないわけでございます。これはたとえば川俣さんの御承知な事業の中にも、ことしは東北の方が予想以上に雨が降った、工事の進捗状態からいってどうしても一割くらいは年度内には困難であろうというものが多少あるわけであります。そういうものについては、二割くらいどうしても工事が遅れている分については、一割くらいは繰り延べて、その方に金を回してもいいじゃないかというようなことを累計いたしまして、そういう数字が必然的に出てくるということが想定されますが、今直ちに公共事業費のどれから幾ら、どれから幾らということはございませんし、また公共事業費全体を通じて幾ら切るのだというようなことも考えておりません。また農林省予算におきましても、絶対にそういうことを手をつけてはいかぬものもあります。これらはおのずから出てくるわけでございますから、そういうものを要約して、年度終りにおいて補正予算を組む形になっていくのじゃなかろうかと思っております。
#117
○川俣委員 これで非常に一般に不安がられておりますいわゆる一割天引き削減、あるいは一割強要節約の不安はないということでありますので、この点農林大臣といたしまして、本委員会の要望もあったことでありますからして、なきことを期待いたすのでありますから、答弁はそれでけっこうだと思うのです。ただしこれはここで大臣言明されたからには、やはりこれが予算確保については責任が出てきた。当然これは国の予算でありますから、一度組んだ予算をそう軽々に予算削減できないことは法律上当りまえのことであります。当りまえのことだけれども、やりかねない歴史を持っているのでありますので、この問題を出したのです。ところがもう一つお尋ねしたいのは、すでに大蔵省から強要を受けたかあるいは強要を受けないでも政治的に察したかいたしまして、地方に対しまして、こういう節約が行われるのであるから、あらかじめ用意するような通達みたいなものか内部連絡をいたしたようなことが農林省にないかどうか。どうも私の聞き及んでいるところによりますと、あらかじめ用意するような準備はさせたように思われるのです。そういうことがなければ、ただ単なる新聞宣伝だけではそんなに恐怖を感じたりあるいは不安を起すようなことがないはずだと私は思う。この点いかがです。
#118
○河野国務大臣 そういうことがあったことは私は承知いたしておりませんし、そういうことはないと思う。しかしまあ私のところ以外のことをとやかく言う必要はありませんが、大蔵省がこういう予算の組み方をしようということの事務打ち合せを農林省その他の省といたしたわけでございます。その際に正直に一割節約とかいうような通達を出したとか出さないとかいうこともあることは聞いております。しかしそういうことはいずれも誤解でございまして、すぐ取り消したというふうに私は了承している。私のところに関する限り、私は終始今申し上げた線で大蔵大臣との間には話し合いをいたしておりますから、そういうことはないと私は信じております。また今後そういうことがあるはずがない。ただもししいて申せば、事業がどういうふうに進んでいるか、どういう状態になっているかという調査はいたしているかもしれません。そういうものについての一応の目安は、すでに私も、実はおもな事業についてはどうなっているということは聞いておりますが、そういう調査はしたかもしれませんが、無理に工事をやればできるものを予算がないからやるなというような処置は、絶対にいたさせない。従って御関係の事業でそういうのがありましたならば、御注意いただきますれば、絶対にそういうことのないようにいたしますから、どうぞ一つ……。
#119
○川俣委員 私は別に個々の問題を取り上げてお尋ねしているのではなくて、農林政策の上からお尋ねしておるのです。ところが事務当局の中においては、大蔵省の意向をそんたくして、あらかじめそういう通達みたいなものを出したものがあるようであります。それを取り消しておるかどうかという問題なんです。大臣が言明されるからにおいては、今日の農林省ではおそらく河野農林大臣を信頼しない者はないと思うのです。私たちもそう信じる。そこで私は、言明したからには、いまだ通達を出さないでおるようなものは、大蔵省の方を信用して、大臣を信用しないために起ってくる問題だと思いますから、すみやかにこれは大臣名をもって誤解を一掃される意思があるかどうか、この点をお尋ねいたします。
#120
○河野国務大臣 それはもし私の趣旨が徹底しないという点がありましたならば、間違いなく徹底させるようにいたします。
#121
○川俣委員 次に具体的に移りますが、年度予算でありますから、一年間の計画はかなり年度末までに進行できるものもあるだろうし、できないものもあるだろう、こういうことは予想がつかないわけではございません。ことに今年度の予算は、かなり特別国会で成立がおくれておりましたために、完全に消化できるかどうかというようなことを大蔵当局としては言いたいだろうと思いますけれども、御承知のように三十年度予算は、相当削減に削減を受けておるのでありまして、事務当局などが一年間の事業を執行できないようなもので予算を組んだとは私は思われない。むしろやり得るものもある程度予算上から削減されて、内輪に、やれるだけのものの中においても、さらに削られて予算ができておると思いますので、特別な天災地変がない限りにおいては、大体消化できるということで、事務当局は予算を組んでおると私は思うのです。年度末に未使用分ができるというようなことは、今日の予算の建前からいって、あまり考えられないと思うのです。ただし毎年のことでありますけれども、三月までに完了しないで、書類上は完了したことになりまして、実際上は四月に伸びるというようなことは今まであり得た。それもいけない、こういうことでの不用分というのでありますか。従来通り現実に作業が終らないでも、四月ごろに工事をして、少し工事が繰り延べになって、いわゆる書類上の審査で年度内、こういうようなやり方をも本年度はお認めになるようなお考えですか。
#122
○河野国務大臣 御承知の通り、前年度におきましても中間において約百億近い財源を出しておりますし、それでもなおかつ五十億前後の繰り延べになっておる実情でございます。従いまして特別の天災地変と申しませんでも、用地の交渉が済まないとか、設計を直さなければならぬとか、小さなことで申せば、先ほど申したような雨が少し続き過ぎたというようなこと等々で、結局予算をなるべく実行せんとしても、やむを得ず、残さなければならぬ、ついそういうことになりがちであります。これは多少われわれも責任があることでございますが、とかく従来そういうことになっておりますので、今後は十分注意してこういうことのないようにしなければならぬと思っておるわけでございますが、その点は一つ御了承をいただきたいと思います。
 そこで最後に三月三十一日、四月になっての書類云々ということでございますが、これは私からここでお答えすることは適当でないと思いますからどうか一つ……。大体すべては不法、不当、違法でない限り従来の慣行によってやるということで御了承を願いたい。この処置のために従来の慣行を破って非常に強くやるというような考えは持っておりませんから、どうか御了承をいただきたいと思います。
#123
○村松委員長 川俣君、ちょっと申し上げますが、今予算委員会において赤松勇君が最後の終局段階の質疑中だそうであります。農林大臣の出席を強く要求されてこられたんですが、いかがいたしましょうか。
#124
○川俣委員 もう一言……。
#125
○村松委員長 それでは一つ簡単に願います。
#126
○川俣委員 そこで地方の状態を見ますと、大体の予算がつきますと、国営一事業でないような場合におきましては、すでに予算を見込みまして、あるいは工事の竣工したような場合もあり得ると思うのですが、これも世に伝えられるような一割削減を行わないというようなことでありますから、私もあえてこれは追及いたしませんけれど一も、これを心配いたしておるのは、地方団体ですでに相当無理をしておったものを、やはり削減に応じなければ次の工事のためにどうも不都合が来るのではないか、あるいはそれを目のかたきにされて、他に影響しやしないかということを非常におそれておる。工事の終ったのを削減するというようなわけにはいかないから、これは常識的に問題はないはずだけれども、なおそれを工事の終らないような格好で、補助金の請求をしないでおく方が、あとの補助金が取りいいのではないかというようなことで、現に執行が終っておりながら予算的措置としては繰り延べられる。工事としては終っておるが、予算的措置としては繰り延べられるというようなことを、あえて応諾しなければならないような窮地に追い込むことばないであろうと思いますけれども、不安がありますのでこの点お尋ねいたします。河野国務大臣 しごくごもっともな御注意でございまして、何だかありそうなことだというような気がいたしますが、厳に戒めまして絶対にそういうことのないようにいたさせますから、どうかそういう場合がありましたら、御注意を具体的にちょうだいいたしますれば、絶対そういうことのないようによく注意いたさせます。
#127
○川俣委員 ではこれで保留しておきます。
#128
○村松委員長 それではニシンの漁撈対策についての調査を進めます。質疑を許します。芳賀貢君。
#129
○芳賀委員 ただいま議題になりましたニシン漁業問題に対しまして、水産庁長官に若干質問をいたします。
 第一点は、本年度の北海道における春ニシンの漁獲は、水産庁の御報告によりましても三万石程度でありまして、これは昭和十三年の凶漁以来の大凶漁であるということになっておるのであります。この当時も当委員会におきまして、ニシンの凶漁地帯の救済対策あるいは今後の恒久対策等についてすみやかに政府当局の具体的方策を明らかにすべきであるということを要請しておったわけでありますが、その後明確なる施策の実行については、われわれは寡聞にして承知しておらないのであります。それで順序としまして長官から、本年度の春ニシンの凶漁対策として政府のとられた施策の内容等に対しまして、具体的なる御説明をお願いいたします。
#130
○塩見説明員 本年度の春ニシンが凶漁であったことはただいまお話の通りでございます。私まだ就任して間もないものですから、その点まだ十分な勉強はしておりませんが、ただいままで承知しておりますところは、この原因は大体ニシンの資源が非常に枯渇してきている。ちょうどだだいまお話のありましたような、昭和十一年から三年にかけての状態と同じような状態になっておるというふうなことであります。問題は資源の減少でございます。それで資源を増加するために採卵したものを放流するとかいろいろな方法もありますが、技術的な意見としましてはそれで資源の増加がどれだけできるかということはきわめて疑問であろう、こういうふうな状態でございます。それから一方ソビエトの方でのニシンの漁獲につきましても、いろいろ技術的に変った新しい漁法等が進みつつあるようでございますが、ソ連の方の漁獲その他の統計等については十二分なものが入手できませんので、はっきりしたことは申し上げられない、こういう状態でございます。それでニシン漁業については、もし原因が資源の減少であって、これの増加が人為的に現在の技術では何とも行うことができないというふうなものでございますれば、どうしてもニシン漁業の安定のためにいろいろのことを考えなければならない。これはニシン漁業としまして、今のような漁獲方法に主体を置くか、あるいはまき網であるとか棒受網、流し綱、沖刺し網というふうなものにまで幅を広げてやらせるというふうなことまで考えなければならないか、等は、この資源の問題等とも関係があるわけでございます。そういうふうな漁獲方法を幾らか形をかえますれば、ニシンだけに依存しないで、ほかの魚種の方も兼業できまずから、経営的にはニシンの漁獲の打撃を幾らか補うことができるのではないか、こう考えられますが、それらの方法をもって北海道庁と連絡をししながら、徐々に指導していくというふうな形態でございまして、御存じのように遠洋漁業の方が開かれたとはいえ沿岸の方は非常に苦しい。それを全部遠洋漁業の方へ逐次転換していくというだけの包容力がないものですから、今お話になりましたような点について、おそらく漁民の方々としては不十分だというふうな感じを持っておられると思います。現在のところはその程度の状態でありますが、これは私の方も、もっとできるだけ早く資源の問題その他も検討いたしまして、できるだけ早くそういうふうな対策を漁民のできるだけ満足を得られるように持っていきたい、こう考えます。
#131
○芳賀委員 私のお尋ねした点は、長官の今の答弁の中にも述べられておりますが、今年度の、いまだかってないような凶漁による沿岸漁民に対する具体的な対策、たとえば資金的な面に対してはどういうふうな処理をされたとか、あるいは今後の浅海増殖等の問題に対してはどうだとか、これらは春ニシンの凶漁対策として具体的な案を策定されて、そうしてすでに実行に移させておるというふうにわれわれは期待しておったわけでありますが、それらの点に対しまして、ただいまの御答弁の内容にはそれが漏れておるので、この本年度の春ニシンの凶漁対策を政府はいかように措置されたか、その点お聞きしたいと思います。
#132
○塩見説明員 申しわけないことでございますが、今年度の春以降具体的にとった個々の対策につきましては、今申し上げた以上の知識が今ないわけなんです。ある程度北海道庁においても具体的な処置は、それは個々の漁業者の方々の御要望もありましょうし、とられたものもあるかと思いますが、まだ具体的に増殖の方で何、何で何というふうな総合的な形での資料を今持っておりませんし、詳しく聞いておりませんので、先ほど申し上げた程度のことをやっておるということ以外には聞いておりません。その程度で、詳しいことはさらに係官の方に聞きませんと答えられないという状態であります。
