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1955/12/16 第23回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第023回国会 商工委員会 第8号
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1955/12/16 第23回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第023回国会 商工委員会 第8号

#1
第023回国会 商工委員会 第8号
昭和三十年十二月十六日(金曜日)
   午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 神田  博君
   理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
   理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
   理事 長谷川四郎君 理事 中崎  敏君
   理事 永井勝次郎君    阿左美廣治君
      秋田 大助君    大倉 三郎君
      菅  太郎君    鈴木周次郎君
      田中 角榮君    伊藤卯四郎君
      加藤 清二君    片島  港君
      田中 武夫君    帆足  計君
      八木  昇君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  石橋 湛山君
 出席政府委員
        外務事務官
        (経済局長)  湯川 盛夫君
        通商産業政務次
        官       川野 芳滿君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 岩武 照彦君
        通商産業事務
        官
        (通商局長)  板垣  修君
        通商産業事務
        官
        (鉱山局長)  松尾 金藏君
 委員外の出席者
        外務事務官
        (経済局第七課
        長)      二階 重人君
        大蔵事務官
        (為替局外資課
        長)      小島要太郎君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 鈴木 義雄君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 委員派遣承認申請に関する件
 繊維、アルミニウム及び硫黄、ミシン工業等に
 関する件
 外資導入等に関する件
請 願
 一 沖繩貿易振興に関する請願(上林山榮吉君
  紹介)(第二二号)
 二 石油資源開発株式会社への国家投資に関す
  る請願(片島港君紹介)(第六〇号)
 三 同(永井勝次郎君紹介)(第六一号)
 四 同(櫻井奎夫君紹介)(第六二号)
 五 都道府県信用保証協会に国家資金融資に関
  する請願(小枝一雄君紹介)(第九九号)
 六 木造船の中共向輸出解禁に関する請願(田
  口長治郎君紹介)(第一〇五号)
 七 発明事業の振興に関する請願(徳田與吉郎
  君紹介)(第一〇六号)
 八 地籍調査促進に関する請願(田中利勝君紹
  介)(第一三四号)
 九 石油資源開発株式会社への国家投資に関す
  る請願(河野密君紹介)(第一四二号)
 一〇 同(佐々木良作君紹介)(第一四三号)
 一一 只見特定地域の総合開発促進に関する請
  願(高木松吉君紹介)(第一五二号)
 一二 県営電気事業の復元に関する請願(相川
  勝六君外五名紹介)(第一九二号)
 一三 輸出貿易振興費の国庫補助に関する請願
  (野田卯一君外七名紹介)(第二四三号)
 一四 芽登第一、第二発電所工事促進に関する
  請願(本名武君紹介)(第二五七号)
 一五 下只見電源開発に関する請願(田中利勝
  君紹介)(第二六〇号)
 一六 茨城県の未点灯部落解消に関する請願(
  塚原俊郎君紹介)(第二七一号)
 一七 中国における日本見本市開催の請願(中
  村高一君紹介)(第三四三号)
 一八 北海道総合開発促進に関する請願(町村
  金五君紹介)(第三五九号)
 一九 田子倉及び奥只見電源開発促進等に関す
  る請願(愛知揆一君紹介)(第三六〇号)
 二〇 石油資源開発株式会社への国家投資に関
  する請願(伊藤卯四郎君紹介)(第三七七
  号)
 二一 同(神田博君紹介)(第四五五号)
 二二 中国向木造船の輸出認可に関する請願(
  池田正之輔君紹介)(第四五六号)
 二三 国産しゆろ繊維生産業の危機打開対策確
  立に関する請願(世耕弘一君紹介)(第四五
  七号)
 二四 芽登第一、第二発電所工事促進に関する
  請願(森三樹二君紹介)(第五三六号)
    ―――――――――――――
#2
○神田委員長 これより会議を開きます。
 この際閉会中審査申し入れの件並びに委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。電源開発に関する問題につきましては、かねて本委員会といたしましては重大な関心を持ち、しばしば論議されたのでありますが、自乗ダムの実地調査の必要性を痛感しておった次第であります。この機会に閉会中を利用いたして懸案の実地調査を行いたいと存じますが、これがためにはまず院議により調査案件の付託を受くるとともに、議長において委員派遣の承認を得なければなりません。この際議長に閉会中審査の申し入れ及び委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なお派遣委員の選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○神田委員長 本日公報に掲載いたしました請願二十四件を一括議題に供します。
 まず請願審査小委員長の報告を求めます。請願審査小委員長鹿野彦吉君。
#6
○鹿野委員 ただいまより請願審査小委員会の審議の結果を簡単に御報告申し上げます。
 第二十三回国会において商工委員会に付託されました請願件数は二十四件でありまして、そのうち請願日程第一二の県営電気事業の復元に関する請願はなお慎重に検討すべきものと認めまして、その他はいずれもその趣旨は妥当なるものと認め採択の上内閣に送付すべきものと決した次第であります。
 以上簡単でありますが、御報告を終る次第であります。
#7
○神田委員長 これにより各請願の採否を決定いたします。ただいまの小委員長の報告の通り、本日の請願日程中日程第一二の請願を除く各請願につきましては、これを採決の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 なおただいま議決いたしました請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○神田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
 なお本委員会には、すでにお手元に配付いたしてあります通り陳情書が、二十四件参考のために送付されております。念のために御報告いたしておきます。
    ―――――――――――――
#10
○神田委員長 繊維、アルミニウム、ミシン工業及び日中貿易等に関する諸問題について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。八木君
#11
○八木(昇)委員 大臣がお見えになります前に、鉱山局長その他にお伺いをいたしたいと思います。
 昨日申し上げましたのに対して、非常に簡単な資料がけさ配られております。これによりますと、私が昨日指摘をいたしました通りに、昭和二十七年と二十八年には、外国に非常に安い価格で輸出をしておる。そのために、翌年の昭和二十九年には、今度は逆に国内で地金が非常に足らなくなって、これを外国から輸入しておる。しかもその輸入価格は、輸出価格に比べて高い。そうして三十年にはまた輸出をしておる。その価格たるや、十六万円という非常な低価格でこれが出ておる。けさ配付されました資料によっても、これが明らかに出ておるわけであります。この資料の中で一つお伺いをいたしますと、第一の昭和二十七年、二十八年の対米輸出となっておるものについて、その内容をお伺いしたい。
 私の承知いたしておりますところでは、日軽がカナダアルミニウム・リミテッドの外資を導入した。ところがそのカナダアルミは、対アメリカとの取引がもちろんあるわけで、アメリカの西海岸の方にこれを移したい。カナダとアメリカとの取引の関係で、アメリカの太平洋岸にこれを送らなくてはならぬ。アルミの地金をやらなくてはならぬ。これをやるために、日本の日軽で製練を非常な低賃金でやらせて、採算の合わないような非常な安値で、日本の日軽で製練をした地金を、今のカナダ、アメリカ間の契約に基いて、アメリカの太平洋岸の方へ持っていかせた、こういうのが実相であるというふうに私は理解しておるのであります。この昭和二十七年、二十八年の対米輸出、それはほとんど日軽がすべてでありますが、これの中身について明らかにしてもらいたい。
#12
○松尾政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘のございました二十七年、八年の数字でありますが、この資料に掲げておりますものは、御承知のように二十七年当時、アメリカにおきまして、いわゆるIMCの機関で国際的に不足の物資を、世界的にアメリカ側が輸入を求めたのであります。当時の事情といたしまして、そのIMCの要望にこたえて、ここにございます約八千トンばかりの対米輸出を当時契約いたしました。積み出しは二十八年度にまたがっておりまますけれども、これは二十七年度におけるIMCに対する、事実上の米国政府に対する輸出でございます。ただいまお話のございましたカナダに輸出をするというものではもちろんございませんし、それからカナダの会社であるアルミニウム・リミテッドとの提携とは関係のない輸出であります。
 それから二十七年度当時は、ここにございますように、アルミニウムに対する国内需要がまだ十分開拓されておりませんで、国内的には数量としては当時アルミニウムの需給にはかなり余裕があったのであります。そういう観点からこの当時のアメリカ政府に対する要望にこたえてこの輸出をしたのでありますけれども、値段の点につきましては当時国内価格はまだコストの高い当時でありました。それに比べて国際価格は非常に安かった当時であります。従いましてそのときの輸出価格は、その当時の世界価格水準としては妥当な価格で向うに輸出しておりますけれども、国内価格に比べましては当時コストが高かった関係から、国内価格との開きが結果的に出ておる、こういう状況であります。いずれにいたしましてもその点はその後における日軽とのいわゆる資本提携とは関係のない問題であったのであります。
#13
○八木(昇)委員 それは非常詭弁であると私は思うのであります。とにかく国内価格との関係において、非常な開きをもってこういう輸出をやって、その翌年には今度は非常に高い価格で輸入をするというようなことは、どうしてもコマーシャル・ベースの上から考えても私は理解しがたい。今の二十七、八年の輸出についても、ただいまのようなお話でございましたが、実際の輸入業者はだれであるか、相手の輸入業者、そうしてこの商談を取りまとめ、契約させたのは一体だれかということをこの際明らかにしていただきたい。
#14
○松尾政府委員 先ほど申しました対米輸出の場合は向うのIMCという特殊機関に対する輸出でございますから、当然直接に向うに輸出をしたのであります。向うの輸入業者の手は通っていないと承知しております。
 それからその後において輸入したではないかという点でございますが、これは二十八年度におきましても、国内のアルミニウムの需給関係は決して足りない状態ではなかったのであります。しかしその当時におきまして、やはり国内価格はコストの関係から高い、しかし国際価格は非常に安い、そういう状態にあったのでありますが、当時このアルミニウムの加工業者が加工品の輸出をしたいという希望が強かったのでありますが、それにこたえます意味におきまして、国内の地金を使っての輸出は採算的に非常にむずかしかったのであります。従いましてそれに対する対策といたしまして、いわゆる加工貿易の制度が当時とられましたので、加工貿易制度として海外の安い地金を輸入をして、そういう国内の加工業者にそれを与えて輸出をさせたということでございまして、そういう意味で需給関係が足りないから翌年度に輸入したというような事情ではないのであります。