#133
○芳賀委員 それではおとりになった具体策については次の委員会等において承わりたいと思うわけであります。
 次にお尋ねしたい点は、中型機船底びき網漁業のニシンの混獲問題の点でありますが、これは御承知のように、昭和二十八年ごろから毎年のように現地においては重大なる問題として取り扱われておるわけであります。昨年も、長官も御承知の通り、時期的には冬ニシンと春ニシンに区別いたしまして制限規定を指令によって大臣名で発しておるわけであります。これはすでに御承知だと思いますが、その内容によりますと、十一月、十二月のこの二ヵ月間を冬ニシンの漁獲期間といたしまして、この期間を通じましては中型底びきによるところのニシンの混獲を百七十万貫を限度として認める。春ニシンにありましては、一月から六月までを期間といたしまして全面的にこれを禁止する。但し一船一航海について百貫以内のものは除外する、対象にしない、こういうような指令が出ておりまして、それによって昨年の暮ないし今年の春は、中型底びきによるところの混獲問題に一つの規制を与えてきたわけです。お尋ねしたい点は、この大臣指令によるところの一つの制限の中において、これが果して有効適切なる措置であったかどうかということを、経過の上から見て一応の御報告を願いたいと思うわけであります。
#134
○塩見説明員 昨年度とりました措置は、ただいま芳賀委員からお話の通りでございます。それの効果につきましては混獲を百貫以内に制限するというふうな形でございますが、百貫以内の制限というのは守られたか守られないかというふうなことになりますと、北海道庁の取締り関係の職員の陣容の問題もございますし、業者の方も幾らか自粛的な気持が十分であったかどうかというふうな点等もございます。その点については、そういうふうな問題の規制方法としては万全を得たものではない、欠陥がある方法であるというふうに大体考えられます。
#135
○芳賀委員 長官に申し上げますが、これを具体的な問題として一つ取り上げて、そういう意味においての御答弁を願いたいわけであります。おそらく昨年発せられた大臣の指令なるものは、言うまでもなく底びき漁業は大臣の許可ということになっておるわけであります。そういたしますと、大臣許可の漁業に対する監督権の帰属でありますが、これは当然水産庁がその監督の任に当るというふうになると思いますが、実際はこの監督権を道の知事に委任されておる、そういうふうにわれわれは察しておりますが、その点はどうでありますか。
#136
○塩見説明員 それはものによりまして、農林大臣で直接処理すべき部分と、ある程度違反や何かがありましたときに、軽微な問題であって地方庁の方で措置した方がいいような問題と、それは種類が分けられますから、ある範囲では道の方にもやってもらうようになっております。
#137
○芳賀委員 私のお尋ねしている点は、ニシン漁業に限定しているわけです。ですから底びきによるところのニシンの混獲に対する直接の監督あるいは監視、こういうものは水産庁自身がやられておるか、あるいはこれを道庁に委任されておるかという点であります。とにかく大臣の指令によって一つの規制を与えておるのでしょう。ですからそれを与えた以上は、そのことが十分に行われておるかどうかということを監督、監視しなければならぬ。その点が明確にならなければ、この指令が忠実に履行されておるかどうかという点が明確にならないわけです。その点を明らかにしていただきたい。
#138
○塩見説明員 これはほかの漁業でもそうです。これでももちろんそうでございますが、農林省の取締船の数も非常に限られておりますし、それから地方庁の方が相当数の取締船を持っておりますから、取締りをやる場合には、具体的な問題によりまして農林省の直属船を配置する場合もありますし、地方庁の取締船の方を主体にしてやるときもあります。昨年どのくらいの隻数の配置で、どのくらいの期間やったかということは、今直ちにお答えできないのですけれども、大体の方向はそうで、大臣許可の漁船だから全部の監督あるいは取締りを、農林省の直轄船あるいは直轄の職員でやるというふうな形にはなっておりません。
#139
○芳賀委員 そういたしますと、ニシンの漁獲、区域は主として日本海、オホーツク海に限定されておるわけですが、この海域における監督は水産庁もやっておるとすれば、その海域に監視船がどのくらい配置されておったか、あるいは陸上監視がどのくらい行われておったか、あるいは道庁がこれに直接当った監視船が何隻であったか、そういう大きかなことはおわかりと思いますがその点はいかがですか。
#140
○塩見説明員 昨年のは私ここで明確な数字を持っておりませんので、遺憾ながらお答えできませんが、おそらく道庁の方が主体になっておると思います。陸上監視につきましても、何人どうやったかという明確なことはここでお答えできないのですけれども、これは農林省の職員が直接そこへ出向いていってやったということがあったとしても、おそらくはんとうの一区域という程度ではないか、こう大体想像いたします。
#141
○芳賀委員 今長官の言われた、たとえば昨年の大臣指令の根拠、これはおそらく中型機船底びき漁業の取締り規則によって行なっておると私は考えておる。この規則の第十条には、漁具の禁止規定あるいは漁法の禁止規定がうたわれておる。これを農林大臣が告示しなければならぬということになっておる。特に二項ではその区域、期間を明らかにしなければならぬ、三項にはその区域並びに期間、漁具、漁法等を明示しなければならぬということになっておる。ですからこの指令なるものは、私はこの規則の第十条の二項、三項等に基いて指示されておると思うわけです。ですからこの規定に違反したものは絶対にないということではないと思う。そういたしますと、水産庁の直接の監督の中において、あるいは北海道庁の監督の中において、この冬ニシンあるいは春ニシンの底びき網の違反事件は当然あったと思う。そういう事実があれば、おそらく北海道庁からもそういう報告がもうすでに出ておると私は考えておるわけでありますが、何件ぐらいそういうような違反事実があったか、そういう点はお調べになっておると思いますが、いかがですか。
#142
○塩見説明員 漁具、漁法、操業区域、操業期間というような問題については、許可にはっきりと示しております。今度のこのニシンの関係につきましての問題は、私が聞いておりますところでは、主として百貫以上とったじゃないかというような違反が多いと思います。しかしそれは規則上のはっきりした違反かどうか、混獲の限界ですから……。許可証の上では主たる魚種というふうなものがたしか載っておると思いますが、そういうふうな形の違反であるか、それとも許可証にはっきりとうたわれておるものか等につきましては、混獲の範囲になりますと、なかなかむずかしい問題でございますし、漁業者に対しても百貫まではとってよい、百貫をこしたものは違反だというので、とりさえすればそこで許可を取り消すというようなことは、漁業の現実の姿から見てあまりに実情に当てはまりにくいようなやり方でございますから、そこまでの措置はとってないのじゃないかと思います。何ばいが百貫以上とったかということは、調査も非常に困難でございますし、おそらく数字はないと思います。はっきりしたものは、道庁あるいは漁業者その他の見込みによって相当違うと思われますが、おそらく数字はないのではないかと思われます。
#143
○芳賀委員 ただいまの御答弁によりますと、最初から春ニシンに際しては、一船一航海百貫以内は対象にしない、それをこえた場合にも、これは違反になるということにならぬ、そういうお考えで指令をお出しになったのですね、そうじやないのですか。そういうことも最初から見越して、一応百貫以内ということにはしておくけれども、二百貫になっても一千貫になっても、明確に区分して、あるいはこれは違反事実であるというようなことはする気もないし、そういうことを確認する方法もないということを当局は最初から承知して、ただその場限りの便法としてそういうような大臣指令をお出しになったかどうか、その点を明らかにされたい。
#144
○塩見説明員 その当時の関係は、私はおらなかったので詳細承知しておりませんが、私就任してから聞きましたところで判断いたしますと、百貫というても、引いてみて幾らとれるか混獲数がわからない。そういうようなところには、とにかくむずかしい点が相当伏在しておる。そこへもってきて漁業者の道義も加えまして、できるだけ自制して、百貫とれたらちょっと遠慮するというようなものが加わりませんと、そういうふうな混獲の量を制限するというのは困難ですから、その事の性質からして、やってみた上であるいはその後非難を受けた、あるいはうまくいかないようなやり方かもわからぬというようなことは予想してやりたと私は思います。これでもってきちっといくという確信を持ったのではないと思います。うまい方法がなかなかないから、当業者の自粛というような気持も含めてやってもらわないと、この目的は達成できないという程度でやったものと私は思います。
#145
○芳賀委員 ですから昨年お出しになった冬ニシン、春ニシンの制限規定というものは、実際効果的なものであったかどうかということは、これは一年やってみたのですから検討されておると思うのです。その結果それは全く架空なものであったか、どれだけの実効が上ったかということは検討済みになっておると思う。しかも昭和二十九年十二月二日に時の保利農林大臣の名によって、これは大臣指令として出ておるのです。その一は、「当分の間毎年一月一日から六月三〇日までの間はこシンを採捕してはならない」。ということをうたっておる。そうしてそのうしろの方へ持ってきて、三に「前二項の規定は一航海当りの漁獲量が一〇〇貫を超えない場合には適用しない」。ということをいっておる。ですから、百貫をこえた場合には当然適用するということになるじゃないですか。しかも前段に、一月から六月までは底びき漁業によってニシンを採捕してはならないということを、大臣は指令として出しておるわけです。するとこの指令の根拠が、今あなたの言った説明によると、一応出してはあるけれども、これが二百貫になっても千貫になってもしようがないじゃないかというようなことでは、何のために農林大臣がこういう指令を出したかということになるわけです。
#146
○塩見説明員 その当時のことは私も詳細に承知しておりませんが、現在顧みて考えれば、混獲百貫の範囲内で許していくというようなことは、百貫というものをやはり陸揚げ港ではっきり押えるか何かしなければ、数字的には確かなところは押え切れませんし、そういう点はおそらく漁業者の自粛という点も考えてもらうというような形でとった措置だと私は存じております。その点自粛が十分でなければ、そこのところを陸揚げ港でもってきっちりと押えない限りは、今後といえども取締り上は非常に困難なので、十分な措置ではないというふうに考えられます。
#147
○芳賀委員 塩見さんは何か勘違いしているのじゃないか。あなたは、百貫程度はとってもいいということを前提にしてこういう指令が出ておるというような判断をしておる。これはとってはならないということが基本になるのです。ただし底びき網によって引っぱるのですから、百貫以内の場合にはこれを適用しないということになってくる。百貫程度はとってもいいということではないのですよ。とってはならないということなんですよ。しかし百貫をこえない場合にはこの規制を適用しないということなんです。このくらいのことはわかるはずじゃないですか。
#148
○塩見説明員 それはその通りでございますが、この問題のやり方としては、漁業者が実際揚げてみて――混獲ですからわずかな量です。それが五十貫入ったか百二十貫入ったかということは、揚げてみなければわからないわけですから、この取締り方法自体は、そういうふうな意味では、やはりどうしても業者の自粛も加わらなければ実効の上らない措置だと私は考えております。
#149
○川俣委員 関連して。今の塩見長官のお答えによりますると、大臣指令というようなものはいかようにでも解釈できるという考え方なんですが、私はやはり命令とか通牒というものには一つの尊厳がなければならぬと思う。その尊厳のもとにおいて行政事務が執行されていくものだと思うのです。その尊厳を行政官がみずから打ち破るようでは、こんな通牒はおやめになったらどうですか。これは長官の一存ではできない。そんな権限のないものであったならば取り消されるような考え方が事務当局におありになりますか。実情に合わないようなものは出すべきじゃないと思う。出さないなら別です。出すならば、やはり尊厳を保たなければならぬ。これは当然だと思う。いたずらに規則を作ったり命令を出して、尊奉されないような実情にあるものだったら、出されない方がいいと思う。解釈が二様にも三様にもされるようなものは、役人の行き過ぎなんです。そういう解釈をするならば、出されない方がいい。あなたの解釈であれば実情に合わないのです。そうでなくて、原則として禁ずるというならば、多くとった場合においてはこれをたしなめるというようなことにおいてその方向をとっていかなければならない。私は、原則はやはり尊厳でなければならないと思う。順奉させようと思ってもなかなか困難さはあるけれども、そこを順奉させるようにすることが行政官の任務じゃないですか。どうですか。
#150