  〔永井委員「それは加工貿易にならぬじゃないか」と呼ぶ〕
#15
○八木(昇)委員 そういうことであれば、今永井さんも一言っているように、加工貿易にならぬと思います。ただいまの御答弁は一応その通りこの際は承わっておきますが、諸外国からは地金の注文というのが相当に最近は殺到をしておるというふうに私は思うのであります。では一体どういう国々が、その注文をしておるのか、そうして一体どのくらいの値段で商談はまとまるものであるか、このいう点をお話願いたいと思います。
#16
○松尾政府委員 現在は御承知のようにアルミ地金の輸出はとめてございます。しかし商談といたしましては、やはりアルゼンチン、ブラジル等、南米方面からのオファーと申しますか希望はかなりあるように聞いておりますし、その値段も、御承知のように現在国内価格が二十万円でございますが、現在の国際価格もその辺でございますので、現在の状況では大体国内価格と大差ない値段で輸出し得る状態になっておるのでございますが、昨日も御説明いたしましたように、国内の需要にこたえて、さらにまた国内の加工輸出業者の要望にこたえて地金の輸出をとめておる状態であります。
#17
○八木昇委員 今までの鉱山局長の御答弁は、私は支離滅裂であると思います。ただいまのお話のように、ブラジル、アルゼンチン、ビルマ、香港、韓国というふうな方面から日本のアルミニウム地金に対する注文は殺到しております。大体二十一万円見当でゆうゆうと売れるのであります。とするならば、一体なぜ本年度において、日本軽金属が四千トンものものを、十六万円やそこらで輸出するか。これはもうはっきりしておるのであります。しかも、これだけ殺到してきておるところのブラジルその他各国に対する輸出はこれを停止せしめておる。こういうふうなことは全然筋が通らぬじゃありませんか。その辺をもっと納得がいくように御説明をいただきたい。
#18
○松尾政府委員 ただいま御指摘のございました輸出の点は、二十九年度の契約履行分として当時の国際価格で積荷をしたというものであります。三十年度に入りましてからは、国内需給を見まして輸出をとめておるという状況でございます。
#19
○八木(昇)委員 いろいろ言いつくろわれましても、昨日来私が御質問いたしましたように、結局カナダアルミとの間に結んだ日軽の外資受け入れというものが、実際においては日本のほんとうの意味でのアルミ産業の対外貿易のためにも、あるいは国内における圧延業者のためにも、また国内のアルミの利用者である一般需要者大衆のためにも一向なっておらぬのじゃないかというふうに思うわけであります。そこで昭和三十年度は今のような状態に改善してきておるとするならば、では今後の対外輸出についてはどういうふうにお考えになっておるかということを御調明いただきたい。
#20
○松尾政府委員 申し上げるまでもなく、できるだけ輸出の振興をやりたいということは当然でございます。ただ現在の状況あるいは近い将来の見通しといたしましては、おそらく海外の市況は依然として強い状況を続けるのでありましょうが、しかしその海外の強い市況に乗ってそのまま地金の輸出を続けるというだけでは、国内関係に不測の混乱を来たすおそれがございますので、この辺は国内の需給状況をよく勘案して地金の輸出についても調節策をとらざるを得ないと思います。同時にまた地金を地金のままで輸出するよりは、やはりできるだけ加工して輸出した方が外貨の手取りが多くなるわけでございますから、その意味の制度として、現在すでに地金として輸出するよりも、安い価格で国内の加工業者に地金の特価提供をやっておるわけであります。その特価提供を通じて、やはり加工度の高い製品の輸出はできるだけやっていくことがいい方法ではないかと思います。同時にまた国内の需給関係をあまり圧迫をして、国内価格がまた不当に上るということも当然防がなければなりませんので、輸出振興と国内の需給関係のかね合いをにらんで今後の輸出振興策を考えていくべきではないか、こういうように考えております。
#21
○八木(昇)委員 抽象的にそう言われるだけでなくして、実際にぜひ一つそれをやっていただきたいと思います。それで結局カナダ方面に非常に安い価格で地金をどんどん持っていかれておるために、国内の地金の価格が上っておる。これにしわ寄せがきておる。そういうことのために、加工貿易だと一口に申しましても、加工貿易ができなくなっておる。こういう状態でありますから、今のような、カナダやその他に安い価格でどんどん持っていかれるような措置をどうしても押えて、国内の加工業者に安い価格でもって地金を提供し、そして加工貿易ができるように、ぜひとも今後具体的にそれをお進めいただくようにお願いを申し上げるわけであります。
 大臣がお見えになりましたので、昨日御質問申し上げましたのに関連いたしまして、一、二なおお伺いいたしたいと思います。昨日の大臣のお話の中で、日本軽金属の株主、重役、こういうのがマレーでの鉱石の直接堀りを今問題としておらぬのであるから、何も政府あたりがどうこう言う必要もない、大体こういうふうな意味のお話であったと思う。そのお話は私はどうも納得がいきません。この外資を受け入れることを認可するについては、直接堀りをやる。そうすることによって非常に有利な条件で安い価格の地金を国内に提供することができる。従って貿易も振興するし、国内の市場も開拓できる。そういう意味で結局は各圧延業者や利用者が非常な利益を受けると同時に、国それ自体も大きな利益を受ける。こういうことでもあってその外資の受け入れが認可をせられたわけでありますから、当然今の外資を認可したその理由からしても、これは重役がどうこうとか、資本が今望んでおらないどうこうというようなことは、私は理由にならないというふうに思うわけです。
 それからなお、いろいろ詳しいことは自分は知らないというふうに石橋さんおっしゃったのでありますけれども、石橋さんの選挙区であります静岡方面に日軽の大きな工場があるわけであります。その辺のところは、あなたの選挙区に日軽なんかに勧めておる人たちがたくさんおるわけですから、そういう具体的な事情を御承知がないということはないと私は思います。従って適当にとぼけて答弁をせられたのであろうと思います。その辺のところはもっと的確に本日はお話をいただきたい。それからすべて契約は、調印と同時に有効かつ即時その実行をやっていくというのがすべてのやり方でありますから、その条件のもとに外資受け入れが認可せられてから三年を経過するにかかわらず、何らそのことが行われておらぬとずるならば、これはまことに不思議な話であります。従って調印後の情勢が変化した云々というような言いわけを、もし当事者の人々がしておるとするならば、外資の施行細則の中には、そういう条件の変化があった場合には、その変更の届出認可を受けることになっておるはずであります。では日軽それ自体はそういう変更の認可申請をしたかどうか、こういう点も、外資受け入れ後の実際の状況を監督しておるべきはずの大臣のお考えをお伺いいたしたいと思うわけであります。
#22
○石橋国務大臣 日本軽金属のありますところは残念ながら私の選挙区ではなく、ちょっと隣なんです。でありますが、そんなことはどうでもいいとして、実際に契約、それはその鉱山を掘ることができるという契約はしておると思いますけれども、それはそろばんの問題ですから、そのほかのところから安い鉱石が来るものを、わざわざたくさんの資本を投下して――鉱山を掘るのはただで掘れるわけではない、いろいろな設備をしなければならない。それを無理にしろという必要は私はないと思います。掘れば必ず安くなる……。(永井委員「条件つければいいじゃないか」と呼ぶ)それは条件じゃない。政府はそれを条件にして認可したのではあるまいと私は思います。向うの会社同士の話し合いの中にそういうことが出ておるのでありまして、政府が外資導入の条件に鉱山を必ずいつ幾日掘らなければならないという条件をつけておるのじゃないと思います。これを聞くところによれば、実はその契約によって、競争関係上今までのビンタンその他の鉱石が非常に値が下ってきた。だから今までとっておる鉱石の値段が依然として高ければ、これは新しく鉱山を開くということになるのでありましょうけれども、そうではなく、値段が下ってきた。こういうことでありますから、現在マレーの鉱山を開くのが適当かどうか、これは全くそろばんの上の話でありますから、政府がとやかく言うことはできないと思います。
#23
○八木(昇)委員 その点は石橋さんは御存じなくて言っておられる、こう一応理解しておきますが、私は昭和二十七年の衆議院大蔵委員会の質疑応答の議事録を実はずっと読んできました。その中にはっきりとそのことが言うてあるわけなんです。すなわちそういう条件が認められない限りはこういう外資受け入れば妥当でない、そういう条件を条件として受け入れようということに、非常な論争の結果、相当長期間もめた後になっておるのであります。
#24
○石橋国務大臣 それはお話しの通り、私はその当時何も関係しておりませんから存じません。存じませんが、しかしどうですかね、実際に鉱山を開かなければ外資の導入は許さない、こういうほどの条件になっているのでしょうか。
#25
○八木(昇)委員 契約書そのものは見
 ておりませんが……。
#26
○石橋国務大臣 そうじゃないと私は思うのです。これはさっきから言いますように、実際鉱石が安く手に入ればいいのですから、わざわざ新しい鉱山をぜひ堀らなければならなぬということはないのじゃありませんか。
#27
○八木(昇)委員 そこで私が本日申し上げたい点は、こういうふうに非常な論争を巻き起して、そうして当時の池田大蔵大臣あたりが、ただ向うから鉱石を買い入れて、そうして日本の国内でも製練をするというそういういわゆる単純なあり方ならば、これは何も外資を受け入れる必要はないのだ、そういう外資を受け入れしなくたって、日本の製練業者三社は一括購入を従来ともやっておったわけですから、しかもやはりカナダ・リミテッドとの間にやっておった、こういうわけでありますから、ここで外資をあえて受け入れなければならぬということについては、ここに何かのはっきりした受け入れなければならぬような条件というか、理由というものがあれば別だ、こういうことになった。そこで、直接堀りをやらせてもらえる、そうすれば非常に安い価格で国内に鉱石が持ってこられる。それならば外資導入を認めましょう、こういうことになっておる。でありますから、そういうことがないのならば何も外資導入をすべき根拠が絶無であるというところに問題があったわけです。そこでこういうふうに事実は外資委員会を全くぺてんにかけてやったようなことになっておるわけでありまするから、こういうふうに条件が事実問題として変化をしてきたときには、当然こういう契約は取り消しをするといいますか、あるいはこの条件変更の届出について措置をとらせるとか、あるいは何らかの行政的な措置をとるとかいうようなことがあってしかるべきではないかということを、私はきのうは聞いておるわけです。
#28