○塩見説明員 ただいまのは、原則としてその通りでございます。この問題の措置としては、これでもって万全な措置ではない、私はこう判断しております。ただ当時のいきさつを聞きますと、ニシンを混獲してはならぬ。こういうことになれば、ニシンだけはずしてほかの魚だけとるというようなとり方はできないですから、そうすると全部が違反になるというような形になります。また主としてニシンをねらってやるというふうなものはもちろんやめさせたい。ほんとうにホッケなり何なりをねらってちょっと入ったというのは、とにかくある程度認めなければ、漁、業を禁止するということと同じですから……。ただそこのところを数字で五十貫とか百貫とか百五十貫とかいうふうにやってうまくいくかどうかということは非常に疑問だと思うのです。ですけれど、この混獲の数字を何かの形で数字的に押えておかなければ、当業者としては、混獲してしまったといって、ニシンをうんととってくるようなやり方もやりかねないし、それでは趣旨が徹底しないからというので、機械的に数字を百貫こういうところで自粛しろというふうな線で押えたものと存ずるわけでございます。そう、う意味においては、御指摘の通り、これは措置としては十分なものではございません。昨年やった結果、これだけではとにかく十分な結果は得られなかった。これは当業者が十分自粛してくれれば、とにかくその線に乗り得ると思います。しかし当業者の方も、その当時においては、一網百五十貫くらいにしてくれれば大体見当がつくというようなとをを言っていたような状態もあるようです。ですからホッケをとるつもりで知らずに引いていて、一網どれだけ入ってくるかという算定は非常に困難なものですから、その最高限度を押さえておかなければあぶない、こう見てやった線ですから、その点では無理はあると思います。
#151
○川俣委員 自粛を希望するということは指導なんです。自粛というものには指導が必要なんです。処罰でありますれば規則の励行です。規則の励行の前に指導が伴うことは私も認めます。行政官として当然、処罰が目的じゃないですから、指導をしていく。自粛を希望するということになると、これは指導なんです。芳賀委員の聞いておるのは、そういう指導をされたかどうかということです。またこれは励行できるかどうかということを聞いておるのです。初めからホッケとニシンと混獲することがあることは予想されるが、しかし大体ホッケ地帯でありあるいはニシン地帯であるということは想像されてやるのです。どっちが入るかわからぬということでやるものでは必ずしもない。ホッケを目的としてやっても、ニシンが入ってくる場合もあります。初めから、今の時期においてはあの漁場ではホッケよりもニシンの方が多く入るということを予想してやるわけです。従ってこれは指導が必要なんです。だから、指導できないようなものだったら、無理に規則を作っておく必要はないじゃないか。やれもしないことをなぜ作るのです。初めからやれないことがわかっておってなぜ通牒を出さしたのですか。これはあなたの責任じゃないが、あなたが長官になったら、これはやめさせたらどうですか。それたけの勇気もなかったのか、その点はっきりしてもらいたい。
#152
○塩見説明員 別にこれにかわる有効適切な措置があれば、もちろんやめた方がいいと思います。しかしながらそれを全然やめればそれは沿岸漁業者の思うような形でなくて、混獲だからといってニシンを幾らとってくるかわからない。これは程度問題でございますけれども、それでは沿岸漁業者にとっても喜ばしくない、こういう状態でございます。この点については、うまい手があるかどうかということを私も就任後いろいろと聞いてみておるわけですが、なかなか今お答えできるようなうまい手はないわけです。去年もその点をずいぶん検討したらしいのですが……。それで幾らか指導と自粛、そういう部分が加わらなければならないような措置に移った、そういう結果だったということでございますけれども、今これをいろいろ検討しております。昨年の実績で、やはりこれだけでは十分でないような結果が出ております。だけれどもこれをすっかりやめたらいいかというと、そうも簡単に言い切れないというふうに考えられます。
#153
○芳賀委員 具体的に申し上げますが、長官はこの大臣指令によるところの違反事実というものを確認できなかったということを言っておられますが、私の手元にある資料によりますと、およそ次のようになっておるわけであります。これを時期別に申し上げますと、一月には違反船が二隻、それから四月には急にふえまして百四十隻、五月が百十五隻、合せて二百五十七隻が違反をしているということが明らかになっておるわけであります。それから漁獲の階層別の違反隻数の問題でありますが、これは百貫ごとにとつてあるわけですが、百貫を越えて二百貫までの場合が百二十九隻、二百貫を越えて三百貫までの場合が四十七隻、三百貫以上四百貫までが十七隻、四百貫以上五百貫までが十七隻、五百貫以上千貫までが三十五隻、千貫以上二千貫までが十一隻、二千貫以上が一隻、合計二百五十七隻、こういうことになつておるわけでありまして、これはおそらく北海道庁が監視の任に当った場合において確認された違反事実の内容であると私は信じておるわけでありまして、おそらく北海道庁が道庁だけの手にこれを握っておって、水産庁に対しまして一件もその報告をしていないということはないと思うのでありますが、長官はどういうふうに考えておられますか。
#154
○塩見説明員 それは文書的には調べてみないと確定的なことはお答えできませんが、この間道知事及び水産部長が参りましたときにも、この取締りは道庁としてはできないということを何回か断言しております。私は努力もしないでこういうものを放擲するというのはおかしいということを再々言っておりますが、それだけの証拠がもし道庁にあがっているとすればその事実と反しますから、私としてはおそらく報告は受けていないと思います。そういう事実が道庁から出ているとすれば私の方も至急道庁を呼びまして、その点ははっきりとさせないといけないと思います。それだけの事実を道庁が握っておりながらこの取締りをやっていなかったということなら、これは私の方でも道庁との関係で、政府及び地方団体を通じて先ほど川俣委員から御注意のあった、こういう法規は厳重にやるものはやるというふうなあれですから、権威の問題でございますからそれをはっきりいたしておきますが、私の方へは多分来ていないと思います。
#155
○芳賀委員 長官はこの春ニシン以後就任されたわけです。ですからあなたは直接この書類を見たかどうかわかりませんが、少くとも漁政部長にしても調整第一課長にしても、こういうものが全然来ておらぬということは言えないと思うのです。今お呼びになってもいいです。こういう報告が北海道知事から一件も出ておらぬというようなことはないと思うのですが、すぐお呼びになったらどうです。漁政部長あるいは調整一課の班長でも、何でもいいじゃありませんか。長官がこういうことを調べておらぬというなら話がわかりますが、こういう報告がないだろうというようなことは、これは長官としても内容を十分検討された答弁であるとは考えられないのです。
#156
○松田(鐵)委員 関連してただいま芳賀委員から水産庁長官に対してニシンの問題に対していろいろと質疑がありましんが、国政調査の意味において御質疑されることは一向差しつかえないと思います。しかしこの点に対する責任の所在がどこにあるかということをまず考えていかなければならないのでございます。あの北海道において漁業の大宗であるニシン漁業というものが、これまで三万石より漁獲されないという減産の理由がどこにあるかということを水産庁においても道庁においてもこれはよく研究されておるところでございます。また次に凶漁対策の議論がありますが、凶漁対策というものに対する対策はだれが立てなければならないかということであります。これは水産庁の立つべき問題ではないのでございます。これは北海道庁がこれを樹立して水産庁に協力を仰がなければならない問題なのであります。また底びきの関係におきましても、底びき漁業というものの推移とニシン漁業というものの推移を明らかにすることによって、おのずからこの問題がはっきりしてくるのでございます。要はこうしたニシン漁業に対する不漁の対策というものは、一にかかって北海道庁が樹立してそれを決済していかなければならないもので、もしそれにおいて力なくして指導を受けようというときにおいてのみ水産庁にその協力を求むべきなのでございます。この点を踏みあやまって一にも二にも地方的な問題を水産庁まで持ってくるというあり方が第一間違っておるのであります。また国会において議論は幾らでもありましょうが、こういう点に対する責任を水産庁に持っていくということはあり得べきことではないのであります。国政調査の意味からこれを論議されることは一向差しつかえないことでいいことでございますが、責任のあり方というものがどこにあって、それに対処していくものがどうかということであります。よってここにおいて凶漁対策などというものに対しては、私が北海道開発庁政務次官の当時わざわざ北海道庁まで行って、当時野党であった川村委員と協力をいたしまして、北海道庁に対して、恒久的な漁民の救済は小団地で食糧の確保からしなければならないということを、当時の長官に対しても具申して、北海道庁からそれを具申すべく言ったのにもかかわらずこれをやらなかった。またこのニシン対策の問題については底びき業者の陳情があったときにおいても、それは政治家の入るべき問題ではない、また沿岸漁民の来たときにおいても、これもまた代議士をわずらわすことによると物事が紛糾してとうてい収拾がつかなくなるから、これに対しては行政的な問題をもってこれを行うべきであるということを理論づけたのであります……。(「だれに対する質問だ」、「質問ではないじゃないか」と呼ぶ者あり)
#157
○村松委員長 松田君、質問してください。
#158
○松田(鐵)委員 それならば私はここにおいて長官にお尋ねいたしますが、資源の維持というものに対して、どのようなニシン資源があるかということがはっきり打ち出されておるものでありますから、この点に対してまず御答弁願いたいのでございます。
#159
○塩見説明員 ニシンの資源の問題につきましては、ちょっとさっき簡単に触れただけでありますが、とにかく年令組成等から見まして、大体昭和十一年から三年の凶漁時代と同じような状態になってきております。十年前に大体五年魚というものが漁獲の中心でありましたが、本年の漁獲もまた五年魚ということであります。それが育ってきたのであります。そのあとにいい魚群が出ておりません。昭和八年、九年のいい漁獲の時代においては、年令組成からみて非常に健全な組成になっております。そういうふうな点から見て資源的に非常に減ってきているだろうというふうなことが大体想像されておりまするが、なおこのニシンの資源については、どうしましてもソ連の関係の方の漁獲その他資源に関する各種の推定資料等が入りませんと、全体としての資源についての判定は下らない。しかしながら今の日本にある限りの資料で考えますれば、資源的には非常に減少してきているというふうな状態のように想像されます。
#160
○松田(鐵)委員 そういたしますと四年、五年というものがニシンの一番いい回遊の年令のときである、それによってこの間のニシンの資源というものが明瞭になる、こういう場合において、資源が必然的に非常な減少を来たしたと認めて差しつかえないのでございますか。
#161
○塩見説明員 ただいまのお尋ねの通り、資源としては非常に減少しております。日本側にある資料から推定いたしますとそういうふうに大体考えられております。
#162
○松田(鐵)委員 そこで資源の問題はよくわかりましたが、次に混獲、という問題に対してはどのように御解釈なされますか、この点をお伺いいたします。
#163
○塩見説明員 混獲の問題は非常にむずかしい問題であると思います。先ほどお話しましたように、漁場の関係からいって、やはりホッケのとれるところでえさも多いのでございまするか、ニシンも一緒にとれるというふうな形で、漁場は厳然と区別されていないような状態にあるようでございます。そういうふうな関係からいうと、ニシンを混獲してはならぬというふうな形をとればどうしても底びき網漁業はやめろという結果になるような漁場になっております。
#164
○松田(鐵)委員 かつての水産法規当時の漁業取締規則と今日の漁業法からいく漁業の取締りというものは非常に変って参ったのでございます。それで水産取締規則のあの当時における混獲という問題が幾分あったのでございますが、このときでさえ混獲したる者はやむを得ざる事情によって処分はされなかったのでございます。ところが今日の漁業法に基く漁業を経営しておるのに、混獲という事実の問題これは先ほどお聞きしますと、百貫以上とってはいけないということは、そもそも今日の漁業法からいきましても非常に矛盾した悪例だと私は考えまするが、この点はどのように新長官として御解釈なされますか、その点をお伺いします。
#165
○塩見説明員 混獲の問題は先ほどもちょっと触れましたように、何貫までが混獲とされて、何貫以上は混獲でなくてむしろそっちの方をねらったのだというふうな数字的な結論は、そう一年、二年ではなかなか出にくい漁業の状態だと考えます。これは各種の試験等をやってみないとわからない。これはおそらく結論はつけにくいと考えます。そういう意味からいくと、百貫という線は混獲について適当な線であれば、それは機械的な形にはなりますが、取締りの一つのやり方として考えられないことはないわけですけれども、もし適当な線でないとすればこれは無理な線になってくる、こういうふうに考えております。そういう点が幾らかからみまして、今年春にやりましたそういう混獲の数量を押えた点がうまくいかなかったという結果になっておるのじゃないか、こう考えます。