○永井委員 関連質問。今のカナダアルミとの間において取りかわしたものが条件ではなくて、これは経済的な諸条件の推移によっては必ずしもそういうことをやらなくてもいいのではないか、こういう大臣のお話でありますが、これは一般的な取引の条件ならそれでよろしいと思うのですが、当時この日軽は資本金を六億二千万円に倍増資して、増資株の千二百四十万株というのを一株当り十円のプレミアム付で、五十対五十の持株としてこれを持たせたわけですこういう株の持たせ方、当時百四十円余りしていた株を、わずか十円のプレミアムで売るということは非常に国辱的なものではないかということが、委員会で問題になったわけです。ところが厚鉱を持っていないわが国のアルミ産業が、外地にこの山を持つのだ、直接堀りでこれを持つのだ、それから産業を合理化するために年利五分五厘、八カ年償還で最初の三年六カ月は据置として、自後六カ月ごとの均等償還という条件付で、百八十万ドルの金を低利に借りられる。山を堀るのだ、こういう低利な金をこういうふうに流すのだ、こういう条件があるからこの株をこれだけ安く何するのだ、こういうことで、それならば別に経営に五〇%参加させるということも理由がないわけではない、こういうことで、この契約、外資の導入というものが認められた。たとえば八木君が今言ったように、金を貸さないでもいいのだ、借りなくてもいいのだ、あるいは直接掘りしなくてもいいのだ、こういう条件であるならば、当時におけるこの会社というものは第三次再評価をしないで積立金が七十三億からなっておる非常な有利な会社であって、百何十円というようなこういう株をこんなに安売りする必要はどこにもない。ただ直接掘りするということで、それからまた低利な金を貸すという条件で、それならばということでこれは入ったわけです。その条件が全部無視されておるというところには、最初の契約である外資導入の条件というものが詐欺にあったのだ、うそを言ったのではないか、こういうふうに感じられる。今後いろいろな面で、外資の導入の面において日本の国の企業人が腰抜けであるということも一つの条件でありましょう。目の前にぶら下ったパンに何かでもじりつく条件でもありましょう。これは平素の通産省の行政指導が不十分であった結果として、業者の自律性を失わしている結果になっているのだろうと思うのですけれども、そういう結果になっている。こういう形で外資がいい条件だけつけて入ってくる、入ってきたら最後、そういう条件というものは不実行にして、そうして経営に五〇%の参加をするというような形でどんどんやられたならば、これは大へんなことだと思うのです。ですからこれは大臣の言うように簡単な条件ではない。当時のいろいろな経過から見まして、これは直接掘りするということ、低利の金を貸すということが前提条件になって、それならばということで入ったわけですから、これは単なる取引の面におけるところのものではない、動かすべきものではない、直接掘りすることが非常に不利であるといういろいろな条件があったとするならば別ですけれども、聞きますと、この山はもともとの直接掘りのできるような条件ではないのだ、けれども外資を導入するためのただえさとして、偽わってこういう条件をつけたんだ、だから現在直接掘りができないんだ、こういう結果になっておるとわれわれは判断するわけですが、これに対して大臣はどうお考えになるか、これは単なる経済的な変動で、どうあろうとこんなものは差しつかえないんだ、やはりこういうふうにお考えになりますか。それからそういう条件の中で五〇%の株を譲渡するのに百何十円という現在の株価格のときに、十円のプレミアムだけで譲渡するという常識はずれな事柄がなぜ行われるか、こういう関係から当然これが大きな条件であるということが、常識上理解できないかどうか、伺いたい。
#29
○中崎委員 関連して。元来通産省で外資の許可をするような場合には、例の委員会にかけてたいていの場合許可の条件がついているはずです。それでこの場合についても今のような条件が許可の際に当然つけられたと考えておるが、一体当時許可の書類がどういうふうになっておるかということできのう以来こうした問題になっているのを、大臣はそうしたことがあるとかないとかいうような物事をただ軽率に受け流すとろに問題があるので、一体この問題についてどういう調査をしたのか、さらにこうした問題で条件付の問題が絶えずあるのだが、そういう場合どういう監督をし、どういう指導をするのか、どういう責任をとるのかということをあわせて全般的な御答弁を願いたい。
#30
○松尾政府委員 今最後に関連質問がありました点は事実問題でございますから私から申し上げます。今そのときの許可書の内容をここに持ち合せておりませんけれども、当時の状況としてそれが許可の条件というような形にはなっていないはずであります。ただ両会社の間には必要であればいつでもマレーのその山を開発できるという両会社問の了解の往復文書がついておる、現在でもその鉱石を必要とすればいつでも開発できるような状態になっておるというふうに聞いております。
#31
○中崎委員 たとえば今の問題についての経過をきのう以来聞いてみますと、初めは池田君が当時そんなものは国辱的なものでもあるし、日本の産業経済にも大きなるところの影響があるから、これは簡単に許可すべきものではないと言っておった。ところが今のような条件を持ち出して、それでは何とか考え直そうじゃないかということになって許可されたという結果になっておる。そういう重大なる事項について当局はただ何らの措置も講じないままに、あとは野となれ山となれ、許可さえすればいいんだというふうにして、一緒になっていわゆるぺてんにかけ、かけられるような形においてこの取扱いをしたのかどうか、また今後もそういうふうな重大問題を軽率に扱うような不信義なことを国民の面前においてやるのかどうか、そこをお聞きしておきたいのです。
#32
○石橋国務大臣 私からお答えいたします。当時の契約とか当事者あるいは政府などについて私は弁解する資格もなし、弁解する必要もありません。そういう場合に一体どうすればいいのですか。つまり御質問の趣旨は、それならば前の外資導入の許可を取り消せとおっしゃるのですか。
#33
○八木(昇)委員 この場合明らかにこういう外資を先ほど来繰り返し申しておるような形のまま受け入れて、しかもそのままの状態で日軽の業者がやりていくということは、結局日本経済それ自体にとってもプラスではないし、また国内の各種圧延業者あたりを苦しめておるという状態であるから、これを何とか実際にわれわれお互いに役立つような方向に今後行われていくように行政指導してもらいたいというのが一つと、それからもう一つは最初の条件となっておったようなああいう根本条件が実際にもう行われ得ない、初めからぺてんのようなものであったとするならば、これは外資導入の認可を取り消してもらいたい。これは日本の国内産業のために何にも役に立っておらぬ、こう考えるからであります。しかもそれを取り消すことについて法律上今日不備がある。そういうことは困難であるとするならば、これは当事者である大蔵省方面ともよく折衝をせられた上で、そういう立法措置もこの際考慮をしてもらいたい、私どもこういう要望です。
#34
○石橋国務大臣 お話の中の前半の経済問題、つまり国内の圧延業者等に対して地金が十分に安く行き渡るようにしてほしいという点は、むろんいたさなければならないことであります。現在いたしておるつもりでありますが、将来もむろんそうします。それから後半の今の外資導入についての問題は、法律関係その他いろいろありますから、十分研究しなければ、今お話のように処置するともしないともいなかなか曲答えはできませんが、これはいずれ研究いたしまして適当に、実際お話のようにぺてんであったならその場合はその場合のように、処置をどうしたらいいか、これは研究しなければならぬ。それだけお答え申し上げます。それ以上のことは今申し上げられません。
#35
○長谷川(四)委員 関連して、今お話を聞いていて大臣から答弁したように、前段は皆さんの目的が前段にあるというならば、私たちはこれに賛意を表すること決してやぶさかではありません。しかしあとの問題は非常に大きな問題だと思う。なぜならば現在カナダと日本の国際関係というものが那辺にあるかということをまず考えてみてもらいたい。現に通商局長がおいでになっておるからわかるであろうけれども、今日カナダへの貿易というものがいかに拡大されてきておるか。これはわれわれの想像以上のものがあり、またカナダの住民、カナダの民族が日本に対していかなる感情を持っておるかということを考えてもらいたい。あなた方はソ連だけが自分たちの味方であると考えないで、もう少し世界を広く見て考えてもらわなければならぬ。国際的の問題を大いにやることはけっこうであるけれども、取り消せとかなんとかいう問題は簡単に答うべき問題ではないし、大いにその点は考慮しなければならない大きな問題だと思う。たとえばこういう点を申し上げてみたい。先日カナダの新聞を見てもおわかりのように、日本から行っておる繊維製品の問題を一つ取り上げてみても、日本から行っておる繊維製品は、大体カナダの半分でず。ワイシャツの例をとれば、現在カナダの販売する半値で売ったために、カナダの業者はこぞって反対を政府に申し込んだ、政府はどういうふうに答えたか、あなた方は、日本から持ってきてこの価格で売れるものをしかもあなた方が倍で売らなければならぬところに自分みずからの欠陥を見出さないか、大いに日本製品を歓迎しますということをカナダ政府の政治を行う人が答弁しておる。こういう点も皆さんに考えてみてもらわなければならぬ点だと思う。であるからただいまお話の前段は、通産省に指導をしてくれ、こういう点については大いに私は考慮しなければならぬ点だと思うけれども、あとの取り消せとか、取り消さないとどうするとかいう問題は、これは十分考えた上において御質問をしてもらわなければならないし、答弁をしてもらわなければならない重大な問題であろうと思います。
#36
○永井委員 今長谷川君から非常に国際的な広い視野に立っての御所見で、われわれはヨシのずいから天井をのぞいているようなことになりますが、だれがどうかということは第三者の批判にまかせなければいけないけれども、何がわれわれがソ連一辺倒で、それから何かカナダなりアメリカなりというふうな話をすれば、もう擁護の立場に立って、アメリカの代弁者のような顔をするということは、これはもう祖国の魂を失っている人間の態度だとわれわれは思うのであります。
 そこで大臣にお尋ねするわけですが、結論はどうするのだということになるわけですが、われわれがここで一つ一つ、たとえばアルミニウムの問題だ、ミシンの問題だと取り上げるまでもなく、日本の国の産業界、経済界においても、最近における外資の国内産業及び経済支配の強まってきておること、これは民族産業の将来について大きな問題であるということは、われわれがここで取り上げなくても、もう今経済界一般の大きな問題になっておるわけであります。その中の具体的な事例として、今われわれがここで問題をあげまして事実を究明している。結論はこれから出すわけだ。自民党は自民党で自由に出せばいいし、われわれはわれわれで出す。それでどちらがいいかということは、国民が判断するということでなければいけない。今は真実は何であるかという究明の段階だと思う。そこでわれわれは大臣から結論をどうしたらいいかというお話でありましたから、伺いたいのでありますが、これはこういう事実を全部調べ上げて、国内においてこういう騒ぎになっている問題を事実を明らかにして、これはどうしても法的な対策を立てなければならない条件であるならば、事実を把握した上で、法的な処置も講じなければならないでしょうし、来年の十月には日米通商航海条約の十五条にわたる議定書の改訂がなされなければならない。この改訂の場合にこれらの事実を織り込んで、われわれの民族産業を守る公正な立場におけるところの外資の導入というものが期待できるようなことをしなければならない。そういうことの認識を確立するためにわれわれは論議している。何もここでアメリカなりカナダなりを一つずつ目のかたきのようにして一言っているのではない。問題になっている事実を、われわれがここで委員会に取り上げるというのは何も不思議ではない。でありますからわれわれはそういう問題の積み重ねによりて、今後における対策を立てなければならぬと考えるのでありますが、通産大臣は現在アメリカの大使の方から日本政府に申し入れがあって交渉が始まっておるとかいう、日米通商航海条約の議定書に対する改訂の問題については、現在どんな段階にあって、どういうふうにお考えになっておるか。これを一つ伺っておきたいと思います。
#37
○石橋国務大臣 いろいろ御議論がありましたが、あまり狭いお考えを持っていることはよくないということは、この前も申し上げたのであります。こっちも出なければならぬ。従ってこっちが出るのには、向うの入ってくることを相当許すという寛容な態度を持っていかないと、日本のごときは技術においても資本においても――私は前の吉田内閣時代に行われたような、何でもかんでもアメリカの資本を入れろ入れろという議論には反対です。そういうこじき根性を出してはいかぬと思っております。しかし入るものは入れたらよろしい。入るものを無理にチェックするということは損だ。それはそうとしまして……。(「ごまかして入ったものの処置は」と呼ぶ者あり)それはちょっと問題ですから、なお研究いたします。調査いたしましょう。今の外資導入の許可書とかなんとかいうものをたんねんに検討しなければならない。お話のように一概にごまかしであるかどうかということは判断もつきませんし、今ここでとやかく言うことは早いと思います。そういう問題がありますれば研究いたします。今後の問題については私はなるべく広い考え――むろん直接に日本の通商産業をつぶしてしまうというような影響があることは困りますから、これは避けなければなりませんが、しかし実は今いろいろ問題が多少ありますけれども、これはこっちがやれば、向うも日本の綿布の輸入をどうするとか、日本品をどうずるとかいうような問題が起って参りますし、なかなか簡単にやっていいとは私は思わない。よほど時期その他を考えなければならぬ。今長谷川君からお話がありましたが、十分愼重な態度をもって、これは政府だけではない、国会においてもどうか一つ十分愼重な態度をおとりくださるようにお願いをします。