#166
○松田(鐵)委員 これは非常に重大な問題なのであります。要するに現在の漁業法の基本的な骨子からいきまして、その漁業を営むのに、混獲をした場合において、百貫という数量をここに作るということはそもそも間違いであると私は考えるのでございます。この点は一番重大な問題と存じます。ただし社会的に地方に及ぼす影響が大であるという意味において、その漁獲を禁止するということはこれはやむを御ないことと思いますが、混獲の限度というものに対して水産庁は、数字をもってここに現わすということは非常に無謀なことであり、漁業法に対する誤りの観念をここに植えつけるものと私は解釈するのであります。混獲はこれはやむを得ない現実の姿であります。しからばこれに対して数字を作るということもこれは誤りだと存じますが、この点に対するはっきりした水産庁長官の御意思を承わりたいと存じます。
#167
○塩見説明員 この問題の調整は非常に困難でありますので、ほかのやり方でもって漁業調整がうまくいくならば、その方に移った方が取締り上も便宜だし、漁業者の方もはっきりすると思います。しかしながら昨年度検討した結果は、これと思われるようなうまい方法がなかなかない、たとえば漁区の制限といっても、これは程度問題で非常にむずかしい問題です。下手な制限をやれば主たるホッケもとれなくなるという形になる。漁区の制限にしてもむずかしい、いろいろな角度から検討したようでありますが、それらがむずかしいので、むずかしいとは知りつつ混獲の問題に入って、混獲であるか、それともむしろ混獲でなく、ニシンの方をねらってやっておるのかどうかという点を数字に表わそう、それがある程度社会的に見て、大体この程度ならばみな至当だろうと思うような数字が出るような状態になれば、これもまたその一つの方法だと考えられます。しかしながら現在の段階においては、非常に新しい漁法として外国でもそういうような底びき網のいろいろ工夫がなされ、ほかにもなされておる。こういうわけでありますから、その点確たる、社会的に見てたれもがそれ以上は混獲ではない、これはそっちをねらったのだという数字はなかなかつかみ得ない段階だ、こう思います。
#168
○松田(鐵)委員 塩見長官はこの新しい漁業法の立案者でございまして、この漁業法に対して広い認識を持っておられるのでありますから、また外国のニシンに対する現在の漁獲の状況、これらニシンについての深い専門家であられるのでありまして、この点をよくかみ合せまして道庁を御指導あって、こういう問題に対して間違いのないようにされんことを切望いたしまして私の質問を終ります。
#169
○赤路委員 関連して……。ただいま松田委員は責任の所在ということをおっしゃった、この点を明確にしておかなければいけないと思います。大臣指令でお出しになった限りにおいては、私はやはり大臣の責任である。そこでただいま芳賀委員から発表されました漁獲高の数字というものが、これが果して正しいものであるかどうかは御調査になるだろうと思います。もしこれが正しいものであるとすれば、こういうような状態に放置しておった北海道庁の取締りの悪さと申しますか、取締りをやっていない点は、これは大臣が指令を出した建前から、当然これは戒告されなければならぬ。大臣が北海道庁に取締りを委託したという形から考えますと、あくまでも責任は指令を出した大臣にあると私は思う。それから他のことは、それは大臣と地方庁との問題であって、責任の所在は指令を出した限りは大臣にある、こういうように解釈いたしますが、水産庁長官はどうお考えになりますか。
#170
○塩見説明員 それは指令を出した大臣にあると思うのでございます。もし正式にそういうような報告がきておれば、それに対してどういう処置をするかというようなことは、やはり大臣のやらなければならないことと思います。
#171
○芳賀委員 ただいままでの水産庁長官の御答弁を要約すると、二十九年十二月二日に発せられた大臣の指令なるものは、長官の御見解によると、最初からこの指令に対する期待を持っておらずにこれだけのことをやったものである。ですから、この制限規定というものは、これを越えてもいたし方のないものであるというふうに考えておったということをあなたは言っておられる。そういたしますと、この点に関しましては、水産庁長官よりもむしろ農林大臣の御出席を願わなければ、農林大臣の指令は単なる空文であるかどうか、この指令に対する責任を農林大臣は持っておらないのかどうかということは、これは長官ではお答えになれないでしょう。あなたの判断は実行不可能であるということで、実施官庁の長官がこれを否定しているような言辞を弄しておるわけです。これは全く了承できないことなんです。ですからこの点に対しましては、指令を出した大臣自身が当委員会に出席して、その内容を明らかにされる必要があると思いますが、長官もそう思われますか。
#172
○塩見説明員 指令を出した当時、全然期待を持っていなかったということは私は申しておりません。先ほどから申し上げましたように、百貫というような線でうまくいくかどうかというような点には疑念はある、しかしながら各種の漁業調整の方法を考えてみてこれといううまい方法がないから、混獲に対してはその程度の方法でうまくいけば、これだけむずかしい問題を調整するのには非常にいい方法であるわけです。しかしその百貫ということでうまくいくかどうかということに対しては、疑念は持ちながら一年やってみる、こういうことでやったものと考えます。当時の当事者に聞いてみても、そういうふうに申しております。ですから一年やってみてどうもうまくいかないというふうなことであれば、やはりやり方についてはいろいろ検討しなければならぬ、こういう問題だと思います。
#173
○村松委員長 芳賀君に申し上げますが、農林大臣が見えられましたのでその問題はあと回しにして、議題をかえたいと思いますので御了承願います。
    ―――――――――――――
#174
○村松委員長 農薬使用に伴う漁業被害に関する件を議題に供しまして調査を進めます。質疑を許します。稲富稜人君。
#175
○稲富委員 農林大臣にお尋ねしたいと思います。実は有明海沿岸におきます農薬の被害の問題につきましては、去る七月十三日の本委員会におきましても質疑を重ねられまして、これに対する農林大臣の御答弁も私は承わっておるのであります。有明海が特殊の地理的事情にあること、及びこの被害の状況等に対しましては、先般来論議されておりますのでこれを省きますが、午前中農林大臣から、この問題に対して来年度予算において善処をするというような意味のお話を承わっておるのであります。しかし私がここに聞かんとするところは、現在の被害の状況は実に惨たんたるものでありまして一日を待てないというような惨状にあるのであります。しかもこの実情を十分御承認の上に農林大臣は、七月十三日の本委員会におきましては、すみやかに善処する、さらに予備費等についても考えるというような非常にはっきりした御答弁があったのでございます。その後六ヵ月を経過しておるにもかかわらず、今日まで何も手が打ってないということは、いかなる事情でこれをおやりにならなかったのか、またその間にどういうような対策を農林省としてはおやりになったか、その点を最初にお尋ね申し上げたいと思います。
#176
○河野国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたが、ただいま稲富さんから、一刻を争う問題で、有明湾の漁民諸君が非常に困窮しておられるのに対して、今まであまり事務が進んでいないということのおしかりでございますが、事務が進まぬわけではございませんけれども、何分問題がいろいろ多うございまして、ついその点であまり進んでいなかったことはおわびをいたします。しかし明年度予算で組むのであって、明年度までほうっておくということは考えておりません。先ほどもお答え申し上げました通り、明年度予算を実行する上において、たとえばノリの施設でありますとか、あるいはことしの年度のうちにすぐに準備をし、かかっておかなければならぬものにつきましては、資金の融通をいたしまして、これらに対して準備にかかるというようなことだけはここに申し上げることができます。そうして本格的には明年度予算においてこれを計上して、御審議を願った上で実行していきたい。ただし、今申し上げた通りに、今からやっておかなければならぬものにつきましては、今年度の予算の中において資金を出してこれにかかるように、せっかく今事務の方でやっておりますから、その点御了承いただきたいと思います。おくれておりますことははなはだ相済みません。重ねておわびを申し上げます。
#177
○稲富委員 今大臣は、おくれておることは相済まないというような率直なような御答弁でございますが、実際の被害者から申しますと、相済まないでは済まされないような状態に立ち至っておるのであります。ことに先般の御答弁によりますと、各県とも連絡をとって何とか方法をとるというようなことも承わっておりますが、その後各県との連絡がとられておるか。さらに根本的な問題は来年度予算でおやりになるといたしましても、七月にこの問題が本委員会で取り上げられてからすでに六ヵ月を経過しておるのでありますから、もっと具体的な政府の案があるべきだと思うのであります。ただ来年度予算に何とかする、今までおくれておることは相済まない、こういうことでは農林当局は事務的にも非常に怠慢だという叱責を受けても私は弁解の余地はないだろうと思う。農林当局として、ほんとうに現在の有明海の窮状を知り何とかしなければいけないというのならば、もっと具体的な説明がなければならないと思いますが、具体的な説明がありますれば承わりたい。あれなり全然放任いたしたというのならばいたし方がありませんが、その点を承わりたい。
#178
○河野国務大臣 あれなり全然ほうっておったわけではございません。各県にも十分連絡をとりまして、調査を進め、今申し上げたように大蔵省とも予算措置について打ち合せをしてやっておるわけでございます。ただその間に水産庁長官の更迭をいたしまして、多少連絡に遺憾の点があったかもしれませんが、決してあれなりほうっておいて、今おしかりを受けてここで答弁しているのではないのでありまして、その後各県との連絡もいたしております。大蔵省との交渉もいたして、今年度中にやる金はどういうふうにして出そうか、どの程度やろうかということを、すでに大蔵省とある程度話し合っておるわけでありまして、決してほうっておいてただあやまって済まそうというのではありません。やることはやっておるのでございます。ただはかばかしくいっていないから私はおわびしたのでありまして、その点はあしからず御了承いただきたいと思います。
#179
○稲富委員 それではさらにお尋ねしておきますが、この問題に対しましては、各県より転換計画というようなものが出ておると思いますが、こういうものに対して事務的にどういうような御処置をなされたか、その点もこの際承わっておきたいと思います。
#180
○塩見説明員 転換計画につきまして、先ほど大臣からお話のありましたように、ノリの人工採苗施設であるとかモ貝であるとかいうような点につきまして、各県とも詳細打ち合せばしてあるわけであります。それらにつきまして技術的に新しい非常に画期的の仕事でございますので、技術者の中で、モ貝の力も中海から始めて岡山、広島で成功したわけであります。あそこで大体成功するだろうと判定はできますが、そこらの見当で潮の甘さ、からさであるとか、水温であるとか、潮流の工合であるとか、どこそこの場所だったらうまくいくとか、そういうような検討を加えたり、あるいはノリの採苗技術の問題につきましも最近の技術でございまして、今一挙にあそこでやることは少し早過ぎる、この程度の準備をしながらいくならば大丈夫であろう、そういう点の試験研究にかなり時間がかかりますし、これは試験場の技術者も呼びます。現地の方の技術者とも十分懇談をしまして、それらにかなり時間をとっておって、それで今おしかりを受けたようにのろいということになったのですが、何せああいうところで思い切った転換計画をするのですから、それがうまくいかないとなれば国費の乱費でありますし、漁業者に対しても迷惑のかかる問題でありますから、その点をかなり時間をかげながら、県の方とも打ち合せしながら慎重に検討した結果でございます。現在の段階では、ある程度思い切ってやるならばむだになるということはない、成功は八分通り確信できるというくらいのところでありますから、大蔵省の方にもそれくらいの考え方で折衝しておる、そういう状態でございます。
#181
○稲富委員 それでは結論的に承わりたいと思いますことは、農林省といたしましては、先刻から大臣の御答弁もあったのでございますが、来年度においてはどういうような計画をしようという予算の計画があるのか、さらに本年度内の予備費その他においてはどのくらいの程度の対策をやろうというお考えがあるのであるか、詳細に承わることができますならば、一つこの際具体的に御答弁願いたいと思うのであります。
#182
○河野国務大臣 御承知の通り明年度の予算は今せっかく編成中でございます。これは地元の方の御意見もよく徹底しておりますし、ことに私といたしましては、ここで前議会お答え申し上げた通り、ぜひこれについては予算を維持いたしまして、御期待に沿ってやるように鋭意努力するつもりでございますから、具体的に予算の数字をどべということはどうか予算のできますまで一つ、今私が申し上げましたように、必ずある程度御期待に沿うようにやるつもりでございますから、御猶予をちょうだいいたしたいと思います。今、予備費をどう使うかということにつきましても、実は予備費をこれに繰り入れて云々ということになりますと、いろいろめんどうな点が――というのは大蔵省と打ち合せをいたしましたり、あるのでございますから、大蔵省とも了解の上で、どういう金を回してどうやっておかなければ来年間に合わぬから、どうやっておこうじゃないかという具体的な折衝をいたしておるのであります。そういう段階でございますから、しばらく御猶予をお願いしたいと思います。
#183
○稲富委員 そうするとこう了解していいのですか。来年度においては、この漁民の諸君の希望もいれて、一つ恒久的な対策を来年度予算に編成したいという農林省には考えがある、しかしこれは大蔵省との折衝的な経過もあるのでこの際はっきりしたくない、さらに最も緊急を要するものは、本年度の予備費その他によっても何らかの方法は講じたいと考えておるけれども、これは予備費の操作上の問題があるからここにはっきりすることは遠慮したい、けれども本年度の予備費からでも何がしか何とか緊急対策をやろうと思っておる、こういうような大臣の御答弁だ、こう解釈しても差しつかえございませんか。
#184
○河野国務大臣 その通りでけっこうでございます。水産庁の費用の中から回す場合もございましょうし、必ず有明湾の善後処置につきましては、今稲富さんのお話になりました通り、御期待に沿うようにいたす所存でおりますことを御理解いただいてけっこうでございます。
#185
○稲富委員 最後に私お願いいたしたいと思いますのは、七月から先刻申し上げましたように六ヵ月の間なおざりになっている問題でございます。ここで何とかやろうとおっしゃいましても、漁民から言いますと、またこれはだまされるのじゃないかという不安があると思うのであります。このたびは重ねてのはっきりした御答弁でございますので、その被害者の諸君の期待に反しないような決意をもって処していただきたいということを重ねて私希望いたしまして、私のこれに対する質問は終りたいと思います。
#186
○河野国務大臣 ちょっとどうもまただました、まただましたとおっしゃいますと……。だましたのじゃないということは、今いろいろ質問応答をいたしまして、おくれておることはお許しを願いたいと申し上げたのであります。決してだましたわけじゃございませんから、一つよろしくお願いいたします。
#187
○井手委員 関連して……。被害救済の応急対策についてはただいま大臣の言明かありましたので、今度こそ肝違いなかろうと信頼いたしまして、しばらく見守ることにいたしたいと思います。そこでこの機会に一言大臣に要望を兼ねてお尋ねいたしたいことは、応急対策はもちろん必要でありますが、同時に恒久対策が必要であろうと存ずるのであります。最近ますます効果の大なる農薬が発見され、普及されているようでもあります。そこでこれほど科学の進歩した今日に、農薬だけ有毒なものでなくては発明はできないということはないと思うのであります。このことは漁民はもちろんでありますが、農民自身においても非常に重大な問題だと思うのであります。すでに研究を進められておるかもしれませんが、ことほど重要な農薬の問題について、大臣は害のない農薬の発明あるいは普及についてどのようにお考えになっておるか、研究を進められておるのか。承わるところによりますと、改良局の方では若干研究も進められておるようでありまするが、この際大臣の積極的な措置が願いたいのであります。この点について大臣の所見並びに現在具体的に研究が進められておりますならば、改良局長の御説明を願いたいと存じます。
#188
○河野国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、私は先般渡米いたしました際に、最近アメリカにこの種の農薬の非常に揮発性の強いものでございまして、あとに害が残らないものがあるということを聞きまして、これを調査研究いたしまして、非常に有効のように現在では試験の結果は思われます。それでこれはわが国におきましても、その一部を持って参りまして、すでに試験場で多少研究もしておるものでございます。それのあちらの方の事情を調べまして、しかもこれを安価に輸入する道を考えなければなりませんので、それらの折衝も多少口注えもいたしまして、なお大量に持って参りまして、最近のうちに各農事試験場で研究をさせるということになっております。これがもし所定の通りに進むとすれば、私は今有明海で起っておりまするような問題が相当に緩和するのじゃなかろうか、こう考えております。その他は私も全く同感でございます。そういうふうにやっていきたいと思います。その他具体的に必要なことは改良局長から答弁をさせるようにいたさせます。
#189
○大坪説明員 農薬を使用しまする場合に、それが水産動植物に悪影響を及ぼすことは、最もこれは避くべき問題いまするが、この際有明海におきまするホリドールの被害につきましては、九州大学あるいは各府県の試験場並びに水産の関係試験機関に約百万円近い金を計上いたしまして、被害のないような方法で、どういうふうにやればいいかということを目下研究いたしておりますが、来年度予算におきましてもこれを計上いたしたいと考えておる次第であります。
#190
○井手委員 改良局長にお尋ねしましたのは、すでに若干農林省においても研究が進められておる状況でありますならば、具体的にどのように進められておるか、また実用の段階はいつごろであるか、そういうことをお尋ねしておるのであります。スイスその他では、人畜魚介に害のない農薬を発見されておるということを承わっておるのであります。このことは生命の危険を冒して散布する農民、あるいはその被害で窮境に陥っている漁民にとっては重大な問題でありますので、将来の見通しということも大事であります。従ってこの機会に、進められておるならば、実用の段階はいつごろであるかということをお尋ね申し上げておる次第であります。わかっておれば、この際御答弁がいただきたい。
#191
○河野国務大臣 技術者から責任を持ってお答えをするまでの段階には至っておらぬようであります。しかし私も注意をしておりますので、その後の成績は悪い方じゃないが、しかしまだこれを使用奨励してよろしいというところまでは、責任を持って言えない今まではごく小量でやっておりましたので、そこまでいっておりませんでしたが、今度は積極的に進んで、今後農薬の研究をさせるというつもりでございます。
#192
○淡谷委員 大臣にちょっとお伺いいたしますが、パラチオン剤の被害が全国に相当出ておる。最初ホリドールを輸入します場合、これは一体人畜その他に害ありとお考えになっておられたのか、あるいは害なしという認定を持っておられたのか、これをまずお尋ねいたします。
#193
○大坪説明員 ホリドールの問題につきましては、すてに御承知と思いまするが、人畜に相当被害がありますので、これを使用しまする場合に、相当専門技術員並びに改良普及員を通じまして、人畜に被害のできるだけないような方法で使用させておるのでございます。
#194
○淡谷委員 ホリドールが人畜に害あることははっきり使用注意に書いております。各県で使っておりましても、十分に使用の方法を考えますと、散布者あるいはその付近には害は受けておりません。しかしこれを用いて自殺する者が非常に多い。ただ人畜に害があることははっきりしておりますので、これの使用に当っては、具体的にどのような指示をされたか、あるいは人畜に害なしとしても、水産にこれだけの被害があるということを果して予期されておったかどうか、この点も重ねてお伺いしたい。
#195
○大坪説明員 人畜に被害がありますので、使用方法を具体的にパンフレットその他に詳細に書きまして、また各府県におきましては、農家並びにその他それを使用いたしまする者を集めまして、非常な厳重な管理のもとに使用させておるのでございます。
#196
○淡谷委員 その場合に、道路あるいは港湾、漁場等に対する散布の距離の問題をお考えになりましたか。これは実はアメリカでは、人畜に害ありということで、前には使っておりましたが、最近ではかなりやめておるという話も聞いております。広い耕地の中で、あまり人家にも接近せず、あるいはその他の産業に影響のない場所なら使っても差しつかえないと思うのでありますが、日本のように村落の中に圃場かあり、近く漁場に通ずるようなところでは、アメリカで用いているような予防方法ではだめだと思いますが、その点の御配慮がありましたか。私は四国あたりで見ましたが、道路ばたに薬剤散布の赤いきれをくっつけただけで、道路を通行する者は実際その被害を受けておる例がたくさんございます。こういう点について日本的な措置を講ぜられたかどうか、お伺いしたい。
#197
○大坪説明員 使用の当初におきましては、あるいは手落ちがあったかと思いますが、今日におきましては、ホリドールを相当使用する地帯におきましては、その方面の農民並びに一般人の知識も相当普及いたしまして、今日におきましては、自殺に使う以外には、二、三年前に比べますと、その方面の被害は相当激減をしておるのではないかと考えております。
#198
○淡谷委員 これは全く反対の御答弁でございまして、特殊な農民はこの使用方法を心得ておるかもしれませんが、かえって自殺者その他の被害はふえております。ことに自殺者を検診に参りましたお医者さんや、あるいは警官が、知らないでホリドールに触れて倒れた例もございます。その点人畜に害ありという使用方法に対する指導方が足らない、あわせてこの不完全な使用方法のままでホリドールの使用を奨励した傾きがございます。同時に国内におけるホリドールの生産のために、工場等についても奨励をしたかのごとく伺っておりますが、農林省はこのホリドールを生産するについて、特別に補助その他を与えております工場がございましたら伺いたい。
#199
○大坪説明員 補助をいたしております工場はございません。
#200
○村松委員長 淡谷君、議題の範囲を一つ逸脱しないように願います。
#201
○淡谷委員 これはちょっと範囲の中に入るのです。そこでこのホリドールに対する措置をする場合に、今まで農林省が奨励してきた、あるいは工場等に対してもかりに何らかの示唆を与えたのであるならば、それに束縛されて、ホリドールに対する措置を果敢にやれないというような事実がございましたかどうか、確かめておきたい。
#202
○大坪説明員 御承知のようにホリドールは、西南暖地の二化メイ虫の被害の非常に強いところは、非常な特効があるのでありまして、これはわが国の農業振興上、ぜひとも使用をその必要な地帯には普及して参らなければならないと思うのであります。しかしながらただいま御意見のように、これが人畜に被害を与えるということはまことに遺憾でありますので、その方面につきましては、その被害を減少せしめますために、今後とも御意見の趣旨によりまして、その使用方法なりあるいは危険の度合いなりを、よく関係方面に今後なお普及いたしまして、被害の減一少に努めたい、かように考えております。
#203
○淡谷委員 もう一点だけ、これは要望しておきます。お聞きの通りの状態で、ホリドールの被害は、予期し、あるいは予期せざる方面に拡大して参っております。この使用に当りましては、有明海の例もございますし、次々にこういう例も出ると思いますので、十分な監督指導のもとに使われて、一刻も早くこれに対する恒久的な措置を終ります。
    ―――――――――――――
#204
○村松委員長 この際先ほどの理事会の申し合せによりまして、いわゆるミツマタの問題について審議を進めます。井谷君。
#205
○井谷委員 午前中ミツマタの問題が論議されたのであります。結果、改良局においてもミツマタに代作する何ものもない、そしてまた山間僻地の貧農の現金収入の面においてこれは大切なものである、こういうことで、改良局におきましても何とか百円の硬貨は取りやめてもらいたいということを念願しておるというお話でありました。また河野農林大臣のお話も、われわれ農林委員会の意思を相当尊重していただいた御発言のように思っておるのであります。ところが次官は、ある団体のアンケートに答えられまして、百円の硬貨鋳造に賛成をしておられます。また一万円の紙幣、五千円の紙幣を作ればミツマタの消費量には差しつかえないというような意味の、これは活字になっておるのだから、大石武一という方がほかにもう一人おれば別ですが、農林当局の意思がこういうふうに分れておるということは私ども非常に困りますので、在野の当時と次官になられてからと心境の変化があるのかどうか、この点を一つはっきりしておいていただきたい。
#206
○大石政府委員 痛い御質問を受けまして恐縮いたしておるわけでございます。実はあのアンケートは大蔵省の印刷局の方々の御質問かと思っております。私は今お説の通り多少考え方が変っているわけでございます。当時は直接行政面にタッチしない一般の政治家といたしまして、あるいは一般国民の一人といたしまして、百円の銀貨が使いいいならば使ってもよかろう、一番便利な方法をとるべきであるという答えをいたしたわけであります。そのかわり、それでミツマタの使用が減るならば、千円札に使うなり、――千円札が全部ミツマタを使っておるということは知らなかったわけであります。またさらに一万円札を作るならばミツマタの使用量がふえるというような考えで、あのようなアンケートを出したわけであります。ところが今回農林政務次官になりまして、農林行政に直接タッチすることになったわけであります。いろいろ勉強して参りますと、私は今まで知識が足りませんで、どうしてもミツマタというものは今の耕作を保護しなければならぬし、百円紙幣に大いに使ってやらなければならぬということがわかりましたので、一つ勉強いたしまして知識の程度が進んだわけであります。こんなわけであります。