#38
○岩武政府委員 ただいま永井委員のお尋ねの点、私から大臣の御答弁を補足して申し上げます。お尋ねの点は、多分議定書にありまする外国資本による市場株の取得問題だと思います。これは御案内のように、航海条約締結当時、日本の私企業の資本あるいは資本の株数等が再評価に十分相応しておりませんでしたから、三年間を限って市場株の取得について制限をつけた。これが期限が明年の十月でございましたかになると思いますが、その点を一体どうしたらいいかということで、実はわれわれ事務当局間で寄り寄り検討中でございます。第三次再評価実施後におきまする再評価積立金の資本の繰り入れ状況もございますし、またそういうふうにある程度野放しにしましても、日本の株式がそれほど外国人に興味を持って迎えられるかどうかという問題もあるだろうと思います。その点はなかなか見通しのむずかしい問題でございます。また先方との交渉の問題もあると思います。実はまだ若干期限の余裕もございますから、事務当局間では寄り寄り協議中でございます。
#39
○田中(武)委員 関連して。先ほど八木委員の御質問に対して、長谷川委員あるいは永井委員からいろいろ意見が出たわけでありますが、八木委員の質問は、日本の産業に寄与していないところの外資について取り消しはできないのか、こういうことだったと思います。何ら寄与していないで、ただ日本の産業経済を混乱さす、これだけのものであるならどうするのかということについて、もう一度大臣の御答弁を願いたい。それに関連して昨日私お尋ねしたのですが、御答弁がなかったので、もう一度お尋ねしたい。外資が入ってくる場合に、資本金の五〇%あるいはそれ以上のような場合には、どのように考えておられるのか。アジア諸国においても、どの国においても、四九%以上の外資の入ってくることを認めておる国はないと聞いております。大臣は五十対五十というような関係についてどのように考えておられるのか。それからまた外資を入れることを許可される場合に、その協定の際の契約の内容について御検討になるのか、ならないのか。たとえばこの日本軽金属とカナダアルミとの協定の中には、マレーのボーキサイトの鉱山を採掘するというようなことがありますが、技術的にあれが採掘できるのか。聞くところによると、匪賊が出るとかなんとかいわれておりますが、そういう可能性があるのかないのかということを検討した上で御許可になるのか、そんなことはほおかぶりして許可せられるのか、そうしてもし許可になったものがその後契約不履行の場合、あるいはそれが最初から可能でないというものであったという場合に対してどういうような処置をおとりになるのか伺いたいと思うのです。
#40
○石橋国務大臣 今のお話の、日本の経済を撹乱するような資本の導入を許すはずはむろんありません。これは日本の経済を撹乱するということが明らかな場合入れるということは今までしておらなかったし、今後もむろんしません。日本軽金属の場合におっしゃるように、日本の経済を撹乱しておるがあるいは日本の経済にどれほどか知らぬけれども寄与しておるかということは、これは判断のいかんでありましょうが、私は日本軽金属に外資が入ってきて、それにつれて相当の技術が入ってきた、あるいはまた現に稼働はしておりませんが、マレーの鉱山をいつでも開発することができるという権利を持っているということは、日本の経済に、しかも軽金属の事業については相当の寄与をしておると思います。ただそれにもかかわらず最初の契約が不履行であったとかなんとかいう確実な証拠があれば、それはまたそのときに考えなければならぬことであります。ただしその場合には、さっき長谷川委員の言われたような事情もありますから、むろんただむやみにこちらで一方的にやるわけにはいかないでしょう。いかないでしょうけれども、これはもう明らかな契約違反とか、あるいは外資の導入の場合にさっきお話のあったようなごまかしでやったのだというようなことがあれば、これは処置することを考えてよろしいと思います。
#41
○田中(武)委員 それではただいまの大臣の御答弁によりまして、外資の導入が現実的に日本に何ら寄与せず日本の経済を撹乱しておる、あるいはまた契約の内容が最初から不可能なものであり、あるいは契約が実行されてない、これが証拠立てられてはっきりすれば考えられるということは間違いないですか。それでは証拠を出せば大臣は考えていただけるか、はっきり御答弁いただきたいと思います。
#42
○石橋国務大臣 そういう証拠がはっきりすれば今の法制上そういうことがすぐできるかできないかは私は知りませんけれども、しかしながらこれは考えなければならぬことだ。ほんとうに日本の経済を撹乱して、ごまかしか何かをしたのだということがはっきりすれば、これはむろん何らかの処置をしなければならぬ、こう思うのです。
#43
○八木(昇)委員 時間がもう十二時近くなりましたので、あと簡単に御質問をいたしまして終りたいと思います。
 大蔵省の方からお見えになられたと思いますので、昨日来の質疑の経過はあるいは御承知でないかもしれませんが、日本軽金属とカナダアルミ・リミテッドとの間の外資の受け入れについて、昭和二十七年当時、この認可をせられた当時の経緯といいますか、そういうふうなことをごく簡単でよろしゅうございますので、この際御説明をいただきたいと思います。
 それからついでに一緒に御質問をいたしておきますが、もし公取関係の方がおいででありますればお伺いいたします。今日ほとんど日本の国内のアルミの製練を日軽が独占をしておる。しかもそれが今のカナダとの関係において非常に日本の国内のアルミ圧延業者に不利益を及ぼしておるという面が多多あるのじゃないか。そのために圧延業者が非常に困っておる。しかし事実は日軽の仕返しをおそれるといいますか、そういうふうな格好で業者がなかなか表立っては動きをし得ておらぬかとも思いますけれども、こういう問題について御調査をいただいたことが過去においてあるか。そしてまたこれについてどういうふうに判断をしておられるか。また今後どういうお考えであるかという点もこの際簡単に御説明をいただきたい。
#44
○小島説明員 大蔵省の外資課長でございます。ただいまの昭和二十七年に本件を処理いたしました当時の経緯というお尋ねでございますが、本件の申請内容につきましては、その中にカナダのアルミニウム・リミテッドが株式を収得するという点が一つと、それから貸付金を日軽金が受けるという点が一つと、それから技術の援助を受けるという点、それからそれに伴いまして、原料等の有利な人手につきまして援助を与えるというような点があったと承知いたしております。その中の株式の点につましては、当時の六億二千万円の資本金が倍額になるように、その増資新株をアルミ・リミテッドが収得する。それによりましてフィフティ、フィフティの持ち株率になるという問題でございます。それから貸付金につきましては、たしか株式収得の金額より若干上回る金額でございますが、その貸付金を受けるという内容であったのでございます。その貸付金の点は、実は会社自身がその後の検討によりまして、貸付金を当初受ける予定でありましたのを計画を変更いたしまして、貸付金は受けないということになりまして、問題点からはずれたわけでございます。それから株式の点につきましてフィフティフィフティの問題がある。それから受ける炭価援助の内容につきましていろいろとよく検討する必要がございますので、従いましてその当時愼重に検討いたしました結果、株式の収得の点につきましては、たしかアルミニウム・リミテッドから日軽金に対しまして、株式の収得によりまして当該会社を支配いたしませんという書面による申し入れがあったこと、それからその取得の価格につきましては、当時の状況からして穏当と認められたこと、そのような。事情によりまして本件は認可に損なった次第でございます。(「マレーは調べたか」と呼ぶ者あり)マレーの件につきましては、その後との鉱山の買付に成功いたしたいと存じております。
#45
○八木(昇)委員 どうも今の最後の点がよくわかりません。昭和二十七年に外資導入を認可されたときに、今のマレーのボーキサイト鉱山の直接掘り云云というような話があったはずであります。そのときの話はどういうふうであったかということ、それから現在その話通りに実際に直接掘りが行われておるかということを明らかにして下さい。
#46
○松尾政府委員 技術問題で、最近の状況でございますから、私から説明させていただきたいと思います。
 外資提携当時、先ほどからお話のございましたように、マレーの鉱区について日本軽金属がその鉱区のボーキサイトを取得できるようにすることができるというような双方の了解が往復文書でついておることは御指摘の通りであります。ただその当時の状況といたしましては、御承知のように、インドネシアのビンタンからと、マレーのラムニア鉱区からすでにボーキサイトを引いておったのであります。当時の二十六年七月ごろ、つまり提携以前の状態におきましては、大体FOB価格で九ドル流十セントで日本に輸出されておったのであります。ところが先ほど申しました、つまり外資提携が発表されましてから、その直後におきまして、同じく二十七年の十一月におきましては、そのFOB価格が、そういう新たなボーキサイト供給源の競争が出てきた関係ではなかろうかと思いますが、七ドル二十四セントまで下っております。その後二十八年の十一月には六ドル二十セント、三十年十月には六ドルと、こういうふうにだんだんと価格が下って参りました。これらの下って参りました価格でボーキサイトが輸入されておりますのは、何も日本軽金属だけでなく、他の昭電、住友にも安いボーキサイトの輸入は均霑しておるのであります。
 こういう状況で、ボーキサイトの数量におきましても、従来の鉱区から輸入することで不足いたしませんので、日本軽金属としては従来の提携会社との了解はそのまま現在も生きておるわけでございます。その生きておる状態のままで現在経過しております。従いまして、その了解はついておりますから、いつでも必要なときには開発できる状態にあるわけであります。
#47
○八木(昇)委員 これはその後参議院あたりでもいろいろ論議をされておるようですが、いろいろと理屈を申しましても、当初は直接やるつもりであったが、現在ではどうも直接やったのでは採算がとれそうにないようになってきたとか、そういうことであれば、最初は一体どういうもくろみであったかということに問題は戻ってくるわけですが、そういう点は時間もございませんので、本日はもう申しません。
 それで先ほどの大蔵省の外資課長のお話の点、どうも明確でございませんので、この一点だけお伺いいたします。
 結局この外資受け入れをするについての日軽の認可申請の中には、マレーの鉱山の開発という問題が入っていたのかどうかということ、それから認可書の中には、その点まで具体的にはどうも書き入れてなかったようなお話のようでありますが、しかしその後実際にそのマレーの山の開発は今日行われていないということを御承知であるかどうかということ、それから百八十万ドルの貸付をするという問題についても、その金によって国内の日軽の設備を改善し、国内に対して安い地金を提供し、それによって能率を上げるということであったはずなのに、そういう貸付金も実際にはびた一文なされておらぬというような事実を御承知か、しかも実際に認可をしたときと、その後やられた実際の行いとが全く違っているというような場合に、一体大蔵省はどういう責任を持つか、それに対してどう対処するかというような点を端的にお話を願いたい。
#48
○小島説明員 お尋ねの点でございますが、マレーの鉱山は主たる内容ではなかったと存じておりますが、付随的にその話があったと存じております。その後に置きまする状況につきましては、実は私、最近外資課長に就任いたしましたので、いまだよく承知しておらなかったのでございますが、認可をいたしました後におきまして、その認可いたしました契約の内容に違反したり、条件に違反するというようなことは、これはもってのほかでございます。認可の一般論としましては、認可をいたしました契約の内容がそのまま守られないということはもってのほかであると存じます。
#49
○八木(昇)委員 そういう場合にはどうするのですか。
#50
○小島説明員 具体的に個々の点につきまして実情をよく調査いたしまして、好ましくない点があるかないかよく検討いたしたいと存じます。
#51
○八木(昇)委員 認可を取り消す場合がありますか。
#52
○小島説明員 一般論としてその認可の内容に違背するものは取り消すべきものであると存じます。
#53
○八木(昇)委員 なお詳しいことは大蔵委員会の方でやりますから、これで一応終ります。