#207
○村松委員長 この際本問題についての本委員会の決議をいたしたいと存じます。委員長の手元において作成いたしておりまする案がございまするので、これを朗読いたします。
   みつまたの需要確保に関する件
  農山村地帯におけるみつまたの栽培は、政府の過去八十年間にわたる生産奨励の結果、今日においては急傾斜又は僻陣の地域における特産物として和紙原料、就中紙幣原料に使用せられ、農業経営上重要な地位を占めるに至っている。然るに昭和二十七年より印刷局はマニラ麻をもつてこれに一部代替し、その結果価格は下落の一途を辿り多量の在庫をかかえ、更に最近では、大蔵省において百円硬貨を百円紙幣と併用する方針の下にこれが鋳造計画を進めていることが明らかとなり、印刷局のみつまた使用量の激減とその価格の一層の下落が予想せられ、政府のこのような措置は、みつまた以外に栽培する作物に乏しい零細農家の生業を奪うものとして現地農民に深刻な不安と動揺を与えつつある。
  よって政府は、これが対策につき慎重を期し、地方特産物の保護育成と栽培農家の生活権擁護のため、万全の措置を講ずべきである。右決議する。
  昭和三十年十二月十日
      衆議院農林水産委員会
以上でございますが、これに対する御意見がございまするならば、発言を許します。
#208
○中村(時)委員 これでけっこうだと思うのですが、ただその前に五行目の「印刷局はマニラ麻をもってこれに一部代替し、その結果価格は下落の一途を辿り多量の在庫をかかえ、」とあるのですが、その場合印刷局が多量の在庫をかかえているように受け取られるのです。この場合には「その結果価格は下落の一途を辿り、生産者は多量の在庫をかかえ、」こういうふうに入れていただきたいと思うのです。それと文章的に非常に長くなっておりますので、八行目の「価格の一層の下落が予想せられ、」を「予想せられるに至った。」と一応ここで区切った方が文章的にいいのじゃないか、こういうふうに感ぜられるのです。
#209
○村松委員長 これは御意見発表のとき御意見を承わった方がいいかと思うのですが、そうして最後に一つ諮ってみたいと思います。ですからどうかそのように御承知願います。小枝一雄君。
#210
○小枝委員 ただいま委員長より提案せられました決議文に対しては、全面的に賛成をいたすものであります。ただこの機会に私は河野農林大臣を初め、政府当局にお願いしておきたいと思いますことは、このミツマタ生産者は農民のうちにおよそ二十万人くらいおります。これが非常に困難をいたしますことは、われわれ農政に携わる者といたしまして看過することのできない問題であります。ミツマタの栽培については、われわれみずから農業保護政策としてこれを強調しなければならない問題であるのみならず、大蔵当局が多年にわたって奨励してきた問題であります。しかもミツマタは永年作物でありまして、三年なり四年たたなければ価値がないのであります。そのミツマタを栽培いたしまして、これが将来使用が減少するということは、農村といたしましては耐えられない問題でございます。先刻から大蔵当局の説明を聞きましても、銀貨ならば永久に使えるから非常にいいと言われるけれども、銀の使用については、日本の国といたしましては幾らでも使い道があるわけです。ことに銀を好む多数の国々がございます。今日百円紙幣にようやく国民がなついて参りまして、むしろ銀貨よりも紙幣を好もうという風潮が生じておる、このときに何も百円紙幣を減らすということは、われわれとしてはその必要がないものと考えるのでありまして、農林当局といたしましては、このミツマタ生産者を保護する立場に立って、十分なる御施策を立てていただきたいと考える次第でございます。
 ただいま委員長御提案の決議に対しましては、全面的に賛成をいたすものであります。
#211
○村松委員長 中村時雄君。
#212
○中村(時)委員 私は全面的にはこの文章そのものに対し一応の賛意を表する次第でありますが、最初に言ったように、この問題には二つの問題があったと思うのです。一つは百円硬貨の鋳造、これが生産者の死活問題になっておる。そこででき得ればこれに対する絶対反対の態度を明らかにしておきたいと思ったのであります。第二点は、政府がマニラ麻を購入した結果、生産者が多量のミツマタを抱き込んでおる、そういう意味においてこの納入機構の確立強化、こういう問題をはっきり確保するような方法をとっていただきたい。この二点を中心に考えておったのでありますが、大体文章としてその二点の骨子がある程度、十分とはいえないけれども、流れておる結果を見て、私たちも、今言った二点を農林大臣も政府の当局の方々もどうか十分考察の上で善処せられんことを要望し、賛成する次第であります。
#213
○村松委員長 本決議案についてお諮りをいたしますが、中村君より五行目の「印刷局」の前に「生産者及び」という字句を挿入することを求められております。この修正を一括して……(「委員長一任」と呼ぶ者あり)委員長に御一任の上は、委員長の手元においてさように字句を挿入いたします。
 それでは御意見がございませんければお諮りをいたしますが、本委員会の決議とするに御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#214
○村松委員長 御異議なしと認めます。この取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと思います。
  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#215
○村松委員長 それではミツマタに関する件についてはこの程度で終了をいたしました。
    ―――――――――――――
#216
○村松委員長 次に先ほどのニシン問題に関して芳賀君に質疑を許します。芳賀貢君。
#217
○芳賀委員 農林大臣にただ一点お尋ねいたしますが、機船底びきによるところのニシンの漁獲に対しまして、これは昨年の十二月の二日に農林大臣名をもって指令が出ておるわけです。その内容等は御存じと思いますが、第一の点は、毎年一月から六月までの間底びきによってニシンを捕獲してはならないという点と、それからもう一点は、十一月から十二月の間、この期間内においては、百七十万貫以上のニシンを漁獲してはいけない、こういうことが規定されておるわけでありまして、最後に、ただしこの期間中におきましても、一船一航海百貫をこえない場合においては、この規定を適用しないということになっておるわけでありますが、私のお尋ねしたい点は、法律並びに命令等に対しましては、これは当然政府当局においては、この法律、命令の趣旨というもの、その尊厳さというものは忠実に履行されなければならぬというふうに考えておるわけであります。ですから、この命令等にもしも違反したような事実が生じた場合には、この趣旨に基いて正しい取締りを行われるかどうか、そういう点をお尋ねしたいのであります。
 それからもう一点は、こういう法律、命令に対しまして、特に政府職員等においてこの趣旨を忠実に履行しないような場合があったときには、この責任の大臣として、そういう部下に対しましては厳重なる態度で臨むかどうか、特に行政管理庁長官である農林大臣においては、あわせてこの点に対しまして明確なる御答弁を願いたいと思います。
#218
○河野国務大臣 ただいまの芳賀君のお尋ねは、他の漁獲の際にニシンがまじっておる、そういうものを制限してもなかなか制限がむずかしいのじゃないかということで、法で定める以上は厳粛に守らなければいかぬじゃないかということのようでございますが、それは御説ごもっともでございます。しかしそれをそのまま放任しておけば、もっとだらしがなくなって、もっと被害が起ってくるという場合もあるわけでございますから、おのずから緩急の度を得て法を運用することが一番正しい政治の行き方じゃないかと思うのであります。従ってそういうものはほうっておいてもよろしいんだというわけにはむろんいきません。それからちょっと間違ったからといって、それを直ちに処分せよといったところでもって、それもなかなかむずかしい場合もあります。でございますから、こういう問題につきましては、地元においてお互いの利益のために間違わないようにやっていくということが必要だろうと思うのであります。その場合に、この取締りに携わる者に落度があった、その落度については、積極的に悪意があったかなかったかというようなことも十分考えなければならぬと思うのでありまして、いろいろ御注意があれば御注意を承わることにいたしまして、何とかうまくいくように一つ取り計らっていきたいと思っておりますが、こういう問題について総括的に、例外なしに御質問がございましても、ちょうど現在のやみ米の取り締りのようなものでございまして、取り締らずにおけといっても、取り締らずにおくとどこまでいくかわかりませんし、取り締れといったってなかなかその取り締りもむずかしい。政治には、今日の状態においては、そういう場合がいろいろあるのでありますから、これは国民お互いすべての者の責任として、一つお互いにうまくいくように努力していくということでいきたいと思うのでありまして、そこらのところは、御注意をちょうだいいたしますれば、その御注意によりまして善処いたしたいと思いますから、よろしく一つ御指導を賜わりたいと思う次第でございます。
#219
○村松委員長 この際農林大臣の発言を求めます。
#220
○河野国務大臣 ただいまミツマタの問題について御決議をちょうだいいたしましたが、実は私は、先ほどこの問題についてお尋ねの際に申し述べました通りに、十分慎重に大蔵当局とお打ち合せをいたしまして、御期待に沿うように努力をいたすつもりでございますから、よろしく一つお願いをいたします。(拍手)
#221
○村松委員長 石田宥全君。
#222
○石田(宥)委員 先刻来有明湾の農薬被害の問題が論議されておったのでありますが、この機会において一般の河川あるいは港湾に対する農薬並びに公害等についての対策について伺っておきたい。私直接関係しておる新潟県の阿賀川の問題にはっきり現われたのでありますが、農林省がよく指導されまして、漁業協同組合が結成され、最近数年間にわたってアユ、あるいはサケの放流等には相当な予算を計上して、育成に努めておるわけです。ところが阿賀川などではすでに三年間来毎年八月の下旬ころに――この毒は一体どこにあるのか実ははっきりしておらないのですが、工場側ではこれを農薬の被害だという、農民側ではこれは工場の公害であると、こういうようなことをいっておりますけれども、わずか二昼夜くらいの間に数千貫のアユが死滅いたしまして流れてくる。それがもう三年も続いているのです。一体その被害の根源はどこにあるのか。上流には化学工場もある。それから農薬の使用等ももちろんあるにはあるのです。こういうふうにたくさんの経費を使って放流しておるのに、一昼夜か二昼夜に数千貫のアユが死滅する。しかも三年も続いている。いまだに何の被害によるのかということすら明らかでない。従って補償の方法もなければ、どうにもならない。漁業協同組合はそれがために大動揺を来たしまして、今非常に困っておる。こういう問題は単に阿賀川だけの問題でございませんで、全国至るところにあるのです。こういう問題に対して、河水あるいは海水の汚毒に対するいかなる対策をお持ちであるか。また一部にはこれを立法化しなければならないという意見も出ておるのですが、これが対策としての立法措置の準備があるかないか、この機会に一つ承わっておきたい。
#223
○塩見説明員 ただいまのお話の阿賀川は、具体的な事実は私も詳細承知しておりませんが、こういう種類の問題はあちこちに起っておると思います。問題はやはり水質汚毒に関する原因や何かがはっきり糾明されませんと予防措置は講ぜられないということと、それから今のホリドールのようなもの以外に、汚水を出す工場の汚水を除毒する装置であるとか、どの程度まで――全部なくすということはほとんど化学的にできないのですから、どの程度までならば除限度として適当かといういろいろな問題がございます。そういうふうな点についてのしっかりした中心になってそういう問題を解決するような機構が整っておりませんので、それでいろいろ農民あるいは漁民の方で迷惑をしておると思います。それに対する具体的な措置については、まだ現在しっかりした立法はございませんが、これは関係省とも連絡をした上で何らか具体的な方法をとりたいと思うのです。具体的に申しますと除限度の問題であるとか、その他化学的な基礎についてまだ明確な結論を得ておりませんので、水産庁としましても至急検討いたしまして、このままでいいとは思いません、何らかの具体的な方法をとって参りたい、こう思いますが、現在具体的な法文その他までの検討には入っておりません。何らかの措置はとる必要がある、そう感じております。
#224
○石田(宥)委員 いろいろ各省と関係があると思うけれども、やはり責任の中心は、漁業関係は水産庁が負ってもら之なければ困るのてす。今申し上げたように、三年も四年もそういうふうにほとんど全滅的な打撃を受けた、しかも放流したところのアユがそういう破滅的な打撃を受けておるのにもかかわらず、いまだに水産庁としては一回も調査もされておらない、従って対策が立つはずがないのです。そういうことはやはり水産庁としては怠慢じゃない、かと思うのです。これは一つ今おっしゃったようなことで早急に御措置を願いたいのです。これはあなたの責任でお願いしておきます。