#54
○中崎委員 関連して。今百八十万ドルの融資を受けるということでしたが、それは幾らの金利で借りることになっているか。またその後必要がなくなったということで、会社側で辞退したということですが、その辞退した当時においてこの会社は幾らぐらい銀行から金を借りておったのか、現在どういうふうな借金を持っている状態であるか、その点だけ参考にお聞きしておきたいと思います。
#55
○松尾政府委員 当時の資金借り入れの了解におましては、五分五厘の金利が予定されておったと承知いたしております。しかし実際問題といたしまして、その後御承知のように日本軽金属は、次々と増資が順調にできて参りまして、その関係から、自己資本の増加によって、あまり他から大きな金を借り入れる必要がないという状態で、現在まで参っおります。当時におきましては、当時の資本提携による資本の増加、またその後における増資によりまして、すでにその前の長期の借入金は、相当程度返済をしておりまして、現在はその会社の経理状況では、私もあまり詳しいことはまだ承知しておりませんが、普通の銀行からの借り入れについては、経理的にはかなり余裕があるように聞いております。
#56
○中崎委員 そうしますと、今軽金属は幾らの配当をしておりますか。
#57
○松尾政府委員 もし間違っていたら訂正させていただきたいと思いますが一割五分の配当であるように思います。
#58
○中崎委員 それではカナダの会社に対して、五分五厘で借りられるものを一割五分の配当をつけて余分にやっている結果になるのだが、そう思いませんかどうですか。言いかえれば、増資増資によって国民の大衆から取り上げておいて、外国に一割五分の高い金利をつけてやるということになるのですが、五分五厘で六億余りの金が借りられるのに、それを無視して、国民から金を取り上げて、それで一割五分の配当をカナダの会社につけてやるという結果になるが、それでもこの許可の条件が非常に日本国民のために不利益になるという事実をお認めにならないかどうかお聞きしたいと思います。
#59
○松尾政府委員 資本の増加によりまして、自己資本の手当ができておりまするので、今申しましたような資金の借り入れについての了解は現在なお続いておるのでございますが、特にそれ以上の借り入れの必要はないということであるように思います。なおこのアルミニウム・リミテッドの会社に、日本からアルミの地金を輸出しておるということは従来もございませんし、カナダは御承知のようにアルミの生産国でありますから、日本からアルミの地金を輸出するということは今後も起らないと思います。
#60
○中崎委員 鉱山局長の言明いかんにかかわらず、百八十万ドルの金をこの会社が五分五厘で借りて運営していくということは当然の条件であるということでありますし、しかも先ほど大蔵省の方から言われるように、国の経済の上に、また国民の上に重要なる利害関係がありますので、こうした問題が履行されない限りにおいては、この契約は取り消されるべきものだというふうに考えますが、この点について、通産大臣にもう一度検討していた美いて、善処していただくことを要望する次第であります。
#61
○八木(昇)委員 それではなおいろいろ申し上げれば限りもございませんので、この辺で終りますが、非常に支離滅裂な状況が私は明らかになったと思いますので、必ずこういう問題の善処方に御努力願いたい。
 それからなお残しておりましたが、先ほどIMCというお話がありましたけれども、これは商社そのものではなくて、向うの何かそういうものの協議会でございましょう。でありますから、そのIMC自体が契約の当事者になることはないと私は思うのです。ですから何かの会社が契約しておるはずですが、それはおわかりにならぬでしょうか。先ほどの御答弁を私はどうも納得ができかねるのです。IMCとの間の取引であるから何か商社の手は経ておらぬというお話でありますけれども、そういう協議会が契約をするということはないと思います。
#62
○松尾政府委員 さっき私の説明は不十分であったと思います。IMCは今御指摘のように不足物資を手当するための協議会でございます。現物が行きましたのは、その要請によりましてたしか当時のEPSと申しますか、向うの調達機関の手に現物が輸出されたというふうに思っております。
#63
○八木(昇)委員 それが契約当事者ですか。
#64
○松尾政府委員 そういうふうになっておると思います。
#65
○八木(昇)委員 これは別問題ですが、最後に一つだけ御質問を、これは大臣でも官房長でもけっこうですが、二、三日前に御質問申し上げました硫黄の輸入について、新聞にも載っておりましたので御承知だと思うのですが、この輸入に対して非常に問題が高まってきて、硫黄関係の労働者あるいはその関係者方面では、この出荷拒否を二十一日からやる、こういう事態に実は発展してきておるわけです。それでまことに行き当りばったりの措置で、ちょっと今足らぬから、この際何千トンか、船一ぱいくらい硫黄を入れようというようなことのやり方が非常な反響を起して混乱をもたらしておる、こういうふうに思います。このまま推移していけば、これは好ましからぬ事態になるのじゃないかと思うのです。昨日石橋大臣のお答えでは、まあほんの少量だけはこの際入れなければならぬように思うというような意味の御答弁になっておったと思う。当初六千トンの計画に対して少量というのは一体どのくらいを考えておられるか、私どもとしては、そんなほんのちょっぴりを今入れなければならないほど国内ストックが枯渇してはおらない、こういうふうに思うわけであります。その辺について御答弁いただきたいと思います。
#66
○石橋国務大臣 これはもう必要のあるときには私はどんどん入れようと思います。だから硫黄でも、実際に需給の関係上入れた方がいいというときには、原則として、躊躇なく入れべきものだと思います。それに対して出荷なんか拒否しろということになると、まずます入れなければならぬと思います。ですから断固として――六千トン以上は入れません。入れる必要がないのですから……。とにかく六千トン以下の数量で、必要ならばどんどん入れるつもりであります。
#67
○八木(昇)委員 必要な場合入れるのは当然のことでありましょうけれども、しかし今の硫黄のずっと最近数年来の経緯から見ても、数日前に御質問申し上げました通りでありまして、その結果、出荷拒否をするならば、今度はもうどんどん外国から買うぞ、それでもいいか、というようなことでやっていったのでは、これはいよいよ混乱をもたらす、こういうふうに思うわけであります。そこで実際にそういうふうな紛争を起さず、当面する事態を解決していくためには、私はそういうふうなやり方ではなくて、当事者の人たちの要望を最大限にいれて処置をするということが最も適切なやり方だ、こういうふうに思うわけでありますので、そういった措置をぜひともこの際とっていただきたい、こういうことを要望いたしたいと思います。
#68
○石橋国務大臣 私が今申しましたのは、何も出荷拒否をやるからそれに反抗的にやろうというような意味ではありません。それから生産者あるいは硫黄の生産に従事しておる諸君の要望も十分いれて、この間の永井君その他からの御質問の趣意も十分に参酌しまして、最初は一万数十トンの輸入要求があったのでありますが、それもできるだけしぼって、この冬場をとにかくしのぐことができるだろうと思われる最小限度の輸入をとりあえず許す。それでこの春からは今増産計画があるようでありますから、大いに今後増産してもらいたいと思うのであります。それに対して出荷拒否というようなことになると、そんなことをされると、今の輸入もまたふやさなければならぬというようなことが起るかもしれませんから、その点については、一つ諸君の御協力を願いたい。
#69
○神田委員長 次は阿左美広治君。
#70
○阿左美委員 時間もあり一ませんから、私は二、三簡単に大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。
 繊維関係についてお伺いをいたしたいのでございますが、最近繊維総合対策審議会におきまして、どうやら意見がまとまったようでございます。御承知の通り現在繊維は設備が過剰でありまして、いわゆる中小企業で現在繊維に従事しておる多数の人たちは、非常に不況のどん底にあるのでございまして、どうしてもこれは設備の整理をいたす必要がある、こういうふうに審議会でも認めておるようであります。大体において登録台数は二十万余台ありまして、そのうち五万台以上は、これを過剰設備として整理しなければならぬ、こういうことを業界も考えておるようでありますが、これはひとり絹、人絹ばかりじゃございません。紡績におきましても、過剰設備がありますので、これらも同時に整理することになっておるようであります。しかし紡績の方は相当の力がありますから、これは残存業者において整理をする、それを買い上げるというようなことは可能だと思うのでございますが、中小企業の絹、人絹業者におきましては、この過剰設備を残存業者の負担において、責任において買い上げるということは、きわめて問題と思うのであります。この過剰設備は、政府において買い上げていただくことが妥当ではないか、こういうふうに考えますが、大臣のお考えはいかがであります、お伺いをいたす次第であります。
#71
○石橋国務大臣 一体過剰設備があれば、それを何でも政府が買い上げて整理をするというような行き方が、日本の国策としていいか悪いかということは問題だと思うのです。ですから何でも拡張されておいて、あとで今度は始末が悪くなると、これは税金で始末をするということも考えものだと私は思いますが、しかしながらこれは理屈でありまして、現在日本の繊維工業、ことに機の方が非常な困難に陥っているということは、よく了承しておりますので、ただいま具体的の答申案に基きまして、一体これをどういうふうに処置するかこういうことをせっかく検討しております。ことに広幅の輸出物については、一応の理屈がつきますが、小幅物の処置については、理屈をつけることもなかなか容易でないような格好であります。そうかといって、小幅物をほうっておくわけにいかぬと思いますから、何らかの処置をしたいと思います。また業者にこれを始末する力が現在ないということも事実であります。十分そういう事実を認識しました上で、適当な方策を講じたい。これむずかしい問題でありますから、もう少し時間をかけませんと、具体案が出て参りません。今せっかく繊維局等において研究しておるさ中であります。
#72
○阿左美委員 ごもっともの御意見でございまして、これは他の業種との関係もありますので繊維関係の設備が過剰だから、これを政府において買い上げてもらいたいというようなことも、なかなかむずかしい問題ではありますが、それとてこのままにしておくことは、とうていでき得ないと思うのでございます。この過剰設備を何らかの処置において解決いたさなかったならば、中小企業、いわゆる繊維業者というものは、いつまでも恵まれないということになると思うのであります。ことに紡績設備の方におきましては、かりに政府でこれを授助しなくとも、相当の力がありますから、自己において整理はでき得ることじゃないか、こういうふうに考えます。そうなりますと、原料の方の設備は相当に合理化されまして、織場の方の設備はそのままということになりますと、なお中小企業というものは、原料高の製品安ということで悩まされることになるのではないか。現在におきましても、原料高の製品安ということはあるのでございますから、それ以上の結果をもたらすことになるのではないかということを非常に憂慮するものでありまして、たとえば全部国の経済において買い上げることができないといたしましても、中小企業の残存業者が自己の力においてこれを買い上げるんだというような場合になりましても、政府におきましてはこれに対して相当の援助をなさるお考えがありますか、お伺いいたします。
#73
○石橋国務大臣 ただいま申し上げましたように、あまり原則的には好ましい処置とも思いませんが、これは実情においてお話のようにできるだけの援助を国家がずるほかはない、同時に機械の更改というようなことに結びつけて何かやりたいというふうに思います。ただ救済というのではなく、今後の繊維二業を確立するということに寄与するような方法で処置をいたしたいと考えて苦・心をいたしております。
#74