#225
○塩見説明員 ただいまのことは、私就任早々で具体的な事件は聞いておりませんが、三年も続いておるというふうなことなら当然県の方から連絡があればこちらから係官を派遣して、ほかにも類似の事件がある場合の例ともなりまするから、十分調査をする必要があると思いますので、具体的に県の方とも打ち合せまして、調査をいたさすようにいたします。
#226
○芳賀委員 引き続いて長官にお尋ねしますが、先ほどから繰り返して申しておる通り、この大臣指令なるものの目的が一体どこにあったかということは、あなたは御承知と思うのです。長官の言葉をかりていえば、実行不可能のような禁止の命令まで出して行なわんとするシステムは、おそらく底びき漁業に対して、ニシン漁業に対して強い規制を与えるというところに問題があるわけです。その目的というのは、結局沿岸におけるニシン漁業者を保護するということがこの命令の趣旨であるというふうに考えるわけです。特にそのニシン漁業が沿岸漁業であるという歴史的なそういう判断の上に立って、この沿岸漁業が、底びき漁業によって既成の利益が減殺されるということを防ぐためにこの命令というものが出たというふうに考えておりますが、その点いかがです。
#227
○塩見説明員 これが全然だめだとは私初めから申しておりません。その当時はこういう方法ででもなければ調整ができないということであって、それがうまくいくかどうかということには確信はなかった。一年やってみて、それじゃ問題はうまくは解決しないという結論になった問題だ、こういつておるわけです。それで、沿岸漁業保護の目的でもってこういつた処置をとったと思います。しかしながら、それは相手の方の漁業を全部操業できないようにするということでもございませんから、相手の漁業の方もやれる、しかし目的は沿岸漁業の保護だ。そこで調整をするとなると、混獲を絶対してはいかぬということなら、やめさせない限りはできないわけですから、混獲の限度等に入った、こう思います。
 それから、先ほど御質問のございました点ですけれども、違反件数についての報告があるかないかというのは、さっそく取り調べましたところが、最近になりまして――これは本来六月にはもう操業が終っているわけですから、その最中になければおかしいわけですけれども、最近になって違反件数の概略というものを係官が持ってきたそうでございます。ところが、それはあくまで概略であって、行政処分をするためにはどうしても水揚げの証明書であるとか、違反者に対する質問書あるいは調書等、そういうものがなければ全然行政処分にならないわけですけれども、そういうものは全然出してきてない。概略書だけ出してきておる。それて、それじゃ困るというので、現在北海道庁の方でそういう根拠になります数字その他詳細な書類を出すように督促中でございますが、まだ未提出のままだ、こういう状態でございます。これは私今取り調べましてわかったわけでありまして、先ほど申したときには、そういう経過だものですから、概略書を係官に持ってきただけで公文書で水産庁へきたわけでも何でもないので、私承知しておらなかった、事実はそういう状態にあります。これはもちろん行政処分の対象になるだけの証拠書類がきちっと整っておればこれは処分すべきものです。それを今ごろまで放置しているというのは私の方としてはいかがかと思っております。それらの点は帰りましてよく取り調べたいと思っております。
#228
○芳賀委員 ただいまの違反事実等の問題に対しては、後刻参考の資料としてお出し願えればそれでけっこうです。
 次にお尋ねしたい点は、過去一年の経緯にかんがみまして、今後水産庁としては、ニシン底びきに対してどういう見解で臨まれようとするかという点と、もう一つ、今後のわが国のニシン漁業というものはどういう趨勢をたどるか、この点に対しましては、水産庁当局としては一つの見解を持っておられると思うので、その見解等について、簡単でいいですから具体的な点を列挙してお述べ願いたいと思います。
#229
○塩見説明員 ニシン漁業の、底びき網漁業との調整につきましては、現在も北海道庁と連絡をとりながら、どういう方法が適当であるかという点について具体的に検討を続けております。昨年もいろいろ検討した結果、ただいま御指摘のありましたような不十分な線で調整が行われるだろう、その点は、不十分であるということは本年一年の経験でわかるわけであります。しかしながら、これにかわる具体的な、これをやったらいいというような方法は、現在までいろいろ検討しておりますが、確たる自信のある方法はまだ発見されておりません。なお時間があることでございますから、もう少し時間をかしていただいて、北海道庁と十分連絡をしながら、また漁民の方々の意見、これに対する批判等も十分伺いながら、適切な措置を発見いたしたい、こう考えております。
 それからこの漁業の転換対策でございますが、これはソ連関係の方の資料が十分ありませんと、資源の見通しあるいは魚群の移動等についての見通しについてはっきりした結論には達し得ませんわけですから、それなしに、もう漁獲減は当然のことである。そうすると、ニシンを対象にした漁業というものは、今までの規模ではできないから制約するなり何なりするという方向へはっきり決断をつけるのには、データが幾らか少いというふうに考えられます。その点につきましては先ほど申し上げましたように、できるならば移動漁具をもってやるならば、ニシンがとれない場合にはほかの魚も幾らか追っかけられる。待っていてニシンだけをとらなければやっていけないというのでは、資源が減ってしまえばこれはとにかく方法はないわけです。イワシ等についてもその問題はあるわけです。太平洋でイワシだけしかとれないような漁法で参りますと、イワシが減ったときにはどうしても食っていけないことになるのです。イワシが減った場合には、イワシの食うプランクトンがふえてほかの魚が必ずふえるわけですから、ほかの魚も追っかけられるという総合的な形に持っていった方がいいわけでございます。ニシンについてもそういうふうなことが可能な漁業者については、そういう方法をできるだけ講じて参った方がいいと考えておりますが、根本的な、船を何ばいどこに持っていくとかいう具体的な措置につきましては、なお研究をさしていただきたい、こう存じます。
#230
○芳賀委員 将来の対策に対しましては次期に譲りまして、当面の問題は、今季節に入っておる冬ニシンの漁獲の問題、さらに一月からの春ニシンが問題なのです。新聞等によりますと、最近南樺太の亜庭湾一帯を相当ニシンが回遊しておって、一日三万貫程度の底びきによる漁獲が上っておるというふうなことが報ぜられておるわけであります。それでお尋ねしたい点は、先ほども長官はニシンの年令組成等の比較の上においていろいろお述べになったけれども、私はやはり冬ニシンと春ニシンというものは、年令組成の上からいっても、これはもう完全に不可分な関係があるというふうに考えておるわけであります。特に今年度の春は近年に見ないような大不漁であった関係で、おそらく沿岸のニシン漁業に携わる諸君は、来年の春こそはという大きな期待を必ず持っておると考えるわけです。そういう場合にこの底びきによる冬ニシンあるいは春ニシンの漁業が政府の徹底しない制限のもとにおいて行われた場合においては、あるいはまたせっかく接岸すべきニシンの回遊に対しても、漁場の変化等が生じたりいたしまして、接岸しないような事態も絶対に生じないとは言えないわけです。そういうところに対して、特に冬ニシンよりも春ニシンの底びき漁業制限による漁獲のきつい禁止命令が出ておったというふうに私は考えるわけでありますが、この見解は長官と異なるかどうか、その点はどうですか。
#231
○塩見説明員 芳賀委員のおっしゃいましたように、冬ニシンと春ニシンの問題としては、春ニシンが沿岸漁業者のためにも大事なものだと思います。また春ニシンと冬ニシンとは全然別だということは申せません。ある関係を持っている。その関係についてはデータ等は不十分でありますが、統計等から出ておりまして、御見解の通りだと思うのであります。ですから、春ニシンに対しては冬ニシンと同じような考え方でやるべきではない、こう考えております。
#232
○芳賀委員 長官が言われました通り、冬ニシンと春ニシンとは私の浅い認識をもってしても、これは完全に不可分なものであるということが立証されているわけです。冬ニシンと春ニシンの漁獲における年令組成の。パーセンテージを見ても、これは全く同一であるということが明らかに立証されているわけです。ですから、ここに非常に大きな問題があると思います。
 それからもう一つは、混獲という場合は、ニシン漁獲を主目的としないで、たまたまニシンがそれに入っておったというのが混獲であると思いますが、それは間違いないでしょうね、どうですか。
#233
○塩見説明員 混獲はそういうふうに理解してよろしいと思います。
#234
○芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、水産庁においてもそのことはもう認識されておりますが、最近底びきの漁具、漁法等に対しまして相当の改善といいますか、変化を加えて、ニシンを、王目的として漁獲するような漁具、漁法が用いられているということは大体お認めになっていると思いますが、いかがですか。
#235
○塩見説明員 漁業者が漁具につきましてはいろいろ研究はされているようでございますが、ニシンを主目的としている漁具であるかどうかという判定は、技術的には非常に困難であります。
#236
○芳賀委員 それでは申し上げますが、水産庁の一つの見解として、漁具はニシン漁獲向きに多少改善されているということを、ある方面等に対しては相当巾広く述べているわけですが、これはニシンをとる目的の方に漁具、漁法が改善されつつあるということをお認めになっているわけですか。
#237
○塩見説明員 ニシンを主目的としてとるような漁具というふうな判定ではございません。幾らかアバを上げまして、それで早く引けるような漁法等が研究されているようでございます。
#238
○芳賀委員 ですから、ここに問題があるのです。最近の底びき漁業というものは、やはりニシンがとれるときにはニシンをとるというところに目的を向けていっているということは、いかに水産庁としても否定できないのです。これは水産庁が一番知っている事実なんです。この事実の上にたった場合に、これは禁止命令の中において命令はしているけれども、これを厳格に取締りをしない、むしろ意識的に怠っているというところに、毎年のようにこの問題が繰り返されているという一つの盲点があると私は考えているわけです。今日の沿岸漁業の中におけるニシン漁業の漁法とかは、今の段階の上に立った場合にはこれでいいということにはならぬと思います。しかしそれを近代化された方向に改善していぐには相当の時間的、あるいは財政的な面というものが、これは両々それに付加されていかなければ、問題の解決はできないと思うのです。ですから、これが転換されるまでの時間的なものは、やはり沿岸漁業としてのニシン漁業を、政府の責任において行政的な配慮の上に立ってこれを保護していくということが、どうしても大事な点であるというふうに考えておりますし、水産庁当局としても、その点には十分今日においても配慮を払っておられると思いますが、その熱意のほどというものは、いかがでありますか。
#239
○塩見説明員 おっしゃる通りに、ニシン漁業者の資源不足からくるところの窮境に対しては、水産庁としてもできるだけ何とかやっていけるように措置するのが必要だと考えております。具体的な方法については先ほど申しましたように、いろいろむずかしい問題がございますが、そういう方向に向って努力すべきだと存じます。
#240
○芳賀委員 これは今後の問題でありますが、現在水産庁におかれても、道庁当局とこの問題の一つの方向づけに対しては苦慮されていると思います。いろいろお考えがあると思いますが、たとえばニシン漁獲の海面を区別するというような、そういう一つの方法等もあると思いますが、そういうことが果して可能であるか不可能であるかという点はいかがですか。
#241
○塩見説明員 ただいま利尻、礼文の方に向っての日本海の方は、沿岸漁民の方も非常にシリアスに考えておられるわけですから、そこについてオホーツクと別な強い規制をやるというような方法は、もし可能ならばいい方法だと思っております。しかしながら北海道庁はその境界が不明確で、取締りは困難だ、こう称しております。
#242
○芳賀委員 その点に対して、私は可能だという前提の上に立っているのじゃないのですよ。そういう方法があった場合、そういうことが可能か不可能かという問題なんです。その次は、もし海面を分けるというような場合には、分けるということは、一つの海面に対してはとらせる、もう一つの海面にはとらせないということに問題が発展すると思います。とらせないというような場合は、これは全面禁止ということになると思いますがいかがですか。
#243
○塩見説明員 とらせないという場合に、全面禁止というのが、混獲してならないというふうなことがあれば、漁業をやめろというふうな結論になると思いますが、そういうことはできないと思います。
#244
○芳賀委員 そうするとたとえば海面を分けるような場合においても、現在の命令の範囲よりもさらに底びき業者に対して特定の海面を開放して与える、またもう一方の海面に対しては、今までと同じように底びき業者にもまたとらせるというようなことにもしなるとすれば、昨年の取扱いよりもさらにこれは沿岸業者に対する一つの圧迫であるというようなことになると思いますが、そういう心配はありませんか。