○阿左美委員 なお一つお伺いいたしたいのですが、この中小企業に対する金融の問題でございます。現在中小企業金融機関といたしましては、商工中金、中小企業金融公庫とありますので、これが中小企業の唯一の金融機関になっておるわけですが、しかしこの機関がどのくらい中小企業に対して資金的に役立っておるかということはきわめて問題だと思うのであります。何となれば、最近におきましてことさら一般の市中銀行の関係が緩漫になって参りまして、資金は市中銀行に求めることの方が容易であって、しかも利率が非常に安い。中金におきましては非常に利率が高いというので、むしろ業者は最近市中銀行に依存してくるような傾向があるのでございますが、しかしこれは市中銀行に資金を求められる人は、中小企業におきましても相当経済力のある、内容のよい人が求められるのでありまして、この中金において求めようとする人は、市中銀行に求められないような、経済力のない中小業者が、中金に求めておるようなわけでありますが、それが実際に三銭の日歩でございます。またこれに保険をつけたりなどいたしますと、三銭五厘にもなるような状態で、延滞いたしますと四銭の日歩を取られるというようなことで、とうていこの金利にたえられないというような状態で、しばしばこの業者から中金に対しまして金利の引き下げを要望しておりますけれども、これは中金にどういうことを申しましても資金コストの関係からどうしても下げるわけにはいかぬ、こういうようなことに現在なっておるのでありますが、この金利を引き下げるためにはどうしても政府の財政融資をしていただかったならばとうていどうにもならぬと思いますが、こういうような金利を引き下げるためには大臣はどうお考えになっておりましょうか。これは目先の問題といたしましても一日も早くこの金利を市中銀行並みに引き下げるということは当然のことではないか、かように考えますので、これに対して御意見を伺いたい。
#75
○石橋国務大臣 中金の金利が高過ぎるということは私どもも認めておりまして、この前の国会で十億円の政府出資を中金にいたしましたときに、ごくわずかながら金利を下げた。続けて同じ努力をいたしたいと考えますが、中金自身にもよく勉強してもらうし、それから原資の高いのを何とかして救済する方法を講じたいと思って、三十一年度におきましても大蔵省と話し合ってできるだけ努力するということで、ただいま邁進をしておるところでございます。
#76
○阿左美委員 中小企業金融公庫の問題でございまするが、これは直接貸し出しをいたしませんで、代理店に依存する貸し出しをしておりますが、これは非常な弊害があるのでありまして、この代理店そのものは業者のためにやってくれない。やはり業者とつながりのあるものは、決して公庫から借り入れなくても、自己の資金において貸し出しをする、こういうような扱いをしておるのであります。まるで人ごと扱いにしておるのでありまして、むしろその貸し出しに対しましては、銀行自体が回収を求めるために資金のあっせんをするというような事柄が多いのであります。これは言いかえれば、中小企業の金融にあらずして、むしろ金融機関に対するところの金融機関であるというような感がするのでございまして、この制度、この方法は大いに再検討する必要があるのじゃないか、むしろわれわれの考え方からいたしますると、中小企業金融公庫と商工中金というものを一つにして、もっと画期的な中小企業に対する金融対策を講ずる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えます。今二本建で、一方は運転資金でいく、一方は長期設備資金でいくというようなことを言うておりますが、必ずしも現在はそういうようなことになっておらぬのであります。これを一本化する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、この点に対してお伺いをいたします。
#77
○石橋国務大臣 中小企業金融公庫の方が直接貸しが少いために一代理店が――全部の代理店ではございませんが、代理店の中にはお話のような弊害があるところもあるということは承知しております。先般も市中銀行の代表者等を集めまして、その点は十分警告もし、なお一つ勉強するようにできるだけ鞭撻しておるようなわけでございます。直接貸しというものはやはり人の問題がありますので、店舗を作らなければならぬとかいろいろなことがありますから、急に直接貸しの店舗を全国に支店網を張るということは事実問題として困難でありますが、逐次支店もふやして直接貸しもやるようにいたしておりまして、来年度もさらに数カ所希望のありますところに支店を設けるつもりでおります。
 それから中金と一緒にしろということは、大蔵省あたりはかねて言うておることでありますが、果してそれがいいかどうか、御承知のように幾らか金融の性格が違います。のみならずこの二つを一つにして資金量の問題はどうなるか、今は中金と中小企業金融公庫と両方ありまして、とにかく現在、これも決して十分ではありませんが、これだけの資金量を中小企業に貸すことになっております これを一つにして現在ほどの資金量を回すことが実際問題としてできるかどうかということも考慮しなければなりませんので、ただいまのところでは私ども通産省としては中金及び中小企業金融公庫を一緒にするという考えを持っておりません。
#78
○阿左美委員 御意見よくわかりました。しかしながらこれは一つ御研究をいただきたいと思います。私ども中小企業に関係しておるところの金融に対しましてはどうも一本にすることがよろしい、こういうふうに考えております。二本建におきましてやることは、いたずらにすべてのことを複雑にして、中小企業のための金融機関としてははなはだどうもおもしろからざる結果が現在においても出ておるのでございまして、これは一本にして、強力な資金を入れまして、これを中小企業のために融資するということが国の対策になるのじゃなないか。そういうようなことを考えますときに、どうしてもこれは一本にする必要があると私どもは考えておりますから、どうか御研究をお願いいたします。以上で終ります。
#79
○神田委員長 次は加藤清二君。
#80
○加藤(清)委員 最初に私は議事進行の問題について、委員長に申し上げたいことがあるのですが、すでに十二時三十五分を過ぎております。皆さんに大へん御迷惑をかけると存じますので、要点を簡単にしぼって質問を試みたいと存じます。そこでおそれ入りますが、答弁の側も真実を簡単に述べていただけばけっこうでございますから、そのように一つお願いいたします。
 まず第一番にお尋ねしたいことは、この間の閣議でアメリカ向けの綿製品について制限をすることが決定されたと聞いております。それに従って繊維局は具体的措置をとるのだ、その具体的措置の内容は、御承知の通りすでに仕事が行われているのをストップするだけにとどまらずに、来年一――三月の契約になっている分までも制限をする、こういうことに相なっておるようでございまするが、大臣としてはこのようなことについてどうお考えになっておられますか。業界としては、あるいはこの仕事に携わっている者としては、すでに契約済みのものがこちらからのキャンセルによって生ずるところの結果のみでもてんやわんやに相なっております。きのうもおとといも全国大会が開かれております。きょうもその流れがこちらへわんさと来ておる実態でございます。また業界としては貿易商社、紡績機場と三つどもえになって、今この対策に苦慮すると同時に、その中に争いが行われておるのが実態でございます。新聞も毎日のようにこれを取り上げておりますが、一体大臣としてはこの姿をどうお考えになっていらっしゃるか。このまま放置しておいてよいのか。先ほど業界のために一生懸命にとおっしゃったその大臣が繊維業界をどう考えていらっしゃるか。
#81
○石橋国務大臣 まことに困った問題でありまして、それじゃ今の既契約もほっておいてそのままでどんどんやらせると、必ずアメリカの市場は非常にまずいことになって、結果においてはかえって非常な打撃を受ける。従って何らかの処置をこの際とるということはまことに好ましくありませんが、ほかの問題でもそうですけれども、輸出をしようとして商社なり業者なりがやっているものを、政府がこれをチェックするということは、実はやりたくないことでありますけれども、全体の情勢の上においてある程度のチェックをせざるを得ないような羽目に陥っているということは、加藤さん御承知と思います。ただ既契約のものをどうするかということは、これはいろいろ問題がありましょう。今それは事務的に検討はしておりますが、既契約はできるだけ尊重するということでいくつもりではおります。しかしながらそれはずいぶん分量が多いのですから、いろいろスペキュレーティヴに既契約も動いているようですから、これらを全部そのまま放任して、既契約であるからといって輸出をそのままにしておいて果していいかどうか。こういう問題で、実は処置に苦しんでおります。
#82
○加藤(清)委員 この問題からしても、大臣のおっしゃること、過去におっしゃっていらっしゃることに非常に大きな矛盾を生じてきている。私はそれを第一に悲しく思う。それからまた、ほんのわずかの日本の繊維製品、綿及び絹のために、世界の経済界の指導者であるところのアメリカがこういうことを日本にあたえさせなければならないということについても、私は日米友好上非常に悲しい現実だと思うわけでございまするが。ただ政府に、あなたに要望したいことは、内に向って制限をするだけで、それで事が足りるか足りないかという問題であります。アメリカと日本との貿易は、御承知の通り七と二なんです。五億の買い越しということは、これはもう慢性的になってきておる。しかも今度禁止をされた品物は一体何かといえば、御承知の通り綿と絹なんです。軽目羽二重と綿なんですが、絹は材料が日本のものであるから、憎たらしいと言われればこれはまた考え方もあるのでございまするけれども、綿については、今度一番めつぼにとられた一ドル・ブラウスに例をとってみましょうか。あなたの御存じの通り、材料は米国の綿でございます。燃料はと見れば、これは電気の発電も石炭の採掘も、技術はみんな向うのものなんです。いよいよ最後の仕上げのときの、リップル、サッカー、エヴァグレーズから近ごろのサンフォライズまで、これはみなアメリカのパテントのものなんです。
  〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
これを加工して作ったところの一ドル・ブラウスは、これを作るミシンはといえば、この動力ミシンはみなアメリカのシンガーなんです。いえば日本の綿製品々々々と言うけれども、これは日米の共同の所産なんです。あいのこなんです。それを、向うの業界がちょいと騒いだくらいで、何がゆえに禁止しなければならないのか。こうなって参りますると、あなたの拡大均衡論は一体どちら向きに向っていますかと聞きたくなる。拡大均衡というのは、私は調子をそろえることだと聞いておる。売ることと、バランスをとることだと先ほどあなたはおっしゃった。七と二のバランスをどこでとるのです。あなたは、アメリカ向けに対しては、五億をこのままに放置しておくのですか。そのしわ寄せは、東南アジアでどうします。高いものを買わされなければならぬことを、日英会談でやらされているじゃないですか。これをどうするのです。あなたは一体アメリカの貿易に対して、さてこういう場合に、何品目を伸ばそうとしていらっしゃるのか。それとも削るというならば、一体何を削ろうとしていらっしゃるのか。二をふやそうとするか。七を削ろうとするか、そのいずれかでなければバランスはとれませんが、ふやすならば何品目をふやすのか、削るならば一体何を削るのか、承わりたい。
#83
○石橋国務大臣 アメリカと日本との今の貿易の関係については、お話があるまでもなく、十分心得ております。そして同時に、アメリカに対してそれだけの手も打っておるつもりであります。ただしアメリカの政府は、むろん貿易の制限ということはアメリカとしても主義に反するのでありますから、好んではおりませんが、業界が――これはもう日本においてもよく御承知のように政府はどう考えようと、たとえばミシンの問題ならミシン業者が騒ぐ、硫黄の問題なら硫黄の方の人たちが騒ぐ、これに相当やはり政府が動かされるということになるように、アメリカの政府も、民間の業者の動きにはなかなか対抗し得ない部面が出てくる。従って政府同士としては、お互いに協力して、それぞれの国内の政治の考慮を払いつつ適当な処置をとっていく。ですから、日本もこの際やはりアメリカの業者のあまり大きな反対――ことにこの節は綿作者までが反対してくるというようなありさまでありますから、これは不都合といえばまこと不都合ですが、そうかといって、そんな議論をして、ただアメリカとけんかして、この問題が解決するわけではありませんから、そこでお互いに協力して、日本の方も抑制ができるだけは抑制するということが必要だと私は思うのです。まあふえるのはけっこうですが、ブラウスにしても急激にふえるということは困るのです。全体の割合からいえばアメリカの需要量に比較して日本の綿製品の輸出というものは大したものでもないし、また日本は相当大きな割合の綿花をアメリカから買っておるのですから、理屈は確かに日本側にあるのですけれども、ただ非常に一ぺんにふえたということでアメリカの業者が驚いて騒ぎ出した、こういうことでありますから、われわれとしては、それに対しても全然考慮を払わないわけにはいかないのですから、そういうわけで、はなはだ不愉快なことでありますが、やむを得ず何らかの処置をしようということであります。
#84
○加藤(清)委員 あなたのおっしゃることを聞いておりますると、きょうおっしゃることと、きのうおっしゃったことが違ってくる。それを私は非常に残念に思うのです。今あなたのおっしゃったことの中にもごもっともな点にございまするが、要は、綿製品は日米の共同の所産であり、日本の綿製品から上げた利益というものは、アメリカの方が多く受け取っておるはずでございます。それを一部業界が断わられたからというので。あなたはすぐに内地を縮小しようというところへ持っていかれる。そこに私は納得のできないところがある。向うの国といえども、必ずしも反対だけではない、歓迎をしているという向き――安くて品質のいいものを受け取ったアメリカの国民、特にアメリカの女性は、これを歓迎していることをあなたはよく御調査していただきたいものだ、まず第一番にこう思います。
 それから量が急激に増したからいけない、それがいけないことだとあなたはおっしゃいますが、一体日本のふえたそて量は、どう考えてみましても、なるほどふえたには違いないけれども、そう大したふえ方ではない。ふえたその躍進の仕方は大きいのでございますけれども、ふえたその量は、アメリカの総体の――年産百億スクエア・ヤードもありまするが、その百分の一にも満ちていない。アメリカの繊維の全使用量から考えてみれば、これはまさに百分の一はおろか、千分の一程度になる。ところが日本がアメリカから買いまするものは、日本の総体の三分の一なんです。これを一ぺんよくお考えの上、アメリカ国に対して日本の実情を理解してもらうところの努力を払う勇気があなたはあるかないか。
 そこで私は、あえてその綿だけについて申し上げてみたいと存じまするが綿は平均百万俵買っているはずなんです。なお余剰農産物を買えというて、むやみに買わされているのです。これはアメリカの余剰農産物を助け、アメリカの百姓を助ける行為に相なっているはずなんです。そういう綿が日本へ入ってきた場合に、一体これがどれだけになるか。日本からアメリカに行くのは、最高に見積ってもわずかに一億スクテアです。この数量は総輸入量の四十分の一にも当りません。ここへもってきて、カード下やコーマ落ちを入れたショディやラグを入れて勘定すると、四十分の一の分母は五十にも六十にもふえていきます。わずか五十分の一や六十分の一入ったからというのでこんな仕打ちを受けなければならぬということは、どこかに誤謬があるからだ。そこで私もつらつら考えてみた。どこに誤謬があるからだろう、いろいろ考えた末、原因は伸び方にある。急激に伸びたということ、去年おととしと比較して、ことしは五倍にも十倍にも伸びてきた。この伸び方なのです。それからもう一つは、コストが向うと比べて安過ぎるということなのです。これが大きな脅威なのです。しかしコストが安いということは決して日本の業者の罪じゃない、あなたの罪なのです。輸出は品質をよくしてコストを下げる、下げろと言われるものだから、ここらに機屋さんが見えるけれども、機屋さんは原料高の製品安で困っている。低賃金で困って働いている。これを向うが悪いというならば、なぜ高くするような措置を講じられないのか。量は多くない。ただ多くなるだろうという予想のもとに向うの業者があわてている。いわば水鳥の羽音に驚いた平家の落武者、その公達を日本の政府がやっておる。政府のお役人さんたちが平家の会津でよろしいでしょうか。これについての御覚悟を聞きたい。
#85
○石橋国務大臣 あなたのおっしゃる通りです。それを私はちっとも否定しない。その通りなのです。そこでこの事態をどういうふうに切り抜けるか。加藤君も数量を言われたが、数量の割合が少いことは私もさっき申した通り。ただ去年、おととしに比べてことし非常に急激に脹膨率が多かったということで、それはもう確かに水鳥の羽音に驚いたような格好で騒いでおるのであります。このことは識者はみなおかっておるのですが、さっき申しましたように、そういうふうにとにかく羽音に驚いて騒ぎ出した兵隊どもがここにあるということも現実の事態なのですから、この驚き騒いでいる兵隊どもをどういうふうに取り静めるかということが現在問題だと思います。
#86
○加藤(清)委員 なかなかいいところをおっしゃる。私もそれは賛成です。さてそれで具体策なのですが、その具体策の場合に、大臣は内地の業者を縮めよう縮めようということだけ考えていらっしゃる。あなたのおっしゃる拡大均衡とはおよそ逆行している。そこでまず第一番に理解を深めるところの運動をやるべきではないか。たとえて言えば、去年もこういう問題は起きました。可燃性繊維の問題、これはこれと対抗して向うで作りている業者がわあわあと言った。しかしこれは日本の商工会議所も日本の業界も自粛をして、向うの業界の可燃性繊維を扱っている扱い業者や、この可燃性繊維を消費して喜んでいる消費者に対して相当のアッピールをした。その結果は、ここで決議されたことがやがてアメリカの上院でほとんど額面通り受け取られ、ただ下院においてまだ周知徹底方が足りなかったおかげで十分なところへはいかなかったけれども、ある程度の成果をおさめた、こういう経験を持っているわけなのです。そこでこのたび日本の業界の自粛をあなたが命令し、法律、ない条例を作ってまでもこれを押し縮めようということをすでにやっていらっしゃるのだから、それだけにとどまらずに、相手国のあることでございますから、他に相手国に対してどのような手を打たれたか。もし打たれていないとするならば、今後日本の商工会議所や、あるいはアメリカの商工会議所や、アメリカの原綿の生産者であるところの農業関係者、農務省等々に対してこの実態を訴えられるところの勇気があるかないか、これが第一点。
 もっと言えば、ほんとうはこの際あなたが他の商品に対しておやりになるように、すぐにわれわれは余剰農産物買付その他約束されているところの原材料、これを買い控えするというところへ持っていくのが当然の帰結だと思うのですが、これについてあなたはどうお考えでございますか。すなわち材料だけはアメリカさんのおっしゃる通りにどんどん買い入れた、ところが製品は、その十分の一はおろか四十分の一程度を向うに持っていったら、それは要りませんと言われたという。一体あの余った原綿を買い入れて、これを加工してでき上った日本の綿製品をどこえ持っていこうとするのですか。どこへ売ろうとするのですか。それをよそへ売ろうとすれば、他の諸国は、買うから別なものを買ってくれという、これはあなたのおっしゃる通り。さてだから当然の帰結として売りと買いでありますから、私の方で作ったものかいけないとおっしゃるなら、あなたの方から無理やりに買えという余剰農産物の原綿もちょっとこの際控えますと言うのがこれは理の当然であり、他の諸国に悪影響を及ぼさない一番よい方法だと思いますが、あなたはそれをやるところの勇気があるかないか、この問題についてお尋ねしたい。
#87
○石橋国務大臣 前半のアメリカに対する働きかけというか、これは従来もやっておるつもりであります。しかし今まで実はこういうものに対する経費の支出が非常に少い、もっと強力にやらなければならぬと考えておりますからやりますが、これはこれからいろいろやるのでありますから、今の当面の問題についてどれだけの効果があるかということは具体的には申し上げられません。ただし今でも決してやっておらないのじゃありません。
 第二の向うが買わないからこっちも買わないというのは、いわゆるリタリエーションの方法でありますが、これも実際問題として要らないものは買いません。向うが日本の綿布を買ってくれないから報復手段としてアメリカからのものは買わないというような態度はとりたくないと思っております。
#88
○加藤(清)委員 私は何も報復をやらなければいけないなどという大それたことは考えません。寄らば大樹の陰、商売です。相手は大きい。けんかをやってみれば負けるにきまっておる。しかしいかに小なりといえども五分の魂を相手国によく理解していただくという努力くらいは必要じゃないか、こういうことを申し上げておるわけであります。そこでもし綿製品がいけないとするならば、そんなら絹製品など買ってもらう用意があるかどうか。可燃性繊維を、羽二重製品を三匁以下、五匁以下などいけないなどと言っていないで、スカーフなどいけないなどと言わせないで、ハンカチーフ、アクセサリー、スカーフくらいは買ってもらうように努力されたかどうか。それもできたいとすれば、アメリカにどんな品目を買ってもらおうとされておるのか。アメリカ輸出を伸ばすには何品目に魅力を感じ、ウエイトを置いておるのかということが一点。
 次にアメリカとも友好をやると同時に、そこから生じてきたところの帰結について、私は余剰農産物のときにこういうことを申し上げた。インドネシアとの三角貿易はいかに。これをあなたも、経審長官も農林大臣も、大蔵大臣も一様に、外務大臣までそろって、この案は非常によいから実行に移しますとおっしゃいましたが、その後の経過は一体いかがでございましょうか。と同時にもう一つ、あなたの拡大均衡の方向がかりにアメリカでないとするならば、東南アジアであるとするならば、東南アジア向けの貿易について承わりたいのでございます。すでに去年通商の契約が結ばれて一年になんなんとしておりますけれども、まだ一ドルはおろか半ドルの輸出ができていない国があることをあなたが御存じでございましょう。それについて私がさきの国会においてもそのさきの国会においても、何べんもこのことを申し上げましたところ、あなたは、ああ君の言う通りだが、調べてみて君の言う通りになっておったらすぐに善処するというお答えでございました、あれ以来すでに酷暑の候を過ぎ、お寒うございまするという時期になって参りましたが、それでもなおとんと音さたがないようでございます。一体あなたの早急に善処するという、その早急という言葉は日本流に解釈してよろしゅうございまするか、それとも白髪三千丈式に中共流に解釈するのでございましょうか、一体いかがでございましょうか。これが学者の考え方ならばよろしゅうございまするが、業界は待ち切れません。半年金利でやられたらぶっ倒れていくのは大臣御存じの通りであります。生きておる、毎日生きておる。さてトルコ貿易を一体どのように善処されましたか、それをあわせて承わりたいのでございます。
#89
○石橋国務大臣 購買力の多いのはアメリカ大陸、さしずめ北米合衆国あるいはさっき問題になったカナダ等が日本の貿易のいいマーケットであります。
  〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
しかしどういうものが出るか、カナダの方とアメリカ合衆国と違いますが、合衆国の方はやはり繊維品あるいは雑貨というものが中心になるでしょう。どうもそのほかのものについて、アメリカ合衆国へ日本のものが非常に進出し得るという見込みも多くないと思います。やはり繊維品というものが重要なものです。だからこれの輸出をアメリカ大陸に伸ばすということについては、むろん今までも努力しておりまするが、今後とも努力しなくちゃならないし、そのためにはさっきからお話するように、アメリカ国民にいろいろ働きかけるという必要があることは十分に認めております。
 それから三角貿易は、繊維局長その他をやりまして話をしておりますが、これは日本だけではないのです。まだどこもぐずぐずですよ。実にひまがかかりまして、その後一向進展しません。これはアメリカがインドネシアに対して働きかけるということになっているのですけれども、その効果がまだ現われておりません。こういう状況です。
 トルコの問題は、実は今知らないんですよ。
#90
○板垣政府委員 トルコとの貿易につきましては、御承知のようにトルコの経済事情から、非常に向うの物資が割高である。世界市価に比べまして綿花などは三割くらい高い状況でありますので、どうしてもこれを商業ベースで貿易を円滑にやりますためにはこちらからの輸出品が不当な安値で売られないような措置をとることが絶対に必要でございます。従いまして、御承知のように数社の商社限定方策はとって参ったのでありまするが、これが一部の原因となりまして、これだけが原因でありませんが、トルコ側とまだ話し合いがつがず、従って向う側の輸入ライセンスがずっとおくれておりました。最近になりましてやっと二十数万ドルの輸入許可がおりたのでございまするが、これに対しまして、ただいま御指摘がありましたように、日本側としての輸出態勢というものがはっきりいたしませんと、どうしても安値競争が行われる。従って、最近従来ともトルコ政府と交渉促進方を要望しておりましたが、向う側の都合で延びておりましたが、来月早々こちらからトルコに人を派遣いたしまして、今の商社限定の問題も含めまして、トルコ側と話をつけて、できるだけ早い機会に輸出輸入を円滑にやる、従って日本の輸出が順調にトルコ側に参りますように計らいたいというふうに考えております。