#245
○塩見説明員 混獲を百貫までならばとにかく違反と認めないというようなやり方でいくか、海面でやるかというのは、やり方次第で沿岸漁業者にプラスになる場合もマイナスになる場合もあり得ると思います。
#246
○芳賀委員 長官に申しますが、あなたは当初から前提として、百貫とか二百貫という一つの制限規定というものは実際役に立たぬということを頭の中に入れて言っておるのですね。それで今になってもまだそういうふうな何貫という規定の範囲内においてならばこれはやれるということを言っていますが、その中に非常に矛盾があると思うが、いかがですか。
#247
○塩見説明員 百貫というのは、業者の方の協力なしにやる数字としては、今それでもって最後のけじめがっくような決定的なやり方ではない、こう考えておりまするが、しかしながら昨年あれだけ長い間検討して出した結論ですから、そのかわるものが、いいものがあれば別ですけれども、それがなければそういう方法も、全然捨てたものとして考えられるかどうかというと、考えられないと今は思っております。
#248
○芳賀委員 私は意見を申し上げる考えはないのですけれども、なまぬるい、百貫とか二百貫というそういう欺瞞的な制限を設けるよりも、むしろ絶対にニシンはとらせぬ、網へ入った場合は捨てろというくらいの強い見解というものがなければ、この期間中における全面禁止とか、百貫以内とか、そういうことは絶対実施できないと思う。そういうような明確な一つの決意というものがなければ、いかに命令とか通達等を出しても、これは業者の協力等に依存するというようなことでは、これは実施不可能だと思う。特に先ほど触れた通り、すでに漁網にしても漁法にしても、ニシンだけをとれるような方向に改善しつつあるというこの事実ですね。それからまた取締りが、水産庁当局としては、現地における取締りに対しては、自信を全く持っておらぬ。そうして道庁にこの監督の責を負わしておるようでございますが、これはなかなか徹底した取締りはできないということは御承知の通りであります。しかも最近は沖合いによって、陸揚げをしないで、底びきでとったニシンの取引が大量に行われているというような事実も長官は知っておられると思う。だからそういうような現実の上に立って、混獲禁止が中途半端ではやれないということをお考えになっており、さらに今後も当分の間は、ニシンの沿岸漁民を、やはり政府の責任において保護しなければならぬという認識の上に立っておる場合においては、昨年一ヵ年の経緯にかんがみましても、もう少し徹底したところの施策というものが講ぜられる必要がどうしてもあるというふうに考えているのですが、その点はいかがですか。
#249
○塩見説明員 ただいままでの芳賀さんの御意見を承わっておりますと、沿岸のニシン業者だけの立場で徹底した措置ならそれは簡単です。片方はやめさせればよいのですから……。しかし片方もやらせながらというふうなことを考えながら考えますと、そう簡単な結論は、またこれといってきっぱり片のつくような結論はそう簡単に出ません。
#250
○芳賀委員 相当自信のあるようなことを長官は言っていますけれども、これは認識がどこにあるかということなんです。口先だけで沿岸漁業を守るとかいっても、実際はもう無制限にとらしておるのと同じじゃないですか。何らの取締りもやらぬで、今後もどうしても全面禁止とか厳重な規制の中においてこれを禁止させることはできないということは、これはもう底びき業者に無制限にニシンをとらすということに尽きておるじゃないですか。そうであれば、そういうことに端的に申したらどうですか。
#251
○塩見説明員 私は無制限に底びき業者にとらせるという方法は絶対とらせません。しかしながら片っ方が全然漁業がやれない、混獲したら全部だめだ、こういうふうな形で、ニシンの漁業者はそれで救われるでしょうけれども、片っ方をゼロにするということには、この問題はいかないだろうと思います。それでやはり今のままでは沿岸業者としては不十分だと考えておられるので、それで沿岸漁業者がもう少し保護され得るような具体的な方法を考えなければならない。その具体的な方法が、昨年も非常に考えたけれども、むずかしかった。昨年の方法では不十分であると、こう考えておりますので、もう一歩進んだ具体的な方法が発見されなければならぬ。今それを具体的に検討中でございますし、北海道庁とも打ち合わせ中で、こういうことでございます。
#252
○芳賀委員 それは問答になりますが、最後に一点だけ……。
#253
○村松委員長 芳賀君、午前中の繰り返しにならぬように御注意を願います。
#254
○芳賀委員 結局これは政府のまじめな取締りとか監督がなければ、今後もいかなる方法をお考えになっても、これは長官の考えのようには進まぬということはわかっておるでしょう。そうなると最後に、今後ニシンの漁獲問題に対して政府はいかにして、いかなる効果のあがる具体的な取締りの方法を強化されるか、そういうものが用意された上に立って、相当自信のあるようなことを言っておられると思いますが、その今後の監督とか取締りの具体的内容だけを一つお述べ願いたいと思います。
#255
○塩見説明員 この監督取締りの方法は、具体的な調整方法をきめた上でないときめられませんです。海の上でここだけはやらせないとかいうふうな方法、これがいい方法であればそれに応じてこれは監視船を出さなければならない。その場合に、北海道庁の監視船だけで足りなければ水産庁はわずかしか持っておりません。ほかの海区からも要求されます。しかしその中を切ってでも出すものは出して、北海道庁だけでなく、こっちも監督に当るという形になりましょうし、陸揚地の方も漁獲高を押える、そこでも監視するというふうなことになりますと、これは水産庁の職員はわずかしかおりませんから、どうしても道庁が主体になって、実際密漁したかしないかという監視をやってもらわないとできないだろうと思います。やり方をなるべく現在の状態で、具体的にできるやり方で、そうして実効の上る方法で問題を処理したい、こう考えております。
#256
○川俣委員 関連……。大体水産長官の最後の言葉は私はある程度了解でき得るのです。今まで芳賀委員の質問に対してあなたは逃げておられたから、こういう最後の結論が出ないような答弁になっておると思います。たとえば、長官は、混獲は絶対押えられないということを言っておられますが、これは漁業者から見ますれば、混獲が絶対押えられないなんということを長官が言われるとすれば、正直者はばかを見るということになりますよ。もしも初めからある地域における混獲が取り締れないのだということになりますと、初めからそのつもりでやった人もあるだろう、あるいは取締りが強化していると見れば手控える人もあるかもしれません。こういう問題があるのです。しろうとじゃない、あなたはくろうとじゃないでしょうが、ホッケをとる場所と時期と魚道等によりまして、今は一体ニシンどきかあるいはホッケどきかということを知らないではやっていません。ところがオホーツク海のようなところにいきますと、確かに混獲かあるいは単獲かということの決定がつかない場合もなきにしもあらずです。しかしどうしても取り締らなければならぬ場所においては、せっかく通牒が出ているのだからして、これは厳格にやるのだということが出てこなければ、一様に監督が困難だ、困難だということになっておりますと、おそろしい結果になると私は思う。正直者がばかをみる。だから混獲の監督が困難だということであなたは逃げられないで、この海域、この魚道はやはり断固として押えなければならないとか、監視船を出すにしても海域が広過ぎる、あるいは弊害が薄いというようなところは足りない監視船をもって監視しなければならないということはないと一応考えられる。どこまでもあなたが混獲の監督が困難だ困難だと逃げられるからいけないのだと思いますが、どういう意味なのですか。
#257
○塩見説明員 混獲しないでやるというのはあの海区では困難です。漁場がきっぱりとホッケの漁場、ニシンの漁場と分れている時期も十分調査をすればあるかもわかりませんが、この漁期においては分れておりません。ですからホッケをとれば混獲されます。
#258
○川俣委員 長官はみんな混獲だという弁解を聞いて、弁解に負けるからそういう答弁をする。漁業者がそんなことを知らないでやっているものですか。相当な金をかけてやる場合に、見通しのつかないようなことはやりませんよ。私ら現にやっていたんだ。これはつかまったときには混獲だと言って逃げる手はありますよ。それではあの通牒を出して正直者がばかをみるということになる、取り締れないのだということになると。しかしながらどうしても沿岸漁民のためにこの地域は、この魚道は押えなければならないと決心した場合には、断固やるだけの決意を持たないで、どうして水産行政が立っていくのです。断固やる場所と、監督が行き届かない海域の大きい場所と同じ考え方でおったのでは、あの通牒というものは意味をなさないのです。そうお考えになりませんか。あなたの最後の答弁は大体そういうように近寄ったと思うから、それだけ聞いているのです。
#259
○塩見説明員 誤解があるかもわかりませんけれども、あの通牒を出したときには海区は区別しておりません。ですから混獲百貫という制限だけであります。
#260
○川俣委員 いやにこだわるのですが、それじゃなぜ通牒を変えないのです。やらない通牒をなぜ出すのです。実行できないようなことを作るのはだれの責任です。行政官はこういう通牒を出されたのだが、行政事務はこれではやれませんということをなぜ断わらないのです。行政官の当然の任務じゃありませんか。やれないけれどもこのまま置くということはあり得ないはずじゃないか。これは怠慢ですよ。行政官としては、実行できないのなら職をやめるか、この通牒を取り消すかしなければならぬではないか。それがまじめな行政官の態度ではないか。やれないようなことを、正直者はばかを見るようなことをだれが行政官がやらせるのですか。だから実行するにはこうすると変えることはいいですよ。正直者がばかを見るような行政をあなたみずからやるお考えですか。
#261
○塩見説明員 これは今年の春ニシンの問題での通牒でございます。今度の春ニシンについては本年度の春ニシンの経験から見て、あれでは十分な効果が上らないという漁業者の御意見でもあるし、われわれもそれでは十分だと思いません。あの通りのやり方で今度やろうと思っておりません。しかしながらあれを捨ててもっといい方法があるかというと、なお検討しなければいけない。もしあれも生かしてプラスしてほかの方法をとるのがよければなお生かすかもしれません。それらの点については目下検討中ということでございます。
#262
○川俣委員 それでは去年あの通牒をまじめにやった者はどうなりますか。まじめにやった者の損害賠償の請求に応じますか。応じられないでしょう。どうなんです。一方で通牒を出しておいて、まじめにやった者は損をするというようなことを容認しておいて、何の水産行政が成り立つのですか。まじめにやった者を賠償して保護するというならこれは確かにいいでしょう。一ぺん通牒を出されたならばそれに従わせるという意思でしょう。忠実に守った者はどうするんです。守って損した者はどうするんです。相手の者よりもとれなかったという者はどうするんです。とれなかったのなら賠償でもするなら別です。そういうことはできますか。
#263
○塩見説明員 規定を守った者に賠償をするということは考えておりません。しかし規定を守らなかった者ではっきりと処断ができるだけの証拠書類が整えばそれは処分いたします。規定を守らなかった者は処分いたします。そういう方向で処置いたします。
#264
○川俣委員 それはあったことは確かに事実なんです。事実だけれども、あのもので強行するというと打撃が大きいから寛大にしよう、とこういうことなんだ。証拠がないわけじゃない。あるのだけれども、あれは少し強過ぎたから寛大にしようというのが大体水産当局の考え方。あった者は全部処罰するのじゃない。あれは少し強遇いざたから寛大にしようという考え方であろうと思う。どうも長官はその場その場で逃げておってはだめですよ。時間を食うだけですよ。
#265
○塩見説明員 違反がありまして、とにかく書類が違反の事実をはっきりと証明されるだけのものであればこれは処置をしないわけにはいきません。処置をいたします。
#266
○川俣委員 混獲がどうかという証明はむずかしいと自分で言っているじゃないですか。むずかしい証明をだれがするんです。水産庁長官みずからがむずかしいと言っているものがそれ以外証明するわけにいかないでしょう。結局はあの通牒では少し強過ぎたんだから、寛大な処置をとらざるを得ないというのがあなたの考え方でしょう。証明があれば断固としてやるというなら、あくまでもあの通牒を守らせるというなら別です。なかなかあの通牒を守らせるということはむずかしいと自分で言っているじゃないか。
#267
○塩見説明員 混獲でないものを処分するということでなくして、混獲で百貫以上とったものを処分するという規定なんです。その百貫以上というところが非常にむずかしいということになっております。
#268
○村松委員長 本日はこれにて散会し、次会は公報をもって御通知いたします。
   午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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