#91
○加藤(清)委員 石橋さんという人は憎めぬ人ですね。知らぬと言われたらこれは何ともならぬです。ところがこれは大臣お答えになったでしょう。早急に調査して善処するってね。私はそれをちゃんと覚えておるのです。それはあなたは仕事が忙しいのだから無理はないのですが、この問題は日本の業界にとっては恨みの的になっております。それからトルコ国政府から見るとこの方式は怨嗟の的になっております。このことは日本の新聞にはあまり出ませんが、トルコの新聞にはどんどん出ております。これは事実でございます。うそとおっしゃるならば私は証拠物件を持ってきます。そこで、そんなことはいずれでもいいのですが、要はあなたのおっしゃる拡大均衡を実行に移すには、白髪三千丈じゃいけませんなるべくスマートな、ひげをそったかっこうで商売をしないと相手になってくれません。しかもこれは六月に改訂をするはずになっておった、それが政府の御都合でどんどん延びてきて、十月ごろにはという。それからまた今度は向うの都合とかどうとかいうことで十二月になっちゃって、今度はまたどうとかで、今の答弁だと正月越えてからということになる。契約が総体で一年半でございます。しかも半年ごとに区切ってございます。それが全然行えないということになりますと、これは政府の怠慢とか出先機関の怠慢だけではおさまらなくなって、業界があなたに詰め寄らなければならないし、業界自身は腹を切って倒れていかなければならぬものがたくさん出てきます。そこでこれは慎重にもう一度研究をしていただいて、早急に解決をしていただきたいものだと思うわけでございまするが、大臣のお考えはやはり忘れたでこの次も通すつもりでございましょうか。
 最後に、それと同時にアメリカへの輸出は繊維と雑貨だとおっしゃいましたが、雑貨の場合でも――陶器が含まれているかどうかは知りませんが、陶器のバンブー・チャイナがちょっと出かかっていったらストップということになる。これは外務省と通産省とがえらいけんかになったことだから、私はその当時ここでそれをあえて取り上げませんでした。けれども今は過ぎたことでございますので、そう両者に傷がつかないでございましょうから申し上げますが、この場合もやはり輸出が伸びない結果が生じてきておる。もしバンブー・チャイナを送ればディナー・セットやコーヒーわんざらが出なくなるのだ、それだからということであれを中止なさるならば、せめてディナーセットかコーヒーわんざらか、あるいはクリスマス用の玩具の輸出量をふやすような努力をやっていただきたいと思うわけでございます。ただとめただけでわが事終れりということならば、政府は、大臣が拡大均衡を言いつつも、実際はとめることだけに努力している。輸出振興の方は業界にまかしておいて、行き過ぎたらとめとなりますると、政府はブレーキの役目ができない能なしということに相なって参るわけでございます。指導育成強化という言葉は決してブレーキだけではないはずでございます。ぜひ一つそういう観点に立ちまして、可燃性織物も綿織物も陶器も考え直していただきたい。日本へ輸入されるときには硫黄もアルミもその他いろいろ先般来話が出ているようでありますが、これは無手勝流で全部受け取る、よそへ出すものはすぐに向うは法律を作ってまでもかきねを作っている。ガット加入が許されない今日、せめて国内で許されたくらいの力は大いに発揮していただきたいものだ。負けた悲しさでそれもできなければ、せめて相手国に対して理解を深めるくらいの行為はとっても罰は当らないし、それくらいのことをやったからといって別に費用がよけいかかるとは私は考えません。ぜひ一つあなたのおっしゃいまする拡大均衡を具体化するために、いま一段の御努力を切に要望する次第でございます。私はこの問題についてまだまだ深く掘り下げると同時に、その他の問題がたくさんございまするけれども、同僚諸君にあまり長いこと御迷惑をかけてもいけませんから、私の質問はこれで終ります。
#92
○石橋国務大臣 トルコの問題も、これはトルコに限りませんが、相手がありますから、相手がたとえばインドネシアにしましても、なかなか不安定である、ぐずぐずしておる、これは日本だけがぐずぐずしているわけではない。相手によってそうばたばた片づかぬのでありますが、できるだけやります。政府がブレーキの役目をしているというのは、なかなかうまい言葉で、ややもすればそういう傾きになりがちですから、やはりそうならないようにしなければいかぬと思っております。これはさっきのバンブー・チャイナの話なんかでも、あれは大いに出したいと思ったのです。ところが、中小企業者から非常な反対がありまして、実際名古屋付近の中小企業者が団体を組んで私のところに来て、あんなものを出されたら今まで開拓した市場はめちゃくちゃになってしまうということで、実は処理に困ったのです。そこである程度チェックせざるを得なかった、そういう矛盾がありますので、一つ業界の御指導も今後十分にやっていただきたいと思います。
#93
○神田委員長 この際外資導入等に関し、笹本一雄君より発言を求められておりますので、これを許します。笹本一雄君。
#94
○笹本委員 私は自由民主党、社会党、並びに各派を代表いたしまして、この際外資導入等に関する決議案を発議いたしたいと存じます。
 決議案を読み上げます。
   外資導入等に関する決議案
  わが国産業の再建に当り、外資導
 入の必要性はあるが、これが導入に
 当っては、わが国産業経済及び国民
 生活を直視し、その自主的支障を来
 たさないよう配意すべきである。
  もし、不用意な導入を許さんか、
 わが国産業の将来は、憂慮にたえな
 いものがある。
  政府は、すみやかに、事態に即
 し、善処の措置を講ずべきである。
  右決議する。
 この決議案を提出いたしました趣旨を簡単に御説明申し上げます。わが国産業を急速に再建いたしますには、どうしてもある程度の外資の導入は必要があることは御承知の通りでありまするが、これはあくまでわが国産業の発展に寄与するものでなければなりません。しかるに最近外資導入について、非公式の外資潜入、あるいは不正式ルートの導入、または導入の行き過ぎ等の懸念があるのは、連日の質疑によっても御承知の通りであります。ここでこの際政府をして、外資導入を真にわが国産業の発展に寄与するよう、厳重な処置を促したいと考え、本決議案を提出した次第であります。何とぞ御賛同をお願い申し上げます。
#95
○神田委員長 この際本決議案に関し、田中武夫君から発言を求められております。これを許します。田中武夫君
#96
○田中(武)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました外資導入等に関する決議案に若干の意見を付して賛成をいたしたいと存じます。外資の導入が日本の国民経済に対し、日本の中小企業に対しどのような結果をもたらしておるかということは、先日来の当委員会における、硫黄、ミシン、アルミニウム等の質疑の中にも現われておるのであります。率直に申し上げますと、われわれはこの決議案では不十分であります。もっと端的な決議を要求いたしたいのでありまするが、満場一致の決議をいただくために若干の字句の点において不満の点はあるのでありますが、賛成をいたすわけであります。先日来の質疑の中で十分に述べられているように、われわれといたしましては日本の経済を撹乱し、日本の民族産業を危殆に瀕せしめるような外資の導入に対しましては必要性を認めないのであります。外資の流れ込みは、去る二十四年に外資法が制定せられてからせきを切った水のような勢いで入ってきたのであります。そうしてその形態は、戦前の外資の復活によるもの、経営参加、実は経営支配を目的として株式を取得するもの、これはアルミニウムにおける日本軽金属とカナダアルミとの関係等においても明らかであります。貸付金、投資の形態、あるいは技術提携、またはパインミシンにおいて見られるような無為替輸入というような方法によっても入ってきておるのであります。こうしてこれらが硫黄とかミシンとか、先ほど来問題になっておりましたアルミニウム等において見られるように、莫大な利益をその投資した国にもたらしておる、この結果が日本の国民経済に大きな不利益を来たしておる。またそういう提携あるいは外資の導入がその産業の独占化を目ざし、あるいはまた安い物を輸出して高いものを輸入するような結果をもたらし、またはその結果が中小企業を圧迫してこれを危殆に瀕せしめるような状態になっております。または特許料と称して莫大な不当利潤を吸上げられているような面もあるのであります。これらのことに関しまして、読売新聞は本年の一月一日からその社会面で日本経済における外国資本。進出とその支配の様相を、「日本のむこ殿」という題名で掲載したのであります。その記事は、各記者がたとえば石油とか電気とか繊維等々、それぞれ部門を担当いたしまして、足で実際を調べて率直に書いたのでありまして、それをまとめたのがこの「日本のむこ殿」という単行本でございます。大臣なり政府委員の方々は、この本をお読みになりたかと思いますが、もしお読みになっていなければさっそく一つ読んでいただきまして私この状態を十分認識を新たにしていただいて対処していただきたいと思います。また最近の十二月十日号でありますかのエコノミストにも問題化した外人の株式取得という題名でこのことについての批判が大きな論説として載りておりますので、ぜひ読んでいただきまして十分の対質を立てていただきたいと考えます。ことに通産省といたしましては、日本の産業あるいは中小企業の擁護という立場からこのことについても十分考えていただいておると思うのでありますがあるいは外務省、大蔵省等々の圧力に屈しておるのではないかというような面も見られますので、大臣ここで大いにがんばっていただきたい、このように考えるのであります。この日本経済における外資がどのような役割を果しておるかということは、この「日本のむこ殿」という言葉で十分現われておると思うのであります。今にして何らかの措置を講じない限り、日本経済は破壊せられ、日本の民族産業が破壊せられていくと思うのであります。私はやむにやまれぬ愛国心のもとに、この決議をもっと強いものにして、そして実際的な弊害を除去せられるように政府当局が措置をせられんことを心からこいねがいまして賛成の討論といたします。(拍手)
#97
○神田委員長 お諮りいたします。ただいまの笹本一雄君御発言の通り、外資導入等に関し決議するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○神田委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。
 なお本件の参考送付先等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○神田委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
 この際石橋通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
#100
○石橋国務大臣 昨日来私が申しますように、私の個人的意見としては、なるべく資本も技術も、これは自由に導入するのがいい。それで倒れるような国はだめなんです。日本国民がそれほど弱くはないと私は思う。ですからこの際なるべく昔の経済的なナショナリズムの復活するような思想を普及することは私は好ましくないと考えますが、御決議の程度のものならむろん当然であります。私が日本の経済を撹乱するような外資導入を今までも許してはおらぬと思いますし、今後も許すつもりはないのでございまして、この決議には従います。
#101
○神田委員長 本日は日中貿易に関する諸問題についても調査を進めたいのでありますが、参議院より砂利採取法案が後刻送付されることが予想されておりますので、それまで休憩することにいたします。
 暫時休憩いたします。
   午後一時二十二分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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